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2014年4月30日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

○日時

平成26年4月30日(水)15:00 ~


○場所

厚生労働省専用第23会議室


○出席者

出席委員(16 名) 五十音順

○新 井 洋 由、 奥 田 真 弘、 川 崎 ナ ナ、  菊 池    嘉、
  佐 藤 俊 哉、 関 水 和 久、 田 島 優 子、  田 村 友 秀、
  豊 見 雅 文、 中 島 恵 美、 濱 口    功、  半 田    誠、
  福 山    哲、 増 井    徹、 山 本 一 彦、◎吉 田 茂 昭
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(5名)

庵 原 俊 昭、 大槻 マミ太郎、 清 田   浩、 鈴 木 邦 彦、
前 崎 繁 文

行政機関出席者

今別府 敏 雄 (医薬食品局長)
成 田 昌 稔 (大臣官房審議官)
佐 藤 岳 幸 (審査管理課長)
森 口    裕 (安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
山 本 弘 史 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
山 田 雅 信 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
中 野    惠 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○審査管理課長 定刻より少し早いですが、「薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会」を開催いたします。本日はお忙しい中、またお足元の悪い中を御参集いただきましてありがとうございます。

 本日の委員の出席についてですが、庵原委員、大槻委員、清田委員、鈴木委員、前崎委員より欠席との御連絡をいただいております。現在のところ、当部会委員数21名のうち16名の先生方の御出席をいただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。

 続きまして、事務局に人事異動がありましたので御報告させていただきます。まず、新薬審査第五部長の柴辻です。それから、再生医療製品等審査部長の佐藤です。以上です。

 それでは吉田部会長、以降の進行をよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 本日の審議に入ります。まず、事務局から配布資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについての報告をお願いします。

○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日、席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しています。また、議事次第に記載されている資料1~13を予めお送りしています。

 このほか、資料14「医薬品第二部会における薬事分科会における取り扱い、毒薬・劇薬の指定の要否及び生物由来製品/特定生物由来製品の要否について(案)」、資料15「専門委員リスト」、資料16「競合品目・競合企業リスト」資料17「佐藤委員からの御質問」を配布しております。

 また、資料12-2につきましては、事前に送付しておりました資料の表紙ですけれども、品目の一般名が空欄となっておりましたので正しいものを差替え用資料として机上配布させていただいております。大変失礼いたしました。

 続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リスト、資料16について御報告いたします。各品目の競合品目選定理由につきましては次のとおりです。資料16の1ページを御覧ください。クレナフィン爪外用液10%ですが、本品目は爪白癬を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 2ページを御覧ください。デルティバ錠50mgですが、本品目は多剤耐性肺結核を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 3ページを御覧ください。アノーロエリプタ7吸入用、同エリプタ30吸入用ですが、本品目は慢性閉塞性肺疾患を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 4ページを御覧ください。ザイティガ錠250mgですが、本品目は去勢抵抗性前立腺癌を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 5ページを御覧ください。ジェブタナ点滴静注用60mgですが、本品目は前立腺癌を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。

 6ページを御覧ください。イムノマックス50、同注100ですが、本品目は「菌状息肉症、セザリー症候群」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 7ページを御覧ください。ランマーク皮下注120mgですが、本品目は「骨巨細胞腫」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから競合品目は、なしとしております。

 8ページを御覧ください。catridecacogですが、本品目は先天性血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 9ページ~11ページは同一品目について3種類の効能・効果となっています。カナキヌマブですが、本品目は「メバロン酸キナーゼ欠乏症」、「TNF受容体関連周期性症候群」、「家族性地中海熱」を予定効能・効果としており、いずれについても同様の効能・効果を有する薬剤はないことから競合品目は、なしとしております。

12ページを御覧ください。MC710ですが、本品目は「血液凝固第VIII因子又は第IX因子に対するインヒビターを保有する患者の出血抑制」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。

○審査管理課長 なお、追加ですが、先週4月25日、他部会の審議会におきまして利益相反の事務手続き誤りが発生したとの報道発表が行われたところです。その中で、申告漏れも一部あったとのことでございます。当部会につきましては、薬事・食品衛生審議会の利益相反につきまして薬事分科会審議参加規定に基づき、事務局で適正に運営しているところですが、委員の先生方におかれましても、より一層の御注意を払っていただきますよう、御留意方、よろしくお願いいたします。以上です。

○吉田部会長 今の事務局からの説明に特段の御意見等ございますでしょうか。ないようですので、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては皆様の御了解を得たものといたします。それでは、委員からの申し出状況についての報告をお願いします。

○事務局 それでは、各委員からの申し出状況につきまして御報告いたします。

議題1「クレナフィン爪外用液」、退室委員なし、議決には参加しない委員はなしです。

議題2「デルティバ錠」、退室委員なし、議決には参加しない委員はなしです。

議題3「アノーロエリプタ吸入用」、退室委員なし、議決には参加しない委員はなしです。

議題4「ザイティガ錠」、退室委員なし、議決には参加しない委員は山本委員です。

議題5「ジェブタナ点滴静注」、退室委員なし、議決には参加しない委員は山本委員です。

議題6「イムノマックス注」、退室委員は関水委員、田村委員、議決には参加しない委員は奥田委員です。

議題7「ランマーク皮下注」、退室委員なし、議決には参加しない委員なしです。

議題8「カトリデカコグ」、退室委員なし、議決には参加しない委員なしです。

議題9「カナキヌマブ(遺伝子組換え)」、退室委員なし、議決には参加しない委員なしです。

議題10「MC710」、退室委員なし、議決には参加しない委員なしです。以上です。

○審査管理課長 申し訳ありません、本当はここで先ほどのコメントを追加するところでした。もう一度ですが、利益相反の関係につきましては先生方も十分御留意いただき、今後ともよろしくお願いいたします。以上です。

○吉田部会長 よろしくお願いします。本日は審議事項10議題、報告事項3題となっております。審議事項の議題1について機構から概要説明をお願いします。

○機構 審議事項議題1、資料1「医薬品クレナフィン爪外用液10%の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より御説明いたします。

 本剤の有効成分であるエフィナコナゾールは、科研製薬株式会社の創製したトリアゾール系化合物で、真菌細胞膜に必要なエルゴステロールの生合成を阻害することで抗真菌活性を示します。現在、本邦において、白癬菌の感染による爪真菌症である爪白癬の治療薬として、経口剤であるイトラコナゾールとテルビナフィンが承認されておりますが、本剤は直接爪に塗布する外用抗真菌剤であり、今般本邦での製造販売承認申請が行われました。

 なお、本年2月時点で、本剤はカナダで承認されており、米国では承認申請中です。本申請の専門委員としては、資料15に記載されております10名の委員を指名しました。

 審査内容につきまして、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。審査報告書42ページの表30を御覧ください。爪真菌症患者を対象とした国際共同第III相試験における有効性について、主要評価項目である投与52週目の完全治癒率は、本剤群17.8%及びプラセボ群3.3%であり、統計学的に有意な差が認められました。

43ページの表31を御覧ください。こちらは先ほどの国際共同第III相試験の成績を地域別に部分集団解析したものです。右側には米国・カナダでの海外第III相試験の成績を付けてございます。52週目の完全治癒率は左側にあります日本において本剤群28.8%及びプラセボ群11.9%であり、本剤群とプラセボ群との群間差は、日本でも米国・カナダとほぼ同様であることが確認されました。

 同じく43ページの表32を御覧ください。こちらは先ほどの2試験について原因菌別の真菌学的治癒率を示したものです。両試験に組み込まれたのはほとんどが白癬菌を原因とするもので、真菌学的治癒率は本剤群で55.2%及びプラセボ群では16.8%、本剤群ではプラセボ群と比較して高い治癒率が確認されました。以上より、本剤の爪白癬に対する有効性は示されたと判断いたしました。

 次に、安全性についてですが、審査報告書40ページの表28を御覧ください。国際共同第III相試験における安全性の概要として、有害事象及び副作用の発現状況を示した表ですが、本剤群の有害事象の発現頻度及び認められた事象はプラセボ群と同程度であり、重症度も多くは軽度から中等度であったことから、本剤の安全性に特段の問題はないと判断しております。また、日本人部分集団と外国人部分集団の有害事象の発現率もほぼ同様でございました。

 続きまして、審査報告書45ページの表33を御覧ください。こちらは国際共同第III相試験及び海外第III相試験において適用部位皮膚炎など塗布部位での有害事象が認められております。塗布部位に発現した有害事象の多くは軽度から中等度であり、ほとんどの被験者で回復していることから、臨床上特段の問題はないと考えておりますが、本剤は皮膚刺激作用を有することが明らかですので、本剤の投与に際しては、爪局所のみに塗布することが重要と考えております。なお、日本人爪白癬患者における48週以上の長期投与時の有効性及び安全性成績等は得られておりませんので、製造販売後に情報収集する予定としております。

 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本医薬品第二部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新有効成分含有医薬品に該当することから、再審査期間は8年、原体及び製剤は毒薬又は劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品にも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。

 ここで資料の訂正を1か所させていただきます。資料1の1.7の同種同効品一覧表、こちらの2ページ目の表1.7-1という部分に同種同効品一覧表がございます。こちらの下の方、エフィナコナゾールの欄なのですが、その規制区分、7番目のところに「処方せん医薬品」と記載されていますけれども、本剤はまだ処方せん医薬品に指定されておりません。こちらは棒線、いわゆる該当なしでございます。申し訳ございませんでした。

 以上、よろしく御審議のほどお願いいたします。

○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。

○佐藤委員 審査報告書の冒頭に、糖尿病の患者さんとか末梢循環不全の患者さんでは有病率が高いということと重症化することが書かれています。この臨床試験自体には重症な患者さんは含まれていないのですが、こういう基礎疾患を持っている患者さんで特に有効性が劣るというような報告はあるのでしょうか。

○機構 機構よりお答えいたします。本剤におきましては、特に臨床試験の中でそのような部分集団に対して、特に有効率が及ばなかったなどという情報はありませんでした。

○佐藤委員 情報がないのは仕方ないですが、確認しなくて宜しいでしょうか。

○機構 こちらにつきましては、製造販売後調査の中で様々な基礎疾患を有する患者さんにつきましても情報を得るようにさせていただいています。その中から新たな情報があれば対策を取りたいと考えております。

○佐藤委員 製造販売後調査には患者背景としか調べることが書かれていないですね。基礎疾患を持っている方についてもう少し、重点的に調査させるということは考えていないのでしょうか。

○機構 申請資料で申しますと、「1.11製造販売後調査等基本計画書()」になっております。こちらの「使用成績調査実施計画書(案)」5ページ目の一番下、「3.特別な背景を有する患者での有効性の検討」とあります。この中で様々な基礎疾患を有する症例について集積することとしております。こちらは有効性に関する検討ということですが、当然ながら安全性につきましても調査を行うように指示したいと思います。

○吉田部会長 それに関連してなのですが、例えば海外の第III相試験でも国内試験でもいいのですが、糖尿病を除くというような除外項目にはなっていなかったのですか。要するに、eligibility criteriaの中ではどのような扱いになっていたか分かりますか。

○機構 局所又は全身療法を要し、評価に影響を及ぼすと治験責任医師又は治験分担医師が判断した爪真菌症以外の基礎疾患を持つ患者は除外基準として設定されておりますが、特に糖尿病が除外基準に指定されているということはありませんでした。

○吉田部会長 そうであれば、そういう患者さんも含まれていたと考えられるというように解釈すればいいということですね。ほかにありますか。

○菊池委員 容器を見ると「目には入れないこと」となっていて、ふたを開けると刷毛みたいになっているから大体分かると思うのですが、これはむしろ「爪にのみご使用下さい」と書かなくていいのですか。皮膚にも刺激性があると思うのでそのように書いた方がいいと思います。それに、字が小さいかと思いますが、いかがでしょうか。

