ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 障害保健福祉部が実施する検討会等> 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(平成27年度報酬改定)> 第4回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」 議事録(2014年8月6日)




2014年8月6日 第4回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」 議事録

○日時

平成26年8月6日(水)16:00~18:00


○場所

厚生労働省 省議室(9階)


○出席者

井出教授 沖倉教授
野沢論説委員 萩原部長
平野教授 藤井障害保健福祉部長
川又企画課長 田中障害福祉課長
冨澤精神・障害保健課長 竹林障害児・発達障害者支援室長
小泉課長補佐 菅自立支援給付専門官
特定非営利活動法人難病のこども支援全国ネットワーク 特定非営利活動法人日本脳外傷友の会
一般社団法人日本筋ジストロフィー協会 特定非営利活動法人障害者インターナショナル日本会議
一般社団法人日本ALS協会 特定非営利活動法人ALS/MNDサポートセンターさくら会
全国自立生活センター協議会 特定非営利活動法人日本相談支援専門員協会

○議題

(1)関係団体ヒアリング3
(2)その他

○議事

○菅自立支援給付専門官 それでは、定刻を過ぎておりますので、ただいまから「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」の第4回会合を開催いたします。

 御出席いただきました団体、アドバイザーの皆様におかれましては、御多用のところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日の議事に先立ちまして、検討チームのアドバイザーの方を御紹介させていただきます。

 和光大学教授の井出健二郎さんです。

 大正大学教授の沖倉智美さんです。

 毎日新聞論説委員の野沢和弘さんです。

 川崎市健康福祉局障害保健福祉部長の萩原利昌さんです。

 立教大学教授の平野方紹さんです。

 なお、本日、高鳥政務官(注1)は公務により欠席をさせていただいております。

 また、事務局の構成員の紹介は省略させていただきます。

 カメラの撮影はここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 本日はヒアリングを行うため関係団体の方々にお越しいただいておりますので、ヒアリングの順番に御紹介させていただきます。

 特定非営利活動法人難病のこども支援全国ネットワーク様。

 特定非営利活動法人日本脳外傷友の会様。

 一般社団法人日本筋ジストロフィー協会様。

 特定非営利活動法人障害者インターナショナル日本会議様。

 一般社団法人日本ALS協会様。

 特定非営利活動法人ALS/MNDサポートセンターさくら会様。

 全国自立生活センター協議会様。

 特定非営利活動法人日本相談支援専門員協会様。

 続きまして、本日の資料の確認をさせていただきます。

 議事次第、座席表に続きまして、ヒアリング資料の1~8まで、それぞれきょう御意見をいただきます団体から事前に提出いただきました平成27年度報酬改定に関する意見資料でございます。

 不足等ございましたら、事務局にお申しつけください。

 なお、本検討チームの議事は公開とし、本検討チームにおける審議の内容は、皆様に内容を御確認いただいた上で、後日、厚生労働省のホームページに議事録として掲載される予定となっております。あらかじめ御了解いただきますよう、よろしくお願いいたします。

 続きまして、本日のヒアリングの進め方でございますが、まず、前半4団体に順に意見を述べていただきます。ここで一度切らせていただきまして、続いてアドバイザーの皆様方からの質疑応答を行いたいと思っております。その後、後半の4団体にまた順に御意見を述べていただきまして、再び質疑応答を行いたいと考えております。

 お時間がありましたら、最後にもう一度全ての団体を対象として追加の質疑応答等も行えたらと思っております。こういう予定で2時間の会議といたしたいと思っております。

 それでは、早速でございますが、御出席の皆様から御意見を賜りたいと思います。時間が限られておりますので、恐縮でございますが、1団体5分程度でお願いしたいと思います。お時間が経過した時点で事務局から合図をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、難病のこども支援全国ネットワーク様に御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○難病のこども支援全国ネットワーク 特定非営利活動法人難病のこども支援全国ネットワークの福島でございます。本日は、このような貴重な機会をいただきまして、まことにありがとうございます。お手元の資料に従いまして、御説明申し上げます。

 まず、総論でございます。現在、総合支援法によりまして難病130疾患プラス関節リウマチが障害福祉サービスの対象となっておりますけれども、これでは非常に不十分な状態です。疾患名によるくくりだけではなくて、難病や慢性疾患による活動制限や参加制約を含む新たな障害の認定という視点が必要です。

 一例といたしまして、人工呼吸器を使用している、あるいは経管による栄養注入をしている、気管切開をしているなど、医療依存度の高さ、また、外見ではわかりにくい痛みやだるさといった特性、そして、病気という状態の変化、病気によっては進行性の病気もございますし、増悪や寛解、再発を繰り返すといった特性もございますので、そういった病気特有の活動制限や参加制約を含む障害の認定の基準が必要だと考えています。

 各論につきましては、4点ほどまとめさせていただきました。

 1点目は、家族支援の必要性とその充実についてです。難病や慢性疾患、障害のある子どもの子育ては、保育や学校教育、そして就労という子どもの成長・発達・自立のライフステージにおきまして、親自身による体験的な知識だけではなかなか解決することが難しいということも大変多くございます。そういったこともあって、家族全体にとても大きな影響を及ぼすわけですけれども、そういった観点からも難病や慢性疾患、障害のある子ども本人への支援に加え、親やきょうだいを含めた包括的な家族支援が必要だと考えております。具体的には、レスパイトあるいはショートステイなどのサービスの確保、あるいはピアサポート、親の会など、当事者による体験的知識を生かした相談支援に重点化した報酬の改定が必要ではないかと考えております。

 2点目は、医療的ケアのある子どもたちへの支援です。痰の吸引や経管栄養などのいわゆる医療的ケアの必要な子どもたちが在宅に移行して生活しているケースがふえておりますけれども、現行の障害福祉サービス、特に居宅系のサービスには医療に分類されている行為を必要としている子どもが使うことのできるサービスが事実上存在していませんので、実際には日常生活において介護者たる家族の大きな負担となっているという現状がございます。医療的ケアがあるがゆえに、幼稚園、保育所、学校への受け入れに制約が生じたり、集団生活や学習活動から排除されたりする例は今でも枚挙にいとまがありません。

 難病や慢性疾患を原因とする障害については、医療と福祉を切り離して考えることが難しいということがございますので、医療保険制度と障害福祉サービスの谷間をつくらない制度の構築が必要だと考えます。

 現在、子どもに対する訪問看護は医療保険制度の一つとして行われていますけれども、診療報酬上の制約がございまして、長時間の利用や頻回の利用はなかなか難しいというのが現状です。そういった点で障害福祉サービスに訪問看護を新たに位置づけ、現在必要な障害福祉制度の活用に結びついていない医療依存度の高い利用者への支援を確保する必要があると考えます。

 また、一定の研修を受けて、医療的ケアを行うことのできるヘルパーを派遣するヘルパー事業者に対する報酬の加算などによって、そういったインセンティブを設けることによって、医療的ケアをすることができるヘルパーの裾野を広げるといったことも必要ではないかと考えます。

 3点目は、通常の学級に在籍する子どもたちへの支援です。特別支援学校等に対する支援ももちろんいろいろな問題がございますけれども、特に通常の学級に在籍している障害や病気のある子どもたちに対する合理的な配慮の提供というのは不可欠です。特に、通常の学級におきましては、親の付き添いを半ば強制されたり、修学旅行に連れていってもらえないなどの差別事例がいまだに聞こえてまいります。

 特別支援教育支援員制度という介助員の制度を文科省のほうで地方財政措置として行っておりますが、これも多様な子どものニーズや校外学習には対応できないということもしばしばございます。これに対しては、学校内あるいは宿泊を伴う修学旅行や林間学校を含む校外行事、校外学習時におきましても、障害福祉サービスの居宅介護や重度訪問介護あるいは医療保険による訪問介護を利用するようにすべきだと考えます。

 また、通学が保証されなければ、実質的には学習機会を保証することにはなりません。学校への通学時においても同様の障害福祉サービスを利用できるようにすべきだと考えます。

 また、ヘルパー自身が運転する車による通学支援といったものも必要ではないかと考えます。

 最後ですけれども、子どもを対象とする事業所というのは極めて限られておりまして、大変数も少のうございます。そういった観点からも、例えば、利用者の都合でサービスをキャンセルした場合に対しても、何らかの事業所に対する報酬のようなものも必要だと思いますし、また、遠くからヘルパーや訪問看護師が来るというケースも多いわけで、そういった移動時間等に関する何らかの報酬といったものも、子どもたちに対応する事業所をふやしていくためには必要ではないかと考えております。

 以上でございます。

○菅自立支援給付専門官 どうもありがとうございました。

 次に、日本脳外傷友の会様、よろしくお願いいたします。

○日本脳外傷友の会 日本脳外傷友の会と申します。交通事故やあるいは脳梗塞、脳炎等で高次脳機能障害になった者たちの家族会及びその連合体でございます。全国に57団体が現在加盟しております。

 要望点を要約して6点挙げさせていただきましたが、1点目から概説させていただきます。

 まず、利用者負担なのですが、中途障害で発症するあるいは事故に遭ったということで、この障害になるものですけれども、前年度の所得に対して利用料が発生するということですから、急に所得がなくなってしまったのに利用料が発生するわけです。それで、作業所を利用したいと思ってもなかなか利用がしにくい、あるいは特に女性の場合は夫が障害のために働けなくなり、妻が働いているケースでも自己負担が発生する。利用回数を多くしたいのに、自己負担が多いために利用ができない、あるいは就労のための訓練をきちんと受けたいのに思うようにいかない。親子の場合には、所帯分離して応益負担が発生しないようなこともできるかもしれないけれども、夫婦の場合は離婚しない限り負担が発生するわけです。こういった点をぜひ改めていただきたいと、利用者負担について御検討いただきたいと思います。

 それから、報酬単価には事務的な経費についての費用は含まれていません。事業所を経営している家族会の中から事業所を立ち上げて一生懸命頑張っているのですが、全国に現在19カ所ぐらい作業所をつくっているのですけれども、そのほとんどは家族がボランティアでやっていますし、事務的な経費についての費用が報酬単価に含まれていませんから、専従事務職員を雇うことができなくなっている、赤字経営というところが非常に多いわけです。指導員が事務仕事もこなさなければならなくて過重労働になる。したがって、退職に追い込まれて有益な人材が育成できません。利用料の日割り支給ではなく、安定した賃金が支払える報酬体系にぜひともしていただきたいと思います。

