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2016年10月17日 第19回厚生科学審議会感染症部会
健康局結核感染症課
○日時
平成28年10月17日1 4 : 0 0 ~ 1 6 : 0 0
○場所
厚生労働省 省議室( 9 階)
○議題
(1)エイズ・性感染症に関する小委員会の設置について
(2) 新型インフルエンザ対策について
1.H5N1 プレパンデミックワクチンの備蓄方針等について
2.被害想定の調査方法について
(3) 感染症の予防の総合的な推進を図るための基本的な指針の一部改正について
(4) 厚生科学審議会感染症部会審議参加規程の一部改正について
(5) 報告事項
1.麻しんの発生状況について
2.ジカウイルス感染症への対応状況について
3.一般財団法人化学及血清療法研究所に対する報告命令等について
(6) その他
○議事
○結核感染症課長補佐 それでは定刻となりましたので、ただいまから第19回厚生科学審議会感染症部会を開催いたします。初めに、委員の出席状況を御報告いたします。本日は岩破委員より、欠席の御連絡を頂いております。また、南委員におかれましては、現在、到着していない状況です。現時点で定足数以上の委員に御出席いただいておりますので、会議が成立いたしますことを御報告させていただきます。また、今回より、岩本委員、釜萢委員に、本部会の委員に御就任いただくこととなりましたので、御報告いたします。
事務局の異動について御報告いたします。大臣官房審議官に橋本が、また、結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室長に長谷川が、結核感染症課長補佐及びエイズ対策推進室長に野田が異動になりましたので、御報告させていただきます。
次に、事務局より資料等の確認をいたします。議事次第、配付資料一覧、委員名簿、座席表のほか、資料1~資料11、参考資料1~参考資料7を御用意しております。不足の資料がありましたら、事務局までお申し付けください。では、冒頭のカメラ撮りについては、ここまでとさせていただきます。御協力をよろしくお願いいたします。
以降の議事運営については、倉根部会長にお願いします。よろしくお願いいたします。
○倉根部会長 よろしくお願いいたします。それでは、事務局から審議参加に関する遵守事項について報告をお願いします。
○結核感染症課長補佐 審議参加について御報告いたします。本日御出席された委員の方々の過去3年度における関連企業からの寄附金・契約金などの受取状況について申告をしていただきました。
本日の議題では、沈降インフルエンザワクチンの各品目に関連した調査審議を行います。これらの製造販売業者は、一般財団法人化学及び血清療法研究所、北里第一三共ワクチン株式会社、武田薬品工業株式会社、デンカ生研株式会社、一般財団法人阪大微生物病研究会であり、皆様の申告内容については机上に配布しておりますので、御確認いただければと思います。
あらかじめ事務局で申告内容を確認しましたが、賀来委員の申告において、武田薬品工業株式会社から50万円を超え500万円以下の寄附金等の受領があったと申告がありました。沈降インフルエンザワクチンに関する議決については、賛否を表明することはできません。このほかには、審議や議決に不参加となる基準に該当の方はありませんでした。以上でございます。
○倉根部会長 それでは、本日の議題を確認いたします。まず議題1として、エイズ・性感染症に関する小委員会の設置について、議題2として、新型インフルエンザ対策について、議題3は、感染症の予防の総合的な推進を図るための基本的な指針の一部改正について、議題4は、厚生科学審議会感染症部会審議参加規程の一部改正について、議題5は、報告事項として3件あります。議題6は、「その他」ということです。議題が多くなっておりますので、円滑な議事の進行に御協力をお願いいたします。
それでは、議題1、エイズ・性感染症に関する小委員会の設置についてです。事務局から資料の説明をお願いします。
○結核感染症課長補佐 では、お手元に資料1から資料3、参考資料1から参考資料3を御用意ください。資料1です。後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針及び性感染症に関する特定感染症予防指針の見直しの検討についてです。
背景ですが、後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針及び性感染症に関する特定感染症予防指針の直近の改正としては、平成24年1月19日でしたが、その際には、厚生科学審議会感染症分科会感染症部会の下に設置されておりましたワーキンググループで検討が行われました。
これらの指針については、少なくとも5年ごとの再検討を加え、必要があると認められる場合には、これらを変更していくものとされております。平成25年4月1日付けで、感染症分科会が廃止されたことに伴い、この下に設置されていたワーキンググループについても含めて廃止されています。
今回の見直しですが、厚生科学審議会感染症部会運営細則の第1条に基づき、資料2の案のとおり、新たに厚生科学審議会感染症部会の下に、エイズ・性感染症に関する小委員会を設置しまして、当該指針の見直しの検討を行うということを事務局より御提案させていただきたいと思います。
資料2、当該小委員会の設置についての案です。設置の趣旨としては、後天性免疫不全症候群については、個別施策層を中心に新規HIV感染者・エイズ患者が報告されており、報告数は平成20年をピークに横ばいで推移している一方、抗HIV医療法の進歩により、患者の延命が図られて長期・在宅療養等の新たな課題も生じております。
また、性感染症に関しては、若年層における発生の割合が高いことや、性行動の多様化が指摘されております。それらを踏まえた対策が必要とされています。こうした状況を踏まえて、当該小委員会を設置するというものです。
当該小委員会の所掌事務についてです。当該小委員会については、エイズの予防及び当該感染症の患者に対する医療に関する重要事項について調査審議を行うこと。更に、性感染症の予防及び当該感染症の患者に対する医療に関する重要事項について調査審議を行うことという2つを事務として考えております。
なお、小委員会の運営については、厚生労働省の健康局結核感染症課が行うことと考えております。事務局からは以上です。
○倉根部会長 ただいま事務局からの説明で、この件に関して御質問、御意見はありますでしょうか。何かありますか。
私から少し確認です。重要事項について、調査審議の調査というのは、これは一般的な書き方が大体そうなっているのですか。
○結核感染症課長補佐 はい、そのとおりでございます。
○倉根部会長 特にありませんか。よろしいでしょうか。そうすると、このような小委員会を設置するということについては了承いただけると、了承するということに決したいと思います。ありがとうございます。
あとは、今後、事務局で進めていただくということになるかと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
次に、議題2、新型インフルエンザ対策について、事務局から資料の説明をお願いします。
○新型インフルエンザ対策推進室ワクチン専門官 それでは、事務局から資料4、資料5を中心に説明いたします。まず資料4、H5N1プレパンデミックワクチンの備蓄方針等について(案)です。こちらは、新型インフルエンザ対策に関する小委員会で御審議いただき、資料として取りまとめられたものです。まず、背景を申し上げてから、今後の備蓄方針について小委員会で御議論いただいた中身について御説明いたします。
1.H5N1プレパンデミックワクチンの備蓄についてです。背景としては、平成18年度から平成26年度にかけて、複数のワクチン株について、それぞれ約1,000万人分の原液を備蓄するとともに、その一部(54万人分/株/年)を製剤化して、製造有効期限の切れるタイミングで、同じ株を追加備蓄しておりました。
