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2017年3月30日 第121回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

○日時

平成29年3月30日(木) 16:00~18:00


○場所

中央合同庁舎第5号館厚生労働省省議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議事

○阿部分科会長 定刻になりましたので、ただいまから「第121回労働政策審議会職業安定分科会」を開催いたします。本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の橋本委員、使用者代表の河本委員、鈴江委員、吉岡委員が御欠席です。なお、河本委員の代理として全日本空輸株式会社の秋田様が御出席されております。なお、深澤委員におかれましては、所用のため途中退席となっておりますので、あらかじめ御承知おきください。

 それでは議事に入ります。最初の議題は「雇用保険法施行規則及び建設労働者の雇用の改善等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案について(諮問)」です。本件については328日付けで、厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛に諮問を受けております。それでは事務局から御説明ください。

○総務課長 総務課長の奈尾です。よろしくお願いいたします。資料はNo.1-11-3まであります。まず資料No.1-1ですが、省令の要綱があります。次のページに28日付けの「貴会の意見を求める」という文章が付いております。主に資料No.1-2、次に30ページほどの参考資料が付いております。この2つを対比しながら説明していきたいと思います。資料No.1-3については整理表ですので予算額等書いてあります。後ほど御覧いただければ幸いです。

 資料No.1-2ですが、今回の概要が書いております。今回、12ほど助成金を見直しておりますが、個別の助成金の中身に入る前に全体の考え方を説明いたします。今回、助成金については、かなり大規模な再編を行ったところです。これまで数年に1回程度、雇用保険二事業の助成金については整理、統合等行ってきているわけですが、今回の特色としては、まず1つが、生産性の向上という視点を入れるということです。

 色刷りの横書きのポンチ絵集ですが、参考資料の31ページに「労働関係助成金における生産性の判定について」という概要図が付いております。今回、生産性要件については、上の青い囲みのところですが、例えば生産性が3年で6%以上増加しているといった要件に該当する場合に、現行よりも原則20%程度助成率を上昇させる。逆に生産性を満たしていない所については原資を確保するという観点で、5%程度減少させるといった、いわゆるめりはり付けをしているところです。この辺りは昨年の補正予算の御議論の中で本分科会においても御紹介しております。

 それからもう1つが、助成金につきましては、現在も階層が最大4段階とかなりあり、何とか助成金の中に更に何とか助成金があって、その中に何とかコースがあるなど、階層が若干複雑になっております。これを今後は、何とか助成金の下にAコース、Bコースという、原則2段階に再編します。これにより、分かりやすい助成金の制度としたいということです。

 助成金について目的別、種類別に見直すということで、今の話と関連しますが、例えば就職困難な方の雇入れについては、特定求職者雇用開発助成金として、その中でメニュー化していくことで、この辺も事業主にとって使いやすいものにしたいということです。この結果、現在、助成金は36助成金、72コースありますが、平成29年度は17助成金、62コースになっております。

 これを前提にして、以下、個別の助成金について説明します。資料1-21ページを御覧ください。労働移動支援助成金です。それから横書きの色刷りの参考資料については1ページを御覧ください。同じく労働移動支援助成金です。色刷りのほうには、赤でABCDEと書いたものがあり、まず、左側の赤の再就職支援コース、送り出し側です。これについては縦書きの1ページの一番下に書いてありますが、送り出した場合の休暇付与の支援、これは現在でもあるわけですが、休暇付与した方が、1か月以内に再就職を実現した場合に、110万円上乗せというものを新規で拡充します。

 それから、色刷りのほうの右側ですが、BCのところで受入れ側の話が書いております。これについては縦書きの資料の3ページの上のほうのマル2にありますが、受入人材育成支援奨励金の見直しということで、3ページの上の表に、現行と見直し後が対比されております。何が変わったかというと、見直し後の支給額の一番右の欄に、「優遇助成(採用一年後に賃金をアップした場合)」とあり、ここは新規部分です。

 優遇助成とは、成長企業から成長企業に移動した場合ですが、その場合、更に採用1年後に賃金アップした場合に一定の上乗せをするというものが、色刷りのほうのBCの内容です。

 それから、下のDEですが、Dについては縦書きの4ページのマル32つ目の○です。これも今の話と同じですが、雇入れの1年後に賃金を上昇させた場合に、助成率を割増しするというものです。

 最後に一番下にあるEの中途採用拡大コースですが、縦書きのほうでいうと5ページのマル4です。これは新設ですが、中途採用拡大コースということで、これまでに中途採用率が一定程度低い場合の企業への助成です。初めて45歳以上の方を中途採用した場合や、あるいは中途採用割合を引き上げた場合、具体的に20%以上等の要件がありますが、引き上げた場合に50万円又は60万円の助成を新設するというものです。以上が労働移動支援助成金です。

 次に、色刷りのほうの4ページを御覧ください。高齢者関係、65歳超雇用推進助成金です。13まであり、まず、165歳超継続雇用促進コースですが、中身は65歳以上への定年引上げや定年の定めの廃止等を行った場合に助成するものです。これは既にあり、4ページの1番の下の3行に現行の額が書いてあります。現行は定年引上げ等のメニューに応じて、60万円から120万円までの4段階の支給額になっているわけですが、今後は1番の囲みのオレンジに色付けした表がありますが、措置内容に応じて何歳引き上げたか、それから被保険者数に応じて、もう少しきめ細かく表を設定すると、最大145万円ということで、よりきめ細かく対応を行っていきたいということです。

 色刷り4ページの2番、3番は現行のメニューにもありますが、この辺りは生産性を多く満たした場合の助成の拡充ということです。以上が高齢者関係です。

 次に縦書きの7ページ、横書きの色刷りでは5ページ以降になりますが、特定求職者雇用開発助成金です。これも多岐にわたりますが、新設したものを中心に主なものを説明します。色刷りのほうの5ページから12ページまでが特定求職者雇用開発助成金のメニューです。このうち名称変更やコースの再編に当たるものは省略しますが、横書きのほうの11ページを御覧ください。縦書きでは7ページの下半分ですが、書いている内容は同じです。

 横書きの11ページで説明します。長期不安定雇用者雇用開発コースというものを新設します。これは就職氷河期世代対策ということで、真ん中の囲みに書いておりますが、長期にわたって不安定雇用を繰り返してきた方、具体的には、35歳以上60歳未満の方が直近10年間に5回以上離転職を繰り返された方、こういった方に対して正社員として正規雇用された場合に、雇入れから6か月後に30万円、1年後に30万円、合計で60万円等の支給を行うというものです。この辺りは就職氷河期世代対策ということで新規のものです。

 それから、横書きの12ページを御覧ください。特定求職者雇用開発助成金の三年以内既卒者等採用定着コース、これは改正です。一番下の表の支給額については変わりませんが、支給対象、支給上限は変わります。下の囲みの中のマル2ですが、支給対象事業主として、今後は新規求人の申込募集を行っていて、初めて新卒扱いを採用できた場合、これまでと違い、今までもずっと採用をしようとしていたのですが採用できなかった場合が対象になるというものです。マル3ですが、支給上限はこれまで2人だったものを1人に絞るというものです。以上が特定求職者雇用開発助成金です。

 次に、縦書きのほうの9ページを御覧ください。4番、トライアル雇用助成金ですが、これは既存助成金の整理、統合をしたもので、中身に変更はありません。5番の地域雇用開発助成金ですが、これについては横書きの資料16ページを御覧ください。地域雇用開発助成金自体は今までもありますが、この中で改正点は、上の青い囲みの中に対象地域というものがあり、この上から2つ目に特定有人国境離島地域等メニューが加わっております。特定有人国境離島地域とは何かというと、例えば長崎県対馬や北海道利尻、礼文といった離島地域ですが、ここに基づく有人国境離島地域等について、地域雇用開発コースの対象にするというものです。この特定有人国境離島地域等メニューについては、雇用情勢にかかわらず対象にするということです。趣旨は有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法という、9ページに少し長めの名前の法律が書かれておりますが、それが今年41日から施行されることが背景です。

 縦書き9ページの6番ですが、通年雇用助成金については名称の改正のみです。次に7番の人材確保等支援助成金、具体的には職場定着支援助成金の見直しということで書いております。これについては色刷りの19ページを御覧ください。大きく下に緑で囲んでおりますが、14までのメニューがあります。まず全体に共通するものとして、それぞれ赤字で書いておりますが、生産性によって額を変えることが、14の共通の改正点です。