 それから、リハビリのために更生施設、リハビリテーション病院に附属した更生施設を持っているところが結構ありますが、その利用料についても施設使用について施設サービス費の自己負担金、それから、食費等の実費負担の有期限の軽減をしていただきたいと。収入がなくなっているのに自己負担がふえ、そして食費も払わなければならない、そのためにリハビリテーションが十分に受けられないという状況が生じております。身障更生施設の施設利用費1割負担及び食費と実費負担は約9万円にもなります。傷病手当金の収入だけでは利用をあきらめてリハビリテーションがうまく進みません。

 中途障害者の社会復帰支援施設については、他の施設と違い、社会生活をしていた方をまた社会で生活しやすくする通過型のリハビリ施設です。ですから、食費等の実費のみの負担にして、リハビリが行えるようにしてください。

 それから、旧身障更生施設を生活訓練と機能訓練に分けることなく、併支給の新たな基準を設置してください。自立支援法の施行前はPTOTなど身体的リハビリと生活力を高める社会的リハビリ、施設による職業的リハビリも提供していました。ところが、報酬の体系に入っていない職業リハビリテーションなどをやるところがほとんどなくなってしまっているわけです。機能訓練と生活訓練に分けた報酬体系であるため、脳外傷等による身体障害と高次脳機能障害をあわせ持つ人の場合には、両方の訓練が必要だと。そのためのほとんどの更生施設が持ち出しで支援をしてくれているわけですが、どこも経営は非常に苦しくい状況にあります。それを何とか改善していただきたいと思います。機能訓練で入所し、生活訓練を受けている場合も加算をつけるなどのやり方ではなく、リハビリ給付というようなものが必要だと思います。

 退院後の社会復帰のために作業所や通院リハに参加したくても、移動支援がないために通所・通院ができず、自宅に引きこもっている人が多くなっています。障害が重くなったり、引きこもり状態で二次的障害を悪化させ、家庭内暴力など社会的行動障害を増す結果になっています。このあたりも、ぜひ御検討いただきたいと思います。

 それから、相談支援事業というのが始まりまして、例えば、笑い太鼓という作業所が愛知県の豊橋にございますが、この事業を受けております。常勤の職員1名と非常勤の職員2名で対応していますが、相談件数が非常に多くて、件数に見合う報酬単価が支払われていない。したがって、ほかの事業費からの持ち出しになって経営上非常に苦しいということを申しておりました。相談支援事業の報酬単価をぜひ上げていただきたいと思います。

 それから、横浜市が市単事業として単独で取り組んでくださった高次脳機能障害者のためのアシスト事業がございますが、ひとり暮らしの高次脳機能障害の生活支援のために職員2人がかかわって、金銭管理や食生活の指導などを訪問して成果を挙げているのですが、市単事業のために今年度で打ち切りだという話を聞いております。非常に残念に思います。精神障害の方のACT事業のように、訪問型の事業として高次脳機能障害の分野では親亡き後の支援として私たちは非常に注目している事業なのですが、ぜひ、公費でアシスト事業を応援していただく仕組みをおつくりいただきたいと思います。

 以上でございます。よろしくお願いいたします。

○菅自立支援給付専門官 どうもありがとうございました。

 次に、日本筋ジストロフィー協会様、お願いいたします。

○日本筋ジストロフィー協会 私は、日本筋ジストロフィー協会の理事をしております矢澤と申します。本日は、このような機会を与えていただきまして、まことにありがとうございました。

 私どもは、1964年に全国進行性筋萎縮症児親の会として結成されました。筋ジストロフィーの専門病棟、いわゆる筋ジス病棟は、当協会と設立の同じ1964年5月に西多賀病院を皮切りに、201310月1日現在、27病院に2,184名が療養しております。

 日本筋ジストロフィー協会は研究班とともに50年間歩んできました。その間、多くの同胞たちがこの世を去り、家族は献体を行い、一日も早く治療法の開発を望んできました。呼吸器導入により、典型的なデュシェンヌ型の余命は50年前は20歳以下でしたが、現在は30歳以上になりました。在宅での生活も可能になりましたが、その分重度化になり、病院でも在宅でも介護の負担がふえてきました。その負担を減らすためには人材が必要です。その人材を確保するためには、福祉サービスの報酬単価の引き上げが必要です。

 次に、お手元に参考資料があると思いますが、難病法で気管切開の呼吸器と、鼻マスクによる呼吸器の自己負担を差別しようとする傾向が見られますが、人工呼吸が必要な人にとってはその差はありません。私の知人の福山型の女性が鼻マスクから気管切開に切り替える手術中に亡くなりました。鼻マスクを使い続けていれば、もっと長く生きられたのにと思うと残念でなりません。

 次に、呼吸器を使い始めると大きな問題になるのが痰の吸引です。痰の吸引は医療行為として医師、看護師のほかは家族が行えることになっていますが、ヘルパーでも適切な研修を受けることによって行えるようになりましたが、養成機関が非常に少なく、多くの事業所で人材が足りません。病院等で積極的に養成を行い、人材の確保をお願いいたします。

 次に、障害者権利条約が2014年2月19日に発効し、障害を持つ人も持たない人も同じように移動し、コミュニケーションが保証されなければなりません。通勤や通学でも移動支援が行えるようにしてください。気管切開をしている人の多くは、家族や特定のヘルパーのみと意思疎通が行われているため、入院すると家族は24時間付き添わなければなりません。家族の負担を減らすためコミュニケーションができるヘルパーを入院時、その他必要な場所に派遣できるようにしてください。

 次に、重度訪問介護は重度の患者に長時間の介護が必要ですが、報酬単価が低いために受けてもらえる事業所は非常に限られてきています。報酬単価を上げてください。重度訪問がないときに介護する家族の負担は非常に大きいものです。利用者がイニシアチブを持って介護を行うパーソナルアシスタント制度を重度訪問介護に取り入れてください。また、家族もその一端を担えるようにしてください。

 次に、3・11の災害時に、福島の会員がたまたまヘルパーがいない時間に大震災が発生し、親族の人が駆けつけたときにはもう間に合わず、もうあきらめましょうという言葉を残し、おばとともに津波にのみ込まれました。福祉サービスが十分あれば助かった人も多いと思います。福祉サービスを充実させることにより、災害時でも効率的支援ができると思います。二度の災害を経験した茨城県に住む有賀さん、本日は参考に著書をお届けしましたが、福祉サービスの充実や地域のネットワークは災害時に有効だと述べております。ぜひ防災・減災のために福祉サービスの充実をお願いいたします。

 次に、障害者自立支援法施行以降、筋ジス病棟に併設している病弱特別支援学校には、障害程度5、6の患者しか入院されないため、入学する小中学校の生徒は激減しています。少なくとも義務教育の期間だけでも入院し、併設校での教育が受けられるようにしてください。多くの在宅の筋ジストロフィー児は、普通学校や肢体不自由児特別支援学校に通っています。放課後デイサービスは、在宅の児童にとって家庭や学校以外で学ぶ貴重な場所です。報酬単価の中で大規模、中規模、小規模の差が大き過ぎます。格差を是正してください。

 最後になりますが、学校卒業の青年・成人にとって、仕事や福祉作業以外の余暇の必要性は障害者権利条約第30条の中で明記されています。国の制度としてスポーツ、レクリエーション、余暇を楽しむ制度をつくってください。

 御静聴ありがとうございました。

○菅自立支援給付専門官 どうもありがとうございました。

 次に、障害者インターナショナル日本会議様、よろしくお願いいたします。

○障害者インターナショナル日本会議 こんにちは。DPI日本会議、事務局長の佐藤と申します。きょうは、お招きいただき、ありがとうございます。時間が限られていますので、要望項目のうち幾つかピックアップして御説明させていただきます。

 まず、1つ目、重度訪問介護です。重度訪問介護は、長時間介護が必要な重度障害者の地域生活を支える非常に重要なサービスです。2006年の自立支援法施行時に大幅な単価の引き下げが行われて、ここでヘルパーの離職が相次いだのですけれども、2009年の報酬改定で改善されてきました。ただ、まだ十分ではなく、単価が低いため実施する事業所はいまだに非常に少ないです。さらに、介助者も慢性的に不足しておりまして、なかなか重度の障害者の地域生活を支える体制が整っていかないという問題があります。ですので、ぜひ単価を引き上げて事業所が安定してできるように、さらに介助者も確保できるようにお願いしたいと思います。

()医療的ケアの報酬改善です。2012年からヘルパーの喀痰吸引が制度化されまして地域生活を支えております。しかし、喀痰吸引の支援体制加算が一日当たり100単位という非常に低い設定です。その結果、事業所の負担が大きく、なかなか参入する事業所がふえていないという実態があります。ぜひ、これを改善するために報酬、単価の改善をお願いします。

 次に、3番目の相談支援に移ります。()セルフケアプランの作成支援に補助の制度をお願いいたします。来年に向けてサービス等利用計画の作成が各地で急ピッチで進められています。私たちは、セルフケアプランというものは自己決定に基づいた非常に重要な仕組みだと思って評価しております。ただ、セルフケアプランといっても最初から1人で全部つくれる人はなかなかいなくて、自立生活センターなどでは利用者に向けて説明会を開いて、そこで書き方の説明をして、その後、一人一人が作成したものをもう一度見て、ここはこういうふうにしたらいいですよというアドバイスをしています。こういう支援をしてセルフケアプランというのはできてきていますので、ぜひ、そういう支援活動をしている事業所に対しての助成の制度をお願いいたします。

()自立生活体験室を使った報酬の体系の創設をお願いいたします。自立生活センターなどでは、自立生活体験室と言いまして、そこで一旦ひとり暮らしの練習をする、ヘルパーを使って施設や親元から出て、実際に介助を使って生活するという練習をしております。そういうことがないと、なかなか地域にすぐ移行というのは難しいです。ですので、最初数日の練習をして、それから最終的に出る前は何週間か練習して、あるいは最後施設から出たときは、何ヶ月かそこにいて練習をしながら地域移行するということをやっております。あるいは緊急時の駆け込みというときでも使っております。

 このように、地域生活支援拠点と言える自立生活体験室を使った支援活動に対して報酬の加算等をお願いいたします。

 4つ目、国庫負担基準です。国庫負担基準というのは、厚労省は自治体に対して一人一人必要な時間数の支給決定をするように繰り返し通知してくださっています。しかし、多くの自治体というのはサービス量に上限を設けております。とりわけ長時間の介助が必要な人に対しては、ここが上限だと言ってなかなか出ない。和歌山でも支給量の裁判があって和歌山市が敗訴しましたけれども、そういうことが各地で起こっています。この原因は、国庫負担基準が非常に低いところにあります。市町村は、持ち出しの負担を恐れて国庫負担基準をもとに支給量の上限を定めているという実態があります。これを改善するために、国庫負担基準の引き上げをお願いいたします。

