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2014年8月8日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

○日時

平成26年8月8日(金)15:00~


○場所

厚生労働省専用第23会議室


○出席者

出席委員(15名)五十音順

○新 井 洋 由、 庵 原 俊 昭、 大槻 マミ太郎、 奥 田 真 弘、
  川 崎 ナ ナ、 菊 池    嘉、  清 田     浩、 佐 藤 俊 哉、
  鈴 木 邦 彦、 田 村 友 秀、 中 島  恵 美、 福 山    哲、
  前 崎 繁 文、 増 井    徹、◎吉 田 茂 昭
(注) ◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(6名)

川 上 純 一、 関 水 和 久、 田 島 優 子、 濱 口   功、
半 田    誠、 山 本 一 彦

行政機関出席者

神 田 裕 二 (医薬食品局長)
成 田 昌 稔 (大臣官房審議官)
森    和 彦 (審査管理課長)
宇 津    忍 (安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
山 田 雅 信 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
武 田 康 久 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○審査管理課長 大体おそろいになられたようですので、それでは、「薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会」を開催させていただきます。

 本日も、お忙しい中御参集いただきまして、ありがとうございます。

 本日の委員の御出席につきまして、川上委員、関水委員、田島委員、 口委員、半田委員、山本委員より御欠席という御連絡をいただいております。大槻委員につきましては、15分程度遅れるというような御連絡をいただいております。鈴木先生も間も無くいらっしゃるとは思います。現在のところ、当部会員数21名のうち13名の委員の御出席をいただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。

 続きまして、事務局に人事異動がありましたので御報告をいたします。まずは、厚生労働省でございます。医薬食品局長の神田でございます。安全対策課長の宇津でございます。医薬品医療機器総合機構でございます。本日は欠席しておりますが、安全管理監の俵木となりました。審議役の武田でございます。新薬審査第四部長の朝倉でございます。最後に申し遅れました、審査管理課長に就任いたしました森でございます。よろしくお願いします。以上になります。

 それでは、吉田部会長、以降の進行をお願いいたします。

○吉田部会長 早速、本日の審議に入りたいと思います。まず、事務局から配布資料の確認と、審議事項に関する「競合品目・競合企業リスト」についての報告をお願いします。

○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。議事次第に記載されております資料1~6をあらかじめお送りしております。この他、資料7「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」資料8「専門委員リスト」資料9「競合品目・競合企業リスト」資料10「佐藤委員からの御質問」を配布しております。

 続きまして、本日の審議事項に関する「競合品目・競合企業リスト」について御報告いたします。資料9、1ページを御覧ください。ジーラスタ皮下注3.6mgですが、本品目はがん化学療法における発熱性好中球減少症の発症抑制を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 2ページを御覧ください。アグリリンカプセル0.5mgですが、本品目は本態性血小板血症を予定効能、効果としており、同様の効能、効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 3ページを御覧ください。ノボセブンHI静注用8mgシリンジですが、本品目は血液凝固第 VIII 因子、または第 IX 因子に対するインヒビターを保有する先天性血友病患者の出血抑制等を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上でございます。

○吉田部会長 ただ今の事務局からの説明に特段の御意見等ございませんでしょうか。ないようでございますので、本部会の審議事項に関する「競合品目・競合企業リスト」につきましては、皆様の御了解を得たものといたします。

 それでは、委員からの申し出状況についての報告をお願いします。

○事務局 各委員からの申し出状況については、次のとおりです。

議題1「ジーラスタ皮下注」退出委員は田村委員、議決に参加しない委員はなしです。

 議題2「アグリリンカプセル」退出委員はなし、議決に参加しない委員は庵原委員、大槻委員です。

 議題3、「ノボセブンHI静注用」退出委員はなし、議決に参加しない委員、なしです。以上でございます。

○吉田部会長 今の事務局からの説明に特段の御意見等ございますでしょうか。よろしければ、皆さんに確認いただいたものといたしまして、議題に入りたいと思います。本日は、審議事項3議題、報告事項3議題、その他事項1議題となっております。

 それでは、審議事項、議題1について、機構からの説明をお願いします。なお、田村委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議題1の審議の間、別室で御待機いただくということにいたします。では、説明の方をよろしくお願いします。

—— 田村委員 退室 ——

○機構 審議事項議題1、資料1「医薬品ジーラスタ皮下注3.6mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定について」機構より説明いたします。本剤の有効成分であるペグフィルグラスチム(遺伝子組換え)は、好中球前駆細胞の分化・増殖等の作用を有するサイトカインである顆粒球コロニー形成刺激因子(以下、「G-CSF」)の誘導体です。本剤は既承認のG-CSF製剤であるフィルグラスチムにポリエチレングリコールを結合した製剤であり、プロテアーゼによる加水分解の遅延等に伴う血中半減期の延長によって、フィルグラスチムにより持続した効果を得ることが期待されております。

