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2017年3月13日 第101回労働政策審議会安全衛生分科会

労働基準局安全衛生部計画課

○日時

平成29年3月13日(月)16:00~


○場所

厚生労働省 省議室(中央合同庁舎第5号館9階)


○出席者

委員:五十音順、敬称略

明石 祐二、栗林 正巳、勝野 圭司、袈裟丸 暢子、杉山 豊隆、角田 透、土橋 律、
中澤 善美、中村 聡子、中村 節雄、縄野 徳弘、三柴 丈典、水田 勇司、村上 陽子、
最川 隆由、山口 直人、山岸氏(岡本委員代理)

事務局:

田中 誠二 (安全衛生部長)
宮本 悦子 (計画課長)
野澤 英児 (安全課長)
武田 康久 (労働衛生課長)
塚本 勝利 (産業保健支援室長)
奥村 伸人 (化学物質対策課長)
穴井 達也 (化学物質評価室長)
木口 昌子 (環境改善室長)

○議題

(1)労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱について
(2)労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案要綱及び特定化学物質障害予防規則等の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(3)その他

○議事

○土橋分科会長 定刻になりましたので、ただいまから「第 101 回労働政策審議会安全衛生分科会」を開催いたします。本日の出欠状況ですが、公益代表委員は桑野委員、城内委員、水島委員、労働者代表委員は青木委員、使用者代表委員は岡本委員が欠席されております。なお、岡本委員の代理として JFE スチールの山岸様が御出席されております。また、三柴委員は遅れて出席されるという連絡が入っております。

 傍聴の方へのお願いですが、カメラ撮影等はここまでとさせていただきますので、御協力をお願いします。それでは、 1 つ目の議題に入ります。議題 1 の「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱について」、こちらにつきましては、前回からの引き続きの審議事項、資料も同一です。何かございますでしょうか。

○栗林委員 本諮問案件について意見を申し上げます。産業医制度等に係る労働安全衛生規則の一部改正について、先日来、時間を頂き議論を重ねてまいりました。内容につきましては、既にこの情報提供を労働者に対する健康管理対策として実施済みの事業者も多く、また、それを踏まえた施策を独自に行っている企業も相当数存在しています。さらに昨年末に厚生労働省から出されました「「過労死等ゼロ」緊急対策」に資する観点からも、これを妥当と判断いたします。

 ただし、施行の予定日まであまり時間がなく、また、年度をまたぐことにもなるため、これから新たな準備に取りかかる現場で、十分な体制を整えられるのか、少なからず懸念をもっています。今後、行政におかれましては、十二分な周知活動と職場への配慮をお願いしたいと思います。以上です。

○土橋分科会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、当分科会としましては、議題 1 の産業医制度関係の「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱」につきまして、妥当と認めることとしてよろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし )

○土橋分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局で手続をお願いします。次の議題に移ります。議題 2 「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案要綱及び特定化学物質障害予防規則等の一部を改正する省令案要綱」 ( 諮問案件 ) について、事務局から説明をお願いいたします。

○穴井化学物質評価室長 化学物質評価室長の穴井です。私から説明させていただきます。今回、委員の皆様方にお諮りする事項は、主としてプラスチック繊維、ゴムなどに難燃助剤として使用されている三酸化二アンチモンの規制についてです。資料 2-1 がその政省令の改正要綱ですが、内容につきましては資料 2-2 を用いて説明させていただきます。

 資料 2-2 1 ページを御覧ください。今回の規制案は、図では 3 段目にありますラベル表示、 SDS 交付、リスクアセスメントの実施について義務化されていた三酸化二アンチモンを 2 段目に移しまして、特定化学物質障害予防規則、いわゆる特化則の対象にし、それに応じた措置を義務化するというものです。

2 ページ目は、リスク評価、労働者の健康障害防止措置に係る有識者の検討会の報告書の概要を掲載しております。物質の性質等というところにありますように、三酸化二アンチモンは、主に難燃助剤として様々な分野で使用されている金属酸化物で、形状は白色の結晶性粉末です。平成 23 年度のデータで、年間 500kg 以上を取り扱っていると報告のあった事業場は 360 事業場ありました。国際がん研究機関( IARC )における発がん性分類は、人に発がんの可能性があるとされる 2B です。健康障害防止措置検討会の結論としては、特化則の「管理第 2 類物質」とすることとし、作業環境の測定の実施や発散抑制措置等の措置を講じること、製造炉関係のかき落とし作業、湯出し作業については特殊な作業管理を行う必要があること、さらには、人に対する発がんの可能性があることから、作業等の記録を 30 年間保存することが必要であるとされました。

3 ページです。本日お諮りする改正案の概要を記載してあります。まず政令では、三酸化二アンチモンを特定化学物質の第 2 類物質に追加します。この結果として、作業主任者の選定、作業環境測定の実施、特殊健康診断の実施が義務付けられることになります。また、配置転換後の特殊健康診断を行うべき有害な業務にも追加されます。

