ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> ストレスチェック制度に関わる情報管理及び不利益取扱い等に関する検討会> 第3回ストレスチェック制度に関わる情報管理及び不利益取扱い等に関する検討会 議事録(2014年11月21日)




2014年11月21日 第3回ストレスチェック制度に関わる情報管理及び不利益取扱い等に関する検討会 議事録

労働基準局安全衛生部労働衛生課産業保健支援室

○日時

平成26年11月21日(金)15:30~17:30


○場所

虎ノ門SQUARE4階会議室
(東京都港区虎ノ門1-15-10 名和ビル4階)


○出席者

検討会参集者(50音順、敬称略)

相澤 好治 岡田 邦夫 川上 憲人
黒木 宣夫 砂押 以久子 高松 和夫
増田 将史 松原 稔 道永 麻里

厚生労働省

土屋 喜久 (安全衛生部長) 美濃 芳郎 (計画課長)
泉 陽子 (労働衛生課長) 井上 仁 (産業保健支援室長)
中村 宇一 (産業保健支援室長補佐) 寺島 友子 (中央労働衛生専門官)

○議題

(1)ストレスチェック制度に関わる情報管理及び不利益取扱いについて
(2)その他

○議事

○産業保健支援室長補佐 ( 中村 )  定刻より若干早いですが、各委員おそろいですので、第 3 回ストレスチェック制度に関わる情報管理及び不利益取扱い等に関する検討会を開始したいと思います。本日は上野委員、三柴委員が諸用のため欠席となっております。

 それでは相澤先生、よろしくお願いします。

○相澤座長 こんにちは。先生方、お忙しいところをありがとうございます。国会が解散しましたが、この委員会は粛々と進めていきたいと思います。よろしくお願いします。

 議題に入ります前に、事務局から本日の資料について説明をお願いいたします。

○産業保健支援室長補佐 本日は 3 種類資料をお配りしております。資料 1 が、前回議論していただきました事項について整理したものです。下線を引いた部分が、前回の議論を踏まえて修正した箇所になっております。

 資料 2 は「派遣労働者に対するストレスチェック等の実施に関する考え方」です。前回、一度御議論いただいたのですが、その後もう一度整理し直したということで、本日もう一度御説明をして御議論いただきたいと考えております。

 資料 3 は、本日新しく提示させていただいた論点です。不利益取扱いについての論点、それから行政への報告をどうするかという 2 つの論点について、新たに御議論いただきたいと考えております。よろしくお願いします。

○相澤座長 資料はよろしいでしょうか。それでは資料 1 「前回までに整理された事項」について、事務局から御説明をお願いいたします。

○産業保健支援室長 ( 井上 )  資料 1 に基づき御説明したいと思います。方向性や表現を修正した部分に下線が引いてありますので、その辺りを中心に御説明したいと思っております。 1 ページ目、「ストレスチェックについて」。 (2) が前回御議論いただいて、論点のままここに整理して記述したものです。

 続いて 2 ページ、この辺は御議論を基に修正した部分です。 (3) ストレスチェックの実施方法ということで、高ストレスの方を選定する方法として、調査票による数値評価のみで行う方法、それから数値評価に加え、実施者が、調査票が正しいかという確認をするような面談を行う方法が考えられます。これについては、ストレスチェックの方法ということで位置づけることが適当であろう。なお、ストレスチェックの実施者以外の者が面談を行う場合は、実施者が面談を行う能力があると認めた者に限るものとして、実施者の指示の下実施するということでまとめております。

(4) ストレスチェック結果の取扱い。この辺りについては前回御議論をいただき、それを基に表現はほとんど変えずに載せているところです。

3 ページ目、一番上の所です。下線を引いておりませんけれども、上から 5 行目に「外部機関から、事業者ではなく当該産業保健スタッフだけに個人のストレスチェックの結果を提供する際にも、原則として本人の同意を必須とすることが適当」とあり、下線部が抜けておりますが「原則として」という言葉を入れております。これにつきましては、本日欠席されております三柴先生から、医療従事者の方々同士については法令上の守秘義務がある。そういった方々同士で情報のやり取りというのは可能な場合もあろうということで、「原則として」ということを入れてはどうかという意見を頂いており、これを書いたということです。

 その下、「ストレスチェック結果の保存方法」については、 5 年間という期間を入れております。

(5) ストレスチェック結果の活用の「個人結果の活用」で 1 つ目の○。前回御議論いただいた文章について、少し修正を加えております。「ストレスチェックの結果の通知を受けた労働者に対して、相談の窓口を広げ、相談しやすい環境を作り、適切な対応を行う観点から、産業医と連携しつつ保健師、看護師等による相談対応を行うことが望ましい」。これは、もう 1 つの検討会との共通ということで書いております。

4 ページ目を御覧ください。「事業場内ルールの策定」につきましては、これももう 1 つの検討会と共通ですけれども、一部、2の「共同実施者」の明示や、9の「開示等の業務に従事する者の守秘義務を含む」といったことを付け加えております。

 下の方の○の下線部、「当該窓口を外部機関に設ける場合も含め」というところ、それから「必要に応じて当該窓口のスタッフが、企業内の産業保健スタッフと連携を図ることができる」と加えております。

5 ページ目が 2 「面接指導について」です。前回、これについて御議論いただいたところです。まず 1 つ目の○。申出がなされた際については、事業者が高ストレスかどうかを確認するための把握の方法です。1が、労働者本人から個人のストレスチェックの結果の提出を求める方法。2として、ストレスチェックを行った実施者の方に、その労働者が高ストレスかどうかを確認する方法。この 2 つの方法が適当ではないかと整理をさせていただいております。

2 つ目の○。高ストレスと評価された労働者のうち、申出を行わない労働者に対しては、実施者が申出の勧奨を行うことが適当だろう。まずは実施者のほうが、ということでございます。

3 つ目の○。必要に応じて、本人の同意があって、事業者が評価結果を把握している場合については、申出の強要や不利益な取扱いにつながらないように留意しながら、事業者が勧奨することも可能ではないかと整理しています。

 実施者以外の者が勧奨を行うことについては、ストレスチェック実施の事務に従事した者に限って可能とすることが適当ということで書いております。

 続いて (2) 面接指導の結果の取扱いです。これについては一番下、 3 つ目の○の最後の部分を御覧ください。「この場合、当該産業医限りで、必要最小限の医療情報の提供を受けることは差し支えない」。これにつきましても、三柴委員から医療従事者同士の情報のやり取りはあり得るということで、こういうことを付け加えてはどうかという御意見に基づきまして付け加えたものです。下線が抜けております、申し訳ございません。

6 ページ目、 (3) 面接指導結果の保存方法です。事業者に 5 年間保存させることが適当であろう。そこにございます1から7まで、面接指導の実施年月日、労働者の氏名、実施した医師の氏名、当該労働者の勤務の状況や心理的負担の状況、その他労働者の状況、それから医師の意見というものを保存することが適当だろうということです。

3 「産業医の責任のあり方について」、これは前回議論をいただきました。論点で挙げたとおりここに記述させていただいております。資料 1 については以上です。

○相澤座長 ありがとうございました。それでは「前回までに整理された事項 ( ) 」について、御意見あるいは御質問がありましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

