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2017年3月31日 第122回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

○日時

平成29年3月31日(金) 13:15~13:45


○場所

中央合同庁舎第5号館厚生労働省専用第12会議室(12階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議事

○阿部分科会長 定刻より若干早いですが、出席予定の皆様がお集まりですので、ただいまから第122回労働政策審議会職業安定分科会を開催いたします。連日の開催に御協力いただきありがとうございます。まずは本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の太田委員、小野委員、鎌田委員。労働者代表の高松委員。使用者代表の河本委員、鈴江委員、深澤委員が御欠席です。

 河本委員の代理として、全日本空輸株式会社の秋田様が出席予定となっております。それでは議事に入ります。最初の課題は「雇用保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令案の要綱について」です。本件については、本日、厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛て諮問を受けております。それでは事務局より説明をお願いします。

○雇用保険課長 資料1の関係について御説明します。雇用保険法等の一部を改正する法律については、1月に国会に提出をして、本日、参議院の本会議で可決、成立をしたところです。それを受けて、本日関係するその政令、省令、告示等について御審議をお願いしているところです。

 資料1は政令案の要綱に関するものです。資料1-1が、諮問文と要綱になっております。資料1-2、政令案の概要で、内容に関してはこの部分になりますので、資料1-2に基づいて御説明します。

 激甚災害による離職者等に係る就職困難地域の基準です。今般の雇用保険法の改正によって、激甚災害の場合、激甚災害による離職者であって、一定の就職が困難であると認められる地域として厚生労働大臣が指定するその基準に該当する地域の離職者については、120日の所定給付日数の延長の対象になるという制度を新設しております。この制度の中の120日の地域の対象となる地域として、厚生労働大臣が指定する基準を政令で定めるものです。政令は、以下のいずれかに該当することとする(1)(2)とあります。その下の基準のイメージを見ていただくと分かりやすいかと思います。まず(1)の基準です。その地域を管轄する公共職業安定所で基本手当の支給を受けた初回受給者の合計数を、その地域に所在する事業所に雇用されている一般被保険者の合計数で割ったものが、毎年度、当該年度の前年度以前、3年間の全国の初回受給者数の合計数を全国の一般被保険者の合計数で割ったもの、この2倍以上となるに至り、かつ、その状態は継続すると認められる地域であることとしております。

(2)(1)の基準を満たす地域に近接する地域のうち、失業の状況が(1)の状態に準ずる地域であって、所定給付日数に相当する日数分の基本手当の支給を受け終わるまでに、職業に就くことができない受給資格者が相当数生じると認められる地域であることということで、(1)の地域の周辺地域を指定するという基準になっております。

 このほか、雇用保険法の施行令の中では所要の改正、必要な経過措置の整備を行うものです。施行期日は平成2941日を予定しております。以上です。

○阿部分科会長 本件について御意見、御質問があれば御発言ください。よろしいですか。御質問、御意見はないようですので、当分科会は厚生労働省案を妥当と認め、その旨を私から労働政策審議会会長に御報告申し上げますが、よろしいですか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、報告文案の配布をお願いします。

(報告文案配布)

○阿部分科会長 お手元に配布された報告文案により、労働政策審議会会長に報告することとしてよろしいですか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告をさせていただきます。

 次の議題は「雇用保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う厚生労働関係省令の整備等に関する省令案要綱について」です。本件についても、本日、厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛て諮問を受けております。それでは事務局より説明をお願いします。

○雇用保険課長 資料2、「雇用保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令案要綱」について御説明します。資料2-13ページからの諮問している省令案要綱に基づいて順に御説明いたします。

 第1として、雇用保険法施行規則の一部改正です。1番目は最低日額の算定方法です。今般の法律改正によって、賃金日額の下限額が最低賃金額を下回る場合は、最低賃金日額を下限とするという仕組みにしておりますが、その最低賃金日額の計算方法を定めるものです。これについては、一定の地域ごとの額を労働者の人数により加重平均して算定した額、全国加重平均の額に20を掛けるということで、1週間の所定労働時間が20時間が雇用保険の最低の適用基準ですので、その20時間を掛けて、1週間の7で割る計算方法で得た額とするということです。

2番目が個別延長給付の対象となる特定理由離職者の範囲です。個別延長給付の対象となる特定理由離職者は、期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないこと。その者が、当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る。いわゆる雇止めの方です。これにより離職した者とするという内容です。

3番目が、個別延長給付の対象となる者の基準です。個別延長給付の対象となる方については、受給資格者が、次のいずれにも該当することとするということで、12の基準です。1番目の基準ですが、特に誠実、かつ熱心に求職活動を行っているにもかかわらず、所定給付日数に相当する基本手当の支給を受け終わる日までに、職業に就くことができる見込みがなく、かつ、特に職業指導、その他再就職の援助を行う必要があると認められること。かつ、2として、正当な理由がなく、公共職業安定所が紹介する職業に就くこと、公共職業訓練等を受けること、再就職を指導するために必要な職業指導を受けることを拒んだことがないことという基準です。

