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2013年2月20日 第90回労働政策審議会職業安定分科会議事録

職業安定局総務課

○日時

平成25年2月20日(水)10:00~12:00


○場所

厚生労働省省議室(9階)


○議題

(1)駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案要綱について(諮問)
(2)雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(3)その他

○議事

○大橋分科会長 それでは、定刻になりました。ただいまから、第90回「労働政策審議会職業安定分科会」を開催いたします。
 本日の委員の出欠状況は、公益代表の清家委員、樋口委員、労働者代表の勝野委員、澤田委員、住野委員、使用者代表の上野委員、河本委員、久保委員、田沼委員が御欠席となっております。
 なお、職業安定局長におかれましては、所用のため途中退席をさせていただく予定となっておりますので、あらかじめ御了承いただきます。
 それでは、議事に入ります。
 本日の議題は「駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案要綱について」また「雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱について」及び「その他」でございます。
 最初の議題は「駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案要綱について」でございます。
 本件につきましては、昨年12月12日に開催いたしました当分科会において了承いたしました「雇用対策基本問題部会報告書」を踏まえて作成されたものであり、本日付で厚生労働大臣から労働政策審議会長あて諮問を受けております。
 それでは、事務局から御説明をお願いいたします。
○雇用開発課長 雇用開発課長の北条でございます。
 駐留軍関係離職者法及び漁業離職者法につきましては、昨年11月29日の雇用対策基本問題部会におきまして、その有効期限の延長の必要性を認める旨の報告をいただき、この部会報告について、昨年12月12日の本分科会において御了承いただいたところでございます。これを受けて、改正法の案文作成作業を行いまして、このたび法律案要綱が固まりましたところから、本審議会にその諮問をさせていただきたく、御説明を申し上げる次第でございます。
 まず、お手元の資料1-1、2ページ目、法律案要綱を掲げてございます。
 法律案要綱の第1、駐留軍関係離職者等臨時措置法におきましては、この法律の有効期限を5年間延長するものとしております。
 第2、国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法につきましても、同じく法律の有効期限を5年間延長することとしております。
 第3、施行期日等につきましては、交付の日から施行するものとしております。
 今回の改正の趣旨につきましては、既に前回御説明申し上げているところでございますけれども、資料1-2にその概要をお付けしているところでございます。
 駐留軍関係離職者及び漁業離職者につきましては、国際環境の状況を鑑みますと、今後とも発生が予想されているところでございまして、引き続きその対策を実施する必要があるところでございまして、この対策を定めた両法は、法律の趣旨、目的、改正内容に共通性があるところから、両法の改正案を一括した法律案として国会に提出してまいりたいと考えている次第でございます。
 説明は以上でございます。よろしくお願い申し上げます。
○大橋分科会長 それでは、本件につきまして、御質問、御意見がありましたら御発言ください。
 よろしいですか。
 特に御質問、御意見がないようですので、当分科会は、厚生労働省案を妥当と認め、その旨を私から労働政策審議会長に御報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大橋分科会長 ありがとうございます。
 それでは、報告文案の配付をお願いいたします。
(報告文案配付)
○大橋分科会長 お手元に配付していただきました報告文案により、労働政策審議会長あて報告することとしてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大橋分科会長 ありがとうございます。
 それでは、そのように報告させていただきます。
 次に、「雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱について」でございます。
 本件につきましては、本日付で厚生労働大臣から労働政策審議会長あて諮問を受けております。
 それでは、事務局から御説明をお願いいたします。
○雇用開発課長 雇用関係の各種給付金につきましては、新年度におきまして改正を予定しているところでございます。改めて本分科会において御審議をお願いする予定でございますけれども、本日は、年度内に改正が必要となっております2つの案件について御説明を申し上げたいと思います。
