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2012年12月12日 第89回労働政策審議会職業安定分科会議事録

職業安定局総務課

○日時

平成24年12月12日(水)10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 厚生労働省職業安定局第1、第2会議室


○議題

(1)労働保険の保険料の徴収等に関する法律の規定に基づき雇用保険率を変更する告示案要綱について(諮問)
(2)雇用対策基本問題部会の報告について
(3)その他

○議事

○大橋分科会長 定刻になりましたので、ただ今から「第89回労働政策審議会職業安定分科会」を開催いたします。
 議事に先立ちまして、当分科会に所属する委員の交代がありましたので御報告いたします。当分科会の労働者代表委員として、吉岡委員に代わりまして、UAゼンセン常任中央執行委員(政策・労働条件局長)の中村委員が就任されておられます。
○中村委員 御紹介いただきました、UAゼンセンの中村でございます。前任の吉岡に引続きよろしくお願いいたします。
○大橋分科会長 本日の委員の出欠状況は、公益代表の清家委員、宮本みち子委員、労働者代表の勝野委員、住野委員、中島委員、使用者代表の河本委員、久保委員、田沼委員、橋本委員が御欠席となっております。なお、樋口委員におかれましては所用のため、少し遅れて御参加いただく予定となっております。
 それでは議事に入ります。本日の議題は「労働保険の保険料の徴収等に関する法律の規定に基づき雇用保険率を変更する告示案要綱について」、「雇用対策基本問題部会の報告について」及び「その他」です。最初の議題は「労働保険の保険料の徴収等に関する法律の規定に基づき雇用保険率を変更する告示案要綱について」です。本件につきましては12月12日付で厚生労働大臣から労働政策審議会長宛て、諮問を受けておりますが、11月27日の雇用保険部会において、あらかじめ本議題に関する議論を行っていただいております。まず、資料について、事務局より御説明いただき、その後、岩村雇用保険部会長代理より、雇用保険部会での議論の報告をお願いいたします。
○雇用保険課長 雇用保険課長でございます。私のほうからは議題の1、労働保険徴収法の規定に基づきまして、雇用保険料率を変更する告示案について御説明申し上げます。資料1-1と1-2を用意しております。資料1-1が今ほど分科会長から御説明いただきました厚生労働大臣からの諮問関係の資料です。これは後ほど御説明させていただきまして、まず、資料1-2参考資料のほうから御説明させていただきます。
 まず、資料1-2の2ページの失業等給付の関係収支状況です。雇用保険の関係で失業等給付の収支について、平成24年度予算ベースで申しますと、収入が約1兆8,000億円という状況です。支出が2兆1,000億円、差引剰余が3,300億円という形で、今年度赤字の予算立てになっております。積立金の残高は5兆5,000億円という状況です。23年度から比べ、収入が2兆900億円ですので、若干落ちておりますが、これは今年度から雇用保険料の料率を12/1,000から10/1,000に落としたことが影響して、収入が落ちております。積立金の残高は平成23年度決算で5兆8,000億円ですが、今ほど申しましたような収支の状況の下で差引剰余、赤字基調で推移するものと考えているところです。なお、370と一番下に書いていますが、これは雇用保険の本体のほうから、後ほど御説明します二事業のほうに貸し出している金額が370億円あるというものです。今年度の370億円はそのままになっておりますが、来年平成25年度要求については110億円程返還をする形での予算立てをしているところです。
 次に、3ページの雇用保険二事業関係収支です。平成24年度予算ベースで5,678億円の収入を見込んでおります。支出は6,794億円で、1,116億円の赤字という形の予算立てになっています。こちらの積立金のほうはかなり減少しておりまして、2,631億円という形での予算立てになっています。来年度については、こういう状況に鑑みまして、支出は更に圧縮を行う形で臨んでおりますけれども、来年度については先ほど申しました370億円の本体給付からの借入れについて、114億円について本体に返還するという予算立てになっております。
 以上、失業等給付に係る関係収支の概略ですが、5ページを御覧いただければと思います。雇用保険料率は財政の状況に応じ、料率を弾力的に変更できるという規定があります。具体的な規定は6ページに付けておりますけれども、5ページに粗々のポンチ絵が付けておりますので、こちらで御説明いたします。失業等給付に係る弾力条項ということで、失業等給付費を分母として、収入、国庫負担、失業等給付の支出、あるいは、積立金の状況等々を考慮しまして、この数字が2倍を超えると保険料を引き下げられるという状況になっております。一方、これが1を下回ると18/1,000まで引き上げられるという状況になっております。原則は14/1,000、これは労使折半ですが、これについて±4/1,000ずつその財政状況を見て弾力的に変更できるという状況になっております。この規定を用いて、今年度について10/1,000の最下限まで下げているところですが、先ほど御説明しましたような財政状況の下、来年度についても10/1,000で維持をすることが適当ではないかと考えているところです。
 一方、下の箱の中の雇用保険二事業に係る弾力条項、これも基本的には同じような考え方ですが、二事業に係る保険料収入を分母とし、実際の積立金、収入の状況等を勘案して、これが1.5を上回ると引下げを行うという形になっています。これは原則が3.5/1,000で3/1,000まで下げられる状況となっておりますが、この数字が平成23年度決算ベースで見ますと0.46という形で、先ほど申しましたように非常に厳しい状況ですので、こちらについては弾力条項を発動して下げる状況にはないということで、本則どおり3.5/1,000の形にすることが適当ではないかと考えているところです。