今般、本剤は、がん化学療法による発熱性好中球減少症(以下、「FN」)の発症抑制を効能・効果として承認申請されました。本剤は、平成26年4月時点において、FN等に関する適応にて、107か国、又は地域で承認されております。本品目の専門協議に参加いただいた専門委員は、資料8にございますとおり7名の委員です。以下、臨床試験成績を中心に承認審査の概要を説明します。

 今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国内で実施された検証的試験が2試験提出されました。なお、それぞれの試験において対象とされたがん腫は、既承認のG-CSF製剤であるフィルグラスチムのがん化学療法による好中球減少症の効能における一次予防の有無によって、悪性リンパ腫及び乳癌とされました。有効性については、審査報告書43ページ下から11行目以降、及び74ページ上から13行目以降に示しますように、悪性リンパ腫患者を対象としたKRN125-007試験(以下、「007試験」)において、がん化学療法の第1サイクルにおける好中球数500/μL未満の日数と定義された高度の好中球数減少期間について、フィルグラスチム群と比較して本剤群の非劣性が検証されました。また乳癌患者を対象としたKRN125-008試験(以下、「008試験」)において、FNの発現割合について、プラセボ群と比較して本剤群の優越性が検証されたこと等から、がん化学療法によるFNの発症抑制に関する、本剤の有効性は示されたと判断しました。 安全性については、本剤の使用において注意すべき有害事象として審査報告書45ページ本文上から10行目以降、及び74ページ下から12行目以降に示しますように、アナフィラキシーショック、間質性肺疾患、急性呼吸窮迫症候群、芽球増加、脾腫・脾破裂、骨痛・背部痛等の関連事象、二次性悪性腫瘍、毛細血管漏出症候群、Sweet症候群及び皮膚血管炎が認められております。本剤の使用にあたっては、これらの有害事象に対する注意喚起が必要と考えておりますが、これらの有害事象の観察や管理、本剤の中止等の適切な対応がなされるのであれば、本剤の忍容は可能と判断しました。ただし国内臨床試験における検討は、限られたがん腫又はがん化学療法での検討のみであることから、審査報告書60ページ上から23行目以降及び77ページ下から14行目以降に示しますように、製造販売後には本邦での使用実態下における、種々のがん腫又はがん化学療法での本剤の安全性情報を把握すること等を目的とした調査の実施が必要であると判断し、申請者に指示しております。

 以上のような審査の結果、機構は、「がん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断しました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、また生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願いします。

 なお、事前に佐藤委員から質問をいただきましたので、機構から回答させていただきます。資料10にありますように、質問は以下のような主旨です。本剤の有効性及び安全性を評価する上で、最も重要な試験の一つである乳癌患者を対象とした008試験についていくつか疑問点があります。審査報告書44ページ上から7行目以降に、008試験ではプラセボが使われており、プラセボの使用は適切であったと記載されています。臨床試験では被験者を不要なリスクに曝さないよう必要最小限とすべきで、このことはプラセボ対照試験に限りませんが、008試験では目標症例数が300例となっているところ、404例の患者さんが登録されています。さらに404例のうち13%に当たる53例が登録不適格となっています。なぜ目標症例数を100例以上も上回る患者さんが登録されてしまったのか。なぜ10%を超える不適格な患者さんが登録されてしまったのか、試験の質に問題があったように思われますので、「有効性及び安全性を評価する上で最も重要な試験」の一つで、なぜこのようなことが起こってしまったのか、教えてくださいというものでした。

 機構の回答は以下のとおりです。008試験への登録は、治験責任医師等が、全ての選択基準及び除外基準の確認結果が判明した時点で、基準の適否に関わらず、同意を取得した全ての被験者について、登録用紙を作成した上で、登録センターに連絡した時点で登録例として定義され、登録センターにおいて被験者の適格性が適格と判定された場合に、治験薬の割付けを実施することとされておりました。

008試験において目標症例数を上回る被験者が登録された経緯につきましては、300例目の投薬を確認した時点で、同意を取得していた被験者は登録の手続きを進めたことから、結果的に404例が登録されたものです。また登録例のうち53例が登録不適格とされましたが、不適格な主な理由は、HBc抗体陽性の42例でした。TC療法を施行予定の乳癌患者を対象とした008試験では、化学療法により肝炎を発症する場合があり、予めB型肝炎ウイルス検査を実施することが適当と判断され、当該検査が同意取得後登録前に規定されましたが、当該規定が登録不適格例が多数となったことの主な理由であると考えております。404例のうち42例でHBc抗体陽性となったことにつきましては、B型肝炎ウイルスの既往感染例は日本人で約23%との報告もあり、当該報告とも相違がないものと考えております。なお、008試験においては、治験のプロトコルと同様の治療スケジュールでTC療法を施行予定の患者に対して同意取得がなされ、当初のスケジュールから遅滞なく治験下での検査、治療が実施された旨、申請者より説明を受けており、登録不適格となることによる不利益は生じていないものと考えております。以上です。