 まず一点目、お手元の資料2-2、2つの案件のうちの1点目であります。父子家庭の父についてでございます。
 母子家庭の母につきましては、これまでも就職の促進を図るために各種給付金の対象としてまいりました。ただ、近年、父子家庭の父につきましても一定の配慮が必要ではないかという考え方が広がりつつございます。このため、昨年秋に成立いたしました母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の支援に関する特別措置法におきましては、その8条において「国は、母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の促進を図るため必要な財政上の措置その他の措置を講ずるように努めなければならない」とされたところでございます。
 また、実際、平成23年に実施されました全国母子世帯等調査におきましても、父子家庭の父は、臨時・パート・派遣などの不安定な就労形態で従事している方や低所得者の方の割合が増加してきておりまして、母子家庭の母と同様、安定した就労につくことが厳しい状況が見られるところでございます。
 このようなことから、現在、母子家庭の母のみを対象としている就業促進関係の給付金について、新たに父子家庭の父も対象にしたいと考えてございます。ただし、父子家庭の父と申しましても、父子家庭になる前から定職についていらっしゃる方もいれば、なかなか安定した職につけず、就職困難度の高い方もいらっしゃいますので、今回は就職困難度の高い低所得者層を対象とするという観点から、父子家庭の中でも児童扶養手当受給資格者に限って対象にしてまいりたいと考えております。
 具体的に対象拡大となる給付金は、下の「今後の対応案」に記載してございますとおり、現在、母子家庭の母を対象としているところの雇用保険二事業の特定就職困難者雇用開発助成金、雇用対策法に基づく一般会計の訓練手当及び特定求職者雇用開発助成金でございます。
 なお、この2点目の訓練手当は、就業経験がなく、雇用保険の受給資格のない方を対象としている給付金でございまして、3点目の助成金は、この訓練手当を受給していた人を雇い入れた場合の給付金になります。
 これらの対象拡大の施行日につきましては、特別措置法の施行日が3月1日になっておりますので、これにあわせて3月1日を予定しているところでございます。
 続きまして、2点目の案件でございます。
 資料2-2の2ページ、雇用情勢が依然として厳しい状況にある中で、特に中高年齢者の再就職は厳しい状況にございますところから、その円滑な労働移動を促進するために、労働移動支援助成金について助成率を拡充しようという内容でございます。
 労働移動支援助成金という助成金は、中小企業の事業主さんが事業規模の縮小等に伴いまして離職を余儀なくされる労働者の再就職活動を支援するために、民間職業紹介事業者にその支援を委託して、その結果、再就職が実現した場合に助成金をするものでございます。
 通常は、この委託に要した費用の2分の1を助成し、対象労働者が55歳以上である場合は3分の2の割増助成ということになっておりますけれども、今般、割増助成の対象労働者の年齢を55歳以上から45歳以上に拡充しようということでございます。
 この改正につきましては、平成24年度補正予算に盛り込まれていることから、施行日については、補正予算成立後を予定しているところでございます。
 以上の改正につきましては、省令の改正が必要となってまいりますので、このたび省令改正にかかる要綱について諮問させていただきたく考えてございます。
 資料2-1の2ページ、まず、省令案要綱の第1でございますけれども、雇用保険法施行規則について、労働移動支援助成金と特定就職困難者雇用開発助成金にかかる改正を行うこととしております。
 第2につきましては、雇用対策法施行規則について、訓練手当と特定求職者雇用開発助成金にかかる改正を行うこととしております。
 第3につきましては、雇用均等・児童家庭局が所管している助成金について、これも同様に父子家庭の父に適用拡大する内容となっておりますけれども、こちらは別途、雇用均等分科会で審議されているものでございます。
 最後に第4でございますけれども、施行日に関し、父子家庭の父関連の改正は、特別措置法の施行日にあわせて3月1日とし、労働移動支援助成金は補正予算が成立次第ということになりますので、本省令改正の公布日の施行としているところでございます。
 以上でございます。
○大橋分科会長 ありがとうございました。
 それでは、本件につきまして、御質問、御意見がありましたら御発言ください。
 どうぞ。
○新谷委員 ただいま諮問を受けました雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱についてでありますけれども、最初に御説明をいただいた特定就職困難者雇用開発助成金の父子家庭の父の取り扱いについて、まず、意見を申し上げたいと思っております。