 色刷り19ページの左下の2番、介護福祉機器助成コースがあります。メニュー自体は今もありますが、これについては改正しております。今はどうかというと、縦書きの10ページの下のほうの囲みの上から2つ目の○に「介護福祉機器等助成」があります。現在は介護事業主が介護福祉機器の導入等に要した費用は2分の1を支給すると。導入時は2分の1を支給して、上限300万円、1段階の支給です。

 これを今後どうするか、同じ縦書き10ページの上のほうに戻ってポツの3行目、介護福祉機器の導入の場合に導入費用の25%、今より半分に下げております。上限も150万円で今の半分です。その後、計画期間を作り、計画期間の終了から1年経過後の離職率の目標を作っていただき、その目標が達成した場合に、20%なり35%で上限150万円ですので、上限300万円は変わらないというものですが、支給の仕方を2段階にするという改正です。

 次がキャリアアップ助成金です。色刷りのほうは20ページ、縦書きのほうは11ページを御覧ください。これについては主に色刷りの横書きで説明しますが、20ページの上に、正社員化支援コースがあります。このメニューについては表の右欄に助成額が書いておりますが、マル13、有期→正規、有期→無期、無期→正規という3つになったわけです。これまではどうだったかというと、正社員の中に多様な正社員というものがあり、このメニューが別途あったわけですが、今後は、多様な正社員は全て正規に含むことで3つに再編しました。これが正社員化コースの中身の改正です。

 少し前後しますが、生産性の要件に入れていますので、かなり表が複雑になっています。生産性を満たした場合、全部共通ですが、割増しを行うというものです。人材育成は他分科会にわたるものなので省略します。

20ページの下の処遇改善支援という、これもまた色を付けたものがあります。この中の処遇改善のコースの表の上から4つ目に諸手当制度共通化コースというものがあり、これが新設部分です。この中身については色刷りのほうの次のページ、キャリアアップ助成金の見直し(諸手当制度共通化コースの新設)というものを御覧ください。色刷りの21ページです。諸手当とは21ページの下の囲みにマル1で書いてあるような諸手当、これのいずれかについて、次の囲みのマル2ですが、正規と同じ支給と同額又は同じ算定方法を用いて、有期の方等への支給制度を規定して適用した場合とありますが、一番下に支給額が書いており、28.5万円から48万円を支給することが新設の点です。

 次に、色刷りのほうの22ページを御覧ください。今度は選択的適用拡大導入時処遇改善コースの新設等ということで、上のほうに背景が書いてあります。御案内かと思いますが、今年4月から500人以下の企業でも選択的に社会保険が適用されるということです。これを背景にしてマル122つ、新設、活用で書いてあります。

 まずマル1の選択的適用拡大導入時処遇改善コースですが、これは新設です。趣旨としては社会保険適用ラインが30時間より下がるということで、新たに適用される方が、右側にあるように、例えば週27時間や22時間の方が適用対象になる。そういった方について賃金、特に手取りベースで下がらないようにということで、賃金の引き上げた割合に応じて助成するということです。助成額等については赤字で書いたとおりです。こちらは労働時間が変わらずとも賃金を引き上げた場合に助成するものです。

 それに対して、22ページ下のマル2短時間労働者労働時間延長コースのほうは、1つ目の○、週所定労働時間を5時間以上延長した場合の助成と書いてありますが、5時間未満の延長であっても手取りが減少しない取組をすると、2つ目の○に赤字で書いてある額を支給するというものです。22ページの下のマル12は併給が可能です。以上から社会保険適用拡大にも対応するというものです。

 次に、縦書きのほうの16ページ、横書きのポンチ絵では23ページを御覧ください。色刷りの23ページですが、障害者雇用安定助成金です。この辺りは既存のメニューにあるものと新設のものがあります。既存メニューとしては、色刷りの23ページではマル45といったものがあります。それから色刷り24ページ、これも既存のメニューであったものの再編です。

 どういったものが今後作られるかというと、色刷りの23ページでは、まずマル1の柔軟な休暇取得・時間管理ということで、趣旨としては、例えば病院に通院される場合の休暇を取得しやすくするとか、勤務地の変更、これも通勤時間短縮のためにやりやすくするというものがマル1です。マル23は今ほど説明したキャリアアップ助成金の障害者の方向けのもので、額は通常のキャリアアップ助成金よりもかなり高めの設定になっております。一番右のマル6ですが、社内理解の促進ということで、これは特に精神障害者の方の雇用を念頭に置いておりますが、社内理解、同僚の理解等が非常に重要ということで、助成金以外の取組も合わせたものですが、講習等を実施した場合に、その必要経費に応じて額を支給するということが新設点です。

 次の24ページは、現行と変わらないものですので、省略します。横書きの25ページですが、障害治療と仕事の両立支援制度助成コースというもの、これが新設です。色刷りの上に趣旨が書いておりますが、障害あるいはがん等の継続的な治療が必要となる疾病と仕事の両立ということです。具体的には、25ページの下に書いてありますが、事業概要にも書いてある対象措置、就業規則等を変更して、柔軟な休暇取得や時間管理が可能になるような制度を導入した場合、それを適用すれば10万円支給されるというものです。この25ページについては制度導入の助成であり、先ほど申した色刷り23ページの左側のマル1については、具体的な適用対象者ごとの個別助成ですので、23ページのマル125ページは併給がされるというものです。

 続いて色刷りの26ページです。中小企業障害者多数雇用施設設置等助成金です。これ自体は今もありますが、左下に表があり、要件と支給額が書いております。このうちの表の一番上の段の「5人以上新規雇用かつ10人以上継続雇用」、この欄が新設です。趣旨としては、これまでは新規に10人以上雇用していただかないと出なかったのですが、なかなか一気に10人雇用するというハードルは高いという御指摘もあるものですから、新規雇用は10人以上、今いる方と合わせて10人以上であれば出るようにするという内容です。

 続いて、色刷りの27ページ、縦書きでは20ページです。生涯現役起業支援助成金というものです。色刷りの27ページを御覧ください。中高年齢者の起業の支援の助成ですが、要件が27ページの一番下に3行ほど書いてあります。傍線を付けた部分があり、60歳以上の方を1名以上、40歳以上の方を2名以上、40歳未満の方を3名以上雇用という要件ですが、この人数要件を緩和するというものです。これは実績が乏しいものですから、この辺の要件を緩和して活用を図ろうというものです。

 それから、色刷りの28ページを御覧ください。人事評価改善等助成金、これは新設です。趣旨としては生産性向上を先ほどから申し上げているわけですが、生産性向上のためには賃金制度の確立も必要という御指摘もあり、そういった趣旨も踏まえて、人事評価システムの改善について助成するというものです。中身は28ページ下の、まず左から人事評価システムの改善、具体的には能力評価などの生産性向上に資する人事評価制度を作る。それから賃金制度の整備、年功序列ではない賃金制度を整備していく。ただしこの場合、賃金アップが必須要件です。こういったものの改善について、まず50万円の助成を行う。

 それから右側ですが、1年後に生産性も向上し、賃金アップ、離職率も低下し、達成したことを見た上で、80万円の助成をするということで、これで生産性向上と賃金引上げを図っていただこうというものです。

 次の29ページ、縦書きは21ページを御覧ください。障害者職業能力開発助成金の見直しであり、色刷り29ページの一番左下の2行を御覧ください。この助成金自体は今もあるわけですが、障害者の方に対して能力開発を行う場合の運営や設置などについて助成するわけです。重度障害者の方が就職した場合に10万円を追加支給することが変更点です。

 最後、建設労働者関係ですが、縦書きでは22ページに各種コースに生産性要件を入れるというものがあります。色刷りのほうは30ページで説明しますが、一番上に「建設業 若年・女性労働者向けトライアル雇用の推進」ということで、これは新設です。趣旨は、今まで建設業経験がなかった若年者の方とか、女性の方を対象にトライアル雇用を行った場合に、月4万円を最長3か月支給することで、若年者・女性の入職を図ろうということがまずは新設点です。

 次に30ページの真ん中の段です。「雇用管理制度における若年及び女性の入職促進の強化」で、これは拡充ですが、計画期間3年の入職率改善への助成を新設いたします。一方で、助成対象事業主は中小建設事業主に限らせていただくものです。

