2025年5月9日 第63回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 議事録

日時

令和7年5月9日(金)15:00~17:00

場所

オンライン会議場
厚生労働省 共用第6会議室
東京都千代田区霞ヶ関1-2-2

出席者

出席構成員
出席参考人

議題

  • ドラッグ・ロス解消に向けた取組について
  • 要望の医療上の必要性に係る検討状況等について
  • 開発要請を行った要望に係る検討状況等について
  • 要望品目の医療上の必要性について
  • その他

議事

○三宅調整官 定刻になりましたので、ただいまより第63回「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」を開催いたします。
 本日もウェブ会議で実施いたします。また、本会議は公開の会議であることから、ウェブ会議の様子をYouTubeにてオンライン配信しておりますので、御了承をお願いします。
 構成員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 会議を開催するに当たって、注意事項を御説明いたします。
 オンラインで御参加の場合は、発言の場合は挙手ボタンを押していただき、座長に指名された後にミュートを解除して御発言ください。
 発言されないときは、マイクをミュートにしておいてください。
 また、会議中に接続トラブルなどが発生しましたら、事前にお送りしたウェブ会議のマニュアルに記載の連絡先に御連絡ください。
 会議に先立ちまして、今年度より新しく本会議の構成員として御参画いただく先生がいらっしゃいますので御紹介いたします。
 東京慈恵会医科大学臨床薬理学教授、志賀剛先生でございます。
○志賀構成員 初めまして。東京慈恵会医科大学の志賀といいます。専門領域は臨床薬理学と循環器内科をバックグラウンドとして持っております。どうかよろしくお願いいたします。
○三宅調整官 どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、岩田構成員、戸高構成員、松本構成員、村島構成員、柳原構成員より御欠席との御連絡をいただいております。
 現在のところ、15名の先生方に御出席いただいております。
 本日の専門ワーキンググループの検討状況の報告に当たりまして、小児ワーキンググループのメンバーから森川参考人に、代謝・その他ワーキンググループのメンバーから小早川参考人に、循環器ワーキンググループのメンバーから安河内参考人に、抗菌・抗炎症ワーキンググループのメンバーから宮崎参考人に、抗がんワーキンググループのメンバーから米盛参考人に、令和6年度厚生労働科学特別研究事業「ドラッグ・ロスの実態調査と解決手段の構築」研究班から佐藤参考人に御参加いただいております。
 それでは、以降の進行は座長の大江先生、よろしくお願いいたします。
○大江座長 ありがとうございます。
 まず、本日の会議資料の確認及び各構成員から申し出いただいた学会執行部への所属状況について、事務局から御説明をお願いいたします。
○三宅調整官 事前に送付した資料を御用意ください。電子ファイルは一つにまとめて右下に通し番号を振っています。
 本日の資料の一覧を2ページにお示ししておりますので、御確認ください。
 資料1として、検討会議における検討の進め方について
 資料2シリーズとして、ドラッグ・ロスの解消に向けた取組について。
 資料3シリーズとして、要望の医療上の必要性に係る検討状況並びに開発要請を行った要望に係る検討状況について。
 資料4シリーズとして、「医療上の必要性に係る基準」への該当性に関するワーキンググループの評価について。
 その他、開催要綱、構成員名簿、ワーキンググループメンバーの名簿、評価基準等を参考資料とし、1つのPDFファイルとして配付しております。
 続きまして、各構成員からお申し出いただいた学会執行部への所属状況について御報告いたします。
 資料104ページ、参考資料7でございます。構成員が執行部に所属している学会に関する資料がございます。
 本会議の公平性の観点から、構成員のうち、学会の執行部に在籍する方、理事会メンバー以上を想定しております。これらの方々は、当該学会からの要望については、要望に係る背景事情等の説明は行えるものの、議決には参加しないこととしています。
 本資料は本日時点の内容に更新しておりますが、誤り等ございましたら、この時点でお知らせいただければと思います。
 各構成員からのお申出状況に基づき確認しまして、本日は、報告予定のいずれの議題についても、議決に参加しない委員は「該当なし」でございます。
 これらの資料に基づきまして、本日の審議を進めていただきたいと思います。
 説明は以上です。
○大江座長 ありがとうございました。
 それでは、議事に入ります。議題「ドラッグ・ロス解消に向けた取組について」、事務局及び佐藤参考人より取組の概要を説明いただいた後、個別品目の評価について議論を予定しています。
 資料2-1のドラッグ・ロス解消に向けた取組について、事務局から説明をお願いいたします。
○飯村室長 研究開発政策課でございます。
 資料2-1を御覧ください。ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの解消に向けた取組について紹介させていただきます。
 ドラッグ・ロスの実態として、2016年から2020年の間に欧米で承認された新有効成分医薬品のうち、2022年末時点で日本で承認を受けていない品目が143品目あり、そのうち86品目が2023年3月時点で国内開発が未着手、いわゆるドラッグ・ロスの状態だということが判明しております。このような86品目に対して、従来であれば学会や患者会からの要望を受けて、未承認薬検討会議での御検討をお願いしていたところでございますけれども、今般、国が能動的に情報を整理し、未承認薬検討会議にお諮りすることとし、令和6年の厚生労働科学特別研究事業の「ドラッグ・ロスの実態調査と解決手段の構築」の研究において情報の整理等を実施いただきました。
 研究班の詳細については、この後、参考人として本日御参加いただいています佐藤先生から御説明いただきますが、本年3月31日にその結果をプレスリリースさせていただいたところでございます。本日は、研究班において開発の必要性が非常に高いとされた14品目のうち11品目について御審議をいただくこととなっています。
 説明は以上でございます。
○大江座長 ありがとうございました。
 ただいまの説明について何か御質問はございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、続きまして、資料2-2の令和6年度厚生労働科学特別研究事業「ドラッグ・ロスの実態調査と解決手段の構築」について、佐藤参考人から説明をお願いいたします。
○佐藤参考人 よろしくお願いいたします。国立がん研究センター中央病院先端医療科の佐藤と申します。今般、厚労省特別研究班の班長を務めさせていただきましたので、この場で概要とその結果の御説明をさせていただきます。
 まず、研究班の事業内容について御説明したいと思います。
 先ほど事務局の飯村室長から御案内がありましたが、製薬協が作成したドラッグ・ロスが起きている医薬品についてのリストを基に、そのドラッグ・ロスが起きている医薬品、その当時では86品目の概要と内容の検討、必要性について検討して、開発要請が必要なものについては開発要請をかけることを目的として、この研究班は事業を開始しております。