 次に、5番目は人材確保です。継続して働ける仕事へ。ここに書きましたけれども、多くの事業所では介助者の不足ということを言っております。さらに、現在の報酬では人材確保はなかなか難しいということもアンケートで出ています。賃金に関してもほかの産業に比べてホームヘルパーというのは非常に低いのが実態です。そのため、低賃金のための長く働き続けることができないのが実態です。これでは障害者の地域移行、地域生活はなかなか支えられません。ですので、ヘルパーの待遇改善というのは必要だと思います。ですので、ぜひ、報酬の改定をお願いいたします。

 あと、介護福祉士の受験資格ですけれども、これまで実務経験による受験資格が認められたのですが、2016年度から廃止されます。実務経験がないと、いろいろな事業所ではほとんど介助者が不足している。そういう中で、450時間の研修を受けるというのは非常に負担が大きい。介助者がいないというのが実態ですので、この仕組みにすぐ移行するのではなくて、実務経験による受験資格をもう少し延長していただきたいと思っています。

 最後に、精神科病棟転換型居住系施設です。これは、この間検討されてきていますけれども、敷地内にとどまることが地域移行だとは言えません。地域移行というのは病院の敷地から出て、地域の中で生活することです。我が国が批准しました権利条約でも第19条で、全ての障害者が他の者との平等の選択の機会を持って地域生活で平等の権利を有している、特定の生活・様式を強いられないということが書かれております。病棟の転換をするのではなくて、地域福祉サービスの拡充、住環境整備など、社会基盤の整備、ピアサポートを初めとする当事者エンパワーメントの拡充が必要です。ぜひ、病棟転換型居住系施設は撤回して、報酬上の評価は行わないでください。

○障害者インターナショナル日本会議 DPI日本会議の理事をしております海老原と申します。きょうは、よろしくお願いいたします。

 私自身は、進行性の筋疾患、神経筋疾患を持っておりまして、現在、人工呼吸器を使いながら、地域での自立生活13年目になります。ふだんは人工呼吸器などを含めた医療的ケアが必要な人を含めた重度障害を持った方の地域生活支援を行っております。

 重度の障害を持った人というのは、ほとんど皆さん重度訪問介護を使っていることが多いのですけれども、皆さんおっしゃっているように、現在、特にこの4~5年、極端に人材不足が起こっております。登録のヘルパーを含め、その人たちが足りないときには常勤のスタッフが緊急で出動するということもあるのですけれども、報酬単価が低いことで登録ヘルパーも十分な常勤スタッフも雇えないというような状況が続いております。

 どんな障害を持った人でも地域での生活を実現していくというのは法律でうたわれるようになってきてはいますけれども、現実というのは全く追いついていない状況だと思っております。この法律でうたわれている地域生活を実現化していく責務というのは国の責務でもあると思いますので、どうぞ、この報酬単価の改善については十分な御検討をよろしくお願いしたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

○菅自立支援給付専門官 どうもありがとうございました。

 それでは、これまでの4団体からの御意見に対しまして御質問等ありましたら、よろしくお願いいたします。

 野沢先生どうぞ。

○野沢論説委員論説委員 どうもありがとうございます。難病のこども支援全国ネットワークの方にお尋ねしたいと思います。医療的ケアのできるヘルパーをふやしていこうと、それ以外に学校行事等で訪問看護をということですが、ヘルパーで医療的ケアの研修を受けてできるのは痰の吸引ぐらいですよね。そのほかで学校行事では移動のとき等に必要な医療的ケアというのはどういうものがあるのかということと、そういう医療的ケアが必要な難病のお子さんというのは、どのくらいのボリュームなのか知りたいのですが。

○難病のこども支援全国ネットワーク 例えば、特別支援学校に通っていて、特別支援学校は多くの場合、学校に看護師さんが非常勤であってもいるわけですけれども、それでも典型的な医療的ケアでないケアがあると、通学さえ認めてもらえないといったようなケースも実際にございます。私自身が受けた相談の中で、鼻にエアウェイを入れていらっしゃるお子さんがいて、それが抜けてしまうことがあり得ると。看護師さんですから医療的ケアはもちろんできるのですけれども、それでも県の教育委員会は、例えば痰の吸引とか経管とか導尿のような、いわゆる典型的な医療的ケアではないという理由で、その子どもは通学できない、訪問教育を受けるといった形の御相談を受けたことがあります。ですから、看護師がいるから全ていいとか、問題が全て解決するということではないような気もいたしますけれども、ただ、現状訪問看護は基本的には居宅ということで、自宅でしか利用できないと考えられておりますので、そういった裾野が学校内であったり、学校行事の外出先であったり、そういうところで使えるようになれば、子どもたちが学校行事に参加できる機会が間違いなく広がっていくと考えております。

○野沢論説委員 今、示していただいた例、看護師さんがいてもなかなか対応できない。それは極めて特殊な例なのか、それとも、割と一般的にある話なのかというのはどうですか。どのくらいの頻度なのかという。

○難病のこども支援全国ネットワーク 数としては決して多くはないと思いますけれども、困っている方は非常に困っている。それがあるがゆえに学校に通えない、場合によっては就学猶予せざるを得ないとか、そういった話も聞こえてまいりますので、数としては決して多くはないと思いますけれども、とても大きな問題だと私自身は認識しております。

○野沢論説委員 それと、インクルーシブ教育という面で、学校側というか教育行政に求めていくべきという考えもあると思うのですが、どうでしょうか。どちらでもいいのでしょうけれども、福祉サービスのほうで拡充していくべきなのか、それとも教育の方で対処していくべきか。

○難病のこども支援全国ネットワーク 先ほど特別支援教育支援員という介助員制度についてお話をしたのですけれども、もちろん教育の側からそういったものが提供されるというのは合理的配慮として当然のことだと思います。ただ、使用できる範囲が非常に限定されていたり、時間が短かったり、そういったことがあるわけです。例えば、私自身の経験でもありますけれども、学校内での介助はしてもらえるけれども、泊まりがけでの介助はできないといったケースもありますし、それから、介助員は基本的には担っていただく方を見つけなければいけないわけで、そういう方が必ずいいタイミングで見つかるかどうかという問題も当然ございます。そういったものを補完するものとして、障害福祉サービスが利用できるようになれば、さまざまな学校行事等に参加する子どもたち、そして、親たちにとってもとても大きなサポートになるのではないかと考えます。

○野沢論説委員 ありがとうございます。

 もう一ついいですか。日本筋ジストロフィー協会の方にお尋ねしたいのですが、通学・通勤にも移動支援の適用を広げる、私もこれは前々から必要だと思っているのですけれども、例えば、これがあるために移動支援ができれば本人や家族が就労できるというのはどのくらいあるのかみたいな、そういうデータ、エビデンスを示すことはできますか。

○日本筋ジストロフィー協会 具体的な数はつかんでいないのですけれども、東京の特別支援学校は比較的スクールバスで通学できるようになっているのですけれども、他府県はほとんどそういうものがありません。また、1つの県に1つあるかないかということで、非常に広くなってくるのです。そうなると、家族が連れていくとか、そうしないとなかなか学校では受け入れてくれません。

 それと、先ほど言いましたように、自立支援法ができてから入院できる児童生徒が、いわゆる障害支援区分が5、6、つまり、どちらかというと気管切開とか呼吸器を使っている成人に限られるのです。今まではそれこそ筋ジスという病気であれば、小学校から入院して、そこから併設の学校に通っていたのですが、それができなくなった。今、病弱養護学校の中に筋ジスが非常に少なくなっております。資料にもつけておりますけれども、そんな現状です。

○日本筋ジストロフィー協会 私、東埼玉病院の保護者会会長の新田と申しますけれども、東埼玉病院に併設して養護学校があるわけです。そういたしますと、今、先生のお尋ねのとおり、移動支援で父兄はずっとついてきて、帰るまでの間というのはロスがあると言えばあるわけですから、そこは就労に結びつくかというお尋ねだと思うのですけれども、東埼玉病院の場合は、筋ジス協会でいわゆる福祉講座だとかそういうものをやっていまして、そのときにちょっとお手伝いをしていただくという形になるわけです。そこで移動支援を全部やっていただくとなりますと、そこに限定したものではなくて、例えば、近くのスーパーにパートで行くとか、そういう面で輪が広がっていくのかなと思っています。

○野沢論説委員 地域にもよるのでしょうけれども、景気のよしあしにかかわらず、人手不足というのはこれから長期的なトレンドで進んでいきます。だから、いろいろな方が働けるようにしなければいけないという面で、このあたりは進めていかなければいけないなと個人的には思っているのですけれども、ぜひ、関係機関を説得できるようなデータやエビデンスを集めていただければと思っております。よろしくお願いします。

 私からは以上です。

○菅自立支援給付専門官 ほかにいかがでしょうか。

 井出先生、お願いします。

○井出教授 いろいろ勉強させていただき、ありがとうございました。今、4つの団体の方々からお伺いしたのですが、2つの団体からまたお伺いしたくて、全く同じなのですけれども、1つは、難病のこども支援全国ネットワークさんに。先ほど、委員からも教育等云々という話が出ていて、要約版の通級の学校に在籍する子どもたちへの支援というところで、実は私はある町の教育委員長をやっているもので、この辺は関心があるのですが、特に、学校や宿泊を伴う修学旅行や林間学校云々というときに、今提示されているのは障害系のサービスの居宅や重度訪問介護、医療保険云々というのは、幾つか利用するようにと書いてあるのですけれども、幾つかある中でどこに一番かかわらせたら効果があるのかということをお聞きしてみたいところなのですが。

○難病のこども支援全国ネットワーク 御質問ありがとうございます。先ほども触れさせていただいたとおり、学校のほうで特別支援教育支援員という介助員がいない、あるいは校外行事に使えないということになると、現状は親が付き添うか、もしくは行けないという2つの選択肢しかなくなるわけです。それを補完するものとして、例えば、居宅介護であろうが、重度訪問介護であろうが、訪問看護であろうが、さまざまな社会資源がある中でその子どもの状態に合った、例えば、医療的ケアがある子どもであれば、訪問看護のほうがいいケースもあるでしょうし、もちろん関係性の深いヘルパーが同行するほうがいいというケースもあると思います。ですから、どの制度が使えるのかというのは選択肢としてたくさんあれば、より多くの子どもたちがそういった行事等に参加する機会が広がるという意味でございます。

