第1回精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会議事録

○日時

平成30年12月18日(火)10:00~12:00

○場所

全国都市会館 第1会議室

○議題

1.精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会の設置について
2.精神保健福祉士の養成の在り方等の検討について
3.その他
 

○議事

溝口室長補佐 一部構成員の御到着が少し遅れておりますが、定刻になりましたので、ただ今より「第1回精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」を開催いたします。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
本日、座長を選出いただくまでの間、議事の進行をさせていただきます、社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課心の健康支援室長補佐の溝口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本検討会は公開となりますが、撮影に関しましては、議事1の「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会の設置について」までとさせていただきます。また、傍聴される方につきましては、留意事項の遵守をお願いいたします。
それでは、本検討会の開催に当たり、社会・援護局障害保健福祉部長より御挨拶申し上
げます。
橋本部長 おはようございます。厚生労働省で障害保健福祉部長をしております、橋本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
構成員の皆様方におかれましては、本日は年末の大変お忙しいところをこのようにお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。また、平素より精神保健福祉行政の推進につきまして、大変御理解、御協力をいただいておりますことに、重ねて感謝を申し上げたいと思います。
今回お集まりいただきました「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」でございますが、これは前回、平成19年度に精神保健福祉士のカリキュラムの改正をいたしましたときの検討以来、約10年ぶりの開催となるわけでございます。
振り返ってみますと、この間、精神保健福祉士を取り巻く状況にはいろいろな変化がございました。一つ一つ挙げていけば切りはございませんけれども、例えば退院後生活環境相談員の創設、あるいは精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築の推進ですとか、精神障害者の雇用の義務化、ギャンブル等依存症を初めとする依存症対策の推進といった様々な新しい課題あるいは難しい困難な事例の増加、そういった状況に対応いたしまして、精神保健福祉士の役割に対する期待といったものが益々高まっていると思います。
また、それに対応しました精神保健福祉士の養成の在り方につきましても、こういった時代の変化に合わせた見直しを行っていく必要があるだろうと考えております。
この検討会におきましては、精神保健福祉士の役割あるいは教育カリキュラム、実習等の在り方に加えまして、卒後の教育や継続教育など、養成課程における教育を終えた後の継続的な教育や研修も含めまして、より実践的で質の高い精神保健福祉士の人材の育成・確保に資するような御議論もお願いしたいと考えているところでございます。
それぞれの構成員の方々の専門分野につきまして、忌憚のない御意見を賜りたいと存じておりますので、本日はよろしくお願いいたします。
溝口室長補佐 続きまして、本検討会の構成員について紹介させていただきます。
一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連盟副会長の伊東秀幸構成員です。
特定非営利活動法人じりつ代表理事の岩上洋一構成員です。
武蔵野大学人間科学部人間科学科教授の岩本操構成員です。
一般社団法人日本アルコール関連問題ソーシャルワーカー協会会長の岡﨑直人構成員です。
公益社団法人日本精神科病院協会常務理事の岡本呉賦構成員です。
公益社団法人日本精神保健福祉士協会会長の柏木一惠構成員です。
聖学院大学心理福祉学部心理福祉学科長の田村綾子構成員です。
埼玉県立精神保健福祉センター精神保健福祉部企画広報担当主幹の塚本哲司構成員です。
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター名誉理事長の樋口輝彦構成員です。
明治学院大学社会学部教授の和気康太構成員です。
そのほか、国際医療福祉大学医療福祉学研究科教授の鹿島晴雄構成員から若干遅れるとの御連絡を受けております。
このほかに、聖路加国際大学大学院看護学研究科教授の萱間真美構成員と、公益社団法人日本社会福祉士会副会長の中島康晴構成員にも構成員として参画いただいておりますが、本日は御欠席との連絡をいただいております。
また、本日は関係省庁及び関係部局から、文部科学省高等教育局医学教育課、及び厚生労働省社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室にもオブザーバーとして参加いただいております。
続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。
障害保健福祉部長の橋本でございます。
精神・障害保健課長の得津でございます。
同じく、心の健康支援室長の堀川でございます。
同じく、精神・障害保健課長補佐の芝でございます。
同じく、精神・障害保健課長補佐の寺原でございます。
最後に、精神・障害保健課主査の御子柴でございます。
以上、よろしくお願いいたします。
それでは、初めに議事1の「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会の設置について」についてでございます。
資料1「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会 開催要綱」に基づき、本検討会の座長を選出いただきたいと思います。
座長について御推薦がございましたら、お願い申し上げます。
(柏木構成員より挙手)
柏木構成員、どうぞ。
柏木構成員 樋口構成員にお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
溝口室長補佐 今、樋口構成員の御推挙がありましたけれども、いかがでしょうか。
(首肯する構成員あり)
溝口室長補佐 よろしいでしょうか。
それでは、特段御意見もないようですので、樋口構成員に本検討会の座長をお願いしたいと思います。
樋口座長、座長席に御移動をよろしくお願いいたします。
(樋口構成員、座長席へ移動)
溝口室長補佐 それでは、樋口座長に御挨拶をお願いしたいと思います。
樋口座長 ただいま御指名いただきました、樋口でございます。よろしくお願いいたします。
私は、精神保健福祉士の国家試験が始まりましたころから7回ぐらいの間、その試験委員として、あるいは最後の数年間は試験委員長を務めさせていただきました。
しかし、大分そこからは時も経て、いろいろな環境も随分変わってきています。精神保健福祉士を取り巻く環境あるいはその教育内容等については、一度改定はされておりますけれども、さらにまた環境は変化してきているという中で、今回この在り方の検討会が持たれるということで、大変重要な会だと思っております。
非力ではありますけれども、座長を務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
溝口室長補佐 続きまして、座長代理について、座長より御指名いただきたいと思います。
樋口座長 それでは、座長から推薦せよということでございますので、本日、まだお見えになっていないのですが、鹿島構成員は実は私が先ほど申し上げた試験委員長の後を継いで最近まで長年務めていただいている非常に経験豊かな方でありますので、鹿島構成員にお願いしたいと思っておりますが、いかがでございましょうか。
(首肯する構成員あり)
樋口座長 ありがとうございます。
溝口室長補佐 ありがとうございました。
それでは、座長代理は鹿島構成員ということで決めさせていただきます。
撮影につきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力のほど、お願いいたします。
この後の進行につきましては、樋口座長にお願いしたいと思います。
樋口座長 障害保健福祉部長が退席されますので、よろしくお願いします。
樋口座長 それでは早速、本日の議題2に入りたいと思います。
その前に、事務局から本日の資料の確認をお願いします。
溝口室長補佐 それでは、お手元の資料の確認をさせていただきます。
資料1 精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会 開催要綱
資料2 最近の精神保健福祉施策の動向について
資料3 精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討について
資料4 社会福祉士養成課程の教育内容等の見直しについて
資料5 精神保健福祉士の養成の在り方等に関する主な意見について
参考資料1 精神保健福祉士養成施設等の設置及び運営に係る指針について
参考資料2 精神福祉士国家試験出題基準・合格基準
参考資料3 精神保健福祉士養成課程における教育内容等の見直しについて
でございます。
このほか、机上配布資料としまして、過去の「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」の中間報告などをまとめたものが1点。また、公益社団法人日本精神保健福祉士協会の柏木一惠構成員からの提供頂きました当日配布資料として、「公益社団法人日本精神保健福祉士協会 精神保健福祉士業務指針及び業務分類 第2版」という冊子をお手元に置かせていただいております。 以上でございます。
過不足等がございましたら、事務局にお申し付けください。
樋口座長 ありがとうございました。
それでは、議題2の「精神保健福祉士の養成の在り方等の検討について」を御議論いただきたいと思います。
なお、議題の検討につきましては、事務局から資料の説明をいただいた後に、各構成員から意見をいただいて議論を進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、事務局から説明をお願いします。
寺原課長補佐 それでは、資料2「最近の精神保健医療福祉施策の動向について」の御説明をさせていただきます。
2ページ、「精神科医療の現状について」でございます。
3ページ、平成26年のデータになりますが、精神疾患を有する患者は約392万人おります。うち精神病床における入院患者数は約29万人でございます。精神病床の入院患者数は過去15年間で減少傾向でございまして、任意入院、措置入院は減少しておりますが、一方で医療保護入院は増加傾向でございます。
4ページ、精神病床の平均在院日数ですが、約275日でございます。短縮傾向でございますが、国際的には日本の平均在院日数は非常に長いという特徴がございます。また、近年の新規の入院患者の入院期間は短縮傾向でございまして、約9割が1年以内に退院してございます。