 最後ですが、30ページの一番下、「技能実習コース助成率・額の見直し」ということで、これは背景としては昨年の行政事業レビューで、技能向上支援助成については、助成内容をよりきめ細かく設定し直すことで予算額の抑制を図ること等であり、予算に比べて執行がかなり多いという状況も背景にありますが、こういった行政事業レビューの結果を踏まえて、助成率額を見直すというものです。大変雑駁ですが、説明は以上です。よろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは、本件について御質問、御意見がありましたら御発言ください。

○矢木委員 平成29年度、雇用関係の助成金のうち36コースにおいて生産性要件が設定されることが提起されていまして、確認をさせていただきたいと思います。一番初めに御説明いただいた参考資料の最終ページ、31ページに生産性の判定についての概要図をお示しいただいて、御説明いただきました。今回、マル2に記載されている赤い部分、「生産性が3年で1%以上」というのと、「金融機関から一定の事業性評価を得ていること」という所が、新たな要件としてお示しをいただきました。この「一定の事業性評価」というのは、どのような内容なのか、詳細をお伺いしたいとともに、併せて今までマル1というのがあったのに加えてマル2の要件を設定することの、どうしてマル2の要件を設定することとしたかについても、お教えいただきたいと思います。以上です。

○雇用開発企画課長 生産性要件の話で質問を頂きました。この31ページのマル1に掲げられている要件、3年で6%以上増加するという要件がまずあります。これは企業の財務諸表から必要な項目を抜き出して、いわば機械的に計算をして、生産性のアップというものを評価するという要件です。

 マル2でありますが、この3年で6%という要件に満たない場合に、3年で1%の現状ではあるけれども、将来的にこの企業は生産性が伸びるであろうということを評価して、これもまた助成金の割増しの対象にしたいということから、このマル2を設けたわけです。

 このandの下の所に書いてある事業性評価ということですが、これは金融機関のほうで、金融庁のリーダーシップの下で今展開されているものですが、いわば企業の将来性というものを評価するという意味合いです。将来性、成長性を金融機関が評価する。それを事業性評価と呼んでいるわけですが、この事業性評価を金融機関の目利きによって評価を頂き、労働局のほうからその金融機関に照会をして、金融機関のほうがこの企業は将来性があるなと、事業性評価としてよろしいという回答を頂ければ、この3年で1%だったとしても、将来的に生産性が伸びるということを判断して、助成金の割増しをする。そういうことの要件を、このマル2で設けたいという趣旨です。

○矢木委員 それではお願い事ですが、生産性要件が本格的にスタートする2017年度から、しばらくは検証期間としての位置付けが重要だと思います。今後、各助成におきまして、生産性要件が適用された件数など、状況が分かるように本分科会に御報告を頂ければと思います。

○雇用開発企画課長 この生産性要件については、41日から動くということですが、御指摘のとおりどのぐらいの企業がこれに該当するかということについては、着実に把握をして、またこの分科会で報告したいと思います。

 それから、この生産性が伸びるということですが、単純に指標でもって伸びた伸びないということだけを見るのではなくて、労働局のほうでなぜ伸びたのだろうかと。例えば職業能力開発をして、個々の労働者の能力アップを図るということで、生産性の向上を図るということもあるでしょうし、省力化のためのIT機器を導入することによって、単純労働から付加価値の高い労働のほうに移動して、生産性を上げるということもあるでしょうし、いろいろなやり方があるだろうと。そういうものを検証して、把握して、この中身をブラッシュアップしていくということを考えていきたいと思っています。

 それから、先ほど申し遅れましたが、マル23年で1%という要件ですが、現在、ちょうど金融庁と協議をしておりまして、金融庁経由で金融団体にこの評価をお願いできないかということを協議しています。具体的には下の※2の所に書いてありますが、簡単なチェック表というものを今用意していまして、金融機関に然るべく事業性評価としてよろしいかどうかということをチェックいただいて、労働局に返していただくという手続を、今協議をして、近日中にこれを運用していきたいと思っています。

○阿部分科会長 ありがとうございます。その他はいかがでしょうか。

○森下委員 今のお話の続きでもよろしいでしょうか。生産性要件ということで、ここに示されているとおり、数字自体は特に大きな数字ではないのですが、私ども中・小規模事業者の立場で言いますと、現状、成長型の産業だけではなく、どちらかというと在来型の産業で、毎日を日々やっとやり繰りしながら事業を続けているという企業さんも非常に多くあると思っています。そういう中で、やはりこの金融機関の評価ということになりますと、ここにもあるようなチェック表という形で、一定の数字が上がっていない限りは、なかなか良い評価が得られないという懸念もあるわけです。ですから、それに対する、ちょっと違う見方をしていただくとか、そういうことも勘案をしていただけるといいなということを、少し考えたところです。

 それと、もう1点。今回の規則の一部改正ですが、17助成金、62コースということで、大変きめ細かに助成金を出していただいていると思いますが、大変これ自体は有難いことだと思います。ただ、私ども小規模事業者の立場で言いますと、このような助成金をすべからく理解するということは、非常にある意味ではその部門、例えば総務の中でこういう助成金そのものを理解する部署が少ない。結果的には経営者が勉強してやらざるを得ないというケースも多いと思いますので、今後、4月以降、ハローワークへ求人等で、例えばお伺いするとか、そういうケースも増えるかとは思いますが、その際に新しい助成金そのものを、どうしたら上手に利用できるのかというような御説明とか、あとはいろいろな形での周知というものを、きめ細かな形で、本省からは各ハローワーク等には、もちろん下りているとは思いますが、地域でそれぞれが徹底できるような仕組みをお考えいただけると、我々としても非常に助成金の申請に関して、便利であるのかなと考えているところです。

○雇用開発企画課長 まず前段の1点目ですが、生産性要件を見るに当たり、マル1の所で3年で6%という数字があると今申し上げたわけですが、これは機械的にある程度評価をしていくことになります。

 とは言っても、この数字を中小企業で達成できない所もあるだろうと。そういった所で、その中小企業は今は達成していないけれども、いろいろな高い付加価値のある製品を生み出して、今後伸びていくという評価をどうしたらいいのだろうと私どもは考え、これは地元の地域の金融機関に目利きをしていただくということが一番よろしいのではないかと。金融機関と連携を図って、目利きをしていただこうということで、この2番目の要件を定めたと。御指摘の趣旨のことを正にやろうと思って、このマル2の要件を、質的なものを金融機関に見ていただこうということで設けたものです。ということで、改めて御説明申し上げたいと思います。

 それから2点目、助成金の周知の関係です。これは常に助成金の制度が複雑であり、要件も複雑であり、大変使いにくいという話を頂いておりました。今まで4段階で、何々助成金の下に何々助成金があり、何とかコースがありみたいな、大変複雑な構造でしたので、何々助成金の下に何々コースという、簡単、シンプルに2ランクに分けて体系を整理し、それから要件のほうも見直しをし、不要なものは廃止するという、大きく整理を図ったわけです。

 この整理を図っただけではなくて、ハローワークのほうでこれを丁寧に事業主さんに周知をして、「お宅の企業であれば、こういう助成金を使って雇用管理の改善をすることができますよ」「こういうことを整えていただければ、この助成金が使えそうですよ」ということを丁寧に御相談していくという取組が必要だと思っているので、正にそういった方向で窓口を指導して、頑張っていきたいと思っています。

○阿部分科会長 その他はいかがでしょうか。

○林委員 私からは労働移動支援助成金の見直しの中で、縦型の資料1-23ページにあります、人材育成支援コース奨励金と、4ページのキャリア希望実現支援助成金を合わせた形で質問をさせていただきたいと思います。

 今回新たに優遇助成に該当する場合、つまり成熟産業から成長産業へ移動した場合に限って、採用1年後に賃金を一定程度上昇させた事業主に対して、更に優遇を行うという文言になっているかと思いますが、まずこの「一定程度の賃金上昇」というのは、どのような基準を考えていらっしゃるのかということと、どのように、どの時点で確認するのかということを伺いたい。もう1つは、なぜ成熟産業から成長産業に移動した場合のみに限っての優遇なのかということについても、考え方をお伺いしたいと思います。

○雇用開発企画課長 成熟産業から成長産業へ労働移動した場合に、まず優遇措置を講じます。その上で、その企業の中で賃金アップを図った場合、更に優遇しますという内容です。その、更に優遇するときの賃金アップの基準ということですが、これは運用上、2%の賃金アップということを考えています。ベースアップ、定昇込みで2%、ボーナス含まず、残業手当含まずという定義で考えています。この算定の時期ですが、採用時の賃金に比べて、その1年後を見て、採用時からどのぐらいアップしたかということで評価をしていくことを考えています。

