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2017年5月19日 社会保障審議会企業年金部会確定拠出年金の運用に関する専門委員会(第7回)

年金局企業年金・個人年金課

○日時

平成29年5月19日(金)9:58~12:18


○場所

全国都市会館(2階 大ホール)


○出席者

森戸委員長、臼杵委員長代理、大江委員、重富委員、杉浦委員、清家委員、山崎委員

○議題

(1)運用商品提供数の上限・指定運用方法の基準等について(取りまとめに向けた議論)
(2)その他

○議事

○森戸委員長

 定刻より早いと思うのですが、皆さんおそろいですので、ただいまより第7回「社会保障審議会企業年金部会確定拠出年金の運用に関する専門委員会」を開催いたします。

 お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

 本日は、井戸委員から御欠席の連絡をいただいております。

 では、早速議事に入りたいと思います。

 カメラの方、もしいらっしゃいましたら、ここで退室をお願いします。

 

(報道関係者退室)

 

森戸委員長

 まずは事務局から資料の確認をお願いします。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 それでは、資料の確認をさせていただきます。

 本日の資料として、資料「確定拠出年金の運用に関する専門委員会報告書(案)~確定拠出年金の運用商品選択への支援~」

 参考資料1として、本専門委員会の委員名簿。

 参考資料2として、本専門委員会第1回から第6回における意見等の資料でございます。

 資料の不備等、ありませんでしょうか。

 以上です。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 本日は、前回までの議論を踏まえまして、事務局に報告書(案)を作成していただいていますので、まずはその説明をお願いしたいと思います。

 

青山企業年金・個人年金課長

 それでは、資料をお開きください。

 「確定拠出年金の運用に関する専門委員会報告書(案)~確定拠出年金の運用商品選択への支援~」をまとめさせていただいております。前回までの御議論を踏まえまして、取りまとめの案でございます。

 ページをめくっていただきまして、左に目次がありますが、1ページとあるところから本文になっております。まず「1.当委員会における議論の前提」でございます。1つ目のが、確定拠出年金制度、DC制度の目的ということで、高齢期における所得の確保に係る自主的な努力を支援する等のことを書き、後段で、平成28年6月に改正された法律で制度改正を行ったことを書いております。

 2番目ので、法改正の内容としまして、個人型確定拠出年金について、全ての国民に加入可能としたことや、中小企業への制度の普及・拡大の内容、あとは年金資産の持ち運びを拡充の内容を書いております。

 次ので「また」ということで、運用関係の改正を書いておりまして、3行目以降ですけれども、年金資産として高齢期の所得確保に資するべく加入者等の運用指図を支援するための制度改正を盛り込んだと書いております。

 4番目でございますが、運用指図支援の制度改正の内容としまして、提示商品は元本確保型商品の提供義務が外れ、リスク・リターン特性の異なる3つ以上のものを提供するとしたこととか、運用商品提供数に上限を設けること、あとは指定運用方法についての改正ということで、手続規定を設けた上で、加入者が指図したものとみなすことの法律に位置づけや、物価変動リスクを例示して、分散投資効果に資する商品が選定され得ることを示すなどの法改正と書いております。これにより、指定運用方法において分散投資効果が期待できる商品選定を促すことが期待されると書いております。

 次の1ページから2ページ目にわたるパラですけれども、法改正前の企業年金部会の議論の整理におきましては、指定運用方法については、下位法令で定める基準の設定につき、この企業年金部会で議論を行うこととされたことを踏まえまして、商品提供数の上限や指定運用方法の基準の設定を中心に、運用指図をしやすくする等の支援を行う観点から、企業年金部会のもとに本委員会であります確定拠出年金の運用に関する専門委員会を設置して、2月14日から議論を行ったことを書いております。

 次ので、本委員会の議論の参考とするために、金融機関、労使等からのヒアリングをしたことも書いております。

 2ページの「2.本委員会での議論」ということで、本委員会では、指定運用方法の選定基準、運用商品の上限数等について検討することとされており、その検討事項や関係する論点も含めて、3つのフェーズに分けて議論を行ったことを書いておりまして、運用商品選択への支援、運用商品を選択しない者への支援、運用に関する支援強化という3つのフェーズを掲げております。

 「3.運用商品選択への支援」以下で、フェーズごとに整理させていただいております。1つ目が「3.運用商品選択への支援」でございます。2つ目のを見ていただきまして、運用商品提供数の現状ですけれども、2行目以降ですが、企業型年金における実際の提供数は平均18.4本という2017年2月の企業年金連合会の調査を引用して書いております。データは参考資料1につけております。20本超が30%を占めております。

 次のですけれども、3ページに行っていただきまして、DC制度は高齢期の所得確保という目的に鑑みますと、加入者自身が適切に運用商品を選択できるよう支援を行う必要があるということで、法改正前の企業年金部会における議論の整理では、商品提供数について、本数は厳選すべきとの研究を参考に一定の範囲内に抑制してもよいとし、現在の提供数や加入者の選好を阻害しないこと等の観点を踏まえつつ、現場の状況を十分に勘案して決定すべきとまとめられております。これを受けた法改正では、具体的な本数は政令に委ね、今般、本数につきまして本委員会で検討することとしたものでございます。

 3ページの1番目の「本委員会の」から始まる○ですけれども、ここでは、ヒアリングや委員から出た意見について、おおむねのものを紹介しておりまして、本数が多いほど選びにくく、説明ができないので絞るべきという意見や、加入者の選択へのニーズや退職給付という性格にも鑑み、労使の決定を尊重する必要という意見や、商品特性を踏まえて、質の高い最小限の商品が提供されれば十分等の意見を紹介しております。

 次ので、上限の検討に当たっては、本数そのもの以外にも、商品の数え方や商品の除外についても検討が必要であるとされたという論点を紹介しております。また、運用商品の提示に当たって講じる措置についても検討を行う必要があるという論点もここで紹介しております。

 以下、個々の論点ごとに(1)以降で述べております。「(1)運用商品提供数の上限について」でございますが、初めので、まず、企業型年金における上限の検討に当たりましては、加入者みずから指図を行わずデフォルト商品が適用されているという加入者の状況について分析を行ったということで、実際の企業型年金加入者における運用商品提供数と、今、言ったような、不指図の数との相関関係を見たところ、運用商品提供数が36本以上になった場合に、不指図者の割合が急増していることがわかったということで、参考資料2を御参照いただければと思いますが、エビデンスをここで紹介しております。

 3ページから4ページにわたるですけれども、意見としては、商品提供数3040本は多過ぎるとの意見があったのですが、「しかしながら」ということで、4ページに行きますけれども、この調査結果を踏まえ、さらに、政令で定める上限を超えている場合には、超過分につき施行から5年以内に除外を行わなければ法令違反となる点を踏まえると、企業型年金の上限は35本とすることが適当と書いております。

 次ので、本数の話そのものとは別なのですが、2行目ですけれども、上限が設定された場合でも、多過ぎれば選択のしにくさは緩和されない、良質でない運用商品が残ってしまうのではないかという御意見とか、商品の種類や手法ごとに本数を制限すべきではないか、との指摘がなされたということで、上限いっぱいまで設定するということではなく、むしろ、加入者が真に必要なものに限って商品が提供されるよう、運営管理機関と労使が主体的に商品の提供を設定し、または見直していくことが求められる。この旨を周知することと書いてあります。

 その次のですけれども、その際、事業主や運営管理機関等が、加入者に対する忠実義務にのっとりまして、運用商品を厳選するに当たり、1つ目ですが、商品全体のラインナップがバランスのとれたものであること、2番目に、個々の運用商品の質(手数料含む)を十分吟味すること、に留意しなければならないということを書いております。これについて、注が引かれていますけれども、脚注2をごらんください。この中で、商品提供の厳選や説明に当たりまして、アクティブファンドについては、手数料控除後のアクティブリターン獲得の蓋然性について示すべきという意見を紹介しております。

 本文に戻っていただきまして、4ページの最後の下のです。今度は個人型年金のほうの上限でございますけれども、これについてはいろいろ意見を紹介しております。加入者自身で運営管理機関を選択できるので、上限を定める必要がないという意見がある一方、5ページにわたりますが、加入者が自身で運用商品を選択するという点では企業型年金の場合と同様ではないかという意見や、企業型年金の上限がもっと少数であれば個人型を別基準とすることも検討すべきであるけれども、35本であれば同数でよいのではないか等の意見を紹介しております。4行目からですけれども、個人型年金は、多数の勤労者等に加えて、第3号被保険者を対象としていること、また、自身で運用商品を選択する点は企業型年金と共通であることも考慮して、企業型年金のその上限数を参考に、個人型年金についても、35本とすることが適当であると書いております。

 次のでございますが、加入者の行動性向が変化することも考えられるので、加入者の商品選択行動や商品の状況、運用商品提供数の影響などについてモニタリングを行い、5年ですけれども、法施行に伴う経過措置が終了後、一定期間経過後に、法令上の上限を再度検討することが適当であるということも書いております。

 5ページの「(2)運用商品の数え方」でございます。飛ばして2つ目のを見ていただきまして、現在は、指図を行う対象ごとに1本と数えていますけれども、加入者への情報提供とか除外の扱いも含めて考えると、現行どおり、指図を行う対象ごとに数えることが適当であると書いております。

 次のですが、一方、加入者ごとにその年齢に応じて選択するものが一意に決まる、いわゆるターゲット・イヤー型の商品に限っては、ターゲット・イヤーだけが異なる商品をまとめて1本と数えることが適当であると。

 申しわけございません。一つ間違いがありまして、3行目に「ターゲット・イヤー型に限り」とありますけれども「ターゲット・イヤーだけが」と修正して見ていただければと思います。要は、ターゲット・イヤーという終わりの年だけが異なるシリーズものは、まとめて1本と数えることが適当であるということを書いております。

 「(3)運用商品の除外の際に実務上留意すべき事項」でございます。初めのですけれども、上限を上回っている場合や運用商品を厳選し、減らす場合には、6ページにわたりますが、運営管理機関等は必要に応じ、運用している者の同意を得ながらその商品の除外を行う必要があります。

 2番目ので、法改正で除外をしやすくするための同意要件の緩和を行ったことを書いております。

 次の「しかしながら」のパラですけれども、それでもなお、現行は、全員の同意が必要とされていることもあって、実例がほとんどないため、事業主、運営管理機関等は円滑に商品を除外することが難しいとの意見を紹介しております。

 その次のですけれども、この点も踏まえ、除外の際に、実務上、以下の点に留意するということで、必要な周知を図ることが適当であると書いておりまして、留意することとしては、ポツにありますとおり、除外を決定する考慮要素として、信託報酬の水準、運用成績、除外後の構成、手数料、指図者数等を書いておりますし、あとは加入者への情報提供の内容等を書いております。

 これに関しまして、なお書きですけれども、その商品で運用している加入者は、別の運用商品へ運用指図を行う手数料等の負担が生じ得ることに特に留意すべきという意見がありましたので、ここで書かせていただいております。

 「(4)運用商品の提示にあたって併せて講じる措置」は、本数そのものとあわせて提示に当たって講じる措置ということでございまして、1つ目の、2行目ですが、選択をしやすくするためには、運用商品の提示方法が重要ということで、まずは運営管理機関等が、個々の運用商品の選定理由に加え、運用商品の全体構成に関する説明を行うことが適当であると書いております。

 次のですけれども、加えて、個別の運用商品の推奨は禁止されていることとの関係に留意しながら、提示の工夫を促すことが適当であるということでありまして、提示の工夫として、ポツが3つありまして、投資信託の種類、パッシブ・アクティブの区分を示すとか、パッシブを一くくりにして基本、それ以外を応用とする。7ページにわたりますけれども、一覧表の中において、手数料を示す等の工夫を書いております。

 以上が運用商品選択への支援でございます。

 7ページは「4.運用商品を選択しない者への支援」でございます。2つ目のですけれども、DC制度においては、加入者自身で運用商品を選択し、運用を行っていくことが基本でありますが、選択しない加入者は常に一定数存在するため、こういう者に対しては、あらかじめ定められた運用方法(デフォルト商品)を設定することが可能です。法改正後は「指定運用方法」という概念が法律にかかれ、設定することが可能であり、選択しない加入者は法令に基づく手続を経て運用を行うこととなります。

 これについては、3という脚注がついていまして、法改正前にデフォルトを設定していた場合、そのデフォルト商品で運用していたものについては、指図を行った者とみなした扱いをしておりまして、それは新しい改正後の指定運用方法の対象とならず、改正法による指定運用方法の対象は施行日後に加入した者となるということを書いております。

 本文に戻っていただきまして、4の初めの柱書きの3つ目のですけれども「指定運用方法の基準」については省令で定めるということになっていまして、この検討に当たりまして法における指定運用方法の位置づけを踏まえる必要があるということで、法的な整理に沿って議論を行ったことを紹介しております。

 (1)以降をごらんください。「(1)指定運用方法の基本的な考え方と基準について」でございます。初めは考え方から入っておりますけれども、7ページから8ページ目にわたる○でございますが、繰り返しですが、DC制度は、加入者が自己の責任において運用を行う制度でございまして、指図は自身が行うことが想定されております。

 8ページをお開きください。しかしながら、現実には、加入者による運用の指図が行われない場合があるということで、運用商品の選択を行うよう促しつつ、そうした加入者が一定期間運用の指図を行わないような例外的な場合のために、改正法において、運用指図権を保護してみずから運用指図を行うことを促す観点から、特定期間3カ月以上や猶予期間、その後の2週間以上の期間ですが、そういった期間を設けるなどの丁寧な手続規定を整備したことを書いております。その上で、手続を経た後は加入者の指図とみなす効果を有する「指定運用方法」を位置づけております。