○機構 御指摘、ありがとうございます。添付文書の方にはそのように書いておりますけれども容器には書いてありませんでした。小さいものですから具体的にどのような形で書けるかどうか分からないのですが、企業の方に検討してもらうように指示したいと思います。

○豊見委員 これは内服と併用と言いますか、そういうことが起こるだろうと思うのですが、そのことに関しては全く問題ないと考えてよろしいですか。

○機構 お答えします。内服との併用はないとは言えないと考えております。本剤の爪から体内への吸収はごく僅かと考えられておりますが、爪が割れている箇所からの浸潤なども想定されますことから、製販販売後調査では併用の場合の安全性に係る情報収集も行って、内服との併用における安全性について確認させていただきたいと考えております。

○吉田部会長 先ほどの話の続きなのですが、これの治験中は内用薬と一緒に使うことは禁止されたのですか。

○機構 はい、そのとおりです。

○吉田部会長 治験のときは外用薬のみでやっていたので、内服と併用するとなると市販後のときに問題になるかもしれないということですね。注意して見ていくということでよろしくお願いします。ほかにございますか。

○奥田委員 最初の開発のくだりの所に、一旦、□□□□□として開発を中止したということが書かれています。その理由として、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□と書いてあります。今回の申請には□□□□□□□□□□□□□□□□□ということであれば、そこのところは回避できていると思うのですが、「□□□□□□□□□□□□□□等から」と書いてあります。「等」の中にはどういうことが含まれていて開発中止になったのか、本申請に影響がなければ問題ないと思うのですが、そのあたりについて教えていただければと思います。

○機構 主な理由として□□□□□□□□□□□□□□□□ということです。□□□□□□□□□□□□□□□□□というものは□□□□□のみならず、□□□□□□□□□□□□□□□□もあるかと思います。そういった諸々のものがあると認識していますが、本剤の今回の承認に対して何らか影響を与えるものではないと考えております。

○新井部会長代理 これまでのトリアゾール系抗真菌剤は、p450に対する阻害効果が副作用の一つとしてあったと思います。今回、外用薬ですから副作用は低いと考えているのか、実際のin vitroの薬物に対する作用というのはどうだったのか、その点と血中濃度はそこまで絶対に上がらないということの説明をもう少し詳しく教えていただきたいのですが。

○機構 審査報告書18ページ「()薬物動態学的薬物相互作用」でCYP阻害作用、誘導作用、トランスポーターとの影響などについて少し書かせていただいています。こちらの中でCYP分子種、その他酵素への影響について書いております。実際の本剤の影響につきましては、CYP阻害に基づいて臨床上問題となる薬物相互作用が起こる可能性は低いと考えられるというところです。

○新井部会長代理 この文章だけ見るとほかの物に対する対照的なことは書いていないのですがこれまでの物に対してそれほど極端に強いCYPの阻害作用は基本的にはないと考えてよろしいですね。

○機構 そのように考えております。

○新井部会長代理 分かりました。

○吉田部会長 ほかにございますか。御意見も出たようですので議決に入りたいと思います。お諮りします。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは、議題2につきまして機構からの概要説明をお願いします。

○機構 審議事項議題2、資料2「医薬品デルティバ錠50mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より御説明いたします。本剤の有効成分であるデラマニドは、大塚製薬株式会社により発見されたニトロ-ジヒドロイミダゾ-オキサゾール誘導体であり、抗酸菌に特異的なミコール酸の生合成を阻害することにより抗結核作用を示します。

 本邦では年間110120人の多剤耐性肺結核患者が発生しているとされ、多剤耐性肺結核に対しては、ピラジナミド、エタンブトールとともに、カナマイシン等の注射用抗結核薬及びフルオロキノロン系抗菌薬を併用する治療が推奨されており、治療期間は、WHOガイドラインにおいて、注射用抗結核薬を含めた強化療法期間を少なくとも6か月設け、菌陰性化後18か月治療を継続することが推奨されています。

 本剤は、多剤耐性肺結核に対し、既存の標準的な抗結核療法に上乗せして投与する薬剤として開発され、今般、本邦において製造販売承認申請が行われました。なお、海外において本剤は、一昨日4月28日に欧州で承認されましたが、それ以外に承認されている国、地域はございません。

 本申請の専門委員としては、資料15に記載されております9名の委員を指名しました。

 審査内容について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。審査報告書62ページ「3)多剤耐性肺結核患者を対象にした国際共同第II相試験」を御覧ください。喀痰培養陽性の多剤耐性肺結核患者を対象に、本剤及び最適な標準治療法(以下、「OBR」)、が併用投与された国際共同第II相試験において、有効性の主要評価項目である投与開始2か月時点での喀痰培養陰性化を達成していた被験者の割合は、63ページの1行目に記載されたように、本剤100mg45.4%、本剤200mg41.9%及びプラセボ群29.6%であり、本剤100mg群又は本剤200mg群とプラセボ群との対比較において、統計学的に有意な差が認められました。本試験において、有効性の解析対象となった日本人症例は本剤100mg群4例、本剤200mg群3例、プラセボ群1例であり、喀痰培養陰性化が達成された被験者は各群1例でした。

 審査報告書64ページの「4)多剤耐性肺結核患者を対象にした国際共同長期投与試験」を御覧ください。国際共同第II相試験を完了した多剤耐性肺結核患者を対象に、本剤及びOBRが併用投与された国際共同長期投与試験において、有効性の評価項目である喀痰培養陰性化持続例及び陰性化例の割合は、本剤100mg79.5%及び本剤200mg75.3%でした。

 以上より、本剤の多剤耐性肺結核に対する有効性は示されたと判断いたしました。

 次に安全性についてですが、審査報告書63ページの表32を御覧ください。多剤耐性肺結核患者を対象とした国際共同第II相試験における有害事象発現率は、本剤100mg群及び本剤200mg群でプラセボ群と同程度であり、また、有害事象の重症度及び発現時期にプラセボ群と異なる傾向は認められなかったことも踏まえ、本剤をOBRと併用投与することは認容可能と判断いたしました。ただし、日本人に対する投与経験は極めて限られていること、及び、本剤はQT延長作用を有し、本剤投与に伴う心電図QT延長が認められていることから、製造販売後にも引き続き安全性に関する情報を収集する必要があると考えております。

 なお、多剤耐性肺結核患者における6か月を超える本剤の使用経験はないこと、日本人における本剤の投与経験は非常に限られていることを踏まえ、全投与症例を対象とした製造販売後調査を実施し、長期投与時の情報を含めた本剤の安全性及び有効性を検討する予定としております。

 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本医薬品第二部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は希少疾病用医薬品であることから再審査期間は10年、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品には該当しないと判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。以上、よろしく御審議のほど、お願いいたします。

○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。

○菊池委員 RAPについて説明いただいた方がいいかと思うのですが。

○機構 御指摘ありがとうございます。本剤の承認された後、製造販売後の使用方法なのですが、使用される医療機関に制限をかける予定です。お手元の申請資料1.11の「製造販売後調査基本計画書()」に具体的な方法を示しております。デルティバを使用する際の適格性確認システムとして薬剤感受性検査を行うことができる施設と、服薬体制の確認を行うことができる施設、又は外来治療における服薬確認のための保健所、その他の機関との連携体制ができていること、多剤耐性結核患者を隔離する陰圧病室があること、常勤若しくは非常勤で日本結核病学会が認定する結核・抗酸菌症指導医が常勤しており、かつその医師が多剤耐性結核治療に関して十分な計画があること等を使用の条件としまして、使用する医療施設を限定して、まずは使用頂くという計画を立てております。

具体的なスキームについて御説明させていただきます。まず、28ページの下の図に「申請医師」とあります。こちらは、本剤の投与を考慮した医師ですが、この医師につきましては1.のとおり、患者同意を取得した後に、事前に申請者に対して薬剤供給を求めるために、患者登録用サーバーに必要な情報を入力いたします。申請者は第三者委員会に使用の適否などに関する意見を求め、その結果に基づいて卸を通じて医療機関に薬剤を供給します。そのようなシステムになっています。

 また、このほか、排菌が陰性化したあとには外来治療となる場合もありまして、そうしますと、薬局による院内処方も想定されます。その場合、医師は退院前に患者と相談して、院内薬局を決定した上で、院内薬局の情報を処方医師が申請者のサーバーに登録いたします。次に、申請者は処方医師に対してデラマニドを交付するために特別なカードを用意しまして、それを医師に配付し、その処方医師は処方せん交付時にそのカードを患者にお渡しします。また、申請者は卸を通じて院内薬局の方に薬剤供給を行いまして、薬局側には特別なカードを持参した患者にのみ薬剤を交付するようにという形で依頼します。そして薬局において患者がカードを持って参ったときに、薬剤を交付できるようにする、そのようなスキームを考えています。

○菊池委員 それに気がついたから伺ったのですが、そういうことが添付文書上に全く書かれていないのは、解せない感じがしまして、このResponsible Access Programというのは、今話した内容のことは初耳であって、一般の人は全く知らないはずで、それを一切書かずに添付文書に書かないでこれを上市することとか、せっかく国内初の大事な薬ですし、HIVでもそうですが、アドヒアランスがとにかくこれは決め手になる薬ですので、そういうところもしっかり書かないでいることについて、疑問を感じます。それと、あと6か月以降の安全性がないのは当たり前ですが、この勝負は6か月以降にあるわけですから、そのことも書いておかないといけないわけであって、この記載だとどこかに書いてありましたが、6か月以上飲んではいけないような感じの誤解を招く可能性があって、それ以降のことについても厳重に監視をしているのだということをもっとはっきり言うべきではないでしょうか。そうでないと、せっかくの多剤耐性の薬がいい加減な使い方で耐性化してはいけないと思います。

○機構 御指摘ありがとうございました。RAPの部分につきましては、厚生労働省の結核治療の部局でも検討されていると伺っており、実際にどのような形でこのスキームが運用されるかについて、現段階では調整中と伺っておりますが、御指摘を踏まえどのような形で添付文書に記載できるか決めさせていただきたいと思います。また、6か月を超える使用成績の部分につきましても、専門協議の際に、先生方からも御指摘がございまして、ガイドラインなどでは当然6か月を超え、2年程度にわたって投与されるということがありますので、そちらの部分が添付文書の記載上、6か月以上投与が難しいような誤解を受けないような表現をよく考えてさせていただきたいと考えています。

○菊池委員 矛盾があると思いますが、この添付文書の案の1ページの所に、用法・用量の()に「継続して6か月を超える使用経験はない」とありますが、改めて括弧に書く必要はないのではないか。むしろ6か月目以降はしっかり飲んでほしいと書くべきではないでしょうか。

○機構 機構より説明させていただきます。本剤はQT延長のリスクが臨床試験で想定されていまして、本剤を6か月を超えて投与した際に、心血管イベントが出るかどうか、臨床試験成績のデータが得られておりませんので、その辺りも含めてリスク・ベネフィットバランスを考慮した上で、本剤を投与する必要性を評価して投与いただく必要があるということでこちらの注意喚起を書かせていただいています。

○吉田部会長 6か月以上云々を重要な所と一緒に書けばいいわけで、改めて項を起こさなければいいのではないですか。

○機構 先ほど部会長がおっしゃられたのは、今は6か月を超える使用経験はないという記載を外してはどうかという御提案ということでよろしかったのでしょうか。

今、部会長からも御指摘いただきましたけれども、この6か月を超える使用経験はない所の記載の場所も含めて、どこが適切なのか、あるいは書くことが適切なのかどうかも含めて検討させていただいて、それで調整させていただきたいと思います。