 本会議の未承認薬検討会議において、従来でしたら、左上にありますように患者会・学会からの要望があって初めて動き出していたところを、次のページをお願いします。能動的に一つ一つの医薬品の必要性について検討をして、必要なものには開発要請を能動的にかける、このスキームを作成することがまず第一目標となっておりました。
 次をお願いします。こちらは概要です。研究班事業として大きく私以外に5領域について、各領域の専門の先生方にお声がけをして、それぞれの専門性を持つ先生方にさらにお声がけをしてチームをつくって、研究班の概要を構築しております。
 次をお願いします。分担研究者となっていただいた先生方の一覧表となっております。内分泌領域に関しては虎の門病院の辻本先生、精神/神経系領域については精神・神経医療研究センターの中村先生、感染症領域については国立国際医療研究センターの時田先生、小児領域については国立病院機構の土田先生、循環器/呼吸器領域については自治医科大学の星出先生にお願いしております。上記5人の先生方以外の専門領域については、私、佐藤が確認をさせていただいております。
 次をお願いします。分担研究者以外の先生方にも、それぞれの学会の意見の聴取でしたり、実際の臨床現場の確認、企業との交渉状況など、研究協力者という形で御協力をいただいた先生方の名前をこの場で発表させていただきます。
 次をお願いします。本特別研究班の概要となっております。本会議といいますか、研究班の本体と各専門ワーキンググループでの検討を行き来するということを行っています。大きく3つのステップ、左にあるステップ1、2、3、まずは医薬品に関する情報収集で、特に臨床現場のニーズと医薬品の情報。次に、それを評価する、具体的に必要性があるかないかというステップ2の(1)、そして、その必要性がある品目については、開発の優先度を確認する。決定づけて、必要性が高いクラスに分けたものから順に開発要請をかけていくという概要を考えておりました。
 次をお願いします。具体的に実施した事業の内容がこちらとなっています。情報収集は大きく2つ、学会アンケートをもって臨床現場のニーズを確認しております。日本医学会/医学会連合の全面的な御協力をいただきまして、関連学会にアンケートという形で発出をお願いしております。また、外部事業、コンサルタント企業と契約をしまして、医薬品の客観的な情報収集も行っております。
 それらの情報に基づいて、どのような形で現場のニーズを拾い上げて確認するか、その評価系を行うのと、開発要請があると判断したものについては、こちらにあるA、B、C、Dの段階分けをして、必要性について評価しております。
 主にこちらはしばしば国からの評価、医薬品の評価をするときに用います医療上の必要性についてを軸に、必要性についての評価を行っております。
 概要は、報告書の中でまた御説明することになると思います。
 そういった事業の確認をした後に、本会議で後ほど出てきます要望書、評価書の作成まで、本研究班内で実施しております。
 次をお願いします。以上の研究班事業の結果概要について御説明させていただきます。
 まず、先ほどの86品目のうち8品目は、我々が検討を開始した時点で既に企業の開発が開始していたなどの事情がございまして、実質78品目をドラッグ・ロス品目として検討を行っております。
 学会アンケートの実施内容も、先ほどの医療上の必要性を軸に、主に医薬品開発の必要性、有効性及び安全性、対象となる疾患について確認しております。臨床現場の感覚に近い表現で言いますと、エビデンスの確認という点が強く、エビデンスについて学会側からも、こういったものがある、こういった評価をするということをアンケートの形式でいただいております。ほぼ全ての学会から回答をいただきまして、それらを一つの軸としております。
 同時並行で医薬品の情報収集、国内開発権を持つ企業に開発の意思を確認しております。ドラッグ・ロスになっている時点で当然ではございますが、開発権を持つ企業全てから、開発の意思はないという返答ではございました。ただ、その開発の理由でしたり、そういった返答の中で既に開発がかかっている、もしくは類薬の情報などを収集することができております。
 次をお願いします。こちらが3月31日のプレスリリースでも出しておりますA、B、C、Dの概要となっております。Aに14品目が該当しておりました。この14品目について、この後2枚のスライドで御説明させていただきます。
 次をお願いします。まず、このスライドにございます青字の品目は、開発必要性は高いと判断しましたが、今回の会議では上がっていない品目になっています。その理由は大きく2つ、上段にありますのが検討をしないでいい理由、それぞれ矢頭、上から順番に、企業の開発着手済みであるという情報が入って、もうロスではないという情報が入っているものでしたり、既に本会議に要望書が提出済みであったり、また、タイムラインの問題で要望書の作成が間に合わなかった。これは本年度事業で検討になりましたので、先に送らせていただいているというものです。
 この矢頭の5つ目のNETSPOTという医薬品が比較的重要な品目になっていまして、始動後に企業開発中であることが判明しております。このNETSPOTという医薬品と同種・同効薬、類薬がございましたので、下の段を御覧いただければと思います。未承認薬検討会議で検討はするも即時、今すぐの開発は不要であるので、今回開発要請までは必要ないだろうと判断したのがこの3品目になっています。それぞれ、1段目の4のOXLUMOという医薬品については、原発性高シュウ酸尿症1型に関する類薬(Nedosiran)が既に本邦で開発中のため、開発要請は不要と考えています。類薬、同種・同効薬でありますが、この薬品は既にFDAで承認されています。同種・同効薬、本邦でも開発を開始しているので、このNedosiranの動向次第によって、もし開発が成功しなかった場合などには、改めて開発要請が必要な必要性の高い医薬品と判断されると研究班では判断しております。
 先ほどのNETSPOTの類薬として、この矢頭の下の3番目がございます。DETECTNETとGA-68-DOTATOC、こちらもNETSPOTと同種・同効薬であるので、NETSPOTの開発状況次第によっては、今後、開発要請が必要な医薬品であると判断が変わる可能性はあると判断しております。
 次のページをお願いします。本会議に上がるのがこちらの6品目。会議に上がり、かつ開発要請が必要であると判断した6品目になっています。それぞれ、重症マラリアに対する品目が矢頭の1つ目になります。矢頭の2つ目はGIST、胃腸間質腫瘍に対する医薬品。これは以前からドラッグ・ロスの医薬品として非常に大きく問題になっていたものです。矢頭の3つ目が尋常性ざ瘡に関する薬剤。4番目、5番目は抗菌薬になっております。侵襲、新しい薬効の薬剤機序を持つ薬品と既存のテトラサイクリンの耐性を達成できるということが期待される医薬品。最後の76番は少し変わった品目でして、炭疽菌に対する医薬品です。人間に対して投与した臨床試験結果はないのですが、FDAなどでは対テロ対策の一環として必要な医薬品と判断しております。
 以上が本体部分の重要な御説明になっています。
 次のスライドをお願いします。補足にもなりますが、これはプレスリリースの中でA、B、C、Dというのは具体的にどういった分類になるのかという御質問をよく受けましたので、この場で補足説明をさせていただきます。
