ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(雇用均等分科会)> 第177回労働政策審議会雇用均等分科会(2016年11月21日)




2016年11月21日 第177回労働政策審議会雇用均等分科会

雇用均等・児童家庭局雇用均等政策課

○日時

平成28年11月21日(月)13:00~15:00


○場所

厚生労働省共用第6会議室


○出席者

公益代表委員

田島分科会長、中窪委員、山川委員、武石委員、奥宮委員

労働者代表委員

井上委員、山中しのぶ委員、松岡委員

使用者代表委員

布山委員、川崎委員、加藤委員、中西委員

厚生労働省

吉田雇用均等・児童家庭局長、吉本大臣官房審議官、川又総務課長、阿部雇用均等政策課長、源河職業家庭両立課長、河野短時間・在宅労働課長、六本総務課調査官、高橋均等業務指導室長、白髭育児・介護休業推進室長

○議題

1 経済政策を踏まえた仕事と育児の両立支援について
2 男女雇用機会均等対策基本方針(第3次)について

○配布資料

資料1 労働政策審議会雇用均等分科会委員名簿
資料2 経済対策を踏まえた仕事と育児の両立支援について
資料3-1 男女雇用機会均等対策基本方針(第3次)(骨子案)
資料3-2 男女雇用機会均等対策基本方針(第3次)(案)
参考資料1 男女労働者それぞれの職業生活の動向
参考資料2 男女労働者をめぐる政府の動向

○議事

○田島会長 定刻になりましたので、ただいまから第177回「労働政策審議会雇用均等分科会」を開催します。

 初めに委員の交代がありましたので報告いたします。

 斗内委員にかわり、UAゼンセン男女共同参画局局長の山崎高明委員が雇用均等分科会委員となられました。本日は御欠席の御連絡をいただいております。

 また、権丈委員、渡辺委員、山中恵子委員からも御欠席の御連絡をいただいております。

 頭撮りはここまでとさせていただきますので、カメラをお持ちの方は撮影を終了してください。

○田島会長 それでは、議事に入ります。

 本日の議題は「1 経済対策を踏まえた仕事と育児の両立支援について」。

 「2 男女雇用機会均等対策基本方針(第3次)について」です。

 まず、議題1について事務局から御説明をお願いします。

○源河職業家庭両立課長 職業家庭両立課長の源河です。座って御説明させていただきます。

 資料2をお開きいただければと思います。

 表題を「経済対策を踏まえた仕事と育児の両立支援について(素案)」としておりますが、これは案の案と申しますか、たたき台と申しますか、これまで皆様方からいただいた御意見を並べたものでございます。御発言をそのまま入れているところもありますので、話し口調になっているところもありますし、文言を洗練したり文言の統一が必要な部分も多々あると認識しておりますので、そういうものとしてごらんいただければと思います。

 3ページになっておりますが、普通の字体で書いてあるところは、議論の方向性が皆様方から同じような発言があったかなとこちらのほうで認識しているものでございます。

 斜め字になっているところが2ページ目と3ページ目に1カ所ずつございまして、後ほど御説明させていただきますが、この部分は特に明確な御発言があったわけでもなく、こうかなというふうに思われる部分を書いているものでございますので、ちょっと性質が違うものと思って見ていただければと思います。

 最初に1ページ目【はじめに】というので、幾つかのパラグラフを書いております。この部分は検討に際して、前提としてあるいは念頭に置くべきものとして、皆様方から出た御意見を並べたものでございます。

 最初に(経緯)としては、この分科会では昨年度「改正育児・介護休業法」を精力的に御議論いただき、3月の国会で「改正育児・介護休業法」が成立し、来年1月1日の施行に向けて準備をしているところでございます。

 このような状況の中で最初に御説明させていただきましたが、8月2日に経済対策が閣議決定され、その中で「雇用の継続に特に必要と認められる場合の育児休業期間の延長等を含めた両立支援策」について議論することになりました。

 この議論を始めた初回のときに「本来であれば、1月1日の施行を待って、施行状況を踏まえて両立支援のあり方について議論したいところである」という御意見が寄せられ、その中で経済対策を踏まえて、絞り込んだ事項について議論することとなったところでございます。

 議論の前提として、皆様方からいただいた御意見は大きく2つあると思っていまして、1つが保育所整備の必要性でございます。多くの自治体では保育所に入所できているのですが、一部の地域で待機児童が見られるという状況。

 もう一つの議論の前提として女性活躍、女性活躍新法が制定されて、ことしの4月に施行されて、その中で企業も、労働者側も女性活躍に向けた機運が高まってきたという状況にあります。

 そのような状況を踏まえまして、最後のパラグラフでございますが、今回は、保育所等に入所できず離職せざるを得ない労働者、主として女性労働者ですが、少ない割合であるが一定数存在なさることを踏まえまして、緊急的なセーフティーネットの一つとして策を講じるというものでございます。

 2ページ目に具体的な策と考え方を書いてございます。

 最初が【雇用の継続に特に必要と認められる場合の育児休業期間の延長について】でございまして、延長が想定される場合というのは皆様御案内のとおり「現行育児・介護休業法」上で育児休業が原則1歳まで、保育所に入れない等の事情がある場合に1歳6カ月まで認められているものでございます。今回、検討するに当たっても、同じように保育所に入れない等の場合にさらに延長するということを御議論いただいたのだと思います。

 (延長が想定される期間)ですが、ここが先ほど申し上げた斜め字にしている部分でございます。ここはいろいろな御意見がございましたが、特に明確に出されたわけではないと認識しておりまして、その中で御意見や資料を踏まえるとこうかなというのを書かせていただいたものでございます。

 保育所に入れない等の場合に1歳6カ月まで延長できることとした平成16年改正時の議論を踏まえまして、今回はその期間が希望する時期より入所がおくれた場合の待機期間が延びておりまして、そのデータ等を参考に最長2歳までが適切ではないかと考えられる。

 先ほど申し上げましたとおり「育児・介護休業法」というのは、子供の年齢を基準に育児休業というものを構成しておりまして、今は原則1歳まで、保育所に入れない等の場合は1歳6カ月までとしている。年齢を基準としていることを踏まえますと、2歳かなというので書かせていただいております。

 次の論点が【能力・モチベーション維持のための対策】でございます。(原則論)として出ましたのは、労働者自身のキャリアを考えると早い復帰が望ましく、国は育児休業が長くなる人に限らず、産休・育休に入る前の労働者に直接両立支援についての情報提供を積極的に行うべきであるというのが御意見としていただきました。

 (具体策)といたしまして、本来育児休業期間中は育児に専念する期間ではございますが、労働者は会社を離れていることの不安や焦りもあり、企業では従業員のニーズに応じて、さまざまな手法でそのための対策を工夫していらっしゃるところです。

 ただ、全てにそれが行き届いているわけではございませんので、国がやるべきこととして2つ目のパラグラフで、特に有機契約労働者等のいわゆる非正規雇用労働者や中小企業で働く労働者。

 2つ目として、やむを得ず育児休業期間を延長することになり、焦りや不安を感じることが多いであろう労働者を念頭に置いて、あくまでも強制ではなく、本人のニーズに応じて育児休業中や復帰時に活用できる能力開発プログラムの開発や調査研究を行うべきである。

 もう一つ、国が既存の制度の活用など必要な情報を発信すべきであるということを書いております。

 続きまして、3ページ目【男性の育児休業取得を促進する方策】でございます。これは御意見として「男性の育児休業取得率が低い現状を踏まえ、育児休業にかかわらず男性が休んで育児に関わることを促進していくことが必要である」というところまでは、皆さんの方向性としてはほぼ合っていたのではないかと思います。ただ、具体的な策となるといろいろあると思っていまして、ここで1つ書かせていただいたのは「企業において、就学前までの子供を有する労働者が育児にも使える休暇を設け、労働者、特に男性労働者の育児参加を促していくことが考えられる」というのを斜め字で書かせていただいております。