 成熟産業から成長産業へ移動した場合に限って、この優遇をすることの理由ですが、労働移動の支援助成金の拡充の、そもそもの趣旨というのは、成長産業のほうへ労働力を移動させることによって、日本全体のGDPを上げていこうという趣旨で、そこを特に強化して移動させていこうということがありますので、更にそこのところでインセンティブを付けて賃金アップを図り、より優良な雇用のほうへ持っていくことを付加価値として付けるという趣旨で、更に助成を優遇するということを考えたわけです。

○林委員 まず1点目の質問に対する御回答ですが、2%ということで明確な数値設定をされているということだと思いますが、今後、こういった助成金の運用が進んでいくにつれまして、ある意味、穿った見方をすると、当初の賃金設定がそもそも幾らであったのかと。低めに見積もっておいて、2%上げてくることもできれば、逆に賃金制度を持っているような企業で、そもそもが正社員と同じような基準で採用して、訓練を行い、ですから1年後にそのままの基準ということになれば、良質な雇用であっても、2%上がらない場合もあるかと思いますので、そういったところも運用されていく中で、検証していくという手立ても必要ではないかと思いますので、御一考いただければと思います。

 そして、もう1点のほうですが、確かにそもそもが成熟産業から成長産業へというところは分かりますが、現行の支給額の中にも、通常助成と優遇助成に分かれています。、離職を余儀なくされた方に対する再就職支援ということを考えていく中で、再就職先が成長産業でない場合であっても、やはり1年後に賃金を上昇させることに対して、支援がなされるべきではないかなと私は考えています。

 つまり通常助成であっても、優遇助成の対象であっても、双方にこの優遇があってもいいのではないかなと考えているので、4ページのキャリア希望実現支援のほうと合わせて、今後、対象を拡大する検討も御検討いただければと思いますので、併せて申し上げます。

○雇用開発企画課長 賃金アップ率を2%として設定しているわけですが、御指摘のとおり、当初の賃金を不当に下げて後から上げるとか、本来は正規社員として優良な雇用であるのに、賃金がそれほど上がっていないけれども、本人にとってはハッピーな優良な雇用で就職できたといった場合の、評価が漏れ落ちるのではないかということの御指摘だったと思います。

 これについては正にそういう問題も、今後あり得るかもしれませんので、よくよく現場の実態、運用実態を見て、必要に応じて要件の見直しということも、検討することもあろうかと思っています。

 それから、通常の成長産業へ移動しない場合でも、賃金アップを図った場合の優遇というものがあって然るべきではないかというお話でした。これは先ほども申しましたが、そもそもこの労働移動支援助成金の方向性、ベクトルというものが、成熟産業から成長産業へ移動することをより促進しようという方向へ向いておりますので、通常の移動で賃金アップを図った場合に助成するということになりますと、これは賃金アップに対する助成という観点が出てまいりますので、またそういう観点の助成措置を作るということになれば、そういった方向もあろうかと思いますが、現状では今申し上げたような成熟産業から成長産業へ移動するということを、より促進するという方向で考えているということです。

○阿部分科会長 その他はいかがですか。

○村上委員 労働移動支援助成金の中途採用拡大コースについて質問します。参考資料の3ページです。何点かありますが、まず要件として計画を労働局に出すということで、その計画の内容の中で、中途採用者の雇用管理制度の整備とあるのですが、この中途採用者の雇用管理制度というのは、どんなことをイメージされるのかということを教えていただきたいと思います。どのように格付けするのかとか、就業規則などの話かなとは思うのですが、その辺りを少し具体的に教えていただきたいと思います。

 それから2点目として、計画期間内に中途採用拡大の計画を実現して、生産性が向上した場合に助成するということですが、その中途採用の実現と生産性向上の関連性というものが今一つ理解できないので、そこについても教えていただきたいと思います。

3点目として、労働移動支援助成金の1つのメニューとして、これを新しく創設されると理解していますが、ほかのコースとの併給がされるのかどうかということについても確認したいと思います。

○雇用開発企画課長 まず中途採用者の雇用管理改善の中身ということですが、これは賃金ですとか、処遇ですとか、いわゆる雇用管理全般で、採用は学卒者と自ずと違うわけですが、それ以外の部分については学卒入職者と合わせる、同等のものを適応するということを求めています。

 それから、生産性要件と中途採用率の向上という要件が、なぜ一緒に要件として設けられているのかという話ですが、これは単に中途採用者を拡大するということだけではなくて、中途採用者を採用することによって、その企業全体のGDPを上げるというか、付加価値を上げるというか、そういうことに資するような取組をしていただいて、採用していただくということを目指している、政策目的がそういうところにあるからということで、生産性要件を設けているということです。

 それから併給のほうですが、これは併給をしない、併給調整をかけていくということで考えています。

○阿部分科会長 ほかにいかがでしょうか。

○青木委員 私からは65歳超雇用推進助成金と、人材確保等の支援助成金の生産性要件の設定について質問します。資料1-25ページ以降にあります高齢者無期雇用転換コースにおいても、生産性要件を満たした場合に助成額の上積み内容となっています。はたしてこのコースに生産性要件が必要なのか。むしろ生産性が低い企業だからこそ、助成額を上積みして、高齢の有期労働契約の方を、無期労働契約に誘導していくということがインセンティブではないかと思います。

 また、同じく9ページ以降に記載があります人材確保等支援助成金についてですが、これについても生産性要件を設定すると記載されています。取り分けここについては、職場への定着を図るという目的、また、介護士、保育士の離職防止などにつなげるという目的だと思っていまして、この分野について今の情勢などを踏まえれば、生産性による助成額の差をあえてつける必要があるのかということも感じています。

 これまでの説明から、この生産性向上を期待することに馴染まないものについては、この要件を設定しないと認識もしているところですが、これらの助成にこの要件を設定された、その考え方がありましたら伺いたいと思います。

○高齢者雇用対策課長 65歳超の雇用推進助成金の中で、これは123とコースが3つあるのですが、その一番目、要は定年制を入れたり、そういう部分については生産性が馴染まないということで、これを外しました。

 それと、2番で高齢者を雇用して、職場環境を変えていく、そういう中で生産性を上げていこうという場合については入れましたし、また、有期契約労働者から無期に変えていけば、当然のことながら雇用確保措置に乗っかっていきますので、そういう中でも生産性を上げていってほしいという願いも込めて、こういう形にしました。ですから、3つのうちで1番目は、生産性要件に馴染まないため外しています。

○雇用開発企画課長 2点目の職場定着のほうの助成金の関係で、なぜ生産性要件が入っているのかということですが、職場定着を促進するに当たり、労働者の生産性が上がっている場合と上がっていない場合、とにかく失業をさせない、離職させないということの取組は、それは評価するべきですが、更にその上に、定着された方々の能力を引き出して、生産性を上げたという企業の取組があったとすると、それは更に割増しをしてもよろしいのではないかということで、こちらは割増し要件を付けています。この生産性が上がらなければ、助成をしないというわけではないので、割増しということですので、そういった趣旨で設けているというものです。

○青木委員 それぞれの企業などに対して、この助成を上積みすることの関係については、それぞれの助成金の性格なども踏まえて、今後、丁寧な検証をお願いしたいと思います。以上です。

○阿部分科会長 その他はいかがでしょうか。

○玄田委員 20ページのキャリアアップ助成金について伺います。正社員化コースの所ですが、こちらではマル13という3つの転換コースの支給額等々の情報が書かれています。ただ、現状としては正社員コースは6つのコースが存在しているはずですが、こちらの表記というのは、6つのコースを3つのコースに整理統合するという理解でよろしいかということを、まず確認させていただけますか。

○企画課長 御指摘のとおり、現在は6つのコースがあります。それを3つに統合するということです。統合の趣旨は、現在は有期というカテゴリー、無期というカテゴリー、正社員というカテゴリーのほかに、業務限定ですとか、地域限定ですとか、そういった多様な正社員というカテゴリー、大きく4つのカテゴリーを立てていまして、その有期から無期に移動するとき、無期から多様な正社員に移動するとき、多様な正社員から何も付かない正社員に移動するとき、そのような階段で助成を設けているのですが、今回の助成金の平成29年度見直しの中で正社員について、いわゆる多様な正社員もそうでない正社員も同じに扱うと。助成金の評価としては1つのカテゴリーに括りましたので、グループ間の移動の階段が減って、従来は6カテゴリーあったのが3つになるということです。

