ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(医療機器・体外診断薬部会)> 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録(2017年7月14日)
2017年7月14日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録
○日時
平成29 年7月14 日(金)10:00~
○場所
三田共用会議所大会議室
○出席者
出席委員(19 名) 五十音順
◎荒 井 保 明、 荒 川 義 弘、 石 井 明 子、○一 色 高 明、 |
梅 津 光 生、 北 澤 京 子、 後 藤 雄 一、 小 西 郁 生、 |
齋 藤 知 行、 塩 川 芳 昭、 正 田 良 介、 鈴 木 邦 彦、 |
田 島 優 子、 寺 崎 浩 子、 配 島 由 二、 濱 口 功、 |
菱 田 和 己、 桃 井 保 子、 渡 邉 和 久 |
(注)◎部会長 ○部会長代理 |
他参考人3名 |
欠席委員(3名)五十音順
中 島 康 雄、 中 谷 武 嗣、 村 上 輝 夫 |
行政機関出席者
中 井 清 人 (医療機器審査管理課長) |
佐 藤 大 作 (医薬安全対策課長) |
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長) |
宇 津 忍 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監) |
木 下 勝 美 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役) |
他 |
○議事
○医療機器審査管理課長 定刻となりましたので、ただ今より「薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会」を開催させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日、部会委員22名のうち、19名の御出席をいただいておりますので定足数を満たしていることを御報告申し上げます。
部会を開始する前に事務局から報告がございます。当日配布資料1を御覧ください。薬事分科会の委員、臨時委員、専門委員につきましては薬事分科会規程第11条に基づき、「在任中薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には辞任しなければならない」となっております。今般、本部会に所属した千葉敏雄委員につきまして、医療機器製造販売の許可を取得している企業の役員に就任したということが判明したため、本部会の委員を辞任いただきました。
また、6月29日に本事案を公表し、同日に開催した薬事分科会に報告させていただきました。部会調査会を含む全ての役員につきましては、委員就任時に事務局担当者より、薬事に関する企業の役員等に就任していないことを確認させていただいていますが、今般、本事案を踏まえ、再度適合状況を確認させていただいております。本部会におきましては、抵触する委員は千葉委員以外にいらっしゃらなかったことを御報告申し上げます。また、薬事分科会の他の全ての委員についても現在確認中です。
今後の対応といたしまして、同様の事案の再発を防止するため、薬事分科会の委員就任時及び会議開催時に書面に御署名をいただき、申告いただく形で検討させていただいております。具体的な方法については改めて御連絡申し上げたいと思います。
また、今回薬事に関する企業というのはどういう企業なのか、それから寄付金・契約金の申告に関する詳細なルールといったことについて再度、事務局で改めて分かりやすく御説明させていただきたいと思っております。委員の皆様方には御負担をおかけすることになりますが、改めて何卒、規程の遵守に御協力いただきますようお願いいたします。事務局の説明は以上です。
○事務局 次に、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて御説明いたします。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、本日予定している全ての議題は医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容等が含まれるため、非公開といたします。
これより議事に入ります、傍聴の方は御退室をお願いします。
以降の進行について荒井部会長、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 それでは、始めに事務局より配布資料の確認をお願いいたします。
○事務局 配布資料一覧を御覧ください。議事次第、座席表の次に3枚目としてはさまれております。
今回、議事次第の順番に変更があります。新しく配布した議事次第の議題1、Lutonixに関するものが資料2となっております。一番上から資料2、Lutonixに関する報告書、その下に資料1、NeuroStarに関する報告書、その下に資料3、BioFreedomに関する報告書となっております。更にその下、1枚の紙で資料4、医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定等という1枚の紙があります。更にその下、参考資料1として薬事分科会審議参加規定があります。事前配布資料は以上です。
それから、当日配布資料として1.6月29日付けプレスリリース、当日配布資料2、Lutonix専門協議委員リスト、当日配布資料3がLutonix適正使用指針、当日配布資料4、NeuroStar専門協議委員リスト、そのあと省略いたしますが、資料10まで順番にあることを御確認ください。以上です。
○荒井部会長 資料はよろしいでしょうか、分厚い資料の1と2が審議の順番の関係で2、1となりますが、よろしいですか。
よろしければ、続いて本日の審議事項に関与された委員と利益相反に関する申出状況につきまして、事務局より報告をお願いいたします。
○事務局 本日の審議事項に関する競合企業として、当日配布資料10に示す企業について、委員の皆様から寄付金・契約金等の受取状況をお伺いしましたところ、薬事分科会審議参加規程第12条の「審議不参加の基準」に基づく審議に参加できない委員はいらっしゃいませんでした。
ただし、薬事分科会審議参加規程第13条の「議決不参加の基準」に基づき、議決に参加できない委員は議題2について小西委員、議題3について一色委員となっております。以上、御報告いたします。
○荒井部会長 ただ今の事務局の説明につきまして御意見ございますでしょうか、よろしいですか。
よろしければ、議題1、医療機器Lutonixドラッグコーティングバルーンカテーテルの生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否を始めさせていただきます。本議題の審議に当たりましては、参考人として愛知医科大学血管外科教授であられる石橋宏之先生、並びに帝京大学医学部内科学講座・循環器内科教授であられる上妻謙先生にお越しいただいております。よろしくお願いいたします。
○事務局 まず、議題1の「Lutonix ドラッグコーティングバルーンカテーテル」について御説明いたします。
資料2を御覧ください。1枚目が諮問書です。本議題では医療機器Lutonixドラッグコーティングバルーンカテーテルの製造販売承認の可否等について御審議をお願いします。
本品は本年2月の部会において継続審議となった品目になります。いただきました御意見や御議論を踏まえ、これらを整理した上で本部会にて再度御審議をいただくこととしておりました。前回の御議論の内容及びそれらを踏まえた審査の概要に関しては、機構より説明をお願いいたします。
○機構 機構より御説明いたします。まず当日配布資料2、専門協議委員一覧を御覧ください。本審査に当たり、資料にお示しする9名の専門委員の御意見をいただきました。
内容について御説明いたします。資料2、緑色のタブ、分厚い資料の方にお戻りください。緑色のタブ、審査報告書(2)の4ページ、2.の審査の内容を御覧ください。本品は本年2月の医療機器・体外診断薬部会において継続審議となった品目です。前回の部会においていただいた主な御意見は、国内試験の有効性に関する成績が海外ピボタル試験と傾向が異なったことを踏まえ、国内試験成績の解釈について、及び症例選択基準に合致しない症例の組み入れが両試験での成績が異なった原因と考えられたため、本品の適正使用の担保についてでありました。
これらの御指摘を踏まえ、本品を用いた治療に関連した三学会の代表者による専門協議を実施し、四つの論点について御意見を頂戴いたしましたので、その内容について御説明いたします。まず、本邦における薬剤塗布バルーンカテーテル(以降DCB)のニーズについて改めて御意見をいただきました。
審査報告書5ページ、中段の黒ポツの箇所を御覧ください。いただいた主な御意見として、現在の既存治療として実施されているバルーンカテーテルによる治療及びステント治療では再治療を繰り返すだけではなく、下肢切断等に加え、死亡率の増加といった問題が山積みである。そのため、欧米各国で使用されているDCBは再治療の頻度を減少させる可能性があり、既存治療に加え、新たな選択肢となることから、本邦においてもDCBのニーズは高いとの御意見をいただいております。
また、ステント治療後のステント破損等は実臨床における大きな問題であり、異物を体内に残さず、再狭窄の抑制が期待されるDCBの臨床上のメリットは高く、その有用性は海外臨床試験成績等のメタ解析から示されているとの御意見もいただいております。
次に国内試験の解釈についてです。まず、前回の部会でも御指摘のありました国内試験の位置づけについて御説明いたします。本品は国内的要因として、欧米と比べ、日本人集団は糖尿病罹患率が高いこと等に起因した石灰化病変を有する症例が多く、病変の重篤度が高いことが想定され、DCBの特性上、石灰化病変があると薬剤の送達が阻害されることにより、本品群の成績低下が懸念されたために国内試験を実施いたしました。
次に、国内試験に関する機構の見解について改めて御説明いたします。審査報告書6ページ、1段落目から御覧ください。下肢領域の治療において、バルーン治療には一定の限界があり、バルーン治療が可能である病変において、本品がより効果を示すことを確認すべきと考えております。したがって、ステント治療の対象となる症例を除いたPer Protocol解析により、本品の有効性を評価することは受入れ可能と判断しております。
その解析では、本品群の手技後12か月後に血管の開存性を維持した症例の割合は対照群より高く、当該結果を踏まえると本邦における本品の有効性は一定程度認められると考えております。