 次のですけれども、この指定運用方法については、運用を続ける者が一定数存在することが想定されるので、DC制度の趣旨を踏まえた、高齢期の所得確保に資する運用を目指すものであることが求められるということで、加入者がみずから商品を選択する場合と変わらないということを書いております。

 次の○ですけれども、指定運用方法の基準ですが、改正法第23条の2第2項に定めておりまして、脚注に条文を書いております。

 これにつきましては、DC制度の本旨にのっとった、高齢期の所得確保に資する運用として、指図しない加入者に適用しても適切なものとなるよう、指定運用方法が目指す目的を定めたものと整理しております。ということで、特定の運用商品を指定あるいは除外するというものではなく、法律に書いてあります「長期的な観点」、「物価その他の経済事情の変動により生じる損失」、「収益の確保」といった指定運用方法のあり方を定性的に示したものという整理をしております。

 これにつきましては、前回以前に資料で説明したものがありますので、参考資料3を適宜御参照いただければと思います。あとは注にも書いております。

 9ページをお開きください。ということで、指定運用方法は、次のような基準に照らし選定されることが適当であるということで、3つポツがあります。1つ目のポツですけれども、長期的な観点から、物価、為替相場、金利その他経済事情の変動(価格変動リスク、信用リスク等)により生ずる損失に関し、考慮がなされているもの。2つ目ですけれども、必要な収益の確保の検討に資するため、指定運用方法により見込まれる収益の額については、今、規定した損失との均衡を失することがない範囲で適切な収益が見込まれることが、明らかになっていること。3つ目ですけれども、手数料、信託報酬その他これらに類する費用の額が、期待される収益の額に照らし、過大でないことと書いております。

 以上が指定運用方法の内容の論点でございました。

 「(2)指定運用方法の設定プロセスについて」でございます。今、見ました基準によって、指定運用方法を選定・提示するに当たりましては、労使、運営管理機関等において、法の目指す目的を踏まえて、加入者集団のリスク許容度や期待収益等を考慮・検討しながら、ふさわしい商品を決定することが適当と書いております。

 その際の着眼点として下にかぎ括弧でありますけれども、2つに分けて書いていまして、主に加入者に係るものということで、加入者属性、理解度、加入者ニーズ、想定利回りや掛金額等退職給付における位置づけ等を書いております。もう一つが、商品に係るもの(リスク・リターン特性)ということで、期待収益率、価格の変動の大きさ、元本が確保されるかどうか、最終的に累積投資額を下回る可能性、実質価値の維持可能性、分散投資効果等を書いております。

 次のですが、この場合、リスク・リターン特性が異なる商品、具体的には、元本確保型商品から分散投資効果に資する商品までの様々な選択肢の中から、基準や着眼点に基づき、労使、運営管理機関等で十分にかつ真摯に協議し設定することが適当と書いております。

 その次のですが、手数料に関して書いていまして、手数料等の費用に関連しまして、指定運用方法からほかの商品に指図の変更を行う際に、その解約等に伴い、10ページにわたりますが、手数料が発生する運用商品については、その水準等によって、変更の妨げになる可能性があることにも留意すべきと考えられるということを書いております。

 これにつきましては、手数料には信託財産留保額も含めて書いておりますけれども、信託財産留保額については、脚注をごらんください。前回、これはファンドに残った人がコストをとらないためのものであるので、信託財産留保額というのは本来あるべき姿なのだという御意見がありましたので、それを注記しております。

 本文に戻っていただきまして、10ページの「これらの検討」から始まるパラでございます。こういう検討を行うためには、労使や運営管理機関などが、忠実義務(受託者責任)にのっとりまして、労使については、知見を一層蓄積していくこと、運営管理機関等については、有用な情報をわかりやすく労使に提供することが求められると書いております。具体的には、事業主から加入者属性等必要な情報提供を受けた運営管理機関等が、その専門的な知見を踏まえ、労使に対し、有用なリスク・リターン特性等の情報提供を行うことが適当と書いてあります。この際、運営管理機関等には、判断しやすいよう具体の商品に関し、具体的な運用のパターンや手数料控除後の収益の見込みもイメージしやすいようにするなど、わかりやすい情報提供や提示を行うことが重要と書いております。なお、そのために、運営管理機関サイドの関係者でより客観的な知見の提供のためのルールづくりがなされることが望ましいという前回の意見を紹介しております。

 次のですが、また、本委員会での議論を踏まえてこれらの基準を適用すれば、法改正前より「あらかじめ定められた運用方法」を設定していた場合であっても、従前の運用方法を当然に法改正後の指定運用方法に選定すべきであるということではないということで、各事業主において改めて労使で十分に協議した上で、提示された基準等に沿って決定すべきことに留意することが適当であると書いております。

 以上がプロセスでございました。

 「(3)加入者への情報提供等について」でございます。2つ目のをごらんください。加入者が本来選択するという制度の本旨に変わりはございませんので、指定運用方法が適用されたとしても、11ページですが、個々の加入者が、自身の資産形成状況やライフプラン等に合った投資選択となっているか確認し、適さない商品であればほかの商品を選択することが重要と書いております。

 次は「このため」ということで、まず、運営管理機関等は、加入者に対しまして、みずから商品を選択し運用を行うよう促した上で、改正法に基づきまして、指定運用方法の仕組みの周知とともに、指定運用方法を法令の基準に基づきどのような考えで選定したのかという選定理由を十分に説明することが基本であります。その際(2)に掲げた労使が検討する際の着眼点を念頭に、丁寧に説明を行うことが重要であると書いております。

 次のパラですけれども、また、改正法においては、利益、損失の見込みも情報提供することを求めています。さらに、指定運用方法は、本人が運用の指図を行ったものとみなされるものでありますので、指図権を侵さないよう十分留意する必要があることを踏まえ、加入者保護を徹底し、受託者責任を果たす観点から、次の措置を講ずることが適当ということで、2つポツを書いております。

 1つ目が、施行日後の新規加入者から、指定運用方法が適用される旨を理解したことの確認を得るよう、運営管理機関等に対して奨励することとか、運営管理機関等は、運用により損失が生じた場合には、その責任を本人が負う旨に加えて、元本確保型商品が選定されている場合には機会損失が生じる(投資機会を逃す)可能性があることや、インフレ時に実質価値を維持できない可能性がある旨についても、加入者へ情報提供すべきということを書いております。

 「さらに」のパラですけれども、指定運用方法適用後も、みずから選択して指図を行うことは可能でありますので、資産額通知や継続投資教育等あらゆる機会を利用して、指定運用方法を変更して指図を行うことができることなどについて、継続的な情報提供、働きかけが適当であると書いております。

 これは脚注が引っ張ってありまして、法改正前に設定された「あらかじめ定められた運用方法」で運用する人に対しても、いつでも運用の指図を行うことができる旨の情報提供が適当であることを書いております。

 本文に戻っていただきまして、下から2行目ですけれども、とりわけ、中小企業におきましては、投資教育等における積極的な働きかけが重要であることも付記しております。

12ページをお開きください。これらの今まで見てきたような継続的な情報提供などは、事業主と運営管理機関がそれぞれの役割に従って、投資教育、資産額通知などあらゆる場を用いて、連携して行っていくことが適当であることも書いております。

 以上が加入者の情報提供でした。

 「(4)その他」は、指定運用方法に関するその他のことを書いております。

 1つ目のですけれども、運用責任に関しまして、運営管理機関等の免責について明確化してほしいなどの意見が出されたことを紹介していますが、その一方で、今回の法改正によりまして、加入者自身が運用指図したものとみなすとされたことが一定の意義を有するとの意見を紹介しております。

 次のですけれども、指定運用方法をめぐる議論について、いろいろ議論を整理しております。「また」で始まるパラですけれども、制度の目的や購買力の維持の観点を踏まえれば、元本確保型商品が排除されるべきではないか、あるいは適当ではないのではないかとの意見を紹介しております。

 一方で、勤続年数が短いケースや50歳を超えているケース等、長期投資メリットが十分に得られない場合があることや、労使が設定するに当たりまして、リスクまではとらずにおきたいというニーズに配慮することも不合理なものとは考えられないことから一概に元本確保型商品を排除すべきではないという意見や、労使で主体的に検討すべきという意見を紹介しております。

 次のパラで、また、元本確保かどうかという二分法ではなく、金融論の知見を踏まえながら、投資期間の短期・長期、名目・実質といった切り口から、各商品のリスク・リターン特性を踏まえて決定すべきという意見も紹介しております。

 最後のパラですけれども、この点については、改正法の基準を定めた第23条の2第2項は、指定運用方法の目的を定めたものでありまして、特定の性質の商品を一律に排除するものではないけれども、制度の目的や、加入者属性、商品の特性等の着眼点を踏まえて、労使や運営管理機関等が真摯にどのような指定運用方法がふさわしいかということを考えることが重要であるとの意見も紹介してございます。

 「5.DC制度全体における運用全般の在り方について」でございます。DC全体における運用全般のあり方についても御議論がありましたので、紹介しております。

13ページの「現在」から始まる○でございますけれども、現在の運用状況として、元本確保型が54.4%、投資信託等が45.6%という状況や、デフォルト設定がある企業のうち、デフォルト設定は元本確保型商品が95%等のデータを紹介し、デフォルト設定がある企業の加入者等のうち、デフォルトで運用している人が15%等のデータを挙げております。

 参考資料にデータは載せさせていただきました。

 こういう中で、次のですけれども、現在のデフォルト商品が元本確保型商品に偏り過ぎていることによって、DC全体の元本確保型商品の残高が多くなっているのではないかとの言及があったことを紹介しております。しかし、現在、デフォルト商品で元本確保型商品により運用しているのはDC全体の9%であるということと、また、改正後、指定運用方法の対象となる者は新たな加入者となります。このため、元本確保型商品の残高が多いということにつきましては、DC制度全体の課題として受けとめて、高齢期の資産形成に資する観点から、加入者全体の効果的な運用を支援していくことの重要性を書いております。

 次のですが、この点、加入者の属性等によりふさわしい商品のあり方は異なり得るけれども、長期的な年金運用の観点からは分散投資効果が見込まれるような商品が有用であることが少なくない旨、投資教育などで積極的に働きかけていくことが必要であることも書いております。参考資料で分散投資効果をあらわすグラフを示しております。

 次ので、このため、今回の法改正で継続投資教育を努力義務にしたことも踏まえて、今後、モニタリングを行いながら投資教育の実施率の向上や実効性を高めていく取り組みが必要であると書いております。

 その次のも、継続投資教育の続きですけれども、加入者に対しまして、みずからの資産の運用に関する関心を喚起しながら行うことが必要なので、加入者の意向やニーズを聞き取るなど双方向での意識の共有を図りながら、効果的に実施していくことが求められることを書いております。

14ページをお開きください。最後ですが「6.関係者の取組」ということで、いろいろこれまでの論点を全部、通じました関係者の取り組みについて書いております。

 1つ目のの2行以降ですが、加入者が制度を利用しやすくし、加入者自身による主体的な運用がより促進されるよう、関係者の不断の取組みが重要としております。単に上限数の設定だけでなく、商品の選定、投資教育等々、さまざまな場面においてこれまで述べてきた対応策を含めて、労使や運営管理機関等が創意工夫をして取り組みを行うことが望まれると結んでおります。

 最後の○ですけれども、また、国においても、施行後、機会を捉えて、加入者の運用商品選択の支援という今回の委員会の議論の趣旨が徹底されているかどうか、必要なデータについて把握・確認を行い、その結果を踏まえて、今後ともDC制度が高齢期の所得確保に資する制度となるよう、必要に応じ、措置を講ずることが必要であるということも書いております。

 本文は以上でございまして、参考資料は、今、言いましたということで、適宜参照いただくものでつけておりますので、ごらんください。

 資料は以上でございまして、参考資料で過去の、これまでの議論を整理しましたけれども、時間の関係で説明は省略しますので、適宜見ていただければと思います。

 以上です。

 

森戸委員長

 ありがとうございます。

 ただいま説明のありました資料について、委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。

 なお、本日、御欠席の井戸委員からは、あらかじめ御意見をいただいて反映させております。

 一応、大きく、最初に運用商品提供数の上限の話です。最初に「1.当委員会の議論の前提」とありますが、ここは、基本は大丈夫かなと思うのですけれども、もしあればいただきたいのですが、まずは運用商品選択への支援です。ですから、7ページの頭までのところなのです。要するに、数の上限の話ですが、ここに関して、御意見等がある方からいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。どなたからでも。

 重富委員、お願いします。

 

重富委員

 ありがとうございます。

 報告書(案)の3ページの一番上のの黒ポツで、2つ目のところです。「退職給付という性格にもかんがみ、各労使による決定を尊重する必要」という意見が出されたと記載されておりますけれども、当然企業年金はそのほとんどが退職金制度から切りかえられたものでありますので、賃金の後払いとしての性格を持つ退職給付だと思っております。その内容につきましては、労使での真摯な議論、決定内容が尊重されるべきでありますので「性格にもかんがみ」という表現ではなく「性格にかんがみ」ということで「も」はとっていただきたいというところで、そこの部分が1点御意見ということです。

 以上です。

 

森戸委員長

 「も」はとったほうがいいという御意見ですね。とってもいいかなという気もしますけれども、一応その御意見は尊重して、もし反対意見がなければそういう方向で考えたいと思います。ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 大江委員、お願いします。

 