5ページ、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築について」を御説明いたします。
6ページ、これまでの経緯でございますが、平成16年の「精神保健医療福祉の改革ビジョン」におきまして、「入院医療中心から地域生活中心へ」という理念を示してきたところでございます。
その後、平成29年2月の「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」の報告書の中で、初めて「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」という理念をお示しいたしました。こちらに赤文字で書かれておりますように、精神障害者が地域の一員として安心して自分らしい暮らしができるよう、医療、障害福祉・介護、社会参加、住まい、地域の助け合い、教育が包括的に確保されたもの、こういった環境を構築することが、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの理念でございます。
7ページが、今、申し上げましたこれからのあり方検討会の報告書の概要でございます。
「1.新たな地域精神保健医療体制のあり方について」とございますが、その中に2点書いております。「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築」と「多様な精神疾患等に対応できる医療連携体制の構築」でございます。
次に、8ページが、今、申し上げました精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築のイメージ図でございます。こちらにございますように、医療のみならず障害福祉・介護、住まい、社会参加等の環境整備を行うことが非常に大切であると考えておりまして、それを現在目指しているところでございます。
9ページが、具体的に厚生労働省が行っている施策の一つで、構築推進事業及び構築支援事業というものを平成29年度より行っております。左側の構築推進事業は、各自治体に対する補助事業になっております。
事業の内容が1から10まで書かれております。「1.保健・医療・福祉関係者による協議の場の設置」は必須でございますが、それ以外の事業はどちらを行っていただくにしても補助を行うというものでございます。1番の協議の場の設置については、精神保健福祉士等が参加をすることということも定めております。
右側の図が構築支援事業でございます。こちらは委託事業になってございまして、各自治体がモデル障害保健福祉圏域というものを設置いたします。その各自治体に対して、国で選定した広域アドバイザー及び都道府県等密着アドバイザーがアドバイスを行い、連携をして、各自治体における地域包括ケアシステムの構築を推進していただくといったものでございます。
10ページが、「医療計画について」でございます。
さらに11ページ、「第7次医療計画の見直しについて」でございます。先ほどの「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」についてでも申し上げましたように、精神障害に対応した地域包括ケアシステムの構築と、多様な精神疾患等に対応できる医療連携体制の構築の2点を同様に主な実現すべき内容と掲げております。
次に、12ページが多様な精神疾患等に対応できる医療連携体制についてでございます。
表の上部に統合失調症、うつ病等の各疾患が書かれておりますが、こちらの15領域ごとに、左に書かれております医療機能といたしまして、都道府県及び地域連携拠点機能等を設けていただくということを、医療計画上、各都道府県にお願いしているところでございます。
13ページが、今、申し上げた15領域ごとの医療機能を明確にしていただくイメージ図になってございます。
次に、今年の3月27日に出しました2つのガイドラインについて御説明いたします。
15ページが、『措置入院の運用に関するガイドライン』の概要でございます。こちらは、措置入院の運用の仕方につきまして、都道府県によって差があるのではないかといったことが、先ほど申し上げた「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」の報告書の中でも指摘されております。そちらを受けまして、措置入院の運用が適切に行われるよう、措置入院に関する標準的な手続をガイドラインとして整理したものでございます。
次に16ページが、もう一つのガイドライン「『地方公共団体による精神障害者の退院後支援に関するガイドライン』について」でございます。
17ページは、現行法下で実施可能な、自治体が中心となった退院後支援の具体的な手順を整理したものになっております。精神障害者が退院後にどこの地域で生活することになっても、医療、福祉、介護、就労支援などの包括的な支援を継続的かつ確実に受けられるようにすることを目的として実施しております。この17ページ及び次の18ページにそのガイドラインの概要を載せております。
次に、「依存症対策について」の御説明をさせていただきます。
20ページを御覧ください。アルコール、薬物、ギャンブル等の依存症対策の全体像でございます。
文字が小さくて恐縮ですが、1が依存症対策の全国拠点機関となっておりまして、こちらは治療や相談、生活支援に係る地域の指導者を養成すること。依存症の回復施設職員への研修をすること。また、依存症に関する情報収集や普及啓発をすることとなっております。
また、2で、都道府県や指定都市におかれましては、依存症の専門医療機関や治療拠点機関の選定をしていただいております。依存症の相談員を配置しました相談拠点の設置もしておりまして、その中で家族支援や治療回復プログラムの実施をしております。
3と4になりますが、依存症者や家族を対象にしました、全国規模での支援に取り組んでいただいております自助グループ等の民間団体への支援も行っているところでございます。
左下の5になりますけれども、依存症に関する地域の現状や課題に関する調査研究事業も行っております。
最後に、左上の6になりますけれども、広く一般国民を対象といたしました、依存症を正しく理解していただくための普及啓発事業も行っております。
精神保健福祉士におかれましては、専門医療機関や治療機関、精神保健福祉センター等の依存症相談等拠点におきまして、依存症者本人や家族への相談支援、関係機関との連携等の重要な役割が期待されているところでございます。
21ページが、依存症対策全体の平成31年度の要求額についてでございます。31年度要求といたしましては、8.1億円を要求しております。近年のギャンブル等依存症を中心といたしました依存症対策の必要性がうたわれておりますので、大きく増額要求をしているところでございます。
次に、22ページが、アルコール対策でございます。アルコール健康障害対策推進基本計画が平成28年5月に策定されました。この中でアルコール健康障害に関する予防及び相談から治療、回復支援に至る切れ目のない支援体制の整備がうたわれております。精神保健福祉士は、特に相談と連携においてその実務を担うことが期待されているところでございます。
次が再犯防止推進計画でございます。こちらは平成29年12月に策定されております。主な施策を並べておりますが、ページの一番下に記載のとおり、薬物依存症者が抱える支援ニーズを適切に把握し、関係機関につなげるなどの相談援助を実施する専門職の育成を一つの施策として掲げております。その中に精神保健福祉士も掲げているところでございます。
24ページが、平成30年7月に成立いたしましたギャンブル等依存症対策基本法の概要でございます。9番目に基本的施策が載っております。相談支援や社会復帰の支援を推進するために必要な施策を講じるものとすると定められているところでございます。
次に、「公認心理師について」の御説明をいたします。
26ページでございます。平成27年9月に成立いたしました公認心理師法におきまして、名称独占の国家資格ができたところでございます。
27ページが、公認心理師法における医師の指示に関する運用基準の趣旨と概要でございます。心理に関する支援を要する者に対し、関係者が連携の上で適切な支援を行うことが求められているところでございます。
28ページでございますが、本年9月9日に第1回の公認心理師試験が開催されました。9月9日実施分については、本年11月30日に合格発表をいたしまして、現状は合格者数が27,876人となっております。
次の29ページが公認心理師の配置等に関する通知等でございますので、御参照ください。
最後になりますが、「心神喪失者等医療観察法について」でございます。
31ページにその特徴と目的を書いております。裁判所が関与しまして、合議体により適切な処遇を決定いたします。国公立の指定入院医療機関において、手厚い専門医療を行っているところでございます。また、保護観察所の社会復帰調整官が都道府県と連携の上で処遇実施計画を定めまして、地域での継続的医療を確保するための仕組みを構築しているところでございます。このように必要な医療を確保して、症状の改善を図り、再び不幸な事態が繰り返されないよう、社会復帰を促進しているところでございます。
32ページが医療観察法の仕組みでございまして、33ページが入院処遇の概要、34ページが通院処遇の概要、最後が医療観察法に基づく入院から社会復帰の流れとして参考として載せております。
説明は以上でございます。
樋口座長 ありがとうございました。
ただいま、最近の施策の動向ということで、かなり広範な内容でありますけれども、報告をしていただきました。資料2につきまして、若干、御質問ないし御意見を頂戴したいと思います。どのようなものでも結構でございます。いかがでしょうか。
御質問等はよろしいですか。本日の議論に関しましては、この後の養成の在り方に関することが一番のメインでございますので、その基礎資料というような意味で最近の施策の動向についてまとめて資料が作成いただきましたので、これについて後ほどの議論の中で必要なところがあれば、戻って御質問なり御意見を頂戴するということにさせていただきたいと思います。
続きまして、資料3「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討について」と資料4「社会福祉士養成課程の教育内容等の見直しについて」について、説明をお願いしたいと思います。
御子柴主査 事務局でございます。
お手元に資料3「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討について」を御用意ください。
1ページは、精神保健福祉士制度に関する概要となります。精神保健福祉士は、「精神保健福祉士法に基づき、専門的知識及び技能をもって、精神科病院その他の医療施設において精神障害の医療を受け、又は精神障害者の社会復帰の促進を図ることを目的とする施設を利用している者の社会復帰に関する相談に応じ、助言、指導、日常生活への適応のために必要な訓練、そのほかの援助を行うことを業とする者をいう」とされております。
下段が、精神保健福祉士国家試験の受験・合格状況でございます。資格者の登録状況としましては、累計80,891人(平成30年3月末現在)となっておりまして、下段表でお示ししております試験の合格状況としましては、おおむね6割程度の合格率という推移でございます。
2ページは、資格の取得方法について図でお示ししております。保健福祉系大学を卒業し受験資格を得る者、福祉系大学を卒業し実務経験及び短期養成施設等を経て受験する者、一般系大学や短大等を卒業し実務経験等あるいは一般養成施設での1年課程を経て受験する者と、多様な養成課程区分を経て受験資格を得るということになります。