 最後の【その他】の部分は、皆様方から施行を1月1日に控えている改正法の中で有期契約労働者の育児休業取得要件の緩和や、いわゆるマタハラの防止措置などをいろいろなことを盛り込んでおりまして、その施行にしっかり努めるべきであるというのを書かせていただいております。

 説明は以上でございます。

○田島会長 ありがとうございました。

 ただいまの事務局の御説明につきまして、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。

 井上委員。

○井上委員 ありがとうございます。【はじめに】のところで意見を申し述べさせていただきたいと思います。

 今、御説明もありましたけれども、この仕事と育児の両立支援について議論するのであれば、本来は現状と課題を分析した上で、論点を絞って議論を行うべきではないかと思っております。しかし、今回は御説明にもあったように経済対策を踏まえたということで、育児休業期間の延長等について論点が絞り込まれた上での議論でだと思っております。

 今回は、あくまで保育所に入れない場合に離職を防ぐための育児休業期間の延長の議論であったかと思いますけれども、仕事と育児の両立支援の観点で言えば、短時間勤務制度なども含めた就業継続のための両立支援制度の柔軟化ですとか、あるいはハラスメントなどの背景にもなる性別役割分担意識の解消、あるいは有期契約労働者の取得の問題など、課題が幾つか出されたかと思いますので、ここはしっかりと明記をしていただければと思います。

 また、今回の議論に当たり、単なる育児休業期間の延長だけでは、女性活躍促進の逆行につながりかねないという意見が公労使からも出された経過があると思いますので、こちらの議論経過についても、明記すべきではないかと考えており、御検討いただければと思います。

○田島会長 ありがとうございます。ほかに御意見等ございませんか。

 中西委員。

○中西委員 ありがとうございます。

 初めに本審議会におきまして、9月からの議論がなされておりますけれども、現行法に基づく育児休業期間の延長に加えて、さらなる期間延長を行うという結論に達するとするならば非常に残念であることを初めに申し上げたいと思います。来年、平成29年1月1日に「改正育児・介護休業法」が施行されますが、それに向けて、仕事と育児の両立を実現するための取り組みを、現在、企業も相当な努力をもって進めようとしている状況にございます。しかしながら、保育所整備が間に合わないという外的要因によって、育児休業期間の延長という企業の負担を増すことになる法改正がなされるとするならば、使用者側を代表する委員として大変遺憾に思っております。

 2歳になるまでの期間延長についてでございますが、今回、事務局から頂戴いたしております案について意見を申し上げたいと思います。

 これまでにも申し上げておりますけれども、育児休業期間が長期化することは限られた人員で事業を運営している中小企業にとりましては、大変深刻な労務管理上の問題が発生することが懸念されます。

最長で2年間を超える産休・育休となる場合、既存の社員だけで休業者の穴を埋めることは、社員にかかる精神的あるいは物理的負担が非常に大きくなってまいります。一方で社員の育児休業の期間だけという条件では、代替要員を確保することも難しくなります。この実態を改めて認識していただきたいと思います。

 また、育児休業期間のさらなる延長を行う場合、その延長期間は事務局案に書かれておりますとおり「例外の例外」という極めて特殊なケースのみに適用される緊急措置的なものとして位置づけられるべきではないかと考えております。

 社員の雇用は、企業の経営が維持できてこそ守ることができます。一方で社員がいるからこそ企業の経営が成り立っているというのも事実でございます。ですから、やむを得ない事情によって社員が育児休業期間を延長せざるを得ないことになった場合には、社員も経営者も互いに協力し合って、早期復職に向けた工夫と努力を重ねる必要があると思います。

 以上の観点から、本日の厚労省御提案のとおりのさらなる延長期間を最長で2歳に達するまでとする場合、その趣旨は「2歳になるまで休む権利がある」ではなく、復職に向けて努力することのできる期間が最長で2歳になるまでであるという趣旨であることを明示し、広く周知を進めていただくことをお願いいたしたいと思います。

 もう一点、男性の育休の取得促進の案について、意見を申し述べさせていただきたいと思います。

 資料には「企業において、就学前までの子供を有する労働者が育児にも使える休暇を設け、労働者、特に男性労働者の育児参加を促していくこと」と書かれてございますけれども、通常の年次有給休暇と育児休業制度が既に存在している上に、新たな休暇制度を設けることの必要性は余り高くないのではないかと考えております。

 男性育休の取得促進取り組み策の「例示」として記載されることは問題ないと考えておりますが、「義務づけ」と受け取られかねない記載は避けていただきたく、御検討をお願いいたしたいと思います。

 以上でございます。

○田島会長 ありがとうございました。ほかに御意見等ございませんか。

 山中しのぶ委員。

○山中しのぶ委員 ありがとうございます。

 私のほうからは、保育所の整備について意見を申し述べさせていただきたいと思います。

 保育所の整備につきましては、復帰したいタイミングで安心して子供を預けられる観点が重要であると考えています。もちろん優先して行うべきは待機児童問題解消に向けた保育所の整備であると思いますが、現時点で4月に入所できたとしても、年度途中の入所は選ぶことができない、年度途中の入所が困難な現状を考えれば、復帰したいタイミングで子どもを預けられる保育所の整備が重要であるということはきちんと明記すべきであると考えます。

 また、本分科会の取扱事項ではないかもしれませんが、子供を安心して預けられる環境整備に向けて、これまでも申し述べさせていただいていますけれども、量だけではなく、保育所の質の確保が必要だと思いますので、その点についても明記すべきであると考えます。

 以上です。

○田島会長 ありがとうございました。

 布山委員。

○布山委員 今の山中委員の御発言に合わせて、少し確認したいことがございます。

 今、お話があったように、特に待機児童の多い地域について言えば、4月のタイミングしか入りにくいという現状があると思っています。それすら入れないので、多分今回延長問題という話になっているかと思うのですけれども、それを踏まえると今回の延長が想定される期間ということで、厚生労働省の事務局から御提案をいただいた最長2歳までの延長という点ですけれども、原則1歳までというところはそのままということでよろしいかと思いますが、今回の延長部分については子供の年齢ではなくて、保育所に入りやすい4月で区切るような形の制度設計はできないのかどうかということを確認させていただければと思います。

 例えば、現状は原則1歳までで保育所等に入れない場合、1歳半まで入れるようになっていますけれども、それ以降については1歳を超えて初めて迎える4月までとしたほうができるだけ早く復帰をする意味でもよろしいのではないかと思います。そういう法律のたてつけができないかどうかというのを確かめたいと思います。

 質問です。よろしくお願いします。

○田島会長 事務局、お願いします。

○源河職業家庭両立課長 御質問いただきまして、ありがとうございます。

 このペーパーにも少し書きましたが、現在の「育児・介護休業法」の育児休業は基本的に子供の年齢を基準に構成しておりまして、そもそも1歳まで育休がとれて、延長も1歳6カ月までと構成しておりますので、この構成を変えずに次の時点を考えたときは2歳ではないかと考えております。これを1歳8カ月とか1歳9カ月といろいろな意見があるかもしれませんが、1歳6カ月の次の基点として考えられるのは2歳までだと思っておりまして、その一方で御指摘いただいたように、早い復帰が望ましいというメッセージがあわせて必要なのではないかなと考えております。