○砂押委員  1 ページの一番下の○、ここは実施者である医師、産業医等に、事業者がもつ指揮命令が委任されると考えられるのでこれでよろしいと思います。ただ第 104 条、「実施の事務に携わることで知り得た情報」というところですけれども、上の (1) の1で、事業者は履行状況を把握し、また受検を促すことも第 66 条の 10 1 項所定の事業者の義務と観念するわけですよね。そうしますと、事業者が履行状況等の情報をどこから情報を得るかといいますと、やはり事務に携わる者、あるいは実施者かどちらかということになると考えられ、どうしても事務に携わる者から情報収集する必要性がやはり出てくると思われます。 ですから、事業者が、履行状況を把握し、従業員に受検を促す義務を履行する限りで事業者に情報を伝達できる仕組みにしないと、事業者が状況把握等の義務を果たせないことになってしまいますすし、また労働基準監督署にその旨いろいろ伝えるようなことも考えられているようですが、その情報につきましても、第 104 条従業者の知り得た情報全てになってしまいますと、事業者が情報を取得できないという不都合が生じるのではないでしょうか。

 もう一点、事業者が履行状況を確認するということですが、この情報の内容ですが、人数だけなのか、あるいは受けた個々の労働者の氏名も確認すべき事項とするのか。その後を読みますと、いろいろ受検率を上げるために努力することも義務ということになると、やはり誰が受けたか知ることがその前提となるようにも受け取れます。その点がどうなのかと思いまして質問させていただきます。

○産業保健支援室長補佐 ありがとうございます。論点の書き方が悪かったのかもしれません。 1 ページ目の (2) 3 つ目の○、「実施の事務に携わることで知り得た情報」と書いてしまったのですが、法令上、正確に言うと「知り得た労働者の秘密」になっています。そちらに直した上で、労働者が受けたかどうかの情報というのは秘密ではないという整理でこれまで来たと思います。そこは表現を修正したいと思います。

 もう 1 つ御質問がありました個々人の名前まで把握するのかということですが、一応これまでの議論であれば、受けたか・受けないかという情報であれば、個々人についても把握していいのではないかという整理だったと理解しています。

○相澤座長 よろしいでしょうか。他にはいかがでしょうか。

○岡田委員  3 ページ目の (5) の「個人の結果の活用」の新しく下線を引いてある部分です。この解釈の仕方なのですが、いわゆる高ストレスという通知を受けて本人が事業主に面接を申し出ない場合、その方たちが産業医に健康相談として受けてもいいと解釈してよろしいのでしょうか。ということは、産業医と本人の間だけで解決してしまう可能性があるのですが、事業主に申出がないという解釈でよろしいでしょうか。そうすると、以前ちょっとお話したように、いわゆる医師の不作為行為とか、明らかに高ストレス者と分かっていながら本人が申し出ない場合、申し出るまでの間で産業医と保健師がケアをして、必要であれば紹介状を書いたりとか、適切な専門機関に紹介するということであれば、医師のモヤモヤしたものがかなり排除されるのではないかと思います。これはそういう解釈でよろしいでしょうか。

○産業保健支援室長 そこの部分は、これに含まれるということで考えております。

○黒木委員 確認ですが、 (3) の「実施者が面談を行う能力があると認めた者に限る」、これは医師以外でもということでよろしいのですか。

○産業保健支援室長 実施者以外の人がやるときは、実施者のほうがこの人は大丈夫だと認めた、能力があると認めた方であればよいという趣旨です。

○黒木委員 医師以外でも構わないと。

○産業保健支援室長 はい。

○増田委員 同じ所なのですが、面談を行う能力があると認める、指示をするとあります。医師なら問題ないと思います。保健師も最初から有資格者になっているからいいかと思います。それ以外、一定の研修を受けないと実施者になれない人にまで認める権限を付与するのは、違和感があるのですが、それでも認めていいという解釈なのでしょうか。確認させてください。

○産業保健支援室長 ここに書いたのはそういう想定ですが、その辺り、もしもそれはどうかという話でしたら御議論いただければと思います。

○増田委員 一定の研修を課さないと実施者になれない人に、ここまでの権限を認めるというのは際限なく、確か前回、例えば事務に関わる人でも面談していいという想定だと伺ったのですが、それはちょっと広げ過ぎなのではないかと思います。

○黒木委員 一応、専門家ということですよね。

○相澤座長 事務以外で一定の研修を受けた看護師とか。

○増田委員 臨床心理士などにストレスチェックに関係する面談を行う道を開くということだと思うのですが、研修を受けないと駄目な人にまで権限を認めていいのかどうか。

○相澤座長 外部機関で実際にやっている所は、医師と連携してやっているということであればいいということでしたよね。「実施者指示のもと」という文言も付いていますが、どうでしょうか。

○産業保健支援室長補佐 ここは事務局としては、一定の研修を受けなければならない方も受けた後の時点では実施者となる能力がある人ということで、差を付けるのは難しいかなという理解でここを書きました。例えば、現場や専門家の感覚として、やはり違和感があるということであれば御意見を頂ければと思います。

○相澤座長 いかがでしょうか。

○川上委員 この件ではないのですが発言します。今、迷っていますけれども、実施者が面談能力があると認めた者に限る必要というのは、実施者が行うものを代替わりさせるので、面談を行う者にはその能力があるというように責任を持って行わなければいけないという意味なら、このままでいいような気がします。しかし、対人サービスの資格のない方に少し広がってしまう可能性は、増田先生の御意見のとおりですね。

○相澤座長 他に何かこの件でいかがでしょうか。御経験のある先生方は。もう 1 つの委員会では一応こういうことになったのでしょうか。

○労働衛生課長 実施者のほうは、看護師、精神保健福祉士についても、一定の研修を受けて実施者となる資格を得れば同等と考えています。実施者の指示を受けて面談を行う人については、指示があればいいのか、やはりその人に一定の能力が必要だろうという議論でした。ただ、国家資格保持者などに限ってしまうのはちょっと厳しいということもあり、実施者がそこを担保するという形にさせていただいているということです。

○道永委員  2 行目に「数値評価に加えて補足的に実施者等が確認等のため」と書いてあります。この「等」というのは、下から 3 行目の「実施者が面談を行う能力があると認めた者」と解釈すればよろしいのでしょうか。その説明と考えればいいですか。

○労働衛生課長 補足します。今、道永先生がおっしゃった確認のための面談というのは、ストレスチェックの調査票を見て、そこに書いてある中身についてその方に改めて確認する必要があるような場合にするという、確認程度のことという議論になりました。

○相澤座長 今おっしゃったのは、実施者等の「等」が実施者以外も認めた人という、下のほうに掛かっているかどうか。どうでしょうか、何かこれについて御意見はありますか。

○岡田委員 通常は守秘義務が課せられている人ということで、過去の会社では看護師、保健師が一次面接のときのデータをもう一度確認することをしていました。でも、それ以外の人がそこに関与するということは想定していませんでした。今のお話で一定の資格があればということは、心理職の方も入れると。一次面接の質問票のデータで、この人が高ストレスかどうかを判断するときは、心理職の方も入っていいという判断でよろしいのでしょうか。