3ページが、精神保健福祉士の活躍の場に関する状況でございます。
既存の調査で分かるものをお示ししておりますので全数ではございませんが、おおよその配置状況等を御覧いただければと思います。こちらは、医療、福祉、保健等その他として分野ごとにお示ししております。
医療分野については、病院及び一般診療所で計約1万1000人が就業している状況。福祉分野については、障害福祉サービス等事業所、及び障害者支援施設等で就業されている方々が計約1万3000人強でございます。保健分野においては、精神保健福祉センター、保健所、及び市町村等での就業。司法分野においては、保護観察所等で就業されている方々で計1,500人強という状況でございます。
これらについては資格の再掲を含んでおりますので、一部重複もある状況でございます。このほか、後ほど御議論いただく中で、現状として活躍の場や求められる役割等について確認をしていただければと思います。
4ページが、精神保健福祉士の現行のカリキュラムでございます。上段の赤枠で囲っておりますところが社会福祉士との共通科目でございます。下段の青枠で囲っておりますところが精神保健福祉士の専門科目でございます。このうち、更に上段では座学の科目の時間数等をお示ししておりまして、下段に演習及び実習の時間数等をお示ししているところでございます。また、このうち更に、※印では一部「読み替え可能科目」があるということと、「大学等においては3科目のうち1科目」を選択するという仕組みなどもございます。これらの在り方についても、後ほど御議論いただければと思います。
5ページが、共通科目を有する社会福祉士の現行のカリキュラムでございます。
一番から、科目群として「人・社会・生活と福祉の理解に関する知識と方法」、2つ目が「総合的かつ包括的な相談援助の理念と方法に関する知識と技術」、3つ目が「地域福祉の基盤整備と開発に関する知識と技術」、4番目が「サービスに関する知識」、5番目が「実習・演習」といった構成になっております。こちらの科目群等についても、後ほど、前回の「精神保健福祉士の養成課程における教育内容等の見直し」の状況と併せて御覧いただこうと思っております。
6ページは参考でございますが、社会福祉士の旧カリキュラムとなります。平成21年3月まで実施されていた科目の構成について御参考にお示しいたします。
7ページは、本日の参考資料3「精神保健福祉士の養成課程における教育内容等の見直し」としてお配りしております、当検討会の前回の見直しの内容をまとめた報告書を一部抜粋した概要でございます。1番目に、前回の見直しにおいて確認された内容として、「今後の精神保健福祉士に求められる役割」が4つ挙げられております。1つ目が精神障害者に対する相談援助を行う役割、2つ目が地域移行を支援する役割、3つ目が地域生活の維持・継続を支援し生活の質を高める役割、4つ目が多様化する課題に対して相談援助を行う役割ということで、4つの役割が大きく整理されたところでございます。
2番目に、「今後の精神保健福祉士に必要とされる知識及び技術」が7つ挙げられております。1つ目が専門治療の特徴を踏まえ連携・協働する専門的知識及び技術、2つ目が家族調整や住居確保など地域移行に係わる専門的知識及び技術、3つ目が医療・福祉サービスの利用調整、4つ目が就労に向けた支援、5つ目がケアマネジメント、コンサルテーション、チームアプローチ、ネットワーキング等の関連援助技術、6つ目が行政、司法等多分野での精神保健に関する相談援助活動、7つ目がライフサイクルに伴う生活上の課題に対する知識ということで、7つ挙げられたところでございます。
次の8ページが、「教育カリキュラムの見直し」でございます。先ほど社会福祉士の現行のカリキュラムを御紹介させていただいた際の科目群に、精神保健福祉士に特化する知識と技術の科目群として、3の「医療と協働・連携する相談援助の理念と方法に関する知識と技術」が加えられた形で、6つの科目群でまとめられたものが現行の精神保健福祉士のカリキュラムでございます。
続きまして、9ページ以降は、今回の検討に当たってどのように検討していくかということについてお伺いしたい内容でございます。
まず、1つ目が9ページ、「共通科目の設定と考え方(案)」についてです。こちらは現行のカリキュラムにおける考え方を元に整理したものでございます。共通科目とは、「社会福祉士との試験科目及び養成課程上の指定科目において共通した科目」のことでございます。
また、2つ目は、それを踏まえて各国家試験で互いに共通科目の試験が免除されるという仕組みでございます。
3つ目がその考え方です。社会福祉士及び精神保健福祉士はその目的等が異なることから、別法によって資格を定めております。しかしながら、両資格ともにソーシャルワーク技法を用いて相談援助を行うことや、社会福祉制度等に関する基礎的な知識を必要とすることなど、その専門性において共通の基盤を有しているということが特徴でございます。
こういったことを踏まえますと、両資格を取り巻く環境あるいは対象の変化等はありますが、可能な範囲で共通科目を設定して試験や履修の免除を認めることで、両資格の取得の促進を図ることですとか、知識や技能に係る水準を担保する必要がありますので、今回の見直しにあたりましても、一定の共通科目の仕組みを維持することが妥当ではないかと事務局としては考えております。このあたりについても後ほど御議論いただければと思います。
10ページは、今回、事前に皆様に御意見をお伺いしております際にもお示ししている「検討事項における具体的な内容(案)」でございます。最初に開催要綱において、今回の当検討会の検討事項を4つ御紹介しておりますが、1番目が「精神保健福祉士の役割」、2番目が「教育カリキュラム」について。3番目が「実習の在り方」について、4番目が「卒後教育・継続教育」について、その他と柱立てをしております。
それに対し、検討事項ごとに細かにまとめていきますと、1番目の「精神保健福祉士の役割」については、取り巻く環境や先ほどの動向等を踏まえた課題と、現在あるいは今後求められる役割について御意見をいただきたいと思っております。
また、求められる役割と併せまして、業務の対象や内容、行動特性、つまりコンピテンシーといったものについても御意見をいただければと思っております。
また、先ほどありましたとおり、状況や課題が複雑化していることも踏まえますと、多職種連携は必須となると考えられますので、その在り方と求められる役割などについても御意見をいただければと思います。
2番目の「教育カリキュラム」につきましては、先ほど御説明させていただいた精神保健福祉士の専門科目を含めたカリキュラム全体の在り方、社会福祉士との共通科目の在り方や読み替えの在り方等について、そのほか養成区分ごとに設定しているカリキュラム編成等についても御意見をいただければと思います。
続きまして、3番目の「実習の在り方」については、実習や演習の目標、内容、あるいは時間数についての御意見、並びに教員や実習指導者等の要件、各講習会の在り方等についても御意見をいただきたいと思っております。
4番目の今回追加した「卒後教育・継続教育」につきましては、基礎教育と卒後教育のそれぞれの役割、継続教育の在り方等についても御意見をいただきたいと思っております。
5番目の「その他」は、1~4番を検討しております中で出てまいります見直しの案といったものに対して、対応すべき事項がないか、併せて検討するべき事項がないかなど、その他御意見があればいただきたいと思っております。
11ページが、今後の「検討後の主なスケジュール(イメージ)」でございます。当検討会には左上にお示ししております青い矢印のところでございますが、先ほどお示ししました検討事項や内容について当検討会で取りまとめていただきたいと考えております。併せて、開催要綱にありますとおり、必要に応じてワーキンググループが設置されることがあるという図でございます。
また、共通科目を有する社会福祉士については、並行してカリキュラムの検討がされる予定ということでございますので、これについて後ほど福祉基盤課より御説明させていただきます。
今後のスケジュールとしましては、10年前と同様に「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する中間報告書」などを必要に応じて取りまとめ、その後カリキュラムの詳細についての検討を終えた段階で、パブリックコメントを踏まえて教育内容等の見直しを図るとい流れです。また、その後には見直し内容ついての関係省令の公布を行いました後に、新カリキュラムの施行といった流れになります。
また、カリキュラムの詳細についての検討とあわせまして、今回「卒後教育・継続教育」などについても検討いただく予定でございますので、それらの検討も含めた取りまとめとして報告書等をお示ししていくような流れになるかと思います。
また、関係省令の公布から新カリキュラムの施行までの期間についてですが、見直しの内容や程度に合わせまして、必要な周知期間を設けるということと整理しております。教育の現場への影響ですとか各種準備状況があるかと思いますので、1年以上など最低限の周知期間は担保し、見直し内容の程度等に応じて確保していくというような流れになるかと思います。
新カリキュラムの施行の後でございますが、新しいカリキュラムによる養成の状況も踏まえますと、新カリキュラムによる国家試験の実施は最短で4年が目途となります。その間に、見直し内容に合わせまして、国家試験制度等についても必要に応じて見直しを図っていくといった流れでございます。
こういった進め方についても、イメージとして事務局からお示ししておりますので、後ほど御意見等があればいただきたいと思っております。
続きまして、最後に12ページに参考としてお示ししております。当検討会で御議論等いただく中で、実際の教育の現場や活動の現場の状況等の課題など、根拠をもとに検討していく必要があるかと思われますので、「平成30年度障害者総合福祉推進事業」といたしまして、本省で「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築及び地域共生社会の実現に向けた精神保健福祉士の役割の明確化と養成・人材育成の在り方等に関する調査」という課題を立てております。
資料に記載しております内容は、当該事業の公募要項から抜粋したものでございますが、精神保健福祉士の役割を明確化するとともに、精神保健福祉士が身につけるべき知識や技能などについて明確化し、養成・人材育成の在り方等について調査を行うこととしています。
下の※印でお示ししておりますとおり、当該事業において求める成果物の活用方法として、当検討会の検討材料として活用することを挙げておりますので、こういった事業での調査結果なども踏まえながら、当検討会での取りまとめを行っていただきたいと考えております。
なお、当該事業でございますが、先般、公募を行いまして、事業実施者として公益社団法人日本精神保健福祉士協会が採択されております。当該協会からは柏木会長に構成員として御参画いただいておりますが、日本精神保健福祉士協会におかれましては当該事業を実施いただいておりますので、適宜、情報提供をいただきたいと考えております。
資料3についての説明は以上でございます。続いて、資料4の説明に移ります。
伊藤専門官 福祉人材確保対策室でございます。
資料4「社会福祉士の養成課程における教育内容等の見直しについて」説明いたします。
まず、社会福祉士に求められる役割等につきましては、社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会において平成28年度から御議論いただき、昨年度末の3月28日に報告書が取りまとめられております。その報告書の中で、社会福祉士養成課程における教育内容の見直しについて言及があり、これを受け、現在カリキュラム等の検討を行っているところです。