○吉田部会長 よろしくお願いします。あと、最初の全般性の部分は薬の処方の説明とかはいかがですか。市販後調査は全例かかるわけでしょう。

○機構 そちらにつきましても、詳細が決まりましたら添付文書に書ける部分は書きたいと思っております。

○吉田部会長 決まり次第やるということですね。よろしいですか、菊池先生。

○菊池委員 はい。

○吉田部会長 ほかに御意見ございますか。

○関水委員 64ページの有効性に関する試験ですが、これには本剤なしというコントロールがないのでしょうか。

○機構 お答えさせていただきます。こちらにつきましては、本剤なしという部分は、OBRという、いわゆる基礎治療のみというグループが本剤なし群に相当するものです。

○関水委員 それでは、本剤なしでの、OBRのデータは何パーセントなのですか。その値が示されていますか、79.5%、75.3%という値よりも有意な差があるという有効性が示されているのでしょうか。

○機構 先生がおっしゃっている本剤なしというのは、64ページの箇所ですか。

○関水委員 OBR併用下ですね。OBRだけだと値がいくらになるかです。

○機構 この試験でOBRのみの投与群は設定されておりません。

○関水委員 それをやる必要がないのですか。もしそれがなされていないとすれば、この薬剤が効いているという証拠はないということになりませんか。

○機構 本剤の主要評価項目は2か月時点の有効性で評価しておりまして、それは62ページの試験、国際共同第II相試験成績で評価をさせていただいております。この長期投与試験はその後継続した際のデータを収集する目的でされたものであって、本剤の有効性を直接的に評価しているのは国際共同第II相試験のデータとなっております。

○関水委員 どうしてそのような評価が受け入れられるかは私には分かりません。長期投与において、一般の方が見たら本剤には効果があると理解するでしょうが、コントロールがないわけですから、本剤が効いているかどうかについての論拠にならないと私は考えます。

○機構 説明させていただきます。まず、持続した陰性化が得られることが結核治療において有効性を判断するための指標であることはある程度コンセンサスが得られています。審査報告書に記載していますとおり、感受性結核等のメタアナリシス及び観察研究等から、長期の再発の有無、長期における治療効果の持続性及び耐性の有無の発生ということに関しましては、2か月の陰性化でほぼ予測ができるということでコンセンサスが得られています。したがって、こちらの2か月時点のデータで有効性が判定できるというように考えました。

○関水委員 そうしますと、なぜこの64ページのデータが必要なのですか。データを出す意味がないと思います。

○機構 長期の治療転帰というものに関しましては、本剤の有用性となる患者さんの予後の確認のみならず、長期投与時の安全性を評価するために、こちらの試験をさせていただいております。

○関水委員 安全性とは別の問題だと思います。本剤100mg79.5%、本剤200mg73.3%となっていますが、これらのデータは、本剤の有効性を示しているわけではないと思われます。そのようなデータが文書に載るという意義が何かあるのですか。

○機構 本剤に関してはそちらの方を副次的に評価するということで検討させていただいております。

○関水委員 安全性を調べる実験ことが目的であるということかもしれませんが、ここに示されたデータからは、いかにもこの薬が効いたかのような印象を受けます。

○吉田部会長 でも、これはプラセボ試験ですから、OBRとプラセボでこれだけ有効性が違ってくれば。

○関水委員 プラセボ試験はなされていないと私は理解しています。

○吉田部会長 プラセボか本薬の100200かですから、比較は三つでしょう。

○関水委員 いえ、本剤を使わなかったときに、有効性がどうなるかという点については示されていないと私は思います。

○機構 2か月時点のプラセボと比較したものが204試験であり、それを更に投与期間を延長したものが先生のおっしゃられている対照を設定しない208試験です。

○関水委員 そのときに、本剤を使わなかったときにどうなるかという予想は全くできないですね。有効性を示すデータには全くなりませんね。その点はよろしいですか。

○機構 持続陰性化されていることの確認という意味では、意義のあるデータと考えております。

○関水委員 そこが言えない、と私は言っているのですよ。このデータにはプラセボの結果がないわけですから、本剤の有効性が示されているとは思われません。その点は納得していただけますか。

○吉田部会長 要するに抗結核剤を一切やらないで、本剤だけやったというデータはないでしょうと、そういうことではないのですか。

○関水委員 いえ、私が問題にしているのは、OBRを投与して、本剤を使わなかったときにどうなるかというデータがないという点です。

○吉田部会長 今それで3群比較の話なのではないのですか。

○機構 3群比較を行っているのは2か月の部分まで、204試験の方は3群比較をしていますが、更に長期の投与を行ったのは208試験でございまして、こちらにつきましてはプラセポ群がないような形で試験をやっております。

○吉田部会長 どこまで続くか見ただけだと。

○機構 そういうことでございます。

○吉田部会長 2か月に関してプラセボはあるが、それより先の長期投与の成績に関しては、有効性に関するプラセボはないということですか。

○機構 そういうことでございます。

○吉田部会長 ということは、逆に言うと2か月でプラセボと差が出てしまったのでそれ以上プラセボを置いて試験するのは倫理的に問題がある。そこで、長期試験の方は全部それを使うようにしたと、そういうことになるわけですね。その辺が実験的にうまく説明しにくいところなのかもしれないけれども、人を使っている以上、そういうことも起こり得るということだと思います。差のはっきりするものを更にもっと差をつけるために、長期投与をしていくということになると、倫理的に問題が出てきますしね。

○関水委員 確かに倫理的な問題があるというのは分かりますが、併用で長期投与をして治す薬について有効性を立証するデータがあるのと、ないのとでは大違いです。倫理性と有効性の証明というのが天秤にのっているのだということは私にも理解できます。少し問題だと思うのは、ここに書いてあることを一般の方が見れば、79.5%は効くのだというような、間違った理解を誘導すると思います。

○吉田部会長 まあ、それもそうでしょうが、結核治療のエンドポイントが、結局、排菌していない状況である状態が続けばいいということであれば、いわゆる完全に癌がきれいに治るとかという、そういう話とは若干違うのではないかと思うのですが、濱口先生、この辺を説明していただけると嬉しいのですが。

○濱口委員 先生がおっしゃっているように、比較がきちんとされていない中で、有効かどうかというところまでのコメントは、やはりここでは難しいというように私は思いました。ですので、安全性のところでのQTの延長のところのデータを主に書いていただくというような形なのではないかと思いました。

○吉田部会長 有効性に関しては、2か月の短期のデータしかないし、この長期の試験も先ほど事務局から説明されたように安全性を担保したいという意味でやっていたということもあるので、濱口先生の言われるように、安全性を前面に出した書き方の方が良いですね。

○関水委員 もう少ししっかりやっていただきたいですね。つまり、OBRというのはすでに正式に承認されている処方ですが、それに比べて本剤の有効性は確かに有意差がある、治療効果があるのだということを示すべきだと思うのです。承認不可と申し上げるつもりはありませんが、検討が不十分だと私は思います。対象となる薬の有無でプラスマイナスで確かに有効性に差があるという証明がどんな薬でも求められると思います。

○機構 機構の見解としましては、204試験の部分で、プラセボ、いわゆるOBR群との比較対照試験が適切に行われまして、これで統計学的に有意な差で有効性が認められたという成績はございますので、その部分では本剤の有効性はきちっと示されたというように判断しています。

○菊池委員 そこまで言ったら204試験でプラセボ対照というか、OBRだけになったところの群はどういう処理をしたのですか。それで100ミリとか200ミリとかの上乗せ効果があったというのだったら皆安心すると思うのですけれども、そのところはどうしたのですか。204100ミリと200ミリとOBRですね、プラセボですね。ですからその204でOBRに当たった人たち、プラセボの人たちを100ミリないし200ミリに上げるというプランが普通としたら、有効性があると思うのです。その後安全性とかクロスオーバー、またオープンして。そういったことがあって、効果があったというのならもうかなり納得いくと思います。

○機構 長期投与試験の方は、204試験で本剤200mg群、100mg群、プラセボに入った方々が希望によって参加するという試験デザインになっておりました。それで事後解析なのですが、2か月プラセボしか投与していなかった群又は2か月しか本剤を投与していなかった群に比べて、6か月の群の陰性化率が高かったという解析がされております。ただ、統計的にきちんと考慮した試験ではありませんので、そちらのことに関して有効性を議論するということは、審査報告書の方ではしていません。

○吉田部会長 いま、菊池委員が示されたように、長期間投与試験ではプラセボだった人も含めて、希望者全員に本薬を投与したのでしょう。事後解析でもあり、バランスを取った統計的な解析ではないけれど、その中で明らかに有効な人たちの方が多かったと。

○機構 そのとおりです。

○吉田部会長 有効性が担保できていないわけではないということですね。ほかにありますか。臨床試験のデザインとしては分かりにくいところがあったかもしれません。私は結核の臨床試験はやったことはありませんが、一般的にいうと、有効性を見るときは短期試験で、遅発性の有害事象を含めて安全性を見るときは長期試験になります。そういった絡みからいうと、短期間で3群比較をやって、差が出たので、長期試験では試験対象者を全部入れて検証するというのは、そんな外れた手法ではないように思いますので、その辺も御理解いただけたらと思います。よろしいでしょうか。

○奥田委員 この申請に関する審査と直接関係しない話かもしれませんが、今回のResponsible Access Programという、これに類するようなものが、様々な薬剤が実際現場で提供されている状況ですが、どういう方針でこういうものが立てられるのかという、その辺りが現場で様々なものが交錯している、交じって実行されている状態で、管理していくのが非常に難しい状態になってきていると思うのですが、こういうリスクを避けるためにこういう制限をかけるというような、手順的なものを整理されているものがあるのでしょうか。あるいはそういうものを検討していくような予定はありますか。その辺りを整備していただくと、現場にとっては非常にやりやすくなってくるといいますか、より確実にその辺りが実行できるということにもつながっていくので、是非お願いしたいなと思います。

○審査管理課長 コメントありがとうございました。なかなかこのケース、恐らくそれぞれ事情が違いますので、まだ、こういうルール、状況であれば確実にこういうものを適用するというのは、まだ残念ながら例数が少ない以上、明確なことは申し上げられないというのが実情だと思います。ただ、今後ともこういう流通管理等を含めたこういうものというのは、多分それなりの数が出てきますので、その段階で。あと、アクセスのしやすさとか、この部会でも確か御要望を頂戴しているところですが、もう少しお時間をいただければと思います。

○吉田部会長 その辺もよろしくお願いします。よろしいですか。それでは、議論が出尽したようですので、議決に入りたいと思います。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは、議題3につきまして、機構からの説明をお願いします。

○機構 審議事項議題3、資料3「医薬品アノーロエリプタ7吸入用及び同エリプタ30吸入用の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より説明します。本剤は、長時間作用性抗コリン薬(以下、「LAMA」)であるウメクリジニウム臭化物(以下、「UMEC」)及び長時間作用性B2刺激薬(以下、「LABA」)であるビランテロールトリフェニル酢酸塩(以下、「VI」)を有効成分とする吸入配合剤であり、慢性閉塞性肺疾患(以下、「COPD」)に対して開発されたものです。LABA又はLAMA単剤で効果不十分な患者等に対するLAMA及びLABAの併用治療は診療ガイドラインにも記載され一般的に行われていますが、本剤は、LAMAとLABAを配合し、一つの吸入器で投与を可能とすること、更に1日1回投与製剤とすることにより、服薬アドヒアランスや患者の利便性の向上に寄与することを目的として開発されました。本邦において、UMECは承認されていませんが、VIについてはステロイド薬であるフルチカゾンフランカルボン酸エステルとの配合剤が、気管支喘息に係る効能・効果で2013年9月に承認されています。なお、当初は、UMEC125μg及びVI25μgを含有する高用量の製剤も申請されていましたが、審査の過程において、当該製剤の申請は取り下げられています。