○労働衛生課長 ここは判断をするというよりは中身を確認する、点検・確認といったことでした。判断までは入ってこないと思います。

○岡田委員 でも、最終的にはストレスの質問票を見て YES NO 4 段階書いてありますけれども、それを最終的にはチェックしますよね。そこで変更が出てくる可能性がありますよね。

○労働衛生課長 その判断は、最終的には実施者の役割になります。

○岡田委員 実施者であれば、いいのですよね。

○労働衛生課長 それを点検・確認する実施者の補助的な役割というところで、それを実施者に全部やれというと無理でしょうから、そのお手伝いの方は想定されるだろうということです。

○岡田委員 分かりました。

○松原委員 受ける側からするとやはり面談という形になりますので、「この人誰なのだろう」と、全く知らない相手に不安を覚えてしまうような人が面談を受けると、本当に面談相手を信頼して話していいのかということも出てくるのではないかと思います。例えば事例としてどういう資格を持っている、どういう職を担っているとか、そういった内容を記載していただくというのはいかがでしょうか。

○相澤座長 それは可能ですか。看護師とか心理士とか。

○労働衛生課長 検討いたします。具体的な資格名を書くのか、考え方を書くのかというところもありますので、考えさせていただきます。

○相澤座長 行政の方に、考えていただくということで。他にありますか。

○岡田委員  5 ページの (2) の上に、「実施者以外の者が勧奨を行う」ということが記載されております。この実施者というのは、記載するときに 1 人でなくても、共同実施者という連名でストレスチェックを実施してもよろしいのでしょうか。例えば、共同で医師・保健師が実施者となって、若しくは一定の研修を受けた看護師が共同実施者となって実施をする。その実施者の名前において、先ほどちょっとお話していましたけれども、面接の結果ももう 1 回再チェックするというか、再確認するという役割も担わせるということであればうまくいくように思います。実施者は 1 人とは特定されないということでもよろしいのですか、共同実施者が明記されていてもよろしいでしょうか。

○産業保健支援室長 それは構わないと考えています。

○高松委員  3 ページの (5) ストレスチェック結果の活用ですが、個人の結果の活用について検討会としての共通の論点を文書に入れていただいたことは、非常によろしいかと思います。ただ、そうなってくると、前回は余り気にならなかったのですが、 4 ページの「集団的な結果の活用」には、個人の活用と比べ、効果的な活用についての記載がない気がします。例えば、せっかく事業者と労働者という立場がありますので、安全衛生委員会等を通じて、職場改善につなげるような活用があるのではないかと思っております。過重労働の対策やパワハラ、セクハラ対策となりますと、事業者だけではなかなか実態把握が難しいので、せっかくですから、「集団的な結果の活用」にも活用内容を加筆していただければと思います。これは意見です。

○産業保健支援室長補佐 今回載せていなかったのですが、もう 1 つの検討会の方でそこは議論しております。

○高松委員 そうですか。

○産業保健支援室長補佐 次回お示ししたいと思います。

○相澤座長 よろしいですか、他にはいかがでしょうか。

○増田委員  5 ページの (1) 、一番最初の○の1当該労働者から個人のストレスチェックの結果の提出を求める方法とあります。これで把握するということなのですが、細かい点なのですけれども、これを拒否された場合、つまり面接指導は受けたいけれども結果提出は嫌だと言ってきた場合はどうなるのでしょうか。その場合は面接指導を事業者は行わなくていいということになるのか、その辺りを確認させてください。

 というのは、実際そういうことが起こり得そうでして、例えば先ほど岡田委員が質問されたところ、会社には結果を知らせず、労働者と産業保健スタッフだけでやり取りが完結ということを企図する、そういう事例が出てくるのではないかと思ったものですから。

○黒木委員 先生、実施者は分かっているわけですよね。実施者は分かっていて、結果を渡すのが嫌だと。しかし面談は希望すると。

○増田委員 そうです。制度の立て付け上は事業者に結果を申し出て、結果をそのとき提供して、その後。

○黒木委員 そうすると、事後措置もできるということになりますよね。

○産業保健支援室長補佐 2というのは、そういう場合に活用できるのではないですか。

○増田委員 2の場合は本人が嫌だと言っていても、申出があったので、実施者から本人の同意なく結果をもらってしまっていいということでよろしいでしょうか。

○産業保健支援室長補佐 一応、整理としては、面接指導の申出をするということは、ストレスチェックの結果を知られることを前提でやっていただくという整理をしようと思っています。

○労働衛生課長  2 ページの (4) ですよね。

○産業保健支援室長補佐  (4) の3です。

○増田委員 同意がなされたと解釈するということで、実施者から提供。要は、申出があった時点で本人が嫌だと言っても結果提供を受けているという理解で、ということですか。

○労働衛生課長 そうです。

○増田委員 やはり、事業者には知られたくないけれど面接指導は受けたいという人は出てくるのではないかと思います。昨日、資料を拝見していて、そういうことが現場として起こるのではないかと思ったものですから、付言させていただければと思った次第です。

○相澤座長 いろいろなケースがありますから。

○岡田委員 その場合はストレスチェックの結果の出し方で、あなたは高ストレス者ですという 1 枚と、具体的な内容の 2 枚に分けて、事業者に出す分と本人の保存とを分ければいいだけのことですよね。細かいストレスの内容については事業者に知らせる必要は全くなくて、事業者は高ストレスかどうかだけ知ればいいわけです。だから、細かいことは本人の保存にして、高ストレスですという 1 枚を本人が出せばいいだけのことですので。それぞれ何点とか職場の支援があるとかないとか、そういうところは事業者に出す必要は全くないと思います。実施者がトータルとして、あなたは高ストレスなので医師による面接指導を受けてくださいという通知を出せばいいだけであって、細かいことを出すところには職場の支援がないからとかいうのが事業者に分かりますから、そこは出さなくてもいいように思うのですが、いかがでしょうか。

○増田委員 実施者側でそのような配慮をして、細かい点数を書かれたものと、ストレスが高い低い、 0 1 のデータの結果を出すという、工夫に委ねるということですね。

○岡田委員 はい、その方がいいのではないでしょうか。

○増田委員 分かりました。同じ所でもう 1 つあるのですが。 (1) 2 つ目の○、「面接指導の申出を行った労働者の情報を、事業者から実施者に提供することを可能とすることが適当」とあります。面接指導の申出を行った労働者の情報は、前回、私は連絡先と捉えて、直接連絡を取るのだったらメールアドレスや住所などを知らせることになるので適当ではないと申し上げましたが、ここの情報は、申出の有無があったかどうかに限定するということでよろしいでしょうか。

○産業保健支援室長補佐 はい、そういう趣旨です。

○増田委員 そうであれば、情報でなくて申出の有無といった具合に明記していただけたら、分かりやすくなるのではないかと思います。お願いいたします。

○相澤座長 申出の情報を労働者の申出の有無をということです。ありがとうございます。他はいかがでしょうか。いろいろございました、よろしいですか。

 次に、前回論点として残りました派遣労働者の取扱いについて議論をお願いしたいと思います。資料 2 「派遣労働者に対するストレスチェック等の実施に関する考え方」について、事務局から御説明をお願いします。