平成27年度の新型インフルエンザ専門会議で、以下のようなことが示されて、インドネシア株を備蓄株に選定してみました。そちらのときは、細胞培養ワクチンのインドネシア株が交叉免疫性に優れているという研究結果を受けて、インドネシア株を備蓄株に選定しています。
平成28年度の備蓄については、第14回の感染症部会で、細胞培養ワクチン(乳濁細胞培養インフルエンザHAワクチン)(H5N1株)のインドネシア株の交差免疫効果が、近年分離されているH5N1の野生株ウイルスについては十分でない可能性がある旨、国立感染症研究所の研究結果が得られました。
こういった事情を踏まえて、クレード2.2系統のH5N1鳥インフルエンザのヒトへの感染の発生事例というところが、当時、急増していたことを踏まえて、危機管理上の重要性からチンハイ株(クレード2.2)が備蓄株として選定されています。
今までの経緯を踏まえて、今後のH5N1プレパンデミックワクチンの備蓄方針について御議論いただいたところです。
小委員会で御議論いただいた結果、1ページの四角の所ですが、まず、提案1として、今後の備蓄方針として、近年のH5N1鳥インフルエンザが発生の疫学的な状況、それから、パンデミック発生の危険性、パンデミックが発生した際の社会への影響、発生しているウイルスとワクチン株の抗原性等を踏まえ、検討時点で「危機管理上の重要性」が高いワクチン株の備蓄の優先順位を決めるということです。
次ページです。理由としては、人へ感染を引き起こすH5N1の鳥インフルエンザウイルスは多様化しており、抗原性の変化が見られる。それぞれに対して、全て有効なワクチン株を備蓄するということが困難となってきた。それから、その他の新型インフルエンザ対策全般の整備が進んでいると。その1つは、抗インフルエンザ薬の備蓄は目標量(国民の45%相当量)を充足しています。また、小児・重症患者等の多様な背景をもつ患者にも最適な薬剤選択を可能とするべく備蓄薬の多様化を進めております。更に、パンデミック発生後に、以前より早期に、全国民分のワクチンを供給するため、細胞培養インフルエンザワクチンの製造体制の整備を進めているところです。
こういった背景から、先ほど申したとおり、危機管理上の重要性が高いワクチン株の備蓄を優先するということを決めたところです。
2ページ、提案2として、平成29年度の備蓄株の方針です。そちらは、クレード2.2のチンハイ株を優先するという御審議をいただきました。
理由としては、近年のH5N1の鳥インフルエンザの人への発生状況として、エジプト等の中東で流行しているクレード2.2系統の鳥インフルエンザウイルスの人への感染確定症例数について、平成27年度は急激な増加が認められていました。
一方で、過去にベトナムやインドネシアや中国での流行が懸念されたクレード1.1、クレード2.1、クレード2.3系統における人感染症例数は減少していると。ワクチン株としてクレード2.2のチンハイ株は、中東で流行しているクレード2.2系統のインフルエンザウイルスに対して類似した抗原性をもち、有効な免疫反応を得ることができると考えられており、そういった理由からです。
なお、作業班会議で、そのほかのワクチン候補株について、新たなワクチン候補株について御指摘があったところですが、その候補株については、クレード2.3.4.2の2つの新しいワクチン候補株ですが、近年、人における感染事例は少なく、危機管理上の重要性が高いワクチン株とは言えないため、現時点では、ワクチン株として適切な生産性や抗原性等の検討は行わないこととすると、まとめられております。
もう1つは、留意事項です。今年度中にチンハイ株、合計1,000万人分を備蓄予定です。平成29年度のチンハイ株のワクチン生産は、今年度の備蓄状況を確認した上で必要な量を提示することとされております。
続いて、2.H5N1プレパンデミックワクチンの製剤化についてです。背景としては、新型インフルエンザ等政府行動計画において、プレパンデミックワクチンについては、迅速に接種が行われるよう、その原液の一部を製剤化することとされております。
製剤化の量については、原液の有効期限が3年であるのに対して、製剤化したワクチンが1年であることや、鶏卵培養ワクチンメーカーが生産可能な最小製剤化量等を勘案して、備蓄している4株について、約54万人分を製剤化したところです。平成27年度から細胞培養ワクチンの製造を始めたため、細胞培養ワクチンも、製品ごとに生産可能な最小製剤化量が異なるため、製剤化するのは改めて検討が必要ということで御議論いただきました。
その結果、小委員会で取りまとめられた内容としては、3ページ目の真ん中辺りの提案3今後の製剤化方針についての項です。1つは、製剤化の対象となる備蓄株で、上述提案1の備蓄方針と同様に、検討時点で「危機管理上の重要性」の高いワクチン株の製剤化を優先すると。それから、製剤化の量は、製剤化を行う際には10万人分を基本とする。ただし、生産可能な最小製剤化量が10万人を超える場合は、当該最小製剤化量を基本とするということです。
4ページ、3.臨床研究についてです。まず背景としては、新型インフルエンザの発生時には、プレパンデミックワクチンに有効な接種方法等の検討に資するよう、最新の流行状況を踏まえて、製剤化済みのワクチンの一部を用いて有効性・安全性について臨床研究を推進することとされています。こちらは政府行動計画に記載されています。
また、パンデミック発生後に、事前にプレパンデミックワクチンを接種した者の保存血清から交差免疫性を検討して有効性を早期に判断することとしています。これについては、予防接種に関するガイドラインの所に記載されています。
こういったことで、鶏卵培養ワクチンについては、臨床研究を従前から実施しており、有効性・安全性及び交差免疫性に関する検討や血清の保存を行ってきたということです。
今後の提案としては、今後の臨床研究提案4今後の臨床研究の方針の所です。今般、新たに導入された細胞培養ワクチンについても、製剤化したワクチンの一部を用いて臨床研究を行い、有効性・安全性等に関して検討、確認を行うというところです。H5N1プレパンデミックワクチンの備蓄方針等については、以上です。
続いて、資料5、新型インフルエンザにおける被害想定の調査手法について(案)です。こちらも新型インフルエンザ対策に関する小委員会で御審議いただいて、取りまとめていただいたものです。
まず、背景として、現行の被害想定に関する課題についてです。昨年来より、様々な議論の経緯で、新型インフルエンザ等対策有識者会議(平成27年10月29日)において、被害想定について、以下のとおり取りまとめられています。そこのところは、現在の日本の政府行動計画で使用されている、現在の被害想定で使用されている米国のCDC推計モデルflu Aid2.0は、我が国の医療体制や、抗インフルエンザウイルス薬介入の効果等を考慮していないことから、今後さらなる科学的エビデンスに基づいた新たな被害想定の考え方などについて情報収集を行い、議論すると、まとめられています。
ただし、被害想定の調査方法については、世界的に一定の手法が確立しておらず、また、国の体質に直結することから、厚生科学審議会感染症部会新型インフルエンザ対策に関する小委員会で議論を行うこととされております。
小委員会で御審議いただき、提案された新たな数理モデルについての説明は、後ろ半分側にあります。
2.感染症数理モデルによる流行分析の調査手法(案)です。大きく2つのステップに分けて検討を進めていくというところです。
1つ目の○の所ですが、特に未知のパンデミックにおいて、不確実性の高い「感染性」と「重症度」に対応したベースラインの感染症数理モデルを作成するために以下の手法を用いるということで、まず1つは、従前は1つか2つのところの被害想定の案だったところを、複数のパンデミックのシナリオを検討すると。特に感染性及び致命率について、3つの推定、「低位」「中位」「高位」を準備すると。それから各シナリオに対して、多くのインフルエンザの専門家の知見を反映するということです。
そのやり方としては、デルファイ法により、感染性(具体的には基本再生産数と、累積感染者割合)及び致命率(感染時の致命リスク)について専門家の見解を収集する。シナリオの感染症数理モデルのパラメータは、専門家が「現実に想定される」と考えられる範囲で抽出します。上記のベースラインのモデルを作成後、我が国の医療体制や、抗インフルエンザウイルス薬介入の効果等の影響を組み込んだモデルの作成に着手するということです。
