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2018年2月9日 第2回麻しん・風しんに関する小委員会

健康局 結核感染症課

○日時

平成30年2月9日(金)10:00~12:00


○場所

厚生労働省 省議室(9階)


○議題

(1) 麻しん・風しんの発生状況等について
(2) 麻しんに関する特定感染症予防指針の見直しについて
(3) 風しんに関する特定感染症予防指針の見直しについて
(4) その他

○議事

○野田結核感染症課長補佐 それでは、定刻より少し早いですけれども、委員の皆様、全員お集まりになりましたので、ただいまより、第2回「麻しん・風しんに関する小委員会」を開催いたします。

 開会に当たりまして、結核感染症課長の三宅より御挨拶申し上げます。

○三宅結核感染症課長 結核感染症課の三宅でございます。

 本日は、御多用中にもかかわらず、御出席いただきまして、ありがとうございます。また、日ごろより感染症対策、厚生労働行政に御指導を賜っているところでございます。厚く御礼申し上げます。

 本日は、第2回の「麻しん・風しんに関する小委員会」でございます。主に平成30年度に予定されている麻しん・風しん、それぞれの特定感染症予防指針の見直しに御意見をいただきたいと考えております。

 この予防指針、5年に一度の改訂が大きな改訂と位置づけております。平成30年度に改訂いたしますと、次に大きく改訂するのは平成35年。我々、はしかつきましては、既に排除させていただいているところでございますが、風しんにつきましても、2020年までの排除を考えているところでございます。それを目指し、しっかり加速してやっていくということ。そして、その5年というスパンを考えますと、その排除の後にどう持ち込まれないようにするかという対策も考えながら検討を進めるべきではないかと考えております。

 2月4日は、風しんの日ということで、ここにいらっしゃる方々も多く参加していただきましたが、日本産婦人科医会と関係団体による“風しんゼロ”プロジェクトと厚生労働省との共催で、成田空港で海外渡航者向けの風しん啓発イベントを行ったところでございます。

 少し気が早いところもございますが、今、風しんが少なくなっている中で、持ち込みが日本において感染が広がるきっかけとなることは明白なわけでございます。そうしますと、出入国の要である空港なり、そういうところでいかに啓発し、持ち込まれないような体制をつくり上げていくか、今後の大きな検討を要する事項だと考えておりますし、そのこともあって、今回、2月4日、初めて成田空港で開催させていただいたわけでございます。

 せっかくですので、机上に配付させていただきましたが、その際に配付したノベルティグッズとして、これでございます。感染研さんの方で風しんのいろいろなことを描いていただいた漫画と、その後ろに隠れておりますが、マスク。そして、海外に行った際に使えるような、パスポートカバーに貼って、予防接種歴等を海外の医療者の方に見ていただけるような特製のシールも厚生労働省の方で作ってみました。そのようなものなどを配付させていただき、また無料の抗体検査等をさせていただいたところでございます。このようなことを我々の方もやらせていただいておりますが、皆様からのいろいろな御意見をいただきながら、ヒントをいただきながらやっている現状でございます。

 本日は、そのようないろいろな意見を伺う大きなチャンスだと思っております。忌憚のない御意見をいただきますようお願いいたしまして、挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○野田結核感染症課長補佐 本日の委員の出席状況を御報告いたします。本日は、山中委員より御欠席の御連絡をいただいております。また、畑参考人、西村参考人に御出席いただいております。

 続きまして、配付資料の確認をいたします。議事次第のほか、資料1から資料4、参考資料1から参考資料8を御用意しております。不足している資料等ございましたら、事務局までお申しつけください。

 それでは、申しわけございませんが、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。

(カメラ退室)

○野田結核感染症課長補佐 以降の議事運営につきましては、大石委員長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○大石委員長 了解しました。

 それでは、本日の議題を確認いたします。お手元の議事次第を見ていただければと思います。議題は「麻しん・風しんの発生状況等について」、2番目「麻しんに関する特定感染症予防指針の見直しについて」、「3.風しんに関する特定感染症予防指針の見直しについて」、「4.その他」でございます。本日の議事内容は、こういう特定感染症予防指針、麻しん・風しんの予防指針に対する意見出しということでありますので、どうかよろしくお願いいたします。

 それでは、「麻しん・風しんの発生状況等について」に入りたいと思います。

 まず、国立感染症研究所感染症疫学センターの多屋委員から、麻しん・風しんの発生状況について御説明をお願いいたします。

○多屋委員 国立感染症研究所の多屋と申します。

 それでは、お手元の資料1、そして参考資料の4番、5番をごらんいただきながら御説明させていただきたいと思います。

 まず、2ページ目、麻しん患者の週別報告数ですが、2008年から麻しんは全数届出疾患になりまして、2008年は1万人を超える大きな流行でした。その後、2011年、ヨーロッパでの流行に伴う輸入例からの集団発生、2014年はフィリピンでの流行に伴う輸入例からの集団発生等が認められましたが、2015年3月27日に日本はWHO西太平洋地域事務局から麻しん排除状態であるということが認定されました。

 その後の状況ですけれども、3ページに行きます。2016年、2017年と、このように小さい山ではありますけれども、集団発生が認められました。2011年、2014年との違いを申し上げますと、16年も17年も、患者さんの急増については比較的急峻なのですけれども、集団発生が起こっている期間がそれ以前に比べまして短くなっている。いわゆる迅速な対策が行われるようになり、接種率も高くなって感受性者が少なくなっている。そういう成果の部分が見えるかと思います。

2016年につきましては、参考資料4の1ページにありますが、関西国際空港関連や松戸市、尼崎市等での集団発生事例が含まれており、2017年の集団発生には、三重県や山形県での集団発生が含まれていました。

 次に、資料1の4ページに行きたいと思います。年齢別の麻しん抗体保有状況、2016年度が示されております。感染症流行予測調査事業で行われています。2歳以上で、全ての年齢層で95%以上のPA抗体保有率が得られています。ただし、1990年4月2日以降に生まれた方、このグラフでいくと、2529歳に入るのですけれども、ここから五、六歳のところまでは、2回接種の制度があった方々です。しかし、赤のべた塗りになっている、2回目は受けていない、1回だけで抗体陽性になっている人もいらっしゃるということを忘れてはいけないと思います。1回2回、それぞれ95%以上の達成が重要と考えています。

 次に、風しんですけれども、その前に少し参考資料4の麻しんのリスクアセスメントのほうに戻っていただきまして、2ページ目ですけれども、現在、国外で感染している方が4分の1ぐらいいらっしゃいます。そこから国内に広がっていることが1つ。そして、検査診断例が非常に多くなって、今、96%が検査診断例。ほとんどが地方衛生研究所でのPCR検査になっていると思います。

 3ページ目にあります2015年以降の麻しんアウトブレイクの特徴としては、流行の主体が予防接種歴のない、または接種歴不明の成人であること。感染拡大の場は、医療機関、国際空港、職場、技能学校、保育所、家庭内等であること。それから、広域事例というのがポイントかと思いますが、患者さんが広域を移動した事例など、こういう対応が必要であると述べています。

 4ページ目には、WHOが毎月更新している患者さんの数、多い国が濃い赤になっている世界地図がありますが、濃い赤の国への渡航前には、予防をしてから行くということが大事かと思います。

 5ページ目に行きまして、遺伝子型も地方衛生研究所の先生方が調べてくださっていますが、2016年はH1D82017年はD8が多く、表にありますように、東南アジアの国々に渡航歴がある方が目立つようになっております。

 それから、麻しんに関するリスクアセスメントの7ページ目、最後ですけれども、集団発生の主体が20代から30代であること。予防接種歴は、未実施か、あるいは接種歴不明であること。こういったところが現状であり、今後の対策の課題かと思います。渡航としては、インドネシアを含めた東南アジアの割合が高いこと。麻しん含有ワクチンの必要回数を受けているかの確認が重要であることなどが述べられております。

 それから、資料1の風しんのほうに戻っていただきたいと思います。5ページ目です。2008年から、風しんは麻しんとともに全数届出疾患になりました。2008年、2009年、2010年は風しんの患者数は少なかったのですが、2011年に小規模な発生があり、2012年から流行が始まりました。2012年、2013年、合わせて1万7,000人ぐらいの患者さんが報告されています。90%が20歳以上で、男性が女性の3倍多く報告されました。期間は、約半年間置いて、先天性風しん症候群:CRSの赤ちゃんが45人診断されていらっしゃいます。

 その後、下のほうのグラフになりますけれども、2014年の秋の患者さんが最後で、その後、先天性風しん症候群の赤ちゃんの報告はございません。2017年、昨年は全国で93人の風しんの患者さんが報告されました。

 次、6ページ目に行っていただきまして、こちらはちょっとミスがございまして、予防接種制度のところです。今、既にホームページは変わっているのですが、下の7ページ目の図をごらんいただきたいと思います。今の風しんの流行を説明するためには、どうしても風しんワクチンの定期接種の制度を説明しなければ、なかなか理解が苦しいと思います。

 まず、ことし2月1日時点の年齢で書いてありますので、これをごらんいただきたいと思います。1979年4月2日以降に生まれた方は、男女とも定期接種の機会を持っていますが、1979年4月1日以前に生まれた男性は、一回も風しんワクチンを定期接種として受ける機会がありませんでした。

 一方、年齢で言ったほうがわかりやすいかと思いますが、年齢でお話しさせていただきますと、3810カ月から5510カ月の女性は、学校で集団接種を受けていましたので、比較的接種率が高いのですが、このときはクラスの半分の女性がワクチンを受けてくれているから、男性は風しんに罹患する機会も少なく、かつワクチンを受ける機会もなかったので、抗体陰性者が蓄積しているのは、まさにこの年齢になります。

 次に、3810カ月から30歳4カ月のところは、中学生のときに医療機関で個別接種1回と書いてございますが、このときは保護者と一緒に医療機関を受診して受けなければいけない個別接種でしたので、中学生の接種率は激減してしまい、このときの対象者も受けている人は少ないです。

 また、2710カ月から30歳4カ月の方については、生後12カ月から90カ月未満の間に1回受ける機会がありましたが、それほど接種率は高かったとは言えないと思います。

1990年4月2日以降、2710カ月よりも若い方は、2回の定期接種の機会があったのですけれども、高校3年生で2回目の接種を受ける方の接種率が80%でした。

 8ページをごらんください。これが実施率の推移です。実施率というのは、接種率と計算式がちょっと違いまして、その年に新たに対象者になった人を分母として、定期接種で受けた人全員が分子になってきますので、100を超える値が出てきてもおかしくない計算方式です。