 いただいた資料2-2にも記載をされておりますけれども、厚生労働省が実施した「全国母子家庭世帯等調査」の結果を拝見いたしますと、確かにこれは抽出調査で復元をしておりますけれども、全国で22万3,000世帯の父子家庭がいるという推計値でございました。年収等の分布もこの調査に出ておりまして、この資料にも出ておりますが、正社員の方が67%程度しかいない。年収の分布も300万円未満の方が43.6%ということで、正社員の比率もそうですが、必ずしも経済的に恵まれた方ばかりではない。今回の助成金の対象とすることについても、子供を育てている父親が安定した就労につくことに資する内容であるということでありますし、ひいてはそれが子供の養育、教育の充実につながることと判断しておりますので、今回の措置については歓迎したいと思っております。
 父子家庭においても非正規で働く方が今後もふえていく可能性もございますので、不安定な就労と低収入の生活から脱却するためにも、今回の措置が大きな効果を発揮することを期待しているわけでございます。今回のこの省令について確認がされた後については、各労働局において、対象者を雇用する事業主に対する周知徹底をぜひ図っていただいて、今回の内容について早急に政策効果を発揮するように御努力をお願いしたいということを申し上げまして、もう一つの案件でございます、労働移動助成金の拡充の案件につきましても、労働側としては了承申し上げたいと思います。
 以上であります。
○大橋分科会長 どうぞ。
○高橋委員 全く内容の話ではないので、発言をするものではないのかもしれませんが、ただいまの省令案要綱の大臣の諮問文と先ほどの法律案要綱の大臣の諮問文ですが、前にもお話したことがあるのですが、体裁が違うのです。法律案要綱と省令案要綱だと体裁を変えることに何か意味があるのか。どうしてこのように体裁が異なっているのかについてもしわかれば教えていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○雇用開発課長 これは昔からこういう様式でずっと踏襲しているということでありまして、大きな意味はないのではないかと思いますが。
○大橋分科会長 それでいいですか。
○高橋委員 伝統を重んじることも大切ですが、今後、統一的なフォーマットにしていくことについても御検討いただければと思います。個人的な意見でございます。以上です。
○大橋分科会長 その他いかがでしょうか。
 よろしいですか。
 特にないようでしたら、当分科会は厚生労働省案を妥当と認め、その旨を私から労働政策審議会長に御報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大橋分科会長 それでは、報告文案の配付をお願いいたします。
(報告文案配付)
○大橋分科会長 お手元に配付していただきました報告文案により、労働政策審議会長あて報告することとしてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大橋分科会長 ありがとうございます。
 それでは、そのように報告させていただきます。
 次に、議題の「その他」としまして、資料が配付されております。
 まず、参考資料1から4につきまして事務局から御説明をいただき、その後に質疑を行いたいと思います。
 それでは、事務局から御説明をお願いいたします。
○総務課長 それでは、まず、参考資料1をごらんいただきたいと存じます。
 参考資料1は、25年度の職業安定局関係の予算案の概要でございます。
 昨年夏に概算要求いたしました段階で概要につきまして当分科会で既に御説明申し上げておるところでございますので、本日はポイントのみ簡単に御説明をさせていただきたいと存じます。
 御案内のとおり、概算要求後に政権交代がございました。そこで3つの重点ということで、1つ目は成長による富の創出、2つ目は復興防災対策、3つ目が暮らしの安心・地域の活性化ということが重点とされまして、その観点から予算について必要な見直しを行うことになったわけでございますが、雇用対策につきましては、今、申し上げました3つの重点のいずれにも該当するということで、当初の要求段階から大きな変更はなく、本予算案に至っておるところでございます。
 お手元の資料にございますように、大きく5つの柱からなっております。
 1つ目が、若者・女性・高齢者・障害者等の就業実現ということで、特に若者等について対策を積極的に講じていくことにしておるところでございます。
 2つ目が、成長分野などでの雇用創出、人材の育成の推進ということでございまして、地域におけます雇用創出の取り組み支援、(3)にございますような、中小企業におけます魅力的な職場づくり、雇用管理の改善に向けた取り組みの支援等の予算を計上いたしております。
 3つ目の柱が、重層的なセーフティネットの構築ということで、これは求職者支援制度等もございますが、特に25年度におきましては、(1)生活保護受給者などの生活困窮者に対する就労支援の抜本強化ということで、生保の見直しも控えておる中で、就労支援に全力を挙げて取り組んでいくことにいたしております。
