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2017年7月27日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

○日時

平成29年7月27日(木)17:00~


○場所

厚生労働省共用第7会議室


○出席者

出席委員(13名)五十音順

浦 野 泰 照、○奥 田 真 弘、 川 崎 ナ ナ、 菊 池    嘉、 
◎清 田   浩、 舘 田 一 博、 登 美 斉 俊、 中 野 貴 司、
半  田    誠、 増  井    徹、 森 田 満 樹、 山 口 拓 洋、
山 本 善 裕

欠席委員(8名)

渥 美 達 也、 大槻 マミ太郎、 川 上 純 一、 鈴 木 邦 彦、 
田 島 優 子、 濱 口    功、 南   博 信、  渡 辺   亨
(注)◎部会長 ○部会長代理

行政機関出席者

宮 本 真 司 (医薬・生活衛生局長)
森    和 彦 (大臣官房審議官)
山  本   史  (医薬品審査管理課長)
佐 藤 大 作 (医薬安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
林   憲 一 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
猿 田 克 年 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○医薬品審査管理課長 定刻より少々早いのですが、先生方がおそろいになりましたので、「薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会」を開催いたします。本日はお忙しい中、先生方に御参集いただきまして、誠にありがとうございます。本日の委員の出欠ですが、渥美委員、大槻委員、川上委員、鈴木委員、田島委員、濱口委員、南委員、渡辺委員より御欠席との御連絡を頂いております。本日は、現在のところ当部会委員数21名のうち13名の委員の御出席を頂いていますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。

 続きまして、7月11日で医薬・生活衛生局長が交代して、宮本が着任しておりますので、一言御挨拶申し上げます。

○医薬・生活衛生局長 7月11日付けで医薬・生活衛生局長を拝命いたしました宮本でございます。5年ぶりに医薬局に戻ってまいりました。清田部会長をはじめ、委員の皆様におかれましては、本日は大変お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。また、新薬の承認審査については、それぞれの専門分野における最新の科学的知見や豊かな御経験を基に、厳正な御審議をいただいておりますことについて、深く感謝申し上げます。ありがとうございます。引き続き御指導・御協力賜りますようお願いいたしまして、簡単ではございますが、私の着任の挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○医薬品審査管理課長 続きまして、ほかにも事務局に人事異動がありましたので、御報告いたします。医薬品医療機器総合機構の新薬審査第五部長の清原です。最後に、私、医薬品審査管理課長に着任いたしました山本でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、部会を開始する前に、事務局から一つ報告があります。当日配布資料の16という1枚ですが、プレスリリースの形をとっておりますが、お手元にありますか。この点について、説明申し上げます。「薬事分科会の委員、臨時委員、専門委員については、薬事分科会規程第11条に基づいて、「在任中、薬事に関する企業の役員、職員、又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には辞任しなければならない」とされております。今般、薬事分科会の部会に御所属いただいていた委員について、医療機器製造販売業の許可を取得している企業の役員に就任していたことが判明した事案がありまして、当該委員には辞任いただいた上で、6月29日に本事案を公表し、同日に開催した薬事分科会に御報告したところです。部会、調査会を含む全ての薬事分科会の委員におかれましては、委員就任時に事務局担当者より薬事に関する企業の役員等に就任していないことなどを確認させていただいておりますが、今般、本事案を踏まえて、改めて薬事分科会規程の適合状況を委員の皆様に確認させていただきました。その結果、本部会においては、規定に抵触する委員はいらっしゃらなかったことを御報告申し上げます。なお、薬事分科会のほかの全ての委員等について、現在、確認中です。委員の先生方におかれましては、お忙しい中、御協力いただきましたこと、感謝申し上げます。

 今後の対応として、同様の事案の再発防止のため、薬事分科会の委員等就任時に、また会議開催時に、薬事分科会規程や薬事分科会の審議参加規程の適合状況を書面により御署名いただく形で御申告いただく方向で検討しておりますが、具体的な方法等については、事務局にて今後、検討の上、改めて御連絡いたしますので、何とぞ御協力のほどよろしくお願い申し上げます。

 加えて、例えば薬事に関する企業等は、どのような企業が該当するのか、あるいは寄附金、契約金等の申告に関する詳細なルールなど、規程の内容が分かりにくいといった点もあるかと思われますので、そういった点も含めて、重要事項について、事務局より改めて分かりやすく説明、あるいは注意喚起させていただくなど、薬事分科会の適切な運営に引き続き努めてまいりたいと考えております。委員の皆様には大変御負担をおかけすることになると思いますが、この機会に改めて規程を御認識いただきますとともに、規程の遵守に何とぞ御協力いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。この点について、事務局からの説明は以上です。

 それでは、清田部会長に以後の進行をお願いいたします。

○清田部会長 それでは、本日の審議に入ります。事務局から、配布資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、報告を行ってください。

○事務局 順番に配布資料の確認をいたします。本日、席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。議事次第に記載されている資料1から資料12をあらかじめお送りしております。このほか、資料13として、「審議品目の薬事分科会における取扱い等の()」、資料14「専門委員リスト」、資料15「競合品目・競合企業リスト」を配布しております。

 続きまして、資料15、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告いたします。資料15の1ページ、ケブザラ皮下注150mgシリンジ、ほか3規格です。本品目は、「既存治療で効果不十分な関節リウマチ」を予定される効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 2ページ、ルパフィン錠10mgです。本品目は、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 3ページ、アクテムラ皮下注162mgシリンジ及び、同皮下注162mg、オートインジェクターです。本品目は既存治療で効果不十分な高安動脈炎、巨細胞性動脈炎を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 4ページ、イブランスカプセル25mg及び、同カプセル125mgです。本品目は、「手術不能又は再発乳癌」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 5ページ、6ページ、インフリキシマブBS点滴静注用100mg「日医工」及び、同点滴静注用100mg「あゆみ」です。本品目は、関節リウマチ、乾癬、クローン病、潰瘍性大腸炎を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。

○清田部会長 ただいまの事務局からの御説明に、特段の御意見はありますか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆様の了解を得たものといたします。委員からの申し出状況について、御報告をお願いいたします。

○事務局 各委員からの申し出状況については次のとおりです。議題1の「ケブザラ」は、退室委員:なし、議決には参加しない委員は舘田委員、中野委員、山本委員です。議題2の「ルパフィン」は、退室委員:なし、議決には参加しない委員は中野委員です。議題3の「アクテムラ」は、退室委員は山口委員、議決には参加しない委員は清田委員、舘田委員、中野委員、山本委員です。議題4の「イブランス」は、退室委員:なし、議決には参加しない委員は舘田委員、山本委員です。議題5の「インフリキシマブBS」は、退室委員:なし、議決には参加しない委員は舘田委員、中野委員、山本委員です。委員からの申し出状況については以上です。

○清田部会長 今の事務局の御説明について、特段の御意見はありますか。よろしければ、皆さんに御確認いただいたものとして、議題に入ります。本日は、審議事項5議題、報告事項7議題となっております。審議事項の議題1に移ります。議題1について、機構から概要を御説明いただきます。よろしくお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料1、ケブザラ皮下注の製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。本剤の有効成分であるサリルマブ(遺伝子組換え)は、インターロイキン-6受容体に対するヒトIgG1モノクローナル抗体です。今般、既存治療で効果不十分な関節リウマチ(以下、RA)に関する効能・効果で製造販売承認申請されました。本剤は、2017年1月にカナダで、同年5月に米国で、6月に欧州で承認されております。本申請の専門委員として、資料14に記載されている10名の委員を指名いたしました。

