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2017年11月30日 第34回 社会保障審議会生活保護基準部会

社会・援護局

○日時

平成29年11月30日(木)9:00~12:00


○場所

航空会館5階 501・502会議室


○出席者

駒村 康平 (部会長)
岩田 正美 (部会長代理)
阿部 彩 (委員)
岡部 卓 (委員)
小塩 隆士 (委員)
栃本 一三郎 (委員)
山田 篤裕 (委員)

○議題

・生活扶助基準の検証
・有子世帯の扶助・加算の検証方法
・その他

○議事

■岩田部会長代理 それでは、定刻過ぎまして、定数も 充足とのこと なので、部会長がちょっと遅れていらっしゃいますけれども、始めたいと思います。第34回「社会保障審議会生活保護基準部会」をこれから開催いたします。

 まず、本日の委員の出欠状況について、事務局より御報告をお願いいたします。

■鈴木社会・援護局保護課長 おはようございます。

 本日の委員の御出欠の状況でございますが、宮本委員より御欠席との報告をいただいております。また、部会長におかれましては、交通事情で今向かっておられるということでございます。

 それでは、岩田部会長代理、議事の進行のほうをよろしくお願いいたします。

■岩田部会長代理 それでは、本日の議事に入りたいと思います。

 まず、生活扶助基準につきまして、これまで全国消費実態調査の消費支出データ分析、あるいはその展開方法について議論してまいりましたが、新たにデータ分析がまとまったということで、事務局から御報告いただきます。

 また、有子世帯の加算のデータ分析方法や生活扶助基準の毎年の改定方法、そして家庭の生活実態等に関する調査結果の分析につきましては、事務局から御報告いただきたいと思います。

 まず、事務局から資料1について御報告をお願いいたします。

■清水社会・援護局保護課長補佐 それでは、資料1に基づきまして資料の御説明をさせていただければと思います。「統計的分析手法を用いた消費データ分析について」という資料でございます。

 1枚おめくりいただければと思います。1ページ目でございますけれども、生活扶助基準の水準の検証に関する消費支出のデータ分析ということでございます。水準の検証につきましては、昭和58年の水準均衡方式導入時等に実施しました年収階級五十分位別の消費支出の変動について分析したほか、消費支出階級五十分位別の消費構造の変化に関する分析というものを行いました。

 具体的にはこの下に書いてございますけれども、「年収階級五十分位別の消費支出の変化に関する分析」につきましては、モデル世帯ごと、高齢単身世帯、高齢夫婦世帯、また夫婦子1人世帯、3つございますけれども、それぞれ年収階級を五十分位別に分類いたしまして、消費支出データを分析いたしました。各分位に属するデータ群が隣接する分位と変曲しているかについて検討を行いまして、変曲点という 考え方により 検証を行ってございます。変曲点と 、ある所得以下になりますと急激に消費支出が低下する点ということで、大部分の国民が維持してきた生活様式が保たれる限界点と解釈いたしまして、この昭和58年の検証のときにそういった概念を用いまして検証を行ったところでございます。今回もそちらを踏襲いたしまして、この変曲点の有無について分析を行ってございます。

 また、消費支出階級五十分位別の消費構造に関する変化についてですけれども、こちらについては、消費支出階級五十分位別に固定的経費と変動的経費、これは支出弾力性が有意に1を上回るか下回るかによって分類してございますけれども、それぞれの費目に分類した上で、その支出額、また支出割合のデータがそれぞれ隣接する分位と変曲しているかどうかというところを検討を行いまして、家計の構造が変化している点、固定的経費の支出割合が上昇している点について検証を行いました。

 特に右下の図をごらんいただければと思います。右下の図は食費を例にとって出してございますけれども、エンゲル係数、そういった食費の割合が急激に増加する、上昇する分岐点につきましては、一方、その社会的経費の支出が急激に低下していくというところで、こちらもその消費構造が変化する点というところで分析してございます。

 2ページ目につきましては、それぞれどのような分析手法を用いたかというところでございますけれども、今回、それぞれの分析に当たりましては、折れ線回帰分析という手法を用いまして分析を行いました。具体的には各分位間で回帰直線を設けまして、それぞれの回帰直線が有意に変曲しているかどうかというものを統計的に分析して、有意な点だけを残したというところが今回用いた手法でございます。

 3ページ目をお開きいただければと思います。「消費支出の分析をするにあたっての整理事項」ということで、これまでも基準部会なり検討作業班において御議論いただいた課題、結果についてまとめてございます。

 まず、<高齢者世帯の貯蓄の考慮方法について>というところで、高齢者世帯については、他の年齢層に比べて貯蓄を取り崩して生活費を補っている世帯が多くいるというところで、その貯蓄をどう考慮するかということで検討を行いました。貯蓄額を平均余命で除した額ですとか貯蓄取崩額というところを2つの方法により分析を検討しました。方法としては、この平均余命で除した額というものを用いておりますけれども、どちらがいいかというところは評価が難しい点はございます。

 そこで、矢印を書いてございますけれども、そもそもの消費支出を比べる、消費支出階級別の消費支出の構造の変化というものを中心に分析することとしてはどうかということで挙げてございます。

 また、2点目、<高齢単身世帯のデータ活用の課題について>ということで、高齢単身世帯については、今回調査分析の元データといたしております全国消費実態調査では、高齢夫婦世帯に比べましてサンプル数が少ないこと、また調査時期が、単身世帯は 1か月分 短いという点。また、サンプル数、性別で見ますと女性が大多数を占めており、男女比率に偏りが見られることなどから、検証に用いるのが困難ではないかというような御意見が出されてございました。したがいまして、高齢単身世帯の分析結果については、今回の水準検証には用いないこととしてはどうかということで挙げてございます。

 また、最後の1点でございますけれども、<年収階級別の消費支出の変動に関する分析について>ということで、いわゆる変曲点の分析でございます。昭和58年の検証の際は、この消費支出が減少する点ということで変曲点としておりましたけれども、そこが最低限度の生活を維持する限界点と言えるかというところは、あわせて消費構造の変化がどうなっているかというところを見る必要があるのではないかということで御意見が出されていたかと思います。

 そこで、今回検証を行います高齢夫婦世帯、また夫婦子1人世帯の分析については、この消費支出階級別の消費構造の変化、また年間収入階級別の消費支出の変化、変曲点の分析の動向をあわせて検証することとしてはどうかということで挙げさせていただいております。

 4ページ目につきましては、この消費構造の変化を分析する際の固定的経費と変動的経費の判定方法について挙げてございますけれども、前々回の部会で御発言がありましたとおり、1点だけ、支出弾力性の判定方法について1を有意に上回るか下回るかというところで判定方法を変えてございますので、その旨御了承いただければと思います。

 5ページ目以降は、その判定方法の変更に従って改めて分類した一覧になってございます。詳しい説明は省略させていただきます。

 8ページ目以降、それぞれ、今申し上げた手法に基づいて分析した結果ということで資料をつけてございます。まず、高齢夫婦世帯の消費支出の変化、固定的経費と変動的経費の支出割合の変化について分析した結果でございます。薄い点線の部分が実消費支出のデータ、実線のほうがこの折れ線回帰分析を実施した結果の直線ということでごらんいただければと思います。

 まず、高齢夫婦世帯の消費支出割合で見ますと、消費支出階級第五十分位別で見ますと、第6・五十分位でその固定的経費の支出割合が有意に上昇しているということが確認されたところでございます。図のポツのところが変化した点ということでごらんいただければと思います。

 先ほどのページは分位を横軸にしたものでございますけれども、9ページは消費支出額そのものを横軸にとったものでございます。こちらで言いますと、同じく折れた点は同じでございますけれども、消費支出が10万をちょっと超えたあたりで変曲している点というのが存在してございます。

 続いて10ページにつきましては、それぞれ同じく高齢夫婦世帯の支出額、実額がどこで変化しているかという点でございますけれども、少し変曲、変化している点としては、第18・五十分位で分岐していたというところが見て取れてございます。

11ページは、同じ分析 について 消費支出を横軸にとったグラフで あらわしたもので ございます。

 続きまして12ページにつきましては、高齢夫婦世帯の年収階級別に見ました消費支出の変化、変曲点があるかどうかという分析の結果でございます。高齢夫婦世帯の消費支出額、変化で見ますと、年収階級の第9・五十分位で消費支出額が減少している点というのが確認されたところでございます。下のグラフを見ていただきますと、この点線引っ張ってございます第9・五十分位というところで減少している点がございました。

13ページは世帯年収で横軸をとったものでございます。世帯年収は平均貯蓄額を平均余命で割ったものということで分類してございますけれども、この第9・五十分位における消費支出額は約20万、年収(貯蓄加味)は約300万円程度ということになってございます。

 続きまして14ページにつきましては、夫婦子1人世帯の消費支出階級別の固定的経費・変動的経費の割合の変化を見てございます。こちらにつきましては、消費支出階級で見ますと、第11・五十分位で固定的経費の支出割合が上昇しているということが確認されてございます。

15ページは、同じく横軸を消費支出額にとったグラフということでございますので、またごらんいただければと思います。

 同じく、その固定的経費と変動的経費、実支出額がどうなっているかというところで、16ページ、17ページにつきましてはそのグラフになってございます。

18ページからは、同じく夫婦子1人世帯の年収階級別に見た消費支出額の変化というものを見てございます。まず下の図を見ていただきますと、第2・五十分位から第6・五十分位の間で消費支出額の何らかの変動が見られるところでございますけれども、見ておわかりのとおり、変曲点がどこにあるのかについては、少し個別データのばらつき等を拾っている部分もあるかと思いまして、判然としない部分があるかと思ってございます。

 同じく19ページにつきましては、横軸を世帯年収でとったものでございます。

20ページでございますけれども、今、御説明させていただきましたとおり、生データから折れ線回帰分析をした結果では、いずれの場所に変曲点があるか判然としない部分がございましたので、五十分位ごとに外れ値(平均±2σ)を除去するとともに、消費支出の対数をとることによってデータのばらつきを補正して、それぞれどこで変曲しているかという点で見たものが下の図でございます。

 それで見ますと、消費支出の対数をとって分析しますと、第3・五十分位値で急激に消費支出が減少している点が確認されたところでございます。

 それぞれ全体をまとめたものが21ページでございます。まず高齢夫婦世帯につきましては、消費構造の変動に関する分析につきましては、第6・五十分位値で変動が見られたというところで、そこの分位値の消費支出額を見ますと約125,000円でございました。年収階級別の消費支出額の分析を見ますと、年収階級で第9・五十分位値ということで、こちらの消費支出額は約185,000円ということになってございました。

 2つの分析結果に乖離が見られた状況でございまして、下の年収階級別の分析結果、第9・五十分位値の消費支出額を消費支出階級に当てはめますと第18・五十分位付近に相当するということになりまして、これは原因はどういったことかという詳細な解明ができているわけではございませんけれども、貯蓄を年収に換算する方法などに課題がある可能性があるのではないかというところで、年収階級別の分析結果につきましては留意が必要ではないかと思ってございます。

 下の夫婦子1人世帯でございますけれども、消費構造の変動に関する分析では、消費支出階級第11・五十分位値のところで変動が見られたというところで、そこの分位値の消費支出額につきましては、約198,000円ということになってございます。

 また、年収階級別の消費支出額の変化、変曲点の分析につきましては、対数をとった場合、第3・五十分位値で変動が見られたというところで、そこの当該分位値の消費支出額というのは約202,000円ということになってございました。

 2つの分析結果における消費支出額はそれぞれ約20万円ということで近似していたという結果になってございます。

 一方、下の矢印のところで書いてございますけれども、従来から比較対象分位として参照してきました年収第1・十分位の平均消費支出額も見ますと約20万円になっていたというところから、引き続き、年間収入階級、第1・十分位を比較対象分位としてはどうかということで挙げてございます。

 以下、(参考)として、高齢単身世帯の折れ線回帰分析の結果も出してございますけれども、また御参照いただければと思います。

 資料の説明は以上でございます。

■駒村部会長 ありがとうございます。 交通機関の乱れで 遅参して 恐縮です。

 では、今の御説明に基づいて本日の議論を進めていきたいと思います。作業部会のほうでは、全国消費実態調査に基づいて、今日御報告のあったような形で、どの 所得階層 から消費構造の無理が発生しているか 議論します 。その点を、所得層、消費層を一つの参照ラインにしたらどうかということでこの作業をやっているわけでございます。まず、この資料1について、委員の皆様から御質問をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

 作業部会の委員は、もちろんいろいろ悩み悩み見ていただいたように、作業をしているわけでありますけれども、ほかの委員の皆様からも、一番重要な部分というところは、今、説明がありました21ページのような形で比較対象の所得層を考えたらどうかという結論部分、ここが一番大事なところで、そこに至るまでの考え方、作業を説明いただいたということです。あるいは作業部会の委員からでも、もし補足や何かありましたらいただきたいと思います。

 では、小塩さん、よろしくお願いします。

■小塩委員 作業部会のメンバーの方々 事務局の方々に非常に精緻な分析をしていただいたこと 、非常に感謝申し上げます。

 それで、ちょっとテクニカルな質問をさせていただきたいのです 、今問題になっている21ページの夫婦子1人世帯のところで、いずれの分析 でも 、大体消費支出が20万円ぐらいのところで変曲点があるということですね。この20万円がこれまで比較対象分位としてきた年収第1・十分位の平均的な消費支出に相当するから、今までの変曲点の分析もかなりいい線をいっているのではないかという評価だと思います。さらに今回は折れ線回帰分析という高度なテクニックを使ってそれを確認したということで、今まで以上にその裏づけが統計的にもできたということは評価していいと思います。