 まず、ピンクのほうが中学生の接種、青のグラフが12カ月から90カ月未満の男女の実施率ですけれども、学校で集団接種しているときは、比較的高いというか、7080%ぐらいの実施率だったのですが、病院に行って個別接種になった途端に中学生は激減してしまいました。あまりにも低いということで、200111月9日から2003年9月30日までは、いつ受けてもいいよという制度をつくってくださったのですが、上がったころにこの制度が終わってしまって、この年齢の方の接種率は低いままとなっています。

 9ページに行きまして、2006年度から2回接種が始まりました。1期、1歳の接種率は非常に高く、ここ7年近く95%以上が保たれています。2期は小学校入学前1年間、ここは95%目標にあともう少しというところで、9293%の接種率が続いている現状です。第3期というのは中学1年生のときに2回目を受けた方、第4期というのは高校3年生相当年齢のときに2回目を受けた方で、この接種率が80%ぐらいでした。

 次に、10ページに移りたいと思います。ここが感染症流行予測調査事業で見る、この10年間の変化です。2006年度は、2回接種が始まった年、2016年度は、今、公表されている最も直近なのですけれども、この10年間で何が大きく変わったか。2歳から19歳の感受性者が減少したことです。2006年度は、ごらんいただきますように、2歳から19歳の男性にも女性にも10%から20%の抗体陰性者がいらっしゃいました。しかし、第2期、第3期、第4期の2回目のチャンスをいただけたことで、2歳から19歳の感受性者は減少しています。

 一方、先ほどから申し上げています、2006年当時は20代後半から50代前半でしたが、2016年度、30代後半から50代にそのまま成人の感受性者は蓄積したままで、何も動いていません。

11ページ、これは生年別にグラフ化したものです。まず、青のグラフは1962年から78年度に生まれた男性、今年度、39歳から55歳の男性ですが、抗体陽性率は全く変わらず、20%は抗体陰性のままで何も動いていません。緑は、1979年から89年度生まれの男性、今、29歳から38歳の男性ですが、90%の抗体保有率で、10%は抗体陰性のまま動いていません。赤とオレンジは女性です。1962年から89年度生まれの女性、29歳から55歳の女性は、5%は抗体陰性のまま、ずっと変わりません。

2012年から2013年には風しんの大きな流行がありましたが、抗体保有率が動くほどではありませんでした。成人男性の抗体陰性者の割合は、全く変わっていません。このままでは、2012年から13年と同じような風しん流行の発生が起こってしまうということが心配されます。

 最後のグラフです。これは、昨年1年間に風しんと診断され、届けられた患者さんの数です。暫定値ですが、93人。そして、海外で感染されたことが推定されている方については、どこの国かということを吹き出しで書いておりますが、フィリピンが最も多く、5人。そして、インドネシアが4人。ほか、インド、タイ、ドイツあるいはイタリア、スイスとなっております。昨年は、フィリピンで風しんが流行しているという情報も入っており、海外で流行すると、渡航して感染して、帰ってきて発症するということが今後も続くと思いますので、こういった方々への対策が重要かと思います。

 最後に、風しんに関するリスクアセスメントの更新をこのほど行いました。風しんについては、海外でのサーベイランスがまだ十分されているとは言えませんが、報告されている数から見ると、5ページ、6ページにあるような国々では、風しんの患者さんの数は多いと報告されていますので、渡航前の予防が重要です。対策としては、渡航前の対策が重要かと考えております。

 また、医療機関では、麻しんや風しんの患者さんと接触する機会が多いので、事務職を含めた、あらゆる医療関係者に対して、1歳以上で2回以上のワクチン接種歴の確認と、必要回数である2回の接種を受けていない場合の接種推奨が重要と考えております。

 以上、簡単ではございますが、麻しん・風しんの発生状況について御説明させていただきました。

○大石委員長 多屋先生、参考資料6はいいですか。

○多屋委員 失礼いたしました。

 参考資料6について簡単に御説明させていただきたいと思います。参考資料6は、埼玉県内の外国人の職業技能集合講習を発端とした風しんの広域感染事例のまとめになります。

 3ページ目にあるグラフをごらんください。まず、ベトナム、タイから来られた実習生は、日本に来られた後、しばらくの間、研修所で集合講習が行われました。この期間に風しんを発症された方が、黒ですね。3人いらっしゃいました。そして、ここで集合講習を受けた方が全国に散らばって、その後、お仕事をされるわけですけれども、全国の受け入れ企業、ここでは、岩手県、沖縄県が記載されていますが、そちらで風しんを発症されて、合計これだけの人数、13人の方が風しんを発症されたという事例がありました。

 これからもこのようなことは多く行われると思いますので、外国人の方の職業技能集合講習のときの風しんの予防、あるいは受け入れ企業さんにおける風しんの対策などが今後はますます重要になってくるだろうと考えております。

 以上です。

○大石委員長 多屋先生、どうもありがとうございました。

 ただいまの多屋委員の資料の御説明について御質問とかがありましたら、お受けいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 どうぞ、調委員。

○調委員 山口県の調と申します。

 この資料1の一番最後の図ですけれども、昨年、風しんの患者の届出数が暫定で93ということで、隠れていますけれども、そのうち78名が国内で感染された。これの海外渡航歴の方とのリンクというのは、大体とれているのでしょうか。

○多屋委員 御質問ありがとうございます。

 とれている方もいらっしゃるのですけれども、昨年はまだ特定感染症予防指針の改訂の施行が行われていませんでしたので、1人患者さんが発生したら、すぐに積極的疫学調査を行う体制になっていなかったものですから、麻しんのように詳細な調査というのは行われていないことも多いかと思います。渡航歴がなかった場合に、緑の国内感染例と推定されていますけれども、どなたからどなたにうつったかというのがわからない方もいらっしゃるのではないかなと思います。

○調委員 ありがとうございました。

○大石委員長 検査診断のうち遺伝子検査診断がまだ十分できておらず、20%ぐらいと、かなり低いレベルでとどまる状況ですね。

○多屋委員 ありがとうございます。

IgM抗体で診断されている方が多くて、PCR検査は非常に少ないです。風しんの場合、発しんが出て、ほとんどすぐに受診されると思うのですけれども、発しんが出て3日目ぐらいまではIgM抗体はまだ陰性のことも多いので、ことし1月1日から施行された特定感染症予防指針に基づいて、地方衛生研究所の先生方のところでPCR検査を行っていただいて、早期の診断につながることが期待されているのではないかなと考えております。

○大石委員長 ありがとうございました。

 ほか、ございませんでしょうか。

 ないようでしたら、次、資料2の「麻しん・風しん対策の現状について」、事務局のほうから御説明いただければと思います。

○高倉結核感染症課長補佐 それでは、資料2をごらんください。参考資料7、8が現在の麻しん・風しん、それぞれの予防指針でございますけれども、この2つを適宜参照しながら、資料2の説明をいたします。

 ページ、めくっていただきまして、麻しんについての概要を示しております。概要及び中段に常時実施している対策、そして麻しんの今の発生状況についてまとめてあります。御存じのとおり、麻しんは空気感染し、感染力が非常に強いことが大きな特徴でありますし、1,000例に1例程度ですけれども、かなり重篤な病状、肺炎や中耳炎、脳炎等を起こすということでございます。

 常時実施している対策は、定期の予防接種、サーベイランスと患者発生時の迅速な対応、普及啓発ということになっておりまして、患者数は一番下の表に示しておりますけれども、先ほども御報告ございましたように、平成27年にWHOより排除状態にあると認定されまして、その後、1年ごとの排除の維持の確認も受けているという状況にあります。

 3ページ目の風しんについてですけれども、先天性風しん症候群が生じるということが風しんの大きな特徴です。そして、3番目に風しん対策の概要、現在の報告数の推移を示しております。

 一番上の風しんの概要につきましてですが、風しんは麻しんと違って空気感染はしないのですけれども、飛沫感染、接触感染等で同様に感染力が強い。潜伏期間等が長いということも一つの特徴でありますし、最大の特徴としては、合併症の起こる率そのものは比較的低いのですけれども、20週ごろまでの妊婦が感染すると、児に先天性風しん症候群(CRS)が出現するということでございます。

 先天性風しん症候群につきましては、2番目の段にまとめてありますけれども、先天性の心疾患、難聴、白内障といったものが3主徴になっております。その他、さまざまな合併症とか先天性の異常が引き起こされるという病態でございます。

 風しん対策の概要は、後ほどまた説明いたしますが、平成26年の風しんの予防指針に示しておりまして、CRSの発生をなくすとともに、2020年度、平成32年度までに風しんの排除を達成するということを目的といたしまして、定期の予防接種あるいは抗体検査・予防接種の推奨や自治体に対する支援、麻しん・風しん対策推進会議の開催などを行っております。

 報告数は、風しんにつきましては、平成24年、25年の大流行の後は比較的低い値にとどまっておりまして、CRSも平成26年を最後に報告はないという状況になっております。

 ページをめくっていただきますと、麻しんに対する特定感染症予防指針の概要を示しております。目標、届出・検査・相談体制の充実、定期接種の接種率の目標の達成と維持、予防接種法に基づかない予防接種の推奨、その他必要な措置ということになってございます。

 5ページ目には、風しんに関する特定感染症予防指針の概要、これは平成26年に公布されたものの概要でございまして、麻しんと同じように、目標と定期予防接種率。成人に対する予防接種法に基づかない予防接種の推奨や抗体検査。そして、風しんの特徴であります先天性風しん症候群への医療の提供等が予防指針に掲げられてございます。

 目標を達成するための必要なこととして、麻しんとどこが違うかと申しますと、届出・検査・相談体制、特に届出や検査体制等につきまして、麻しんに比べると記載がまだ不十分なところがございました。

 そこで、もう一枚めくっていただきまして6ページ目、昨年末に風しんの排除に向けた省令と予防指針の改正を行いました。今回、参考資料8につけてあります風しんの予防指針は、この最新の改正を反映させたものでございます。これまでは、風しんの発生時の迅速な届出、そして迅速な対応としての疫学調査やウイルス遺伝子検査の実施率が低くて、そのために、日本において土着性の風しんウイルスの感染伝播があるのかないのかという、先ほど調委員から御質問があったような実態が十分に把握できないという状況がございましたので、今回、省令の改正により、風しんと診断した場合は直ちに届出をするということとし、

 

予防指針の改正により、1例でも発生した場合、積極的疫学調査を行うこと、そして、全例に遺伝子配列の解析を含むウイルス遺伝子検査を行うことといたしました。これによって、土着性の感染伝播の有無を確認できるようになり、より排除の認定に近づけるのではないかと考えております。

 今回の省令の改正に伴いまして、風しんの届出様式も同時に改定しております。その際に、届出様式の一番最後の項目でございますが、その他感染症のまん延の防止及び当該者の医療のために必要と認める事項というところの中に、妊娠の有無というものも記載することにして、風しん発生時のCRSの危険性に対する認識を高めていただくという配慮をいたしているところでございます。