 本申請の専門委員としては、資料15に記載されています9名の委員を指名しました。主な審査内容について臨床試験成績を中心に簡単に説明します。

 審査報告書49ページの「2)国際共同第III相試験」の項を御覧ください。日本人及び外国人COPD患者を対象に、UMEC62.5μg及びVI25μgを含有する本配合剤、UMEC単剤、VI単剤又はプラセボを1日1回投与したときの有効性及び安全性を比較検討する無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施されています。有効性の主要評価項目である投与24週後のトラフFEV1のベースラインからの変化量は、50ページの表27のとおりであり、プラセボに対する本剤、UMEC及びVIの優越性が検証され、また、UMEC及びVIに対する本剤の優越性が検証されました。日本人部分集団の成績は、表28のとおりであり、VI群と本剤群の比較においては全体集団と同様の傾向が認められたものの、UMEC群と本剤群との対比較において本剤群の効果がUMEC群を上回る傾向は認められませんでした。

 また、審査報告書に戻り、46ページに記載しています本剤の高用量を用いた国際共同第III相試験においても、全体集団では、UMEC及びVIに対する本剤の優越性が検証された一方で、日本人部分集団では、本剤群の効果がUMEC群を上回る傾向は認められず、日本人が参加した国際共同治験2試験において、全体集団と日本人部分集団の結果に一貫性が認められなかったことから、その要因について検討しました。その結果、審査報告書の66ページ以降の「2)日本人部分集団における結果について」の項に記載しますように、一連の感度解析結果より、中止例が日本人部分集団に結果を及ぼした可能性が要因のひとつとして示唆されましたが、明確な要因の特定には至りませんでした。

 一方、76ページの5行目以降に記載しておりますように、両試験において、全体集団でCOPDに対する本剤の有効性は示されていること、UMEC、VI各単剤群とプラセボ群の比較については、全体集団と日本人部分集団で一貫した結果が得られており、日本人COPD患者においてもUMEC及びVIの有効性が示されていると判断できること、日本人部分集団における各単剤の有効性が他の地域の集団と比べ大きく異なる傾向も認められていないこと、さらに作用機序の異なるLAMAとLABAの併用療法の臨床的意義についてはコンセンサスが得られていることを勘案すると、UMECとVIの併用時の上乗せ効果が日本人においては発現しない可能性は低いと考えられ、全体集団の結果と同様に、日本人COPD患者においても本剤の有効性は期待できるとの評価は可能であると判断しました。

 次に、審査報告書76ページ以降の「()安全性について」の項を御覧ください。各臨床試験における有害事象の併合集計成績を77ページの表55に、また、LAMA、LABAともに関連が示唆されている心血管系の有害事象の発現状況を79ページの表57等に示していますが、本剤群における有害事象の発現率は、プラセボ群と比較して大きく上回る傾向は認められず、各単剤や類薬と同程度であったこと等から、本剤投与時の安全性のリスクは臨床上許容可能なものと判断しています。しかしながら、心血管系への影響はLAMA及びLABAにおける薬理学的な潜在的リスクとして否定できないことから、添付文書等で十分に注意喚起するとともに、92ページ表70に示しております製造販売後調査等において、心血管系の有害事象の発現状況を始めとする本剤の安全性について引き続き検討するよう指示しています。

 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから再審査期間は8年、また、配合成分のうち、ウメクリジニウム臭化物原薬は劇薬に該当し、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。薬事分科会では報告を予定しております。

 本件品目について、佐藤委員より事前に御意見を頂いています。まず1点目ですが、日本人が参加した二つの国際共同治験は、「国際共同治験における基本的考え方」が発出された後に開始されていますが、この2試験の試験計画は、どういう結果になれば日本人集団と全体集団の一貫性が認められると判断することと定められていたのでしょうかとの御質問です。

日本人COPD患者が参加した国際共同第III相試験2試験において、日本人集団と全体集団の一貫性が認められる判断基準については事前に定められていませんでしたが、日本人の目標症例数は、各単剤の上乗せ効果について、「国際共同治験における基本的考え方」の方法1に基づき60例と設定され、全体集団と結果の一貫性が得られる確率は両試験とも72.1%と算出されていました。

 2点目は、日本人部分集団の解析では、2試験ともFEV1トラフ値のベースラインからの変化量について、本剤群がUMEC群に対し上回る傾向は認められず、全体集団との一貫性は認められない結果でした。この点について、機構は申請者に対し詳細な追加解析を指示し検討しており、審査報告書の76ページ、3~4行目では、「中止例が日本人部分集団の結果に影響を及ぼした可能性が原因のひとつとして示唆されたが、明確な要因としての特定には至らなかった」が、偶発的な結果である可能性が高いと結論しています。また、専門協議においても、報告書68ページの両試験の参加国別の有効性のプロットから報告書90ページ、下から11~9行目において「日本人を含む各国の結果において、点推定値のばらつきを上回る特異な傾向は示されておらず、人種や医療環境の違いが影響した可能性は認められないと解釈することは妥当」という意見があり、日本人での有効性は期待できると判断しています。この二つの国際共同治験に共通して参加しているのは日本と米国2か国だけなのですが、報告書68ページの参加国別の有効性のプロットを見ると、右端にある米国の結果も、中ほどにある日本の結果も2試験でほとんど同じ結果が再現されています。日本だけでなく、米国でも2試験で一貫した結果が見られることから、日本人集団での本剤とUMECの結果がほぼ変わらないことは、単に偶発的な結果であるのか疑問に思いますとの御意見です。

 御指摘の点に関しては、先ほどの説明のとおり、全体集団と日本人部分集団の結果の一貫性が得られなかった要因について様々な観点から検討しましたが、要因の特定には至らなかったことから、日本人においてUMECに対する本剤の効果が上回る結果が示されなかったことは必然的な結果とは判断できないと考えました。また、本剤については、配合成分であるUMEC、VI各単剤のデータについても、全体集団と日本人集団の一貫性を検討する上で補足データとして用いることは可能と考えました。その上で、UMEC、VI各単剤については日本人COPD患者においても有効性が示されていると判断できること、日本人部分集団における各単剤の有効性がほかの地域と大きく異なる傾向は認められていないこと、LAMAとLABAの併用意義については、薬理学的及び臨床的にコンセンサスが得られていることを踏まえると、日本人部分集団の結果について偶発的な結果である可能性が高いと考えることが妥当であると判断しました。

 最後に、3点目です。昨年9月に第二部会で審議した同じ申請者によるレルベアは、米国、EUではCOPDの効能・効果で承認されており、日本でも申請時にはCOPDも効能・効果に含まれていました。レルベアの審査報告書には、審査の過程でCOPDが取り下げられたと記載されていましたが、レルベア取下げの理由と本剤の結果はレルベアの試験結果と比べて何がどの程度優れているのか教えてくださいとの御質問です。

 レルベアのCOPDに対する効能・効果については、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□申請が取り下げられました。なお、米国、EUにおいては、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□本剤では、日本人COPD患者が参加した国際共同第III相試験2試験において、両試験で全体集団において本剤の有効性が検証されていること、及び先ほど御説明した日本人部分集団における結果についての検討を踏まえ、日本人COPD患者についても本剤の有効性は期待できると判断しております。また、記載整備の御指摘を頂いていますので、適切に対応したいと思います。御指摘ありがとうございました。以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。

○吉田部会長 ありがとうございました。佐藤先生いかがですか。

○佐藤委員 確認ですが、一応、明示はされていないけれども、国際共同治験の基本的考え方の方法1に沿って日本人参加者の数というのは決められているのですか。

○機構 はい、そうです。

○佐藤委員 それでも、一応、その方法1のとおりでやったけれども少なくてもUMECに対する上乗せの一貫性は見られていないということでいいわけですか。

○機構 そうです、はい。

○佐藤委員 それにもかかわらず、日本人に関するプラセボ、それからVIに対する有効性はいいと思うのですが、UMECに対する上乗せ効果は見られていないにもかかわらず、UMECではなくてこの併用を承認する理由はどこにあるのですか。

○機構 日本人部分集団の一貫性の判断に関して申しますと、一貫性が示されていないことが即承認に値しないと判断することは適当ではないと考えていまして、症例数の限られている部分集団の結果については、偶発的に全体集団と異なる結果が得られる可能性も考慮しながら慎重に検討する必要があると考えています。今回、先ほども御説明しましたが、日本人部分集団において、UMECに対して本剤の有効性が上回らなかった要因の特定ができなかったことから、明確に日本人COPD患者でのUMECに対する上乗せ効果を否定するような状況ではないということと、あとは、VIに対する上乗せ効果、プラセボに対する本剤及び各単剤の有効性については一貫性のある結果が見られていることなどから、偶発的な結果であると考えるのが妥当ではないかと判断しています。

○佐藤委員 それで、やはり一番気になるのは、68ページの各国別のプロットです。これは、結局二つ国際共同試験が行われていて、UMECが125とその半量の62.5とで行われているのですが、結局、この2試験の結果はかなり再現性が高いということで、UMEC125に対する上乗せ効果が疑わしいということの根拠にもなっているわけですね。

○機構 はい。

○佐藤委員 その試験で、たまたま日本とアメリカが両方にも参加しているわけですが、両国のプロファイルがほとんど一緒ですね。日本は日本、それからアメリカはアメリカで、2試験のプロファイルがほとんど一緒なので、日本人のUMECと、この併用に対する効果が偶発的だとはとても思えないのですが、この点についてはいかがでしょうか。

○機構 事前にある程度一貫性が評価できるような確率も担保して実施した試験において、確率の計算からすれば2試験そろって上乗せ効果が認められない可能性は低いということも言えるとは思いますが、計画時の見積もりと実際に得られた結果を見比べてみますと、実際に観察されたUMECに対するVIの上乗せ効果は計画時の見積もりの半分程度であったため、結果的に、本剤とUMECとの対比較について全体集団と日本人集団の一貫性が得られる確率が十分担保し切れなかった可能性もあると考えられております。さらに、先ほど御説明したように、日本人部分集団では中止例が群間でかなり偏っていたことも結果に影響を及ぼした可能性が考えられます。

○吉田部会長 例えば、国際第III相試験で1,400例、1,500例規模の母集団があったとします。そのうち日本人は通常50例とか60例しか入っていないわけです。大体、国際共同治験というのは日本人が100例になるまで続けましょうとか、そんなことは言ってくれません。全体の登録が終わった、そのとき日本人は38人しか入っていないかもしれないし、80人入っているかもしれない。たとえ日本側が、目標は60例と言っても60例が全部入らなければ終わらないというわけではなく、30例で終わることもあります。 

 私が言いたいのは、科学的に担保された第III相試験のデータがあるのに、圧倒的に数の少ない、しかも偶発性にも左右される日本人集団の様々なデータをいじくり回すことによって、科学的には全く根拠のない懸念とか恐れとか、色々なことがここに出てきているわけです。何で日本人の群間だけを特別扱いしてここに出してくるのでしょうか。本来、1例でも入ったら国際治験とみなすと言っているのに、何で日本人の群間データで根拠があやふやなものをわざわざ審査報告書に書かなければいけないのか、その辺が全く理解できないのです。要するに、日本人はとにかく特別なのだと、だから日本人のデータを見なければ信用しないという人がどこかにいて、先ほどは日本人が8例でしたか、そんな症例報告みたいなデータを出してくる。そういうのをやめたらどうかと、もう少し視野を広げ、きちんと国際治験のルールに従って西洋も東洋も同じと考えられないものかと思います。日本人の群間データを出さなければいけないというルールはどこかにあるのですか。

○機構 御指摘のように、全体集団の結果で本剤の有効性を議論するというのがベースかと思いますが、全体集団での結果を日本人に当てはめることができるかどうかを評価するために、日本人における結果の一貫性を評価する必要があると考えております。

○吉田部会長 だったら、日本人の中で第III相試験をやるべきでしょう。国際治験に参加しておいて、例えばイギリスはイギリスで自国民のデータを調べてとかそんなことはしませんよ。大体、アメリカだったらアメリカ人と定義すらできないし、ですから、日本特有思想を少し払拭してほしいのですが。