中等度の石灰化病変を有する症例に関する成績について御説明いたします。審査報告書7ページ、表1を御覧ください。国内試験における中等度の石灰化病変を有する症例の部分集団解析では、手技後12か月後に血管の開存性を維持した症例の割合は本品群の方が対照群よりも高く、当該症例においても本品の有効性は担保されているものと判断しております。
加えて、上述のとおり、本品を含むDCBの臨床試験成績をもとにしたメタ解析により、DCBは対照群より再治療のリスクを優位に低下させることが報告されていること及び国内試験成績、類似医療機器の成績等を踏まえると、パクリタキセルに関する民族的な要因は認められないことから、本邦においても海外ピボタル試験と同様、本品の有効性は認められると判断しております。
この機構の判断については全ての専門委員より御賛同いただいており、いただいた主な御意見を黒ポツの箇所にお示ししております。国内試験において、石灰化症例への本品の有効性が一定程度認められていたこと、及び本邦における安全性が確認されたことから、国内試験で評価すべき事項は、少なくとも評価可能であったとの御意見でした。
また、国内試験成績が海外ピボタル試験と異なる成績であった主因は、機構の見解のとおり、試験プロトコル上除外されるべき症例、つまりステント治療の対象症例が多く登録されていたことによるものとの御意見でした。そして、本品の有効性についてはパクリタキセルによる民族的な要因が認められないことも踏まえ、海外ピボタル試験と同様に本邦においても「期待される」との御意見を頂戴しております。
三つ目として、国内試験での事例を踏まえ症例選択をより適切に実施するために、関連学会の先生方に適正使用指針を作成していただいており、指針の作成に際して考慮した点や今後の学会としての取組に関していただいた御意見を説明いたします。審査報告書8ページ、上段の黒ポツの箇所を御覧ください。国内試験は循環器内科の医師を中心に実施されていましたが、実臨床では血管外科及び放射線科の医師が使用することから、当該指針は三学会の合同で作成しました。
その中で、適正使用の観点から、本品の対象となる前拡張後の残存狭窄率の厳格化を行い、従来ステント治療が実施される重度の血管解離や重度の石灰化病変を有する症例は、本品の治療対象外とするとともに、医師要件も設けました。また、今後の当該指針の遵守への方策として、関連学会と連携した上で、学会から学会員へ当該指針の内容を周知し、適正使用について指導を徹底するとの見解をいただいております。
機構は専門協議での議論も踏まえ、当該指針を踏まえた本品の適正使用を周知徹底するための必要な措置を講ずる旨を承認条件1として付すことが妥当と判断しております。
また、本品の使用成績評価において、当該指針に基づいた適正使用下での本品の使用成績を全例調査により確認しながら、本品を使用できる施設を段階的に拡大していくために、必要な措置を講ずる旨を承認条件2として付すことが妥当と判断しております。
最後に、今後の国内試験で実施される臨床試験の質の担保のための学会の取組方について、いただいた主な御意見を御説明いたします。報告書9ページ、上段の黒ポツの箇所を御覧ください。基本的なことではございますが、臨床試験の目的や使用する医療機器の特性を十分に理解した医師が、臨床試験に参加することが重要であるとの御意見でした。また、封筒法による割付には限界があるため、さらに症例選択の客観性を担保するために適格症例の選択基準の明確化や適切な割付を行うとともに、必要に応じて第三者による判定を間にはさむことも有用との御意見を頂戴しております。
上述の内容を推進していくとともに、今後臨床試験の質の向上のため、学会の教育セッション等へ臨床試験実施に関する事項を盛り込む等の取組みを既に開始している、又は今後取り組むとの御意見を頂戴しております。
機構は専門委員の意見を踏まえ、本品の事例をもとに、今後適切に国内試験が実施されるよう、厚生労働省との協力の上ガイドラインを策定し、治験依頼者に対して周知することが適切と考えております。
なお、事前に北澤委員から国内試験の質には問題があり、主要評価項目で差がないのに承認してよいのか等のコメントをいただいております。この点につきましては、前回の部会においてもいただいた御意見であり、それらの御意見を踏まえ、国内試験の解釈等について部会後に専門協議を実施し、関連三学会の先生方に御意見を頂戴したところです。御指摘のとおり、国内試験は症例選択が適切に行われていなかったため、本来は治療対象外とすべき症例が本品群に多く登録されたことにより、主要有効性評価項目に関する本品群の成績は対照群と差が認められませんでした。
一方、それらの逸脱症例を除き、治療対象症例のみで行ったPer Protocol解析では、先ほど御説明いたしましたとおり、本品群の成績は海外臨床試験成績と同様の傾向であったこと、当初懸念していた石灰化病変に対する本品の効果を確認できたこと等を踏まえ、日本人集団における本品の有効性は認められると判断しております。
また、この判断は先ほども御説明いたしましたとおり、関連学会の先生方からも「妥当である」との御意見を頂戴しております。
今後、市販後の本品の有効性の担保のために、関連学会の先生方に策定いただいた適正使用指針を遵守し、適正使用下での本品の有効性が担保されていることを全例調査により確認することを承認条件としております。
また、本日御欠席の中谷委員より、前回の部会で指摘された国内試験の問題及び適正使用の担保に関し、機構と関連三学会により妥当な検討がなされており、その結果を踏まえると、本邦においても本品の有効性は認められると考える。今後、市販後で適宜確認を行うことで、本品が承認されることは妥当であるとの御意見を頂戴しております。機構からの報告は以上です、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○荒井部会長 それでは初めに、参考人の石橋先生に追加の御発言があればいただきたいと思います。いかがでしょうか。
○石橋参考人 愛知医科大学血管外科の石橋です。今、機構から説明があったとおりですが、このデバイスは現時点で行われているステント治療が浅大腿動脈に行われているのですが、それが十分満足できるものでなく、中長期に問題がありますので、それを改善することが期待できるデバイスです。今回検討しました循環器内科、放射線科、血管外科の三学会としては是非これを認めていただきたいと思っております。
確かに、今回の治験はちょっと質の悪いものでしたが、いろいろ解析をしますと問題点もはっきりしてきました。そこに関しては、三学会が合同で実施の基準というものを別途作成しましたし、今後症例を全例フォローすることで、良い治療成績を担保していきたいと考えております。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。引続き、よろしければ上妻先生からも御意見をいただけますでしょうか。
○上妻参考人 帝京大学循環器内科の上妻と申します、よろしくお願いします。先ほどの機構のプレゼンテーションでほぼカバーされているとは思いますけれども、このカテゴリーの製品がやはり、今、下肢の動脈閉塞で困っている、特に重症下肢虚血、下肢切断に至ってしまうとか敗血症に至るとかいった時に非常に困っていて、今のバルーンだけの治療ではすぐに再閉塞してしまう。ステントを入れてもやはり再閉塞してしまって、結局下肢切断に至らなければいけない。そういう患者さんが非常に多いのが現状です。そういう患者さんに対してのある程度福音となる可能性がある道具かというところがあります。
海外ではこういった下肢動脈治療のかなり重要な位置を占めている道具です。やはり、こういった臨床試験の質というところは専門協議でも非常に問題になりまして、こういった無作為試験、海外とのブリッジング試験ということの位置づけも非常に問題かと思います。やはり、こういう少数例でのブリッジング試験というのはあくまでも安全性評価なのではないかと思います。
有効性に関しては、やはり少しのことでこういう変動が起こってしまう。有効性に関しては参考程度かと、少なくとも学術的にはそう思います。私は心血管インターベンション治療学会の専門医制度の委員長をやっています。一昨年に就任してから、臨床試験を正しく行うという取り組みとして、やはりこういった教育が重要だろうということで取り組んでおりまして、専門委員を受けるに当たってそういった教育講演、臨床試験の重要なことを学ぶための教育講演を義務づけたり、いろいろ教育を進めているところです。ただ、むしろある程度キャリアがある先生方の方に、こういった無作為試験に対しての取組の問題が起こることも多いので、やはり治験を行うに当たってのいろいろな実施の体制、教育体制、ICHのGCPのトレーニングなど、いろいろなトレーニングをしっかり行うことを義務づけることが重要かと思っております。
○荒井部会長 ありがとうございます。それでは、ただ今より委員の先生方からの御意見・御質問をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
○鈴木委員 今の御発言を聞いていますと、患者に必要だから認めろ、安全性が確認されれば有効性は確認されなくてもいいじゃないかと聞こえます。それでは回答にならないと思います。必要だというのは分かりますけれども、それならなぜきちんとしたデータが出なかったのか。医療機器の分野における臨床試験のレベルが余りにも低過ぎるということを批判しているのであって、それに対する反省がないというように感じられます。それについてはいかがですか。
○上妻参考人 そういったことが問題だ、ということで教育体制をしっかりすることは心がけていますし、治験をスタートするに当たって、そういった教育をしっかり行ってから実施するようにということは必要だということは分かっております。今回の製品に関して、どのように行われたかというのは私にはあずかり知らないところではありますが、こういった治験の体制というのは過去に行われてしまったものですので、そこに関してデータをきちんと解釈して判断していただくことが必要なのかと思います。
○鈴木委員 今回のことだけでなく、今後全て、少なくとも臨床試験の質をしっかり担保することが確認されませんと、承認というわけにいかないと思います。
○荒井部会長 治験、臨床試験の質の担保という点につきましては、北澤委員からも御指摘をいただいております。オーバーオールで見ればネガティブという結果であった製品をここで承認するかという、前回のこの会議でも一番問題になった点です。その極めて大きな原因の1つが臨床試験の質にあるという点は、皆さん共通の認識だと思います。本製品に限った話ではなく、試験の質をきちんと維持した上で、その結果に基づいて承認する。これが大原則であることは、この部会の共通認識であるという点を押さえて置きたいと思います。そのほか、御意見はいかがでしょうか。
○小西委員 確認なのですが、7ページの表1、確かに有意差があったのかどうか一応確認したいのですが。
