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2015年1月21日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

○日時

平成27 年1月21 日(水)10:00~


○場所

厚生労働省専用第14 会議室


○出席者

出席委員(16 名)五十音順

○新 井 洋 由、 奥 田 真 弘、 川 上 純 一、 川 崎 ナ ナ、
  菊 池  嘉、 佐 藤 俊 哉、 鈴 木 邦 彦、 関 水 和 久、
  田 島 優 子、 田 村 友 秀、 中 島 恵 美、 濱口  功、
  半 田  誠、 福 山  哲、 増 井  徹、 ◎吉 田 茂 昭
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(5名)

庵 原 俊 昭、 大槻 マミ太郎、 清 田 浩、 前 崎 繁 文、
山 本 一 彦

行政機関出席者

神 田 裕 二 (医薬食品局長)
成 田 昌 稔 (大臣官房審議官)
森 和 彦 (審査管理課長)
宇 津 忍 (安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
俵 木 登美子 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
武 田 康 久 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役  他)

○議事

 

 

○審査管理課長 薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開催させていただきます。本日は、先生方お忙しい中、また足元が悪い中、御参集いただきまして、ありがとうございます。本日の委員の御出席につきまして、庵原委員、大槻委員、清田委員、前崎委員、山本委員より、御欠席との御連絡を頂いています。現在のところ、当部会委員数21名のうち16名の委員の御出席を頂いていますので、定足数に達していますことを御報告いたします。

 本日の部会から事務局側の説明のやり方を少し変えようということで、テーブルの配置を少し変えています。メインテーブルに説明者席を設けさせていただいていまして、審議の議題ごとに説明の担当が入れ替わるということで御説明させていただきたいと思います。顔が見える関係で御説明を差し上げたいということですので、よろしくお願いします。入れ替わりの際とか、騒がしいところが少しあるかもしれませんが、御容赦いただきたいと思います。今回、こういうスタイルでやるのは初めてなものですから、少し不慣れなところもあるかとは思いますが、よろしくお願いします。吉田部会長、以後の進行をよろしくお願いします。

○吉田部会長 本日の審議に入ります。事務局から、配布資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについての報告をお願いします。

○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日、席上に議事次第、座席表、当部会委員名簿を配布しています。議事次第に記載されています資料1~7につきましては、あらかじめお送りさせていただいているところです。このほか、資料8「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料9「専門委員リスト」、資料10「競合品目・競合企業リスト」、資料11「佐藤委員からの御意見・御質問」を配布しています。

 本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、御報告させていただきます。資料10の1ページを御覧ください。デュアック配合ゲルですが、本品目は尋常性ざ瘡を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。

 2ページを御覧ください。エクリラ400μgジェヌエア30吸入用他1規格ですが、本品目は慢性閉塞性肺疾患の気道閉塞性障害に基づく諸症状の寛解を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。

 3ページを御覧ください。アシテアダニ舌下錠100単位(IR)他1規格ですが、本品目はダニ抗原によるアレルギー性鼻炎に対する減感作療法を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。

 4ページを御覧ください。レンビマカプセル4mg他1規格ですが、本品目は根治切除不能な甲状腺癌を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。

○吉田部会長 今の事務局からの説明に、特段の御意見等はありますか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきましては、皆様の御了解を得たものといたします。

 次に、委員からの申出状況についての御報告をお願いします。

○事務局 各委員からの申出状況について、御説明いたします。議題1のデュアック配合ゲルは退室委員なし。議決には参加しない委員なし。議題2のエクリラ400μgジェヌエアは退室委員なし。議決には参加しない委員なし。議題3のアシテアダニ舌下錠の退室委員は新井委員、関水委員、議決には参加しない委員なし。議題4のレンビマカプセルの退室委員は田村委員、議決には参加しない委員なし。以上です。

○吉田部会長 今の事務局からの説明に特段の御意見等はありますか。ないようですので、これで皆様に御確認いただいたものとし、議題に入りたいと思います。本日は、審議事項4議題、報告事項3議題となっています。それでは、審議事項の議題1について、事務局からの説明をお願いします。

○機構 議題1、資料1-1及び1-2、医薬品デュアック配合ゲルの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。

 本剤は、尋常性ざ瘡の原因菌に対して抗菌活性を示すクリンダマイシンリン酸エステル水和物と角質剥離作用等を有する過酸化ベンゾイルを含有する外用剤です。本邦では、クリンダマイシンリン酸エステルの外用剤については平成14年に化膿性炎症を伴うざ瘡に対して、過酸化ベンゾイルの外用剤については昨年12月に尋常性ざ瘡に対して承認されています。本剤は、平成26年8月時点で英国及びドイツを含む16か国で承認されています。本申請の専門委員としては、資料9に記載の7名の委員を指名しました。

 審査内容について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。審査報告書34ページの上の方の表21を御覧ください。国内第 III 相試験の主要評価項目である、塗布12週後の総皮疹数のベースラインからの変化量において、「1%CLDM1日2回群」と示している既承認薬であるクリンダマイシンリン酸エステル外用剤の1日2回塗布に対する本剤1日2回塗布の優越性が検証されています。また、本剤1日2回塗布群と1日1回塗布群の有効性は同様であったことから、本剤1日1回塗布の有効性は期待できると判断しました。

 安全性について、35ページの表23を御覧ください。この表は、国内第 III 相試験において、いずれかの群で2%以上の発現が認められた有害事象及び副作用を示しています。皮膚乾燥等の塗布部位における事象が認められているものの、ほとんどが軽度又は中等度であり、いずれも塗布の中断、中止の後、回復又は軽快していることから、現時点で、安全性の大きな懸念はないと判断しました。

 以上の審査を踏まえ、機構は、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は、過酸化ベンゾイルを新有効成分として含有する新医療用配合剤として承認申請されましたが、再審査期間は、昨年12月に承認された過酸化ベンゾイルを含有するベピオゲル2.5%の残余期間とし、原体及び製剤はいずれも、毒薬、劇薬、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。なお、薬事分科会には報告を予定しています。以上、よろしく御審議のほど、お願いいたします。

○吉田部会長 委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。

○菊池委員 資料の最後のベネフィットとリスクに関する結論の54ページに、「本剤は冷蔵庫での保存が望ましい」と書いてあるのですが、多分そこまで行かないかもしれないかもしれませんが、添付文書にはそこら辺は何にも書かれていませんが、これは大丈夫でしょうか。原薬の安定性からすると、多分、大丈夫そうな気もするのですが、そこに何か一言あるのをたまたま見付けましたので。

