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2016年2月19日 平成27年度第2回化学物質のリスク評価検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成28年2月19日(金)10:00~


○場所

厚生労働省 専用第23会議室(6階)


○議事

○平川化学物質評価室長補佐 本日は大変お忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより第2回化学物質のリスク評価検討会を開催いたします。本日は内山委員、千葉委員、津田委員、及び特別参集者の櫻井先生は、所用により御欠席です。それでは、以下の議事進行を名古屋先生にお願いします。

○名古屋座長 それでは、事務局から資料の確認をよろしくお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 資料の確認をさせていただきます。まず議事ですが、本日の議事は2点あります。1点目は、平成27年度リスク評価対象物質のリスク評価について、2点目は、長期発がん性試験対象物質の選定についてです。

 それでは、配布資料の確認をさせていただきます。まず資料1は初期リスク評価書()のアクリル酸メチルです。資料1の表紙に目次が書いてありますが、目次の数字は全体を通して振り出しております。今回の資料配布については、本文、別添1、それぞれについてページを1ページから振り出しておりますので、この目次の数字とは若干違っています。まず本文が17ページです。次に別添1の「有害性総合評価表」が15ページです。次に別添2の「有害性評価書」が117ページです。次に別添3として「ばく露作業報告集計表」はA3版の資料で表面1枚です。最後の別添4は「測定分析法」のA41枚紙で、表のみとなっております。

 続いて資料2、アセトニトリルの初期リスク評価書です。これも目次に書いてあるページと配布資料のページは異なっています。本文が18ページとなっています。次に別添1「有害性総合評価表」が17ページとなっています。次に別添2「有害性評価書」が123ページとなっています。その次が別添3「ばく露作業報告集計表」はA3版の横長の表面のみです。最後は別添4「測定分析法」がA4版の表のみです。

 次に資料3、イプシロン-カプロラクタムです。これについては目次のページどおりになっているので、これに沿って説明させていただきます。17ページが本文となっています。別添1「有害性総合評価表」が812ページとなっています。次に別添2「有害性評価書」が1329ページ。別添3「ばく露作業報告集計表」がA3版の横長の資料の表のみです。最後の別添4「測定分析法」が31ページの表のみです。リスク評価書の関係については以上です。

 次に、議題2の関係資料です。資料番号としては、資料4-1から資料4-4までです。資料4-3については、机上配布資料です。それでは、順に申し上げていきます。資料4-1から資料4-4までは、左上の1点止めです。資料4-1が横長の1枚、1ページのみです。次に資料4-1(参考1)ということで、これが34ページの裏表です。次に同じく(参考2)ということで、これも発がん性試験候補物質の情報ということで、5ページの表のみです。次に、発がん性候補物質関係の遺伝毒性試験の結果ということで、(参考3)6ページから17ページです。次に、資料4-2です。これについては、アリルアルコール有害性評価書のうち代謝系の部分を抜粋したものの資料で1921ページです。資料4-3は、机上配布資料です。これは2325ページとなっています。最後の資料4-4です。これは、グリシドールの吸入によるがん原性試験結果の概要ということで、2729ページになります。本資料については以上です。

 続いて参考資料の確認です。まず参考資料1は、A4版の左上1点止めのものです。「化学物質のリスク評価検討会開催要綱」で17ページです。次に参考資料2、左上1点止めの資料です。「これまでのリスク評価の進捗状況一覧」ということです。これまでリスク評価の対象、有害物ばく露作業報告の対象となった物質についての進捗状況を一覧で表しています。3枚で、表裏の資料です。次に参考資料3は、机上配布ですが、「労働者の有害物によるばく露評価ガイドライン」委員の皆様におかれましては、本日配布の紙ファイルの中に、この労働者の有害物によるばく露評価ガイドラインを入れております。必要の都度、御確認いただければと思います。

 次に参考資料4、これも机上配布ですが、A3横長の資料です。今回のリスク評価検討に諮る3物質についての資料です。参考資料4-1がアクリル酸メチル、表のみです。参考資料4-2がアセトニトリル、これも表のみです。資料4-3がイプシロン-カプロラクタム、これは2枚組です。

 続いて参考資料5です。本日、検討する「ばく露実態調査対象物質の評価値について」ということで、参考資料5-1がアクリル酸メチルで表のみです。参考資料5-2がアセトニトリルでこれも表のみです。参考資料5-3がイプシロン-カプロラクタムでこれも同様です。資料について過不足等がありましたら、事務局にお申し付けください。以上です。

○名古屋座長 そうしましたら、本日の議題に入りたいと思います。まず、「ばく露実態調査対象物質のリスク評価について」ということで、これは1物質ずつ検討していこうと思います。事務局から説明をお願いします。

○角田化学物質評価室長 まず資料1のアクリル酸メチルについて御説明します。リスク評価書を所定の様式で整理していますので、これに沿って御説明します。1番の物理化学的性質をまとめています。名称はアクリル酸メチルということで、御覧のとおりの構造式です。物理的化学的性状としては、外観は刺激臭のある無色の液体ということで、沸点は80.5℃、蒸気圧は9.1kPaです。生産・輸入量、使用量、用途ですが、2013年度の製造量・輸入量としては16,000トン、用途はアクリル繊維、繊維加工、塗料、紙加工、接着剤、皮革加工等です。

2番の有害性評価の結果です。まず(1)発がん性については、ヒトに対する発がん性は判断できないということで、その根拠ですが、IARCでグループ3ACGIHA4US EPAでグループDということで、いずれもヒト発がん性について分類できないとされています。また、ラットを用いた吸入ばく露による発がん性試験の結果、投与に関連する腫瘍の発生はなかったと結論されています。これを踏まえて、ヒトに対する発がん性は判断できないとしています。

 各評価区分については以下に、このような形でまとめていますが、前段の記述との整合性は、また後ほど取らせていただければと思います。それから、閾値の有無は「判断できない」ということで、遺伝毒性が判断できないことから、閾値の有無も判断できないとしています。

(2)発がん性以外の有害性ですが、急性毒性はマウスで半数致死の濃度が3,635ppmで、ラットの場合は4時間で1,350ppmという数値です。経口毒性は御覧のとおりの値です。皮膚刺激性/腐食性は「あり」ということで、根拠はウサギを用いた複数の皮膚刺激性試験において、強度の刺激性ありと評価されていることが根拠です。眼に対する重篤な損傷性/刺激性は「あり」ということです。根拠は、ヒトのクロスオーバー研究で、高ばく露グループで眼の刺激の頻度が高かったことなどによるものです。また、皮膚感作性は「あり」ということで、根拠はモルモットを用いた試験で、マキシマイゼーション法、Splitadjuvant法など、複数の方法で感作性陽性の結果であった。また、ヒトにおいて、アクリル酸メチル原液を誤って左脚と長靴の中にかけた作業者は、事故から2か月後に実施したパッチテストにおいて陽性であったということから、感作性ありという整理をしています。呼吸器感作性は判断できないということで、反復投与毒性はNOAEL2ppmとしています。根拠は、Miltonらによるアメリカの化学製品工場における8週間にわたるヒトのクロスオーバー試験におきまして、12h-TWA濃度2ppm・最大ピーク濃度122ppmのばく露を8週間受けた場合、眼の刺激やピークフローの低下が起こることがあったが、有意ではなかったということです。これを踏まえて時間補正をすると、3ppmという値が出てくるものです。