○田島会長 布山委員。

○布山委員 ありがとうございます。

 そうであれば、今、年齢で区切っているのであれば、先ほども同じ御意見があったかと思いますけれども、今の4月にしか入れない現状というのをどうにかしていただきたいと思います。つまり、年齢で区切る以上、基本的には原則1歳になったら何月に生まれたかということに関係なく、1歳の段階で入れるようにするというのが基本ではないかと思っていますので、これは「育児・介護休業法」の問題ではないと思いますが、必ず今回まとめる報告書の中に明記をしていただければと思います。

○田島会長 ありがとうございます。

 川崎委員。

○川崎委員 ありがとうございます。

 今回も保育所に入れないということが問題としてあって、それに対して、何らかの形で育児休業が延長できないかという議論になっているわけなのですけれども、この延長しなければいけない、特に今回の延長を認めていく場合に関して、今、実際育児休業から復帰してきている場合においては、認可保育所に入れなくてもいろいろな手だてで保育所を探して努力をして、復帰してきているという方がたくさんいると認識しております。こういう努力を継続できるような形で、実際にその保育所に入れなかったということの証明を厳密にとっていくようなこともぜひ考えていただきたい。

 今回、育児休業の期間を延長していくという改正がなされた場合には、安易に休業期間を延長していいよというメッセージにならないような形での運用も検討していただきたいと思っていますので、お願いになりますがよろしくお願いいたします。

○田島会長 ありがとうございます。

 加藤委員。

○加藤委員 全体的に同様の趣旨でございますが、特に中小企業、人数が少ない中で経営がうまくいくように進めていると理解をしておりまして、場合によっては、育児に関しても双方で相談をしながら進めてきているのではないかと考えています。

 今回、あくまで「例外の例外」とお話が進んでいると思いますが、単純に半年延びたといった認識が全体的に広まってしまうことになると、そこは感覚として、経営者、従業員に決して好ましい方向ではないのではないと思います。具体的に例外とはどういう条件で、さらに例外を設けるならどういう条件というのを具体的にお示しいただくなりしていただきたいと思います。

 認可以外の様々な形態の保育所もあるでしょうし、それをどのように認めていくのか、また、家族構成等の問題もかかわってくるのだろうと思います。その辺も含めて、具体的に事業者が判断できるようなもの、従業員の方々も御理解いただけるようなものをお示しいただきたいと思います。

 以上でございます。

○田島会長 布山委員。

○布山委員 先ほどの延長の期間については、きょう初めてお示しいただいたので持ち帰って議論し、中身を吟味したいと思っております。ただ、この育児休業の延長と保育施設を充実させるということについては、同時並行に行うべきというのはこの審議会のメンバーはみんなそう思っているかと思いますので、特に待機児童がいらっしゃる自治体については、保育施設の情報について随時御提供をお願いしたいと思います。結局、今回ある程度期間を延長して、その方が入れなくて延長した場合、育児をするというよりも保育施設を探すという大きなミッションがあるかと思っていますので、そういう意味を含めて随時提供していただきたいということです。

 今、一部の自治体で取り組みが行われているいわゆる保育コンシェルジュがいろいろなところを一緒に探す、支援をするというところについて、この措置についても保育所探しを支援するという意味で非常に有用だと思いますので、これについても、特に政府が各自治体にそのような施策を行うように御指示をしていただきたいと思います。

○田島会長 奥宮委員。

○奥宮委員 皆様の御意見を聞いていまして、全て納得できます。最初に井上委員がおっしゃったように【はじめに】の部分について、もう少し議論の要旨を盛り込んでいただきたいと私も思います。これですと、仮に事務局案のように非常に限定的な場合、緊急措置として改正するということで決定できたとしても、どうしてそうしなければいけないのか、緊急的な措置なのかというところがわかりにくいと思いますので、2点か3点、議論の多かった重要なポイントについて、緊急的な、限定的な措置であるという理由をぜひ【はじめに】のところにもう少し盛り込んでいただきたいと思います。

 要件については、これをもし2歳までとするとして「希望する時期より入所が遅れた場合の」とか、それだけではちょっと弱いと思いますので、この要件の書き方にさらなる工夫を事務局のほうにまずは御検討いただければと思います。

 運用についていろいろ御意見が出たので、それを何かの形で盛り込む必要があるし、場合によって可能であれば、2歳までという例外的な措置が必要かどうかを2年に一回程度見直すということを法律の中に盛り込むことはどうか場合によっては建議の中にまず盛り込むということも御検討いただきたいと思います。見直すとすると、これは保育所の整備状況とか男性の育児休暇の取得率の変化とか、あるいは企業の復職支援、女性とは限らず育休をとった人の復職支援の充実度というものを勘案しながら見直すことになると思います。

○田島会長 ありがとうございます。

 武石委員。

○武石委員 この議論は、ずっと労使の対立が余りないままに来ていまして、皆さん延長するということに対しては非常に慎重な意見だということで、今、御意見もありましたように、そこの慎重な意見というのはくれぐれもしっかり書いていただきたいというのが最初に申し上げたいことです。

 まず、やむを得ず期間を延ばす人がいるという場合、外に出ていくときに「最長2歳まで」というのがひとり歩きしてしまうことは、これまでの議論の経緯からして非常に問題だと思うので、原則は1歳、プラス6カ月、そこでもだめな場合は1歳プラス6足す6ということで結果が2歳だと思うのですが、2歳まで延長ということが出ないようにぜひお願いしたいということを申し上げたいと思います。最後の6カ月というのは緊急避難的なものなので、今、奥宮委員の御意見にもありましたように、保育所が整備されれば当然そこは要らなくなるものであるということで、まずそこをきちんと書いていただきたいということです。

 待機児童が少なくなっていくということは、今回のプラスの部分がなくなっていく前提になると思うのですが、こちらの制度を使うことによって、見かけ上待機児童が減ったように見えてしまうというのはおかしいことなので、例えば先ほど布山委員がおっしゃっていましたが、自治体側で待機児童のカウントをするときにこの制度を使っている人は実際にどのぐらいいるのか、そこも隠れた待機児童としてきちんと把握するような、そういう工夫をしていただきながら、要は、保育所で本来対応すべき人たちが緊急避難的にこちらへ来ているのは最終的に保育所のほうに戻っていただくような、現状が把握できるような対応をしていただきたいというのが1点です。

 男性の育児休業に関してなのですが、6カ月の延長部分を何らか男性が取得できるような方策が考えられないかということは私も申し上げてきました。法律的に難しいのであれば、男性が育児にきちんとかかわっていくということが本来必要なことだと思いますので、この制度が延長されて女性だけが制度を利用していって、結果として、女性の活躍推進が阻害されるというような状況に対しては非常に皆さんが懸念をしていたと思うので、そういうことにならないようにしていただきたい。

 どういう方策を考えるかというのはまだきちんとした議論が出ていないと思いますが、男性社員の配偶者が出産した際にきちんと男性の育児休業取得に関してはニーズを企業側が把握して、それに対してきちんと情報提供をしていくなどがあります。あるいは現在の法律の中でも パパ・ママ育休プラス ですとか、出産したところで男性が育児休業をとると分割して、もう一度とれるというような、男性が育児休業取得を促進するような政策もありますので、そういうものをきちんと周知していくなり、あるいは場合によってはそういう取り組みを強制化することも今後の検討課題だと思います。男性が育児休業を取得することをしっかり支えていくという部分については議論があったと思いますので、建議の中にしっかり書き込んでいただきたいと思っております。

 以上です。

○田島会長 井上委員。

○井上委員 ありがとうございます。

 先ほど、使側のほうから育休の延長の要件の厳格化というか、その辺の意見が出たかと思いますけれども、育児休業から職場に復帰するためには、確かに労働者側も保育所に入れるために最大限の努力をするべきという考え方は我々も当然だと思っておりますが、仕事と育児の両立のためには、保育所選びが重要であるということも念頭に置いた上での議論をお願いしたいと思います。

