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2017年12月15日 第23回厚生科学審議会感染症部会

健康局結核感染症課

○日時

平成29年12月15日(金)10:00~12:00


○場所

厚生労働省 専用第22会議室(18階)


○議題

(1)風しんに関する特定感染症予防指針の改定について
(2)急性弛緩性麻痺の届出について
(3)季節性インフルエンザり患者の推計方法等の変更について
(4)報告事項 
   1.コンゴ民主共和国におけるエボラ出血熱の終息について
   2.ウガンダにおけるマールブルグ病の発生について
   3.マダガスカルにおける肺ペストの流行について
   4.鳥インフルエンザH5N1の発生状況について
   5.鳥インフルエンザH7N9の発生状況について
   6.AMRワンヘルス動向調査年次報告書の公表について
   7.AMRワンヘルス東京会議の開催について
   8.国際薬剤耐性研究開発ハブの構築について
(5)その他

○議事

○野田結核感染症課課長補佐 定刻となりましたので、ただいまより第23回厚生科学審議会感染症部会を開催いたします。開会にあたりまして、福田健康局長より御挨拶申し上げます。

○福田局長 健康局長の福田でございます。開会にあたり、一言、御挨拶申し上げます。委員の皆様には御多用のところ、御出席を賜り誠にありがとうございます。また、日頃から皆様には感染症対策の推進について御指導を賜り厚く御礼申し上げます。

 感染症対策については、近年では西アフリカのエボラ出血熱、中南米のジカウイルス感染症などの流行がありました。このような感染症危機事案に関しては迅速かつ適切な対応が必要になります。また、AMR問題のように長期的に対応する必要がある課題もあります。私自身、前職の技術・国際保健総括審議官であった頃には、このような感染症を含めた国際的な健康危機管理を担当してまいりましたが、そのような経験も踏まえますと、国内外の公衆衛生施策、取り分け感染症対策は極めて重要と考えております。

 本日は、風しんに関する特定感染症予防指針の改定、急性弛緩性麻痺の届出、季節性インフルエンザり患者の推計方法等の変更に係る議題について御審議いただく予定です。いずれも日本の感染症対策において重要な議題であり、委員の皆様方には、真摯で活発な御論を頂きますようお願い申し上げます。

 以上、簡単ではございますが、開催に当たっての挨拶とさせていただきます。本日は、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○野田結核感染症課課長補佐 今回より新しく入られた委員を御紹介します。大曲委員です。

○大曲委員 国立国際医療研究センターの大曲でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○野田結核感染症課課長補佐 本日は欠席されていますが、金沢市の越田委員も参画いただいております。次に、委員の出席状況を御報告いたします。本日は、岩本委員、賀来委員、越田委員、清水委員、中山委員より御欠席の御連絡を頂いております。また、山中委員より到着が遅れる旨の御連絡を頂いております。現時点で定足数以上の委員に御出席いただいておりますので、会議が成立しますことを御報告いたします。

 次に、資料の確認をいたします。議事次第、配布資料一覧、委員名簿、座席図のほか、資料1~資料11、参考資料1~参考資料11を御用意しております。不足の資料がございましたら事務局にお申し付けください。以降の議事運営については、倉根部会長にお願いをいたします。

○倉根部会長 それでは、本日の議題を確認します。議題1「風しんに関する特定感染症予防指針の改定について」、議題2「急性弛緩性麻痺の届出について」、議題3「季節性インフルエンザり患者の推計方法等の変更について」、議題4「報告事項」、議題5「その他」となっております。委員の皆様には円滑な議事進行に御協力をお願いいたします。

 それでは、まず事務局から審議参加に関する遵守事項につきまして、報告をお願いします。

○野田結核感染症課課長補佐 審議参加について御報告いたします。本日の議題3では、抗インフルエンザウイルス薬に関連した審議を行います。荒川委員から、審議品目の製造販売業者又は競合企業から寄付金・契約金等について、申告対象期間中に50万円以上、500万円以下の受取があったと申告がありました。厚生科学審議会感染症部会審議参加規程第10条に基づくと、荒川委員は、議題3の審議及び議決が行われる間、出席、意見を述べることができますが、議決には加わらないよう、お願いすることになります。この取扱いについてお諮りいたます。なお、COIの詳細については後日、ホームページ上に公表させていただきたいと思います。

○倉根部会長 荒川委員からの申告につきまして、委員の皆様に、御意見をお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。異議がないようですので、荒川委員は議題3の議決に加わらないよう、お願いすることとします。

 それでは、早速ですが、議事に入りたいと思います。事務局より、議題1「風しんに関する特定感染症予防指針の改定について」、お願いします。

○高倉結核感染症課課長補佐 それでは、「風しんに関する特定感染症予防指針の改定について」御説明いたします。まず、改正の経緯と概要です。風しんに関する特定感染症予防指針は、感染症法に基づき、風しんの発生予防及びまん延の防止等を目的に作成されました。

 今般、風しんの発生報告数が、風しん全例で疫学調査の実施が可能と考えられる件数まで減少したことから、風しんの排除状態を達成するため、感染症法の施行規則(平成10年厚生省令第99)を改正し、診断から届出までの期間を「7日間以内」から「直ちに」へと変更することが、第21回感染症部会において了承され、平成291215日に告示されました。