○玄田委員 分かりました。ただ、こちらについて私の理解では、かつて大変大きな議論があったという理解を記憶しています。つまり、これは正規雇用労働者と多様な正社員は別のものだという前提で、キャリアアップ助成金の現状は出来ているはずで、と申しますのは、やはり最終的に望むのは前回の言葉で言う、いわゆるピカピカの正社員というものを目指すとするならば、多様な正社員への誘導というのはやはり一時的なものであって、その2つは区分して考えるべきだということを、私の理解では労働者側の委員の方から、かなり複数の強い御意見があったという理解を、私は記憶しています。

 ですので、今そのような整理統合をするということについて、私は余り分科会の中で十分議論したという記憶がなくて、このような形で整理統合するということが、今の現状で是認していいかどうかということは、私はちょっと判断がつかないのですが、かなり大きな制度変更であると。つまり、ここで言う「正規には多様な正社員を含む」という注は、必ずしも今までのキャリアアップ助成金の議論の中ではなかったものが、ここで取り上げられているのは、果たしてどうかと思いますが、こちらはどなたに伺えばいいか、正直言って自信がないのですが、どういう経緯でこれを統合するということになったのかということについて、もしよろしければ教えていただけますか。

○企画課長 経緯といいますか、平成29年度の予算要求を検討する、我々役所の中の議論として、多様な正社員の扱いについて、通常のという言い方がいいかどうかも、これから価値観が変わってくるかもしれませんが、限定でない正社員と同じに扱っていいのではないかと。多様な正社員は正社員としての限定のされ方が多様であると同時に、社内でも様々な位置付けがあると思います。

 例えばワーク・ライフ・バランスの観点から、フルの正社員の方が一時的にある限定の下で働いて、また戻るという形もありますし、また、非正社員の方がステップアップしていく過程として、従来の非正社員としての仕事ぶりと比較的近い働き方として、多様な正社員という位置付けになるという形があります。いろいろなものがありますので、個別の事案を見れば確かに先生がおっしゃるとおり、通常の正社員と少し格が下がるものとして見るべきものもあるかとは思いますが、助成金ですので、ある程度の割り切りで制度を設計するということを考えますと、多様な正社員の近年の実際に労使間で取り決められ、運用されている実態というのは、必ずしも本当はフルの正社員がいいのだけれども、やむなく限定を付されているという形よりは、御本人のワーク・ライフ・バランスとの両立の観点ですとか、あるいは非正社員の段階的なステップアップの過程として、肯定的に捉えられている事例が多いのではないかと考えまして、そうであるならば細かく助成を分けることも、従来、今年度までそれでやっているわけですので、それは絶対おかしいということはないと思うのですが、一方で助成金については、可能であれば助成金の仕組みを簡素化するということも、利用促進、現場の負担軽減、迅速な申請処理といった意味合いから意味があると考えまして、私どもの政策判断としての割り切りですが、ここのカテゴリーを統合するという考え方に立って、予算を要求し、今回、省令案をお諮りしている次第です。

○玄田委員 御説明の趣旨はよく理解いたしました。ただ、繰り返しになりますが、私は、この件については相当大きな議論が分科会であったということは大変記憶をしております。その中で、やはり多様な正社員が普及していくことが将来的には安定的な雇用の一里塚になるということで、有期から正社員への転換へは60万円の助成に対して、有期から多様な正社員は40万円という助成によって、そちらを誘導することを大きな目標としてこういう制度ができたと理解しております。今の御指摘のとおり、確かに運用上はもう、多様であるとかそうではないと分けることの意味がどのくらいあるのか、またそのコスト管理面での問題などもあるとは思いますが、まずそこは、私は多様な正社員というものの捉え方の大きな方針転換だと思いますので、少なくとも私は、この点について十分な議論があったかどうかについては確認をさせていただきたいということは申し上げたいと思っております。

 もう1点、では別の観点からよろしいでしょうか。

○阿部分科会長 どうぞ。

○玄田委員 ページ数は、今度は別の所になりまして、いわゆる就職氷河期世代の所で、10何ページ、特定求職者です。

○阿部分科会長 11ページでしょうか。

○玄田委員 11ページ、ありがとうございました。私自身は就職氷河期世代に対する支援は重要だと考えておるものですので、大変、このような助成ができることは望ましいと思っておりますが、若干懸念を申し上げます。対象者の条件というのは、いわゆる氷河期世代の35歳から60歳、また安定した雇用を希望していることは分かるのですが、2番目の条件として、5回以上10年間で転職を繰り返してきた者というのは、まず1つは確かにそのとおりだと思っております。ただ、今の氷河期世代で非常に困難を抱えているのは、5回以上転職を繰り返した人もそうですが、途中で転職することすらも断念をしており、なおかつその中で非常に困難を抱えている方々が、むしろ氷河期世代の中では大変に厳しい状況にある方々だと認識をしております。

 ただそうなった場合に、もしこういう助成金ができて、いざ氷河期世代の方々が一歩前に出ようとしたときに、そういう方々が対象ではなくなるとなると、せっかくこういうすばらしい形の氷河期世代に対する支援ができたとしても、本当に困難を抱えていて一歩踏み出そうとする人たちに対する支援にはなっていないのではないかという批判とかが起こる可能性があり得ると思うのです。そういった場合にはどういう対応をお考えになっているのかについて、1つ教えていただけるでしょうか。

○阿部分科会長 それに関しては私も思っていることがあります。法律案要綱には、「5回以上離職又は転職(一般被保険者として雇用されていた場合に限る)」ということなので、雇用保険制度に入っていた人だけなのです。今、玄田委員が言われたのは、そういう雇用保険にさえ入っていない人たちの対応をどうするかということなので、それは少し考えたほうがいいと思います。今回は無理でも、将来的に、すごく近い将来に何とかすることは必要かとは思います。玄田委員の質問もございますのでよろしくお願いします。

○小野委員 同じところの質問なのです。「雇入れの日から直近10年で5回以上離転職」となっているのですが、例えば、派遣会社に登録していて派遣先を何回も繰り返し違う所に行く、ですが派遣会社は1つの所という人は結構いるのです。そうした人の場合は対象になるのかどうかというのも、ついでにお答えいただければと思います。

○総務課長 まず趣旨ですが、離転職を繰り返してきてなかなか定着しない人を後押ししようという趣旨で、このような要件を設定しています。「一般被保険者」と書いてありますのは、これは、被保険者であれば資格取得、得喪のデータがあるということですので、大量処理という助成金の趣旨、ハローワークの窓口の趣旨に馴染むかということもありますが、いずれにしても、この要件でいいのか、あるいは他に対策があるのかは追って考えなければいけないと思っています。

 当然ながら、就職氷河期世代の方の対応としては、助成金のみではなくて、例えば、平成29年度から考えています事業として、10人ぐらい1週間ぐらい若年者の方を集めて短期集中的なセミナーをするとか。そこでは、経験交流と言って、若者がそれぞれどういうところに悩みがあるかという交流をしたり、キャリアコンサルティングをしたり、それから実際の面接とか就職に当たっての知識を付与したり、そういうことも考えておりまして、それと助成金と併せて考えていきたいと思っています。こういった要件でいいかどうかというのは、また引き続き検証していかなくてはいけないというのは御指摘のとおりだと思います。

 それから派遣の話です。これも、一般適用になる、一般被保険者になるような派遣形態かどうかということで、これもデータで追っていく必要があるかと思っています。派遣についても今後の施行状況を踏まえて検討していく必要があると思っています。ちょっとお答えになっている部分がどれだけあるか心もとないものがありますが以上です。

○玄田委員 やりながら考えていくことだと思います。もし、例えば今、途中で就職を断念した氷河期世代に対してどういう可能性があるかが仮に問われた場合には、例えば1つの可能性としては、13ページにあるトライアル雇用助成金のような形が入り得るのだろうと思っております。ここには入っておりませんが、いわゆる中高年の引き籠もり状態の方々も、恐らく一般トライアル雇用の対象からは排除されるわけではない、恐らく事例の中の育児等の「等」の部分に入るのではないかと思いますので、前回の分科会で申し上げましたが、これから、中高年の氷河期世代で40歳から50歳を迎えた方々が相当大きな社会問題になることがかなり強く予想されますので、この部分についても、トライアル雇用の可能性があることは、いろいろ行政上の周知も含めて十分に対応を頂きたいと思っております。