 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡単に説明いたします。有効性につきまして、審査報告書27ページの表21は、メトトレキサートで効果不十分なRA患者を対象とした、国内第II/III相試験における有効性の成績を示しております。上から2段目及び3段目を御覧ください。主要評価項目である投与24週後のACR20改善率について、左から4列目のプラセボに対して、左から2列目及び3列目の本剤150mg及び200mg2週間隔投与の優越性が検証されております。

 次に30ページの表24は、メトトレキサートで効果不十分なRA患者を対象とした海外第III相試験における有効性の成績を示しております。上から2段目及び3段目を御覧ください。本試験においても、主要評価項目である投与24週後のACR20改善率について、プラセボに対して本剤150mg及び200mg2週間隔投与の優越性が検証されております。これらの成績から、本剤の有効性は示されているものと判断いたしました。

 安全性について、審査報告書38ページの表34及び39ページの表35は、国内及び海外の臨床試験において認められた主な有害事象を示しております。臨床試験、本剤の薬理作用等を踏まえると、本剤投与時には感染症、消化管穿孔、過敏症、血球減少、脂質異常等の発現に注意する必要があると考えております。本剤の安全性については、既承認のインターロイキン-6受容体に対する生物製剤と同程度のリスクを有すると考えられることから、RAに対する薬物治療の知識と経験を持つ医師による使用を前提とする等、既承認の薬剤と同様の注意喚起が必要と判断いたしました。

 用法・用量について説明します。先ほどお示ししましたとおり、国内第II/III相試験では、主要評価項目である投与24週後のACR20改善率は、本剤150mg群と200mg群で同程度でした。一方で、海外第III相試験においては、150mg群よりも200mg群で高い改善傾向を示唆する結果が得られました。51ページの表47は、国内第II/III相試験の投与12週後の有効性評価項目の結果を示しております。より早期の段階では、150mg群よりも200mg群で高い改善傾向を示唆する傾向が認められました。

 また、54ページの表49及び表50は、海外試験で臨床検査値異常の規定に該当した場合に200mgから150mgに減量したときの有効性及び臨床検査値の結果を示しており、減量後に明らかな有効性の低下は認められず、臨床検査値の改善傾向も認められました。

 以上より、本剤の通常用量を200mgとし、患者の状態により150mgに用量調節を行うことが適当と判断いたしました。以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤は、いずれも劇薬に該当すると判断しております。薬事分科会では、報告を予定しております。以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○清田部会長 委員の先生方からの御質問、あるいは御意見はいかがでしょうか。

○菊池委員 2週間隔投与(q2w)になっている理由がちょっと分かりづらいのです。というのは、25ページの表19のお話が全然出ていないのですが、本剤の試験の初期の頃の検討では100mg150mg200mgの2週間隔投与と、100mg150mgの毎週投与になっていますよね。それとプラセボと比べて、その中で有効性が認められるのは150mgの毎週のものだけですが、それからあまり説明がなかったのですが、その後、突如、この薬剤の投与方法が150mgの2週間隔投与と200mgの2週間隔投与になっていますが、その理由が示されて無く、以後200mg150mgの2週間隔投与が基本となっていることの理解ができませんが、その根拠はどこにでていますか。

○清田部会長 御説明いただけますか。

○医薬品医療機器総合機構 少々お時間を頂けますでしょうか。

○菊池委員 それで、26ページに「本剤150又は200mgを2週間隔で、24週間皮下投与することと設定された」と、ここで突然出てくるのですよ。なので、ここであれば、本来150mgの毎週投与(qw)でいかなければ話が通らないところが、この膨大な資料の中から探す気にはちょっとならなかったのですが、一番肝心な用量設定の最初の段階からの説明も無く飛躍しているので根拠をお答えください。

○医薬品医療機器総合機構 少し確認のお時間を頂いてもよろしいですか。

○清田部会長 では、菊池先生、2番目の御質問があれば。

○菊池委員 添付文書には既存治療となっていますが、日本人対象の試験では今のところMTXとの併用しかしていないですよね。その状況で、conventional disease modifying antirheumatic drugs cDMARDs)というのが、今たくさんあると思うのですが、既存治療と言ってしまうと、かなり幅が広いので、その中でもMTXとTNFによる既存治療であると限定をしなくてよろしいのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 56ページを御覧ください。本申請の検証試験はMTX効果不十分な患者を対象としておりますが、国内長期投与試験の中でcDMARDsの効果不十分な患者を対象に一定の有効性は確認されており、MTXのみに限定することなく、抗リウマチ薬を使った患者で有効性は期待できるものと考えております。

○菊池委員 私は、リウマチは不勉強なのですが、MTXと従来型のcDMARDs以外の薬はないのですか。既存と言ってしまうと、今もう売り出されている薬というか、保険適用のある薬全てになってしまいますよねという意味で言っているので、それ以外の治療はないのでしたか。

○医薬品医療機器総合機構 他には生物製剤もございます。

○菊池委員 そういう意味です。だから、生物製剤を既存治療として使っているのでもいいのですか。

○医薬品医療機器総合機構 添付文書の1.8ですが、添付文書案の効能・効果の下にある「効能又は効果に関連する使用上の注意」という所で、過去の治療において、少なくとも1剤以上の抗リウマチ薬という形で書いておりますので、生物製剤を使われた患者に対しても、本剤は使用可能と考えております。

○菊池委員 でも、それについては、まだデータはないわけですよね。あるのですか。

○医薬品医療機器総合機構 生物製剤で効果不十分な患者を対象とした国内試験はありません。審査報告書24ページの表18に臨床試験の一覧がありますが、海外では、EFC10832試験という、TNF阻害薬に効果不十分な患者を対象にした試験でも本剤の有効性が認められております。

○菊池委員 そうですね。だから、拡大することは臨床側としてはすごく有り難いと言えば有り難いわけですが、やっていないのに認めていいのですかと、国内の人に対してですね。まだその部分として、この薬としては新しいわけですから、もう少し治験を積んでからのほうがいいのではないのかという部分と、とにかく用量の設定の仕方も、200mgからいって効いていたら150mgに落とせというようなコンセプトできていますよね。効かなかったら上げろではなくて、効いていたら下げろという部分が、何度も言いますが、私はこの150mg200mgの2週間隔とか1週間というところの考え方のギャップが、ちょっと分からないなというところがあります。

○医薬品医療機器総合機構 RA治療での本剤の位置付けも踏まえると、生物製剤で効果不十分な患者さんに対する有効性の確認を必ずしも求めているものでなく、市販後の中で情報収集することでよいと考えております。

○菊池委員 分かりました。

○医薬品医療機器総合機構 1点、付け加えさせていただくと、海外試験では200mgを投与して、好中球が下がってくる患者も一部いますので、そういった患者では、薬をやめるのではなく、減量して継続して投与していくところが、先ほど一番最初のところで紹介があったように、そういう使い方も基本的には考えているところです。

○医薬品医療機器総合機構 先ほどの第II相試験の結果ですが、先ほど先生がおっしゃられたように、最大有効用量は確かに150mgのqwであったと結論されております。ただ、副次評価項目のACR50改善率では、100mgのqwと200mgのq2wで、プラセボよりも有意に高い結果が得られたであるとか、ACR70改善率は、200mgのq2wのみ有意に高かったという副次的な解析等があり、100mgのq2wを除く用法・用量において、明らかな改善傾向があったとされております。これを踏まえて、週1回投与と2週に1回投与に関する関節リウマチ患者における利便性等も鑑みて、2週に1回の150mg又は200mgを選択したと考えられます。

○菊池委員 ですから、今のはどこに書いているのですか。そういう大事なことが、この膨大な資料の中で、今聞いた中でもかなり難しく言われて、誰も数値には付いていけないですよね。そのぐらいの大事なことを何で書かないのですかということが言いたいわけです。後ろの2.5の(臨床に関する概括評価の)中にあるのですか。

