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2016年4月18日 (平成28年4月18日) 第1回遺伝毒性評価ワーキンググループ 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成28年4月18日(月)15:00~17:00


○場所

厚生労働省仮設第一会議室


○議題

平成27年度に実施したスクリーニング試験結果の評価について ほか

○議事

○平川化学物質評価室長補佐 本日は、お忙しい中を御参集いただきまして誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより第1回遺伝毒性評価WGを開催いたします。本日は、委員の全員と、特別参集者である発がんWGの西川委員、若林委員に御出席を頂いております。また、この度事務局に異動がありましたので御紹介いたします。化学物質対策課長の奥村です。
○奥村化学物質対策課長 奥村です。4月1日から化学物質対策課長として務めさせていただきます。遺伝毒性評価グループ第1回WGをどうぞよろしくお願いいたします。
○平川化学物質評価室長補佐 続いて化学物質評価室長の穴井です。
○穴井化学物質評価室長 同じく4月1日からまいりました穴井です、よろしくお願いいたします。
○平川化学物質評価室長補佐 有害性調査機関査察官の上月です。
○上月有害性調査機関査察官 上月です。どうぞよろしくお願いいたします。
○平川化学物質評価室長補佐 化学物質情報管理官の米倉は本日欠席です。以降の議事進行は、座長の清水先生にお願いいたします。
○清水座長 議事に入る前に、事務局から議事次第と資料の確認をお願いします。
○平川化学物質評価室長補佐 資料の説明をさせていただきます。本日は机上配布資料で、委員のみというものが非常に多くなっておりますので、御留意いただければと思います。議事次第、資料1から資料5までと、参考資料があります。委員のみの机上配布は、資料1-4、資料2-3はエームス試験結果報告書、資料2-4は文献情報、資料3-3です。他の資料は傍聴者とも共通の資料です。
 まず議事次第です。本日は主な議題を5点用意しております。1点目は、平成27年度に実施したBhas42細胞を用いる形質転換試験の評価についてです。2点目は、平成27年度に微生物を用いる変異原性試験結果を実施した物質(26物質)に関する遺伝毒性の総合評価についてです。3点目は、平成26年度~平成27年度に行った文献調査に基づく遺伝毒性の総合評価についてです。4点目は、平成27年度に実施した構造活性相関の結果についての報告です。5点目は、次回以降議論する、平成28年度に実施するBhas42細胞を用いる形質転換試験及び微生物を用いる変異原性試験の候補物質についてです。
 資料一覧について御説明いたします。資料1-1は、平成27年度にBhas42形質転換試験を実施した物質について。資料1-2は、日本バイオアッセイ研究センター実施分の資料です。ページ数は付けておりませんけれども、物質の試験番号が右肩上に付いていますので、こちらで御参照いただければと思います。G-15-018から始まる資料1-3は、結果一覧表が8物質について付いています。その裏からが試験内容です。G-15-025までが、今回食品薬品安全センター秦野研究所でしていただいた部分です。表の後ろに、用量設定、試験結果等グラフを付けております。資料1は以上です。
 資料2-2は、遺伝毒性の総合評価、エームス試験26物質に関する遺伝毒性の総合評価です。平成26年度遺伝WGにおける結果も入れたものを付けております。資料2-3は委員のみ机上配布、資料2-4は机上配布です。資料3-1の3ページの裏面からが資料3-2で、物質の番号順に並べています。資料3-3は机上配布です。資料4-1は、発がん性スクリーニングにおける遺伝毒性の構造活性相関結果の評価基準(平成25年度第1回WG修正版)です。資料4-2は、平成27年度構造活性相関の推計結果です。資料4-2は22ページ分あります。資料4-3は総合判定で+になったものを掲載しています。資料5は、平成28年度非遺伝毒性発がんスクリーニング試験対象物質の選定方針、従来どおりの内容です。資料6は今後の予定です。
 資料6の次からが参考資料1、参考資料2です。参考資料3-1は、職場で使用される化学物質の発がん性評価の加速化ということでの、これまでの取組を書いております。現時点での状況、本日、ワーキンググループで議論する内容も含め、参考資料3-2でまとめております。過不足等ありましたら、事務局までお申し付けください。
○清水座長 議事に入ります。議題1は、平成27年度に実施したBhas42細胞を用いる形質転換試験の評価についてです。事務局から説明をお願いします。
○平川化学物質評価室長補佐 資料1-1で、昨年度の状況と、その後、日本バイオアッセイ研究センター、食品薬品安全センターの順番で一括で御説明いただきます。資料1は、平成27年度にBhas形質転換試験を実施した物質です。これまでの経緯については、全体的な流れを参考資料3-2で御覧ください。右側の太い枠の所を本日御議論いただきます。昨年度のWGで、16物質実施した結果について、本日のWGで評価をしていただきます。次回以降のWGで、本年度実施する16物質を選定していただきます。基本的に物質の選定については、遺伝毒性無しのものから、この形質転換試験を選んでいくということになる予定です。
 資料1-1は、昨年度実施した物質についてです。資料1-2、資料1-3の16物質を、平成27年度の遺伝毒性ワーキンググループで選んでいただき、実施していただきました。本日は2にあるように、Bhas形質転換試験結果の評価を行っていただき、陽性と評価された物質について、次回以降、ラット肝中期発がん性試験候補物質とするかを検討していただくという内容です。詳しい試験結果については、試験を実施いたしました日本バイオアッセイ研究センターと、食品薬品安全センターから説明をお願いいたします。
○日本バイオアッセイ研究センター 独立行政法人労働者健康安全機構日本バイオアッセイ研究センターの佐々木です。よろしくお願いいたします。資料1-2を使って説明させていただきます。前半の8物質について、当センターで形質転換試験を実施しております。その結果、半分の4物質で陽性、残り4物質で陰性になっております。資料1-2は、上の8行分ぐらいで物質情報を載せています。真ん中の4行分ぐらいで用量設定試験としての細胞毒性試験の結果の概要がまとめられています。下の6行分ぐらいで、形質転換試験の結果概要となっています。一番下の行に結論・結果の判定が載っています。
 In vitroプロモーション作用を示した物質は、試験番号順でいくと、7472の硝酸バリウム、7473の酢酸亜鉛、7474の2-メトキシエチル=アクリラート、7478のテトラメチルアンモニウム=ヒドロキシドの4物質が陽性です。残りの7475のN-(1,1-ジメチル-3-オキソブチル)アクリルアマイド、7476のイソブチルアミン、7477のビニルスルホン酸ナトリウム、7479の2-メチル-1,3-プロパンジオールの4物質は、in vitroプロモーション作用を示しませんでした。
 次のページで、個別の物質ごとの結果を説明させていただきます。右上に試験番号が載っています。グラフが2つ並んでいて、上のグラフは用量設定試験としての細胞毒性試験の結果です。下のグラフは形質転換試験のグラフです。下のグラフには2種類のプロットがあり、●のプロットのほうが細胞毒性、相対細胞増殖率を左側の数値の目盛りで表しています。○のプロットのほうは、ウェル当たりの形質転換巣の数で、右側の目盛りの数値で表しています。
 当センターで実施した8物質全てに関しては、用量設定試験を、最高用量10mMとして、公比2で、10mM用量で8物質とも実施しております。7472の硝酸バリウムの結果ですけれども、一番上の図1を見ると、一番右のプロットが最高用量の10mMになります。こちらで80%程度まで下がっていますけれども、その前の4点、濃度にして0.63mM、1.3mM、2.5mM、5mMなのですけれども、こちらで120%を超えるような細胞増殖の促進が認められております。
 本試験の用量設定は、こちらの4用量の辺りを中心に押さえ、真ん中の図2のグラフのような用量設定で行っております。そのまま10mMを最高用量に、公比2で、8用量で実施しております。細胞毒性が10mM、5mMで出ていて、形質転換巣が2.5mM以下で増加しておりますので、グラフの見栄えで10mMを省略して示してあります。細胞毒性のほうは、用量設定試験と同様の細胞増殖促進作用を0.31mM、0.63mM、1.3mM、2.5mMの●プロットで示しております。
 ○のプロットの細胞形質転換巣のほうですけれども、一番右の2.5mM、その隣の1.3mM、その隣の0.63mM、その隣の0.31mMと4つの連続した用量で有意な増加を示しております。