 グループA、B、C、D、文字で記載させていただきましたが、即時の開発要請が必要であろうというのがグループA、今すぐではないのですが開発要請の検討が必要であろうと思われたものがB、開発要請については検討が引き続き必要なのがC、Dという解釈で御理解いただければと思います。
 次をお願いします。今般、品目概要書、要望書を作成しておりまして、こちらに提示させていただいております。先ほどの説明と重複しますので詳細は割愛しますが、こちらは開発要請をかけない3品目となっています。
 私の資料のスライド説明は以上なのですが、この先は少し私見にはなるのですけれども、今回の研究班事業を通して1つ言えるのは、ドラッグ・ロスを防ぐというのは極めて困難であるという感触を持っております。実際に全てを防ぐ必要もなく、本当に解決すべきもの、正しく評価すべきものは重要ですし、それをアカデミア、その他我々のような立場の者からも発信する必要があるというメッセージを得まして、それを発信しております。ビジネスモデルとして成立しないか、臨床上の必要性についての検討が必要であるものも多いので、ぜひアカデミアからは真のドラッグ・ロスとも言えるような品目を検討して、解析して、それを発信することが必要であるというメッセージも本研究班から得た教訓として私個人としては発信していきたいと考えております。
 少々私の私見も含めてお話しさせていただきましたが、私からの説明は以上です。
○大江座長 佐藤先生、ありがとうございました。
 ただいまの佐藤先生の御説明に関して、質問、コメント、もしございましたらお受けしたいと思いますが、よろしいですか。
 それでは、私のほうから、これは事務局への質問なのですが、今の佐藤先生の御説明の中に、未承認薬検討会議で検討はするも即時の開発要請は不要と判断した品目と紹介されたものが3つあったと思います。通常、検討会議では、「医療上の必要性に係る基準」に該当するかどうか評価し、即時の開発要請を行うかどうかということは評価していないと思うのですが、今回、本検討会議でその開発要請のタイミングも含めて評価する必要があるのかどうかと、ちょっと御説明いただければと思います。
○飯村室長 ありがとうございます。
 本検討会議では、通常と同様に、医療上の必要性に関する基準への該当性についての御評価をお願いしたいと思っています。基準に該当すると評価いただいた後の開発要請または開発公募のタイミングなどについては、研究班で整理いただいた情報を基に、厚生労働省のほうで私どもの責任で検討し、対応させていただきたいと考えております。
○大江座長 ありがとうございます。
 ほかに何か御質問ありますか。よろしいですか。今の点も含めてでもいいですが。
 中村先生、お願いいたします。
○中村構成員 どこで申し上げようかと思ったのですけれども、この作業、物すごく大変であっただろうと思いました。私も小児ワーキングのほうでずっと作業しておりましたけれども、最後に申し上げるより今のほうがよろしいかと思って発言させていただきますが、佐藤先生をはじめ今回の特別研究事業で作業された先生方に大変な感謝を申し上げたいというか、ここでぜひ先生方のねぎらいの言葉をといいますか、我々としてもねぎらいの言葉を差し上げたいなと思って、あえて発言させていただきました。
 また、この作業は先生方だけではできませんで、事務局の作業も大変な作業であったろうと思いますので、感謝を申し上げたいとともに、今後さらに続いてくるものについて、日本小児科学会のほうでも必要なサポートといいますか、もし新しく人が必要であれば、人選のお手伝いをするとかそういったことも含めてできるかと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 以上です。
○大江座長 ありがとうございました。
 ほかはよろしいですか。大丈夫ですね。
 それでは、ドラッグ・ロス品目の「医療上の必要性に係る基準」への該当性に関する専門ワーキンググループの評価に移ります。佐藤参考人からの説明にありましたとおり、研究班で品目概要書を作成し、それを基に各専門ワーキンググループで評価いただいたものとなります。ワーキンググループごとに担当する品目をまとめて説明いただき、その後、質疑応答、評価と進めたいと思います。
 最初は、資料2-3-1について、代謝・その他ワーキンググループの小早川参考人、御説明をお願いいたします。
○小早川参考人 よろしくお願いします。
 資料2-3-1の1ページを御覧ください。lumasiran sodium、以下「本剤」について、原発性高シュウ酸尿症1型に関する要望です。
 原発性高シュウ酸尿症、以下「PH」は、グリオキシル酸代謝の常染色体潜性障害群であり、代謝最終産物である内因性シュウ酸が過剰産生され、腎尿細管でカルシウムと結合して結晶を形成し、腎結石や腎石灰化を引き起こします。疾患の重篤性について、PHでは、慢性尿細管間質性炎症や結石による腎臓閉塞が組み合わさることにより、70%以上の患者が腎不全に至ります。また、骨、心臓、血管、神経、眼等の様々な組織にシュウ酸が蓄積し、生命を脅かす多臓器疾患を引き起こします。したがって、重篤性は「ア 生命に重大な影響がある疾患」に該当すると判断しました。
 医療上の有用性について、根治的な治療としては、欠損したアラニン:グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼを補うことを目的とする肝移植や、重篤な腎不全に対する腎移植が必要となり、国内において、侵襲性が低い効果的な治療法はありません。対症療法として、国内では、シュウ酸結石を抑えるための大量の水分摂取や、マグネシウム及びサイアザイドの投与、ビタミンB6の投与がなされます。また、腎不全には血液透析や腹膜透析が行われますが、内因性のシュウ酸産生に関して効率的な透析は困難です。
 本剤は、RNAiを用いた薬剤であり、シュウ酸産生に必要な酵素であるグリコール酸オキシダーゼをコードするヒドロキシ酸オキシダーゼ1遺伝子のmRNAを標的とします。
 本剤は、無作為化二重盲検比較試験等により有効性、安全性が示され、生命予後の延長が期待でき、既に米国、欧州を含む国々で承認されております。以上より、医療上の有用性は「ア 既存の療法が国内にない」に該当すると判断しました。
 以上より、ワーキンググループにおける検討の結果、医療上の必要性が高いと判断しました。
 説明は以上でございます。
○大江座長 ありがとうございました。
 ただいまの御説明に関して、何か御質問、コメントございますでしょうか。
 これはちなみに、患者さんの数は大体どれぐらいいるものなのですか。
○小早川参考人 こちらはかなりの希少疾病だと伺っておりますので、数としてはかなり少ないと。正確なことを私は今、把握はしていないのですが、かなり希少疾患ということです。
○大江座長 かなり希少ということですね。
○佐藤参考人 もしよろしければ、私からお返事させていただこうかと思います。
 いろいろな資料の中で、ばらつきはあるのですけれども、1人、2人という数ではなくて、年に数十人単位ではいらっしゃると。レセプト情報を扱っているJMDC社に集計していただいたところ、少なくとも30人、多くても100人台まで数の幅があると思っています。
○大江座長 これは先天性疾患だと思うので、当然、ここの用法・用量も10kgとか20kgとかいうことなので、小児がほぼ対象になるのですか。