 この間も申し上げてまいりましたが、保育所は職場と同様に毎日通うところでありますし、入れればどこでもよいというものではなく、あるいはまた保育所が家から遠い、あるいは兄弟の保育所がばらばらになれば、毎日の送り迎えにも多くの時間と労力が必要になりますので、まさに両立が困難になります。また、保育所の質が確保されなければ安心して子供を預けられず、仕事をやめざるを得ない要因にもなるのではないかと思います。

 現在でも、働く親は職場復帰後の仕事と育児の両立を考えながら厳しい保活を行っておりますので、仮に1歳6カ月分を超えた分について考えるのであれば、現在の要件のままでよいのではないかと思っております。職場復帰後の両立が困難な保育所の入所まで縛りをかけることについてはないようにすべきだと思いますし、また、その他保育所以外の、例えば認証保育所のこともおっしゃっていらっしゃるのかもしれませんけれども、自治体に入所希望を出す認可保育所と違っておりまして、各保育所に入所希望を出す認証保育所ですとか、例えば横浜保育室の申し込み状況まで求めるというのは、実際に保育所自体がそういうことができるかどうかというのは現実的に難しいことでもありますので、これはちょっと無理があるのではないか。現在でも、保護者は職場の復帰に向けてさまざまな保活を行っておりますのでさらに負担を強いることになりかねないと考えます。その点につきましては、来年1月に施行されますハラスメント防止措置の中で復帰後のイメージも含めた意識を促すことでよいのではないかと考えます。

 先ほど、1歳6カ月から仮に延長した場合の「例外の例外」という書きぶりがあるのですけれども「例外の例外」というよりは、武石委員がおっしゃったような「緊急避難的」というような形の書きぶりにしていただいたほうが「例外の例外」というと、もし仮に保育所に入れなくて、どうしても休まなければいけないときに例外の例外なのですみませんという申請はなかなかしづらいのではないかと思いますので、その辺の書きぶりを工夫をしていただければいいのではないかと思います。

 以上です。

○田島会長 ありがとうございました。

 布山委員。

○布山委員 先ほどご発言がありましたように、例えば御兄弟は同じ保育所でないと難しいという点はもうおっしゃるとおりだと思います。だからこそきちんとそれぞれの要望の現状を見ていただいて、優先順位をつけていただいた割り振りを自治体で行っていただきたいと思っています。また、先ほど保育コンシェルジュのことを出したのは、結局おっしゃるとおり認可保育所以外は各施設との直接の契約になるので、今把握はできていないということなのだと思いますけれども、保育コンシェルジュの中で少なくとも自分のところの地域の部分の保育所の状況を見ていただいて、そうでないと多分御紹介も何もできないと思いますので、そういう意味で、コンシェルジュ機能みたいなものを自治体につけていただきたいということで先ほど要望いたしました。

○田島会長 川崎委員。

○川崎委員 ありがとうございます。

 私も同じ意見にはなってしまうのですけれども、結局、保育所に入れない、あるいは保育所を探すことが非常に困難で、なかなか休業期間中に保育所を見つけるのが精神的にもストレスになってきているという世論もあってということで、今回いろいろな議論が始まってきているのだと思います。

 そういうことを踏まえると、行政として保育所をまずつくってほしいということがあるのですけれども、その次の策として、認可保育所ないしはそれ以外の保育所、あるいはいろいろな保育サービスを御紹介できるような、保育コンシェルジュといったものも機能として充実させていくことで保育所探しのストレスを下げていく。ひいては、保育所あるいは子供の預け先が容易に見つけやすくなっていく。そういうことによって育児休業期間も短くし、職場に早く復帰をして、キャリア形成にもつながっていくということを後押しするような、1つのものとしてのコンシェルジュをぜひ御検討いただきたいなと思います。

○田島会長 松岡委員、どうぞ。

○松岡委員 ありがとうございます。

 男性の育休取得促進について発言をしたいと思いますけれども、先ほど武石委員のほうからもありましたが、これまでこの議論を進めるに当たって、何らかの男性の育休の取得促進の策を講じる必要性は、今回の資料には育休にかかわらず促進という書きぶりになっていますけれども、この場の共通認識になるのではないかなと感じています。先ほどもあったとおり、今回の施策をいろいろと検討、アウトプットする上で、社会にきちんとそういうメッセージが伝わるように、誤った形で伝わらないようにという言い方もできると思いますが、きちんとした対応が必要ではないかなと感じています。

 少し前回の議論も振り返ってみますと、男性の育休取得促進として、育休期間の残りというか延長分について、もう片方の親がとるということについて、やり方として不合理とまでは言えないのではないかという公益側の委員からの話もありましたけれども、何らかの男性の育休取得促進の仕組みとか、仕掛けというのがあってもいいのではないかというのはこの場でも多く意見が出されていたということだと思いますので、前回は諸外国の事例も引き合いに出しながらの議論だったわけですが、今回、資料として書かれている内容、育児参加を促すための休暇だけでは、男性の育休取得促進策としては弱いのではないかと率直に印象を持っています。

 そこで事務局のほうに見解を問いたいと思いますけれども、改正法が1月1日で、まだ施行されていない段階で女性の活躍促進、2020年に男性の育休取得13%という政府の抱える目標を一方で進めていくという状況の中での議論なわけですから、そういう意味では、今回はもう少し踏み込んだ抜本的な見直しというか、施策というのが打ち出されてもいいのではないかと感じていますけれども、そのあたりについてこれまでの事務局内での検討の経緯や見解にお伺いをしたいと思います。

○田島会長 事務局、いかがですか。

○源河職業家庭両立課長 御質問いただきまして、ありがとうございます。

 男性の育休取得につきましては、前回大変活発に御議論いただいたと認識しておりますし、男性の育休取得を促進する必要性につきましては、松岡委員からも御指摘がありましたように2020年に13%という目標値もございまして、必要性については我々も十分認識しております。

 ただ、どのような対策が本当に必要で、どのような対策が適当かと申しますと、いろいろな御意見があるのではないかと思っております。したがいまして、具体的にどのような方策が適当かにつきましては、ぜひ皆様方で御議論いただければと思います。

○田島会長 松岡委員。

○松岡委員 ありがとうございます。

 なかなか新たなものをどーんというのは難しいということかもしれませんけれども、先ほども武石委員からもありましたが、 パパ・ママ育休プラスがそもそもあるのだけれども、余り使われていないということですし、恐らく使われていない背景には、制度のわかりづらさもそうだし、余り周知されていないとかいろいろあると思うのですけれども、パパ・ママ育休プラスについては、延長できても1歳2カ月までということですので、保育所に入れない場合の1歳プラス6カ月に比べると、メリットを余り感じられないというところも実は背景としてはあるのではないかと感じています。

 そもそもパパ・ママ育休プラスがわかりにくいということであれば、それをわかりやすく周知をする工夫、努力というのも今回のタイミングでも必要かなと思いますし、現行でもそれぞれの親が1年間育休を取得できるということを、パパ・ママ育休プラスの制度の中身を考えれば、1歳2カ月まで今は延長ということになっているわけですけれども、今回これの延長の議論をしようとしている。

 例えばということで2歳ということが出ていますけれども、その延長分まで引き上げるというのも一考に値するのではないかなと感じています。そうすれば、少し前に議論になっていた保育園に入れなかった場合など云々という要件なしに2歳まで親が交代で育児休業を取得できるというメリットもありますし、職場に復帰したいにもかかわらず、保育所に入所できなくてという場合のセーフティーネットとしても、選択肢がふえることに結果的になるのではないかと思いますし、男性の育休取得促進というメッセージを打ち出すことにもつながるのではないかなと考えます。