○機構 原薬に関しては、おっしゃるとおり冷蔵保存であり、製剤に関しても2~8℃で保存するとされていますので、冷蔵保存が必要であると考えています。添付文書は、1枚目の販売名の左下に貯法「2~8℃で保存」として示させていただいています。

○菊池委員 分かりました。

○川上委員 医薬品リスク管理計画の「重要な特定されたリスク」で、偽膜性大腸炎などのことが記されているのですが、実際、この治療において、それほど重要なリスクとお考えなのでしょうか。

○機構 「重要な特定されたリスクとした理由」にも記載しているのですが、クリンダマイシンの外用剤においても偽膜性大腸炎を含む大腸炎が報告されているということがあり、同じ有効成分を含んでいますので、特定されたリスクとさせていただいています。

○川上委員 安全性に関わることなので、制度としてそういったことを注意していくことは決して悪いことではないと思います。ただし、同じ外用剤といっても、全身に近い広い範囲への塗布型の製剤もあれば、本剤のように顔面の限られた部位に塗布するものもありますので、外用剤で同じ成分ですからといって、一律に何でもリスク管理の網を掛けるというのも、本来、注意すべきものが薄まってしまう、そういうことも一方では懸念されますので、いかがかと思ってコメントを申し上げた次第です。

○機構 ご指摘ありがとうございます。

○奥田委員 今のことに関して、例えば局所投与なので、大腸炎を起こすことは全身にそれが分布した上で起こるということを考えれば、血中濃度を比較することでそのリスクになるかどうかを検討されたかどうか、そこについて教えていただければと思いますが。

○機構 本邦で承認されているクリンダマイシンの外用剤の効能は、ざ瘡であり、使用方法は本剤と同様です。クリンダマイシンの外用剤の添付文書において大腸炎は重大な副作用として注意喚起されていますが、実際に大腸炎を発現した症例がどのようにクリンダマイシンの外用剤を使用していたかや血中濃度の情報等は得られていません。したがいまして、大腸炎を発現した症例との比較を行ったリスクの検討は困難だと考えています。

○奥田委員 ということは、既報のクリンダマイシン製剤についても根拠があるリスクとは言えないと。それを参考に今回のものを設定されたということになる、そういう考え方でよろしいのでしょうか。

○機構 実際にクリンダマイシンの外用剤を使用して大腸炎が発生したという報告を基に、クリンダマイシンの外用剤では注意喚起がなされておりますので、本剤についても「重要な特定されたリスク」とすることに根拠がないとは考えていません。

○吉田部会長 これについては医学・薬学的立場と行政的立場とで、とらえ方の違いがあると思います。例えば行政的立場からすると、クリンダマイシンにはこういう報告があるのに、局所投与だから大丈夫だろうと注意喚起をしないでいて、後で大腸炎の患者が出たとなったら責任問題にもなりかねないので、とにかく挙げるだけ挙げておこうという立場を取らざるを得ません。しかし、医学・薬学的に言えば、このような体表のほんの一部に塗ったものが、血中濃度が上がるほど吸収されるなんて、そんな馬鹿なと思うわけですよ。でも局所投与のステロイド軟膏などでも糖尿病や結核の病状悪化について注意が出たりするわけですよ。ですから、これはこの製剤に関わる問題ではなくて、行政側の基本的な思想というか考え方の問題ですね。ですから、その辺を詰めるのはなかなか大変だとは思いますが、「どこかで報告があるから全てに網を掛けてしまおう」というやり方も、この21世紀の時代にどうかと思うので、一度内部で御議論頂いた上で、やはり網掛けしかないのか、あるいは、今後は血中濃度とか、ある程度の根拠をもって言うようにするのか、またの機会にでも御返事いただくということでいかがでしょうか。

○川上委員 あくまでリスク管理に関することなので、是非きちんと管理いただいて、安全性上問題がなければ、また、なかったということを当局若しくはメーカーから我々に情報提供いただければ、本来の趣旨は果たせるのではないかと考えています。

○機構 リスク管理計画では、市販直後調査や市販後調査の中で、この事象が出ているかどうかは調査されますので、その結果が得られ次第、医療関係者の皆様にも会社から情報提供をされると思います。これらの検討の中で重要な特定されたリスクについては、これがもっとレベルを高くして注意が必要なものか、もっとレベルを下げてもよいものかというところも含め、再審査の中でもまた議論されていくと考えています。

○吉田部会長 この薬だけではなく、抗生物質の外用の局所投与で偽膜性大腸炎のようなものすごい有害事象が起こり得るかについても、一度調べておいていただければと思います。

○奥田委員 今回、過酸化ベンゾイルが配合されているということ、それが特徴ということですが、これは光に不安定ということで、少し疑問に思ったのが、全く添付文書上、光に対する注意喚起はされていないと理解したのですが、一方で過酸化ベンゾイル自身が皮膚刺激を結構起こすということが書かれているわけですが、光の不安定と皮膚刺激症状は特に関連はないのでしょうか。

○機構 光に当たると分解されやすいというところまでは分かっていますが、分解されやすい性質と皮膚刺激症状の強弱との関連は検討されていません。添付文書上、日光への暴露を最小限にとどめることに関しては、注意喚起しています。

○奥田委員 私自身は注意喚起の所をきちんと見ていませんでしたので、よく分かりました。

○吉田部会長 ほかにありますか。御意見もないようですので、議決に入りたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは、議題2に移ります。議題2につきまして、機構からの概要説明をお願いします。

○機構 議題2、資料2-1及び資料2-2、エクリラ400μgジェヌエア30吸入用他の製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。

 本剤は、長期間作用性の競合的ムスカリン受容体遮断薬(以下LAMA)であるアクリジニウム臭化物を有効成分とした定量式吸入用散剤であり、慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)に対して開発されたものです。長時間作用性の気管支拡張薬は、主に中等症以上のCOPDに対して定期的な使用が推奨され、安定期のCOPDの薬物治療において中心的な役割を担っています。本邦では、COPDに対するLAMAの吸入剤として、チオトロピニウム臭化物水和物及びグリコピロニウム臭化物が既に承認されています。本申請の専門委員としては、資料9に記載されています10名の委員を指名いたしました。