大江委員

 ありがとうございます。商品数についての議論は、大体固まってきたような感じですので、これに関して、別に数そのものに対して今の段階で異論があるということは全くないのですが、要するに、前回も申し上げたのですけれども、数だけではなくて、その質の問題というのは非常に重要になってくると思います。

 現状、労使で相談して選定して、運営管理機関が提示したものを検討してということになっていますが、例えば実際に運営管理機関が提示しているものの選定理由を見ると、どれを見てもほとんど同じなのです。ということは、本当になぜその企業の、例えば退職給付制度の内容であるとか、あるいはその従業員の特性であるとか、そういったものから鑑みてこういう商品構成にし、なおかつ、その中で最も質の高い商品を選定したのだということに対する選定理由の合理性が、必ずしも今の時点で十分に担保されているかどうかということが問題としてあるのではないかと私は思っているのです。

 そういう意味で、本数の問題はもうこれとして、少なくともそういうことに対する商品の選定理由の合理性みたいなことを、もう少し質を高めていくようなことを、何らかの形でここに入れていただきたいと思っています。

 それは当然、労使の責任でもあると思いますし、そういうことをどこかの段階で組み入れていただけるようにお願いしたいということです。

 

森戸委員長

 ありがとうございます。

 今のはもちろん御意見として承って、かつ、一応、例えば3ページの2つ目ので「提供数の上限と併せて運用商品の提示にあたって講じる措置についても検討を行う必要がある」とか、こういう中に恐らく含まれるのかなと思うのです。それから、恐らくほかのところにも、別に上限、数だけ決めるという話ではなくて、そもそもちゃんと選んでねということは、全体としては反映されているかなと思うのですけれども、大江委員としてはもうちょっと突っ込んで書いてくれということですか。

 

大江委員

 そうです。確かに幾つかのところに、前回を反映されている部分はあるのですが、もう少し、例えば定期的な報告であるとか、そういったこともあればいいかなということです。

 

森戸委員長

 わかりました。それは少し、例えば今の私が言ったのところで書くとか、あるいはこの報告書は割と注などもついていますので注みたいにつけるかとか、それもあり得ると思いますが、検討できるところがあれば、もうちょっと突っ込んで書いたらどうかという御意見で、一応は承っておきたいと思います。ありがとうございます。

 事務局、もし何かあれば、よろしいですか。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 はい。

 

○森戸委員長 では、ほかの数のほうですが、前半です。

 臼杵委員長代理、お願いします。

 

臼杵委員長代理

 今の大江委員の意見に私も非常に賛成で、例えば4ページの2番目の○に、個別の運用商品の質に留意しなければならないということが書いてあるのですが、それをさらに留意した結果を一つ一つの商品について、こういうことで吟味したというのを、個別商品ごとにきちんと説明するようなことをどこかに入れていただいてもいいのかなと思います。

 同じのところで、私がお願いしたのですけれども、注に落とされてしまったのですが、注2のアクティブファンドについては、手数料控除後のアクティブリターン獲得の蓋然性についても示すべきということで、これも今の質の話の非常に重要なポイントで、アクティブファンドについては、余り吟味されずに入っているところがあるのではないかと。

 基本的に、アクティブファンドの運用はゼロサムゲームですので、普通にパッシブを買うのとはちょっと違う非常に高度な注意義務。2行目に忠実義務と書いてありますけれども、より高度な注意義務が必要であって、そこをきちんと留意して選ぶということは、注ではなくて本文のほうにぜひ入れていただければと思います。

 

森戸委員長

 ありがとうございます。

 一応、これは臼杵委員長代理の意見を踏まえて注に入れたのですが、もうちょっと強調すべきだという御意見ですね。わかりました。全体の、御指摘があったとかいう本文だから、どうですか。ちょっと本文のほうに入れられるかどうかは検討したいと思います。

 

臼杵委員長代理

 私としては、マル3として、私が最初に申し上げた3は、アクティブファンドについては、手数料控除後のアクティブリターン獲得の蓋然性について、特に高度な注意義務を要する必要があることとか、そういうことをちょっとお願いできればと申し上げたのです。

 

森戸委員長

 「その際」のところですか。その際、1、2の3として。

 

臼杵委員長代理

 そうです。3としてです。

 

森戸委員長

 3として、本来入るべきだという話ですね。この注2は、そもそもどこについているのだ。

 

臼杵委員長代理

 2行目の運用商品を厳選というところです。

 

森戸委員長

 わかりました。ですから、先ほどの大江委員がおっしゃったことも、お二人から意見が出ましたので、もうちょっとちゃんと選んで、その理由等も明確にすべきだということは、強調して書くような方向で検討してもらおうと思います。注2を本文にするかどうかも含めて、いずれにしても、おっしゃったことは、特にアクティブに関してはちゃんと書けということなので、その御意見は一応承っておきたいと思いますけれども、事務局から今の点はいかがですか。

 

青山企業年金・個人年金課長

 以前もそういう御意見をいただきました。事務局としては、どのような商品であれ、大江委員がおっしゃったように、商品の質をちゃんと考えてもらって、それを説明しなければいけないと思いましたので、より注意義務が必要という御示唆はそのとおりだと思うのですが、特定の種類だけ掲げるのは、それ以外はそうでもなくていいみたいな読まれ方をしてもよくないなので、どうかなと思いました。先生がおっしゃることは、本当にそうだと思うのですが、読まれ方の観点で気になりまして、このような整理にしております。

 

臼杵委員長代理

 私としては、ほかのファンドとアクティブファンドは違うと思っております。

 

森戸委員長

 清家委員、何かその点で。

 

清家委員

 今、先生方から出ている議論に関連して御質問なのですけれども、私は先生方に比べて金融リテラシーがあるとは思いませんので、非常に初歩的な質問になってしまうので大変申しわけないのです。アクティブの問題が今、提起されていますが、これはDC制度で提供されている投信を中心にした商品ということが問題という観点でおっしゃられているのか、一般的に長期投資とか超長期投資とかを含めた、年金運用という観点から見てアクティブというのはよくよく考えなければいけないという観点なのか、そのあたりがどうなのかということです。

 

臼杵委員長代理

 どちらかというと後者でございます。申し上げたように、アクティブというのはゼロサムですので、基本的にプラスアルファを上げるというのは非常に難しい。GPIFも残念ながらあれだけ一生懸命定性・定量評価をしていても、最近はちょっと見ていませんが、余り上げられていないのです。ですから、ほとんどのDBにおいても、恐らくは、基本はパッシブだということですので、一般論としてアクティブファンドというのはかなり注意する必要があると思う。特に手数料を引きますとかなりマイナスになりますので。

 

森戸委員長

 大江委員、何かありますか。

 

大江委員

 皆さんがどの程度、実際にDCにおけるアクティブファンドの内容とかをごらんになっているのかわからないのですけれども、実際にはアクティブと名前はついているし、アクティブ運用しているとはいうものの、上位銘柄で見るとほとんどトピックスと変わらないような、いわゆる手数料の高いインデックスみたいになっているものもあるわけです。もちろん、そうではないものもあります。

 しかしながら、そういうものもあるので、そういうものは排除していくべきでしょうし、そこが十分に吟味されているのかどうかということです。それを私は申し上げたいということでございます。

 

森戸委員長

 臼杵委員長代理がおっしゃったように、別に、そういう意味ではDCに限った話ではないということかもしれませんが、そうなると、もっと根本的なすごく大きな話になりますね。ここはあくまでもDCのお話で、かつ、上限を決める話の中で、それとともにこういうこともちゃんと留意すべきということなので、今の話は余り、そこをいっぱい書き過ぎてもあれかなと思いまして、それで注のほうに落ちた感じもあるのです。

 どうですか。1、2、3として入れるかどうか。ちょっとバランスが悪くなるかなという気もしているのですが、そこだけやたらと。

 

臼杵委員長代理

 抵抗するみたいで済みません。バランスは確かに悪くなるのですが、それだけの、メンションをするだけの意味はあるのかなと。私が大きな話にし過ぎたのかもしれませんけれども、大江委員がおっしゃってくださったように、実態としてもかなり問題が多いということですので、済みません。

 

森戸委員長

 わかりました。どうしますか。そこも最終的なところは、そろそろまとめたいと思います。またちゃんと両委員を含め御相談はしますけれども、いずれにしても今の趣旨を踏まえて何かもうちょっとつけ加える方向では考えますが、そのときに絶対に3になるかどうかは約束できないのですが、それでもいいですか。

 

臼杵委員長代理

 一応その案を見せていただいて、あるいは場合によってはこの場でもう一回見せていただくのかどうかわかりませんけれども、そこで議論させていただければと思います。

 

森戸委員長

 強い御意見があったということは、ちゃんと頭に置いておきますので、その方向で検討はさせていただきます。余りはっきりしたことを言えませんで、済みません。

 ほかの数のほうでは、山崎委員、お願いします。

 

山崎委員

 今の議論の話に私は参戦するつもりは余りないのですけれども、運用の結果が必ずしもインデックスを上回るかどうかわからない金融商品を、あえてこれから選択肢が限られていく中で、選定と提示をする責任が運営管理機関と事業主に関しては重くなるということが指摘されれば、慎重になったほうがいいのだなというメッセージ性が出るのかなという気はいたします。

 私はそれ以外のところで、(2)、(3)と来て、5ページ目以降の除外の実務上留意すべき事項について、幾つかコメントをさせていただければと思います。1点目は、これはもう記載されているので確認ですけれども、労使で話し合うことが本来は望ましいあり方なのだと。法令上は、多分、規約の変更に関しては労使合意が必要だと思うのですけれども、実際にどういった商品を除外するかどうかの細かいところに関しても、規約変更のような合意の義務はなくてもやはり労使でしっかり話し合う体制は好ましいということは、一応触れてあるので、これはいいかなと思います。重要なことではないかなと思います。

 2点目は、除外の留意点という話の中で、運用商品の商品群の、要するに、評価について、定期的なモニタリングが必要みたいなことがどこか適当な箇所に、多分(3)かと思うのですけれども、指摘があってもいいのかなと思います。私は、正直言うと運営管理機関を5年に1回モニタリングして業務評価するという法令改正については、運用商品の状況を5年に1回モニタリングするともっと明確に言ったほうが、今回の法改正はよかったのではないかと思っております。運用商品についてしっかりモニタリングすれば、除外の必然性あるいは追加の必要性みたいな議論はそこから当然発生するということになります。ずっとほったらかしでいいものではないというメッセージがあってもいいのかなということが一つです。

 もう一つは、運営管理機関はもちろん忠実義務と専門的知見に基づいて提案をしてくれるということだと思うのですけれども、そういった運用商品の評価を行うに際して、事業主が必要と感じるのであれば、第三者の知見を求めるということも考えられるのだということです。要するに、投信評価会社の評価を第三者のものとして得る、あるいはコンサルティングの意見を得るという選択肢がありうる。もちろん自分たちで労使が十分な知見があると判断するなら得なくてもいいと思いますけれども、そういったポイントというかヒントみたいなものは、多分(3)は法令解釈で対応する項目かなと一応理解しているので、政省令で載せることではないと思いますが、法令解釈を念頭に置くなら、そういったところのヒントが、定期的なモニタリングの話と第三者の知見の活用という示唆はあってもいいのかなということで、コメントします。

 以上です。

 

森戸委員長

 ありがとうございます。

 原案だと、山崎委員の感じでは、余りそこは、はっきりは書いていないということですか。わかりました。趣旨としてはおっしゃるとおりだと思います。

 

山崎委員

 最終的に報告書に載らないけれども、法令解釈に載れば別にいいのですが、私としてはそういう意見があるということを述べさせていただきます。

 

森戸委員長

 はい。

 

青山企業年金・個人年金課長

 今、言われた御意見の中で、真ん中というか、モニタリングしていくという話につきましては、そのものの表現ではないのですけれども、除外のところではないのですが、4ページの「この点に関し」という9行ぐらいあるパラグラフの後段に、例の上限いっぱいまで設定することではなくて、むしろ加入者が真に必要なものに限って提供されるように、運管、労使が主体的に提供商品を設定し、見直していくことが求められるというところで、不断にいいものを厳選していくという趣旨を書いたつもりなので、いかがでしょうか。

 

森戸委員長

 内容としては、そこをもうちょっと具体的に表現を強める感じで対応しますか。

 

山崎委員

 もしここに、もうちょっとだけと言われたら「また見直していくことが求められる」を「また定期的に見直していくことが求められる」とか、そうしていただければ、趣旨としては明確になるかなと思います。

 

森戸委員長

 それはそういう方向で検討しましょう。もう一つの第三者の知見は、必ずしも明確に書いていないのだね。それは新しい話ですか。それはまた入れられるかどうかも含め検討させていただくことにしたいと思います。

 杉浦委員、お願いします。

 

杉浦委員

 率直な意見を申し上げますけれども、文章として全体的にこなれてなさ過ぎるので、まず、抜本的に検討していただきたいと私は思っています。これまでの議論のなかで、大江委員がおっしゃった話も含め、皆さんがおっしゃっている話の一部一部のソースはこの中に入っているのですが、順序がきれいにまとまっていないのです。

 例えば、上限を決めますという話は、まず、上限を決めました。そのうえで、上限をこういう理由で決めました。そのときにはどのようなことを選択の余地に入れてください。そして、決めた後にはこういったモニタリングをしなければいけなくて、そこでは第三者の意見も必要なのか、モニタリングだけでもいいのかなど、そういう形式で書かれておらず、ぱっと見たときに何をすればいいのですか?という形になっているので、様々なことをうまく並べているのだけれども、順序立てて読める形にはなっておらず、課長から御説明がありましたけれども、文章の作りとしてはどうかなあと考えます。