一番最初のベースラインのモデルについて、インフルエンザの専門家の知見を反映するのですが、現時点でその意見の収集の対象として想定されているのは、新型インフルエンザ等対策有識者会議(及び同医療・公衆衛生分科会)、それから、厚生科学審議会感染症部会新型インフルエンザ対策に関する小委員会(及び同作業班)に属する基礎医学・臨床医学・公衆衛生学の専門家です。事務局の説明は、以上でございます。
○倉根部会長 ただいまの説明で、新型インフルエンザ小委員会の岡部委員長から何か補足はございますでしょうか。
○岡部委員 この小委員会の委員長をお引き受けしている岡部です。今の御説明どおりですが、最初のプレパンデミックワクチンについて、備蓄方針については今般はこのように決まっており、株もチンハイ株であるということが決まっています。
ただ、そのバックグラウンドとして、今までH5N1の備蓄をこのところずっと続けているわけですが、量的に、質的にこういうものでいいかどうか、あるいは、根本的にプレパンワクチンの備蓄が要るのか要らないのかということについて、常に議論は出るのですけれども、いろいろな理由で肝心のところまで踏み込めていませんでした。今回、この2番のほうに、もう1つのほうに関係するわけですが、やはりその根本になるのは、被害想定というか、そのシナリオをどう考えるかということによっても違ってくるので、まずこの議論が必要であり、今のところはこの備蓄方針ということできていますので株の変更ということを決めておりますが、2009年からもう10年ほどたってきているので、そろそろ見直しを、というようなことを検討しております。
もう1つは、そのベースになるような現行の被害想定に関する課題ということで、これも事務局から御説明があったとおりですけれども、そもそもその被害想定という言葉について何かこのぐらいのことが必ずあるのではないかという大きい誤解があった部分もあり、幾つかの流行分析を言わばシナリオというような形で作って、それについて現実的に、あるいは想定としてどのぐらいのものまで置いておくかというところで議論をしたいということが基本的なところになります。
このデルファイ法というのは私もよく知らなかったのですが、簡単に言えば、いろいろな人との意見を聞きながら、専門家の意見を聞きながら全体的なことを取りまとめていくという、1つの数理モデルを作るときの研究手法の1つだということですが、そのときのヒアリングを、今、少し進めはじめています。そのような専門家としては、この厚生科学審議会感染症部会の先生方にもお願いすることがあろうかと思いますので、その点はよろしくお願いいたします。
それから、一応、シンプルな形での数理モデルということで研究がスタートするわけですが、今までのこの被害想定のときに、課題というか、問題点になっているのは、そもそもこのアメリカのモデルが、日本の医療の実情に合っているのか、あるいは、今日の医療とか、ワクチン、抗インフルエンザウイルス薬、そういった諸々の影響もあるので、そういうようなものも、このモデルの中に組み込みたいというのは今までも議論があったことですが、当面は、まずシンプルなものでやって、それの完成というか、一定の議論を経てから、次の段階として、幾つかのファクターについても組み入れていくといったことが行われることになりました。
それで、この小委員会としては、「新型インフルエンザにおける被害想定の調査手法において」ということで、本委員会に提案することに至りました。以上です。
○倉根部会長 ありがとうございました。ただいま岡部委員長からも御説明がありましたが、2つのこの事案、まずは資料4に基づく備蓄方針等についてと、それから、その後の調査手法について、いずれもここで少し議論をしたいと思います。御質問、御意見はいかがでしょうか。
○岩本委員 2ページの留意事項の質問ですが、一番下の行に、現時点ではワクチン株としての適切な生産性や抗原性等の検討は行わないと書いてありますが、少し表現がきついというか、非常にお金も掛かるので、人での抗原性の検討を行わないという意味なのかどうかという点を伺いたいと思います。
というのは、恐らくエジプトの流行株というのは、2005年のチンハイフー(青海湖)で起こった野鳥の大量感染後野鳥が運んでいった1つのクレード2.2というウイルスが流行しているのではないでしょうか?一方、アジアにおいては、それ以前から鳥の間で流行がずっと起こっていたので、より複雑なウイルスがアジアには存在すると思います。今、エジプトを含む中東では社会の混乱が報道されています。人の感染だけに注目すると、エジプトと、例えばベトナム、インドネシア、中国を比べた場合、社会の安定性というか、家禽の生産場所と人への感染の起こり方が、むしろウイルスの人への適応よりは、管理の悪さの問題という可能性もあると思います。私自身は、抗原性の検討とかは、例えばフェレットを使うとか、動物を使う実験等で大事なのではないかと思うので、少し書きぶりがきついかなという気がしました。
○倉根部会長 ありがとうございます。岡部先生、この部分の議論というのはどうでしょうか。
○岡部委員 実際に人においての感染例は極めてまれなので、人においての再現性、その他、効果とか、そういうものは見ることができないだろうということで、実験動物上のことは、私の認識としては、当然あるだろうと思っています。
○倉根部会長 事務局、何か今の点で意見の追加はありますか。
○新型インフルエンザ対策推進室ワクチン専門官 先生のおっしゃるとおりです。人での臨床試験というところを、まず想定しています。また、臨床試験にいくための生産性の検討というところで、かなり大きなスケールの生産性の検討とか、そういったところまでは現時点では行わないと。そういった意味での記載ぶりです。
○倉根部会長 いわゆる、これは動物等を用いて行うものまで行わないとしているものではないという、そういうことですね。岩本先生、いかがでしょうか。
○岩本委員 その確認をしたかっただけです。
○倉根部会長 はい。ほかに御意見はいかがでしょうか。
○賀来委員 資料5の被害想定の調査書のことですが、前回のパンデミックのときに非常に混乱が起こりましたので、被害想定について、この方法論がどのような形で発展していくか分かりませんけれども、是非お願いしたいと思います。
米国、あるいはヨーロッパ諸国などに比べて、日本は早期にインフルエンザ薬を使えたということが、前回のパンデミックのときも、死亡率の低下につながったということもあります。今後、まずはシナリオを作って、その後、抗インフルエンザ薬の早期使用や感染予防対策の介入の早さとか、そういうさまざまな対応についてもまた検討していただければと思います。
もう一点は、デルファイ法のことです。今、岡部先生からお話いただきましたが、前回のパンデミックの際に、軽症例もあるということで、一般の開業医の先生も診ていただく方式をとり対応を行ったという経緯があります。そのような対応をとることができるかどうかも非常に重要であり、パンデミックが実際に起こって、大体、どれぐらいの時期でリスク判断が可能なのか、2週間とか、1か月とかそういうリスク判断の時期についての議論はありましたでしょうか。
○岡部委員 その点について、「実際に起きたときに」という議論は、余りしていなかったと思います。むしろ、プリペアドネスといった意味合いで、先にそのモデルを作っておいて、それに合わせたような形で、例えば、特措法とか、それからガイドラインなどに影響を及ぼすのですが、それを考えていくときのベースになる、と思われます。もちろん実際に起きたときに、それが合っている、合っていないというのは、当然検証すると思いますけれども。
○賀来委員 はい。
○岡部委員 私の記憶では、そこまで踏み込んだ議論は今回はやっていないと思います。
○賀来委員 分かりました。多分、重症化した例などでは、いわゆる人工呼吸器などを装着する例が多いと思いますので、今後は感染症・感染制御の専門家や重症治療や集中治療の専門家、救急医学の専門家など、是非とも、さまざまな学会も含めて支援対応できればと思います。よろしくお願いします。