では、1ページを御覧ください。
社会福祉士養成課程における教育内容の見直しが必要な背景といたしまして、2つ目の○ですが、医療や介護の分野においては地域包括ケアシステムの構築を目指しており、社会福祉士が総合相談支援や権利擁護、退院支援といった役割を担っていくことが期待されているところです。
また、3つ目の○でございますが、地域福祉の分野においては、「地域共生社会」の実現を目指しており、社会福祉士が制度横断的な課題への対応や必要な社会資源の開発といった役割を担うことができる実践能力を身につけることが求められております。
このような背景を踏まえ、最後の4つ目の○ですが、福祉人材確保専門委員会の報告書においては、「地域共生社会の実現に向けて、複合化・複雑化した課題を受け止める多機関の協働による包括的な相談支援体制や、地域住民等が主体的に地域課題を把握し解決を試みる体制の構築が重要であることを踏まえ、ソーシャルワークの専門職として、これらの体制を構築するために必要となる実践能力を習得できる内容とすべきである」とされました。
2ページでございます。
教育カリキュラムの見直しの基本的な視点としましては、先ほど御説明いたしました報告書の見直しの基本的な視点をまとめたものがこちらの2ページになります。
方向性といたしましては、一番下のところ、ソーシャルワーク機能を発揮できる実践能力の習得に向けた取り組みの方向性として、養成カリキュラムの内容の充実、実習及び演習の充実、実習施設の範囲の見直し等が示されているところです。
3ページを御覧ください。
この報告書の状況を踏まえまして、3ページに挙げたことなどを主な論点として、現在、社会福祉士養成課程における教育内容の見直しについて検討を行っているところです。
例えば1つ目の○ですが、現行の科目名や各科目の「教育内容(ねらい及び教育に含むべき事項)」や「想定される教育内容の例」、また、各科目の関係性などについて、追加や削除、改正すべき点はないか。3つ目の○ですが、基礎・基盤となる科目の在り方、科目全体の体系整理について。次に4つ目の○ですが、各科目間で重複する教育内容について検討し整理すること。最後の○ですが、実践能力の向上のため、より多様な施設等での実習が可能となるよう、実習施設の範囲の拡大などがございます。
社会福祉士養成の課程における教育内容等の見直しについては、以上でございます。
樋口座長 ありがとうございました。
ただいま説明をしていただきました資料3、資料4に関しまして、主にここでは資料の内容あるいは事実関係で確認をしたいということを中心に、御質問や御意見がございましたらいただくことにしたいと思います。いかがでしょうか。
これについても、後ほど議論をしていく上での参考情報あるいは課題が書き写されているので、それらを踏まえて、また議論の段階でいつでも御質問いただいて結構です。特に今の段階で何かわからなかったとか足りなかったという御意見等がございましたら。よろしゅうございましょうか。
ありがとうございました。
それでは、次に移りたいと思います。今度はお手元の資料5「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する主な意見について」ということで、これは今回この検討会を始めるに際して、構成員の方々にあらかじめ事務局からお願いをして出していただいた御意見を、事務局で取りまとめられたものでございます。それについて、まず事務局から説明をしてもらった上で、活発な御議論をお願いしたいと思っております。
では、事務局、お願いします。
御子柴主査 ありがとうございます。
資料5「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する主な意見について」を、事務局より御紹介させていただきたいと思います。
なお、本日御欠席の中島構成員の御意見につきましては、御希望により、机上配布資料の一部としてお手元にお配りさせていただいております。机上配布資料は冊子にしてまとめておりますが、最後の121ページに掲載させていただいております。但し、こちらの御意見も含めまして、資料5に構成員の方々からの御意見をまとめて記載しておりますので、基本的には資料5を御覧いただきながら御議論いただければと思います。
樋口座長 今の121ページと言われた中島構成員の御意見は、まとめの資料5には入っていないのでしょうか。
御子柴主査 入っております。こちらも含めて全員の御意見を資料5で御紹介させていただきたいと思っております。
樋口座長 わかりました。
御子柴主査 今、ちょうど御用意いただきましたので、机上配布資料について少し御説明させていただきます。本日お配りしておりますのは、1から5の机上配布資料です。
1つ目については、前回の当検討会での見直しの際に使用しました、共通科目についての参考資料でございます。また、2つ目が、前回の社会福祉士の見直しの報告書でございます。3つ目が、前回の当検討会の中間報告書としてまとめられたものを参考にお示ししております。また、先ほど資料4で福祉基盤課より紹介がありました、社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会の取りまとめの報告書を4つ目に御用意しております。
また、精神保健福祉士の国家試験の出題基準については本日の参考資料2でお配りしておりますが、5つ目として社会福祉士の国家試験の出題基準についても御参考までにお配りしている状況でございます。
では、資料5の説明に移らせていただきます。
1ページにお示ししているとおり、事前に御提出いただきました御意見を1から4番のようにまとめておりますので、この後、1から4番ごとに御議論いただくような形かと思います。
では、2ページを御覧ください。
「1)精神保健福祉士に求められる役割について」として御意見をまとめたものでございます。精神保健福祉士の役割や必要なスキルについての御意見がございました。
まず、1つ目ですが、精神保健福祉士に求められる役割は、精神障害の発生の予防や国民の精神的健康の保持及び増進、また、精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上に努めることも考えられるのではないかという御意見でございます。
また、2つ目ですが、対象疾患の多様化や課題の複雑化などもあり、他職種との連携が増えていくことへも考慮が必要ではないかという御意見ございます。
5つ目ですが、社会ニーズの把握や根拠に基づく活動が求められているのではないかという御意見、また6つ目ですが、専門職として、戦略的な試行やマネジメント能力を強化する必要があるのではないかという御意見などです。
最後ですが、社会構造を捉えた上で活動する必要があるのではないかという御意見です。
3ページも引き続き、「精神保健福祉士に求められる役割について」でございますが、こちらは主にアイデンティティや専門性の明確化の必要性についてでございます。
2つ目ですが、多職種連携における精神保健福祉士の役割を整理する必要性があるのではないかという御意見です。
5つ目、下から3つ目ですが、精神保健福祉士の業務の「見える化」、アイデンティティやコンピテンシーの明確化が前提として必要なのではないか。また、それが科目の体系整理や教育内容を見直す際にも重要ではないかという御意見です。
6つ目ですが、新たなメンタルヘルス課題が増加している中で、それらに対応できる力を養成・研鑽・向上する必要があるという御意見でございます。それに関して具体的な内容がお示ししているようなものが次に挙げられております。
続きまして、4ページも引き続き、「精神保健福祉士に求められる役割について」ですが、これらは主に多職種連携ですとか、そこにおける調整の役割に関する御意見でございます。
例えば、3つ目のように、精神保健福祉士の業務は他職種や異業種等との連携なしには成立しなくなってくるため、精神保健福祉士がその調整を担うことが多くなってくるのではないかといった御意見が多くありました。
5ページからは、「精神保健福祉士の養成の在り方について」の御意見をまとめたものでございます。このページにつきましては、主に科目の体系やカリキュラムの在り方、学問的な観点に関する御意見でございます。
1つ目ですが、養成課程で求めるべき知識を整理して、その上で現行のカリキュラムで明確化あるいは網羅できているかを確認する必要がある。その後に必要に応じて各科目の統廃合等も行う必要があるのではないかという御意見でございます。
3つ目ですが、社会福祉士のカリキュラムとの関係もあり、両方の資格を志す学生が習得・資格取得しやすいような科目の設定や整理が必要ではないかという御意見でございます。
4つ目は、精神保健福祉士の養成課程には区分が様々ございますが、どの養成区分で教育を受けても、専門職としてソーシャルワークの価値と理論に関する理解や教育は担保できるような教育内容の均衡を検討すべきではないかという御意見でございます。
5つ目は、カリキュラムの構造や科目の体系を考えるには、職種のコアコンピテンシーが重要ではないかという御意見でございます。
6つ目ですが、養成課程において学習する内容を学問として位置づけて整理することが必要ではないかという御意見でございます。
最後から2つ目などですが、精神保健福祉に関する用語の統一化ですとか、定義の明確化が必要ではないかといった御意見でございます。
6ページも「精神保健福祉士の養成の在り方について」の御意見でございますが、こちらのページは、主に各科目への具体的な御意見、特に専門科目や対象別のような科目への御意見でございます。
例えば、2つ目からですが、法制度や政策の変遷など大きな枠組みや経緯を学ぶということについては、現在の法制度や政策を理解し、資源やサービスを活用する上で重要ではないかという御意見でございます。
同じように、4つ目ですが、法制度の理念や施策の変遷、全体の体系を一体的に学ぶことが必要ではないかという御意見です。
一方、5つ目ですけれども、法制度や政策、サービスに関する内容が複数の科目で重複しているのではないかという現行のカリキュラムの課題に関する御意見でございます。
6つ目ですが、これらの内容について援助の基盤となる観点から、精神障害者等の歴史や背景について学ぶことは重要であるという御意見でございます。
また、一方、4つ目ですけれども、サービス論とシステム論を現行別々に教えている現行のカリキュラムには課題があるのではないかという御意見でございます。
下の3つについては、高齢者や児童・思春期の分野への理解や協働について学びを充実させる必要があるのではないかという御意見でございます。
7ページも引き続き。「精神保健福祉士の養成の在り方について」の御意見でございますが、こちらは基礎的な科目等についての御意見でございます。
2つ目などですが、社会学、法学、医学、及び心理学などの基礎的な学問は、実践能力や論理的な思考の基盤として重要ではないかという御意見でございます。
また、最後のように、司法や教育との連携についても学びを充実させる必要があるのではないかという御意見でございます。
8ページ目からは、「演習・実習及び教員等の在り方について」の御意見でございます。こちらのページの主な内容といたしましては、まず、学習方法や演習に関する内容でございます。
1つ目、獲得型から参加型への学習のパラダイムシフトが必要ではないか、特に実習指導がこれに当たるのではないかという御意見でございます。
また、3つ目、アクティブラーニングをできるだけ取り入れるなどの工夫を進めてはどうかという御意見ございます。