 こうした状況の下で、資料の1ページですが、原則14/1,000労使折半の、この料率について今年度と同様10/1,000とするために、これは毎年告示が必要になっておりますので、平成25年度の告示について行い、料率を下げることを考えております。
 告示の概要ですが、原則、二事業も含め13.5/1,000の形の記載になりますけれども、このうち、農林水産業・清酒製造業、あるいは建設業は原則の14/1,000が15/1,000という形で1/1,000ポイントだけ高くなっています。これらの業種は、季節要因によって、短期的に離職する方が多いということで、特別給付会計があることにより、そういうものが活用されているという状況の下で1/1,000高くなっております。また、二事業については、別途建設業の所だけ1/1,000プレミアムを頂戴しておりまして、それについて、能力開発や雇用改善などに特別の経費として預けるというものがありますので、更に1/1,000ポイント高いという状況になっております。そういう結果、一般の事業については13.5/1,000、農林水産業・清酒製造業は15.5/1,000、建設業16.5/1,000の料率を定める形になります。
 戻りまして、資料1-1の1ページが諮問の文ですが、貴会の意見を求めるということで、労働政策審議会のほうに大臣名で本日付けで諮問させていただくものです。内容について2ページの、労働保険の保険料の徴収等に関する法律の規定に基づき、雇用保険率を変更する告示案要綱ということで、平成25年4月1日から平成26年3月31日までの雇用保険率を13.5/1,000、農林水産業・清酒製造業については15.5/1,000、建設業は16.5/1,000とするもの、という形で諮問させていただいているところです。先ほど分科会長からもお話いただきましたとおり、去る11月27日の雇用保険部会において、財政状況について御報告申し上げまして、概ね御了解をいただいている状況かと考えております。私のほうからは以上です。
○大橋分科会長 ありがとうございました。
○岩村委員 清家部会長が今日は御欠席ですので、私のほうから報告させていただきます。今、事務局から説明がありましたとおり、11月27日の雇用保険部会において、来年度の雇用保険料率について、現在の雇用保険財政状況などを踏まえ、議論を行ったところです。その結果として、雇用保険部会としましては、今年度に引き続き、失業等給付に関しては1%、雇用保険二事業については0.35%、全体で1.35%の雇用保険料率とすることについて、本日の職業安定分科会へ告示案を諮問する形で進めていただくという結論になりましたことを御報告いたします。よろしく御審議をお願いいたします。
○大橋分科会長 本件につきまして、御質問、御意見がありましたら御発言ください。
○新谷委員 この諮問の内容に関連しまして、資料1-2の2ページの、先ほど御説明があった点について、改めて確認をさせていただきたい点があります。11月27日の雇用保険部会でも論議させていただいた点ですが、失業等給付の収支状況に差引剰余の決算後の金額が出ております。差引剰余が平成21年度マイナス1,900億円から始まり、平成24年度の予算ベースではマイナス3,000億円という御説明がありました。毎年この時期に当年度の予算ベースと次年度予算の要求ベースでの数字が出てきますけれども、その後の決算の動き、予算と決算の乖離の点で申しますと、例えば平成23年度は2,900億円のプラスで決算を終えておりますが、昨年のこの時期に出ていた予算ベースはマイナス4,700億円という数字でした。同じく平成22年度も決算では2,200億円の黒字でしたけれども、予算ベースで-7,200億円という数字になっておりました。平成21年度は決算で1,900億円のマイナスでしたが、予算ベースでは7,900億円のマイナスという数字が出ていたわけです。申し上げたいのは、当初予算と決算の乖離のギャップがあまりにも大きいのではないかということです。もちろんこれは雇用情勢等々で見込みが立ちにくい点もあって、また、保険制度でありますから、安全サイドで堅めの予算を立てられる、あるいは、財政当局との折衝もあるということは理解いたしますものの、あまりに乖離が大き過ぎるのではないかということで、11月27日の雇用保険部会では、より精緻なシミュレーション、見積りを要望したところであります。
 平成24年度の予算ベースでマイナス3,300億円となっておりますけれども、もう既に24年度も執行期間が4分の3近く終わっているわけですから、現時点での収支の状況が一体どれくらいなのかを確認させていただきたいと思います。見積りと現状とのギャップについて、現時点で分かる範囲でお聞かせいただきたいというのが1点です。
 それともう1つは、積立金の残高です。平成23年度決算で5兆8,000億円という巨額の残高になっておりますけれども、これが24年度締めた時点でどれくらいと見込まれているのかということです。支出が毎年1兆8,900億円から2兆円弱ぐらいの水準であるわけですが、仮に2兆円とした時に、3年分を賄うだけの積立金が貯まってきているということになります。国家財政が今このような状況ですので、特別会計である雇用保険の積立金残高は、我々がお願いしている国庫負担の4分の1戻しの要求との関係からも非常に微妙な金額になっているのではないかと思いまして、この積立金の残高の水準について、どのような認識をお持ちになっているのか、この2点をまず確認させていただきたいと思います。