○倉根部会長 岡部委員、どうぞ。
○岡部委員 研究のスタートとしては、非常にシンプルで、特に勧奨しなかった場合というところでスタートするわけですが、次のステップの課題が、先生のおっしゃるような、いろいろなインターベンションをかけていったときに、どういうことが起きるか、それで実際にどういうインターベンションが必要かといったところまでもっていきたいというのが小委員会で議論されたことです。
○賀来委員 ありがとうございます。
○岡部委員 それと、言い忘れましたので、もう一点よろしいですか。
○倉根部会長 どうぞ。
○岡部委員 この会議の議論は公開で行われました。それから、最終的に出来上がったアウトカムであるそのモデルというのは、例えば、Web上や何かに公開して、いろいろな人がそれを使って検証できるとか、あるいは批判をいただくなり、そういうようなほうにもっていけるようにするということを研究グループにもお願いしていることです。研究グループもそうするべきであるという意見をおっしゃっております。
もともとの新型インフル被害想定モデルが出てきたときには、どちらかというと、ポーンと委員会にでてきて、それにその後の議論を合わせたというような、というと少し言い過ぎかもしれませんけれども、そういったような傾向もあるので、できるだけそういう点は今回オープンとし、こういうステップで議論が行われているということを公開したいと思っております。
○賀来委員 是非、お願いします。
○岡部委員 はい。
○賀来委員 医師会の先生方ともいろいろディスカッションをしているのですが、いろいろな先生方が自由にそれを見て、ある程度判断できるというのがすごく重要だと思います。よろしくお願いします。
○倉根部会長 大石委員、どうぞ。
○大石委員 今、議論されているのは被害想定の手法ということですが、被害想定の元に、いろいろなインターベンションを加えていくということが将来的には検討されると思います。この被害想定とパンデミック・リスク・アセスメントとは別立てに動いています。現在、WHOが進めているパンデミック・リスク・アセスメントを、今後、日本でどのように導入するかを検討中です。また、パンデミック・リスク・アセスメントのベースラインになる季節性インフルエンザの疾病負荷などの実態調査を進めていくことになると思います。以上です。
○倉根部会長 ありがとうございます。ほかに御意見はありますでしょうか。
○廣田委員 研究班でみんなで検討して、1つのモデルを工夫して作って、そのパラメータをいろいろ変えて、たくさんの計算をしてみて、そして一応こうなるのではないかというような予測をするというのも、それはすごく大事ですけれども、今度は、モデルを構成する人が分かれて、異なるモデルで行うというのも必要ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○倉根部会長 ここはどなたに。
○岡部委員 委員会としては、今のところ1つのモデルでスタートしている、ということだと思います。その先のプランについてはまだちょっと私としては取り組んでいないのですが、もし何か事務局から。
○倉根部会長 事務局、いかがでしょうか。
○新型インフルエンザ対策推進室ワクチン専門官 現時点では、デルファイ法を使って複数の先生方の意見を集約するというところをまずスタートさせていただいて、そちらのほうを進めていきたいと思います。そちらのほうは実はステップも先ほど申しましたとおり、ベースラインの医療介入とかがないモデルのところで、まずスタートしまして、その後で介入があるモデルになって手間がかかるということと、あと複数の先生方の多くの先生方の意見を反映して作っていくということですので、そちらのほうでまず進めて、今後の議論で進めていきたいと考えております。
○廣田委員 私が申しましたのは、結局モデルを組み立てようとすると、いろいろなことを考えて、いろいろなファクターを入れれば入れるほど高級なモデルになると考えがちですけれども、いろいろなファクターを入れれば入れるほどそれには不確実性をもったファクターもどんどん多くなっていくので、だからどれが一番適用できるモデルとして収束するかということを考えると、将来的には違う立場で作ったモデルで、いろいろやってみるというのも必要になるのではないかと、このように考えた次第です。
○倉根部会長 廣田委員のご意見はこういうことなのでしょうか。例えば違う概念というか、違うモデルがあって、それを検証していくと、どちらが現実に合うかというのが段々分かるだろうと。そうするとそのモデルを用いればいいということなのですか、それとも状況によってはどのモデルが適切かというのは、やはりそれぞれの状況によって違ってくるということになりますか。
○廣田委員 現実が分からないから、いろいろ計算してみて、結局いっぱい要因を考えて入れる、一見これは高級そうなモデルだけれども、入れなくても大して変わらなかったというようなことも起こり得ますので、やはり違った観点から異なるモデルをやっていくのも必要なのではないかと考えたわけです。
○倉根部会長 ほかに御意見はいかがでしょうか。
○笹井委員 方法についてではないのですが、被害想定に基づいて、自治体では様々な対策をしておりますので、現実的な被害想定を改めて出すということは非常に重要なことだと思います。できるだけ早く作業を進められるのが必要かと思いますが、モデルを作った上で、更に検討していくのかと思いますけれども、スケジュール観としては、いつ頃をめどに新たな被害想定が出ることを想定されているのか、分かりましたら教えていただきたいと思います。
○新型インフルエンザ対策推進室ワクチン専門官 事務局から説明申し上げます。まず、デルファイ法については専門家の先生方の御意見を伺わないといけないので、それについては今年中にまず開始して、大枠について、ベースラインのモデルについては来年度に議論できるように先生方と調整しているところです。
○岡部委員 今、現実的な被害想定とおっしゃったのですが、余り現実的な被害想定だと被害想定にならないのですが、この想定外をどのぐらいまで想定外として取るかというのが非常に難しい議論であると思います。でも、先ほど廣田先生もいろいろなファクターを入れていけば、いいように見えるとおっしゃって、本当にいろいろなことを考えれば考えるほど複雑になってくるわけですけれども、そこをある一定のところで、このぐらいのところでこういう議論で組み立てたもので、それに基づいてpreparednessを作っていくのだというようなシナリオのように考えております。ですから必ずしも現実的かどうかはちょっと確約できないというか、そうではないものを考えなくてはいけないだろうと思っています。ただ、余りかけ離れた被害想定を作っても、それこそ実行不可能であるというものではいけないので、ある程度現実を見据えたもの、ということは必要だろうと考えています。
○笹井委員 今、現実的と言ったのは、自治体としてはこの被害想定に基づいてインフルエンザ薬を購入して、また、防護服を用意してという、予算を伴うなどといったそういう意味で数字が必要になるので、そういう意味での現実的ということです。
○倉根部会長 ほかは御意見いかがでしょうか。よろしいでしょうか。そうしますと、資料4、提案1今後の備蓄方針。それから2ページ目に提案2として、備蓄株の方針。それから資料3、提案3として、今後の製剤化の方針。それから資料4の4ページ、4今後の臨床経験の方針ということの提案がありました。それから更に被害想定の調査手法について、いろいろ御意見頂きましたけれども、小委員会で議論していただいた案について、この委員会として了承するというようなことでよろしいでしょうか。
(了承)
○倉根部会長 それでは、この委員会として、この2つの資料4に基づく部分と、被害想定の調査手法についても、提案いただいたものを了承することにしたいと思います。ありがとうございます。
次は議題3「感染症の予防の総合的な推進を諮るための基本的な指針の一部改正について」です。事務局からお願いします。