 一番下の写真は、陽性の場合には写真を示しております。3つの写真のうち、一番左が陰性対照で、水を溶媒にしたものです。3つぐらいの形質転換巣が黒い塊みたいな形で、大きめの丸っぽいものが見えているのが3つ程度あります。真ん中が陽性対照でTPA 50ng/mLの数になります。一番右が、今回の硝酸バリウムのプレートの写真です。形質転換巣が10個程度出ていて、明確な陽性でした。
 次は7473です。上のグラフの一番右のプロットは0.16mMで示しているのですが、0.31mMから10mMの間を省略して示しています。とても細胞毒性が強かったもので、下のほうを中心に示しています。右から3点目の0.039mMのプロットのみで、細胞増殖促進作用120%程度の作用を示していて、その次の0.078mMの所で急激な細胞毒性を示しています。本試験のほうでは、この0.039mMの促進作用から転じて、0.078mMの細胞毒性に至る、この用量の辺りを中心に刻んで用量を設定しております。最高用量が0.08mMで、0.01という狭い公差で実施しています。
 真ん中のグラフに移ります。その結果、本試験の所では右●の0.04mMから0.08mMの5点で、細胞増殖促進作用を示しています。○のプロットだと、右から2番目と3番目の*が付いているのが0.06mMと0.07mMmの用量になります。こちらで連続した2用量で有意な増加を示しています。
 最後の写真です。左端の陰性対照の写真が4つ程度の所に、右端のCの被験物質の写真では10個強ぐらいの細胞形質転換巣を示しています。これも明確な陽性でした。
 次は7474です。先ほどの物質と同じように、強い毒性を示しています。これも同じように0.31mMから10mMの値を省略して、一番上のグラフで用量設定の結果を示しています。これも同様に、3点目の0.039mMから2点目の0.078mMの間で急激な細胞毒性を示していますので、こちらを刻むような形で形質転換試験を用量設定しています。最高用量が0.08mMで、公差0.01の7用量で実施しています。真ん中の図8のグラフですけれども、●のプロットのほうは、この用量範囲では、細胞増殖阻害作用が認められなかったのですけれども、図8の注に書いたように、0.08mMでは培養途中で全細胞が剥がれて、細胞毒性作用を示しています。そして、形質転換巣が最終的には観察できない状態です。
 ○のプロットで、一番右の0.07mMからあと2点0.05mM、0.06mM、0.07mMの連続した3用量で有意な増加を示しています。
 最後に写真です。一番左端の陰性対照で2個程度、これが一番右端の写真で10個以上の形質転換巣を示しています。これも明確な陽性でした。
 次は7475です。一番右の●のプロットの10mMで80%を切る細胞増殖阻害作用が認められたのですけれども、それ以外は80%よりは上の数値でした。緩やかな細胞毒性を10mMに向けて示しているような状態です。緩やかに細胞毒性を示している所を少し刻み、10mMを最高用量に、公差を1.5で、7用量の設定で、下の形質転換試験を実施しております。図11になります。形質転換試験の結果では、●のプロットのほうで、上から3つの点まで7mM、8.5mM、10mMの3点で80%を切る細胞増殖阻害作用を示しています。一方、○のプロットのほうですが、形質転換巣の数は、被験物質の影響を受けていない状態でした。有意な増加を示す用量はありませんでした。こちらは陰性の結果となっています。
 次は7476です。上の図12の所で、右から2点目の5mMの用量で、細胞増殖促進作用が一旦上に上がっていますけれども、それが10mMの所で細胞増殖阻害作用に転じています。形質転換試験では、一旦5mMで上がった所、それから10mMで下がった所の間を刻む形で用量設定しています。用量が10mMを最高用量に、公比1.2の7用量で実施しております。図13の●のプロットの細胞増殖率を見ると、10mMでは細胞増殖阻害作用が見受けられて、右から4点目から6点目まで、この上がっている所は4.0mM、5.2mM、6.4mMになるのですが、細胞増殖促進作用を示しています。しかしながら○のプロットのほうの細胞形質転換巣のほうは、増殖傾向を示しておりませんで、統計的な有意差はありませんでした。明確な陰性です。
 次は7477です。図14のグラフを見ると分かるように、被験物質の影響が細胞毒性にない状態です。10mMの最高用量はそのままに、形質転換試験の用量設定は、公比ルート2とすることで、間を刻む形で6用量に設定して実施しております。それで実施した結果、やはり本試験の図15の細胞毒性も被験物質の影響はありません。そして○のプロットのほうは、形質転換試験の形質転換巣についても有意な増加が認められませんでした。こちらも明確な陰性となっております。
 次の7478は陽性です。図16の用量設定試験では、最高用量の10mMのみで細胞増殖促進作用を示しています。1点のみの促進作用でしたので、間を大分細かく刻んで、10mMを最高用量に、公差を1.0に設定し、8用量で形質転換試験を実施しております。その結果、6mMから10mMの連続する用量で有意な形質転換巣の増加を示していて、細胞増殖促進作用も併せて示しております。
 写真ですけれども、一番下の左端の陰性対照に関しては、3つ程度の形質転換巣ですけれども、一番右端の検体を投与したものでは、20個弱と多数の細胞形質転換巣を示しております。これも明確な陽性です。
 最後は7479です。図19の用量設定試験ですけれども、被験物質の影響は特に見られない細胞毒性でした。本試験を、一応間を刻んだ形で10mMを最高用量に公比2の6用量で実施しております。本試験、形質転換試験のほうの細胞毒性のほうも、被験物質の影響は見られませんでした。また、形質転換巣の○のプロットのほうも有意な増加が見られず、被験物質の影響が見られない明確な陰性の結果となっております。
 以上で、前半8物質の試験結果の説明とさせていただきます。
○清水座長 ありがとうございました。今の御報告に対して、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。
○若林委員 7473の酢酸亜鉛、これがポジティブなのですが、ほかの3つのものと違って、ドーズレスポンスがあると言いながら、2点のものがほとんど同じような形質転換になっていて、これはドーズレスポンスがあるというにはやや苦しい気がします、ほかの3つと比べて。これらについては非常に公比を狭く取っているから、これ以上は無理なのかもしれませんけれども、このようなものは時折出てくるのですか。
○日本バイオアッセイ研究センター 今回、細胞毒性が強かったものに関して、7472とか7473に関しまして、かなり狭い公比で実施したのですが、その狭い公比の中でこの2点だけというのは、私はちょっと珍しいケースだと思っているのですが、一応、統計の傾向検定のほうで検定しますと、用量依存性を示す有意な数値となっております。初年度は違ったのですが今年は連続した2用量が陽性の場合は、陽性と判定するという試験計画で、食薬さんと合わせてやっていたものですから、それに照らすと明確な陽性という認識をしております。
○若林委員 はい、分かりました。どうもありがとうございました。
○本間委員 今の例ですが、細胞毒性は再現性はないですよね。
○日本バイオアッセイ研究センター はい、そうですね。
○本間委員 この試験は私たちの印象としてはやり直しになるかと思います。
○日本バイオアッセイ研究センター 細胞毒性に関しては再現性がないですけれども。
○本間委員 適正な用量のところを見ているかどうかはよく分からないですからね。
○日本バイオアッセイ研究センター 若干、結果オーライな感じがあるのですが、用量設定試験の場合は10mMから被験物質を調製しておりまして、それで公比2で段階希釈して7段階やったのが下に示した結果で、本試験というか形質転換試験のほうは0.08mMを秤量して正確に被験物質を調製しておりますので、一応、若干ずれた場合は、段階希釈の少ないこの形質転換試験のほうが正確な値であるという認識がありまして、段階希釈を繰り返した、どちらかというと用量設定試験のほうは、ざっくりとしたというか、細胞毒性全体を見ているのかなという認識がありましたので、そのため、再試験等を実施せずにこの形質転換試験のほうを活かす形を今回取りました。
○本間委員 結果の0.08mMの細胞毒性が180度違いますよね。最初のものはすごい細胞毒性が出ていますけれども。0.08mMの下のほうは全く出ていない。
○日本バイオアッセイ研究センター 実は気になって、細胞毒性試験について非GLP的に確認をやったのですが、やはりこの上の0.09mMとかのところで死んでいっているので、微妙な用量変化で急激に細胞毒性を示す物質であることは確認しています。
○清水座長 よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。
○西川委員 細胞増殖に関して同じようなことが7474でも起こっていると思うのですが、これは一番高い用量で再現性が余りないようですね。そのように見えますけれども、同じような理由ということなのでしょうか。