5つ目以降は、更に実習に関連する内容でございますけれども、実習の目的や内容を明確にし、その質を担保することがまず優先ではないか。また、それに併せて、教員や実習指導者の質の担保も前提となるのではないかという御意見でございます。
加えて、下から2つ目ですが、1人の学生が経験する事例は限られているので他の事例を共有するような方法を検討し、充実させることが有効ではないかという御意見でございます。
また、最後ですけれども、養成校の教員等が現場と連動して事前事後の学習を丁寧に行うことが重要ではないかとう御意見でございます。
9ページも同じように、「実習・実習及び教員等の在り方について」ですが、こちらは主に実習指導や教員、講習会の在り方についての御意見でございます。
4つ目にありますとおり、1人の学生が実習で経験できる施設や範囲は限られるため多彩な現場を演習の場面で具体的に教える工夫が必要ではないかといった御意見でございます。
5つ目も教員等に関連しますが、各種講習会の対象の見直しや内容の充実・強化も視野に入れてはどうか。他分野の教員が実習指導者等になった場合については、講習会の内容が同等でよいのかも検討する必要があるのではないかという御意見でございます。
下から2つ目については、教員が学会や研修会に参加することや、対応困難な症例などについて意見交換を行うなどの工夫が望ましいのではないかという御意見でございます。
10ページは、最後に「基礎教育と卒後教育の役割及び継続教育の在り方について」の御意見をまとめたものです。こちらのページは主に生涯学習、継続教育についての御意見でございます。
1つ目にありますとおり、資格取得の段階は必要最低限の知識の習得レベルであるため現任教育や生涯教育が不可欠ではないかという御意見でございます。
2つ目は、分野が司法、教育、産業・雇用等に広がっているため、それらに関する知識を習得する必要があるが、養成の段階でこれら全てを対応するのは困難なのではないかという御意見です。
また、3つ目などにありますとおり、精神保健福祉士は就業先の規模や分野によっては配置人数が1人又は少数のことが多いため、卒後に継続して学べる環境や仕組みが必要ではないかといった御意見でございます。
最後、11ページ目も引き続き、「基礎教育と卒後教育の役割及び継続教育の在り方について」の御意見でございますが、こちらのページは主にスーパービジョンについての御意見でございます。
2つ目ですが、ソーシャルワークの領域が拡張されていく傾向にあるので、スーパービジョンを行う仕組みを検討してはどうかという御意見でございます。
また、先ほどあったような御意見とあわせて、下から2つ目現場の職員と学生の交流の機会をつくるなどして魅力ある仕事であることを知ってもらうなど、教育と現場の融合を図ってはどうかという御意見でございます。
事務局からの御紹介は以上でございます。
樋口座長 ありがとうございました。
それでは、ただいま、主な御意見をまとめていただいたのですけれども、これを中心に本日の構成員の皆様からさらにこの意見に加える御意見、あるいは別の御意見をいただくなりということで、残りの1時間ぐらいを進めてまいりたいと思います。
順番に、前後してももちろん構わないのですけれども、一応この1から4としてまとめていただいておりますので、それに沿って、少し時間を区切りながら御意見をいただいてまいりたいと思います。
最初が、「1)精神保健福祉士に求められる役割について」ということで、4枚ございます。このところについて御意見を頂戴できればと思いますが、いかがでございましょうか。いただいた御意見に補足していただくなり、新たな御意見を追加していただくなり、どういう形でも結構でございます。
どうぞ。
岡本構成員 日精協から来ている岡本です。
膨大に書かれているのですけれども、我々、新人を受け入れたときに感じるのですけれども、これは多職種協働とかいろいろあるのですが、御自分たちは勉強はしてきているのだけれども、他職種、例えば看護師なり作業療法士なりというものに対する認識がほとんどないというようなことで、それをどうしようかと。
病院であればデイケアで研修していただいり、いろいろ配属することによって多少は教育できるのですけれども、それでも足りないということで、我々、精神保健福祉士に限らず各病院の努力次第なのですけれども、それを補うために、例えば日精協の通信教育で基礎課程を受けさせるとか、1年間そういったスクリーニングを受けさせるというようなことで、いろいろな努力をするのです。
私どもは精神科の病院の者として各施設は努力しているということで、ここでの検討に万全を要求する気はないのですけれども、卒後に教育することで、ある程度共通して他職種に対する理解を得られるようなものがあればいいかなと常々思っておりました。
そういうことで、いきなり卒後の教育になってしまうのですけれども、そのようなことを少し考えております。
樋口座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
どうぞ。
岩本構成員 岩本です。よろしくお願いします。
1と2が一緒になってしまっているような意見なのですけれども、精神保健福祉士に求められている役割というのは時代の変化とともに多様化、複雑化しているということはそのとおりなのですけれども、こういう議論のときに整理したいのが、今、活躍中の精神保健福祉士、特にベテランに求められているものと、この養成課程を修了する者、新人のレベルでどこまで仕上げるかということについて、連続はしているのですけれども、少し整理したいと思っています。
例えば、先ほどのように、社会福祉士に求められる役割は壮大なのですけれども、それをそのまま教育に反映させても非常に無理がある。最低限1年目のとき、新人になるときにどこまで学校で仕上げるとか、その後は現場や卒後教育とかで育てていくのかというように、まさに養成課程のコアな部分というものとして例えば3点とか4点、「これができるようになってほしい」とか、「これはちゃんと身につけてほしい」というものを打ち出していただけると、そこからカリキュラムが少し整理されてくるのではないかなと感じております。
樋口座長 ほかにいかがでしょうか。
どうぞ。
岩上構成員 岩上でございます。
私は精神保健福祉士になって本当によかったなと思っているのです。御本人にも関われてなおかつ社会にも関われる。こんないい仕事はないのではないかということをちゃんと教育でやってもらえれば一番いいのですけれども、一つ気になるのは、このスケジュールを拝見しますと、5年先を見通してやっていかなければいけない話なのだと思うのです。そうしましたときに、福祉基盤課でお示ししていただいた社会福祉士に求められる役割というのは、これは社会福祉士にだけ求められるわけではなく、全く精神保健福祉士に読み替えができてしまうわけです。
そうなったときに、この両資格の在り方がきちんと議論されない中で、カリキュラムを一生懸命考えていただくのは、精神保健福祉士が期待されているわけなので、大変ありがたいことだとは思うのですが、福祉基盤課にとっても、福祉人材として精神保健福祉士は期待されているわけですよね。だとすると、この社会福祉士に求められている役割には、依存症対策なんかも入っていますし、全く読み替えができる状況の中で、そこの部分をきちんと議論がない中で、カリキュラムとか養成だけを見直してしまうことに、多少というか大きな危惧を抱いています。
もともといろいろな事情があって、社会福祉士がある中で、精神保健福祉士という資格をつくっていただいたということがあるのです。社会の問題を解決しなければいけないということで、精神保健福祉士をつくってきたという歴史はありますけれども、それから二十年近く経っているわけですから、ここの重なる部分についてはきちんと議論を今後しておいていただいたほうがいいかなと思います。
樋口座長 ほかにはいかがでしょうか。
どうぞ。
塚本構成員 塚本です。
社会福祉士のみならず、精神保健福祉士のみならず、今、看護も作業療法士も理学療法士などの各職種等もみんなソーシャルワークを目指すという時代になっているわけですよね。その中でソーシャルワーカーとうたっている我々の立ち位置というのは、本当に今、不可解な状況になっているのかなと正直に思っています。その辺も頭に入れながら考えていければと思っています。
樋口座長 ほかにいかがでしょうか。
どうぞ。
和気構成員 1つ質問と1つ意見なのですが、資料2で、先ほど御質問すればよかったのですが、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築について、聞き落としたかもしれませんけれども、圏域設定をどういうふうにするのかという問題があると思うのです。
御存知のように、地域包括ケアシステムは、最初は高齢者保健福祉の領域で出てきて、そして日常生活圏域、大体、中学校区でこういうシステムを構築していくという方向で打ち出されたと思うのですが、精神障害も全く同じような考え方で、中学校区を日常生活圏域の単位として地域包括ケアシステムをつくるのかということについて、御質問をさせていただきたい。
なぜそういうことをお聞きするかというと、ここから先は意見なのですが、地域社会というのは、簡単に言うときれいごとではなくて、一方で包摂の論理もありますけれども、同時に排除の論理もあるということになります。
地域包括ケアシステムであるとか、地域共生社会の構築というのは、それはそれでいいのですけれども、現実のある姿を見れば、例えば排除するような論理が働いているときに、どういうふうにその問題を解決していくのかという能力を、ソーシャルワーカーと言われている、社会福祉士や精神保健福祉士の人たちが持たなければならないということになると思います。
その意味で言いますと、コミュニティケアと言い換えてもいいかもしれませんけれども、そういうシステムをつくり上げていく能力、ソーシャルワークでは個別支援と地域支援という2つの機能があると言われますが、その地域支援の機能を、精神保健福祉士でもより一層持つようにするべきではないかと思います。
それは地域生活支援とか、今、お話ししたようなコミュニティケアであるとか、政策の動向といいますか、世界的に見てもそういう方向へ行っているわけですから、それに対応できるような能力を持つ。そういうことを、例えばカリキュラムの改革をしていく視点の一つとして持つべきではないかと思います。
抽象的で恐縮なのですけれども、そういうふうに思いました。以上です。
樋口座長 ただいまの構成員からの御質問全般について、事務局からお願いします。
寺原課長補佐 事務局でございます。
今、和気構成員から御質問いただきました、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの圏域の考え方でございますが、資料2の8ページのイメージ図で御説明させていただきます。
右下に「圏域の考え方」というものを載せておりまして、こちらの中で※のところに、地域包括ケアシステムは、和気構成員がおっしゃったとおり、日常生活圏域単位での構築を想定としているにまだとどまっているところでございます。
次の9ページで、先ほど申し上げましたように、構築推進事業と構築支援事業というものを平成29年度より開始しております。この構築支援事業の中で、現在、手引きというものを作成中でございます。この手引きの各構築推進事業の中で掲げている10個の事業についても、事例を載せたいということで今、作業を進めているところでございまして、そういった具体的な事例をもとに、どういった圏域において各自治体は行っているのかといったことも把握していきたいと考えているところでございます。
樋口座長 よろしいでしょうか。
それでは、ほかに御意見はいかがでしょうか。特に今の全体的なこと、精神保健福祉士に求められる役割についてというところでございます。
鹿島構成員、どうぞ。