 次に、省令である特化則では、三酸化二アンチモンは、人に対する発がんの可能性はありますが、大量漏えいによる急性中毒を発生させるものではありませんので、管理第 2 類物質に追加されます。

 このことにより、技能講習を修了した作業主任者の選定、作業環境測定の実施、特殊健康診断の実施を義務付けるとともに、局所排気装置等の設置、関係者以外の立ち入り禁止、洗浄施設の設置、保護具の備え付け等や、作業環境測定の結果や健康診断の結果、作業記録等を 30 年間保存が義務付けとなります。さらに、※が付いている部分ですが、樹脂等により固形化された三酸化二アンチモンを取り扱う業務を、これらの規則の適用除外とします。また、製造・取扱いにおいて特殊な作業管理があることも規定してあります。

 以上の規定につきましては、必要な周知期間を設けた上で、なるべく早く施行する必要がありますので、平成 29 6 月から施行することを原則としまして、局所排気装置等の設置や、作業主任者の選任等については、猶予期間を設けることとしております。

 次の 4 ページからですが、ここからは特殊な作業の管理の内容について説明してあります。三酸化二アンチモンの製造炉においては、製造炉における風量等が三酸化二アンチモンの品質に大きく影響するという特殊性があり、製造炉には局所排気装置の設置は事実上できないことから、製造炉に付着した物のかき落とし作業、滓取り、ノロ除去等の湯出し作業については、その右にある○に書いてある 3 つの項目、 1 つ目の除じん装置付きの全体換気装置を設置して有効に稼働させること、 2 つ目の労働者に有効な呼吸用保護具及び粉じんの付着しにくい作業衣を着用させること、 3 つ目の当該作業に従事する以外の労働者の立入禁止、また、その旨の掲示を行わせるという、この全てを行わせることで、局所排気装置等の設置を要しないこととしてあります。

 また、当該作業場は局所排気装置等の設置ができず、場の環境改善ができないことから、作業環境測定の適用除外としております。

5 ページです。三酸化二アンチモンは粉状物質であり発じんしやすいことから、床、窓枠、棚等は掃除のしやすい構造として、毎日 1 回以上の粉じんが飛散しにくい方法で掃除すること。また、使用した工具、作業衣等は粉じんを除去した後でなければ、作業場外へ持ち出すことができないこととしております。その下ですが、粉状のものの発じんを防ぐために、湿潤な状態で取り扱う場合がありますが、その場合は局所排気装置等の設置は必須ではありませんが、作業環境測定、特殊健康診断等は必要となるという内容になっております。以上が改正案の概要です。御審議をよろしくお願いいたします。

○土橋分科会長 それでは、ただいま御説明いただいた要綱案の審議に移ります。質問等はありますか。

○袈裟丸委員 意見です。今回の諮問内容については、有識者による検討会におけるリスク評価を踏まえたものであること、また、何よりも今回の対策強化で、当該化学物質を取り扱う労働者の安全衛生向上に資することと考えられますので、賛成の意を表明したいと思います。なお、当然のことではありますが、今回の対象物質である三酸化二アンチモンを製造している 3 社はもとより、これを取り扱っている 360 事業所も含めて、今回の改正内容が十分に理解され、労働者が保護されるよう、適切な周知をお願いいたします。以上です。

○土橋分科会長 ほかにはいかがでしょうか。

○勝野委員 今回の報告書及び検討結果では、三酸化二アンチモンを使った製品の製造過程や、練り込まれた成形状態を想定したものになっていると思います。用途の例を見ますと、耐火性を高めるものということで、塗料やほうろうにも使われているとされていることから、建設現場でも使用されていると想定されます。実際に建設現場で、新築や解体や改修時に、こうした三酸化二アンチモンが含まれた成形状態の建設資材を切断、または、破砕、粉砕した際に、建設従事者への健康被害が懸念をされるわけです。こうした健康被害等について、どういったことを想定されているのかをお聞きいたします。また、廃棄物への危険性や取扱い等について、併せて見解をお聞きしたいと思います。

○土橋分科会長 事務局、いかがでしょうか。

○穴井化学物質評価室長 三酸化二アンチモンのリスク評価に当たり、建築物の解体時に、建物の塗料あるいは便器等が破砕されることによって、三酸化二アンチモンが飛散するというような文献情報とか有識者の意見はありませんでした。その後、さらに確認したところ、塗料については限られた一部の構造物、特殊な構造、鉄骨が剥き出しになるような構造物の鉄骨部分に耐火塗料として使われている例があるということを聞いております。建築物の解体時において、塗料を除去したり、鉄骨を粉砕したりということはないため、建築物の解体時において塗料に使われている三酸化二アンチモンにばく露する可能性は低いと考えられます。

 また、便器等というのも考えられるのですが、現在便器について、ほうろうは使用されていないということで、そういったものが破砕されたとしても、三酸化二アンチモンは、そもそも使われていませんので出てこないということです。