 生殖毒性、遺伝毒性については判断できないという結論です。それから神経毒性ですが、調査した範囲内で明確な神経毒性に関する報告は得られていない。しかし、実験動物への急性毒性の健康影響の中で振戦等神経毒性の可能性もある症状が見られているということです。

 この物質を評価対象物質として選定した際には、神経毒性がGHS分類で1という評価がありましたので、それを考慮して選定したという経緯があります。これは今日検討しているほかの2物質も同じですが、その後、GHS分類で、アクリル酸メチルについては平成23年に再度検討されたときに神経毒性、正しくは特定標的臓器毒性ということですが、そこの神経系という部分はなくなって、全身毒性という形で整理された経過があります。したがいまして、当初の想定していた毒性の評価が若干変わっている部分はあるのですが、神経毒性については、今の根拠の所で書いてあるとおり、はっきりと「なし」ということも言いきれないので、このように整理をしているところです。

 それから、(3)許容濃度です。これはACGIHと日本産業衛生学会で、それぞれ設定されていまして、ともに2ppmということになっています。それから、そのページの下のほうに、ほかの機関の結果も御参考に載せているところです。

4ページの(4)評価値ですが、一次評価値と二次評価値についてまとめています。この評価値については、1224日に有害性小検討会で検討しました。資料の中に参考5-1というA3の横長の資料は、1224日に、この評価値の検討を行った結果です。一次評価値は「なし」ということで、これはヒトに関するデータにより導き出された評価レベルですが、先ほどの反復投与毒性のところに3ppmというのが前のページにありますが、それのことです。それが二次評価値の10分の1以上になっていますので、リスク評価の手法のルールに基づき、一次評価値は設定しないという形です。

 二次評価値についてですが、先ほどのACGIHと日本産業衛生学会の勧告している許容濃度を二次評価値としました。これもリスク評価の手法で、まず、いずれかがある場合はそれを採用することになっていますので、それに基づいて設定したところです。※に、概略として、それぞれの定義を書いています。これは説明を入れたほうが分かりやすいということもありまして、今回追加しています。

 次に3番のばく露実態評価です。(1)有害物ばく露作業報告の提出状況ですが、平成25年におけるアクリル酸メチルの有害物ばく露作業報告については、81事業場から計128作業について報告がありまして、対象物質の用途は主に「他の製剤等の原料として使用」でした。作業の種類ですが、「計量、配合、注入、投入又は小分けの作業」「サンプリング、分析、試験又は研究の業務」「充填又は袋詰めの作業」等でした。このばく露実態評価のデータについては、別途また後ろに添付しています。それぞれに製造・取扱い量なり、作業従事労働者数なり、1日当たりの作業時間なりをまとめていますので、御参考にしていただければと思います。年間製造・取扱い量は、「1トン以上10トン未満」というところが33%で一番大きかったです。作業従事労働者数は「5人未満」というところが78%と高くなっています。1日当たりの作業時間は「15分未満」という所が37%ということです。局所排気装置が設置されている作業は50%ということでした。

(2)ばく露実態調査結果です。有害物ばく露作業報告のあった7事業場を選定して、ばく露実態調査を実施しました。対象作業場においては、製造・取扱い作業に従事する8人について個人ばく露測定を行うとともに、14地点についてスポット測定を実施しました。個人ばく露測定結果については、ガイドラインに基づいて、8時間加重平均濃度を算定しました。測定分析法については、球状活性炭捕集管、それからガスクロマトグラフ質量分析法ということです。

 対象事業場における作業の概要です。塩化アリルとなっていますが、対象事業場におけるアクリル酸メチルです。「アクリル酸メチルを原料として、その他の物を製造する目的として使用」です。それから、アクリル酸メチルのばく露の可能性のある主な作業は、「原料投入」「サンプリング」「仕込み」等の作業で、1回当たり数分~60分間の作業でした。また、作業環境は87%の作業が屋内で行われて、ばく露防止対策は33%の作業で局所排気装置が設置され、47%の作業で呼吸用保護具、これは全て有機ガス用防毒マスクですが、それが使用されていたところです。

 測定結果です。測定は8人の労働者に対して実施をしました。個人ばく露測定の結果、8時間TWAの最大値は、アクリル酸メチルを原料として他の製剤を製造する事業場における原料投入(ポンプ)作業中に測定された5ppmでした。また、全データを用いて信頼率90%で区間推定した上限値(上側5)15ppmでした。その結果を棒グラフにしているのが、その下のグラフです。Aという事業場の人a5ppmということで、横線の太い線が二次評価値2ppmですが、これを超えるばく露が確認されたところです。

 次のページに、作業者と作業内容の表があります。これは先ほどのグラフの作業者の方が、どんな作業を実施していたかということです。それから、データについては参考資料4-1というのがあります。そこに具体的な細かいデータは載っていますが、調査対象とした個別の企業の特定につながらないように、これは先生方への机上配布ということにさせていただいています。

 それから、その下の表ですが、全体のばく露の実態をまとめた表です。二次評価値は先ほどの2ppm、有効測定データ数は8、コルモゴロフ・スミルノフ検定で対数正規分布に適合するかどうかを確認したところ、適合するという形になりました。測定データの最大値は5ppmで、区間推定上側の限界値が15ppmということです。

 このことから、ばく露最大値は、ガイドラインの規定では「区間推定上側限界値又はばく露最大値の高いほうを最大値とする」となっているので、15ppmということになり、二次評価値を上回ったところです。個人ばく露最大値5ppmも二次評価値を上回っていますが、この作業は反応槽への投入であり、密閉下でなかったことも原因と考えられるところです。また、スポット測定の実測データでは、最大値はタンクへの仕込み作業で4.129ppmであり、1回の作業時間は15分間で、11回の作業でした。この作業は、ドラム缶から陰圧のタンク内にノズルで対象物質を吸引する作業ですが、ノズルの払拭作業があることや、局所排気装置がないこと等が高い原因と考えられるのではないかと整理しています。

 それで、リスクの判定及び今後の対応です。アクリル酸メチルの製造・取扱事業場においては上記のとおり二次評価値を上回るばく露が見られたということで、更に詳細なリスク評価を行い、ばく露が高かった要因等を明らかにする必要があると整理しています。その際には、二次評価値を超えるばく露が確認された反応槽への投入作業等について、当該作業工程に共通した問題かを、より詳細に分析するとともに、実態調査を行った作業以外に高いばく露の可能性があるかどうかを確認する必要があります。

 なお、詳細なリスク評価の実施に関わらず、当該物質は眼・皮膚の刺激性、皮膚感作性等のある物質ですので、事業者の方は製造・取扱い作業に従事する労働者等を対象として、自主的なリスク管理を行うことが必要であるとまとめているところです。ばく露実態調査の集計表は、その下に添付してあります。

 以下、別添1ですが、先ほどの報告の中で有害性の判定が書かれていますが、それの根拠となるのが、この有害性の総合評価表、別添1です。それから、その次に別添2として有害性評価書が付いていますが、今の有害性総合評価表を作るに当たって取りまとめられた有害性評価書を、その後ろに付けているところです。説明は以上です。

○名古屋座長 どうもありがとうございます。ただいまの説明に対して、御質問等はありますか。従来のルールに則りますと、「今後の対応」という所に書かれていたように、二次評価値が最大ばく露を超えています。それから、ばく露濃度測定の部分も超えていますから、「詳細リスク評価」という形になりますが、どうでしょうか。