○佐藤参考人 私からでよろしければ、引き続き佐藤からお答えしますと、基本的には小児の疾患で、放置していると小児のうちに腎不全、死亡に至る疾患となっております。
○大江座長 ありがとうございました。
 ほかはよろしいですか。
 それでは、本報告書案については御了解いただけるということでよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御了解いただけたものと認めます。
 では、小早川参考人、よろしくお願いします。
○小早川参考人 では、引き続き御説明させていただきます。
 資料2-3-1、3ページを御覧ください。Trifarotene、以下「本剤」について、尋常性ざ瘡に関する要望です。
 体幹部の尋常性ざ瘡は多くのヒトが経験する慢性炎症性疾患ですが、出血、排膿を繰り返すことによって瘢痕や色素沈着が後遺症として残った場合、外見が著しく損なわれます。
 疾患の重篤性について、重症例では瘢痕部にケロイドを来し、病変部が広範囲に拡大した場合に心身に重大な悪影響を及ぼします。したがって、重篤性は「ウ その他日常生活に著しい影響を及ぼす疾患」に該当すると判断しました。
 医療上の有用性について、米国の尋常性ざ瘡のガイドラインにおいて、本剤は尋常性ざ瘡の治療薬であり、レチノイド系外用薬の一つとして記載されています。尋常性ざ瘡の治療には、内服/外用抗菌薬、レチノイド系のAdapalene外用薬などが使われます。しかし、レチノイド系のAdapalene外用薬は体幹部への適応がない一方、本剤は海外で顔のみならず体幹への適応も有し、国内においても有用性が期待できます。さらに、抗菌薬とは違い、耐性菌を生み出すリスクもありません。本剤により、体幹部を含む臨床症状・QOLが改善することで、医療上の有用性があると判断しています。したがって、医療上の有用性は、「ウ 欧米等において標準的療法に位置づけられており、国内外の医療環境の違い等を踏まえても国内における有用性が期待できると考えられる」に該当すると判断しました。
 以上より、ワーキンググループにおける検討の結果、医療上の必要性が高いと判断しました。
 説明は以上でございます。
○大江座長 ありがとうございました。
 ただいまの御説明に質問、コメント、どなたかございますか。よろしいですか。
 それでは、本報告書案については御了解いただけるということでよろしいですか。
 御異論ないようですので、ありがとうございます。御了解いただけたものと認めます。
 続きまして、資料2-3-2について、循環器ワーキンググループの安河内参考人から説明をお願いします。これも2品目続けて説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○安河内参考人 よろしくお願いします。
 資料2-3-2のCopper Cu 64 dotatateとGA-68-DOTATOCの神経内分泌腫瘍の診断における陽電子放射線断層撮影の医療上の必要性に関する評価ということになります。
 資料の38ページと40ページを御覧ください。神経内分泌腫瘍の診断における陽電子放射線断層撮影に対する医療上の必要性の評価ということになります。それぞれ有効成分は異なりますが、要望内容は同様であることから、まとめて説明させていただきたいと思います。
 まず、適応疾病の重篤性についてですが、神経内分泌腫瘍、以下「NET」は、全身に分布する内分泌細胞に由来する腫瘍であり、消化器や肺などの全身の様々な部位に発生することが知られています。NETと診断された患者の死因を調査した結果、診断後1年以内に確認された死亡の73%がNETによるものだったことが報告されていることから、「ア 生命に重大な影響がある疾患」に該当すると判断しました。
 次に、医療上の有用性についてですが、現在、国内でNETの画像診断としては、インジウムペンテトレオチド、製品名オクトレオスキャン静注用セットを用いたSPECTが実施されています。要望書で引用された文献において、Copper Cu 64 dotatate及びGA-68-DOTATOCを用いたPETは、NETの診断において既存の画像診断であるインジウムを用いたSPECTよりも優れていることが報告されています。このことから、「イ 欧米等の臨床試験において有効性・安全性等が既存の療法と比べて明らかに優れている」に該当すると判断しました。
 循環器ワーキンググループからの報告は以上です。
○大江座長 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの御説明に関して、何か質問、コメントございますか。よろしいですか。
 それでは、本報告書案については御了解いただけるということでよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、御了解いただけたものと認めます。
○安河内参考人 ありがとうございました。
○大江座長 続きまして、資料2-3-3について、抗菌・抗炎症ワーキンググループの宮崎参考人から説明をお願いいたします。これも4品目まとめて説明をお願いいたします。
○宮崎参考人 それでは、抗菌・抗炎症のほうから説明いたします。先ほど佐藤先生から御説明がありました抗菌・抗炎症ワーキングに係る4要望の「医療上の必要性に係る基準」について検討しましたので、御報告いたします。
 まず、資料2-3-3、通し番号の42ページになりますけれども、要望番号R6-5、artesunateです。重症マラリアの治療の効能・効果に関する要望として提出されました。
 疾患の重篤性につきましては、重症化したマラリアでは、昏睡状態や代謝性アシドーシス、貧血、急性腎不全などの症状が確認されますので、未治療の場合には致命率が100%に近いとされています。そこで、「ア 生命に重大な影響がある疾患」に該当すると判断しております。
 有用性につきましては、artesunateは欧米主要国で重症マラリアに対する治療薬として承認されております。また、WHOのマラリア治療のガイドラインにおきましても、内服が困難な状況における重症マラリアの治療に推奨されていることから、医療上の有用性についても「ウ 欧米等において標準的療法に位置づけられており、国内外の医療環境の違い等を踏まえても国内における有用性が期待できると考えられる」に該当すると判断いたしております。
 続きまして、資料2-3-3、通し番号の43ページのlefamulin acetateについて説明いたします。細菌性の市中肺炎の効能・効果に関する要望として提出されております。
 適応疾病の重篤性ですが、市中肺炎は、国内では年間約7万4000人程度が病院で死亡していると推定されております。致命率は約6.3%となっていることから、重篤性につきましては、「ア 生命に重大な影響がある疾患」に該当すると判断いたしました。
 医療上の有用性についてですが、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスでは、市中肺炎に係る効能・効果で承認をされています。これはプレウロムチリン系の抗菌薬でして、moxifloxacinに対して非劣性が示されております。新規作用機序の薬剤であることや、既存薬で効果が乏しい場合や耐性菌に対する効果が期待されることから、有用性につきましても、「ウ 欧米等において標準的療法に位置づけられており、国内外の医療環境の違い等を踏まえても国内における有用性が期待できると考えられる」に該当すると判断しております。