○雇用保険課長 今年度の執行状況について、委員が御指摘のとおり雇用保険の収支は経済状況に大きく左右されますので、この現状見通しでそのままいくかどうかはなかなか定かではない部分がありますけれども。現状ベースでの推移、10月までの状況で均しと考えた数字ですが、数字としては支出が1兆9,500億円ぐらいになるのではないかと思っております。そうしてみますと、大体1,500億円ほど予算よりは支出は下回る状況になろうかと思っております。あくまでも10月までの水準の、年間ベースで均した状況が続けばという状況です。そうしますと、支出がそれだけ落ちますので、差引剰余がそれだけ圧縮される状況になりますので、赤字額が1,700億なり1,800億円程度という水準になるのではないかと思っております。いずれにしても料率は、法律の最低限まで下げているところですので、予算ベースのみならず、決算ベースでも恐らく差引剰余が立っていくという状況で、御心配いただいております積立金の残高についても、緩やかにではありますけれども減少傾向に転ずるのではないかと考えるところです。
 2点目の御質問につきまして、積立金の残高の望ましい水準についてですけれども、これはなかなかどこまでが望ましいかを申し上げるのは難しい状況かと思っております。過去においてかなり急激に悪化した時には、雇用保険の積立金が空になるような状況があったこともありますので、そういう意味で申しますと、現状の水準というものは、1つの大きな不況については与えられる水準というものが立っていると。そういう意味で保険料率が法律の下限まできているという状況でありますが、経済情勢が不透明な中で、今後どういう形になるのかを考えた場合について、現状でそれ以上のことを申し上げるという状況ではないかと思っております。
○新谷委員 今の御説明の中で、今日現在で赤字が1,500億円ぐらい圧縮できているかもしれないということですが、それはとりもなおさず、半期が過ぎて、年間の赤字予算額3,300億円の半分が圧縮できたということで、要するにこれまでの半期は収支トントンで推移してきたことの裏返しだと思うのです。今後1,700億円の赤字が見込まれると、今この時点でおっしゃったのですが、今まで収支トントンできたものが、残り半期で1,700億円の赤字が見込まれるとおっしゃったわけでありまして、どうかなという感じがいたします。堅め堅めの予測はいいのでしょうが、より精緻な見通しを持っていただきたいと思います。
 その上で申し上げたいのは、本日の諮問案件にも関わる話ではありますが、既に法律の枠組みで弾力条項を使って、収入に関わる保険料率については下限の数値になっているわけです。平成20年度からの収支状況を見ましても、平成21年度は赤字になっていますけれども、それ以外の年度は収支が黒字で推移しています。また、積立金の残高が6兆円に迫っていることを踏まえれば、保険料収入と支出の関係で言いますと、当然ですが、給付の在り方について、早急に見直しをしていただきたいと思います。これは平成15年に下げられたまま今日まできておりますので、この給付の在り方について見直しが必要ではないかと思っております。
 昨年の12月に、やはりこの雇用保険部会で労働側から質問させていただいて、当時の雇用保険課長から、遅くとも平成24年度中には一定の状況把握、論点整理のための作業を行っていきたいという御答弁をいただいておりますので、そういう経緯も踏まえて、早急の検討をお願いしたいと思います。以上、要望を申し上げまして、今日の諮問案件の告示案の要綱について、労働側としては了承を申し上げたいと思っております。以上です。
○大橋分科会長 よろしくお願いいたします。他に御意見はいかがでしょうか。
○高橋委員 今、新谷委員が給付の在り方について見直しをというような御意見がありましたけれども、これだけ積立金の残高があることから、直ちに支出について見直しをするというのではなくて、本来保険制度ですから、基本料率そのものの在り方も含めて検討することだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 もう1点質問があります。今現在、二事業は本体給付から、先ほど御説明いただいたように、370億円の借入れをしているわけです。御説明では予算ベースではありますけれども、114億円は返済をするということでしたが、こういう借入れは異常な状況ですので、直ちに返済するのが基本であろうと思っております。その114億円というのはどういう根拠で計算された数字なのか、あるいは、今後の返済予定について現時点でどのように考えていらっしゃるのか。あるいは、今後平成24年度の決算を締めた段階で剰余が出た時に、返済についてどのような対応方針を取られるのかについて御説明いただきたいと思います。
○雇用保険課長 先ほど新谷委員からも御指摘がありましたけれども、昨年来、雇用保険の見直しについて、今年度を目途に過去の法改正の成果、効果などについて検討する形で申し上げてきておりますので、そういう作業スケジュールで現在、データの整理などを行っているところです。制度改正について、その必要性も含め雇用保険部会、あるいは当分科会において御議論をいただければと考えているところです。
 借入金が370億円あるわけですが、これの返済の考え方について、雇用保険部会のほうにはもう少し細かい資料を出しておりますけれども、現状の支出をかなり見直して落としてきておりますけれども、その上で収支の状況を、平成25年度要求ベースで推移する形でした場合には、大体毎年114億円程度の返済ができるのではないかと、かなり粗い考え方ですが、遅くとも平成25年度から3か年で370億円の返済を終えられるのではないかと考えているところです。その上で剰余金が出た場合には、全体の財政状況を見ながら返済計画について、改めて見直しを行っていくことが当然であろうと思っているところです。
○大橋分科会長 よろしいですか。
○高橋委員 もう1点確認します。先ほど新谷委員が御説明された、実際締めてみるとかなり差引剰余が出るというのが過去のパターンであるということについてです。例えば仮定の話をしても答弁ができないというかもしれませんが、仮に平成24年度の決算を締めてみたら、差引剰余はプラスだったということが過去のパターンからすればあり得ると思います。その場合、二事業は確かに厳しい状況ではありますけれども、先ほどの平成24年度の二事業の収支状況について詳細は私自身は把握しておりませんけれども、差引剰余が当初よりも赤が縮減するというより、むしろプラスになれば可能な限り本体のほうに返していくと、そのような方針ということでよろしいのですか。