 7ページ目からは、現在の特定感染症予防指針についての概要を御説明したいと思います。この特定感染症予防指針は、前文から始まり、第1 目標、第2 原因の究明、第3が発生の予防及びまん延の防止、第4が医療の提供、第5 研究開発の推進、第6 国際的な連携、第7 評価及び推進体制と普及啓発の充実という構成になっております。

 めくっていただきますと、現在の麻しんと風しんの特定感染症予防指針、それぞれ共通する部分と異なる部分とがありますので、それがわかりやすいようにサマリーしてまとめてあるのが、ここから何ページかにわたる表でございます。赤字で示しているものが麻しんと風しんとで記載が異なる箇所でございます。下線を引いているものが、ことしの1月1日の風しんの予防指針の改正箇所でございます。

 第1 目標の部分は、風しんは、早期にCRSの発生をなくし、2020年度までに排除を達成するということが目標になってございます。

 届出に関しましては、風しんについては、先天性風しん症候群がございますし、届出に伴ってCRSの対応の手引き等を国が作成することになってございます。

 迅速な対応につきましては、今回の改正により麻しんと風しんとが同じような形になってございます。風しんに関しましては、CRS発生時の対応についての記載がここに追加されております。

 続きまして、9ページ目に予防指針の第3 発生の予防及びまん延防止についてのことがございますけれども、第1番目の項目は、近年の状況といいますか、レビューから始まりまして、基本的な考え方等の部分で、麻しんに関しては、定期の予防接種の重要性と2回接種を完了となっておりますけれども、風しんに関しては、そこの書きぶりが少し違いまして、免疫獲得の重要性や抗体検査の実施や予防接種の実施。そして、妊娠女性に対する記載などがここに書かれてあります。

 定期予防接種の部分に関しましては、麻しん・風しんともに記載は特に変わったところはございません。

 ワクチン・試薬類の製造業者との連携については、麻しんと風しんは記載している場所が違いまして、麻しんに関しては、この位置に入っております。

 続きまして、任意接種と書いてありますが、これはいわゆる任意接種ということでございまして、予防接種法に基づかない予防接種の推奨についてです。こちらが麻しんと風しんとの違いで一番大きなところかと思いますけれども、麻しんにつきましては、未罹患、かつ2回接種していない者に対しまして予防接種を推奨するということで、その推奨する対象が記載されております。

 風しんにおいては、抗体検査や予防接種を推奨するということで、同じように、リスクのある者たちが挙げられている形になっておりますけれども、その対象は、罹患歴または予防接種歴が明らかでない者ということで、抗体検査や予防接種の推奨という形になっておるということ、また、対象者として、妊娠希望女性や、先ほどの特定の成年の男性あるいは女性が特に記載されているということでございます。

11ページ目の発生及びまん延の防止等につきましては、麻しんの海外での事例にもとづきまして国交省や旅行会社への依頼という記載があります。

 風しんにつきましては、前回の大流行のときの事業所等での大流行も踏まえたような記載、あるいは、海外の集団発生等に関するものがその他必要な措置のところに書かれているということでございます。

 続きまして、12ページですけれども、医療等の提供につきましては、麻しんは早期発見・早期治療の重要性。風しんは、妊婦への情報提供の重要性といったものが掲げてありますし、CRS児への医療の提供というのは、当然のことですけれども、風しんの予防指針にしかないところでございます。

 第5 研究開発は、麻しんも風しんも特に違いのない、同じような記載となっております。

 国際的な連携は、麻しんと風しんとで世界的な状況も違いますので、それに応じたような記載になっているというところでございます。

15ページ目の評価及び推進体制、普及啓発の充実というところに関しましては、ここも共通部分が多いのですけれども、数点違うところがございます。麻しん、風しんの対策推進会議は、現在、どちらも実施しておりますし、昨年からは、厚生労働省においては麻しんと風しんの合同で開催するという形をとっております。

 第7の三の都道府県における対策に関してですが、こちらも麻しんと風しんとそれぞれ対策会議を設置することになっております。麻しんに関しましては、さらに医師会等と連携したアドバイザー制度の整備を検討ということが予防指針の中に書かれておりますが、風しんに関しては、記載がない状況にあります。

 ページをめくっていただきまして、国による麻しん・風しん対策の概要ということをまとめてあります。

 麻しんは、排除が維持されているという状況。

 ウイルス遺伝子検査の実施につきましては、先ほども御発言がございましたように、麻しんは高い率を保っておりますが、風しんに対しては、まだまだであるということです。

 発生時の対応や医療につきましては、予防指針や省令のこともございますが、実際の医療や自治体の対応等につきましては、国立感染症研究所のほうでガイドラインを作成していただきまして、こちらを現場では使用していただいているという状況でございますし、疫学や症状、診断、治療、予防等についての情報提供、啓発等も、これは厚生労働省のホームページも含めまして情報の発信を行っているということでございます。

 風しんにつきましては、平成26年度より抗体検査の助成事業を行っているというのが大きな対策の一つとなっております。

 その他、関係省庁や関係団体に協力を依頼し、風しんに関しては、抗体検査や予防接種、麻しんに関しても、予防接種の推奨を行っていただいているという状況でございますし、ワクチンや試薬類の製造・販売業者については、麻しん、風しんとも通知を発出して連携を図っております。

17ページには、現在の医療の提供体制ということで、主にガイドラインの作成、その改訂作業の状況等をまとめてありますし、検査診断に関しましても、病原体検出マニュアルを感染症研究所のほうでつくっていただいているという状況です。

 そして、麻しん・風しん検査診断ネットワークの強化ということで、地方衛生研究所等の方々の御協力でこちらが進んでいるという状況であります。

 次のページからは、普及啓発及び広報活動について示しております。ホームページにおける情報発信や、

19 ページには、海外渡航する方にフォーカスを絞りました啓発活動についてです。

20ページには、風しんの抗体検査事業についてまとめてありまして、これは各自治体のほうの検査事業に助成する形で行っておりますけれども、平成26年から実施しておりまして、90%ぐらいの自治体に実施していただいており、年間で約10万人が風しんの抗体検査を実施しているということでございます。

 風しんに関する普及啓発については、21ページの定期接種の徹底、あるいは海外渡航者にフォーカスした啓発活動ということで、22ページに、先ほど課長が冒頭挨拶で申し上げたような、海外渡航者にフォーカスを当てた普及啓発を行っているということでございます。

 その他、AMEDの研究班事業として、サーベイランスやワクチン行政に対する推進事業といったものも、ここに掲げてあるようにいろいろな方面で進めている状況でございます。

 残りの2ページに関しましては、予防接種室のほうから御説明させていただきます。

○黒崎健康課予防接種室長補佐 続きの資料でございます。

 ワクチンの需給状況と書いてございます。こちらのほうは、第1回の麻しん・風しん小委員会のほうにも提出させていただいている資料でございますが、その時点では平成28年度の数字を暫定値ということで出させていただきました。数字の変更はございませんが、この数字で確定値ということで、改めて出させていただいてございます。

 平成28年度に関しましては、麻しん・風しんワクチンの供給の問題が起こりまして、定期接種の接種率が下がることが懸念されてございましたが、最終的には麻しんの接種率が97.2%、風しん1期の接種率が97.2%ということで、1期に関しては95%以上を達成し、例年並みの接種率を達成できてございます。麻しん2期の接種率に関しては93.1%、風しん2期の接種率に関しては93.1%ということで、先ほど多屋委員のほうから説明がございましたように、接種率は例年どおりではございましたが、95%には達せずという数字で推移してございます。

 その次の資料に関しては、こちらも多屋委員のほうから詳細な説明がございましたけれども、風しんの抗体保有状況というものを示させていただいてございます。男性のほうのピンクのハイライトの部分は、先ほど来出てございますが、38歳から55歳までの方の状況について、ここで示させていただいてございます。

 予防接種室からは以上でございます。

○大石委員長 どうもありがとうございました。

 ただいまの事務局からの資料説明について御質問等がありましたらお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 副委員長、どうぞ。

○中野副委員長 予防接種室宛ての御質問になるかもしれません。資料のワクチンの平成27年度と平成28年度の需給状況でちょっとお尋ね申し上げたいと思います。

 生まれてくる子供たちのコホートは減少しているので、定期接種の実施数としては、本来、実数としては、26年から27年のように下がる年が出てくるかなと思ったのですが、恐らくは接種率の向上により、27年度から28年度においては定期接種の実施者数がふえているのは、とてもすばらしいことで、ありがたいと思っています。

 私がきょうお伺いしたいのは、医療機関の納入実績というのが、平成27年から平成28年にかけましては、MR+M、MR+Rとも、定期接種の伸びよりふえている印象がございます。この2つの疾患の特定感染症予防指針にも、定期以外の方々の接種も推奨するようにという文言が盛り込まれていて、それがもし非常にたくさん実施されるようになってきたのなら、すばらしいことだと思うのですが、このふえている実数というのは何か資料とかございますか。どういう部分がふえたのか、医療関係者なのか、高校生、大学生なのかとか、何かございますでしょうか。

○大石委員長 事務局から回答を御願いします。

○江浪健康課予防接種室長 予防接種室でございます。

 今、委員から御指摘ありました点、我々、予防接種行政を進める中で、今後、取組が必要な部分だなと考えております。我々、定期の予防接種の実施状況に関しましては、市町村のほうが最終的に公費で行うという中で接種者数を把握しているということによりまして、定期接種をどれぐらい受けたかということが把握できる仕組みになっております。

 一方で、任意接種の部分に関しましては、そういった形で自治体が把握できる形にはなっておりませんので、実際、どういった方が任意接種を受けられたのかということについては、実態がなかなかわからないということがございます。実際に医療機関のほうでそれを把握するためには、我々は卸、販売の流通網の関係から、医療機関にどれだけ納入したのかということについては、把握できることになっておりまして、今、お示ししているのはその2つのデータということであります。

 差分の任意接種の部分について、一体どういう形になっているのかということに関しましては、医療機関へのアンケート調査のような形で把握するという方法が今、考えられておりまして、そういった取組につきましても、感染症研究所の御協力もいただきながら、取組を進めているところでございます。

○大石委員長 よろしゅうございますか。

○中野副委員長 ありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。

○大石委員長 ほかはございませんでしょうか。

 平原委員。

○平原委員 産婦人科医の平原でございますけれども、今の資料の20ページに風しんの抗体検査事業というものがございます。下に、年間約10万人が風しん抗体検査を実施しているというのは、私、産婦人科医会の役員をしておりますけれども、産婦人科医会のほうでも調べてみるとこんなものなのです。