○井出教授 ありがとうございました。

 それから、私からはもう一点、また同じなのですが、筋ジストロフィー協会さんに御説明いただいた中で、要約版ですと6番目なのですが、きょういただいた有賀先生の著書はまだ私も読んでいないので勉強不足で申しわけないのですが、災害時の備えのための福祉サービスの充実というのは、例えば、どんなところに特にサービスを充実させたら、こういう要望にお応えできるのかなというのをもう少し教えていただいてもよろしいですか。

○日本筋ジストロフィー協会 具体的にどこということではなくて、この事例で話したように、たまたまヘルパーさんがいないときに災害が起こったと。それが十分にヘルパーさん、24時間近い方もいらっしゃいますけれども、そういうサービスがあれば、当然ヘルパーさんが何かアクションできるわけですよね。

 それから、一般の方も今回の災害でケガをされたり、いわゆる障害者の生活を強いられた方もいると思うのですけれども、その場合、なかなか福祉サービスが使いにくいと思うんです。ですから、福祉サービス全体をだれもが使えるようなシステムにしてくれれば、そういう対応もすぐにできる。国会であんなに長い間審議しなくても自動的にできる、そういうシステムになるのではないか。そういう面で、福祉サービスの充実というのはとても大事です。

 あと、学校等で福祉サービスの施設が多くなれば、第二次の福祉避難所とかそういうものが自然的に整備できる。そういうところで、災害と福祉サービスというのはとても密接にかかわっているのではないかと思っております。

○井出教授 ありがとうございました。私からは以上です。

○菅自立支援給付専門官 平野先生どうぞ。

○平野教授 3つの団体の方にお伺いしたいのですけれども、1つ目は、日本脳外傷友の会さんにお聞きしたいのですけれども、いただいた要望の中の5相談支援事業の件数に見合う報酬が支払われていないということですが、これは私の想像ですけれども、脳外傷、高次脳機能障害の場合、本人が判断したり考えたりすることが難しいということとあわせて、家族の方が理解し切れない、受け止め切れないという難しさがあると思うのですけれども、そういう相談援助の内容面での難しさというのはどういうものがあるのか、ちょっとお話しいただければと思います。

○日本脳外傷友の会 私なども日常的に全くのボランティアで受けておりますけれども、夜昼問わず、一番多いのは家庭内暴力でしょうか。当事者がストレスをためて変貌してしまった。それに対して家族がうまく対応できない、家族も精神的に病んでしまって、時間も構わずとにかくすがるように電話をしてくるというのに対応するのに、どこの家族会も非常に困難を来していると思います。

 それから、相談支援利用としてやっている笑い太鼓のような場合には、相談してそれきりではなくて、それに応じてフォローをするために就労先に出向いたり、あるいはそのためのいろいろな援助をしなければなりませんから、一応聞いてしまった以上はきちんとフォローしたいということになりますから、そういった点で人手もかかるし、精神的な悩みも多くなるということになるかと思います。

○平野教授 ありがとうございました。

 2つ目ですけれども、筋ジス協会のほうに、要約版の7の()放課後デイサービスの大規模、中規模、小規模の格差をなくしてくださいということなのですけれども、1つは経営的な問題があるということはわかったのですが、これは私の個人的な推測ですけれども、例えば、厚労省はできればデイサービスも小規模のほうを進めたいと。大規模よりも小規模のそういうデイサービスを進めていきたいという、できるだけ密度が高まるような。多分そういう政策意図があるのではないかと思うのですけれども、大規模のメリット、大きいことで何かメリットがあるという部分はあるのでしょうか。

○日本筋ジストロフィー協会 これは、この制度ができて立ち上げたというのではなくて、もう20年前から自分たちの努力でやっているのです。たまたま東京都には通所訓練等事業というのがありまして、その予算でやっていたのですけれども、最初は5人とか10人というのが、だんだん規模が大きくなってくるのです。やはりそういうサービスを求めて来ると、だんだん断れずにだんだん大きくなっていく。2年前の切りかえ時に気がついてみれば20人以上の大規模になっていたと。10人に2人という設定があるのですけれども、実際には部屋の中で子どもたちを見ているのだったら、それも可能かもわかりませんけれども、地域に散歩に行ったり、学校から公園を通って帰ってくるときに、少なくとも2人に1人ぐらい必要なんですね。そういうものが大規模だから効率的に施設や維持費が余りかからないからいいのではないかというのではなくて、大規模であろうが小規模であろうがメーンは人手なので、大体7割減ぐらいになってしまうのです。それですと、なかなか運営ができないということです。

○日本筋ジストロフィー協会 補足させてください。東埼玉病院では、さいたま協会でデイケアをやっているのです。それは御指摘のとおり小規模の20人以下なのですけれども、自立支援法ができたときから厳しくなってきまして、つまり、筋ジスの場合は御案内かと思いますけれども、朝起きてみると痰が詰まったりということがあってなかなか行けない。今までは運用面でちょっと遅れて行ったとしても一日単位でカウントされていたのです。今は1時間単位で行って、それをまとめてやるという形ですから、言うならばパートに行って2時間の出来高を1カ月単位でやっていくという形ですから、売り上げといいますか、国の補助もありますし、県・市町村の補助もありますけれども、激減してきているのですね。としますと、数の大小にもよりますけれども、必要最低限のインフラ、電気や水道とか必要なものですから、そういう面で赤字になってきまして、非常に運営が苦しいという状況になってきていますので、つまり、病気の特色を踏まえた形で行って、1時間単位でのカウントではなくて、半日、一日単位のカウントにしていただければいいのかなと思っています。

○平野教授 重ねての質問で恐縮なのですけれども、確かにいろいろな経緯があって規模が大きくなっていくというのはそのとおりだと思います。断れなくてやっていくというのは、そのとおりだと思いますし、そういう事情は配慮できるのですが、理論的な話で恐縮なのですけれども、現実問題として小規模のほうをもっと人手を充実してやっていったほうがいいのか、あるいは大規模で大人数を確保したほうがいいのかということであれば、どちらのほうが。二者択一というのもおかしいのですけれども、どちらがより子どもたちのためにはいい援助ができるのかというところなのですが。

○日本筋ジストロフィー協会 できれば小規模で10人以下の単位でやったほうが、もちろん経営的にはいいのですけれども、場所を確保するのがなかなか難しいのです。私のかかわった施設でも二度、三度引っ越さなければいけないと。そのときに親が自転車で市内をグルグル回って不動産屋などに行っても、障害を持っている子どもが使うのだったらということで、大家さんがなかなかいい返事をしてくれないということで、広い土地があって幾らでも建てていいですよという、小さな規模でもやっていいですよということでしたら可能でしょうけれども、そんなにうまくいかない。逆に、大家さんがせっかくだから大きいのを建ててあげましょうと言いますと、大き過ぎてこの制度には認められない。わざわざ小さく区切ってするとか、小さく区切っても同じところを区切ると、それは別の施設としてカウントできないから大規模になってしまうとか、そういう面でいわゆる格差があるために、小規模でも一本化してくれればいいと思うのですけれども、単価がそんなに変わらなければ、大きなところはたまたまいいスペースがあるから、そこで大規模でやりましょうとか、小規模であれば小さなところが借りられたから、そこでやりましょうということになると思いますけれども、経営的に見ると非常に大規模は苦しいというのが現状です。

○平野教授 ありがとうございました。

 もう一つ、DPIさんにお伺いしたいのですけれども、いただいた2ページ目、グループホームの()、特に重度障害者支援活動の要件緩和と報酬の拡充をもっと進めてほしいということですけれども、具体的にここをこうしてほしいというような、ここが一番困っているんだみたいなお話を伺いたいと思うので、お願いいたします。

○障害者インターナショナル日本会議 きょうは、ここの項目に詳しい者がおりませんので、お答えできなくて申しわけありません。また文書でお送りさせていただきます。済みません。

○菅自立支援給付専門官 ほかによろしいでしょうか。

 それでは、後半の4団体から順に御意見をいただきたいと思います。

 まず、日本ALS協会様、よろしくお願いいたします。

○日本ALS協会 日本ALS協会の平岡と申します。きょうは、副会長の岡部も一緒に参加しております。このヒアリングに参加させていただいて、ありがとうございます。

 私どもの資料は、1枚の紙になっております。1番から順番に要望をお伝えしたいと思います。

 患者さんの要望としましては、訪問系のサービス、特に喀痰吸引等の支援体制加算を増額していただきたいという要望が各支部からも上がってきております。その理由としましては、100単位ではもちろん少ないというのが実感でして、もし可能であれば500単位程度まで上げる必要があるのではないかという意見です。

 特に、医療的ケアを実施するためには、単に吸引や注入ができるというだけではなくて、当事者とのコミュニケーションをかなり確保した上で、ほかの身体的な複雑な介護と同時に行うということがありますので、新人ヘルパーがひとり立ちをするというところまでいくためには、患者さん本人、家族、それから、先輩ヘルパーなどからの総合的な指導が必要でして、そのための同行ケアなど必要な時間と労力に対する保証をしていただきたいということです。

 加えて、医療職との連携を強化するために必要な記録や連絡調整など多岐にわたるということがあります。医療職の中にもかなりたくさんの職種が患者さんにかかわるので、その連携に対する評価も考えていただきたいということです。

 2番目につきましては、移動支援の単価に関して、これも複雑なコミュニケーション支援と医療的ケアが必要な患者については、かなり時間と労力を要するということもございますので、単価を増額していただきたいということで、おおむね100単位程度増額をお願いしたいという希望があります。

 3番目は、地方の患者さんからの要望でして、いわゆる過疎地や離島で、介護保険の事業所などが極端に不足している。もちろん、障害の事業所も不足している。介護保険制度優先という介護給付の条件を必要に応じて障害福祉サービスを選択できる、あるいは両方併用できるという柔軟な対応をお願いしたいということです。

 4番目は、支援計画の作成が今、各地域で行われていると思いますけれども、ALSの場合にはコミュニケーションと医療的ケアという2つの複雑な介護が必要になりますので、それらの調整も含めて考えたときに、計画プランを立てるときに患者さんとのコミュニケーションだけで相当な時間と労力がかかるということなどもございますので、相談支援の単価にも増額をお願いしたいということで、まずは100単位程度増額ということを調整していただければありがたいと思います。