○吉田部会長 佐藤先生、いかがですか。

○佐藤委員 登録が100例オーバーしているというのは、いくら何でも考えにくいのですが、普通は登録が終了に近づいたらアナウンスをしてそろそろ終了の時期が近づくと、お知らせが登録センターからあるはずなのですが、そういったことは一切なされずに、登録票がきてしまったということでしょうか。

○機構 登録終了のアナウンスの有無について確認できていないのですが、実際300例の投薬が完了した時点で100数例がまだ未処理だったわけではないと思われ、それまでの間に登録不適格としての処理がなされていったようなケースもあったかと思います。約50例程度は300例の投薬終了時点で登録に向けて処理がなされてしまったということになるのかなとは思います。

○佐藤委員 もともとプラセボ対照試験ということもありますし、この結果からすると非常に大きな差が付いてしまっているので、やはり慎重に参加してくださった患者さんに不利益がないようにすべきだと思いますが、この点は申請者に注意喚起をお願いしたいと思います。

○機構 ただ今頂きました御意見を申請者の方に伝えさせていただきます。御指摘、ありがとうございます。

○吉田部会長 以前、先発品のフィルグラスチムのときにもダブルブラインドで試験をしたのだけど、結局使用している医師には薬効が出るのでプラセボでないことが分かってしまうという、なかなか微妙な問題もありました。それぐらい効果がはっきり分かれてしまうような試験で、先生がおっしゃるように100例もオーバーランしてしまうというのは、確かに問題と言わざるを得ません。今のような御注意をよろしくお願いしたいと思います。ほかにございますか。

○新井部会長代理 この蛋白にペグをアミノ基に反応させているということで、基本的にはN末端のアミノ基にペグが1個付いた構造を想定されて書かれていると思うのですけど、リジンのアミノ基にも結合したものも見当たるとかがあるのですけど、具体的に何%ぐらいがN末端の予定どおりのメチオニンに結合していて他のリジンに結合したものが何%ぐらいあって、どのようにコントロールしたら均一な製剤が作られているのかを教えてほしいのですが。

○機構 ただ今確認しておりますが、少し時間を要しそうですので、また後ほど御説明させて頂いてもよろしいでしょうか。

○吉田部会長 その間、ほかに御意見がありましたらお願いします。

○菊池委員 ペグ化されてないものにはHIVの好中球減少症や骨髄形成のほうにも承認が取れていますが、本剤ではそこの検討予定はあるのですか。

○機構 ただ今いただきました御質問ですが、審査報告書の5556ページにかけて、今御指摘の点を申請者に確認しております。グランで既に適応がある効能・効果についての開発の予定について聞いておりますが、56ページ上から6行目辺りに、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□という回答をいただいております。

○吉田部会長 要するに□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ということですか。

○機構 はい、そのとおりです。

○吉田部会長 いかがですか。

○菊池委員 □□□□□□□□□□□□□□と思います。分かりました。

○吉田部会長 ほかにございますか。

○機構 先ほど品質の観点で頂いた御質問の回答に時間がかかりそうです。後ほど新井先生に直接御説明にあがるということでも宜しいでしょうか。

○新井部会長代理 どのくらいの割合があるかにもよると思うのですが、例えばリジンの方に付いたものは活性が有るのか無いのか、そういうことも含めて試験はされているのかということも、非常にマイナーなコンタミだったら結構ですが。それと、どうやったらそれがコントロール、単純なイメージではどこのアミノ基に修飾するかは非常にコントロールしにくいと思うのですけども、経験的にこの蛋白に対してはこういう条件でやればほとんどがここにいくということであれば、そういう説明でも別に構わないとは思います。

○機構 先生の御指摘いただいたところにつきましては後ほどまた詳しく説明したいと思いますが、基本的にペグ結合バリアントそうにつきましても不純物として特定されておりまして、生物活性の有無についても調べられております。その管理についても精製工程で適切に除去されることが確認されておりますので、問題はないと判断しております。

○吉田部会長 他のアミノ酸や何かとくっついたとしても皮下活性には影響がないという説明ですか。

○機構 除去されておりますので、本品自体の有効性、安全性には影響はないと判断しております。

○吉田部会長 製造過程では除去されているということでよろしいですか。細かな話はまた新井先生にお知らせいただくということで、ほかにございますか。御意見もないようですので、そろそろ議決に入りたいと思います。

 お諮りします。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。別室で待機されている田村委員をお呼びください。

—— 田村委員入室 ——

○吉田部会長 それでは議題2に移ります。議題2につきまして機構からの概要、説明をお願いします。

○機構 審議事項議題2、資料2「医薬品アグリリンカプセル0.5mgの製造販売承認の可否等について」機構より説明いたします。本剤の有効成分であるアナグレリド塩酸塩水和物は、巨核球の形成及び巨核球による血小板産生を阻害することにより、血小板数を減少させる作用を有すると考えられています。今般、本剤は本態性血小板血症を効能・効果として承認申請されました。