 また、第22回感染症部会及び第19回予防接種基本方針部会において、麻しん・風しんに関する小委員会を設置し、指針についても改正を行うことが了承されました。

 平成291019日に開催された第1回小委員会において、サーベイランスと疫学調査に係る記載について、別添の改正案が了承され、平成30年度中を目途に、現状の風しん対策を総覧し、再度指針の改正を行うこととされました。

 指針改正案の主なポイントです。1番目のポイントは、風しん及び先天性風しん症候群の届出です。現行は「診断後7日間以内」ですが、こちらを「診断後直ちに」に変更するというものです。2番目のポイントは、風しんの発生時の迅速な対応です。現行は「地域で風しんの流行がない状態において、風しん患者が同一施設で集団発生した場合等」ですが、こちらを感染経路の把握等の調査を「風しん患者が一例でも発生した場合」に変更するというものです。3番目のポイントは、ウイルス遺伝子検査等の実施です。こちらは現行では「可能な限りウイルス検査を実施する」となってございますが、こちらを「原則として全例に対してウイルス検査を実施」に変更するというものです。この3つの改正が行われますと、風しんが1例でも発生した場合に直ちに届出が行われ、そこで迅速な対応及びウイルス遺伝子の解析が行えるようになりますので、それによって風しんの排除状態というものが確認できるという体制になると考えております。

 その他、文言の修正は現行の麻しんの予防指針に合わせるような形で、若干、追加や修正を行っております。以上が今回の予防指針の改正案ということになります。この改正案につきまして、御審議を頂きたいと思います。事務局からは以上です。

○倉根部会長 今、事務局から今回の指針の改正案のポイントについて説明をしていただきましたが、何か御質問、御意見等はありますか。

○岡部委員 岡部です。もう既にほかの所でも議論されていますが、CRSの対策というのは非常に重要で、風しん全体のコントロールという意味で是非実行していただきたいと思います。麻しんと全く同じようにはいかないので、幾つかの問題点はあると思いますが、診断後直ちに、きちんとした遺伝子検査を含めたウイルス検査を行うことは今後の診断上非常に重要であると思います。また、WHOでも風しん対策はかなり上のランクに置いているのですが、ものすごく大きい国や、経済的な発展がまだまだという国では実施が難しいところもあります。しかし、日本としては、だから他の国に合わせる必要は全くないと思いますので、是非ポジティブな御審議をよろしくお願いします。

○倉根部会長 ありがとうございました。岡部委員からの追加もありましたが、ほかに何かありますか。

○大石委員 感染研の大石です。資料1に「本日告示された」とありますが、そのような理解で間違いないですね。

○高倉結核感染症課課長補佐 はい。施行は来年ということになっていますが。

○大石委員 施行は来年11日ですね。

○高倉結核感染症課課長補佐 はい。

○大石委員 了解しました。現行の風しんの症例の診断の内容を見ると抗体検査が大半で、遺伝子検査はほとんど実施されていない。PCR検査だけでなく、遺伝子配列を見て、輸入例なのかどうかを見極めるのが遺伝子検査のポイントなので、地方衛生研究所も含めてキャパシティをしっかり構築していかなければいけないだろうと思っています。まず、風しん対策については遺伝子診断を全例、そして直ちに届出というところをしっかり押さえていくことが大事だろうと思っております。

○調委員 実際に現場、自治体で風しんの遺伝子検査を担当する地方衛生研究所の代表の立場としてお話させていただきます。風しん対策は非常に重要だと思いますが、まだアジアの国々ではワクチンが十分に接種されていない国もあると伺っていますし、残念ながら日本においても、3040代の男性には抗体が十分でないポピュレーションがある程度おられるということを考えると、ある程度大きな流行があることも予測しておかないといけないと思いますが、そのときに地方衛生研究所の遺伝子検査が十分に行えるかどうか、検体数が多くなるような自治体においては、もしかすると少し大変なことになるかもしれないということはあると思います。

 この文書の中で、原則として全例ということを入れていただいておりますので、そういう大きな流行があったときには、疫学的リンクがはっきりしている家族内等では、必ずしも遺伝子検査は必要ないということを再度確認しておきたいと思います。現状では遺伝子検査は十分に行われていませんが、それは国からの通知などによって全数検査という体制が敷かれていないことが原因で、技術的にもキャパシティ的にも十分対応できる状態にあると思います。

○大石委員 調先生、すみません、地方衛生研究所のキャパシティについて申しましたが、国民も含めての検査体制という意味でのキャパシティであって、大事なことは、届出要領が変更になったということを医療従事者にしっかり伝えていくことだと思うのです。そうしないと検査はオーダーされないし、届出も進まないわけですから。

○倉根部会長 先ほど、調委員から原則としてという部分について御意見がありましたが、ここはどのように解釈するか御説明をお願いします。

○高倉結核感染症課課長補佐 新旧対照表7ページの「ウイルス遺伝子検査等の実施」の「原則として全例に」の「原則として」の部分は、今正しく調委員が発言されたように、状況によっては大規模な集団発生、こういったことは今後迅速な対応が取れることによって比較的例外的なものになると考えておりますが、その中で、迅速な対応をして疫学調査が行われていく過程においては、遺伝子検査を省略して疫学的なリンクで診断が付けられるような症例が出てくるはずですので、そういったときには遺伝子検査を省略する、あるいはせざるを得ないような状況が例外としては存在するという仮定の下で、この「原則として」という文言が入っています。