 もう1点、発達障害のところです。発達障害かどうかという判断をどのようにお考えなのかを教えていただけますでしょうか。 

○主任障害者雇用専門官 発達障害については、医師の診断書を基に判断するということです。それから、精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方は、制度上は精神障害者としての様々な助成の対象になりますので、この場合には、手帳はお持ちでないけれども診断のある方を対象にしております。

○玄田委員 手帳を持っている、手帳で発達障害と判断されていることが条件なわけですね。

○主任障害者雇用専門官 手帳を持っている方は、制度上は精神障害者としていろいろな支援措置ができます。今のここに書いてあるものは、発達障害者の方のコースのことを言われていると思うのですが、手帳を持っている方は精神障害者として障害者のほうのコースで対象になりますので、ここで発達障害者の方を対象にする部分は、そのような手帳をお持ちでないけれども医師の診断がある方を対象にすることになります。

○玄田委員 発達障害であるかどうか医師の判断が分かれるケースが比較的見られると思うのですが、その場合はどうなりますか。

○主任障害者雇用専門官 そこは結局分かれると言っても、診断書を提出していただいてそれを確認することになりますので、そういう診断があれば対象にすることになります。

○玄田委員 就業困難者の中に、発達障害者がどの程度含まれるかは非常に大きな社会関心になっていることは理解しております。かつてあった若者自立塾などでも、しばしば発達障害の状況にある人たちがどのくらいあるのかがいろいろな方が問い合わせられて、当時自立塾の担当者から、確か2割から3割程度はあり得るのではないかということが言われたことがありました。それも明確な医療的な見地に基づいて言っているわけではなく、多くの場合、自立支援の現場にいる医療関係者以外の方々が、やはり発達障害の傾向が見られるとか、そのように解釈できると言われていて、医学的見地から発達障害であるかどうかを区分して対応なされているケースは非常にまれだと思っております。

 ですので、ここで発達障害をどう捉えるかを十分に議論しないと、闇雲に発達障害というものが社会全般に広がっていく懸念があると思うのです。どういう状態を発達障害として認めるかについては、こういう制度を設計し運用しながらも十分に議論を重ねていかないと、例えば何でもかんでも発達障害という状態になると大変大きな社会混乱になると思いますので、発達障害者というものをどういう状態とみなすかについては、是非、支援現場、医療現場、福祉現場のいろいろな方々の意見を総合しながら、どういうケースが当てはまるかについて、非常に困難ではあると思いますが、こちらについて社会的な合意を得ながら制度を運用していくことが極めて重要だと思っております。是非その点についても踏まえて御検討いただければと思います。

○阿部分科会長 では、よろしくお願いします。

○森下委員 よろしいでしょうか。1点、今回、新設されたと思います。参考資料でいくと25ページです。障害者雇用安定助成金という名目で1ページものがあります。この中で、この趣旨、事業概要の中に、「就業規則等を変更し、柔軟な休暇の取得やうんぬん」と書いてありますが、下に助成金10万円、ポンと書いてあるわけです。支給手続の流れの中に、整備計画書を提出して、就業規則等を改正して労働者に適用、計画期間の末日の翌日から2か月以内に支給申請書を労働局に提出、そうすると支給決定ということが書いてあります。これは今、旬な話題だとは思うのですが、例えば事業所でこういう規則変更、就業規則の変更をするだけではなくて、実際に支給された場合のみこれは助成ということでよろしいのでしょうか、解釈は。

○労働基準局安全衛生部 労働基準局安全衛生部です。先ほどの委員の御質問については、制度導入を行った、それだけではなくて、実際にそういう障害を持っている方であるとか、傷病を持っている方に対して、一応何かしらの形で、例えば、1時間単位の時間休を新たに制度として設けましたということであれば、そういう方々が使ったということを確認した上で支給を考えております。

○阿部分科会長 森下委員、よろしいですか。

○森下委員 そうすると、あくまでも、そういう計画書、就業規則の変更等を行った後、実際にそういう方々に休暇をあげたりとか、そのための、例えば勤務時間の短縮等を行ったというものに対してということですね。

○労働基準局安全衛生部 そういうことです。

○森下委員 この制度でいくと、このような比較的導入が簡易な規則改正となりますと、例えば専門の労働関係のコンサルタントさん、助成金コンサルタントさんというのが現状、世の中にいらっしゃると思うのですが、そういう方々がそれぞれの、例えば小規模の事業所などですと、自分でなかなか規則改正するのが法に触れそうで分からないというようなケースで、一律でそういう支給制度を、就業規則のこの一部だけこれだけ変えればいいのですよと、そうすると10万円出ますからという形で申請を促すというケースももしかしたら出てくるのかと思っているのです。その辺はチェックのしようがないですね。

○労働基準局安全衛生部 おっしゃるとおり、それだけをチェックすることはなかなか難しいとは思うのです。実際の支給の手続の流れですとか、実際にそういう制度を作っていただいて、なおかつ適用までしていただいているところで、助成額自体も多額なわけではありませんので、一応、そういう懸念はこちらでは検討はしましたが、そこまで、いわゆる単に制度導入しました、本当は何もしていないのですが規程だけ変えました、10万円くださいというのは余りないかとは考えております。

○森下委員 分かりました。実際はこれがそういう事情で、それぞれの事業所がこういう方のために努力をされたということで頂ければいいのですが、私が少し懸念したのは、そういうことで、少額の助成金なものですから、そういうものがコピペでいろいろな事業所に採用されて、コンサルタントさんの一部かもしれませんが、そういうあれになるというのはちょっとまずいと思ったのでお話をしました。どうもありがとうございます。

○阿部分科会長 ありがとうございます。その他いかがでしょうか。

○岩村委員 時間もあれでしょうからなるべく短くしたいと思います。意見が2つと質問が1つです。意見としては、先ほど議論になりました就職氷河期の人とか引き篭もりの人との関係です。今日議論している助成金は、どちらかというと企業の側が取る場合の話であり、他方で、就職氷河期の人とかあるいは引き篭もりの人の場合に重要なのは、その人本人に着目してどういう処遇をするのが一番適当なのかというところがある。ですから、制度としては、例えば求職者支援の制度があったり、更には生活困窮者支援の制度があったりするわけですが、どれを利用するのが一番いいのかというのは、やはりその人を見た上でのカウンセリングその他というのが必要なので、この助成金が向いている方向と、それから個々の困難を抱えている人に着目した場合の方向が違うので、その辺は、行政で余り縦割りにならずにうまくコーディネートして、それぞれの人にとって適切な処遇が与えられるような運用を是非工夫していただきたいと思いました。

2点目は、キャリアアップ助成金の見直しの1つで、今日の参考資料の122ページの社会保険の適用拡大に係る部分です。確かにこの4月から、選択的な適用拡大というのが可能になっているのです。その場合に、賃金を上げたり労働時間を長くしたら助成を出すということで、それはそれとしてあるのかと思いますが、やはり本当は、社会保険の適用拡大を強制的にきちっとやる。その上で、激変緩和のために支援が必要であれば適切な支援を出すのが本道ではないかと思っています。その点だけ意見として申し上げておきたいと思います。

3点目は質問です。今回、生産性要件等を入れることに伴い、生産性要件を満たすと受けられる助成金の額がアップするということなので、下手をすると助成金のアップを目指すために生産性要件を偽るという可能性がもしかしたらあるかという気もしなくはないので、その辺どうなのか。場合によって何か防止策を御検討になられているのかについてだけお伺いできればと思います。簡単で結構です。

○雇用開発企画課長 生産性要件について偽る例があるのではないかですが、これは、この要件に限らず支給要件全般にいろいろなことが言えるわけでして、不正受給の問題は常に出てきております。これについては、現場で要件に照らして厳正にチェックをしています。実際に事業所に出向いて、財務諸表等を見せていただいてチェックすることもやっていますので、そういうことを通じて生産性要件についてもちゃんとチェックをしていく、労働局の現場にアドバイザーを配置することを考えております。財務諸表の中から生産性をチェックするに当たり、やはり一定の財務諸表を見ることの専門家の目も必要でありましょうから、そういった専門家の目でチェックをすることも措置をして考えております。

○岩村委員 ありがとうございました。是非、そのようにお願いしたいと思います。ただ、財務諸表が複数あったりとかする話も聞いておりますので、厳重にお願いしたいと思います。