 なお、本剤は平成11年5月に希少疾病医薬品に指定されております。また、本剤は、平成22年4月に開催された「第3回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」での検討において、医療上の必要性が高いと判断され、同年5月に厚生労働省から申請者に対して、本態性血小板血症に対する開発要請がなされております。本剤は平成26年5月時点において、本態性血小板血症に関する適応にて、47の国、又は地域で承認されています。

 本品目の専門協議に参加いただいた専門委員は、資料8にあるとおり9名の委員です。以下、臨床試験成績を中心に本剤の承認審査の概要を説明します。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、本邦で実施されたSPD422-308試験の成績が提出されました。有効性については、審査報告書45ページ下から12行目以降、及び68ページの上から13行目以降に示しますように、ヒドロキシカルバミドに対して不応性又は不耐容で、かつ血栓出血性事象のリスク因子を有する本態性血小板血症患者を対象としたSPD422-308試験において、本剤投与により一定の血小板数の減少作用が認められたことから、本剤の一定の有効性が示されたと判断しました。安全性については、本剤の使用において、注意すべき有害事象としては、審査報告書46ページの上から16行目以降、及び68ページの下から17行目以降に示しますように、心臓障害、QT/QTc延長、間質性肺疾患、血栓出血性事象、血液毒性及び頭痛が認められております。本剤の使用にあたっては、これらの有害事象に対する注意喚起が必要と考えておりますが、造血器悪性腫瘍の治療に十分な知識と経験を有する医師によって、有害事象の観察や管理、本剤の休薬・減量・投与中止等の適切な対応がなされるのであれば、本剤は忍容可能であると判断しました。ただし、日本人における検討症例は限られており、審査報告書57ページの上から13行目以降、及び70ページの上から4行目以降に示しますように、本剤を使用した全ての症例を対象とした製造販売後調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。

 以上のような審査の結果、機構は、「本態性血小板血症」を効能・効果として本剤を承認することは可能と判断しました。本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は10年とすることが適当であると判断しました。また、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しました。薬事分科会には報告を予定しております。

 なお、佐藤委員から事前に御質問を三つ頂きましたので、機構から回答させていただきます。資料10のとおり、以下のような主旨です。一つ目は、SPD422-308試験での血小板数の推移についてであり、審査報告書41ページにある図から、血小板数の平均値は5カ月以降、50/μL付近を推移していることが見て取れますが、個々の患者さんでは十分なコントロールができていなかった方はいなかったのでしょうかというものでした。機構の回答としましては、血小板数のコントロールが十分にできなかった症例として、有効性の欠如により3例が試験を中止していることを確認しております。

 二つ目は血漿中濃度についてであり、審査報告書36ページに、本薬及びBCH24426の曝露量の増加と脈拍数の増加との関連が示唆されていること、並びに外国人と比較して、日本人で発現率が高い有害事象も認められていることを踏まえると、本薬及びBCH24426の血漿中濃度が外国人と比較して日本人で高値を示したことについては、「医療現場に適切に情報提供をする必要があると考える」との記載がありますが、この点は添付文書にも記載が必要ではないでしょうかというものでした。機構の回答としましては、御指摘のとおり、本薬及びBCH24426の血漿中濃度が、外国人と比較して日本人に高値を示しましたが、国内臨床試験成績より、本薬の投与を低用量から開始し、患者の状態に合わせて徐々に増量することにより、本薬は日本人においても忍容可能であるものと考えております。また、添付文書における用法・用量については国内臨床試験成績に基づき設定しており、御指摘の点については資材を用いて医療現場に情報提供したいと考えております。

 三つ目は、2014年2月に、FDAは本薬の添付文書について、QT/QTc間隔延長のWarningを追加しています。これに関して詳しい情報が分かれば教えてくださいというものでした。米国添付文書におけるQT/QTc間隔延長のWarningの追加は、2012年に実施された、心伝導系に及ぼす本薬の影響を検討することを目的とした試験成績に基づくものです。なお、本邦の添付文書においても当該試験成績等を記載し、注意喚起しております。御質問に対する説明は以上です。御審議のほどをよろしくお願いします。

○吉田部会長 ありがとうございました。それでは佐藤先生いかがですか。

○佐藤委員 最初の点で、3名の方がコントロール不十分で中止ということなのですけども、どのぐらいでコントロール不能というか、それが分かるのでしょうか。もしそこでやめられるものだったら、なるべく早く切り換えた方が指針にもなると思います。

○機構 個々の患者の血小板数の推移を確認しておりまして、この3例の投与中止時期については、いずれも6カ月未満で投与を中止しております。具体的には、1例については180日未満、1例については120日未満、もう1例については60日未満に投与を中止している状況です。

○佐藤委員 それだけでは何とも言えないと思います。市販後にデータを収集して、目安といいますか、それぐらいまで有効性がなかったら、別な治療に切り換えるとはないのですか。