○産業保健支援室長 資料 2 に基づき説明いたします。前回、派遣労働者の取扱いということで資料をお示しし、派遣元が派遣先に委託してやる場合、どういった情報のやり取りになるだろうということで御議論いただきました。その結果を踏まえ、今回、再整理をいたしました。前回の議論の後、事務局で派遣事業の業者の中で産業医をされている方に現状を伺いましたが、派遣先から情報を得るなどということは、実際上はなかなか困難であることを伺いました。そういったことも踏まえて「基本的な考え方」ですが、今回のストレスチェックの制度ですが、個人的にストレスチェックを行った者に対して、その本人に対する個人対応、それから職場環境の改善、集団分析を行って職場の環境の改善を行うという集団対応の 2 つの面があろうかと思います。

 個人対応については、法律上も派遣元の義務となっておりますし、継続的な労働者に対するフォローや就業上の配慮などを考えますと、派遣元が実施するのがいいのではないかと。もう 1 つの集団的な対応については、実際にその派遣労働者の方が働いている職場での対応となりますので、その職場を持っている派遣先が実施することが適当ではないかということで、整理を書いております。

 派遣先において、自社の労働者に対してはもちろん義務がかかるわけですが、自社の労働者に対してストレスチェックを行うことに併せて、派遣労働者にもストレスチェックを実施することが望ましいのではないかということで、書かせていただいております。

 その下が図にしたものです。派遣元については、これまでも説明しておりますストレスチェックの制度、ストレスチェックを実施してその結果に応じて、申出があった際には産業医などが面接指導を行って、その意見を基に就業上の措置を講じます。派遣先においては、自社の労働者と併せて派遣労働者についてもストレスチェックを実施し、その結果を集団分析を行って、職場環境の改善につなげるといった整理でどうかという提案です。派遣労働者については、派遣元の行うもの、それから派遣先で行うものと 2 回ストレスチェックを受けることになろうかと思いますが、情報の扱いなどで非常に難しいということを考えますと、このほうが現実的ではないかということです。

 それから、裏面にいきまして、「派遣労働者に対する就業上の措置について」です。就業上の措置を派遣労働者について行うに当たっては、 2 点ぐらい留意する事項があるのかなと考えております。下の○の中にポツが 2 つありますが、派遣契約の中ではあらかじめ業務内容や就業場所といったものは特定されておりますので、派遣元が一方的にそれを変更するというようなことはなかなか困難である。それから、就業場所の変更や作業の転換をするためには、派遣契約の変更が必要になってくる場合があります。派遣先の同意が得られない場合にはなかなか難しいこともありますので、派遣先を変更するといった措置も必要になる場合も想定されます。

 こういったものを踏まえると、就業上の措置を実施するに際しては、派遣先との連携が非常に重要であろうと。連携をしながら適切に対応する、とすることが適当ではないかということです。前回と整理が変わりましたが、こういったことでいかがかということで、提案をいたしました。以上です。

○黒木委員 そうすると、 2 回同じテストを受けることになりますか。

○産業保健支援室長 同じかどうかは分かりませんが、派遣元の項目で一度、それから派遣先の項目でもう 1 回ということになろうと思います。

○黒木委員 そうすると、派遣元は高ストレスであることを判断し、面接を派遣元で行うということですよね。そうすると、派遣先は一応高ストレスということが分かっていて、それに対してはあまりアプローチはしなくてもいいということになりますか。

○産業保健支援室長 いえ、派遣先のほうは、その方が高ストレスかどうかという情報も得る必要もなく、対応する必要もないということです。

 

○黒木委員 対応しなくてもいいと。

○産業保健支援室長 はい。職場環境の改善のデータだけ取ればよいというようなことです。

○相澤座長 他はいかがですか。

○砂押委員 以前は何か委託契約などの話も出ていましたが、そういう何らかの義務付けの法的根拠はないのですか。そうしますと、あくまでも派遣先の任意で取り行うということで、何ら法的な強制力はないということのなりますよね。義務を負っているのは派遣元ですから、派遣先は、自社の労働者には義務を負いますが、派遣の人には義務を負っていないということで、やれたらやってくださいということなのですか。

○産業保健支援室長 そこは望ましいということになります。

○黒木委員 派遣元であった高ストレスというのは、その実施者、派遣先には来るわけですね。それは、もう来ないと。

○産業保健支援室長 派遣元でやった情報は、もう派遣先には行かないという整理でいかがかということです。

○産業保健室長補佐 派遣先と派遣元の情報のやり取りは、もう基本的にはやめましょうという整理です。

○黒木委員 分かりました。

○川上委員 今の点ですが、この基本的な考え方は整理がクリアで、一般的にはこのほうが正しいと思います。前回も討議したような、派遣元が派遣先の産業医にストレスチェックを委託という方法は駄目ということになったのですか。それとも、まだそういう方法をやっても構わないというものが残っているのでしょうか。

○産業保健支援室長補佐 位置づけとしては、派遣先に委託することを禁止するわけではありません。ただ、推奨することはやめたほうがいいのではないかという趣旨です。

○高松委員 今の川上委員のお話と同じで、二度やることでこういう形にすることは非常に分かるのですが、ただ派遣先が派遣元との委託契約を結んだ上で、これもやるということが可能であれば 1 回で済みますから、そういう道筋を禁止するのではなく、推奨はしないまでもそれは可能だというところは、しっかり残しておいてほしいという意見です。

○相澤座長 情報が非常に複雑なことになるのですが、それも残しておくということですかね。他には、この派遣についての御意見はありませんか。よろしいですか。

○黒木委員 派遣先で面談をやってはいけないということではないのですか。

○相澤座長 ではないですね。

○産業保健支援室長補佐 補足で御説明いたします。前回は、派遣先でやってもいいのではないかという感じで議論していたのですが、前回お示しした絵のとおり、非常に情報の行き来が複雑になることと、もう 1 つは派遣労働者はいろいろな会社から受け入れているもので、この情報はこの派遣元、この情報はこの派遣元ということになると、どこかで情報の漏れや事故が起こるのではないかという御指摘を現場の方からも頂いております。ですから、あまり複雑なやり方を想定したものを推奨するのは難しいのではないかという判断です。

○相澤座長 ありがとうございました。次は、本日の新しい論点についてです。資料 3 で議論をしていただきたいと思います。論点としては、不利益取扱いと行政への報告の 2 つですので、 1 つずつ議論していきたいと思います。事務局から、 3 「不利益取扱いについて」の説明をお願いします。

○産業保健支援室長 不利益取扱いについて、資料 3 に基づき説明いたします。まず、 3 (1) 法律上明示的に禁止されている不利益取扱いということで、安全衛生法の第 66 条の 10 3 項で、労働者が申出をしたことを理由として不利益取扱いをしてはならないとなっております。この辺りは、どういう趣旨かということで整理しております。1は、労働者が面接指導の申出を行いやすい環境を整備するということで、こういったことを禁止している。2は、この時点で事業者として持っている情報が、ストレスの状況、この労働者が高ストレスであるということだけですので、それだけで就業上の措置が必要かどうかであるとか、どういった内容が必要かということは判断することはできないだろうというようなことで、こういった法律上明示的に書いてあることを整理いたしました。