○阿部分科会長 では、村上委員どうぞ。

○村上委員 先ほど玄田委員からキャリアアップ助成金について御意見があったところです。確かに、キャリアアップ助成金の枠組みの中に多様な正社員を入れるときには、特にその定義をめぐって大きな議論があったとは承知しているところです。ただ一方で、その後、資料でいけば1-213ページに現行制度がありますが、こちらに変えたときの、職業安定分科会の懇談会でも議論したかと思うのですが、その際には、もちろん正規を目指していくのだという話がある中で、多様な正社員として、例えば短時間正社員などについて差を設けることは、職場においては様々な雇用管理区分がある中で、そこに差を付けることに対する違和感について、使用者側委員からも御意見がありましたし、労働側からの意見もあったところです。こうしたことを考えていくと、今の13ページのような形はやはり大変複雑な部分があるということで、一定整理していくことについては理解しているところです。ただし、政策的に、では限定正社員に誘導していくのかというと、そこはそういう理解ではない。あくまでも助成金をより使いやすく、分かりやすくしていくための方策だと理解しているところです。

○阿部分科会長 ありがとうございました。その他いかがでしょうか。本日、委員の皆様から様々な観点から貴重な御意見を頂いたと思っております。今、村上委員からも最後にお話がありましたように、この補助金は何のためにあるかというと、やはり政策目標に向けて、何ていうのですか、誘導していくための補助金かと思いますので、是非、この補助金がどういう効果があったのかを評価していただいて、また今後、この補助金のやり方でいいのか、制度でいいのかということも踏まえて、議論させていただければと思います。運用ですとか、いろいろなところにどういう問題があったのかを評価しつつ、今後行政を進めていただければと思います。それでこれは諮問ですので、当分科会としては、厚生労働省案をおおむね妥当と認め、その旨を私から労働政策審議会長に御報告申し上げたいと思います。そのような形でよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは報告文案の配布をお願いします。

(報告文案配布)

○阿部分科会長 それではお手元に配布された報告文案により、労働政策審議会会長宛て報告することとしてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございました。それではそのように報告をさせていただきます。

 続いて、次の議題に移ります。「職業安定分科会運営規程の改正について」です。それでは事務局より説明をお願いします。

○総務課長 資料No.2を御覧ください。2つ、部会の設置についてということで書いてあります。

1つ目が、1枚目にあります。「地方連携部会の設置について」です。これの背景としては、昨年8月から施行されている改正雇用対策法において、地方公共団体の長が厚生労働大臣に対して一定の要請ができる。措置要請と考えておりますが、それができるとなっております。

 この地方公共団体の措置要請については、厚生労働大臣がその措置を行う必要があるかどうか判断するに当たって、学識経験者等の意見を聴かなければならないと雇用対策上されておりますので、この場が必要であることが1つです。

 下から2つ目の○ですが、これまでは、本分科会に報告いたしました雇用に関する国と地方公共団体の連携についても、その在り方を専門的な見地から検討するとしておりますので、地方連携部会を職業安定分科会の下に設置したいということがまず1点目です。

1ページ飛ばして2枚目です。「同一労働同一賃金部会の設置について」ということが書かれております。背景は、「ニッポン一億総活躍プラン」において、どのような待遇差が合理的であるか又は不合理なのかというガイドラインを策定するということ。それから、不合理な待遇差の是正が円滑に行われるよう、あるいは不合理な待遇差に関する司法判断の根拠規定の整備等、こういったものを労働契約法、パートタイム労働法、それから労働者派遣法の一括改正を検討することとされております。

 まずガイドラインについては、御案内のとおりですが、12月にガイドライン()を公表しまして、このガイドラインを基に法改正の立法作業を進める。ガイドライン()については、関係者の方の御意見や改正法案についての国会審議を踏まえて最終的に確認するというものです。

 それから、一昨日、働き方改革実現会議がありまして、そこで決定された「働き方改革実行計画」において、関係法の法制度の具体的な在り方を検討するというものです。これらの具体的な方策について検討するために、同一労働同一賃金部会を設置するということです。

 この部会については、派遣労働とパートタイム労働と有期契約労働と、3つの形態がありますので、職業安定分科会、雇用均等分科会、労働条件分科会のそれぞれに設置して、合同開催という形で開催することにしたいと思います。

3枚目、分科会の運営規程の改正案です。第五条の所で、今、申し上げた2つの部会の設置ということが書かれております。御説明は以上でございます。

○阿部分科会長 それでは、本件について御質問、御意見がありましたら御発言ください。よろしいでしょうか。それでは、特にないようでしたら、当分科会に地方連携部会と同一労働同一賃金部会を設置し、資料の改正部分を反映させた形で分科会の運営規程を改正したいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、私のほうで部会設置の手続を取らせていただきます。

 次の議題は、「労働移動支援助成金の見直し後の状況について」です。事務局からお願いします。

○雇用開発企画課長 労働移動支援助成金の関係の御報告を申し上げます。別紙資料No.3です。労働移動支援助成金については、制度の適正化を図るために、昨年6月、この分科会において意見を頂きまして、それを踏まえて見直しを行いました。その際に、見直し後の実績を踏まえて、必要な再見直しに向けた議論を行うということとしておりました。このため、見直し後の実績を私どもが把握するために、再就職援助計画の提出事業所に対してアンケートを取り、それからヒアリングを行いました。それから、窓口において、事業主の反応ぶりについて、労働局の担当者を通じて把握してまいりました。

 その結果ですが、アンケートの回収が思うように進まない状況がありまして、64件でして、再見直しの判断ができるようなデータとしては、少し不十分なのではないかということで、再見直しについては、引き続きデータを蓄積して、更に検討を続けるということとして、今回は、実績についての中間報告をしていきたいといった趣旨です。

 前回の見直し後の実績を整理したのがNo.3の資料です。このうち、ポイントだけを御説明いたします。まず、論点の1番目として、助成金が、紹介会社と連携して退職強要を行うような企業を支援することになっているのではないかと。そういったことがあれば、それを支給要件として厳格化していかなければいけないのではないかといった論点がありました。

 これに対して、(1)の所ですが、紹介会社が企業に対して人員削減を働き掛ける一方で、その対象となって辞める人の再就職支援をその紹介会社自身で受託するという、いわゆるマッチポンプの問題への対応ということです。この問題については、基本的にこういうマッチポンプがあった場合は、不支給とするといった措置を取りましたが、実績として、この不支給の対象となる該当案件はありませんでした。

(2)退職強要かどうかという問題は、最終的には司法判断ということになります。ただ、この助成金においては、本人が退職強要と受け止めた場合は不支給とするといった措置を取ることとしました。

 これについては、見直し以前の支給案件で、17人分の該当がありましたが、見直し後においては該当ゼロということでした。

2ページです。(3)いわゆる委託開始時の10万円助成の問題です。これは廃止すべきかどうかということで議論がありました。大企業については廃止しました。アンケートを取ってみると、これについて肯定的な意見が多かったと考えられます。中小企業についても議論があり、今のところ、助成として存続しておりますが、引き続きアンケートのほうで事業主と意見を把握する等で検証を進めていきたいと思います。

(4)のマル2ですが、大企業の場合、離職者30人以上に限定するといった要件を付けております。この問題についてヒアリングをしたところ、この要件は、離職者を減らそうとする企業努力を評価できなくなるのではないかという意見がありました。

 続いて、2番目の論点です。「成熟企業から成長企業への円滑な労働移動」を支援するという制度趣旨に沿った助成内容とすべしといった論点です。

 これについては、(1)に記載されているように、赤字企業を対象としたわけですが、これについては、おおむね肯定的な評価だったのではないかと思っております。また、(2)に記載しているように、制度趣旨に沿った措置の場合に、割増しという措置を取りましたけれども、これについても、おおむね肯定的ではなかったかと思っております。

3ページ、(3)対象者への能力開発の支援についてです。能力開発のメニューについてはいかがなものかといった御意見があったかと思いますが、予想したよりは肯定的な評価があったのではないかと感じております。

 最後に、(4)対象者の受入企業に対する受入れ人材育成支援奨励金の件です。この助成金は、支給件数自体は伸びてきていますが、割増しの効果という観点で申しますと、8月に見直しましたので、その後、支援が開始され、採用され、支給申請ということになると、半年以上かかりますので、来年度からこの効果が見えてくるということですので、今のところ、実績はまだ把握できていないという状況にあります。以上ですが、今後ともアンケートとヒアリングを引き続いて行い、再見直しに必要なデータを整理しまして、また分科会で御議論を頂きたいと思っております。以上でございます。