 また、物事にはステップがあるので、そういう形に整理をしていただかないと、今の御議論もそうですが、ちょっと拡散型になってしまっているのは、そこが大きな理由として、私は懸念していまして、実は、次のページ、6~7ページ、8~9ページ以降になるともっと言いたいことがあるのですけれども、それは別なので委員長の御意向に任せて、そのパートのところでまた申し上げますが、全体的にその拡散型のトーンが強いのが非常に気になっておりまして、ここもそのうちの一つだと思います。

 

森戸委員長

 ステップというのは、本報告書では、とりあえず上限のことは言わなければいけないですね。その後にどうするかというのは、いわば現場で、上限が決まったところで具体的にどのように常に対応して、このファンドの見直し、運用商品の見直しをしていけばいいのかという、そのステップというか、つまり、どのように現場がやればいいのかがわかるような順番で、その時々に考慮することを書いていくような形式で整理すべきだという御意見ですか。

 

杉浦委員

 そうです。まず、そもそも35というのはどういうところから出てきているのかということのもとに、大江委員がかねてより主張されている、35というのは恐らくマックスであって、本来であれば理想的な数はもう少し少ないほうがいい、もう少しというか、少ないにこしたことはないという御主張だったというように、ちょっと言い方が違ったら申しわけないのですけれども、そういったことを言われていると思います。

 そういったことが書かれているべきで、ただ、さらに、各委員からも毎回出ていることですけれども、そのときの質を十二分に吟味することと、きちんと説明ができることということも、たしか、きょう、御欠席ですが井戸委員もおっしゃっていたお話だと思います。

 選んだら、選んだ後でどうすればいいのか。選ぶ際に数え方の議論が出てきますから、数え方が(2)なのはいいのですけれども、その次にどんなものが除外されるのかとか、どんなものがその後、どうすればいいのか。では、選びっ放しでいいのかということではないので、どうすればいいのかというところに除外の話も出てくるでしょうし、また、先ほど山崎委員からもありましたように、第三者等からのモニタリングプラスアルファ第三者による査定といったものも必要なのではないかという御指摘をしていただく。第三者による査定は、もしかしたら選択の段階も必要なのかもしれませんが、そういった順序で文面を整えられればよろしいのかなと思います。

 

森戸委員長

 そうすると、今のお話だと、この(1)(2)(3)(4)という項目自体は、一応そういう順番になっているのだけれども、中身がこちらで言うべきことが前のほうに出てきてしまったりしているのではないかとか、そういう御指摘ですね。

 

杉浦委員

 そういう部分もあります。

 

森戸委員長

 確かに、そこのところで指摘があったことをできるだけ取り入れようとしているものですから、本当はこちらで言うべきだよねというものはあるかもしれません。そうであれば、全体を見直して、ちゃんとこの項目に合った、つまり、最初は上限の話。何で上限がこうなったかを集中して書いて、そうすると、数え方。数え方はいいかなと思うのですけれども、だから、除外と提示に当たって現場でやるべきこと、留意すべきことというところにもうちょっと前のほうを持ってくる感じですか。それは整理の方法を考えます。

 山崎委員、何か。

 

山崎委員

 論文指導みたいな感じになってきたのですけれども、1が長過ぎて、商品群の構成のあり方とか質の管理みたいな話が、上限の本数の話のところに入り過ぎているので、2と3の間とかに、商品の全体の構成みたいな話、4ページ目の真ん中の2つのパラグラフあたりは分けて独立させてしまってもいいのではないかという気はします。

 

森戸委員長

 今のも同じですね。(1)のところは上限の話にもうちょっとシンプルにして、こうしたらいいということに係るような話はもうちょっと後ろに持ってきて整理する感じですか。そのほうがいいだろうと。それは確かにそうですね。

 そういう方向で、もう根本的な御指摘ですからあれですけれども、事務局、それはそのようにもうちょっと全体の推敲はして、項目立ても含めて整理は必要かなと思うのですが、それは対応していただけますか。

 

青山企業年金・個人年金課長

 わかりました。

 

森戸委員長

 わかりました。済みません。まとまりが悪くて申しわけありません。今の趣旨を踏まえて対応したいと思います。ありがとうございました。

 ほかはいかがでしょうか。数のところはよろしいですか。そもそも順番をちゃんと整理しろという御意見もいただきましたけれども、それはきちんとやった上で、それから、いただいた意見も検討して整理をしたいと思います。

 とりあえず時間もあれなので、一応数のところ、内容的には、並べ方はどうかという御意見があったのですが、ほぼ御了解いただいたかなと思いますので、今度は次です。デフォルトの話で、7ページの「4.運用商品を選択しない者への支援」というところ以下に行きたいと思います。

 ここは項目を分けてお聞きしようかなと思っているのですけれども、杉浦委員が既におっしゃったように、ここも整理が、項目がという話はあると思うのですが、最初にが3つあって、それから「(1)指定運用方法の基本的な考え方と基準について」というところで、9ページの頭のほうまで、指定運用方法の選定基準はこういうものが適当であるという、結論的なところを言った話までがここにまとまっているのです。ここで区切って聞いていこうかなと思うのですけれども、9ページの頭の部分の(1)までのところで、何か御指摘とかはありますでしょうか。もちろん全体にかかわる話もあると思うのですが、それはまた改めていただきますけれども、(1)までのところはどうですか。

 臼杵委員長代理、お願いします。

 

臼杵委員長代理

 2点あるのですけれども、先にわかりやすいほうから申し上げると、9ページの最初のの「この点を踏まえ、指定運用方法は、次のような基準に照らし」ということで、長期的な観点から、物価、為替相場、金利その他経済事情の変動により生ずる損失とあって、損失とただ書いてあるのですが、基本的には、老後の所得保障を考えると、実質購買力の損失のほうが重要かなと思いますので、実質価値の損失としていただくか、あるいはもしどうしても名目ということも必要であれば、名目及び実質価値の損失としていただければと思います。

 ちょっと面倒くさいほうを申し上げると、8ページの3つ目のなのですけれども「指定運用方法の基準について定めた改正法第23条の2第2項は」云々と書いてあって、3行目に「指定運用方法が目指す目的を定めたものである。DC制度における特定の運用商品を指定あるいは除外するというものではなく」とあるのですが、これは前回私が自分の意見を申し上げたときに、一応事務局の考えとしてはこういう考えなので、それに基づいて私の意見を申し上げますと。ただ、この点については、後でよろしければ議論をしていただければと思いますというように、議事録にも多分、そう出ていると思うのですけれども、こう考える理由というか、根拠というか、そこをもうちょっときちんと知りたいというか、書いていただきたいと思う。

 いろいろ面倒なことを申し上げて申しわけないのですけれども、この報告書は、もちろん、今回、実際に法律を実務に落としていくときの一つのステップでもあると同時に、DCの運用方法に関する一つの大きなステップ。例えば5年後、10年後にも参照されるようなものになる可能性もあるので、きちんとそのあたりは書いていただければと思います。

 

森戸委員長

 1点目は、それはそういう方向で書いてもいいかなと思いますけれども、名目、実質という話ですね。

 

青山企業年金・個人年金課長

 名目も実質も、いずれもいわゆる経済事情の変動により生ずる損失ということで考えられるものは、あらゆるものがあるという前提で書いてはおります。

 

森戸委員長

 そこはそれで行けるかなと思います。2点目ですね。改正法の23条の2の2項は、目的を定めたものである。確かにこの報告書ではそういう前提になっているので、そこは何でそのように言えるのだということをもうちょっとちゃんと説明すべきだということかと思いますが、そこは事務局から補足というか、説明いただきたいのですけれども、どうしてこのように読むのだという理解をされているのですか。

 

青山企業年金・個人年金課長

 今回、指定運用方法という概念を新しく法律に書き、本人が指図しなくても一定の手続を経てみなされるというものになる。そうした上で、年金制度として適切なものになるようなものを、責任の所在とか位置づけが整備されたものの中で、目的に沿って関係者で設定されるべきという趣旨で法律が書いてあると我々は捉えています。法律で規定した長期的な観点から、損失に備え収益の確保を図るためのものとして、省令で定める基準という形になっていまして、表現上も目的を定めたということは、自然と思ったところでございます。

 

森戸委員長

 要は、文章の書き方かなと思うのですけれども、少なくとも長期分散投資でないとだめとか、元本確保はだめとかは書いていなくてこういう基準に沿ったものでなければいい。

 どうですか。文言解釈かなと思っていたのです。

 

臼杵委員長代理

 そうです。文言解釈なので、法律家の先生のほうが私よりももちろん専門性はあるのです。ただ、文言を読む限りで目的という言葉もなかったですね。目的を定めたものでということもないし、逆に目的であったとしても、その目的に沿わないものは除外してはいけないということにもならないのかなと思います。目的を定めたからこそ目的に沿っているものと沿っていないものを分けてもいいのではないかということです。

 

森戸委員長

 もちろん、目的に沿ったものを選ばなければいけないのではないですか。それはそうではないですか。

 

臼杵委員長代理

 そうすると、そのように「特定の運用商品を指定あるいは除外するものではなく」とわざわざ書く必要があるのかなということ。

 

森戸委員長

 何でしょう。この後のほうの議論につながりますけれども、この報告書では、少なくとも目的というのは、およそ普遍的に決まるわけではなくて、労使の考え方とかも踏まえ得るという考え方だから、絶対的にこういう商品はだめとかいいとかいうところまでは言えないでしょうという趣旨でこれは入っているのかなと思うのです。

 その意味では、ここ自体は別にこういうことでいいかなと思ったのですが、臼杵委員長代理としてはあれですか。

 

臼杵委員長代理

 済みません。余りここで議論をする必要もないのかもしれないのですけれども、目的を定めたという解釈はどこから出てくるのだろうということにもう一回戻るのかもしれません。

 

森戸委員長

 山崎委員。

 

山崎委員

 委員長と委員長代理の議論に割って入ってしまって恐縮なのですけれども、私は、ここの(1)で1点言いたかったことがあります。(1)の最後の9ページに追加で、5ページ目で書かれているような文章に近いと思うのですが、商品数の上限の問題と同様に、一定期間経過後に再度検討することが適当であるみたいな話は、こちらにもあってもいいのかなというのを、いろいろな方とディスカッションしていて指摘があって、それはそのとおりだと思ったのです。

 それを今日は、まずは1点指摘したかったのです。その件を踏まえると、8ページ目で「特定の運用商品を指定あるいは除外するというものではなく」と明言してしまうと、例えばですが、将来議論が成熟してきたときに、QDIA的なものもあり得るとなったときに、逆をいうとこれが引っ張ってしまって、定義ができなくなってしまうのではないかということが気になるので、私はその上の目的云々の議論よりは「指定あるいは除外するものではなく」とあえてここで言い切らなくても、多分、今回の政令の整備にはできると思うので、将来的に、5年後、10年後的にもう少し類型化してあげたほうがいいのではないかみたいな議論があることに少し含みは持たせておいてあげてもいいのかなと思います。

 というのが、臼杵委員長代理の意味もそうかなという感じがいたします。

 

森戸委員長

 当然、一般的に今後、この点を見直す可能性はあり得るとは思うのですけれども、必ずしもそういうことは明確には書いていないですね。ここに書くかどうかは別として、これに関する議論はしなければいけないというのが一般的にあると思うので、今の山崎委員のおっしゃった趣旨は、どこかに入れることは検討していいかなと思います。

 もう一つは、山崎委員はあれですか。特定の運用商品を指定、除外するわけではないというところを、目的云々というよりも、そちらを指定とか除外しているわけではないというところがむしろ余り書くべきではないという御意見ですか。

 

山崎委員

 今回の件としては、それでもいい。議論の整理としてはそうなるわけなのですけれども、将来的な含みを持たせるのだったら、多分、臼杵委員長代理も本当はQDIA的な議論が、もっと今年度は進んでもよかったと。ただ、今年度はそこまでは成熟しなかったので、全ての運用商品のカテゴリーから労使でしっかり議論しなさいということで今回はまとめるという話だと思うのですけれども、そうすると、将来的にそれがステップアップする可能性を残すなら、そちらを1行短くしておけば、将来に対しては少し肩が軽くなるかなという感じがします。

 

森戸委員長

 わかりました。

 どうぞ。

 

諏訪園大臣官房審議官

 この点に関しては、企業年金部会、条文化、国会での審議、さまざまな話がございましたけれども、最終的には、条文では、そういう目的、図るためのものとして定める。その目的それぞれについては、それぞれの幅がある形で条文化しております。

 このことにつきましては、前回に御説明しましたけれども、いわゆるデフォルト商品についてはニュートラルな形で選択できるようにと。経済状況に対応した選択ができるようにしてくださいということで申し上げたので、元本保証がいいとか悪いとか、こちらをお勧めするとかやめるとかいう趣旨で今回の法律改正を考えているわけではございませんと国会でも答弁しております。

 したがいまして、この条文自体の政府の解釈としまして、DC運用商品の枠の中で何かを指定したり除外するものではないということは、国会で明確に答弁しているところでございます。

 

森戸委員長

 ありがとうございます。

 今のは要するに、国会答弁でここに書いてあるようなことは言っているということですね。

 

諏訪園大臣官房審議官

 政府の見解として明確にお示ししたところで、それをもとに具体的に今回の議論をしていただければと思います。

 

森戸委員長

 それでそのままそこにこう書いているのですけれども、大江委員、先に伺います。

 