○山本委員 部会長のおっしゃりたいことはよく分かるのですが、呼吸器疾患に関して日本人はやはりおかしいことがあるのです。ですから、そこのところはきちんと考えておいて、少数例でも日本人を別に解析する意味はここではあるということはいいと思います。それを書いておけばいいのではないですか。

○吉田部会長 ですから、それは、飽くまでも参考データであって、本筋とは別に考えるべきです。例えば、日本人ではその点についてはまだ結論が出ていないので、市販後に新たに調べてみるとか、あるいは、日本人を対象とした試験を組み直すとか、そういうふうにするのならまだ理解できます。科学的な根拠がきちんと出来上がっているところの有意差、もう検定も終わっているものに対して、日本人の成績だけ抜きだしてきて議論するのはすごく非科学的で、何の意味もないと私は思いますが。

○山本委員 意味がなくはないので、それをきちんとしてほしい。

○吉田部会長 山本先生が言われるように、懸念としてあるのであればその懸念を表わす程度でいいのであって、要するに、章を起こして日本人の群間データを特別扱いするようなものではないのではと私は思うのですが。

○機構 御指摘の日本人における懸念という点について議論させていただき、今回はその懸念はないだろうということで、全体集団の結果を日本人に当てはめ、日本人COPDに対する有効性も期待できるものと判断しています。

○吉田部会長 もし、そういう話をするのでしたら、全体の登録数の何パーセント以上あったときだけ解析するとか、そういうルールがあっていい。5例、10例では症例報告と同じで、何か意味があるのかといわれても、明確な答えは出せないし、そのかわり懸念だけはいくらでも考えられます。その挙げ句、国際治験本体のデータの信頼性を疑うようなことでは、本末転倒のような気がするのです。従いまして、日本人の群間データというのは飽くまでも参考資料なのだという立場で取り扱ってほしいのですが。

○関水委員 部会長がおっしゃりたいことはわかりますが、このデータは、日本人では何らかの理由によってUMECよりも本剤は治療効果があるわけではないということが示されているわけです。そのような解釈は間違っているのですか。もし私の解釈が正しいとすれば、本剤が日本人に有効性を示さないのは、日本人が呼吸器疾患について特殊である状況がある、という説明が与えられるべきだと私は思います。日本人に効かないものについて、ここの部会で国際的には認められるから承認しようというのは、これはいかがなものかと思います。

○吉田部会長 いえ、この60例のデータで、しかも4群、5群に分けてやったデータですよ、これで有意差がないと言えますか。

○関水委員 いえ、それは言えないと思います。ところで、統計学的有意な差は認められないという理解はよろしいのですね。

○吉田部会長 ですから、数がないから有意差が取れません。

○関水委員 こういう理由で統計学的有意な差がないのだと納得できる説明があるならいいのですが、何らかの分からないことで、効かなかったという説明だけでは不十分ではありませんか。

○機構 日本人の症例数は限られていますので、確率的には今回の結果のように日本人部分集団で上乗せ効果が認められない可能性はゼロではなく、今回は、単剤のデータ等も勘案すれば、日本人部分集団で上乗せ効果が認められなかったことは偶発的な結果と考えることが適当と判断しました。

○関水委員 今回の数例が足りなくなったから統計学的有意な差が得られなかったのだという説明は成り立つのですか。

○機構 全体集団に関しては、統計的な差が出ることを担保して症例数の設計がされていますので、そのような議論はできると思うのですが、日本人集団はその中の部分集団ですので、非常に例数は限られていますので、統計学的な有意差については、議論が難しいかと思います。

○関水委員 統計学的有意な差が出なかったのは、日本人が特別の集団であるということではなくて数が少なかったからだと、今説明されましたが、その説明に私は疑問を感じます。

○佐藤委員 よろしいですか。日本人部分集団に関しては有意差をつけることが目的ではないのです。全体集団と傾向が似ていることを示すことだけが目的で、必ずしも統計的な有意差がつくことを目的とはしていないのです。ですから、それは人数からしてそういうものです。

○関水委員 統計学的有意な差が出なかったのはサンプル数が少なかったからだという説明に、統計学的妥当性があるかどうかを私は質問しているのです。

○佐藤委員 私が答えるのが一番いいのだと思いますが。

○吉田部会長 それは、19例、21例、21例、13例ですよ。この4群比較でそういう統計学的な有意差が出なくても当たり前です。

○関水委員 いえ、それなら分かります。

○吉田部会長 ですから、これだけしかない数をこうやって表に載せて、結論の出ない議論を今ここですること自体、無意味ではないかと言いたいのです。

○佐藤委員 私の質問に戻してよろしいでしょうか。

○吉田部会長 どうぞ。その次、田村先生お願いします。

○佐藤委員 それで、聞きたいことは、私は一応、やはりUMECに対する上乗せは一貫した結果が得られていない以上、懸念があると思っています。残念ながら、このことは市販後調査では調べられないのですが、何らかの方法でUMECよりもやはり配合した方が上乗せ効果は見られることを日本人集団で検証してもらう必要はないのでしょうか。

○機構 今回、有効性については、日本人に対しても期待できるものと考えていますので、承認後に検証的な追加試験を行う必要まではないのではないかと考えております。製造販売後調査の方では、臨床試験で評価されていますFEV1についても調査することを指示しておりまして、資料としては1.11の7ページの下の方に記載していますが、既存のLAMAから本剤への切替え時と、LAMA及びLABAの併用から本剤への切替えを確認することで、使用実態下での本剤の有効性を確認することにしています。

○佐藤委員 しかし、UMECは未承認ですね、ですから別な薬になりますね。

○機構 そうです。現在、ほかにLAMAとしては単剤が2剤承認されていますので、それの切替えになります。既存のLAMAよりも本剤の効果が上回るということを統計的にも担保した上で確認する予定にしております。

○佐藤委員 それで、申請者が機構相談のときに、必須とは言えないけれども□□□□□□□□□□及び□□□□□□□□□□□という機構からの意見があるのですが、これは、ですから□□□□□□□□□□□□□□□□□□はできないのですか。そのときに、VIとの上乗せ効果をきちんと示してもらうということは不可能なのでしょうか。 

○機構 UMEC単剤に関しては、開発が進められておりまして、もうすぐ申請予定と聞いていますので、単剤の開発の中で、VI併用時の効果がUMEC単剤を上回ることを検討することは難しいと考えます。

○吉田部会長 よろしいですか。では、田村先生、どうぞ。

○田村委員 3点お答え願います。1点目ですが、中止例が多かったというのは、効果あるいは安全性に関連する理由でしょうか。

○機構 審査報告の72ページを御覧ください。ここに日本人の中止例の詳細を記載しています。最も多い中止理由としてはCOPDの増悪が認められています。我々が注目したのは、73試験になりますが、UMEC群の方で本剤群より中止例が多く認められているというところでして、この偏りが有効性の評価に影響しただろうと考えています。

○田村委員 分かりました。では2点目です。グローバル試験では、有効性はグローバル全体の結果、安全性については日本の医療環境における日本人の結果を評価し、日本人の有用性も同様の傾向なら良いと理解していたのですが。その傾向がわからないか評価が難しい場合でも、明らかに日本人で異なるという要因が特定できなければ、それでよいということでしょうか。私は賛成ですが。

○機構 全体集団との結果の一貫性が検討できるという症例数を日本人例数として入れてくださいという形で通知をしていますので、一貫性があるかどうかという検討はさせていただきたいと思っていますが、ただ、そこで一貫性がなかったときに、即これが承認できないということではなく、どうして一貫性が示せなかったのかというところを十分考慮の上で判断をするのだろうと思っています。その上で必然的な結果と特定できる根拠がなく、偶発的な結果であると判断し得る合理的な説明が可能である場合には日本人の結果についても全体集団と同様に有効だという判断はできるのだろうと思っていまして、今回はそういう説明が可能なケースであったと考えています。

○田村委員 有用性が異なる説明ができないからと理解しました。では3点目の質問です。日本人も同じで有用性があるということは、今回のデータでは断定できないと思うのです。承認はよろしいと思います。ですので、先ほどの佐藤先生のお話にあったように、市販後にもう少し何かすべきではないか、単なる調査では何も分からないと思うのです。やはり、何らかの形のしっかりした試験を組むべきではないでしょうか。以上です。

○機構 今回、調査を行いますFEV1は比較的客観的なデータと考えておりますので、ある程度有効性の評価は可能ではないかと考えております。

○田村委員 調査レベルでは難しいのではないでしょうか。

○機構 難しいとおっしゃるのはどういう点でしょうか。

○田村委員 データの収集にしても信頼性にしても。

○機構 今回の調査では、客観的な指標として呼吸機能検査を用いますし、有効性評価について統計学的に担保可能な計画としておりますので、一般的な調査よりは、有効性の評価は、可能ではないかと考えています。

○田村委員 臨床試験のような調査ですか。

○機構 臨床試験までは難しいと思いますが、それなりの有効性のデータとして評価は可能ではないかと考えています。

○田村委員 はい。

○吉田部会長 いま日本人データに関して「統計的な担保がある」と言いましたね。

○機構 資料1.11の7ページを御覧下さい。統計的な担保と申し上げたのは、既存のLAMAの単剤から本剤に切り替えた際と、LAMAとLABAの併用から本剤に切り替えた際の変化量に基づき、前者については本剤の優越性、後者については本剤の非劣性を統計的な検出力を確保した上で検討できる症例数の計画を立てています。

○吉田部会長 それが60例ですか。

○機構 それが、単剤からの切替えに関しては365例と。

○吉田部会長 そうですね。

○機構 それから、併用からの切替えに関しては1,830例が必要になると算出されていますので、本調査の目標症例数である2,000例で評価できるのではないかと考えています。

○吉田部会長 要するに、市販後に一応それだけのことはやりますと、佐藤先生に対しての田村先生の答えはそこですね。ですから、その辺のことについては、統計学的な根拠をもって市販後の成績を取れるようにしたいと。

○機構 はい、そうです。

○吉田部会長 ということでいかがでしょうか。ほかにありませんか。

○中島委員 人種差が論じられていますが、1.6.2に米国の添付文書が載っています。ここの中には、WARNINGという所でASTHMA-RELATED DEATHというのが最初に挙げられているのですが、1.8にある添付文書()、日本語版では禁忌の所にそういうことが全く書いていないのです。そして、ASTHMAに関しては、「重要な基本的注意」という所に述べられてはいるのですが、そこにはRELATED DEATHという言葉もないので、この添付文書について少しそういうことを指導していただきたいというところなのですが、よろしくお願いします。

○機構 御指摘ありがとうございます。御質問としては、海外の添付文書におけるWARNINGの所のASTHMA RELATED DEATHの部分を日本の添付文書にも反映させるようにした方がいいという御指摘でしょうか。

○中島委員 はい。そういう必要がないのかも確認して、もし必要があるのであれば載せておいていただきたいと思います。

○機構 本剤の投与対象としてはCOPDですので、基本的には喘息に使われることは想定しておりません。ただし、喘息を合併するCOPD患者さんに使われることも想定されますので、「重要な基本的注意」の所に気管支喘息に使用しないということと、喘息を合併する患者さんには気管支拡張薬のみでの治療とはならないよう、吸入ステロイドを用いる等、喘息の管理も十分に行っていただく旨を記載しております。

○中島委員 特には。

○機構 気管支喘息に対するLABA投与で示唆されています死亡例の増加は吸入ステロイドを併用することで抑制されるとされていますので、類薬でも同様の注意喚起のレベルとなっております。

○中島委員 LABAを使うことでRelated Deathが起きるというようにこの米国のでは書いてあるので、全く理屈と言いますか、新しいタイプのインヘラーを使うときの注意として日本でも必要なのかどうかという、必要なのではないかと感じたわけです。