○機構 御指摘の点については参考となる情報だと思いますので、情報提供するように申請者のほうに伝えたいと存じます。

○佐藤委員 それから、2点目の、血漿中の濃度です。確かに、日本の国内の臨床試験に基づいてということですが、もともと増量は1週間に0.5mgということで、非常に慎重にされていますね。そのことを考えると、日本人で外国人よりも実際の血漿中濃度が上がっているという情報は、添付文書で伝えた方がいいと思いますが、資材でいいという判断をもう少し詳しく説明してください。

○機構 本邦の添付文書におきましては、「日本人の臨床試験成績に基づいた有害事象の発現率」と記載しておりますので、日本人における薬物動態の成績も併せて添付文書に掲載しております。

○佐藤委員 それが、添付文書ではそれが外国人よりも高値だということは説明されていないわけですね。逆に、どうしてそれができないのかが疑問です。もう一つは、日本人の国内試験に基づいているとはいっても、症例数が少ないから全例調査をするという縛りもかけていますね。

○機構 日本人、外国人におきましても、用法・用量については同様でして、低用量から徐々に有害事象の発現状況を見ながら増量していく状況ですので、安全性については添付文書に、外国人と比較して日本人で高値を示したという旨を記載せずとも、安全性上の管理は可能であると判断したために、資材による情報提供で十分なものと考えて、対応しております。

○吉田部会長 分かりました。要するに、日本人の場合、なぜ少しずつ増量しなければいけないかという理由が、外国人と違うかもしれないことが問題なのです。だから、例えば、AUCとかCmax、日本人の血中濃度が外国人よりも高いので、増量するときはより慎重に、少しずつやりましょうというような説明をしておけば、ただ単に少量ずつ増量することになっているので、書かなくても良いというようなことよりも丁寧でいいのではないですか、ということを佐藤先生はおっしゃりたいのだと思います。そのように書いてはいけない理由は何かあるのですか。

○審査管理課長 審査管理課としては書いていけないことはないと思いますし、今の薬物動態の所の記載も、そこだけ見ても、外国人の試験成績がこうであるというような記述も中に入っておりますので、今日の部会の御議論を受けて、日本人で曝露が高くなっているような様子があることが分かるように、ここに記載を追加していただくことは可能ではないかと思います。

○吉田部会長 そうですね。何らかの理由を示した上で慎重に増量してほしいと言えば論理が通ってくると思うので、是非分かるような形でお願いしたいと思います。warningに関してもよろしいですか。ほかにありますか。

 既承認薬との有効性の比較については、反応率の95%の下限で十分に大丈夫だろうと判断したという解釈でよろしいのですか。希少疾患なので比較試験はできないと思うけど、既承認薬に関して互角に戦える、それ以上に戦えると推定されたのは、反応率の95%信頼区間が上回ったからということでいいですか。

○機構 本態性血小板血症に対しては、ハイドレアが第一選択薬になっており、今回、ハイドレアに対して不耐容の患者さんを対象に試験されており、一定の有効性が示された、と判断しております。

○吉田部会長 そういうことであれば、大丈夫ですね。ほかにありますか。「未承認薬・適応外薬検討会議」からの要望もありますし、よろしいですか。

 それでは、御質問もないようですので、そろそろ議決に入りたいと思います。なお、庵原委員、大槻委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づき、議決への参加を御遠慮いただきます。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。

 御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。

 それでは、議題3に移ります。議題3について説明をお願いします。

○事務局 審議事項議題3、資料3「医薬品ノボセブンHI静注用8mgシリンジの毒薬又は劇薬の指定の要否について」事務局より説明します。ノボセブンHI静注用8mgシリンジは、1バイアル中にエプタコグ アルファ(遺伝子組換え)8.3mg含有する凍結乾燥注射剤です。2ページをお開きください。本成分は、「血液凝固第 VIII 因子又は第 IX 因子に対するインヒビターを保有する先天性及び後天性血友病患者の出血抑制」を効能・効果として、平成12年に注射用ノボセブン1.2mg及び同4.8mgが、その後、ノボセブンHI静注用5mgなどが承認されています。本成分の原体及びその製剤は劇薬に指定されておりますが、1バイアル中5.2mg以下を含有する注射剤はその対象から除外されております。今般、既承認薬の剤型追加として、ノボセブンHI静注用8mgシリンジが申請されています。現在の規定ではこの製剤は劇薬に該当しますが、本剤の既承認の臨床薬用量である約16mgを投与した場合でも安全性が確認されていることから、本剤は既承認製剤と同様に、劇性の強いものとは認められず、劇薬の指定から除外することが適切と考えています。御審議のほどをよろしくお願いします。

○吉田部会長 ありがとうございました。どなたかコメントはありますか。特段の御意見はないということでよろしいでしょうか。

 ということですので、議決に入りたいと思います。本議題について、指定の除外を可としてよろしいでしょうか。御意見がないようですので、指定の除外を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは、報告事項に移ります。報告事項につきまして、事務局からの説明をお願いします。