○結核感染症課長補佐 資料6と参考資料7を御用意ください。資料6は、「感染症の予防の総合的な推進を諮るための基本的な指針」の一部改正について(案)です。感染症の予防の総合的な推進を諮るための基本的な指針の改正の趣旨ですが、いわゆる感染症法の一部を改正する法律につきましては、平成28年4月1日に全面施行されたことに伴い、感染症の予防の総合的な推進を諮るための基本指針について、法改正事項の追加等の所要の見直しを行うものということで、事務局より御提案をさせていただくものです。
指針改正のポイントとして、まず(1)に、改正法に規定されました五類感染症に係る医師の届出方法の変更。また五類感染症の患者等の検体等の提出を担当させる指定提出機関制度の創設について。更に一類、二類感染症、新型インフルエンザ等感染症及び新感染症の患者等からの検体の採取等の制度の創設について、指針に追加させていただくというものです。また、前回の実質改正から現在までの状況の変化を踏まえた技術的な文言の修正というものです。
指針の改正の内容ですが、具体的には五類感染症に係る医師の届出について直ちに全数を把握するものとしたことについて追記をするというもの。また、五類感染症の患者等の検体等の提出を担当させる指定提出機関制度の創設について、都道府県における提出機関の指定について追記するというもの。更に検査の実施体制の整備について記載をするというもの。更に、一類、二類感染症、新型インフルエンザ等感染症及び新感染症の患者等からの検体の採取等の制度について追記をするというものです。以上です。
○倉根部会長 一部改正についての具体的な説明がありましたけれども、何か御質問はありますでしょうか。本年の4月1日に全面施行された、改正された感染症法に伴って感染症に必要な法改正事項の追加等の見直しを行うということですが、何か御質問はありますか。
この「技術的文言」というのは例えばどういうことになるのでしょうか。余り使ったことがないので、例えばと言いますか。
○結核感染症課長補佐 技術的文言というのは、新しくすべきというところがありましたら、そこを修正するというものです。例えば、参考資料7です。事典修正もありますし、ちょっと文字が小さくて恐縮ですが、例えば。
○倉根部会長 すみません、難しい質問をしてしまって。
○倉根部会長 分かりましたら、また後でそこを入れていただきたいと思います。
岩本委員からの御質問どうぞ。
○岩本委員 この法第12条第1項、それから2つ目は第14条の2、第15条等の関係というのが、参考資料では番号に第と付いているのは12までしかなくて、どこを見たらいいのか分からないです。全部五類のことだから五類の所だけを書いてあるような資料のほうがいいですね。
○結核感染症課感染症情報管理室長 すみません、説明を明確にしておきたいと思います。参考資料7は現時点の基本的な指針の現行版です。資料の6は、こういう方向性で改正をさせていただけたらということを御説明申し上げました。改正のポイントの所にあります改正法の規定されたものというのは、それぞれ届出方法の変更とかで感染症法第12条第1項に関係した部分で変わりましたと記しています。コレラの点を、今後この参考資料7のほうに反映をさせていただきたいと、そういう関係になります。同じように、感染症法第14条の2というのは新たに追加された規程ですけれども、指定提出機関制度というのが創設されましたが、これは現在の参考資料7には全く記載がありませんので、これらを反映させていただく。これらの方針について、今回お諮りを申し上げているということになります。
○倉根部会長 すると、資料6はこういう方針でいかがかということですね。
○結核感染症課感染症情報管理室長 はい。
○倉根部会長 どうでしょう、よろしいですか、御質問はありますか。
○岩本委員 検体の提出をするときに、例えば、その指針で提出された検体は、インフルエンザしか検査できないのかどうかを伺っておきたいと思います。例えば、そのときに流行しているかもしれないRSウイルスとか、今だと遺伝子検査で幾つかのウイルスについて同じキットを使って診断ができるようなものについて、ある程度含むのか、インフルエンザだけをやるのか、ここだけちょっと伺いたいです。
○倉根部会長 事務局、その取扱いはいかがでしょうか。
○結核感染症課感染症情報管理室長 今年の4月から施行されました改正感染症法で、新たに五類感染症のうちインフルエンザについては流行期に週に1回1検体の提出をいただく、非流行期には月に1回1検体提出をいただくという制度を始めています。実際の検査は、発生動向調査実施要綱に基づいてやっていくことになるわけですが、まずはインフルエンザについて調べるわけですけれども、当然のことながら流行しているその他の感染症についてもそれらの検査を進めるということはやられていると思います。ただ、厳格に言うと、法令上求められているのはインフルエンザの検査をするということになります。
○倉根部会長 ほかに御質問はありますでしょうか。よろしいですか。それでは、資料6に基づいて説明を受けた感染症の予防の推進を諮るための基本指針の一部改正について、方向性、ポイントについては、この委員会として了承すると。
○岡部委員 もちろん了承で構わないのですが、今、岩本先生がおっしゃったのは大変重要な御質問ではないかと思います。それで答えも頂いたので確認ですけれども、地方衛生研究所で、もちろんインフルエンザが目的ではありますが、それに付随する呼吸器感染症を、もし他の原因によるものだったらどうするのかということもあるので、これは原因追及のためのチェックをするということだと思いますけれども、それでよろしいですよね。
○結核感染症課感染症情報管理室長 はい。
○倉根部会長 そういう御理解だと。そういうことであるということで、お答えをいただきました。ほかによろしいですか。
次に移りたいと思います。「厚生科学審議会感染症部会参加規程の改訂について」、事務局から御説明をお願いします。
○結核感染症課長補佐 資料7、資料8を御用意ください。資料7厚生科学審議会感染症部会参加規程の改訂についてです。改訂の内容ですが、現在、試行的な取組として、利益相反に係る各委員からの申告内容について、製薬企業等に確認を求める取組を行っておりますが、この取組を本格的に導入し、感染症部会参加規程に盛り込むこととしてはどうかというものを事務局から御提案させていただくものです。改訂案として、第13条に(企業への確認)というものを新設し、申請資料作成関与者に該当する否かの申告とか、特別の利害関係を有する場合の申出及び寄付金、契約金等の受取額の自己申告について、委員等が事務局を通じ、企業に対し、企業が情報公開のために保有するデータを活用して必要な確認を求めるものとして、事務局からの報告を踏まえて、必要に応じて、補正を行うものです。これらの確認に関して、委員等は事務局が当該委員等の自己申告に関する情報を企業とやり取りすることについて、初めての自己申告時までに、あらかじめ同意するものとして、事務局は、必要に応じて企業に対して、こうした同意を得ている旨を申し添えることができるというものです。
改正後の全文の案が資料8になります。事務局からは以上です。
○倉根部会長 今の御説明について、御質問はありますでしょうか。
私からも伺いたいのですが、2の左、「企業への確認ということで、初めての自己申告時」というのは、具体的に言うと実際にはいつになるのですか。
○結核感染症課長補佐 まず、これが改正された後に一番最初に開催される委員会になるかと思います。
○結核感染症課長 まずは、このメンバー。
○結核感染症課長補佐 このメンバーです。
○倉根部会長 今ですと、まだ試行なので、1回ごとにこれで同意しますかというのがきていたと思うのですが、それがなくなるという理解でよろしいですか。
○結核感染症課長補佐 まずは初めに、基本的には初めて自己申告するときまでに同意をしていただくという形になるものですので、同意という部分でいうと、一番初めというのは、繰り返しになりますが、自己申告時までに行うという形にするというものです。
○倉根部会長 ほかに、この件についての御質問はよろしいでしょうか。特に御意見はありませんか。