 以上です。

○田島会長 ありがとうございます。

 布山委員。

○布山委員 今、御発言のありましたパパ・ママ育休プラスについてでございます。そもそも昨年の改正議論のときに、この制度がどの程度認識されているのか疑問に思うところもありましたので、もっと周知を行うべきではないかという御発言をさせていただいたかと思います。実際に使っているのが0.5%ぐらいの数値だったように記憶しております。 

そういう意味で、来年1月1日の改正法施行後は、少なくとも政府がこれまで以上に広報に力を入れていただけるとまずは期待をしております。

 その上で、パパ・ママ育休プラスの内容について言えば、次の見直しが5年後ということで決まっているかと思いますので、その見直し時期までに認知度や利用率を調査していただいて、課題等を整理した上で、次の見直しのときに必要であれば検討するということが一番現状の中でよろしいのではないかと思っております。

 以上です。

○田島会長 ほかに御意見ございますか、よろしいでしょうか。

 山川委員。

○山川委員 まず、自治体のほうで保育所探しの支援をするために情報提供を充実させる。あるいはコンシェルジュのようなシステムで支援を行うということについては、そういった形で自治体のほうで情報提供を行うことを促進することは、前回か前々回申し上げたかと思いますが、私も賛成です。

 それから、緊急避難的に考える場合には、一般に緊急避難の概念においては危害を避けるための必要性みたいなことが刑法上言われていますけれども、その必要性をどのように考えるかということで、小学校入学の始期までという規定がほかの制度ではありますけれども、多分保育園の場合ですと、ちょっと小学校とは制度的な位置づけが違うかもしれないので同一に扱うかどうか検討課題が残ると思うのですが、運用上考えるとしたら必要な範囲での休業期間の申請をするように促す、書式という問題になるかもしれませんけれども、そういった形でもともと緊急避難的に利用する方であればフルに使うというよりも、保育園に入れる時期までという形の申請が実際には多いと思いますけれども、運用上の話かもしれませんが、そういう形の必要に応じた申請をするように促すということは考えられるかと思います。

 労働者派遣法上は、育児休業の代替要員であれば派遣の期間制限がかからないように仕組んであります。ただ、実際上代替要員がどれぐらい使いやすいかという問題が別途あるので、情報提供を含めてかもしれませんが、代替要員を使いやすいような形、逆に代替要員の手配がつかないのに育児休業を延長するということになりますと、ハラスメントの背景になってしまう可能性もありますので、スムーズな代替要員の使い方ができるような形の情報提供等も考えてもいいのかなと思います。

 周知の点ですけれども、先ほどの男性の育児休業の取得促進については、労使の委員の先生の方々の御意見に賛成です。これも前回ちらっと申しましたけれども、次世代育成支援対策推進法の事業主行動計画の中に今でも内容として、もちろん強制的なものではないですけれども、子供が生まれる際に取得することができる休暇制度の創設等というのも入っていますので、次世代育成支援対策推進法の行動計画を使って、例えばその中に男性の育児休暇でパパ・ママ育休プラスというものも制度上利用可能であるということを、一般的な周知ではなかなか関心がないと探さないということもあるので、事業主行動計画を利用して企業内周知を促進するような方向を考えてはいかがかと思います。

 以上です。

○田島会長 ありがとうございます。

 ほかに御発言はございませんか、よろしいでしょうか。

 それでは、議題1はこの辺にいたしまして、次に議題2に移りたいと思います。

 事務局から御説明をお願いします。

○阿部雇用均等政策課長 雇用均等政策課長です。座って説明させていただきます。

 資料3-1、3-2、参考資料1、参考資料2ということでお配りをさせていただいております。

 前回、参考資料1でございます「男女労働者それぞれの職業生活の動向」ということで、いろいろデータ集的なものをごらんいただき、どんなデータが必要かということについて御議論いただいたところでございます。そういった点も踏まえて、資料3-2で「男女雇用機会均等対策基本方針(第3次)(案)」ということで、データ部分の「第1」の部分を文章化したもの、施策について「第2」ということで案文をつくらせていただきました。今日は長くなりますので、これについては詳しくということではなくて、骨子をつくらせていただいておりまして、いわゆる構造について御理解をいただいて,その上で構造について御意見をいただき、また、文章については今回とこの後の2回か3回ぐらいで御議論をいただいて、まとめさせていただければと思っておりますのでよろしくお願いいたします。

 前回までの議論の中で、データについていろいろ御議論いただいたものについて、参考資料1のデータ集、若干資料の差しかえをさせていただいたものがありますので、御紹介をさせていただければと思います。

 まず、17ページ、18ページ、新規学卒者の学歴別の構成比について、大学院卒の方々も最近は増えているので、その分も含めてデータを示したほうがいいのではないかという御意見がございまして、一番右の水色になっておりますデータにつきましては、大学院卒の方も入れた構成比、女性の分、男性の分ということでデータを入れさせていただいております。傾向については大きく変わるものではございませんけれども、大学院卒の方もかなり増えているということについて示すことができるかと思っております。

32ページでございます。これは前回御意見をいただきまして、女性管理職がいない企業の割合についてデータがないかということで御意見をいただいたものでございます。「雇用均等基本調査」におきまして、女性管理職がいない企業の割合について、課長相当職以上、係長相当職以上についてということで、平成15年度以降のデータということでこれをとっておりましたので、これについて入れさせていただいております。課長相当職以上、係長相当職以上につきまして、それぞれいない企業については減少傾向にあるということが見てとれるかと思っております。

39ページ、40ページでございます。教育訓練の動向につきまして若干データが古かったり、2008年のデータだったこともございまして、新しいものがないかということで御指摘を承りました。前回とちょっとグラフの形が変わっているかもしれませんが、ほぼ同じようなデータがとれております。

上の○1の状況でございます。大きく右側、左側を分けたもので、その中で男性、女性についてデータが出ております。左側が今の仕事をするために必要な研修、大きく右側が将来に役立つことでの研修ということになっております。これにつきまして、特に右側の将来に役立つ研修につきましては、女性のほうが若干低い形になっている。さらにその中でも、非正規の方のほうが低くなっているといった状況が見てとれます。

 下の教育訓練の状況の○2でございますが、これは男性、女性それぞれでございますが、研修の全体の受講率については正規の方と非正規の方を比べたときに、非正規の方が大体半分ぐらいの研修の受講状況になっているといったデータでございます。データ集につきましては、前回から一応このような形で変更できるものについては変更させていただいたところでございます。こういったものを踏まえまして案文、骨子を作成させていただいております。

本日は骨子に基づきまして、少し全体像を説明させていただければと思います。資料3-1でございます。

 まず「第1 男性労働者及び女性労働者のそれぞれの職業生活の動向に関する事項」というところでございます。これはデータ集から文章化していくというものでございます。まず1番として「男女労働者を取り巻く経済社会の動向」でございます。

 2番につきましては「男女労働者の職業生活の動向」ということで「(1)雇用の動向」としまして「ア 労働力の量的変化」「イ 労働力の質的な変化」「ウ 失業の状況」「エ 労働力需給の見通し」「オ 労働条件」について、記載をさせていただいております。

 「(2)企業の雇用管理」の状況でございます。

 「ア 均等法等の施行状況等」「イ 女性活躍推進法の施行状況等」「ウ 育児・介護休業法の施行状況等」「エ 次世代育成対策推進法の施行状況等」。

 3ページに参りまして「オ パートタイム労働者の雇用管理改善等の状況」「カ 企業の雇用管理の変化」。

 「(3)男女労働者の意識の変化と就業パターン」ということで、先ほどの参考資料1でありましたデータに基づいた文章を書き出しているところでございます。

 このデータ的な整理のまとめとして、3ページの下のほうの「3 まとめ」ということで少し文章化させていただいておりますが、ここは本文のところをそのまま抜き出しておりますので、少し読み上げさせていただければと思います。