 それでちょっと私は気になったのです 、矢印の2行目のところですね。20万円という消費支出は、繰り返します 、今まで比較対象にしていた年収第1・十分位の平均消費支出にほぼ等しいということです 、この表の2つ目を見ますと、20.2万円と書いてありますね。それが、その隣を見ると第3・五十分位値となっています。年収階級の第3・五十分位値ということだと思います。

 それでちょっと気になったのです 、注では年収第1・十分位の平均消費支出にほぼ一致すると書いてあるのです 、表では第3・五十分位と なっています。 ここは大丈夫なのでしょうか。具体的に数字を照らし合わせてみて、第1・十分位の年収と同じ ということを確認したいと思います。それが1つです。

 それともう一つです 、今回は固定的経費と変動的経費の見極めにつきまして、弾性値が1を有意に上回っているか下回っているかという新しい基準に基づいて推計されたのです 、これは総務省が今まで家計調査等、あるいは全国消費実態調査でやってきた定義とちょっと違 います。 今回の定義の変更によって大きく結果が違ってきたら問題です 従来 のやり方と比べてどれぐらい違いがあるのか確認したいと思います。

 以上2点、御質問いたします。

■駒村部会長 ありがとうございます。

 事務局のほうで、今の1点目、21ページの表に(第3~4・五十分位の平均)と書いてあって、この説明をもう少しわかりやすくということと、2つ目は、これはすぐに答えられるかどうかわかりませんけれども、定義変更によって費目等々が動いたかどうかということですけれども、いかがでしょうか。

■清水社会・援護局保護課長補佐 御説明させていただきたいと思います。

 第3・五十分位値、ピンポイントでとったものということでございますけれども、折れた点としては第3・五十分位ということで、第3・五十分位の一番右端の値というところで、実際の実データで見ますと、平均をとった場合、第3から第4の五十分位値の平均をとると202,000円ということでございました。

 ただ一方で、比較対象分位として、比較対象として考えると、ある程度、ピンポイントの額というよりは幅を持って評価したほうがいいのではないかということで、第1・十分位ということで、ある程度幅を持った比較対照とする必要があるかなと思ってございます。

 昭和58年のときも、変曲した点としては第2.99・五十分位ということで、それと合わせて、第1・十分位がそれに近しいというところの結果が出ていたかと思ってございます。

 それから2点目でございますけれども、それぞれ固定的、変動的経費の変化でございますけれども、具体的に幾つ変化があったかというのは今手元にございませんけれども、大きな変動というのはなく、細かい消費支出の少し微妙なところで費目の入れかえ等はございますけれども、全体の傾向としては大きな傾向はなかったということで認識してございます。

■駒村部会長 ありがとうございます。ほか、いかがでしょうか。

 栃本委員、お願いします。

■栃本委員 すごい作業だったのだと想像していますので、ありがとうございました。その上で幾つか質問があるのですけれども、資料の3ページ目のところに「消費支出の分析にあたっての整理事項」と書いてあるのですけれども、この整理事項というのは、検証作業をする中で出てきた整理事項でしたっけ。その前から言っていた整理事項。

■駒村部会長 ここでまとめているものは、作業部会で出てきたものなのか、この部会で出てきた論点だったのかと。どっちで入っているかというのはすぐに私も整理できなくて、両方議論していますのでちょっとはっきりしないのですけれども、後で事務局に。栃本先生の質問は、そこだけではない。まとめていきましょう。

■栃本委員 というのは、先ほど一番重要なところだというお話のあった21ページ、「消費支出データの折れ線回帰分析の結果(まとめ)」、ここの高齢夫婦世帯と夫婦子1人世帯の矢印の部分について今議論があったわけですけれども、上のほうの矢印の2行目から3行目について、貯蓄を年収換算する方法などに課題ある可能性があるために、年収階級別の分析結果については、この高齢夫婦世帯については留意が必要ではないかというふうに、ここでは提案というか、課題提起をしているわけだよね。

 その上で、議論としては、この3ページの<高齢世帯の貯蓄の考慮方法について>という部分で、前の審議会で、前々回かなんかで、平均余命で除した部分がいいのか、その除した額を年収に加える方法と貯蓄取崩額を年収に加える方法の2つがあるので、どっちがいいかと議論しましたよね。それで、理論的にというか、頭の訓練で、どっちがいいかなみたいなことをしたわけだけれども、今回、検証作業されて、その中で実際そのデータを見て、で、先ほどの21ページのほうに行っていると思うので、その部分、両方とも、貯蓄額を入れたというのはすごく重要なことだと私は思っているのだけれども、その上でテクニカルな部分で平均余命で除したやり方と取崩額でやった両方とも ダメなのか、 21 ページに書いてあるように、2つ合わせてどっちのほうがいいとか、そういうの が書かれていません。 この21ページの記述 がどちらなのか 教えていただきたいというのが1点です。

 それともう一点が、3ページ目のところに戻っていただきたいのですけれども、<高齢単身世帯のデータ活用の課題について>というので、もともと高齢世帯については単身と夫婦で見るということと、あと夫婦と子どもという形で見るというのが基軸だったと思う。その上でやってみたらこうだった。ないしは、多分、検証作業の中で議論が出たと思うのですけれども、この書きぶりで、3ページ目のところで、高齢単身世帯のデータの活用の課題については、サンプル数が少ないということ なので 参考にしかならないというのは 記述として 、調査期間が、2人以上世帯については3カ月間 単身世帯は2カ月であるということ での調査の限界について わかりますが、 その次の「サンプルの性別を見ると女性が大多数を占めており男女比率に偏りがみられること」と書いてありますね。

 もともとこの議論でも、男女なんか関係ないではないかとか、そういう議論あったわけで、何でここでこんなことを書いて、それを採用しないというか、用いないという理由にしなければいけないのかというのは、今までの議論では男女関係ないと言っていたわけでしょう。文脈はちょっと違うかもしれないけれども、その上で、採用しないための理屈というか、幾つか取り上げるもので、この男女比率に偏りが見られるから女性が云々というのはどうなのですかねというか。なぜそんなことを書くのということです。2点です。

■駒村部会長 わかりました。2つ、いずれも重要な論点で、もちろん、私も議論したいところはありますけれども、部会長としての職責上ありますので、いろいろ私が先頭に立って説明したり反論したりするのはとりあえず差し控えて、事務局からとりあえずお願いいたします。

■清水社会・援護局保護課長補佐 3点ほど御意見をいただいたかと思ってございます。

 まず、整理事項につきましては、分類してなくて申しわけないのですが、基準部会本体で御意見いただいた点と作業班のほうで検証の途中で出てきた意見というのが少し混在している部分はございます。

 まず、1点目の高齢者世帯の貯蓄の考慮方法については、基準部会のほうでも御議論いただきまして、結果として、そのときに、まずは消費支出別の変動というものを見てみたらいいのではないかということで御意見があったかと思いますので、まず消費支出の構造の変化というものを中心として分析するというところと、あと、貯蓄額については、どちらかといえば平均余命で除したほうがいいのではないかというところがございましたので、平均余命で除したものを分析をあわせてしてみたというところでございます。

 取崩しのものについては、平均余命でやったほうがいいのではないかというような方向だったかと思いまして、実際の分析というのは行っていないという点でございます。

 また、2点目の単身データの活用の課題についてということで、これも分析の途中でそれぞれサンプルのところで男女比について確認してみてはというような御意見をいただきました。それも実際の消費支出のデータで見ますと、恐らく女性のほうが割と家計のやりくりできているのではないかというところがございまして、比べると平均の消費支出より少し低い額が出てしまう可能性があるのではないかという ということかと認識しておりました。 実際の男女比を国勢調査で見ますと、高齢ですと女性が6対4ぐらいだと思いますが、全国消費実態調査のデータで見ますと、ほとんど8割、9割ぐらいが女性のデータだというところがございましたので、そのデータを用いて全体の高齢者の平均的な生活を見るという点ではなかなか課題があるのではないかという ことで、 通常男女のデータと なる 高齢夫婦世帯のほうがより高齢者の生活を見るには適しているのではないかというような御意見が あり、 今回については、単身世帯についてはそういった課題もあるのではないかということで挙げさせていただいてございます。

■駒村部会長 では、栃本委員、お願いします。

■栃本委員 わかりました。それで、高齢単身で、実際、表5世帯というのは、男性、女性というのはどういう割合なのですかね。

■清水社会・援護局保護課長補佐 具体的な数字は今ちょっと手元にございませんけれども、基本的には、一般の世帯と男女比率についてはそれほど変わらない。年代別に、前期高齢者については少し男性の割合が多かったり、後期になりますと女性のほうが多かったりということはございますけれども、一般的な割合としてはそれほど、全体的な割合としては構造には変化がないということで認識しております。

■駒村部会長 どうぞ。

■栃本委員 わかりました。先ほどの説明で、女性の場合、やりくりしているからというお話があったけれども、それは実態的にはあるのかもしらんけれども、男性でもやりくりしている人はいるとは思うのだけれども、それで何を言いたいか。やりくりしているから少ない額が出ますよと、そういう話になるのだけれども、最終的にとりまとめするときとかに、3ページ目のところで、理由として述べている部分で、ちょっと繰り返し申し上げるけれども、「偏りがみられる」。ぎりぎりこの表現がいいと思ってされたのかもしれないけれども、しつこいけれども、この部分というのは書くべきなのか削除すべきなのか。議論したことは議事録に出るし、この会の資料としてはもちろん存在するわけですからそれはいいのだけれども、最終的なとりまとめのときに、男女ということを果たして生活保護という場合に考えるかどうかというのはかなり基本的なことですよね。実体論としての議論とロジカルな理屈上のものと2つあるから、それが混在するというのはよくないと思うのだよね。

■駒村部会長 今、岩田先生の手が上がっていて、この整理事項ですけれども、データで議論していると、やはりいろいろと慎重に考えなければいけない部分があるので、ロジカルに議論をしてもなかなか難しいところが実はあって、この貯蓄の部分ですね。消費で見るのか所得で見るのか。やはり現役世代はお金をためていく。そして、すぐに 退職後、取り崩すか どうかは別にしても、いろいろなデータを見ても、高齢期でピークになってから貯蓄を取り崩す時期にはっきり入ってくるわけですね。そうすると、所得データだけで見てはまずくて、やはり消費については貯蓄を取り崩していくのだろう と見ている

 そのときに、寿命で除すというのはすぐに出てくるわけですけれども、ただ、本人が自分の寿命をどの程度読んでいるのかというのは、研究によっても、長目に読む人もいれば、意外に短目に読んでいる人も多いということになると、早いピッチで取り崩している可能性もある かもしれない 。慎重な人はもちろん 寿命を 長目に読むかもしれないですけれども、その辺なかなかわからない部分があるので、この貯蓄の扱いも、やはり留意事項としては、理論的には幾つかのモデルはあるでしょうけれども、実態的にはわからない部分があるので、わからないと、留意点として書いておきましょうと。

 それから、女性のほうですけれども、岩田先生はむしろこちらに関係するので、もしかしたら、今から同じようなお話があるかもしれません。では、岩田先生からお願いいたします。

■岩田部会長代理 男女というのは一つの例でして、これは要するに、全国消費実態調査が国民の家計のサンプルとして使えるかということなのですね。家計調査も全国消費実態調査もすごくいい調査なのですけれども、要するに国民と比較するというのは相対比較ですから、国民の家計の代表と言えるか、高齢単身の代表と言えるかというところが問題で、仮に男女でやると、それは仮に生活保護が物すごく女性に偏っていたとしても、国民と比較するというのが水準均衡の考え方ですから、国民の家計を代表しているかということを考えたということですね。だから、表現を少し変える。

 それから、私が言うべきかどうかわかりませんが、ずうっと日本では長く年収分位でやってきましたけれども、ここ数年というか10年くらい、消費支出のほうを使うべきだという意見も結構多いのですね。そういうこともあってやってみたわけですね。そうすると、貯蓄とか借金とかいうのを考慮に入れなくて、もちろん、階級分析をやるとき、いろいろそういうのを考慮していますけれども、やってみたということです。

■駒村部会長 お願いします。

■栃本委員 この部分の議論というのは、前々回とか、数回、審議会で話をしていて、それぞれ御専門の先生方は多いのですけれども、ハウスホールドというか、家政経済ないしは家計学というもので言うと極めて重要なものがあると 思います 。従来、この預貯金というものを考えた上での行動分析みたいなものがどのくらい研究的に進んでいるかどうかというのは、学問的にも非常に重要な部分で、それにリファーする形で議論をしようとしたというのは非常によくわかるし、非常にいい形で、留意事項も踏まえた上なのだけれども、今後活用していくということは非常に重要なポイントだと思います。ありがとうございました。

■駒村部会長 単身のところは今の議論で少し留意事項があるの かと思う。 もう一つは、悩ましいのは、また議論になるかもしれませんけれども、比較 対照 する属性を生保の受給世帯に近いイメージで考えるのか、そうではなくて、一般的なところで考えるのかというのは1つ悩ましいところであるのは議論のとおりだと思います。

