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2014年11月27日 第4回ストレスチェックと面接指導の実施方法等に関する検討会 議事録

労働基準局安全衛生部労働衛生課産業保健支援室

○日時

平成26年11月27日(木)10:30~12:30


○場所

厚生労働省19階 共用第8会議室


○出席者

検討会参集者(50音順、敬称略)

相澤 好治 岩崎 明夫 川上 憲人
下光 輝一 千頭 洋一 中村 純
羽鳥 裕 廣 尚典 渡辺 洋一郎

厚生労働省

土屋 喜久 (安全衛生部長) 泉 陽子 (労働衛生課長)
井上 仁 (産業保健支援室長) 中村 宇一 (産業保健支援室長補佐)
寺島 友子 (中央労働衛生専門官)

○議題

(1)ストレスチェックと面接指導の実施方法等
(2)その他

○議事

○産業保健支援室長補佐 本日はお忙しい中お集まりいただき、ありがとうございました。岩崎委員の到着が遅れておりますが、定刻になりましたので、ただいまより、第 4 回ストレスチェックと面接指導の実施方法等に関する検討会を開催いたします。カメラ撮影はここまででお願いします。本日は、中板委員と南委員が所用のため欠席となっております。それでは、相澤先生、よろしくお願いいたします。

○相澤座長 皆さん、おはようございます。昨日は大変嵐のような天気でしたが、今日は一転して晴れまして、すばらしい天気になりました。またすばらしい報告書ができますように、御議論お願い申し上げます。それでは、本日の議題に入る前に、事務局から本日の資料の確認をお願いいたします。

○産業保健支援室長補佐 本日の資料は 1 部のみになっておりまして「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度に関する検討会報告書 ( ) 」ということでお配りしております。よろしくお願いします。

○相澤座長 それでは、本日お配りいただいている報告 ( ) の構成と、本日の議論の進め方について説明をお願いします。

○産業保健支援室長補佐 本日の議事の進め方なのですが、これまでの議論を踏まえて報告書 ( ) という形でまとめさせていただきましたので、改めて全体の内容を確認いただきながら、前回からの修正点を中心に御議論いただければと考えております。それから、本日の報告書 ( ) ですが、もう 1 つの検討会で検討を続けてきた中身も全て書かせていただいておりますので、そちらも併せて御紹介したいと考えております。

 私から、簡単に報告書 ( ) の構成について御説明します。報告書 ( ) 1 ページ目に、はじめにということで、今回の検討の基となった労働安全衛生法の規定の概要を書いております。それから同じページ、 2 の検討方法で、これまで検討会を 2 つ開いてきたということと、次の 2 ページ目に、検討会の開催状況を記載しております。

 次の 3 ページ目の 3 の定義が、今日、皆様に初めて見ていただく部分です。これまで議論してきた中で、いろいろ言葉の定義が曖昧ではないかという御議論もありましたので、ここで改めて、この検討会の報告書の中で使っている言葉の定義をここで明確にさせていただきました。ストレスチェックということから議論になってきた実施者、共同実施者の定義。実施の事務に従事する者の定義。それから個人の結果としてのプロフィールというのはどういうものか。その評価結果、集団的な分析の定義はどうなのか。それから何度も使ってきた外部機関は何を指すかや、事業者、産業保健スタッフの定義。ここら辺を明確にさせていただきましたので、御確認いただければと考えております。

4 ページ以降が報告書の中身になりまして、検討結果ということでまとめております。若干見にくくて恐縮なのですが、検討会1で議論してきたものは白いままにしていまして、もう 1 つの検討会で議論してきた議題の部分を黒に白抜きで、どちらで議論してきた議題なのかを分かりやすくまとめております。それから、大きく括弧でくくってある部分は、検討会1と2の両方で議論してきた議題になっております。それから、所々に太字の下線を引いておりますが、この部分は前回までの御議論を踏まえて今回内容を修正した部分になりますので、本日はそこら辺を中心に御議論いただければと考えております。以上です。

○相澤座長 それでは、ただいまの説明について、進め方等の質問あるいは御意見がありましたらお願いいたします。

○渡辺委員 この文章自体の理解の仕方について教えていただきたいのですが、この文章の「望ましい」という書き方の所と、「適当」という書き方の所がありますが、これの意味合いを教えていただければと思います。

○産業保健支援室長補佐 全体的に先生の御指摘のとおり、「適当」という所と「望ましい」という所を意図的に書き分けております。今回の法律に基づいて事業者なりが行うべきという内容について「適当」という書き方をしておりまして、そういう義務的なものではなくて、国として推奨したいという中身について「望ましい」という書き方をしております。

○渡辺委員 「適当」というほうが、こうすべきであるという意味が強いということですね。

○産業保健支援室長補佐 はい。

○渡辺委員 ありがとうございます。

○相澤座長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。続いて、報告 ( ) の中身について議論をお願いします。 4 の検討結果の 1 5 の章ごとに議論をしたいと思います。それでは、事務局から報告 ( )4 (1) について説明をお願いいたします。

○産業保健支援室長 それでは、私から報告書 ( ) 4 ページ以降の検討結果について御説明します。まず 4 の検討結果の柱書きの所のなお書きですが、一応この検討結果については、産業医や衛生委員会といったものがあるという前提で書いておりますので、 50 人以上の事業場ということで書いております。ただ、 50 人未満の事業場でもストレスチェックは努力義務になっておりますので、こういった事業場についても念頭に置いた形で記載すべきということで書いております。

 まず (1) ストレスチェックの実施方法及び情報管理等についてです。実施に当たって行うべき事項ということで、この辺りについては前回までと同様の書き方になっております。 3 つ目の○の所の2に、※印で「共同実施により」ということが書いてあります。この辺りは、実施者が複数いる場合に、実施責任者を決めるべきではないかという御意見がありましたので、その意見を踏まえて、実施者が複数いる場合には、その中から実施責任者 ( 産業医とすることが望ましい ) を選定して、実施責任者は誰かということを明示することが望ましいという書き方で記載させていただきました。

5 ページ目です。 1 つ目の○については、これまでどおりです。 2 つ目の○が、もう 1 つの検討会で整理されたものです。情報の取扱いについての苦情処理を相談窓口が適切に対応できるように、必要に応じて窓口のスタッフが企業内の産業保健スタッフと連携を図ることができる体制を整備しておくことが望ましいということで整理されています。

 続いてイの個人に対するストレスチェックの実施方法等です。この辺りもこれまでと同様の書き方ですが、実施方法の 6 つ目に下線が引いてあります、「産業医又は事業場において産業保健活動に従事している医師が」というふうに追加しております。これはいろいろな事業場から御意見を聞いたところ、産業医として選任されていないが、例えば精神科の先生がいらっしゃるといった事業場がありまして、そういった所は産業医ではなくて、そういった方がやるほうがいい場合もあるということも伺いました。そういった御意見も踏まえて、事業場において産業保健活動に従事している医師がストレスチェックの実施者になることが望ましいということで追加させていただきました。

6 ページ目です。上の黒い部分が、もう 1 つの検討会で整理されたところですが、事業者は実施者となれないことが適当だということになっております。人事上の不利益取扱いが懸念されますので、事業者はストレスチェックの実施者になれないということは適当と。このなれない事業者とは何だというところですが、「人事権を有する者」はストレスチェックの実施者とはなれない。人事権を有する者とは、「ストレスチェックの受検者となり得る労働者について、解雇、昇進又は異動等に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者」といった整理が適当とされております。ストレスチェックの実施の事務については、人事担当の部署の従業員が携わることも想定されますが、そういった方についても、労働安全衛生法の第 104 条の規定で守秘義務が課せられておりますので、実施の事務に携わることで知り得た労働者の秘密について、他者に漏らしてはならないということになっています。ですから、例えば人事部の人でしたら、部長などにももちろん漏らしてはならないという整理ができるのではないかということで記載されています。実施者の役割は、これまでと同様の記載になっております。

7 ページ目の ICT を活用した実施方法についても、これまで整理していただいたとおりの記載となっております。続いて ( ) のストレスチェックの項目とその評価基準等です。ストレスチェックの項目については、これまでどおりの整理になっております。 8 ページ目です。この辺りもこれまでの整理と同じ書き方です。下の括弧書きの所の、ストレスチェックによって高ストレス者を選定する方法としてということですが、下線部分のなお書きの所に少し修正を加えております。実施者以外の方が面談をする場合に何らかの制限を設けるべきであろうという意見がもう 1 つの検討会でありまして、「ストレスチェックの実施者以外が面談を行う場合は、職場のメンタルヘルスに関する一定の知見を有する者であって、実施者が面談を行う能力があると認めた者に限るものとして、面談は実施者の指示の下、実施しなければならないこととする」という書き方に修正しております。続いてストレスチェックに含めることが不適当な項目です。この辺りも、これまでの整理と同じです。 (iv) ストレスチェックと一般健康診断の自他覚症状の有無の検査との関係ですが、この辺りも、これまでの整理と同様の書き方になっております。