○日本バイオアッセイ研究センター そうですね、同じように最高用量10mMを調製して、それを7段階、公比2で希釈しているのが上の用量設定試験で、下の本試験のほうは0.08mMを調製しているのでより正確だと考えております。こちらの場合は、細胞毒性作用も、間接的にですけれども、注にあるように細胞毒性が出ているので、最終的な21日の段階では全細胞が死んで剥がれて、形質転換を評価できない状態になっております。少しとずれた感じですけれど、細胞毒性は示していることが形質転換試験の方から分かる形になっています。
○清水座長 ほかにはいかがですか。
○若林委員 再現性が非常に問題だと思うのですが、これは何回やってこうなったデータなのですか。例えば7473をもう一度やると、ほんの少しのドーズでこうなってしまいますので、再現性という意味では何回の試験ですか。
○日本バイオアッセイ研究センター これは1回の試験です。気になった細胞毒性がちょっとずれたと思ったところに関しては、非GLP的に追加の試験をやっております。
○若林委員 7473に関しては非GLP的にはreproducibilityはあると、このポジティブであるという点は大丈夫なのですか。
○日本バイオアッセイ研究センター 毒性がずれたと思われたものに関しては、一応そのような確認試験をやっておりまして、やはり微妙なところでずれてはいるのですが、微妙なところでの毒性が出る物質だということは確認しております。
○若林委員 ポジティブであるかどうかの質問をしているのですが。
○日本バイオアッセイ研究センター 形質転換は1回の試験です。毒性に関しては確認試験を実施しているのですが・・・。
○若林委員 形質転換が問題ですよね。
○日本バイオアッセイ研究センター はい。
○本間委員 プロトコールを確認するときに、細胞の増殖性をどう見るかは余り議論をしなかったような気がしたのですが。これはクリスタルバイオレットで見て、その透過性で比較しているだけですよね。
○日本バイオアッセイ研究センター そうです。
○本間委員 厳密にいうと増殖ではないですよね。増殖というのは細胞の数を数えて、その数が上がっているかどうかですけれども、これはクリスタルバイオレットの透過性というのはどう考えても増殖性が高いところでは飽和してしまいます。あとは再現性が悪い。今はOECDのガイドラインでもこの方法は使っていませんから、今更これではなくて数を数えろといっても困るかもしれません。最初に議論をしたかどうかは記憶にないけれども、もうちょっと正確な細胞増殖の測定を考えないと、こうした本試験と予備試験での細胞増殖のものがかなり変わるというのは、これからもよく出てくるのではないかと思うのです。その辺は今後ちゃんと剥がして数を数えるとか、そういったことをやるつもりはないですか。
○日本バイオアッセイ研究センター 食薬センターさんと相談して・・・。
○食品薬品安全センター 本間委員が言ったように、クリスタルバイオレットというのは、単純に細胞が増えればもちろん濃くなる場合と、あとは例えば細胞が大きくなったとか、そういうときもなるわけです。あとはそれこそ被験物質に色が付いていたとか、そういうときも色付いてしまうのです。今のところはクリスタルバイオレットでやっているのですが、例えば去年の場合でしたら、うちの食薬の場合で、どう見てもクリスタルバイオレットの値がものすごく出ていて、ところが感覚的にはそんなにいくはずないだろうというときには、剥がして数えました。ですけれどそれはものすごく大変なので、剥がしてやるよりも、今はいろいろな試薬が出ていまして、例えばWST-8とかの酵素に反応するもの、そういうのに置き換えたほうがいいのかなとは個人的には思っています。
 そして、これはできるだけ形質転換試験と細胞毒性試験を同じような条件で見られるように、同じ数だけ、同じ大きさのプレート2枚でやっているのですが、例えば吸光度でやるようなものは、今の時代は大体96ウェルで測りますので、形質転換は6ウェルプレートに播いて、並行して細胞毒性のほうは初めから96ウェルプレートに播いて、そしてWST-8みたいな酵素に比例して色が付くような色素、いろいろなメーカーからいろいろな色素が出ていますので、そういうので対処できればいいかと思っています。
○清水座長 よろしいでしょうか。また問題があれば、食薬センターの御発表があるときにディスカッションしていただくということで。
○本間委員 確認ですけれども、資料1-4は具体的なデータですよね。試験番号が違うような気がするのですが、ただの間違いですか。
○平川化学物質評価室長補佐 確認しまして、直したものをまたお配りさせていただきたいと思います。申し訳ありません。
○山田委員 もう1つ資料1-4で、今の酢酸亜鉛のデータがないです。23ページ目から硝酸バリウムがもう1回出てきます。硝酸バリウムが重複して、酢酸亜鉛のデータがありません。
○平川化学物質評価室長補佐 7473のものを、取り急ぎ委員の皆様分をコピーして、会議中にお配りしたいと思います。今しばらくお待ちください。申し訳ございませんでした。
○清水座長 それでは、バイオアッセイの方々、ありがとうございました。
 続きまして、食品薬品安全センターから御説明をお願いいたします。
○食品薬品安全センター 食品薬品安全センターの佐々木です。よろしくお願いします。今年は結果一覧表と図表を、バイオアッセイさんと同じような書き方にしました。先ほどバイオアッセイさんが説明してくださいましたので、結果だけを説明していきたいと思います。まず、結果一覧表の真ん中辺りの、G-15-021のトリエチレンジアミンの最後の結果のところで、in vitroプロモーション作用が「陽性」となっていますけれども、これは「陰性」の間違いです、どうもすみませんでした。
 試験は全部で8検体やりまして、陽性になったのが最初の2検体のG-15-018とG-15-019、3-メチルブタナールと、アジピン酸ジヒドラジドで、ほかは陰性でした。
 次に、それぞれの検体のグラフから説明いたします。まず、G-15-0183の3-メチルブタナールです。これは細胞毒性試験の結果、10mMまで毒性作用がありませんでした。そこで形質転換試験はまず1回目、最高濃度10mMにしてやりました。それが下の左の図です。一番濃い濃度の10mMだけで有意になりました。これがコントロールに比べて、まず1点しか有意になっていないということと、あと明らかにポンッと飛び出ているわけではなくて、ぎりぎり有意という感じだったので、もう一度同じ濃度で再現性を見てみました。それが右側の図です。そうすると、今度はやはり10mMで陽性になりまして、また8mMでも陽性で有意になっていました。ですから、この物質は陽性と判断しました。
 次に、G-15-019のアジピン酸ジヒドラジドは、濃度に依存して細胞の数を増殖させるという物質でした。それで形質転換試験をしたところ、2mMから8mMにかけて形質転換巣が有意に出現しました。10mMでは、高濃度でずっと処理していますので、毒性が出ているせいか、形質転換率は下がっています。ですからこれは4濃度において有意に差が見られましたので、陽性と判断しました。
 次のε-カプロラクトンは、10mMまで毒性もなく、また形質転換巣も誘導しませんでした。
 次に、G-15-021のトリエチレンジアミンです。この実験では10mMを最高濃度として、そこから試験を行っていたのですが、このトリエチレンジアミンを購入したときの安全性データシートの分子量が間違っていまして、本当の分子量の大体2倍ぐらいになっていました。それに気付いたのがもう全部実験が終わった後なので、最初はこの10mMを最高濃度としてやったつもりだったのですが、実際は20mMでやっていましたので、そのままにしています。ですから、この試験だけ細胞毒性試験は20mMからやったことになっています。
 左側の1回目の実験で、20mMで全滅しまして、2回目の実験は今度は12mMを最高濃度としてもう少し低い濃度を細かく取っていました。この実験を基にして、形質転換試験を8mMを最高濃度としてやりました。そうしたところ、形質転換は誘導されませんでした。そして8mMでは、細胞毒性試験では3日間しか処理していないのですが、形質転換試験では10日間の処理をしますので、その間に細胞が剥がれてしまいましたので、8mMでは形質転換のデータはありません。ですから6mMまでの形質転換のデータで陰性と判断しました。
 次に、G-15-022の4-メチルピリジンです。これも10mMまで大体20%ぐらいの細胞毒性があるのですが、10mMまでで形質転換試験をしたところ、形質転換率の上昇は認められませんでした。
 次にG-15-023の2-(ピペラジン-1-イル)エチルアミンです。これは濃度に依存して細胞増殖を促進させる物質です。ところが形質転換試験をやってみると、形質転換のほうは逆に細胞を抑えるほうに働いていることが分かりました。10mMでは、やはり長期間処理していますので、毒性のせいで細胞が剥がれてしまいましたので、こちらのデータはありません。
 G-15-024は、分子量10mMと、又は最高濃度5mg/mLの薄いほうを最高濃度とするというようにしていますので、10mMよりも5 mg丸数字1/mLでモル換算すると、8.幾つかのmMだったので、それを最高濃度としました。そうしますと、1回目の実験で8mMぐらいでは大体死んでしまいますので、2回目の実験として、もっと幅広く取って細胞毒性試験を行ったわけです。そしてこの実験を基にして、形質転換試験を行いました。そうしますと、この物質では形質転換の促進は見られませんでした。