 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡単に説明いたします。審査報告書42ページの「2) II 相試験」の項を御覧ください。本申請は、ブリッジング戦略に基づくものであり、ブリッジング試験として、中等症から重症の日本人COPD患者を対象にプラセボ対照用量比較無作為化二重盲検並行群間試験が実施されています。

 有効性の主要評価項目である投与4週後のFEV 1 トラフ値のベースラインからの変化量は、43ページ表13のとおりであり、本剤各用量群とプラセボ群との各対比較において、統計学的に有意な差が認められました。また、ブリッジンク試験とブリッジング対象試験である三つの海外第 III 相臨床試験における投与4週後までのFEV 1 トラフ値のベースラインからの変化量を比較した結果は、54ページ表27のとおりであり、プラセボ、本剤200μg及び400μgの用量反応関係はおおむね類似していること等から、海外第 III 相試験の全体成績等を日本人COPD患者に外挿して評価することは可能と機構は判断いたしました。

 用量の検討について、56ページの表29を御覧ください。200μg及び400μgのいずれの用量についても本剤の有効性は示されていますが、いずれの評価項目においても、おおむね一貫して400μgの結果が200μgを上回る傾向が認められていること等から、本剤の推奨用量として400μgが適当と機構は判断いたしました。

 次に、審査報告書57ページ以降の「()安全性について」の項を御覧ください。海外臨床試験の併合集計及び国内臨床試験における主な有害事象について、58ページの表30及び表31等に、また、LAMAのクラス効果として発現の可能性が考えられる心血管系有害事象について、59ページの表33等に示していますが、本剤の有害事象の発現率はいずれの用量においてもプラセボ及び類薬を大きく上回る傾向は認められず、類薬と比較して本剤の安全性に特段の懸念は示唆されていないと判断しています。

 しかしながら、心血管系への影響は、LAMAにおける薬理学的な潜在的リスクとして否定できないことから、添付文書等で十分に注意喚起するとともに、69ページの表43に示しています製造販売後調査等において、心血管系事象の発現状況をはじめとする本剤の安全性について引き続き検討するよう指示しています。

 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから再審査期間は8年、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。薬事分科会では、報告を予定しています。

 本申請について、佐藤委員より事前に御意見を頂いています。資料11を御覧ください。ブリッジング試験(KRPAB1102-D201試験)は、治験相談の結果を踏まえ、「日本人COPD患者を対象とした4週間反復投与試験(KRPAB1102-D01試験)を国内第 II 相用量試験設定試験及びブリッジング試験として実施し、日本人におけるアクリジニウム臭化物の用量反応性を確認し、臨床推奨用量を検討する」ことを目的としています。したがって、日本人COPD患者での推奨用量は、このブリッジング試験の結果から判断すべきであり、主要エンドポイントである投与4週後のFEV 1 トラフ値のベースラインからの変化量のプラセボとの差(報告書43ページの表13)からは、200μg400μgで同等の結果が得られていることから、日本人COPD患者では200μg1日2回が適切だと考えられます。

 その上でブリッジング対象試験である海外第 III 相試験の200μg1日2回投与の有効性について、日本人COPD患者に外挿可能かどうかを考察しているのであれば理解できますが、申請者の主張はそのようになっていませんでした。申請者は、日本人COPD患者における本剤の推奨用法・用量として、400μg1日2回投与を適切であると結論していますが、その理由は、海外第 III 相試験の結果が200μg群よりも400μg群で良好であることに基づいています。

 申請者の主張どおりであるなら、ブリッジング試験の用量反応性と海外第 III 相試験の用量反応性が異なっていることになり、ブリッジングは成立しないと考えますとの御意見です。

 機構は、国内第 II 相試験において、投与4週後のFEV 1 トラフ値のベースラインからの変化量は、本剤200μg群及び400μg群、プラセボ群との対比較において統計学的な有意差が認められ、かつ、プラセボとの差は臨床的に意義があると報告のある0.1Lを上回っていたこと等から、200μg及び400μgのいずれの用量も日本人COPD患者における推奨用量になり得ると考えました。

 また、海外第 III 相試験における投与4週後のFEV 1 トラフ値のベースラインからの変化量も、審査報告書54ページの表27のとおり、本剤200μg群及び400μg群で大きく異なるものではないことから、用量反応性は日本人と外国人で類似していると考え、ブリッジングは成立していると判断いたしました。

 TDIFocalスコア及びSGRQ総スコア等の症状に関連する評価項目については、短期の評価期間では十分に検討することが困難ですが、海外第 III 相試験ではより長期の評価期間により最終的な推奨用量が決定されており、最終評価の結果ではこれらの評価項目も含め、おおむね一貫して400μgの結果が200μgを上回る傾向が認められていることを踏まえると、日本人患者においても推奨用量として400μgを選択することは可能と判断いたしました。以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○吉田部会長 佐藤先生、いかがですか。

○佐藤委員 機構の見解といいますか判断としては、ブリッジング試験はブリッジが成功している、200μg400μgはほぼ同等であるので、海外の成績から見て400μgは適当と判断したということでよろしいですか。そうすると、今、説明いただいた海外での400μg群が良好だったということの次に、「したがって、ブリッジング試験の結果から日本人COPD患者では200μgで海外の400μgと同等の効果が期待できる」と書いてあったら、それで成立しませんか。

○機構 申し訳ございません。もう一度お願いいたします。

○佐藤委員 今、御説明いただいたのは、ブリッジング試験では日本人COPD患者で200μg400μgがほぼ同等の成績であったということですね。それで、海外の試験では、400μgの方が200μgよりも有効性についてやや良好な結果にあったということで、400μgを推奨しているのですが、日本人のブリッジング試験の結果から判断すると、日本人患者では200μgの投与で海外の400μgと同等の有効性・安全性が期待できるというふうに判断は、どうしてできないのですか。

○機構 今回の国内臨床第 II 相試験については4週の投与期間で実施されており、海外臨床試験の投与4週後の結果では国内試験と同様に200μg400μgでほぼ同程度の結果が得られていると考えております。海外臨床試験ではより長期の12週、24週まで評価が行われていまして、より長期に症状の改善等を見た場合には400μgの方が優れていると考えられましたので、海外と同様に日本人でも400μgを選択することは可能と考えております。