○土橋分科会長 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。

○角田委員 自分の経験から申し上げます。私は三酸化二アンチモンの専門家ではありませんが、この物質は工業的にもいろいろな分野に使われる、あるいは使われる可能性があるとのことです。労働者の健康と安全は必ず確保されなければならないことですから、法の施行に当たってはきちんとやっていただくのが大変重要と思います。今、勝野委員や袈裟丸委員などから御質問や御意見がありましたが、想定できるいろいろな事態に対して柔軟に対応できる姿勢でお願いできれば、それでよろしいと思います。科学がどんなに進歩しても、やはり分からないところは残るわけで、それはそれで適切に対応することとし、新たな知見が見いだされたならば、またそれに対応して行く、ということと思います。そのようなことでよろしくお願いできればと思います。以上であります。

○土橋分科会長 御意見として承ります。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、当分科会といたしましては、議題 2 の労働安全衛生法施行令の一部改正案、特定化学物質障害予防規則等の一部改正要綱案について、妥当と認めることとしてよろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし )

○土橋分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局で手続をお願いいたします。

 次に議題 3 、その他です。事務局から 1 点報告があるということですので、お願いいたします。

○宮本計画課長 事務局より、「平成 29 3 1 日受動喫煙防止対策強化検討チームワーキンググループ ( 資料 ) 」とあります机上配布資料について御説明申し上げます。受動喫煙防止対策については、政府の受動喫煙防止対策強化検討チームの下に、厚生労働省健康局健康課長を座長といたしますワーキンググループを設け、検討を進めております。その進捗状況については、昨年の 10 月と本年の 1 月に、当分科会で御報告いたしました。その後の動きですが、 3 1 日のワーキンググループで、 10 月に示された叩き台を手直しした「受動喫煙防止対策の強化に係る基本的な考え方」の案が示されております。こちらは、机上配布資料の 1 2 ページですが、枠の中にありますが、「受動喫煙の防止が平成 15 年に健康増進法の『努力義務』とされてから 10 年以上経過したが、飲食店や職場等での受動喫煙は依然として多く、『努力義務』としての取組では限界」との問題意識により、対策の強化を図ろうとするものです。

14 15 ページをお開きください。こちらが、 10 月に示されました叩き台です。 16 ページが、叩き台からの変更点です。 5 点ありますので、かいつまんで御説明いたします。 1 点目の飲食店については、小規模のバー、スナック等、主に酒類を提供するものに限りますが、こちらは喫煙禁止場所とはしないこととされております。 2 点目の体育館等の運動施設については、スタジアムなど興行場法の「興行場」に該当する運動施設を、喫煙専用室設置可能とすることとされております。 3 点目は、「喫煙禁止場所」としない場所に、シガーバーなどを追加しております。 4 点目は、施行時に既に設置されております一定の基準を満たす喫煙専用室は、施行後 5 年間存置を認めることとされております。 5 点目は、施行後 5 年をめどに制度全般について検討を行うこととされております。以上が変更点です。

 内容の詳細については、健康局を中心に引き続き調整が進められております。細部の事項に係る御説明が、まだ十分にできる段階ではありませんが、今後動きがありましたら、次回以降御報告いたします。以上です。

○土橋分科会長 報告ですが、何か御質問、御意見はありますか。

○山口委員 健康局を中心に検討ということで、了解しました。労働基準行政の立場と健康局の立場は違うと思うのですが、その辺りはこれからどのように整理をしていかれるのでしょうか。興味深いので教えてください。

○木口環境改善室長 健康増進法の中での公衆衛生規制の観点から規制をしているわけですが、これに対して労働者の安全、健康を守るという観点で、さらに何か必要な講ずべきことがありましたら、また別途検討をしていくということでやらせていただきたいと思っております。

○山口委員 先ほど、例えばバーやスナックの話があったのですが、広さで考えようという案だと理解しましたが、広くても狭くても、働く人を使用している場合は、その人の受動喫煙というのはまさに労働基準行政ではないかと思うのです。ですから、それを広さで分けられるものなのかなと思いましたが、いかがでしょうか。

○木口環境改善室長 広さについては、設備としての対策が取れるかどうかの観点で決められるものかと思いますが、その条件の中で、さらに労働者の受動喫煙を防止するためにどういったことが必要かについて、こちらで検討していきたいと思っております。

○土橋分科会長 ほかにはいかがでしょうか。それでは、全体を通して何かありますか。よろしいですか。それでは、これで全ての議題を終了いたしました。本日も、熱心な御議論をありがとうございました。

 最後に、事務局から連絡事項をお願いします。

○宮本計画課長 本日も熱心に御議論いただき、感謝申し上げます。御了解を頂きました諮問案件については、早急に所定の手続を進めさせていただきます。今後の分科会については、改めて御連絡させていただきます。

○土橋分科会長 それでは、本日の分科会はこれで終了いたします。なお、議事録の署名については、労働者代表委員は縄野委員、使用者代表委員は中村聡子委員にお願いいたします。本日は、お忙しい中ありがとうございました。


(了)

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