 ほかの委員から、この点いかがでしょうか。

 では、岡部委員、お願いします。

■岡部委員 私の意見としては、より丁寧な分析をしていただ 、その分析の結果、21ページの考え方で進めていただくということには同意をいたします。

 それと、先ほど収入と消費の両面から見ていただいて、そのこと 考え方として出されたということで あり 、消費で すと 預貯金の取崩し、あるいはお金の借り入れということを含めて見ていくということ、 ですと 年収ということで 考え方として、今、栃本委員が おっしゃったように 、家計にとってよい視点で検討されたのではないか。

もう 1つ、この水準均衡方式のよさでもあるのです 、この変曲点を読み取っていく判断 について 、それ クリアーに出ている こと が一番よろしいのです 、それをどう解釈するかということが大切になってくる と思 います 。基本的にはこの方向で進めていただければと思います。 また 作業的に、新たな手法の折れ線回帰分析ということで進めて、新しい知見が出てくる のではない かと思っております。

■駒村部会長 ありがとうございます。ほかに、委員の方から御発言はありますか。この資料1に関して。

 では、岩田委員、お願いします。

■岩田部会長代理 今の変曲点についてなのですけれども、水準均衡を宣言したといいますか、そのときの審議会で変曲点ということがはっきり出ているわけですけれども、変曲点というのは複数ありまして、判然としないというような書き方があったのはそういうことを意味していて、幾つかあるわけですね。家計の議論では、特に日本の場合は、変曲点というよりも、その幾つかある変曲点の中で抵抗が生じていると。だから、 変化す るというような、そういうことを特にエンゲル線で表現してきたという経緯があるのですね。ですから、水準均衡のとき、なぜ変曲点だけでやったのかというのは私自身にはちょっと疑問な点もあるのですが、その点から見ると、少し今回は幅で見ていただいたというか、幅として考えるということで、私はその点はよかったと思うのですね。

 例えば18ページを見ていただくと、変曲点がどこにあるのか判然としないというのは、6から2まで見るとそうなのですけれども、実は6から13のところが大体フラットになっていまして、そこで一生懸命その水準を維持していようというふうにも読み取れなくはないのですね。ですから、そこに固定変動の変化というのを当てはめて、少し複数の視点から幅を持って考えるというのが私はやはり安全な方法ではないかなと思うので、その点では今回のこのやり方でよかったのではないかと思います。

■駒村部会長 ありがとうございます。

 よろしければ次の第2資料のほうに議論を進めたいと思いますが、よろしいですか。

 では、資料2について事務局より説明をお願いいたします。

■免田社会・援護局保護課長補佐 では、資料2「生活扶助基準の展開方法について」御説明させていただきます。

 資料の1ページをごらんいただきたいと思います。まず、第1類費の年齢区分についてでございます。今回、夫婦子1人世帯と高齢世帯、高齢単身世帯ないしは高齢夫婦世帯ということで、大きく分けて2つのモデル世帯を用意させていただいておりますけれども、 このモデルを設定するにあたり 65歳を境にして 年齢を 区切って るということを踏まえまして、1類費の年齢区分をどのように考えるかということでございます。

 前回の部会の主な意見といたしましては、年齢区分に ついて はある程度ラフでいいのではないか、子どもにつきましては就学ステージ別、成人期は一くくり、65歳以上の方につきましては前期高齢者、後期高齢者で分けることが一つの考え方ではないか。また、子どもにつきましては、年齢別に細かく区切り過ぎると保護費が毎年変わるという可能性もございますので、利用者にはわかりにくいので、ある程度大くくりにしたほうがいいのではないか等々の御意見がございました。

 これを踏まえまして、下の矢印に書いてございますように、現行の基準よりも少し区分を粗くするという形でどうかということでございます。右のほうに新しい年齢区分が書いてございますけれども、まず、児童につきましては就学ステージを踏まえた再編ということで、未就学児、小学生、中高生という3区分にしてはどうかということでございます。また、若年者につきましては、生活状況は、年齢差というよりも、個人のライフスタイルの違いのほうが大きいのではないかという観点から、一本化してはどうかということでございます。最後に高齢者につきましては、前期高齢者、後期高齢者に分けてはどうかということでございます。以下、この年齢区分で作業して るということについて御了解いただければと思います。

 続きまして2ページでございます。検証に用いるデータのどの所得分位のデータを使って展開を行うかということでございます。前回の平成24年検証におきましては、年収階級第1・十分位のデータを用いてさまざまな展開に必要な指数を計算させていただきましたけれども、今回におきましてはどの所得分位を使って検証を行うべきかという点でございます。

 前回の部会におきます主な意見といたしましては、所得分位を区切らない全世帯で実施することも考えられるのではないか、全世帯に限らず、第1・十分位、第1・五分位などさまざまなパターンでやったらどうかという御意見があったかと思います。

 その結果を踏まえまして、矢印のところでございますけれども、第1・十分位、第1・五分位、また全年収の各データで、まずはいろいろ分析作業を実施して、その結果を確認してはどうかということでございます。

 続きまして3ページでございます。第1・十分位、第1・五分位と一言で申しましても、どういった第1・十分位なのか、どういった方々の第1・五分位なのかということが課題となってございまして、前回の平成24年検証におきましても、スケールメリットが最大に働く場合という観点から、世帯年収の第1・十分位、また、スケールメリットが最小に働く場合という観点から、世帯単位の年収第1・十分位という2つのデータを用いて検討を行ったという経緯がございます。今回におきましては、どういったデータを用いるべきかというのが課題としてあるのかなと考えてございます。

 その下に<各データにおける世帯人員別分布>と書いてございます。これは表記が言葉足らずなところがございますが、平成26年の全国消費実態調査におきます年収第1・十分位のデータと思っていただければと思います。世帯年収につきましては、合計3,000サンプルのうち単身世帯が約半数弱を占めているという形になってございますけれども、世帯単位年収につきましては、比較的多人数の世帯のサンプルも幅広く拾っているというような状況でございます。

 下の24年検証につきましては参考ですので、ごらんいただければと思います。

 4ページでございます。これからは少し技術的な話になってしまいますけれども、24年検証のときから回帰式を用いてさまざまな指数を計算してございますけれども、その回帰式を算出する際に、少し手法の改善をしてはどうかということでございます。

 まず、1といたしまして「回帰分析に用いる説明変数」についてでございます。前回の24年検証で用いました回帰式に用いる説明変数につきましては、年齢区分別の世帯人員数、世帯人員数の2乗、級地区分別の変数、資産の状況、家賃の状況という変数を用いさせていただきましたけれども、家賃につきましては、今回、被説明変数が生活扶助相当支出の対数をとっているということから、この回帰式の当てはまりという観点から、家賃、地代の自然対数をとってはどうかということでございます。

 もう一点といたしましては、低所得世帯であったとしても、収入による支出差というのは少なからずあろうと考えておりますので、説明変数といたしまして年収の項目も追加してはどうかということでございます。

 続きまして、2で「外れ値等の補正」ということでございます。この資料1でございました水準の検証を行う際に、生活保護世帯と推察されるサンプルは除外してずっと作業させていただいておりますけれども、それとの整合性をとるために、展開に使用するデータにつきましても、生活保護世帯と推察されるサンプルは除外してはどうかということでございます。

 2つ目の丸に書いてございますのは、生活扶助相当支出は1類費、2類費の大きく分けて2つに分かれますけれども、そのいずれかの値がゼロであるサンプルというのはちょっと特異な消費構造をしているのではないか。例えば第1類費につきましては食費が含まれておりますし、第2類費につきましては光熱水費が含まれておりますので、そういった極端な消費行動をしているサンプルというのは除外してはどうかということでございます。

 また、極端に高い支出をしているサンプルがどうしても含まれておりますので、こちらにつきましては、トップコーディングの概念を用いまして、上位1%の生活扶助相当支出につきましては補正を行ってはどうかということでございます。

 トップコーディングのイメージにつきましては、下の表をごらんいただければと思います。

 続きまして5ページでございます。年齢別、級地別の指数の算定方法についてでございます。こちらにつきましては、回帰式から直接的に計算してはどうかという提案でございます。具体的には、赤い枠で囲ってございますけれども、まず年齢別の指数につきましては、この係数から右のような計算式で計算してはどうかということでございます。また、級地につきましても同様の計算方法ですけれども、こちらはダミー変数といいまして、2級地の1と比べて消費がどの程度高いのか低いのかというのを計測している指標ということでございますので、2級 の1を1としてどの 程度 消費の差があるかというのを右のような算式で計算してはどうかということでございます。

 なお、2級 の2につきましては、ここでは2級 の1と変わらないという計算結果になってございますけれども、こちらにつきましては、上のほうでも書いてございますけれども、その係数が統計的に有意でないものにつきましてはゼロとみなして算定を行ってはどうかというような提案をさせていただいておりまして、その結果、2級 の2につきましては、2級 の1と消費の差はないということ になり ます。

 続きまして6ページでございます。世帯人員別の指数の算定方法につきましては、平成24年検証におきまして、世帯人員別の消費実態から算出していたことを踏まえまして、世帯人員別の消費実態から算出してはどうかということでございます。その際、世帯人員別の消費実態と申しましても、その世帯の構成によって、やはり年齢による消費の差であったり、級地区分による消費の差、また、家賃による消費の差。家賃の支出は生活扶助相当支出には含まれない ため 、年収が同じであっても家賃の差によって生活扶助相当支出に差が生じることも考えられますので、年齢や級地区分、また家賃、地代による消費の差を補正した上で指数化してはどうかということでございます。

 以上の仮定を置きまして計算した結果が7ページ以降に記載してございます。まず、7ページが年齢別の指数でございます。こちらにつきましては、どのデータを見ても大きな傾向には差は見られないかなと思っておりますけれども、ただ、全年収の場合につきましては、1864歳の値と6574歳の値に、済みません。上の文章では2064歳と書いていますけれども、これは1864歳の間違いでございます。失礼いたしました。指数が、大小関係がほかのやつと異なっていたりなど、ちょっと違った動向を示しているのかなと考えてございます。

 あと、8ページでございます。こちらは世帯人員別の指数の計算結果でございますけれども、こちらにつきましては、スケールメリットが最も働かないのが世帯員1人当たり年収でございますけれども、一番傾きが急 逆に 世帯年収の場合ですと傾きが最も緩やかになっている結果というのが出ているのかなと考えてございます。

 続きまして9ページでございます。こちらは級地別の指数の結果でございます。1類費につきましては、どの結果におきましても若干の動向の差異はあるかもしれませんが、おおむね同じような結果に、1級 の1が一番消費が高くて、3級 の2が最も消費が低いという結果になっているのかなと考えてございます。

 また、右の2類費につきましては、どの区分で見ても大きな差は見られない。2級 の2で 若干 上がっているところはありますけれども、大きな差は、第1類費に比べると みられないと考えております 。こちらにつきましては第2類費が世帯共通経費ということで、光熱水費や耐久消費財が主なものとなってございますので、1類費に比べて消費の差というものがないということをあらわしているの ではないか と考えてございます。

 最後に10ページでございます。「年収第1・十分位、年収第1・五分位、全年収のそれぞれの特性について」ということでございます。まず、第1・十分位の利点につきましては低所得世帯の実態を捉えることができる。また、資料1で比較対象分位を年収第1・十分位にしてはどうかという提案もさせていただきましたけれども、もし仮にそうであるならば、同じ 分位で 比較をすることができる。

 また、前回検証でも使っておりますので、変動 影響 が少ないというのが利点として挙げられるのではないかと考えてございます。

 一方で課題といたしましては、第1・十分位ということでサンプル数がどうしても少なくなってしまうということや、低年収であるがゆえの特異なサンプル が存在する 可能性があるということでございます。

 また、第1・五分位の利点といたしましては、第1・十分位とほぼ同様の動向を示していることから、低所得世帯の実態を把握していると考えられますが、逆に課題といたしましては、第1・十分位と同じような動向であれば積極的に採用する理由には乏しいのではないかということでございます。

 最後に、全年収の利点といたしましては、標準的な家計構造を捉えることができますし、サンプル数が最も 多くなるということでございます。

 一方で課題といたしましては、高所得者の影響を排除し切れないために、低所得世帯での実態と乖離している可能性があるということでございます。また、先ほどの年齢のところでもございましたけれども、第1・十分位等との動向の差についても解明がまだし切れていないという点がございます。

 以上でございます。

■駒村部会長 ありがとうございます。

 具体的に扶助の構造の話に入っていくわけであります。ここから先の議論は、どの指数、どの分析方法をとるかによって出てくる推計結果などに差が出てきます。それを今度指数化しますので、どの分析方法、どの推計式、どのデータセットで行うかによって結果に幅が、違いが出てくるということなので慎重に議論しなければいけないところだと思いますが、委員の皆様から御意見、御質問いただければ。

 阿部委員、お願いします。

■阿部委員 ありがとうございます。

 まず、もう一点説明を加えていただきたいなと思うところがあるのですけれども、それが7ページ以降の結果のところなのですが、一つの観点として、今の消費実態のデータの中でこのようになっているというさまざまな、どれをサンプルとして使ったのかによって違いというのはすごくよくわかるのですけれども、やはり生活保護にこれを適用するといったときの観点からは、現行の状況からどう違っているのかというので、それを見ることによって、それによる、これを取り入れたときの影響といったところも見えてきますので、今の例えば年齢別指数に比べてこれらの結果はどうなのかとか、世帯人員別ですとか級地別とかいうことについて説明をお願いいたしたいと思います。

■駒村部会長 7ページが一つの例。多分これが一番わかりやすく出てくるのではないかと思いますけれども、データと分析方法によって違いが出るというのはわかるのだけれども、現行制度の指数との上下関係どうなるのかというのを確認したいということで、事務局、いかがでしょうか。