 4つ目が、非正規雇用労働者の雇用の安定及び人材の育成・処遇の改善ということで、(1)にございますように、非正規雇用で働く労働者の企業内でのキャリアアップを総合的に支援してまいりたいというものでございます。
 5つ目が、国際問題への対応ということで、外国人労働者問題などへの適切な対応。
 6つ目が、震災復興のための雇用対策ということで、ここには被災県の部分はこちらに計上するという形で、福島対策等々を講じていくことにしておるところでございます。
 現在、国会でまだ補正予算の審議が行われておるところでございまして、本予算につきましては、その後の国会審議ということになるわけでございますが、現実的には、暫定予算を組むことが必至な状況にあるという状況でございます。
 現在、日本経済再生本部が置かれておりますが、日本経済の再生のためには、産業競争力の強化と、それを支える雇用や人材等に対する対応強化を車の両輪として進めることが必要であると言われているところでございまして、これらの雇用対策につきましても、これまで以上に成果を問われてくることになると認識しておるところでございます。
 以上が参考資料1でございまして、続きまして、参考資料2をごらんいただきたいと存じます。
 参考資料2は、現在、政府に設置されております、経済関係の会議について簡単にまとめたものでございます。
 ここにございますように、1つは、経済財政全般のいわばマクロの司令塔としての経済財政諮問会議、その実施設計を担ういわばミクロの司令塔としての日本経済再生本部と、大きく2つの司令塔が設けられておるところでございます。また、日本経済再生本部のもとに産業競争力会議が置かれておりまして、実際の具体的な調査審議は産業競争力会議を中心に行われておる状況でございます。
 先ほど申し上げましたように、産業競争力の強化と、それを支える雇用、人材は車の両輪ということにされておりまして、その中でも、特に若者と女性の活躍促進が重要だということを言われております。その関係で、この図にございますが、若者・女性活躍推進フォーラムが設けられておるところでございます。ここにおきまして、若者・女性の雇用問題について検討が進められておるところでございます。
 今後、夏をめどに競争力会議で成長戦略を策定し、また諮問会議で骨太方針が取りまとめられることとされておりまして、今後それに向けてさらに議論が加速されるものと考えておるところでございます。
 参考資料1、2につきましては以上でございます。
○公共職業安定所運営企画室長 続きまして、参考資料3について御説明いたします。
 公共職業安定所運営企画室長の大隈でございます。
 国と地方自治体との一体的実施の進捗状況でございます。
 1ページ目、ハローワークと自治体との一体的実施と特区についてでございます。
 これにつきましても、政権交代がございましたが、この取り組みは引き続き進めていくという方針でございまして、25年度予算案においても必要な予算額は措置しているところでございます。
 1ページ目にありますとおり、通常の一体的実施につきまして、全国78カ所で現在行っているところでございます。ハローワーク特区につきましては、全国2カ所だけ、埼玉県、佐賀県ですが、これは昨年10月からスタートしたところでございます。いずれにつきましても、これらの取り組みの成果と課題を検証するという今までの枠組みで進めていくことになっております。
 次のページ、78カ所の内訳でございます。
 2ページ目、2の提案状況の(1)でございますが、29道府県49市区町、四角で囲んだところですが、あわせて78が開始済みです。前回、11月の職業安定分科会で資料をお配りして以降、8自治体が新たにスタートしているということで、順次、提案が出てきたところについてもスタートしているところでございます。
 なお、星印がついているところにつきましては、下のほうに注がございますが、一体的実施で設けている運営協議会に、労使が参加している、あるいは参加予定であるところでございます。
 もう一点、3ページ以降でございます。
 これも、これまでの職業安定分科会で一部状況を御説明しておりましたが、広島市からの雇用対策協定の提案についてでございます。
 昨年9月5日に3ページと4ページにある資料で、広島市から国と雇用対策協定を締結したいという旨の提案がございました。これにつきましては、内容として、生活困窮者の就労支援を全ての区で実施することなど、国と自治体との連携を内容とするもので、ハローワークの地方移管を内容とするものではございません。
 具体的には4ページにポンチ絵のような形でありますが、協定の締結、生活困窮者の就労支援を全区で行うことや、それ以外に市が職業訓練に関与するとか、公労使による雇用対策協定の共同推進、市議会への労働局長の出席等が提案されているところです。
 広島市と広島労働局で具体的内容について確認してきたところですが、このたび、25年1月31日、5ページにありますとおり、厚生労働大臣と市長で協定を締結いたしました。これは、基本的な枠組みを定めたものでございまして、最初のほうに趣旨がありますが、市と国でお互い連携して雇用対策を進めていくということ、第2条に具体的にはこれから事業計画を定めて進めていくということ、第3条に生活困窮者就労支援のための区役所での窓口を設置すること、第5条にこの協定を進めていくに当たって地域の行政や労使の代表者が参加する協議会を設置するという内容でございます。