○機構 おそらく、海外の方では、LABAのみで喘息治療をした場合に死亡例が増えるというデータを加味した部分のWarningと思われますが、ステロイドを併用することでリスクは示唆されていないLABAで、COPDの効能・効果を持っているものに関しては同じような記載で注意喚起をしているところです。

○吉田部会長 よろしいですか。

○機構 LABAにおける喘息関連死のリスクについては、COPDで示唆はされていませんので、LABAを含むCOPD治療薬には現行の記載の注意喚起としております。

○吉田部会長 大丈夫というのだけれども、中島先生の質問は違いますね。

○中島委員 米国の添付文書にこれだけ書いてあるのに、日本のものに書かなくていいのかという質問です。

○吉田部会長 言い換えれば、米国に載っていて日本が載らない理由を明確に言ってほしいということだと思います。添付書類が米国と日本と違っているのではないかと、その米国のLABAに関しての注意事項と日本が違っているのはどうしてなのですか。

○機構 LABAのCOPD治療薬に関しては、COPD患者さんでの使用を想定しており、喘息患者さんへの使用は想定していませんので、警告に記載する必要性は低いのではないかと考えています。

○吉田部会長 具体的に、米国ではどう書いてあって、それが日本語でどうなっているのですか。

○中島委員 いえ、Related Deathまで書いてあるので、添付文書の日本のものでは喘息に関する注意事項だけ書いてあるのですが、それで十分なのかというところなのですが。日本ではそういうことが行われないということであればそれで結構です。

○機構 機構より補足させていただきます。LABAの喘息関連死に関しては、喘息の治療薬として承認されているものに関しては先生が言われたような注意喚起を添付文書に記載しています。LABA単剤を使ったときに喘息関連死が増加するリスクがあるのではないかと言われているのですが、吸入ステロイドを併用することでリスクは抑制されることが示唆されていますので、必ず吸入ステロイドを併用しながら使ってください、と喘息の方では注意喚起をしているところです。それで、COPDにLABAを使う場合には、COPDに関連する死亡が増加するというデータは示されていないということで、喘息と同じような注意喚起はしていないのですが、ただ、COPDと喘息を合併している患者さんもいますので、「重要な基本的注意」において、もし喘息を合併をしている患者さんに使う場合には、必ず気管支喘息の管理、吸入ステロイドが基本ですので、吸入ステロイドが十分に使われて十分管理されている患者さんに使ってくださいという形で注意喚起をしているところです。

○吉田部会長 中島先生、よろしいですか、ほかにありますか。

○菊池委員 7吸入の添付文書しかないですが、30は同じでしょうけれど、日本だけ7を作ったのですか。

○機構 海外での販売の詳細は把握できておりませんが、国内では7吸入用から販売されると思います。

○菊池委員 薬価の問題とか1週間で効かなかったら止めるとか、そういうことですか。

○機構 14日処方の問題もございますので。

○菊池委員 そういうことですね。

○機構 それに対応するためにも7吸入が必要かと思います。

○吉田部会長 ほかにございますか。議論もそろそろ尽きたようですので、議決に入りたいと思います。お諮りします。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。市販後の所をよろしくお願いします。

 それでは、議題4について機構からの概要説明をお願いします。

○機構 審議事項議題4、資料4「医薬品ザイティガ錠250mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より説明します。本剤の有効成分であるアビラテロン酢酸エステルは、活性体であるアビラテロンに加水分解された後、アンドロゲン合成酵素の一つであるCYP17を阻害することによりアンドロゲン合成を阻害し、アンドロゲンによる、アンドロゲン受容体を介したシグナル伝達を阻害し、腫瘍の増殖を抑制すると考えられている抗悪性腫瘍剤です。

 今般、本剤は、去勢抵抗性前立腺癌(以下、「CRPC」)に対して効果を示す薬剤として承認申請されました。本剤は、平成26年1月時点において、CRPCに対する適応にて、87の国又は地域で承認されています。本品目の専門協議に参加していただいた専門委員は、資料15にあるとおり、10名の委員です。以下、臨床試験成績を中心に、本剤の承認審査の概略を説明します。

 今般の承認申請では、主な臨床試験成績としては、海外で実施された第III相試験であるCOU-AA-302試験及びCOU-AA-301試験と、本邦で実施された第II相試験が提出されました。

 有効性については、審査報告書50ページ「(2)有効性について」及び、84ページ、上から13行目以降に示すように、無症候性又は軽度の症状を伴う化学療法歴のないCRPC患者に対する本剤の有効性及び安全性を検討したCOU-AA-302試験の結果、プレドニゾンとプラセボを併用投与したプラセボ群と比較して、プレドニゾンと本剤を併用投与した本剤群で独立画像評価委員会判定による無増悪生存期間の優越性が示されたこと、また、2レジメン以内で、かつ、少なくとも一つはドセタキセル水和物による化学療法歴を有するCRPC患者における本剤の有効性及び安全性を検討したCOU-AA-301試験の結果、プラセボ群と比較して、本剤群で全生存期間の優越性が示されたことから、CRPC患者に対する本剤の有効性は示されたと判断しました。

 安全性については、本剤の使用において注意すべき有害事象としては、審査報告書52ページ、上から8行目以降、及び84ページ、下から11行目以降に示すように、高血圧、低カリウム血症、体液貯留/浮腫、肝毒性及び心臓障害が認められており、注意喚起が必要と考えております。これらの有害事象については、がん薬物療法に精通した医師による慎重な観察と適切な処置により対応可能と判断しました。ただし、本剤の日本人における検討症例は限られており、審査報告書64ページ、上から23行目以降、及び86ページ、本文の上から2行目以降に示すように、製造販売後には適切な使用成績調査の実施が必要であると判断し、申請者に指示をしております。

 以上のような審査の結果、機構は、「去勢抵抗性前立腺癌」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断しました。

 本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、原体及び製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほどをよろしくお願いします。

 なお、事前に佐藤委員から御意見、御質問を四つ頂きました。一つ目は、添付文書の「臨床成績」の項の記載についてであり、「二つの国内第II相試験ではPSA奏効率が記載されているので、二つの海外第III相試験についても同様に、PSA奏効率を併記した方が結果を理解しやすいように思います」というものでした。添付文書の臨床成績の項における第III相試験の成績の記載内容としては、一般に主要評価項目の成績を記載しております。したがいまして、海外第III相試験のPSA奏効率については、資材を用いて医療現場に情報提供をするように、申請者に指示をしたいと考えております。

 二つ目は、COU-AA-302試験の有効性評価についてであり、以下のような趣旨です。審査報告書50ページ、下から5行目以降において、機構はCOU-AA-302試験について、rPFSは骨スキャンによる評価が含まれており、当該検査法は骨転移の検出感度は高いものの、偽陽性率も高いこと等から、結果の頑健性を確認する必要があり、rPFSの感度解析の結果を評価する必要があるとしています。その感度解析としては、審査報告書51ページの表に結果が二つ示されていますが、どちらも審査報告書44ページの表にある、独立判定によるrPFSの解析結果よりもイベント数は増えております。「骨スキャンによる偽陽性に対する感度分析であるなら、rPFSよりもイベント数の少ないもので評価をしなければ頑健性は示せないのではないでしょうか」というものでした。rPFSをエンドポイントとして評価する場合には、骨スキャンによる骨転移の検査において、読影者によって結果解釈が異なる可能性があることなどを考慮して、rPFSの感度解析の結果の確認が必要と考え、その結果を審査報告書51ページの表に記載しました。また、審査報告書では、骨スキャンにおいて、骨転移病変だけではなく、圧迫骨折等も検出してしまうことを偽陽性と表現しましたが、この偽陽性率が高いこと自体に対しては、審査報告書44ページのrPFSの注釈iに記載のとおり、その結果に当たっては6週間の間隔を空けて、新病変の確認のための骨スキャンを行うことが規定されていることを確認しております。

 なお、この偽陽性に関する記載については、誤解を招く表現であるため、審査報告書を修正させていただきます。御指摘ありがとうございました。

 三つ目は、PCR1005試験の食事のタイミングについてであり、審査報告書28ページ、本文の上から4行目以降において、投与法Bは、投与4時間後に食事を摂取することとされているにも関わらず、「食事1時間前投与」と記載されているが、記載がおかしいのではないかというものでした。

 投与法Bでは、投与1時間後に加えて、投与4時間後にも食事を摂取することを意図しておりました。この点につきまして、投与法C及びDの記載も同様であり、誤解を招く文章であるため、審査報告書を訂正させていただきます。御指摘ありがとうございました。

 四つ目は「JPN-102試験」についてであり、 ClinicalTrials.gov のウェブサイトでは、JPN-102試験は今年9月まで実施する予定になっているが、本剤250mg又は500mgの投与群の患者さんたちは1,000mgに増量して継続しているのかというものでした。申請者に確認したところ、2014年4月23日時点で継続投与例は6例であり、6例の内訳は、250mg投与群の患者で、500mg又は1,000mgへの増量例は各1例、500mg投与群の患者で、500mgでの投与継続例が1例、1,000mg投与分の患者で、1,000mgでの投与継続例が3例でした。

 御質問、御意見に対する説明は以上です。どうぞよろしくお願いします。

○吉田部会長 ありがとうございました。佐藤先生、いかがですか。

○佐藤委員 いずれもよく分かりましたが、最後の点については、250mgとか500mgでも効果が見られているので増量しなかったということでよろしいのですか。

○機構 増量の詳細判断については、機構の方では分かりかねるのですが、プロトコール上は増量可能という規定になっておりましたので、適切に情報提供がされて、医師等の判断の下、増量されているものと判断しております。

○佐藤委員 しかし、プロトコール上はそうであっても、プロトコールを作った後に一応申請して、1,000mgで申請しているわけですから、単純にプロトコールの規定ということでは倫理的に問題があるような気がしますので、250mgとか500mgできちんと有効性が得られているから継続している、ということは確認しておいた方がいいと思います。

○機構 はい。承知しました。

○佐藤委員 もう1点、よろしいでしょうか。この薬は去勢抵抗性の効能・効果なのですが、次の品目は去勢抵抗性ではなくて前立腺癌ですね。ここの所を分かりやすく説明していただけますか。なぜ、片方は去勢抵抗性で、もう片方は、同じCRPCの患者なのにそうではないのか、ということが分からなかったのです。

○機構 御質問ありがとうございます。審査報告書61ページ、真ん中より下の「機構は、以下のように考える。」という所を御覧ください。本剤の臨床的位置付けについてですが、この後に審議いただくジェブタナ錠については、類薬として既にドセタキセルが承認されております。このドセタキセルの効能・効果につきましては、根治切除不能な患者に対しては、外科的又は内科的去勢術が標準治療として国内外ともに広く認識されており、がん薬物療法の知識、経験を有する医師の下では、化学療法の対象とならない患者がドセタキセルの適用対象に選択される可能性が極めて低いものだと考え、前立腺癌と設定することが適切であると判断しております。そういったことで、後のジェブタナ錠は前立腺癌という形で付けています。一方、本薬につきましては、現時点では去勢抵抗性でない前立腺癌を対象とした本薬の開発が行われていること、本薬の適用対象は、外科的又は内分泌治療剤により治療が行われた、前立腺患者に対して使用される薬剤であることを明確にするために、本年1月の部会でイクスタンジ錠という品目も御承認いただきましたが、同様に、去勢抵抗性前立腺癌という効能・効果を設定することが適切と判断しております。

○吉田部会長 分かりましたか。

○佐藤委員 以前、議論であったのは、抗癌剤の場合、余り効能・効果で縛らないで、「使用上の注意」の所で縛りたいという、様々な意見があって、そうしているのだと伺ったような気がします。

○吉田部会長 そのとおりです。

○佐藤委員 一方で、次の薬は、去勢抵抗性にしか使わないのに前立腺癌となっていて、この薬は今、去勢抵抗性以外の開発も進めているのに、わざわざ去勢抵抗性と付けることの、その使い分けが理解できません。