○雇用保険課長 高橋委員の御指摘のとおり、将来の見通しは正直なかなか難しいところもありまして、これは先ほど新谷委員も御指摘がありましたが、基本的な考え方としては、返済できる財政状況になれば、優先的に返済していくという考え方は、当然の考え方としてあるのだろうと思っております。
○大橋分科会長 その他、よろしいですか。特にないようですので、当分科会は、厚生労働省案を妥当と認め、その旨を私から、労働政策審議会長に御報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○大橋分科会長 それでは、報告文案の配付をお願いいたします。
                (報告文案配付)
○大橋分科会長 お手元に配付していただきました報告文案により、労働政策審議会長宛て、報告することとしてよろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○大橋分科会長 お手元に配付していただいた報告文案により、労働政策審議会長宛て報告することとしてよろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○大橋分科会長 ありがとうございます。そのように報告させていただきます。
 次に、「雇用対策基本問題部会の報告について」です。雇用対策基本問題部会の部会長は私が務めていますが、分科会長という立場でもありますので、本件については事務局から報告してください。
○雇用開発課長 資料?2-1「駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部改正について」及び、資料?2-2「国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部改正について」を説明します。
 まず、1点目です。資料No.2-1の2ページをお開きください。駐留軍離職者法の目的は、1の(1)に示したとおり、在日米軍に使用される駐留軍労働者については、基地の再編等という事情により、多数の方が特定の地域において一時期に離職を余儀なくされるという実情があります。実際、そのような理由で離職を余儀なくされる方が発生した場合、国として特別の措置を講じることによってその生活の安定を図ろうというものです。
 この法律の経緯です。昭和33年に5年の時限法として議員立法で成立し、その後、5年ごとに計10回の有効期限の延長が行われています。この法律に基づく施策については、後ほど、流れ図で説明致します。
 法律の有効期限は、現在のところ、来年5月16日に失効することとなりますので、次の「改正の内容」にありますように、この度これを平成30年5月16日まで5年間延長するという改正をしたいということです。
 本法の有効期限を延長する必要性は、3に記したとおりです。在日米軍基地の再編は、平成18年に日米間で「再編実施のためのロードマップ」が合意されています。今後、これに沿って、神奈川の厚木飛行場から山口の岩国飛行場への空母艦載機の移駐、沖縄に所在する部隊のグアム移転、嘉手納飛行場以南の施設の返還などが予定されています。その再編に伴いまして、駐留軍労働者の雇用にも影響が生じることが見込まれますので、離職者が発生した場合の対策を定めた本法の有効期限を延長して引き続き対策を円滑に実施することが必要であろうと考えられるということです。
 3ページには、本法に基づく対策の流れ図を掲げています。図の左上にありますように、仮に在日米軍の撤退・縮小等がありますと駐留軍関係離職者が発生します。それらの離職者に対して、右側に掲げた各種の支援策を講じるという流れになっています。まず、ハローワークにおいて、御本人が本法の対象となる駐留軍関係離職者の要件に合致していることが認定されますと、その後、公共職業訓練を行ったり、ハローワークによるきめ細かな職業指導・職業紹介を通じて、再就職あるいは自営業の開業を支援するという流れになっています。
 通常、御本人は雇用保険の受給資格がありますので、まず雇用保険の失業給付が支給されます。その支給期間中に就職できずに受給満了となった場合は、引き続き、「職業転換給付金」と総称される、一般会計による各種給付金を支給して就職活動の支援を行うという流れになります。これらの支援は最長で離職から3年後までの間になります。
 また、図の一番下にありますように、事業主に対しても職場適応訓練費あるいは特定求職者雇用開発助成金、こちらも一般会計を財源とするものですが、これらが支給されることになっています。
 図の左下にありますのは、防衛省の所管する施策です。離職前から再就職に役立つパソコン等の職業訓練を実施すること、あるいは特別給付金を支給することが記されています。
 駐留軍関係離職者等臨時措置法の延長については、11月29日の雇用対策基本問題部会において御審議いただきました。その報告は、1ページに示しています。この審議の結果、「記」にありますように、「駐留軍関係離職者等臨時措置法の有効期限を延長することが必要であると認める」という報告をいただいています。資料No.2-1の説明は以上です。
 引き続き、資料No.2-2を御覧ください。まず、2ページです。漁業離職者法の目的は、1の(1)に示してあるとおり、国際協定の締結に伴って減船が行われた場合、離職を余儀なくされる方が発生することが見込まれます。これは駐留軍離職者と同様に国の政策に起因する国際環境の変化に伴って発生するものであることから、国として特別の措置を講じることによってその生活の安定を図ろうというものです。
 この法律の経緯です。昭和52年に時限法として議員立法で成立し、その後、7回の有効期限の延長が行われています。この法律に基づく施策については、後ほど、流れ図で説明致しますが、基本的には、先ほどの駐留軍離職者法の枠組みとほぼ同様のものとなっています。
 法律の有効期限については、来年6月30日に失効することになりますので、「改正の内容」にありますように、この度これを平成30年6月30日まで5年間延長するという法改正をしたいということです。