○岩本委員 私は大学を定年退職したので余り関係ないのですが、大学の先生方は恐らく関係するかと思います。例えばここにある治験分担医師とか、責任医師とか、そのようなのは当然のことだと思うのですが、ともすれば、寄付金とかいわゆる講演料とか、そういう謝礼までずうっと行くのが、行き過ぎると、甚だ厳しくなるなというのを大学に在席時代には思っておりました。私はちょうど2年ぐらい前に大学を辞めましたので、今はもう一切そういうものは関係ないわけですけれども、その辺、大学の運営交付金も国立大学、私立大学のどこも減っている中で、外部資金を獲得する努力が求められているわけです。そういうところで、この会議は非常に包括的にものごとを議論される場所ですので、全てが関わってくるので、逆に単一の医薬品等に関する議論の場合には非常にフォーカスされて、ものごとがはっきりするわけですけれども、余り包括的な議論をするところで細かいところに関する基準をぎりぎりやると、特に大企業のような場合には、全く違う分野のところで講演謝礼を貰ったり、あるいは寄付金を貰ったりしていても、要するに同じ企業から貰っているからほかのトピックが審議されたときに問題とされるわけです。その辺のある程度の運用は常識的に運用していただければいいと、いうことを言いたいだけですが、私個人的にはもう関係なくなりましたので、もうこれ以上はもうしません。
○倉根部会長 岩本委員からの御質問というか、御意見ですが、ここは事務局としていかがでしょうか。
○結核感染症課長補佐 基本的には、杓子定規にするべきかどうかというところですが、そこはもちろん規程の部分ですので、そこは規程どおりにさせていただくということになるかと思います。
○岩本委員 多分、企業の情報もそれぞれどこどこから何先生というだけではなくて、ある程度specifyされていると思うのです。この先生に関してはこういうことで寄付金を支払いましたとか、こういう講演謝礼ですと。できれば、そういうところをちょっと斟酌していただかないと、参加できる委員の数がどんどん減ってきて、感染症研究所とか国立機関の人しか、こういう所で発言する機会がなくなるのではないかというふうに、大学にいた当時は心配しておりました。
○結核感染症課長 今回の第13条の追加というのは、今、岩本先生がおっしゃった話というのは、もともと第12条マターで行われている話なので、各委員の先生方の個人的な思い等々はちょっと別として、関連する製薬メーカー等からの寄付金あるいは契約金等について企業ごとにおまとめいただいたものを、今も提出していただいております。その中で、事務局側で懸念というか、中身について何か確認が必要であるという場合に、企業へ直接我々が確認させていただくということになるということです。ですから、色々と思いはあるかもしれませんが、やはりこうした公開の場で公的に関わる事案の審議をする手前、このルール上に則っていれば、それほどの問題のある話ではないかと。ただし、この第13条がないと、我々が先生方から提出頂いたデータについて、すべからく確認する術がないということもありまして、薬事・食品衛生審議会のほうでも同等の規程があるということを踏まえ、今回追加させていただいたという趣旨ですので、御理解いただければと思います。
○倉根部会長 ただいまの御説明ですが、岩本委員、いかがでしょうか。
○岩本委員 これ以上言うことはないので、申し上げることはないと思います。
○倉根部会長 議論しました厚生科学審議会感染症部会参加規程の改訂については、この委員会として承認すると、了承するということでよろしいですか。
(了承)
○倉根部会長 ありがとうございます。そのようにしたいと思います。
次に、議題5に移ります。ここは報告事項ですが、3つあります。まず、麻しんの発生状況について、これは大石委員からお願いします。
○大石委員 国立感染研の疫学センターの大石から報告をさせていただきます。資料9を御覧ください。麻しん発生状況(2016年)です。1ページ、2010年からの麻しん報告数の隔年の症例数の推移を示しております。御存じのとおり、昨年、日本は西太平洋事務局から麻しん排除を認定されております。2015年は35例と極めて少ない症例数であったわけです。今年に入ってからも、7月までは症例の発生は昨年よりも低い流れで推移していたわけですが、7月に入ってからはグッと症例数の増加が認められております。
2ページ、10月5日現在で、これまで145例が発生しております。33週から症例数がグッと増えておりますが、39週現在では6例となっており、症例の発生は大分止まってきたかのように見られます。
3ページ、ワクチンの接種歴別の報告数を示しております。横軸は年齢です。縦軸は症例数。色分けで接種歴を示しております。1つのピークは0歳、1歳児ですが、未接種児が大半です。これは1歳以上でしかMRワクチンは接種できないからです。もう1つ、20~30代の山では、未接種と接種不明を併せて88例です。1回接種が38例、及び2回接種19例が混在しております。
4ページ、麻しん症例が全国で散発していたわけではなくて、集積事例があったということです。1つは、千葉県松戸の事例と、関西国際空港を中心とする集積です。千葉県の場合は遺伝子D8型による流行で、関西空港ではH1という遺伝子型によるものでした。
5ページから、千葉県松戸保健所管内における麻しんの集団発生です。6ページに、その端緒を書いてあります。7月26日に松戸保健所管内で2例(症例1、2)が同時に遺伝子検査で麻しんと確定されました。次のページに症例の一覧を示しております。症例1は、渡航歴はなく感染経路は不明の症例ですが、この症例がやはり発症から診断までに約10日を要しております。その間に2次感染、家族内の感染で症例2が発生し、更には症例3、4は4歳、1歳の子供さんに発生し、次の段階で、複数の医療機関で感染拡大するという事態に至っております。ここでは子供さんが多く、20代、30代、10代、3例おられますが、子供さんが多いという事例です。症例は13例です。
8ページに、松戸保健所管内における麻しんの集団発生のまとめを示しております。この集団発生に際して、医師会、医療機関、松戸市等の関係機関と協力して、ワクチン接種勧奨、接触者の健康観察を行いました。やはり、麻しんの空気感染を考えれば、接触者をどうコントロールしていくかということが感染拡大を防ぐ大きな重要なポイントになります。8月17日に管内の関係者で麻しん対策会議を開催しております。感染研からは実地疫学専門家養成コースFETPの派遣をしております。医療機関及び当該自治体の感染拡大防止の協力を得ました。
積極的疫学調査の結果、接点が不明な症例は認めておらず、最終の接触者が発生した8月27日以降、症例の発生は見られていません。
次に関西国際空港事業所における麻しんの集団発生です。10ページに端緒を示しています。8月17日に関西国際空港内の事業所に勤務する20歳代の女性が麻しんで入院中ということで、大阪府へ報告がありました。8月18日、当事業所では、保健所からの助言の下、従業員に麻しん発生と健康観察・発熱時の対応について周知しました。8月31日、管轄保健所が当該患者の調査を行ったところ、接触者のうちの有症状者について、麻しんウイルス陽性患者が16名発生したことが分かりました。
11ページ、初発事例が症例2で、事業所内で発生した症例です。それ以降の症例を調査していく中で、発生動向調査で上がってきた症例を調査する中で、関西国際空港の利用日が7月31日ですが、これと分離されたウイルス遺伝子型がH1、更に遺伝子配列を見ると、これはほぼ同一のものであることが分かってきました。このテーブルにある症例は遺伝子型が同一です。症例1は関西空港の利用歴はないのですが、あとの4例は利用歴があるということです。しかも、7月31日の午前中に関西空港に接点があることが疫学調査から判明し、少なくとも症例2、3、4、5は、麻しんウイルスのばく露を受けて8月9日から11日に発症していたことが確認されています。
12ページ、ここで関西空港事業所における初発事例からの2次感染が起こっております。大阪府の発表によりますと、9月29日現在、事業所内における麻しん患者は33例ということです。遺伝子型が分かった29例は全てH1型であったということでした。