4番目が個別延長給付の対象となる心身の状況の基準です。難病等の方は、新たに個別延長給付の対象とするということでしたが、具体的に省令で定めるということで、123と定めております。1番が難病で、難治性疾患を有する者であること。2番が、発達障害者であること。3番が、その他、障害者雇用促進法に規定する障害者であることです。なお、この個別延長給付については、障害者手帳を所持している障害者等の就職困難者については、もともと所定給付日数が就職困難者ということで長くなっているということもあり、個別延長給付の対象とはならないものです。

5番目が、個別延長給付の対象となる災害です。この災害は、1つは激甚災害として政令で指定された災害です。2つ目が、災害救助法に基づく救助が行われた災害です。3番目が、2に掲げる災害に準ずる災害として、職業安定局長が定める災害としております。

6番目が、基本手当の支給に関する暫定措置の対象です。特定理由離職者について、特定受給資格者とみなして扱うという措置の対象者ですが、特定理由離職者のうち、期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないこと。雇止めの方が対象となりますので、そこを省令で規定する内容です。

7番目が、地域延長給付の対象となる地域の基準です。次のいずれにも該当することとするということで、5ページ、この地域延長給付ですが、従来の個別延長給付の中の地域要件と呼ばれていたものです。

 昨年の雇用保険部会の議論の中でも、この地域の指定要件について、いわゆるベッドタウンという所が含まれる可能性があるということで、こういう所についても地域の就職の実態に応じたものとすべきという内容で御意見を頂いております。それを反映したものです。その地域を管轄する公共職業安定所において、求職の登録をした者であって、就職をした者のうち、その地域において就職した者の割合が50/100に満たない地域にあっては、当該地域以外の地域であって、就職者の数が最も多い地域が13までのいずれにも該当することの要件を追加するという内容です。

 続きまして、職業安定法の施行規則の一部改正です。1点目、公共職業安定所による業務情報の提供ということです。職業安定法第18条の2の規定による業務に係る情報の提供は、当該、特定地方公共団体又は職業紹介事業者が、公共職業安定所に対し、求職者又は求人者に提供することを求める情報について行うものとすることです。また、職業安定法第18条の2の厚生労働省令で定めるものですが、職業安定法の規定に基づいて、職業紹介事業の全部又は一部の停止を命じられている者及び業務の運営を改善するために必要な措置を講ずべきことを命じられている者とするものです。こういった者以外に提供することになります。

2点目、特別の法人の行う無料職業紹介事業に関する届出です。届出をしようとする法人の役員の住民票の写し及び履歴書の添付を要しないものとすることです。

 第3、雇用対策法施行規則の一部改正については、今般、雇用保険法の改正によりまして、賃金日額の規定等々が改正になっております。雇用対策法の中の就業促進手当については、基本的にこれらの規定と同様の額等々を用いておりますので、そのために雇用対策法施行規則についても改正をするものです。

1番の賃金日額の最低額等の改正については、賃金日額の最低額について4,920円とする。また、就業促進手当の日額の算定に当たって、一定の率を乗ずる賃金日額の範囲になる額について、4,920円以上12,090円以下とするものです。2点目が、最低賃金との関係です。雇用保険法施行規則について、一番最初に御説明した最低賃金日額の算定方法と同様のものです。3点目が、就職促進手当の支給を受けることができる者が、自己の労働によって収入を得た場合の控除額は1,282円とするという内容です。

 そのほか、所要の規定の整備を行うものです。

 第4、施行期日は平成2941日から施行すること。ただし、第11、先ほどの賃金日額の関係、第3、雇用対策法施行規則の改正については、法律と併せて平成2981日から施行するということです。説明は以上です。

○阿部分科会長 本件について御質問、御意見がありましたら御発言ください。

○玄田委員 資料2-2について御質問します。(3)マル2の発達障害者であることという条件ですが、発達障害者とはどういう方であるのか御説明をお願いします。

○雇用保険課長 この発達障害者ですが、基本的には、安定所においてこの判断を行うに当たっては、発達障害であるということの医師の診断書によって、こういう方に該当するかどうかというのを判断するという方法にしようと考えております。