○医薬品医療機器総合機構 一番分厚い個々の試験成績の所には書いてあるのですが、確かに先生がおっしゃられるように、先生方にお渡ししている資料には、そこの記載がないということで、今回、先生の御指摘は、理由がはっきり分からないという部分だと思いますので、今後はその点も気を付けて報告書を作っていきたいと考えております。

○菊池委員 すごく意地悪な言い方をすると、表19の所のプラセボの効果が非常に高いのですよね。もしこれが今までのと同じというか、ほかの今日説明されたほうのような感じで、15%ぐらいだったら、当然これは効果が出てくるわけなのですよ。それがありきで話がいっているような気がして、ちょっとおかしいのかなと思っていますが、いかがですか。

○医薬品医療機器総合機構 日本人のプラセボ群の成績が高いという御指摘でしょうか。

○菊池委員 表19の所のプラセボ群の効果が高すぎるから、それと比べて、これは150mg毎週投与というものしか効果が出ていない結果になるわけですよね。ここのプラセボ群が、例えば次のものは14.8になっていますが、その程度だったら、多分これ全部が有効性が出てくるのですよね。だから、そこのところのほかの結果を見てから、150mg2週間隔投与でいいという感じのものが入ったのではないかというように、単純に考えてしまうところです。言っている意味、分かりましたか。

○医薬品医療機器総合機構 先生の御指摘の点ですが、30ページの表24の海外第III相試験では、プラセボ群が33.4と、確かに御指摘の第II相試験に比べると低めではありますが、外国人ではプラセボ群でも高い反応性を示しているということがございます。プラセボ群のACR20改善率46.2に関しては、探索的試験ということもあり、著しくこのプラセボ群が高かったので、150mg200mgのみしか選ばれなかったのではないかということまでは言い切れないのではないかと思います。

○菊池委員 こだわって申し訳ないですが、26ページの所にある用法・用量は、150又は200mgを2週間隔で皮下投与することと設定されたというか、そのような流れになったことについては、個人的にはちゃんともっと調べていただきたいなというように。前から言っていますが、変なことに私がこだわっているのは、ここにいる人たちは、みんな一蓮托生ということになるわけですから、承認したときに、「目を開けて見ていたのですか」と言われたら、やはりちょっと「いや、出席してたけどね」というのでは困るから、文句を言っているわけであって、科学的にちょっと飛躍がないかということを申し上げているわけです。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘の点について、重々理解いたしましたので、何が改善できるかということを今後、考えていきたいと思います。ありがとうございました。

○清田部会長 少し分かりづらいことは確かですね。その辺はうまく説明してくださればと思います。ほかに御質問はありますか。そうしましたら、菊池先生にも御理解いただいたというように判断させていただいて、議決に移ります。なお、舘田委員、中野委員、山本委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異論がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。ありがとうございます。

 それでは、議題2に移ります。よろしくお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料2-1~2-4、ルパフィン錠10mgの製造販売承認の可否等について、機構より説明します。本剤の有効成分であるルパタジンフマル酸塩は、ヒスタミンH受容体拮抗薬です。本申請では、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患に伴うそう痒を予定効能・効果として申請されました。本剤は、本年6月時点で、海外80か国以上で承認されております。本申請の専門委員として、資料14に記載の10名の委員を指名しました。

 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に説明します。有効性について、審査報告書28ページの表20を御覧ください。こちらの表は、季節性アレルギー性鼻炎患者を対象とした国内第III相試験における有効性を示しています。

 上から3段目及び4段目を御覧ください。主要評価項目である「投与2週後の鼻症状スコアのベースラインからの変化量」について、本剤の申請用量である10mg群及び20mg群はプラセボ群を有意に上回っております。

 また、29ページの表22を御覧ください。こちらの表は、慢性蕁麻疹患者を対象とした国内第III相試験における有効性を示しています。こちらも上から3段目及び4段目に示します、主要評価項目である「投与2週後の総そう痒スコアのベースラインからの変化量」について、本剤10mg群及び20mg群はプラセボ群を有意に上回っております。以上のような試験成績などから、本剤の有効性は示されていると判断しました。

 次に安全性について、審査報告書35ページの表33及び表34を御覧ください。こちらの表は、国内及び海外の臨床試験において、いずれかの投与群で発現割合が2%以上であった有害事象を示しています。本剤群で認められた有害事象の多くは軽度又は中等度であり、また、有害事象の発現割合やその内容は類薬投与時と同様であることから、本剤の安全性は許容可能であると判断しております。なお、本剤群では、傾眠の発現が多く認められていること等を踏まえ、既に市販されている類薬と同様に自動車の運転など、危険を伴う機械の操作には従事させないよう、注意喚起を行う予定としております。以上のような審査を踏まえ、本剤を承認することは可能と判断しました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しています。薬事分科会には報告を予定しています。御審議のほど、よろしくお願いします。

○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方からの御質問あるいは御意見はありますか。

○森田委員 何点か教えていただきたいことがあります。有効性で、こういった抗ヒスタミン剤は類薬がたくさんあるかと思うのですが、類薬との有効性の比較があったかと思うのですが、類薬との有効性の比較のデータは、どこにありましたでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 国内では類薬との比較試験はないのですが、海外ではあります。審査報告書で言いますと、40ページの表42を御覧ください。

○森田委員 40ページにあって、ロラタジンとか、そういうものと比較しているのですが、海外の臨床試験の有効性の成績は、特段、本剤が優れているということではないのかと見えました。しかも、傾眠に関して、この手のものは眠くならないものを新薬だと患者は求めると思うのですが、かなり過度な傾眠というふうな書き方をされていたかと思いますが、ほかのロラタジンとかそういうものに比べても、度数が違うので、比較が少し難しいかと思うのですが、単純に見ても傾眠の割合が多いのかと思います。

 もう一つは、添付文書にありますが、「グレープフルージュースと一緒に飲めない」ということが、「使用注意」という所にあったかと思います。抗ヒスタミン薬をずっと飲んでいて、グレープフルーツシュースと飲めないというのは私は聞いたことがなくて、その点はどうなのか。新しく、例えば薬を変えていただいたときに、そういう情報がきちんと伝わるのか。特に眠くならないという新しさもなく、有効性もそこそこという感じに見受けられるのですが、類薬がこのようにたくさんある中で、本剤を認める有意性は、どこにあるのか教えていただければと思います。

○医薬品医療機器総合機構 一つ目の御質問の類薬との比較に関してですが、有効性については、海外の試験成績を踏まえますと、有効性については既存薬と同程度であると理解しております。ただ、御指摘のように、安全性の、特に傾眠の発現については、高い傾向は確かに臨床試験の中で認められておりますので、その点については、しっかりと注意喚起をする必要があると考えております。

○森田委員 注意喚起というのはどういうことですか。

○医薬品医療機器総合機構 注意喚起は、添付文書での、自動車運転など危険な機械の操作には従事させないという、最も慎重な注意喚起を予定しております。

○森田委員 抗ヒスタミン薬には、どれにでも書いてあるような注意喚起ですが。

○医薬品医療機器総合機構 抗ヒスタミンの眠気の発現の程度については、幾つかグレードがあり、全く書いてないものもあれば、注意することというような、ちょうど中間レベルの注意喚起をしているものもあり、本剤については、自動車運転には従事させないという最も慎重な形の注意喚起を予定しているところです。

 グレープフルーツジュースについてですが、薬物相互作用について臨床薬理試験を実施し、本剤の曝露量が増えることが試験で確認されております。増加の程度を見ても、ある程度注意を要する増え方でもありましたので、併用注意という形で添付文書の中で注意喚起をしております。あと、グレープフルーツジュースの注意喚起については、他剤でも幾つか相互作用について注意喚起している薬剤はあります。以上でよろしいでしょうか。