○西川委員 内容的にはいいと思うのですが、1つだけ確認です。発がん性が判断できないということですが、ラットの吸入ばく露試験では発がん性なし、ヒトでの報告もないということですが、あとは何が揃えば、発がん性なしと判断するのですか。

○角田化学物質評価室長 すみません、もう一度お願いします。

○西川委員 発がん性は判断できないということになっていますが、ラットの吸入ばく露試験ではネガティブ、ヒトでの報告もない。それで、あと何が揃えば発がん性なしということになるのですか。

○大前委員 評価書では、「発がん性なし」という言葉を使うのは、できるだけ避けています。というのは、現在存在する情報の中では発がん性なしなのですが、将来的に何らかの形でまた出てくる可能性があるので、できれば「なし」という断定的な言葉は使わないことにしています。したがって、どういう条件があれば「なし」になるかというのは、そういう意味では、いつまでたっても「なし」にはならないという。

○西川委員 本日の3つ目の物質は、発がん性なしとなっているのです。それは恐らくIARCで「発がん性なし」という評価をしているからだと思いますが。

○角田化学物質評価室長 補足しますと、発がん性評価等の評価書は国の委託事業で検討していただいて、まとめたものをベースにしているのですが、その中で発がん性分類の表現については、IARCでグループ1GHS分類1Aに相当するものは、「ヒトに対して発がん性がある」ということで整理をしまして、IARC2A、及びGHS分類1Bに相当するものは、ヒトに対して「おそらく発がん性がある」と。それからIARC2BGHS分類で発がん性区分2に相当するものは「疑われる」という整理で、それ以外のものについては、ヒトに対する発がん性は「判断できない」ということで、先ほど大前先生がおっしゃったような趣旨で、そのような整理をしています。

 あと、発がん性についての情報がないものは、それとは別に「情報なし」という整理をしているので、それに沿った整理になっているところです。

○名古屋座長 よろしいでしょうか。そうしましたら、アクリル酸メチルについては「詳細リスク評価」という形になります。ありがとうございます。それでは、次のアセトニトリルについて、また事務局から説明をお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 それでは、資料2に沿いまして、アセトニトリルについて、説明いたします。資料21ページを御覧ください。1番の物理化学的性質です。アセトニトリルの化学式は御覧のとおりです。分子量41.0の物質です。物理的化学的性状は、特徴的な臭気のある無色の液体で、沸点が82℃、蒸気圧が9,7kPa(20)です。生産・輸入量、使用量、用途の生産量は、2013年推定で13,000トン、製造・輸入量が2012年で1828トンです。用途は農薬、医薬、香料、染料等の有機合成用原料、抗生物質抽出剤、クロマト分離のキャリアー液等の抽出・分離用溶剤等に使用されています。

 次に、2番の有害性評価の結果です。別添1及び別添2に、有害性総合評価表、有害性評価書があり、こちらを基に有害性評価の結果の下、1224日に有害性評価検討会がありましたので、それらの結果に基づき、有害性評価結果を取りまとめております。

 まず(1)発がん性です。発がん性については、報告書に示すデータがあるものの、発がん性の有無を判断するには十分ではないとしております。国際機関等の評価区分は、IARCで情報なし、産衛学会で情報なし、EU情報なし、NTPでも情報なし、ACGIHにおいてA4(ヒトに対する発がん性は判断できない)となっています。閾値の有無については、遺伝毒性が判断できないことから、閾値の有無を判断できないとしております。

(2)発がん性以外の有害性です。急性毒性については吸入毒性、経口毒性ともに、下記のような数字です。皮膚刺激性/腐食性は「あり」です。根拠は軽度の刺激性が動物とヒトで認められたことにより「あり」ということです。皮膚感作性は判断できないとしております。根拠はビューラー法による感作性試験で、感作性が認められなかったということです。

呼吸器感作性は報告なしです。反復投与毒性については、NOAEL100ppmとしております。これについては、マウスの試験におけるNOAEL100ppmということから、この数字を出しております。この数字に基づき評価レベルですが、不確実係数は10です。この10というのは種差が10ということで、そこから評価レベルを出しますと、7.5ppmということになります。計算式はそちらに書いておりますところの、NOAELから時間補正、日数補正、種差で算出している次第です。生殖毒性は判断できない。遺伝毒性も判断できないということです。

 神経毒性は「あり」としております。根拠は、次に説明するデータ等を踏まえ、「あり」と判断しております。3つの事例があります。アセトニトリル40gを自殺目的で飲み込んだ男性の事例では、ばく露3時間後に嘔吐、痙攣、昏睡、急性呼吸不全、代謝性アシドーシス及び2回の心停止が認められました。次もヒトの事例ですが、アセトニトリルを含むマニキュア除去液を飲み込んだ女性の事例で、ばく露7時間後に嘔吐及び錯乱、ばく露12時間後に代謝性アシドーシス、痙攣、表在呼吸が認められました。次はマウスの事例です。マウスに経口投与した結果、毒性兆候、振戦等が認められました。

 次は(3)許容濃度等です。ACGIHで勧告されており、TWA20ppm、経皮吸収ということで許容濃度が勧告されています。根拠は、アセトニトリルの肺に対する潜在的悪影響を防御することからTLV-TWA20ppmを勧告するというものです。この根拠ですが、ボランティア3名に4時間吸入させた結果、3名中1名のみに胸部圧迫感などが認められた用量が40ppmであったことを基にしたとなっております。また、げっ歯類の吸入ばく露による発がん性試験ではNOAEL200ppmであった。ラット雄の最高用量において、肝細胞腺腫及び肝細胞腺癌の合計した肝腫瘍の発生は増加したが、背景データの上限を僅かに上回る程度であり、ラット及びマウスで腫瘍発生の増加は認められなかった。反復吸入毒性試験においても、マウス13週間吸入試験で前胃過形成が認められたものの、その毒性学的意義は低く、げっ歯類に対して200ppmで重篤な毒性影響は認められていない。更に、発生毒性はなく、遺伝毒性は哺乳類の小核試験では弱い陽性が報告されているものの、全般的に陰性である。ヒトにおける事例よりアセトニトリルの毒性はシアン化物への代謝に起因しており、げっ歯類及びヒトでは遊離シアンが血液及び尿に検出される。しかし、TLV-STELを支持するものの、十分な量的なデータはない。また、シアン化水素に対する最近のACGIH勧告はTLV-CEILINGです。また、上記の特異的な毒性学的情報を加味し、短期のガイダンスレベルがない中で、TLV-TWA40ppmから20ppmに下げることで防御すべきとしたとされています。

 また、「Skin」についての勧告については、経皮吸収、経皮接触により中毒を起こした子供の症例と、げっ歯類の経皮の半数致死量が1000mg/kg体重以下であることを基に表記することを勧告するとしております。また、発がん性については、ヒトへの発がん性物質として分類できないA4とするということです。以上のようにACGIHのほうで勧告がされているということです。一方、日本産業衛生学会では設定なしとしております。その他の勧告については、以下のとおりです。

 次に(4)評価値です。一次評価値については「なし」としております。その根拠は動物試験により導き出された評価レベルが、後ほど申し上げます二次評価値の10分の1以上であるため、一次評価値は「なし」としております。二次評価値はACGIHの勧告値に基づき20ppmとさせていただいております。