○事務局 報告事項、議題1「医薬品ソル・メドロール静注用40mg、同静注用125mg、同静注用500mg及び同静注用1000mgの製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたします。

 本剤は水溶性の副腎皮質ホルモン剤であり、現在は「急性循環不全(出血性ショック、感染性ショック)、腎臓移植に伴う免疫反応の抑制、ネフローゼ症候群」等の効能・効果で承認されております。

 本剤については、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成26年2月28日に開催された「医薬品第二部会」における事前評価を踏まえて、ファイザー株式会社から「治療抵抗性のリウマチ性疾患」に係る効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断しております。

 続いて報告事項議題2、資料5「優先審査指定品目の審査結果について」御報告いたします。

 優先審査の取扱いについては、資料の2ページに概要をお示ししています。この制度は、薬事法第14条第7項の規定に基づき、希少疾病用医薬品やその他医療上特に必要性が高いと認められる品目を指定し、他の品目に優先して審査を行うものです。その指定に当たっては、適応疾病の重篤性、医療上の有用性を総合的に評価して判断されます。

 資料の1ページです。対象品目は、販売名はソバルディ錠400mg、一般名はsofosbuvir、申請者はギリアド・サイエンシズ株式会社です。記載のような、慢性C型肝炎ウイルス感染症に係る効能・効果で承認申請がなされております。事前に取りまとめられた機構の報告書に基づき、当該薬剤の優先審査の該当性について、御説明いたします。

 資料の一番下のページ数で9ページ目の下段、「総合判断」の項を御覧ください。適応疾患の重篤性については、C型慢性肝炎は治療を行わない場合、最終的には肝不全や肝細胞癌に至る疾患であり、当該疾患は、「ア 生命に重大な影響がある疾患」に該当すると判断されました。

 次に、医療上の有用性については、これまでに実施された国内臨床試験の結果を踏まえると、C型慢性肝炎及びC型代償性肝硬変(genotype2)おいて、インターフェロンを含む既存の治療法より優れた有用性を示す可能性があると考えられることから、当該薬剤は、「イ 有効性、安全性、肉体的・精神的な患者負担の観点から、医療上の有用性が既存の治療法、予防法若しくは診断法より優れていること」に該当すると判断されています。

 以上を踏まえ、当該薬剤は優先審査品目に該当すると判断しております。当該薬剤の承認の可否については、今後、機構での審査を経た上で、改めてここの部会で御審議いただく予定となっております。

○事務局 報告事項議題3、資料6「医療用医薬品の承認条件について」事務局より御説明いたします。

2ページを御覧ください。ラパチニブトシル酸塩水和物を有効成分とする医薬品タイケルブ錠250mgは、平成21年4月に承認され、全例調査等の承認条件が付されています。今般、承認取得者であるグラクソ・スミスクライン株式会社から、調査に係る報告書が提出され、機構において審査されましたので、御報告いたします。

 3ページです。報告された調査は、本剤を使用した全症例を対象に、目標症例数は3,000例、観察期間は1年間とされており、平成231031日までに登録された3,874例の情報を基に、調査結果がまとめられております。

 安全性について、4ページ「2.安全性」を御覧ください。安全性解析対象3,864例における副作用発現率は、74.6%でした。その中で、重点調査項目とされた心機能異常等の副作用発現率については、承認審査時の臨床試験成績と比較して、おおむね低く、特段の問題は認められませんでした。また、承認審査時には得られていなかった日本人患者でのカペシタビン併用時の本剤の長期投与時の安全性について、長期投与により副作用発現率が高くなる傾向は認められませんでした。

 有効性については、6ページ「3.有効性」に記載しています。本調査で有効性解析対象とされたた1,923例について、奏効率は8.0%、無増悪期間は35.7週、生存期間は33.3週でした。一方、承認審査で有効性が検討された主な臨床試験である海外第 III 相試験の主要評価項目である無増悪期間は、27.1週でした。

 本調査における有効性評価について、承認取得者は、本調査では腫瘍を評価する時点の規定がなく、腫瘍を評価した画像の中央測定期間での一括評価・判定及び全症例で進行又は死亡が確認される日までの経過観察等も実施していないことから、本調査と承認審査における臨床試験との正確な比較は極めて困難であると説明されています。

 以上を踏まえ、本剤の安全性及び有効性に係る情報が収集されていること、収集された情報に基づいて本剤の適正使用に必要な措置が講じられていることから、本剤の全例調査に関する承認条件の内容については確認できたものと判断し、本剤の承認条件である「製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。」を解除することは妥当と判断しております。以上です。よろしくお願いいたします。