○倉根部会長 先ほど、調委員から地方衛生研究所等への、地方行政府への通知というお話がありましたが、そこはどうなっておりますでしょうか。

○高倉結核感染症課課長補佐 こちらに関しても、本日通知を行う予定です。

○釜萢委員 今回の改正は大変大事な点で、もちろん大賛成ですし、しっかりこれが実施される必要があると思っておりますが、先ほど大石委員からも御指摘がありましたように、医療現場にこの内容をいかにしっかりと周知させるかが大事で、それは私どももしっかりと役割を担わなければいけないと思っております。

 また、全然発生がない所で1例だけ見て、これが風しんかどうかということを医療現場で即座に把握するというか、診断することは困難な事例も当然あるだろうと思います。その場合には速やかに保健所と連絡を取って、保健所の指導も仰ぎながら適切に対応することが非常に大事だろうと思います。そのことについても、しっかり医療現場に徹底していく必要があると思います。是非、厚労省からも御指導いただき、私どもも情報を発信していきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○倉根部会長 ありがとうございました。事務局からお願いします。

○高倉結核感染症課課長補佐 診断した医師が直ちに届出するということに関しては、今回のポイントとして大変重要なことですので、こちらについては医師会や医療機関に対する通知も発出する予定です。その際に、今、釜萢委員から御発言があったような診断上の留意点等についても配慮したいと考えております。

○倉根部会長 ほかに御意見等はありますか。

○戸部委員 別添資料の7ページの6ですが、原則として全例に検査を実施すると、最終的に国立感染症研に情報を伝達するということですが、「風しんウイルスが検出された場合は可能な限り」ということになっていて、理屈上はデータが届かない可能性があるので、これは大丈夫なのかと。「可能な限り」というのはむしろ要らないのではないかという質問です。

○高倉結核感染症課課長補佐 こちらは「原則として」と近いニュアンスになっていて、麻しんの通知に合わせた部分もありますが、地方衛生研究所において基本的には可能であるということですが、こちらも何か例外的な事態において全てが地方衛生研究所でできなくなる状況があり得ると考え、このような「可能な限り」という文言を入れているということです。

○調委員 今の「可能な限り」という文言についてですが、基本的にほとんど地方衛生研究所で遺伝子配列が決定できるという状態にあります。そういう意味で、可能な限りというのは恐らく地方衛生研究所の遺伝子配列決定というところに掛かっていて、それができない場合は国立感染症研究所で配列を決定するということで、それによって基本的に全例について遺伝子配列を決定する体制にできると思っています。

○倉根部会長 ありがとうございました。ほかに何かありますか。よろしいでしょうか。

 それでは、事務局から提案のあった資料1の指針改正案のポイントについては、本委員会として了承するということにしたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 議題2に移ります。議題2「急性弛緩性麻痺の届出について」、事務局から説明をお願いします。

○繁本結核感染症課課長補佐 資料2を御覧ください。急性弛緩性麻痺の届出疾患への追加についてです。急性弛緩性麻痺はポリオによく似た症状を呈する一連の病態です。脊髄・末梢神経・筋など様々な疾患を含む、急性に弛緩性の麻痺を呈する疾患の総称です。ポリオやボツリヌス症など、感染症に起因するものが含まれます。

 もともと、WHO(世界保健機関)は、ポリオ対策の観点から全ての国で急性弛緩性麻痺を届け出て、それらについてポリオの検査を行い、ポリオでないことを確認することを求めています。現在、世界194か国中179か国でこの急性弛緩性麻痺についての調査が行われております。

 一方で、日本では平成24年まではポリオの定期接種に生ワクチンが使用されていましたので、この急性弛緩性麻痺を発症した患者には当然ポリオの検査が行われておりました。そのために、急性弛緩性麻痺を新たに届出疾患の対象にする必要はないだろうという立場を取っておりました。ところが、平成24年にポリオの不活化ワクチンが導入されました。以降、ポリオの発生はワクチン由来株も含めて全てない状況を維持しております。

 こうした患者発生の可能性が極めて低くなったことから、今後、急性弛緩性麻痺の患者に対してポリオの検査が行われなくなってくる可能性があります。そのために、何らかの対策を行って、引き続き急性弛緩性麻痺の患者に対してポリオでないことを確認していく必要があります。今後、15歳未満の急性弛緩性麻痺を五類の全数届出に追加したいと考えております。15歳未満ということですが、ポリオの患者の多くは6歳未満で発症します。また、WHOがポリオの検出感度を100%に高めるために、15歳未満の急性弛緩性麻痺を届け出なさいと規定しているため、今回も15歳未満というのを採用しようと考えています。

 これに伴って、現場の方々への負担が生じるわけですが、年間160程度の報告があるだろうと考えております。この160という数字ですが、裏面の資料2を御覧ください。こちらはWHOが公表している表で、西太平洋事務所(WPRO)からの報告です。日本の所に赤線が引いてありますが、全て空欄になっているのは急性弛緩性麻痺の届出をしていないためです。この中の「Japan」と書いてある所の左から01610と書いてありますが、この161という数字が、WHOの推計ですが、年間に恐らく届け出られる数を表しております。