 本法の有効期限を延長する必要性は、3に記したとおりです。わが国の漁業をめぐる国際環境は、全体として見ますと、まぐろ類の保存・管理措置の強化、あるいはロシア連邦政府による流し網の禁止等の規制の強化等と依然として厳しい状況にあります。今後も国際協定の締結等による減船が行われ、多数の漁業離職者が発生する可能性があることから、有効期限を延長して引き続き対策を円滑に実施することが必要であろうと考えられるということです。
 3ページに、本法に基づく対策の流れ図を掲げています。図の左上にあるような、国際協定による漁獲割当の変動があり減船を余儀なくされ、漁業離職者が発生するようなことがあった場合、それらの離職者に対して、右側に掲げた各種の支援策を講じるという流れになっています。その離職者が再び船員になろうという場合は、国土交通省の地方運輸局が対応することになりますが、陸に上がって再就職しようという方に対しては、厚生労働省のハローワークで対応することになります。両者で行う支援策はほぼ同様です。ここでは、ハローワークで対応する内容について、右側の枠の中に示しています。
 まず、ハローワークにおいて、御本人が本法の対象であることを確認し、「漁業離職者求職手帳」を発給します。この手帳所持者に対しては、公共職業訓練を行ったり、ハローワークの職業指導を通じて、再就職へ結び付けようという流れになっています。この公共職業訓練や職業指導を行う間に、ハローワークから本人に対して雇用保険を支給し、それが満了した場合は、職業転換給付金の支給を行いながら就職活動の支援を行います。この内容は駐留軍離職者に対するものとほぼ同様です。また、事業主に対する給付金についても駐留軍離職者に対するものと同様です。
 1ページにお戻りください。漁業離職者法の延長については、駐留軍離職者法と同様に、11月29日の雇用対策基本問題部会において御審議いただきまして、その報告を示しています。審議の結果、「記」にありますように、「国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の改正についての有効期限を延長することが必要であると認める」という内容の報告をいただいています。資料No.2-2の説明は以上です。
○大橋分科会長 本件につきまして、御質問、御意見がありましたら御発言ください。よろしいでしょうか。それでは、当分科会は、この雇用対策基本問題部会の報告を了承することとし、事務局は、この報告を踏まえ法改正に向けた作業を進めた上で、当分科会に対して法律案要綱を諮問していただきたいと思います。よろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○大橋分科会長 そのようにさせていただきます。
 次に移ります。議題の「その他」として資料が配付されています。まず、「有期契約労働者等のキャリアアップに関するガイドライン(案)~キャリアアップ促進のための助成措置の円滑な活用に向けて~について」を事務局から説明してください。
○企画課雇用支援企画官 参考資料1を御覧ください。1枚おめくりいただいて、この概要で説明致します。本ガイドラインの趣旨は、皆様御案内のとおりです。非正規雇用の方々は、雇用が不安定、賃金が低い、能力開発機会が乏しい等の課題が指摘されており、種々の法改正の対応も図ってきています。また、平成25年度の概算要求において、有期契約労働者、この中身は下欄の(注1)にあるとおり、有期契約労働者と正規雇用の労働者以外の無期契約労働者で、この中には短時間労働者と派遣労働者を含んでいます。こうした方々への正規雇用への転換、人材育成、処遇改善など、企業内でのキャリアアップを促進するための包括的な助成措置を要求しています。また、*にあるとおり、「日本再生戦略」の重点3分野の事業主の方々に対しては、経済対策として、人材育成部分のみですが前倒しで実施することを予定しています。こうした助成措置を活用する上で、事業主の方々に配慮していただくよう努めることが望ましい事項を取りまとめ、ガイドラインとして策定し、職業安定局長等の通達として発出する予定です。
 下欄は、ガイドラインの具体的な内容です。助成措置を活用して、これらの方々のキャリアアップを図る上では、以下の事項に配慮していただくよう努めることが望ましいとしています。①~⑥のうち、①と②は、助成措置を受けるために必要な体制の整備、③~⑥が、助成措置の項目の内容です。まず、体制についてです。①では、キャリアアップに向けた管理体制の整備として、有期契約労働者等のキャリアアップに社内で取り組む方々を「キャリアアップ管理者」として位置付けていただくなどを規定しています。②は、キャリアアップに向けた取組を計画的に進めることを目的として、キャリアアップ計画を作成していただきます。
 キャリアアップ計画に定めていただく内容が③~⑥です。まず、③は、正規雇用・無期労働契約への転換です。有期労働契約から無期労働契約へ転換の場合と、無期労働契約から正規雇用への転換の場合の二つについて、促進を図るように努めていただきたい。これが成立した場合に助成を行います。その際には、無期転換後の処遇への配慮や正規雇用への転換制度の対象範囲、方法、評価基準等の設定の配慮もお願いします。④は、人材育成です。有期契約労働者等の職業能力や希望するキャリアパスに応じて計画的な教育訓練等を実施していただく。これは目標の明確化です。その際に、若者に対してはジョブ・カード制度を活用した実践的な教育訓練を実施していただきます。それから、成長分野の事業主の方々には、こうした制度を活用して積極的な教育訓練を実施していただきたいということです。⑤は、処遇の改善です。有期契約労働者等について、職務分析や職務評価の手法、ジョブ・カードや職業能力評価基準の活用等により、職務内容や職業能力の評価、職務内容等を踏まえた処遇への反映を行っていただきます。予算が通りますと、これらを行った場合に助成措置が活用されます。⑥、その他では、法定外健康診断の導入、有期契約労働者等の短時間正社員への移行、短時間労働者の希望に応じた社会保険適用に向けた所定労働時間の拡大などです。