 続きまして、資料2-3-3、通し番号の44を御覧ください。要望番号はR6-7、omadacycline tosylateです。細菌性肺炎と急性細菌性皮膚・皮膚組織感染症の効能・効果に関する要望として提出されております。
 疾患の重篤性について、肺炎についてはさきの報告のとおりでございますが、急性細菌性皮膚・皮膚組織感染症も重篤化しますと外科的な治療が必要となり、感染が急速に広がることで制御困難となって、致命的となる可能性もございます。以上のことから、「ア 生命に重大な影響がある疾患」に該当すると判断しております。
 医療上の有用性につきましても、本要望品目が海外臨床試験において、肺炎及び皮膚・皮膚組織感染のそれぞれの既存薬に対しまして、有効性に関して非劣性が示されております。また、既承認薬と作用機序が異なっていることから、既存治療が無効な患者さんに対する効果が期待されるということから、有用性につきましては、「イ 欧米等の臨床試験において有効性・安全性等が既存の療法と比べて明らかに優れている」に該当すると判断しております。
 続きまして、資料2-3-3の通し番号46ページを御覧ください。要望番号がR6-7になります。obiltoxaximabです。これは、吸入炭疽の治療と予防の効果・効能に関する要望として提出されております。
 疾病の重篤性につきましては、吸入炭疽は発症後、数日以内に死亡する致命率の高い感染症でありまして、治療介入をしても40%近い死亡率が報告されていることから、重篤性については、「ア 生命に重大な影響がある疾患」に該当すると判断いたしました。
 医療上の有用性につきましては、アメリカ、イギリス、カナダで吸入炭疽の治療に係る効能・効果で承認を受けております。そこで、「ウ 欧米等において標準的療法に位置づけられており、国内外の医療環境の違い等を踏まえても国内における有用性が期待できると考えられる」に該当すると判断いたしております。
 抗菌・抗炎症に関係しました4要望については以上となります。よろしくお願いします。
○大江座長 ありがとうございます。
 何か質問、コメントございますか。
 最後の炭疽菌はテロ対策ということですけれども、これは例えば国が一括で買い上げるとか、備蓄するとか、そういう対処をしないと多分売れることはないのではないかなと思うのですが、そのようなことも考えておられるわけですか。
○飯村室長 研究開発政策課でございます。
 御指摘のとおりでございまして、こちらに関しては、基本的には市場性がない品目でございますので、国による備蓄だとかそういったものの対策についても並行して検討していきたいと思っております。
○大江座長 ほかはよろしいですか。
 それでは、本報告書案について御了解いただけるということでよろしいでしょうか。
 特に御異論ないようですので、ありがとうございました。御了解いただけたものと認めます。
○宮崎参考人 ありがとうございました。
○大江座長 続きまして、資料2-3-4について、抗がんワーキンググループの米盛参考人から説明をお願いします。
○米盛参考人 抗がんワーキンググループから御説明します。avapritinib(AYVAKIT)になります。抗がんワーキンググループにおいて検討した品目について説明させていただきます。48ページ、資料2-3-4を御覧ください。
 血小板由来増殖因子受容体αエクソン18に特定の変異を有する切除不能または転移性の消化管間質腫瘍に対するavapritinibの投与に関する要望です。
 適応疾病の重篤性について、報告書に記載した情報を踏まえ、「ア」に該当すると判断しました。
 医療上の有用性について、avapritinibは要望されている効能・効果に対して、米国、英国及び欧州で承認されており、欧米等の診療ガイドライン及び教科書の記載内容、海外臨床試験成績などから要望された治療は、欧米などにおいて標準的治療に位置づけられていると考えられており、国内外の医療環境の違いなどを踏まえても、国内における有用性が期待できると考えております。以上により、医療上の有用性は「ウ」に該当すると判断しました。
 以上です。
○大江座長 ありがとうございました。
 ただいまの御説明に関して、何か質問、コメントございますか。
 それでは、本報告書案については御了解いただけるということでよろしいでしょうか。
 特に御異論ないようですので、御了解いただけたものと認めます。
 続きまして、資料2-4の公募品目の開発に向けた取組について、事務局から説明をお願いいたします。
○飯村室長 研究開発政策課でございます。
 資料2-4、公募品目の開発に向けた取組について紹介、説明をさせていただきます。
 本日御審議いただいた品目のうち、開発公募を行うという品目につきましては、単に公募を行っただけではなかなか国内の導入が進まない可能性があると考えておりまして、厚生労働省としても国内導入に向けた取組を行う予定でございます。この場を借りまして、その取組に関しまして簡単に説明をさせていただきたいと思います。
 開発公募の対象品目につきましては、海外のスタートアップがそのまま上市した品目であると考えられまして、そもそも日本の状況ですとか規制制度については把握していない可能性が高いと考えております。そのため、まずは日本に関する情報を認識いただくことが重要であると考え、JETROと連携して、ドラッグ・ロス解消に向けた取組や開発助成制度を英語で発信する予定です。その際、単に広く発信するのではなく、対象企業に個別に訪問してお話をしていくといったようなことも検討していきます。
 また、JETROの訪問に併せて、国立高度専門医療研究センターで実施予定のワンストップ相談窓口からの専門の医師の先生方、あるいはPMDAのワシントンオフィス等の薬事の専門家など、先方の疑問に答えられるような専門の人材にも同行いただくことを検討していきたいと思っております。
 個別の品目の開発に当たりましては、資料に記載したとおり、品目ごとに支援を考えていきたいと思っております。例えば公募品目に関しましては、新薬創出・適応外薬解消等促進加算の対象品目となり、薬価改定の際に薬価が維持されるということ。希少疾病用医薬品に対しましては、治験費用の助成や税制優遇が存在すること。小児・希少疾病用医薬品等薬事相談センター事業においては、PMDAが実施する相談手数料の補助の対象に、この未承認薬検討会議の品目を加えるということがございます。加えまして、一部の市場性が特に乏しい品目、感染症治療薬のマラリアの薬、こういったものに関しましては、公的研究班による使用体制の構築などのアプローチについても検討していく予定でございます。
 JETROからの情報発信に関しましては、2ページの右側に掲載したような英語の資料を用いた情報提供をしていく予定です。先ほど申し上げたとおり、ここには専門家にも同行いただくことで、細やかな対応ができればと考えております。
 続いて、3ページ目には、ワンストップ相談窓口事業の概要を掲載しております。詳細な説明は割愛させていただきますが、国立がん研究センターに中心となっていただいて設置いただく窓口から、各NC、ナショナルセンターやJIHS、国立健康危機管理研究機構と連携して、海外からの相談に応じていくということに対応していきたいと思っています。