 続いて ( ) のストレスチェックの受検の有無の把握です。この辺りは、もう 1 つの検討会の整理ですが、事業者で個々の労働者の受検の有無の把握や受検の勧奨ができるかどうかというところを議論しまして、受検しない労働者に対する不利益取扱いが行われないことを前提に、こういったことは可能とすることがいいのではないかという整理になっております。ですから、労働者の誰それが受けた、誰それが受けないというリストを事業者に提供することは可能と。それから、事業者によって受検を勧奨することは可能という整理になっております。この辺りは、事業者の履行状況を自ら確認できるようにということ、それからなるべく労働者に受検してもらって受検率の向上に資するということで、そういったことが可能だという整理をしております。

10 ページです。 ( ) 個人のストレスチェックの結果の通知については、前回までにこちらで整理していただいた内容となっております。それから事業者への提供方法です。これについては、もう 1 つの検討会の整理ですが、事業者への提供に当たっての労働者の同意の取得方法ということです。ストレスチェックの結果を実施者から事業者へ提供する際の同意の取り方ですが、どういった内容が事業者に行くかということを労働者自らが具体的に承知していることが必要だろうということで、そこにあります 3 つの方法でその都度行うことが適当だろうという整理になっています。 1 つ目として、労働者に対して結果の通知後に、受検した全員に対して個人ごとに同意の有無を確認する方法。結果の通知後に、面接指導の対象者に対して同意の有無を確認する方法。それから、チェックの結果の通知の段階では同意の有無を確認せずに、面接指導の申出をもって同意をしたとみなす方法。この 3 つの方法があるのではないかということで整理されております。それから、実施前や実施時に同意を取得するということは不適当だということで整理されています。それから、同意しない労働者に対して、事業者が同意を強要することは適当でないということです。

 続いて、実施者から事業者への結果の提供方法です。同意が得られた場合に実施者から事業者へ結果が提供されるわけですが、この結果は、個人のストレスプロフィールや評価結果が記載された結果そのものということで、特に加工をして渡すものではないということでいいだろうということです。それから外部機関に送る場合に、やむを得ず産業医が共同実施者とならない場合にも、外部機関とのやり取りに係る窓口の役割は産業保健スタッフが行うことがいいだろうと。外部機関から事業者に提供する場合においても、産業保健スタッフを通じることが望ましいだろうということです。この場合において、事業者でなく産業保健スタッフだけに結果を提供する際でも、原則として本人の同意が必要だろうということになっています。

11 ページ目、個人のストレスチェックの結果の保存です。個人のストレスチェックの結果については、事業者が実施者を含む実施事務従事者の中から指定した者に 5 年保存させなくてはならないということが適当であろうということです。保存については、事業場内の保管場所であるとか、システム上のデータの場合はサーバー内であるとか、外部機関に委託している場合でしたら外部機関の保管場所が考えられますが、こういった所も可能だということです。ただ、セキュリティの管理についてはしっかりやっていただくと。個人のストレスチェックが事業者を含めた第三者に見られないようになっているということが必要だろうということです。それから、労働者が同意したということで実施者から事業者に提供された結果については、事業者自らが 5 年間保存ということで整理されております。この保存については、明日もう 1 つの検討会が開かれますので、そこでもう一度議論していただくことになるかと思います。

 それから ( ) 労働者本人へのストレスチェックの結果通知後の対応です。申出の勧奨については、まずは実施者が行うことが適当であるということ。 2 つ目の○の、実施者以外の者が勧奨を行うことについては、ストレスチェックの実施事務の従事者に限って可能とすることが適当だろうと。それから、必要に応じて、事業者が結果を把握している労働者に対して事業者から申出を勧奨するということも、不利益取扱いにつながらないように留意するということを前提に可能だろうということが、もう 1 つの検討会で整理されています。

12 ページ目です。保健師、看護師等による相談対応については、前回御議論いただきましたが、特に高ストレス者について医師の面談につなげることが重要で、その趣旨を分かるようにしてほしいという御意見がありましたので、括弧書きしております。続いて、ストレスチェックの結果に基づく不適切な対応です。これはもう 1 つの検討会の整理ですが、本人の同意を得て事業者に提供されたストレスチェック結果に基づいて、いろいろな措置を講じるのですが、ここに書かれている 2 つの項については、不適当だという整理をしております。 1 つ目が、ストレスチェックの結果だけを基に、医師の面接指導を経ずに事業者が配置転換などの就業上の措置を講じること。 2 番目として、先ほどありました保健師、看護師などによる相談対応を行った場合に、その結果を基に事業者が就業上の措置を講じること。ですから、手順を踏まずに、医師の面接指導を経ずに就業上の措置を講じることは不適当だろうという整理になっています。それから (iv) 個人のストレスチェック結果の共有制限です。ストレスチェックの結果は、本人の同意によって事業者に提供されたものについては、就業上の措置に必要な範囲に限定せずに、そのまま職場の上司や同僚などと共有することは適当ではないだろうという整理をしています。

 続いて集団的な分析と職場環境改善です。これについては、前回の議論の中で集団的な分析について、義務とするか努力義務とするかということを御議論いただきました。ここでは努力義務として、今後の見直しに合わせて改めて義務化することを検討するという書き方をしておりますが、これについては、もう一度御議論いただきたいと思っております。記述としては、先日の論点の記述とほぼ同様としておりますが、集団的分析については、ストレスチェックの結果を集団的に分析して、その分析結果に基づいて必要な職場環境の改善の取組を行うべきであると。ただ一方で、現時点ではこういった集団的分析が広く普及している状態にはありませんし、手法が十分に確立・周知されている状況とも言い難いということから、まずはこういった集団的分析の実施及びその結果に基づく職場環境の改善の取組を事業者の努力義務として、その普及を図ることが適当であると。「なお」ということで、今後の普及状況等を把握して、労働安全衛生法の見直しに合わせて、改めて義務化について検討するのが適当といった記述を案として提案していますので、これについては、後程御議論いただければと思っております。それから ( ) 集団的な分析の実施方法については、前回の論点のまま載せています。

 それから 13 ページ目、集団的な分析結果の事業者への提供です。もう 1 つの検討会で、こういった集団的な分析結果については、労働者の同意なく事業者が把握可能であるという整理になっています。「ただし」ということで、個人が特定される恐れのある少人数の場合には、 10 人を下回る場合には原則として労働者の個別同意なく把握してはならないということが適当だろうということです。それから ( ) 集団的な分析結果の保存と ( ) 集団的な分析結果の活用については、前回までの整理のとおりの記述としています。以上です。

○相澤座長 ありがとうございました。かなり増分になりますので、 (1) の所をまず御議論いただければと思います。先ほどの 4 ページの (1) から、いろいろ飛んでしまうとあれなので、順番に行ってもよろしいでしょうか。何か御意見はありますか。

○千頭委員  4 ページ (1) のア、上から 3 つ目の○には「法令等に反しない限り」との記載があります。表現の問題ですが、このままでは違法すれすれまで取り決めることは問題ないとの印象を受けてしまうので、例えば「法令等に則った上で」などの表現が適切ではないかと思っています。その下に1~ 11 まであるのですが、ここに不利益取扱いに関する記載がないことを指摘しておきます。 16 ページには記載があるのですが、 4 ページにも 12 番として、不利益取扱いに関する内容を記載していただきたいと思います。

○相澤座長  2 点ありますが、事務局のほう、よろしいですか。あるいはこれについての御意見はありますか。

○産業保健支援室長補佐 御意見を踏まえて、修正を検討したいと思います。

○相澤座長 最終的には少し検討していただくということです。 5 ページについてはいかがでしょうか。

○千頭委員  5 ページの(ア)(1)一番下の○の、ストレスチェックの対象とする労働者の範囲ですが、労働側としては、事業場で働く全ての労働者が対象であることを原則とすべきということを以前から申し上げています。特に、いわゆる無期雇用労働者で、週 20 時間以上の者ですが、一般の健康診断に関する通達の中では、一般健康診断の実施の対象となっている、望ましいとなっているかと思います。この点も踏まえて、週 20 時間以上の無期雇用労働者についてはストレスチェックの実施が望ましい、と明記いただきたいと思っています。

○産業保健支援室長補佐 そこは一般健診と同様ということですので。

○千頭委員 はい。

○相澤座長 よろしいですか。同様と、参考としてということですね。少し文言を検討いただくということです。

○産業保健支援室長補佐 はい。

○相澤座長  6 ページにいきます、いかがでしょうか。よろしいですか、それでは 7 ページ。これは変更する所はないようですが、よろしいですか。それでは 8 ページは、下のほうに 1 部変更があります。面談を行う方の能力を認めることということが加わっています。よろしいでしょうか。それでは、 9 ページはよろしいですか。 10 ページはいかがでしょうか。