 これにつきましては、広島市長が指定都市市長会の経済雇用部会長でもあるということでございまして、モデル的取り組みとして実施することにしております。基本的に、25年4月から、できるところから順次進めていくということですので、4月からの実施に向けて今、準備を進めている状況でございます。
 資料3は以上でございます。
○就労支援室長 続きまして、参考資料4、生活困窮者の就労支援の強化について、就労支援室の畑のほうから御説明いたします。
 これまでも分科会で、昨年の3月、5月、7月におきまして社会保障審議会のもとに生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会が設置された旨、また、その後の検討状況について御報告をさせていただいております。
 昨年4月に生活困窮者と生活保護受給者の増大を背景といたしまして特別部会が設置されまして、12回の審議を重ねまして、本年1月25日に報告書として取りまとめられております。
 この報告書の内容といたしましては、総論におきまして、現状と課題、新たな生活支援体系の基本的視点やそのあり方について整理されておりますほか、大きく2つの点について提言されております。1つ目が、新たな生活困窮者支援制度の構築について、もう一点が、生活保護制度の見直しについて、この2点が提言されております。
 本日は、最初のほうの新たな生活困窮者支援制度の構築についての中で、ハローワークと地方自治体が一体となった就労支援の抜本強化について項目がございますので、こちらについて御紹介させていただくとともに、この特別部会の御報告を受けまして、私どものほうで来年度、生活保護受給者等の就労支援の抜本強化を検討しておりますので、その内容について御説明させていただきます。
 本文5番目としまして、ハローワークと一体となった就労支援の抜本強化とあります。
 1つ目の丸のところですけれども、平成23年度から従来のやり方をさらに拡充いたしまして、新たに福祉から就労支援事業として、地方自治体と連携しながら事業を進めてきております。23年度からは、協定を締結する等によりまして、連携基盤を強化することで、今は実績が伸びているところでございます。今年度につきましては、支援対象者の目標を7万人、12月までの実績で約4.8万人となっております。また、就職の件数につきましては、年度の目標を3万人以上のところ、12月までの実績で2.9万人の就職となってございます。
 2つ目の丸ですけれども、先ほどの御報告にもありました、一体的実施窓口につきまして、3つ目の丸にありますように、実際には基礎自治体で一体的実施窓口を行っていただいている中で、半数以上が生活保護受給者等の方を主な支援対象としている状況がございます。
 このように、ハローワーク、地方自治体間での連携基盤の整備等によって徐々に実績は出ておるわけですけれども、潜在的には就労支援の必要な者がさらにいるのではないかということから、来年度について体制整備が必要ではないかという御提言でございます。
 一番最後の丸のところに「このため」とございますけれども、地方自治体とのワンストップ窓口を引き続き整備するとともに、連携体制のあり方をさらに強化する。また、数行下のところで、就労可能な生活困窮者を広く対象として、早期のアプローチを徹底するといった御指摘をいただいております。
 3ページ目、ポンチ絵がございますので、こちらで来年度、検討しております事業の概要について御説明いたします。
 25年度の予算要求として72億円を計上させていただいております。
 この絵の中で左側が地方自治体、右のほうがハローワークとなりますけれども、現在も連携しながら生活保護受給者等の就労支援を行っておるわけですが、現在の事業では、地方自治体からハローワークに一方的に支援対象者の支援要請を受けまして、ハローワークで各種支援メニューを組み合わせて、ハローワークのスタッフであります就労支援ナビゲーターが支援を行っているというものですが、特別部会の報告等の提案を受けまして、来年度はハローワークから地方自治体に積極的に出ていくと。より具体的にいいますと、地方自治体へハローワークの常設窓口を設置したり、ハローワークから週2回程度、例えば巡回相談といった形で行いまして、できる限り地方自治体の中で、ワンストップで就労支援体制を整備していくというのが1点でございます。
 2点目は、就労支援の対象者でございますけれども、現在、生活保護受給者の方や児童扶養手当、住宅手当、既に一定程度の福祉の対象になっている方々を主に支援対象にしておりますけれども、来年度につきましては、特に生活保護の相談や申請段階の方をできるだけ早期に把握いたしまして、支援を開始していくと。そうすることによって、より就職に結びつきやすくなるのではないかと考えております。