 最後のG-15-025のtert-アミルアルコールは、10mMまで細胞毒性作用は見られず、また形質転換も自然形質転換率と同じで、全然上がることも下がることもしませんでした。以上の結果から、最初の2検体を陽性と判断しました。以上です。
○清水座長 ありがとうございました。ただいまの御報告に対して、何か御質問、御意見がありましたらお願いいたします。
○本間委員 前も聞きましたけれども、形質転換が下がるとありますが、これは前回も食薬のほうでこういったことが見られたのですが、バイオアッセイではこういったコントロールよりも下がることは今までも見られたのですか。
○日本バイオアッセイ研究センター 去年のときに1物質そのようなものがありました。
○本間委員 前に、これが要するにアンチ形質転換作用みたいなことをおっしゃいましたね。
○食品薬品安全センター そうですね、並行して行った細胞毒性試験がこうだったら、つまり真っ直ぐの線が引けた場合ですとか。細胞毒性作用があれば、当然、細胞が増えないので、それは形質転換細胞も全然出てこないわけですから、そのときはアンチというよりは、単純に細胞毒性作用のせいと考えられます。
○本間委員 効果が薄まるということですか。全体が増えるから、要するに薄まってそれで下がってくると、そういう単純なことですか。
○食品薬品安全センター いや、違います。アンチの場合はもう単純に何らかのメカニズムで、例えばretinoic acidなど見れば分かるのですが、細胞毒性作用がほとんどないような濃度において、形質転換がどーんと下がっていきます。ですが例えば今回の試験の、ポリエチレンイミンなどでしたら、多分これはアンチではなくて、単純に毒性作用で細胞の増殖を抑えているのではないかなと想像されます。
 例えばG-15-023の2-(ピペラジン-1-イル)エチルアミンだと、こうなっていますので、ですけれどもこれは3日間だけの処理なのですね。実際10日処理をすると10mMでは全滅してしまいますので、そこから毒性が出てくるのですが、可能性としては、アンチの可能性があります。
○本間委員 ロジックとしてそれは有り得るのですか、形質転換、要するに私の考えでは、処理する前のその細胞は、ある一定の形質転換能があるわけですよね。それをプロモーションによって更にそれを上乗せして、上がるということは理解できますが、既に存在するプロモーション活性を下げてしまうということが不思議です。抑えるというのだったらまだ分かるけれども、もともと存在するものがなくなるというのは非常に奇妙な感じですよね。
○食品薬品安全センター いや、これは初めからrasが入っているので、うちの実験条件だとバイオアッセイさんもですけれども、自然形質転換巣が大体ウェル当たり5、6個出てきてしまうのですね。だからそれが落ちてくると。ですからこの実験に例えばメチルコランスレンを最初に3日間処理をして、その後に例えばこの物質を添加して、アンチプロモーションがあるかどうかを調べるような実験系とか、又はTPAのプロモーターと調べたい検体を同時添加すればちゃんと抑えられます。そういう実験系を組んでいくと。
○本間委員 抑えるというか、それは現象を説明しているだけであって、論理的に、生物学的にそれがロジックとして成り立つのですか。
○食品薬品安全センター それは成り立つと思います。
○本間委員 既にがんになるような能力があるものが、化学物質によってそれが取り除かれるというのはどういうことなのか?
○食品薬品安全センター それは成長しないということで、それがそのまま普通の培地に培養していれば、それがウェル辺り5、6個は必ず出てきます。
○本間委員 それが化学物質特異的にそういうことが起きるかどうかというのは。例えば突然変異だったら下がることって全く有り得ないです。要は、存在するものがなくなるということは有り得ないですから。
○食品薬品安全センター 成長するものですから、それはあると思います。実際にアスコルビン酸とか抑えます。
○本間委員 実験はそうやって説明できるけれども、バイオロジカルにそれが本当にロジックとして成り立つのかどうか、若林先生はどう考えるかますでしょうか?だから、がんになっているものがなくなるということですよね。何かの作用が抑えるというのだったらまだ分かるけれども、既に存在しているものがこういったものによって存在を消すというのが不思議です。
○食品薬品安全センター 私は単純にその成長を止めていると考えていいのではないかなと思うのですが。
○本間委員 1つの化合物でドーズが違うとこのように下がるというのはおかしいのではないかということです。何かを加えて増加が見られて、それをその化合物が抑えるのであればそうなるかもしれませんけれども。
○食品薬品安全センター 何かが加わることによって、見かけ上既にがんになるような能力がある細胞が少なくなっているということなのですかね。
○本間委員 特異的にそういったものを、だから形質転換のある細胞だけを取り除くということですよね。
○食品薬品安全センター 取り除いているわけではないのではないかと思っているのですが、取り除くというのは、それこそはじき出すというか、あと殺すとかそういう意味だと思うのですが、そうではなくて、毒性がない限り、多分、そのまま放っておけばどんどん出てくるがん細胞が、成長が止まっているという理屈だと考えています。
○清水座長 その辺の議論はまたもっと別の場所で。
○食品薬品安全センター 実際、これは単に1検体だけでやって、自然形質転換率がこのように下がってくるので見ているのですが、これはわざとイニシエーターとかプロモーターとかを入れて上げて、それを下げるような実験はできますから。それでanticarcinogen、いわゆる抗がん剤のスクリーニングなどをしているところもあります。
○清水座長 この委員会では、陽性のものは、次の西川先生が座長をなさっている発がん性評価WGに回して、そちらで議論をしていただくこともありますので、それまでにもう少し議論をまた考えて、煮詰めていただいて。取りあえずここでは、今日、陽性という報告を受けたものは、次の候補物質として、次の委員会に上げるということで、御了解いただけますでしょうか。
○若林委員 バイオアッセイがやった酢酸亜鉛はデータが1回だけなのですが、食品薬品安全センターでやった3-メチルブタナールに関しては、本当にドーズレスポンスがあるかどうかということで2回やられて、確認をして、明らかにポジティブだという結果を得ています。そうすると、心配というか懸念があるようなものに関しては、もう一度やられたほうがより確かなデータになるような気もするのですが、これは私の個人的な意見ですので、専門家の山田先生や本間先生はどうでしょうか。確認試験をもう一度したほうがいいと私自身は思います。
○清水座長 ほかの委員はいかがですか。
○本間委員 確かに出方が2倍少しぐらいですよね。微妙なので、先ほどやり直しかなと私が言ったのはそういった意味です。できればそうしたほうがいいのではないかと思います。
○太田委員 これは全部中期発がん性試験をやるわけではないのですよね。候補ですからね。
○西川委員 形質転換の強度みたいなところは踏み込まないということでよろしいですか。変異原性でも軽微とか、極めて強いとかという表現をしていますが、ただ単純に陽性だからというので。優先順位を決めなければいけないのですが、そういう程度みたいなものを考慮すれば、少し見方が違ってくるのかなと思います。
○太田委員 多分、繰り返してもこの程度だと思うのです。だから、優先順位をどうするかは、発がんの評価のほうにお任せしてもいいような気もするのです。
○若林委員 繰り返して2つがポジティブになればいいのですが。
○西川委員 陽性はいいのですが、非常に強い陽性なのかどうかの判断ですね。であれば優先順位は自動的に高くなるような気がします。これは弱いですよね。
○若林委員 弱い気がする。だから、白黒を付けなくても、恐らく順位では入ってこないと思います。
○太田委員 発がんのほうでこれを選びたいという場合には、前段階としてもう1回ということは必要かもしれませんが、そうでなければ。 
○山田委員 先ほど非GLPで確認されたと言われていたと思いますが、それはこの報告書には書かれてないのですか。
○日本バイオアッセイ研究センター 載せていません。
○山田委員 ここには記載してないということですか。
○若林委員 非GLPは細胞毒性だけで、形質転換についてはやられていないと思います。
○清水座長 特に強さの表現というのは難しいわけですね。
○食品薬品安全センター 1つは濃度ですね。あと、もう1つは形質転換率、シャーレ当たり幾つ出るかということで、例えば突然変異でしたら、薬剤耐性のコロニーが1万個に1個出るとしたら、10万個播けば10個、100万個播けば100個と出るのですが、形質転換試験の場合は多分周りの細胞との相互作用のせいで、これは細胞を1万4,000個シャーレに播いているのですが、それで例えば10個の形質転換巣が出たとして、だったら14万個播けば140個出るかと言ったら、そうではなくて、多分そんなに増えません。ですから、うちとかバイオアッセイさんの場合だと、最高でもシャーレ当たり20~30個で大体頭打ちになっています。