○吉田部会長 製造販売承認事項の一部変更、優先審査項目の審査結果、承認条件の解除が各一件という内容です。委員の先生方から御質問がありましたらお願いいたします。

 議題3についてですが、全例調査の法的拘束力というのはどれぐらいあるものなのでしょうか。

○審査管理課長 この場合は承認に当たって条件を付するという承認条件という形で掛けておりますので、やらなかった場合は承認を取り消すという形になっているものです。

○吉田部会長 ということは、各メーカーにとってみると、施設に納入する際には全例調査に協力してくれることを前提にして品卸しするということですか。

○審査管理課長 できる限りお願いをしております。

○吉田部会長 できる限りですね。

○審査管理課長 はい。実際上、全例が1,000例であったら、1例の欠けもなくということを要求して、それが欠けたらアウトという運用はしていません。

 ですが、どこの施設にお願いするにしても、承認条件で全例登録が掛けられているから、協力していただき、かなり綿密にお願いしてやっているのが現状です。

○吉田部会長 患者さんが後で気が変わって、調査報告を出してほしくないというならしようがないですが、施設の方が怠けたとなると話は別ですね。

○審査管理課長 はい。そのようなことがないようにお願いをしているところです。

○吉田部会長 タイケルブの場合は、何がどれぐらい集まらなかったという話でしたか。目標症例数は集まっているのですが、「本来、情報収集されるべき一部の投与患者の情報が得られない」と書いてあります。かなりの数の情報なのでしょうか。

○機構 資料6、3ページ「1.患者背景」の表にお示ししていますのが、投与されたけれども全例調査に登録されなかった症例です。契約ができた施設で50例、契約ができなかった施設での投与例は238例を確認している状況です。

○吉田部会長 登録拒否の理由については、患者さんの理由はなくて、全例医師側とか、施設側の関係なのですね。そうすると、市販後調査に関して、もう少し強く臨んでほしいということを、部会として要望しておいたほうがいいような気がするのですが。

○審査管理課長 こういう形で登録ができていないケースがるということを明らかにした上で、部会でそういう御意見を賜ったということで、我々としても企業を介して要請していく格好になると思います。

○吉田部会長 我々に対しても約束違反になるので、そういった意味では、我々の立場からも御注意申し上げるといいますか、遺憾の意を表しておいたほうがいいと思います。ほかにございますか。

 ないようですので、報告事項については御確認いただいたものといたします。

 その他の事項について、説明をお願いします。

○事務局 当日配布資料1「医薬品リスク管理計画(RMP)に係る承認条件の付与等について」事務局より御報告いたします。参考資料1-1を御覧ください。

 医薬品リスク管理計画(RMP)は医薬品のリスクを適切に管理し、安全性確保を図るため、個々の医薬品について得られた知見に基づき、安全性検討事項を明らかにし、それを踏まえて安全性監視活動の計画及びリスク最小化活動の計画を策定・実施することにより、安全対策の充実・強化を図ろうとするものです。

 医療用医薬品を対象として、平成25年4月1日以降に製造販売承認申請される新医薬品及びバイオ後続品から適用されており、策定されたRMPは機構のホームページにおいて公表されています。なお、御参考までに、RMPの具体例を当日配布の参考資料1-3として配布させていただきました。

 また、RMPの策定及び実施の確実な履行の確保を図るため、「医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の製造販売後安全管理の基準に関する省令」(GVP省令)及び「医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令」(GPSP省令)が、平成25年3月11日に改正され、平成2610月1日から施行されます。

 参考資料1-2を御覧ください。改正後のGVP省令において、RMPは薬事法第79条の規定に基づく承認条件として付与され、実施されます。新医薬品などの場合、承認審査の過程において、RMPの策定の必要性を判断し、その内容についても審査されます。改正省令の施行日以降に承認される新医薬品等については、RMPが必要と判断された場合には承認条件が付与されることになりますが、これについては本部会において確認させていただくことといたします。

 なお、既に製造販売されている医薬品については、改正省令の施行以降に新たに安全性の懸念が判明した場合には、RMPの策定の必要性を判断し、そこで必要と判断された場合には、承認条件として追加又は付与し、策定又は実施されることになりますが、その場合は安全対策部会にて御報告することとさせていただきます。RMPについての御報告は以上です。

○吉田部会長 資料1-3はいいのですか。

○安全対策課長 これはRMPの参考具体例としてアラミスト点鼻液を付けています。

○吉田部会長 こういったRMPを作ってほしい、あるいは作った方がいいというのは、新薬の承認のときに際しては、私たちの部会で条件を付けるということになりますが、具体的にどうしたらいいかを教えてください。

○安全対策課長 現在でも、例えば資料2のアグリリンカプセルですと、審査報告書の71ページに「1.11医薬品リスク管理計画書()」として出ています。これが10月1日から、GVPという省令に基づいて作られるということで、その点について御確認いただくということになります。

○審査管理課長 新薬の場合、申請する際に企業側がRMP案として付けてきて、それを審査チームが、これも含めて検討して、その内容を含めて審査報告に記載することになっております。

 今回のアグリリンについては、審査報告書の71ページの所に、こういうリスク管理計画が出されて、それを審査チームとしても確認したということで書かれています。こういう流れになっております。