(2) 禁止されるべき不利益取扱いです。法律では申出をしたことによる不利益取扱いしか書いてありませんが、それ以外です。ここに 3 つ挙げてありますが、これについては合理的な理由がないだろうというようなことで、事業者が行ってはならないものという整理としてどうかということです。1は、ストレスチェックを受けない労働者に対し、受けないことを理由として不利益取扱いを行うこと。2は、ストレスチェック結果の提供に同意しない労働者に対して不利益な取扱いを行うこと。3は、面接指導の要件を満たしているのだけれども、面接指導の申出を行わない労働者に対して不利益な取扱いを行うと。こういったものは、合理的な理由はないだろうというようなことで整理をしてはどうかということです。この理由以外の理由でも、実質的にはこれという場合については、行ってはならないのではないかということです。

2 ページ目は、こういったものに加え、今回のストレスチェックの結果に基づいて事業者が講じる措置の中には、労働者としては一定の不利益が生じ得ると。ただ、健康確保の必要性が高いというようなところで合理的な取扱いも考えられるということで、禁止されるべき不利益取扱いについての考え方の整理が必要であろうと。例えば、次のような整理が考えられるのではないかということで書いております。

 1は、今回の制度は、面接指導を行ってその結果に基づいて医師の意見を勘案し、必要な措置を講じるということになっておりますので、こういった手続、プロセスを経ずに就業上の措置を講じてはならないのではないか。そういった措置を講じる場合については、労働者の意見を聴いて十分な話し合いをして、了解を得られるように努める必要があると。このなお書きについては、健診の事後措置指針にも書かれているようなことです。

 2は、当該労働者の健康保持に必要な範囲を超えたような措置は講じてはならないという整理でいかがかということです。例えば a として、面接指導の結果を理由として解雇、契約の更新をしない、退職の勧奨を行う、不当な動機・目的をもってなされたと判断されるような配置転換・職位の変更。例えば、辞めさせようとして配置転換するというのは避けるべきものではないか。 b として、医師が事業者に述べた必要な就業上の措置と、内容・程度が著しく異なる措置。そして、労働者に不利益な取扱いとなるものは避けるべきだろうと。 c として、関連の法令の定めや、判例等に反するような措置を講じることは避けるべきものであろうと。例えばということで、こういったことで整理をしてはどうかということです。不利益取扱いについては以上です。

○相澤座長 では、不利益取扱いについて御議論を頂きたいと思います。最初の (1) の法律上明示的に禁止されている不利益取扱いということで、これについてはいかがでしょうか。何か御意見はありませんか。よろしいですか。それでは、 (2) の禁止されるべき不利益取扱いの1~3です。

○岡田委員  2 ページの1ですが、若干これを読んでいまして疑義があるのですが。「こうしたプロセスを経ずに就業上の措置を講じてはならないこと」と書いてありますが、たまたまストレスチェックを受けた後に働いている方の体調が悪いということで、労働安全法の第 65 条の 3 を適用して、就業上の措置を講じるということはあり得るのかなと思うのですが。事業者は労働者の健康に配慮して、労働者の従事する作業を適切に管理するように努めなければならないという条文がありますので。これだけを見たら、何か就業上の措置は講じてはならないというのは、医師の意見を勘案しないと駄目であるというのは少し引っ掛かるのですが、この辺りの解釈はいかがなのでしょうか。

 上司が体調が悪そうだといったことで、当然措置を取りますよね。たまたま、それがストレスチェックの後であったときに、医師の面接指導を受けていないから、それは不当な就業上の措置であると言われることは、ちょっとこれは。上司もいわゆる安全配慮義務を履行する上で、体調が悪そうだからちょっと残業やめたらどうかとか、深夜勤務やめて様子みたらどうかということが不当な取扱いになるかどうかというのは、若干、私も問題があろうかと思うのですが。ここの表現の問題だろうと思うのですが、いかがでしょうか。

○産業保健支援室長補佐 これまでの議論の整理では、今回ストレスチェック制度の中では、ストレスチェックをやった後に最後に医師の意見をきちんと聴かないと措置を講じてはいけませんよ、という整理をしてきたと思います。例えば、ストレスチェックの結果だけで何かやってはいけませんとか、その後、看護師に合わせて、それだけで措置をやってはいけませんよという整理をしてきまして、最終的には措置を講じる場合には医師の意見を聴いてくださいということの整理との関係で、ここに記載させていただいたという趣旨です。

○岡田委員 あくまでも、ストレスチェックをしたという事後措置として、こういう考え方ということでよろしいですね。

○産業保健支援室長補佐 そういう整理です。

○岡田委員 分かりました。

○相澤座長 それ以外の一般的な健康管理上のことはいいわけですね。他にいかがですか。

○増田委員  (2) 以降全般なのですが、“労働者にとって”不利益な取扱いと記載されています。“労働者にとって”とか、“事業者にとって”という表現、もっとも“事業者にとって”という表現は文中にはありませんが、誰々から見てこうだというものは、当事者の主観にかなり大きく左右されてしまい、具体性に欠けて混乱を来たすもとになると思います。「労働者にとって」という書きぶりは、削除若しくは修正していただけたらと思っています。もちろん、趣旨は分かるのですが、産業保健の現場にいると、どうしても産業医に会いたくないとか、健康診断を受けたくないという従業員に遭遇します。ストレスチェックを受けたくない従業員が受診勧奨そのものがハラスメントだと言ったら、それが通用してしまうことになってしまいます。この書きぶりなら、際限なく不利益な取扱いだと拡大解釈され兼ねないと思っています。

○産業保健支援室長補佐 具体的に、どう修正するイメージでしょうか。

○増田委員 例えば、 (2) の1、2、3とあります。1はストレスチェックを受けないことを理由とするもの。2は、ストレスチェックの結果の提供に同意しないことを理由とするもの。3は、面接指導の要件を満たしているにもかかわらず、面接指導の申出を行わないことを理由とするもの、ぐらいで普通に意味が通ると思います。それから、 2 ページの a の例えば (a) は解雇、 (b) は契約打ち切り、 (c) は退職勧奨とすれば分かりやすいです。 (d) と次の b は人事権の濫用ですね。そういった形で、労働者から見てどう、事業者から見てどうではなくて、一般用語で十分表現可能なのではないかなと思いますので、そのような表記にしていただければと思います。全部「労働者にとって」が入っていますので、労働者からしたら、ハラスメントに感じたのだ、強要に感じたのだと言われたら全部それは成立してしまう、そう取られ兼ねない表現ではないかという気がしています。

 もう 1 点は、不利益取扱いの定義なのに、語尾が「不利益な取扱いを行うもの」と同義語反復、トートロジーになっていますので、それもやはり表現としてちょっとおかしいのではないかと思います。

○産業保健支援室長補佐 ここで、労働者にとって不利益な取扱いと書いている趣旨は、労働者に対してプラスの措置なのか、マイナスの措置なのかという趣旨で書かせていただきました。