 表に戻ります。届出条件として、ポリオの検査を行って、ポリオでないことを確認したものが急性弛緩性麻痺と。万が一にもポリオであった場合は、二類のポリオとして届け出ていただくということで、ポリオの検査が確実に実施されることを担保したいと考えております。以上です。御審議をお願いいたします。

○倉根部会長 ただいま事務局から説明がありましたが、何か御意見、御質問はありますか。

○大石委員 今御説明いただいた国内で161例というのは、これはWHOに報告されているものですが、当然日本から報告されていると思いますが、どういう仕組みで収集されたデータなのか、もしお分かりでしたらお教えください。

○繁本結核感染症課課長補佐 この推計式についてはWHOも発表していないので、はっきりしたことは分かりません。ただ、その1つ右の実数、上から25123と書いてある所は実際の各国からの報告数なのですが、WHOの推計と各国からの報告数がほとんど一緒ですので、日本も恐らくそんなに大きな違いはないのではないかと考えております。

○大石委員 そういうことではなくて、何を根拠に161とされているのか。これは日本から出ているデータでしょうから。違うのですか。

○繁本結核感染症課課長補佐 これはWHOが推計で出している数字なので、日本からは何も報告していません。

○大石委員 根拠がないということですか。

○繁本結核感染症課課長補佐 根拠はあるのでしょうけれども。

○結核感染症課長 多分、各国の状況と分かっているものを見て、WHOが独自にその国の人口構成やり患率等で出している弛緩性麻痺を出す病気を何かしてやっているらしいのですが、そこはブラックボックスで、彼らが多分これぐらいだろうと。実際にレポートはこのぐらいだから、この国は大丈夫だろうと、日本はないよねみたいな形で、参考値として使っているのを161として紹介したということです。

○大石委員 課長自ら御説明ありがとうございました。

○倉根部会長 岡部委員、何かコメントはありますか。

○岡部委員 WPROのポリオ根絶(RCC)の委員長とグローバルのポリオ委員会(GCC)のメンバーなので少しコメントを。これはエスティメートナンバーとあり、あくまで人口と従来の他の国での実績等からの推計です。日本の場合はAFPは届け出ていることではないので、数は不明です。人口あたりのAFP値がWHOの推計の値と著しく外れた国・地域は、サーベイランスについてもっと強化が必要であるというリコメンデーションになります。

 日本の場合には、AFPサーベイランス、急性弛緩性麻痺というポリオの典型的な症状のサーベイランスが感染症法上行われていなくて、届出のしようがなかったわけです。私たち研究班で以前に一時的にやったところでは、日本でも15歳未満の人口10万当たりで1例前後ぐらいのギランバレー症候群、その他のAFPを生ずる麻痺性疾患があるということは、もうレポートとしてWHOにも出しております。日本の場合には、そのほかにもエンテロウイルスのサーベイランスや感染症法によるポリオの届出、その他の方法でポリオがないことを証明しているので、それはそれで一応承認はされています。アメリカもAFPサーベイランスはやっていないのですが、そういう幾つかの方法と、既にずっと前に根絶は証明されているので、それはそれでしょうがないだろうというWHOの考えなのです。

 しかし、この一覧表で分かるように、Japan、届出なしというのは極めて格好が悪いというか、実態を報告していないではないかという批判を毎年毎年受けて、日本はその説明を毎年していかなければいけないということがありますが、別に日本はこれだからゼロではないと言われているわけではありません。ただ、今後はポリオ根絶は、来年辺りでワイルドポリオはなくなるのではないかと言われている中で、弛緩性麻痺という典型的な症状でありながら、ほかの病気でも起こり得ることをちゃんと除外していることを証明することは必要なので、是非AFPサーベイランスの形で急性弛緩性麻痺の患者の登録を、臨床側には非常に負担をお掛けすると思いますが、届けていただくことで、世界中に向けて日本のポリオ対策がきちんと行われているという証明にもなると思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。

 併せて、23年前、D68という、ポリオウイルスではないけれども、同じような腸内ウイルスで似たような症状を起こした例が日本で見付かっております。このようなことも、除外診断が行われていることと、ほかのウイルス同様のことが起きたときに早くアクションが取れるという意味でも重要だと思いますので、是非ポジティブな方向での御審議をよろしくお願いしたいと思います。

○大石委員 岡部委員もおっしゃったように、2015年にエンテロウイルスD68の関連が考えられた弛緩性麻痺、すなわちAFP、あるいはAFMと呼ばれるような症状を呈する患者さんが多発したということがありました。そのときには全数把握システムがなかったためで、国の積極的疫学調査として初期の患者情報を集め、その後に感染研の感染症疫学センターの多屋室長が中心となって研究班調査をしたという経緯があります。この研究結果については、最近論文掲載されていますので、御参照いただければと思います。

○倉根部会長 ほかに御意見、御質問はありますか。特になければ、急性弛緩性麻痺の届出疾病への追加ということで、15歳未満の急性弛緩性麻痺を五類感染症、全数、7日以内とすることの対応については、この委員会として承認するということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。そのようにしたいと思います。

 次に、議題3「季節性インフルエンザり患者の推定方法等の変更について」です。事務局から説明をお願いします。

○新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 季節性インフルエンザのり患者数の推計方法等の変更について、資料3、参考資料89を御覧ください。本議題に関しては、季節性インフルエンザのり患者数の推計方法が前回6月の感染症部会において変更になりましたので、それを新型インフルエンザの備蓄薬への反映ができるかどうかというところが審議内容の主な点になります。