大江委員

 今のお話は、DCの運用商品全体で言えばおっしゃるとおりだと思いますし、そのことだろうと思うのですが、ここで議論しているのはそういうことではなくて、指定運用方法が目指す目的ですよね。それは何かというと、その前に書いてあることに係ると思うのですが、指図しない加入者に適用しても適切なものとなるようにということです。ということは、要は、理解をしていても行動が起こせない、あるいは十分に理解がされていないままほったらかしになりかねないという人たちに対してどうするのが適切なのかという議論に基づいて、指定運用方法は決まってくるはずなのです。

 だから、運用商品の中で何がいいとか悪いとかいうのは全くおっしゃるとおりで、その議論はする必要がなくて、それは加入者が独自に自分の判断で決めればいいということなのです。例えば12ページにもありますが、3つ目のの中段ぐらいに「指定運用方法の設定に当たり、リスクまではとらずにおきたいという加入者ニーズに配慮する」となっていますけれども、そういうニーズがあるのだったら自分で配分すればいいわけですから、問題はそういうこと自体も余り意識していない人たちが多いということが実態なのです。だとすれば、そこに関しては、最も適切な方法は何であるかということを考えると、GPIFは全部定期預金で運用しているのかといったらそんなわけではないですから、当然、一定のものが適切なものとして決められても、いいと私は思っております。

 先ほど山崎委員のお話がありましたように、私も、毎年は必要ないと思いますが、例えば運用管理機関のレビューとかを5年に1回やるということであれば、それぐらいのタームで見直しをしていくべきでしょうし、事実この制度がスタートした2001年の当時には、それほどターゲット・デートのようなものはありませんでしたし、昨今では、いわゆるリスク限定型のような、リスクバジェットを決めて運用するようなものもあったりします。その商品自体がいいのかどうかはわかりませんけれども、いろいろなものが今後も出てくる可能性がありますし、経済情勢も変わってくるだろうと思いますので、そういう意味では、そこは柔軟にできるようにしておいたほうがいいということです。

 

諏訪園大臣官房審議官

 再度補足いたしますけれども、先ほど御紹介した答弁は、指定運用方法についての答弁で、そこで先ほどのような何かを勧めるとかやめるとかの趣旨で法改正をしたわけではないということを申し上げています。ただ、その上で、労使が一回選んだものを、また定期的に入れかえることがあるのではないかということであれば、それはそういうことなのかなと思ってお聞きしました。

 

森戸委員長

 大江委員がおっしゃったことの、今後もこの件も見直して検討は必要だと。いろいろ運用商品に関する理論なり知識も、レベルもいろいろ変わってくるわけだからというのは、おっしゃるとおりなので、ここに書くかどうかは別として、山崎委員もおっしゃったので、検討はしたいと思います。

 今、事務局から説明があったように、このことが一応法改正の目的なり趣旨として、少なくとも政府の見解としてこういうものだと言っていることは事実で、この委員会もこれを受けて議論していますので、これ自体は恐らくこういう表現にならざるを得ないのかなと。少なくともここでの前提では思います。

 ただ、要するに、この委員会は、これを受けて、省令でどうするかという話を議論していて、その中で場合によっては、省令でもっと絞り込んだ基準を、この目的に沿ったのは、こういうファンドですということを決めることはできたわけですが、そこには行っていないので、将来的に、この目的にかなったファンドはもうちょっと具体的にこういう商品になるということは、別に省令を見直す形で将来でも、今回でも議論できたと思うのです。ただ、今回はそういうことまでは行かなかったということだと理解しているので、そういう意味では、これはこれでもいいのかなと思っているのですけれども、臼杵委員長代理、今の全体でどうですか。

 

臼杵委員長代理

 私は、今の森戸委員長の御発言を伺うまでは、4行目は、審議官のお話はお話として十分よくわかるのですけれども、今の時点で、我々としても、例えば預金を排除する意図は全然ないということの上で、4行目はなくてもいいのかなと思っていたのですが、今の森戸委員長のお話を伺うと、これがあっても、省令でもって、例えば次の、恐らくは9ページのこの点を踏まえ次のような基準という、その基準の中で、より限定的にこういうファンドが望ましいということは、省令レベルでは書いてもいいという理解でいいのですか。

 

森戸委員長

 今、私が勝手に言ってしまいましたけれども、それは別に妨げられなかったのではないですか。私が違うことを言っていたらあれだけれども。

 

諏訪園大臣官房審議官

 一般的には、法律の解釈は国会答弁にも大きく縛られるところがございます。したがいまして、法律の解釈として、先ほどの趣旨で改正したというにもかかわらず、省令で何か絞り込みをしていくということは、一般には想定しがたいというのが我々の考え方でございます。

 

森戸委員長

 でも、DC制度における特定の運用商品を指定あるいは除外するというものではなくというのは、法改正自体がこのことを要求しているわけではないという意味ではないのですか。省令でも指定を除外してはいけないというところまで、法律は言っていたのですか。そこまでは私は読んでいないのです。

 

鈴木年金局長

 よろしいでしょうか。審議官がるる御答弁申し上げておりますが、まさに国会でその点が論点になって、明確にこの条文はそういうことができる条文かということを聞かれた中で、政府から、そういうことを想定した条文ではございませんということが、確定した国会答弁になっております。それにもかかわらず省令でそういうことができるということになりますと、政府が国会答弁と違うことをするということになります。

 ただ、この点について、未来永劫変えることはできないのかといいますと、当然、社会経済情勢あるいは国民の意識、その他のいろいろな変化に応じて適切に対応していくということは、世の中万般の当たり前の話でございますので、その段階でまたこの法律の位置づけをもう一回見直す、議論し直すという中で、法律改正になるかもしれませんけれども、そういった対応をとるということは当然あっていいことだと思います。

 ただし、この23条の2第2項について言えば、今、申し上げたような立法過程と国会での議論が積み重ねられておりますので、それを前提としてお考えいただく必要があるというのが政府の立場でございます。

 

森戸委員長

 言い方の問題なのですけれども、政府の立場はよくわかりました。

 だから、それは目的を定めたもので、特定の商品を指定除外することは、別に当然には言っていないが、ただ、ここの議論でこういう目的に沿って議論したらこういう商品はおのずと除外され得るという議論をすることは別に妨げられていなかったのではないかという趣旨で私は申し上げたので、結果的に、今回はそういう議論まで行かなかったし、そういうことにはならなかったのですけれども、別に政府答弁に沿っても、当然にそれができないということではないと思っているのです。ただ、それはぎりぎりの話なので、そこを細かく議論するつもりはありませんが、少なくともこの表現自体は、こういうことになるのかなと思うのですが、それはいかがですか。

 臼杵委員長代理。

 

臼杵委員長代理

 わかりました。4行目のところは、まさに社会経済情勢の変化になるべくなら柔軟に対応できるように、今の時点では、政府答弁に従うということであっても、4行目はなくてもいいかなという気がしますが、そのあたりは委員長の御判断にお任せします。

 

森戸委員長

 指定除外というものですね。これ自体は政府答弁で言っているから、そこを外すわけにはいかないかなというのが今のところの私の感じです。

 重富委員、何かありますか。

 

重富委員

 先ほど山崎委員からご意見があった点について、私の受け取り方が間違っていたら指摘していただきたいのですけれども、将来的にQDIAの議論になったときに、この文言があることが妨げになるというような、私はそういう受け取り方をしたのですが、仮にもしQDIAという話になると、恐らく法第1条の、個人が自己の責任において運用の指図を行うというところも議論になるのだろうと思っております。その際にはさらに上のところでの議論になると思いますので、この表現があることがQDIAの議論の妨げになるというのは、考えにくいのではないかと思います。

 以上です。

 

森戸委員長

 おっしゃるように、QDIAというもので何をイメージするかにもよると思いますので、法の目的までいじる、QDIAを導入したら法の目的をいじらなければいけないとまでは私は思わないのですが、いずれにしても、将来、指定運用方法の位置づけをどうしていくかというのは、現行法の範囲内で、もしくは局長がおっしゃったように、場合によってはより根本的にこの条文自体の議論もしなければいけないのかもしれません。そういう可能性は別に否定されていないと思うので、とりあえずは、現行法としては、ここまでかなというのが私の感じでありますので、そこはこれを前提にさせていただければと思います。

 (1)のところまでで、それ以外には御意見はいかがでしょうか。

 杉浦委員。

 

杉浦委員

 今の御議論を伺っている中で、8ページ目の3番目のは、それはそうなのかなと思いつつも、もし自由な商品設定をしていいのだという意味で捉えているならば、逆にいうと9ページ目のは、うがって読むとですけれども、臼杵委員長代理もどう読まれるかぜひお聞きしたいところですが、2ポツ目あたりなどをちゃんと見ていると、これはありとあらゆるリスク商品を否定していないかという気がします。

 そもそも、損失との均衡を失することがない範囲で適切な収益が見込まれることが明らかになっている商品などはあるのかというような気がしていて、これを言われてしまうと、多分ですが、恐らくどの方が読んでも、リスクがありそうな商品はやってはいけないのだということになってしまって、商品選定を考えていく上で大きな妨げになるし、逆にいうと、こういう商品を選びたいという選択を阻害するという意味において、もともとの趣旨ともずれませんかというところがあったりするので、ここも一つ、書き方等を考えられたほうがいいのかなと思った部分です。

 

森戸委員長

 上記の損失との均衡を失することがない範囲で適切な収益が見込まれることというのが、この表現だと、要するに、今の話だと、別に元本確保がだめとは言っていないけれども、むしろこちらはリスク商品を否定するような感じで読まれてしまうのではないかということですね。

 

杉浦委員

 明らかになっていると書いてしまっているので、そこがきついかなと思ったのです。

 

森戸委員長

 恐らくそういう趣旨ではないし、この表現も、私もそれこそ素人といったら怒られますけれども、これはどこかからこういう表現を持ってきたのかなと思っていたのです。

 

青山企業年金・個人年金課長

 そういう趣旨ではないです。法律の規定に沿って、かみ砕いて考えると、もともと法律がその他の経済事情の変動によって生じた損失に備え、確保を図るためのものとしてとありますので、損失もいろいろなものがあり得るという中で、それとの関係で一定の収益が見え、しかも、この収益も長期の運用のものなので、短期的に、瞬間的に損をするからということではないのだと思いますので、年金の運用として考えた場合に、最終的にリスク・リターンの関係を見て、一定の収益が見込まれるということを労使で見てもらって、それでみずからの考える収益との関係で判断してくださいという趣旨の基準なので、リスク商品がこれだとできないとか、その逆ということではないつもりです。

 

森戸委員長

 いずれにしても、杉浦委員、その他、よりこの辺を詳しい方に読んでいただいて、余り意味がわからないとか、変なようにとられない表現にはしなければいけないと思うので、何か別の書き方はあり得ると。

 

杉浦委員

 それこそ臼杵委員長代理ともお話ししたいところですけれども、1ポツ目は別に問題はないのですが、2ポツ目は、明らかになるというのは無理ではないですかと私は思っていて、事務局がおっしゃる心持ちも御趣旨もわからないわけではないのです。ただ、現実的な設定で考えるときに、長期であればあるほど本当はますますわからないのではないですか。

 そういうことであれば、私は、その書きぶりは正直、金融のプロの方もいらっしゃる専門委員会の報告書なので、読まれるときにひっかかるのではというイメージを持っているのです。

 

森戸委員長 

 先ほどおっしゃったのは、どちらかというと、明らかになるというよりも、そういうことを検討しろという趣旨だね。

 

青山企業年金・個人年金課長

 各商品が一定の性格、リスク・リターン特性を持っていますので、私も間違っていたらあれなのですけれども、それでリスク・リターンから一定の収益性は、ある程度は見えるのかなと。そういうものをいろいろ見てもらって、みずからの労使が考える収益との関係で判断し得るものという意味で明らかと書いたのです。

 

森戸委員長

 多分、事務局としては、こちらとしてはそんなにすごいことを言ったつもりはないのですけれども、とられ方が、だから、そこは直しましょう。

 

森戸委員長

 臼杵委員長代理。

 

臼杵委員長代理

 今のお話で、2つ目の杉浦委員がおっしゃってくださったように、かなり難しい言葉がいっぱい入っていて、必要なというのは一体どうやって考えるとか、次に、均衡というのはどうやって考えるのだと。その損失と収益は、要するに、どちらも将来のことなのに、どうやって均衡するのだとか、適切なとか、明らかになっているとか、なかなか、何を意味しているのかよくわからないというか、難しいことが書いてあって、私が今、思っていますのは、2ポツは要らないのではないかと。

 1番目のほうに、例えば長期的な観点からの収益及びとかを言ってしまえば、それで収益と損失を両方見ますと。そのぐらいでいいのかなと今は思っています。

 

森戸委員長

 大江委員も御意見がありましたか。

 

大江委員

 ここで書かれていることは、例えば、後半の収益が見込まれることが明らかになっているとなると、そんなものがあるのかという話になるので、それは全くそのとおりなのです。ただ、ここで書いてあることは、要するに、リスクに見合ったリターンしかとれないし、そういうことなのですと。それは上で書いてあることをもう少し別の表現で言っているだけのことなのです。だから、この文章に対してよくよくじっくり読めば余り違和感はないように私も思うのですけれども、ただ、臼杵委員長代理がおっしゃったように、これでは少し持って回ったような感じでわかりづらいというところはあるので、思い切ってとってしまうのも一つの案だと思います。

 もし残すのであれば、もうちょっとわかりやすい言葉に変えたほうがいいかなと。でも、ここで書いてあること自体は、別にそんなに変なことが書いてあるとは、私は全く思っていないのです。

 