○渡辺委員  10 ページだけに限らず、全体に関することで、今まで曖昧になっていたものですが、非常に大事だなと思うことで、ストレスチェックの結果というのは何を指すのかということです。ストレスチェックの結果としての情報は、考えてみると 3 つあります。 1 つは高リスク者かどうかということだけです。例えば総合得点が何点だったから高リスク者かどうかということだけ。 2 つ目に個人プロフィールです。打ち出された個人に返る個人プロフィール。そして 3 つ目に、もともとの健康調査票そのもの、いわゆる生のデータという 3 つがあるのですが、このどれを指すかということです。今の全体の流れでは 2 つ目の個人プロフィールです。本人に返される個人プロフィールというのが、ストレス調査のチェックの結果というように何となく扱われているように思うのです。例えば後にも出てきますが、一番最後の所では、 16 ページの所によると、事業者が持っている情報は、高リスク者かどうかのみというようなことがちょっと書かれていたりしていますので、高リスク者かどうかだけという所もときどき出てくるのです。私が後から考えてみれば、事業主が知る必要があるのは、高リスク者かどうかということだけ分かればいいということですね。高リスク者がどうかだけ分かれば、面接指導を受けなさいよと勧奨をできるわけですから、高リスク者かどうかだけ分かればいいと思うのです。この差は実は非常に大きくて、個人プロフィールになると、上司との関係がどうか、同僚との関係がどうかということが入ってきてしまうので、知られたくないという意識がすごく働いてしまいます。ところが、高リスク者どうかということだけだったら、別に事業主に伝わっても構いませんという人たちが随分あると思うのです。ということで、そこを少し分けたほうがいいと思うのです。必要性があるのは、事業主に知らせる必要があるのは、高リスク者どうかということさえ事業主に伝えれば、後に、その個人プロフィールなどは面接指導の中で面接指導をする産業医などが分かればいいことなので、ちょっとそこのストレスチェックの結果ということをきちんと、曖昧にせずに分けて扱ったほうがいいのではないかということです。

○相澤座長 これはきちんと書くということになりますね。

○産業保健支援室長 法律上、ストレスチェックの結果については、受けた受検者の同意なく事業者に渡してはならないということになっています。その結果がどこまでの範囲かというところは、 10 ページにありますが、ストレスプロフィールそれから評価結果、こういった結果そのものという整理をしているところです。ただ、実際、これは運用された場合に、事業場によってはストレス結果、高ストレスであるかどうかというところだけを事業者に伝える、ということでいきましょうというようなことであったら、そういうことも可能ではないかということは考えているところです。

○渡辺委員 分かりました。そのほうが手を挙げる、申し出るというハードルは随分下がると思います。要するに高リスク者かどうかさえ分かればいいということであれば、同意を取るときに、高リスク者かどうかということだけを事業主に伝えますという言い方にすれば、本人が申し出るということのハードルは随分下がると思います。それでもいいと、どちらでもいいということですか。

○産業保健支援室長 そうですね、そこは事業場のほうでいろいろなやり方はあろうかと思いますので、そういったものを高リスク者かどうかだけを事業者に伝えますということは可能だと考えています。

○渡辺委員 ここは多分、私は実施する実際になると、手を挙げる人の数に随分差が出てくると思うので、ちょっとその辺りはっきりさせたほうがいいのではないかなという気はいたします。

○岩崎委員 今の議論はストレスチェックの項目にいろいろな分野が入っているので、高ストレスの分野について、高ストレス者を把握する情報に関してはその部分だけ提供しますというようにすれば、手を挙げる人が増えるのではないかと。

○渡辺委員 プロフィールも出さない、ただ、高リスク者かどうかだけということですね。

○岩崎委員 高リスク者かどうか。

○渡辺委員 要するに幾つかの基準を作りますよね、合計得点が 75 点以上とか。あなたは合計得点 75 点以上の高リスク者になりました、だから面接指導を受けなさいと。こういうことだけ言えればいいわけですよね。

○岩崎委員 そのときもそこには同意取得プロセスは入るということなのですね。

○渡辺委員 入るのですが、高リスク者だということだけの情報であれば、労働者の方が手を挙げやすいということです。ところが個人プロフィールになると、上司との関係だとか、同僚との関係だとかそのようなことが中に出てきますね。

○岩崎委員 はい。

○渡辺委員 そこまで知られてしまうということになると随分抵抗が大きくなると思うので。

○岩崎委員 ざっくり言ってしまえば、 11 項目の部分が一番そういう意味では分かりやすいという意味ですか。

○渡辺委員 いやいや、という意味ではなくて、高リスク者の基準を作るじゃないですか、 B であれば 70 何点以上、 A C で何点以上という。その基準を超えているかどうかということだけを伝える、事業者に対しては。その目的はそれで達成するわけですよね。

○相澤座長 この 10 ページの黒塗りの所の1ですね。

○渡辺委員 はい、ストレスチェックの結果という言葉が、今まで曖昧に使われていると思うのです。

○相澤座長 実施者が提供するストレスチェック。

○産業保健支援室長補佐 ここは議論を整理させていただきたいのですが、先ほど井上のほうからも申し上げましたとおり、法律上の規制というのは、本人の同意がない限り、本人に返す結果そのものをそのまま事業者に渡してはいけませんよ、ここまでが規制です。多分、今行われていた議論は、更にその望ましい中身として、法律の規制を越えて、高ストレスという情報だけに限ったほうがいいかどうか、その運用上のやり方のお話だと思うので、ここでもし高ストレスという情報だけに限ったほうが運用上いいという整理になるのであれば、それは望ましいということで、推奨はできると思います。ただ、法律上の規制でそれだけに限らなければいけないということは、ちょっと今の条文ではやりにくいということを御理解の上で皆様で整理していただければと思います。

○岩崎委員 ちょっと 1 点、今の整理の場合には、高ストレス者であるかどうかの情報を事業者に提供する場合にも、個別同意は必要だという前提なわけですね。

○渡辺委員  16 ページのアの2、真ん中辺です。「申出を受けた時点で事業者が有する情報は、ストレスチェックの結果判定されるストレスの状況 ( 当該労働者が高ストレスであること ) のみであり」と、ここでは「高ストレスであることのみ」とされているのですね。と考えるとそれだけでいいのではないかなということです。

○産業保健支援室長補佐 ちょっとここは書き方が悪かったのですが、ここで言いたかったのは、ストレスチェックの結果だけを事業者が持っている状態で、就業上の措置を判定することはできませんということでした。ちょっと表現が悪かったのですが、ここで、高ストレスという情報だけを事業者に渡すということを意図した書き方ではないということでした。

○下光委員 私も渡辺先生の御意見に賛成です。やはり結果というものが生データなのか、それともプロフィールなのか、それとも高ストレス者なのか、これをしっかり決める必要があるだろうと思いますし、特に職場環境の問題になりますと、上司、同僚の支援があるかどうかというプロフィールも生で出てまいりますので、そういうデータが出てくると、あってはいけないことですが、それが人事評価に使われてしまう可能性も出てくる。その辺はしっかりここで定義をして、そしてなるべく問題が起こらないような、最低限の必要な情報だけを事業者に提供するという流れを作られたらいかがでしょうか。

○相澤座長 そういう意見、ここについては、ほかの委員の先生方はいかがでしょう。よろしいですか。なるべく絞って、高ストレスかどうかということのみをなるべく伝えるということでいいですか。

○産業保健支援室長 明日も、もう 1 つの検討会が開かれますので、そちらのほうでも御議論を頂きたいと考えています。

○相澤座長 今の御意見は大変大事なことですので、明日また検討いたしたいと思います。 10 ページについてはよろしいですか。

○千頭委員  10 ページの「事業者への提供に当たっての労働者の同意取得方法」の網掛け部分の2で、「ストレスチェック結果の通知後に、面接指導の対象者について、個々人ごとに同意の有無を確認する方法」とありますけれども、これを行う場合において、例えば高ストレス者だけを対象に会社を経由した手紙などで本人に通知することが高ストレス者の情報を事業者に漏らしてしまう結果となる懸念があるのではないか、と思うのですが、いかがでしょうか。

○産業保健支援室長 この通知は実施者が行うところですので、実施者から事業者を通じて行うということにはならないので、そこは大丈夫だと思います。

○千頭委員 ただし、実務上では、会社を通して高ストレス者に連絡が行くことがないか、あり得るのではないかという点を懸念しますが。

○産業保健支援室長 実施者だけではなく、実施事務従事者、例えば封筒に入れるとか、そういう人には守秘議務がかかりますので、その辺りについては大丈夫ではないかと思います。

○千頭委員 分かりました。

○渡辺委員 今のところにも関係するのですが、そこの3の「ストレスチェックの段階では同意の有無の確認は行わず、労働者の面接指導の申出をもって、ストレスチェック結果の事業者への提供に同意がなされたものとみなす方法」ですが、これは具体的に言いますと、例えば個人に返す報告書の中に、「あなたは高リスク者です。したがって、面接指導を受けたほうがいいです。面接指導を受ける場合には、事業者に申し出てください」ということが書いてあれば、本人が事業者に申し出たら、それをもって同意したものとみなすと、そういう意味ですよね。