 3点目といたしまして、地方自治体とハローワークの下のほうの矢印ですけれども、現在のところは地方自治体からハローワークの一方的な矢印ですが、来年度はハローワークから実際に支援対象者の方の求職活動の状況等を地方自治体、福祉事務所に提供することによって、福祉事務所におきまして、就労に関する助言、指導といったことも行っていただけるのではないかと考えております。
 4点目としましては、ハローワークでの支援メニューについて一部強化を考えております。5のところにありますように、現在も公的職業訓練等による能力開発を1つのメニューとしておりますけれども、新たに求職者支援訓練や公共訓練へ円滑に移行していただくために、1カ月程度の訓練を受ける準備のような講習を新しくメニュー化しようと検討しております。それとともに、就職した後の職場定着に向けたフォローアップにつきまして、今年度から一部実施しておりますけれども、来年度につきましては、このフォローアップをしっかりやっていきたいと考えております。
 こういった事業の拡充によりまして、現在以上に生活保護受給者または生活困窮者の方々の就労支援を強化していきたいと考えております。
 以上です。
○大橋分科会長 以上でよろしいですか。
 それでは、参考資料1から4につきまして、御質問、御意見がありましたら御発言ください。
 どうぞ。
○新谷委員 参考資料1の予算の関連で確認をしたい点がございます。
 きょうの資料には載っていないのですけれども、前回の本分科会でも指摘を申し上げた点で、労働保険特別会計のうちの雇用勘定の状況について確認をしたいと思っています。
 雇用保険部会でも大分論議になったのですけれども、昨年度末で失業等給付の積立金の残高が5兆8,000億円を超えている状況になっております。予算上は、今年度の雇用勘定の収支が、収入と支出の関係で3,300億円の赤字になって、残高が3,000億円ほど減るという見込みとなっておりました。予算と実績の状況については、昨年12月に開催された職業安定分科会において雇用保険課長に確認をいたしましたが、課長の答弁では、当時7カ月経過した段階で、収支とんとんで来ていたので、予算上見込んでいた3,300億円の赤字が、年度末では1,700億円から1,800億円程度になるのではないかということが議事録に残っているわけでございます。そうしたときに、今日現在、あれからもう3カ月たちましたので、雇用保険の収支の状況と残高の見込みをまず最初に教えていただきたいと思います。
○総務課長 今、お話がございましたように、予算上は3,300億円の差引赤字というか、収支差が出るということでございます。前回、御指摘のように、その半分ぐらいという御説明をしたかと思いますが、現実には、さらに赤字幅は小さくなってくると見込んでおります。ただし、今の時点で具体的にどれぐらいということはまだ申し上げることは難しいと思っています。いずれにしても、赤字幅は予算に比べて減少が進むということが見込まれておる状況でございます。
○新谷委員 この場で、昨年12月12日に議事録が残っておりますので、そのとき雇用保険課長が、7カ月は収支とんとんで来たけれども、残りの期間で赤字が1,700億円なり、1,800億円という数字になるのではないかということを公式にお答えになっているわけです。さらに3ヶ月経過した今、赤字がさらに減ってきたということですけれども、これは今年度だけの話ではなくて、毎年度この予算のつくり方が同じで、毎年、赤字になるぞ、赤字になるぞといってやってみたら、収支がプラスになって、残高がふえているという状況がつづいています。労働側として懸念をしているのは、5兆8,000億円という昨年度末の残高がさらに膨らんでいって、6兆円に届くような数字になってくる状況をどうするのかということです。
 雇用保険については、保険制度でありますから、保険料の収入と給付の支出の関係で制度設計をすることになっているわけですけれども、御承知のとおり、保険料については弾力条項を発動しても、1%という最下限に張り付いているわけです。そうしたときに、給付のあり方について、私どもからも毎回申し上げているように、平成12年、平成15年の制度改正でずっと下がったままになっているということであります。1年間の総給付費がおおよそ2兆円前後でありますので、今年度末で積立金残高が6兆円に届くということになると、ざっと見て3年分ぐらいの給付を賄えるぐらいの残高になりつつある状況であります。
 こうした状況については幾つか懸念があります。これは労働保険特別会計の雇用勘定だけの問題ではなくて、雇用保険の国庫負担との関係も出てくるわけです。つまり、国庫負担が本則の25%に届いておらず13.75%しか国庫負担が入っていない中で、安定資金の残高がこんなに積み上がってきたときに、本則25%に早く戻せという圧力が本当に今後きいてくるのかどうかという懸念もあるのです。これらについて、雇用保険の積立金の残高について一体どのように今、厚労省としてお考えになっているのかお聞かせいただきたいと思います。
○大橋分科会長 総務課長、どうぞ。
○総務課長 まず、支出につきましては、保険制度としてセーフティネットとして万全を期すということがございますので、一定の歳出額をあらかじめ確保しておかざるを得ないということで、ある程度非常にかたいほうに見積もる予算になると、その結果、ある程度赤字を見込んだ予算立てをせざるを得なくなるという点については御理解いただきたいと思っております。