 次のページです。前回決めていただいた季節性インフルエンザり患者数の推計方法の見直しについて説明をまとめました。現在、季節性インフルエンザの動向把握については、全国約5,000か所の医療機関を定点医療機関として指定し、全り患者数の推計を行っております。現行法に関しては、医療施設数による推計ということで、定点医療機関1施設当たりの報告件数に日本全国の医療機関の施設数を乗ずることで推計をしておりました。単純に医療施設数で割り戻す現行法では医療機関の規模が反映できず、インフルエンザり患者数が過大となる傾向が明らかとなっておりました。そのことに関して見直しが行われ、外来患者延数による推計という方法が前回提案されて、決めていただいた内容になります。

 本年6月に、研究班において以下について取りまとめられております。定点医療機関において、インフルエンザり患者数を見る機会は他の医療機関と比べ大きな差はないと考えられることから、外来患者延数を用いた推計値のほうが現行推計方法よりも実態を反映していると言える。また、これまでのり患者数の推計値を見直し後の推計値に変換するには、これまでのり患者数に0.66を乗ずるというところが研究班において取りまとめられております。この研究班の詳細に関しては、参考資料8に記載があります。

 資料3です。平成296月の感染症部会において、外来患者延数による推計方法に見直す旨が了承されております。

 次のページです。この内容を新型インフルエンザ対策としての抗インフルエンザウイルス備蓄薬見直しについて反映できるかということを御審議いただきたいと考えております。具体的には、新型インフルエンザのウイルス薬の備蓄については、ガイドラインにおいて全り患者数、被害想定で全人口の25%がり患すると推定されておりますが、その治療と予防投与、季節性インフルエンザが同時に流行した場合に使用する量として、4,770万人分とされております。この内容に関しても、前回の6月の感染症部会で決めていただいた内容になります。

 季節性インフルエンザの同時流行というところが、今回、先に決めていただいた内容が反映されたもので、その具体的内容が2つ目の「季節性インフルエンザの同時流行への対応について」です。季節性インフルエンザの同時流行への対応としては、1,270万人分の抗インフルエンザウイルス薬を備蓄しております。これは抗インフルエンザウイルス薬の備蓄量を決定した平成21年当時の過去3シーズンの季節性インフルエンザのり患者数の推計値の平均から算出しております。

 今回、季節性インフルエンザり患者数の推計方法の見直しに伴い、季節性インフルエンザの同時流行への対応としての抗インフルエンザ薬の備蓄を見直すことを考えており、現行の推計方法、医療施設数から割り戻す方法に基づいて、過去3シーズンの季節性インフルエンザのり患者数の平均がちょうど1,511万人になります。新推計方法に基づく数値への変換係数0.66というのが、これも決めていただいた内容ですので、それで計算すると997万人となりますので、約1,000万人分を、今後季節性インフルエンザが同時流行した場合の備蓄量と考えたいということです。

 次のページです。今御説明した内容が、この考え方です。3つの区分になりますが、3番目の季節性インフルエンザが同時流行した場合1,270万人というのが、新しく見直しが行われると1,000万人とするということを御提案したいと考えております。この御提案が審議で決まりましたら、ガイドライン等に反映されることが考えられます。

 次のページです。ちょうどガイドラインのところですが、左の「現行」の黒字で書いてある「4,770万人分」という所が、「4,500万人分」となると考えております。以上の内容に関して御審議いただきたいと思います。

○倉根部会長 今、事務局から説明がありましたが、これについて御意見、御質問はありますか。既にここで承認されている方法に従って計算すると、1,000万人になるので、それに基づいてこの数が出てくるということですが、いかがでしょうか。

○岡部委員 これも新型インフルエンザ対策委員会の委員長をやっているのですみませんが一言。そのときには感染症部会でこの推計値を承認するということのデータに基づいて計算すると、抗インフルエンザウイルス薬の備蓄に対して、結果的にはもう少しセーブができるというか、少ない量でできるという、数値の上のことだと思います。ただ、いろいろな方に波及していく可能性はあって、この推計値に基づいて実際に季節性インフルエンザが起きたらどうしようか、それと重なったらどうしようかということで、ほかの所に影響が出てくると思いますが、今回は備蓄量に対してどのように考えるかということになると思います。決して新型インフルエンザの推計値がこのようになっているということではなく、一緒に季節性インフルエンザが出た場合に備蓄するのがこのぐらいであるという考え方になると思います。

○廣田委員 医療機関の施設数での割戻しから外来患者数の延数での割戻しに変えられたということで、一歩前進と思います。前進したということで、これ自体についてとやかく言うつもりはないのですが、全国医療機関の外来患者数としたときに、病院と診療所と区分けがされていません。一歩ずつより納得がいく方法に進めるということで、将来的にはそういうことも考慮に入れていただければ、より良い推計に結び付くのではないかと思います。

○野田結核感染症課課長補佐 御意見ありがとうございます。推計自体は、あらゆる推計についていろいろと問題がありますので、一歩一歩、より良いものにしていきたいと考えております。