○産業保健支援室長 はい。

○渡辺委員 そうしますと、これは実施する側から見ると、この1、2、3でいうと、3が圧倒的に簡単なのです。1と2はものすごく手間もいるしお金もかかるし、したがってほとんど3になります。ということで、こんなにハードルが違うのですが、この3になるということでいいのでしょうか。要するに、個人に返す報告書にあなたは高リスク者なので、面接指導を勧めます。そして面接指導を受ける場合には事業主に申し出てください。その場合にこうこうしかじかのことになります、ということが報告書に 2 3 行書いてあれば、それでことは足りるということになるのですが。そういう理解でよろしいですね。

○産業保健支援室長 はい。

○相澤座長 よろしいですね。衛生委員会等で捉え方を決めるわけですよね。ほかにはよろしいでしょうか。それでは、 11 ページはいかがでしょうか。

○廣委員 先ほど実施事務従事者の話がちょっと出てきたのですが、それとも関係します。 11 ページの下から 2 番目の網掛けに、勧奨を行うのがストレスチェックの実施事務従事者も可となっています。要するに実施事務従事者というのは定義を見ると、データ入力とか結果の出力ということが中心に書いてあるのですが、そうではなくて、最終的に誰が面接指導の対象者になるというところまでも把握できるということですよね。これは大きな違いなので、データ入力する、結果を出すということと、プラスその後に一定の評価を得て対象になるかどうかという、段階が違うと思うので、この実施事務担当者がそこまでも関与するのであれば、この定義の所にもそのように書かれたほうがいいのではないかと思います。

○産業保健支援室長補佐 一応、私どもの想定としては、実施事務従事者、実施者とも同じ情報を持ち得る人ということで考えていますので、定義の所は少し書き方を検討したいと思います。

○相澤座長  3 ページの定義の所を加筆するということです。ほかによろしいでしょうか。

○千頭委員  10 ページの下から続く「実施者から事業者への結果の提供方法」の 2 つ目の○の「外部機関に委託する場合においてやむを得ず共同実施という形をとらない場合」で、その網掛けの最後の 3 行ですが、「外部機関から、事業者ではなく当該産業保健スタッフだけに個人のストレスチェックの結果を提供する際にも、原則として本人の同意を必須とすることが適当」とあります。これはどうでしょうか、共同実施ではない場合には、産業保健スタッフは第三者になるということであれば、原則としてではなく、必ず本人の同意が必須になるのではないか、つまりここの「原則として」はいらないのではないかと思うのですが。

○産業保健支援室長 これにつきましてはもう 1 つの検討会の委員の中から、医療従事者同士、例えば実施者たる医師から産業医に対して、ある程度情報共有というのが認められることもあり得るというようなことがあって、この「原則として」というものを入れているところです。ですから、普通に情報提供をする場合にはもちろん同意が必要だというようなことで、医療従事者同士のところとして「原則として」という記載が入っているというものです。

○千頭委員 そうですね、分かりました。

○相澤座長  11 ページはほかによろしいですか。それでは 12 ページについては、相談対応の所があります。また集団的な分析の実施、これが前回の議論があった所です。御意見はありますでしょうか。

○川上委員 前回、私は欠席しておりまして、この議論に参加できなくて大変残念に思っていますが、今回の事務局の書きぶりは、私はいい形と思います。

○相澤座長 いわゆる集団的な努力義務ということですかね。

○川上委員 そうですね、こういう対応が一番いいなと思っています。

○千頭委員 労働側としては、やはり、あくまでもこの集団的分析と職場環境改善、これは努力義務ではなく、義務化が必要であるという考え方には変わりはありません。改正法の附帯決議の重みといった部分、それから努力義務の実効性について、厚労省としてどのようにお考えなのかということもお伺いしたいと思います。また今後、いずれにしてもこの集団的分析を広く普及させることが必要だというのは間違いないことだと思うのですが、普及のための予算措置、こういったものは要求されていらっしゃるのか、この点についてもお伺いしたいと思います。

○産業保健支援室長 集団的分析につきまして、努力義務でいいかというところですが、我々としまして、努力義務ということでも、いろいろな場面でこういったことをやってくれということで、周知指導をしてまいりたいと考えています。来年度から実施されます、実施者に対する研修の中でもこういったことはやっていただくということで、予算も措置して研修をできる限り広範に実施したいと考えています。そういったことでできるだけこのような集団的な分析についてもやっていただくという方向でまいりたいと思っております。

○産業保健支援室長補佐 あと 1 点補足させていただきますと、集団的分析を無料で実施できるツールの開発も今考えていまして、そういうものを普及させていきたいと考えています。前回も、努力義務だったら誰もやらないのではないかという御議論がありましたけれども、例えば、努力義務となっています過重労働の場合の長時間の面接指導については、義務になっていない部分についてもかなり努力義務の範囲で進んできていますので、努力義務とすることで一定の効果というのはあるものだと考えております。

○岩崎委員 補足ですが、集団的分析は、先ほど下光先生からもお話がありましたけれども、情報の取扱いがまた別の形で難しい点もありまして、そういうところも整理していく必要があるのだろうと思います。労働安全衛生法の中で我々現場で動く中で考えますと、職場の環境改善というのは、快適職場づくりの一環と位置付けられると思うのです。それ自体は今までのところ努力義務の中で、例えばその中身は喫煙環境の整備だったりいろいろあるわけですけれども、それも着実にやっているようなところは進んでいるように思いますので、やはりその中でレベルを合わせながらというほうが、現場としてもやりやすいのではないかと感じています。

○相澤座長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか、よろしいですか。

○川上委員 先ほども出ましたように、今後の検討は非常に必要だと思いました。現時点では努力義務という位置付けは非常によいと思いますが、今後、国では是非こうした職場環境改善を通じた職場のメンタル不調の一次予防の取組に向けていろいろな施策を動かしていただきたいと思っています、そういう点では同感です。

○渡辺委員 一応、私も前回と同様に、個人の意見は義務にしたほうがいいと思っています。ただ、こういったことに努力義務にするなら、やはりあるところ努力を本当にしていただいて、義務化に向けていただきたいというように思っています。

○中村委員 前回の私も義務でやるべきだというように主張したのですが、現実的にはその集団を評価した後、どうするかということもまた課題があると思いますので、現状では努力義務でよいと思っています。

○相澤座長  5 年後のほうは意見調整していただくことが必要かと思いますけれども、この委員会ではそういった意見が多いということです。よろしいでしょうか。 13 ページはいかがでしょうか。最後ですが。

○廣委員 これまで余り議論になっていなかったので確認ですが、集団的分析の単位の境目として「 10 人」というのがここで書かれているのですが、その際の 10 人というのが、ある職場で 15 人の職場だったと、ストレスチェックを出してきたのが 9 人だったとした場合に、それはどちらを取るのでしょうか。ちょっと細かい話なのですが、見解を。

○産業保健支援室長 これにつきましては、個人が特定される恐れがあるかどうかですので、データ数になろうかと思います。

○廣委員 はい、データ数ですか。

○岩崎委員 その辺もやはり正にデータ数のほうがよろしいかと。 15 人で 9 人ですと回答率は 6 割ですので、それをもって何を評価するかという別の問題も入ってくるかと思いますので、少なくとも単位としてはデータ数だろうと思います。

○相澤座長 そうですね。それもきちんと書いておいたほうがいいですね。

○渡辺委員 今のところは実は非常に重要ですね。現実は多分データ数ではないです。その職場の人数で出すか出さないかをほとんどの所が決めておられますので、これをデータ数ということにすると、相当な変更になるので、かなり大きな変更ということで周知する必要があると思います。

○相澤座長  13 ページの上のウの所ですか。

○岩崎委員 実際のところはデータ数でおやりになっている所のほうが多いと思います。要するに少なくなると個別性で分かってしまうというのがこの趣旨だと思いますので、よくデンマークの報告等を見ましても、 15 人以上で、 15 人以下の所は全員の同意を取ってくださいと。正に今回、自分が入っているのが通常ですので、やはり人数が少なくなると誰が回答したということとの整合性の部分だというように認識しています。

○渡辺委員 では両方あると思いますが、私がよく知っている関係している所は、例えば人数が少ない部署があると、それではもう 1 つ大きな部単位にしましょうとか、この課だと 8 人しかいないから、部にして 20 人にしましょうとか、最初に企画するときにそういうのを決めるわけです。それでやってしまうと、一応、部では出すと、だけど結果的に 10 人以下になってしまうことがあるということですから、やはりデータ数ということはかなり今までのやり方と変わるところが随分あると思うので、一応、きちんと伝えていただければと思います。

○岩崎委員 はい。

○相澤座長 それでは 13 ページのウの所をもう少しきちんと書き足しするのでしょうか。

○千頭委員  13 ページの(ウ)に関連して、「 10 人を下回る場合には、原則として」とあるのですが、この「原則として」が入るというのはどういう意味合いなのでしょうか。なくてもいいのではないかと思うのですが。