○計画課長 客観的に見て、不利益かどうかということと、それが合理的かどうかということは多分違うのだと思い、そこが分かるように労働者にとって不利益かどうかということで書いているのですよね。

○産業保健支援室長補佐 そうです。

○高松委員 労働者側の立場から読んでいる分には、全く違和感がありません。このままの記載とすべきです。

○相澤座長 労働者の健康を守るためのものですからね、文章的にはそうなるのでしょう。

○増田委員 第 1 回以降の議論では、恐らく、このストレスチェック制度は労働者が喜んで受けるものだという前提があるのではないかと、ときどき感じます。現場にいますと、必ずしもそうではない一部の従業員は、ときどき産業医の面談を忌避するとか、場合によっては健康診断ですら受けようとしないということがありますので、そういうトラブルが出てきたときに、「労働者にとって」という表現が出てくると、せっかくこちらは一生懸命やろうとしているにもかかわらず、逆手にとられるということにつながり兼ねない、という懸念から申し上げています。

○岡田委員 それは、職場の環境の問題ではないのでしょうか。喜んで受ける、受けないというのは、職場の環境がどのように醸成されているかが一番問題で、受けたくないという環境であったら、もともとストレスチェックはする必要がないと。もともとそこにストレスがあるわけですから、受けたくないというストレスが既に存在しているわけで、その職場の環境をまず醸成するところから一次予防対策をすべきであって。

○増田委員 その通りですが、既に法改正でストレスチェックをやらなければいけないということになっていますから。

○岡田委員 だから、それは嘘を書くわけでしょ、結局は。受けたくない環境で受けざるを得ないということは、皆虚偽の申告をするわけで、それこそ投資の効果が全くないわけですよね。ですから、皆さんが喜んでということは、職場の環境が改善できるようなストレスチェックの回答をしてもらうように事業主が働きかけないといけないわけで、そうしない限りは職場の環境改善は図れないわけですから。今、先生がおっしゃったように、もし健康診断を受けないとかストレスチェックを受けないとか、高ストレスであっても事業者に申告しないというような職場風土というのは、恐らくもう既に何か問題があるわけで、そこから管理職の研修などを始めて、改善していくことに意味があるように思うのです。もし、そういう方々がたくさんいらっしゃる場合は。

 ですから、そこを問題点として、ストレスチェックがきちんと受けられるような職場環境を作っていくと。これは、かなり時間はかかるのですが、それを積み上げていって、結果としていいストレスチェックの結果が出て、職場環境がより改善されるように結び付けていくというのが本来の、理想論ではありますが、ここへもっていかないと全く企業として多額のお金をかけてストレスチェックをする意味がないと思うのですが、いかがですか。

○増田委員 先ほど申し上げたのは、普段、産業保健の現場にいる者が感じる観点です。今、理想論とおっしゃられましたが、理想論まで持ち出されたら、ちょっとそれ以上反論のしようがありません。

○高松委員 労働側としてずっと主張してきたことは、増田委員と意見が相違する内容ではなく、御承知のように、 50 人未満の中小事業場のほうがいろいろな意味でストレスの問題をはらんでいますから、 50 人未満も義務化してほしいという流れで建議が立ちましたし、労働者としては、しっかりと義務化されるぐらいのレベルで受診すべきだという思いですので、基本的なスタンスは全く変わっていないと思っています。どこかの場面で申し上げようと思っていたのですが、そういう意味では労働者への理解促進をさせるための、受けることを前提の周知・徹底であったり、あるいは事業者や管理者クラスへの、このストレスチェックの必要性についてのいろいろな意味での教育を盛り込んでいきながら、これは当然受検するものだという風土を作らなければいけないと思っておりましたので、増田委員の意見を決して否定するものではありません。

○砂押委員 最近はパワーハラスメント訴訟が増えており、裁判例を読みますと、勧奨されると強制された、これはパワハラだという人は、何を勧めてもパワハラと捉えるので、この問題に特化したものではなくて、そういう問題が起こり得ますので、このように「労働者にとって」などと書くと誤解が生じることにもなるのかもしれません。一般的に労働者の不利益とは、本人が主観的に思うかどうかではなくて、先ほど御指摘もありましたように、客観的、通常人が同じ立場に置かれてそれが不利益か否かということを、いろいろな状況を総合判断しますので、ここでは、言葉尻を捉えられないようにした方が良いのかもしれません。

○相澤座長 いかがですか。

○増田委員 私の主張、お願いですが、別にここに記載された内容を全て否定するものではありません。ただ、労働者の観点でと書かれる所だけは、ちょっと御一考いただきたいという趣旨です。

○相澤座長 必要なところをもう 1 回少し考えたらよろしいと思います。文章上のことですね。

○労働衛生課長 文言は誤解のないようには考えたいと思います。今の論点で、例えば強要に当たらない範囲で勧奨ができるとか、そういうことは既に他の所にも書かれておりますので、御懸念が他のところの記述で払拭できている部分もあるかもしれませんので、少し整理いたします。

○相澤座長 他にはいかがでしょうか。

○増田委員 一番最後の所なのですが、 c 「労働契約法などの関連法令の定めや判例等に反する措置を講じること」のところの判例についてです。たった漢字二文字なのですが、どこまで参照すればいいのでしょうか。数多くの判例があるかと思いますし、どれが関連する法令なのかもこれだけだと分かりません。それを、やはり中小企業の人事担当者まで含めて過去の判例に照らし合わせるのを求めるのは、かなり困難ではないかと思います。もう少し具体的にするか、趣旨としては労働契約法などの関連法令の定めで網羅されると思いますので削除いただくか、その辺りを少し御配慮いただければと思います。

○砂押委員 その点についてなのですが、 2 ページの下の a (a)(b)(c)(d) ですが、これは全て労働契約法に入っていること、あるいは判例で言われていることなので、 a c の関係は c>a で、 c には a が含まれます。そうなりますと全部 a は要らなくなってしまうということになります。ですから、 a (d) の後の部分に (e) を付け加えて、その他労働法、契約法などの関連法令とすれば、 (a)(b)(c)(d) に挙げているもの以外にも法令や判例に反することをしてはいけないのだということになり、重複が避けられて、スムーズになるのかなと思います。

 それから、今御指摘がありましたが、判例といいますと一般には非常に分かりずらいと思います。法律は書いてありますから六法や関連法規を見て調べればいいですが、判例は結構法的に勉強した人しか理解していないものですので、若干そこはアバウトに広がって不安をあおるのかなという思いはします。

○相澤座長 判例はどうしますか。文章上の、それから分類も (e) に入れたほうがいいという御意見ですが。

○労働衛生課長 整理いたします。

○相澤座長 他にいかがでしょうか。

○道永委員  1 ページに戻ってよろしいでしょうか。労働者が受検しないこと等を理由とした不利益取扱いということで、 2 つありますよね。「不利益取扱いの理由が以下に掲げる理由以外のものであったとしても、実質的に以下1~3に該当するとみなされる場合」というのは、具体的にはどういったものがあるのでしょうか。この 3 つ以外にというか、どういうことを想定してこの文章が実質的にというのが理解できませんので、お教えいただきたいと思います。