 ただ、これは県によってすごい違いがあります。例えば、私、横浜ですので、神奈川県は4組に1組ぐらいタッチしているのですけれども、100組に1組ぐらいの県とか、実に千差万別でございます。今、せっかくこれだけ熱心な制度を続けていただいているわけですので、もうちょっと各県に進めていただくような方策がとれれば、産婦人科会のほうも力を入れて、低い県に向けてはいろいろ情報発信してまいりたいと思いますので、少なくともこれをちょっとでも上げていただけるような方策を検討いただければなと考えております。

 以上です。

○大石委員長 ありがとうございました。事務局、よろしゅうございますか。はい。

 他はございませんでしょうか。

 事務局に私のほうからちょっと確認ですけれども、10ページ目にあります発生の予防及びまん延の防止のところで、風しんのほうは、海外渡航者等の不明者に対する接種推奨がされていると思うのですけれども、麻しんについては、海外渡航者に対しての推奨ということは、指針にも書かれているようですけれども、説明の中ではこの違いをおっしゃったようでしたけれども、私の聞き間違いですか。

○高倉結核感染症課長補佐 10ページでございますね。参考資料7の麻しんの予防指針に、予防接種法に基づかない予防接種の推奨の対象というところがありますが、こちらの中には、海外渡航は明言されておりません。ただ、五のその他必要な措置のところには明記されてございますので、強調している、推奨を書いている場所がちょっと違っているという認識でございます。

○大石委員長 でも、いずれにも海外渡航者への推奨という記載はされているという認識でいいのですか。

○高倉結核感染症課長補佐 さようでございます。

○大石委員長 了解しました。

 ほかはございませんでしょうか。ないようでしたら、次に進ませていただきたいと思います。

 続いて、SSPE青空の会から畑参考人、そして風疹をなくそうの会「hand in hand」から西村参考人にお越しいただいております。

 まず、畑参考人より御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○畑参考人 SSPE青空の会の畑でございます。資料3に基づいて説明させていただきます。

 1ページめくっていただきまして、「はじめに」のところです。最新の会員動向ですけれども、2015年3月に日本の麻しん排除が認定されて、今後は会員が入ってこないだろうと期待していました。しかし、残念なことに、この2015年に診断された男児が昨年入会しました。この子は、左下の2007年の青年層で大流行した年に、1歳の定期接種を目前に罹患してしまった子供です。それが昨年入ってきた、一番新しい患者になります。

 次のページに行きます。これは、感染研さんの2017年の麻しん報告のデータです。多屋先生からも報告ありましたけれども、昨年も海外輸入ウイルスが1840歳の大人に小流行が起きて、右側の大きな丸のところですけれども、それが定期接種前の1歳以下の子供、左の黄色い部分、7名麻しんにかかっております。この子らは、将来、SSPE発症のリスクがあります。我々は、この右の大きな成人層の集団をなくして、1歳以下の子供がはしかにかかる可能性を完全にゼロにしたいと考えております。

 次のページ、お願いします。これは、昨年8月に厚労省より発行されたリーフレットです。先ほど御案内もありましたけれども、御存じのとおり、欧州でも流行が再燃しており、アジアでも流行が続いています。多屋先生の御説明にも具体例がありましたけれども、日本では、海外よりの渡航者や就業者が増加しています。ここで「ワクチン輸入による」と書いていますが、「ウイルス」の間違いで、敵と味方を間違えて書きました。大変な間違いをしまして、済みません。ウイルス輸入による小流行のリスクは増大しております。

 次のページをお願いします。このような状況から、当会からの現在の指針の改定要望の1つ目は、国際化への対応を追加していただきたいということです。現在の指針には、医療関係者、児童福祉施設、学校職員、職業訓練施設の関係者への記述はありますけれども、入国する外国人やそれらに接触することの多い交通機関職員、空港関係者、在留外国人の受け入れ機関、雇用者などへの記述はありません。これらにも接種歴を確認し、接種されていなければ接種勧奨すべきと思います。

 また、海外への日本人渡航者には、現在の指針では接種勧奨ではなくて情報提供という表現になっています。同様の接種確認と勧奨を日本人渡航者に対しても行うべきで、日本人渡航者に関しては実質の義務化を望みたいと思っています。

 次のページをお願いします。2点目の要望は、定期接種漏れの見える化です。昨年の報告データ、右側のグラフの紫の部分、成人層の約半数は接種歴不明となっています。現指針では、医療、福祉、学校などの職員、生徒に限定されて接種歴を調べるようになっていますけれども、一般国民全員の定期接種漏れを見える化する仕組みを構築すべきと考えています。母子手帳や自治体の台帳のみでは不十分で、全ての国民が接種歴を把握できる、例えば個人番号カードを利用した仕組みなど、そういったものが検討されるべきと考えております。

 次のページをお願いします。改善要望の3点目ですけれども、定期外接種、任意接種ですけれども、受けやすい体制づくりの追加です。海外渡航などの機会に予防接種を勧奨されたとき、定期外の接種がすぐ受けられる体制づくりです。2016年の小流行のときは、医療機関では定期外は断られて、我々の会のほうに相談が来たことがありました。小流行が起きたときにすぐ接種できるように、どこに行けば予防接種できるかの情報が提供できる仕組みがあり、流行発生時でもワクチンが十分供給できる体制が整っていること。特に、1歳未満でも、こういう小流行が発生したときには、期間とか地域を限定してでも、費用補助されて予防接種できる体制づくりを要望します。

 次のページをお願いします。しかし、基本は定期接種の徹底であり、国民への普及啓発が最重要です。4番目の要望ですけれども、定期接種の重要性の具体的記述です。現指針では、副反応に比べて予防接種の重要性は、「適切な情報提供」との抽象的な表現にとどまっています。個人の感染症罹患を防止する視点だけではなくて、集団免疫を確保して病気をなくすことの意義、副反応リスクと予防接種をしない場合のリスクとの比較データの提供など、重要性について啓蒙する具体的内容の記述を要望します。

 最後のページの「おわりに」ですけれども、以上4つの改訂要望は、日本の麻しん排除状態を維持・強化するためのものです。しかし、日本は排除できても、海外で流行していればウイルス輸入のリスクは継続します。将来的には、世界レベルの排除に日本がリーダーシップをとって貢献し、かつて天然痘が撲滅できたように、麻しんが撲滅され、SSPEという重篤な病気が世界からなくなることを願いたいと思っております。

 以上でございます。

○大石委員長 ありがとうございました。畑参考人には、具体的な指針の改訂要望について、御報告いただきました。

 ただいまの資料の説明につきまして、御質問とか御意見ございませんでしょうか。中野副委員長、どうぞ。

○中野副委員長 私からの意見ではないのですけれども、きょう欠席の山中委員から御意見をお預かりしております。ちょうど先ほど畑参考人が資料5でおっしゃられた、定期接種漏れを見える化する仕組みを構築すべきということと関連いたしますので、ここで山中委員の御意見を紹介させていただこうと思います。

 まん延防止対策として、健康観察や臨時の予防接種の対象者の決定に当たっては、予防接種歴や罹患歴が重要となりますが、確実にわかる方法がないのが現状です。市町村によってはデータベース化しているところもありますので、保健所に情報提供いただければ大いに参考になると考えられます。よって、予防接種歴や罹患歴のデータベース化など、確実にわかる体制の構築が重要と考えますと、山中委員から御意見がございましたので、紹介しておきます。

○大石委員長 ありがとうございました。

 御質問はよろしいでしょうか。

 調委員。

○調委員 ちょっと確認させていただきたいのですけれども、これはむしろ竹田先生にお伺いしたいのですけれども、竹田先生の研究班の議論の中で、1歳未満の乳児に予防接種をしない理由として、抗体がつきにくいということもあると思うのですけれども、もう一つ、SSPEを発症する可能性があるのではないかという議論があったような気がするのですけれども、そこをちょっと確認したいと思いまして、よろしくお願いします。

○竹田委員 ワクチンウイルス株によりSSPEが発生したという事例はありません。

○調委員 ありがとうございました。

○大石委員長 ほかはございませんでしょうか。

 ないようでしたら、次に西村参考人から資料の説明をお願いしたいと思います。

○西村参考人 失礼します。風疹をなくそうの会「hand in hand」共同代表の西村と申します。資料4に沿って、お話しさせていただきます。

 私は、職業は保育士です。1982年、昭和57年生まれです。201210月に生まれた娘が先天性風しん症候群です。私は、妊娠7週目で風しんにかかりました。今回は、当事者として、保育士として提案させていただきたいと思います。

 次のページです。当会では、2013年の発足以降、会の中での勉強会を始め、一般の方、医療関係者、学生に向けての啓発活動を行ってきました。会としては、国に指針作成時から2017年度までに達成できたこと、できていないことを明確にし、2018年度、2019年度に関係者が取り組む具体的な行動指針をつくっていただきたいと思います。

 次のページです。予防指針5ページ目、第3項の二ですが、なぜ妊娠を希望する女性等に焦点を当てた予防対策が重要になるのでしょうか。妊娠は、希望する女性だけがするものではなく、予定外にする人もいます。また、2012年からの流行では男性の患者が多くおり、これからやらなければならないのは男性の感受性者を減らすことだと思います。女性等に焦点を当てた予防対策という表現に違和感があります。基本的な考え方としては、職場での予防対策で一番重要なのは、該当年代の男性ではないでしょうか。

 4ページに参ります。風しんに対する抗体を保有していない者は、少なくとも1回の接種を受ける必要があると考えられるとあります。抗体価を保有していない者であれば、非流行時の今、より確実な対策が必要です。少なくとも1回ではなく、2回接種を推奨するべきだと考えます。

 また、予防接種を希望する人がふえても、ワクチンが足りないという事態が再び起きないよう、MRワクチンの増産を強く希望します。

 5ページ目に移ります。2015年4月17日に指定保育士養成施設における麻しん及び風しんの予防接種の実施についてという通達が出ています。この通達により、保育士養成校が麻しん・風しんの予防対策をどのようにするようになったのかという評価をしてください。また、発生の予防及びまん延の防止に関するところですが、保育所に入所している子供の予防接種歴の把握も徹底するため、指針にその旨を入れていただきたいです。

 現状は、全ての保育士が感染症と予防接種についての十分な知識を持っているとは言えません。十分な知識がなければ、保護者に対して自信を持って説明ができません。そこで、感染症対策ガイドラインの改訂と周知の徹底をお願いします。また、それを行い、未接種の子供に対して、接種勧奨ができるようにしてください。

 6ページ目は、参考資料です。これは、ある県の保育士養成課程に在籍する学生向け指導内容の調査を、当会が独自に行ったものであります。9校中5校で何らかの指導を行っており、うち3校で免疫が不十分な学生に対し、追加接種を推奨しています。しかし、このように各学校によって、行われている指導内容はさまざまであります。保育所においても同様であることが予想されます。