■免田社会・援護局保護課長補佐 詳細なデータにつきましてはまた後ほど資料として用意したほうがいい かもしれませんが 、例えば7ページで言いますと、基本的には、0~5歳や6~11歳につきましては、現行の基準に比べて指数が高くなっている。要は、今の指数と比べると0~5歳や6~11歳につきましてはちょっと上昇傾向にあるということは少なくとも言えますけれども、ほかの指数につきましては似たような動向を示すということもございまして、具体的にどういうところを間をとるかというのは資料としてちゃんと確認しないといけないと思っていますので、 必要であれば、 後ほど資料として用意させていただければと思います。

 また、8ページの世帯人員別の指数につきましては、今は、1類費につきましては世帯年収の第1・十分位よりもやや傾きが急な形になっていたかと思います。世帯人員別指数の2類費につきましては、世帯1人当たり年収と近しい動向になっていたかと思います。こちらにつきましても 必要であれば 用意させていただきたいと思います。

 級地別につきましては、従前までは1類費と2類費を共通のものとしていたということもございますのでちょっと動向が違いますけれども、この左にございます1類費の指数と現行の級地区分の格差というのがおおむね似たような傾向になってございますけれども、ということは、逆に言いますと、2類費につきましては やや異なる ということになってございます。

 以上でございます。

■駒村部会長 阿部委員、お願いします。

■阿部委員 これは指数ですので、どこに比べてほかのところがどれぐらい高いか低いかということを示しているわけですね。ですので、例えばどこのところが上がったら、ほかの違うところが必ず下がっているはずであって、それによって、結局のところ、展開するときに、どこのところにより多く配分されるかということが決まってくるわけですね。なので、例えば0歳から5歳、6歳から11歳が高くなることによって、ほかの年齢層のところが低くなっているということになるかなと思うのですが、それを見ない限り、恐らくこれを採用することによってどのような影響が出るのかというのがわからないわけですから、データは実際の場合はこうですよというのはありますけれども、でも、これというのは、全年収でやっている場合と第1分位でやっているときではこういうところの差があるんだねみたいな、そういう判断材料といいますか、はよりあったほうがいいのではないかということで、現行のラインも一緒に書いていただければよかったかなあと思います。

■駒村部会長 今日の、今出てきた資料は、そういう意味で言うとデータの取り方や年数の取り方によっての違いが出てくるだけですので、具体的に報告書に今後とりまとめていく作業に入っていけば、現行との違いはどうなのか、行政としても、指数の変更が給付扶助額に影響を与えるわけですから、恐らく激変緩和的な部分やいろいろ考慮すべき点もあるだろうと思いますので、これは次回でいいですかね、阿部委員。今日はこの精緻な、年齢区分もどうも変わるということになると、今のものをそのままというわけにいかないと思いますので、今のものも何らかの加工をしなければいけないと思いますので、次回ということで。

■阿部委員 その上で、でも、理論的に、この6本の線の中でどれがいいかということは一応議論できるかと思いますので、それはここでやっていければと思います。

■駒村部会長 では、岩田委員、次、山田委員お願いします。

■岩田部会長代理 今、阿部委員がおっしゃった現行の 指数 をプロットするというのはぜひ私もお願いしたいと思います。それで、この展開なのですけれども、前の資料1は、水準均衡以来やってきたことをさらに非常に詳細に検討したということになりますけれども、この展開からが、このところ、水準均衡とは違うやり方をとっているのですね。水準均衡以前といいますか、のやり方は、1類は年齢別で、これはカロリーですね。だから、多分、現行というのはその残滓が残っていますから、やるとそこがすごくはっきり出ると思うのですが、2類は、その世帯人員でマルチプル 係数 という統計局がつくった調整係数を使ってこられたわけですけれども、さらに1類と2類の比率というのを決めていたのですよ。ですから、モデルが決まると、それを1類と2類のある比率で分けて、そしてそれを年齢別というのは、栄養、特にカロリー別、それから世帯人員別にやるというやり方をしていたわけですね。ですから、理論値が残っているのと、余り頼りにならない マルチプル係数 何年も 使ってきた。

 それに対してスケールメリット、スケールメリットと言われるような、1類にもそれが出てくるし、その世帯人員効果というのをもうちょっときちっと見なければいけないというのがここのところのラウンドの主流になってくるわけですね。この展開をどうするかというのをかなりしっかり見ていかないと、モデルでは大体これでいいとなっても、展開次第で特定の世帯類型に非常に不利が及ぶということはあり得るかなと思っています。

 この場合、特に年齢別で級地を入れていますよね。それで、その後世帯人員がもちろん出てくるわけですけれども、これを全部全国消費実態調査を頼りにやるということについて、私は非常に怖い思いをしています。先ほどの単身世帯の問題というのはありますし、つまり、単身と2人以上というのは別調査なのですね。極端に言うと。それを合わせて総世帯としてやるわけですけれども、2人と1人というのをどう展開するかというときに、そのこともかかわってきますが、より重要なのは、この級地といいますか、地域問題ですね。全国消費実態調査は、今、ホームページでもいろいろな結果について不十分なことを正直に書いて、どうにかよくしようというふうにされているところですけれども、特に全国消費実態調査は生活保護の級地とはもちろん違う、経済圏という考え方でやっているわけですけれども、例えば平成21年の結果についての議論があるのですが、そのときに、人口規模が小さい市町村別結果が非常に疑義があるということを言っています。

 例えば持ち家率100%というのが148市町村にあったとか、持ち家率0というのが1町あったとか、それから、教育に支出した世帯がないというのが1つあったとか、あるいは勤労者世帯では5市町村で0であったとか、例が挙がっています。収入が非常に高いとか消費支出が高いというのは、さっき言ったような補正がきくと思うのですけれども、これはサンプルというよりは、実際に調査をお願いするときに拒否世帯が非常に多いということと、それから記入が非常に難しいので、間違った記入をする、記入しない、いいかげんに記入するということがやはりどうしても出てきてしまうという問題があるわけですね。そういうことをちょっと考えると、特に級地の問題はかなり大きな問題として残るような気がします。そういう調査データそれ自体のさまざまな問題点というのをどうするか。

 全国消費実態調査はそういうのをある程度は調整係数で平均値には反映させているわけですが、ここの議論みたいに個票を使ってやる場合に、もちろん、さっきの補正をされているというのはわかるのですけれども、その補正がきかない幾つか疑義のある記帳というのがある。あるいは、もともとそのサンプリング自体が違うといいますか、単身世帯 後から調査を始めていますから、違うものであるというようなことを丸めてしまって、例えば人数別とか級地の指数をつくって展開していくということになると、全国消費実態調査と心中してしまうというか。

 ですから、さっき言いましたように、全国消費実態調査が正しく日本の家計を反映していれば水準均衡という考え方で、それでも私は問題あると思いますけれども、つまり、みんなが下がっていくと一緒に下がってしまいますから、その歯どめの問題あると思うのですが、 まあいいかもしれません。 でもこの全国消費実態調査データ が、 精度が高いかということになりますと、細かくこのように、特に地域別に見ていくと、どうも統計局自身がこういう問題があるということを言っているわけですね。それをそのままにしてといいますか、どういう補正をするかということを考えずに使うと、その差を使っているだけですから、実際の生活とかなり隔たってしまうのではないかという不安がありますね。これは大きいところだとある程度サンプルが多くなりますけれども、小さいところは本当に1世帯とかやっていくわけです。で、拒否されて、また1世帯とやっていくわけですから、ここまで全国消費実態調査から全部係数を出していくというやり方で 、スケールメリットを決めていくことで いいのかなというのが私の、この間ずうっともやもやして いる懸念です

 前の展開のやり方がよかったとは私は思わないのですよ、もちろん。 しかし 前の やり方 、栄養学の知見とか いろいろ別の要素が入っているので、それほど全国消費実態調査と心中しようというようなものではなかったわけです。でも、今の全国消費実態調査の個票から非常に細かく統計解析をしてやるという方向に変わってしまったので、そうなると、こういう係数をつくる上で、サンプルがサンプルたり得るか、そういう問題がどうしても出てきてしまうのではないかと思っています。

■駒村部会長 ありがとうございます。大変重要な問題提起でありまして、また、ここのこれまでの前回部会と今回部会の分析というか、検証方法についての要約もいただいたと 存じます 。以前は、カロリーなどに代表される理論値等々を使って展開してきたわけですけれども、前回より消費実態を反映させるということで、データ分析の結果得られたパラメータから指数をつくっていくという考え方であったわけですけれども、そうなってくると、データと推計式に強く依存することになる。その場合に、このデータ 、限界部分がある。単身や地域データの中では十分サンプル数が確保されていないケースもあるので、それを考慮すると出てきたパラメータを即指数展開に使っていいのかどうかについては留意事項がありますねというお話だったわけです。

 ほかの点でも結構ですけれども、あるいは今の点でも結構ですけれども、議論あれば。

 山田委員、お願いします。

■山田委員 私も重なることが多いのですけれども、1点目は、どのように現行水準と違うのかというのは、7ページ以降のグラフについて、7、8、9ですね。ちょっと拝見させていただきたいと。これはお願いです。その上で、幾つか手法的なこととしては、6ページは、前回、平成24年検証と同じようにやっているわけですけれども、その前の年齢級地別の指数の算定等は直接このように係数を利用しているので、やはり回帰分析の結果も見たほうがいいのではないかというのが1点ですね。

 そちらのほうも、前回踏襲は前回踏襲としてちょっと拝見させていただきたいというのと、あと、回帰分析の結果というのは、確かにこれは全国消費実態調査というデータに基づくものですので、その結果というものが唯一のものではないということで 当然、ここから展開されるわけですけれども、例えば8ページで、世帯人員別指数で、今、単身世帯を1と置いているわけですけれども、ここを基準に、今、単身世帯モデルでやってないのでいいですけれども、例えば展開すると、2人、3人、4人、5人世帯は傾斜が、現行水準がもし緩いというのであれば全部下げなくてはいけないということ。また、3人世帯にもし基準を置くとすれば、上がるところと下がるところも出てくる。だから、どのように、どこを 支点 として基準展開するかによって、ほかの世帯類型 の基準 というのが大分大きく決まってきてしまうという側面があると。

 そうすると、夫婦子1人世帯とか高齢夫婦世帯、もしくは高齢単身世帯で、資料1で見たわけですけれども、実際に展開して出てきた 他の世帯類型の 水準の検証というのはやはりどうしても考えなくてはいけない。具体的には、最低生活水準を本当に賄える水準になっているのかというのを見ないと、私は、ちょっとこれだけで、ここを 支点 に展開しますと言って、係数が決まっているからといってぱたぱた決まってしまっているので、これでオーケーとしていいかというと、やはりそこは実際に最低生活水準が賄えるかという、特に栄養でもいいですしミニマムインカムスタンダードでもいいですけれども、そこの部分をやはり確認しないと非常に気になるということですね。

 あと、特に気になるのは、3人世帯を 支点に 展開して、もし単身が下がるとすれば、現役単身については、よくその最低生活水準を考えないと最賃にはねて、非常に懸念すべき負のフィードバックが働いてしまうということもいろいろと考えなくてはいけないと。

 あと、長くなって済みませんが、級地については、昔、級地が決められた時点に比べて、市町村合併によって級地の高いほうに合わせられているということがあって、このことは 実際は級地 の1に当てはまっている、例えば消費水準の低い 地域 を市町村合併によって吸収して、その結果、平均的に、この全国消費実態調査で見れば、ひょっとしたら、特に級地の高いところ 傾斜が緩やかになっている可能性もあるので、級地についてはこの係数だけで見てどうかというのは、全国消費実態調査だけを使って見るのはやはりかなり留意が必要ではないかと。

 私からとりあえず以上です。

■駒村部会長 お二人の議論は通じる部分がありまして、データが必ずしも完全ではない部分もあるということを留意していかなければいけない。この検証は、ただ、何らかのデータがないといかようにでもなってしまいますので、一方ではただ、データが必ずしも完全ではないということ。それから、データから出てきた結果が、下位10分の1の生活の方がこうしているからといって、格差やデフレが続く中で、ではこれでいけるはずだと言い切れるかどうかというところについては慎重なチェックもしていかなければいけないのではないかというお話だったわけですけれども、阿部委員のほうから手が挙がっていますのでお願いします。

■阿部委員 いろいろなデータの制約あるというのはもちろん岩田先生のおっしゃるとおりかと思いますけれども、その上でこのデータを眺めたときに、まず、この6本の線のどれを使うべきかという話なのですね。そうしたときに、これはもしかして前にも申し上げたかもしれませんけれども、世帯年収の第1・十分位ですとか世帯年収の第1・五分位というのはかなり偏った方々が入っていらっしゃいます。年収だけで見たものですから、例えば単身世帯とかが非常に多いですとか。そういった人たちの中で、その中での例えば1人世帯と2人世帯と3人世帯と4人世帯と5人世帯を比べたりしているわけですね。人員別のところを見れば。なので、余り差がなくなってしまうよという、つまり、傾きが緩いということは、人数が多くなっても消費支出が増えないということですけれども、なので、消費支出が人数が増えても、増やさなくても、生活保護受給もその分、多人数世帯に不利になっていくという状況になるわけですけれども、恐らくそういったところがかなり限られた、非常に厳しい家計の方々の、大人数で低所得というような方々のものを見ていますので正しくないと思いますし、そのほかのところを見ても、例えば高齢者の世帯が非常に多かったりとかいうこともあるかと思いますので、やはり私は、世帯員1人当たり年収の第1・十分位か第1・五分位で見るか、または全収という3つのチョイスしかないかなあと思います。その上で、でも。