○清水座長 分かりました。
○若林委員 もう1つのファクターとしては、これらの化合物が頻繁に使われているかどうかというのが、次のステップに行くのに大きなファクターになりますので、酢酸亜鉛なるものが、それほど頻繁に使われていなくて、そういう点からも重要性が低いのでしたら、再現性をうんぬんする必要はないのですが、非常に頻繁に使われているということでしたら、ここでもう少し再現性があるかどうかは確認したほうがいいのではないかと思います。
○清水座長 その辺は事務局で分かるのですか。
○平川化学物質評価室長補佐 事務局としては、今回、形質転換試験で陽性となった物質を全て次回中期発がん性試験に持っていけるか。昨年度は確か陽性となったものが、ほとんど中期発がんに行ったというように理解しておりますが、必ずしもそういうわけではなく、エームス試験で陽性になったものなども含めて、これから議論していただきまして、今度の発がんWGの中で候補物質を選んでいただくことになりますので、形質転換試験で今回陽性になったものが全て今年度の発がんWGで中期発がん試験になるかと言えば、そういうわけではないという形で、今度、中期発がんWGの中で御議論いただくという形で進めてまいりたいと考えています。
○奥村化学物質対策課長 取りあえずデータを出すということですね。
○平川化学物質評価室長補佐 そうです。
○清水座長 使用量等も含めてですね。
○平川化学物質評価室長補佐 そうです。候補については、数量とか、そういうものも調べた上でお諮りさせていただきたいと考えています。
○清水座長 この委員会としては、今日、陽性と判定されたものに関して、発がん性WGに上げるということで、そのときにまた使用量等を含めて御議論いただくということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、次に移りたいと思います。議題の2番目の「平成27年度に微生物を用いる変異原性試験を実施した物質(26物質)に関する遺伝毒性の総合評価について」です。事務局から御説明ください。
○平川化学物質評価室長補佐 資料2-1に沿って、基本的な流れについて説明いたしますとともに、資料2-2の表でまとめている総合評価、あとは各委員の先生方におかれましては資料2-3ということで、試験結果報告書も入れておりますので、そちらも御覧いただきながら、本日、試験をしていただいているボゾリサーチセンターにお越しいただいておりますので、質疑応答等がありましたら、確認ということでしていただければと思います。
 まず資料2-1です。これまでの経緯です。今回挙げている物質で、平成26年度の遺伝毒性評価WGにおける評価によって、「エームス試験が実施されていないため、判断保留」又は「(エームス試験は実施されているが)遺伝毒性の有無の判断困難」とされた物質ということです。
 資料2-2の中で、平成26年度遺伝WGにおける評価ということで矢印が付いておりますが、前後関係があるというわけではなく、第3回WGの中でエームス試験不備なしという形での評価がその4回でされているということで、矢印自体に前後関係があるとかそういうものではありません。その点、御留意いただければと思います。
 また、平成26年度に実施した構造活性相関で+の判定となった物質についても、エームス試験の候補ということで入れておりまして、その中で試薬の入手可能な26物質について、平成27年度の委託事業によりエームス試験を実施したものです。本日、御評価いただきますのは、エームス試験結果の評価ということで、一応事前に評価いただいており、資料2-2のとおり、一応「適」ということですが、更に何か御質問等がありましたらお願いできればと思います。
 さらに、本WGにおける検討事項については、エームス試験の結果を踏まえた全体としての物の評価ということで、2にある丸数字1~丸数字5のどれに該当するかということでの評価を行っていただければと思います。本日、26物質ということで資料を付けております。
 先生方には、エームス試験の報告書のほか、平成26年度に遺伝毒性WGを行ったときに検討材料となった文献情報も机上配布資料ということで付けておりますので、当該物質の総合評価に関して、御参考いただきますようにお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○清水座長 資料2-2を、上からずっと見ていただきますと、26物質あり、各委員の先生方には試験結果について判定を頂いているわけですが、遺伝毒性なし、あるいは弱い遺伝毒性あり、強い遺伝毒性ありということで評価を頂いております。一番右端には構造活性相関の結果も参考までに付けられております。上からざっと見て、いかがでしょうか。1番目は遺伝毒性なし、2番目もなし、3番目が弱い遺伝毒性、4番目がなし、5番目が強い遺伝毒性あり、6、7、8、9番目が遺伝毒性なし、10番目が弱い遺伝毒性、11番目が強い遺伝毒性というように書かれています。14番目は弱い遺伝毒性、16番目も弱い遺伝毒性、17番目はガス暴露法でやった試験ですが、強い遺伝毒性あり、18番目はなし、19番目は弱い遺伝毒性、20番目はなし、21番目は弱い遺伝毒性、22、23番目は遺伝毒性なし、24番目は強い遺伝毒性あり、25、26番目はなしということですが、これについて、何か御意見はありますか。
○本間委員 私が担当した17番の一酸化窒素ですが、こちらはガス暴露法でやっていますから、これまでの強い変異原性の基準である103以上の復帰突然変異コロニーの増加というのが、これに使うのにはちょっと合わないのです。ボゾのほうからは、最大比活性値の所に0.0977%という形で出ています。これは2倍増加させる濃度ということで、こういった形で記載されていたのですが、この場合だと、私としてはこれが強いのか弱いのかというイメージが非常に沸きにくいということで、備考にも書きましたが、これも何が正しいかというわけではないのですが、書き方の問題で、調べてみたら陰性対照に比べて、最大26倍の復帰変異コロニーの増加がTA1535の-S9で見られたということです。この26倍を強いと見るかどうかというのは、人の判断によるのですが、一応ここのカテゴリーでは、強いか・弱いかしかないので、26倍の復帰突然変異のコロニーの増加というのは、強い遺伝毒性という形で評価した次第です。ほかの委員の先生がどう思われるか、検討していただきたいと思います。
○清水座長 ほかの委員の先生方、御意見はありますか。
○荒木委員 過去のガスの評価は、ガスで+であれば、少なくともガスで暴露されるというのは、密閉系で取り扱わない限りは、暴露を受ける可能性が非常に高いということなので、ガスに関しては陽性に出れば一応強いという判断で管理をしていこうという立場だったような気がします。多分、先生は苦労したと思います。実際にプレートの中に溶けている量が分からない限りは計算できないのです。
○清水座長 ガス暴露法の場合には、大ざっぱには5%以下でしたかね。
○荒木委員 5%以下ですね。
○清水委員 5%以下は厚生労働省の暴露濃度が非常に低いものでも危険であると。特にこれは0.0977と、非常に低いですから、こういう低い濃度でも陽性に出るということは、非常に危険であるということから、これは強い遺伝毒性ありと判断して構わないと思います。
○若林委員 用量はどうやって……。+S9mixと-S9mixで出ているのですが、何が遺伝。これはラジカルみたいなもので。
○本間委員 これは一酸化窒素ですから代謝活性化うんぬんは関係ないと思いますが、溶け具合かもしれませんね、蛋白が多いですから、その分溶けにくいとか、そういったことがあるのかもしれません。この辺は荒木先生のほうが想像がつくのではないかと思います。
○荒木委員 溶けやすさによって違うのです。いかにプレートの中に維持できるかですので、開放系でやるとすぐ飛んでいってしまうものは代謝活性化も受けないし、遺伝子の突然変異もうまくできないとなって、密閉式でやっているのがガスの一番検出しやすい方法だと思います。それをいわゆる気液平衡になっているので、溶けやすいものは比較的低い濃度でも出てくれていますが、溶けにくいものは気相の濃度をかなり高く上げないと液層の中の濃度が上がらないという状況です。だから、普通の試験系とは大分違うのです。
○若林委員 質問したのは、1535が+S9mixで、WP2のほうが-S9mixになっているので、そこのところの代謝活性化が。
○荒木委員 実際の生のデータを見れば、多分分かると思いますが、TA1535のほうはどちらかというと、検出感度が高く、バックグラウンドが低い。
○平川化学物質評価室長補佐 本日、配布資料の中で、試験結果表ということで付けておりますので、そちらを御参考にしていただければと思います。65ページから一酸化窒素が入っています。
○山田委員 TA1535とWP2、塩基置換しか出ないのですね。塩基置換の株はどれも。
○__ どちらも上がっていますよね。計算上というか、2倍になっている……の違いですよね。