国際空港の事業所で発生した集団発生というのは初めての事例です。また、2015年に麻しん排除が認定された後では最大の規模でした。事業所内では9月以降の症例発生は認められておりません。この病型については、麻しんと、修飾麻しんに分けて病型を記載しております。麻しんとしてのものが、接種歴のない者3例、1回接種歴が3例、不明例が4例。修飾麻しんは23例おりますが、接触歴なしが2例、1回以上の接種歴が11例、不明が10例ということでした。
こういった事態で、先ほど発生動向を示しましたが、全国的に見て、第39週6症例ということで、この事業所からはもちろんそうですが、それ以外の症例の発生も終息しつつあるということです。しかしながら、今後の発生状況については慎重に経過を見ているという状況です。
13ページ、大阪府、千葉県、松戸保健所、各自治体、多くの自治体が関与しておりました。また、地方衛生研究所、感染研のスタッフの方々に感謝申し上げます。以上です。
○倉根部会長 ありがとうございました。何か御質問はありますか。
○岡部委員 御発表いただいたものを拝見しますと、松戸と関西空港だけで終焉しているようですが、大きく社会的な問題になったのは、幕張メッセでのコンサートだったと思います。私は予防接種ワクチン分科会のほうでも発言をしているのですが、関西空港を経由して兵庫県の自宅に帰った人が、発熱発疹等の症状があるまま幕張メッセのコンサートを見に行き、そこには2万5,000人の若者がおり、これが感染拡大のきっかけとなるのではとゾッとした次第です。
もう1つは関空の職員ですが、そことコンサートに行った人が発症日が一致したのもゾッとしたところです。
ただ2万5,000人も若者が集まっている所で、私は以前の学園祭とかを思い浮かべて、これはえらいことになるかもしれないと思ったのですが、関連発症は結局数名だけに留まっているというのは、一人一人に聞いているわけではないのですが、集まった20代前半ぐらいの多くの人が多分、かなりの免疫を保有していた、つまり3期4期のワクチン接種を受けていたのではないか、そのためそんなに広がっていなかったのだろうと思っています。麻疹の感染力は非常に強く、あれだけ人が密な所では、免役がない人の間ではアッという間に拡大する可能性があります。ですから、良いように思っているのかもしれませんが、やはり、ルーティンのワクチネーションをちゃんとやっておくことがいかに重要であるかが、逆に証明されたような気もします。
この関空の件についても、松戸の件についても、大石先生がおっしゃったように、本当に関係者の方が遅れたとか、何とかいろいろなことを言われていましたが、この程度で抑えたというのは大したものだと評価したいと思います。
例えば、ディズニーランドで去年、4か月間で結局、全米で600人の患者が散ったとか、ベルリンでも4か月の間に1,000人以上の患者さんが出てその1/4は入院しているということを考えれば、この程度で抑えられたのは本当に良かった。ただ、これで終わるわけではないので、更に一層eliminationについては御協力をお願いしたいと思います。
○倉根部会長 ありがとうございます。
○大石委員 岡部先生、どうもありがとうございました。少しだけ補足します。11ページにある症例3が幕張メッセでの大規模コンサートに参加した15~19歳の男性です。この方もインドネシアに出国しているのですが、帰国してから症状が出ているということで、推定感染地はインドネシア、また国内となっております。可能性としては、遺伝子型H1で一致しているので、国内ではないかと考えられております。本患者が帰国して、幕張メッセでのコンサートに参加されておられるわけですが、その過程で限られた症例数しか2次感染は起こっていないという状況です。以上です。
○調委員 今、90%以上の方が恐らく麻しん予防接種を受けていて、集団的に非常に高い免疫力があることによって、今回の流行がかなり治まったということは、私も全く同感というか賛成です。関空の感染者32名のうち、10名ぐらいが予防接種2回接種であったということが報告されております。それは恐らく修飾麻しんということもありますし、濃厚接触であったということもあったのではないかと思います。そのことが何かワクチンが効いていないのではないかという一部のマスコミであるとか、一般の方々が誤解されることもあると思いますので、その辺は聞いておきたいと思います。その30人のうち10人ぐらいが2回接種であったということの理由をお願いしたいと思います。
○大石委員 確かに2回接種或いは1回以上の接種で、麻しんの発症というのはかなりの確率で予防できることは、国内外の多くの研究、調査から分かっていることではあるのですが、麻しん排除状態、あるいはそれに近い状態になってきますと、若い世代でのMRワクチンの接種率は非常に高くなってきているわけです。そういった状況においては、海外の文献でも示されているところですが、ワクチン接種率が上がると、その中で発生してくる患者さんの中で、1回以上の接種を受けた患者さんが入ってくる割合は増えてきます。母数となる、国民全体の若い年代層の接種率は上がっているわけです。この母数が大きくなると、人間のワクチンに対する免疫応答には幅がでてきて、高い感染防御ができる人もいる一方で、感染防御が不十分な人もあり得るだろうということです。特におかしな現象が日本で起こっているということでは決してないということです。
○荒川委員 今の点に関して、大石先生にお聞きしたいと思います。3ページに今、調先生がおっしゃったように、ピンクの2回接種の方が、これは数えたら19例あったのですが、この方々全てが母子手帳とか書類で、接種2回していることを確認されているという意味の2回ですか。
○大石委員 発生動向調査については、全てが母子手帳の確認がとれてはいないと思います。ただ、関空事例につきましては、現在実地疫学調査を進めておりまして、より高い精度の情報収集をして確認していきたいと思います。今、調査が進みつつあるところです。また、2回接種後に発症した患者には、非典型例の麻しんが発生している事実もかなり明らかです。このことが事業所における流行が比較的軽く済んだことの一因なのかもしれません。実地疫学調査の中で非典型例もしくは修飾麻しん例の臨床病像を明確に示していきたいと思っております。
また、これだけ麻しんの症例数が少なくなった状況下で、麻しんを診たことがある臨床医がかなり減ってきているということであります。一番大きな問題は、初発事例の麻しんの診断が遅くなって、結果的に2次感染が多数例に起こってしまう実態は大きな問題です。ですから、典型的な麻しんを確実に臨床診断できるよう、医学教育を強化していく必要があると思います。
○荒川委員 もちろんその点は非常に重要だと思います。2回接種しているのは、自己申告の2回接種なのか、書類上で確認できたものか、そこは是非、はっきりさせていただきたいと思います。
○大石委員 発生動向調査で調べたものは、届出の時点での報告ですので、そこまでの深い調査はできていないと思いますが、実地疫学調査では明確にできると考えております。
○廣田委員 患者の中に2回接種者がいるとか、2回接種してもかかっている人がいるという、この考え方にあんまり固執するのは好ましくないと思うのです。ここでは145名で不明の48名を除いて、今、おおよその計算したのですが、不明48名を除くと、接種者が57名、非接種者が49名。これにケース・コントロールスタディをデザインして、一般の接種率からコントロールの接種率を90%として計算すると、これだけでもワクチン有効率は87%になります。患者の中に接種した人がいるとか、接種した人の中に患者が出たと。余りそこにこだわるのは科学的な面を疎かにしてしまうのではないかと思いますので、注意したほうがいいと思います。
○岡部委員 一方では、先ほど幕張メッセの話をしたように、調査になっていないのですが、実は防がれている人がたくさんいるところが、多分バックグラウンドにあるという認識も必要だろうと思います。
この中で学べたことというのは、先ほども申し上げたように、定期接種が非常に重要ということと、今回は関空という国際的な空港で非常に人の行き来の多い所で、そこの職員が発症して、なおかつ、その会社の中で患者さんが出たというのは、やはり、国際的な交流の多い所での感染症対策というのは医療機関並みとは言いませんが、一般の方よりも強く意識をしていただいたほうがいいと思います。どういうようなインターベンションが国としてかけられたのか分かりませんが、ただ呼びかける相手としては非常に重要な方々になるだろうと思います。それが1つです。