森戸委員長

 法律の文章に対応して基準を書いていただいていると思うので、ただ、いずれにしても、ちゃんとおかしくない文章にはしなければいけない。それはちゃんと皆さんの御意見を聞いて直したいと思います。

 事務局、何かありますか。

 

青山企業年金・個人年金課長

 今、大江委員にいただいたとおりで、法律で定めた、損失に備え収益というところをかみ砕いて、損失の関係で、トレード・オフの関係で収益というのは判断されるので、その趣旨を書きたかったものでございますので、表現が確かに一部適切ではないのであれば、それも考えたいと思います。

 

森戸委員長

 特に明らかになっているとか、そういうところが出ましたので、そこも注意して直したいとは思います。ありがとうございます。

 ほかに(1)のところまでではいかがですか。大丈夫でしょうか。

 また全体にもかかわりますので、必要に応じて戻りますが(2)(3)(4)まであるから「(2)指定運用方法設定プロセスについて」のあたりはいかがでしょうか。9ページ、10ページですが、ここで何か特に修文案等も含めてあれば、ここはよろしいですか。

 臼杵委員長代理、どうぞ。

 

臼杵委員長代理

 まず、1つ目のの、その際の着眼点なのですけれども、先ほど大江委員もおっしゃったように、主に加入者に係るものというのは、個々の加入者は、例えば加入者ニーズとかがわからないから指定運用方法に来ているわけですので、ここでイメージされているのは、恐らく加入者全体の平均値とか加入者集団とか、そういうことになるのかなと思うのです。もしそうであれば、加入者集団と2行目にもありますから、そのようにきちんと書かれたほうがいいのかなということが1点です。

 それから、黒ポツの2つ目では、元本が確保されるかどうか、ということが書かれています。それから、その次のに、具体的には元本確保型商品ということなのですが、元本が確保されるかどうかということは、実質的な収益のほうがまずは重要だということからすると、ほとんど意味がないと思います。

 もし預金等を想定されているのであれば、普通に利回りの確定している商品、あるいは預金等利回りの確定している商品とかいうほうが、金融論ですとフィクスト・インカム・セキュリティーズという言い方をするのですけれども、それが普通ですし、前回に申し上げましたけれども、最近ですと、マイナス金利とか、どなたかの国会答弁にも出ていましたが、手数料を控除すると元本がマイナスになってしまう預金とかもありますので、余りこの元本が確保されるということを書くよりは、先ほど申し上げたように、「預金等利回りが確定している商品」と書いていただいたほうがよろしいのではないかと思います。

 

森戸委員長

 ありがとうございます。

 1点目は、そういう趣旨だと思いますので、必要に応じて、これもそういう意味で書いていると思うのですけれども、そこは対応したいと思います。

 2点目はおっしゃることもよくわかります。元本確保型商品という表現、今、おっしゃった元本が確保されるかどうかというのは確かにちょっとミスリーディングな気もするので、おっしゃった利回り云々というほうが正確なのかなと思って聞いていましたが、元本確保型商品という表現は、一応、一般的に使うのかなと思っていたのですが、それもやめろということですか。

 

臼杵委員長代理

 私としては、一般的というか、業界用語という理解です。しかも、預金を入れるのだったら、預金保険等利回りが確定しているとか。今、法律からもこの言葉は消えていますし、10年後とかを見たときにどうなのだろうという感じがします。

 

森戸委員長

 統計データでも、後で出てきますけれども、元本確保型が何%とかいってとっているわけですね。だから、どうなのですか。

 

臼杵委員長代理

 それは今まで、3つのうち1つは元本確保型といって法律に書いてあって、法律で定義されていたということだと思うのです。だけれども、そこにどうなのですか。繰り返しますが、マイナス金利になったらどうするのだとか、手数料を控除したらマイナスになるのだけれども、それを元本確保と言えるのかとか、そういう話も出てきますということです。

 

森戸委員長

 ほかの方、その点の御意見はいかがですか。ほかのところでも、元本確保型と、過去のデータとしてはいいのですか。元本確保型商品というのがね。

 杉浦委員、どうぞ。

 

杉浦委員

 私も臼杵委員長代理の御意見に基本的には賛成で、用語的には、ここは属性とか特性を語っている部分なので、後で出てくる元本確保の商品という意味とはちょっと違っていて、どういう特性で見なければいけないということであれば、金融用語的にはと言ったら変ですけれども、臼杵委員長代理の言われているほうが正しい表現ぶりなのかなという印象があります。

 逆に、ここでも念を押してしまうと、先ほどの明らかという話も同じなのですけれども、何というか、載せられているものだけがオーケーとか、元本を確保しているものがオーケーみたいなようにここでもとられかねないというのが、自由度を促進しているというもともとの趣旨なのに、ここで何かちょろちょろと元本確保を小出ししているみたいな感じが、悪く読む人には悪く読まれがちになるのが気になっていて、ここはとりわけ特性部分ですので、臼杵委員長代理の言われるような形で御修正いただいても、別にさほど構わないのかなと思います。

 

森戸委員長

 大江委員。

 

大江委員

 私も同じ意見です。やはり元本確保型というのは、法律としてDCの世界では長年ずっと使われてきた言葉なので、余り違和感がないように思えるかもしれませんけれども、それは業界の人間だけであって、一般の人にとっては、この前、ヒアリングのときにも出ましたように、保険商品は元本確保だけでも元本保証ではないという、普通の人が聞いたら何を言っているのだろうかみたいなことがあるわけです。

 そういうことで言えば、ここの話は、確かに今、杉浦委員がおっしゃったように、商品としての特性を規定しているということであれば、フィクスト・インカムを翻訳したもので、金利が決まったものとか、固定されたものとか、そういう言い方。ここの部分だけはそのようにしてもいいかなとは私も思います。

 

森戸委員長

 事務局、どうぞ。

 

青山企業年金・個人年金課長

 確かに商品の属性を元本確保かどうかだけで捉えるものではないというのはそのとおりだと思います。ですから、使う場所によるのかもしれませんけれども、実際に元本確保型商品というのは、DC法のみで確かに法令上これまで定義してきたものですが、一定の商品が該当することが明確になっており、実際、それで定着して使われてきて、DCの運用をする中ではおのずと商品は明確なものであるわけで、多分、労使の現場でも、自然な概念、用語なのだと思っております。

 そういうことで、これまでもそういうことを前提にヒアリングなどでも意見を聞いてきましたので、今後の法律で確かに概念としてはなくなるのですけれども、現在の法律の運用状況からすると、ごく自然に該当商品も明確に想定されるような概念ということで、平易に使えるのかなと思って、事務局では普通に書いたつもりでございます。

 

森戸委員長

 現行法では、元本確保型商品とはこういうものですというのが法令上明確になっている。ただ、今度は法改正でそれを、そもそもその定義が要らなくなってしまったから、もうある意味法律上はそういう意味では定義がないという形になるわけですね。そういう理解でいいですか。

 

青山企業年金・個人年金課長

 今、商品提供義務の中で、一本は元本が確保される運用方法を含めなければいけないということで、元本が確保される方法は、政令等で一定の商品の類型を特定しているという状況です。

 その義務がなくなったので、法律上からは消えておりますが、かといって、その商品の概念としてなくなるわけではないのだと思います。商品でそういう類型があるという事実は今後も残るので、確かに将来、未来永劫永久に元本確保型商品と呼び続けるかはともかく、現状ではまだまだ元本確保型商品という表現で、一般的に、万人にわかりやすいもので示せるのかなと思ったところでございます。

 

森戸委員長

 少なくとも着眼点の中の元本が確保されるかどうかというところは、ここはこれからの着眼点の話なので、ちょっと表現を直したほうがいいかなという気がしています。ただ、いわゆる元本確保型というのは、今、事務局がおっしゃったように、これまでこういう商品を指すというものとして使ってきたから、この報告書において元本確保型というのは、それはそのままで生かしていただけたらと私は思うのですけれども、少なくとも何を指しているかはわかるので、そこを区別してもう一回全体を検討させていただいたらと思うのですが、臼杵委員長代理、ありますか。

 

臼杵委員長代理

 ただ、元本確保をもう一回定義するのかという話になります。もちろん定義はあるのでしょうけれども、マイナス金利になったらどうするのですかとか、繰り返しますがそういう話とか、それから、今、課長がおっしゃったように、残るだろうとおっしゃっているし、万人にということなのですけれども、少なくとも万人ではないと思いますし、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、残るのではなくて残すから残るということ。もちろん私もこの報告書の中で元本確保という言葉が必要なパートがあることは重々承知しているわけですが、最終的には委員長の御判断にお任せしますけれども、そういう点からいくと、なるべく9ページのポツの下から2つ目でも、普通の言葉、むしろ万人がわかる普通の言葉で、そちらのほうで通じるのであれば、そちらに直したほうがいいのかなという気はいたしております。

 これ以上この話はやめましょう。済みません。

 

森戸委員長

 元本確保の提供義務が外れたのは、もう施行になっているのでしたか。

 

青山企業年金・個人年金課長

 この運用改善と同じ来年の6月までに施行しますので、まだ施行されていないです。

 

森戸委員長

 すごく嫌われる法律家みたいなことを言いますけれども、現行法上は、今はまだ元本確保型と法律上概念があるのでしょう。

 

青山企業年金・個人年金課長

 元本が確保される運用の方法と表現はまだあります。

 

森戸委員長

 そのような説明でいかがですか。今は少なくとも定義は決まっているから。

 

山崎委員

 ここでちょっと違和感があるのは、着眼点、つまり、指定運用方法としてふさわしい商品を決定するためのチェックポイントなのですけれども、逆にいうと「元本が確保されるかどうか」は余り考慮しなくてもいいというのが、多分、委員長代理や杉浦委員のイメージなわけですね。そうなのだけれども、ここの列挙されている項目が、それをもってよしとするのか、それは余り考慮せずともよいという指摘なのか、それ以外のことも考慮するのかという話が混在している感があると思っています。私だったら、元本が確保されるかどうかというのは削ればいいではないですかという感じです。

 ついでにここで申し上げると、上の「想定利回り」や「掛金額と退職給付における位置づけ」というのは、指定運用方法にふさわしい商品を決定するのに何の要因があるのかがよくわからないと、実は思ったりします。あと想定利回りという用語は、企業年金部会の議論などでも、「議論の整理」を検索してみたのですが、「いわゆる想定利回り」とか、法令上の用語ではないので、言い回しに配慮されています。あえてここはそのまますぱっと言ってしまっているのはいいのかなというのがまずは1点です。

 あとは、想定利回りが高かったら、指定運用方法について、次の商品の特性で、期待リターンも高いものを選んだほうがいいのかもしれないのですけれども、退職給付制度におけるDCの位置づけが、例えばですが、企業年金制度の2割がDCだったというのと、100%がDCだったというのは、そもそも指定運用方法を決めるのに何か影響するのかなとか、考え出すと結構ここの着眼点がいろいろ気になってしまいます。

 私は逆に、商品類型の話よりは、上のほうがむしろ気になってしまったと思って、一言発言させていただきました。

 

森戸委員長

 おっしゃるとおり、想定利回りに関して、別に定義があるわけではないのですが、一応この委員会でも最初のほうに私は確認したのですけれども、一般的には退職給付と、退職金から移った場合に退職金と同じだけに行くための利率という意味で使っているかなと思うのです。

 

山崎委員

 私も、別に理解の誤解があるとは思っていないのですけれども、用語としてそのまま使っていいのですかという確認ぐらいです。

 

森戸委員長

 これは省令ではなくて通知レベルの話だと思いますけれども、実際にそこに書くときはもうちょっとちゃんとこういう趣旨で書いていますというのは、いずれにしても書かないといけないですね。それはそうですね。もうちょっと正確に。

 

青山企業年金・個人年金課長

 これは本当に一般的な用語として書いているだけですので、別に法令上の定義があるわけではございませんので、もし概念が不明確であれば、通知等で書くときには注意したいと思います。

 

森戸委員長

 あとはそもそも元本確保云々をとってしまえばいいだろうというのは、そういう意見もあるのですが、ただ、この委員会では、そこのコンセンサスは得られていないので、考慮要素の一つとしては、一応、この辺に絡む表現は残さないといけないかなと思います。なので、書き方は、先ほど臼杵委員長代理が言った御意見を踏まえてもうちょっと、ここは特に今後の着眼点の話なので、元本が確保されているかどうかという表現は、少し見直して検討する必要があるかなと思っています。

 杉浦委員、お願いします。

 

杉浦委員

 ちょっと追加的な話ですけれども、今、山崎委員がおっしゃっていただいて、私はちょっとほっとしたのは、実は、事前にペーパー案を見たときに、山崎委員と全く同じイメージを私は持っていたのですが、私よりも大江委員とか山崎委員のほうがその辺の言い方はプロだろうから、きっと新しいペーパーが出てくるときには多少直っているのかなと思って期待してきたらそのままだったので、あれ、と思ったのです。

 そもそも今、書かれているこの部分の着眼点が、本当に、報告書として出てくると、それが最優先事項かなと見られるわけでしょうが、実際に本当なのかなというところがあって、どれが一番優先なのかなというところは、私も直近では、その分野だけ研究しているわけではないので思いつかないのですが、着眼点の書きぶりというか置き方は、少し検討の余地が全体的にあるのかなという印象も持っております。

 

森戸委員長

 具体的には、あれですか。今の感じですと、加入者に係るものというのは、どちらかというと、労使の実情に即した要素で、下が一般的にそもそも、運用商品として、デフォルトとしてあり得べきものなのかということになっているのです。だから、杉浦委員とかの感じだと、これはどちらかと言えば順番が逆ではないかという感じですか。