○産業保健支援室長補佐 一応ここで想定していたのは、例えば1で言えば、ストレスチェックをやりました。受けませんでした。受けなかったことが分かった直後に、何か不利益な取扱いをやったのだけれども、それはこれが理由ではありませんと。他の理由を掲げて、要は実際はこの理由でやっているのですけれども、そうではないようにカモフラージュしているようなことは駄目ですよ、ということを言いたかったのです。

○相澤座長 よろしいでしょうか。よろしければ、次の行政への報告についてに移りたいと思います。説明をお願いします。

○産業保健支援室長  4 「行政への報告について」です。ストレスチェック及び面接指導の実施状況について、統計的なデータについて労働基準監督署に報告させるということがいいのではないかという論点です。報告される事項としてはそこに挙げている 5 つ、例えば、実施年月日、対象人数、受検人数、面接指導の申出を行った人数、面接指導の実施人数、このようなことを監督署のほうに報告していただくことにしてはどうかということです。

 それから一番下、保存義務の件ですが、労働基準監督署への報告義務を課すということですので、保存義務までは課さなくてもよいのではないかということです。安全衛生法上の他の監督署への報告物についても、保存義務までは課していないところですので、その並びでどうかということです。以上です。

○相澤座長 ありがとうございます。行政への報告について 2 点ありますが、いかがでしょうか。

○砂押委員 これについては、資料 1 の最初の事業者の実施義務の中の把握すべき情報と多分リンクしていて、労働基準監督署に報告しなければならない情報とは、事業者が実際に担当している事務の人から当然に受け取るということを前提とした情報ということですよね。

 それともう 1 点、集団的な分析ですが、例えば、この職場ではストレスの高い人が多いなど、そういう集団的な分析のデータを労働基準監督署に提出することになると、その職場はなるべく労働基準監督署からにらまれたくないと思うので、よりきちんとやろうというインセンティブになったり、あるいは、先ほど派遣のところでもそうですが、派遣の人たちのストレスチェックを全くやっていない事業所は、実施は努力義務ですから任意でいいのですが、それに対しても、労働基準監督署が「正社員のしかやっていなくて派遣の人がかなりいるようですが全然やっていないですね」などと指摘を受けることによって、そのような行政的な指導が入ることによって、ストレスチェックの実施を促すという効果はないでしょうか。

○産業保健支援室長補佐 先生が言われるとおり効果はあると思うのですが、実は、集団的分析をどう位置づけるかというのは、もう 1 つの検討会で議論をしていて、義務的にできるのか、それとも義務的にするには少し時期尚早なのではないかという議論もあって。そういう状況でいきなり報告をさせるというのは厳しいかなということもあって、今回のには入れていないということです。先生の御指摘のことはそのとおりだと思いますし、集団的な分析をなるべくやっていただけるようにいろいろな取組をしましょうという議論は、もう 1 つの検討会でもやっているので、一応そういう感じの議論になっています。

○黒木委員 ストレスチェックの受検人数と面接指導を申し出た人数と、なかなか面接指導というところまで行かない人も結構いるので、やはり高ストレス者がどれくらいいたのかという、そこはまず報告してもらうのはまずいのでしょうか。それは分かるわけですよね。

○労働衛生課長 ストレスチェックの項目自体をある程度事業所の自由に任せるところがあって、それから、一定の手続をもって高ストレスの基準を決めていただいていいということなので、仮に高ストレスの者の数を報告していただいた場合、その数字がいかなる意味を持つのか、あるいは、それを見たほうがどう利用するのか、またそれを全国集計などすることに意味があるのかと考えていくと、そこまでは求めなくてもいいのかなと考えています。

○高松委員 最後の所、労働基準監督署への報告義務を課すのであれば、保存義務までは課さなくてもよいかという点について、質問です。健康診断の場合は第 52 条に書いてありますが、第 51 条で様式 5 号でしたか、 5 年間の保存。

○増田委員  6 号です。

○高松委員  6 号でしたか、あれは結果報告書ですね 6 号は。 5 号は個人様式票があるではないですか。

○増田委員 個人ですね、失礼しました。

○高松委員 あれは 5 年間保存だったと思うのです。これで、こちらが保存義務を課さないという、健康診断との関係で書いているのであれば、その整合性のところを説明していただきたいというのと、そうなった場合に、資料 1 6 ページ一番最後の (3) 5 年保存とはどのように絡んでくるのか、質問させてください。

○産業保健支援室長補佐 先に 5 年保存との関係を御説明します。 5 年保存は、一応、健診の個人票のように、個々人の結果というのは 5 年間保存していただこうと考えているのですが、ただ、では何年のストレスチェックを何年受けましたということまでずっと保存義務を課すことの意味を、監督署への報告と比べてみたときに、報告があれば行政のほうで残るわけであって、それと同じものに保存義務をかけてまでやるのかということとの関係で、わざわざ二重でやらなくてもいいのではないかという整理を今回しようかなと、そういう考え方です。 

○相澤座長 で、面接指導結果のほうは 5 年間ということですね、これは。

○産業保健支援室長補佐 はい。

○相澤座長 少し違うわけですね。

○高松委員 分かりました。

○相澤座長 ありがとうございます。他はいかがでしょうか。

○増田委員 ストレスチェックの実施年月日とあるのですが、これは全部列挙しないといけないのでしょうか。というのは、健康診断ですと、例えば 11 19 日、 20 日、 21 日の 3 日間でその事業所は全部実施したといった具合に、一般定期健康診断はそういう形で実施していることが多いと思うのですが、ストレスチェックですと、 ICT を使ってやることを想定していると思うのですが、その場合は好きなときにチェックできるわけですよね。すると、実際 365 日、若しくは 366 日受検する人が出てくるわけで、それを全部列挙しなければいけないということになるのではないかと思ったのですが、これは必要でしょうか。

○産業保健支援室長補佐 御指摘のとおり実施の仕方はいろいろあると思っていて、 1 日で全部やるとは限らないということはおっしゃるとおりだと思うので、少しここの報告のさせ方はよくよく吟味したいと思っています。

○増田委員 あと、すみません。ここにある上の 3 つは、一般的健康診断に準拠するものとして分かるのですが、下の 2 つ、面接指導の申出を行った人数、面接指導の実施人数については、例えば第 66 条の 8 の過重労働面談でも、人数報告とかはないですよね。ここまで求めるべきなのかどうかと思うのですが、これはそこまで今回は求めるということでしょうか。

 それでいくとして、人数報告についてですが、そもそもストレスチェックについてもそれに付随して行われる面接指導についても、受検義務はありませんよね。受検義務が課されていないものに対しての数値報告で労基署に求めるとすると、これは少し申し上げにくいところもあるのですが、やはり「これだけしかやっていないのか」とか、「もっと受けさせろ」とか、「もっと勧奨しろ」というような指導が入ってくるようにならないかというところを少し懸念します。それに基づいて勧奨するとなると、先ほどから懸念しているように、結局、強要だと取られるという結果につながっていかないかと思います。ですので、受診勧奨すべきというのは当然理解できるのですが、労基署に促されてそれをやるというのは、少しまた違うものになるのではないかと思っています。その辺りはいかがでしょうか。