 ほかにもたくさんありますが、特に医療的ケアとコミュニケーションに特化して今回は要望させていただきます。

 岡部が事前にまとめた文章がありますので、意見を代読してもらいます。

○日本ALS協会 日本ALS協会の岡部です。よろしくお願いします。

 重度訪問介護の医療的ケアの報酬については、インパクトがあるほどの増額を要望したいです。介護事業所の業務と責任の重さを考えると、現在の加算では普及がとても困難だからです。よろしくお願いいたします。

 以上です。

○菅自立支援給付専門官 どうもありがとうございました。

 次に、ALS/MNDサポートセンターさくら会様、よろしくお願いいたします。

ALS/MNDサポートセンターさくら会 さくら会の橋本です。本日はありがとうございます。簡潔かつ露骨な資料ですので、川口から御説明させていただきます。

ALS/MNDサポートセンターさくら会 さくら会の川口と申します。

 あまり露骨な資料ではないのですけれども、今、皆さんのお話を聞いていて、さくら会からの要望もほとんど同じでございます。私たちは、喀痰吸引の法制化のときに、第3号研修(特定の者)のモデル事業をやりました団体です。最初、第1号、第2号研修では50時間研修ということでお示しいただいて、これではとてもではないけれども費用もかかる、時間もかかるということで多分対応できないということで、私たちのほうから9時間で丸一日かければ何とか喀痰吸引等の研修がおさまるというプログラムを提案させていただいて、それをモデル事業で実施いたしました。おかげさまで、ヘルパーによる痰の吸引等が法制化されて、日本津々浦々どこでも、こそこそしないで堂々と痰の吸引ができるようになって、ようやく地域でこういうケアが必要な人たちも普通に暮らせるようになったなと喜んでいたのですけれども、実際ふたを開けてみましたら、法律ができればいいということではなくて、やはり大変にコストがかかるということがわかってきまして、今までは何とかこそこそでもやってくれていた事業所が、今度はお金がたくさんかかるということで撤退しだしまして、思っていたのと全然違う方向に行ってしまって非常に残念な状況になっています。その内訳は、今まで各団体が御説明したとおりのことです。

 私たちの希望としましては、やはり重度訪問介護の単価をもっと思い切って上げていただいて、これは事業所加算とかいろいろ細かく工夫していただいているのですけれども、やはり1時間幾らという単価をもっと上げていただいて、その中にヘルパーの喀痰吸引等にかかる研修費も盛り込んでいただくというようにしていただかないと困ります。

 それから、橋本も今、呼吸器をつけていますけれども、呼吸器をつけたりとか、コミュニケーションが難しいというような条件で重度包括支援は15%加算なんです。この15%加算で喀痰吸引の研修にかかる部分もそこからコストが出るのではないかというギリギリの線で計算されているようなのですけれども、実は私も事業所をやっていますが、やはり15%加算だけではちょっと足りません。要するに実地研修に入って3日4日でヘルパーさんが一人前になるような障害の状況だったら全く問題ないのですけれども、たとえば橋本の場合は新人ヘルパーが一人前になるまで実地で1年かかります。その場合は、2人体制でベテランのヘルパーと新人のヘルパーがセットで実地研修をずっと続けていくのですけれども、そういう場合は1人分の費用しか出ません。もう1人分のヘルパーのコストは事業所の持ち出しになるわけです。そうすると、この部分はどうしていいのかわからない、どこからお金を出していいのかわからないという状況の中で事業所の持ち出しでやっています。

 それでもヘルパーが定着してくれればいいのですけれども、私はできませんとか、こんな難しいことはできませんと、一人前になるまでに辞めていかれる、ギブアップされるヘルパーさんが多いのです。そうすると、幾らコストをかけても途中で辞められてしまうというリスクがあります。それではとてもではないけれども普通の事業所は恐ろしくてできないという状況です。

 橋本も自分で事業所をやっています。それから、私は親がALSだったので自分で事業所を立ち上げました。岡部さんも自分で事業所をやっていて、当事者が火事場の馬鹿力で、ど素人なのに事業所をやっているという状況の中で、今少しずつ介護者の養成を拡大しようとしているのですけれども、やはりここは国に単価アップで応援していただかないと、ALSの人たちは呼吸器はつけられなくなります。筋ジスの人たちは鼻マスクだと15%加算が出にくいということがあって、やはり長期生存はだめだというふうになっていくと思います。

 大きく言えば、喀痰吸引等の医療的ケアの部分と、重度訪問介護という長時間の滞在型のヘルパーの単価を上げていただきたいということです。

ALS/MNDサポートセンターさくら会 地方に呼吸器をつけたALSの方が行く場合というのは、3人ヘルパーが移動介護についていかないといけないので、現状ですと3人目は請求ができなくて地方にはなかなか行けないので、3人目を請求できるようにしてください。

ALS/MNDサポートセンターさくら会 移動のときには、2人体制は認められているのですが、呼吸器をつけている人に関しては、3人体制での移動を認めていただきたいと橋本は言っています。

 以上です。

○菅自立支援給付専門官 どうもありがとうございました。

 次に、全国自立生活センター協議会様、よろしくお願いいたします。

○全国自立生活センター協議会 全国自立生活センター協議会の代表の平下です。きょうは副代表の今村と参加させていただいております。

 略称JILなのですけれども、全国に130団体あります。とりわけ長時間介助を必要とする重度障害者、重度訪問を利用している障害者、医療的ケアを必要とする障害者などが中心となって、自立と完全参加を目指して活動を展開しております。

 きょうの説明は、今村からしてもらいます。

○全国自立生活センター協議会 全国自立生活センター協議会の副代表をしております今村と申します。私から、きょうの要望を御説明させてもらいます。

 お手元の資料は、1枚ものの要約版とホッチキスどめしたものとあります。要望項目としては全部で8項目あるのですけれども、重点的なものということで集約版の3項目を中心に御説明したいと思います。

 まず、考え方として、やはりことし権利条約を批准したということもありますし、これまでの制度改革でいろいろな法律ができてきましたので、現状いろいろな問題もあるのですけれども、それだけの法的なものということから、その観点は押さえておきたい。特に、権利条約で第19条、地域で生活する権利を実現するために今の問題をどう解決するかという視点から報酬単価も考えていただきたいと思います。

 私どもの団体からは、主に比較的重度の方でサービス体系としては重度訪問介護を使っている方の支援が多うございます。これは毎回、報酬単価改定のたびに申し上げておりますけれども、やはり重度訪問介護の単価の設定が低いのではないか。具体的に言うと、例えば身体介護で言うと、4,000円ほどの単価になるのですけれども、重度訪問介護になりますと、その半分以下の1,800円前後という単価の設定になっています。そこにいろいろな加算がついて、ギリギリ2,000円を超えるかなというところが現状でございますけれども、やはり身体介護に比べて半分以下という設定は非常に苦しいと。

 それで、どういう状況が起きるかというと、事業所からすると余りにも単価が低いと、このサービス体系自体をやろうとするところがない。現実に全国で見ると、地方では重度訪問介護サービスはニーズとしてはあるのですけれども、やろうという事業所はないということで支給決定ができないというケースもありますし、事業所も余りにも単価が低いので、介助者が集まらないということでやれないということがずっと起きております。

 では、どれだけ低いのかと申しますと、例えば、正社員として介助でやっていこうと思っても、月に20万円もらえたとしても、年間では年収300万円を切る人はいっぱいいます。そういった中で、これを一生の仕事としてやっていこうかというときに非常にちゅうちょする人たちは多うございます。月20万円でもいいほうで、それ以下の人はいっぱいいると、年収300万円を切るような中でやっていくという人が非常に多いと。なかなか定着しない原因の一つになっております。なおかつ、身体介護より低い重度訪問を中心にやろうというのは本当に厳しいというところになりますので、そういった実態からも、まず、重度訪問介護の報酬単価のベースを上げていただきたいというのが一つです。

 2つ目として、重度訪問介護サービス、これはもともと一日8時間以上連続して使う人を想定してつくられたものです。なので、そういった長時間サービスということで単価を低く抑えるということもあるのですけれども、一方で、支給決定のほう、例えばニーズとしては身体介護くらいの1回に1時間、一日でも3~4時間程度で済むという人に対しても、自治体のほうで単価の安い重度訪問で支給決定をする実態もあります。それは、自治体としては抑えたいというインセンティブが働いてそういう支給決定をしているので、そういった形の支給決定は控えていただきたいのですが、一方で、連続ではなくて一日単位全体として8~10時間程度を必要としている人も結構います。そういう人の場合については、連続で8時間ではなくて、例えば、朝晩4時間ずつ分けて使いたいというニーズもあります。逆に、8時間以下の短時間利用のニーズに対しては、反比例するような形で割増するような仕組みに変えていただければありがたいなと思っております。

 なぜかというと、結局、事業所によって給料の設定の仕方はまちまちではありますけれども、そもそも単価が高いところに入った人については、それなりに報酬をつけるという算定をしているところが多うございますので、重度訪問を長く入ることで報酬を確保するという形になるのですが、短い時間のところしか入らないということになってくると、やはり割増という仕組みが必要ではないかと思います。

 それから、これまでの団体の方も言われておりますけれども、医療的ケアに関する報酬単価の評価をお願いしたいと思います。喀痰吸引の必要な人に対してというのは、先ほどさくら会の方もおっしゃっておりましたけれども、短時間で育成できるものではなくて、現場に入って先輩のベテランヘルパーから引継ぎを何回も繰り返し、繰り返しやっていく中でようやくひとり立ちてきでいくというものになりますけれども、現状で言うと一日100単位で1,000円がつくという加算だけです。これに実質2人体制なりでやっていくというのはかなり長い期間必要になりますので、そういうものに対して1時間制限プラスではなくて、一日何回やっても1,000円と。一方で、医療者の訪問看護を派遣した場合については8,000円つくのですね。やっている内容としてはホームヘルパーがやっても一緒ですし、頻度は非常に多うございます。ですけれども、この差というのは余りにもあり過ぎるのではないかということもありますので、ぜひ、ここは今一日1,000円という単価を倍どころか、5倍ぐらいでもいいのではないかと思っております。

 この医療的ケアが必要な人たちというのは、大体支援区分6で、重度包括の対象という人たちになりまして、先ほどさくら会の方も言われたように、何とか15%加算の対象になる人が多いのですけれども、それでもまだ足りないというのが現状ですので、この15%加算というパーセンテージを20%なり30%に上げていただくと。何らかの工夫でこの加算をつけていただきたいというのがあります。