○調委員 季節性インフルエンザによって、毎年1,000万人ぐらいの方が医療機関を受診されているということですが、これは季節性インフルエンザに限ってですが、全例について抗インフルエンザ薬が投与されているような状況なのでしょうか。それは把握できるのでしょうか。

○倉根部会長 事務局から今の御質問について何かありますか。

○野田結核感染症課課長補佐 全例に投与されているわけではないと考えておりますが、あくまでも今回お示ししているものについては、新型インフルエンザが発生したときに季節性インフルエンザが同時に流行した場合を想定して、どれだけ備蓄をしておくべきかという数字をお示ししているものです。

○調委員 多分、新型インフルエンザと季節性インフルエンザが同時に流行したときに、その2つを区別して投与するわけではないと思うので、新型インフルエンザ流行時には、季節性インフルエンザに対する抗インフルエンザ薬の投与もほぼ100%に近い状態になるということを想定して考えておく必要があるとは思います。

○新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 御意見ありがとうございます。今回の推計の備蓄量に関しては、そのような考え方を踏まえて季節性インフルエンザの患者の推計数、全り患者数の分をそのまま備蓄量として反映させております。

○岡部委員 実際にパンデミック・インフルエンザが発生したときに、同時に季節性インフルエンザが流行しているかどうかについては非常に議論があって、それについて賛否両論あって、もちろん推計せざるを得ないわけですが、それを行っているので、それについては現在議論中なので、また改めてその結果を御報告することになろうかと思いますが、現在は従来行われていた、もし同時に発生したらということが前提になっているということです。

○倉根部会長 今後、少し数値が変わるかもしれない、考え方も変わるかもしれないけれども、現段階ではこういう計算になるという言い方ですね。患者数の推計方法を変更することに伴って、こういう考えになるということをお認めいただくということかと思います。

 ほかには何かありますか。よろしいですか。特に御意見、御質問ないようですので、この委員会としては今回の備蓄量の見直しの考え方について了承するということにしたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 次に、幾つか報告事項がありますので、事務局から説明をお願いします。

○繁本結核感染症課課長補佐 よろしくお願いします。報告事項です。まず資料4を御覧ください。コンゴ民主共和国におけるエボラ出血熱の収束について御報告いたします。初発は4月ですけれども、WHOがキャッチしたのは5月になってからです。5月にコンゴ民主共和国においてエボラ出血熱が発生しました。コンゴ民主共和国としては、これが8回目の発生になります。まず、422日に発生して、最後の患者さんが亡くなったのが5月に入ってからということで、右上の図にあるように中央アフリカですけれども、コンゴ民主共和国の更に国境付近の地区になります。こちらで発生し、確定例5例と疑似症例3例、合わせて8例の発症が見られました。そのうち、確定例1例と疑似症例3例が亡くなっていることから、致命率50%ということです。WHOが発表したのが512日で、我々厚生労働省としては513日の未明にキャッチしましたが、その513日に一通りの通知を出し、72日にWHOが終了宣言し、それから90日、強化サーベイランスを行い、930日に本当に終了したことをもって、この通知は取り下げております。

 次のページに、今回のエボラ出血熱の一連のイベントを時系列に並べております。記憶に新しいのは、西アフリカでの流行ですけれども、それは資料の3枚目になりますが、2010年から2016年のときには、合計で約3万人弱の方が発症されて、1万人以上の方が亡くなったという事例があります。エボラ出血熱については以上です。

○倉根部会長 一つ一つやっていきますか。1から3までまとめてやりましょうか。

○繁本結核感染症課課長補佐 6まで続けさせてください。

○倉根部会長 それでは、直接的な関連ではないですが、少し類似のことですので、資料4を今、説明してもらいましたが、資料5、資料6まで、まずは説明していただきます。

○繁本結核感染症課課長補佐 まず、資料5を御覧ください。ウガンダにおけるマールブルグ病の発生です。10月にウガンダでマールブルグ病、これはエボラ出血熱と同じフィロウイルスの仲間による病気です。3名の方が発症されて、皆さん亡くなられてしまいました。この病気のもともとのウイルスはコウモリが持っているといわれていて、最初の発症者の方が、そのコウモリが住んでいる洞窟のほうで作業をされている方であったということです。この方がそこから感染して自宅に持ち帰って、家族内で伝播してしまったということです。これも発症3例で止まっており、128日に最終的な終了宣言が出されております。裏にマールブルグ病の簡単な説明があります。

 続いて資料6を御覧ください。マダガスカル共和国において肺ペストが発生しました。今年の9月から11月にかけてです。もともとマダガスカルでは9月から4月、向こうでは夏になるのですが、この時期にペストが流行しています。ただ、今年が例年と違うのは、通常ペストはネズミが菌を持っていて、ノミが媒体することでヒトにうつるのですけれども、今回はヒトの肺に入って肺ペストという病態になって、その肺ペストの方からは、咳をする度にペスト菌が体の外に飛び出していくと。それを吸い込んだ人が次の肺ペストになるというヒトからヒトへの感染を起こす。これが比較的流行の早期に発生し、かつ人口の多い首都で発生してしまったということで、今回、アウトブレークが発生しました。

 紙の中央付近に患者発生数のグラフを書いていますが、1125日の時点で、合計2,300人の患者発生が見られました。幸いにして国を越えて周囲に広がるということはありませんでした。結局1127日に終了宣言が出されています。ただ、最初に申したとおり、まだ流行期なので、WHOと現地のマダガスカル政府は、今でもペストの対策は続けているところです。裏に、またペストの簡単な説明は付けております。以上です。