鹿島構成員 総論的なことにつきましては、10年前の「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」の委員をしていましたときにお話ししたことと基本的に同じです。精神医療、保健、福祉の実践においては、精神保健福祉士は他の関係職種等と連携し活動することが増え、活動内容も他の職種の活動と重なりあう部分も少なくなく、大切なことはそれぞれの職種のアイデンティティをしっかり押さえた上で他の職種と連携し活動することであると発言しました。この意見は現在でも同じですが、その後の精神医療の進展、例えば薬物療法の進歩や社会資源の充実などにより、施設内での医療から地域での医療、保健、福祉の活動がますます増え、他の職種等との一層の連携が求められるようになってきています。このような状況にあって、職種のアイデンティティをしっかり押さえておくことは、更に大変に重要なことと考えます。
また、先ほどのお話にもありましたが、精神医療の対象も広がってきています。精神保健福祉士は精神に関する医療、保健、福祉の専門家として、教育、研修の内容を見直しアイデンティティを明確にしていくことが、ますます必要になっていると考えます。
以上です。
樋口座長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
岡﨑構成員、どうぞ。
岡﨑構成員 岡﨑でございます。
私は依存症の分野で活動してまいりまして、先ほどから多職種連携のお話がありましたが、依存症の分野では当事者の回復者の方もたくさん働いてきていらっしゃるということで、特に皆さん御存知かと思いますけれども、回復支援施設のダルクは当事者の方を中心に運営されている現状がございます。
そういう施設とどういうふうに連携していくかということは、職種ということよりももう少し広い範囲かもしれませんが、非常に大事なことだと思いますし、また、その回復者の方も、最近は精神保健福祉士ですとかそういう資格を取得される方もいらっしゃるというような現状が一つあるということをつけ加えさせていただきたいと思います。
また、もう一つ依存症の分野で、現在、トリートメントギャップと言われる大きな問題がありまして、アルコール依存症の治療を受けなければいけない人の5%程度しか適切な治療を受けられていないと。その多くは内科とか一般の病院から、アルコールの専門の、正しいというか適切な治療に結びつけられないと。これは依存症の分野では永遠の課題のように言われているのですが、そこのところでもやはり職種間の連携は非常に必要ではないかなと思っております。
以上です。
樋口座長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
それでは、もちろん後から戻っていただいても結構ですので、2番目の精神保健福祉士の養成の在り方について、既に御議論いただいているわけですが、そこも含めて1番、2番に関連して、御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
どうぞ。
伊東構成員 伊東でございます。
養成校の教員の立場で発言させていただきます。私は、大学で「精神保健福祉に関する制度とサービス」を教えておりますが、この科目は、社会福祉士との共通科目や社会福祉士の専門科目と重複している部分が多くあります。例えば、医療保険に関することや社会調査法に関する内容です。そのことから、精神保健福祉士と社会福祉士の両資格を取得しようとする学生にとっては、重複する内容が多くなってしまうことになります。
また、大学では現在、予習復習をしっかりするようにということから、学生が履修する単位が制限されるというCAP制がとられています。そうしますと、資格取得のための指定科目が多くなることは、大学にとって非常に困ることになります。科目の中の重複する部分を少なくして、精神保健福祉士にとって重要な事項を中心に科目を構成していく必要があるかと思います。
2点目ですが、授業への学生の参加の重要性が言われ、アクティブラーニングが注目され、どの科目もそのような展開が求められているように思います。そうしますと、講義科目の中に演習的な要素が入ってくることになるかと思います。今後、講義科目、演習科目、実習の関係性をこれまで以上に整理していく必要性があるかと思います。
最後に、精神障害者の理解も重要だと思いますが、その前に精神保健福祉士として人間理解が重要であるように思います。現状でも「心理学理論と心理的支援」という科目がありますが、半期科目です。もう少し充実させる必要があるように思います。
そういった基本的なところ、さらに言えば法学、法律の条文を読めるような精神保健福祉士も必要なのではないかというところでは、もう少し社会学だとか心理学、法学という基礎のところを固めていかないといけないのかなと思っております。
以上でございます。
樋口座長 ありがとうございました。
ほかに、養成の在り方というところについて、追加の御意見なり、いかがでしょうか。
どうぞ。
岩本構成員 たびたびすみません。岩本です。
今の伊東構成員のお話のとおりで、どうしてもこういう議論のときには、講義科目の設定をどうするか、演習・実習をどうするかという2段階でお話しすることが多いのですけれども、必要な知識はやはりかなり範囲が広いというところで、それを講義で集中的に覚えて、それで演習、実習で応用するということはかなり無理があると思っていますので、講義科目の内容を絞り込むということもそうなのですが、実践力と言ったときに、講義の中でそれを実践につなぐような教授法といったことは必須だと考えています。
あと、前に戻ってしまうのですけれども、本日、せっかく机上に配布していただいています冊子「精神保健福祉士業務指針及び業務分類」についてです。この業務指針の作成にも私は携わって、現在、改良もしているのですが、これは精神保健福祉士の業務を見える化する試みなのです。
わかりやすいところで言いますと、61ページを参考に御覧いただければと思うのですけれども、このように様々な業務を行っているわけですが、それらの行為がどのように構成されているのかということを表にしたものなのです。
例えば退院・退所支援について地域移行として精神保健福祉士も取り組んでいるところですけれども、それがどういったものを目指して、どういった知識や技術を活用して実践しているかを示したものです。基本的に見えるところが業務内容なのです。例えば、どこに連絡をしてとか気持ちを聞いてとか、精神保健福祉士が支えている部分、精神保健福祉士の業務の見えない部分がこのようになっているということをお示ししたものなので、ぜひこの養成の在り方においても参考にしていただけるとありがたいと思っています。
それから、先ほど岩上構成員から、個人にも関われて、社会、地域にも関われてというお話もありましたけれども、やはり連続性で考えていくということがとても重要だと思いまして、例えば実習も、個人に対するとか、地域に対するというような分け方をするのではなく、個人と向き合っていく場合に、その地域の問題とか社会の問題というのにつなげていくといった連続性という観点、私たち精神保健福祉士の実践の中では意識しているというところも、精神保健福祉士の在り方とか養成教育の在り方というところで、分断ではなく連続性を持って体系化していくというふうに考えていけたらと思っております。
以上です。
樋口座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
どうぞ。
田村構成員 田村です。
養成に関して、私自身は社会福祉士の養成課程で勉強して、大学卒業時に社会福祉士の国家試験受験資格を取りました。そして、精神科病院に就職したのですが、仕事上で困ることはそれほどなかったように記憶しています。
と言うのは、職場で教育していただいたり、職能団体に所属することによって、その場、その時に必要な知識や、考え方として外してはいけないところをしっかり押さえさせてもらうということができたためだと思っています。
自分の体験から言えば、養成段階で細かい制度について教えることは余り必要ないように思います。しかも、制度は改正されることも多いですので、そういう意味では詳細に学ぶ必要がないと思います。ただ、現場に出ますと、制度に基づく諸手続が適切にできるかどうかというところで最初に業務評価をされる点がありますので、そこは職場での教育や職能団体等による卒後の教育体制を整えて、それを誰もが必ず受講しなければいけないというような仕組みも必要ではないかと思います。先ほど岩本構成員もおっしゃっていましたけれども、養成だけで本当の一人前にするというのはなかなか難しい部分もあるのではないかと思っています。
一方で、私が社会福祉学科で学んで、後にじんわり響いてきたなと思うのは、人に対する理解や人の権利、あるいは命の大切さみたいなことと、社会の構造を読み解く発想といったもので、教わっていたことが就職後、にわかに役立ったわけではないのですけれども、何年もかけて、それが自分の軸を作ってくれていたのだなと感じるところはすごくあります。
ですので、目先、手先の手順、手続がすぐにわかるような人を育てるというよりも、むしろ深いところで人を理解し、また生存権を保障するといった人権意識をきちんと持っていて、なおかつ今の社会の仕組みがどのようであって、それをどのように分析すればいいのかということがわかるように育てていく発想が必要かと思います。
もう一点、社会福祉士の養成にも私は携わっており、感じていることですが、共通科目以外のところで見ますと、精神保健福祉士に関しては全て精神保健福祉分野の科目です。それに対して、社会福祉士は高齢、障害、母子や父子あるいは低所得といったように多分野があります。そして多分野のそれぞれの科目を少ない時間数しか勉強できなくなってしまうということがあると思います。
ここは社会福祉士の養成を議論する場ではないので、これ以上のことは申し上げませんけれども、精神保健福祉士の専門科目は、実際の専門科目の積み上げができている。両方の資格の養成にかかわっている中でそう感じています。そしてこの程度の学習は必要なのだろうなと思うと、共通科目をあまり増やしてしまって専門科目が減るとか、実習・演習の時間を増やすことによって専門科目が減るということは余りしてほしくないという気もしています。何もかも盛り込むことは難しいですけれども、端的に言って実習・演習の時間数を今、増やす必要は余りないと思います。むしろ実習・演習教育の仕方ですとか、現場での実習指導の在り方などについて、見直しをして次に生かすことが必要であると考えています。
以上です。
樋口座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
どうぞ。
鹿島構成員 10年前にも申し上げたことですが、用語の問題も大切と考えます。用語については、その後、委員会が作られ検討が行われました。精神医療、特に保健、福祉、支援の領域は様々な学問的立場があり、用語の意味するところも多義的です。国家試験の問題作成に当たり、用語を統一することの必要性を強く感じております。関連分野の方々が意見を交換し検討して、用語の定義や意味するところについて、その時点でのコンセンサスを得ておくことは是非、行っていただければと思っております。このような関連分野の方々が集まり、意見交換を行う場は常時あることが必要と思います。検討すべき問題が生じたら、開催し検討するというような形の場があるとよいと思います。
樋口座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
どうぞ。