○森田委員 抗ヒスタミン薬では、そのようなことは今までなかったと思いますが、いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 調べますので、少々お時間を頂いていもよろしいでしょうか。

○清田部会長 この間に、ほかに御意見はありますか。

○舘田委員 教えてください。この薬は、通常のヒスタミンの受容体の阻害以外に、PAFの受容体を阻害することが新しいわけですよね。ここは非常に面白いところですし、それが従来にはない効果があるとともに、従来にない副作用が出てくる可能性もあると、そういう可能性を考えるわけです。

 その中で36ページの、先ほどから出ている傾眠の頻度が高いというのは、まだこれは「ヒスタミンの」という形かと思うのですが、読んでいくと、例えば精神運動機能の低下や視覚に関する認知能の低下、反応潜時の延長みたいなです。それとともに、頻度は低いのですが、失神発作が見られていますよね。これが何となく気になるのは、最近の事例で言うと、例えばテリスロマイシンがありましたよね。あれも審査の段階ではどこまで問題になっていたのかよく分かりませんが、市販後に失神発作で使えなくなってしまったという事例もあると思うのです。例えば、そういうテリスロマイシンにおける失神発作とか、そういうのに比べて、この薬剤は、そういうリスク、傾眠だけではなくて、更に失神発作が自動車運転の何かでいろいろ問題があって使えなくなってしまった、そういう頻度との比較がもしも分かれば教えてもらえますか。

○医薬品医療機器総合機構 1点目のPAF拮抗作用についてですが、非臨床でPAF受容体の拮抗作用があることは認められております。ただ、PAF拮抗作用の有する抗ヒスタミン薬は既に複数製剤であり、本剤が初めてというものではないと理解しています。

 失神発作についてですが、海外で発現しているかもしれません。調べますので、お時間を頂いていもよろしいでしょうか。

○清田部会長 どうしましょう。最初のジュースの件はお答えできますか。ほかの抗ヒスタミン薬でも、このような注意があるのかということですね。

○医薬品医療機器総合機構 グレープフルーツジュースの併用注意については、今、手元にある資料を確認し直した限りでは、注意はありませんでした。

○清田部会長 ないようです。よろしいですか。舘田先生の御質問については、出てきますか。

○舘田委員 もう4、5年になるのですかね。テリスロマイシンが失神発作で駄目になってしまいましたよね。すみません、私はそれを知りませんが、あのときは、こういう会では失神発作は出たのでしょうか。先生も知らない、もしも誰か知っている人がいれば教えてほしいのですが、ここで問題にならないけれども、例えばこれは2例ですが、そういうものが市販後に強く出てくるものなのか。そうすると、この時点でなかなか分からないですよね。だから、いいということなのかと。だから、テリスロマイシンのとき、もしも覚えているものがあれば、それとの比較ができれば参考になるかと思いました。

○医薬品医療機器総合機構 36ページの表36ですが、失神という有害事象については、海外の臨床試験で、本剤10mg群で2例、20mg群で1例と、低い頻度ではありますが報告されております。

 海外の市販後のデータも一応、確認はしているのですが、特に失神発作が問題になっているという状況ではありませんでした。ただ、今後、市販後で使用成績が増えていく中で、そういったシグナルが出てこないかという点については注意深く見ていきたいと考えております。

○清田部会長 これは注意喚起されるわけですよね。

○医薬品医療機器総合機構 添付文書の重大な副作用として痙攣、てんかんについて、注意喚起をしているところです。

○清田部会長 市販後に上がってくるデータを十分注意していただくということになろうかと思いますが、よろしいでしょうか。大丈夫ですか。

○医薬品医療機器総合機構 先ほどの補足ですが、昨年承認された抗ヒスタミン薬の一つで、グレープフルーツジュースとの併用時の曝露量が検討されたものがありますが、特に曝露量が増えたというデータではありませんでした。

○清田部会長 ありました。だそうです。

○森田委員 分かりました

○清田部会長 それでは、よろしいでしょうか。ほかに御意見・御質問はありませんか。

○登美委員 今のグレープフルーツジュースの件ですが、ロラタジンのAUCとしては変わっているけれども、活性代謝物もあるわけで、活性代謝物も含めたときの総合したAUCとしては、薬効への影響は、どうお考えなのですか。

○医薬品医療機器総合機構 未変化体と、活性代謝物であるデスロラタジンを比較しますと、デスロラタジンのほうが薬効は強いことが確認されておりますので、未変化体のほうが多少上がるという程度ではありますが、全体として見ては、それほど大きな影響はないだろうとは想定はしております。

○登美委員 ごめんなさい、きちんと把握していないのですが、CYP3A4がロラタジンからデスロラタジンへの代謝を担っていると。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○登美委員 要するに、未変化体としてのAUCは上がるけれども、活性代謝物も合わせると、薬効にはそこまで影響はないのではないかというお考えということですか。

○医薬品医療機器総合機構 検討されたのは健康成人ですので、実際どの程度の影響かはわからないのですが。

○医薬品医療機器総合機構 抗ヒスタミン活性の強さから言うと、デスロラタジンのほうが強いのですが、未変化体もHブロッカーとしての力は持っていますので、全体としては代謝物と未変化体の総和として薬の効果は発現していると考えていますが、どちらの成分が薬の効果にどのくらい寄与しているのかは、あまりはっきりしていないところがあります。

○登美委員 要するに、AUCの増加に単純に比例しているわけではないというコメントですか。ありがとうございます。

○清田部会長 よろしいですか。

○菊池委員 この治験の中で1,059人に投与されていることは数字で分かったのですが、1218歳の所が、添付文書を見ると119人出ていますが、これは夏休みの宿題の中から探し出せなかったのですが、どうやれば出せますか。それで、1218歳というのは、くくりが大き過ぎて、1215歳と1617歳と、いわゆる小児科領域で扱う年齢のところで、どういったものが出ているかとかいうものの把握はされていますか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘の点は、1218歳までの小児患者の安全性についての情報ということでよろしいでしょうか。

○菊池委員 含めてですが、その119人の日本人の部分集団というか、1218歳が、数で言うと多分そうなるので、そう思うのです。だから、そこの人たちの詳しい部分の、それこそ先程から出ているような失神とか傾眠傾向が強いとか、そういうことがあるのではないかとか、そういう懸念は大丈夫でしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 安全性のデータについては、審査報告書の39ページの表40に、年齢区分別の安全性の概要を記載しております。あと、有効性については、審査報告書41ページの表43に、こちらは全て日本人の症例ですが、年齢区分別の有効性について記載しております。

○医薬品医療機器総合機構 先生が御指摘いただきました1217歳まで、少し幅が広いので、12歳寄りの方と18歳寄りの方で、少し有害事象が違うとか、有効性が異なるのではないかという御趣旨の質問だったと理解をしているのですが、表40に示しますようにこの年齢層が国内では1群当たり40例程度ですので、更に細かく区切った時にはより少数となるためデータの結果解釈が難しくなるというところで、今回は、このような年齢の分け方をさせていただいております。

○菊池委員 添付文書には、119人と940人か、何かになって、足すと1,059人と、ここのプラセボではないものを引くと、そういった数字が出ますが、その辺りはいきなりそちらの添付文書には出ているけれども、今、夏休みの宿題と言ったのは、審査報告書の1と2の所からその数字を持ってきて、1217歳の人の119人はどこにいますかというのは出せますか。合計の人数は、27ページの表18の、例えば最初の0101試験だと、マル1とマル2の所の人数の2分画を足したりしていくと、全部で1,059人というのが出ますが、子供がどこで119人とかいうのは、どこにも出ていないのですがね。それが添付文書にいきなり出ているのです。ですから、審査報告書の中では、そういうのが疑われていて数が捉えられていないのに、添付文書にいきなり出さないでほしいと思うのです。そういう大事な数として出しているのだったら、分かることを審査報告書の中で出して、119人の部分集団についてのことを語らないと、添付文書に勝手に出しているように見えませんか。