○機構 少数例の成績ですので有意差検定までは実施はしていません。
○小西委員 発生リスクが下がったという表現はできないので、ちょっと表現が間違いではないかと思います。
○荒井部会長 そうですね。差があったとのご説明でしたが、有意差が検証されていないのであれば、ただ高かったということですね。
○小西委員 そうですね、はい。
○荒井部会長 そのほか、御意見はいかがですか。
○北澤委員 これも同じようなことなのですが、審査報告書7ページの下の方、逸脱症例を除いたPer Protocol解析において、石灰化症例も含む本品群の有効性はPTA群よりも高い傾向に認められたと書いてあります。それは前の報告書で表が出ているところだったと思います。p値を見ると、審査報告書37ページの表18、手技後12か月のPer Protocol解析のところなのですが、本品群は65.5%、国内試験が59.4%で差が6.1%ある。しかし、p値が0.564であるということから考えて、高い傾向にあるという表現はややおかしいのではないかと思います。単に点推定値が高かったという、単純な記載にすべきではないかと考えます。
○機構 御指摘、どうもありがとうございます。我々の表現が適切でなかったところもありますので、その辺は審査報告書を修正させていただきたいと思います。
○荒井部会長 お願いします。そのほかいかがでしょうか。
○一色部会長代理 鈴木先生からは前回も「関係者ですから」という厳しい御指摘がありました。一応、前回も申し上げたことの繰返しになりますが、一言だけ追加させていただきます。本治験は少数例での治験であり、サイエンティフィックに言うと端から有効性の有意差が出るということは求められていないはずなのです。ですから、有意差がないから有効性が示せなかったということは薬剤の治験と違って、これを問題視することは適切でないと思います。
この前話題になったのは、治験の質の問題であり、有意差がなかったことではなかったものと私自身は理解しております。治験の質の問題については大きな、非常に重い課題として、上妻先生もおっしゃったように学会がとらえておられると思います。本治験はこのように解釈すべきではないかと私は考えております。
○荒井部会長 ありがとうございます。とてもニュートラルな観点での御意見だと思います。
それでは、私からもずばり質問させて頂きますが、そもそもこの国内治験は本当に必要だったのでしょうか。おそらく、根底はここにあると思います。先ほどのご説明では、日本人に石灰化が多いということでしたが、蓋を開けてみたら、海外治験と日本の治験で石灰化の頻度は変わらなかった訳です。そうすると、そもそもRCTを日本でもう一度やり直す必要があったのでしょうか。もう1つ、今、一色委員の御指摘もありましたように、そこでもし有効性を出そうとするならば症例数の設定自体が小さ過ぎたのではないでしょうか。過ぎてしまった話ですから、ここでこの治験のデザインについての議論を蒸し返すつもりはありませんが、鈴木委員から御指摘頂いた治験を実施する医療者集団のクオリティーを上げるという点とは別に、審査の体制、試験に対する指導についても考えるべき部分があると思います。これは実際には機構が担当されている訳ですが、本事案を踏まえて、今後についてはどのようにお考えでしょうか。先ほどガイドライン云々にも触れておられましたが、その辺の審査の姿勢、体制について御意見があれば是非お聞きしたいと思います。
○医療機器審査第二部長 御指摘ありがとうございます。機構から、その点についてお話したいと思います。前回もそういう御意見がございました。海外臨床試験がある場合に、国内治験を求めるのかどうかということについては、今後機構としても、治験を行うか行わないかに関して企業と相談する業務がありますので、その中で明確にしていきたいと思っています。また、国内治験を求める、国内治験をやるべきだという結論に至った場合には、このようなことがないように治験の質の担保、いわゆる治験デザインをどうしていくかということも、企業と相談をきっちりしていきたいと思っています。さらに、今回の国内治験でも認められていましたけれども、そもそも試験成功の判断をする指標自体も明確にはなっていなかったことも認められておりますので、指標を何とすべきかも、治験を開始する企業とじっくり相談していきたいと思います。そういう生物学的統計の視点も含めて今後整理して、我々も積極的に公表、発信していきたいと考えております。以上です。
○荒井部会長 臨床現場でクオリティーチェックをしっかりやりなさい。学会も努力をしなくてはいけない。これはMUSTですが、だけではなく、承認あるいは審査においても、サイエンティフィックに動かしていくための整備をしていかなくてはいけないという点が、今回の事案から得られた大きな課題であると思われます。この部会の長として、この点を是非お願いしたいと思います。
○鈴木委員 その件に関しまして、もし本品のように海外で承認されて国内未承認の医療機器については、いわゆるニーズ検討会というルートもあると思うのです。そこの検討はどうして行わなかったのか、それが1つ疑問点として残るのですが、それについてはいかがでしょうか。
○荒井部会長 これは時間的な経緯もあるかと思われますが、どなたか状況を御存知でしょうか。ニーズ検討会に上がらずにという点について。
○医療機器審査第二部長 すみません。ニーズ検討会の最も大きな趣旨というのは、海外であるデバイスが国内にはないというところを是正していくということで、学会からの要望ですけれども、一番大きいのは、申請する企業が例えば見当らない、あるいは申請者が国内での販売を考えていないという場合に採択されて、積極的に機構、厚生労働省と一緒に申請者を探したり、申請をしないかということを打診するというのが、ニーズ検討会の趣旨でした。本品に関しましては、企業が自ら国内で積極的に承認を取得して販売をしたいということから、自ら国内治験等を行ったもので、そういう進行状況を学会等も把握しておりましたので、特段ニーズ検討会に要望を挙げていないとは思っております。
○荒川委員 もし、これを承認するという前提の話ですが、この国内試験のデータを使って承認されたとなると、前例として非常に禍根を残すと思うのですね。ですので、この国内症例は、もはや参考資料として格下げをした上で、その上できちんとした審査結果報告書を書いていただいて、何らかの条件を付けてやるべきではないかと思います。
○医療機器審査第二部長 御指摘、ありがとうございます。既に申請資料の添付資料として添付されていることと、今日、御説明させていただきました審査報告書2の中で後付け解析になりますけれども、本品の有効性と安全性が御理解いただけるものだと思っています。また、こういう結果になった原因、それと今後の対策も審査報告書2で書いておりますので、これをきっちり公表して発信することで、今回の国内試験の問題点がどこにあったのかも明確になると思っておりますので、参考資料に格下げにして余り目立たないようにすることは、私たちはしたくないと思っています。
○荒川委員 目立たないということは言うつもりは全くなくて、これを悪い前例にしていただきたいという意味なのです。これをもって前例と取られるようなことは、今後ないようにしていただきたい、そういう意味です。
○医療機器審査第二部長 ありがとうございます。
○荒井部会長 そのほか御意見、よろしいでしょうか。よろしいですか。
○機構 国内治験についていろいろ御意見を頂いているところですが、審査側も当時の状況に鑑みて、非常に真摯に考えたあげく必要か必要でないかという判断をしているわけですけれども、やはり後から行われる少数例の治験というのは、非常に解釈も難しいということもございますし、ただ、一方で、日本の導入への開発を遅滞なく行うためには、今後国際共同治験を推進して、企業の方々にも、まずは日本も含めた開発をしていただけるよう、それに関しては、こちらからもいろいろアナウンスをしていきたいと思っております。
○荒井部会長 よろしいでしょうか。本件に関しては、今日が2度目の議論でもあり、皆さん、かなりもやもやしたところがお有りだと思います。私も、正直のところ、2月以降ずっともやもやしておりました。しかし、「雨降って地固まる」と申します。本件は多く反省材料があり、学会や審査、制度についても多くの御指摘いただきましたが、これらを隠すことなく、悪い例という表現は適切ではないかもしれませんが、反省材料の多い案件として、今後のよりよい審査、承認への糧として使わせていただくという捉え方でまとめさせて頂きたいと思います。
○鈴木委員 承認が迫っている感じがするのですけども、全例調査をするとのことですが、どのぐらいの症例数を予定しているのかということと、学会の適正使用指針の位置付けは、どのようにお考えなのか、もう一度確認をさせてください。
○機構 使用成績調査ですけれども、当面全例で、そして300例を目途に解析を企業にしていただき、きちっと適正使用指針を守って有効性等を担保できているかどうかを確認させていただく所存です。すみません。言いそびれましたけれども、施設も20から30施設と最初の方は絞らせていただきまして、そこで300例の結果をもって、よい成績であるかどうかをこちらで確認し、そのあと徐々に施設を拡大するかどうかを判断したいと思います。
○鈴木委員 適正使用指針についてはどうですか。
○機構 適正使用指針には、添付文書で一番目立つところに、関連学会が定める適正使用指針を、きちっと守って使用してくださいと書かせていただきましたし、警告の欄、添付文書のタブ、青いタブになると思うのですけども、そちらに添付文書があるので御覧いただければと思うのですが、そこの(1)にその旨記載しております。
○荒井部会長 すみません。ついていけません。どの添付文書ですか。
○機構 失礼しました。部会資料、厚い資料の上の方に、添付文書というタブが、ちょっと見づらいかもしれないですが、そちらを御覧いただけますでしょうか。そこに関連学会が定める指針をきちっと、そこの記載している症例選択等を遵守して、本品を使用することという形で注意書きをしております。
○鈴木委員 お話を聞いているうちに気が付いたのですが、国際共同治験をしないで国内治験で済まそうというのは、国内治験の方が簡単ですから、今回はもう明るみに出てしまったけれど、ずさんでも、それで通ってしまえば、その方が楽でいい。国際共同治験だと、基準を国際的に合わせなければならないから大変だ。もしそういう判断があったとすれば、それはまた別な大きな問題だと思うのですけども、それについてはいかがですか。
○機構 基準に関しましては、国際共同治験でも国内治験でもGCPは全く同じようなもので、基準が緩いということはありませんで、むしろ海外臨床試験だけ受け入れているような品目も場合によってはありますので、国際共同治験をしたほうが日米同時に開発できるということで、企業にとっては有利であると伺っております。ですので、国内治験をするのが基準が優しいからということではないと理解しております。