 次のページです。指針の10ページです。必要な情報提供の具体的な案といたしまして、CRS児の保護者に対してと、CRS児を受け入れる施設に対しての2つを明確にしていただきたいと思います。ウイルス排出がある場合、現時点では基本的に保育所への入所はできません。私は、娘が1歳になったら復職する予定でしたが、ウイルスの排出があるというのを出産後に知り、育休を生後1年半まで延長しました。育休は1年半とることができましたが、手当は1年間しかもらうことができず、半年間、私は無収入で、経済的に大変厳しい経験をしました。働く場所があっても保育所に入所ができないという状況は、大変深刻な問題を招きかねないのではないでしょうか。

 会の中には、難聴がわかっているにもかかわらず、ウイルス排出が続いているため、療育が受けられないと困っていた家族や、ウイルス排出がなくなった後も医療機関で不当に隔離された子供もいました。このように、保育者ばかりではなく、療養施設や医療施設においても、CRS児の受け入れに関して混乱が見られることがわかります。

 8ページです。新たに追加していただきたいことです。早期にCRSCRI児の発見ができるように、新生児聴覚スクリーニングや乳幼児健診などを活用し、早期治療、早期療育につなげることを項目に追加していただきたいと思います。具体案といたしまして、現在、母子手帳に任意記載になっている新生児聴覚スクリーニングのチェックリストを義務記載事項にするなどを提案いたします。

CRS児の多くは、聴覚・視覚に障害が出ます。日本産婦人科医会によりますと、聴覚に関しましては、生後6カ月までに療育訓練を開始することが望ましいということです。そのためには、新生児聴覚スクリーニングが有効です。特にCRIは、妊娠中に母親が風しんの症状が出ないまま出産しているので、注意深く見ていないと発見がおくれてしまうことが考えられます。

 次のページからの参考資料を見てみますと、新生児聴覚スクリーニングの公費助成があることも受検の大きな要因の一つですが、母子手帳を配付する際にリーフレットも一緒に配付したり、聴覚スクリーニングの必要性を説明していたりという、個人個人に向けた情報の提供を行うことで、受検率が上がっているということもわかります。妊娠中の平常時に必要な情報を得ることで受検につなげることができるのではないかと思います。

2020年のオリンピックまでに風しんを国内から排除することを考えたときに、感染症の持ち込みが懸念されている点にも着目しました。私が感染した風しんウイルスもベトナムのものと言われました。外国に行ったわけでもなく、外国人とよく会っていたわけでもありません。日本で勉強したり、働いたりする外国人が日本人のようにちゃんと予防接種を打っているのかどうか、心配になります。

 次のページからの参考文献のとおり、海外からの学生や労働者が感染症を持ち込み、アウトブレイクするケースがあり、その感染症を発症した外国人が母国語しか話せない場合、速やかな対応をとることや治療内容の説明をすることが困難であったということです。そこで、国内に在住する外国人に向けて、さまざまな言語での予防接種に関する資料の作成と研修が必要であると考えます。

 日本から海外に出張または観光に行くときはもちろん、留学生等が来日する前に、予防接種歴の確認及び抗体検査を行うことで、持ち込み事例を防ぐことができるのではないかと考えます。したがって、受け入れを行っている、またはこれから行おうとしている企業や団体、教育機関等に情報の提供を行うとともに、予防接種歴の確認及び抗体検査を実施し、確認できない者や抗体価の低い者に対しては、予防接種の勧奨を行うことを義務づける必要があると考えます。

 以上です。

○大石委員長 西村参考人、どうもありがとうございました。大変多くの指針に対する提言が含まれていたと思います。

 ただいまの西村参考人に対する御質問がありましたら、お受けしますが、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。

 それでは、時間が迫っておりますので、これから質疑に入っていきたいと思います。

 最初に、麻しんに関する特定感染症予防指針、そして風しんに関する特定感染症予防指針の見直しについて、意見をいただきたいと思っているのですけれども、きょう、御欠席の山中委員からいただいたコメントがありますので、そちらを中野委員のほうから御紹介いただきたいと思います。

○中野副委員長 山中委員からもう一点いただいているコメントを私から紹介させていただきます。

 医療に関してですが、実際の診療に当たっては、問診で海外渡航歴を聞くことはまだまだ定着していないように思います。海外渡航歴の問診は、重要と思いますという御意見を山中委員からいただいております。

○大石委員長 ありがとうございました。

 まず、麻しんに関するということですけれども、麻しん・風しんの特定感染症予防指針、共通することでも結構でございますので、意見出しをいただきたいと思います。ただ、これまで事前に指針を読んでいただいて、いろいろお考えのところがあると思いますし、また、きょう、資料として提出いただいた参考資料、そういった中から、いろいろ提言があったかと思いますので、それについて、意見を各委員からお出しいただければと思います。

 多屋委員、お願いします。

○多屋委員 特定感染症予防指針の風しんに関してですけれども、6ページ目から、予防接種法に基づかない予防接種の推奨という項目があります。その次のページからも、ずっと抗体検査や予防接種の推奨を行う必要があると明記されているのですが、抗体検査には、今、事業なども行われていますが、予防接種に対しても同様の事業等がないと、1万円程度の費用を出すことは各個人にはなかなか難しいのではないかなと思いますので、それについてはぜひ御検討いただきたいと思います。

○大石委員長 多屋先生、麻しん・風しんに共通することも結構と申しましたが、まず麻しんのほうから、できれば進めていきたいのですけれどもね。

○多屋委員 わかりました。では、後で。

○大石委員長 済みません、私の説明が悪かったかもしれません。特に麻しんについて、委員のほうから御意見ございませんでしょうか。

 多屋委員、どうぞ。

○多屋委員 麻しんにつきましては、最近の発生状況を見ますと、広域事例が多くなっていると思います。1つの自治体だけではなくて、複数の自治体が関与した積極的疫学調査が必要になってきますので、今後、広域事例対応について、特定感染症予防指針に盛り込んでいただければと思います。

 それから、もう一つ、昨年、患者さんの集団発生の対応にお手伝いに伺いました金沢に昨日も行ってまいりましたが、患者さんが発生した場合に、その患者さんが感染力がある期間にどういうところに行かれていたかということの情報提供について、非常に難しい御判断があったと伺っております。ですので、国としてもある程度感染力がある期間に行かれたところは公表するという何らかの決まりのようなものがあったほうが、自治体の方もお困りになられないのではないかなと思います。風評被害等の問題もございますが、集団発生が終わった後、公表してよかったというお話もよく聞きますので、それを御検討いただきたいと思います。

○大石委員長 ありがとうございました。

 後段の情報提供につきましては、自治体のほうからもどうしたらいいのだと、意見、アドバイスを求められることもかなり多いというのが実情だろうと思っております。

 前半の広域事例対応について記載が欲しいということでしたけれども、情報提供についての課題はあるのですけれども、それ以外はどういった課題があるのですか。

○多屋委員 広域事例というのは、例えば1例目の患者さんが発生しましたときに、その患者さんが行かれた場所が、その当該保健所管轄外であった場合、あるいはその後、それ以外の保健所管轄内で発生した場合に、どこが中心となって対応をとっていくかというところです。早期対応する場合には、どこが中心となって各関係自治体と情報共有を行うとか、対策会議を早期に行うという決まりができれば、お互いにどちらかがやるのだろうと思って、初動で困ることがあるので、そういう意味で申し上げました。

○大石委員長 アウトブレイクが自治体をまたぐ場合に、自治体間の情報共有というのは難しいものがあって、その辺をどう整理していくかということですね。

 多屋委員の意見につきまして、ほかに御意見ございませんでしょうか。大変大事なことだと思いますけれどもね。

 事務局のほうから、この情報提供も含めて、特に御意見はございませんか。

○高倉結核感染症課長補佐 特にございません。現在の予防指針の中には、確かにそういったところの記載はありませんので、構成の中でどこに入れるのがよいかというものを含めまして検討させていただけたらと思います。

○大石委員長 ありがとうございます。

 三宅課長、お願いします。

○三宅結核感染症課長 その話は難しいですね。この話は、僕自身は結構悩んでいて、情報公開をどこまでするかという話は、常にバランスを考えなくてはいけなくて、昔の法律、HIVの予防法とかを見ると、どんどん感染を拡大するおそれがあったら、その人をある程度公表するというので非常に批判されたことがあったり。個人のプライバシー、患者さんのプライバシーと、感染を拡大させないために、その患者さんにとっては不利益であっても公表するということのバランスを常に考えなければいけない。

 そのために、1類感染症についてのガイドライン等の会議では、エボラの患者さんが発生した場合に、どこまで、どのように公表するのか。患者さんが出たら、何時ごろの山手線の何両目に乗っていたとか、どこのトイレに行ったとか、そこまで全部発表するのかという話なども議論して、少し整理を試みているところです。そう考えると、我々も常に自分を自省しなければいけないと思っているのですけれども、はしかを広げないために、CRSSSPEの患者さんを出さないように、全部公開して封じ込めをしようとするのがある一方で、そのために全てのことを全部公開してしまっていいのかというのは常に悩ましいところ。

 その中で僕が引っかかっているのは、エボラとか1類、2類感染症だったり、隔離が必要だったり、広域的にそういうものだということがあるのですけれども、はしか、風しんは5類感染症ですね。その中で、どこまで積極的疫学調査をして、その人たちにやるかというのは、法律上のバランスというものが、5類でここまでどんどんやっていいのかなというのを少し悩んでいる。かといって、1類感染症みたいに隔離していいのか。法改正して、廃絶されたら、麻しん・風しんも患者が出たら隔離しましょうとするのかというのも、少し悩んでいます。

 実際、私が前回、ここの課長補佐をやったときには、カナダに日本から女子高校生が修学旅行で行ったときに、はしかがわかったら、そのはしかがいた患者の一団、グループ全部がホテルにカナダ当局に軟禁状態にされた事件がありました。そう考えると、海外の状況をもうちょっと調べたいのですけれども、はしかとか風しんも、今後は2類感染症とか、そういうものにどんどんしていくのかなというのがあるし、一方で、それはやり過ぎだろうという気持ちもありますし、もしかしたら、3類とか、その辺を就業制限だけではなくて、自宅謹慎ではないですけれども、自宅待機してもらうように法体系を少し変えていくのか。

 今回、廃絶の後のことになると思いますけれども、その辺の法律のバランス、法律は第1条で、我々が感染症対策のために、その患者さんに言われなき被害を与えたことを反省しつつという言葉が前文に書いてあります。常にそのことも戒めながら、そのバランスというものを考えていきたいと思っております。

 ありがとうございます。

○大石委員長 三宅課長、どうもありがとうございました。

 法的な課題はあるのですけれども、一方で医療の場では、年間100例程度の麻しんの発生しかない状況で、感染力の高い患者さんが、医療機関では医師の目の前に来られるわけですので、そういった医療機関に対してヒントになるような情報というのは、最低必要だろうと思いますし、また、2016年等にあったマスギャザリングということもあるので、そういったいろいろな状況を考えながら、指針に書き込んでいただければいいのかなと私的には思っております。