 次に3番のばく露実態評価についての説明です。有害物ばく露作業報告の提出状況については、別添3に添付しており、ここでは概要について申し上げます。有害物ばく露作業報告について、アセトニトリルは、平成24年に行い、その結果は213事業場から計463作業についての報告があり、対象物質の用途としては、「溶剤、希釈又は溶媒としての使用」「試験分析用の試薬としての使用」であり、作業の種類は「計量、配合、注入、投入又は小分けの作業」「サンプリング、分析、試験又は研究の業務」「ろ過、混合、攪拌、混練又は加熱の作業」等でした。

 対象物質の年間製造・取扱量についてですが。事業場ごとに「500kg未満」が30%、「500kg以上1トン未満」が17%、「1トン以上10トン未満」が30%、「10トン以上100トン未満」が16%、「100トン以上1,000トン未満」が6%、「1,000トン以上」が2%ということです。作業1回当たりの製造・取扱量については「1kg未満又は1L未満」が29%、「1kg以上1トン未満又は1L以上1kL未満」が54%、「1トン以上又は1KL以上」が17%です。

 また、当該作業従事労働者数は「5人未満」が64%で圧倒的に多く、「5人以上10人未満」が17%、「10人以上20人未満」が7%、「20人以上」が12%です。また、1日当たりの作業時間ですが、「115分未満」が25%、「11530分」が16%、「130分から1時間」が19%、「113時間」が24%、「135時間」が6%、「15時間以上」が9%でした。また、局所排気装置が設置されている作業は57%でした。

 次に(2)ばく露実態調査の結果です。有害物ばく露作業報告のあったうち5事業場を選定して、ばく露実態調査を実施しました。対象事業場においては、製造・取扱作業に従事する6人について個人ばく露測定を行うとともに、6地点についてスポット測定を実施しております。個人ばく露測定結果については、ガイドラインに基づき、8時間加重平均濃度を算定しております。詳細なデータについては、A3版の参考資料4-2に付けており、ここでは概要のみを説明させていただきます。

 また、測定分析法については、別添4として付けておりますが、簡単に申し上げますと、球状活性炭捕集管を用いて捕集し、分析法はガスクロマトグラフ質量分析法です。

 対象事業場における作業の概要です。対象事業場におけるアセトニトリルの用途は「触媒又は添加剤としての使用」「溶剤、希釈又は溶媒として使用」及び「洗浄を目的とした使用」です。アセトニトリルのばく露の可能性のある主な作業は、「開放系での他の物質を投入する作業」「抜出作業」「ホースの脱着作業」「部品洗浄」等の作業で、1回当たり約10分から2時間を超える作業ということでした。また、作業環境ですが、75%の作業は屋内で行われ、ばく露防止対策は75%の作業で局所排気装置が設置され、100%の作業で呼吸用保護具(全て有機ガス用防毒マスク)が使われておるという形でした。

 次に、測定結果です。測定は6人の労働者に対して実施し、個人ばく露測定の結果から6人の最大のデータとしては部品洗浄作業中に測定された5.0ppmが一番大きな値でした。また、全データを用いて信頼率は90%で区間推定した上限値は35ppmです。グラフが6ページの真ん中にあります。その下に、作業者ごとの作業内容を書いております。前回122日のばく露評価小検討会において、aの作業について詳細に確認するよう指示がありましたので確認しましたところ、aの作業はアセトニトリルの抜出作業のほか、約60分間のアセトニトリルの入った反応槽の蓋を開けて他の物質を投入する作業があったということが確認されております。あとの作業については、ばく露評価小検討会のとおりの作業内容ということです。

 以上のことから、二次評価値との比較ということになりますが、二次評価値はACGIH20ppm、測定データの最大値は5.0、対数変換データでの区間推定上側限界値は35ppmKS検定で対数正規分布に適合するとなっております。そのような結果を踏まえ、区間推定上側限界値が二次評価値を上回ったという結果になっています。

 また、スポット測定の実測データですが、最大値がドラム缶の大口からエアポンプを用いてラインに送液する仕込み作業で5.668ppm(正しくは5.568 ppm であり、その作業については150分間行われていました。

 最後に4番のリスクの判定及び今後の対応です。今申し上げましたとおり、区間推定上側限界値が35ppmと、二次評価値を上回るばく露が確認されたことから、更に詳細なリスク評価を行い、ばく露の高かった要因等を明らかにする必要があるとしております。その際、詳細評価を行うに当たり、ばく露が高かった作業としては、1、当該物質を溶媒として使用している際の抜出作業、開放系での作業、2、部品等の洗浄作業、3、ホースの着脱作業を行う事業場に対して、追加調査を行い、当該作業工程に共通した問題かを、より詳細によく分析する必要があるとさせていただいております。

 詳細リスク評価の実施に関わらず、当該物質については神経毒性、皮膚刺激性等のある物質であり、事業者はその製造・取扱作業に従事する労働者等を対象として、自主的なリスク管理を行う必要があるとしております。

 最後の8ページに、ばく露実態調査集計表をまとめております。別添1、別添2については、有害性評価の取りまとめをさせていただいた資料ということで付けております。以上、よろしくお願いいたします。

○名古屋座長 ただいま報告が有りましたように、ばく露としては5ppmで、二次評価値は超えておりませんが、区間推定の中で、またまだここのリスクの実態調査とは違った所に、もしかしたらそういうものが潜んでいるのではないかという形で、最大が35ppmになっていますので、従来のルールに従いますと、詳細リスクに行くという形で、そのときにはここで求めたデータの中の開放系抜出作業とか、そういう作業の中に、もう一つ追加してみて、本当に共通性があるかということを詳細にリスク評価をしたらどうかというまとめだと思います。質問等がありますか。

○大前委員 1か所、修正をお願いします。別添4の「標準設定法」の1枚紙です。ACGIHTLV-TWA40ppmになっていますが、20ppmですので、修正をお願いします。

○名古屋座長 ありがとうございます。二次評価値ですものね。ほかにありますか。

○西川委員 反復投与毒性の最小のNOAEL100ppmということについてですが、別添26ページの171行目です。ラットの92日間の試験で、100ppm以上の雄で白血球数の減少がありますが、これは無視したということですか。もし、これを採用すると、100ppmより小さくなるような気がしましたが。

○大前委員 これはEUのほうはNOAEL200ppmだと言っていることを取っているわけですが、100400だけで、レスポンスがないとか、そういうことで100NOAELにしなかったのではないかと思います。

○西川委員 100ppm以上というのが、「以上」は余分だったということですか。

○大前委員 ごめんなさい。読み間違えました。仮に100NOAELとすると、あと10ですから、0.75ということにはなるかもしれません。これを採らなかった理由は記憶にないのですが。

○西川委員 恐らくEUでは、こういうデータに基づいて、NOAEL200ppmとしているので、100ppmの白血球の影響は有意な毒性とはしなかったということですね。

○大前委員 そういうことです。

○西川委員 分かりました。もう一つ、別添213ページの361行目です。ラットの103週間の反復吸入ばく露試験で、「200ppm以上の群の雄で肝臓に好塩基性変異肝細胞巣が有意に増加していたが、異型性は認められず」とあります。これは腫瘍ではないので、強い異型性はないのが通常ですので、この記載には違和感があります。そのデータが下の表に付いており、好塩基性変異肝細胞巣だけを見ますと、何となく用量に相関にした増加のようにも見えるので、この辺りはどのように考察されたかを教えていただきたいのです。