○阿部分科会長 それでは、本件について御質問、御意見がありましたら御発言ください。

○高松委員 質問を2点させていただきます。3ページの上の(2)の続きであるマル2の所ですが、良質な雇用への再就職割合の項目がありますが、この割合の分母と分子が分かれば教えていただきたいということと、その右側に公表準備中とありますが、大体、いつ頃という目安が分かれば教えてください。

2つ目は、その下の(3)は、多分、これは送り出し側の企業からのアンケート結果だと理解していますが、右端に「どちらともいえない」ということが50%ありますが、これの回答理由が把握できていれば教えてください。以上です。

○阿部分科会長 では、お願いします。

○雇用開発企画課長 再就職割合については、これは、この助成金を活用して再就職実現した人のうち、有良な雇用と判断される方の割合ということです。この有良な雇用というのは、ちょうど上の所に※で書いてある「無期・フルタイム」で「賃金が移動前の80%以上」であった方、こういった方々の割合ということで御理解いただければと思います。

 厚労省ホームページで公開、公表の準備中ということですが、若干遅れております。これは、私どもが行政上のデータとして紹介会社の実績について把握しておりまして、これは念のため、各紹介会社のほうに、こういったことで公表いたしますということで照会をかけているわけですが、紹介会社のほうの持っているデータとちょっとずれているところがありまして、これはどうしてずれているのかと一つ一つ検証するような作業をしております。いつ頃になるか分かりませんが、来年度に入ってしまいますけれども、できるだけ早い時期に公表をホームページでやっていきたいと思っております。

 それから、「どちらとも言えない」という50%の中身ですが、これについては、アンケート項目に、なぜこういったことかという項目を取っておりませんので、今後、この辺の実情についても把握するように務めたいと思います。

○高松委員 分かりました。先ほど支給要件の一層厳格化の件もありましたので、そういうところも含めて全体像が見えるようなところまでは、今のところないということでしたし、最初に事務局からも、更に収集していくというお話をいただいておりますが、適切なタイミングでまた御報告いただければ有り難いと思います。よろしくお願いします。

○阿部分科会長 お願いします。ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、引き続き調査をお願いします。

 次に移ります。その他の議題として、皆様のお手元にお配りしている資料を事務局から説明をお願いします。

○雇用政策課長 雇用政策課長の蒔苗でございます。本日の議題(4)「その他」の報告事項です。資料No.4、地方拠点強化税制の拡充についてです。1枚目に書いてありますが、平成23年度から「雇用促進税制」ということをやっておりますが、それを活用した形の地方拠点強化税制が平成29年度の税制改正で改正されまして、その中で新たな要件として、無期雇用かつフルタイムの雇用者を雇い入れた場合の税額控除が10万円上乗せされるという制度ができましたので、それに関する雇対法施行規則の様式の改正です。

 具体的には、2ページ目が省令案です。真ん中に書いてありますが、様式第5号第1面及び第2面を次のように改めるというものです。34ページに様式が出ております。先に内容を御説明した後に、また34ページに戻ります。

6ページ、現在の地方拠点強化税制の概要が書いてあります。この税制は、平成278月に創設されたものです。地方創生の観点から、地方への新たな人の流れを生み出すことを目指しまして、地方において、本社機能を有する施設を整備する事業主が、本社機能を拡充した場合に、オフィスを建てた場合の取得価額の特別償却、税額控除とか、あるいは人を雇い入れた場合の雇用促進税制の特則をつくっております。

 まず、左の拡充型ですが、地方にある企業の本社機能、具体的には事業所、研究所、研修所になりますが、これらの機能を強化した場合に、雇用面とオフィス減税の支援があります。本日御報告する案件は、下の雇用促進税制の特則の部分です。左下ですが、1つ目は、法人全体の増加雇用者数が5人、中小企業の場合は2人ですが、かつ雇用増の割合が10%を超えている場合には、1人当たりの雇用増加者数について50万円の税額控除を行うというものです。増加率が10%未満の場合には少し減じまして、20万円という制度になっています。

 右側が移転型ということで、この場合は、本社機能を東京23区から地方に移転した場合は、左で見た50万円に、右下に書いてありますが、30万円を上乗せしまして、1人当たり、最大80万円を税額控除できるということ。この上乗せする30万円の部分については、雇用を維持していれば3年間税額控除が続きますので、これをフルに使いますと、初年度の50万円+30万円×3ということで、140万円が3年間税額控除できるという制度です。

 それを今回改正したのが、7ページです。現状、対象労働者については、正規雇用、非正規雇用全体が対象となっておりますが、今回、平成29年度の改正の中では、特に質の高い雇用ということで、無期雇用かつフルタイムの場合には、10万円上乗せしようという制度改正です。そこに書いてあるように、拡充マル1、こちらが地方の事業所における新規雇用労働者総数のうち、無期雇用かつフルタイムの人の場合には、現行の50万円に10万円を上乗せして60万円の税額控除。拡充マル2の非正規の方の場合でも、現行50万円が出ますが、ここは無期雇用かつフルタイムに対する支援強化をより強くするために、全国の非正規雇用比率は37.5%で約4割、平均まで非正規の方を雇い入れる場合は、現行どおり50万円ですが、4割を超えて非正規の方を雇い入れる場合には少し減額すると。具体的には、無期雇用かつフルタイムの場合には10万円を上積みしますので、非正規が4割を超えた場合は、10万円下げるという改正です。

 具体的には、右下の図を御覧いただくと、現行制度で、仮に地方で20人の雇用を増やした場合の図になります。新規雇用労働者数が10人で、無期雇用かつフルタイムが5人、無期雇用かつフルタイム以外が5人、転勤者が10人という設定で、現行ですと、これは一律50万円ですので、20人×50万円で1,000万円の税額控除です。これを拡充後は右にありますが、一番左にある5人の無期雇用かつフルタイムの方については、1人当たり60万円と、10万円を上乗せしますので、5人×60万円で300万円です。非正規の方が5人いますが、5人のうち4人目までは、現行どおり50万円ということは、200万円ですが、右に吹出しで書いてありますが、マル340万円の所は、非正規の方が5人いるので、10人全体を分母にすると、4割超の部分は1人ですので、5人目の非正規の方は10万円を下げて40万円という改正です。転勤者は一緒ですので、拡充後は税額控除総額でいくと、1,040万円という改正になります。

 こういった改正を行いまして、そのための省令様式の改正ですが、3ページに戻っていただくと、今、見ました無期雇用かつフルタイムと非正規の方の4割までの方と、4割超の方と転勤者という分離について、新たに今回雇用促進計画の中に記載欄を追加するという改正です。

3ページのほうにそれぞれマル2426と、マル24が無期雇用かつフルタイムの方の人数です。マル25は、4割を超える非正規の方の人数、マル26は、その他の転勤者と4割以内の非正規の方の人数です。

4ページは、その場合の記載に当たっての注意事項です。以上が、省令案の様式の改正です。よろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 ただいまの件に関して、御意見、御質問がありましたら御発言ください。よろしいでしょうか。

 私から一言、今回の資料では、質の高い雇用が「無期雇用かつフルタイム」という定義になっています。蒸し返すわけではありませんが、キャリアアップ助成金のところでは、また別な用語で「正社員」という言葉が出てきます。この辺り統一ができるのであれば、少し統一しないと、申請する側もどれが該当するのかという問題が起こる可能性もあると思いますので、考えていただければと思います。

○雇用政策課長 確かに座長の御指摘のように、要件を絞っておりますので、誰が対象になるのか明確ではないと思いますので、これは経産省と一緒の税制でして、パンフレットを作ることにしておりますので、Q&Aのような形でこういった方が対象になりますと、少し分かりやすい形で周知を図っていきたいと思っております。

○阿部分科会長 これは助成金だけではなくて、統計などでもこういう問題が起こっていますが、少し整理していただいたほうが今後のためになるのではないか。玄田委員からの問題提起もありましたので、また、いずれ機会があれば議論させていただければと思います。

 それでは、本日の分科会は、全て議題は終わりました。これで終了したいと思います。本日の会議に関する議事録については、労働政策審議会運営規程第6条により、分科会長のほか、お二人の委員に署名いただくことになっています。つきましては、労働者代表の久松委員、使用者代表の熊谷委員にお願いしたいと思います。本日も遅くまで、ありがとうございました。


(了)

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