○佐藤委員 そうすると、ブリッジング試験での4週のFEV 1 のトラフ値の変化が適切ではなかったことになるのではないですか。

○機構 国内ではCOPD患者の組み入れが難しく、症状の改善効果等も評価可能な12週間の試験を国内単独で実施することは困難な状況がございますので、ブリッジング試験の投与期間を4週間と設定したことはやむを得なかったものと考えています。4週での成績からは、プラセボに対する対比較の結果、100μgの有効性は不十分であり、 200μg400μgは有効であることが示されていると考えています。

○佐藤委員 ただし、これは有効性を検証するための試験ではなくて、あくまでもブリッジングの試験ですね。しかも推奨用量を決定するための試験だと位置付けられていますから、この試験の結果からは日本人は200μg400μgはどちらがいいかは、決められないというか同等の成績だということですね。

○機構 そうです。ですので、ブリッジング試験の結果をもって海外臨床試験成績を外挿して、日本人でも400μgを選択することは可能と判断しました。

○佐藤委員 ですから、海外の400μgの結果が日本人では200μgで達成できるということは、どうして否定できるのですか。

○機構 症状についてはより長期の評価が必要と考えますので、海外におけるより長期の評価を勘案して400μgを選択することは可能と考えました。

○吉田部会長 要するに、4週の部分ではブリッジしているけれども、長期の投与ではブリッジしていない。ブリッジしている部分は4週の部分でしかないので、ということなのですか。つまり、海外の成績の方がより長期間見ているので、一応そちらを信頼しているという判断が働いているという解釈ですか。

○機構 はい。

○佐藤委員 分かりました。その判断から考えると、いろいろ困難はあったかもしれないのですが、ブリッジング試験自体を12週で評価しておく方が、より情報が集まってよかったのではないかと、今から振り返ってもしょうがないですが、そう思いました。それから、もう1点よろしいですか。

○吉田部会長 どうぞ。

○佐藤委員 この薬は1日2回ですね。ですので、既承認の薬は1日1回投与で、しかも、それとほぼ同等の効果であるということなわけですね。そうすると、逆だったら分かるのです。1日2回投与だったものが1回投与で、利便性が増して、ほぼ同等の効果で非劣性ですから承認してほしいというのなら分かるのですが、これは逆に利便性、特に日本人COPD患者の数だと高齢の方が多くなると聞いていますので、1日2回投与だと、コンプライアンスが心配になるのですが、その点についてはどうかということと、もしそうであるならば400μgの1日1回投与でどうして駄目かを、少し御説明していただけますか。

○機構 まず後半の御質問について、400μg1日1回では駄目だったかということですが、海外で当初は1日1回の用法での開発が進められていました。しかし、1日1回の用法で実施された臨床試験では、類薬に対してトラフFEV 1 が少し低い結果が得られたため、類薬と同程度の効果を得るために、1日2回投与の用法が選択された経緯があります。臨床試験における1日2回投与でのコンプライアンス等を見ますと悪い結果ではありませんので、きちんと使用方法の指導等をしていただければ高齢の方等でもコンプライアンスに大きな懸念はないと考えています。

○佐藤委員 分かりました。結構です。

○吉田部会長 ほかに御意見はありますか。よろしいですか。特にないようですので、議決に入りたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいですか。御異議はないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 議題3に移ります。新井委員、関水委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議題3の審議の間、別室で御待機いただくことといたします。

( 新井委員、関水委員退室)

○吉田部会長 議題3につきまして、機構からの概要説明をお願いします。

○機構 議題3、資料3、アシテアダニ舌下錠100単位(IR)他の製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。

 本剤はヤケヒョウヒダニ及びコナヒョウヒダニからそれぞれ抽出・調製した各ダニエキスを含有する舌下錠であり、ダニを原因アレルゲンとするアレルギー性鼻炎に対する舌下投与による減感作療法(以下SLIT)に用いる製剤として開発されたものです。海外では、本剤と同一の製剤は承認されていませんが、同一の有効成分を含む舌下液が欧州など21か国で承認されています。なお、本邦ではSLIT用製剤として、スギ花粉を含有する減感作療法用の舌下液が、昨年承認されています。本申請の専門委員としては、資料9に記載されている8名の委員を指名いたしました。主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡単に説明いたします。

 審査報告書12ページ、(2)国内第 II / III 相試験、D1731試験の項を御覧ください。ダニ抗原による通年性アレルギー性鼻炎患者を対象に、本剤300IR、500IRを12ページの表5のとおり、舌下投与したときの有効性及び安全性を検討するため、プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施されております。なお、IRはアレルゲンの活性単位です。

 有効性の主要評価項目は、くしゃみ発作、鼻汁、鼻閉及び鼻内掻痒感を指標とする総合鼻症状スコアをレスキュー薬の使用の有無により調整した調整鼻症状スコアと設定されました。13ページの表6に示しますように、投与4452週の平均調整鼻症状スコアについて、本剤300IR群、500IR群とプラセボ群との各対比較において、統計学的に有意な差が認められており、当該結果等に基づき、アレルギー性鼻炎の症状の改善に係る本剤の有効性は示されていると判断いたしました。本剤300IR及び500IRの有効性はほぼ同様であり、安全性については23ページの表17に示しますように、本剤群ではダニ抗原によるアレルギー関連反応と考えられる有害事象の発現率が高い傾向が認められ、特に国内試験において、中止に至った有害事象の発現率が本剤300IRよりも500IR群で高い傾向が認められたことなどから、本剤の推奨用量は300IRが適当と判断いたしました。なお、減感作療法の最終的な治療目標は、アレルギー症状の寛解であることから、34ページの表23に記載の製造販売後調査において、長期投与時の有効性及び安全性について更に検討するよう、申請者に指示しております。

 次に、製造販売後の安全対策について、(2)安全性についての項の24ページ以降を御覧ください。本剤の臨床試験において、アナフィラキシーを発現した症例は認められていませんが、アレルゲンを直接投与するという本剤を用いた治療の特性を考慮すると、製造販売後にアナフィラキシーが発現する可能性が考えられます。また、舌下投与の簡便性などから、減感作療法の治療経験のない医師により処方されることが想定されること、さらに、本剤は主に患者の自宅などで投与されることとなるため、医療機関外でアナフィラキシーが発現する可能性があることなどから、本剤の製造販売に当たっては万全の安全対策を講じる必要があると考えております。