○大前委員 ここに書いてあるようなことで、好塩基性肝細胞巣というのは、病変か否かについては、恐らくそうではないだろうということで採らなかったということだと思います。病変の関係がありますので、この治験に対しては200ppmが、これでいくとNOAELということになろうかと思いますが、あるいは100NOAELということになろうかと思います。

○西川委員 前がん病変としての意義は好酸性変異肝細胞巣のほうが、より意義が大きいと思いますので、そういう点から、余り重視されなかったと思います。好酸性変異肝細胞巣はそれなりに増加傾向にはあるように見えます。

 この試験で、肝細胞性の腫瘍が増えているが背景データの範囲内であったから無視したということですので、何か関連があるような気がします。結論としては大丈夫だと思いますが、その辺り、この記載について、「異型性は認められず」という所から「前がん病変か否かについて不明であった」という辺りは、記載を変えたほうがよろしいかと思います。

○大前委員 分かりました。これについては、病理の先生とよく相談しまして、適切な記載に変更したいと思います。

○名古屋座長 よろしくお願いいたします。そうすると、先ほどの2ページの反復毒性の所の100ppmは変えないで、このままでよろしいですか。

○西川委員 EUでもそのように評価していますので、結構だと思います。

○名古屋座長 分かりました。では、大前先生にそこをお任せしてということで、あとはよろしいですか。そうしましたら、アセトニトリルは「詳細リスク評価」に行って、また検討していただくという形になります。どうもありがとうございました。

 それでは、最後の物質のイプシロン-カプロラクタムです。よろしくお願いします。

○北村化学物質情報管理官 続きまして、資料3、イプシロン-カプロラクタムです。1ページの1番の物理化学的性質です。名称はイプシロン-カプロラクタム、別名と構造式は記載してあるとおりです。分子量は113.16CAS番号は105-60-2です。(2)物理的化学的性状ですが、外観は特徴的な臭気のある白色の粉末で、潮解しやすいという特徴を持っております。比重は1.02、沸点は267℃、蒸気圧は25℃で0.26Paとなっております。

(3)生産・輸入量、使用量、用途です。製造・輸入量は2013年で348,972トンとなっております。輸出量もかなり多く、177,654トンです。用途は合成繊維、樹脂用原料(ナイロン-6の原料)となっております。

 続きまして、2番の有害性評価の結果です。(1)発がん性は、「恐らくなし」としております。IARC1999年に4の分類(恐らく発がん性なし)としており、ACGIH2003年にA5の分類(ヒトへの発がん性が疑われない)としております。EU、日本産業衛生学会及びNTPでは発がん性の分類はされておりません。NTPの混餌試験では、ラット、マウスの雌雄とも腫瘍の発生増加は見られなかったとされています。各評価区分は記載のとおりです。

(2)発がん性以外の有害性は、急性毒性のデータは記載しているとおりです。皮膚刺激性/腐食性は「あり」、眼に対する重篤な損傷性/刺激性も「あり」です。ここは根拠が抜けておりますので、8ページの「別添1」のイを御覧いただきますと、刺激性/腐食性についての根拠が書かれております。まず皮膚刺激性/腐食性ですが、ウサギを用いた実験で軽度の刺激性が見られたということです。眼に対する重篤な損傷性/刺激性については、ヒトにおける事例ですが、眼に灼けるような強い不快感が生じたという報告があったということで、後ほど本文にこの記載を追記します。

 本文に戻りまして、皮膚感作性は「なし」。呼吸器感作性は「報告なし」、反復投与毒性については、ラットを用いた試験がありまして、この結果、呼吸器官に対する影響が、全てのばく露群に見られたということから、NOAEL24mg/m3と判断したということです。これについて不確実係数を100LOAELからNOAELに変換する係数として10、種差10という値を用いて計算したところ、NOAEL0.18mg/m3という結果となっております。

 生殖毒性は「判断できない」。遺伝毒性は「なし」、神経毒性は「あり」ということで、根拠としてはウサギ3匹に1,000mg/kg体重のイプシロン-カプロラクタムを強制経口投与した試験で、筋攣縮、反弓緊張、激しい筋痙攣が見られ、3匹とも死亡した。ウサギに100300mg/kg体重のイプシロン-カプロラクタムを静脈内投与した試験で、振戦、散瞳、強直性痙攣が認められた。白色ラットに8001,000mg/kg体重のイプシロン-カプロラクタムを腹腔内投与した試験では、高用量の投与では痙攣が生じたということを根拠としております。

 続きまして、(3)許容濃度です。まずACGIHでは、TLV-TWAの値は5mg/m3となっています。根拠が、32mg/m3以上の蒸気濃度で鼻、喉、眼への刺激が知られている。この刺激は用量依存性があり、濃度が下がれば減少する。したがって、吸入性エアロゾル及び蒸気としてTLV-TWA5mg/m3で粘膜、気道及び皮膚の刺激から保護するのに十分のはずであると示されています。日本産衛学会は、設定がありません。DFG MAK、同じく5mg/m3という値になっています。NIOSHの値は、ACGIHの値より低くて、粉じんは1mg/m3となっており、蒸気のほうは0.22ppmという値になっています。OSHAは、設定がありません。

 続きまして、(4)評価値です。一次評価値ですが、こちらは0.18mg/m3を採用しております。先ほど説明しました反復投与毒性に関する動物実験により導き出された最小毒性量(LOLEL)から不確実係数を考慮して算定した評価レベルを一次評価値としました。二次評価値は5mg/m3で、ACGIHの値を採用しております。

3番のばく露実態評価です。(1)有害物ばく露作業報告の提出状況は、A3の「別添3」にまとめております。平成23年におけるイプシロン-カプロラクタムの有害物ばく露作業報告については、56事業場から計120作業について報告があり、対象物質の用途は主に、ばく露作業報告対象物質イプシロン-カプロラクタムを含有する製剤、そのほかの物の製造を目的とした原料としての使用で、作業の種類は「計量、配合、注入、投入又は小分けの作業」「サンプリング、分析、試験又は研究の作業」「ろ過、混合、攪拌、混練又は加熱の作業」でした。対象物質の年間製造・取扱量ですが、「500kg未満」が28%、「500kg以上1トン未満」が7%、「1トン以上10トン未満」が33%、「10トン以上1,000トン未満」が14%、「1,000トン以上」が19%で、作業1回当たりの製造・取扱量は「1kg未満1L未満」が23%、「1kg以上1トン未満または1L以上1kL未満」が70%、「1トン以上又は1kL以上」が7%でした。

 当該作業従事労働者数は「5人未満」が76%、「5人以上10人未満」が15%、「10人以上20人未満」が8%、「20人以上」が2%ということです。1日当たりの作業時間は、「1日当たり15分未満」が37%、「1日当たり1530分」が27%、「1日当たり30分~1時間」が14%、「1日当たり1時間以上3時間未満」が12%、「1日当たり35時間」が6%、「1日当たり5時間以上」が5%ということで、局所排気装置が設置されている作業は44%でした。

 続きまして、(2)ばく露実態調査結果です。有害ばく露作業報告のあった9事業場を選定して、ばく露実態調査を実施しました。対象作業場においては、製造・取扱い作業に従事する21人について、個人ばく露測定を行うとともに、4単位作業場所について作業環境測定のA測定を行い、32地点についてスポット測定を実施しております。個人ばく露測定結果については、ガイドラインに基づいて、8時間TWAを算出しております。測定分析法は、サンプリングはスチレンジビニルベンゼン捕集管とグラスファイバーフィルターを用いて捕集をして、ガスクロマトグラフ質量分析法で分析をしております。