■駒村部会長 ちょっと待ってください。大事なところですので。我々の選択肢は、今、 いくつかあります。 まず推計式を世帯員1人当たりでいくのかどうかというところと世帯収入でいくのかということと、あとはサンプルを 絞るのか 全員でやるのかということですね。

■阿部委員 つまり、いろんな色のラインがある中で、濃いブルーと濃い赤はバツでしょうという話です。残り3本あるわけですけれども、その中でも、全年収というのについては、ちょっと私としては大丈夫かなと思うところがありまして、例えば全年収の方々で非常に高い所得の方々もいらっしゃるわけですね。ですので、余り所得による制限がない中で、例えばもう1人人数が増えたとかいったときには、別に余り規模の経済も考えずに、1人1つあってもいいよねみたいな形になってくるのかなとは思いますので、全年収というのは、生活保護の水準の中でやりくりするということを考えれば、もしかしたら最適ではないのかなという感触は持っております。でも、そこのところを私ははっきりとはまだ言えないところがあるので、山田委員とか、もし御意見あればとは思いました。

 以上です。

■駒村部会長 ちょっと我々が考えていかなければいけないのは、今まで申し上げたように、ここから先はパラメータの選択によって指数が決まっていくわけです。ただ、その際には、岩田、山田両委員からあったように、データのいろいろな限界性も考えていろいろ留意しなければいけない。ただ、阿部委員からは、次のステップとしては、データ選択の話に入っていかなければいけないという話で、10ページの比較表を恐らく意識して、全収入だと、高所得世帯の生活パターンを反映してしまう、そちらに引かれてしまうのではないかという心配があると。ただ、とはいうものの、全収入でやっていけないとも言い切れるかどうか悩ましいと。

■阿部委員 私は、全収入はちょっとバツかなと。

■駒村部会長 ただ、悩んでいると。ほかの委員はいかがでしょうかね。

 山田委員、お願いします。

■山田委員 済みません。先ほどの発言にもし誤解があったらいけないのですけれども、全国消費実態調査を使う 非常にいいデータなので、それを使って分析するしかないということは変わりません。 また ある程度サンプルの歪みを補正するという意味では回帰分析を 、パラメータを、 使うというのも必要だと思っています。

 ただ、出てきたものに関して、ある世帯類型を中心にもし展開するのであれば、基準額表というのはあらゆる世帯類型に当てはまるようにつくっているわけですから、基準ではない世帯類型にとっては、ひょっとしたらパラメータをそのまま当てはめただけでは無理が出てくる世帯 類型 があるかもしれないというのが、ちょっと説明不足でしたけれども、私の主張のポイントであります。

 それとは別に、今の阿部先生からの御意見ですけれども、世帯、全年収でやるかやらないかということで、少なくとも世帯年収の多さ、低さについては、世帯員1人当たりの年収を入れる、もしくは世帯年収を入れるということで調整はされていて、平均的な姿を所得とは変わりなく見ているというふうに捉えることもできるので、全て、全年収でやってはいけないという結論に今の段階で至れるか至れないかというと、ちょっと難しいかなと。特に阿部委員がおっしゃっていた高所得世帯だと、普通だったら一家に1台あるものが2台3台あるとおっしゃると、それは逆に言えばスケールメリットが働かないということですね。 低所得世帯では 1台でシェアしているから、要するに、それは1人世帯でも4人世帯でも同じ額でいいだろうと。それは逆に言えばスケールメリットがきくということなので むしろ 世帯員数が増えるほど 増えていくのであればスケールメリットがきかないということで、それは低所得世帯にとっても、逆に、切り詰めるだけ切り詰めているので、1人増えたら食費でもどんどん増やしていかないと最低水準の生活はできないということになるかもしれない。だから、どちらかは今見えてこない部分があるので、今の段階で結論を出すのはなかなか難しいかなと思いました。

 私からは以上です。

■駒村部会長 ほか、いかがでしょうか。

 では、小塩委員、お願いします。

■小塩委員 世帯で見るか世帯員で見るかというのは悩ましい問題です 、3ページの上のところに、世帯年収と世帯員単位年収の分布があります 先ほど阿部委員がおっしゃったように、世帯年収で見ると結構単身のウエートが高くなりますので、展開するとき、ちょっとバイアスがかかるという問題はやはり否定できないと思 います 。その一方で、世帯員単位にするとスケールメリットが働かないという問題があ ります 。ですから、今まで 両方の平均をと という、簡便法をとったということなのです 、その簡便法でこれからもよいかという判断が必要だと思 います

 一つの方法は、基本的には世帯員単位にする ものの 、例えば国民生活基礎調査で相対的貧困率を計算するときに、等価所得を計算されていますね。あのような形で、例えば世帯人員数の 平方根 で割るとか、あるいはOECDのように、 例えば、 子どもは0.7 という ウエートづけをして、スケールメリットを働かせた上で、基本的には個人単位で見るという仕方 いいのかなという気が します 。そうすると、先ほどグラフがありました 、大体同じ、真ん中辺のところにその結果 来るのかなと思 います。 のように、 個人単位で、かつ、スケールメリットを働かせるという工夫があって もよ いと思いました。

■駒村部会長 ちょっと考えてみないといけないですね。

 ではお願いします。

■山田委員 今、実は2つの要素について議論していて、1つは、推計するときに、全世帯をとるのか低所得世帯をとるのかと。低所得世帯をとるときに、今おっしゃったように、世帯年収で下位10%をとっているのか、世帯員1人当たりで下位10%をとってくるのかと。

■阿部委員 サンプルの問題だけなのですか。どのサンプルでやるかですね。

■山田委員 そうですね。どのサンプルでやるかなのだけれども、低所得世帯をとってくるときにもう一つ分岐が発生してしまうということで、 回帰係数で出すのと、実際のデータで出すのと どちらがいいかということで、今おっしゃった話は、8ページで見る限りは、まず世帯年収第1・十分位か、世帯員1人当たり年収第1・十分位かというところで、ピンクの線と薄いブルーの線という、要するに、多分、選択だと思うのですけれども、かなり重なってきているかもしれないと。ただ、これはちょっと、さっき言ったように、回帰係数からでなくて 実際 のデータから出しているので、回帰係数 で出した 場合にはちょっとわからない。

 7ページについても、ピンクの線と、あと薄いブルーの線を比べてどうかということですね。これも余り変わらないと。ただ、そうすると、少なくとも年齢別指数については余り変わりはないのかなと。下位10%を世帯員1人でとっているか世帯年収でとっているかについては、この結果を見る限り。下位10%をですね。

■阿部委員 ピンクと薄いブルーは両方とも世帯員1人当たりです。

■山田委員 濃いブルーの線ですか、そうすると。失礼しました。こちらは大分違うということですね。わかりました。私のほうで勘違いしていました。第1分位と第5分位のほうですね。そうすると、悩ましいところにはなるのですけれども、0.5乗でやってしまうと 逆に、単に中間をとってくるということですか。

■駒村部会長 阿部委員、お願いします。

■阿部委員 結局、それはどのサンプルでこの回帰を回すかということなので、何で世帯年収の第1・十分位と世帯員1人当たりの年収の第1・十分位でサンプルが違うことによってこんなに係数が違うのかということをちょっと考えなくてはいけなくて、単純に真ん中に来るというふうには、今は全然わからないですよね。

■駒村部会長 これは事務局に確認ですが、作業スケジュール的にはどうでしょう。今日、どこぐらいまで議論を進めておいたほうがいいのですか。

■清水社会・援護局保護課長補佐 いずれにせよ、先ほど御意見が出ました現行水準との比較のグラフというのを見ていただく必要があると思いますので、今回の資料でできる範囲で御議論いただいた上で、最終的には次回、現行水準との比較のグラフを出させていただいて、そこで見ていただくというように思っております。

■駒村部会長 今日の時点で絞り込み までは必要ないですね

■清水社会・援護局保護課長補佐 あと、御意見のございました等価でやったものも、作業 が間に合えば 御提示できればと思ってございます。

■駒村部会長 岩田先生、お願いします。

■岩田部会長代理 たしか前回は両方の中間でやっているのですね。そうすると、私がなぜサンプルとかぐだぐだ言うかというと、結局これは、例えば18万何千何百何円まで決まってしまうわけですね。それと現行との比較になっていくわけで、それが具体的な個々の世帯の受け取る生活保護基準を上下させていくわけですね。だから、そんな決め方でいいのということなのです。

 それともう一つは、5年ごとに、そのときのデータでまた一からこういう議論をして係数を出していくのかということなのですね。だから、前回の係数と今回の係数がどう違うのかということははっきり出して、なぜ今回はその中間値をとらないのかということもはっきりさせないと、だんだん統計の深みにはまっていますから、国民にはわかりにくいわけですよ。だから、透明なと言っていますけれども、本当に透明にやっていって、前回と今回は一緒なのか、違うのはなぜなのか。

 普通見た場合、今いろんな解釈がありましたけれども、例えば8ページの2類のこのグラフなんか見ると、普通、どうして4人で下がるのだろうと思いますよね。だから、それはいろんな解釈があり得るとは思うけれども、やはり全国消費実態調査データのある特徴を反映しているのかもしれないし、だから、そういうことを考えていかないと、保護基準というのは実態と比較するのだけれども、同時に、日本の生活最低限なのですよ。だから、ある理念というのをそこに持ち込まないと、毎回毎回そのデータと格闘して、こっちがいいかこっちが悪いかみたいなことでやっていくと、物すごいエネルギーを使うし、わからないですよね。生活保護を利用している方はもちろんのこと、国民にも非常にわかりにくい。

 だから、何となく自然説的に、高過ぎるとか、低過ぎるとか、そういうことだけが表面に出ていますけれども、本当はこういうことがみんなにある程度は理解できて、それでどうして前回こうなのに今回こうなのかということが理解できないと、ちょっと打ち出せない。1円まで決まって丈比べするというところに、考えると、そうでなくて、ともかく第1・十分位でいいのだという当たりをつけるとかそういう話ではないわけですよ。水準均衡のときはそういう話だったのです。ところが、どんどん細かい話になって、スケールメリットを統計的に、しかも1類も2類も世帯人員も考慮しつつやるということになると、しかも級地ですよね。これで決まるわけですよ。AさんならAさんの生活保護基準がね。だから、そこまでできるデータとは私にはちょっと思えないので、そういう決め方自体も含めて議論が必要なわけですね。どうしても今年はこれでやるのだというのはなぜかということも含めてです。つまり、水準が均衡しているかどうかということを確かめればいいのですから、均衡しているということでもあり得るのですよ。58年のときは多分そういう結論でいったと思いますね。ほぼ均衡しているとか、そういう結論でね。

 それから、もちろん、最終的には平均の6割水準に達しているかという検証も必要ですし、そういうことを考えると、すごくわかりにくい統計的な解釈にちょっとはまり過ぎていて、かえって検証を難しくさせているのではないかという気もするのです。

■駒村部会長 ちょっと難しい局面になってきましたので、どうしましょうか。今日の時点で、まず、どの分析方法がベストだということはまだ言い切れないということであります。今の岩田先生のお話も、今すぐに答えにくい部分もたくさんありますので、次の部会もまた日程調整が進んでいると思いますので、そこで少し報告書に向けて留意事項など、あるいは理念、あるいは検証方法、あるいはデータについて課題をまとめていくと。その上で、今回の検証はどこまでできるのかというのをまとめていかなければいけないと思います。

 資料2、かなり大事な局面ですので少し時間をかけていますけれども、どうぞ、栃本委員、お願いします。

■栃本委員 国民にわかりやすいという議論もありましたけれども、6ページのところの「世帯人員別(第1類費・第2類費)の指数の算定」という、この説明というか、例として掲げてあるのがありますけれども、この「例」の一番下のところ、うち単身とか、2人とか、3人とか。それで、指数化して、年齢、級地、家賃地代による消費の差を補正して、単身世帯だったら1.00で、2人世帯だったらこうこうと書いてありますね。これの指数化して、単身世帯だと1、2人世帯だと、3人世帯だという部分をもうちょっとだけ説明してもらいたいというのと、もう一つは、これは一番わかりやすいことというか、先ほど来の専門的な議論とは違うのだけれども、1ページ目のところで、今回、年齢区分について、これまでの審議会での各先生方の意見を踏まえて、現行年齢区分から新しい年齢区分という形になっていますよね。これは本当に誰でもわかることなのだけれども、児童と若年者と高齢者というくくりにしているでしょう。そういう名称にしていて、18歳から64歳が若年者となっているでしょう。