  均等法が昭和61年に施行されてから30年、平成9年、平成18年の2度の改正以降、平成18年改正法施行5年後見直しを受けた省令改正や平成28年改正など、法制度上は男女の均等な機会及び待遇の確保は大きな進展を見た。

  この間企業の雇用管理の男女均等な取扱いは改善されつつあるが、依然として、男性と比べて女性の勤続年数は短く、管理職に占める女性割合も国際的に見ると低水準となっており、また、今なお、第1子の出産を機に約半数の女性が退職し、その中には就業継続を希望していながら離職を余儀なくされた女性が多数存在しているなど、未だ実質的な機会均等が確保された状況とはなっていない。

  一方、男性労働者の約3割が育児休業の取得を望んでいるものの、職場が育児休業制度を取得しにくい雰囲気であることや、残業が多く、業務が繁忙であること等から育児休業の取得が進んでおらず、女性と比較し非常に低い水準に留まっている。

  このように雇用の場において、男女労働者の間に事実上の格差が生じたままとなっている。

  しかしながら、ポジティブ・アクションの推進や仕事と生活の両立支援に向けた取組など官民をあげて多くの取り組みが行われ、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)等の言葉の定着をはじめ、女性の継続就業支援、男性の育児参加等への意識は改善してきているほか、女性の活躍推進は、社会的関心事項となってきているとともに、社会の固定的な男女の役割分担意識についても徐々に変化の兆しが見られている。

ということで、データ的な動きについてまとめさせていただいております。

 5ページでございます。こういった現状認識を踏まえて、施策について「第2」としてまとめるということになっております。その上で「1 施策についての基本的考え方」の部分につきましては、データを踏まえたものについてまとめたものでございます。これも本文を基本的考え方ということで書いておりますものを抜き出しておりますので、少し読み上げに近い形で説明させていただきます。

  雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する施策は、「労働者が性別により差別されることなく、また、女性労働者にあっては母性を尊重されつつ、充実した職業生活を営むことができるようにする」という均等法の基本的理念にのっとって推進されるべきものである。

  過去2度の法改正を経て、努力義務規定から禁止規定への強化、男女双方に対する差別の禁止など、均等法制定当時に指摘されていた法制上の課題についてはほぼ解決し、また、それらの課題に加え、セクシュアルハラスメントの防止措置や、妊娠、出産、育児休業等に関するハラスメントの防止措置が事業主に義務付けられるなど法制度の整備は大きく進展した。

  しかしながら、第1で見たように、均等法施行後30年を経てもなお実態面での男女の格差は残っている状況にある。

  こうした実態面での男女格差が解消されないことの背景には、就業継続を希望しながらも、保育サービス等の整備が十分ではない場合等もあり仕事と育児の両立の難しさ等から、離職を余儀なくされる場合を含め、出産、育児等により離職する女性が依然として多く、女性の継続的な職業キャリア形成が困難となっていること、男性を中心とした基幹的労働者には随時転居転勤に応じることが可能であることなどを前提とした働き方が見られること、こうした中で、女性が家庭生活を営みながら就業を継続するに際して具体的な見通しを持ちにくくなっていることなどがあるものと考えられる。

  一方、今後の少子化の進展に伴う労働力人口の減少が見込まれる中、女性の就業率の向上や個人の職業生活期間の長期化は喫緊の課題である。また、仕事と生活の関係の有様やこれらに対する考え方が多様化している中、男女労働者が共に性別にかかわらず主体的に働き方やキャリアを選択することができることが求められている。

  以上を踏まえると、当面5年程度の間に採るべき施策の基本的考え方としては、法制上の機会均等の確保の上に、今後は実質上の機会均等の確保を目指すという観点から、以下のように整理すべきものと考える。

  まず、均等法に定められた性差別の禁止を始めとする規定の確実な履行確保を前提とした上で、女性が妊娠、出産、育児等を経ても、職業人生における明確な展望を描きつつ働き続けることをより容易にすること、すなわち、働き続けることを希望する者が就業意欲を失うことなくその能力を伸長・発揮できる環境を整備することが必要である。

  また、同時に、男女にかかわらず、仕事上の責任を果たしつつ人生の各段階に応じた多様な希望を実現できること、すなわち、ワーク・ライフ・バランスを図るための条件整備を一層進めることが重要である。

  さらに、これらの実現を図って行くには、法の履行確保のみならず、各企業における雇用管理制度及びその運用の見直しが不可欠である。こうした企業の取組は、男女間の事実上の格差の解消につながるものであり、女性活躍推進法のスキームを用いた各企業の取組の推進をはじめ、各企業の主体的なポジティブ・アクションの取り組みを一層促進していくことが重要である。

  他方、妊娠、出産等で2人に1人の女性が離職しているという現状においては、一旦就業を中断した者がそれまでの就業経験を生かしつつ再就職・再就業できることが可能となる環境を整えることも重要である。

  なお、上記を推進するに当たっては、企業規模別等の実態に応じたきめ細かな対応を行っていくこと、また、近年、正規の職員・従業員以外の労働者が男女ともに増加していることから、これらの労働者に対しても均等法が適用されるものであることを十分に踏まえつつ対応することが必要である。

  こうした考え方に立って、本方針においては、男女雇用機会均等確保対策を中心としつつ、仕事と育児・介護の両立支援、就業形態の多様化等への対策等を定め、国はこれらの対策の総合的な推進を図ることとする。

ということでございます。

 その上で「2 具体的施策」ということでございます。本文のほうには文章で詳しく書いてございますが、本日は項目だけ御説明したいと思います。

 「(1)就業意欲を失うことなくその能力を伸長・発揮できるための環境整備」ということで「ア 公正な処遇の確保」の「(ア)均等法の履行確保」、「(イ)男女間賃金格差の縮小」、「(ウ)ポジティブ・アクションの推進」、「(エ)コース別雇用管理の適正な運用の促進」、「(オ)妊娠、出産、育児休業等を理由とする不利益取扱い行為の防止対策の推進」、「(カ)母性健康管理対策の推進」について記載したいと思っております。

 「イ ハラスメント対策の推進」でございます。

 「(ア)妊娠、出産、育児休業等を理由とするハラスメントの防止対策の推進」、「(イ)セクシュアルハラスメント防止対策の推進」、「(ウ)総合的なハラスメント対策の推進」を記載したいと思っております。

 「ウ 女性活躍推進法の着実な施行」ということで「(ア)一般事業主行動計画策定の促進」、「(イ)女性の活躍状況に関する情報の公表の促進」、「(ウ)えるぼし認定取得の支援」について記載したいと思います。

 「エ 女性の能力発揮のための支援」として「(ア)女子学生に対する支援」、8ページに参りまして「(イ)女性労働者のキャリア形成に対する支援」を記載したいと思っております。

 大きな枠組みの「(2)仕事と生活の調和の実現に向けた取組」について、記載したいと思っております。

 まず「ア 仕事と生活の調和の実現に向けた取組」、「イ 仕事と育児の両立を図るための制度の着実な実施」、「ウ 仕事と介護の両立を図るための制度の着実な実施」、「エ 長時間労働の是正」、「オ 両立しやすい職場環境づくりの促進」。

 「カ 地域等における支援サービスの充実」ということで、ここの中では「(ア)子育て支援の充実」、「(イ)介護サービスの充実」について記載したいと思います。

 9ページに参りまして、大きな枠組みの「(3)多様な就業形態に対する支援」ということで、この中で「ア パートタイム労働対策」、「イ テレワーク・在宅就業対策」、「ウ 再就職支援」について記載したいと思います。