岩上構成員 岩上ですが、大学の教員の構成員の方にお聞きしたいのですけれども、学生によっては、今、伊東構成員がおっしゃったように、社会福祉士と精神保健福祉士を両方取得する学生がいて、一方で片方しか取得しない学生がいると。これはどういう考え方で2つ取得するとか1つ取得するということがあるのでしょうか。ちょっと聞いてみたいです。
樋口座長 どうぞ。
伊東構成員 伊東です。
本学では、社会福祉士の受験資格が卒業要件になっています。そのため、精神保健福祉士の受験資格取得は、プラスアルファで取得するというイメージになります。
本学のように社会福祉士受験資格取得を卒業要件にしている大学は少ないと思います。社会福祉士、精神保健福祉士の両受験資格取得が選択できる大学が多く、精神保健福祉士の受験資格しか取得できない大学は少数だと思います。
岩上構成員 精神保健福祉士のみを取得する人が。
伊東構成員 そうです。人数を制限している部分があるので、時に余り精神保健福祉士に興味がないけれども、成績がいいからだけで来るという学生もいたりとかというちょっと困ってしまう部分もあったりします。
養成校で言うと、両方を取れる大学が多いです。精神保健福祉士しか取れないというところは少ないと思います。あとは、ほかの大学では選択になっているでしょうから、ほかの方々に。
樋口座長 どうぞ。
岩本構成員 岩本です。
私の勤務校は、精神保健福祉士と社会福祉士の養成課程が全く別立てとなっていて、そういうところはすごく少ないと思うのですけれども、多分、各大学の様々なそれ以外の学部構成とか学科構成にも影響を受けているかなと思います。
システム上両方取れないという形になっているのですけれども、社会福祉士の課程にしても精神保健福祉士の課程にしても、教員間で割と共通しているなと思うのは、ダブルライセンスのメリットも非常にあるのだけれども、今のように科目数が非常に多いと、それだけしか勉強できないといいますか、伊東構成員もおっしゃいましたけれども、大学もCAP制の縛りとかそういうものがある中で、4年制大学の教育に限定した話になって恐縮ですが、大学生として資格課程を中心としても、少し幅の広い学習をしたい、学びをしたいということは私たちもすごくよいことだと思っているのですが、資格だけで終わってしまうというようなことがあって、多少余裕を持つためには、どちらか一方関心のあるところで、ソーシャルワークのライセンスを取って、現場に出たときにまた積み重ねていけばいいのではないかというような意見もあります。一意見です。
樋口座長 どうぞ。お願いします。
和気構成員 明治学院大学の和気です。
明治学院大学は、社会福祉教育では長い歴史と伝統があって、精神保健福祉士、PSWの養成も長い間取り組んできています。
個人的なことで恐縮ですけれども、私は社会福祉政策や地域福祉が専門なので、直接、精神保健福祉士の養成に関わっているわけではありませんけれども、同じ学科で教員をしていますので、常にその動向は知り得る立場にあると思っています。
学生の履修動向を見ていますと、私どもの大学ではおおむね20人ぐらいの学生が精神保健福祉士を志望するのですが、15名の学生は両方、つまり社会福祉士とのダブルライセンスを志向します。したがって、精神保健福祉士だけというのは大体5名ぐらいということになります。
私が聞いている範囲では、なぜダブルライセンスを目指すのかというと、3年生の段階で決められないということなのです。将来の仕事を精神保健福祉関係だけでやっていくかどうかはわからないので、両方を学ぶ、両方の資格を取得するという学生が、履修者の4分の3ぐらいはいるということになります。
ただし、両方の資格取得を目指すとなると、今、岩本構成員も言われたように、非常に忙しくなる。たくさんの科目を取らなければいけないし、実習もしなければいけないということで、もちろん免除される部分もあるのでしょうけれども、学生生活が非常に忙しくなって、慌ただしい中で4年間を過ごしていくということになります。したがって、この辺のところをどう考えるのかという問題はあるのかなと思っています。
私の個人的な感想としては、大学生らしくと言うと変ですけれども、もう少しのびのびと両方を学んで、両方の資格を取っていけるといいかなと個人的には思っています。
以上です。
樋口座長 よろしいですか。
岩上構成員 なぜ質問をしたかと申しますと、先ほど伊東構成員は少し共通科目を大きくして、精神分野において特有というか非常に大事にしているところを乗せていくということをおっしゃって、一方で田村構成員は共通科目を膨らませるよりも精神としての科目は重要という話もされていたので、本来つくってきたのは別立ての資格ではあるのだけれども、大学教育の在り方によって、社会福祉士をベースとして精神保健福祉士も上乗せしてという考えも実際はあるのだと思うわけなのです。
つまり、この議論をしていくときに、大学や養成校の方向性によって求めていくものがかなり変わっていきそうな気がする。何度も戻して申しわけないのだけれども、精神保健福祉士の検討はこの検討会で議論するとしても、社会福祉士と精神保健福祉士との関連というのは、障害保健福祉部だけでは検討できないので、きちんとそれぞれの資格の在り方はまた別途検討していただかないと。カリキュラムだけを取りあげても、今、置かれている大学、養成校の立場によってかなり議論が変わってきてしまうのではないかなという印象を持ちました。それで質問をしました。
樋口座長 わかりました。
このあたり、事務局としてはどんなふうに考えていますか。
御子柴主査 先ほど、資料3と資料4で検討の進め方をそれぞれ御説明させていただきましたとおり、スケジュールの観点から申し上げますと、現在、両方の資格の養成の在り方について検討しております。それぞれの養成の在り方を検討するということは、先ほど構成員の方々の御意見にもありましたとおり、それぞれの職種のコンピテンシーとかアイデンティティを明確にしながら養成の在り方も検討するということかと存じます。そういった検討を双方で行いながら、かつソーシャルワークの基盤となる教育内容を中心にそれぞれの検討内容をお互いで確認し合いながら取りまとめていくような方向になるのかと考えております。
岩上構成員 その辺、福祉基盤課としてはどうですか。
伊藤専門官 同じく、両課で調整しながら進めてまいりたいと考えております。
岩上構成員 私が話して、ひっくり返すつもりは全然ないのですが、精神保健福祉士との共通、資格は別々につくってきたのだけれども、20年たってかなり共通の枠組みがふえているということについて、そちらの福祉基盤課としてはどんな考えを。
先ほど申し上げましたように、社会福祉士に求められる役割は、社会福祉士として書かれればこうなりますけれども、全く精神保健福祉士に読みかえられてしまうわけなのです。そういうことについての問題意識を教えていただければありがたいです。
御子柴主査 代わって、精神障害保健課からの回答になりますけれども、現在、社会福祉士で、専門委員会でまとめられた報告書にあるソーシャルワークの機能というものにも合わせて、カリキュラムの中身を確認しながら検討が進められているところと聞いております。
当検討会は本日が初回でございますので、精神保健福祉士についての役割や在り方等にも御意見いただきまして、次回以降の検討会においてはそれぞれのアイデンティティやコンピテンシーなども互いに確認しながら、それぞれの養成課程における教育内容の細かいところの具体案を作成していくようなスケジュールで考えております。
今、御指摘いただきました役割というところについては、本日ここで事務局から細かに御説明するというよりは、各業界全体の方々のお考えも含めて、次回以降共有させていただければと考えますけれども、いかがでしょうか。
岩上構成員 社会福祉士の養成課程の見直しを行っていただく中で、そういった問題意識をお持ちいただきたいのです。精神保健福祉士も同じ状況にあると。それについて、福祉基盤課としてどういうふうな考えを持って精神・障害保健課とすり合わせていくのかということについては、次回、ぜひ福祉基盤課としての考え方をここでもお示しいただけるとありがたいなということでございます。
樋口座長 よろしいでしょうか。
では、少し時間が迫ってきておりますので、さらに先ほどの在り方についての3番目、演習・実習及び教員等の在り方、4番目の基礎教育と卒後教育の役割、あるいは継続教育の在り方についてというところまで含めて、1番から全部含めて結構ですけれども、特に3番、4番のところで追加の御意見がございましたら、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。
どうぞ。
岡本構成員 実習先の病院として、うちも随分担当しているのですけれども、我々の日精協の中から、東京都では該当がないかと思うのですけれども、認知症、統合失調症を扱わない精神科病院など、特殊なところがいろいろあるのですが、実習先としては統合失調症や認知症を含めて、一般的に扱えるような病院が望ましいのだろうとは思うのですけれども、できるだけ多様な疾患が見られるような実習を組まれるような体制が欲しいような気がします。
もう一つの意見として、養成を担当する人も教育されているようですけれども、年数ではなくてどのぐらいの症例を体験しているかという、症例数で選んだらどうだというような意見もあるのです。ですから、養成を担当する人の教育も含めて検討が必要ではないかと。
とにかく、実習生がいて、私の診察現場を見学させたり、交渉するところ、復職の場面とかを見学させても、スピードが速いので、実習生はただ呆然としている。ですから、それをもう一回戻して、かみ砕いて話をして、もう一回振り返るというような作業がどうしても必要なようです。時間がかかるようですけれども、それぞれの症例で全部違うものですから、マニュアル化できない部分がいっぱいあるので、そういうものをできるだけ多く体験したほうがいいだろうと思うのです。
ですから、そういうような実習、それこそ連続性というようなものを含めて考えていただければと。なかなか実習病院を確保するのは大変だろうとは思うのですけれども、そういうような思いは持っております。
樋口座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
柏木構成員、どうぞ。
柏木構成員 実習を受ける病院の側として申し上げますと、とても悩ましいところなのです。前回の改正で、医療機関ともう一つの機関の2か所で合わせて4週間になったので、医療機関の実習自体は短くなって少し厳しいものになったかなと思います。
質の高い、とても密度の濃い実習を一人ずつにやろうと思うと、2週間で勘弁してくれというのは本音なのですけれども、ただ、先ほどのこととも関連するのですが、最近、医療機関は非常に人気がなくなってしまって、病院に勤めることなく地域で即働かれる方も多い状況です。そうする、と実習期間の中でしか精神科の医療機関の入院患者さんや他職種の人と出会う機会がないまま、地域の様々な現場で働かれることになるという点につきましては、岡本構成員も多分同意見だと思われるのですけれども、そういう意味ではすごく不安を感じるところはあります。
地域だから医療のことはわからないということではないと思うのですけれども、実際に精神医療の中で生きている人たちと出会うのと、資料で読むだけのとはまた違うものがある。ライブ感が全然違うと思うので、この実習の見直しについては受け入れる側としても期間は4週間で十分ですと言いたいのですけれども、中身的にはもう少し工夫が要るのかなとは思います。
地域で働くということを、当然これからは精神保健福祉士も地域に拠点を移していくようなことにはなるとは思うのですけれども、その中でも精神科医療が果たしている役割だとか、背負ってきた歴史といったものを知らずに地域で働くというのはちょっと残念かなと思いますので、その辺を実習や演習で盛り込んでいただければと思います。