 これは本当につまらないことだけれども、そうすると私も若年者みたいなことになるわけですけれども、最終的な報告のときには直したほうがいいと。

 それで、先ほどの6ページ目のところについてもう一回教えてほしいというのと、それともう一つ、数年前のときも話したけれども、展開というのはある種フィクション。フィクションって、悪い意味でないですよ。全然そうでなくて。フィクションということなのだから、どのデータを使っても、先ほど来岩田先生が話されたように、そもそもデータ自身の偏りであるとか、数であるとか、その他、限界がありますよね。だけど、一番の専門家でいらっしゃる皆さん方そうなので、ただ、現在使うとしたらこれしかないからという形で使うわけなので、どれを選ぶかというのももちろん重要だけれども、しょせんはというと、展開作業というのはある種のフィクションということになりますので、それをやってみたときに、具体的な全体のボリュームゾーンとしては大体妥当するのだけれども、そうでない部分が出てくることがあるから展開の仕方とかその他、もともとのデータとかね。そこら辺については十分議論すべきだし、展開絶対主義というか、それは重要だというのはわかるのだけれども、基本は、フィクション語弊ないように言いますけれども、ある種の思考の組み立てでやるわけだから、その中で実際当てはめをすると、少人数だけどこういうものが出てしまうとか、そういうものはすごくありますから、そういうこともバランスをとって見ていくということがとても重要だと思うのですね。

 それで、質問というか、もう一回説明してくださいというのはさっきの指数のところ。

■駒村部会長 事務局、どうでしょうか。この6ページの説明が少しわかりづらいということだと思いますので、説明を今日いただくか、あるいはもう少し説明資料に工夫されるかと。いずれにしても、展開の話から先は、岩田先生も御指摘あったように、わかりやすさ、透明性、過度にテクニカルにならないように、仮にテクニカルになったとしても、そこはちゃんとテクニックな変更も説明できるようにしなければいけないということだと思います。もし事務局のほうで、この6について、もう少しブレークダウンして説明できるのならば今やっていただき、できないならば、別途また次回資料、わかりやすくしたものを用意いただきたいのですけれども、いかがでしょうか。

■免田社会・援護局保護課長補佐 別途、展開につきましては、 次回 の部会でも御報告しないといけないことがありますので、あわせて御報告させていただければと思います。

■駒村部会長 展開の議論に入ってくると本当に直接扶助の構造に影響を与える作業になりますので、両委員からもお話があったように、 作業内容が 復元可能なように、どういうロジックなのかをもう少しわかりやすくされたほうがいいのではないかと思います。これは報告書にもそれを反映させないといけないと思いますので、その辺の思考の整理をお願いしたいと思います。

 どうしましょうかね。本当は3時間コースになっていますので休み時間をここでとらなければいけないのですけれども、実はおくれています。委員の皆さん、どうでしょうか。5分ぐらい、一息つきますか。

 では、済みません。10分の予定でしたけれども、5分ほど一息つきたいと思います。11時5分から次の議論に入りたいと思います。

 

(休  憩)

 

■駒村部会長 では、再開したいと思います。

 資料2については、今まで議論したように、ちょっとまだ収束するところまでは来ていないというところですので、先の議論も残りありますので、今日は次の資料3について議論したいと思います。事務局から資料3について説明をお願いします。

■清水社会・援護局保護課長補佐 それでは、資料3「有子世帯の加算の検証におけるデータ分析の方法について」ということで御説明させていただければと思います。

 1ページ目をおめくりいただきたいと思います。1点、有子世帯の加算の検証につきましては、これまで、子どもの健全育成に係る費用、また1人親世帯のかかり増し費用の検証ということで、抵抗線の有無について確認したりというところで御意見が出てございましたけれども、今、資料1のほうに出させていただきましたけれども、抵抗線と判断に至る評価は 明確に できなかったということで考えてございます。

 このためということで、どういった観点でそれぞれの加算の考え方を整理していくかということで、今回、2点出させていただいておりますので、こういった考え方でよければということで、それぞれ考え方に基づいた結果がどうなるかということで作業を進めていきたいと思ってございます。

 1点目につきましては「子どもの健全育成にかかる費用のデータ分析の方法」ということで、これまで、子ども1人当たりに加算していた児童養育加算についてどのように考えるかという根拠になるかと思ってございます。

 子どもの健全育成に係る費用につきましては、これはこれまでの基準部会での御議論の中でも、学校外活動費に着目をして、その学びの機会だけではなくて、社会的、文化的な機会の幅を広げるものであって、これは重要なものであるといった御意見が出されていたかと思います。

 この点を踏まえて、子どもの健全育成に係る費用の分析につきましては、学校外の活動費、費用に類するものに着目いたしまして、一般的な費用がどうされているかというようなところを分析してはどうかということで考えてございます。

 学校外活動費として考えられる主な費用といたしましては、書籍、月謝類などの子どもの社会活動費用に関する費用、また、塾代ですとか補習教育費、どこかに出かける場合の交通費などについて平均的な支出がどうなっているかというところを確認いたしまして、生活保護の対象世帯である第1・十分位なり低所得者層と支出構造がどう変わっているのかというところを分析して、子どもの健全育成にどのぐらい必要かというところを検証いただければということで考えてございます。

 2ページ目、「ひとり親世帯のかかり増し費用に関するデータ分析の方法」ということで、従来、母子加算として加算を設けていたものの検証方法ということでございます。それぞれ、2人親世帯と1人親世帯の消費の違いに着目することとしておりましたけれども、2番目の丸でございますが、今回、資料1のほうでも、これまで御議論いただいたとおり、それぞれ固定的経費と変動的経費の支出割合というのを確認して、比較対象部位を検証していったという経緯がございます。

 あわせて、そのときに、母子(子1人)世帯の固定的経費、変動的経費の支出割合というのも確認を行いました。

 「その結果」というところでございます。下に円グラフがございますが、これは全体の、それぞれふたり親世帯、ひとり親世帯の固定的経費と変動的経費の割合でございますけれども、ひとり親世帯のほうがその固定的経費の割合が高いという結果が見て取れたところでございます。

 「このため」ということで、ひとり親世帯において、ふたり親世帯の生活水準 が同程度になる 、端的に言えば、固定的経費の割合が同程度になるために必要な費用がどの程度かというものを検証してはどうかということで考えてございます。

 こちらについては、子どもの費用に関する先行研究ということで、事例としては食費シェア法ということで、同程度のエンゲル係数の世帯であれば、その世帯の 厚生 水準、生活水準が同程度であると仮定してそれぞれ分析する手法がございますけれども、それと同様に、食費ではなくて、今回、固定的経費、変動的経費ということで分析していることも踏まえて、その固定的経費の割合が同程度になる世帯がその支出がどうかというところで比較してみてはどうかということで分析の方法の考え方を提示させていただいておりますので、また御議論いただきまして、よければこの方向で検証を進めたいと考えてございます。

 説明は以上でございます。

■駒村部会長 本体から少し離れて、加算について2点、健全育成とひとり親世帯のかかり増し経費をどう見るかという点に議論が移ってきますけれども、この2点について、委員の皆さんから御意見いただきたいと思います。

 岡部委員、お願いします。

■岡部委員  1 点目。 これは前回まで 強く意見を言わせていただいた点です。健全育成の考え方のもとで文化的・社会的な機会の拡充を図ることは、これまでも 述べさせていただきました ように、子どもの貧困対策という観点からもぜひ、学校外活動費の子細なデータ分析をお願いしたい。これ 1のところにかかわることです。

 2点目 変動的経費と固定的経費という支出、これも精査していただいて費目を出していただ 、その結果、変動的経費と固定的経費がひとり親とふたり親では6ポイントほど差が出てきて います 。これも健全育成という観点から特別な需要が発生して います。 これは加算に相当するということになるかと思いますので、この変動的経費が、ふたり親の方と同等、あるいはそれに近い割合に持っていただくよう進めていただきたい。

■駒村部会長 ありがとうございます。

 阿部委員、お願いします。

■阿部委員 1ページ目のほうについて幾つか意見を述べさせていただきます。まず、学校外活動費等に着目するというのは非常に有効なことだと思うのですけれども、以前の話では、文科省のデータ等を使うという話もあり、文科省のほうで詳細に学校外教育費ですとか調べておりますので、全国消費実態調査を使うことの一つの利点というのは、学校費として挙がってこないエキストラなコストというのを見ることができるということだと思いますけれども、ここで見ているような書籍ですとか月謝類ですとか補習教育費、そういったものは恐らく文科省のデータでとることができると思うのですね。

 ですので、なぜそちらを使わないのかということと、この集計イメージでちょっと気になることが、そうした場合に、夫婦子1人世帯に縛る理由って一体何なのだということです。だって子どもの経費だけ見るわけですから、夫婦子1人だろうと夫婦子2人だろうと、それが子ども1人当たりに換算できればいいわけで、1人だからということで分けられないからということであればわかるのですけれども、特にこれをやったら何か問題があるということは、私は今のところ思いつかないのですけれども、でも、なぜ夫婦子1人なのかなあと。これは今までの作業に引っ張られ過ぎているのではないかなということと、この作業をしたときに、また第1・十分位ですか、第2・十分位ですかという議論になるのかなあということなのですね。

 それは一体どうやって、どの分位だったら健全育成と判断するのかという材料が全くない中でこういう集計をしてしまってどうなのだろうということですね。第1・十分位だから第1・十分位ねと。でも、第1・十分位でそろえるのは生活扶助のほうでやるけれども、健全育成のほうではそれは適切ではないという話はこの部会でも何回も出てきた話だと思うのです。なので、まずこれをやる意味は何なのかというのがあるのですね。

 そういった意味では、文科省のデータのほうで、日本の平均的な動向というのを、あれは私立に通っているとか公立に通っているとかいったことで分けられていますので、公立に通っているということが前提であれば公立ということで、小学校、中学校。あと、夫婦子1人に限ってしまうと、年収、十分位別によって子どもの年齢が違いますよね。そのコントロールもしなければいけなくなってしまいますので、それよりも、小学生、中学生、高校生と分かれてやっている文科省のデータのほうがまだ使えるのではないかなと思うのですね。あれも5分位ぐらいまでは分けてあったと思います。

 もう一つ、根本的なところですけれども、上の2つ目の丸のところですけれども、私が気になっているのは、資料1の18ページの図ですね。これは先ほど岩田先生の御発言の中でも出てきたものですけれども、この第6から第13分位の間で並行な点があるというところですね。これが支出を落とさないように頑張っているというところなのではないかなあと。第6まで下がってしまったらもうどうしても落とさざるを得ない。でも、第13からは落とさないように、第6までは頑張っている点と考えることができるのであれば、私は、ここを抵抗線という判断に至る評価には至らなかったと結論づけるのはまだちょっと早いのではないかなと思います。

 なので、その根本的なところで、これが全く使えないという結論を出していいのかということと、十分位別にやったときに年齢等とかのコントロールも全くない中でこういったことをやって、それでまた第1・十分位か第2・十分位かという議論をすることについては疑義を申したいと思います。

■駒村部会長 健全育成のところですけれども、後半もありますけれども、かかり増しの話もありますけれども、ほかに委員から御発言ありますか。

 事務局、今の議論に対して何かありますか。

■清水社会・援護局保護課長補佐 まず、全国消費実態調査で見るというところでございますけれども、基本的には、生活扶助 基準の 類費 、2 類費 にどの程度 の費用が 入っているかというのを比較する必要があるかと思ってございます。こちらについては、これまでも子どもの健全育成については、低所得者の水準と合わせるのはおかしいのではないかというような御議論もございまして、一方で、その平均的な費用は保障すべきだというような御意見があったかと思います。仮にその平均的な費用 を加算する とした場合についても、では生活扶助、今、夫婦子1人世帯のモデル世帯の基準生活費1類、2類に同じ費用がどの程度入っているのかというところは1つ比較材料としてしなければいけないかなと思いまして、全国消費実態調査の各分位別のまず支出状況を確認してはどうかということで挙げているものでございますので、必ずしもこれで、第1・十分位がこの額だからいいのだというところでこの集計イメージを出しているものではないということは 御理解 いただければと思います。

■駒村部会長 阿部委員。

■阿部委員 集計する際にも、少なくとも子どもの年齢はコントロールしなければいけないと思うのですね。これは子どもの年齢によって全く違いますので。十分位別の子どもの年齢の差がありますので、私は、これは恐らく回帰分析か何かしない限りはきちんとした金額は出てこないのではないかなあと思います。

■駒村部会長 岡部委員、お願いします。

■岡部委員 私のほうでは、健全育成の考えのもとに加算 検討 において 、健全育成という言葉が入った こと は非常に意 があ ると お話したと思います。これは一般児童対策の概念が入っています 先ほどお話が出ました第1・十分位 だけ で検討することではなく、水準均衡方式の考え方 は、家計経済、家計構造の中の抵抗線、変曲点という考え方 が入っています。 もう一方では、この水準均衡方式 導入 、相対的な剥奪、相対的な貧困という考え方が入 、一般的な、標準的な社会的な生活様式に見当たった生活資源が不足している状態、要するに剥奪されている にも着目する考え方がその当時議論 として あったかと思 います

今回、 子どもの関係で健全育成 の考え方 を入れたことは非常に画期的で あり 、これはある意味では、一般の児童の標準の考えのもとに、子どもの学習費用、学校外活動費を考えていただくことをぜひお願いしたい 第1・十分位ということで比較対照するということを超えて、標準的な 水準 にできる限り近づいた形でのデータの取り方をやっていただきたいということでお願いしたい。

■駒村部会長 ほか、委員のほうから御発言ありますか。

 かかり増しについては特段議論は出ていませんけれども、いいですか、この考え方で。割と使われる研究の手法ではありますけれども、エンゲル係数にかえて固定経費性があるというのは一つの違う点ではあって、通常はエンゲル係数シェアで分析することが多いのですけれども、いかがでしょう。ここはまさにテクニカルな部分ですけれども。