○吉田部会長 ということは、大部分の薬に関しては、企業側がこういったものを作って、申請してくるということですか。

○審査管理課長 大体そういうことになります。

○吉田部会長 そうでない場合に、部会として必要だと思えば要求することができるのですね。

○審査管理課長 はい。そういうことはほぼないと思いますが、安全性に関する検討事項、あるいは有効性に関する宿題事項といったものが、このRMP、リスク管理計画と呼んでいますが、リスクとベネフィットの両方について、エビデンスをどのように市販後に向けて作っていくのかというグランドプランになります。

 このグランドプランに基づいて、更に有効性、安全性のデータが集積され、それに基づくリスクとベネフィットの評価というのは継続的に行われていくという流れになります。

○吉田部会長 途中のデータも公表されていくのですか。

○審査管理課長 はい。具体的な方法については、今後更に検討が必要になりますが、世界的には、定期的なベネフィットリスクの評価のレポートを出すことが、ICHで合意されております。PBRERという呼び方をしておりますが、これが定期的に出されるように、ICHでは合意されています。日本でも、それを翻訳したものが昨年5月に通知されておりますので、今後そういったものを承認後定期的に出させて、チェックをしていくという格好になっていきます。

○吉田部会長 それは機構のホームページを見れば分かるのですか。

○審査管理課長 計画自体は機構のホームページにRMPのページを作りまして、そこに作成したRMPを載せるようになってきています。既に多数のものが掲示されている現状です。

○吉田部会長 他に御質問はございますか。

○庵原委員 ここに書いてある「重要な不足情報」という項は、今後埋められるという前提で書かれていると解釈してよろしいのですか。それとも、単にwarningという形で書いているのでしょうか。

○審査管理課長 基本的には不足している情報として掲げる以上、それを市販後に重点的に集めていくというプランを立てさせるという格好に、必ずなっています。

○佐藤委員 承認審査の過程で「RMPの策定が必要と判断された場合、その策定実施が承認条件として付させることとなる」というのは、RMPを作ってこなくてもいいように読めるのですが、そういうことはなくて、現行のように、基本は企業が案を作ってきて、それをここで承認審査をするということでよろしいのですか。

○審査管理課長 そのように考えていただいて結構です。

○吉田部会長 ほかにございますか。ないようですので、本議題については御確認いただいたものといたします。本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告はありますか。

○機構 6月の臨時部会で御審議いただいたダクルインザ錠60mg、スンベプラカプセル100mgについて、宿題事項がありましたので、機構より御報告させていただきます。

 奥田委員より、審査報告書27ページの表22、ダクルインザのin vitroトランスポーター阻害作用について、トランスポーターのうちOCT1はCmaxである2.34μMに対してIC50値が低くなっているにもかかわらず相互作用が起こる可能性は低いと考察されている根拠について御質問がございました。

 審査報告書27ページで参照したFDAの薬物相互作用試験ドラフトガイダンスでは、臨床で薬物相互作用の報告のあったトランスポーターについて、医薬品開発段階での検討方法等が示されており、吸収に関わるトランスポーターとしてP-gp、BCRP、肝臓におけるトランスポーターとして、OATP1B1OATP1B3、腎臓におけるトランスポーターとしてOAT1、OAT3、OCT2、MATE1、MATE2-Kについて言及されております。

 奥田委員より御質問いただいたOCT1は、今までに臨床での薬物相互作用の報告はなく、FDAドラフトガイダンスでも検討の対象とはされておりませんが、申請者はOCT2と同様の基準に照らして、薬物相互作用の可能性が低いと結論しております。

 具体的に申し上げますと、FDAのドラフトガイダンスでは、OAT1、OAT3、OCT2などのトランスポーターは、IC50に対する遊離型Cmaxの濃度の割合が0.1未満であれば、薬物相互作用の可能性が低いと判断できるとされており、今回のダクルインザの蛋白結合率である98%を考慮すると、IC50に対する遊離型Cmaxの濃度の割合が0.1未満となり、OCT2の基準に照らして、薬物相互作用の可能性が低いと判断されています。

 なお、当該品目の審査期間中には、日本のガイドラインの医薬審第813号の改訂作業、パブリックコメントが実施されており、FDAドラフトガイダンスに基づく申請者の説明に加えて、日本の改定ガイドライン案の内容も踏まえた評価を行っており、現状ではOCT1を介して問題となる薬物相互作用が、臨床にて報告されていないことを踏まえると、薬物相互作用の可能性はないとの申請者の説明に、特に問題はないと機構は判断しているところです。

 以上の説明を事前に奥田委員、吉田部会長に御報告したところ、了解した旨のお返事をいただいております。報告は以上です。

○吉田部会長 奥田先生から追加はありますか。よろしいですか。ほかの委員の先生方もよろしいでしょうか。こちらについても御確認いただいたものといたします。その他、事務局から何かありますか。

○事務局 次回は9月5日()の午後3時から開催の予定です。よろしくお願いいたします。

○吉田部会長 それでは、本日はこれで終了させて頂きます。御協力ありがとうございました。


(了)

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 井本(内線2746)

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