○医薬品医療機器総合機構 有効性については試験ごとに記載したのですが、安全性については確かに国内の試験で併合したデータを審査報告書に記載しておりましたので、今後の審査報告書の作成において十分留意していきたいと思います。

○清田部会長 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。説明不足の部分も少しあるようですが、先生、ここら辺でよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 そうしたら、議決に入ります。中野委員においては、利益相反に関する申出に基づいて議決への参加を御遠慮いただくこととします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。

 議題3に移ります。山口委員においては、利益相反に関する申出に基づき、議題3の審議の間、別室で待機をお願いしていただくこととします。よろしくお願いします。

                                ( 山口委員退室)

○清田部会長 議題3について、機構から概要を御説明いただきます。よろしくお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料3、アクテムラ皮下注の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より説明いたします。本剤の有効成分であるトシリズマブ(遺伝子組換え)は、インターロイキン-6受容体に対するヒトIgG1モノクローナル抗体であり、既存治療で効果不十分な関節リウマチに対して承認されております。今般、血管炎症候群のうち、大型血管炎に分類される高安動脈炎及び巨細胞性動脈炎に関する効能・効果で製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。海外において、本剤の巨細胞性動脈炎の効能は、平成29年5月に米国で承認されています。また、本薬は平成26年5月に開催されました当部会で御審議いただき、大型血管炎に係る効能・効果で希少疾病用医薬品に指定されております。本申請の専門委員として資料14に記載されている5名の委員を指名いたしました。

 主な審査内容について臨床試験成績を中心に簡単に説明いたします。有効性について、審査報告書8ページの表5及び図1を御覧ください。これらは高安動脈炎患者を対象にした国内第III相試験における有効性の成績を示しています。図1のとおり、主要評価項目である高安動脈炎の再発までの期間について、本剤群がプラセボ群を上回る傾向が認められました。ただし、表5の上から3段目に示すとおり、プラセボ群と本剤群との対比較において、統計学的に有意な差は認められませんでした。

15 ページを御覧ください。表12に示す「再発イベントを定義した複数の評価項目」、表13の「経口ステロイド剤の減量効果」でも、国内試験において本剤群が、プラセボ群を上回る傾向が認められました。

 次に、審査報告書の10ページの表8を御覧ください。こちらは、高安動脈炎と病変の病理組織学的所見に大きな相違はなく、同一範疇の疾患である巨細胞性動脈炎患者を対象とした海外第III相試験における有効性の成績を示しています。上から2段目及び3段目を御覧ください。主要評価項目である52週後の寛解維持割合について、プラセボに対して本剤1週間隔投与及び2週間隔投与の優越性が検証されています。これらの成績から、本剤の高安動脈炎及び巨細胞性動脈炎に対する有効性は示されたと判断いたしました。

 安全性について、審査報告書19ページの表16及び20ページの表17を御覧ください。これらの表は、国内及び海外の臨床試験において認められた有害事象の発現状況を示しています。高安動脈炎患者及び巨細胞性動脈炎患者において、関節リウマチ患者での安全プロファイルと比較して新たな懸念は認められておらず、関節リウマチと同様の注意喚起を実施することで、本剤のリスクは管理可能と判断いたしました。また、高安動脈炎及び巨細胞性動脈炎では、感染症の発現リスクが考えられる中~高用量の経口ステロイド剤に上乗せして本剤が使用されることも踏まえ、本剤に関する十分な知識と高安動脈炎又は巨細胞性動脈炎治療の知識・経験を有する医師のもとで使用する等の安全対策が必要と考えております。

 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請に係る効能・効果で希少疾病用医薬品に指定されていることから、本申請に係る効能又は効果並びにその用法及び用量の再審査期間は10年と判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。よろしく御審議のほどお願いいたします。

○清田部会長 委員の先生方からの御質問、御意見がありましたら伺います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。非常に少ない症例のデータが入っておりますが、よろしいでしょうか。ありがとうございました。御質問、御意見がございませんので、議決に入ります。なお、舘田委員、中野委員、山本委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。私も同様です。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。では、別室で待機されている山口委員をお呼びください。

 議題4に移ります。機構からの御説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 審議事項の議題4及び報告事項の議題3について、機構より説明いたします。まず、審議事項の議題4、資料4、医薬品イブランスカプセル25mg他の製造販売承認の可否等について説明いたします。本剤の有効成分であるパルボシクリブは、サイクリン依存性キナーゼ4及び6(以下、CDK4/6と略す)とサイクリンDの複合体の活性を阻害し、Rbタンパクのリン酸化を阻害することにより、細胞周期の進行を停止し、腫瘍増殖を抑制すると考えられています。今般、本剤は「手術不能又は再発乳癌」を効能・効果として承認申請されました。平成29年4月時点において、本剤は乳癌に係る効能・効果にて、33の国又は地域で承認されております。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料14にあるとおり8名の委員です。以下、臨床試験成績を中心に、審査の概略を説明いたします。

 今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、ホルモン受容体陽性かつヒト上皮増殖因子受容体2型(以下、HER2と略す)、HER2陰性の手術不能又は再発閉経後乳癌患者を対象とした二つの国際共同第III相試験、すなわちPALOMA-2試験と呼ばれるA5481008試験及びPALOMA-3試験と呼ばれるA5481023試験が提出されました。

 有効性については、審査報告書の47ページの上から8行目以降、54ページの上から1行目以降及び82ページの上から13行目以降を御覧ください。先ほど述べた患者のうち、内分泌療法歴のない患者を対象としたPALOMA-2試験では、主要評価項目とされた無増悪生存期間(以下、PFSと略す)について、プラセボとレトロゾールの併用投与群と比較して、本剤とレトロゾールの併用投与群の優越性が示されました。また、審査報告書48ページの下から2行目以降、54ページの上から1行目以降及び、82ページの上から13行目以降を御覧ください。内分泌療法に抵抗性の患者を対象としたPALOMA-3試験では、PALOMA-2試験と同様に主要評価項目とされたPFSについて、プラセボとフルベストラントとの併用投与群と比較して、本剤とフルベストラントの併用投与群の優越性が示されました。以上のPALOMA-2試験及びPALOMA-3試験の成績により、本剤の有効性は示されたと判断いたしました。

 安全性については、審査報告書の57ページの下から11行目以降及び82ページの下から1行目以降を御覧ください。本剤の使用時において注意すべき有害事象として、骨髄抑制及び間質性肺疾患が認められております。これらの有害事象については、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には使用成績調査の実施が必要であると判断しております。

 以上のような審査の結果、機構は「手術不能又は再発乳癌」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。

 なお、報告事項の議題3、資料8、フェソロデックス筋注250mgについては、アストラゼネカ株式会社から、本剤との併用で使用される薬剤として、効能・効果及び用法・用量を変更する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。機構における審査の結果、当該品目についても承認して差し支えないと判断しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○清田部会長 委員の先生方から御質問、御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。

○菊池委員 この薬と一般名のフルベストラント、フェソロデックスを一緒に使ったことを検討しているわけですから、それぞれの添付文書に「それと併用しなさい」と書かないでいるのは、明確には書いていないですよね。

○医薬品医療機器総合機構 まず、フェソロデックスですが、用法・用量において「なお、閉経前乳癌に対しては、LH-RHアゴニスト投与下でCDK4/6阻害剤を併用すること」との記載にさせていただきました。

○菊池委員 この二つは他社製品同士ですが、完璧にこれを基にしてやっているわけですから、間違いなくそれを使いなさいと書いたほうが安全ではないかという気持ちで聞いていますが。