 1点追加します。参考として、2ページに、平成25年度概算要求中の助成金を付けています。現在これは予算要求中なので通達発出の際にはこれを一旦削除し、平成25年度予算成立の際には、助成の措置として当該内容を盛り込んだ通達を改めて発出したいと考えています。
○大橋分科会長 本件につきまして御質問、御意見がありましたらお願いします。
○新谷委員 今の説明の内容の、特に趣旨の部分で、非正規労働者、有期契約労働者については、非常に適確な分析をしているのではないかと思います。正規の労働者に比べて雇用が不安定である、賃金が低い、能力開発の機会が乏しい、といった点は、先の労働条件分科会において私ども労働側から主張した点です。行政としても的確な判断をされているのではないかと思います。その上で、この趣旨に記載されているように、有期契約、非正規の方々に対する法的な対応として、労働契約法の改正や、労働者派遣法の改正等の政府としての取組は評価したいと思っています。今般、キャリアアップ促進のための助成措置の取りまとめをされて、このような内容の通達を発出されることについても評価したいと思います。ただ、先ほどの説明の助成措置の内容は、2ページにあるように、現在概算要求中のものであり、これは参考程度にしか書かれていないということですが、支給の要件や助成の水準等が全く見えない内容なので、これをどのように評価するかは、正直に申し上げて現時点では非常に難しい。意気込みは評価したいと思っていますが、予算が明確にならない中ではよく分からないというのが正直なところです。枠組みとして書かれている内容について、2、3、確認させていただきたい点があります。
 まず、2ページの①です。正規雇用・無期労働契約への転換支援として、通算雇用期間が3年以内としていますが、これは労働契約法の5年を上回り、非常に前向きな助成措置だと思います。是非積極的に展開していただきたいと思います。ただ懸念する点は、既に雇用保険二事業において、類似の転換促進制度があったと思います。中小企業で100万円とか、大企業で50万円といった奨励金を付ける施策がありました。これは、平成23年度で廃止して平成24年度は経過措置を実施していると思いますが、この実施状況についてお聞かせいただきたいというのが1点です。これは別にブレーキを掛ける意味で言っているのではありません。現状の制度にもし何らかの課題があるのであれば、それを克服して取り組んでいただきたいという、応援の意味で申し上げています。
 2点目は、②の人材育成です。在職中の有期契約労働者に対して一定のOJT、OFF-JTを実施した場合に助成するということです。毎年、国で実施している職業訓練に関する基本調査の中でも、正規以外の従業員に対しては、能力開発の扱いが正規に比べてかなり低い、半分以下であるという結果が出ています。これまでの国の職業訓練の施策は、セーフティネットの意味もあって離職者を中心に展開されてきたと思います。在職者に焦点を当てて、かつ、有期雇用である方々に対して助成を強化することについて、これも評価したいと思っています。現在、非正規雇用の能力開発に関する研究会も進んでいると思いますが、支給要件とまでは言いませんが、具体的に、どのような要件でどのように助成するのか、考え方としてまとまっているものがあればお聞かせいただきたいと思います。
 それから、3ページの④、健康診断の助成制度についてです。ここに書かれているのは、安全衛生法上の義務付けがされていない健康診断、つまり法定外の健康診断について助成するということです。これも評価したいのですが、実はこれは2種類あると思います。一つは、対象者の要件から外れている方に対して法定外として実施するケースです。1週間の労働時間が通常の労働者の4分の3以下の方や雇用見込み期間が1年未満の方については、安全衛生法上健康診断は義務化されていません。このような法令の対象から外れている方に対して健康診断を実施するというタイプが一つです。もう一つは、健診項目を法定の項目以上とする、例えば正社員は実施しているが有期労働契約の方は実施していなかった項目など、法定外の健診項目を追加することです。この二つの進め方があると思いますが、ここで掲げられている法定外の健康診断に対する助成制度は、どちらの方向で考えられているのか、あるいは両方で考えているのか、それをお聞かせいただきたいと思います。
 最後に、4ページに、取組の推進としていろいろな計画を出させるということで、助成措置以外にも前向きな取組をされるようですが、その中で1点確認させていただきたいと思います。(2)の①と④との関係です。計画的なキャリアアップの取組の推進として、①の社内での検討体制の中で、有期契約労働者等の意見を踏まえて社内で対応方針案を決定するとある一方で、④では、計画を具体的に作成する段階で労働組合等の労働者の代表から意見を聴取するとされています。要するに、方針策定段階では有期契約労働者等の意見を踏まえ、次に計画を作る段階になると労働組合等の意見聴取をすると、2段階で記述されています。これが別物として捉えられている懸念があることを申し上げたいと思います。私どもは、今、非正規、有期契約の方々の労働組合員化、組織化を進めています。隣りに座っている中村委員の所属するUAゼンセンは、140万人の組織のうち、51%が非正規雇用の労働者です。ですから、①の有期契約労働者等の意見を踏まえるというのは、即ち労働組合での意見収集のシステムを使って意見を聞くことになると思います。有期契約労働者等の意見の「等」の中には、当然、労働組合が含まれていると理解しています。そのような理解でよいのかどうかを確認させていただきたいと思います。長くなりましたが、以上です。
○派遣・有期労働対策部長 まず最初に、一番最後の、計画を作る際の意見の聴取の方法について私から説明します。残りの部分については、後ほど担当から説明致します。①の、有期契約労働者等の意見を踏まえつつ対応方針案を策定する、また、④にある、労働組合等の労働者の代表の意見を聞くというのは、別物ではなく、一連の計画を作るに当たっての段階として考えています。従いまして、①に「有期契約労働者等の意見」と書いてあるものについては、その中で労働組合が組織されていれば、有期契約労働者等の意見を聞くに当たっては組合を活用するなど様々な方法でやることは、当然のことながらあります。結論から申し上げると、有期契約労働者等の意見の中には労働組合の意見が入って然るべきだと考えています。