○産業保健支援室長補佐 一応、今回のストレスチェック制度は、これまで議論をしてきたとおり、ストレスチェックから始まって面接指導までが一連の流れですので、実施状況ということで、今回は面接指導も含めた報告というのを考えているというのが 1 点。少し、今、御指摘があったように、では受診率が低いから上げろという指導をするかというと、それは今回の制度の趣旨からは外れると思うので、そういう指導を例えば行政のほうからやるということは、現時点で考えていません。

○増田委員 それはすごく事業者にとっては関心事でして。と言うのは、過重労働面談で何でこれだけしかやっていないのだという指摘を時々頂戴することがあるので、その点はすごく明確にしていただければ安心です。

○相澤座長 よろしいですか。他にはよろしいでしょうか。

○砂押委員 恐らくここの部分というのは、人数が何人かということが問題ではなくて、きちんとやっているかの確認ということですよね。面接指導については、労働者の意思決定というものが介在して、それがない限りは行えないという制度設計になっていますので、そこのところは、決定権が労働者に委ねられているわけで、それを事業者の責任のように捉えるみたいなことになりますと、それこそ強要になったり、いろいろ問題も生じますので、ここでも人数というのは、実際に実施しているという確認に意味しかないということだと思います。

○相澤座長 行政のほうもそういう理解ですかね。そういう考え方でやっていただくということで。ありがとうございます。他にはいかがですか。よろしいですか。それでは、まだ時間が十分ありますが、よろしければ前に言い残したこととかありませんでしょうか。よろしいですか。

○増田委員 資料 3 2 ページ目の a b c と並んでいる所の a の「面接指導の結果を理由として、以下の措置を行うこと」と、 3 ページ目の参考の所の「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」と、こちらには同じ場所ではないのですが、「安易に解雇等をすることは避けるべきである」となっていて、こちらには入っていないようです。完全に対応していないのですが、「安易に」というものがもともと入っているので、少し平仄を合わせていただいて、「安易に以下の措置を行うこと」としていただくのはいかがでしょうか。

○砂押委員  2 ページの a の所の「のみ」を入れたらどうかと言ったのは私で、今回消されたわけですが。少しそのとき思ったのは、「解雇すること」となっていますが、解雇事由はいろいろ挙げるから解雇事由の中に面談結果が入っている場合も有り得ると思うのです。例えば、能力不足でもう仕事ができなくなったというような場合などには、面談指導結果がそこの解雇事由の 1 つに入ることが十分考えられるわけです。そうしますと、その解雇もいけないのかということになるので「のみ」と入れたほうがいいのではないかとそのように申し上げたのですが。「安易に」ということになりますと、解雇事由の 1 つに面談の事由が入ってもいいけれども、それをもって「安易に」という意味になり、それもあるのかなと、少し感想的に今、思い付きで申し上げます。  

○産業保健支援室長補佐  2 つのことを同時に尋ねられたのでお答えします。まず、「のみ」を落とした理由を御説明します。今、例えば雇用機会均等法とか不利益取扱いを禁じている法律は幾つかありますが、その法律の中でも「のみ」という使い方はしていないのです。例えば、これこれを理由として不利益取扱いをしないことというのは、そもそもそれを理由としての不利益取扱いという意味で使っているので、少しそこと平仄を合わせたというのが 1 点目です。

 もう 1 つの「安易に」を入れてはどうかということなのですが、そういう使い方をするのであれば、安易だろうが何だろうが解雇というのは駄目だということだと思うので、今回はこういう整理にして、平仄を合わせるという意味ではこの事後措置指針のほうをどうするかというのを少し検討したいと考えています。

○相澤座長 増田委員、よろしいですか。

○増田委員 同じ所の b です、「労働者にとって不利益な取扱いとなるものを講じること」の「労働者にとって」を削除いただければと申し上げているのですが、申し上げているところで少し変なお願いなのかもしれませんが、「労働者にとって」の前の所で、「人事権の濫用に当たるような」といった文言を入れていただければと思います。例えば、半日勤務が必要という医師の診断書、あるいは産業医意見が出てくることがあるのですが、それに対して「休まないといけないのであれば無理せず休んだらどうか」と人事が勧めて、それで欠勤療養に入るということはあると思うのですが、そういうこともこの文言だと不利益取扱いということになってしまうのです。ですので、やはりそうではなくて、先ほど申し上げた a (d) とか b というのは恐らく人事権の濫用ということだと思うので、それが分かるような書きぶりにしていただければ、その辺の誤解がなくなるのではないかなと思い、少し御検討をいただければと思います。

○相澤座長 よろしいですか。

○砂押委員 精神疾患などの場合に、会社に情報を与えたくない、提供をしたくないと思う動機としては、 1 つは人事考課上の査定で偏見からマイナス、悪く評価されるのではないかという恐れと、そのほかに、職場に知れ渡ってしまうことで偏見・差別を受けるのではないかという恐れではないかと思いますが、、人事査定に関しましては会社に人事権が非常に強くある部分ですので、今、言われたように人事権の濫用ということを入れますと、 1 つメリットというか意義はあるのかなと今少し思いました。

○相澤座長 ありがとうございます。よろしいですか。

○高松委員 質問です。この前段にある、医師等が必要な就業上の措置を出したということと、事業者が行う内容・程度が著しく異なる措置というのは、これは人事権の範囲のみに関わる内容なのでしょうか、もっと幅広い内容なのでしょうか。

○産業保健支援室長補佐 書いたときのイメージとしては人事権だけを想定していたわけではないのですが、少し今、頂いた御意見も含めてもう一度整理し直したいと思います。

○高松委員 なぜ質問したかというと、私としては、人事権の濫用以外の内容も含まれると最初解釈していたので、そうであれば、この書きぶりを幅広く捉えたほうがいいのではないかと思ったからです。事務局の書いた意思が幅広で捉えていたのであれば、そのように記載していただければと思いますので、御検討いただければと思います。

○相澤座長 分かりました。それでは、これは御検討をいただくということでよろしいですか。他にはよろしいですか、全体的には。

 それでは、まだ時間はありますが、大変内容のある御議論をたくさんしていただきまして、どうもありがとうございます。次の予定等について事務局からお願いします。

○産業保健支援室長補佐 本日もいろいろ御意見を頂いてありがとうございました。次回は報告書 ( ) という形で、少し今日頂いた御意見を踏まえて修正をしたものも含めて、それからもう 1 つの検討会で御議論をいただいている部分も含めて、報告書案という形でお示ししたいと思っています。日程ですが、 3 連休を挟むのでほとんど時間がないのですが、 11 28 日、来週金曜日の 15 時半ということで考えていますので、よろしくお願いします。本日はどうもありがとうございました。

○相澤座長 どうもありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> ストレスチェック制度に関わる情報管理及び不利益取扱い等に関する検討会> 第3回ストレスチェック制度に関わる情報管理及び不利益取扱い等に関する検討会 議事録(2014年11月21日)

ページの先頭へ戻る