 その上で、積立金のあり方、給付のあり方、保険料のあり方、あるいは国庫負担のあり方等々、いろいろな検討課題はあろうと思っております。以前御指摘いただきましたように、現在、雇用保険課で過去の制度改正の効果というか、状況がどうなっておるかについて、今、検証作業を引き続き行っておると聞いております。そういった状況も見ながら、今後、御議論をいただく必要が出てくると思っております。
 いずれにしましても、今、雇用保険制度につきましては、経過的な時限の制度を幾つか引きずっている部分がございまして、そういったものをこれからどうしていくかという論点も控えておるわけでございまして、そういった中でいろいろなことについて検証結果を踏まえて御議論いただく場面がまた出てくると思いますので、そういった中でいろいろな御議論をいただければと思っております。
○新谷委員 セーフティネットのための予算だというのは十分理解しておりますが、その目的に照らし、どの水準の資金残高を適正と考えるのか。これが6兆円を超えて、7兆円、8兆円、9兆円になってもセーフティネットだということを言い続けるのかどうか。そこも収入と支出の関係で、給付のあり方なり、見直しをしないと、保険制度として、保険料をもっと下げろよという圧力もかかってこないとも限らないわけで、そうなったときに、またこれはこれで大変なことになりかねないので、給付のあり方を早く見直しをするべきだと思っております。
 そのときに、これも一昨年の雇用保険部会の議事録の中に、当時の課長が私どもの質問に対して、今、総務課長がおっしゃったような給付の見直しについて行うという答弁の中で、遅くとも平成24年度中には一定の状況把握をして、整理をしたものを示すということを言っているわけです。去年の12月の職業安定分科会においても、雇用保険課長が、その方向で検討を進めていくということであります。24年度中というと、きょうが2月下旬でありますから、あと1カ月ちょっとしかないわけです。その中でこの職業安定分科会が開催されているわけでありまして、その検討結果が一体どのようになっているのかがきょうの資料には何も入っていないわけです。年度末までに職業安定分科会をもう一度やって、そこでお示しをいただけるのかわかりませんけれども、検討状況がどうなっているのかを開示いただきたいと思っております。
○総務課長 引き続き検討作業中だと聞いております。前回、24年度中にはということを申し上げたことは承知しておりまして、24年度は大分迫ってきておりますけれども、引き続き検討をしておるということであります。その結果を踏まえまして、先ほど申し上げましたように、給付のあり方、負担のあり方、積立金のあり方、全体を踏まえて、また御議論をいただくことになるだろうと思っております。
○新谷委員 わかりました。それでは、検討状況についてまた御説明をいただく機会をつくっていただきたいと思います。
 では、別の内容について、もう一つは、先ほど説明いただいた資料2です。現在政府に設置されている経済関係会議についてであります。
 政権交代後、政府で精力的に経済関係の会議を立ち上げられて、検討が進められているわけでありますけれども、その中で規制改革会議であるとか、産業競争力会議あるいは経済財政諮問会議等々で、労働市場改革が必要であるということがそれぞれテーマに上げられております。各会議でそれぞれ言い方は違うわけでありますが、解雇規制緩和であるとか、労働時間の規制緩和ということで、ホワイトカラーエグゼンプションのような労働規制改革について検討すべきではないかという意見が上がってきているわけです。また、先週末開催されました規制改革会議の中では、職業紹介制度の合理化がテーマに上がっておりまして、有料職業紹介の手数料の見直しについても検討するべきではないかといったことも論点に上がってきているわけです。こうした問題はまさしくこの分科会での所掌にかかわる内容であり、こういった内容が本分科会ではなく、空中戦とはいいませんけれども、政府の会議の中でテーマに上がってきているということであります。
 ILOの条約、88号と144号条約で三者構成での労働者の代表と使用者の代表の意見を聞くと協議の場を持つということが定められているわけでありますが、先ほど御紹介のあった経済財政諮問会議以下の諸会議の中には、使用者の代表は出ておられるのかもしれませんけれども、労働者の代表は誰も入っていない状況で検討が進んでいるわけであります。こうした状況に対し、ILOの条約の三者構成主義というもの、あるいは労働政策審議会との関係を一体どのように捉えているのかということについて、厚生労働省の見解をお聞きしたいと思います。
○総務課長 まず、産業競争力会議あるいは規制改革会議等々で御指摘のような議論が出てきておるというのはお話のあったとおりでございます。具体的には、今後、ワーキンググループみたいな場が設けられて、より詳細な議論が行われていくと承知をいたしておりますが、私どもといたしましては見直しを、成長戦略と、先ほど雇用、人材は車の両輪という話がございました。あくまでも良質な雇用との両立をいかに図っていくか。あるいは労働者の雇用、生活の安定との両立をどう図っていくか。その視点を強調していきたいと思っております。