○倉根部会長 今、報告事項で言うと➀から➂、それから資料で言いますと、資料4から56と説明していただきました。いずれも収束はしているというところの報告であります。何か御意見はありますでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。

 それでは、特に御意見等ないようですので、次に移りたいと思います。次は報告事項の➃と➄を続けて説明していただきます。資料で言いますと、資料7、資料8です。よろしくお願いします。

○繁本結核感染症課課長補佐 鳥インフルエンザということで説明いたします。まず鳥インフルエンザ(H5N1)の説明をいたします。資料7になります。まず、表に世界地図が載っていますけれども、主な発生国とヒトへの確定症例を数字で表しております。多いのはインドネシアとエジプトになります。インドネシアが200名、エジプトで359名ということです。ただ、裏を見ていただいて、インドネシアで多かったのは2003年から2009年の頃で、エジプトで多かったのは2015年ということで、2016年、2017年は、かなり症例数は減ってきているという状況です。二類感染症ということで引き続き海外の状況にも注意を払っていきたいと考えております。

 次に資料8を御覧ください。鳥インフルエンザ(H7N9)の対応です。H7N9は中国で発生しており、昨年がこれまでの中でも最も患者の発生数が多い年となりました。この鳥インフルエンザも、季節性インフルエンザと同じように、冬に多い、夏になると減るという傾向が見られます。ただ、今のところヒトからヒトへの持続的な感染というものは起きていないということです。今年に入ってからも、どんどん減少傾向で、夏、秋にかけて報告はほとんどないような状態が続いておりました。ただ、今からまた流行期に差し掛かっておりますので、再び注意していきたいと思います。以上です。

○倉根部会長 H5N1H7N9の状況について、今、説明をしてもらいましたが、何か御質問はありますでしょうか。ちょっと私から質問します。資料8は大陸中国というか、省ごとにやっているので、抜けている部分があります。それから資料7は、大陸の中国全部が埋まっているわけですが、ここは全ての省で確定症例があったのですか。これは単に地図の出し方の問題でしたでしょうか。

○繁本結核感染症課課長補佐 地図の出し方の問題です。

○倉根部会長 省によっては発生しているものもあり、発生していない省もありということでしょうか。

○繁本結核感染症課課長補佐 はい、おっしゃるとおりです。

○倉根部会長 ほか、御質問はありますか。よろしいですか、この報告について、もうよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、特に御意見等ないようですので、次に移ります。次は報告事項678ですね。資料で言いますと、91011に関して説明をお願いしたいと思います。

○高倉結核感染症課課長補佐 AMR対策及びアクションプランに関する3つの報告をいたします。まず、はじめに資料9を御覧ください。こちらは薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書の公表についてです。薬剤耐性アクションプランに基づき、ヒト・動物・食品・環境に関する各サーベイランスのデータを分析し、アクションプランの成果指標を評価するという目的で、専門家、有識者、関係府省庁、担当者によって構成された薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会というものを開催し、この中でいわゆるナショナルデータと呼べるような、ヒト・動物・食品・環境に関する各分野のサーベイランスのデータを集約する形で、この年次報告書を作成し、1018日に公表したところです。

 このワンヘルス動向調査年次報告書については、参考資料10のほうに作成したものを添付しておりますので、御確認ください。62ページにわたりますが、最後のページに、本報告書の作成の経緯、あるいは動向調査検討委員会の委員の先生方、あるいは関係府省庁について示してあります。このようなメンバーで大変たくさんの方、あるいは関係府省庁の協力を得ながら、国のデータをまとめて1冊のものに、いわゆる薬剤耐性の状況及び抗菌薬、抗微生物薬の使用状況についてのデータが1つにまとまったということです。

 内容としては、そのデータを1冊に詰め込んだという形になっておりますが、このような多分野にわたるものが1つにまとまったという意味では、大変意義のある試みであったと考えております。こちらのアクションプランに基づいて、次年度以降も同様に、この年次報告書を策定していく予定です。

 続いて資料10を御覧ください。そちらのAMRワンヘルス東京会議の開催の御報告です。こちらも同じくAMR対策アクションプランの6番目の目標分野であるところの国際協力、協調という目標に沿って開催されたものです。1113日に国際会議を行い、翌14日にシンポジウムを開催しました。参加者については、アジア太平洋諸国の保健省及び農林水産省のAMRの担当者で、10か国から参加を頂きました。そのほか、米国CDCや、WPROOIE等の国際機関、日本国内からは、我々厚労省以外にも農林水産省やJICAや国立感染症研究所、AMR臨床リファレンスセンターの方々に御参加いただきました。

 議論された内容については、その下の概要のところにありますが、各国のアクションプランの策定状況及び進捗状況で、その中でも特に抗微生物薬の適正使用の推進について、ヒト分野あるいは動物分野でどのような取組がなされているか、そしてワンヘルスサーベイランスの体制の構築、推進等についての意見交換が行われました。

 続くセッションで参加いただいた国際機関等からのAMRに関する支援策についての情報の共有を行い、このセッション12で議論された内容について、会議のサマリー文書という形で作成しました。こちらの参考資料11のほうに、日本文は仮訳ですけれども、それと英文とを示しておりますので、こちらも御参考いただければと思います。