 そのほかについてですけれども、この報酬単価の算定の仕方の中で、大体経営実態調査をベースにされているケースが多いのですが、これは介護保険とも連動しての話なのですが、黒字の事業所が多いと単価を抑えようということが、これまでも繰り返されてきました。しかし、事業所としては赤字を背負っていけば倒産してしまいますので、何とかとんとん、もしくは黒字にするようにということで結局どうするかというと、人件費を抑えるしかないのです。そういった形の中で黒字の事業所がふえたから報酬を上げなくてもいいというのは非常に困る話なので、先ほど年収ベースで話をしたように、他の業種とも均衡がとれるような報酬にしていただきたいと思います。

 それから、相談支援についてはほかの団体の方も幾つか申されましたけれども、今の報酬体系では相談支援だけでなかなかやり切れるものになっておりません。セルフケアプランに対する支援や、今ついているサービス等利用計画そのものも単価を引き上げる、相談事業に対して全体的につけるという報酬体系を考えていただかないと、今全国、多分相談支援事業だけで独立して採算がとれているところは1軒もないだろうと思いますので、お願いしたいと思います。

 最後ですが、病棟転換型居住系施設については、まだまだ問題点は多いと思いますので、報酬体系をつくるのではなくて、これはもう一度見直していただきたいと強く願っております。

 以上です。

○菅自立支援給付専門官 どうもありがとうございました。

 それでは、最後に、日本相談支援専門員協会様、よろしくお願いいたします。

○日本相談支援専門員協会 こうした機会をつくっていただいて、ありがとうございます。きょうは協会のほうから私、副代表の福岡と理事の鈴木で参りました。何とかサービス等利用計画を作成することに携わっている、今なりわいとする職員が職業として確立できるように、ぜひ、お力添えいただきたいと思いまして、協会として伺いました。

 資料としましては、要約版とホッチキスどめの要望書があるのですが、ホッチキスどめの要望書の中段以降から読ませていただきながら、補足させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 「1.計画相談作成の担い手である相談支援専門員の確保・定着、相談支援事業所の安定運営のための報酬設定」についてですけれども、現状のサービス等利用計画作成の進捗率からかんがみ、平成27年度から全ての障害福祉サービス利用者に対し、計画作成できる体制整備を図るためには相談支援専門員の確保・定着が急務です。しかし、事業所は運営面から参入をちゅうちょしているのが現状であり、都道府県で実施されている相談支援従事者研修において人材は育成されているものの、実務に就く人材が低調です。この課題を解消するためには、相談支援事業所の経営基盤の安定、相談支援の担い手である相談支援専門員が将来展望を持って職場で働き続けられる処遇の確保が必要です。こうした視点を踏まえ報酬改定に当たっては、何とぞ相談支援事業の報酬について適正な水準確保をお願いしたいということで、大きくはモニタリング頻度の部分と、手間暇あるいは労力を有する加算の部分について私ども協会では検討してまいりました。

 「2.ケアマネジメントの基本であるモニタリングの適正化による報酬設定」ですけれども、サービス等利用計画の作成に基づく支援は、ケアマネジメント手法の導入による支援を意味します。ケアマネジメントの基本は、計画作成とモニタリングによる継続的・計画的な支援です。モニタリング頻度を適正化することにより本来のケアマネジメントによる支援が行われると考えます。具体的には、今さまざまなモニタリングの目安がありますけれども、また市町村によってそれぞれ設定の仕方等に格差もございますが、原則さまざま複雑で厳しい障害をお持ちの方には毎月、もしくは3カ月に一度のモニタリングという標準のスタンダード的なものをお示しいただきたいと要望します。

 施設入所者に関しましては、さまざまな背景・事情があろうかと思いますので、一律には決められませんが、こうしたところでモニタリングの頻度についてのある程度安定・継続して見通しの立つ業務ということもかんがみて、この辺の検討をお願いします。

 次は報酬の部分についてですけれども、現状の基本報酬であるサービス等の利用支援報酬です。このような報酬の単価になっておりますが、結果として相談支援専門員の確保に影響を生じています。したがって、人材確保の観点から、以下の加算制度の創設を要望します。

 1としましては、何とか常勤専任で働こうという事業所職員の応援をしていただきたいということです。サービス等利用計画作成のための相談支援専門員は兼務でも可能となっています。しかし、サービス等利用計画の作成を担当する常勤専任の相談支援専門員を配置することが中立・公平性の確保、質の担保や相談員のスキルの向上に寄与します。また、こうした人材が定着することが、相談支援事業の継続性を生み、相談支援体制の充実につながる基礎となります。そこで、さまざまな要件があろうかと思いますが、例示としまして、現任研修を終了した常勤専任の相談支援専門員、あるいは24時間対応の体制を確保している、あるいは都道府県で実施している専門コース等を最低年1回は受講している、あるいは自立支援協議会に積極的に関与している等々、こうした要件を満たしている事業所に対して、特定事業所加算というようなもの、いわゆる常勤専任で働く事業所に対する基礎的な応援をいただきたいということです。

 なお、計画の粗製乱造につながることも懸念されること、また、一定の質を担保する上で相談支援専門員1人当たりの利用者数にある程度上限設定的な目安もお示ししいただきたいと思うところです。

 2以降は、我々相談支援専門員協会の中でさまざま調査等を含めて、これはやはり労力を要する、手間暇かかる、ここは特段の配慮が要ると思う幾つかの加算についての要望です。

 障害児加算。障害児の計画作成及びモニタリングは、成人の計画作成及びモニタリングより、よりきめ細やかな関係性と面接が求められ、労力を必要としている実態があります。また、利用者本人の支援に加え、保護者の障害受容や家族支援等の視点が入ってきます。利用者本人の意向・発達状況と保護者の意向・受容に隔たりがあるときには、当事者主体の原則を尊重しつつも保護者にも配慮が必要となってきます。そのためアセスメント等の状況確認や関係機関との調整において、成人の計画作成以上の労力を要しますということで、これに関しての障害児計画加算を検討いただきたいということです。これは、手間暇かかるというよりは、よりじっくりと御家族を含めた障害受容も含めた丁寧な、よりきめ細やかなかかわりが必要という意味でのお願いです。

 3医療・教育連携加算ですが、精神障害や重症心身障害のある利用者が、日常生活を送る上での医療機関との連携、また、学齢期の障害児を中心とした教育との連携は、生活をトータルの視点から見て計画を組み立てる上で極めて重要です。しかし、医療や教育機関との連携については、制度の理解、情報の提供・共有、課題の整理等の協議打ち合わせや会議開催について、障害分野の関係機関との連携よりより多くの労力を要しているのが現実です。このため、医療・教育等の分野に特化した連携加算を要望します。

 4独居加算ですけれども、ひとり暮らしの利用者への相談支援は、家族等と居住している利用者に比べインテークから計画作成の部分、さらにモニタリングの実施まで多くの労力を要します。具体的には、意思表示がうまくできない方について、生活状況の把握が困難であり、面談時の補助者が必要となりますが、多くの単身者はその補助者が見つかりません。したがって、周辺の環境や関係者の聞き取りに労力を要しますので、独居加算の検討をお願いします。

 5行動障害加算です。行動障害を呈する利用者へのマネジメントは、突発性のサービス調整の必要性が生じることが多く、また、受け入れ事業所との障害特性を踏まえた情報共有・調整等に労力を要します。このため、行動障害加算の部分についても検討をお願いしたいということです。行動障害をお持ちの方たちとさまざまな支援機関がかかわる際に、支援方法の統一あるいは微妙な調整、あるいは急にショートステイが必要になったとか、あるいはきょう急にというようなことの調整で、かなり労力を要しているという実態がございます。

 6多機関連携加算。障害福祉サービスのみならず、生活トータル支援を進めるには、その他公的サービス、地域生活支援事業、日常生活自立支援事業、成年後見制度利用支援事業等々ですが、また、地域のインフォーマルサービスも活用しながらマネジメントすることも少なくありません。これらの関係機関等の調整には相応の労力を要するため、医療・教育機関以外にも5機関以上の調整が必要な利用者について、多機関調整加算を要望します。

 7移動加算です。現行の特別地域加算は、中山間地域等に居住している利用者に対して提供されるサービスを評価して設定されています。しかし、障害分野の相談支援事業は二次福祉圏域単位で整備されてきた経過があり、移動に時間を要するのはそのためということで、中学校区ごとにいろいろ動ける範囲であればいいのですけれども、相談支援事業所は県域単位で動くことがかなり多いということです。

 一方、平成25年度の障害保健福祉推進事業による当協会が行った調査により、次のような傾向も見られています。計画相談1事例に要する移動時間では、平均が8.43時間となっており、人口規模5万人以下の地域では9.49時間、30万人以上の地域では9.61時間と移動距離だけでなく、移動時間も加味されるべきです。都市においては、比較的距離が近くても移動に時間がかかっている実態もあるということです。このため一定の移動距離や時間を要する訪問について、移動加算の設定を要望します。具体的には、事業所を基点とし15km以上または自動車利用の場合30分を超える利用者についての加算を検討いただけないかということです。

 その他につきましては、とりわけ障害児の方たちは、まだ親御さんの障害受容等ができない場合には、なかなか障害児支援ということで入ることが困難だったりもします。例えばですが、児童発達支援計画等々の表現で、インテークがしやすいような配慮をお願いしたいということ。あるいは、基幹センターの整備促進、さらに都道府県自立支援協議会を活発にやられているところ、形骸化のおそれがあるところとありますが、何とか全国の自立支援協議会の都道府県が集まって底上げできるような設置の検討もということです。

 以上、時間を使ってしまいましたが、よろしくお願いいたします。

○菅自立支援給付専門官 どうもありがとうございました。

 それでは、後半の4団体からの御意見に対しまして、御質問等あればお願いいたします。

 沖倉先生どうぞ。

○沖倉教授 沖倉です。よろしくお願いします。私からは3つの団体の方に大きく2つの質問をさせていただこうと思います。

 まず、自立生活センター協議会、さくら会の両団体に御質問です。介護者に関することで、自立生活センター協議会では介護福祉士という書き方をされていて、さくら会は身体介護、重度訪問介護という書き方をされてはおられますが、いずれにしろ介護の担い手の量だけでなく質も担保しなければいけないということを前提として御質問させていただきます。資格要件のハードルを下げて人材を確保するということを今回提案なさっていて、それと同時に実地研修という言い方だったり、OJTという言い方だったりということで、それに関する評価をしっかりせよということを提案いただいているのだと思いますが、そう考えたときに、実地研修であるとかOJTというのをどれくらいの期間、何をすることをもって実地研修と言うかとかOJTと言うかというのが、評価に当たってとても難しいように思います。これについて何かアイデアやお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。