樋口座長 ありがとうございます。
どうぞ。
柏木構成員 もう一つ、意見にも書かせていただきましたけれども、いろいろな時代状況が変わっている中で、私たちも実習指導者研修を1回きり受けるだけでいいことになっているので、5年に1回ぐらい、せめて精神保健指定医と同じくらいの研修はさせていただきたいということ、教員の方たちも、実は、余り実習生を知らないで実習巡回に来られるような教員もいらっしゃるので、それはどうなのと。実習指導者と実習担当者と実習生の三位一体で実習というのは質の高いものになると思いますので、その辺のところは養成側の構成員の方々に御理解いただければと思います。
樋口座長 どうぞ。
岩本構成員 実習については、現場の方に受け入れていただいて成り立っているところで、本当に感謝しております。
地域か医療かは、行く場所によって大分違ってくるので何とも言えないのですけれども、密度の濃い実習をやっていただければいただけるほど、学生が消化不良というか、起きたことを自分の中で整理できないというところがあります。事後の指導であったりとか、実習から戻ってきたときの指導であったり、帰校日指導という仕組みなどもあるので、実習中に学校に戻ってきたときに、ちょっと現場から離れて、体験したことを振り返るといったこと非常が重要だと思っています。実習時間が長くなることが問題だということではもちろんないわけなのですけれども、今、経験していることをどれだけ消化できるか。教育の中でそれを落とし込めるかということが大事だと思いますので、実習というのは配属実習だけではなくて、その前後のトータルであると。
今、私の大学ですと、4年次の夏休みに実習に行くわけですけれども、いまだに振り返って整理できないことをやっているというような状況なので、そういった全体を通した実習評価というものをする必要があるかなと感じております。
樋口座長 ほかにはいかがでしょうか。
どうぞ。
伊東構成員 私も実習時間を単純に延ばせばよいとは、考えてはいません。時間数より中身の問題だと思います。ただ、作業療法士の実習時間は400時間になると聞いていますし、公認心理師は大学院レベルですが450時間です。精神保健福祉士の実習は、時間数を増やさないということを説明できなければならないと思う。
先ほどの議論で、卒業時に精神保健福祉士としての完成度は、どうしても高くないと話がありました。しかし、現場の精神科病院や事業所からは、卒業生に即戦力が求められているかと思います。そのような要望に応えるためには、実習でどれだけ実践力を身に付けられるかということが重要であるかと思います。
樋口座長 どうぞ。
塚本構成員 本日、お配りいただいた資料3を見ると、登録者が8万人で、そのうち、3ページの精神保健福祉士の配置状況を見ると、これは全部ではないでしょうけれども、これだけだとしたら、単純に足すと30%ぐらいしか現任の精神保健福祉士として働いていないという状況です。プラスアルファしても、おそらく半分もライセンスを持ってから現場で働いていないのかなと思うと、例えば演習や実習において、あるいは教員がどれぐらいこの精神保健福祉士という仕事の魅力を伝えられているのかどうかということを反省しなければいけないかなと正直思いました。
あと、即戦力の養成というのは、どの職種も新卒に即戦力を求めて、それが叶ったことがあるのかと言ったら、ないのではないのかなと個人的には思います。まず、基本的なアイデンティティ、例えば失った未来に寄り添うことができるとか、あとはその事業所のスキルとかを身につけて昇華させることができるのかと。そこぐらいまでできる人材がいればめっけものかなと思っています。
あと、演習・実習については、実習記録自体が養成校ごとにかなりばらばらで、現場としては非常に厄介です。少なくとも、都道府県単位の養成校で統一したものがあるといいのかなと個人的には思います。あとは、指導員の講習会と教員の養成講義も、ある部分は重なった講義でカリキュラムを組まれたらどうかなと思っています。
以上です。
樋口座長 ほかにいかがでしょうか。
どうぞ。
岡﨑構成員 私は以前に、さいたま市こころの健康センターという精神保健福祉センターにおりまして、精神保健福祉士の資格を取得したばかりの卒業生の新人の方の最初の教育みたいなところは随分やっておりまして、そのときに感じたのは、仕事がすぐできるという人の養成はやはり難しいだろうと。
もう一つそこで感じたのは、電話相談から始めていくのですが、なかなか電話のところは皆さん学校では習わないということをおっしゃっていたような気がいたしまして、その電話相談でも、初めからすごく怒っている人ですとか、いたずら電話みたいなものですとか、そういうもの自体は精神保健福祉士とは関係ないかもしれませんが、そういう電話の対応から困ってくるなんていう話もありまして、そのあたりもすごく大事なところなのかなという印象はありました。
あと、今、私どものアルコール関連問題ソーシャルワーク協会で、ソーシャルワーカーのための研修をやっている中で、回復者の方に入っていただいたグループワークをやっておりまして、これが非常に効果的だというような感じがいたします。もちろん依存症だけではなくて、統合失調症ですとかほかの疾患の方の回復された方をもっと学校に、多分いろいろな学校では体験談など来てくださってお話しされているところも多いかと思うのですけれども、もう少し学生ができるぐらいのグループワークに1人や2人入っていただく。お願いする数は多くなるかもしれませんが、そういうような試みができると、すごく身近に回復者の病気のお話、体験のお話をいろいろ聞けてよろしいかと思っております。
以上です。
樋口座長 どうぞ。
田村構成員 先ほど配布された日本精神保健福祉士協会の業務指針でもわかりますように、精神保健福祉士の実際の役割は非常に多様性があって、どういう職場に就職するかによって業務内容にかなり幅があります。
ですので、その全ての業務をきちんとできるように育てることは当然難しいですし、また、実習先も、その実習先に就職するわけではないわけですから、精神保健福祉士としてのコアの部分を学んでもらうという発想で、実習プログラムを組んでいただけるといいなと考えています。そういうこともあって、実習指導者の講習会が平成24年度からは必須になっていると理解しています。
このように、実習が終わった後に、個別の体験をどれだけ一般化させながら、精神保健福祉士全体の知識あるいは技術の理解や習得に落とし込んでいくかという教育が必要になります。ですので、現場にお任せというよりも、きちんと教員が実習事後に、各学生の実習体験を活用しながら、一人一人の学生の中に理解を落とし込んでいく作業が欠かせません。事前意見にも書かせていただきましたが、教員の要件や教員講習会についても、もう少し手厚くしていく必要があるのではないかと思っています。
それと、先ほど岩上構成員からお話があった、共通科目が増え過ぎることへの意見ですけれども、私は必ずしも共通科目を増やすことに反対しているわけではなくて、共通科目にもきちんと見直すことが必要だと思っています。それに関して、福祉基盤課の方もお見えなので、ぜひお願いしたいのは、社会福祉士の検討会でも共通科目について検討されているということですので、その議論内容についてぜひこの検討会にも共有していただきたい、もしくは両方の検討会が合同で共通科目について検討する機会を設けていただくといったことが必要ではないかと思います。
実習・演習について、私は特に演習の部分に関しては、実習が終わった後の演習であれば、社会福祉士も精神保健福祉士も一緒に検討することも可能ではないかと思います。そうすることによって、より多分野の多様な事例について両方の学生が学ぶことができると思います。そのような仕組みについて、荒唐無稽な話になってしまうかもしれませんが、もし協議するとすれば、合同の検討の場が必要ではないかと考えております。
以上です。
樋口座長 ありがとうございました。
そろそろ時間でございますが、これだけは発言しておきたいという方はいらっしゃいますでしょうか。よろしいでしょうか。
どうぞ。
御子柴主査 最後に1点、事務局から確認をよろしいでしょうか。
様々な御議論、ありがとうございました。
いただいた御意見の中で、本日ではなく後日、次回以降に向けて情報の御提供というか御指導いただきたいと思っている点がございます。
構成員の皆様から先程、業務の「見える化」についても様々御意見がありました。岡本構成員からも「キャリアを経験年数で示すことがよいか」という御意見があったと思います。また、「教員の要件についてどう要件づけるか」、「継続教育の観点でどうやってキャリアラダーを示していくか」といった御意見もあったと思います。
そういたしますと、これらは基礎教育や卒後教育においても「ねらいや目標を今後どのように立てていくか」ことにも繋がろうかと思うのですけれども、そういった場合に、「何を指標にして目標づけていくのか」といったところをもう少しお伺いできればと思います。事務局としても、カリキュラムの見直し案等を御意見をもとに検討・作業していくときにそういったことの詳細が必要かと思いまして、今後メール等で次回に向けてもう少し詳しく御意見をいただきたいなと思っております。
指標と申し上げますのは、例えば、医師の場合ですと手術件数でお示しすることが1つの方法として可能なこともありますが、精神保健福祉士等の場合には、例えば相談援助の事例数で示すことがよいのか悪いのか、その場合に一方で、個別的な相談援助の分野でない方々、例えば公衆衛生的に活動している者のキャリアラダーの示し方などは異なってくると思いますので、各分野ではどのように指し示していけるのかというところを、キャリアラダーにおける指標ですとか、それぞれの目標みたいな点について今後御意見をいただきたいなと感じたところでございます。
以上です。
樋口座長 きょうは各方面から大変活発な御意見を頂戴いたしました。
今、事務局でも引き続きこれからやっていく課題も示されましたけれども、今回いただいた御意見、御質問について、さらに今後これを具体的なものにしていくための議論や整理が必要であろうと思いますが、最初にここで報告されました、資料1「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会 開催要綱」を御覧いただきますと、「4.運営」というところで、4)の中にワーキンググループを設置して進めることができるという内容が書き込まれてございます。
特に、今日のような議論は総論的な議論でもちろん全体として必要なのですが、カリキュラムであるとか、より具体的なところになっていきますと、ここで全て細かいことを議論していると時間的にも十分に確保できないということがありますので、ワーキンググループを設置して進めていただいて、本検討会に報告をしていただいて、検討会でそれを議論していくという形で進めさせていただければと思いますけれども、これについては御賛同いただけますでしょうか。
(首肯する構成員あり)
樋口座長 ありがとうございます。
それでは、ワーキンググループの人選や運営につきましては、私、座長と事務局で調整をさせていただきまして、その検討結果、進捗状況についてまた検討会で御報告をさせていただきたいと思います。
そのほか、全体を通して何か御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、事務局から連絡等がありましたら、お願いいたします。
溝口室長補佐 次回以降の開催につきましては、事務局より追って御連絡をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
樋口座長 それでは、時間になりましたので、本日の第1回目の検討会はこれで終了させていただきます。
どうもありがとうございました。
以上