 対象事業場における作業の概要です。対象事業場におけるイプシロン-カプロラクタムの用途は、「当該物質の含有する製剤の容器の洗浄作業」「混合用容器への投入作業」「ペレット状製品のサンプリング作業」等でした。イプシロン-カプロラクタムのばく露の可能性のある主な作業は、「充填・投入」「洗浄・清掃」「混合」等の作業でした。

 下に、測定結果を求めております。まず、グラフです。この物質については、一次評価値があり、0.18mg/m3をその値として点線で示しております。二次評価値は5mg/m3ですので、こちらのグラフには表記しておりません。見ていただくと分かるとおり、d1d2f1f2d35人の労働者が一次評価値を超えているという結果になっています。

 作業内容については、下の表に掲載をしているとおりです。6ページの一番上ですが、こちらの表記に足りないところがあって、先生方にお配りしている参考資料4-3D社の所を御覧いただければと思います。d2の方とd1の方は、どちらもばく露作業なしということで、サンプリング作業という記載になっておりますが、測定値を見ますと、「ばく露作業なし」のほうが高い値になっています。高い値が出たのは、サンプリング作業が原因ではなくて、ばく露作業がない時間帯にイプシロン-カプロラクタムのばく露があったということだったので、報告書を確認しました。その結果、この作業者が直接イプシロン-カプロラクタムを直接扱うわけではないのですが、工場内の監視、パトロールを行っていている時間があって、そのときにばく露をしたということですので、表には「サンプリング作業2分」に加えて、「工場内の監視」、「パトロール」という表記も追記したほうが誤解がないと思いますので、後で修正させていただきます。

 本文に戻ります。測定は、21人の労働者に対して実施して、個人ばく露測定の結果から、8時間TWAの最大値は1.5mg/m3 でした。また、定量下限値より高い濃度となった12名のデータを用いて信頼率90%で区間推定した上側限界値5%は1.5mg/m3 という値になりました。このことから、最大ばく露量は、ばく露評価ガイドラインの規定、区間推定上側限界値又は最大測定値の高いほうを最大値とするルールに基づいて、1.5mg/m3 となりました。これらの結果から、8時間TWAの最大値、区間推定上側限界値のいずれも、二次評価値5mg/m3 を下回るという結果となりました。

4番のリスクの判定及び今後の対応です。個人ばく露測定において、21人中5人が一次評価値を超えていたが、全て二次評価値以下であった。また、個人ばく露測定データから求めた区間推定上側限界値については、二次評価値を下回っており、当該調査結果からは、二次評価値を超える高いばく露が発生するリスクは低いと考える。

 以上のことから、イプシロン-カプロラクタムの製造・取扱事業場においてはリスクは低いと考えられるが、当該物質は神経毒性を有する物質です。ここも修正をさせていただきたいのですが、今の記載は「フレーク状のイプシロン-カプロラクタムの製造工程におけるサンプリング作業」としてあるのですが、これも言葉が足りないところがありまして、参考資料4-3d3の方を見ていただきますと、サンプリング作業で高いのではなくて、サンプリング作業のときに「端切液を採取して、それを廃棄する作業」と、「サンプリングをしたときに使用した容器を洗浄する作業」によって高いばく露が確認されているので、ここの記載は「サンプリング作業」で止めるのではなくて、もう少し記載を修正させていただきます。申し訳ありません。

 続けます。及びフレーキングマシン内に付着したイプシロン-カプロラクタムの除去作業等については一次評価値を超えるばく露があることや、スポット測定においても二次評価値を超えることはないものの、比較的高いばく露が認められていることから、事業者は当該作業に従事する労働者等を対象として、自主的なリスク管理を行うことが必要と考えるとまとめています。資料3については以上です。

○名古屋座長 ここにつきましては、ばく露についても区間推定についても、二次評価値より低いという形ですので、従来ですと、初期リスク評価で終了という形になるかと思います。そうは言っても、一次評価値を超えていますので、当該事業に対しては、ここに書かれているような形のものについては注意喚起をして、自主的なリスク評価をするということでまとめる形になるかと思います。何かありますか。よろしいですか。

 そうしましたら、若干修正等がありましたので、そこを直していただいて、初期リスク評価で終了という形になるかと思います。どうもありがとうございました。特に内容に問題がないようですので、詳細は後日、事務局から各委員へ連絡するという形でよろしいでしょうか。

 それでは、議題2に移ります。これは有害性評価の小検討委員会のものです。大前先生に議長を代わっていただきます。大前先生、よろしくお願いいたします。

○大前座長 それでは、本日の議題2「長期発がん性試験対象物質の選定について」です。これは有害性評価小検討会の議論において、候補物質に関連する最新の知見を踏まえて、再検討するということになりましたので、本検討会で事務局から報告される新しい情報を含めて検討していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。それでは、事務局から説明をお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 それでは、事務局から説明いたします。昨年、1224日に有害性評価小検討会において、平成28年度から行う長期発がん試験の対象物質の選定について御議論をいただきました。その際、5物質の候補ということで挙げておりましたが、当時の議論において、2物質の絞り込みを行いまして、本検討会で改めて検討していただくという結論になりました。こうして今回議案として出しているところです。

 前回、1224日に有害性評価小検討会において、5物質から、本日配布資料4-1、こちらの酢酸ノルマル-ブチルとアリルアルコールの2物質の絞り込みまでいきましたので示させていただいております。追加の情報については、アリルアルコールに関する代謝物質についての情報を入れております。

 資料4-12物質の比較です。まず、「酢酸ノルマル-ブチル」は、第2種有機溶剤等に指定されている物質です。遺伝毒性試験結果については、資料に書かれているとおりで、エームス試験、染色体異常試験、日本バイオアッセイ研究センターの試験でも陰性ということです。代謝の関係では、酢酸ノルマル-ブチルは容易に加水分解され、血液、肝、小腸、気道において酢酸とノルマル-ブタノールが生成するということです。ノルマル-ブタノールは、アルコール脱水素酵素によって速やかに代謝されてブチルアルデヒドになります。このブチルアルデヒドについては、今年度からの長期がん原性試験の対象物質ということで2年間の発がん性試験に向けて、現在準備を進めています。

 この「類似物質とそのがん原性試験の結果」ですが、酢酸イソプロピルについては、日本バイオアッセイ研究センターで試験が行われており、2年間の吸入ばく露試験で、雄ラットに対して閾値のあるがん原性を示したということです。平成211215日の有害性評価小検討会でそのように評価されたということです。非常に高濃度でのばく露によって発がんが認められたということで、指針の対象にはなっていないということです。

 用途です。溶剤(塗料、各種樹脂、綿火薬、エナメル、ラッカー)等に使われています。

 製造・輸入数量です。2013年度で、40,00050,000トンということですが、これは酢酸ブチル、ノルマル-ブチル以外の異性体が、例えば、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコールなどの異性体がありますので、そうした異性体を合わせた量として40,00050,000トンです。

 下のほうに、酢酸ノルマル-ブチルについては、別途、輸出量・輸入量の数字を書いています。

 許容濃度・管理濃度については、ACGIHTWA150ppmSTEL200ppmです。産衛学会の許容濃度も100ppmと出ています。有機溶剤としては管理濃度150ppmが出ています。ACGIHTLVの根拠としては、眼及び上部気道刺激になっています。