○鈴木委員 今回の話を聞いてしまった以上、何となく信じられない部分もあるのですが。
○一色部会長代理 このケースは、既に海外で広く使われている状況で日本国内に持ち込もうとしたもので、最近行われている共同治験については、新規の製品については、できるだけ共同で行ってという動きになっていると理解しておりますので、どうしても既に欧米、世界で使われているデバイスを日本で新たに持ち込もうとしたときには、共同で行う体制が既にできないという状況があって、そういう状況でどうするかという個々の判断になっているのではないかと思います。
○鈴木委員 それほど海外でたくさん使われるのでしたら、なぜ日本できちんとできなかったのかということは、却って疑問が残る感じがします。国際共同治験で海外と一緒に、日本の症例もたくさん入れて、同じ基準で、やられたらいいのではないかという気がしました。レベルを少しでも上げようということであれば、国際的にもまれたほうがいいのではないかと思います。
それと、今後300例ですか、集まった後の解析も、もう、うやむやにされるようなことのないように、生物統計の専門家にしっかり分析してもらって評価をして、結局ここさえ通ってしまえばいいやということにならないようにしないといけないし、ここで、それを確認することも必要ではないですか。しばらく先にはなるでしょうけども、300例が集まった時点での解析の結果について、そこまでしっかりフォローして、ここでもう一回確認するということが条件になるのではないでしょうか。
○医療機器審査第二部長 御指摘、ありがとうございます。御指摘のとおり300例集まった時点で解析をきっちりして、この場で御報告させていただきます。その際に議論に上がっておりました適正使用指針の遵守状況、それも含めて御報告させていただきます。
○荒井部会長 ありがとうございます。本当にいろいろと反省するべきところ、改善するべきところがある事例ですが、これをいい学ぶ材料として今後に生かしていくということで、この点については特に気合いを入れやっていきましょう。よろしいでしょうか。
それでは、議決に入らせていただきます。医療機器Lutonix ドラッグコーティングバルーンの製造販売を承認して差し支えないものとし、生物由来製品または特定生物由来製品の指定を不要としてよろしいでしょうか。また、成績評価は、期間を4年として指定することとしてよろしいでしょうか。
御異議ないようですので、このように議決させていただきます。本件は、分科会報告を行うこととなります。これで、議題1を終了させていただきます。石橋先生、上妻先生、どうもありがとうございました。
それでは、議題2、医療機器「NeuroStar TMS治療装置」の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について、これに入らせていただきます。本議題の審議に当たりましては、参考人として、社会福祉法人同愛記念病院財団精神科部長であられる本橋伸高先生にお越しいただいております。先生、よろしくお願いいたします。まず、事務局の方から説明をお願いいたします。
○事務局 議題2につきまして、事務局から御説明いたします。紐で括っている資料1です。こちらをお手元に御用意ください。1枚目が諮問書です。本議題では、医療機器「NeuroStar TMS治療装置」の製造販売承認の可否について、高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否及び使用成績評価の指定の要否について、御審議をお願いいたしたく存じます。
まずは、一般的名称の新設についてというタグをお引きください。既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器に対しては、部会の御意見をお聞きして新たに一般的名称を新設することとなります。新設を予定する一般的名称は「経頭蓋治療用磁気刺激装置」です。経頭蓋的に大脳皮質の局所領域を連続的に刺激するために用いる治療用磁気刺激装置となっています。本品につきましては、1.のとおり、副作用や機能の障害が生じた場合において、人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあることから、高度管理医療機器に指定すること。2.のとおり、保守点検、修理その他の管理を必要とするものであると考えられるため、特定保守管理医療機器として指定することが適切と考えています。審議品目及び審査の概要につきましては、機構より説明をお願いいたします。
○機構 それでは、機構より御説明いたします。当日配付資料4の専門協議委員リストの一覧を御覧ください。本審査に当たり、こちらにお示しします3名の専門委員の御意見を頂きました。次に、当日配付資料5の正誤表を御覧ください。こちらにお示しする内容で訂正をさせていただきます。大変申し訳ございません。また、添付資料(案)につきまして資料1を御覧ください。オレンジ色のタブ、承認申請書の最後の2ページ、場所としましては青色の添付資料概要の直前2ページになります。こちらにありますので適宜、御確認いただければと思います。御不便をおかけし大変申し訳ございません。
それでは、品目の説明をさせていただきます。同じく資料1を御覧ください。品目の概要については資料1の緑色のタブ、審査報告書の5ページを御覧ください。図1に本品の概観をお示しします。本品は、うつ病患者の治療を行う治療装置で、図1(C)に示すトリートメントチェアに座った患者さんの頭部の適切な部位に、図4のようにトリートメントコイルから発生する磁場を当て、誘導電流により大脳皮質を刺激し、その活動性を変化させることで治療を行います。
使用方法ですが、資料1、オレンジ色のタブの申請書別紙4-1を御覧ください。別紙4-1の図に示すように、頭部を固定した後にコイルの位置と出力の設定を行います。最初にコイルの出力設定を行うのですが、こちらは隣のページ、別紙4-2の5)の図を御覧ください。こちらの図に示すようにコイルを患者の左耳上部に当てます。こちらが初期位置となり、この位置で磁気刺激を行うと右手指全体が動きます。次に、1枚めくっていただき、別紙4-3の8)のマル5に示すように、少し位置を調整することで右の母指のみが動く場所を検索します。次に、この位置で磁気の出力を低出力から徐々に上げていき、母指がちょうど動き始める出力を検出します。この出力がMT、運動閾値(Motor Threshold)と呼ばれ、この出力を基に治療時の磁場の強度が決まります。次に治療位置の設定ですが、1枚めくっていただき、別紙図4-マル5に示すように、出力を決めた位置から5.5cm前方にコイルを移動した位置が治療時に磁場を当てる部位となります。
続きまして、開発の経緯を御説明いたします。同じく審査報告書6ページを御覧ください。(1)起原又は発見の経緯になります。うつ病は、抑うつ状態が少なくとも2週間以上持続しており、ほかの疾患では説明がされないとされる疾患ですが、第1選択として抗うつ剤による薬物治療が行われます。しかし、抗うつ剤治療では十分な効果が認められない治療抵抗性を示す患者が3人に1人という頻度で認められます。現在、こうした患者に対する治療としては、抗うつ剤と向精神薬を組み合わせる増強療法や、特に重症の患者を対象とする電気けいれん療法が挙げられますが、これらの治療法はそれぞれ課題があります。増強療法は、複数の薬剤を組み合わせるため副作用の可能性が比較的高いということ。また、電気けいれん療法は適応が重症例に限られており、また入院の上、手術室で全身麻酔下で実施するため実施可能な施設が限られます。本品は、抗うつ剤治療に抵抗性を示す患者において、これらの課題を解決しうる機器として開発され、磁場を用いて頭部を低侵襲的に刺激することにより治療を行うことで外来通院での治療も可能であり、また、薬物治療に見られる全身性の副作用の可能性は低いと言われています。
次に、外国での使用状況について、同じく審査報告書8ページの(2)を御覧ください。欧米諸国において、抗うつ剤では十分な改善が得られなかった成人患者の大うつ病性障害の治療に用いる医療機器として、既に承認又は認証されており、2016年12月末時点で□□台の販売実績があります。
非臨床試験ですが、本品の非臨床試験については特段の問題は認められませんでしたので、臨床試験成績について説明いたします。審査報告書24ページの表5を御覧ください。本品の評価資料として、米国で実施されたOPT-TMS試験第1期が主要臨床試験の試験成績として提出されました。主要臨床試験は、本品の対照群に対し統計学的に優越であることを検証するために実施された試験で、対照群としては、磁気治療の出力を大幅に減弱したシャムコイルを用いたシャム群が設定されました。十分な効果が認められなかった抗うつ剤治療の施行回数が1~4回の、うつ病患者さんを対象に実施された前向き無作為化二重盲検多施設共同試験になります。本試験の主要評価項目としては、うつ病の標準的な評価指標の一つであるHAMD24スコアに基づく寛解率が設定されました。なお、HAMDスコア及びもう一つの標準的な評価指標であるMADRSスコアは、点数が小さいほど軽症であることを意味します。
次に、審査報告書23ページの図8を御覧ください。本試験では199例がランダム化の対象となり、ITT集団としては190例が登録され、本品群が92例、シャム群が98例となりました。
試験結果について、審査報告書27ページのマル3主要評価項目を御覧ください。主要評価項目であるHAMD24スコアに基づく寛解率は、本品群で14.1%、内訳としては92例中13例、シャム群においては5.1%、内訳としては98例中5例であり、本品群の優越性が検証されました。
また、安全性評価項目について、同じく審査報告書27ページ中段のマル5安全性評価項目及び表8を御覧ください。死亡及びけいれんの報告はありませんでした。頭痛及び適用部位疼痛が比較的高い発生頻度で認められましたが、有害事象により治療中止となった症例はありませんでした。
続いて、審査における主な論点について御説明いたします。主な論点は四つあり、本品の臨床的位置づけについて、有効性について、安全性について、そして製造販売後の安全対策についてです。初めに本品の臨床的位置づけについて御説明いたします。審査報告書29ページを御覧ください。先ほど御説明しましたとおり、既存の抗うつ剤治療で十分な効果が認められないうつ病患者に対する現状の治療選択肢は、増強療法及びECTが挙げられますが、それぞれに課題が存在します。本品は、1日に1時間前後の治療が週に5日という頻度で3~6週程度の治療期間となることから、時間的な制約という課題がありますが、一方で全身性の副作用の発現の可能性が低く、また、全身麻酔や入院は必要としないといった利点があります。したがって、既存の抗うつ剤治療で十分な効果が認められないうつ病患者における治療の選択肢の一つとして、本品を医療現場へ提供することに意義があると判断しました。