○__ どちらも出るのですけれども、微妙に濃度とか、何倍出るかというところで、プラスかマイナスかどちらが高いか微妙なところで、余り関係がないかもしれません、S9の混在。
○清水座長 よろしいですか。あとは1番と2番に★が付けてありますが、これは平成26年度に遺伝毒性WGで評価したものに対して、実際にやってみたら、遺伝毒性なしと。文献調査では強弱の判定が困難であったということで、エームス試験そのものは不備がなかったが、今回、遺伝毒性なしということですが、これは特に問題はありませんか。よろしいでしょううか。
 もう1つ裏のほうで、21番と26番にも★が付いていますが、21番は平成26年度の第4回WGで遺伝毒性ありだが行政指導なしの結論が出たということですが、今回の試験では弱い遺伝毒性ありということですが、これに関してはいかがですか。このまま行政指導なしというままで良いかどうかというこことですが、これは特に御異存ありませんか。
 26番に関しても、平成26年度の第3回WGで遺伝毒性の強弱困難で、エームス試験不備ありということでしたが、これは遺伝毒性なしという結果になっております。特に御異存がなければこれでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 資料2-2の結果はこれで御了承いただいたということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、次に進ませていただきます。議題3「平成26年度~平成27年度に行った文献調査に基づく遺伝毒性の総合評価について」です。事務局から御説明をお願いいたします。
○平川化学物質評価室長補佐 それでは、事務局から説明いたします。資料3のとじてあるものです。「平成28年度の遺伝毒性評価WGにおける遺伝毒性評価の進め方」ということで、文献調査による遺伝毒性評価です。
 これについては、平成26年度、平成27年度にかけての労働基準局委託事業、発がん性が明らかでない化学物質に対する変異原性試験等実施事業の中で、計4,482物質についての文献調査及び整理を行ったところです。この中で、特に遺伝毒性評価WGに掛ける必要があるものとして考えられるのは、(1)化審法スクリーニング評価において、年間製造輸入数量の全国合計が10トン以下だったものを、こちらの分担ということで対象としており、このうち、「国際機関等による発がん性分類に関する情報がなく、遺伝毒性に関する何らかの情報のある物質」は359物質あり、これについてのデータ整理を行っております。なお、発がん性分類に関する情報がある物質については、発がん性評価WGにおいて検討いただいているところです。
 次に、(2)調査範囲、調査方法です。これについては、各種の遺伝毒性試験の概要を、化審法スクリーニング評価における「信頼性基準」に示された文献により調査を行っております。その際、陰性・陽性の判断のみならず、定量的な評価についても整理をしました。本日机上配布で文献調査に関する概要の資料を付けております。資料3-3に中身を付けております。
 資料3ですが、全ての文献というわけではなく、遺伝毒性の事前評価が、先生方の評価を頂いて丸数字3~丸数字5又は評価保留という物質について付けております。そういった文献を今回は付けました。事務局での整理ということで、先生方に御覧いただく前に、上記359物質の中から、結果的に87物質を除外しております。除外というのは、既に変異原性が認められる化学物質として除外されていたり、遺伝毒性評価WGで既に評価済みのものが87物質ありましたので、除外しております。さらに、エームス試験情報の有無の確認ということで、エームス試験の情報があったのが251物質、情報がないのが21物質あったということです。本日、配布資料3-2で、272物質付けておりますが、情報なしが21物質、残り251物質ということです。この251物質の中で、文献情報において全てで「陰性」と評価されているものについては、事務局で「陰性」ということで落として、残り130物質を26物質ずつ各委員の分担としております。なお、エームス試験情報なしの物質については、評価を一旦「保留」し、構造活性相関予測の候補物質等に移すことを考えています。
 3は、委員の分担による評価についてです。昨年度この130物質について、事前に評価をしていただきました。その評価結果については、資料3-2に示しているとおりです。評価区分については5段階としております。評価ができないものについては、丸数字1~丸数字5の選択肢若しくは「評価保留」としております。さらに、評価の留意点については(3)のとおりで、アとして、エームス試験に不備がある物質については、丸数字5遺伝毒性の有無の判断困難ということで、今年度のエームス試験の候補ということで入れますが、他の試験による評価が可能であれば、そこで評価してしまうということです。イとして、エームス試験に不備がない物質については、得られている情報の範囲で、一応遺伝毒性についての評価をすることになっています。評価の基本的な考え方は3ページに書いておりますが、今申し上げたとおりの所をまとめております。
 本日行っていただくのが4の、委員の合議による評価です。委員の分担評価により、特に本日机上配布をしている資料の66物質については、今回のWGにおいて合議により評価をしていただくということ。特に、「丸数字3強い遺伝毒性あり」というものについては、変異原性物質としての行政指導の要否を含めて検討していただくというものです。
 5は、評価結果を踏まえた対応です。丸数字2は評価終了ですが、丸数字1遺伝毒性なしのものについては、先ほど評価をしていただいたようなBhas42形質転換試験の候補物質の選定作業に入るということ。丸数字3は行政指導の対象物質として入れるとともに、中期発がん性試験の候補として加えていくことになります。また、丸数字4遺伝毒性はあるが、強弱の判断不能なものはエームス試験の候補へ。丸数字5も同様にエームス試験の候補へということとさせていただくものです。本日、特に66物質についての評価ということで、御議論いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○清水座長 ただいまの御説明について御質問はありますか。特になければ、資料3-2の右端に各委員に見ていただいた結果に関する評価が記載されておりますので、上から順番に行かなければいけないわけですが、事務局から確認していただけますか。
○平川化学物質評価室長補佐 それでは、資料3-2に沿いまして確認いたします。通し番号で1ページのA0002は弱い遺伝毒性あり。A003、A008は事務局で陰性。A0017は強い遺伝毒性あり。A0020は事務局で陰性。A0024はエームス試験が報告されていない。A0026は事務局で陰性と判断しました。A0037は丸数字5遺伝毒性の有無の判断困難ということで評価を頂いております。A0040は遺伝毒性なし。A0043は事務局で陰性。A0049は丸数字3強い遺伝毒性ありとの判断。A0061は遺伝毒性なし。A0063、A0070は事務局で陰性と判断。A0073は遺伝毒性なし。A0076~A0079は事務局にて陰性の判断。A0080は遺伝毒性なしとの判断を頂いています。A0081は事務局で陰性の判断。A0082は評価保留。A0086も同じく評価保留です。A0092は事務局にて陰性の判断です。A0094については強い遺伝毒性あり。A0097は同じく強い遺伝毒性あり。A0100は遺伝毒性なし。A0101は評価保留。A0105、A0112は事務局で陰性の判断。A0114は強い遺伝毒性あり。A0115は遺伝毒性なし。A0119は評価保留。A0123は弱い遺伝毒性あり。A0124は事務局にて陰性。A0133は弱い遺伝毒性あり。A0138は遺伝毒性なし。A0146は事務局にて陰性。A0150はエームス試験が報告されていない。A0152が強い遺伝毒性あり。A0159は評価保留。A0162は遺伝毒性なし。A0163は事務局にて陰性。A0171は評価保留。A0172は同じく評価保留。A0175は遺伝毒性なし。A0180はエームス試験なし。A0188は事務局にて陰性。A0191は事務局にて陰性。A0194は弱い遺伝毒性あり。A0199は遺伝毒性なし。A0201は事務局にて陰性。A0203は強い遺伝毒性あり。A0205は遺伝毒性の有無の判断困難。A0208、A0209は事務局にて陰性。A0210は遺伝毒性なし。A0214は弱い遺伝毒性あり。A0216~A0219は事務局にて陰性。
 次ページのA0225は遺伝毒性なし。A0240、A0246は事務局にて陰性。A0247は強い遺伝毒性あり。A0251は事務局にて陰性。A0256は弱い遺伝毒性あり。A0258は事務局にて陰性。A0261~A0267はいずれも強い遺伝毒性あり。A0268は事務局にて陰性。A0271は強い遺伝毒性あり。A0273はエームス試験なし。A0281は遺伝毒性なし。A0285も遺伝毒性なし。A0286、A0292は事務局にて陰性。A0301は弱い遺伝毒性あり。A0304は強い遺伝毒性あり。A0305は弱い遺伝毒性あり。A0306は弱い遺伝毒性あり。A0309は強い遺伝毒性あり。A0319は事務局にて陰性。A0323は遺伝毒性なし。A0324、A0351は事務局にて陰性。A0354は強い遺伝毒性あり。A0356は強い遺伝毒性あり。A0357は遺伝毒性の有無の判断困難。A0365は事務局にて陰性となっています。A0366は弱い遺伝毒性あり。