○産業保健支援室長補佐 ここで「原則として」と書いた趣旨は、例えば 10 人以下であっても、個人特定ができない形での集計というのですが、平均点を出すだけとか、ちょっとその趣旨で書いたものですから、 10 人以下はどんなやり方でも駄目かというとそうでもないという趣旨でそこを書かせていただいています。

○相澤座長  13 ページがよろしければ、次の (2) に移らせていただきます。御説明をお願いいたします。

○産業保健支援室長  (2) 面接指導の関係です。まず、実施方法等ということで、面接指導の対象者の把握方法です。もう 1 つの検討会での整理ですけれども、面接指導の対象に該当するかどうかというところを事業者が確認するための方法ということで、 2 つ挙げています。 1 つ目が申出を行った労働者から提出をしてもらう方法。 2 つ目として、ストレスチェックの実施者に該当するかどうかということを確認する方法ということで、この 2 つを挙げています。

 面接指導の実施者ですが、先ほども申し上げましたが、複数の医師の方がいらっしゃるような事業所もありますので、それを加えたこと。それから面接指導を外部に実施する場合にも、産業医資格を有する医師に委託することが望ましいという書き方にしています。それから、「なお」ということで、こういった面接指導は適切に行うことが重要ですので、面接指導を行う医師に対する研修の充実・強化といったものを行ってまいりたいと思っています。事業者のほうから面接指導を行う医師に対して、情報を提供することが適当という書き方にさせていただいています。これについては前回の議論を踏まえて修正した部分です。

14 ページは面接指導の実施時期、それから面接指導の実施方法につきまして、これまでの整理どおりですけれども、実施方法の確認する事項ですけれども、先日の議論を踏まえ、4として周囲のサポートの状況というものを追加しているところです。それから2についても先日の議論を踏まえ、「カウンセリングの受診の勧奨と紹介」という所を削除しています。

 続いて面接指導の結果の事業者への提供という所で、これはもう 1 つの検討会での整理です。面接指導の結果について、面接指導を実施した医師が事業者に情報提供をするわけですが、こういった際には、原則として医師が必要と判断する最低限の情報に限定して提供するということが適当だろうということになっています。それから、面接指導の実施を外部の医師に委託する場合についても、やり取りの窓口の役割というものは、産業医の方にやっていただく。情報提供についても産業医に通じて事業者に提供することが望ましいということです。この場合、産業医限りで外部の医師から必要最小限の医療情報の提供を受けるということはあり得るだろうとなっています。結果の取扱いにつきましては、衛生委員会などで審議した上で、事業場でのルールを策定することが適当となっています。

 続いて、ウの医師からの意見聴取です。この辺についても前回までの整理と同様の書き方となっています。エとして、面接指導の結果の保存という所です。これはもう 1 つの検討会での整理ですが、面接指導の結果として、事業者に以下の事項を 5 年保存させるということは適当となっています。1~7までということで、実施年月日や、労働者の氏名、医師の氏名、勤務の状況、心理的負担の状況というようなことを、結果として保存するということです。オとして、就業上の措置の実施ということで、これについてもこれまでの整理のとおりの記述をしています。以上です。

○相澤座長 ありがとうございます。面接指導の実施方法と情報管理について、 13 ページの真ん中下からありますが、いかがでしょうか。

○川上委員 私がなかなか出られませんでしたので、 14 ページの面接指導の実施方法について、 3 点お伺いというか、ちょっと御検討いただきたい点を申し上げたいと思います。まず、面接指導で1~5まで医師が確認することが書いてありますが、ここに生活習慣を入れるというのはいかがかと思います。睡眠などの確認もあると思いますので、また、ストレスによって生活習慣が変化することもよく知られていますので、生活習慣を入れるというのはいかがでしょうかというのが 1 点目です。

2 つ目はストレス関連疾患の中に幾つか特定の疾患が例示されていますが、これは取りあえずはいらないような気がいたしますが、特別な理由があればお知らせいただきたいと思います。幾つか挙がっているものの中に、例えば高血圧とか、循環器疾患がないとか、私としてはちょっと気になったもので、ストレス関連疾患あるいは化学ストレス関連の身体疾患などに変えていただくのはどうかなということです。

3 つ目はその下の○の保健指導の中に、ストレス対処技術そして自覚と自主努力がありますが、その下にフォローアップというのを入れていただけないかと思います。フォローアップというのは、つまり今日面接して、少し調子が悪そうだけれども、 2 週間後に面接をしましょう、みたいなそういうお約束です。ちょっと話が長くなりますが、イギリスの NICE という機関の報告書によりますと、うつ病に至らないような、うつ状態の方に対する対応の中に、ウォッチフルモニターのように、 2 週間ぐらい様子を見て、もう一度会うというそういうやり方が推奨されていまして、産業医や保健師などの管理の下で、自分がケアをされているということが、それ自体回復につながることも知られていますので、ここに、文句はうまく言えませんが、「フォローアップ」を入れていただけると嬉しいなと思います。その 3 点を御検討いただけますでしょうか。

○相澤座長 ありがとうございます。専門家からの大変貴重な御意見ですが、何かありますか。

○産業保健支援室長 その辺り御意見を踏まえまして、また修正なりさせていただきたいと思います。

○川上委員 ほかの委員の先生方の御意見は特にはありませんか。

○相澤座長 ないですね、ありますか、よろしいですか。

○渡辺委員 フォローアップというのは本当に大事で、それこそが一番ポイントになると思うのですが、ただ、この面接指導を産業医以外がするということがありますね。その場合、ではフォローアップは誰がやるのかということも関係してくると思います。本来はやはり産業医になると思うのですが、となると産業医にうまくバトンタッチしなければいけないということもあって、その辺りのそれなりの認識と意識が必要かなという気がします。非常に大事なことだと思います。

○相澤座長 ありがとうございます。

○労働衛生課長 生活習慣を入れるべきかどうかについては、少し御議論いただければと思います。それとストレス関連疾患の例示は入れさせていただきたいと思いますので、例えば高血圧とか少し足したほうがよければ足す形で、もちろん全ては列記できませんけれども、例示はさせていただきたいと思っています。

 それからフォローアップについては、この法律で言う、つまり事後措置を、意見を言うための面接指導を 2 回やる場合があるという意味なのか、それとも事後措置を決めるための面接は 1 回で、その後、また別途、産業医によってフォローアップする場合があるという、どちらのことを想定しておっしゃっているか教えていただけますか。

○川上委員 最後のほうからいきます。私、少し意味の違いが取れなかったのですが、産業医がこの判断のために面接をする。そのときにもう一度会ったほうがいいと考えてもう一度会うという、そういうフォローアップのことです。

○労働衛生課長 判断をするために 2 回会わなければいけないという意味なのか、判断の後、つまりこの法律に言う面接指導と別の形で、通常の産業保健活動としての面接を続けるという意味なのか。

○川上委員 通常の産業保健活動としての面接に近いと思います。例えば 1 回では受診勧奨すべきかどうか分からないときに、もう 1 回面談します。これは、恐らく通常の産業保健活動にバトンタッチをしている部分ではないかと私自身は感じますので。

○労働衛生課長 そういう記述が入れられないかというところを検討させていただきます。

○川上委員 それから、ストレス関連疾患について例示を入れるようでしたら、顎関節症が入っている理由を教えていただけますか。

○労働衛生課長 この法案の国会審議の中で、歯科疾患もストレスと関係するものがあるという議論があったこともあり、入れています。

○川上委員 理由が分かれば結構です。

○中村委員 フォローアップは私は非常に大事だと思っていますけれども、現実的に 2 週間後とかに産業医の先生が面接するというのは、なかなか難しいですよね。制度としては受診勧奨とか面談までで、後は通常の産業医活動で産業医の先生に受け渡すということで。

○川上委員 保健師等でもいいと思います。 NICE のガイドラインでも医師とは書いてありませんので、保健師でも十分フォローアップはできると思います。それは通常の産業保健活動にバトンタッチするという意味で申し上げています。

○渡辺委員 ストレス関連疾患の所ですが、もし例示を挙げるとしたら、むしろもっと一般的な高血圧とか入れたほうがいいかなと思いますし、これらの病名が全部ストレス関連疾患と思われてしまうと、疾患差別みたいなことが起こり得ますので、そこはちょっと注意していただきたいと思います。