次に、有効性について御説明いたします。審査報告書32ページの(5)有効性についてを御覧ください。主要臨床試験の主要評価項目としては寛解率が採用されました。抗うつ剤の治験においては、通常、主要評価項目としてはHAMD又はMADRSの変化量が推奨されており、寛解率は副次評価項目として推奨されるという位置づけでした。しかし、寛解の定義は比較的最近定まってきており、本邦においても、うつ病のガイドラインの2012年の改訂で寛解の臨床的な位置づけが記載され、その位置づけが定まってきました。また、米国FDAのrTMSに関するガイダンスにおいても、寛解率が主要評価項目の一つとして推奨されており、rTMSの審査においては寛解率が受入れられているということから、標準的な評価項目である変化量の評価と併せて判断することで、寛解率を主要臨床試験の主要評価項目として扱うことは妥当であると判断いたしました。主要臨床試験の結果、HAMD24スコアに基づく寛解率について、本品群のシャム群に対する優越性が認められ、主要評価項目は達成されました。また、副次評価項目について、MADRSスコアに基づく寛解率とMADRSスコアの治療前後の変化量についても、本品群のシャム群に対する優越性が認められたことから、本品の有効性が示されたと判断いたしました。
次に、安全性についてです。審査報告書33ページの(6)安全性についてを御覧ください。主要臨床試験において死亡及びけいれんの症例は認められませんでした。発生頻度が高い有害事象として頭痛及び適用部位の疼痛が挙げられますが、これらにより治療中止に至った症例はなかったことから、その発生リスクについては受入れ可能と判断しました。また、使用成績評価において、その発現状況について情報収集を行い、新たな知見があれば臨床現場に適切に情報提供することを申請者に指示しています。また、rTMS治療における既知のリスクとしてけいれんが挙げられますが、主要臨床試験においてはけいれんの発生は認められませんでした。けいれんの発生率は低いとされているものの、重篤な転帰につながるリスクと考えられることから、添付文書及び適正使用指針において、けいれん発作のリスクが高い症例に本品を使用する際の注意喚起をすることが妥当と判断しました。使用成績評価において、その発現状況について情報収集を行い、新たな知見があれば臨床現場に適切に情報提供することを申請者に指示しています。
最後に、製造販売後安全対策についてです。審査報告書35ページ中段、製造販売後安全対策についてを御覧ください。本品は、既存の抗うつ剤治療で十分な効果が認められないうつ病患者に対する他の治療選択肢と比較し、副作用の発現は少ないことが想定されますが、治療の拘束時間が長いため、対象となる患者が限られます。このため、適切な対象患者の選択にあたっては、関連学会で適正使用指針を策定し対象患者を規定する必要があると判断しました。また、本品の治療位置や治療プロトコルの設定には十分な知識を要することから、安全な使用にあたっては、うつ病の診療に関する十分な経験がある医師が、本品に関する適切なトレーニングを受けた上で使用することが重要と判断しました。
審査報告書38ページを御覧ください。以上の点を踏まえて、機構は、本品に対し、中段にお示しする二つの承認条件を付す必要があると判断しています。承認条件1.施設要件として、うつ病に関する十分な知識・経験を有する医師によって、関連学会が策定した適正使用指針を遵守できる医療機関で本品が使用されるよう、必要な措置を講ずることとしています。また、承認条件2.医師の要件として、本品が1に掲げる医師により適正に使用されるよう、講習等の必要な措置を講ずることとしています。
なお、使用成績評価については審査報告書35~36ページにかけて御覧ください。目標症例数を300例とし、重点調査項目は、有効性の評価である□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□等です。調査期間は3年で、その内訳は準備期間に1年、症例登録及び追跡期間に1年9か月、解析に3か月と設定しています。
以上の審査を踏まえ、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器体外診断薬部会にて御審議いただくことが適切と判断いたしました。本品は、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。なお、薬事分科会では報告を予定しています。機構からの報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございました。それでは、まず初めに、お越しいただいています本橋先生から追加の御発言をいただけますでしょうか。
○本橋参考人 同愛記念病院の本橋と申します。こちらから追加をさせていただきます。まず、うつ病の治療については非常にうつ病が話題になることが多いですけれども、実際、良くなっていらっしゃらない患者さんが多いということです。うつ病の寛解という言葉ですけれども、要するに症状がほとんど、あるいは全くなくなったような状態で元に戻ったような状態を寛解と言っています。どうして寛解が必要なのかというと、寛解していないと社会機能に障害が出ますし、繰り返す、また悪くなるというような問題点もあります。したがって、うつ病の治療は寛解を目指すべきだということが強く主張されているのが現状です。
しかし、現状の薬物療法はどうかと申しますと、残念ながら、薬物は出てきていますが絶対的といった薬はありません。よく効くとされている薬でも寛解に至るのは3割から4割程度、別のに変えてもせいぜい3割ぐらいと。そして効かない方は次々にやってもなかなか反応しない、良くならない、寛解しないということが知られています。二つの薬が効かないような方ですと、有効性が極端に落ちてしまうというのが現状です。また、プラセボ効果も働きにくくなることが知られています。それで、仕方なしに併用をいろいろするわけですが、そこで問題点がいろいろ出てきてしまうということがあります。
電気けいれん療法という昔からある治療法、これは非常に有効ですけれども、先ほども御指摘がありましたようにいろいろな副作用があります。これは脳に電気刺激を与えることで、脳内に全般性の発作を引き起こすような治療です。したがって、いろいろな問題点があるわけで、そういったものの研究の中から、もう少し神経回路網に刺激を与えることで、うつ病は良くできないのかという研究が進められてきたわけです。実際、パーキンソン病に対しては脳深部刺激といったものが行われているかと思いますが、うつ病に対しても、ある程度こういった神経回路網の異常があるのではないか、ということで進められてきていて、特に左の前頭前野を中心として辺縁系とか、特に帯状回といった所の変化が関係しているのではないかということが知られてきています。
このTMSという磁気刺激療法は安全性が非常に高いということ。麻酔もかけないでいい。通院でも可能である。しかし、残念ながら、現在の方法では電気けいれん療法に匹敵するほどの効果はないのです。今回の結果を拝見すると、非常にプラセボ効果が出にくいような人たちを対象にしても、ある程度の効果を示しているということから、こういった選択肢があっていいのではないかと考えている次第です。問題点は、多少手間がかかるということですので患者さんの協力がどうしても必要で、当然、希望される方が対象になると思います。
それから、最近、機能的磁気共鳴画像の研究などによって、うつ病の患者さんでは脳内のプロファイルと言いますか、そういう神経の機能的な関連の特徴があるのではないかということが分かってきていて、その中でも、ある種のタイプにはこれは効きやすいのではないかといった研究も出てきていますので、今後、もう少し有効率を上げるようなことは可能ではないかと。臨床現場で使う中で、更に有効性を高めていくような刺激方法についても、より有効な方法も考えることができていくのではないかということで、こういった方法が導入されることを切に望んでいる次第です。
こういったものは不適切に使用される恐れも十分あるものですので、日本精神神経学会を中心として適正使用のための指針を、現在、作成中です。対象をどうするかとか、除外基準をきちんと決めるとか、いたずらに長く治療することは患者さんにとって負担になりますので、その辺の見極めをどうするかといったこと。まれではありますけれどもけいれんが実際に起こることがありますので、その辺に十分対応できる施設でやらないといけない。医師についても十分なトレーニングが必要であるといったことを中心に、現在、まとめている最中です。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。それでは、委員の方々から御意見、御質問等、いかがでしょうか。
○齋藤委員 リハビリテーションの領域で脳卒中、脳梗塞、あるいは先ほど先生がおっしゃったパーキンソンに対して経皮的磁気刺激が使われているかと思います。現行の機器と、この新たな機器は仕様的には同じであると考えて、よろしいのでしょうか。
○本橋参考人 方法的には同じですので、ほかに応用することは十分可能ではないかと。刺激する部位を変えたりとか、そういうことで使える治療器ではないかと思います。
○齋藤委員 このようなことを言うのは問題かもしれませんが、慈恵医大のリハビリテーションでは、もう磁気刺激を使っているような話をお伺いしました。これと全く同じものなのかを確認させていただきました。その作用に関して局所の血流を増加させたり、先ほど先生がおっしゃったニューラルネットワークの改善とか、そういった作用は確かにあるらしいのですが、少し懐疑的な意見もあるということです。この10~15%の寛解率というのは、こういった機器での改善率の限界として考えていいのでしょうか。
○本橋参考人 現在の治療器の刺激方法によってはこの程度というか、薬物が効いたりする場合でもかなり治療抵抗例の寛解率は低いので、それと比べて決して低い値ではないのではないかと思っています。
○荒井部会長 そのほか、いかがでしょうか。小西委員からどうぞ。
○小西委員 電気けいれん療法の場合に、統合失調症とかも適応されたような覚えがあるのですが、この機器に関しては、うつ病以外にも可能性は秘めているのでしょうか。
○本橋参考人 研究レベルでは、例えば統合失調症の幻聴を少し抑制するのではないかとか、少し意欲低下に効くのではないかという報告はありますけれども、きちんと適応として認められているものはないと思います。