 この問題はよろしいでしょうか。はい。

 中野委員、どうぞ。

○中野副委員長 我が国で排除が達成された麻しんに関しましては、先ほど畑参考人からのお言葉、あと風しんでも西村参考人からも出ていたのですが、グローバル化を迎えて、海外へ出かける日本人とか海外から入ってくる方の持ち込みをどうするかというお話が出ていました。これに関しまして、厚生労働省検疫所、FORTHのホームページに、海外へ出かける方に麻しんという一言を盛り込んでいただいたことは、私は非常に高く評価させていただいています。

 私は、日本渡航医学会でも活動しているのですけれども、あの一言を書いていただけたおかげで、それまで海外へ行くときにMRワクチンのことなど見向きもしなかった成人とか事業所が、これも予防するということに気づいていただいたことは、とてもありがたく思っています。

 それに加えて、一言申し上げたいことがあるのですが、きょう、御準備いただいた麻しん・風しん対策の現状の中のさまざまな啓発資料にも、麻しん・風しん、それぞれでその病気を予防しなければならない。それにはワクチンがあるということを書いていただいて、非常にありがたいのですけれども、例えば海外へ出かけるから麻しんを予防したいといって、麻しんワクチンを打ちたいですと一般の医療機関にお尋ねになられても、それは何ですかと答えられることが多いのです。

 今、定期接種でMRワクチンが広く使われていますから、もちろんそれが広く手に入るわけで、そこのところを、これは大石委員長がおっしゃった、全体のことは後でということですが、麻しんの持ち込みということに関して、予防のためにどのワクチンをどう使うかということを、今後、ワクチンを定期接種以外も普及していくということを考えると、そこにMRワクチンを使うのですよということに焦点を当てていいのではないかということを思っております。

○大石委員長 ありがとうございました。

 多屋委員。

○多屋委員 私も中野先生の御意見に本当に賛成で、海外渡航をする場合に考える予防接種の目安として、麻しんについて、全世界、にしてくださっているのは、本当によかったと思います。そこにあることで、ワクチンに対する費用助成をしてくださる企業さんも出てきていると聞いています。

 そこで、麻しん・風しん混合ワクチンを使うのが原則なのですけれども、そこに風しんという疾患名が入るということがすごく大事ではないかと思っておりまして、ぜひそこに風しんというものを入れていただけないか、御検討いただけるとありがたく思います。

○大石委員長 風しんの名前を入れるというのは、FORTHのサイトの中にということですか?

○多屋委員 はい。海外渡航の方に推奨する予防接種の種類が、国名とともにワクチンが書いてあるのですが、今、麻しんが全世界、なのですが、そこに風しんも取り入れていただけないかなという意見です。

○大石委員長 ありがとうございます。

 これは、事務局として御回答ください。

○野田結核感染症課長補佐 検疫業務管理室に伝えさせていただきます。

○大石委員長 ありがとうございます。

 多屋委員、どうぞ。

○多屋委員 済みません、先ほどの三宅課長様の公表のお話に関連してですけれども、麻しんウイルスはそんなに長く、ずっとそこにい続けるわけではないので、その方が感染力がある期間、非常に短期間、その日の午前中だけとか、午後だけそこに行かれた方は、もしかしたら感染しているかもしれないですよという正しい情報発信をして、ずっと長期間にわたって、その施設が危険かのような誤解につながらないようにしていただくことで、解消に随分つながるのではないかと思います。

 例えば、今、この飛行機に乗られました、この電車に乗られましたということを、自治体の方が結構積極的に発表してくださるようになったことは、すごくありがたいことです。なぜかと申し上げますと、もし医療機関の側に立った場合は、そこに行っていらっしゃいましたかと聞くことで、きっと早期発見・早期診断につながると思うのですね。

 その情報がないと、漠然と麻しんかもしれないと思って疑うことは極めて難しいので、正しい情報を発信していただくとともに、短期間、そこにいらっしゃったという情報が提供されるというスキームを考えていただけると、三宅課長様の御心配も解消でき、そして後半にお話しされた類型の変更なども行っていただけるのであれば、麻しんについては、感染力も強いですし、ありがたいなと思っております。

○大石委員長 ありがとうございます。

 釜萢委員、どうぞ。

○釜萢委員 今、多屋委員が言われたところで私も賛成ですが、発生時の情報をどういうふうに公表するか。どの場所に、どの時間にいたのかということを公表することは非常に大事なのですが、三宅課長さんが行政のお立場で、そのことに対して、また抑制的に、非常に慎重に発言されたということも、私は非常に大事で、重要なことだろうと思います。それは、発表される方の個人の問題もありますので、そこのところは行政として、そういうふうに非常に慎重に考えておられるということは、私はありがたく存じます。

 しかし、これは必要な情報を的確に早く出さないと、さらに感染が拡大してしまいますので、麻しんを感染症のどのランクに位置づけるかということよりも、非常に感染力が強い病気ですので、そこのところは今の位置づけで構いませんから、麻しんについて、しっかり情報を出すということが大事だと思います。きょうは、館林委員もおられますので、ぜひ御意見を伺いたいのですが、国民的な合意の形成が大事ですので、私ども医療従事者もここはぜひ必要だということを国民の皆さんにお願いし、御理解を賜るということとともに、国民全体のコンセンサスを得るために、報道機関もぜひそのことに役割を担っていただきたいと思うのですが、いかがでございますか。

○大石委員長 大変貴重な御意見だと思います。

 館林委員のほうから。

○館林委員 日ごろの健康とか医療に関する情報ということで情報提供することはあるのですけれども、今、議論を伺っていて、空港とかコンサート会場で麻しんが持ち込まれたというときに、どういう状況だったのかなと、頭の中で考えておりました。エボラの話もありましたけれども、どういう状況だったかなと、思い出していたところです。厚労省の方々がおっしゃるのはもっともな感じもします。発生時の情報提供がどうなるかというのは、そのときの状況によって、違ってきます。

 なるべくQ&Aをつけたり、冷静に対処できる情報を心がけているのですけれども、空港とかコンサート会場とか、疾患のインパクトとかによって、報道の感じが違っていたのではないかと思います。リスクコミュニケーションの改善とか事前の計画とか工夫の余地はまだあるかもしれません。

○大石委員長 ありがとうございます。リスコミの部分は、リスクとベネフィットのバランスが大事なので、館林委員がおっしゃるように、状況、状況で違う場合もあります。いろいろなことを考えつつ、また国民の合意形成ということも大事ですので、引き続き議論していければと思います。

 どうぞ。

○館林委員 今のは仕事上のお返事だったのですけれども、一般人として質問したいと思います。

 畑参考人の書かれた4ページと西村参考人が書かれた12ページは、麻しん・風しんともに共通する御要望だと思います。これは、国際化に対する対応の部分ですけれども、一般市民からすると、渡航する人が皆さん、対策をしてくださる。あと、入ってくる方が皆さん、対策をしてくださるというのが素人として一番安心につながると思います。国として渡航、入国する人に予防接種などの対策をしてもらうのはどこまで可能なのでしょうか?

 例えば、子供が外国の学校とかに行くときに、予防接種歴を見せたりしなければいけない国もあると思うのですね。実際に身近でもありますし、そういうものが日本ではどの程度可能なのかというのを教えていただければと思います。

 よろしくお願いします。

○大石委員長 今の御質問に関連して。どうぞ。

○中野副委員長 一般の方から質問を受けた小児科医師としてお答えしようと思います。私の理解としては、国をまたいで人が移動するときに予防接種が必要とされているものは、非常に少ないと思います。具体的にはIHR、インターナショナル・ヘルス・レギュレーションで規定されたものであって、それ以外は国をまたいでどうというのはなかなか難しいと思います。

 ただ、特例としては、例えばサウジアラビアにメッカ巡礼、ハッジで入るときに髄膜炎菌ワクチンは打つべきだとか、インフルエンザワクチンも接種してからのほうが望ましいとか、国ごとにいろいろなことを決めているところがございますが、小児科医として、アメリカに留学する方の御相談をよく受けます。

 その場合は、アメリカのスクールローとして、アメリカの幼稚園、小学校で集団生活を営む際のルールとして、アメリカで定められたワクチンの接種を終えていることがあなたにとって必要なことです。それを義務というよりは、必要なことであって、打てないのであれば、打てない理由はいろいろあると思います。健康上の理由、宗教上の理由、自分の信条として打てない。その場合には、理由を書いて提出する。そのかわり、集団の場でその疾患が流行したら、その方は学校に出てこられないとか、いろいろな取り決めがあると思います。

 ですから、畑参考人と西村参考人がおっしゃっていただいていること、私はこの持ち込みの例も多いので、グローバル時代に海外からの持ち込みと、出かける人の感染症対策が大切だというのはもちろん同意いたしますけれども、一言で言う義務化という言葉は、ある意味でそれは困難であると私自身は思っております。

 逆に、最近、よく質問を受けるのは、医療機関、例えば大学附属病院だと、研修生とかがたくさんいらっしゃいますね。彼ら、彼女たちの接種歴をどう確認するか、どこの学会も何もガイドラインもレコメンデーションも全く出していないのです。ですから、まず、国としてと厚生労働省にお願いするのは、それはかなり過酷なところがあると思いますので、ほかの何らかの集団でどういう決まりをつくっていくのが、グローバル時代の感染症対策に一番有効かというアプローチをやっていくべきかなと。レコメンデーション、推奨をどうやって出していくべきかなと理解しています。

○大石委員長 中野委員、フォローしていただいて、どうもありがとうございます。

 事務局のほうから、この点、御意見といいますか。

○野田結核感染症課長補佐 ありがとうございます。

 まさに今、中野委員からおっしゃっていただいた内容でございまして、国際条約上、移動の制限という部分は、相当守られなくてはならないことになっているところがございます。例えば、昨年、マダガスカルで発生したペストの際にも、国際的にマダガスカルからの出入国について、どう扱うかということは相当議論があったと聞いております。それだけ、移動の制限をかけるということについては、国際条約上も相当抑制的に行われているというところかと思います。そういう意味で、義務化ということで言いますと、移動の制限あるいは義務を課すということは、相当難易度が高いだろうと思います。

 一方で、今、中野委員からございましたように、さまざまな視点から、海外から来る方に対して、どのような形で推奨するとか情報提供するかというところで、実質上、海外からの持ち込みを防いでいくという視点については、重要だと考えております。

○大石委員長 確かに、海外から来られる観光客の方に推奨するといっても、なかなかそのメッセージは届かないものでありまして、例えば、2020年のオリンピックに向けては、多数の国々の選手団とかが来られるので、感染研からもワクチンで予防できる疾病についての情報とかを出していこうと思っておりますが、そういう状況でのワクチン推奨ではなかなかその実効性は難しいのかなと思います。