○企画課長 まず、正社員転換について、類似の制度が既にあるという御指摘についてです。従前は雇児局と安定局がそれぞれ持っていた二つの助成金を、平成23年度から統合し、雇児局所管の1本の助成金にしています。そこで正社員転換その他、いろいろなメニューを設けた助成金制度として新たにやっているのです。手許にある資料では、平成23年度の数字で、正社員転換だけで年間約1,000件ぐらいの支給実績です。予算規模としては20億円弱だったと思いますが、執行においてややそれに欠けるような実態、トータルに見てそのような実態にあると認識しています。今般はこの助成金制度を下敷きにして、それも取り込み、このような形で包括的なものとして、いわば換骨奪胎した新しい助成金としてやっていきたい。支給する主体も、雇児局所管の均等室から、私ども所管のハローワークに移すことを考えています。
 人材育成の関係についてです。在職する非正規の方々に対する人材育成はどのような助成内容にするのか、その要件については、予算案としてもまだ確定していない段階です。いずれ予算案の確定も踏まえた上で皆様方に相談させていただきたいと思いますが、基本的な考え方としては、今、能開局がやっているキャリア形成促進助成金と同じようなフレームワークでやっていけばよいのではないかと思っています。具体的には、OFF-JTに対する経費助成と言いますか、定額助成を行う。実費助成なので、上限を設けてその範囲内とすることを考えています。また、既に一部有期実習という形でやっているものについてOJTも助成対象にしていますので、同じように、OJTは一部認める形で、新しい助成内容としたいと考えています。なお、成長分野、重点3分野については、政策的に特に加算する必要があるのではないかという点も現在検討中の中身の一つです。
 3点目の、健康管理についてです。安全衛生法上で義務付けられている健康診断がありますが、基本的にはその対象とならない人たちについても健康診断をやっていただきたいという点を発想の原点としていますが、先ほど紹介した、雇児局所管でやっている奨励金の中にも、この助成制度は設けられており、項目のプラスアルファも対象としております。いずれにしても項目のプラスアルファの対象については、今後改めて、助成金全体の要件を考える中で検討したいと思っています。
○大橋分科会長 よろしいですか。
○新谷委員 よく分かりました。特に①の正規雇用への転換支援について、従来の雇用均等・児童家庭局の47拠点から545か所のハローワークに所管を移すということで、非常にきめ細かな対応が可能になると思います。年間1,000件程度しか実績がなかったということなので、この制度についてもPRしていただいて、労働契約法の先を行く労働行政を是非展開していただきたいと期待を込めて申し上げます。よろしくお願い致します。
○中村委員 関連して質問します。2ページの助成措置については、概算要求の反映状況を踏まえて基本的には書き直すという説明がありました。一方、重点3分野を含めた経済対策は前倒しで行うということでしたが、それは、2ページの※の上までのところで書かれている内容で議論されているということでしょうか。先ほど企画課長は、重点3分野について上乗せ等も含めて考えると話されましたが、ベースの部分については、全ての有期契約労働者を対象にするという理解でよいのでしょうか。この書きぶりでは、重点3分野に加えて、関連するものづくり分野の企業の事業主も対象とされています。様々な産業がある中で、流通・サービス産業において有期契約労働者が非常に多く雇用されている実態がありますので、その点も含めて確認させていただきたいと思います。
○企画課長 結論から申し上げますと、新年度からの新しい助成金では、広く有期契約労働者等全体を対象にさせていただきます。ただ、今回の経済対策第1弾の中では、現行の例えば基金制度などを利用して、非正規の人のために何かできないかという話があった際に、重点3分野については前倒しで、特に人材育成の部分に限っては先行実施してもよいのではないかということになりました。その部分は既定路線でほぼ固まったものなので普通の字体で書いてあり、まだ固まっていない、我々の気持ちとして考えている将来の部分はイタリック体にしています。
○中村委員 決まったら全部書き替えるのですね。
○企画課長 先ほど申しましたように、決まったら埋め込みになります。
○大橋分科会長 その他、いかがでしょうか。
○高橋委員 ガイドラインの内容ではありませんが、言葉の問題で少し気になりますので、指摘したいと思います。今回は、「有期契約労働者等」とされていて、概要の(注1)には、「有期契約労働者及び正規雇用の労働者以外の無期契約労働者をいう」と書いてあります。労働契約関係に注目すれば、有期なのか無期なのかは全然別の方々なのです。それを「有期契約労働者等」と一括りにするのはどうなのかと思うのです。もちろん、全部書くと長くなってしまうのでしょうけれども、今後、労働行政において、このような形で、「有期契約労働者等」と扱われないほうがよろしいのではないかと思います。それは私の個人的な意見です。その上で、(注1)の「正規雇用の労働者以外の無期契約労働者」というのは、来年4月施行の労働契約法第18条に基づく5年を超えて反復契約更新をした方々で無期転換権を行使された人たちのことをイメージされているのでしょうか。仮にそうだとしても、別段の定めがあれば、いろいろな労働条件で無期契約労働者が存在し得ると思いますので、ここでいう「正規雇用の労働者以外の無期契約労働者」がどういうことなのか、素朴な疑問として私は感じたのです。それ教えていただきたい。