○荒井部会長 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 作用機序からすると、脳内のいろいろな神経伝達物質が出て刺激をするということですね。ドーパミン、セロトニンですか、そういうものが出てくるということですね。先ほど脳卒中やパーキンソン病にも同様の治療法が用いられているということでしたが、そういうことを考えると特定の疾患にというよりも、うつ病だけでなくいろいろな疾患に応用が可能な気がしますけれども、海外ではどういう疾患に使われているか御存じだったら教えていただけますか。
○本橋参考人 きちんとした適応を取っているのは、うつ病だけですけれども、研究レベルではかなりいろいろな病気に対して報告はされているかと思います。例えば精神科領域であれば強迫性障害とか、そういったものに使って良かったという報告もありますけれども、非常に症例数が限られたものが多く、あと、きちんとシャムと対照でやっているというのは比較的少ないのではないか。まだ、そういうオープンスタディレベルの報告が中心ではないかと思っています。
○鈴木委員 侵襲性は少ないし、患者さんにとっても、いかにも治療しているという感じがするので、そういう意味のプラセボ効果もあるのではないかという気がしますけれども、ある意味でこういう治療法が広まると、適応をかなり厳格にしていかないと不適切な使用が広がってしまうのではないかと思いますが、それについて先生はどのようにお考えですか。
○本橋参考人 先生の御指摘のとおりで、安直に使われてしまうのはまずいと思います。本当に適応のある人に限定して、しかも、きちんとした施設で行っていくのが必要ではないかと考えています。
○鈴木委員 恐らく今後、いろいろな疾患にどうかという話が出てきそうな気もするので、少し話しておきます。例えばドーパミンとかグルタミン酸なども出るのですか。
○本橋参考人 その辺は、ヒトできちんと調べてはいないのではないかと思いますけれども。
○鈴木委員 ドーパミンは、アドレナリンやノルアドレナリンなどの前駆物質でもありますから、いろいろな疾患に使えるということが言われるのではないでしょうか。グルタミン酸は記憶や学習にも有効なのでこれは頭の良くなる機械だということで、自費診療でかなり大々的に行っている所もあると聞いています。この機器が薬事承認され、その後は保険適用になるのかどうか分かりませんけれども、そういう使われ方の規制は薬事承認されることによって可能になるのでしょうか。それとも、それとは関係なく自費だったら自由にどうぞということになるのでしょうか。
○医療機器審査第二部長 御指摘、ありがとうございます。そういう巷のクリニックでというお話だと思いますけれども、そういうためにも今回、きっちり施設基準と医師の基準を盛り込んだ適正使用指針を作っていただくことが一つと、あと、本品が薬事承認されますと極端な話、頭すっきりとか眠気がどうのこうのというような適応に関しては、広告違反ということが本品に関しては言えると思います。それと、こういう施設基準をきっちり学会で作っていただくと、今後、個人輸入はそういった施設でないと購入できないとか、そういう規制も行うことができると考えていますので、まずは本品をきっちり薬事承認して医療機器として位置づけることによって、そういったものを排除していきたいと考えています。
○鈴木委員 何となく、そういう我々が想定できないのも含めた自費診療による治療が、薬事承認された機器ということで、却って促進されてしまうのではないかという気もしますから、そこは薬事承認によって、しっかり規制することを前提にしていただきたいと思います。
○機構 今、頂いた御質問で2点ほど補足させていただきます。プラセボ効果が、こういった機器だとあるのではないかという御指摘に関して、今回の主要臨床試験において対照群の治療効果は5.1%ありますが、これは、抗うつ剤等の治験におけるプラセボ群の効果と比較すると、むしろ低い数値という感覚になります。ですから、本品でプラセボ効果はそれほど高くないというのが一つです。もう一つは、抗うつ剤が効かない、割に治療効果が難しい患者さんを対象にしていたと考えられるということがあります。また、ほかの疾患領域に関してですが、ある程度開発は進められていて、難治性疼痛とパーキンソン、それから脳卒中に対するリハビリテーション、この3領域に関しては治験も一部進んでいます。難治性疼痛に関しては国内治験で、今、144例のサイズでランダム化比較試験が進められていて、同じくパーキンソン病に関しても70例、これも国内治験が進行中です。いずれも今年、それから今年度末ぐらいの終了を見込んでいるような試験が動いています。
○荒井部会長 ありがとうございます。ちなみに、それはシャムですか。
○機構 基本的にはシャムを対象にした試験です。
○荒井部会長 後藤委員、どうぞ。
○後藤委員 本橋先生にお願いですが、今回のこの疾患に関して言うとたくさんの患者さんが対象になりますし、おそらく診ている医師の種類もいろいろあって、精神科医ばかりではなくて、一般の内科医もいるでしょうし心療内科医もいるという状況ですね。そのような状況の中で関連学会で基準を決めていく、いろいろな方々の意見を聞かなければならないと思います。そういう形での基準づくりをしていただきたいと考えています。実際に一般の内科医が普通の抗うつ剤を出して効かないときに、その次に必ず精神科に行くかというと、そういうわけでもないかもしれないので、うつ病の治療全体の中でのこの治療法の位置づけを、しっかりと決めていただきたいと考えています。
○荒井部会長 要するに、精神医学会だけでなく、ほかの領域でも使われる可能性があるとうことですね。その辺について、全体としての協調性を持って指針づくりをお願いしたいという御意見だと思います。
○本橋参考人 これを扱える医師は精神科の専門医に限られると思います。ですから、内科の先生が使うことはあり得ないと思います。
○機構 一つだけ補足させていただきます。対象患者数は御指摘のように、確かに何名が対象になるかという数でいくと比較的多いかと思います。つまり、年間の患者数が、うつ病が今、95、100万人弱と言われています。その中で、先ほど本橋先生からお話がありましたように3分の1程度の患者さんは治療効果がなかなか難しい。そうなると30万人強ということになります。
一方で、この機器がどれぐらいの患者さんを処理できるかという観点から考えると、対象になる患者数は限られると思います。つまり、この機器が1日に1時間程度、それが1人の患者さんが週に5日通う。その治療期間が6週間から8週間程度ということになりますので、1台の機器が最大見積って年間処理できるのが、せいぜい30~40人となります。国内でどれぐらい販売台数を見込むかなのですが、企業が□□□□台と見込んでいるところからいくと、せいぜい対象にできるのが□□人から多くて□□人程度と考えられます。
○塩川委員 私は脳外科をやっているのですけれども、機能的脳外科のメンバーにいろいろ聞いてみました。学会のコントロールという話でも、この機器による治験は保険外で開業の先生方はやっておられる方が既にあちこちにおられます。そういう状況で、きちっと適応を決めてコントロールのが望ましいわけですが、学会としてどのようにやっていかれるのかというのが一つです。
もう一つは、原理的によく分からないことが多い。それから、刺激の場所の決め方なども、機能的外科の感覚からするとかなり大雑把な決め方です。ただ、害が少ないからいいのでしょうけれども、有効な寛解率が14%対5%という、治療が得られる効果はそんなに高くないわけです。そうすると、この新しい機械を認可するのに、得られる利益が非常に少ないのだけれども、害も少ないからいいのかという、そういうロジックでいかれるのかどうか。二つの疑問があって、最初の既に保険外で使われているような部分のコントロールについて、もし先生のお考えなどがあればお聞かせください。
○医療機器審査第二部長 鈴木委員が御指摘されたときの繰り返しになります。こういう薬事承認が認められれば、使用目的も明確になります。それは、学会等による施設基準とか、GCの基準が決められる。そうすると、これまで個人輸入でもう使用されているものに関しては、まずは薬事承認の中身を守っていただくことにはなると考えております。学会の方向性としても、精神科の専門医の常勤ということで進んでおります。
○塩川委員 これは効き目が少ないようだけれども、害も少ないからいいのだろうかという話ですか。
○機構 御指摘のとおり、この14.1%という寛解率の数値自体、逆に言うと85%の患者さんは寛解に至っていないという見方になります。この数値の捉え方なのですが、大前提として、抗うつ剤の効き目が悪い患者さんを対象にしております。その中で14.1%という数値は、一部の患者さんを寛解に持っていくことができるということは意義があると考えています。
ただ一方で、逆に言うと残り85%の患者さんは寛解に至らないということがありますので、先ほどお話しましたように、時間拘束が比較的長いという点から考えると、この治療で6週間使うのであれば、6週間全ての患者さんに決め打ちで使うというのも余りよくないだろうと考えています。これに関しては、適正使用指針の中でも、運用方法として規定していただくというのを予定していただいていると思うのです。今回の主要臨床試験においても、効かない患者さんを途中で脱落させていくという、デュレーション・アダブティブ・デザインというのが用いられておりました。
これに関しては、報告書の26ページの図9を御覧ください。こちらにお示しするように、寛解しなかった患者さんを途中で脱落させていくというデザインを用いておりました。この大きな目的としては、やはり長期間にわたって、この治療が効かない患者さんを拘束してしまうというのは安全管理上問題があるだろうという観点から、治験の中でもこのデザインが使われたのです。実臨床においての運用においても、やはり現時点では治療効果が限られるという点を考えても、例えば6週間の治療ということで考えるのであれば、その中間の3週間程度のタイミングで一度治療効果の判定を行い、全く効果のない患者さんについては、この治療を一旦中止させるという運用方法を考えております。
治療効果をより高めることができないのかということに関しては、二つお話があります。一つは、疾患背景からより効く人を絞り込めないか。これに関しては、うつ病の疾患背景がまだそこまで特定されていないということ。先ほども本橋先生から少しお話がありましたように、徐々にそういう背景が明らかになりつつある現状ではありますので、現時点で最初からうつ病のこういう背景の人だけに使おうというのを絞り込んでいくのは難しいということがあります。
それから、治療のコイルを当てる部位に関しての御指摘を頂きました。おっしゃるように、現時点でこのコイルの当て方に関しては、全員一律で、これは5cmルールと呼ばれるのですが、コイルを親指が動く位置から5cm前に動かすというルールを一律に適用しておりますので、多少解剖学的な個人差であるとか、そういうことから完全な当て方ではないだろうということは指摘されております。ただ、現状ではこれが標準的にrTMSで用いられておりますので、今回の治験でもこれを用いたということがあります。