 したがって、34ページに記載しておりますように、承認条件として、「舌下投与による減感作療法に関する十分な知識・経験を持つ医師によってのみ処方・使用されるとともに、本剤のリスクなどについて、十分に管理・説明できる医師・医療機関の下でのみ用いられ、薬局においては調剤前に当該医師・医療機関を確認した上で調剤がなされるよう、製造販売に当たって必要な措置を講じること」を付す予定です。

 具体的な安全対策としては、24ページから25ページに記載されているような対応が予定されており、特にアナフィラキシーの発現リスク・対処法などについて、患者及びその家族が十分に理解していることが、本剤を使用する上で非常に重要となることから、使用医師のみならず、患者及び家族への啓蒙活動が徹底されるよう、申請者に指示しております。

 以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本第二部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、また原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しています。よろしく御審議のほどお願いいたします。

○吉田部会長 委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。

○川上委員 製剤の包装形態についてお伺いしたいのですが、100IRを3錠で1箱のような製品の方が、現場での製品管理という点では簡便な気がするのですが、いかがでしょうか。

○審査第四部長 本薬は、投与初期は100200300と漸増し、その後は300を投与する用法・用量が設定されていますので、300IRの錠剤を必要とされる患者さんもいらっしゃると思います。また、薬局で1日分ごとに分包してお渡しするという対応も考えられますので、300の錠剤が存在することによって特に大きな不都合が生じるとは考えておりません。

○吉田部会長 ほかにございますでしょうか。前回の審議の中で、SCITの製剤が出てきたと思うのだけれども、あのときは施設数が150程度なので管理はしやすいだろうという話でしたが、SLITになると、施設数はどれぐらい増えるのだろうか。全国で何万とはいかないでしょうが、何千施設といったところですか。

○機構 昨年承認された類薬のシダトレンの情報になるのですが、昨年10月から販売を開始しており、昨年末時点での登録数は、医師数として8,000名程度と聞いております。

○吉田部会長 使いやすいということで、治療患者数は増えるだろうと。減感作療法ですから、変なことが起こらないようにリスク管理を徹底していただきたいと思います。ほかにございますか。

○菊池委員 添付文書にも、「最初の1回目は医療機関で行いなさい」ということが書かれていますが、これはもっと強調した方がいいような気がします。12歳以上からでしょうけれども、舌下錠の使い方、溶けるまでのこととか、飲み込まないようにするというようなことは、ほかの資料でも指導するような形になるのだと思いますが、薬の有効な投与の仕方、家にいるときにしっかりと舌下で溶かしたがゆえにアナフィラキシーになってもまずいかと思っていることが1点あります。

 あと、作り方は余り見ていないのですが、ロット差が出てくる可能性はありますか。初回のときは全てが同じ製剤でいくかもしれませんが、売れていったときに、作り方で強烈なロットが出て、そこで効きすぎるとか、そういうような懸念はないでしょうか。

○審査第四部長 抗原の含量については、規格及び試験方法で管理されていますので、その範囲の中に入っているものしか出荷できないことになっております。

○機構 前半で御指摘いただいた本剤の初回投与時の留意事項などについては、添付文書、資材において注意喚起されることとなっておりますが、申請者に改めて指示したいと思います。

○吉田部会長 ほかに御意見等はございますでしょうか。山本先生が今日は御欠席ですが、コメントは特にないということでしたね。ありがとうございました。

 御意見がないようですので、議決に入ります。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 別室で待機されております新井委員、関水委員をお呼びください。

( 新井委員、関水委員入室)

○吉田部会長 議題4に移ります。田村委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議題4の審議の間、別室で御待機いただくことといたします。

( 田村委員退室)

○吉田部会長 議題4について、機構からの概要説明をお願いします。

○機構 議題4、資料4、医薬品レンビマカプセル4mg他の製造販売承認の可否等について、機構より説明させていただきます。

 本剤の有効成分であるレンバチニブメシル酸塩は複数のキナーゼを阻害する化合物であり、腫瘍細胞の増殖等に関わる各種キナーゼのリン酸化を阻害することにより、腫瘍増殖を抑制すると考えられています。今般、本剤は甲状腺癌に係る効能・効果で申請されました。なお、本剤は平成24年7月の当医薬品第二部会での審議の結果、希少疾病用医薬品に指定されております。平成2612月時点において、本剤が承認されている国又は地域はありません。本品目の専門協議に参加いただいた専門委員は資料9にございますとおり、9名の委員です。以下、臨床試験成績を中心に、本剤の承認審査の概要を説明いたします。

 今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国際共同第 III 相試験の成績が提出されました。有効性について、審査報告書53ページの上から1行目以降及び91ページの上から13行目以降を御覧ください。甲状腺分化癌患者を対象とした国際共同第 III 相試験(以下303試験)の結果、主要評価項目とされた中央画像判定機関による無増悪生存期間について、対照群と設定されたプラセボ群に対する本剤群の優越性が示されたことから、甲状腺分化癌患者に対する本剤の有効性は示されたと判断いたしました。

 安全性について、審査報告書56ページの上から5行目以降及び91ページの下から19行目以降を御覧ください。高血圧/高血圧クリーゼ、感染症、腎障害、出血関連事象、手掌・足底発赤知覚不全症候群、血液毒性、肝障害、不整脈、心機能障害、低カルシウム血症、血栓塞栓症、消化管穿孔及び消化管瘻、可逆性後白質脳症症候群、創傷治癒遅延並びに血中甲状腺刺激ホルモン増加が、特に注意すべき有害事象であると判断しました。

 これらの有害事象については、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師によって、本剤の安全性プロファイルについて十分理解した上で、有害事象の観察や管理、本剤の投与中止等の適切な対応がなされるのであれば忍容可能であると判断しました。ただし、日本人における検討症例は限られており、審査報告書72ページの下から3行目以降及び92ページの上から17行目以降に示すように、本剤を使用した全ての症例を対象として、製造販売後調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。

 また、審査報告書68ページの上から6行目以降及び91ページの下から12行目以降に示すように、甲状腺髄様癌及び甲状腺未分化癌に対しては、探索的な臨床試験成績しか得られていないものの、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師が、これまでに得られている本剤の有効性に関する情報等を考慮して患者を選択することが可能となるよう、臨床試験において組入対象とされた組織型[01]等について、的確に情報提供することを前提として、甲状腺髄様癌及び甲状腺未分化癌を効能・効果に含めることは可能であると判断いたしました。