 

杉浦委員

 そうです。

 

森戸委員長

 それはそうかもしれません。本来、この報告書では、労使が指定運用方法は何がいいかを自分の制度なり自分の会社の実情に合わせて選べということなので、ただ、それよりも、本来は商品としてどういうものかということのほうが大事だろうというのもわかりますので、それは結構大事な話と言えば大事な話だな。

 どうぞ。

 

山崎委員

 商品に係るもののところで、私が自分でテキストを書けと言われたら、期待収益率つまり期待リターン、価格の変動の大きさ、つまりリスク、その次が、実質価値の維持可能性。これはいい。最後で、分散投資効果が、要するに、リスクという言葉の若干のアレンジとしてあがってくる。この4点がポイントかなと思うのです。それ以外の2つは要るのかなということ。あとは、逆に、別の視点が1~2個もしかしたらあるのかもなと思って、杉浦委員にもご意見をいただければと思います。

 

杉浦委員

 そこまでまだ思いついていないのですけれども、ただ、言われている意味では、私は、逆にそれはマストだと思われている部分は合意ですが、あとはどうなのですかというところがあって、この辺はいろいろな表現・言葉があるではないですか。ちょっとまだ思いつかない部分があるのですけれども。

 

臼杵委員長代理

 私も、基本的には同じ意見で、4つでもいいのかなと。私は、最終的に累積投資額を下回る可能性という言葉にも事前説明で手を入れたりも実はしているので、要するに、ドル・コスト平均法で元本を下回るかどうかということを、一応原案にも入っていたような気がしたので、それを手直しはしてあるのですけれども、なしでもいいとは思います。

 逆に上のポツでは、一応、これも個人的な意見として、加入者ニーズというのはすごく曖昧な言い方ですけれども、加入者のリスク許容度ということなのかもしれません。想定利回りと掛金等退職給付における位置づけも、これも私は一応、いいかなと思っていたのは、どちらもリスク許容度に影響を及ぼす要因かなと思っていたので、想定利回りが高いとある程度リスクをとるだろうし、掛金等退職給付における、この書き方は別としても、退職給付に対して、例えば公的年金のほうが相当ウエートが高い方であれば、逆にリスクはとりやすいのかなということで、リスク許容度に関係する要因として、特に直す必要はないのかなと思って見ていました。

 ただ、わかりにくいということであれば、これも再検討の余地はあるのかもしれません。

 

森戸委員長

 ありがとうございます。

 この着眼点のところは非常に大事なので、もう一回皆さんにちゃんとこういう書き方でいいかというのは確認しないといけないかなと思います。それはいずれにしても別途やりたいと思います。

 事務局、お願いします。

 

青山企業年金・個人年金課長

 わかりました。補足ですけれども、今、いただいたことで、山崎委員のお話の中で、加入者に係るもののところの最後の掛金額等退職給付の位置づけは、退職給付、いろいろな制度を会社が設けている場合に、DCがどれだけの位置づけを占めているかということによって、そこにどれだけリスクをかけていいのか、そうでもないのか、どれだけ収益を見込むのかというのは、それぞれのお考えがあるというのは、これまでの労使のヒアリング等からもわかっていたことなので、やはり退職給付ですので、そこは欠かせない視点かなと事務局も思っております。

 

森戸委員長

 その書き方も、ちょっと言葉足らずの点もあったかと思うので、そこも含めて、改めてここはやはり、着眼点は大事なので、もう一回皆さんにちゃんと確認して確定したいと思います。

 きょう、一応、全体で御意見をいただきたいと思うので、(2)のところ、特にそのイメージのところですが、10ページの(3)、12ページの「(4)その他」もまとめて、10ページから12ページあたりで御意見があればいただきたいと思います。

 臼杵委員長代理、お願いします。

 

○臼杵委員長代理

 まず、10ページ。今のところの質問なのですが、1つ目のの8行目、労使が判断しやすいよう具体の商品とあります。多分、具体的だと思うのですが、具体的商品に関し、そうすると、また、具体的な運用のパターンという、具体的という言葉が2回出てくるのがどうか。それはよしとしても、運用のパターンは何を想定されているのか。これがよくわからないので、御説明いただきたいというのがまずは1点です。

 どうしましょうか。ほかも申し上げたほうがいいですか。

 

森戸委員長

 先にそれを聞いてしまおうかな。運用のパターンは、確かに何をイメージしているのですか。

 

青山企業年金・個人年金課長

 前回、具体的にどういう商品があるのかとか、その商品を選んだらどのように収益とかが得られるのかなどがわかったほうがいいという御意見もいただいたので、記載したものです。確かに、確定的に、事前に運用結果は見えないと思うのですけれども、この商品性から、これはこのぐらいの運用収益等が見込まれるとか、こういう掛金をとったらこのぐらいが見込まれるとか、そういうことなどを想定しております。

 

森戸委員長

 運用方針かな。方針ではないのかな。

 

山崎委員

 意味合いとしては、「運用方針」のことではないですか。

 

青山企業年金・個人年金課長

 そうなのかもしれないです。

 

森戸委員長

 それでいいのかな。

 いずれにしれも、パターンだとちょっとおかしいですね。

 

青山企業年金・個人年金課長

 表現はちょっと考えたいと思います。

 

森戸委員長

 それは直しましょう。

 臼杵委員長代理、ほかの点を行きましょう。

 

臼杵委員長代理

11ページのの2つ目で、ポツのところが何かすごく、いろいろと難しいと思っていて、まずはポツの2つ目に「運営管理機関等は、指定運用方法の運用に損失が生じた場合」とあって、これもここは損失ばかりをいつも強調されるのですが、そうすると、GPIFのよく損失が出たという批判ではないのですけれども、どうしても短期的な損失回避の運用方法に行きがちになるというのがいろいろな研究でもあるので、ここは前から申し上げているように、普通に収益及び損失とするか、あるいは運用結果についてその結果をとか、できればごく自然に書いていただきたいというのが一つです。

 それから、元本確保型商品で、ここもちょっと私としては、先ほど申し上げた理由で若干気になるということであって、法律は今は残っているとしても、変えても別に悪くはないのだろうと思います。

 元本確保型商品が指定運用方法に選定されている場合には機会損失で投資機会を逃すということなのですけれども、元本確保型商品だけではないですね。低リスクの商品であれば、他の商品でも当然投資機会を逃す。例えば債券ファンドであれば、株式ファンドに投資した場合よりも高い収益を上げる投資機会を逃しているわけですので、そういう意味で元本確保型商品というよりは、むしろ違う名前のほうにしたほうがいいのかなと思います。

 この機会損失という言葉も、杉浦委員がおっしゃっていたかどうかちょっとあれですけれども、若干違和感があり、例えば、逆にリスクの高い商品に投資した場合には、損失を最小にすることの機会損失が生じている。そういう損失をミニマイズする機会を逸しているという意味では、経済学的には機会損失をある意味で生じているということは言えるので、機会損失という言葉よりも、むしろ高い収益を上げる投資機会を逃す可能性があると言っていただいたほうがいいのかなと思います。

 以上です。

 

森戸委員長

 責任をと書いてあるから、結果ですか。運用の結果。

 

青山企業年金・個人年金課長

 その点でよろしいでしょうか。これは前回以前も御説明いただきましたので、ここは特に損失の部分は本当に本人に言っておかないとよくないのでと書いているのですけれども、そういうこともあり、もともとこのの1行目に、そもそも利益や損失の見込みも情報提供を求めていると。それは当然として、特に損失については、マイナスの負担になりますので、その点を特にちゃんと言いましょうという意味で、特出し的に書いています。

 

臼杵委員長代理

 損失というのは、名目ですか。実質ですか。

 

青山企業年金・個人年金課長

 ですから、両方あり得るということで、いろいろなパターンを分けて2ポツ目で書いていると思います。

 

臼杵委員長代理

 その意味で、損失という概念もなかなか難しいところがあるので、私としてはやはり結果でいいのかなと思いますけれども、いかがでしょうか。

 

森戸委員長

 確かに、ここに下のような措置が適当だと書いて、損失が生じた場合にはと書くとすれば、損失とは何ですかというのは定義しないといけないですね。でも、具体的に言うことは、事務局がおっしゃったように、損失といってもいろいろなものがあり得るからということで、結局情報提供する内容は臼杵委員長代理がおっしゃったようなものにならざるを得ないですね。

 

青山企業年金・個人年金課長

 一つの表現の問題なのかもしれないのですけれども。

 

森戸委員長

 それも含めてここのポツの表現はちょっと。

 

青山企業年金・個人年金課長

 現行の通知にもそう書いてあるのです。恐らくリスク性商品を想定して損失と書いてはいると思うのですが、表現はまた考えます。

 

森戸委員長

 どうしますか。これは損失だけ、特に損失が生じた。さらにここは次の処置を講じろという話なのですか。

 

臼杵委員長代理

 繰り返しますけれども、こうすると、どうしてもこれを名目に限ってしまうと、当然こういう通知をしなくてはいけないということになってくると、元本確保へのバイアスみたいなものがどうしても出てくるのかなとは思います。

 

森戸委員長

 どうぞ。

 

諏訪園大臣官房審議官

 一応補足だけ、表現をいろいろ精査する必要があるという御意見だったと思いますが、ここでの趣旨は、現行の法令解釈通知でデフォルトを規約に設定することができるとした上で、しかし、それを選んだ場合には、その損失は加入者が負いますということを言っておかないといけないだろうということで、損失を加入者本人が負う旨を記載しましょうということを通知で書いていたというのが、もともとあった話でございます。

 この委員会では、元本確保型の商品だって、いわゆる資産価値の下落による損失ではなくても、高い収益機会、投資機会を逃す。いろいろ言い方があるかと思いますが、そういうものを逃す可能性があるという性格があるのだから、そういう議論も大事だという話があって、それでは、今回、そういう視点も盛り込んではどうかということで、加えたというので、前回、資料で少し御説明させていただいたという経緯でございます。

 

森戸委員長

 経緯はもうそのとおりで、今回、まさに指定運用方法になると、自分で運用したとみなされるので、運用指図したことになるので、そういう意味では、利益も損失も本人の責任になるのは当たり前と言えば当たり前なのですけれどもね。だから、その当たり前のことは当然として、ただ、情報提供しろということで、特にこれを書いているから、これは、どうですか。表現をこの場合、損失という、でも、今おっしゃったように、前の法令解釈ではそういう書き方をする必要があったけれども、今回は必ずしもあれですね。法の趣旨に沿って、別に、絶対に損失と書いていなければいけないということはないよね。

 

青山企業年金・個人年金課長

 表現は、精査は十分あり得るかと思います。

 

森戸委員長

 そこは今の御意見も踏まえて、もうちょっと、これは全体、元本確保型というのが出てくるところも、臼杵委員長代理がおっしゃったとおりだと思うので、そこも踏まえてもう一回、重要な、ここは情報提供義務みたいなものに事実上なってくる可能性のあるところなので、ちゃんと何をすればいいのかがわかるような表現を詰めたいと思います。そういうことで対応させてください。

 時間も大分迫っているのですが、皆さん、ちょっと時間を超えたりしてもいいのですか。一応最後まで意見は聞きたいと思います。

 

青山企業年金・個人年金課長

 もし委員の皆様がよろしければ、こちらは大丈夫です。

 

森戸委員長

 大丈夫ではないと言われても何も特に対応しませんけれども(笑い)、一応聞いてみただけです。

 

青山企業年金・個人年金課長

 委員の皆様には申しわけないです。我々は大丈夫です。

 

森戸委員長

 もうちょっとやりましょう。

 今、(3)、(4)で聞いているのですが、ほかに臼杵委員長代理以外に。

 杉浦委員。

 

杉浦委員

 ちょっと(2)にかぶる部分もあります。最初の部分で、臼杵委員長代理がおっしゃったところの10ページの一番上のと、あとは11ページの最初のと関連する部分なのですが、実は、この報告書の中に、労使がどうしなければいけないかという部分が余り書かれていないのが気になっております。

 実は、こういった最初のの部分、10ページのでは、こういうことをやることによって、やはり労使ともに選択方針を持っていただきたい。そのための制度として、もともと持っていらっしゃることは間違いないのだけれども、改めてこういう工夫をするので、さらに方針等を精査をしていただきたいというようなものが、表現としてあってもよろしいのではないかと思います。

 もう一つ気になるのは、11ページのもそうなのですが「運営管理機関等は」としたときに、運営管理機関等が促すと言っているのだけれども、これは労使も促さないのですかというのがあって「等」の中にそれを含むという御趣旨で事務局が書かれているのか。そうしたら、私は、この案件は、そもそも主役が加入者の方、そして、労、使、運営管理機関と4者いると思っているので、優先は誰なのですかということを考えたときに、選択の中で大きな影響を及ぼすのは労使というところもあったりするので、全部書くかどうかはともかくとして、もうちょっとそこがはっきりしているほうが、労側、使側の委員の方々も、それぞれのお立場から関与をしっかり深めていかなければいけないとか、責任がということをおっしゃっていたような気もいたしましたので、その辺は大事かなと思いました。

 

森戸委員長

 おっしゃるとおりで、例えば10ページの最初のの頭などは、労使や運営管理機関がこうで、労使についてはとかが一応書いてあって、ただ、全体は、杉浦委員がおっしゃるような趣旨でこの報告書はできているはずなのです。ややこしいのは、一応法令上の義務の主体が運管になっているところがあるので、そこは一応運管で、でも、実質労使の話だよねというところを、それなりに書き分けているのですが、もうちょっと今の趣旨がちゃんと出ていないようであれば、場合によっては運管等になっているところに労使を加えられれば加えるか、もうちょっと今のような趣旨のことをもう一言入れるか。