 大きな枠組みの「(4)関係者・関係機関との連携」「(5)行政推進体制の充実、強化」について記載していきたいと思います。

 最後に※でございますが、基本方針の運営期間としては、平成29年度、来年度からおおむね5年間とさせていただきたいと思います。これにつきましては、ただし書きで書いておりますように、現在、働き方改革などの議論を進めているということなども踏まえまして、今後の議論を注視しつつ、必要に応じて機動的に対応するということで、前回までは5年間というふうにきっちり書き切っていったのですけれども、おおむね5年間ということにさせていただいて、柔軟な対応をしていきたいと思っております。

 今日の説明は、このような形にさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○田島会長 ありがとうございました。

 ただいまの事務局の御説明につきまして、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。

 井上委員。

○井上委員 ありがとうございます。

 今、御説明いただきました「男女雇用機会均等対策基本方針(第3次)(骨子案)」について、そして、具体的な文章が出てきたことで、改めて男女雇用均等政策が広範にわたっているということを再確認できるものになっているのではないかと思います。その上で、全体の構成について2点意見を申し上げたいと思います。

 まず、1点目ですけれども「男女雇用機会均等法」をめぐりましては「女性活躍推進法」制定の議論の際に、労側としては、ポジティブ・アクションの義務化を行うことが本筋だと述べてきた経過があると思います。結果として新たな法律である「女性活躍推進法」が制定されたわけですけれども、法律が別につくられたために「男女雇用機会均等法」のポジティブ・アクションに関する条項と「女性活躍推進法」のそれぞれの位置付けについて、わかりくいとの問い合わせが今でも連合のほうには寄せられております。今回のこの基本方針を策定するに当たりましては「男女雇用機会均等法」のポジティブ・アクションと「女性活躍推進法」の関係について、明確でわかりやすい記載となるよう整理、工夫をいただければと思っておりますので御検討のほどお願いします。

 もう一点ですが、方針前半部分のさまざまなところに「男女雇用機会均等法」や関連する法改正についての記載があるかと思いますが、やや全体像をつかみにくい印象があるのではないかと思います。今ほどの3-1の資料でいきますと3ページで、配付資料ということで資料3-2のほうで具体的に書いてあるものは9ページになるかと思いますが、第一の「3 まとめ」のところを読みますと、比較的「男女雇用機会均等法」改正の経緯などがまとまって記載をされておりまして、この「3 まとめ」に記載されていることを皆さんの目がいきやすい1ページのところの「はじめに」へ持ってくると、流れとしてよいのではないのかなと思いました。特に方針策定後に行われた2013年の施行規則改正につきましては、全体的に記載が薄いようにも思うところがありますので「はじめに」のところで、それも含めてまとめて記載をいただくとよいのではないかと思いましたので、意見として申し述べておきたいと思います。

○田島会長 ありがとうございます。

 川崎委員。

○川崎委員 ありがとうございます。

 5ページからの「第2」の今後の方針のところの部分について、少しコメントをさせていただければと思います。

 これから日本自体が少子高齢化して、人口が減っていくということを前提に考えたときに、今回の男女という区分けでいろいろ法律の設計がなされているわけですけれども、働き方そのものをどう改革していくのか。働き方改革とセットにして、それも踏まえていきたいというコメントもありましたが、いずれにしても、本文の中でもどういう形で働き方を改革しつつ、男女ともに望む就業継続と家族の営み方ができるのかということを実現させていくという趣旨のことの盛り込みを1つ御検討いただきたいというお願いです。

 あともう一点が、冒頭の「男女雇用機会均等法」の基本理念のところに「 女性労働者にあっては母性を尊重されつつ」というくだりがあったり、あるいはその中段のところでも「 女性が家庭生活を営みながら就業を継続するに際して具体的な見通しを持ちにくくなっている 」というくだりがあったり、あるいは後段でも「 女性が妊娠、出産、育児等を経ても、職業人生における明確な展望を描きつつ働き続けることをより容易にすること」が大事だというくだりがあるわけですけれども、いずれにしても、ポイントの女性の「母性を尊重されつつ」ということに関して、例えば男性側の父親としての役割はどうなのかという視点がどこかにコメントとして盛り込まれているですとか、あるいは家庭生活を営みながら就業継続するのは女性に限らず、男性も同じようなことのわけですので、こういった観点でも、男性も射程に入っているということを踏まえた書き方をぜひ検討いただけないのかなと思います。

 「男女雇用機会均等法」が施行されて30年たってきているところの中で、女性だけではなくて、男女ともに職業生活と家庭生活とをどう営んでいくのかということが、両方セットになって解決していかないと前に進まないというのはもう皆さん合意されているところかと思いますので、今後の検討の中では、そういったところを色濃く出していただければと思っています。

○田島会長 布山委員。

○布山委員 趣旨は同様なものかもしれませんが、この基本方針は前回が平成19年~平成23年度だということになると、当時は女性差別禁止法になったばかりぐらいのときだったので、まだ、女性が前面に出るような書きぶりだったと思うのですが、今はもう男女かかわらず性差別禁止という形になってからしばらく経っているので、妊娠、出産にかかわる部分は当然のことながら女性だけになりますけれども、全体的にはもう少し男女労働者がということで書けるような内容も1つ御検討いただければと思っています。それぞれ男女の中で今は差があるところについてどうするかというところの書きぶりというのは、当然差があるから女性のことを書いているという部分があるかもしれないのですけれども、これからの方針そのものについては、女性だけということでは恐らくないと思うので、この辺は「男女雇用機会均等法」がいつまでも女性だけのものと取り違えられないようにという工夫の書きぶりもあるのかなと思います。

○田島会長 ありがとうございます。

 武石委員。

○武石委員 今の関連でよろしいでしょうか。

 私も全く同意見で、男性に関することをもう少しきちんと書いてもいいのではないかなということを感じておりました。具体的なところに関しては、19ページのところで、例えば「エ 女性の能力発揮のための支援」というのがあって「(ア)女子学生に対する支援」なのですが、女性に頑張れというのもあるのですけれども、やはり男子学生にきちんと仕事と家庭生活の両方に責任を持っていくということ。男子学生にも支援が必要なので、私は大学では、男子学生にもそういうことは口を酸っぱくして言っているのですけれども、そうすると男子学生も変わりますので、そういう意味では、女子学生に対する支援だけではなく、若者に対して、これからの社会の中できちんと生きていくということの重要性、それが働くことであったり、生活をするということをきちんと伝えていくことにしていただくということが重要かなと思います。

 それから、先ほどの議論でも男性の育児休業の話が出ましたが、20ページ以降の「(2)仕事と生活の調和の実現に向けた取組」のところも、男性の育児休業の取得というのがもう少しどこかにきちんと記述されてもいいのではないかなと感じておりますので、その点、よろしくお願いいたします。

 以上です。

○田島会長 ほかに御発言ございませんか。

 中西委員。

○中西委員 ありがとうございます。

 参考資料1の13ページでございますけれども、こちらの「年齢階級別労働力率の推移」、いわゆる女性のM字カーブについてですが、平成17年度と平成27年度を比較いたしますと、女性の労働環境についてかなりの状況改善がなされていると推測できると思います。

平成19年の「男女雇用機会均等対策基本方針」におきましては、第1部の「まとめ」として「就業継続を希望しながら離職を余儀なくされている者もいる」という表現が使われております。今回、事務局より御提案いただいております「男女雇用機会均等対策基本方針(第3次)(案)」におきまして、第1部の「まとめ」としまして「就業継続を希望していながら離職を余儀なくされた女性が多数存在している」という表現が使われてございます。