○機構 本剤につきましては、今申し上げたとおり、去勢抵抗性の所の領域と、そうではない最初のラインのホルモン療法の所の領域の開発が行われているわけですけども、一般的に、ホルモン療法が行われている所と化学療法が行われている所とでは治療体系が異なっており、それぞれについて、承認審査の中で確認すべきであろうという判断もありまして、去勢抵抗性と縛って、その後の開発についても審査の中で適切に確認していきたいこともあって、去勢抵抗性というふうに効能・効果を設定して、一方で、ジェブタナの方は、去勢抵抗性と分けて書く必要がないぐらい、現時点では化学療法の所でしか想定されないということで、ドセタキセルの効能・効果にならっております。逆に、そこの所を書いてしまうとジェブタナと同じ化学療法剤に位置付けられるドセタキセルがホルモン療法で使用可能との解釈を生んでしまいますので、ドセタキセルにならって判断しました。

○吉田部会長 申請者も、規制庁側も、要するに、まずセカンドラインで承認された後、ファーストラインのための臨床試験をやって、適応拡大していく、というステップを踏みたかったようなのです。それで、少し分かりにくい抵抗性の問題が出てきたということですね。

 よろしいですか。ほかにございますか。

 では、意見もないようですので、議決に入りたいと思います。なお、山本委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づいて議決への参加を御遠慮いただきます。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。

 それでは、議題5について、機構から概要の説明をお願いします。

○機構 審議事項議題5、資料5「医薬品ジェブタナ点滴静注60mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より説明します。本剤の有効成分であるカバジタキセルアセトン付加物は、チューブリンの重合阻害作用及び微小管安定化作用により、細胞分裂をM期において停止させることにより、腫瘍の増殖を抑制すると考えられている抗悪性腫瘍剤です。

 今般、本剤は、前立腺癌に対して効果を示す薬剤として承認申請されました。本剤は平成26年1月時点において、前立腺癌に関する適応にて、85の国又は地域で承認されております。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料15にあるとおり、7名の委員です。以下、臨床試験成績を中心に本剤の承認審査の概要を説明します。

 今般の承認申請では、主な臨床試験成績としては、海外で実施された第III相試験であるEFC6193試験と、国内で実施された第I相試験が提出されました。

 有効性については、審査報告書46ページ、下から4行目以降、及び78ページ、上から13行目以降に示すように、ドセタキセル水和物による化学療法歴を有する去勢抵抗性前立腺癌(以下、「CRPC」)患者を対象としたEFC6193試験の結果、対象群とされたミトキサントロン塩酸塩群と比較して、本剤群で全生存期間の優越性が認められたことから、ドセタキセル水和物による化学療法歴を有するCRPC患者に対して、本剤の有効性は示されたと判断しました。

 安全性については、本剤の使用において注意すべき有害事象としては、審査報告書48ページ、上から2行目以降、及び79ページ、上から7行目以降に示すように、骨髄抑制、過敏反応、神経系障害、腎不全、間質性肺疾患、胃腸障害、心臓障害、肝不全、肝機能障害、播種性血管内凝固症候群、急性膵炎、皮膚粘膜眼症候群、心タンポナーデ、浮腫、体液貯留、静脈血栓塞栓症が認められており、注意が必要と考えております。

 これらの有害事象については、がん化学療法に精通した医師による慎重な観察と適切な処置により、対応可能と判断しました。ただし、日本人における検討症例は限られており、審査報告書63ページの本文、上から14行目以降、及び84ページ、上から5行目以降に示すように、製造販売後には、本剤を使用した全例を対象として、目標症例数を500600例、観察期間を最長1年間とする調査の実施が必要であると判断して、申請者に指示をしております。以上のような審査の結果、機構は「前立腺癌」を効能・効果として、本剤を承認することが可能と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間を8年、原体及び製剤は毒薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほどをよろしくお願いします。

○吉田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方からの御質問、よろしくお願いします。

 この場合、抵抗性と付けないのは、化学療法をファーストラインでやることはないからという説明でいいのですか。

○機構 おっしゃるとおりです。

○吉田部会長 ほかに、ございますか。安全性には大変気をつけていただきたいと思うようなところもありますが、その辺は市販後でしっかり見ていただきたいと思います。

○新井委員 これは男性にしか使わない薬物で、全部、動物実験体の、必ず雌雄両方をやるもので、しかも、生殖毒性試験もやっているのですが、これは必要なものなのでしょうか。

○機構 申し訳ございません、御質問をもう一度お願いいたします。

○新井委員 胎盤の通過試験もやりましたね。今後、ほかの癌に適用を考えてということもあって、そういう意図もあるのか、それとも、その辺の常識を教えていただきたいのですけど。

○機構 雌雄両方で検討されていた経緯ということでよろしかったですか。

○新井委員 はい。

○機構 今回、前立腺癌に対する承認申請ということですので、注意喚起の内容は男性での使用を前提として設定させていただきました。なお、女性に対する注意喚起は行っておりませんが、女性で生じ得るがん種でも開発が進んでいると聞いておりますので、そのために非臨床での検討が行われているものと考えております。

○新井委員 分かりました。

○吉田部会長 よろしいですか。

○奥田委員 製剤の過量充填に関する説明がかなり細かく書かれているのですが、実際、投与量としては、スクウェアで25mg、過量充填で、1バイアルで大体73mgぐらいと書いてあって、恐らくそうだと、日本人の平均で、体表面積だと、40mgぐらいとして、あとは捨てることになると思います。貴重な医療資源をどのぐらい効率よく使うかという観点から、このバイアルの5は最適化されているのかどうか。どうも海外でも同じ規格で出ているようですが日本人の体表面積に合わせた規格を作る必要はないのかどうかについてはいかがでしょうか。

○機構 製剤を最適化することの必要性については、今回の審査では特に申請者に確認しておりません。

○吉田部会長 ですから、変えられないという意味ですね。

○機構 今回の申請製剤は海外と同一の規格でございます。今いただいた御意見につきましては、申請者に伝達したいと思います。

○吉田部会長 これは、日本だけがこういったことが。例えば、バイアルの量を変えるとか、302のように一般的にできるのですか。

○機構 何とも、答が難しいです。

○吉田部会長 恐らく難しいと私も思います。

○機構 このような議論があったことについては申請者に伝達させていただきます。

○吉田部会長 かなり難しい注文ですね。

○機構 この場で、どこまでというのはお答え出来かねます。

○奥田委員 恐らく、パッケージ化をどこでするのかという話だろうと思いますけれども。日本国内でされるような薬もあると理解はしておりますが、これについてどうかは分かりません。製薬会社側の事情も当然あると思いますが、当然薬価が付いてきて、その部分について、廃棄ということが日常的に起きるようになると、やはり最適化するということは大事な話になるかと思いますが、そうした結果、これが一番いいということになってくるのであれば、それはそれで、ここではいいと思います。

○機構 御指摘ありがとうございます。いただいた趣旨を理解いたしましたので、お伝えさせていただきます。

○吉田部会長 よろしくお願いします。ほかにございますか。ないようですので、議決に入りたいと思います。なお、山本委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づいて議決への参加を御遠慮いただきます。

 お諮りします。本議題について、承認を可としてよろしいですか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは、議題6に移ります。関水委員と田村委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づいて、議題6の審議の間、別室で御待機いただくことになります。よろしくお願いします。それでは、議題6について、機構からの概要の説明をお願いします。

○機構 審議事項議題6、資料6「医薬品イムノマックス50及び同注100の製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」機構より説明いたします。本剤は、インターフェロンガンマ-1a(遺伝子組換え)を有効成分とする用時溶解注射剤であり、腫瘍細胞に直接作用し、細胞増殖を抑制するとともに、免疫反応を介して間接的に腫瘍細胞に対する傷害作用を示すと考えられております。現在、本剤は腎癌等の効能で承認されております。

 今般、本剤は、菌状息肉症及びセザリー症候群に係る効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。なお、本剤は、平成24年4月の当医薬品第二部会において、希少疾病用医薬品の指定の可否が審議され、希少疾病用医薬品に指定されております。また、本剤は、平成25年2月時点において、海外において承認されておりません。

 本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料15にありますとおり4名の委員です。以下、本剤の承認申請の概要について、臨床試験成績を中心に説明いたします。今般の承認申請では、国内で実施された第II相試験1試験が提出されました。

 有効性については、審査報告書6ページ下から6行目以降に示しますように、国内第II相試験の結果、菌状息肉症及びセザリー症候群患者において、本剤投与により奏効が認められており、当該患者に対する本剤の一定の有効性が示されていると判断いたしました。

 安全性については、審査報告書8ページ下から12行目以降に示しますように、既承認の腎癌及び慢性肉芽腫症患者と比較し、菌状息肉症及びセザリー症候群患者において、本剤の安全性プロファイルに大きな差異はなく、菌状息肉症及びセザリー症候群患者で新たに注意喚起すべき臨床上問題となる有害事象の発現は認められていないと判断いたしました。ただし、菌状息肉症及びセザリー症候群患者では、本剤の検討症例が限られていることから、審査報告書13ページ上から1行目以降及び、16ページ下から20行目以降に示しますように、製造販売後には、本剤の使用実態下における安全性情報を収集することを目的とした製造販売後調査を実施する必要があると判断いたしました。以上のような審査の結果、本剤の菌状息肉症及びセザリー症候群に係る効能・効果を追加する本申請について、承認して差し支えないと判断いたしました。

 本剤は、希少疾病用医薬品に指定された効能を追加するものであることから、追加される効能・効果及びその用法・用量について、再審査期間を10年とすることが適当と判断いたしました。薬事分科会には、報告を予定しております。以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。

○吉田部会長 先生方からの御意見、御質問をいただきたいと思います。適用拡大ということと、オーファンに指定されている現状もあります。試験の患者数は少ないのですが、奏効はしっかりあるということです。よろしいですか。特段の御意見がないようですので、議決に入りたいと思います。なお、奥田委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。別室で待機されています関水委員、田村委員をお呼びください。

—— 関水委員、田村委員入室 ——

 議題7に移ります。機構からの概要説明をお願いします。

○機構 審議事項議題7、資料7「医薬品ランマーク皮下注120mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間について」機構より説明いたします。本剤の有効成分であるデノスマブ(遺伝子組換え)は、ヒトNF-κB活性化受容体リガンド(以下、「RANKL」)に対するヒト型IgG2モノクローナル抗体であり、間質細胞に発現するRANKLと結合することによって、破骨細胞様巨細胞に発現するNF-κB活性化受容体に対するRANKLの結合を阻害することで、破骨細胞様巨細胞の活性化を抑制し、骨破壊を抑制すると考えられています。

 現在、本剤は、多発性骨髄腫による骨病変及び固形癌骨転移による骨病変に対して承認されております。

 今般、骨巨細胞腫に対する効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。なお、本剤は、平成25年5月の当医薬品第二部会で希少疾病用医薬品の指定の可否が審議され、希少疾病用医薬品に指定されております。また、平成26年1月時点において、本剤は骨巨細胞腫に関する適応にて、7の国又は地域で承認されております。

 本品目の専門協議に参加いただいた専門委員は、資料15にありますとおり4名の委員です。以下、臨床試験成績を中心に、本剤の承認審査の概要を説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国内1試験、海外2試験の計三つの第II相試験の成績が提出されました。

 有効性については、審査報告書9ページ下から5行目以降、及び27ページ上から13行目以降に示しますように、骨巨細胞腫患者を対象に本剤の有効性及び安全性を検討した三つの第II相試験の結果、それぞれの試験において三つの異なる基準いずれにおいても奏効が認められ、かつ一定の奏効期間が得られたことから、骨巨細胞腫患者に対して本剤の一定の有効性は示されたと判断いたしました。