○玄田委員 厚生労働省としては、医師による発達障害の判断基準について明確な基準が存在しているとお考えかどうか教えていただけますか。

○雇用保険課長 発達障害については、平成17年に発達障害者支援法ができることによって、こういったような障害について広く認知をされるようになってきた、いわば障害の中では新しい分野であると思っております。分類としては、恐らく精神障害の一部になるかと思います。そこの判断基準はどうかということについては、発達障害をどういうふうに捉えるか、様々な御意見があるかと思います。それをこの給付の場面でどういうふうに判断するかということについては、やはり、ある程度の権威ある者を拠り所にすることしか方法がないかと思います。その手段として、判断をするのに信頼するに値する者としては、やはり、専門の医師の診断書が一番であるかと思います。

○玄田委員 併せて、(2)の条件の中で「熱心に求職活動を行っている」という文言があります。これは当然こういう給付を検討する場合に重要な判断基準で、熱心な求職活動を行っているかどうか、恐らく、これ自体も公共職業安定所で判断するのかと思います。私自身の経験と知見によれば、熱心さをどう図るかは、いわゆる健常者と、そうでない方については、同一の基準を持つことについては、若干、慎重であるべきだと思っております。つまり、健常者にとって熱心だと見える活動と、発達障害がある方にとっての熱心さが、果たして同じ基準で図っていいのかどうか。しかも、求職活動を行っているかどうかについての活動の熱心さや誠実性を、医療担当者が判断できるかというと、私はそれ自身はかなり難しさがあると思います。

 実際、発達障害ではない、発達障害気味の方が、いわゆるニート状態や引きこもり状態に少なからず存在すると考えております。そういう方がどういうふうに熱心に就職活動に至るかに誘導することが、実は就職の支援者、自立支援困難者にとって重要なスキルであるので、何をもって、発達障害者が熱心に求職活動を行っているとみなすのかというのは、これを続けながら、検討を十分に進めていただきたいと思います。繰り返しますが、熱心さについての基準というのは、恐らく健常者と、そうでない方について、慎重に区分けをしながら考える必要があるのではないかということだけは申し上げておきたいと思います。

○雇用保険課長 熱心に求職活動を行っているかどうかというのは、現行の個別延長給付の中においても同様の要件を設けて判断をしております。

 受給者の中で、熱心に求職活動を行っている方の中で、職業に就くことができる見込みがない場合に、そこが様々な属性によるものである場合については、個別延長給付の対象にするということです。いずれにしても、個別延長給付をしっかり使っていただいて、早期に就職をしていただくことが進むように、施行状況等々についてはしっかり把握をしていきたいと思います。

○阿部分科会長 そういう御意見がありましたので、今後、発達障害に関係する点については、運用しながら、またどういう問題があるのかなども踏まえて、更に検討していただければと思います。ほかにいかがですか。よろしいですか。ほかにないようでしたら、当分科会は、厚生労働省案を妥当と認め、その旨を私から労働政策審議会会長に御報告申し上げたいと思いますが、よろしいですか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは報告文案の配布をお願いします。

(報告文案配布)

○阿部分科会長 お手元に配布された報告文案により、労働政策審議会会長宛てに報告することとしてよろしいですか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告をさせていただきます。

 次の議題は、「労働保険の保険料の徴収等に関する法律の規定に基づき雇用保険料を変更する告示案要綱について」です。本件についても、本日厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛てに諮問を受けております。それでは事務局から御説明をお願いします。

○雇用保険課長 資料3に基づいて、労働保険の保険料の徴収等に関する法律の規定に基づき、雇用保険率を変更する告示案要綱について御説明します。

 最後のページになります。今般の雇用保険法等の改正によりまして、労働保険の保険料の徴収等に関する法律を改正して、平成29年度から平成31年度までの3年度に限定をして、雇用保険の保険料率について2/1000引き下げるという改正を行っております。それによって、平成29年度の雇用保険率は失業給付に係る部分については10/1000になります。これについては積立金を基に計算した弾力倍率が2倍を超えておりますので、変更することができる範囲の4/1000引き下げるということです。併せて、雇用保険2事業についても、弾力倍率が必要倍率を超えておりますので3/1000になるということで、併せて、平成29年度の雇用保険率については9/1000、農林水産業及び清酒製造業については11/1000、建設業については12/1000とするという内容です。以上です。

○阿部分科会長 本件について、御質問、御意見がありましたら御発言ください。よろしいですか。特にないようでしたら、当分科会は厚生労働省案を妥当と認め、その旨を私から労働政策審議会会長に御報告申し上げたいと思いますが、よろしいですか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは報告文案の配布をお願いします。

(報告文案配布)

○阿部分科会長 お手元に配布された報告文案により、労働政策審議会会長宛てに報告することとしてよろしいですか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それではそのように報告をさせていただきます。本日の分科会はこれで終了いたします。本日の会議に関する議事録については、労働政策審議会運営規程第6条により、分科会長のほか、2人の委員に署名を頂くことになっております。つきましては、労働者代表の林委員、使用者代表の吉岡委員にお願いしたいと思います。本日もありがとうございました。


(了)

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