 女性の労働環境の改善が推測されるデータがあることも踏まえまして、今回の「男女雇用機会均等対策基本方針」における現状認識に関する記載は、平成19年度時点よりも状況の改善があらわれる文章表現にすることを御検討いただければとお願いいたしたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 以上でございます。

○田島会長 奥宮委員。

○奥宮委員 先ほどの武石委員の意見に補足いたしますけれども、前に使用者委員から男性が育児休業をとらないのは、育児のやり方がわからないのではないかという御意見がありました。そういうことでもないと思うのですけれども、この際ですので、そのような男性にも育児についての知識とか能力をつけるシステム、これは企業の中に必要だと思うのですけれども、公的にももう少し支援制度があってもいいのかもしれません。そういうことももし入れられたらどうかと思います。

○田島会長 松岡委員。

○松岡委員 ありがとうございます。

 大きなたてつけではなくて、個別の中身になりますけれども、発言を幾つかしたいと思います。なので、資料3-2のほうになるわけですけれども、4ページの現在の動向のところの中の「イ 労働力の質的変化」に関してということで、先ほど武石委員の話にもちょっと絡むのですが、第2のほうにはちょっと出てきているのですけれども、女性の職域が依然狭いことについても現状認識として言及すべきではないかなと感じています。

 参考資料のパワーポイントのスライドのほうの21番、22番のほうにわかりやすい棒グラフが出ていますけれども、男性の職域に比べて女性の職域は依然偏りがあるということで、国もリケジョなどのいろいろな施策で職域拡大に力を入れているところだと思いますので、まず現状認識ということでしっかりと記載をする工夫をお願いしたいと思います。

 続けて5ページのほうですけれども、中段の「ア 均等法等の施行状況等」のところですが、3~4行目に書いてある性別役割分担意識の解消傾向は確かに喜ばしいことではあるわけですけれども、どちらかというと、依然として根強いことについてもしっかりと記述をしておく必要があるのではないかなと思います。まだここに書いてあるように「解消が進んでいる」と書き切ってしまうような段階ではないのではないかなと。この辺はちょっと書きぶりを工夫する必要があるのではないかなと感じました。

 それから、前回の議論のときに労働側のほうから申し上げた意見で、一部こういうところをまだ反映されていないかなと感じましたので、6ページもしくは13ページ、現状のところと施策ということですけれども、1213ページのほうに「(ア)均等法の履行確保」ということで記述がされているわけですけれども、前回これは労働側のほうから申し上げていますが、法の履行確保について調停件数が少ない背景には被申立者が席に着かない場合、これらの援助や調停が打ち切りになる前提というか、そういう現状があるということを前回指摘したところだと思いますけれども、引き続き法の履行確保に課題があるということについては、このあたりで記述をすべきではないかと感じていますので工夫をお願いしたいと思います。

 以上です。

○田島会長 ほかには御発言ございませんか。

 山中しのぶ委員。

○山中しのぶ委員 ありがとうございます。

 私も少し細かなところの内容について、発言をさせていただきたいと思います。

 2点ございまして、1点目は資料3-2の15ページの「(エ)コース別雇用管理の適正な運用の促進」というところの記載についてになります。こちらの記載を確認させていただきますと、転勤の要件に関する記載に特化しているという印象を受けるような内容になっております。もちろんコース別雇用管理を考える際には転勤要件は大きくありまして、間接差別の対象となり得ることは重要なポイントであるとは思っています。ただ、そもそもコースを新設する際に、コースで分けることの必要性とかコース間の処遇格差の合理性などについても指針に盛り込まれており、こうした考え方についても記載してみてはどうかと思っております。

 もう一点は、同じく資料3-2の16ページの「イ ハラスメント対策の推進」のところの「(イ)セクシュアルハラスメント防止対策の推進」についてでございます。2014年の「男女雇用機会均等法」の改正施行の際に、指針に加わりましたセクシュアルハラスメントの背景となるような言動、性別役割分担意識に基づく言動などへの言及がこちらのほうには書かれていないというところになります。

 連合が行っている調査におきますと、職場の性別役割分担意識に基づく言動については、女性の半数以上が見聞きしているというデータもありまして、この間の指針の改正について改めて触れることで不適切な言動を職場でなくしていけるよう、改めて喚起したほうがよいのではないかと思っております。

 以上2点について、伝えさせていただきます。

○田島会長 山川委員。

○山川委員 場所は17ページかもしれませんし、どこでも結構なのですけれども「女性活躍推進法」のスキームの位置付けを、細かいことを言うともうちょっと書いてはいかがかと思います。「自主的に」とはどこかに書いてあるのですが、次世代育成支援対策推進法でも若干そうでしたけれども、政策の実現手法として新しいものを導入したところがあって、一律に何かを強制するというよりも各企業の実情に合わせて、何をやるかを自分で決めてもらうというのが女性活躍推進法の特色だと思いますので、そうした各企業の実情を踏まえた取り組みを促進するものであるということをどこかで書いてはいかがかと思います。

 その点で中小企業といいますか、300人以下の企業の場合の努力義務の実現に対しての支援ということが書かれていますけれども、その場合、要は具体的なテクニックのほかに、そういった政策実現手法の持つ意義みたいなこともあわせて周知すると有用ではないかと思います。

 以上です。

○田島会長 ほかに御発言ございませんか。

 中窪委員。

○中窪委員 資料3-2で言いますと、11ページの真ん中あたりですが、実態面で男女格差が解消されないことの背景として、仕事と育児の両立の難しさで離職を余儀なくされとか転勤の問題が出ていますけれども、たしか後ろのほうで、長時間労働の問題も出てきたと思います。やはり労働時間の長さというのが情勢の改善にとって、一つの大きな支障になっているということを、ここでも書いてもいいかなという気がしました。

 もう一つには、前回、男女雇用機会均等法の相談等はセクハラと妊娠、出産のものがほとんどということでしたが、本体と言うべき部分が、私はちょっと少ないではないかと思ったのです。要するに男女雇用機会均等法というのは、性別に基づく差別の禁止、まずは男女をきちんと平等に扱うというのが基本で、募集、採用から始まって、配置、昇進等々とあるわけです。その上で、今度は妊娠、出産について、女性について特別な不利益を禁止し、かつ、今回ハラスメントの防止も加わりましたし、また、セクハラについての措置義務というのもあるわけなのですけれども、一番元になるところがなぜ出てこないのか。実際に差別なしにやっているのだったらいいのですが、裁判例などを見ますと、今でも男女の賃金差別が認定されているケースもありますし、昇格差別が争われたケースなどもありますので、そこがもし行政のところにあらわれてこないとすると、もう少し考えるべきことがあるのではないかという気がします。

 ですから、どういうふうにこの中で書くかというのは大変難しいのですけれども、その辺も「男女雇用機会均等法」の中身として、すぐに妊娠、出産というところにいくのではなくて、本体の部分についても、きちんと履行させるのだというところをもう少し明確にしてほしいなと思いました。

 具体的には1213ページのところで、「あらゆる雇用管理の段階における性別を理由とする差別の禁止、間接差別の禁止、妊娠、出産等」と全て並列して書いていますが、まずは、本体の性別に基づく差別の禁止ということを、私としてはもうちょっと特記してほしい気がいたします。

○田島会長 御意見は出尽くしましたでしょうか、よろしいでしょうか。

 それでは、特に御発言はないようでございますので、本日の分科会はこの辺で終了させていただきます。

 最後に本日の議事録の署名委員は、労働者代表松岡委員、使用者代表加藤委員にお願いいたします。

 皆様、本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省雇用均等・児童家庭局雇用均等政策課
〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(雇用均等分科会)> 第177回労働政策審議会雇用均等分科会(2016年11月21日)

ページの先頭へ戻る