 安全性については、本剤の使用において注意すべき有害事象としては、審査報告書11ページ本文上から12行目以降、及び27ページ下から18行目以降に示しますように、低カルシウム血症、顎骨壊死、感染症、アナフィラキシー、大腿骨転子下及び近位大腿骨骨幹部の非定型骨折並びに気胸であると考えております。

 本剤による重篤な低カルシウム血症の発現を軽減するため、カルシウム及び天然型ビタミンDの投与を行うとともに、本剤の投与に際しては頻回に血液検査を実施する等、引き続き注意喚起する必要はあると考えますが、低カルシウム血症を含めたこれらの有害事象については、骨巨細胞腫の診断、治療に十分な知識と経験を有する医師によって、有害事象の観察や管理、休薬・減量・投与中止等の適切な対応がなされるのであれば、忍容可能と判断しました。

 ただし、日本人における検討症例は限られており、審査報告書18ページ下から4行目以降、及び30ページ上から1行目以降に示しますように、本剤を使用した全ての症例を対象として製造販売後調査を実施するとともに、当該調査に登録された患者のうち3か月を超えて本剤が投与された一部の患者を対象に、観察期間を最長5年間とする継続調査を実施することとなっております。

 以上のような審査の結果、機構は「骨巨細胞腫」の効能・効果等を追加する本申請について承認することは可能と判断いたしました。本剤は、希少疾病用医薬品に指定された効能を追加するものであることから、追加される効能・効果及びその用法・用量について、再審査期間を10年とすることが適当であると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○吉田部会長 それでは、委員の先生方から御質問、御意見をお願いしたいと思います。非常に希な腫瘍ですし、恐らくこれは整形外科で使われることになるのでしょうか。

○機構 はい。

○吉田部会長 整形外科の腫瘍の先生方が使われるということで、使う医師数も限られていると思います。その辺りの安全対策をしっかりやっていただきたいと思います。ほかにありますか。

○佐藤委員 この適応ではないのですが、デノスマブは低カルシウム血症については、その後大きな問題は起こっていないのでしょうか。

○機構 以前、ブルーレターが発出された経緯がありますが、その後、低カルシウム血症に基づく死亡例は報告されておりません。状況については、審査報告書14ページの下から2段落目に記載させていただいております。

○佐藤委員 ありがとうございます。

○関水委員 希少疾病は特別だということを考慮しなくてはいけないと思うのですが、それでもあえて質問したいのは、7ページで奏効率が88%だとありますが、客観的にこの薬が効いたかどうかを評価することができているのでしょうか。どのようにして我々はこの薬が確かに効いたと考えるべきなのですか。

○機構 御指摘のとおり、確かにこの希少疾病の分野では、なかなか比較試験等も実施しにくい状況ではあります。今回の有効性の評価としては、まず三つの異なる基準に基づく奏効率で判断をしたわけです。つまり、腫瘍の縮小を指標とした基準と、腫瘍の代謝活性の低下を指標とした基準、及び骨形成の増加を評価する基準の三つのそれぞれ異なる視点の基準で、いずれでも奏効が認められるかどうかを評価しております。さらに、今回は国内第II相試験ではありますが、国内の1試験と海外の2試験のいずれにおいても一定の奏効が認められたということで、本薬の一定の有効性は示されたと判断させていただきました。

○関水委員 ここには、プラセボのデータはないのですね。

○機構 先ほども申し上げましたが、この臨床試験では対照群を設定しておりませんので、プラセボ対照のデータはありません。

○関水委員 それで結構です。

○吉田部会長 要するに、有効か否かというと、生存が延びるか延びないかが第1のエンドポイントですが、症例数が少ないこともあり、フェーズIIのレベルで有効性を推察したのですね。これは、最終的に国際治験もプラセボではないにせよ、比較試験のようなものはないのですか。乳癌や抵抗性前立腺癌はあるようですが、巨細胞腫も含めて、骨軟部腫瘍に対しては特に計画はされていないのですか。

○機構 少なくとも、現時点ではそのような計画はありません。

○吉田部会長 症例数も少ないのでということで御了解いただきたいと思います。ほかにありますか。なければ、議決に入りたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは、議題8について事務局からの概要説明をお願いします。

○事務局 審議事項議題8、資料8「catridecacogを希少疾病用医薬品として指定することの可否について」事務局より説明いたします。評価報告書のタブをお開きください。申請者は、ノボノルティスクファーマ株式会社です。予定される効能・効果は「先天性血液凝固第XIII因子Aサブユニット欠乏症患者における出血傾向の抑制」となります。希少疾病用医薬品の指定要件である対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の3点について、順に説明いたします。

 まず、「対象患者数」ですが、平成24年度の血液凝固異常症全国調査によると、日本人の先天性第XIII因子欠乏低下異常症患者は60名とされ、平成24年度の血液製剤機構の調査では90名との報告があり、5万人未満という指定基準を満たしているものと考えております。

 次に、「医療上の必要性」について説明いたします。先天性第XIII因子欠乏症患者に対する治療として、定期的な第XIII因子の補充療法が推奨されております。本邦で承認されている第XIII因子製剤は、ヒト血漿由来の製剤であり、血漿に由来する感染症伝播のリスクが完全に排除できません。しかし、本剤は遺伝子組換え製剤であるため、原料由来の感染症伝播のリスクの排除が可能と考えられ、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。

 最後に開発の可能性については、欧州では2012年9月に、米国では201312月に承認され、2014年1月現在、カナダ、スイス、オーストラリア及びイスラエルにおいても承認されております。本邦では、現在日本人を含む国際共同試験が実施されているところであり、本剤の開発の可能性は高いと考えております。以上から、本剤は希少疾病用医薬品の指定要件を満たしているものと判断しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 疾患の頻度、重篤性、開発の可能性の3点が揃っていると考えますが、よろしいですね。それでは、議決に入りたいと思います。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。続いて、議題9に移ります。

○事務局 審議事項議題9、資料9-19-29-3「カナキヌマブ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について」」事務局より説明いたします。資料9-1は、「メバロン酸キナーゼ欠乏症」、資料9-2は「TNF受容体関連周期性症候群」、資料9-3は「家族性地中海熱」について、希少疾病用医薬品について指定の可否をお伺いするものです。

 対象患者数については、厚生労働化学研究費補助金難治性疾患克服研究事業の報告書によると、3疾患ともそれぞれ5名、52名、292名で、「5万人未満」の要件を満たしていると考えております。

 「医療上の必要性」についてですが、報告書の2番に書いてありますが、今回の3疾患に共通する特徴として、繰り返す発熱と炎症に続発して、生命予後に影響を及ぼすアミロイドーシスを発症する場合があるとされており、これらは遺伝性周期性発熱症候群の一つとして知られている自己免疫性疾患です。

 現在、当該疾患に適応を有する治療薬はなく、確立された治療法もありません。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えられます。

 最後に、「開発の可能性」ですが、それぞれの報告書の3番に記載しておりますとおり、それぞれの疾患の患者を対象とした国際共同第III相試験が実施予定で、日本からも参加する予定から、本剤の開発の可能性は高いと考えております。これらのことから、希少疾病用医薬品への指定要件を満たすと考えております。説明は以上となります。

○吉田部会長 本薬も、対象患者数の問題、医療上の必要性、重篤性、アミロイドーシスなどの関係、それから開発の可能性について、国際治験が始まるということです。3条件揃っていると思いますが、よろしいですか。それでは、議決に入りたいと思います。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは、議題10をお願いします。

○事務局 審議事項議題10、資料10及び資料13「MC710」を希少疾病用医薬品として指定することの可否について」説明いたします。まず、資料13を御覧ください。一般財団化学及血清療法研究所が開発するMC710については、平成21年2月に「血液凝固第VIII因子又は第IX因子に対するインヒビターを保有する先天性血友病患者の出血抑制」に関する希少疾病用医薬品として既に指定を受けたところですが、現在「後天性血友病患者」を含むより適用範囲を広くして開発を行っていることから、希少疾病用医薬品の指定についても変更が必要となりました。ついては、資料13に基づき、既に指定されている効能・効果を取り消すとともに、資料10に基づき、新たに「血液凝固第VIII因子又は第IX因子に対するインヒビターを保有する患者の出血抑制」を予定される効能・効果として指定することについて御審議いただくものです。

 資料10を御覧ください。MC710の希少疾病用医薬品の指定に関してですが、対象患者数はアンケート方式による全国調査では、本邦におけるインヒビターを保有する患者数は255名と報告されており、指定要件である5万人未満を満たすものと判断しております。

 医療上の必要性については、インヒビターを保有する患者の止血管理には、欠乏した血液凝固因子を経由せずに凝固反応を伝達するバイパス療法が行われています。このバイパス療法製剤として、本邦で承認されている既存のバイパス製剤は、頻回投与の必要性や播種性血管内凝固症候群(DIC)などの血栓塞栓症の副作用の懸念があり、慎重な投与が必要とされています。

 本剤は、活性型血液凝固第VII因子及び第X因子を加えることで止血効果を高め、既存のバイパス製剤よりも高い有効性と持続性が期待できることから、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。

 開発の可能性については、本邦において出血時のインヒビター保有血友病患者を対象に、本剤を用いた止血効果及び安全性を検討する第III相試験が実施されていることから、本剤の開発の可能性はあるものと考えております。以上から、本剤は希少疾病用医薬品の指定要件を満たすものと判断しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○吉田部会長 本剤については、そもそも先天性の血友病患者を対象にしていたのを、これをやめて、後天性も含めた形で対象としたい。それでも、5万人以下の対象人数であると。医療上の必要性、開発の可能性については、前回と変わらないということなのですが、3点揃っていると考えられますが、よろしいでしょうか。それでは、議決に入りたいと思います。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。また、報告事項の希少疾病用医薬品の指定の取り消しについても報告がありましたので、こちらも確認していただいたと処理したいと思います。

 それでは、その他の報告事項に移ります。報告事項の議題1~3について、よろしくお願いします。

○事務局 報告事項議題1及び2、資料1112-3について、まとめて事務局より御報告いたします。まず、報告事項議題1、資料11「医薬品塩酸バンコマイシン点滴静注0.5gの製造販売承認事項一部変更承認について」を御報告いたします。本剤の有効成分でありますバンコマイシン塩酸塩は、グラム陽性菌に対して抗菌作用を示すグリコペプチド系抗菌薬であり、現在は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌及びペニシリン耐性肺炎球菌感染症に対する治療薬として承認されております。

 本剤については、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、公知申請への該当性に関する報告書が取りまとめられ、平成251018日に開催された本部会における事前評価を踏まえて、今回、塩野義製薬株式会社から「メチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌感染症及び発熱性好中球減少症」の効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。機構における審査の結果、当該効能・効果にて、承認して差し支えないと判断いたしました。

 続いて、報告事項議題2、資料12-112-3「医療用医薬品の再審査結果について」御報告いたします。これらの資料はいずれも医薬品再審査確認等結果通知書です。資料12-1は、一般的名称は「レボホリナートカルシウム」、販売名は「アイソボリン点滴静注用25mg」です。資料12-2は、一般的名称は「エトポシド」、販売名は「ラステットSカプセル25mg、同カプセル50mg、ペプシドカプセル25mg、同カプセル50mg」です。資料12-3は、一般的名称は「フドステイン」、販売名は「スペリア錠200、同内用液8%、クリアナール錠200mg、同内用液8%」のものです。

 こちらの品目について、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査、製造販売後臨床試験等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと。即ち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について、変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものです。報告事項は以上となります。

○吉田部会長 公知申請が1件、カテゴリー1の再審査結果が3件でした。先生方から御質問等ありましたらお願いします。よろしいでしょうか。ないようですので、報告事項については御確認いただいたものといたします。

 本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告はありますか。

○事務局 次回の部会は、5月26()、午後5時から開催の予定ですので、どうぞよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 本日は、長時間にわたり御苦労さまでした。これにて終了といたします。


(了)

備考
 本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 井本(内線2746)

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