○相澤座長 記述については御検討いただくということ。ありがとうございます。それでは、ほかには。

○廣委員  14 ページの一番下ですが、面接指導を実施した医師が産業医でない場合に、その医師から意見を聴く。併せて産業医からも意見を聴くという表現になっているのですが、これは 2 つ解釈できて、事業者は双方から意見を聴いて事業者としての判断をするというのか、産業医でない医師、面接指導した医師から話を聴いて、それを産業医に伝えた上で、産業医が総合的に判断して事業者に進言して事業者が判断するのか、その辺りですね。実際に確かに現場でいると非常勤の精神科医に来ていただいている事業場では、精神科医から意見を聴いて、産業医にあまり判断を仰がないで就業上の配慮をしたりという所もないわけではない。そういった場合に、ここの表現はどちらを指しているのか確認したい。私個人の思いとしては、これまでの安衛法の流れで見ると、産業医が事業者に対して就業上の意見を述べるというのが基本だと思います。産業医が意見を取りまとめるうんぬんというところまではいかなくても、産業医がもう 1 人の面接指導した医師の意見も確認するような場は、最低、必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○産業保健支援室長 多分、どちらもあり得るのではないかと思いますけれども、廣先生がおっしゃったとおり、安衛法の流れとしては産業医のほうが意見を述べるという形だろうと思います。

○廣委員 これは更に話を進めていきますと、例えば腰痛については整形外科的なうんぬんとか、内科的なうんぬんとか、いわゆる各科のそういう専門家から意見を聴くような流れにも、今後、関連してくることなので、結構、産業保健活動ということから考えると大きな問題ではないかと思います。これまで産業医が、とにかく労働者の健康全般について現状を把握して、それに対して事業者に意見を述べてきた。それが診療科の縦割りのそれぞれ意見を、それぞれ別々に事業者が聴いて、判断をしていくということにもつながりかねないと思いますので、そこについて見解をいただきたいと思います。

○岩崎委員 私も廣先生の御指摘、正にそのとおりだと思っています。どういう意味かと言いますと、産業医が労働安全衛生法で規定されているということもありますけれども、その中で多くの事業者は真摯に声を聴いていただいて、それを勘案して事業者として判断するというのが 1 つの枠組みで、その中で重要なポイントとして勧告権が産業医には規定されているということがあります。そういう意味で言いますと、確かにそういう産業医的立場で活動しているけれども、産業医でない者ということもあるかと思いますが、この表現は、産業医がスルーするのを追認するような表現にならないほうがいいのではないか。その辺は外部委託機関を適切に活用させていただく観点からも、重要な点ではないかと感じています。

○中村委員 私も廣先生と同じ意見で、最終的に産業医が精神科医の意見を聴くというのはよくあることだと思っています。ただ、その精神科の先生は、その職場全体の環境であるとか人事の問題など、いろいろな問題をどれだけ把握しているか。その経験を全て把握した上での判断であればいいのですが、その労働者の方を例えば何かの病気だとして診る立場で精神科医は診ることが多いので、実際は最終的に産業医の先生と話し合って、産業医が最終的に判断するというのが本当のやり方ではないかと思います。

○渡辺委員 その辺りに絡んだことですが、実はその上に出ている面接施導の実施方法の 2 つ目の○「面接指導においては、以下の事項について医師が労働者に対して医学上の指導を行うことが適当」とあり、面接指導を行う医師が何をすべきかということになるのです。ここにも書かれていますように、「労働者に対して医学上の指導を行うことが適当」となっていますので、面接指導を行う医師というのはあくまで医学上の指導です。それを聴いた事業者側人事の人が、「では、どういうふうに対応したらいいでしょうか、職場としてどうしたらいいでしょうか」と聴いたときに、自分が産業医であれば産業医としてこうしたらいい、こうすべきだという勧告ができると思いますが、ここが産業医でなければそれはできないことになります。したがって、ここで面接指導を行う医師の役割として言えば、まずは医学的な所見をきちっと取って伝えるところまででいいのではないかと思います。その後はどうするかとなると産業医がする。たまたま産業医がここの面接指導をしていた場合には、自分が産業医であるからということで当然、それをするわけですが、産業医でなければそこまではできない。今、中村先生がおっしゃったのと同じようなことだと思います。 2 段階になると思います。

○産業保健支援室長補佐 ちょっと確認のために御説明しますと、このストレスチェックに限らず、今、やっている健康診断についても産業医に限らず医師ができることになっていて、その結果、医師が何の意見を事業者に述べるかというと、就業上の配慮で何が必要か。例えば休業にするべきとか、短縮勤務にするべきといった意見を述べることが前提になっているのですが、今、先生方が御議論のように、そこの最終判断は産業医がするべきでしょうという整理もあり得ると思いますので、そこはまた御意見を頂いてこちらで検討したいと思います。

○相澤座長 これ、なかなかデリケートなところですので、もう 1 回ぐらい検討会で最後にやるように、それまで少し検討していただいてということになりますか。よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。

○川上委員 先生方が、この部分でどういう御議論があったか伺いたいと思っているのですが、何人かの産業医の方から、ストレスの医師面接を行うときに御本人が、例えば自分は仕事が合わないから仕事を変えてくれと強く訴える。しかし、面接した医師としては特にそれに関する所見はないような気がする。しかし、御本人は強く訴える。そのときに産業医がそれを無視して、例えば職場環境の改善に関する意見を事業者に出さない。御本人から訴訟が起きるみたいなことが起きたらどうなるのか。あるいは、どういう客観的な医学的事実に基づいて、ストレスに関する職場環境の改善をしたらいいか非常に不安に思うと、そういう御意見があったのです。このあたりについて何かこの検討会で意見交換があったら伺っておきたいと思ったのです。

○相澤座長 いかがでしょうか。

○川上委員 この場面でなくても、普通の産業医業務ではよく起きることで、産業医の能力の一部であると言えばそのとおりだと思いますが、何か御議論があれば教えていただきたいと思ったのです。

○相澤座長 あまり大きな議論は今までなかったと思います。

○羽鳥委員 このような訴えを産業医に投げかけてくる例はときどきあります。この方が冗長にいると必ず長時間過重労働になる,職場転換してもらえるよう働きかけてもらえないかということもあります。こういう場合は同僚上司などからもお聞きして判断していくことになりますが、そこまで踏み込んでいいのか悩みます。また,不定愁訴のの多い人は何でも訴えてくるわけですから、このストレスチェックをやっても、高ストレスというふうに判定されれば納得されるでしょうし、高ストレスでないと判定されたら面談申し込みとなるような事例も出てきそうです。本人の思い込みが強く決して職場環境は悪くないということだってあると思いますが、そういう人たちの取扱いを公平な目で評価していかないと、産業医が振り回されそうで気になっています。

○相澤座長 いろいろなケースがあるので、御意見、どうでしょうか。

○渡辺委員 私が先ほど、面接指導する役割と産業医の役割を 2 段階に分けたほうがいいと言ったのは、今、おっしゃったことを想定しての話で、面接指導する医師はあくまで所見をきちっと伝える。それに対する職場としての対応をどうするかというのは、職場と産業医がきちっと相談して決めるべきことであって、それは結局、産業医の仕事のうちであるのではないか。そこは分けておいたほうがいいのではないかと思いました。

○相澤座長 この辺の面接指導の仕方等については、マニュアルで作っておく形になると思います。いろいろなケースがありますので、いかがでしょうか。

○廣委員  14 ページの網掛けの部分の一番上の○ですが、面接指導の結果を受けて、就業上の措置等についての意見が医師から事業者に告げられることについて、具体的な病名は要らないだろうと、これはそのとおりだと思いますが、愁訴の内容ですね。例えば運転業務に注意すること、それだけでというより、この人は眠気が強いのでとか多少そういったのがないと、現実的にはなかなか現場に伝わりにくい。不用意に細かいことまで伝える必要はないので書き方が難しいですけれども、多少の部分は伝わらないとどうなのかなという感じは現実的にするのですが、いかがでしょうか。

○相澤座長 これについて御意見、いかがでしょうか。

○岩崎委員 正に御指摘のとおりだと思います。現実は、もちろん面談する者と労働者の間での情報交換があるわけですが、一定の情報交換は職場の上司ともしていることが多く、ここに書いてある趣旨はちょっと分かりませんが、本人の意図なくそこが伝わってしまうのは避けようという趣旨だと思いますので、御本人との面談の中で、上司にもこういう話をしていますみたいな範囲であれば、当然、その話題も出るというのが実際かなと思います。本人が知らないところでその辺までドンと伝わってしまうというのは、場合によっては避ける。あるいは本人に、こういう趣旨で、この範囲のことは一緒に伝えたほうがいいからと説明するプロセスがあったほうがいいと思います。

○川上委員 事務局のほう、心の健康づくり指針とか、あるいは健康情報の取扱いに関する、指針ではなかったですね、何か忘れましたが、それはどういう文言だったかというのは覚えていますか。具体的な病名などはあったような気がしますが、愁訴の内容というのがあったかどうか記憶がないので。

○産業保健支援室長補佐 病名とか検査データという表現はあるのですが、おっしゃるとおり愁訴の内容というのは、これまでは使ってこなかったということと、実はもう 1 つあるのは、先生御存じのとおり、留意事項とかにおいても事業者に何を渡すかということは実は整理をしていなくて、事業者が医療関係者以外に取り扱わせるときの話までなのです。事業者に何を渡すか渡さないかというのは、実はこれまで整理されたものがありませんので、ここで再整理という形になると思います。