 以上のような審査の結果、機構は、根治切除不能な甲状腺癌を効能・効果として本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は10年とすることが適当であり、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しています。御審議のほど、よろしくお願いします。

 なお、事前に佐藤委員から御意見を頂きましたので、機構から回答させていただきます。資料11を御覧ください。国際共同第 III 相試験であるE7080-G000-303試験では、放射性ヨード製剤による治療(以下RAI)、RAI抵抗性の局所進行又は遠隔転移を有する甲状腺分化癌患者のみが対象となっていますが、機構は、審査報告書69ページの下から3段落目以降において、「RAI歴のない甲状腺分化癌患者に対する本薬の有効性及び安全性は明らかでないと考える。ただし、本薬はがん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師により使用される薬剤であること及びRAIスキャン検査によってヨウ素の取込みが認められず、RAIの適応とならないDTC患者が認められることを考慮すると、RAI歴のないDTC患者に対する本薬の有効性及び安全性は確立しない旨を、効能・効果に関連する使用上の注意の項等に記載することを前提として、RAI歴の有無を効能・効果に記載する必要性は乏しいと考える」と判断しています。

 しかし、添付文書の効能・効果に関連する使用上の注意』の項に、放射性ヨウ素による治療歴のない分化型甲状腺癌患者に対する本剤の有効性及び安全性は確立していないとあると、RAIの適応とならない甲状腺分化癌患者の治療選択肢となるという主旨が明確に伝わらないのではないかと思います。慎重投与の項に、放射性ヨウ素による治療の適応とならない分化型甲状腺癌患者を加えるなど、何らかの形で主旨が伝わるようにでできないでしょうか」。このようなものでした。以上の御意見に対する機構の見解を説明させていただきます。

 審査報告書の記載が分かりづらく申し訳ございませんが、審査報告書48ページの303試験に関する記載を御覧ください。当該試験に関する記載の冒頭になりますが、対象患者の説明として、303試験の大部分を占める主要な患者集団を意図して、「RAI抵抗性」と記載させていただきましたが、正確には*の説明部分の1.に記載したように、RAIの適応とならない患者も303試験に組み入れることが可能とされており、実際に8例の患者が組み入れられました。

303試験が以上のような試験であったことを考慮し、本剤の投与対象については、RAIが行える患者に対しては本剤よりもRAIが優先される必要があると考え、「効能・効果に関連する使用上の注意」の項において、RAI歴のない分化型甲状腺癌患者に対する本剤の有効性及び安全性は確立していない旨を注意喚起する必要があると判断しました。

 一方で、RAIの適応とならない患者も303試験の対象に含まれており、機構としましても、佐藤委員から御指摘のように、RAIの適応とならない甲状腺分化癌患者も本剤の投与対象であることを情報提供する必要があると考え、添付文書の「臨床成績」の項に、303試験にはRAIの適応とならない患者等も含まれていたことを明記した上で、「効能・効果に関連する使用上の注意」の項の二つ目において、「臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと、と注意喚起することとしていました。

 しかしながら、現在の添付文書ではRAIの適応とならない甲状腺分化癌患者に対して、本剤を使用してよいか明確でない旨の佐藤委員の御指摘も踏まえ、資材も用いて、RAIの適応とならない甲状腺分化癌患者も本剤の投与対象である旨を医療現場に分かりやすく情報提供するよう、申請者に指示したいと考えます。

 また、資料にはありませんが、先ほど読み上げた審査報告書69ページの下から12行目の記載について、「確立しない」と記載されているが、「確立していない」が正しい記載ではないかとの御指摘を頂きました。誤記ですので、修正させていただきます。御指摘いただき、ありがとうございます。説明は以上になります。

○吉田部会長 佐藤先生、いかがですか。

○佐藤委員 ありがとうございました。添付文書に書くべきことなのかどうか分からなかったので、資材で十分に周知していただければと思います。

○機構 ありがとうございます。申請者には適切に指示させていただきます。

○吉田部会長 そういうこともあって、「根治切除不能な甲状腺癌」として、「RAI」の文字は削除されているという理解でもあると思います。結構だと思います。よろしくお願いします。ほかにございますか。

○関水委員 54ページと55ページの図表の違いなのですが、今の説明では、日本人患者は数が少ないから少し結果が違っているということであったと理解しますが、それでよろしいですか。

○機構 はい。

○関水委員 これは縦軸が片方はOverall Survivalで、片方がProgression Free Survivalとなっていますが、プラセボについて見てみれば、左と右が違うことは明らかです。このプラセボについての結果が国際試験と日本の試験でひどく違っているというのは、どう説明するのですか。

○機構 最初の我々の説明に関してですが、日本人は製造販売後調査が必要だという説明をさせていただいて、ここの有効性の説明をしたわけではありません。説明させていただきましたのは、甲状腺未分化癌と髄様癌の症例数が探索的な試験しかないというところで、有効性が分化型ほど明確ではないと。

○関水委員 最初の質問は撤回させてください、それは分かりました。

 それでは改めて伺います。303と日本人患者の有効性に関して、図からプラセボのパターンが全く違うということは一目で分かるわけですが、なぜこのようなことが起きたのですか。54ページと55ページは表示されている内容が違うのですか、55ページのProgression Free Survivalというのは、左の303試験とは違うのですか。

○機構 55ページの日本人患者の表はPFSのカプランマイヤー曲線で、これと直接比較するものとしては、49ページを御覧ください。

○関水委員 分かりました。そうすると、49ページのグラフでは、303試験と日本人の有効性については、プラセボについてはほとんど同じようなパターンを取っていると考えていいのですね。

○機構 はい。

○関水委員 ありがとうございました。

○吉田部会長 ほかにございますか。

○佐藤委員 セカンダリーなのですが、全生存期間が統計的な有意差は付いていませんが、この薬の方が有効な結果になっていますね。プラセボの方は、増悪した後、ほとんどの方がこの薬にスイッチされているのですが、これだけ差が付いているというか、それからCTDの方で申請者がスイッチしていることを考慮した解析もしているのですが、結果は余り変わっていないですね、インテンション・トゥ・トリートの結果と。そうすると、この薬は増悪してから使っても、ほとんど生存を延ばさないという結果になると思うのですが、そういったことというのは情報提供できるのですか。要するに、なるべく早く抵抗性があるということが分かったら、使った方がいいということになりますね。