○医薬品医療機器総合機構 その内容を用法・用量で書いたつもりです。

○菊池委員 だけど、薬の名前は書いていないのですが、その辺はいかがなのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 薬剤名を書いていないのは間違いありません。今後も同じような作用機序を有する薬剤が開発されることも想定されており、そういった点も考慮して、今回フェソロデックスの用法・用量については「CDK4/6阻害剤を併用すること」というような記載にしております。

○菊池委員 そういう流れなら仕方がないというか、そのように思いますが、この試験は間違いなく、この二つの薬剤を使っているわけで、それに基づいた結果で申請しているわけですから、それぞれの中で総合的に、知っている人は知っているでしょうけれども、そういった辺りを明確にしたほうがいいのではないかと思ったのですが、会社も違いますから話しづらいとは思いますが、そこら辺はどうなのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 明確に記載したほうがいいのではないかという意見は当然あると考えておりました。一方で、抗がん剤の場合はいろいろな薬剤との併用が開発されることが想定されています。今回のイブランスに関しても、第III相試験が2本、1本はレトロゾール、もう1本はフェソロデックスとの併用と、複数の薬剤での併用の試験が提出されてきています。そういった場合には、従来から薬剤名を具体的には書かない用法・用量の設定で対応させていただいており、もちろん、先生のような御意見もあるとは考えてはおりましたが、今回の審査では複数の第III相試験が出てきたことも踏まえ、薬剤名を具体的には書かない提案をさせていただいております。

○菊池委員 分かりました。

○清田部会長 今後のことも考えてという御判断でよろしいかと思います。ほかに御意見はございますか。

○奥田部会長代理 リスク管理計画の中で、MID-NETを使った安全性監視活動を行っていく予定ということを書かれていて、これを見たのは初めてかと思っています。一方で、使用成績調査の骨子が書かれていなくて、どういう調査の予定なのかは明らかにしていただく必要があると思い、ここでの審議が必要かなと思いました。説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 現在、調査計画に関して詰めを行っているところで、MID-NETの利用可能性を踏まえた上で、例えば同じ有害事象を見るために二つの調査をやることに意義があるのかといったようなことも踏まえて、引き続き検討させていただきたいと思っています。

○奥田部会長代理 特に、内容について具体的に個々で審議しなくても、承認は可能なものだという理解でよろしいのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 報告書に記載させていただいたとおり、安全性の検討事項としてはこういったものは必ず確認するという形で御提示させていただいており、従前の製造販売後調査でもそういった点を部会で御提示させていただき、より詳細な詰めは、部会後に引き続き企業と検討させていただいておりますので、今までと大きな変わりはないと考えています。

○清田部会長 ほかにございますか。ございませんようでしたら、議決に入ります。舘田委員、山本委員におかれては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。

 議題5に移ります。議題5及び報告事項の議題1について、機構から概要を御説明ください。

○医薬品医療機器総合機構 審議事項の議題5と報告事項の議題1について、機構より説明いたします。順番が逆になりますが、まず、報告事項の議題1、医薬品インフリキシマブBS点滴静注用100mg「日医工」及び同「あゆみ」の製造販売承認について報告いたします。資料5と資料6の印が入った資料を御覧ください。本剤は、抗TNFαモノクローナル抗体であるインフリキシマブ(遺伝子組換え)[インフリキシマブ後続2]を有効成分とする製剤であり、日医工株式会社及びヤクハン製薬株式会社により、レミケードを先行バイオ医薬品とするバイオ後続品として製造販売承認申請がなされました。

 機構における審査の結果、本剤とレミケードの同等性/同質性が認められ、バイオ後続品に関する指針に基づき、本剤はレミケードのバイオ後続品に該当すると判断いたしました。したがって、レミケードの有する効能・効果のうち、承認申請時に再審査期間が満了していた「関節リウマチ」「乾癬」「クローン病」及び「潰瘍性大腸炎」の申請効能・効果で承認して差し支えないと判断いたしました。

 なお、本剤の審査報告書に関して、事前に川崎委員より審査報告書の9ページのADCC活性の内容について、二つ質問を頂いております。審査報告書9ページの2.R.1項を御覧ください。特に中頃の「ADCC活性について」と書いてある部分を御覧いただければと思います。

 まず、頂いた質問の背景を説明いたします。抗体のADCC活性ですが、それはNK細胞などの細胞表面のFcγRIIIレセプターと、抗体の結合を介して誘導されます。このFcγIIIレセプターと抗体の結合には、これまで多くの研究がされており、糖鎖構造が深く関わっていることが知られています。本品目では、糖鎖構造に先行バイオ医薬品と異なる部分があったことから、ADCC活性の差異については慎重に確認されております。

 審査報告書の9ページに記載したとおり、申請者は二つの試験系を用いて、本剤と先行バイオ医薬品を比較しています。一つ目が9ページに書かれている、FcγRIIIレセプターを強制発現させたNK細胞株をエフェクター細胞に用いた試験系です。二つ目は、ヒト末梢血単核細胞(以下、PBMCと呼ぶ)由来のNK細胞をエフェクター細胞に用いた試験系になります。

 一つ目の試験系では、本剤と先行バイオ医薬品では、ADCC活性に違いが認められたのですが、二つ目のヒトPBMC由来のNK細胞をエフェクター細胞に用いた場合には、本剤と先行バイオ医薬品とで同様の結果が得られていることから、機構としては認められた糖鎖構造の差異に起因すると考えられるNK細胞株におけるADCC活性の差異はヒトにおける臨床使用上の有効性及び安全性において意義のあるものとはいえないと判断しております。

 これに関して川崎委員より、二つの質問を頂いており、一つ目の質問として、「この試験結果の差は分析法の能力の差ではないか」というもので、二つ目は「ヒトPBMC由来細胞を用いれば臨床使用に近い結果が得られるという根拠は示されていないのではないか。また、ヒトPBMC由来細胞を用いた試験で同様な結果だったから、有効性及び安全性に差異はないというのではなく、臨床試験の結果から、本剤と先行バイオ医薬品で認められた糖鎖プロファイルの差異は、有効性及び安全性において意義のある差異とは言えない。したがって、本剤と先行バイオ医薬品は同等、同質で考えるのがよいのではないか」という質問を頂いています。

 この二つの質問について併せてお答えします。まず、試験法に関してですが、審査の過程でいずれの試験系についても、特異性、用量反応性、再現性等の観点から、分析能が確認されています。したがって、各試験はADCC活性を比較する上で適切に確立された試験系であったと考えております。

 二つの試験系の比較の観点から、2点目の質問である「ヒトPBMC由来細胞を用いれば臨床使用に近い結果が得られるという根拠も示されていないのでは」という内容にも関連するのですが、FcγRIIIaレセプターを強制発現したNK細胞株を用いた一つ目の試験系というのは、ADCC活性の検出感度が高い一方で、FcγRIIIaレセプターを強制発現させたartificialな条件とも言えます。一方、二つ目の試験系である、ヒトPBMCから単離したNK細胞を用いた試験系では、体内で作用すると考えられる細胞を用いた自然な状態に近い条件で当該試験系での結果は、より生体内を反映していると考え、先ほど述べたとおり、ヒトPBMC由来のNK細胞を用いた試験で同様な結果が得られたというところで、糖鎖構造の差異に起因すると考えられるNK細胞株におけるADCC活性の差異は、ヒトにおける臨床上の有効性及び安全性においても意義のある差異とまではいえないと判断しております。

 続いて、審議事項の議題5、医薬品インフリキシマブBS点滴静注用100mg「日医工」及び同「あゆみ」の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について、御説明いたします。本剤は、チャイニーズハムスター由来の細胞を用いて製造されることから、「生物由来製品」とすることが適当と考えております。また、先行バイオ医薬品のレミケードは、原体・製剤ともに「劇薬」に指定されていることから、レミケードと同等/同質である本剤についても、原体・製剤ともに「劇薬」とすることが適当と考えております。