○全国自立生活センター協議会 では、自立生活センター協議会のほうからですが、質の問題ですけれども、今、介護福祉士に統一していこうという全体の流れがあるのですが、我々が主張しているのは、オールマイティーの人というのではなくて、本当に個別性が高いのです。Aさんのスペシャリスト、Bさんのスペシャリストということになっていくので、まず、介護福祉士の受験資格というのが強化されていく中で、450時間の実地をやっていても実際に正直言って使えないのです。Aさんに対してちゃんとできる人、Bさんに対してできる人というのは、やはりAさんについて先輩のヘルパーから学びながら、それを繰り返し、繰り返し一緒に入っていく中でコミュニケーションのとり方や、いろいろな医療的ケアの仕方を覚えていくという、要は、介護福祉士をとってきたといっても結局その過程をやらないとひとり立ちできないのです。ですので、最初の入り口を介護福祉士でなければいけないというふうにされてしまうと、まずスタート地点になかなか立てないという問題があります。なので、資格要件を厳しくするのではなくて、入り口のハードルを低くしていただいて個別性、Aさんに対してこれだけのことができたということで、それに対しての評価という仕組みがあったほうが、実際の現場ではありがたいということです。

ALS/MNDサポートセンターさくら会 もうちょっとわかりやすい事例としては、橋本の口の会話の読み取りは、私はもう十何年も一緒にいるのですけれども読み取れないです。それはヘルパーとしての訓練をしていないからで、さっきも申し上げましたとおり、橋本の口を読み取るのは1年ぐらいかかります。それから、透明の文字盤に50音が書いてあるものをかざして読み取るというやり方をする人もいますし、それから「伝の心」というソフトがあるのですけれども、コンピューターにそのソフトを入れてコンピューターを使って自分で文字を打ち込むという人もいます。コミュニケーションの仕方一つとってもすごく個人によってまちまちなので、そういうものは介護福祉士だからといってすぐできるかといったら全く資格は関係なくて、いかに特定の人に長い時間入ってしっかり学ぶかということになりますので、介護保険のヘルパーと障害のヘルパーは全く違うと考えていただいて、個別性を評価していただかないといけないと思います。

○沖倉教授 ありがとうございます。

 続きまして、相談支援専門員協会に2点お願いしたいのですけれども、1点目についてはモニタリングについてお触れいただいていますが、私自身も個人的に非常に重要な点だと思うのですが、そう考えたときに頻度を例でお示しいただいているのですが、毎月あるいは3カ月一度と御提案いただいているのですが、それを参考に我々も考えていかなければいけないと思うのですけれども、算出根拠というか、こういう御提案をされる背景というのはございますか。それと、モニタリングというのは何をすることなのかということも、一方で重要かなとは思っています。

 2点目については、同じようなことなのですけれども、専門員一人当たりの利用者数の上限を設定するというお話の中で、単純に数だけではできないところももちろんあり、どんな支援内容をしているかによっても変わってくるのだと思うのですけれども、それを検討してくださいということなのですが、現場でお仕事をされている中で、何か具体的な提案などがあればと思いましたので、お伺いしたいと思います。

○日本相談支援専門員協会 ありがとうございます。モニタリングの目的ですけれども、サービス等利用計画に基づいてかかわる支援機関や関係機関がその間本当に意思統一できてきちんと支援できてきたかという確認が一点です。その中で、御本人様がこの支援で満足できている部分があるか、まだ不十分なところがあるかをきちんと確認する場面として重要だと思っております。そういうことをしっかりお聞きするためには、事業所からも個別支援計画がどうであったかの振り返りも含めた、きちんとしたサービス担当者会議等も開く必要があります。

 そういう中で、モニタリングの頻度なのですが、国で示しているある程度の目安としましては、サービスを新規に使われた場合には、当初3カ月、毎月、あとはその都度おおむね6カ月に1回とか、入所の方の場合だと1年に1回みたいな目安があるわけですけれども、明確な調査の中で確実な背景があるわけではないのですが、年4回通常の在宅生活の方であれば、できれば四半期に1回は必ずサービス状況の振り返りをすべきだろうと思うということです。もちろん、非常に障害が厳しかったり、さまざまな調整が必要な場合でプランも頻繁にということであれば毎月という方もいるわけですけれども、こうした標準の中である程度、相談支援専門員が見通しを持ってきちんと計画的にモニタリングをし続けていけるというような業務のあり方も確立してほしいという思いです。

 あと、一人当たりの件数というのも現在まだまだサービス等利用計画を作成する相談支援専門員がこなれていないということもあると思います。調査では、新規の場合にはモニタリングを含めておおむね30時間かかっていると。あと、継続しているサービスを使っている方に、これからのサービス利用計画という場合には25時間ほどかかっているということで、もっともっとこなれていくと思いますけれども、月におおむね1人20件作成できるだろうという見通しです。そのときに、平均モニタリングが年に20件で4回ということになりますと、常勤専任の場合で年間大体240件はプラン作成が可能だろうと。そうしますと、大体4~5で割り返すと、明確な数字は言えませんが、お一人5060人ぐらいは受け持つことが可能ではないかという目安です。きょうは数字としてはお示ししていませんが、そのようなイメージを持っております。

○菅自立支援給付専門官 ほかにいかがでしょうか。萩原部長、お願いいたします。

○萩原部長 どうもありがとうございました。全国自立生活センター協議会様と日本相談支援専門員協会様に確認も含めて教えていただきたいと思います。

 前半でも触れられていまして、DPI日本会議様のところでセルフケアプラン作成に関する言及がありました。どのように書いたらいいかというところも含めてということで、支援のタイプ、中身について少し言及がありまして、全国自立生活センター協議会様でも同じようにお示しいただいた資料の3ページで、セルフケアプランのニーズが高まっているということで御提言いただいておりまして、このセルフケアプランを作成するに当たって支援をするとなると、例えば、現状で言うとどんな支援があるのか。こういう手順で、こんなふうに支援を現状ではしているのだというのがあれば教えていただきたいと思っています。

 もう一つ、日本相談支援専門員協会様のほうで、資料の2番の1特定事業所加算ということで御提案をいただきました。一定の条件を持っているところにこの加算をという御主張だと思うのですが、仮にこれを全国で適用するとなると、どこでもクリアーできる共通する基準が要るのだろうと思っていまして、幾つか御発言の中で例示されていたかと思いますけれども、もう少し絞り込んだイメージをお持ちであれば補足して御紹介いただきたいと思います。

 以上、2点でございます。

○全国自立生活センター協議会 御質問ありがとうございます。全国自立生活センター協議会ですが、御質問いただいたセルフケアプランの支援ですけれども、まず、現状で多いのはセルフケアプランであろうが何であろうが、まず、計画相談って何という質問から入ってこられるのですね。行政のほうも、現在サービスを利用している人たちに制度がこういうふうになりましたという説明がなかなか行き届いていないのが現状でして、大体利用者さんはそれぞれつながっている事業所に、こんな通知が来たけれども、これは一体どういうことかという質問から入ってくることが多うございます。ですので、まず、その制度全体の説明であったり、その中でセルフケアプランと相談支援専門員につくってもらう違いは何なのかとか、そういったことを説明しなければいけなくなるというのが多いです。なので、私のところでもやったのは、うちもホームヘルプの派遣をやっているのですが、そこの利用者さん全体に、まず制度がこういうふうに変わっているのですよという説明会を開き、その中でもしセルフケアプランを選ぶのであればこういうことが必要です、相談支援専門員に頼むのであればこういうことが必要ですよと。それでは、そのセルフケアプランでやるにはどうしたらいいのかという全体的な話はするのです。ですけれども、それだけでわかりました、はいはいとできる人はそうはいないので、先ほどDPIさんからも説明があったように、全体の説明会の後に個別でさらに相談があって、どういうふうにやっていったらいいのかというふうにマンツーマンでやっていくと。それに数日かかっていくということになります。そういったやり方をしているということですので、それは全部無報酬でやらなければいけないので、そういったものの支援。

 一方で、今年度中に全員を対象にしなければいけないと制度上なっておりますので、自治体でも何とかそれを達成しようとする中で、中には行政が今までどおりのプランをつくってくるからセルフケアプランだというサインだけくれということを迫ってくるところも実際に起きています。そうではないのですよと、セルフケアプランというのはどういうものか、また、私たちがセルフケアプランを重要視しているのは、自分にとって具体的にどういうサービスが必要で、なぜこれが必要なのか、自分のことなのでそれをちゃんと説明していかなければいけないと。それを他人任せにするのではなくて、そこをエンパワーメント支援という形もしたいということなので、ノウハウを教えるというだけではなくて、エンパワーメント支援という視点で携わっていくというやり方をしているので、そこに対する報酬が必要ではないかという意味合いでございます。

○日本相談支援専門員協会 特定事業所加算の部分ですけれども、私どものほうは高齢の介護保険の特定事業所加算の要件なども若干参考にさせていただいております。ポイントとしましては、1つは、専門性と質の部分ですけれども、相談支援専門員は学校等を出て現場に入って、相談業務をやっている場合には5年間の実務経験と初任者研修、あるいは現場経験であれば10年間の実務経験等の実務経験の要件がありますけれども、実務経験があるからといって、いわゆる初心者運転の方たちをすぐに専任であるからといって加算の対象になるだろうかということで、少なくとも5年に1回の現任研修という、いわゆる経験値を持っているということで現任研修をひとつ置いてみました。

 あと、それぞれ得意な部分と苦手な部分がありますが、苦手な部分についての専門的な研修を受けているという意味での質という部分です。

 2つ目としましては対応力ということで、24時間体制を持てているということ、3つ目としまして、連携というところでは地域の自立支援協議会に関与しながら、必ず相談支援専門員が受けたニーズや地域の課題を地域の形として上げていけるような連携を持っているということも専門性という意味では重要だということで、その3点を考えております。

○菅自立支援給付専門官 野沢先生、お願いします。

○野沢論説委員 日本相談支援専門員協会に教えていただきたいのですけれども、相談支援はとても大事な事業ですよね。ほかにも生活困窮者の支援センターというのが来年、全国に800900ぐらいつくられますよね。こういう相談する機関、窓口はいっぱいできていくのですけれども、人が圧倒的に足りない、いい人材が足りないというのが現状だと思うのです。ここは、報酬改定の会議なので、生活できないから報酬を上げろということしかないのですけれども、ほかに報酬以外でいい人材をたくさん相談支援に持ってくる方法、定着させる方法みたいなものは何か議論されていますか。いろいろな資料を見ますと、福祉の職場に定着しない理由として報酬が低いというのは1位ではなくて、むしろやりがいの問題とか、法人の理念がよくわからないとか、そちらのほうが多かったりするのですけれども、そのあたりは何か協会内で議論されていることがあれば教えてほしいのですが。