○川上委員 分かりました。

○相澤座長 明日、またこの委員会があるので、そこで少し御議論いただけると思います。ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。よろしければ、次の 15 ページの (3) の派遣労働者の取扱いについてに移らせていただきます。

○産業保健支援室長  (3) の派遣労働者の取扱いについて、これにつきましては前回、御議論いただきまして、個人対応は派遣元、集団対応は派遣先ということで、先日の論点ペーパーどおりに記述しているところです。以上です。

○相澤座長 前回、御議論いただいたところですが、派遣元で個人のストレスチェックを行って、派遣先で集団的な分析を行う。よろしいですか。

○千頭委員  15 ページでアの 2 つ目の○、その下の 2 行ですが、「派遣先事業者においても、派遣元とは別途、自社の労働者と併せ派遣労働者に対するストレスチェックを実施することが望ましい」とありますが、これの書きぶりを強化してほしいと考えています。集団的対応は労働者が現に働く職場で行われるべきだと思いますので、この書きぶりの強化をお願いしたいと思います。以上です。

○相澤座長 適当とはというお話ですが、これは、どうでしょうか。

○産業保健支援室長補佐 先ほどの整理で集団分析そのものが努力義務になったということと、「適当」と書くと、ほかとの並びで義務的な感じの表現になってしまいますので、さすがに、そこまではきつすぎるかなという感じはします。

○相澤座長 ということですが、よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。それでは (4) 、お願いします。

○産業保健支援室長  (4) 16 ページです。労働者に対する不利益取扱いの防止について、この辺りにつきましては、もう 1 つの検討会のほうで前回検討され、このような整理にしています。

 アは法律上明示的に禁止されている不利益取扱いで、法第 66 条の 10 3 項の規定についての趣旨を整理しているところです。1は面接指導の申出が行いやすい環境を整備する観点から、こういった規定になっているという話、それから、この時点での情報をもって不利益な取扱いを事業者が行うことを禁止している。こういった趣旨で法律上明示されていると記載しているところです。

 イは禁止されるべき不利益な取扱いで、これは法律に明示されていないですが禁止されるべきだろうということを整理しています。 ( ) は受検しないこと等を理由とした不利益取扱いで、少なくとも、ここに挙げる 3 つについては合理的な理由がないということで、事業者が行ってはならないものとすることがいいだろうということです。この理由以外としても、実質的にこの 3 つに該当するとみなされる場合については行ってはならないということです。1が、ストレスチェックを受けない労働者に対して、受けないことを理由に、不利益な取扱いを事業者が行うこと。2が、ストレスチェックの結果の提供に同意しないということをもって、不利益な取扱いをすること。3が、申出を行わない労働者に対して、不利益な取扱いを事業者が行うこと。この 3 つについては合理的な理由がないだろうという整理です。

( ) のその他の禁止されるべき不利益取扱いの考え方ですが、ストレスチェック結果に基づき、それを踏まえて事業者が講じる措置の中には、労働者に対して不利益となりうるものの、それ以上に労働者の健康確保の必要性が高いなど、措置の内容によっては合理的な取扱いである場合も考えられます。こういったところで、次のように整理することが適当であろうということで 17 ページです。

 1は、ストレスチェックを行って面接指導を行い、それに意見を聴取するという法定の手続がありますけれども、こういった手続を経ずに就業上の措置を講じることはいけないだろうということ。内容を決定する場合には労働者の意見を聴き、話合いを通じて了解が得られるように努める必要があるということです。

 2は、労働者の健康の保持に必要な範囲を超えた措置として、「例えば」ということで、ここに書いているような措置は避けるべきであろうということです。 a は、面接指導の結果を理由として、 (a) 解雇、 (b) 契約の更新、 (c) 退職勧奨、 (d) 不当な動機・目的をもってなされたと判断されるような配置転換又は職位 ( 役職 ) の変更を命じること。 (e) その他の労働契約法などの労働関係法令の定めに反する措置を講じること。こういったことは避けるべきであろうということです。 b は、医師等が事業者に述べた必要な就業上の措置とは、内容・程度が著しく異なる措置であって、労働者に対して不利益な取扱いとなるものを講じること。こういったものも、 1 例として必要な範囲を超えた措置になるという整理になっています。以上です。

○相澤座長 ありがとうございます。労働者に対する不利益取扱いの防止についての項目ですが、いかがでしょうか。御意見はございませんか。

○渡辺委員 文章としてはこのとおりで理解できるのですが、実際にあり得ることとして、例えば中小企業などで労働者の状態が非常に悪い。鬱なり何なり非常に具合が悪くて、これ以上仕事を続けさせるのは無理だ、休ませなければいけないということがあるわけです。産業医としては「あなた、休むべきだ」としっかり言う。ところが休んだら辞めなければいけない。退職しなければいけない。そこの就業規則上、 1 か月以上休んだら退職とか、そういうような就業規則で大企業の場合は 1 年とか 2 年あるのですが、中小企業の場合には 1 か月で退職という所があるわけです。そうなると、産業医としては「あなたは退職うんぬんという問題があるけれども、とにかくここはあなたの健康のために休まなければいけない」と言わざるを得ないところがある。その結果として、休んだことから退職につながってしまうこともあり得ると思うのですが、そういうのはどうなるのでしょうか。本人の健康を配慮して、とにかく健康のために、ここは休まなければいけないと言わざるを得ないときもあるのです。

○産業保健支援室長 多分、いろいろなパターンがあると思います。ただ、ここの整理としては例示ということで、こういった整理になっているところです。

○渡辺委員 理解できます。だから、それはあくまで本人の納得の下でということになると思います。ただ、そういうこともあり得るということです。

○羽鳥委員 逆の場合もあります。会社には遅刻早退しながらも来社するのですが、まわりと協調出来ず,責任ある成果物を出すことが期待されていない人がらいても、やめさせてあとで裁判を起こされるよりはずるずるしていた方が良いと考えるのか、全く働く意欲がないにもかかわらず、会社としては休みなさいとか、お辞めになってくださいとは言えない。外部の精神科医師からは、投薬を受けながら時短で就労させることがリハビリになると言うことで数年間面談を繰り返すか違います。明らかにこの方がその職場にいるだけで事業場の雰囲気は良くないと思いますが、誰もいえないというような事例もあります。精神科からの診断書がある限り産業医としてはそのまま見守る。。ストレスチェックが始まるとさらにこのような方を増やすことにはならないか不安です。

○渡辺委員 そういうケースもありますが、これはある意味、産業医の先生の 1 つのスキルになってくると思います。要するに健康管理と労務管理とは分けるということで、健康的にこの人は所見をきちっと出す。健康的に見て特に所見がないなら所見がないということを産業医が言うことになります。後はどうするかというのは実は労務管理の問題で、企業の中での責任、企業がどうするかという企業の問題になるのではないかと思います。

○羽鳥委員 その場合だと産業医は特に責任はないけれども、労務管理のほうでしっかりできていないので、それはそれで仕方ないと。

○渡辺委員 そういうことになります。今回の面接指導などでも、そこをきちっと分けるということはとても大事で、面接指導する医師は健康問題のことできちっと所見情報を伝える。健康問題が特に問題なければ、後は労務管理の問題として、それは企業の中で労務管理としてきちっと対応するという、企業のほうの責任になってくるかなと考えています。

○相澤座長 ほかには、いかがでしょうか。実際、実に難しい問題が出てくる可能性はあると思います。よろしいですか。それでは最後に、 (5) をお願いします。

○産業保健支援室長  (5) のその他の事項です。アは外部機関への委託に係る留意事項です。これにつきましては前回までの整理のとおりですけれども、最後に○の 3 つ目で、先日の議論を踏まえ、「事業者から業務委託を受ける外部機関において、適切にストレスチェックや面接指導が実施されるよう、外部機関に対する研修等を行うことが適当」という 1 文を入れています。

 イは行政への報告で、これはもう 1 つの検討会での整理ですけれども、ここにある 4 つについて労働基準監督署に報告させることが適当として、1ストレスチェックの実施時期、2対象人数、3受検人数、4面接指導の実施人数ということで整理しています。

18 ページで、ウの看護師及び精神保健福祉士に対する研修です。看護師及び精神保健福祉士につきましては、一定の研修を受けて実施者となれるということですけれども、次の 3 つについてとして研修の内容を挙げています。こういった事項を範囲として、対象者の資質を踏まえ、具体的な研修科目・内容について設定することが適当という書き方にしています。 2 つ目の○ですが、研修の質の担保のため、講師の要件を定めることが適当という記述にしています。