 その上で、お話のあった三者構成の話、ILOの88号条約でも、まさにこの審議会がそうですけれども、公労使の三者構成の場で雇用政策のあり方が審議されなければならないとされておるわけでありまして、具体的な内容につきましては、この場できちっと御議論いただきながら進めていく必要があると思っております。
 経済再生本部、競争力会議のこれまでの議論の中でも、公労使の三者の役割の重要性みたいなことも言われておりますので、委員には労働側代表という形では入っておりませんが、基本的なところは認識されている部分はあるのだと思いますし、そこは我々も強調してまいりたいと思っております。
○新谷委員 この場には職業安定局の幹部の皆さんがおられますけれども、先ほどの会議体は、内閣府なり、内閣官房が中心となって会議運営をされているのだと思いますが、厚生労働省としてどのように関与しているのか、できているのかということは懸念があります。あるいはこうした会議には有識者として各界から委員が出られているわけでありますけれども、例えば先ほど御紹介のあった若者・女性活躍推進フォーラムについて見てみると、日本人材派遣協会の会長やパソナグループの社長、ニコニコ動画の運営会社であるドワンゴの社長の方などが入っているわけです。何で若者と女性の活躍推進フォーラムの6名しかいない有識者の中に、派遣会社の方が2人も入っているのかというところもよくわからない。それは皆さんに申し上げても仕方がないところでありますけれども、非常に偏った人選ではないか。労働者代表の委員が全然入っていなくて、こうした偏った人選の会議で、複数回議論を行うという話も聞いておりますので、非常に懸念するところであります。
 かつて小泉総理が主催されたいろいろな会議、特に経済財政諮問会議の中で、労働政策に当たるところの規制緩和が経済財政諮問会議で枠組みが決められて、その枠組みの内容について労政審で審議をせよと、本当に上で決まった話を実務処理だけここの審議会に落ちてきた過去の経緯もあります。労働者保護という視点は厚生労働省しか主張する省庁がないわけでありますので、ぜひ厚生労働省に頑張っていただきたいという期待も含めて申し上げておきたいと思います。
 以上です。
○大橋分科会長 幸か不幸か今、局長が不在ですので、局長にもお聞かせしたい内容ですけれども、きょうはそういうことでよろしくお願いいたします。
 ほかにございませんでしょうか。
 どうぞ。
○宮本(太)委員 先ほど御説明のあったアクションプランの一体的実施と生活困窮者の生活支援のあり方についての報告書との関連でございまして、一体的実施にかかわって、例えば広島市等から福祉事務所とハローワークの共同窓口の設置等が進んでいることは大変よいことだと思いつつ、他方において、これは特別部会では時間がなくて整理し切れなかったところでもあるのですけれども、生活支援の戦略の中では、さらに大きな枠組みとして、総合相談窓口がございまして、恐らく自治体のほうでは、一体的実施のワンストップ窓口と総合相談窓口との関係がこれから実施が進むに従って整理し切れない問題になってくるのかなと思ってございます。これをぜひ社会・援護局とも御協議いただいて、自治体のほうでどう説明をしていくのかをお考えいただけないかというお願いです。もし、今の段階で何か、熊木室長もおいでですけれども、自治体のほうに対して何かサジェスチョンがあるとすれば、どう指導されているかお伺いできればと思います。
○就労支援室長 特別部会の中でも御指摘いただいた点ではあろうかと思いますけれども、当面、総合相談窓口はこれから中身を詰めて運営していくものでございますので、現段階では、恐らくモデル事業として幾つかのところで取り組みが始まるのではないかと思います。その中で我々の一体窓口との連携のあり方を1年、2年かけて検討してまいりたいと考えています。今のところ、27年度から本格的に施行される際には、しっかりと連携をとれるような仕組みを築いていきたいと思っております。
 そういう意味では、来年度、常設型窓口は、現段階では自治体を中心に、特に福祉事務所を中心に常設窓口を設けさせていただいて、一部そういった先進的な取り組みを行っているところについて、別のモデルという形、連携のあり方を検討していきたいと考えております。
○大橋分科会長 ほかにいかがでしょうか。
 よろしいですか。
 それでは、特にないようですので、本日の分科会はこれで終了いたします。
 本日の会議に関する議事録につきましては、労働政策審議会運営規程第6条により、会長のほか2名の委員に署名をいただくことになっています。
 つきましては、労働者代表の中島委員、使用者代表の坂倉委員にお願いいたします。
 どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

職業安定局総務課

職員厚生係: 03(5253)1111

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