○日本相談支援専門員協会 今、相談支援専門員の皆さんたちは、業務は多忙ですけれども、皆さんやりがいを持って頑張っているということは間違いないと思います。そのときに人材確保の部分ですが、うまくいっている地域というのは事業所が個々バラバラに活動しているのではなくて、必ず地域に座を仕切ってくれるような基幹的な相談事業所があって、そこに頻繁に集まりながらそれぞれの事例を持ち寄ったり、お互いのOJT的なスキルアップをしている地域が、やはりいい質をつくっていると思われます。

 あとは、事業所の施設長とかハンドリングされている管理者の方たちの見識ということになります。相談支援専門員はかなり力量が必要なので、やはり施設の中でもサービス管理責任者にしてみたいとか、管理長クラスにしてみたいとなると、育った相談支援専門員が事業所に戻されてしまうということもよくあります。そういう意味では、報酬が頭打ちになってしまいますと、どうしても経営上のことから人材確保の面でも一定経験を持った力ある職員が施設に戻ってしまうということが、とても大きな人材損失になってしまっています。そういう意味で今回、地域と連携を組みながら力をつけるという意味での人材確保と、いわゆる報酬の部分もぜひ御検討願いたいということです。

○野沢論説委員 もう一つ、先ほどから話題になっているセルフケアプランは、相談支援専門員協会としてはどのようなお考えなのでしょうか。

○日本相談支援専門員協会 最終的には、御本人が自分でいろいろ経験されたり、情報を集めたりしながら、御自身でプランをつくられるところにいくことはすばらしいと思っております。そのために我々、相談支援専門員は何が応援できるかということも大事な課題だと思っております。ただ、今回は主として公的サービスを使われる方に対するプランということで報酬の制度になっているわけですけれども、本来であれば私ども相談支援専門員協会は本人中心計画、御本人さんの思いをフォーマル、インフォーマル問わずに実現できるようなプランをつくっていきたいというのが本意です。そういう意味では、まだ道半ばというところですけれども、最終的には御本人が自分で選ばれ、自分で生活を組み立てる応援になっていければ本意です。

○野沢論説委員 もう一ついいですか。これは質問ということではないのですけれども、せっかくなので議論のためにと思って、きょう2つの団体から精神科病棟転換型居住系施設構想の撤回についてと出されておりまして、これはこの前の精神保健福祉課の長期入院解消に向けた検討会で議論になったことを受けてのことだと思います。私はその検討会のメンバーだったので、ここで構想そのものを撤回しろと言われて何もコメントせずに終わるのも何か変なので、ちょっとお話ししたいと思います。

JILさんのほうでも病院経営を優先させた対策であるというのですけれども、本当にグループホームというのは儲かるのかなと私は思うのです。今、全国にあるグループホームで儲かっているところがどのくらいあるのでしょうか。むしろ、いいグループホームをつくろうと思うと、法人側が持ち出しして赤字のところも多いのが実情です。片方で、今の精神科病院というのは儲かっていますよね。1人病床が埋まっていれば年間それだけで500万円ですよ。100人の病床だったら5億円ですよ。だから、わざわざ手間暇かけて儲からないようなグループホームをやるかなと思っているのです。

 今回の検討会で出した一番のメーンのものは病床削減だと思います。これまでは地域に戻すのだと言っていたけれども、戻したって認知症や依存症や行動障害のある知的障害者たちがどんどんまた入ってきますから、ずっと社会的にはいるわけですよね。そうではなくて、病床そのものを削減する以外にないというので、それを打ち出した。では、なぜ病院の経営者側がそれを認めたのかというと、急性期や外来のほうにスタッフを集約して、そこの報酬単価を上げれば経営が成り立つということでこれをのんだわけです。グループホームなんて日精協は眼中にないですよ。敷地内グループホームは例外中の例外なのです。

 では、なぜ、そんなものを議論したのかというと、今20万人くらい長期入院者がいますけれども、中に入っている人にアンケートをとってみると、どうしても退院したくないと言う人がいる。病院内のグループホームみたいなところだったら移ってもいいと答えている方が1割ぐらいいるのです。これは本人の責任ではないです、ずっと中に入れていた側の責任だし、長年そういう生活が染みついていれば、ちゅうちょするというのはわかりますよね。では、退院したくないという人たちを一体どうするのかということなのです。検討会の中で議論したのですけれども、やはり退院意欲のある人から優先的に出していこうと。それはそうだと思います、限られた資源ですから。では、この人たちはどうするのか、後回しです。後回しでも最後出られればいいのですけれども、結果はどうなるのかというと、毎年1万人の方が病院の中で亡くなっているのですよ。後回しというのは結局、亡くなるのを待つということだと思うのです。それでいいのだろうかというところでいろいろ考えて、それだったらせめて病室の狭い管理されたところよりも、院内かもしれないけれども生活の場に近いところに移すことができないだろうか。そこで意識も変わるのではないかというところで、非常に悩みながら苦肉の策として、例外中の例外として、こういう選択肢があってもいいのではないかということで出した。しかも、それは本人の意向を確認した上で、退院したくないという人に限るという限定つき。しかも期限を切る。ずっとそこにいさせることはだめだということです。外との出入りも自由にするとか、外部のチェックを入れるとか、二重にも三重にも条件をつけて、こういうものを試験的にやってみようではないかと。これは病棟転換型居住系施設なんて私は到底思えないのです。しかも、これだけ厳重にいろいろなハードルをつけられて、一体だれがやるのだろうかと。だれもやらないのではないかぐらいに今言われているものなのです。そういうところをまったく考慮されずに、ただ「病症転換」というふうに歪曲化されて議論されているのが、私は何だか切なく思います。改めて言いますけれども、今回のこの検討会の一番メーンに打ち出した課題は病床削減です。20万人を外に出していく、削減していくのだと。そのときに外の受け皿がないとどこにも行き場がなくなってしまうわけです。

 今回JILさんが出してきた一番後の真の地域移行に向けた地域社会基盤整備のための予算、これは私は大賛成なんです。これを一番メーンに据えて、20万人が出てこられるようにしようではないかというのを、これから一丸となって目指すべきだろうと私は思っているのです。ぜひ、そういうほうにやっていただけると、もっと多くの方が官民超えて、中央も地方も超えてやっていけるのではないかと思っています。

 なぜこんなことを言うかというと、1つは、検討会のときに事務局だった厚労省の部長、課長が全部代わってしまったのです。検討会で出した青写真どおりにやってもらわないと、まさに皆さんが批判されたようなことになりかねないので、あえてこちら側にいて何ですけれども、くぎを刺す意味も込めて言わせていただきました。

 これは質問ではなくて、私の考えを述べただけなので、もし何かそれは違うというのであれば言っていただければと思います。

○全国自立生活センター協議会 ありがとうございます。別に違うということはございません。うちが出しました最後の地域基盤整備のために予算を設けるというのは、まさに野沢さんに同じだと言っていただきましたが、逆に言うとそこが問題で、これがずっと手つかずのままなのです。うちの主張からすると、百歩譲って地域基盤整備もあり、病棟転換型もあり、本人が選べるということならまだいいと思うのですけれども、結局、先行するのは病棟が削減する中で余ってきた者に対して、同じ敷地の中で、例えば5階の病棟にいた人が4階からの地域移行施設だということでそちらに移ったというのでは、環境は余り変わらないという問題はどうするのかということと、今グループホームと言われましたけれども、私たちは地域移行の拠点がグループホームだけとは考えておりませんので、そういったグループホームも含めていろいろな面的整備という言い方もしますけれども、それこそ相談支援専門員等いろいろなところと連携しながらサポートしていくといったネットワークが構築できるような基盤整備の予算立て、仕組みの議論があって、優先順位というとそちらが先だという主張であって、ただ、そういったものが具体化されない中の病棟転換だけ先に進んでいく。

 歴史をさかのぼれば、昔は病院にどんどん集約するというので精神科病棟がやってくれという形でやってきたという背景があるので、今になってはしごを外すのかということなのかもしれないですけれども、それは病院経営のための話ではなくて、本人のために何がいいのかという視点からとらえたときに、医療者に囲まれた中で生活したいというのが精神障害の人たちの多くの願いだというのであれば、そうかもしれないですけれども、そうではない地域で暮らしたいという人が多い中で、具体化する政策が病棟転換だけというのはやはり寂しいのではないか。

 それから、同じようなことがベルギーで過去にやっていて失敗だったという海外の事例もあります。そういった検証からすると、やはり地域基盤整備のほうに重点化する。試しだというのであればモデル事業としてだったらまだわかるのですけれども、全体的な全国統一の制度化をするというと、そちらが先行してしまうのではないかという危惧があると。もちろん病床を削減していく、それで地域化を整備していくという、そこにもっと焦点を当てた議論をしてほしいなと思っているところです。

○野沢論説委員 病床削減が先なのです。できれば検討会の議事録を読んでいただきたいのですね、どんな議論をしているのか読んでいただけるとよくわかっていただけると思います。

 今おっしゃったように、グループホームだけが受け皿ではなくて、空き家を活用した単身の住居だとか、あるいはもっと周辺のというか、もともと生活の相談支援というものをきちんと充実させていくこと、総合的にやっていかなければいけないと思っています。

DPIJILも個人的に長年懇意にしている人が大勢いるので、すごくやりにくいのですけれども、ぜひ、みんなで力を合わせてやっていけるようなものを目指したいなと思います。

○菅自立支援給付専門官 ありがとうございました。

 予定の時間が過ぎておりますが、どうしてもこれだけはという御質問がありましたら。よろしいでしょうか。

 それでは、以上をもちまして本日のヒアリングを終了とさせていただきます。

 次回の検討チームは8月22日金曜日、1012時まで。厚生労働省6階の専用第23会議室におきまして、ヒアリングの4回目を予定しております。

 本日は、お忙しい中、長時間にわたりまして、どうもありがとうございました。これをもちまして、「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」第4回の会合を閉会いたします。ありがとうございました。


(了)

(注1)
「高鳥厚生労働大臣政務官」の「高」の本来の表記は「はしごだか」ですが、システムの制約上表記することができないので、「高」で表記しております。

<照会先>

障害保健福祉部障害福祉課

評価・基準係: 03-5253-1111(内線3036)

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