 また、4ページ目でございますけれども、国内の開発に当たっての支援策を一覧でまとめております。1ページ目の記載とかぶる部分がございますけれども、まずは公募品目といたしましては、薬価改定の際に薬価が維持される新薬創出加算による支援。それから、PMDAの小児・希少疾病用医薬品等薬事相談センター事業では、相談料の補助がございます。
 また、希少疾病用医薬品に関しましては、助成金の交付やPMDAにおける優先審査、研究開発税制による優遇、再審査期間の延長、薬価算定時の加算による薬価の上乗せなどがございます。
 また、海外のスタートアップが自社で国内開発を行いたいという場合には、国内拠点を立ち上げる際にはスタートアップ向けの支援が幾つかこちらに記載したように存在しております。
 続いて、5ページ目には、先ほどから何度か言及しておりますPMDAの小児・希少疾病用医薬品等薬事相談センターの事業の概要を掲載しておりますが、ここの左下に記載しておりますとおり、対象品目の中にこの未承認薬検討会議での品目を加えまして、相談手数料の減免を図っていくということになっております。
 説明は以上でございます。
○大江座長 ありがとうございました。
 ただいまの説明に関して、何か御質問、コメントございますか。
○宮川構成員 日本医師会の宮川でございます。
 このような試み、つまり、公募に向けた開発や海外からの導入は、創薬の重要性という意味では以前から様々な会議で指摘されてきましたし、ここにある程度導入されているということでよろしいと思うのですけれども、JETROが関与するとあります。JETROはそれほど医薬品のことに関してのみ特筆した力を持っているわけではないということで、JETROと連携というところは、先ほどお話ししたようにPMDAの関与というもの、すなわち、相談窓口をしっかりと設置して支援体制をつくっていくのかということが非常に重要なので、そのところももう少し強調されるべきです。JETROというのは分かるのですけれども、それのみに本当に実効力があるのかということになると少し疑問であるということで、PMDA等を含めて、前面に出て、それに対する政府としての予算的な支援もなくては動けないはずなので、その辺りのところの仕組みがもう少しあるべきだろうと考えます。
 それから、51ページの2ポツ、希少疾病用の医薬品については治験費用の助成や税制優遇等を受けることが可能というところなのですが、それをもっと具体的にしっかりと書き込みすることが、今後なければならない。今、治験のところでは、やはりCRCなどに対する費用の高騰ということが物すごく多いわけですね。そのところが治験に対して、強く言い過ぎかもしれませんが、逆に非常に障害になっているところがあって、治験費用に対してどのようにこれから国として対策をしていくのか。ただただCRC、いろいろなものがあるという中で、力のあるところ、ないところもありますけれども、それが治験費用の高騰を招いている側面があるということは明らかになっているところもあるので、それに対するしっかりとしたつくり込みというか、取組というのが非常に重要なのではないかなと思っていますので、その辺りのところもお願い申し上げたいと思います。
 以上です。
○飯村室長 御指摘ありがとうございます。
 おっしゃるとおりでございまして、JETROに任せるだけではなくて、我々厚生労働省、それからPMDA、それから今後設置しますワンストップ窓口で一体となって、海外スタートアップに積極的に働きかけをしていきたいと思っております。
 また、治験の開発助成に関しましては、なかなか企業治験に対する助成というのは予算的な制約などがあって難しいところでございますけれども、希少疾病用医薬品とかに関しましては、やはり積極的な財政支援も含めたものに関しまして、今後とも検討したいと思っています。
○大江座長 それでは、康先生、お願いいたします。
○康構成員 埼玉小児の康です。
 コメントだけなのですけれども、基本的に非常にすばらしい取組だと思っていますので、ぜひ進めていただきたいと思いますが、1つ、日本も本当に国際化が進んできまして、もともとの日本人の人種には少ないような病気、例えば我々ですと鎌状赤血球症のような病気が、結構日本の現場では治療薬がなくて困っているようなこともあったりしますので、そういった薬に関しても、今後、開発に力を入れていっていただければなと思います。
 コメントだけです。
○大江座長 ありがとうございました。
 中村先生、お願いいたします。
○中村構成員 私は今、小児科学会の薬事委員長をしていまして、厚労省からの事業で小児医薬品開発ネットワークの活動をしていますけれども、その中にも、海外のベンチャーからもどんどん相談が欲しいとか、海外にももっと働きかけたいとおっしゃっている方が割とおられます。そこで、小児科学会の薬事委員会のほうで各領域の専門家とのネットワークを持っていますので、小児が関わるところで何か海外に対して働きかけが必要な場合には、専門家の選定というのはできるかと思いますので、ぜひそういったことも御活用いただければと思います。
 以上です。
○大江座長 ありがとうございます。
○佐藤審議官 先生方、いろいろと御意見いただきましてありがとうございます。先ほど宮川構成員からもPMDAの関与ということを御指摘いただいた部分、今、中村先生からもいただいた部分でありますけれども、特に海外からの品目を日本国内の開発に呼び込んでいくという観点でいうと、ワシントンにPMDAは事務所を今回構えさせていただきました。昨年11月からということでありますが、そこで日本の薬事制度、特にドラッグ・ロス/ラグ対策で様々な規制の見直しもこれまで行われてきておりますし、そういった部分を海外企業にもアウトリーチしていきまして、より日本は申請しやすい環境であるということを、そういった当該企業に対しても、要は広報といいますか、呼びかけていくような活動もやらせていただいておりますので、そういったものは今後、学会の先生方等との連携もうまくできてくると、より一層国内への開発の呼び込み等も進んでいくだろうと思っておりますので、また先生方の御指導、御支援もいただければと思っております。ありがとうございます。
○宮川構成員 厚生労働省の方、ありがとうございます。そういう意味では、事務局のいろいろな取組というものを、これからいろいろな方がはっきり知ることができるよう、もちろん国内だけではなく、海外の方も知ることができる、そのような仕組みを作り、先ほどお話しになったようにPMDAを含めて、それを発信していくということが非常に重要です。そういう意味では、海外への発信というものをより積極的にしていただくことが非常に重要かなと思いますので、積極的にこれからもお願いしたいと思います。ありがとうございます。
○大江座長 1ついいですか。海外のベンチャー企業が日本に来て独自に何か開発を行うというのは、結構今いろいろなことをやってもハードルがなおかつ高いような気がするのです。一番はやはり国内の企業とうまくマッチングさせて、それで共同で開発してもらうみたいなのが早いかなと思うのですけれども、どちらを想定されているのですか。
○飯村室長 おっしゃるとおり、主にはやはり後者だと思っております。うまく日本企業とのマッチングも支援していきたいと思っておりまして、海外スタートアップがそのまま日本に来るというよりは、外資系も含めて、日本の企業とのマッチングによって、日本に導出していただくということをお願いしにいくということだと思っております。