 一方では、本日、話がありました外国人の技術研修を請け負う事業所、多分外務省の関係の外郭団体だと思いますけれども、そういった事業所に対して推奨することも可能かもしれません。また、空港の事業所での推奨ということも可能と思いますので、ぜひ事務局で御検討いただければありがたいと思います。

 平原委員。

○平原委員 今のことですけれども、私は今、医療機関の病院長をやっているのですけれども、医療機関もそうですし、私も以前、大学におりましたけれども、医療という中で院内感染が一番怖いわけです。院内感染で、よもや医療者から患者さんに向けて、何かの病気をうつすことはあってはならないこと。これに関しては、病院とか大学は、先ほど中野委員から出ましたけれども、実習生もいわゆる一般的な抗体検査を全部チェックして、ワクチンを打ってきなさいということを義務化しています。

 もう一つ重要なのは、今、職員が海外旅行へ行きますね。そうすると、いつ、どこで、どんな病気をもらってくるかわからないわけですね。それは、日本の中で言う感染症の問題ではなくて、デング熱の問題もありましたし、ジカ熱のことだってあったし、いろいろなことがあるわけですから、絶え間なくいろいろな病気が、今のグローバル化の中でありとあらゆる社会の中に入り込むことがあり得るということは、医療機関はものすごく神経質になっています。

 ですから、うちの病院でも、海外から帰ってきたときは、違和感があるときは病院に絶対すぐ来るな。必ずチェックしてから来なさいということを言うぐらい神経質になっているのですけれども、これは今のところ、医療者が自主的にやっているだけなのです。法律があるわけではない。病院の中の感染対策委員会が熱心にやれば、そういうことを言うということですけれども、こういう国民に対するリテラシーというか、リスクコミュニケーションの問題は非常に重要だと思う。

 ですので、一方では、国内でのこういうワクチンを徹底することも大事ですけれども、今の議論からすると、海外からは絶え間なく、どんな病気がいつ入ってくるかわからないということは、国民自体もよく知っておく必要がある。そのことを国からも国民に向けて、リスクコミュニケーションとしてぜひ伝えていただく努力をしていただければと思います。

 以上です。

○大石委員長 ありがとうございました。

 それでは、そろそろ風しんの議論のほうに移っていきたいと思いますけれども、1点だけ、これまでの麻しん風しんに関する小委員会の議論の中で、土着株という言葉をやめてはという話もあったと思いますけれども、まだそれが残っていますので、ぜひ御検討いただければ。恐らく国内流行株とか、そういった言葉でしょうか。

○野田結核感染症課長補佐 ありがとうございます。

 次回以降、案をつくる段階で、事務局のほうから修正案を出させていただきたいと思います。

○大石委員長 ありがとうございます。

 それでは、風しんに関する特定感染症予防指針について、先ほどいただいた多屋委員から、恐縮ですけれども、もう一度。

○多屋委員 先ほどは申しわけありませんでした。

 特定感染症予防指針の6ページ、大きな項目の四番に、予防接種法に基づかない予防接種の推奨という項目がありまして、1番から9番まで、こういう方々には、抗体検査や予防接種の推奨を行う必要があるとか、「抗体検査や予防接種を推奨するものとする」と明記されています。抗体検査については、かなり多くの自治体で事業化がされて、予算もつけてくださっているのですけれども、予防接種については、前面には出ていないような気がいたします。

 そこで、ワクチンは、定期の予防接種分はつくってくださっているのですけれども、先ほど厚生労働省予防接種室からの資料にもございましたように、任意接種分はそんなに多くつくられているわけではありません。患者さんが発生して流行が起こると、たちまちワクチン接種の希望者がふえて、毎回、ワクチン不足という問題が起こっていますので、できましたら、ワクチンを増産するのは1年以上の期間がかかるので、あらかじめこの期間については予防接種を積極的に推奨する期間として、事前にワクチンもつくっていただいて、何年間か、かかってしまうと思うのですけれども、この抗体陰性者の蓄積をなくす手立てを構築していただきたいと。これは、本当に強く願っているところです。

 今のまま、検査だけ受けて、そのままワクチンを受けないのであれば、抗体陰性者は変わらず20%残ったままということをもう一度考えていただきたいなと思っています。よろしくお願いします。

○大石委員長 ありがとうございます。

 この点につきまして。平原委員、どうぞ。

○平原委員 今の予防接種法に基づかないというのは、定期接種をとことんやりましょうということは指針にもいっぱい書かれているわけですけれども、今、問題なのは、国から風しんを排除しましょうとするには、感受性者を潰さないことにはどうにもならないことになるわけです。それで、予防接種の推奨ということと。

 もう一つ、特定指針の11ページに、研究開発の推進ですか。臨床における研究開発というのはワクチンのことを書いているわけですけれども、排除を目的としたフレームをどのように科学的に分析して、どういう集団に、どういうことをする。その人たちがどういう集団心理学的な行動分析とか、あるいは経済界からどのようにアプローチするべきかとか、もうちょっとそこはサイエンティフィックに分析できるような枠組みというか、フレームがあれば、そのたてつけがあれば、そういうことでまた、今、大石班でいろいろ風しん問題についての議論を研究班でやっているのであってもいいのかなということはありますね。

 ワクチンをつくっても、打たない人たちが多いから、今までも大変な思いをしていたと思うのですけれども、費用対効果の問題とか。中途半端な意見で申しわけありませんが、そんなことで。

○大石委員長 大変大事な御意見だと思います。多屋委員の御意見にもつながる話でありまして、感受性者をなくすことが次の国内流行を防止することにつながるとすれば、そういったところをエビデンスベースドで、どのターゲットをどのぐらいの接種率に持っていけばいいのだということが明確になってくると、次の予防接種施策も出てくるのかなと思っておるところです。

 ありがとうございました。

 ほかはどうでしょうか。どうぞ、高橋委員。

○高橋委員 高橋です。

 先ほど西村委参考人から、参考資料として、保育士養成課程に在籍する学生への指導について調査されたということが報告されました。私も現在、保育士養成の大学に今年度から勤務してますが、学生の入学当所に麻しん・風しんの罹患歴、予防接種歴を調査いたしました。その中で、本学におきましては、1年生のほとんどの学生が3期、あるいは年齢が離れている人では4期を受けていたということに非常に感激しました。

 数名が1期を受けられなかったという状況がありました。1期を受ける間に予防接種を受けることができない理由、病気などが発症してしまったために受け損なってしまったということでした。2期は受けてきたのだけれども、大学に入るまで、そこのところの追加がうまくできなかったという学生がおりました。先ほどまでの報告では、実際に、現在、2期までのところでは非常に高い予防接種率でよかったなと思っていますが、平時において、それをいかに維持していくかということが、とても重要だと感じています。

 多屋委員から、心配されている年齢層への積極的なアプローチというお話がございましたが、具体的にこの年齢の方は、会社、それからさまざまな職場で中堅、それから働く担い手になっている人たちだと思います。特に、風しんにつきましては、西村参考人のご意見がありましたように、女性だけに特化された部対策はなく、もう少し男性に関してもアプローチをする、もう一つ踏み込んだ取組というものが必要ではないかと思います。

 また、風しんと診断された際に、調査票の中の一番最後に、女性の方のみ、「妊娠しているかどうか」を医療機関が記入する欄があると事務局のほうからお話がありました。「家族に妊娠している人、または可能性がある人」というのも入れていただくと、非常に早目に対応が可能なのではないかと感じました。そういうことを含めまして、平時の対応として、心配されているターゲットとなる年齢層へのもう少し積極的なアプローチというのが具体的に明記されるとよいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○大石委員長 高橋委員、貴重な御意見、どうもありがとうございました。

 事務局のほう、いかがでしょうか。特にございませんか。

○高倉結核感染症課長補佐 貴重な御意見でして、大変参考になりました。ありがとうございます。

○大石委員長 ほかはよろしいでしょうか。

 釜萢委員。

○釜萢委員 麻しんについても、風しんについても、予防指針の中で、医師会等を通じて、日ごろからしっかり情報提供するということがうたわれておりまして、私どもの責任は非常に重く感じますが、麻しんについて、1例診断した場合も、すぐに速やかに届けて、ウイルスの型を決める検査までなるべく持っていこうということに新しくなっているわけですが、成人の風しんの発生をそこで初発例として診断するのは、実はそんなに容易なことではなくて、先ほど、きょう御欠席の山中委員から、海外渡航歴の聴取が大事だという御指摘がありましたけれども、そのあたりも含めて、医療現場が風しんのことあるいは麻しんのことをいつも頭に置いて診療に当たらなければいけない。

 特に、小児科は割とその辺は意識があるかもしれませんが、内科を初め、他科の先生方の風しんに対する意識を常に高めておかなければいけないということで、これは私どもの役割・責任も非常に重いと思うのですが。

 先日、2月4日に風しんゼロの日が行われまして、あのことについて、私も参加させていただいたことは、医師会内でもしっかり全国にこういうものがありましたと言いたいと思っているのですが、定期的に関心を高める取組は、少なくとも毎年しっかりやらないと、すぐ意識が薄れていく可能性があるので、それはこの指針の中に書き込めるかどうかわかりませんけれども、その点について、さらにしっかり取り組んでいかなければいけないという決意表明をさせていただきたいと思います。

○大石委員長 釜萢委員、ありがとうございました。

 あと、先ほど多屋委員もおっしゃったのですけれども、検査診断が風しんの場合、IgM抗体検査が多くて、なかなか遺伝子診断まで実施されていないというところだと思います。これだと、感染者のリンクを追うのはなかなか難しいのかもしれません。ただ、我々としても、確実にここまで追えるというエビデンスもないということですので、これからわが国の遺伝子診断による疫学リンクのデータをつくっていくということも大事なので、ぜひ医師会でも徹底して、適切な検査診断体制を呼びかけていただきたいと思います。

○釜萢委員 済みません、ちょっと言い忘れましたけれども、医療現場としては、保健所と常にしっかり連携をとっておくということがすごく大事で、何かあったら診断が確定する前に、すぐ保健所にお電話で御相談するということが気軽にできるように、日ごろからの関係の構築が大事だなと思います。

○大石委員長 大変ごもっともな御意見だと思います。

 竹田委員、どうぞ。

○竹田委員 アウトブレイクのときにワクチンが足りなくなるという話があって、その状況は今後も余り大きく変わらないかなと思います。メーカーさんのほうも、今の製造力はかなり限界ぐらいで頑張っていらっしゃいます。