 備考欄に、この物質が候補として上がってきた経緯としては、平成18年度の報告書で候補物質として挙がってきたと書かれています。

 次に、「アリルアルコール」です。アリルアルコールについては、別表第9におけるSDS対象物質ということで指定されている物質です。強い変異原性があるという平成18年に強い変異原性がある化学物質として通達の指導対象となっています。

 フィージビリティ試験も平成22年度に行っており、試験ができるという状況となっています。

GHSの発がん性に係る区分については、ACGIHの発がん性評価でA4に分類されていることなどから、区分外としています。IARCについては、今のところ勧告などはされていないということ。産衛学会でも、発がん性分類については「なし」ということです。

 次に、遺伝毒性試験の結果です。資料4-1(参考)として付けさせていただいておりますが、概要について申し上げますと、エームス試験は6つの試験中2つで陽性、染色体異常試験では陽性、日本バイオアッセイ研究センターでも染色体異常試験を行って陽性ということです。

 資料4-2(19ページから21ページまで)は、アリルアルコールの代謝の関係資料です。21ページに、代謝経路も併せて作成していますので、ここで概要を申し上げます。本物質は、体内で迅速にほとんど完全に酸化されます。主な代謝経路は、アルコール脱水素酵素によるアクロレインへ代謝され、アクロレインを更にアルデヒド脱水素酵素によりアクリル酸へ、またグルタチオン抱合により「N-アセチルシステイン」へ、また、CytochromeP450によりグリセルアルデヒドへ代謝される。CytochromeP450は、本物質のグリセロールへの酸化的代謝も触媒する。本物質の代謝物であるアクロレインは極めて反応性の高いアルデヒドで、細胞膜のタンパクと容易に結合する。本物質による肝障害はアクロレインによるものと考えられているということの代謝についての概要です。

 「類似物質とそのがん原性試験結果」です。アクリル酸とアクロレインを類似物質ということで挙げております。アクリル酸、アクロレインともに、日本バイオアッセイ研究センターでがん原性試験を実施しております。アクリル酸については、平成231018日の有害性評価小検討会で評価して、ラット、マウスとも「がん原性なし」という評価となっております。

 一方、アクロレインは、今年度中にがん原性試験の結果が示されることとなっております。速報を資料4-3として付けております。、内容としては非常に難しい専門用語等もありますの机上配布とさせていただいております。ラット、マウスとも試験が行われており、まずはラット、マウスについても腫瘍の発生としては、被験物質のばく露により腫瘍の発生増加が認められているというような趣旨の取りまとめとなっております。

 また、アリルアルコールの用途ですが、ジアリルフタレート樹脂・医薬・香料・難燃化剤等の原料ということで、生産量については、2013年推定で45,000トンの生産量です。

 許容濃度・管理濃度については、ACGIH0.5ppm、産衛学会が1ppmということです。ACGIHTLVの根拠としては、眼及び上部気道刺激ということです。最後に、選定の根拠としては、これが発がん性試験の候補として挙がってきたのは、平成221月の企画検討会でフィージビリティーテストに挙がってきて、試験が可能であるということで、候補として挙げさせていただいています。

 最後、資料4-4です。グリシドールも代謝物質の1つとして、先ほどの資料4-2の所で、挙がっていましたので、付けさせていただきました。これらを含めて御検討のほど、よろしくお願いいたします。以上です。

○大前座長 資料4-13ページに、(参考1)というものがありますが、この(参考1)に、吸入試験の候補物質の()ということで、表ページのほうに、123、それから、裏ページに、45という5物質があり、フィージビリティー試験が終わっておりまして、この5物質は発がん実験が可能であるという状況になっています。

 検討会のほうでは、5番目の物質、これがエポキシ基が3つも付いているような物質で、非常にこれが良いということですが、残念ながら今、これは固体で、粉体ばく露になります。そうすると、今の粉体ばく露用のチャンバが二酸化チタンで使っておりまして、実は、これが一番良いのですが、物理的にできないということなので、残りの4物質からということで検討しました。その結果として、今の2物質が最終的に決まりました。

 アリルアルコールについては、先ほどのアクロレインの実験が終わって、そろそろ結果が出る頃だということで、その結果待ちで、本日、先ほど発表していただいたように、アクロレインには、鼻腔に扁平上皮癌等、ふだん見られない癌が出るということで、多分、アクロレインは発がん物質というような結論に将来的になっていくのではないかと思いますが、そういう情報が付け加わったことになります。

○平川化学物質評価室長補佐 事務局からよろしいでしょうか。

○大前座長 はい。

○平川化学物質評価室長補佐 本日、御欠席予定の先生から事前にコメントがあればということで、お願いしていましたところ、千葉委員からこの議題に関するコメントを頂きまして、それを御紹介させていただきます。「ただ、アクロレインの毒性はかなり高いと考えられます。アリルアルコールについては、慎重な議論が必要だと思います」との内容です。以上です。

○大前座長 21ページに代謝図が出ていますが、アリルアルコールについては、ACGIHでは、これはアクロレインになるということで、アクロレインをやれば、アリルアルコールはやらなくてもいいのではないかという意見もありまして、待っていたということになります。

 この代謝図で、アクロレインは、最新情報では発がん性はありそうだと。グリシドールも、下のほうにいくとあるのですが、これも発がん性が分かっているということなので、どうもアリルアルコールの代謝物は、発がん性はあるらしいという状況です。考え方としては、アリルアルコールをやっても、代謝された物によるのが原因ではないかという考え方もできますし、あるいはアリルアルコールは、アリルアルコール自身で当然やるべきだという考え方もあると思います。

 それと、先ほどのエステルですね、酢酸ノルマル-ブチル。これは酢酸イソプロピルは高濃度で、閾値のある変異原性、がん原性があるということが示されたことで、類似物質では閾値がありますが、遺伝情報、遺伝毒性はみんな陰性なので、DNA障害性はなさそうだというような物質で2つの物質になります。

 それから、あとの物質は、酢酸エチルとエチレングリコールモノエチルエーテルの2つも、一応、候補には入っていますが、酢酸エチルは、相当な高濃度ばく露になるということがあります。それから、エチレングリコールモノエチルエーテルは、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートの原性試験で既に終了していまして、これは体内に入ると、直ちに加水分解して、エチレングリコールモノエチルエーテルになるので、それを考えると、二重にやっても仕方がないということで、今回候補から外れたという状況です。

○圓藤委員 教えていただきたいのは、21ページの図の代謝経路が、これはラットで作られたものとなっていますが。ヒトでも同様の代謝経路が考えられるわけですか。

○大前座長 いかがでしょうね。ヒトで、アルコールですから、ADHあるいはADLHがありますから、こういう方向に行くのは間違いはないと思いますが、ただ、どちらが有意か、ADHADLHか、グリシドールのほうが有意なのか、そこら辺の情報は、今、ヒトでは示されておりませんが。

○圓藤委員 ヒトでは、代謝は見られていないのですか。

○大前座長 ここら辺の情報は多分、本日初めて出てきたので、分からないという状況です。特に、アクロレインの場合は、鼻腔にたくさん出ているのです。だから鼻腔で代謝されるかどうかは、ヒトでは結構重要な話ですが、そこの情報は現段階では得られておりませんので。ただ、吸入した場合に、鼻腔ではなくて肺のほうに行ってしまってどうなるのかというのも、また別の癌が出てくる可能性もないことはないですね。場所が違うという可能性はあると思いますけれども。