○宮川構成員 たびたびすみません。宮川ですけれども、そういう意味では、アメリカの状況を見ると、非常に空振りを許すというか、10分の1ぐらいの割合ですが、日本の場合には2~3回でやっと1回というような、この風土面もあろうかなと思うのです。そこにはやはり先ほど言ったように費用の問題があるわけです。海外では、空振りを9回やったところで、8回やったところで、それに対する資金的な支援が非常に潤沢にある。ところが、日本の場合にはそれがないので、空振りはどうしても避けたいということの中で、国内は先ほどお話にあったマッチングというものも進まない状況があるわけです。
 そこで、先ほど発言しましたように、治験も含めて、それに対する費用というものが非常に問題になってくる。そこにメスを入れていかないと先に進まないのではないかなと思うので、その辺りのところに対して、それは厚生労働省だけではないですけれども、国としてどれだけ支援をしていくのか。ただ創薬力の強化とか、日本の薬に対しての育て方が云々ということをいろいろな方が言われるわけですけれども、それに対する予算のつけ方があまりにも桁違いに少ないというところが非常に大きな問題であろうかなと思うので、その辺りのところの指摘もこれからしていかなければいけないのだろうなと思っています。
 以上です。
○飯村室長 ありがとうございます。
 特にスタートアップの開発支援というのは、経産省も含めて一緒になって、政府としてしっかり支援していかなければいけないというのはそのとおりだと思いますので、今後も対策を考えていきたいと思います。ありがとうございました。
○大江座長 安河内先生、お願いいたします。
○安河内参考人 循環器グループの安河内です。
 ちょっと的外れかもしれませんけれども、薬剤なので、医療機器なんかとはまた違うと思いますけれども、海外の申請のために必要なデータだったり基本的なフォーマットと、日本の厚労省とかPMDAが要求する基本的な情報のフォーマットが一部食い違っている点もあるように思うのですけれども、それによって申請の際に結構時間を食ったりとか、そのために企業がなかなか手を挙げてくれないみたいなことがあったりするので、グローバル化を踏まえて、共通フォーマットのデータ整理とかも今後行っていくということなのでしょうか。
○三宅調整官 御意見ありがとうございます。
 何ができるか、どこまでできるかといったところは、この場で御回答は難しいですけれども、ご指摘の点が企業にとって参入の障壁になり得るといったことは重く受け止めたいと思います。
○佐藤審議官 どうもありがとうございます。
 申請を含めていろいろな行政的な部分のフォーマットという部分でも、海外とできるだけ差がないようにということで、ICHの共通化されたCTDというフォーマットがあるのですが、やはり行政手続に係る部分というのが、これまでどうしても日本語での対応を求めてきたところがあります。昨年9月に事務連絡を出させていただいているのですが、そういうスタートアップですとかベンチャーさん、特に日本に代理店がないような企業さんがこれから参入してくる場合について、全ての資料について英語でも申請を可能にするというような取組も我々は始めたところでございます。そういう意味では、そういったフォーマットですとか、翻訳とか、そういう部分でのハードルも今後もっと利用しやすい形で下がっていくのだろうとは考えております。
○大江座長 中村先生、お願いします。
○中村構成員 中村です。
 今回の公募品目に対しては、厚労省がおっしゃったように、国内の企業とつなぐことがメインになってくると思うのですけれども、最近、小児医薬品開発ネットワークの活動の中でCROの方とかといろいろ意見交換をすると、結構CROには海外ベンチャーから日本国内の開発の可能性について相談は来ていると。ただ、その先、誰に相談していいかというところが分からないという声も聞こえてきますので、今回の海外への情報発信のときに、そういう海外ベンチャーに対して、国内のCROとうまくフックアップして、きちんと相談できるような流れをつくるところも検討いただけると、なかなかドラッグ・ロスはなくならないというお話が先ほどありましたけれども、そこを少しでもなくすためには、そういったことも一緒にやっていただけるとよろしいかと思いますので、よろしくお願いいたします。
○飯村室長 研究開発政策課でございます。
 御指摘ありがとうございます。今、先ほど紹介しましたワンストップ窓口の事業におきましては、国内外のCROとも連携してスタートアップに売り込みにいきたいと考えております。先生御指摘のとおりだと思いますので、しっかりと対応していきたいと思います。
○中村構成員 よろしくお願いします。
○大江座長 ほかはよろしいですか。
 大変活発な御議論をいただきまして、ありがとうございます。議題1については以上となります。
 続きまして、資料3のワーキンググループの検討状況の概要等について、前回会議以降の進捗状況について、事務局から説明をお願いいたします。
○三宅調整官 それでは、資料3-1、右下56ページを御覧ください。学会や患者団体等から提出された要望のうち、医療上の必要性に係る検討状況をおまとめしたものです。
 上から順に説明いたしますが、学会・患者団体等からの要望総数につきまして、第IV回要望としまして、新規要望を6件受理しました。
 専門ワーキンググループでの検討状況につきまして、新規要望を受け付けたのが6件、取下げになったものが2件ございます。さらに、専門ワーキンググループで検討を終了したものが5件となっておりまして、第IV回の要望で必要性が高いとされたものでございます。右側に記載のとおり、それぞれ小児ワーキンググループ、抗菌・抗炎症ワーキンググループ、抗がんワーキンググループの案件で、本日の会議でこの後御審議をお願いいたします。
 その下、本会議での検討状況について、前回の会議で2件評価いただきました。
 個々の品目の状況につきまして、57ページ以降、おまとめしておりまして、進捗状況に変更があった部分について、黄色のマーカーでお示ししております。
 続きまして、70ページ、資料3-2を御覧ください。医療上の必要性が高いと判断されたもののうち、企業に開発要請を行った要望に関する検討状況です。前回の会議で2件、必要性が高いと御判断いただきましたので、企業に開発要請を行っております。
 同様に、71ページ以降に個々の品目の状況につきまして一覧としてお示ししております。
 以上でございます。資料3の説明は以上です。
○大江座長 ありがとうございました。
 ただいまの御説明に質問、コメントは何かございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、議題4の「医療上の必要性に係る基準」への該当性に関する専門ワーキンググループの評価に移りたいと思います。
 小児ワーキンググループの森川参考人より、資料4-1について御説明をお願いいたします。
○森川参考人 よろしくお願いいたします。小児ワーキングの森川でございます。
 資料4-1、全体の104分の77、78を御確認いただきながらと思います。
 日本小児外科学会から要望された魚油由来静脈注射用脂肪乳剤、以下「本剤」の医療上の必要性に関する評価を御説明いたします。
 まず、適応疾病の重篤性についてです。静脈栄養関連胆汁うっ滞、PNACは、腸管不全関連肝障害、IFALDのうち静脈栄養を要因として、胆汁うっ滞を伴うものをいい、小児では、短腸症候群等の腸管不全の患児に対し、長期の静脈栄養を実施する際に認められることが多く、肝不全に進行することもあり致死的であるということから、「ア 生命に重大な影響がある疾患(致死的な疾患)」に該当すると判断いたしております。