 それは全体をもう一回後で杉浦委員にも御意見をいただいた上で検討して踏まえるということにしていけばいいですね。

 

青山企業年金・個人年金課長

 おっしゃるとおりです。

 

森戸委員長

 それはおっしゃるとおりだと思います。ありがとうございます。

 ほかはいかがでしょうか。(3)(4)絡みのところは大丈夫ですか。

 臼杵委員長代理、どうぞ。

 

臼杵委員長代理以外

12ページの「(4)その他」のところなのですけれども、先ほど今後の社会経済情勢によっては、例えば指定運用方法を特定の運用商品にしてもいいのではないかという話も少しこの場であったようなこともありますし、の2つ目なのですが、指定運用方法から元本確保型商品が排除されるべきではないか、あるいは元本確保型商品は適当ではないのではないかという意見もあった。これはこれとしてそうなのでしょうけれども、それに加えて、将来的には社会経済情勢及び商品開発等の動向によっては、特定の運用商品を指定運用商品とする可能性についても検討していいのではないかとの意見もあったということも入れてはいかがかなと思います。

 

森戸委員長

 ここの「(4)その他」はその他となっていますけれども、実際は意見もあったというコーナーなので、なるべく皆さんの御意見を反映して表現をもうちょっと入れることはできると思うので、文章は相談しますけれども前向きに検討するということで大丈夫ですね。

 

青山企業年金・個人年金課長

 わかりました。御意見として紹介することを考えたいと思います。

 

森戸委員長

 そこは検討したいと思います。

 大江委員。

 

大江委員

11ページの2つ目のの最初のポツです。「施行日後の新規加入者から、指定運用方法が適用される旨を理解したことの確認を得るよう、運営管理機関等に対して奨励」とあります。もう一つ、同じページの最後には「加入者に継続的な情報提供や働きかけを行っていく」と。当然、指定運用方法が適用された後も引き続き、指図を促すようにするという趣旨からこういうことを書かれていると思うので、これは全く異論がないのですけれども、だとすると、私は最近、特にDCのガバナンス的なことに物すごく関心があるものですから、例えば加入者の人による自分の運用内容を定期的に確認するということです。

 指定運用方法に入ってしまっている人も、そうではない人も、ちゃんと自分で選んでいますか。それをわかっていますかということを、定期的に確認書をとるとか、そういったことなども、ちょっと一文を今回は入れてもいいのかなと思っています。

 

森戸委員長

 そのようには書いていないですか。一応、指定運用方法になっている人も含め、定期的にちゃんと運用は本来してくださいということは言ってくださいという趣旨は、全体としては出したつもりでした。

 

青山企業年金・個人年金課長

11ページの一番上の3行とかでも、常に指定運用方法が自分に合っているかという趣旨で書いていまして、合っているかを確認しようという趣旨は込めているつもりです。ただ、おっしゃっているようなことは、重要だというのはそのとおりかと思いますので、何か工夫はできるかと思います。

 

森戸委員長

 どうぞ。

 

大江委員

 というのはなぜかというと、そういう確認書をとって理解度が高まっていくということは、事業主の人にとっても、継続教育とかをずっとやっていく上での一つのモチベーションになるというか、そういうところもあるかなと思いますので、何かそういうことをやることを、そんなにしょっちゅうやる必要はないと思います。3年か5年に1回ぐらいでいいと思うのですが、考えてみたらどうかということです。

 

青山企業年金・個人年金課長

 あとは、全然場所が違って恐縮なのですけれども、そういう意味では13ページで、それが近いのかもしれないのですが、一番下のの最後のパラの3行目の加入者の意向やニーズを聞き取るなど、双方向でということも、委員がおっしゃった趣旨にある程度即しているのかなと思います。これで十分かというのはもちろんあるかと思いますので、精査したいと思います。

 

森戸委員長

 ちょっとその場所も含めて、また御意見をいただいて、そういう趣旨を反映したいと思います。ただ、確認書をとるとかいうと大変な話で、もともとデフォルトで何もしない人をどうするかという話だから、何もしないのに確認書だけくれるとも思えないので、もうちょっとうまく、奨励するというような感じでここでも書いていますけれども、書き方は工夫しますが、おっしゃった趣旨はなるべく取り入れたいと思います。

 ほかにいかがでしょうか。(3)(4)のところはよろしいですか。

 「5.DC制度全体における運用全般の在り方について」、「6.関係者の取組」、あとは資料なのでそこはいいかと思いますが、全体を含めて、指定運用方法のところで、ぜひきょう、言っておきたいということがあればお伺いしたいのですけれども、最後の部分と全体でいかがでしょうか。

 重富委員、お願いします。

 

重富委員

 ありがとうございます。私からは、13ページの3つ目のです。前回も発言したのですけれども、長期的な年金運用の観点からは分散投資効果が見込まれるような商品が有用であることが少なくない旨、積極的に働きかけていくことが必要だと記載しておりまして、やはり加入者の年齢とかリスク許容度とか、保有している資産の状況などによって、長期的に分散投資効果が見込まれる商品が必要かどうかは異なると思っておりますので、投資教育などで積極的に働きかけていくと記載されておりますけれども、全ての人にとって有用であるかのように喧伝するべきではないのではないかというところを申し上げておきたいと思います。

 

森戸委員長

 御意見としてはわかりますが、ただ、一般的にこういうことが言えるであろうと。加入者に対して投資教育で積極的に働きかける。確かに、別に、だから、絶対にこういう商品にしろという趣旨で書いているわけでもなくて、広い意味では教育をちゃんとして、こういうことを理解してもらってくださいというところが主だと思うので、書き方はもう一回検討しますけれども、一応こういうことが全くおかしいということでは恐らくないと思うので、そこは相談の上、もう一回ということで、していただければと思います。ここについて御意見があったということで、それはちゃんと頭に置いておきたいと思います。

 ほかはいかがでしょうか。

 どうぞ。

 

山崎委員

 細かい話で、総括のお話なのですけれども、12ページから13ページにわたるここで、企業型DCを念頭に、DBとともに普及しているという話が書かれていますが、せっかくですので、もう一度、ことしからはiDeCoが全ての国民の自助努力の資産形成として機能して、これも重要な役割を今後、担っていくだろうぐらいのことは、まとめ文のところでもう一言あってもいいかもしれないなと思いました。細かい話で恐縮です。

 

森戸委員長

 ありがとうございます。

 それは検討したいと思います。

 杉浦委員、お願いします。

 

杉浦委員

 まず、この報告書の最後に「6.関係者の取組」というところで、モデレートに流している感じはいいのですけれども、報告書なので、最後に全体として一致した部分については、きちんとした結論といったものを書くべきではないかと私は思っています。

 くどくなりますが、多分、35本が大体という話は、ほぼここで皆さんで合意を見た点でもありますし、また、その他の点も幾つか、本日も、いろいろ議論したので整理がとれていませんが、全体的に各専門委員の皆さん方で、当然のことであるのは、分散投資が適切なのだということの合意はとれていて、そういったことであるとか、何か一定の方向性が望ましいというような意見があったとか、せっかくの委員会なので、運管の方たちも含めて、今後やるべき方向性について指針、方針になるようなことをきちんとまとめてあげないと。それぞれのの項目はいいのですが、読んでいくと重なっている部分もありますし、少し整理したところを最後にきちんと1ページぐらいにまとめるという作業をもって、いかにも役所がつくった報告書らしくきちんとおさめるという形がいいのかなと思っています。

 

森戸委員長

 どうするかは考えますけれども、杉浦委員のイメージだと、最後に、だから、別項目で、今回の一致を見た点は、例えばこういう点であるみたいな感じでまとめて書いたほうがいいのではないかと。全体のまとめというよりは、後ろに書く感じですか。

 

杉浦委員

 そうです。全体のまとめを後ろに入れるというか、そういう感じで、そこが恐らくですけれども、政省令とかを書いていく中の、一つの政省令の方向性といったものが見えてくる形であればよりいいわけですし、従来この委員会の中でも、各委員の中からもお話がありましたように、なるべくならば最終的な報告書の中に、我々の中でいろいろ議論させていただいた議論の内容で、今後出てくる政省令の方向性がある程度見えてくれば望ましいねというお話はあったと思います。

 政省令のなかに、これと同じ文章が出てこいとか、そのものが出てこなければいけないというのは無理であるでしょうが、方向性が見える形にし、仮に最終的に出てくる政省令そのものが違うものであったとしても、我々としてはこれを示唆したのだということが見える形であることが望ましいかと思った次第です。

 

森戸委員長

 わかりました。検討はしますが、政令に書く何本というのは、おっしゃるように前のほうでも触れていますし、そこも一応、例えばみたいな感じではあるのですけれどもね。ただ、この報告書だと、必ずしも特に指定運用方法のほうですが、いわゆる通知レベルに落とす話と、省令にどう書くかというところを、まだなかなか省令がこういう文章になりますみたいな感じでは示せない。それは事務局との相談なので、どのぐらいまとめとして書けるかはもうちょっと検討しなければいけませんが、御趣旨はよくわかりますので、なるべく前向きにそういうまとめを、恐らくこういう報告書の作法も厚労省の作法もあるかと思うので、それに沿う形で、御意見を入れてなるべく検討はしたいと思います。

 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。

 重富委員、どうぞ。

 

重富委員

 確認させていただきたいのですけれども、本日の議論を受けて、今後の進め方みたいなところで、どのようなイメージを持たれているのか。本日で意見を聞いて終わるのか、あるいは、次回の議論があるのかを確認させていただきたいと思います。

 

森戸委員長

 そこはまさに、今回、どういう話になるかで、いろいろ御意見をいただいていて修正の必要はあると思いますので、これでいいですねというわけにはいかないと思うのですが、ただ、いろいろ、今後のスケジュールもあるので、今、いただいた御意見を全部踏まえて事務局で修正案をもう一回つくって、皆さんにもう一回もちろんお諮りします。

 そのときに、もう一回この会議を開くかどうかも含め、一任いただけないかなと思うのです。場合によっては、今の御意見を取り入れて、報告書に大体これでいいですかといって確認をとれるようであれば、もうこれで取りまとめて、この会議を開かないということもあり得るかなと思うのですが、そこも含めて御一任いただけたらありがたいと思っているのですけれども、皆さんからの御意見はいかがですか。もう一回開いたほうがいいだろうと。

 どうぞ。

 

杉浦委員

 これは本当に委員長にお願いですけれども、もう一回は必ずやっていただきたい。きょうの論点の中では、結構いろいろなものが出てきて、報告書の中身の方向性をよりクリアにするとか、よりメッセージ性を明らかにする部分にも該当しているわけです。もちろん、委員長を信用しているとかいないとか変な話をしているわけではなくて、私としては、本日で座長取りまとめではなくて、再度委員全体が確認するという意味でも、あともう一回あってもよろしいのかなと。

 恐らく時間的なものなども厚労省は気にされているのかなとは思いますけれども、省令とかは法制局の審査が必要な政令と同時交付になるということから考えれば、まだ交渉するに当たっても時間が多少あるのではないかと思っていて、そこを考えても、全体の納得感を得るためにも、あと1回分は必要かと思います。

 その辺は強くお願いしたいところでございます。

 

森戸委員長

 ほかの委員の方はいかがですか。

 臼杵委員長代理。

 

臼杵委員長代理

 私も、杉浦委員のお考えに基本的には同意していまして、かなりいろいろなことがあったので、またこれをメールとかでやりとりすると、同時進行的なことになってしまって、私はここを切ったのにいつの間にか直っていたとかいうことが結構あるのかなというところがあるので、一度完成版の案を全員で確認するという場は必要なのかなという気がします。

 

森戸委員長

 私もきょう意見が出た感じだと、これで一任でまとめると結構暴君だと思っています。

 

(一同笑い)

 

森戸委員長

 正直なところを言うとそういう感じなのですけれども、事務局はそれでもいいのですか。

 

青山企業年金・個人年金課長

 委員長を初め皆様の御意見でございますので、その方向でまた調整したいと思います。

 

森戸委員長

 わかりました。ありがとうございます。

 私もそのように思いますので、きょうの御意見を踏まえてもう一回事務局に御迷惑をかけますけれども、私ももちろんやりますが、皆さんにも御意見をいただいて修正案をもう一回つくりまして、その案をまた皆さんにお諮りして、もう一回。ただ、スケジュール的にも次は決めたいと思いますので、それまでに申しわけないのですが事前になるべく早く皆さんに原案を諮りたいと思います。もちろんその前にも調整しますけれども、ぜひ次回はまとめるという感じで対応いただけたらと思います。

 そういうことで、今後、必要な修正を行って、もう一回この委員会を開催するという方向で対応したいと思いますので、事務局でスケジュールの調整と、修正案のほうの対応を申しわけないのですがよろしくお願いいたします。

 事務局から、連絡をお願いいたします。

 

青山企業年金・個人年金課長

 内容と日程の調整をいずれも事務局で委員の皆様とさせていただきますので、どうかよろしくお願いいたします。

 

森戸委員長

 ほかによろしいですか。

 済みません。時間を超過した上に、きょう、まとめ切れなくて、委員長として大変な不手際で申しわけない。おわびいたしますが、次回は何とか決めたいと思いますので、御協力をどうぞよろしくお願いいたします。

 本日はこれで終了ということでよろしいですか。

 

青山企業年金・個人年金課長

 大丈夫です。

 

森戸委員長

 ありがとうございました。


(了)

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