○機構 御指摘を踏まえ、そちらに関しては資材等を含めて、現場に情報提供できるかということを申請者と検討させていただきたいと思います。御指摘いただき、ありがとうございます。

○吉田部会長 基本的に54ページのOSのグラフを見ていただいても分かるように、甲状腺癌の特に分化型腺癌はきわめて予後がいい。まだ、50%生存期間にも達していない状況です。そういう意味でいうと、いろいろな使い方、先生がおっしゃるように様子を見てからでも遅くない、という使い方は当然あり得ますが、その辺は臨床側にお任せしたいなと思います。ほかにございますか。

 私が懸念しているのは二つです。本薬はマルチターゲットですから、いろいろなところに作用点があり、多彩な有害事象が出る可能性があります。しかも、これは世界初、ファースト・アプルーバルということになると、臨床試験成績から我々が予想しなかったような有害事象が出てきてもおかしくないと思います。これが、第一点です。従って、市販後のリスクマネジメントがきわめて重要ということになります。ところが、エーザイさんは余り抗がん剤の実績がないので若干心配しております。ということで、申請者にかなり厳格に市販後のリスクマネジメントをやってほしいということを伝えていただきたいと思います。これが第二点です。ほかにありますか。よろしいでしょうか。

 それでは議決に入りたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 別室で御待機されている田村委員をお呼びください。

( 田村委員入室)

○吉田部会長 報告事項に移ります。報告事項について、事務局より説明をお願いします。

○事務局 報告事項について御説明させていただきます。資料5を御覧ください。議題1、医薬品ペントシリン注射用1g他3規格の製造販売承認事項の一部変更承認について、御報告いたします。

 本剤はピペラシリンナトリウムを有効成分とする、注射用ペニシリン系抗菌薬です。第4回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、本剤の1日最大投与量を16gまで増量可能とする用法・用量は医療上の必要性は高いと評価され、厚生労働省より本剤の承認取得者である富山化学工業株式会社に対し、開発要請がなされたものです。

 今般、細菌性感染症患者を対象とした国内臨床試験が実施され、本剤高用量での有効性及び安全性が確認されたことから、製造販売承認事項一部変更承認申請がなされたものです。機構における審査の結果、資料5に示した用法・用量にて承認して差し支えないと判断いたしております。

 続いて、資料6を御覧ください。議題2、医療用医薬品の再審査結果について、御報告いたします。一般的名称は、アラバ錠10mg他2規格です。販売名はレフルノミドで、資料は医薬品再審査確認等結果通知書となっております。

 こちらの品目については、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査、製造販売後臨床試験等に基づき再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しない。すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について、変更の必要はないカテゴリー1と判定されたものです。

 続いて、報告事項の議題3、医療用医薬品の承認条件について、事務局より御説明いたします。資料7-1、塩酸プロカルバジンカプセル50mg「中外」、オンコビン注射用1mgに係る「承認条件に係る報告書」の1ページ目を御覧ください。

 プロカルバジン塩酸塩を有効成分とする医薬品の塩酸プロカルバジンカプセル50mg「中外」及びビンクリスチン硫酸塩を有効成分とする医薬品オンコビン注射用1mgは、平成17年2月に悪性星細胞腫、乏突起膠腫成分を有する神経膠腫に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法の効能・効果の追加が承認され、プロカルバジン塩酸塩、ニムスチン塩酸塩、ビンクリスチン硫酸塩の3剤併用療法(以下、PAV療法)の製造販売後調査に関する承認条件が付されています。今般、承認取得者である中外製薬株式会社及び日本化薬株式会社から、調査に係る報告書が提出され、機構において審査されましたので御報告いたします。

 2ページの1)調査結果の概要を御覧ください。報告された調査はPAV療法を施行した症例を対象に、目標症例数は例、観察期間は最長クールとされており、登録された例のうち、調査票が回収された例の調査結果がまとめられております。

 安全性については、3ページの2.安全性を御覧ください。安全性解析対象の253例のうち、副作用が69.6%、重篤な副作用が%に認められました。また、4ページの表に示したように、審査過程にて主な副作用とされた□□□□について、調査結果及び国内報告での発現状況がまとめられています。承認取得者は、本調査結果において臨床的に大きな問題となる事象は新たに認められなかったと説明しています。また、有効性については4ページの3.有効性を御覧ください。調査担当医師による総合判定において、例中例の%が有効と判定されております。機構において、本調査で収集された安全性及び有効性に関する情報を確認した結果、現段階で更なる製造販売後調査等の実施は必要ないと判断されています。

 以上を踏まえ、製造販売後調査が適切に実施され、患者背景、本剤の安全性及び有効性に係る情報が収集されていることから、PAV療法に関する承認条件については対応されたものと判断しています。

 続いて、アビガン錠200mgの承認条件について御説明させていただきます。資料7-2を御覧ください。承認条件に係る審査報告書の表紙をめくっていただき、1ページを御覧ください。ファビピラビルを有効成分とする医薬品アビガン錠200mgは、平成26年3月に新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症(ただし他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分なものに限る)の効能・効果で承認され、その際、承認条件が五つ付与されています。

 その中で承認条件の1については、2ページの2ポツの上の5行目の辺りからあるとおり、承認用法・用量を投与した際の日本人における薬物動態、有効性及び安全性データが得られていなかったことから、承認に当たって、薬物動態試験の実施に関する承認条件を付与されております。今般、承認取得者である富山化学工業株式会社から、承認条件1の薬物動態試験に係る試験成績及び解析結果の報告書が提出され、機構において審査されましたので、御報告いたします。

 2ポツにあるとおり、提出された薬物動態試験(JP119試験)については、日本人の健康成人男性を対象に、製造販売後臨床試験として実施されております。3ページの最初の所にあるとおり、安全性については、有害事象は本剤群については8例中8例に認められており、白血球数増加1例以外は、本剤との因果関係が否定されませんでしたが、いずれも軽度の事象で、転帰は軽快又は消失となっております。また、死亡、重篤な有害事象及び中止に至った有害事象は認められておりません。

 今般の試験で得られた承認用法・用量を投与時の日本人の健康成人におけるファビピラビルの薬物動態と、米国で行われた第 I 相試験、第 II 相試験(US213試験)で得られた米国人患者におけるファビピラビルの薬物動態の異同について、申請者は4ページの最初の段落にあるとおり、今回の試験で得られた血漿中濃度からMBI-PKモデルを用いて血漿中濃度を推定したところ、推定値は実測値とほぼ一致し、その推移は米国の健康成人の血漿中薬物濃度から推定された米国人での1,800mg/800mg、1日2回投与時の血漿中濃度推移とほぼ同様であったと説明しております。機構は、この説明は受入可能であり、また新たな安全性の問題は認められていないことを確認したと報告しております。