2020年というのは、今はすごい大きい話題になっている目標ですが、これは2020年を待たずして、こういうことはいつでもあるわけで、やはり対策としては早急に強化する必要があります。2020年ということが、例えば、風しん対策でも問題になっているので、これをきっかけに海外からの侵入をどうするかということを、厚生労働省として是非進めていただければと思います。
○味澤委員 修飾麻しんを診断するのは非常に難しいです。3日ぐらいで治ってしまいますし、修飾麻しんだけ診たら分からないです。ただ、修飾麻しんから2次感染がどのぐらいあるかというのは非常に興味があります。最近はならないですが昔は研修医がよく修飾麻しんになりました。その場合大部屋に入院してしまったこともあるのですが、時代のせいだった可能性もありますが2次感染はありませんでした。その辺大石先生、よろしくお願いします。
○大石委員 その辺も、米国の臨床研究結果が報告されておりまして、非典型麻しん例による2次感染は余り起こっていないということは示されておりますが、国内での調査でも確認したいと思います。
○釜萢委員 この件に関連して、MRのワクチンの不足という自体に至っております。これは厚労省、あるいはメーカーも努力していただいて、徐々に解消されてくるだろうと思います。今回の件について、地域に特出しでワクチンが出されたかどうか、その点を事務局から教えていただけますか。
○倉根部会長 事務局、いかがですか。
○健康課予防接種室長 予防接種室長の江浪です。今回の麻しんの流行を受けて、MRワクチンの不足感が高まっているという認識はあります。そのために我々も事務連絡を出して、ワクチン不足の課題があれば国のほうにも御相談いただくようにということでお願いをしております。
これまでのところ、地域単位で御相談を頂いている地域は幾つかありますが、地域全体の供給のために対応した事例というのは、これまで1件ありました。また、関西国際空港の関係ですが、事業所内での接種を行うという決定があったときに、その分のあっせんという事例もありました。ただ全国的に見ますと、やはり、一定程度供給はされているのですが、どうしても地域偏在の課題などがある中で、足りない感が高まっているという状況です。それについては県や関係団体の御協力を得ながら、しっかりと対応していきたいと考えております。
○釜萢委員 そのことで、既に厚労省から通知が出ていますが、何としても定期接種がしっかり守られないといけないので、そのことについて医師会の立場でも全国にきちんと情報を発信し、定期接種の確保に、まず最大限の注力をするようにと頼んでいるところです。
○倉根部会長 ほかにありますか。よろしいですか。
○調委員 先ほどの2回接種者の発症のことですが、岡部先生がおっしゃったとおり、例えば、1,000人の方がばく露されて10人しか発症していなかったのであれば、99%はワクチンによって発症を免れたということになるわけです。大石先生もおっしゃいましたが、ワクチン接種者が増えてくると、発症者の中にどうしてもワクチンを2回接種した方がおられるということは、現象として出てくるということだと思いますので、コメントとして付け加えておきたいと思います。
○倉根部会長 ありがとうございました。それでは、いろいろな御意見を頂きまして議論、質問が出ましたが、次に移りたいと思います。次は、ジカウイルス感染症への対応状況について、事務局より御説明をお願いします。
○結核感染症課長補佐 事務局より資料10を用いて、ジカウイルス感染症への対応状況について御説明いたします。資料10をお手元に御用意ください。6月以降のこれまでの経緯と、日本の対応について御説明いたします。6月7日にWHOのほうで、性感染症によるジカウイルスの感染予防についてのガイダンスが変更されて、流行地からの帰国者に対する安全な性行為を推奨する期間を4週間から8週間に変更したことを受けて、厚生労働省としては、6月8日にホームページ上のQ&Aにおきまして、4週間から8週間に変更いたしました。また、7月14日には国立感染症研究所におきまして、蚊媒介感染症の診療ガイドライン第3版を改訂しております。更に8月22日には、ジカウイルス感染症診療Q&Aを作成している状況です。
9月1日になりまして、WHOのほうで、リオデジャネイロオリンピック参加者の中でジカウイルスに感染した者はいなかったことを報告されておりましたが、一方で、PHEICについては継続すると結論を出されております。9月1日には、これを受けて厚生労働省としても、ジカウイルス感染症に関して注意喚起を継続するよう、自治体等に連絡をしております。更に9月6日にはWHOがガイダンスを変更して、流行地からの帰国者に対する安全な性行為を推奨する期間を8週間から6か月に変更に変更したことを受けて、9月23日に第18回厚生科学審議会感染症部会を持ち回りで開催いたしました。その審議の結果を踏まえて、厚生労働省のホームページのQ&Aにおきましても、8週間から6か月に変更させていただいたという状況です。9月26日には感染症研究所におきまして、デング熱・チクングニア熱等蚊媒介感染症対策の手引、地方自治体向けを改訂して、疫学調査様式に性行為に関する項目を追加したという状況です。なお、後ろのほうに検疫所から出している資料についても御提示しております。以上です。
○倉根部会長 ただいまの御説明に関して、何か御質問、御意見はありますか。これについては、特にありませんか。よろしいですか。それでは、これは御報告として承るということです。ありがとうございました。次は報告事項3です。一般財団法人科学及び血清療法研究所に対する報告命令等について、事務局から説明をお願いします。
○結核感染症課長補佐 事務局より、資料11を用いて説明をさせていただきます。資料11を御用意ください。一般財団法人化学及び血清療法研究所に対する報告命令等を行いましたというものです。厚生労働省では、9月6日及び7日に化血研のほうに無通告で立入検査を行って、その結果を精査した結果、エンセバック皮下注用について、製造販売承認書の記載と一部異なる製造を行っていたことが確認されたため、同日付けで、化血研に対して報告命令等を行っております。なお、当該報告命令等行う契機となったエンセバック皮下注用については、製造販売承認書の内容と一部異なる製造を行っていたものの、最終製剤の品質及び安全性に対しては影響は与えないということを確認されているというものです。これを10月4日付で公表しております。以上です。
○倉根部会長 この件について何か御質問、御意見はありますか。特にありませんか。このような状態になったということです。報告というのは、いつまでにというのは出されているのですか。
○結核感染症課長 別紙2の5ページに「報告命令内容」とありますが、平成28年12月2日までに厚生労働大臣宛てに報告することを命じております。
○倉根部会長 ありがとうございます。ほかに何か御質問はありますか。こういう状況であるということの御報告です。次は「その他」に移ります。何か「その他」で、委員の皆様から御質問、御意見はありますか。あるいは事務局から何かありますか。
○結核感染症課長補佐 議題3にある資料6の技術的文言の修正について、改めて御説明いたします。前回の予防接種指針の改正以降、例えば、日本意味研究開発機構、いわゆるAMEDなどが設置されておりますので、そこについての記載を追加するという旨です。申し訳ありませんでした。
○倉根部会長 分かりました。そういう変更であるということです。ほかに「その他」についてありませんか。よろしいですか。それでは、予定よりも早いかもしれませんが、本日の議事は以上で終了します。どうもありがとうございました。事務局から何か御連絡はありますか。
○結核感染症課長 特にありません。
○倉根部会長 それでは、本日はどうもありがとうございました。
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