 A0367は事務局にて陰性。A0372はエームス試験の報告なし。A0384は弱い遺伝毒性あり。A0387は弱い遺伝毒性あり。A0390は事務局にて陰性。A0394は弱い遺伝毒性あり。A0396は強い遺伝毒性あり。A0403はエームス試験なし。A0408は事務局にて陰性。A0413は遺伝毒性なし。A0414は事務局にて陰性。A0422は弱い遺伝毒性あり。A0428は事務局にて陰性。A0430は強い遺伝毒性あり。A0432は事務局にて陰性。A0434は弱い遺伝毒性あり。A0437は強い遺伝毒性あり。A0441~A0495は事務局にて陰性。A0501はエームス試験なし。A0505は事務局にて陰性。A0518、A0535はいずれも遺伝毒性なし。A0546は事務局にて陰性。A0555は遺伝毒性なし。A0586、A0607は事務局にて陰性。A0618は丸数字4遺伝毒性はありだが強弱の判断不能。A0619~A0643は事務局にて陰性。A0650は遺伝毒性なし。
 A0676、A0683は事務局にて陰性。A0695はエームス試験なし。A0702は遺伝毒性の有無の判断困難。A0704は遺伝毒性ありだが強弱判断不能。A0711は事務局にて陰性。A0712は遺伝毒性なし。A0715は弱い遺伝毒性あり。A0726、A0740は事務局にて陰性。A0750は強い遺伝毒性あり。A0760は事務局にて陰性。A0773は弱い遺伝毒性あり。A0800は弱い遺伝毒性あり。A0824は強い遺伝毒性あり。A0825は弱い遺伝毒性あり。A0867は遺伝毒性ありだが強弱の判断不能。A0878は強い遺伝毒性あり。A0880はエームス試験なし。A0899~A0929は遺伝毒性の有無の判断困難。A0938~A1004はエームス試験報告なし。A1007~A1043は事務局にて陰性。A1067は弱い遺伝毒性あり。A1077はエームス試験なし。A1078は事務局にて陰性。A1084は強い遺伝毒性あり。A1095は事務局にて陰性。A1101は遺伝毒性なし。A1165は遺伝毒性の有無の判断困難。A1195は遺伝毒性なし。A1228は遺伝毒性なし。A1370~A1492は事務局にて陰性。A1493は弱い遺伝毒性あり。A1652~A1900は事務局にて陰性。
 B0007-1は遺伝毒性なし。B0034は遺伝毒性なし。B0049は弱い遺伝毒性有り。B0103は遺伝毒性なし。B0109、B0124は事務局にて陰性。B0130は遺伝毒性の有無の判断困難。B0180、B0185は事務局にて陰性。
 C0020は遺伝毒性の有無の判断困難。C0036~C0341は事務局にて陰性。C0395は遺伝毒性の有無の判断困難。C0408は遺伝毒性ありだが強弱の判断不能。C0454は遺伝毒性の有無の判断困難。C0569はエームス試験報告なし。C0579-2は遺伝毒性なし。C0624-2は事務局にて陰性。C0637-1は遺伝毒性の有無の判断困難。C0637-12は弱い遺伝毒性あり。C0637-18は強い遺伝毒性あり。C0637-29弱い遺伝毒性あり。C0637-7は強い遺伝毒性あり。C0659-14は事務局にて陰性。C0665-30は遺伝毒性なし。C0679は事務局にて陰性。C0684-3は事務局にて陰性。C0686-1はエームス試験なし。C0686-12~C0687-2は事務局にて陰性。C0687-3はエームス試験報告なし。C0701-1は強い遺伝毒性あり、C0705-1~C0717-2は事務局にて陰性。C0717-3は遺伝毒性の有無の判断困難。C0721-2は遺伝毒性ありだが強弱の判断不能。C0722-1はエームス試験報告なし。C0727-5、C0734-2は事務局にて陰性。C0734-4はエームス試験なし。C0744-10は遺伝毒性なし又は遺伝毒性ありだが強弱の判断不能。C0744-22はエームス試験報告なし。C0744-4は事務局にて陰性。C0745-11はエームス試験なし。C0746-2は強い遺伝毒性あり。C0746-4は強い遺伝毒性あり。C0747-1~C0747-16は事務局にて陰性。C0747-29は強い遺伝毒性あり。C0747-6は事務局にて陰性。C0750-4は遺伝毒性の有無の判断困難。C0750-6は遺伝毒性ありだが強弱の判断不能。C0751-1は遺伝毒性ありだが強弱の判断不能。C0751-10は弱い遺伝毒性あり。C0751-11は遺伝毒性の有無の判断困難。C0751-5は弱い遺伝毒性あり。C0751-6は遺伝毒性ありだが強弱の判断不能。C0753は弱い遺伝毒性あり。C0765-3は強い遺伝毒性あり。C0765-4はエームス試験報告なし。C0766-2、C0766-3は事務局にて陰性。C0766-4は遺伝毒性の有無の判断困難。C0769-1は遺伝毒性の有無の判断困難。C0769-3は事務局にて陰性。C0781は遺伝毒性ありだが強弱の判断不能。C0782は遺伝毒性ありだが強弱の判断不能。C0789は弱い遺伝毒性あり。C0796は事務局にて陰性。C0818-2は弱い遺伝毒性あり。C0825は事務局にて陰性。C0841-2は遺伝毒性ありだが強弱の判断不能。C0856は遺伝毒性ありだが強弱の判断不能。C0890は遺伝毒性ありだが強弱の判断不能。C0933-1は遺伝毒性の有無の判断困難。C1077~C1311は事務局にて陰性。C1313は強い遺伝毒性あり。C1315-1は遺伝毒性の有無の判断困難。以上です。
○清水座長 ありがとうございます。それぞれ各委員が見て、こういう評価を頂いたわけですが、特に御自分のところで何かコメント、御意見がありましたらお願いしたいと思います。荒木委員のところは何かありますか。
○荒木委員 A0037です。基本的にNTPのデータがあって、あとは安衛法の変異原性試験データ集です。EPAなどのロボストサマリー、IUCLIDのデータを使っているのですが、少なくともマウスリンフォーマアッセイとサルモネラの5菌株が、陰性という結果になっているのです。安衛法の試験結果の大腸菌とTA100が、一応再現性のある陽性が出ているので、どうするかと結構悩んだのです。ただ、エームスの結果1つだけが陽性で、ほかは全部陰性なのです。ですから判断困難という形にさせていただいています。できれば確認の試験が取れれば、どちらかに判断できるだろうと思うのです。
 それから、幾つかあるのですが、酸クロリドでDMSOでやられた試験があって、陽性の結果が出ているものがあるのです。それは前回もそういう問題があって、実際に試験をしていただいたときには陰性の結果になっていますので、その辺りは一応評価を保留にしてあります。あと、物質名がフェニル酢酸クロライド、A0172は評価できないという形にしております。
○清水座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。では、太田先生から何かありますか。
○太田委員 私のほうは、文献調査で幾つかポジティブがあって専門家判断になったところで、私が遺伝毒性なしと判断したものが幾つかあるのです。これはSC試験だけが陽性で、エームスや染色体異常は陰性というデータが出ているものは、遺伝毒性なしと判断いたしました。あと、文献調査でin vivoの小核が陽性とあったけれども、よく見たら陰性だったので、そういったところは遺伝毒性なしと判断し、ここに載せております。追加は以上です。
○清水座長 私のところではA0702とA0704が、高濃度でようやく出てきたということで、判断が難しいということでした。A0704もいろいろな試験をやっているのですが、判断ができないと。そしてA0899というのも純度が50%で陽性になっているので、これも不純物の可能性があるということで判断できない。A0902も同じく純度が25%で陽性になっているということで、これも不純物かどうかで判断ができないということにしました。私からは以上ですが、本間先生は何かありますか。
○本間委員 特にというのはないのですが、基本的にエームス試験の不備なしというのは、多分人によって違うのではないかと思うのです。ガイドライン上、フルセットであれば全く問題ないけれども、中途半端にTA100とかTA98だけの場合にどうするかというのは、結構難しい問題だと思うのです。その中でも陽性があれば、基本的には陽性と取るし、なければやはり判定困難と取るしかないのではないかという形でやっています。ですから不備があって陰性の場合は判断困難ということで、皆さん同じように悩んでいるのではないかと思います。
 中でもC0408は、エームスでは不備がなくて陰性ですが、他のマウスリンフォーマ、染色体異常試験では全て陽性だということで、これはほかの試験の陽性をどう判断するかは難しいので、これは陽性だけれども、判断が難しいという形にしました。その下のC0637-1も不備はないのですが判断困難というのは、ほかの試験が陰性だったためです。細胞の試験は陽性だけれども、小核試験は陰性で、vivoのデータがあるものは結構重く取るのですが、陽性であれば間違いなく強い遺伝毒性ありとします。かといって陰性の場合に細胞の試験を無視するわけにもいきませんので、こういった判断になっています。気になるところは大体そのぐらいだと思います。