 本剤の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○清田部会長 川崎先生、いかがでしょうか。

○川崎委員 御説明ありがとうございました。御説明いただいたことは理解できました。本品目は審議事項ではなく報告事項のためデータが提出されておらず、本当に品質上の類似性を確認できたのかどうか、審査報告書の内容から判断するしかなかったので、お聞きしました。

 審査報告書の内容と今の御説明から、品質面で、糖鎖と、測定系によっては生物活性に差があったようですので、品質で類似性があったからという結論を無理に付けなくても、非臨床や臨床試験の結果も加味して総合的に同等/同質と判断されたということなのではないかと感じました。

○清田部会長 ほかの委員から御意見、御質問はございますか。

○菊池委員 これは事務取扱いのような形で、資料5と資料6は同じ薬ですが、資料がまとまってできているというのはあまりなかったような気がして、これが「日医工」と、どこかがやっていたとか、その後から「あゆみ」に変わっていて、製薬会社が変わったのかもしれませんが、こういう資料が合体していたのは私が委員になってからはなかったような気がしますが、こういうものの取扱いはどうなっているのでしょうか。

 それで、後続品の2というのは、後続品の第一世代があって第二世代があるから、2ということでよろしいのでしょうか。申請の順番でなっているのでしょうか、その辺を教えていただけますか。

○医薬品医療機器総合機構 まず資料構成に関しては、資料5と資料6で、審議事項の議題5として資料5、報告事項の議題1として資料6として、同じ資料になっていますので、同じ資料として使用しております。

後続1、後続2については、2番目に承認予定のものであることから、インフリキシマブ後続2となっています。これについては、バイオ後続品の一般名の名称ルールがあり、順に、インフリキシマブ後続1、後続2というような形で、原則、一般名の最後に付されることになっています。

○菊池委員 ほかのものにも「後続1」と付いていましたか。

○医薬品医療機器総合機構 付いています。

○菊池委員 資料5と資料6が一緒になっている説明が、一緒に出してきているから一緒にしなさいと言ったのか、前も私はインフルエンザのときか何かに「まとめてやってしまったほうがいい」ということも言ったことがあると思うのですが、この2剤が言ってきていて、これがたまたま一緒になったのかが、何となく。

○事務局 事務局から補足説明させていただきます。資料5、資料6については、資料5が「日医工」、資料6が「あゆみ」というわけではなくて、資料5が、審議事項である生物由来製品の指定の要否に関する資料で、資料6が、「日医工」と「あゆみ」のインフリキシマブBS点滴静注用の二つの品目の審査に係るものとなっております。

○菊池委員 分かりました。

○清田部会長 ほかに御意見はございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。そうしましたら議決に入ります。舘田委員、中野委員、山本委員におかれては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題について、生物由来製品及び劇薬の指定を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告させていただきます。

 それでは、報告事項に移ります。機構からよろしくお願いいたします。

○事務局 それでは事務局より報告事項について御説明いたします。議題1及び3は、先ほど審議事項とともに御説明をしておりますので、議題2から順番にまとめて御説明いたします。まず資料7です。報告事項議題2、医薬品アブラキサン点滴静注用100mgの製造販売承認事項一部変更承認について御説明します。本剤はパクリタキセルを有効成分とし、ヒト血清アルブミンを添加物として含有する抗悪性腫瘍剤であり、現在は乳癌、胃癌、非小細胞肺癌及び治癒切除不能な膵癌を効能・効果として承認されております。今般、大鵬薬品工業株式会社から胃癌に対する1週間間隔投与に係る用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差支えないと判断いたしました。

 続いて報告事項議題4、医療用医薬品の再審査結果について報告いたします。資料は9-1~9-3で、これらは各製剤の医薬品再審査確認等結果通知書となっておりますので、まとめて報告いたします。資料9-1は、一般的名称はシクロスポリン、販売名はネオーラル内用液10%、同10mgカプセル、同25mgカプセル及び同50mgカプセルのもの。資料9-2は、一般的名称はブテソニド、販売名はパルミコート100μgタービュヘイラー112吸入、同200μgタービュヘイラー56吸入及び同200μgタービュヘイラー112吸入のもの。資料9-3は、一般的名称はシタフロキサシン水和物、販売名はグレースビット錠50mg及び同細粒10%のものとなっております。これらの品目について製造販売後の使用成績調査、特定使用成績に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品医療機器等の品質有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、即ち効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はないカテゴリー1と判定したものです。

○事務局 続いて報告事項議題5、資料10「優先審査指定品目の審査結果について」事務局より御説明いたします。優先審査の取扱いについては、資料の2ページに概要を示しております。この制度は医薬品医療機器等法第14条第7項の規定に基づき、希少疾病用医薬品やその他の医療上特に必要性が高いと認められる品目を指定し、他の品目に優先して審査を行うものです。その指定に当たっては適応疾病の重篤性と医療上の有用性とを総合的に評価して判断されます。

 資料の1ページ、今回の対象品目は、販売名が「キイトルーダ点滴静注20mg及び同点滴静注100mg」一般名が「ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)」申請者はMSD株式会社です。今般、「局所進行性又は転移性の尿路上皮癌」に係る効能・効果で承認申請がなされています。事前に取りまとめられた機構の報告書に基づき、当該薬剤の優先審査の該当性について御説明いたします。7ページです。()適応疾病の重篤性について、当該疾患は生命に重大な影響のある致死的な疾患に該当すると判断されています。

 次に()医療上の有用性については、現時点において局所進行性または転移性の尿路上皮癌に対して使用可能な薬剤として、シスプラチン、ゲムシタビン塩酸塩、メトトレキサート、ビンブラスチン硫酸塩、ドキソルビシン塩酸塩等が承認されており、局所進行性又は転移性の尿路上皮癌に対する既存の治療法は存在すると判断されています。本剤については、白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法による治療歴がある局所進行性または転移性の尿路上皮がん患者を対象に、治験担当医師により選択された化学療法と有効性及び安全性を比較することを目的とした非盲検無作為化国際共同第III相試験が実施された結果、主要評価項目の一つとされた全生存期間の中央値は、本剤群が10.3か月、化学療法群は7.4か月であり、本剤群で有意に延長しました。

 また安全性については、現時点で得られている情報を踏まえると認容可能と考えられることから、本剤は有効性、安全性、肉体的、精神的な患者の負担の観点から、医療上の有用性が既存の治療法、予防法もしくは診断法より優れていることに該当すると判断されています。以上を踏まえ、当該薬剤は優先審査品目に該当すると判断いたしました。なお、当該薬剤の承認の可否については、今後、機構での審査を経た後に、改めてこの部会で御議論いただく予定です。

 続いて報告事項議題6、医療用医薬品の承認条件について事務局より御説明いたします。まず、資料11-1です。「アフィニトール錠2.5mg、同錠5mg」に係る承認条件の評価報告書です。2ページ目、エベロリムスを有効成分とする医薬品アフィニトール錠5mgは平成2312月に膵神経内分泌腫瘍の効能・効果で承認されており、その際に3ページの中ほどに示している承認条件が付されております。この度、ノバルティスファーマ株式会社から全例調査に係る報告書が提出され、機構において評価されましたので御報告いたします。

 資料4ページ()製造販売後調査の結果です。本調査は、平成231222日から開始され、平成28年9月30日までに調査票が回収・固定された319例の情報を基に調査結果がまとめられました。