 それから、無期契約労働者は正規雇用者ではないという定義がどこかにあるのでしょうか。仮に労働条件分科会等で、第18条に基づく無期転換権を行使した人は正規雇用とはしない、というような議論があったのでしょうか。言葉の問題がとても気になるので教えていただきたいと思います。
○派遣・有期労働対策部長 私から説明します。2ページを御覧ください。先ほどの、概要のところでは少し荒っぽく定義付けていますが、実際に今回のガイドラインの中での「有期契約労働者等」とは何かについては、2ページの、「助成措置の内容」の2の最初の3行に書かれています。一つは、有期契約労働者です。もう一つは、正規雇用の労働者以外の無期契約労働者です。正規雇用の労働者の定義も、そこに書いてありますとおり、期間の定めがないだけではなく、長期雇用を前提とした待遇を受ける労働者以外の方々ということです。今回の助成措置は、いわゆる非正規雇用労働者の方々を対象にしたいと思っているのです。それは結局、正規雇用労働者を定義することになるのですが、その扱いはそれぞれの企業や現場において様々だと考えられます。今回は、法律的な権利義務関係を作るような内容ではないので、助成措置の内容、ガイドラインの対象としては、ある程度、実態が分かるような形で、いわゆる非正規雇用労働者だと意味付けようとしています。ですから、高橋委員がおっしゃられた中で御疑問の点が、今回いわゆる非正規雇用労働者の定義が決まったのかということであるとすれば、今回のガイドラインで助成金を払おうとする内容としてはこのような形でやらせていただきますが、今後の施策のいわゆる非正規雇用労働者対策を打っていく中では、対策ごとに対策に応じてやっていく、その範囲を決めていくしか方法はない、というのが現在の状況だと考えています。
○大橋分科会長 よろしいですか。その他、いかがでしょうか。
 それでは、次に、「地域主権推進大綱について」を事務局から説明してください。
○公共職業安定所運営企画室長 参考資料2をご覧ください。表紙をめくっていただいて、「地域主権推進大綱」のご説明です。ハローワークをめぐる地域主権改革の動きについて随時ご報告をしていましたが、この11月30日に地域主権推進大綱が閣議決定されましたのでご報告いたします。最初に書いてありますとおり、平成21年11月に地域主権戦略会議が設置されて、ここが中心となって、地域主権戦略大綱が平成22年6月22日に閣議決定されています。
 これまでは、この戦略大綱に基づき取組を進めてきたというのが一番大きな枠組みです。戦略大綱の中身は、義務付け・枠付けの見直し、基礎自治体への権限移譲、ハローワークが関わるところとしては出先機関の原則廃止などの大まかな項目について書かれたものです。
 その後、出先機関の原則廃止について、特に具体的に書いたものとして、平成22年12月にアクション・プランが定められております。現在、ハローワークについては、それに基づいて取組を進めているということです。
 今回の地域主権推進大綱については、2つ目の○のところですが、地域主権戦略大綱に基づくこれまでの取組成果を踏まえて、これからの地域主権改革の一層の推進を図るためのものとして策定されています。
 趣旨としては、戦略大綱で定めた改革の意義や理念を踏まえて、今後概ね2、3年を見据えた改革の諸課題に関する取組方針を明らかにするものです。
 ハローワークについて書かれた部分は、その下に囲っていますが、これがハローワークに関係する部分の全てです。第3のところで、国の出先機関の原則廃止について書いてありますが、まず大きな1番で、「これまでの取組と成果」が書かれています。ハローワークについては、アクション・プランに基づいて一体的実施を進めてきました。その取組の事実関係が書かれています。
 1の(2)の2つ目のパラグラフから、「特に公共職業安定所については」と書いてありますが、一体的実施の取組について平成24年11月1日現在で28道府県、42市区町で取組が開始されているという旨の記載があります。そのあと、「さらに」ということで、ハローワーク特区について平成24年秋にハローワーク浦和及びハローワーク佐賀を対象に取組が開始された旨が記載されています。
 2つ目で、「今後の課題と進め方」です。ここについても、アクション・プランを基本としつつ、以下に掲げる方針により取組を推進するということで、まず1つ目が、「一体的な取組を引き続き全国的に推進する」ということ。もう一つは「ハローワーク特区の取組も進めて、その成果と課題を検証する」という旨が記載されています。
 「これらの結果を踏まえ、地方公共団体への権限移譲について検討する」と書かれていますが、「その際には」ということで、その後、ILO第88号条約との整合性など、ここのところは、アクション・プランで書かれた検討に当たっての留意事項も再度記載されています。基本的に現状の取組、アクション・プランで定められた既定の方針が再度閣議決定されました。以上ご報告いたします。
 あと一点、前回ご議論がありました広島市からの提案の検討状況です。広島市から今年9月に、広島市と国が共同して住民のための雇用対策を推進するという提案が出されて、これについては、広島市の提案を基本として実現に向けて調整に入るということで合意して進めています。
 現状のところでは、広島市と広島労働局との間で具体的な内容を引き続き調整中です。平成24年度中の協定締結に向けて進めています。具体的な内容が決まりましたら、また安定分科会でご説明させていただきたいと思います。以上です。
○大橋分科会長 それでは、ご意見、ご質問があればお願いいたします。ございませんか。よろしいですか。特にないようでしたら、本日の分科会はこれで終了いたします。
 本日の会議に関する議事録については、労働政策審議会運営規程第6条により、会長のほか2名の委員に署名をいただくことになっています。つきましては、労働者代表の林委員、使用者代表の高橋委員にお願いいたします。
 どうもありがとうございました。


(了)
<職業安定局総務課>

職員厚生係

03(5253)1111:

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