 なお、機構は、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

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 以上を踏まえ、総合評価としては4ページの下段にあるとおり、承認条件である薬物動態試験が国内で実施され、試験成績及び解析結果が提出されたことから、承認条件1の内容については満たされたものと判断しております。報告事項は以上です。

○吉田部会長 製造販売承認事項の一部変更承認が1件、カテゴリー1の再審査結果が1件、承認条件の解除が2件ということです。委員の先生方からの御質問がありましたら、お願いいたします。

○奥田委員 質問というより要望に近い話なのかもしれませんが、ペントシリンの用法・用量の所を見ますと、書き方なのですが、「1日量を何回に分けて」という書き方と、「1回量で何回まで」とか、そういう書き方が混在していて、現場にとっては非常に把握しづらいというか、負担になる書き方、リスクの多い書き方をされているように思います。

 今回の審査内容に関していうと、承認の所に「300mg/kgを1日3回まで」と書いてありますが、これは試験の内容から見ると、100mg/kgを1日3回で試験されているので、どちらかというと1回量に基づいた記載で統一される方が現場にとってはやりやすく、安全性も高まると思いますが、その辺りについてPMDAの方針と言いますか、お考えと言いますか、その辺りを整理していただけないかと思っています。

○審査第四部長 御指摘ありがとうございます。投与量を1日量で記載するか、1回量で記載するかという点ですが、既承認の成人用法・用量の部分では、1日量と投与回数がともに幅記載になっているため、1回量での記載にすべて変更することが非常に難しい内容になっています。このため、1日量と1回量の記載が混在しています。

○吉田部会長 ですから、これしかないということですか。

○審査第四部長 成人の既承認用法・用量の記載を、1日量から1回量に全て変更することが難しい状況になっていましたが、今回の申請は1日量を成人の場合には16gまで増量する内容であったため、過量投与の懸念等から1回の最高投与量を明記することとしました。

○吉田部会長 いかがですか。

○奥田委員 この事例についての状況は御説明いただいて分かる部分もあるのですが、今後は記載に関しては整合性をもたすような形でやっていくべきことではないかと思います。その辺りについて、何か御意見があればお聞かせ願います。

○審査第四部長 用法・用量の記載については、1回量と投与回数が記載されている品目と、1日量と投与回数が記載されている品目が混在している状況ですが、1回量と投与回数を明記できるものについては、1回量を記載していこうという議論もありました。

○吉田部会長 できるだけ1回量で書けるものは書こうということですね。前にこれについて議論しましたね。ほかにございますか。よろしいですか。

 ないようでございますので、報告事項につきましては御確認いただいたものといたします。本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告はありますでしょうか。

○事務局 次回の部会は2月26()の午前10時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。

○吉田部会長 ほかにございますか。委員の先生方、何かコメント等がございましたらお願いいたします。

○奥田委員 去年の10月からリスクマネジメントプランが実動を始めていると思うのですが、今回もいろいろと議論の中に入ってきていますが、現場へのリスクマネジメントプランの提供の標準的なプロセスというのが、余りないかと感じていて、添付文書に具体的に書かれていれば問題は解決するのかもしれませんが、そういう標準的に提供するようなルートについては、どうお考えなのでしょうか。

○審査管理課長 今は現場に提供する資材の基本は添付文書で、病院の場合ですとインタビューフォームというものになっております。そういったものが、どういう全体計画の中で行われているのかというのが分かるようにということで、RMPの公表する部分を作り、PMDAのホームページにRMPのページを作って、そこに一括掲載する形を取らせていただいております。

 これの掲載は速やかにやっておりますので、まずはメディナビに都度都度「RMPを載せました」という配信もしていますので、載ったらすぐに御覧いただけるようにはなっております。その公表されているRMPを御覧になって、内容的にこういうことが分からないということがありましたら、各企業にお問合せをいただくという格好を想定してはいるのですが、現場に紙をこれ以上たくさん撒いて混乱させるのもどうかというところがあり、できるだけコンパクトな格好でウェブに載せて、それをメディナビで即時配信する形で、お知らせをしているというのが現状です。

 ただ、メディナビの登録がまだとか、メディナビの登録をしているか分からないという指摘があるのであれば、考えておきたいとは思いますが、即時性という点でいうとメディナビ以上のスピードのものはないものですから、できるだけメディナビの登録を増やすということをPMDAも一生懸命やっているという状況です。

 そのほかにも、こういう格好で提供すると、現場でももっと理解が進むという御提案がございましたら、お教えいただければと思っています。

○奥田委員 御説明はよく分かりますし、ホームページで見る習慣のある人は、それで十分だと思うのですが、基本が添付文書になっているというのは否めないと思いますので、そこに入れていくという予定はないのでしょうか。記載事項の一つとしてですね。

○審査管理課長 例えば添付文書の中に、RMPがこういう所に載っているから全体計画はこちらを御覧くださいという形でつなぐというような御提案でしょうか。添付文書の中にRMPを入れるとものすごくボリュームが増えてしまうので、それはさすがによくないかとは思うのですが。

○吉田部会長 奥田先生と同じ思いかどうか分かりませんが、余り知られていないのは事実ですね。普通の市販後の調査だという格好でしか現場では認識されていないようですので、確かに何らかの方方で理解していただくことは必要かと思います。よろしくお願いします。ほかにございますか。

○菊池委員 資料1、資料2の所に、二つ1-22-2があったのは、何か特段の意味があるかと見てみたのですが、これは何でなのですか、一緒に送られてきたのに分かれていたのは、何か意味があるのでしょうか。

○審査第四部長 資料番号1-22-2は、マスターファイルの登録業者から提出された資料とそれに対する審査結果を取りまとめたものとなります。マスターファイルには申請者に開示されていない内容も含まれていますので、マスターファイルに関する資料は、敢えて申請者のものとは区別しているという状況です。

○菊池委員 分かりました。

○吉田部会長 ほかによろしいでしょうか。それでは、本日はこれにて終了させていただきます。御協力ありがとうございました。

 

 


(了)

備 考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 井本(内線2746)

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