 4ページの下段2)安全性です。安全性解析対象例314例のうち、副作用は280(89.2)で報告され、うち重篤な副作用は158(50.3)に認められました。また死亡例は本剤と因果関係が否定できない死亡として9(2.9)が報告されました。重点調査項目に係る副作用の発現状況については、6ページの表に示すとおりです。承認審査で検討された国際共同第III相試験(2324試験)と比較して、本調査での発現率は同程度、又は低い結果となっておりました。したがって、添付文書上で更なる注意喚起は不要とされています。

 7ページ、3)有効性です。本調査での奏効率は15.9%でした。先ほどの2324試験で奏効率が4.8%であったことから、本調査において本剤の有効性を否定する結果は得られておりません。機構において本調査で収集された安全性、有効性に関する情報を確認した結果、現時点で膵内分泌腫瘍患者を対象とした更なる製造販売後調査等の実施は必要ないと判断されております。

 以上を踏まえて、製造販売後調査が適切に実施され、安全性等に係る情報が収集されていることから、承認条件のうち「膵神経内分泌腫瘍については、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の有効性及び安全性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること」は対応されたものと判断しております。

○事務局 続きましてリウマトレックスカプセル2mg等7品目の承認条件に基づく製造販売後調査の結果について御報告いたします。資料11-2です。リウマトレックスカプセル2mg、メトレート錠2mg、メトトレキサートカプセル2mg「サワイ」、メトトレキサートカプセル2mg「SN」、メトトレキサート錠2mg「タナベ」、メトトレキサートカプセル2mg「トーワ」及び、メトトレキサートカプセル2mg「サンド」、以下「本剤」とさせていたたきます。資料11-2は、これらの製剤に関する承認条件に係る評価報告書となっております。評価報告書1ページです。メトトレキサートを有効成分とする本剤は、平成23年2月に関節リウマチに係る効能・効果及び用法・用量の一部変更承認がされており、その際、2ページの上段に示している承認条件が付されております。この度、1ページに示されているファイザー株式会社ほか6社から承認条件に係る報告書が提出され、機構において評価がされましたので、その結果を御報告いたします。

 2ページ目下段、()製造販売後調査の結果の概要です。調査A及び調査Bは、平成23年5月から開始され、平成2510月までに24週間投与(3,305)52週間投与(418)の情報を基に調査結果がまとめられました。

 3ページ、2)の安全性を御覧ください。副作用は、24週投与例では704(21.3)52週投与例では148(35.4)に認められました。また死亡例は本剤との因果関係が否定できない死亡として1例が報告されました。本調査に係る副作用発現状況については、5ページ上段の表のとおりであり、52週投与例では、24週投与例に比べて副作用発現割合が高い傾向が認められたものの、長期投与時特異的に発現する副作用は認められませんでした。また患者背景、評価方法、観察期間等が異なる初回承認時の臨床試験の副作用の発現割合は、35.7%であり、本調査における副作用の発現割合は、これを上回るものではありませんでした。重点調査項目については6ページの表です。本剤8mg/週を上限とした用法・用量における製造販売後調査に比べ、重点調査項目に設定された副作用の発現割合の著しい増加や死亡に至る重篤症例の発現が増加する傾向は認められておらず、本剤の添付文書では、「警告」及び「用法・用量に関連する使用上の注意」の項において、高用量投与時の感染症、肺障害、血液障害、肝機能障害等の副作用の発現に関して注意喚起を行っていることから、追加の注意喚起の必要性はないと判断されております。

 7ページ、3)有効性です。本調査において、関節リウマチの疾患活動性評価指標は、投与開始4週後から経時的に低下し、投与24週以降も、52週まで経時的な低下が認められたことから、本調査において本剤の有効性を否定する結果は得られておりません。機構において、現時点で新たな対応が必要な特段の問題はないと判断されております。また本調査終了後も緊急時に十分に措置できる医療施設及び本剤について十分な知識とリウマチ治療の経験を持つ医師により使用されるよう、引続き医療機関に対して適正使用のための情報提供を行う必要があると指摘されております。

 以上を踏まえ、本剤の安全性及び有効性について現時点で適正使用に必要な新たな措置を講じる必要のある問題はないと判断し、承認条件である「本剤の高用量の投与により、重篤な骨髄抑制等の発現頻度が増加するおそれがあることから、適切かつ十分な調査を実施し、規制当局に報告すること」は対応されたものと判断しております。

 続いて、報告事項議題7、希少疾病用医薬品の指定の取消について御説明いたします。資料12の1枚紙です。届出者はMSD株式会社、医薬品の名称は硫酸インジナビルエタノール付加物です。本剤は、平成8年4月1日、後天性免疫不全症候群、並びに治療前のCD4リンパ球数が1立方mm500以下の症候性及び無症候性HIV感染症を予定される効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定されました。製造販売を中止する理由は、届出者は本剤のHIV治療における有用性は平成8年に希少疾病用医薬品として指定された当時に比べて低下し、需要減少が顕著である。また本剤の供給停止の主な理由は需要減少のためであるが、海外においても本剤の顕著な需要減少を踏まえて、世界的に製造中止を検討しており、現時点では平成30年に製造を中止し、平成31年までに全ての市場において供給を停止する予定であり、将来的な供給停止が近づいている状況で本剤の製造販売中止を検討している旨を説明しております。よって本剤の本予定効能・効果に係る希少疾病用医薬品の指定を取り消すことといたしました。報告事項に関する事務局からの説明は以上でございます。

○清田部会長 委員の先生方から御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。

○奥田部長代理 資料7のアブラキサン投与方法のD法追加に関する試験の内容ですが、この非劣性試験での有効性に関する確認をしているという、そこでオーバーオールサバイバルを主要評価項目とされているのですが、非劣性試験で主要評価項目をオーバーオールサバイバルに設定すること自体が、私は別に臨床とか、そういう専門でもないのですが、妥当なのでしょうか。というのは疑問として、1か月当たりの投与密度は、D法のほうが従来のA法に比べて低くなるので、潜在的には有効性が十分確保できるのかなという疑問があると思うのです。そこをこの有効性に関する非劣性試験で確認されているのだと思うのですが、抗がん剤の場合はPFSを主要評価項目にされる場合が多いと思うのです。新薬の場合はそれよりOSを評価項目にすることが、より望まれると思うのですが、今回の非劣性デザインで従来法と比べて劣らないということを証明するために、OS試験では後治療の影響などいろいろ出てくるので、本来、曖昧になる要素が大きいのかなと。そうするとPFSに関しての評価をするべきではないかという疑問を持ったので質問しました。

○清田部会長 いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えします。審査報告書6ページに、7...2「有効性の評価項目及び評価結果について」という項があります。こちらが機構の考察した内容です。通常の抗がん剤の考えと同様ですが、この度の臨床試験の対象患者に対しても延命を期待して化学療法は施行されるものと考えております。先生が御指摘の点の後治療の影響などは理解はしておりますが、あくまでも延命を期待して実施されるということを考えると、主要評価項目としてOSを設定して実施することは適切と考えております。

○奥田部長代理 御説明ありがとうございます。やはり対照群と比較して、この投与方法が優れていることを証明するのであれば、OSはとても大事だと思いますが、この場合、PFSの評価は必要ないのですか。それは解析されていないのですか。

○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えします。PFSや奏効率といった指標についても結果は得られており、各投与群で同程度の結果であることを確認しております。ただ、事前の計画で主要評価項目はOSとなっており、それは主要評価項目として適切と考えておりますし、結果について受け入れられると考えております。

○奥田部長代理 分かりました。

○清田部会長 よろしいでしょうか。ほかにどなたか御質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは報告事項について御確認いただけたものといたします。事務局から報告はございますか。

○事務局 次回の部会は9月8日()午前9時半から開催です。どうぞよろしくお願いいたします。

○清田部会長 お疲れさまでした。それでは本日は、これで終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。

 


(了)

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 課長補佐 荒木(内線2746)

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