 次に、医療上の有用性についてです。本剤は、n-3系の多価不飽和脂肪酸を主体とする脂肪乳剤であり、米国においてPNACの小児における栄養補給に係る効能・効果で承認されております。一方で、本邦ではIFALDを有する静脈栄養が必要な小児に対し、急性・慢性消化器疾患等における栄養補給に係る適応で承認されている大豆由来脂肪乳剤が投与されています。しかしながら、大豆由来脂肪乳剤には小児の成長発達に欠かせないn-3系の多価不飽和脂肪酸の含有量が極めて少ないことに加えて、肝障害の原因となりますフィトステロール及び体内で炎症性メディエーターに変換されるn-6系の多価不飽和脂肪酸等が多く含有されているということで、PNACを来す可能性があることから、IFALDを有する静脈栄養が必要な小児に対して適切な栄養管理と成長発達を促すための静注用脂肪乳剤が必要とされております。以上より、「ア 既存の療法が国内にない」に該当すると判断いたしております。
 小児ワーキングからの報告は以上になります。よろしくお願いいたします。
○大江座長 ありがとうございました。
 ただいまの御説明に何か質問、コメントございますか。よろしいですか。
 それでは、本報告書案については御了解いただけるということでよろしいでしょうか。
 御異論ないようですので、御了解いただけたものと認めます。どうもありがとうございました。
○森川参考人 ありがとうございます。
○大江座長 続きまして、抗菌・抗炎症ワーキンググループの宮崎参考人より、資料4-2について御説明をいただきます。これは3品目まとめてでお願いいたします。
○宮崎参考人 それでは、抗菌・抗炎症の宮崎から報告させていただきます。
 まず、通し番号の81ページから83ページを御覧いただけますでしょうか。いずれも日本結核・非結核性抗酸菌症学会より、要望番号IV-202のプレトマニドと要望番号IV-203のモキシフロキサシン塩酸塩が多剤耐性肺結核の効能・効果に関する要望として提出されております。
 適用疾患の重篤性ですが、我が国では、2021年に50例の多剤耐性肺結核患者が新規登録されておりますが、このうち16%、50例のうち8名が2年後の2023年末までに死亡の転帰をたどっておりまして、致命的な疾患であることが分かります。このことから、「ア 生命に重大な影響がある疾患」に該当すると判断いたしております。
 医療上の有用性につきましては、WHOの耐性結核ガイドラインにおきまして、プレトマニド、ベダキリン及びリネゾリドまたはこれら3剤にモキシフロキサシンも併用する6か月間の治療が多剤耐性肺結核に対する標準的治療法として広く推奨されている状況です。このことから、「ウ 欧米において標準的療法に位置付けられており、国内外の医療環境の違い等を踏まえても国内における有用性が期待できると考えられる」に該当すると判断しております。
 続きまして、通し番号85ページを御覧ください。こちらは厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患政策研究事業)のベーチェット病に関する調査研究班と日本ベーチェット病学会より要望されているもので、要望番号IV-189、コルヒチンのベーチェット病の効能・効果の追加に関する要望となります。
 適応疾病に関する重篤性ですが、ベーチェット病は、急性の炎症発作を繰り返すことにより全身の諸臓器が障害されることのある炎症性疾患であります。指定難病に指定されているところです。ぶどう膜炎により、失明を含む不可逆的な視覚障害に至ることがあるほか、口腔内アフタ性潰瘍により、生活の質が低下することが報告されていることから、「イ 病気の進行が不可逆的で、日常生活に著しい影響を及ぼす疾患」に該当すると判断いたしました。
 医療上の有用性についてですが、欧州リウマチ学会の推奨において、ベーチェット病に対する初期治療としてコルヒチンを使用すべきとされております。また、フランスでは、同適応で承認を受けております。国内ガイドラインにおきましても、皮膚粘膜症状に対する使用やぶどう膜炎、あるいは関節症状等に対する寛解後の発作の発生抑制を目的とした使用が推奨されていることなどから、「ウ 欧米において標準的療法に位置付けられており、国内外の医療環境の違い等を踏まえても国内における有用性が期待できると考えられる」に該当すると判断しております。
 以上となります。よろしくお願いいたします。
○大江座長 ありがとうございました。
 ただいまの御説明に関して、何か質問、コメントございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、本報告書案については御了解いただけるということでよろしいですか。
 御異論ないようですので、御了解いただけたものと認めます。ありがとうございました。
○宮崎参考人 ありがとうございました。
○大江座長 続きまして、抗がんワーキンググループの米盛参考人より、資料4-3について御説明をお願いいたします。
○米盛参考人 よろしくお願いします。
 抗がんワーキンググループにおいて検討した品目について説明させていただきます。87ページ、資料4-3を御覧ください。
 再発・難治性神経芽腫に対するテモゾロミド併用下でのイリノテカン塩酸塩水和物、以下「イリノテカン」の投与に関する要望です。
 なお、併用するテモゾロミドについては、第60回「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、医療上の有用性は「ウ」に該当すると判断したことを報告済みです。
 適応疾病の重篤性について、致死的な疾患であることから、「ア」に該当すると判断しました。
 医療上の有用性について、イリノテカンは要望されている効能・効果に対して、欧米など6か国では承認されていないものの、欧米などの診療ガイドライン及び教科書の記載内容並びに国内外の臨床試験成績などから、テモゾロミドとイリノテカンとの併用投与は、再発・難治性神経芽腫患者に対して欧米などにおいて標準的治療と位置づけられており、国内外の医療環境の違いなどを踏まえても、国内における有用性が期待できると考えられます。以上により、医療上の有用性は「ウ」に該当すると判断いたしました。
 以上です。
○大江座長 ありがとうございました。
 何か質問、コメントございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、本報告書案については御了解いただけるということでよろしいですか。
 御異論ないようですので、御了解いただけたものと認めます。どうもありがとうございました。
 以上で議題を全て終了いたしました。
 そのほか、事務局から何かございますでしょうか。
○三宅調整官 本日も御議論いただき、ありがとうございました。
 次回の検討会議の日程、開催形式につきましては、決定次第御連絡いたします。
 御多用のところ恐縮でございますが、どうぞよろしくお願いいたします。
○大江座長 それでは、大変活発な御議論をいただいてありがとうございます。これで第63回「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」を終了いたします。ありがとうございました。

照会先

厚生労働省

医政局 研究開発政策課
医薬局 医薬品審査管理課
03-5253-1111(内線4229)