 よろしいでしょうか。

 実はまだもう一個テーマがあって、これも大物が1個残っておりますので、よろしければ次の話に入りたいと思います。資料4について、事務局から説明をお願いします。

■清水社会・援護局保護課長補佐 それでは、資料4について御説明させていただければと思います。

 「生活扶助基準の毎年の改定方法等について」ということで、1ページ目をお開きいただければと思います。主に2点ございますけれども、生活扶助基準の毎年の改定につきましては、水準均衡方式の考え方を踏まえて、具体的には政府経済見通しの民間最終消費支出を指標として、毎年度の基準改定をどうするかということを考えてきたところでございますけれども、これが今日の経済情勢等に照らして、方法をどうすべきかという点、あわせて、今回の検証に用いた全国消費実態調査の調査年次が平成26年のデータでございますので、それに基づいた基準額を設定する場合のその間の消費動向等の対応についてどのように考えるかというところで御意見をいただければと思ってございます。

 まず1ページ目の、現行参照指標としています「民間最終消費支出への準拠について」ということで、こちらについては、水準均衡方式導入時、昭和58年の中央社会福祉審議会の意見具申におきまして、その政府経済見通しの民間最終消費支出を勘案して行うべきというような御意見をいただいて、以後、その指標を確認してきたところでございます。

 2番目の丸でございますけれども、「しかしながら」ということで、政府経済見通し、あくまでも予測に基づく数値でございますので、 例えば、 予測値に基づいて 増額 した場合に、翌年度、その実績値が予測値を下回ったことが判明した場合については、それを加味して、前年 は増額した けれども、今年は実績に基づいて下げるというような、理屈上はそういった改定が、予測と実績の乖離の差 の調整 というのが避けがたいというところがございます。

 また、同じように、指標がそのように例えばマイナスになっていた場合というのは、そのまま反映させることとすると、詳細な分析等を経ないままのマイナス改定を行うことになるという課題があると考えてございます。それを踏まえて、毎年の社会経済情勢と生活扶助基準との関係をどう考えることが適当かというところで少し課題を提示してございます。

 2ページ目につきましては、参照といたしまして、近年の民間最終消費支出とそれぞれの「見通し」と「実績」の状況、また、それに連動する生活扶助基準の改定率ということで出してございます。実際 の改定 は、総合勘案 をして で、平成26年度の生活扶助基準改定率の2.9%という消費税率の改定 のみに になってございます。

 3ページ目は「具体的な論点」ということで4点ほど挙げさせていただいております。1点目につきましては、これはそもそも何を基本として考えるかというところでありますけれども、生活扶助基準については一般の国民の消費水準との均衡を図るということでやってございますので、毎年度改定におきましても、基本的には消費の動向に着目するということで考えてございますけれども、そういった考えでよいかどうかということで御意見をいただければと思ってございます。

 また、2番目でございますけれども、基本的に全国消費実態調査、5年に1回の調査でございますので、それ以外で参照することが適当と考える指標があるかという 点になります。例として 点線の枠内で設けてございますけれども、ほかの消費データといいますと家計調査がございます。

 もう一つ、2番目で書いてございますけれども、消費者物価指数ということで、これは実は前回改定のときに生活扶助に相当するCPIというものを算定しまして改定を行ったという経緯がございますけれども、そういったものを参照することをどう考えるかという論点を1つ挙げてございます。

 3番目ということで、毎年の動向を即応的に考慮することが必要な場合、どういった場合にその基準を上げる必要があるのか、改定する必要があるのかというところと、その適切な方法についてどういったことが考えられるかということで3点目の論点として挙げてございます。

 4番ということで、先ほど論点の2つ目として挙げてございますけれども、基本的には、毎年度の改定をどうするかとどのような指標を用いるかということと連動するかと思っておりますけれども、それでは26年の調査データのところからの補正をどのように考えるかと。毎年度の改定でこういったものを使うべきという指標がもしできれば、その中で、直近までの経済情勢の変化を考えられるのではないかということで、4として挙げてございます。

 4ページ目につきましては、消費で見る場合につきまして、5年に1度の検証と余りそごがないものを考える必要があるのではないかということで、全国消費実態調査の動向と家計調査の動向を比較したものでございます。それぞれの、所得部位ごとに比較してみるところ、全国消費実態調査と同じ時期の家計調査を比べても少し 齟齬 があるというような状況でございますので、直接的な家計調査を用いるということ 課題があるのかなと思ってございますけれども、この辺をどう考えるかということで御意見をいただければと思ってございます。

 5ページ以降、<参考>といたしまして、それぞれ前回用いた生活扶助相当CPIの考え方等についても記載してございますので、こういった物価をどう参照するか、参照することが適当なのかどうかというところも御意見をいただければと思ってございます。

 以後、参考データとしましてそれぞれの個別のデータというものをつけてございますので、それもごらんいただきながら御意見をいただければと思ってございます。

 説明は以上でございます。

■駒村部会長 ありがとうございました。

 この改定に関する議論もこれまでほとんど議論してこなかった部分で、極めて重要な部分です。ちょっと事務局に確認したいのですけれども、まだ資料5が残っていますが、今日は資料5も議論しておかなければいけないという理解でいいですか。そうすると、会場、どのぐらいまで後ろが迫っているのか、あと30分で2つの議論を終えなければいけないのか、この辺ちょっと余裕を教えてください。

■清水社会・援護局保護課長補佐 資料5は「家庭の生活実態及び生活意識に関する調査」ということで、剥奪指標の考え方をもとに整理したものでございまして、基本的には集計結果の御報告ということが中心になるかと思ってございますので、場合によってはまた次回でも御報告させていただければと思ってございます。

■駒村部会長 では、資料4について集中的に議論していきますけれども、10分や15分ぐらいオーバーしても大丈夫ですか。

■清水社会・援護局保護課長補佐 はい。

■駒村部会長 では、この改定方法についての議論をしたいと思います。委員の皆さんから御意見いただければと思いますが、いかがでしょうか。

 山田委員、お願いします。

■山田委員 ポイントはやはり最低生活水準を保障するので、何らかの形で年度初めに見通して、年度途中で足りなくならないようにしなくてはいけないというのがあると思うのですね。ですから、何らかの、過去のトレンドがこうだったからといって、それに合わせてしまうと、年度途中で万が一物価等が上がって足りなくなった場合どうするのかということで、今までやってきたやり方というのは、そういう意味では、先を見通し、年度途中に最低保障生活水準を下回るということが実質的に起こらないようにするという意味ではそれなりに理由があったのではないかと思います。

 これを要するに、いろんな過去の調査に基づいてこうだったから決めるというと、逆に、過去のデータを使ってのトレンドが必ず続くということを前提にしてしまうのと、あと、そうした適当な、それに基づいて将来を予測することができるのかということですね。それに基づいて将来を予測していいのかいけないのかということで、やはりなかなか難しいとなると、現行のやり方で事務手続としては煩雑になるかもしれないですけれども、乖離が出た場合には何らかの形で事後的に考えるということしかないかと思います。

■駒村部会長 今の確認です。おっしゃっている意味は、現行については政府経済見通し、それを使うというわけではないのですね。

■山田委員 事務局にもう一回、現行のやり方をどうやっているかというのをまず確認したほうが、そういうことであればいいと思いますのでお願いできればと思います。

■駒村部会長 現行のやり方をもう一回確認してください。お願いします。

■清水社会・援護局保護課長補佐 現行のやり方でございますけれども、実際には1ページ目の※印のところで文章としては書いてございます。例えば翌年度平成30年度の基準をどうするかということを勘案する場合に、この年末に来年30年度の政府経済見通しが発表されますので、そこでプラスマイナス何%というのが出るというところで、基本はそこの動向で勘案するということになりますけれども、あわせて、前年度における見通しとその実績見込みの差というものが出てまいります。例えばそれが前年度プラス1%で予想していたけれども、実績見込みとしては伸びませんでしたということになりますと、1%基準を伸ばしたけれども、やはり伸びていなかったので1%引き下げましょうというような調整をもし機械的に行うとすれば、そういった調整を行う必要があるということでございます。

■駒村部会長 今のようなやり方で山田先生はいいと いうことでしょうか

■山田委員 基本的には、民間最終消費支出が生活保護受給世帯が直面する消費支出と完全にその中身、内容的にも 年度途中でも 一致するかどうかというのは非常に検証するのが難しい作業だと思っているのですね。ただ、その考え方として、見通しに合わせて、その見通しが現実化した場合に足りなくならないように基準額を設定するという考え方は、私は、やり方としては、将来上がるのであれば事前にそれに備えておくというやり方は理にかなったやり方だと思います。

 ただ、ではそれがほかの指標 より いいかというと、よりよい指標が一体どういう物価の見通しとしてあるのかというと、現実にそれを我々がつくり出せるのか、とりわけ生活保護基 準以下の世帯 が直面する価格とか、特に物価の場合には品質のコントロールも必要になるわけでして、それらを全て勘案するような指標ができるのかというと、現行では難しいところがあるのではないか。そうすると、現状のやり方以外にベターなやり方がない以上、何か新しい指数が開発されない限り、それを使うというような判断をするのは難しいのではないかというのが私の意見です。

■駒村部会長 資料の3ページも幾つか考え方が整理されているわけで、前回は検証期間のずれを修正するために、生活扶助相当CPIという、 生活保護で しか使わない仕組みを使ってやられたということでありますけれども、ほかの委員から議論はいかがでしょうか。

 岩田委員、お願いいたします。

■岩田部会長代理 改めてこういうものが出たのはなぜなのかなという気もちょっとしているのですけれども、1つは、5年ごとの検証というのが、データとの乖離も少しあって時間がかかるので、毎年改定をどうするのかと。どうしてきたかというのを見ると、民間最終消費支出への準拠で来ていると。しかし、実際には、この間のように物価でやったこともあるという実績が出ているわけですね。それをもっと合理的な方法にかえられないかという提案なのでしょうか。それとも、ここでどう決めようとまた物価でやっちゃうからねということがあるのか、どういう意味なのかというのがちょっとわからないというか、この毎年の改定の方法等についての提案の意味が何となくしっくり来ないので、解説をお願いできますでしょうか。

■駒村部会長 この議論、初めてなのですね。先生、この改定方法については、過去、先生御存じの範囲で、生活保護の関連部会でこういう議論あったのでしょうか。ちょっとお願いします。

■岩田部会長代理 物価についてはあったのですね。これは年金との関係もあって。そのときはやはり、58年の審議会のこの文言を盾に、強力に、見直し委員会のときですけれども、反対したという経緯があったと思いますね。だから、それはそのままになって、そのとき、要するに、それまでは水準格差縮小でやってきたのが均衡したよと言っただけなのですね。それで、恐らくこういうやり方でやってきたと思うのですけれども、その間ほうっておいたのではないかと思うのです。で、初めて加算の問題が出てきて、丈比べを始めたというようなラウンドが始まったので、そのあたりから経済環境も変わってきたということはもちろんあるので、見直しを本格的にするというやり方があるし、それを決めたらそれ以外の方法はやらないよという約束をしてくれるのかどうか。

■駒村部会長 だから、昭和58年以来をきちんと生活扶助基準の実質価値を経済変動に対してどう保障するのかという議論であるということで、岩田先生は、そういう意味ではアドホックなものではなくて、きちんとしたルールをこの際確立したほうがいいのではないかというお話だったということだと思います。だから、今までの議論とちょっと毛色が違うというか、ただ、それでもとても重要な議論だと思っていますが、ほかの委員から、どうでしょうか。この経済動態に対してどうやっていくのかというのは、これは所得保障政策の中ではとても重要なファクターに当然なっているわけですけれども、 たとえば、 年金 、御存じのとおりの財政安定化のためのスライド方式をとっているわけですけれども、こちらのほうは生活扶助ですので、その実質価値をいかに担保するかという形のスライドを考えていくのか、それとも従来どおりの方法でいいのか、58年の考え方を経済の実態の変化に応じてどう見直していくのかという議論で、これは、事務局、今日の時点で何らかの収束点を求めなければいけないのか、これはこれで少し議論を続けるべきなのか、時間的にかなりしんどいのですけれども、どうでしょうか。

■鈴木社会・援護局保護課長 事務局といたしましては、前回、26年の全国消費実態調査のデータをもとに検証をお願いしていまして、そこから今日までの社会情勢の変化をどう考えるかという問題は今回改定を行う際に何かしらの整理が必要だと考えてこういう提案をしているわけですが、そうしますと、結局、毎年改定というのを今まで民間最終消費支出に準拠してきたかということとの関係が問われるということで、ここでは一緒くたに論点として挙げさせていただいておりまして、私どもとしても大変悩んでいるところでございまして、そういう意味で、先生方にお知恵を拝借できれば大変ありがたいと思っておりますが、一方で、本質的な改定の考え方というのは大変いろんな御意見があり、また理念にもかかわるものでございますので、そう簡単に結論が出にくい問題であるということも認識いたしておりますので、当面どうするか。この3年間、26年以降のことをどう今回の検証で取り扱うということに関しては、何かしらの示唆をいただければありがたいですけれども、それの次のステップの大きな毎年の問題というのは、ある意味、よく御議論いただく必要があるということであればそういうことかなと思っております。