 エのストレスチェック制度における産業医の位置づけですが、これはもう 1 つの検討会の中での整理ですけれども、今回のストレスチェックの制度について、情報管理のところで産業医と事業者の間で情報が共有できなくなるところです。そういったことで、これまでと異なる関係が生じうることになるということで、ストレスチェックに関する産業医の責任について以下のように整理が可能であろうとして、 2 つ挙げています。1として、今回、同意がない限り事業者に提供されないことについては、労働安全衛生法の規定によるところですので、ストレスチェックの結果が事業者に伝わらずに、その結果で就業上の措置が講じられなかったということであっても、産業医個人の責任が問われるような性格ではないということ。2として、産業医が結果が出た後に面談をするところで、自傷他害の恐れがあるなど、事業者に情報提供して必要な就業上の措置を取らざるを得ないと判断された場合については、本人の同意なく、結果を事業者に提供しても責任を問われない場合もあるものと考えられるということです。オの制度全体の評価と見直しについては、前回までの整理と同様の記載です。以上です。

○相澤座長 ありがとうございました。最後に、フローチャートがありますが、これも含めていかがでしょうか。御意見はございませんか。

○廣委員 エのストレスチェック制度における産業医の位置づけの所で、特に2ですけれども、これはストレスチェックの実施者として産業医が関与した場合の留意点ですよね。ストレスチェックの実施者というのは産業医以外にも保健師等がいらっしゃるわけで、保健師等について、こういう場合にどうすべきかという動きについての記載は、これまでどこにもないと思いますが、そこはいかがでしょうか。

○産業保健支援室長 多分、同様ではないかと思いますけれども、ここの記載については産業医としてということで記載したということです。

○廣委員 でも保健師等について、ほかの一定の研修を受けた精神保健福祉士とか看護師とかも同じように、この面接指導の対象とすべきかどうかの評価の面談をするというのが、実施者の中に入っていましたよね。そうすると同じようなことに遭遇する可能性はあるわけですよね。それについてどういうふうに動くのか。例えばそれを産業医に伝えて、産業医のほうからここに書いてあるようなことをしてもらうのか、ダイレクトに事業者に「これはやばいんだ、危ないから」と伝えるというのがありなのか、その辺についてこの文章には記載がないと思うので、少し記載していただいたほうがいいのではないかと思います。

○川上委員 この件ですが、別の委員会で特に産業医に関しては、この種の安全配慮義務の代行者としての位置付けが強いので、特出しでお願いしたようなところがあります。これ以外の方のこういう状況での情報管理はどういうふうになるか、私もよく分からないのですが、規定しなくても、例えば民法あるいは労働安全衛生法でカバーできるのだったら、それで済むかなと思いますし、私も分かりませんが検討する価値はあると思います。

○産業保健支援室長補佐 ここの話は恐らく刑法とか、そういう分野の話になってくるのですが、ただ、今、先生から御指摘があったとおり、最後に就業上の措置をやるかやらないかという判断を、ほかの例えば看護師なり保健師なりの実施者ができるかと言えば、それは無理だと思いますので、恐らく最終的には産業医に伝えてということになると思いますが、そこはこちらで整理させていただきたいと思います。

○相澤座長 これは明日の委員会もありますので、よろしくお願いします。ほかには、いかがでしょうか。

○川上委員  14 ページに戻って、 ( ) の面接指導の実施方法の所で、生活習慣と申し上げて少し検討を課長が言われましたが、ストレスチェックの制度がメタボの検診などと一緒になるのも多少奇妙な感じもしますし、その辺は分けたほうがいいと思いまして生活習慣を取り下げ、代わりに生活の状況みたいなことを入れていただくのは、いかがでしょうか。いつ寝ている、いつ起きている、借金をしているか、介護の問題があるかなど、仕事以外のストレスも、恐らくここに挙がってきた方は持っている可能性があるので、そういうのを提案して御検討いただけたらと思います。

○相澤座長 いかがでしょうか。生活の状況ですね。

○渡辺委員 流れ図にも関係するところですが、要するに高リスク者がまず選出されます。高リスク者の中で何がしかの情報を伝えて、医師の面接指導を受けることに同意した人が手を挙げて面接に行くわけですが、高リスク者で手を挙げなかった人に対して、中の文章でも相談窓口を広げてという文章がありました。ここでもう 1 つ、当たり前の話ですけれども、一般的な意味で言う産業医面談というのは当然受けられるわけです。したがって、産業医面談を受けることはできますということを、きちっと情報提供してあげることが必要だと思います。要するに何も事業主に情報を伝えてということではなく、一般的に産業医面談を受けることはできるわけです。したがって、一般的に産業医面談を受けることは可能ですよという情報を伝えてあげれば、手を挙げなかった高リスク者の人が、産業医面談を受ける可能性はかなり出てくるのではないかと思います。これは当たり前の話ですが、どこへも行けなくなるとか、産業医面談できないと思われてはいけないので、一応、そこを明確にしておいたほうがいいのではないかという気がします。

○産業保健支援室長 その件につきましては、 10 ページ、 ( ) 個人のストレスチェックの結果の通知の5に、申出によらず相談可能な窓口に関する情報提供 ( 社内の産業保健スタッフ ) と書いていますので、この辺りで読めるかなという気がしています。

○渡辺委員 それは理解しているのですが、いわゆる一般の産業医面談は当然、受けることができるということが伝わるかなと思って、ちょっとそこを心配したのです。

○羽鳥委員 産業医をやっていらっしゃる何人かの先生に聴いたのですが、多分、今、これを始めると、身体医学の産業医にとっては、慣れるまで数年間は業務内容が 2 倍から 3 倍になるだろうと想定されていて、もし外部委託しないとしたらそうなってしまうと思いますし、外部委託しても 2 倍ぐらいの業務内容だと思います。その費用負担というかコストの負担について、産業医が事業主に値上げを求めていいのでしょうか。どういうふうに交渉したらいいのでしょうか。仕事の内容で行く回数も増やさなければいけないでしょうし、そういうことを厚生労働省として担保してくださるのでしょうか。

○労働衛生課長 個々の産業医と会社の契約は民民の話ですので、行政から何か言う話ではないと思っています。かかった時間に応じて支払われているケースが多いと伺っています。それから今回、先ほどもちょっと申しましたけれども、なるべく簡便に実施することもできるように調査票はすぐ使えるものを用意するとか、簡易な集計ソフトを用意するということで、なるべく導入に関しての手間を減らすこともできるように工夫していきたいと思っています。

○羽鳥委員 例えば外部委託したら年間に 100 万円かかる所もあるわけです。そうしたときに、その 100 万円分を産業医 1 人でやったとしたら、それぐらいはもらえるかどうか交渉してもいいということですね。

○渡辺委員 私も前回、似たようなことで、これは産業医の仕事が非常に増えてしまうし、それなりの費用がかかることを、産業医も企業も覚悟しなければいけないという話をしました。ただ、言いたかったのは、ここは一次予防のところですから、ここにお金をかければ病気になる人が減るとか、あるいは企業の生産性向上にもつながるということで、最終的には企業の利益につながるものだろうと思っています。そういった意味で言うと、最初のお金はコストというより投資と考えていただくほうが、いいのではないかと思っています。

○相澤座長 その辺、説得していただいて。

○岩崎委員 その辺は、この制度を実際にそれだけの価値あるものに育てなければいけないわけですけれども、それが本当にどうかは、やってみなければ分からない部分もないわけではありませんので、そういう形で労使双方と産業医が納得できる形が望ましいと思いますから、投資する価値がある制度にすることが重要です。

○廣委員 今更ですが、もうちょっと整理をお願いしたいことがあります。それは健康診断の項目との差別化を何回かの議論でしていただいたのですが、事業者の努力義務にある THP の健康測定、あれも健康測定の結果を受けて必要な人に心理相談を行うことが規定されていますから、当然、健康測定の中でも心理的な面は聴かないといけないことになる。あちらは努力義務で、こちらは義務なのでレベルは違うのでしょうけれども、それの混同のようなものが発生する可能性がありますから、そこについても少し触れていただいたほうが現場で助かるのではないかと思います。

○産業保健支援室長補佐 今回のストレスチェックを踏まえて、今、御指摘のあった THP とか快適職場など、ちょっとこれまでの取組等の整理が必要なものがありますので、そういうものも今回、一応、まとめてもう 1 回見直しをしたいと思っています。

○相澤座長 ありがとうございます。いかがでしょうか。全体的なコメントもありましたけれども、あと数分ございますので、是非という御意見がございましたらお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。それでは、生活の状況ということを。もしなければ、大変熱心な御議論をありがとうございました。もう一度、 12 15 日にございますけれども、それまでに少し調整するところもあると思います。また明日、情報の委員会もございますので、そこで議論する内容も御指摘いただき、ありがとうございました。それでは、事務局から今後のスケジュールをお願いします。

○産業保健支援室長補佐 本日、いろいろ御意見を頂きましてありがとうございました。今日いただいた御意見、明日のもう 1 つの検討会でも御紹介して御議論いただき、今のところの予定では 12 15 日に取りまとめをしたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。本日はこれで閉会したいと思います。ありがとうございました。

○相澤座長 本日の検討会を終わります。ありがとうございました。


(了)

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