一方でこれに関してはまだ開発の技術なのです。ナビゲーションを用いて、より脳の部位を特定してコイルを当てていく。rTMSの海外で出されているガイドラインもあるのですが、これにおいても頭部の当て方に関しては、「標準的に用いられている当て方を行うこと」というぐらいの記載にとどまっております。「ナビゲーションは、将来的に有効かもしれない」という記載にとどまっておりますので、現状ではこの当て方でいくのが現実的かと考えております。
○荒井部会長 本件は先ほどの議題1と全く真逆で、シャムコントロールと明らかな有意差はあるが、その効果が極めて小さいという話です。侵襲性が少ないので、いろいろと使えるが、それだけに、いろいろな使い分け方をされる可能性がある。だから、薬事承認することで、そういった部分にきちっと規制をかけることができるということかと思います。本橋先生のお話にもありましたように、これからブラッシュアップすることで、より適正な使い方が出る可能性があるが、現時点では「このデータが実際のところ」といった理解でよろしいのかと思います。その他に御意見はありますか。
○一色部会長代理 ちょっと細かいお話で申し訳ありません。24ページの表5です。「ランダム化二重盲検」と書いてあります。シャム手術で二重盲検というのは本当に正しい表現なのでしょうか。
○機構 これは、術者側には盲検がかかっているのかという御質問でよろしいでしょうか。
○一色部会長代理 はい。
○機構 術者側にも盲検がかかっております。治療用のコイルとシャム用のコイルと渡されて、術者にもそれが分からないようになっております。
○一色部会長代理 分かりました。確認したかっただけです。どうも失礼しました。
○小西委員 イメージをはっきりさせたいのですけれども、典型的には非常に有効であった場合にどういう症状が、どのようにガラッと変わるのかを教えてほしいのです。電気けいれんのを私も経験があるのですが、本当に脳全体をリセットしたような形で、それまでコミュニケーションが取れなかった人が急に変わったというような、劇的な効果がありました。そういう感じになるのか、それともそこまではないのか。どういううつ病の患者さんが、どのようになるのかという典型的に効いた症例はどうなるかというイメージをはっきりさせたいのです。
○荒井部会長 これは、本橋先生にお願いします。
○本橋参考人 私も、過去に2週間だけやったことがあります。やはり1週間ぐらいたって、少し効く人は効いてくるというような感じで、劇的に変わるような治療法ではないです。それで更に延ばすと、より効いてくる人が増えていくというようなことなのではないかと今は考えております。
○鈴木委員 話を聞いていると、いろいろと考えられます。例えば、この治療により寛解になりますが、それはずっと続くのですか、どのぐらい続くのですか、またこの治療を繰り返すということはないのですか。
○機構 これに関しては、主要臨床試験OPT-TMS試験の第1期というものになります。この報告書の26ページを御覧ください。先ほど言及させていただいた図9になります。こちらで、OPT-TMS試験で寛解に至った患者さんを対象に第3期という試験が行われました。この試験の目的は、正に今御指摘いただいたように、どれほど治療効果が継続するのかをフォローした試験です。この試験において、3か月のフォローアップを行っております。
3か月の初めの1か月の間、この治療期間として最初は週5日なのですが、週3回、週2日とだんだん減らしていって、後半2か月はこの治療を行っていないというフォローアップを行っています。その中で、最終的にフォローアップできた31名の患者さんの中で29名が寛解を維持しておりましたので、少なくともこのフォローにおいては、比較的長く維持できていることが確認されております。
○鈴木委員 ということは、3か月しか見ていないのですか。
○機構 3か月が、今回OPT-TMS試験に関してはフォローアップされた期間になります。
○鈴木委員 海外ではどうなのですか。定期的に3か月に1回ずつ繰り返さなければならないとか、どのように使われているのですか。それはまだデータがないのですか。
○機構 それから、もう一つ更に長期のフォローアップ試験というのがあります。これは参考資料として言及させていただいた101試験というのがあります。この101試験の後で実施された、このOPT-TMS試験における3期と同じような位置付けとして103試験というのがあります。こちらは半年間のフォローアップがされております。
ただ、参考資料の中のデータなので、余りこの場では詳しいことは申し上げられません。同じように寛解が維持できたというところにとどめさせていただきます。実臨床に関しては、うーん、そうですねえ、ただ再発する患者さんがいないわけではないので、再発した患者さんに関しては同じようにまた治療を受けていただくということになるのかとは思います。
○鈴木委員 ただ、3か月効いても、また次の6週から8週治療をして、また3か月ということで、それをずっと繰り返すことになると、医療費的にもすごくなり、費用対効果の観点からしても問題なのではないかという気がするのです。
○機構 これは限定的なデータではあるのですが、OPT-TMS試験第3期で、31名のフォローアップを終了した患者さんのうち29名、ほとんど全ての患者さんで、少なくとも3か月間は治療効果が維持できていたことから考えると、すぐに再発して戻ってくるということではないのだろうと理解しております。
○鈴木委員 なぜ3か月しか見ないかということも、疑問になります。もう少し長期に見てどうなのかということも是非調べるべきだろうと思います。薬事承認された後は、保険で認めるかどうかということになるわけですけれども、そこではしっかりそういう議論もしていただく必要があります。今度の医療機器審査管理課長はその辺はお詳しいと思いますが、何でもかんでも薬事承認されたら、すぐそのまま保険適用というわけには行かなくなるのではないでしょうか。ただ、この機器は海外では韓国などでも認められていると言います。
いわゆる公的保険のカバー率ですが、日本は公的給付が84.5%ですが、韓国は6割ちょっとです。要するに、薬事承認されたとしても、自費診療でカバーされている部分もあるわけです。そのようなことまで含めて、ここではそういう議論にはならないかもしれませんが、今後はこういった低侵襲性だが、低有効性というか、安全なのだけれども有効性が低いようなものは、サウナを出たり入ったりするような治療法とか、今までもありましたが、そのようなものについては費用対効果の観点から、しっかりと先で議論することを伝えていただきたいと思います。医療機器審査管理課長はその辺は、かつての担当者ですので是非よろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 1年間ほどこういう審議会には出てこなかったのですけれども、久しぶりに出させていただいてちょっと緊張していました。鈴木先生の御意見に全部沿えるかどうか分かりませんが、できる限り努力させていただきたいと思います。ありがとうございました。
○荒井部会長 その他にはよろしいですか。よろしいようでしたら議決に入らせていただきます。医療機器NeuroStar TMS治療装置について、本部会として高度管理医療機器に指定して承認を与えて差し支えないものとし、特定保守管理医療機器の指定をすること。それから、生物由来製品又は特定生物由来製品への指定は不要とすることとしてよろしいでしょうか。また、使用成績評価には期間を3年と指定することとしてよろしいでしょうか。
御異議がないようですので、このように議決させていただきます。本件は分科会へ報告を行う予定です。これで議題2を終了いたします。本橋先生、どうもありがとうございました。
引き続き議題3、医療機器BioFreedom薬剤コーテッドステントの使用成績評価の指定の要否についてに入ります。まず、事務局から説明をお願いします。
○事務局 議題3について御説明いたします。資料3を御覧ください。1枚目は諮問書です。本議題では、医療機器BioFreedom薬剤コーテッドステントの使用成績評価の指定の要否について御審議をお願いいたします。
品目の概要、臨床試験及び使用成績評価の概要については、機構より説明をお願いします。
○機構 当日配布資料6を御覧ください。本審査に当たり、資料にお示しする3名の専門委員の御意見を頂きました。本品については、本日の議題1、議題2のような新規申請品目の審議ではなく、使用成績評価の指定の要否に係る審議です。そのため品目の概要、臨床試験成績、使用成績評価の指定の要否に係る内容を中心に御説明させていただきます。
初めに品目の概要についてです。資料3の審査報告書のタブの4ページの中段の審議品目の概要を御覧ください。背景は、薬剤溶出性ステントについては、留置後ステント血栓症を予防する目的で、6か月~12か月以上の二剤抗血小板療法が推奨されております。二剤抗血小板療法は、以下DAPTと言わせていただきます。
一方、高齢者や出血の既往がある患者など、出血のリスクの高い患者については、長期のDAPTによる出血性有害事象も問題視されております。
審査報告書5ページの図1に示してあるとおり、本品はステントの血管壁面側にのみ微細粗面構造を施した薬剤溶出性冠動脈ステントになります。本品はポリマーを用いず、この微細粗面に直接塗布されたバイオリムスA9が1か月で溶出されて、金属ステントになることから、金属ステントと同様に1か月でDAPT中止可能なステントとして開発されました。
審査報告書6ページ上段、提出された資料の概略の2段落目からになります。臨床試験成績として、出血リスクが高い、冠動脈ステント適応患者を対象に、欧州で実施されたピポタル試験であるLEADERS FREE(以下LF試験という)、また国内治験成績が提出されました。なお、これらの臨床試験プロトコールにおいて、ステント留置後1か月でDAPTを中止することが規定されておりました。
続いて審査報告書の7ページの表2を御覧ください。こちらの表ではLF試験、国内治験の主要評価項目の結果を示しております。まずはLF試験の主要有効性評価項目です。これは、ステント留置1年目の標的病変血行再建率、つまり再治療率になりますが、本品群が4.75%、金属ステント群は9.45%であり、本品は対象の金属ステントと比較して優越性が示されました。
続いて、LF試験の主要安全性評価項目です。こちらは、ステント留置「1年目の心臓死、心筋梗塞及びステント血栓症の複合イベント」の発生率になりますが、本品群は9.4%、対照群は13.57%であり、非劣性検証に対するp値であるため、本品の金属ステントに対する非劣性が示されました。また、一番右の列の国内治験においても、LF試験の結果と比較して、良好な結果が得られております。