○清水座長 山田委員は。
○山田委員 例えばC0721-2ですが、自分でも、不備がないのになぜ強弱の判断不能にしたのか確認しました。この場合は不備のないほうの試験では陰性ですが、1菌株だけやっている試験が別にあって、それは1535で陽性に出ているという結果なのです。出ているものは無視できないので、あるのかもしれないけれども、そうなると強弱の判断は難しいという判断で、C0721-2はこのように書いています。ほかのところも、不備はないけれども、きちんと判定できていないところは、本間委員が言われたようにvivoの小核が出ているとか、不備のない試験では陰性だけれども、不備のある試験で陽性に出ているものが見られましたので、このような書き方になっております。
 私のところは以上ですが、1つ確認させていただきたいと思います。太田先生のA0365については、事務局では陰性という判断で、その後ろに書かれています。こちらに資料があるので、これは事務局陰性のほうが間違いではと思います。
○平川化学物質評価室長補佐 A0365については、太田先生には振っていませんので、事務局陰性で間違いないと思います。
○山田委員 こちらにこれがあるのですが、事務局陰性にしたのは資料3-3にはないですよね。
○平川化学物質評価室長補佐 30ページですね。30ページは全て陰性になっていますので、これは事務局陰性のほうが正しいのです。資料の中に入れてしまいましたので、手違いがありまして申し訳ございません。
○山田委員 全て陰性ですが、濃度不明になっているので、そういうのも。事務局陰性のものは資料3-3にないのではないかと思うのですが。
○平川化学物質評価室長補佐 陰性ということで落とすべきものが入っていたと考えられます。申し訳ありません
○清水座長 よろしいですか。そうしたら丸数字1に関しては次回検討する形質転換試験の候補物質として追加する、丸数字3については行政指導の対象物質として、また発がん性評価ワーキンググループで議論していただく予定の中期発がん性試験物質の選定候補として追加する、丸数字4と丸数字5についてはエームス試験の候補として追加していただくということでよろしいでしょうか。では、そういうことで事務局のほうで対応をお願いいたします。
○西川委員 1つ確認します。山田委員のC0744-10は、丸数字1と丸数字4の両方書いてあるのですが、どちらかにする必要はないですか。
○山田委員 そうですね。両方書いてありますね。これはどうだったのか確認します。
○清水座長 1535でのみ陽性ということですか。
○山田委員 いや、それではない。C0744-10というのはエームス試験が6つ実施されていて、それは全部陰性です。6つではない。もっとたくさんされていますね。これは「なし」でいいです。
○西川委員 丸数字1ということですね。
○山田委員 丸数字1です。
○清水座長 では、丸数字1は形質転換の候補物質ということですね。ほかに何かありますか。
○平川化学物質評価室長補佐 念のために確認させていただきます。C0744-10は、丸数字1ということで、進めさせていただくということでよろしいでしょうか。
○山田委員 はい。
○清水座長 特になければ先に進みたいと思います。議題の4番目、「平成27年度に実施した構造活性相関結果(報告)」について、事務局から御説明をお願いします。
○平川化学物質評価室長補佐 それでは、説明いたします。資料4-1は平成25年の第1回WGの修正版で、構造活性相関を行った結果に基づく対応を示しております。構造活性相関の計算に使用するプログラムとして、3つのプログラムを使用して行っております。さらに、この中でエームス試験実施のための優先順位の判断として、第1に優先されるのは、3つのプログラム全てで陽性の予測結果を得られた場合で、次に優先されるのは、2つのプログラムで陽性の予測結果が得られた場合となっています。3番では非遺伝毒性物質の推定ということで、3つのプログラム全てで陽性の予測結果が得られた場合には非遺伝毒性物質であると推定し、形質転換試験の候補として入っていくという流れになっております。
 資料4-2が昨年度、構造活性相関を行った結果が出ている709物質です。次の資料4-3が、このうち+という評価が得られたものの93物質です。この93物質ですが、右側に文献調査年度ということで書いております。製造輸入量については、化審法の官報公示整理番号ごとに集計された一般化学物質製造輸入数量の数字から取ってきておりますので、実際の当該物質の製造輸入量とは一致しない場合があります。その点については御承知置きください。次回以降の参考ということでお願いできればと思います。
○清水座長 何か御質問、御意見はありますか。
○本間委員 これは全部10トン以上ですか。
○平川化学物質評価室長補佐 化審法のスクリーニング評価手法における暴露クラスが5又はランク外から抽出しているので、年間10トン以下です。
○清水座長 特になければ次に進みます。議題の5「平成28年度に実施するBhas42細胞を用いる形質転換試験及び微生物を用いる変異原性試験の候補物質について」、事務局から御説明をお願いします。
○平川化学物質評価室長補佐 資料5の内容ですが、次回のワーキンググループにおいて、形質転換試験物質の選定を行うに当たり、「平成28年度非遺伝毒性発がんスクリーニング試験対象物質の選定方針」ということでお示しをしておりますが、基本的にこれまで行っている選定方針と変わるものはありません。
 選定の考え方としては(1)から(2)を踏まえて選定をいただくということで、国内の製造・輸入量、用途といったものを中心として考えていくことになります。除外されるものは、常温で気体の物質、天然物由来の物質や構造類似物質の混合物等について、試験に使用する試薬が入手できないといった理由から外していきます。また、3番にありますように、複数の物質が化審法で同一グループに属しているものについては、まずは炭素数の小さいものからやっていきます。仮に小さいもので陽性が出たら、炭素数の大きいものについても試験を行って確認をしていくという形で進めていくという内容です。このような考え方で今後、形質転換試験の物質を選んでいくということで付けております。
○清水座長 何か御質問、御意見はありますか。
○本間委員 これは毎年度16物質やっていくという意味ですか。
○平川化学物質評価室長補佐 そうです。
○本間委員 しかし10年やっても160ぐらいにしかならないですよね。そうやって少しずつ続けていくしかないわけですね。
○平川化学物質評価室長補佐 予算の都合等で、これまでは年間に16物質をしてきているという状況です。
○本間委員 先ほどの話だと、細胞増殖能があると形質転換能があるという感じですが、最初に細胞増殖能だけ見て、それでスクリーニングを掛けて形質転換をやるといったストラテジーは可能でしょうか。
○平川化学物質評価室長補佐 今年度は、従来どおりの試験方法で行う予定です。これまでの方法は、参考資料2の形質転換試験による調査の基準のとおりです。修正を行う場合には、改めてこのワーキンググループの中で御議論をお願いできればと考えております。また、本間先生がおっしゃったところも考慮しつつ、候補物質の選定という形で進めていければと思います。次の日程は押し迫っておりますが、いろいろな御意見等を事前にいただければと考えております。
○清水座長 ほかにありますか。特になければ、議題6の「その他」です。事務局からお願いします。
○平川化学物質評価室長補佐 資料6には今後の予定ということで付けております。次回の予定は平成28年4月27日、来週の水曜日で、平成28年度に実施する形質転換試験及び変異原性試験の実施物質の選定です。よろしくお願いできればと思います。
 あと、2番にも書いてありますように、物質の選定を行った後、(1)のエームス試験の実施を平成28年度末までにということですが、これについては委託の実際の契約などの関係もありますので、末とはならないで、若干早まる可能性もありますので、その点については御留意いただければと思います。エームス試験は今のところ、約40物質を考えております。(2)については昨年度同様、16物質を予定しております。(3)の遺伝毒性情報等の収集・整理ということでは、必要と考えられる30物質程度を集められればと考えております。(4)の構造活性相関の計算も、今年度、委託でやっているものと団体への交付事業、補助金事業等でやっていくものもありますので、そうしたものをかみ合わせながら、また今年度も遺伝毒性評価に取り組んでいきたいと考えております。
○清水座長 何か御質問はありますか。
○若林委員 来週の場所は。
○平川化学物質評価室長補佐 来週も同じ場所での開催となっております。よろしくお願いいたします。次回は10時からです。
○清水座長 来週の水曜日10時ということで、特に御意見がなければ、これで今日のワーキンググループを終わりたいと思います。どうもありがとうございました。


(了)

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