■駒村部会長 1ページに書いてあるように、2つの話が出てきているので、そういう意味ではいずれも重要な議論ですけれども、平成26年のデータから平成30年の基準額を設定するという、この間をどう対応するのかということで、前回は、これはただ部会では議論してない、生活扶助相当CPIという分析方法を使っているわけでして、これをどう考えていくのかということは一方であるわけですけれども、ただ、限られた時間でこのスライドに関する生活扶助にふさわしいスライドの考え方を整理するというのはかなりしんどい感じがしています。もちろん、これは継続的に研究していかなければいけない点かもしれませんし、暫定としては、今の時点では、この議論は少し続けて研究するというふうにしておくか、限られた時間でこれが出てくるとちょっとしんどいのかと思います。ほかの委員。

 では、阿部委員、それから岡部委員、お願いします。

■阿部委員 生活保護の場合、そのほかの給付制度と違うところは、それで最低生活を保障しなければいけないというところですよね。そういった意味で、物価というのは物の値段が変わることなので、それによって変えるというのはまだわかるのですけれども、消費動向によって変えるというのは理論的に言って何なのだというのがあるかなと思うのです。例えばすごい物価が上がってしまって多くの人々が飢えているようなときに、所得はそんなに上がりませんので、それで消費動向と合わせて最低生活を保障していますと言うのですかというようなことですね。

 なので、基本的なところとして私が申し上げたいのは、最低限の生活が守れているかという検証を入れないで改定していくというのは非常に危険だなあと思うのですね。ですので、5年ごとにやっている、これはまさにそれをやっていることになっているのですけれども、それ以外のところでちょこちょことというのは非常に懸念されるところかなと思います。

■駒村部会長 そのあいている期間をどうしろという のでしょうか

■阿部委員 物価ならわかるのです。物価もいろいろありますけれども、でも、消費動向というのはちょっとわからないなあという気がします。

■駒村部会長 この辺もちょっと、みんなが我慢しているときに生活扶助まで一緒にいくのかという話なりということですね。

■阿部委員 そうです。

■駒村部会長 では、岡部委員、山田委員とお願いします。

■岡部委員 水準均衡方式を導入して、消費水準との見合いで考えるということで基本的には考えられてき まし 、先ほど部会長が おっしゃったように 、極めてアドホックにやられていて、消費水準が下がったとしても生活の基準は下げなかったという時期が何回もあ ります 。これは先ほどのところで、このテーマで考えるならば、一言で言うならば、拙速に決めるのではなくて、継続して考える場をつくっていただきたい。

■駒村部会長 では、小塩委員。

■小塩委員 私も慎重に議論したほうがいいと思 います。 最終消費支出に準拠するというのは、水準均衡方式の考え方からすると非常に納得いく議論だと思うのです 、毎年の消費動向をしっかりと見ること なかなか難しいと思 います 。まず家計調査と全国消費実態調査がちょっと違う動きを示す。それから、政府が出している見通しは外れるのが当たり前。しかも、ちょっと高目に見て、後で低くなるという傾向があります。それにつられて調整するというのは非常に事務的にも問題がありますし、実際に生活保護を受けていらっしゃる方も困 ので、私は、消費で調整するという ことに は余り積極的でありません。

それでは 、物価でやるべきなのかということ になりますが 、それ あり だと 思います。年金の物価スライドと同じような形で、物価水準に合わせて調整する のも 一つの考え方だろうと思 います 。ただ、物価が落ちたときにどうするかという、また悩ましい問題があ ります。 最低限度の生活を保障するという、その点に重きを置くとちょっと慎重に議論していい と思います 。何とも歯切れのいいしゃべり方ができないのです 、そのように思っております。

■駒村部会長 悩ましいです。

 山田さんが先だったので、山田先生、栃本先生、お願いします。

■山田委員 私も、この時期にこの非常に重いテーマを議論するというのは、やはり時間をかけたほうがいいというのがまず思っていることで ただ難しいのは、今、物価と消費の見通しなのですけれども、物価だと、要するに過去のデータがこうだったから、今年基準改定するときに、今年もそうでしょうと言って改定すると。見通しは、いろいろと粗っぽいと、もっと適切な指標があるのではないか というのもありますけれども、見通しは、これからどうなるか、これから消費が伸びていくのであれば、もちろん伸ばしていかなくてはいけないと。物価だと過去のデータに基づいて、この過去の物価動向に合わせてやるというのと、消費 の見通し だと、将来 ある程度予測しながらやるというので、 時系列で どっちの方向を向いて基準を改定するのかというので難しい問題があるの ではないか あとは、小塩委員が御指摘されたとおり、常に、今使っているものだと上触れのリスクがある ため 、年度途中にひょっとしたら 基準額が 足りなくなるというリスクはかなり低く できている 可能性もあるので いずれにしろ、 より よい指標、プロスペクティブな指標が見つからない限り、これを検討するというのはかなり難しいことではないかと思います。

■駒村部会長 栃本委員、お願いします。

■栃本委員 CPIを使ってというのはもともと扶助の額というものを、この生活保護制度というものが発足して、その後どういう形でやるかということになると、古い文献というか、本なんか見ても、CPIって必ず出てくるものですよね。その上で、これに今書いてあるCPI、厚生版のと言うとあれだけれども、生活扶助相当CPIというのは一つの非常に重要なポイントだと思うのですね。

 あとは、先ほど部会長代理からお話がありましたけれども、毎年の改定方法等についてというようなお題というか、資料というか、そういうのは今回初めてということ です 。それで、慎重に考えたほうがいいとか、拙速はだめだとか、それは常識的に出ると思うのだけれども、このようなお題が出たということが非常に重要なわけですね。これはいろんな意味で歯どめというか、我々研究者で検討しているわけなので、政府見通しというのは、政治的・政策的な観点からという要素がどうしても入ってしまう。きちっとつくった上で でも。 また、いろんな要素が入ることは確か です。もう一つは アナウンス効果 いうものもありますねと。数字というのは。

 したがって、そういうものの活用についてというのは、議論を慎重にするというよりも、それを単純に活用することについては極めて慎重でなければいけないというような文言が記録に残るという ことが 極めて重要だと思うのですね。具体的に詰めるということはもちろん1回でできるわけではないし、ただ、今回初めてこういう形で提起されたというのは非常に誠実な ことだと思います。 これがどういう形で変更するかということについて、全然部会とは関係なしに行われるということがある、そういうことはあり得べしなのだけれども、その際に、我々とすると、非常に丁寧に議論しているものが、このような見通しであるとかそのようなものによって 変わってしまうということは 非常に困るということは申し上げなければいけないなということだと思うのですね。

 以上です。

■駒村部会長 部会の議論にこれが入ってきたということは極めて重要な点であると。

 岩田委員、お願いします。

■岩田部会長代理 先ほど全国消費実態調査のことで申し上げましたけれども、家計調査は全国消費実態調査よりもっとデータへの不信が高い調査で、これは今政府でどうにかしなければということで、統計局も勉強会をずっとやっていると思うのですが、先ほど小塩先生もおっしゃったように、全然違う方向を向いています。まして、家計調査というのは半年を2回、違う対象でやって、1年を通せるというところに意味がある。経年的な変化を見るのに意味があるのですけれども、横断的な分析には向かないのですね。それを全国消費実態調査に合わせて9、1011で切り取ったり、そういう使い方はまずできない。ですから、経年変化をモデル的に追うというのはできると思うのですけれども、その辺は、今、統計局も、家計とか全国消費実態調査とか、それから、それを補完する調査もやっていますよね。要するに、高い品目の消費とか出てこないというわけです。だから、経済課が怒っているわけですよね。

 だけど、もしかすると、我々のほうから見ても、何かおかしいかもしれない。真ん中辺にとまっている。この両方が出てこないと言うのですね。サンプルの問題だけでなくて、かなり記帳漏れとか、間違って、わざとゼロが1個多いとか、そういうことまで言われているのです。そういう勉強会が多分続いていると思うので、やはり厚労省も、特に生活保護との関係で使っているわけですから、少し統計局などと一緒に勉強会に参加しながら、データ的に大丈夫かというのを確かめてやらないと、非常に拙速というか、何でもありになってしまいますよね。そうすると、毎年改定で5年に1度やってというと二重に引き下げがこの間みたいに出てしまうということが今後もあり得ると思うのですね。ですから、ここは慎重に、せっかく全国消費実態調査で透明性の高いなんてやっているわけですから、より批判の出ないやり方というのを研究してからにされてはどうかと思います。

■駒村部会長 先ほどの前半の議論でもありましたように、データに基づいて、実態に基づいてというふうに検証方法がウエート増していくわけですから、厚労省も、この扶助の基準を議論するときには、このデータに関する取組というのをきちんとやっていただきたい。これは先ほどの扶助の話だけではなくて、このスライドについても同様ではないか。この辺は大事な指摘だったと思います。一応念のためにお聞きしたいのですけれども、予期しないような大幅な物価の変動が起きたときには、これは緊急的にこれまでも対応していたということはいいですね。

■清水社会・援護局保護課長補佐 過去の例でございますけれども、かなり昔になりますけれども、例えばオイルショックのときとかは年度途中に基準改定をして引き上げたという実績はございますので、当然ながら、例えばハイパーインフレとか、そういった大きな経済変動があったときにはそれなりの対応を考えなければいけないと思っています。

■駒村部会長 そこは所与とした上で、この議論はもう少し慎重に進めていくということになると思います。

 時間が来ております。どうしましょうか。資料5、頭出しぐらいしますか。それとも、もう次回にしてしまいますか。

■清水社会・援護局保護課長補佐 では、ちょっと手短にはなりますけれども、資料の説明をさせていただければと思ってございます。

 資料5「家庭の生活実態及び生活意識に関する調査」に関する分析ということで、先ほど少し簡単に触れましたけれども、1ページ目、お開きいただければと思います。今回、それぞれ家庭の生活実態ですとか生活意識を見るというところで別途調査をやってございまして、生活保護の結果につきましては、7月 の審議会で生活保護分の集計を資料として御提出させていただきました。今回は、一般世帯分の集計の結果ということで、特に阿部先生の先行研究でやられているような剥奪指標というもので、そういった社会的な必需項目の不足がどういった年収で起こっているかというところの集計を行ったというものでございます。集計方法等についてはまた 資料を ごらんいただければと思ってございます。

 集計の結果、幾つかかいつまんで御報告させていただければと思ってございます。

 まず、資料飛びまして8ページをごらんいただければと思います。こちらは、等価所得ごとに 幾つかの項目がございます 、社会的に必需と思われる項目がどれだけ足りていないかというものを指数化しまして、等価所得ごとに分布を調べたというものでございます。

 子どものいる世帯で分布を調べますと、この右下が等価所得になってございますけれども、等価所得360万円くらいまではほぼフラット、剥奪指標も2以下ということで、余り剥奪が起きていないという状況でございますけれども、そこから指数が上昇していくというところが見て取れるかなと思います。

 同じく10ページがひとり親世帯ということで、サンプル数が577件ということで限られますけれども、同じような分析をしてございます。それぞれ、等価所得で言うと、300万円ぐらいから指数が急激に上昇しているという結果が見て取れるかと思ってございます。

 ここで12ページのところを見ていただきますと、それぞれ子どものいる世帯、ふたり親世帯とひとり親世帯と社会的必需項目の不足に関してどう違うかを分析してみた結果でございます。

 その結果、一番右下を見ていただきますと、同じ等価可処分所得でどのぐらい剥奪指標が違うか分析をしてみた結果ということで、右下の表で、ふたり親世帯の指標については3.37に対しまして、ひとり親で見ますと6.06ということで、こういった社会的必需項目、生活意識の面でも、ひとり親世帯のほうが、同じ所得でも、厳しい結果、生活になっているということは見て取れるかなと思ってございます。

13ページ以降になりますけれども、高齢単身世帯、高齢夫婦世帯ということでそれぞれ分析を行ってございます。同様に、どこかの所得分位から指数が上昇しているということで、等価所得が少なくなると、当然ではございますけれども、そういった剥奪の状況も厳しさを増すということは見て取れるかなと思ってございます。

17ページ以降は「一般世帯と生活保護受給世帯との比較」ということで、これは特に年収等調整をしない全世帯の平均値ということで比べてございますけれども、青線が一般世帯、オレンジの線が被保護世帯ということで、それぞれ、その点数については被保護者世帯のほうが多いという結果になってございます。

20ページ目以降は、同じく生活実態、生活意識調査の中で、育児ですとか子育て、教育関係に関する設問について記載いただいたもので、それをグラフ化したものでございます。これもそれぞれ等価年収ごとに比べますと、所得が低くなりますと、例えばレジャー施設とかそういった施設に行けなかったり、本、雑誌等の購入が金銭的な理由でできなかったりというような状況が見て取れるかと思ってございます。

22ページは教育・習い事に関する設問の状況ということで回答を整理してございます。

 同じく23ページ目につきましては、それぞれ最初の社会的必需項目と子育てに関する項目を、これは中学生以下の子どもがいる世帯に限って聞いてございますので、その世帯に限られますけれども、それぞれの指標を合わせた剥奪指数をグラフ化したものでございますので、またごらんいただければと思ってございます。

 また、次回でも、これに基づいて御意見とか御指摘等 があれば いただければと思ってございます。

■駒村部会長 ありがとうございました。

 時間が来てしまって、私の 会議の運営 が余りよくなかった部分があると思います。3時間でも足りなかったわけでありますけれども、資料5については引き続き次回も議論するということで、本日の審議は以上にしたいと思います。

 事務局から次回の開催について連絡をお願いします。

■清水社会・援護局保護課長補佐 次回日程については調整中でございますので、また追って御連絡をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

■駒村部会長 ありがとうございました。

 それでは、本日の議論は以上とさせていただきます。御多忙中ありがとうございました。


(了)

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