続いて審査報告書7ページの表3を御覧ください。こちらの表では、副次評価項目のステント血栓症の結果を示しております。ステント血栓症についても、本品は対照の金属ステントと比較して同等であることは確認されましたが、そのうち半数以上がDAPTを中止した30日以降で発生しておりました。この結果から、ステント血栓症発症にDAPT中止が影響した可能性も否定できず、本品の使用に当たって、一律に1か月のDAPTを推奨することは適切ではなく、従来の薬剤溶出性ステントと同様に、患者の状態に応じて抗血小板剤の投与期間を検討することが重要であると考えました。
続いて審査報告書8ページの表4を御覧ください。こちらの表では、出血性リスクの高い患者に限定せず、本品を用いて実施された試験結果を示しております。DAPTは従来の薬剤溶出性ステントと同様に、6~12か月以上行われております。これらの試験は、GCP準拠の仮説検証試験ではなく、症例数は限られているものの、1年間のステント血栓症発症率は0%、ステント内遠隔期損失径、こちらは再狭窄の程度を示す指標になりますが、既承認の薬剤溶出性ステントと同程度であることが確認されました。以上より、既存の薬剤溶出性ステントと同様に、患者背景に応じてDAPT期間を調整することで、ステント血栓症のリスクは臨床的に許容可能ではないかと判断しました。
使用成績評価の必要性については、8ページの下から3行目からになります。DAPT期間を従来の薬剤溶出性ステントと同様にした本品の海外臨床成績において、ステント血栓症は1例も認められておりませんが、ステント血栓症を評価するためには、2,000例程度の症例数が必要なため、既存の薬剤溶出性ステントと同様に、本品を使用した際のステント血栓症については、使用成績評価にて評価することが妥当と判断いたしました。加えて、本邦の実臨床における本品留置後の抗血小板薬の服用状況についても、情報収集するとともに、必要に応じて医療現場への情報提供や、追加のリスク低減措置を講ずることが必要と判断いたしました。
最後に、使用成績評価について、9ページの表5を御覧ください。使用成績評価の調査目的は、実臨床における本品のステント血栓症発症率の確認、症例数は2,000例、評価期間を4年とすることが妥当と判断いたしました。機構からの説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○荒井部会長 本品は今お話がありましたように、使用成績評価の評価についてですが、特に御意見はありますか。
○一色部会長代理 このステントの意味は、ポリマーがないということだと思うのです。ポリマーがないということで、比較的早くDAPTが中止できるのではないかというのが売りだったと思うのです。今の方針だと、結局他のコーティングのステントとほとんど同じ扱いでしばらく見たいという御意向だと思うのです。そうすると、このステントの意義というのは非常に高くない、これを使わなければいけない理由がどこにあるのかと。極端に言うとそういうところがあるかと思います。
ステントの性能自体はそんなに高いステントではないので、今の新しいコーティングのステントの方が良いという位置付けになってしまいかねないのです。その辺このPMSの後に、例えば先ほど危惧されたような、3か月、6か月以降のステント血栓症の頻度が極めて少ないということが判明した場合に、このステントの本来の目的である1か月、あるいはちょっと長く見ても3か月程度でいいというような形に、その推奨レベルを見直すという含みがあるのかどうかをお伺いします。
○機構 先生がおっしゃるとおり、現時点では1か月のDAPT期間については、やめた後にステント血栓症を半数以上見ていることから、それはなかなか認めることができなくて、既存と同等のテスト指標にしております。現在、アメリカでDAPT1か月を中止した際のID試験も行われています。日本でも、基本的には6か月、12か月以上のDAPTを推奨しておりますが、中には早く切らなければいけない患者もいると思いますので、そういう評価を総合的にして、ある程度その安全性・有効性が確認された場合には、是非検討したいと思います。
○荒井部会長 その他に御意見はありますか。よろしければ議決に入らせていただきます。医療機器BioFreedom薬剤コーテッドステントの使用成績評価は、期間を4年として指定することとしてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。御異議はないようですので、このように議決させていただきます。本件は、本部会での審議結果を踏まえ、次の薬事分科会で報告をさせていただく予定です。これで、議題3を終了いたします。
引き続き議題4に入ります。議題4、医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否についてです。事務局より説明をお願いします。
○事務局 議題4について、事前配布資料4に基づいて御説明いたします。資料4は、議題3、BioFreedomの抜粋資料の次に一枚紙で用意しております。議題2でも御説明いたしましたが、既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器があり、新たに一般的名称を新設する際には、いずれのクラス分類に該当するかについて、またその保守管理に専門的な知識を要するものとして、特定保守管理医療機器に指定するか否かについて御審議いただいております。
配布資料4を御覧ください。今回新設する名称は「心臓・中心循環系用カテーテル操作装置」です。クラス分類は高度管理医療機器クラスIIIとし、特定保守管理医療機器に指定することとしております。
この資料の裏面に、新一般的名称が付される予定の品目概要があります。そのページの下の図を御覧ください。本品は、心臓のアブレーションを行うカテーテルを把持し、そのカテーテルを遠隔で前進・後退・回転の操作を行う機器です。心臓の適切な位置まで誘導するためのナビゲーションシステムと併用し、術者はナビゲーションシステムに表示される透視画像等を確認しながら、カテーテルの操作を行います。
表面に戻ります。こちらに新設する一般的名称(案)についてがあります。下の参考の所に、本品に近い一般的名称として、二つの名称を示しております。このうちの「カテーテルコントローラ操作ユニット」は、カテーテルの操作性を向上するために、カテーテルに接続する機器などを意図している名称であり、それ自体がカテーテルを操作することを意図していないこと、また「手術用ロボット手術ユニット」は、da Vinciが属している名称ですが、本品単独では該当しないと考えることから、既存の一般的名称のいずれにも該当しないと判断いたしました。
最初に申しましたとおり、本品は心臓に適用するカテーテルを操作することから、クラスIII高度管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については、本品は保守点検を行う必要のある医療機器であるため、指定するべきであると考えております。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ただいまの説明について、御意見、御異議、あるいは御質問等はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。特に御意見はないようですので議決に入らせていただきます。心臓・中心静脈系用カテーテル操作操置を、高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定することとしてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。御異議はないようですので、このように議決させていただきます。本件については、本部会での審議の結果を踏まえ、次の薬事分科会で文書として報告させていただく予定でおります。これで議題4を終了いたします。
引き続き議題5に入ります。議題5、先駆け審査指定制度の指定品目についてです。事務局から説明をお願いします。
○事務局 報告事項、議題5、先駆け審査指定制度の指定品目について御説明いたします。当日配布資料8と9を御覧ください。平成27年度から、先駆け審査指定制度が施行されております。こちらは、革新的医療機器等を日本で早期に実用化すべく、世界に先駆けて開発され、早期の治験段階で著明な有効性が見込まれる医療機器等を対象として指定し、指定された医療機器等は、優先審査などの優遇措置を受けることができるものです。
今までに、平成27年度に2品目、平成28年度に3品目の医療機器を指定しており、薬事・食品衛生審議会薬事分科会において御案内申し上げているところです。当日配布資料8の4ページを御覧ください。このチタンブリッジですけれども、今般6月30日付けでノーベルファーマ株式会社から、承認申請が行われています。本品は、発声時に声帯が過剰に閉鎖することで、声に障害の出る内転型けいれん性発声障害において、その閉鎖を防止するために使用する医療機器として開発されてきているものです。なお、去年6月に、当部会において、この品目のオーファン指定に関する審議がなされております。
先駆け審査指定制度で指定された品目については、全て優先審査の対象に指定することとなっております。通常、優先審査品目に指定した場合には、本部会において報告することとしておりますが、先駆け品目については、今後、承認の可否についての審議の際に、先駆け品目である旨を御報告することで代えさせていただく予定です。以上、先駆け審査指定制度の指定品目について御報告申し上げました。
○荒井部会長 御記憶があると思いますが、先ほどお話がありましたように、このブリッジのものが先駆け製品の品目になっているということで、今後は並行して、ここの部会でも報告をしていただくということです。御意見等はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
特に御異議はないようでしたら、これで議題5を終了させていただきます。本日予定された議題は全て終了しました。
最後に私から一言。本日の資料1、分厚い資料で、途中からページがなかなか追えなくなる部分がありました。ギリギリで資料がまとまることが多いところで、通し番号は難しいのかもしれませんが、この場で「どこが資料か分かりません」と言うのはなかなか抵抗があります。その辺は是非いろいろ工夫していただければと思います。よろしくお願いいたします。事務局から連絡事項はありますか。
○医療機器審査管理課長 次回の部会は8月4日(金)の午前10時から12時を予定しております。以上です。
○荒井部会長 これをもちまして、本日の医療機器体外診断薬部会を閉会させていただきます。どうもありがとうございました。
※ 備 考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。
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