 翌日のシンポジウムでは、英国よりサリー・デイビス主席医務官に基調講演を頂いた後に、抗微生物薬適正使用及びワンヘルスサーベイランスについて、国内外から各3名の演者の方々に御発表いただいて、情報共有を行ったということです。以上がAMRワンヘルス東京会議の開催についての御報告です。

 続いて6番の国際薬剤耐性研究開発ハブについての御報告です。これは資料11を御覧ください。こちらもアクションプランに示されている研究開発及び国際協力、協調に関するものです。AMRという国際的な問題については、国際会議、国連総会やG20、あるいはG7、保健大臣会合等々でも議論になっているわけですが、この中で抗微生物薬の研究開発という大変大きな課題があり、世界の様々な基金や機関が取り組んでおりますが、開発コストに見合うような市場規模が見込めないなどといったような、様々なAMRに関する研究開発の課題が指摘されております。そういった状況を踏まえ、本年の7月に行われたG20のハンブルグ・サミットの首脳宣言において、新しい国際的な枠組みとして、国際薬剤耐性研究開発ハブというものを設立することが合意され、日本もその中に参加しているという状況です。

 このハブというものが何なのかというのは、なかなか分かりにくいところがありますが、この資料の中ほどに示してあるように、AMRの研究開発に関する情報の収集や共有を行って、研究開発投資の優先度を明らかにする。そして既存の公的・私的機関からの投資を、より効率的に配分するように調整するというものが、その主な機能として期待されているものです。このハブそのものが基金、いわゆるファンディングボディではなくて、情報を集約して、優先度を明らかにしながら、各投資機関や研究開発機関等の中で調整をするといったものが、このハブの役割として提唱されているわけです。その点に伴い、製薬企業や学会等との国際連携の促進であるとか、研究開発に対するPush型の投資だけでなく、市場開拓型のPull型の投資といったものも増加させるであるとか、政策提言を行うとともに、一般への認知度の向上や定着を目指すといったものが、このハブの機能として掲げられております。

 参加する国は、G20の加盟国、非加盟国に限っていない状況で、現在も暫定的な段階ですが、15か国及び非政府の財団が参加する予定となっており、日本を含めた参加国はAMRに関する研究開発事業や、インフラに対する投資、これはハブに対する投資という意味ではなく、各国に研究開発事業及びそのインフラストラクチャーに対する投資が求められているという状況です。

 このハブは提唱されてまだ正式には発足していませんが、暫定の理事会といったものの中で、業務指示書や活動計画などが議論されることとなっており、その正式な発足までは暫定理事会が設置されて、議論が行われるという計画になっております。第1回の暫定理事会が126日、7日にベルリンで開催され、当課より三宅課長が出席しております。現在、決まっているのはそのようなことで、事務局は当初3年間はドイツに設置し、ドイツの政府の出資で運営するということです。先ほど申し上げたように、業務計画等については、今後の暫定理事会のほうで決めていくということで、現状のところはこの資料の概要に示したようなものであるということが合意されているという状況です。

 ですので、またこのハブそのものが、どのような形の活動をするかという詳細については、まだ未確定ということですが、このようなものが設置され、日本も参加しているということで、このハブについての状況は、また適宜、御報告させていただければと考えております。私のほうからは以上です。

○倉根部会長 何か御意見はありますでしょうか。私から1つ質問したいのですが、この参考資料72017は、年度ではなくて1月から12月の区切りでの2017になるのですか。それとも2017年度としてのものになるのですか。

○高倉結核感染症課課長補佐 参考資料10のワンヘルス年次報告書は、2017年になります。

○倉根部会長 1月から12月という意味ですね。分かりました。それからもう1つ、国際薬剤耐性研究ハブで、下から2つ目の箱の、AMRに関わる研究開発事業やインフラに対する投資が求められるということは、この研究ハブが、まずプライオリティとしてこういう所に投資すべきではないかと、こういう所に研究の焦点を、まず順番として挙げるべきではないかという答申なり意見が出てきて、それに応じて各国政府なりが投資をすると、そんな枠組みになるのですか。

○高倉結核感染症課課長補佐 先ほど申し上げたように、まだ詳細のところは決まっていないところがありますが、想定されている活動計画としては、ワーキンググループみたいなものをこのハブの中に設けまして、そこで情報収集や分析等を行って、それを提言の形にまとめるという想定になっております。

○倉根部会長 ほかに御意見、御質問ありますでしょうか。よろしいでしょうか。特に報告事項に関して、それぞれ3つに区切って説明いただき、質問を頂きましたけれども、現段階で何か質問し忘れた、あるいは御意見を言い忘れたというのがあれば伺いますが、よろしいですか。

 それでは、報告事項については、これで終わりたいと思います。その他、何かありますでしょうか。ありませんか。それでは、事務局から何かありますか。

○野田結核感染症課課長補佐 では事務局から、その他の事項を御説明します。次回の開催につきましては、日程調整の上、改めて御連絡をさせていただきます。事務局からは以上になります。

○倉根部会長 ありがとうございます。当初の予定で10時から12時までとなっておりました。少し早く終わってしまいますが、これで本日は終了したいと思います。ありがとうございました。

 


(了)

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