MRワクチンのほうがいいというのは、私も賛成ですけれども、前の風しんの大きいアウトブレイクのときも、小流行があって、翌年、大きな流行になったということで、期間の猶予が多少あることもあるので、メーカーさんとしては、単味ワクチンのほうが対応は緊急的には多少余裕があると思うので、残念ながら、風しんはまだアウトブレイクが起こる可能性があると思うので、アウトブレイクがちょっと見えてきたときに、メーカーさんにどういうお願いをするのかということは事前に考えられたらいいかなと思いました。特に、風しんに単味で対応してもらう。そのときに、どれぐらいで製造できるかということが事前にわかっているといいなと思いました。

○大石委員長 ありがとうございました。

 これまでの議論と少し違う、単味ワクチンも考えろということだと思いますけれども、この件に関しましては、委員の皆さん方、御意見いかがですか。

 多屋委員、どうぞ。

○多屋委員 今、風しん単味ワクチンとか麻しん単味ワクチンの製造は非常に少なくなっていまして、逆にそちらのほうが手に入りにくいように思います。先ほど厚生労働省のほうからお示しいただきました、最後から2ページ目の表の中に、平成24年度はMR+Rで4321,896本が納入されています。現在は250万になっていますので、製造されているメーカーの方にお伺いしなければ、ここは正確ではないと思いますが、この432万本ぐらいの製造は国内で可能だということをあらわしているのではないかと思います。

 そのためには、1年前とか2年前に言っておかなければならないですが、ここまではMRワクチンで可能ではないかと思っていたのですけれども、いかがでしょうか。

○大石委員長 事務局、どうぞ。

○江浪健康課予防接種室長 MRワクチンの供給の関係に関しまして、アウトブレイクをきっかけとして非常に不足感が生じてしまいまして、大きな御迷惑をおかけして、大変申しわけなかったなと考えております。

 このMRワクチンの供給に関しましては、そういった現場からの声も受けまして、各社さんのほうに今、全力で生産していただいているという状況でございますけれども、これまでのワクチンの供給に関する不安を契機といたしまして、もう少し常日ごろから在庫を多く持っておくことができないかという御指摘や御提案をいろいろといただいております。通常ですと、ワクチンに関しましては、各社さんの自主的な努力によりまして、2カ月分ぐらい在庫としてお持ちいただくことになっているわけですけれども、例えばそれを6カ月ぐらいに大きくふやすことができないかという御提案もいただいているところであります。

 ワクチンの製造量は、ほかのワクチンと競合する部分が、人材という面でも、ラインという面でもどうしてもあると聞いてございまして、常にどのワクチンに関しましても、どこまでも供給のキャパシティがあるわけではなくて、そこは微妙な調整をしながらやっていかなければいけないものだとも聞いてございます。現在、我々のほうで、過去の供給に対する不安も受けまして、どういった対策ができるかということを検討しておりますし、また、この会議の中で何かターゲットを絞って、計画的に接種を進めていくべきだという御意見になった場合には、その量に見合うだけの確保というものができるよう努めてまいりたいと思っております。

 そういった中で、竹田委員のほうからも御指摘ありました単味ワクチンの活用という観点に関しましても、2つの疾患に対策するということでMRが基本ということで、皆さんおっしゃっているのかなとも受けとめておりますけれども、そのときに危機管理的にといいますか、単味というものについて、どう考えるかということに関しましても、しっかり現状把握していきたいと思います。

○大石委員長 引き続き、検討をよろしくお願いいたします。

 どうぞ、中野委員。

○中野副委員長 畑参考人と西村参考人がおっしゃった、SSPEのお子さんを1人でも出さない、CRSの赤ちゃんを1人でも出さない。非常に大事なことだと思います。それはワクチンで予防できるからです。そのためには、感受性者対策はもちろんですけれども、コミュニティで、この日本という国でその2つの疾患が流行しないようにしないといけない。麻しんがここまで来られたのは、いろいろな理由があると思うのですが、5年間やっていただいた3期と4期の接種は非常にすばらしくて、当時、患者さんがたくさん出ていた世代に集中的にワクチンを投与して、5年間でそのコホートをカバーできたというのは、この麻しんの排除にすごく寄与したと私は思っています。

 では、今度、風しんをどうするかというところで、感受性者を減らすというのが非常に難しくて、どこにターゲットを絞ったらいいのか。今、抗体価検査は助成も含めてやっていただいていますけれども、どれだけ効果が上がっているかというのは、なかなか目に見えて出てこない。では、風しんの排除を前提として、これからどうしていくかというのをちょっと考えてみたのですが、まだ具体的な案は頭に何もないのですが、世界のワクチンを用いた感染症対策は、天然痘にしても、ポリオにしても、アウトブレイクがあったとき、患者さんが発生した場合の周囲への免疫の付与です。

 アウトブレイクレスポンスとかモップアップとかポリオ・エラディケーション・プログラムの中でも呼ばれてきたかと思いますけれども、今度、特定感染症予防指針が改訂されて、診断の難しい風しんがウイルス学的に診断できるようになるわけですね。幸い、麻しんのほうも流行が小規模になってきて、わかるようになるわけですね。ウイルス学的にウイルスがいる場所が。そういうものがわかったときに疫学調査をやっていただいて、周囲の感受性者に対するワクチン、風しんだと、これは成人もターゲットになるのかもしれません。

 麻しん・風しんとも、1期、2期をきちんと受けている、まだ年齢の若い方々は2回受けているから、要らないのかもしれません。そういう発生があったとき、自治体レベルとか周囲に対するワクチンの封じ込め接種を何らかの法律に基づいた、今の定期接種のA類、B類とは異なるのかもしれませんけれども、そこを何らかの方法で補助していただければ、より効率的な感染症対策が進むのではないか。世界のワクチンを用いた感染症対策を見ていて、雑駁ですが、そんな思いがしています。具体的なプランがまだ自分の頭にはないのですが、意見として述べさせていただきました。

○大石委員長 ありがとうございました。

 これに関連して。どうぞ。

○多屋委員 今の中野委員の御発言に関連して、私も大賛成で。

 私が先ほど資料1で述べました、最後から3ページ目のグラフにその答えが一部あるのではないかなと思って、このグラフを出したのですけれども、2006年度の青で囲った男性・女性の風しん抗体陰性者、3期、4期の対象者に5年間やった10学年コホートをやった成果で、2016年度は抗体陰性者が激減しています。

 今、残っているのは、赤丸をつけた部分ですので、35歳から50代のところ、高齢者の肺炎球菌ワクチンでされているように、5年かかってもいいですので、例えば30354045505560歳になる年度の人に5年間、何とか国の事業として行っていただければ、この赤丸で囲ったところが、青の四角で囲ったところがなくなったように、感受性者がいなくなるのではないだろうかとずっと思い続けておりましたので、きょうは発表させていただきます。

○大石委員長 どうもありがとうございました。

 中野委員と多屋委員の御意見で、今回のディスカッションがかなり集約されたのではないかと思っておりますけれども、麻しん・風しんを通じて、まだ御意見がある方。

 調委員、どうぞよろしくお願いします。

○調委員 今の議論の補充みたいなものですけれども、以前の風しんに関する小委員会の中でも、たしか中小企業の団体の代表の方が出ておられて、今回、数年たってから、30代、年齢層が少し上がっているのですけれども、感受性者は働き盛りの男性がほとんどということですね。そういう人たちが仕事を休んで予防接種に行けるような仕組みを国としてつくっていかないと、その辺はなかなかうまくいかないのではないかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

○大石委員長 大変貴重な御意見で、職場の風しん対策ガイドラインも作成したところであったのですけれども、それからまた3年ちょっと経過して、本日はその職場の対策については余り議論が出なかったのですけれども、その点はすごく重要なところだと思いますので、ぜひ事務局のほうでも御検討ください。

 どうぞ。

○高倉結核感染症課長補佐 成人の免疫が不十分な世代の男性に対するアプローチの必要性というのは、我々も十分承知しておりまして、現行の指針の中でも、事業者等に対する抗体検査や予防接種の推奨という記載はあるわけですけれども、こちらに対して、より対策がとりやすいような形にすべきだという御意見ということで、拝聴いたしました。ありがとうございます。

 先ほど、風しんに関しましては、妊娠希望女性といいますか、女性をターゲットと挙げるのは、特別視と申しますか、どうかという御意見がございましたけれども、いろいろな対策を打つ中で、一つ一つを本当に確実にといいますか、義務化みたいに100%実施するということはなかなか難しい場合もあります。

 そうしますと、最終的に守るべき人たちを確実に守るためには、恐らく何層もの対策というものが必要になってくるわけで、さまざまな海外渡航歴を聞くという施策も、医療提供のこともそうですけれども、海外渡航者をターゲットとするというのも一つの層だと思いますので、今回の予防指針の中で、従来の予防指針より、どこを強めていくのが妥当かという点で、また引き続きの御意見をいただけたらと思っております。

 ありがとうございます。

○大石委員長 どうもありがとうございました。

 それでは、時間も参っております。意見も出尽くしたという。

○平原委員 一言だけしゃべります。済みません。

○大石委員長 では、1つだけ。

○平原委員 申しわけございません。

 この特定指針の改訂に関しては、とにかく王道を粛々と、こういう方法で日本から感受性者をなくして、排除していきましょうという話は進めていただくということで、いろいろな議論が出ましたので、ぜひよろしくお願いします。

 今、私たちとしては、とにかく1人でもCRSの赤ちゃん、今の時点でも出してほしくない。そこだけが切実な思いでございます。これに関しましては、言葉は余りよくないかもしれないけれども、応急処置的なことでもやれること、できることを最小限の医療資源なりエネルギーなり使ってでも最大効果を生むようなことを、同時進行でとにかく進めていくようなことは、あわせ考えていただきたいなと。我々も一生懸命それをしていきたいと思っておりますので、ぜひよろしく御指導いただきたいと思います。

 以上です。

○大石委員長 ありがとうございました。

 それでは、今回、委員の皆さんからいただいた御意見を整理していただきまして、次のステップでは事務局からの指針の提案ということがなされると思いますので、また次の小委員会で議論を続けていきたいと思っております。

 事務局のほうから何かございますでしょうか。

○野田結核感染症課長補佐 ありがとうございます。

 本日、今回の予防指針の改訂というところがメインの御議論をいただきましたけれども、それ以外の御意見もいただいております。あくまで予防指針に関しまして、大きな方向性を目指していくという意味でございますが、今、平原委員からもございましたように、そのほか、いろいろと施策として打っていくべきものもございますし、また、場合によっては法的措置が必要なものも出てくる可能性もございます。いずれにしましても、今回、御意見をいただきました内容・論点を整理いたしまして、特に予防指針の改訂の方向性について、次回、お示しできればと考えております。

 次回の第3回の小委員会の開催につきましては、日程調整の上、また改めて御連絡させていただきたいと思います。

 事務局からは以上です。

○大石委員長 それでは、これで閉会させていただきたいと思います。皆さん、議事進行に御協力いただき、ありがとうございました。

 


(了)

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