○圓藤委員 生産量が45,000トンほどありますが、ばく露も結構あるのですか。

○大前座長 これはどうでしょうか。これの報告は、すみません、こちらには情報はないのです。

○角田化学物質評価室長 ばく露の情報は、まだ把握しておりません。ただ、生産量自体は上と比較すると、かなり多いということはありますし、あと、許容濃度とか、管理濃度を上の物質と比べると、低い数字にはなっています。

○大前座長 先ほどの発がん実験で、ただ鼻腔なので、果たしてヒトで、それと同じことが出るかどうかは、確かに確認しておく必要はありますね。ひょっとしたら、鼻腔の構造の違いとか、それから気流動態の違いで、鼻腔にとどまらないで下気道のほうにも行く可能性はありますから。

○圓藤委員 そうですね。

○平川化学物質評価室長補佐 その関係で、代謝ということではないのですが、ヒト健康影響の事例があります。アリルアルコールを誤飲した事故で、アリルアルコールの接触した期間に強い刺激性の症状が認められ死亡した例もある。また、アリルアルコールの蒸気をばく露した例では、眼や鼻に刺激性の症状が認められた。というものです。

○大前座長 使うのはラットですので、鼻腔でどれだけ代謝されるかということになりますが。先生方から、どちらが絶対いいというのは難しいと思いますけれども、どちらがベターではないかという御意見があれば有り難いのですが。

○宮川委員 どちらがいいかという結論を言う前に、もし代謝物で発がん性が分かっているような物については、その元になる物が、相当程度その代謝物になるという場合は、一応、注意をしなければいけないということで、何らかの方策が取られるということであれば、わざわざ試験をしなくても対応はできると思うのですが。この物質の場合には、片方は鼻腔の局所の癌で、場合によっては、アリルアルコールについてはシステミックな影響として、癌が出てくるようなことがあるのだとすると、直ちに同じような注意が必要だということが言いにくいかもしれないし、また、調べてみると、別の形の癌が見付かる可能性があるということは考えなければいけないと思います。ただ、最終的なところとしては、この物質の場合には代謝物に気を付けなければいけないので、これで何かしましょう、ということが言えないので、ちょっと悩ましいところかという気はします。ほかのもので、そこが分かっているときには、そういう対策をとるということにしていただければ、もう少しやりやすいのかと思います。

○圓藤委員 グリシドールの発がん性は、システミックな発がん性だったのですか。この鼻の刺激と関係ないような。

○大前座長 グリシドールの場合は、27ページの下のほうの表1にラットの腫瘍の発生数で、鼻腔の扁平上皮癌、腹膜の中皮腫、乳腺の線維腺腫、子宮内膜の間質性肉腫と、それから、マウスでも、鼻腔と。どれが有意だか有意でないのか、この表だけだと分からないのですが。

○圓藤委員 でも、有意性はありますね。

○大前座長 システミックには出ている感じですね。

○圓藤委員 はい。このデータでアリルアルコールを「発がん性あり」と言っていいかと言われると、ちょっと悩みますね。

○江馬委員 アリルアルコールは、代謝のほうの何らかの試験で片づくような気もするのです。

○圓藤委員 うん。

○江馬委員 この2つの物質で、ブチルアルデヒドは既に対象物質となっているということなので、こちらのほうが緊急性があるのではないでしょうか。

○大前座長 代謝の所の「ブチルアルデヒドとは」の所ですね。

○江馬委員 はい。

○大前座長 これは対象物質として選定済みということで、フィージビリティーとはまだいっていないのですよね。選定されていない。

○平川化学物質評価室長補佐 発がん性試験については、まず、2週間試験を行い、引き続き13週間試験をやって、その後、ラットについては、2年間の試験を行うこととなりますが、マウスについては、同じような形であるのですけれども、2年間の試験ということではなくて、遺伝子改変動物による試験を行う予定となっております。ブチルアルデヒドについては、今年度から着手しており、結果は出ていません。

○大前座長 多分、酢酸ノルマル-ブチルは、これも恐らく体内に入って、比較的早く加水分解して、今、先生がおっしゃったノルマル-ブチルアルコールと酢酸に分かれて、それの代謝物のブチルアルデヒド、これが代謝物になるわけですから、それについては今、現在進行形だと。

○平川化学物質評価室長補佐 はい。実際、2年間の試験結果が出るのが、あと56年先ということになります。

○大前座長 ええ。これは進行中だということです。代謝物を先にやっているということになりますけれども、この場合は。

○圓藤委員 IARCの発がんメカニズムでいけるというように考えることが可能ならば、代謝物の実験で発がん性が認められたならば、同様の代謝経路を持つものは、「発がん性あり」としていいという考え方もあり得ますよね。

○大前座長 それはあり得ますね。今まで恐らく、IARCはそれは取っていないと思いますが。

○圓藤委員 いや。

○大前座長 取っていますか。

○圓藤委員 膀胱癌のベンジジンはやっています。

○大前座長 ベンジジンの代謝物の話が今、出ていますね。そうですね。

○圓藤委員 そうです。あれは、もう1群になっていますので。

○大前座長 ありましたね。

○圓藤委員 はい。

○大前座長 ベンジジンの代謝をする染料は1群に、去年か一昨年、割と最近ですね。

○圓藤委員 そう、そう。

○大前座長 なりましたね。だから、そういう意味では、アクロレインに代謝される物質というくくりでくくることは可能ですね。

○圓藤委員 だから、ノルマル-ブチルも、先にブチルアルデヒドをやって、そこから考えるというのも1つあるのかと、今、思ったのですが。

○大前座長 そうですね。そうすると、両方とも選ばないことになるのです。これは、どちらか、1物質を選んでいただきたいというのが本日の趣旨なのですけれども。

○圓藤委員 それが成立するかどうかを、1つ確かめてみるというのもあり得ますね。

○大前座長 それはありますね。そういう意味では、先にアリルアルコールをやったほうがベターだということになります。なるほど、そういう考え方は非常に。きちんと証明してみるという意味でも。

○圓藤委員 はい。

○大前座長 それでは、皆さん、そのほかに御意見がなければ、今、圓藤先生がおっしゃったようなことも含めて、この2物質からだということであれば、このアリルアルコールを選んでやるということで、この委員会は、よろしいでしょうか。

○圓藤委員 はい。

○大前座長 非常に難問を判断していただきまして、ありがとうございました。

 それでは、2番の議事が終わりましたので、3番、その他について、事務局からお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 今後の予定ですが、本日の議論を踏まえると、改めて会議を開催せず、最終的な内容の確定等については、改めて事務局から各委員の先生にメール等で御確認ということにさせていただきければと思いますが、それでよろしいでしょうか。

○大前座長 分かりました。

○平川化学物質評価室長補佐 では、34日は中止とさせていただきます。

○大前座長 事務局、そのほかはありますか。なければ、これで終了となります。

○角田化学物質評価室長 今回、修正等の御意見も頂きましたので。

○大前座長 そうですね。

○角田化学物質評価室長 若干、直さなければいけないところもありますので、また、そこは直して、先生方の確認を取りたいと思います。

○大前座長 よろしくお願いいたします。それでは、本日は、どうもありがとうございました。


(了)

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