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2012年12月6日 第3回解体用車両系建設機械の新たな安全対策に係る検討会議事録

○日時

平成24年12月6日(木)13:30~15:30


○場所

厚生労働省17階専用第21会議室
東京都千代田区霞が関1-2-2


○出席者

参集者

建山和由 豊澤康男 出野政雄 木引満明 生田正治
高橋元 片井康隆 加藤正勝 狩野幸司

厚生労働省

半田有通 (安全課長)
中屋敷勝也 (建設安全対策室長)
釜石英雄 (主任技術審査官)

○議題

(1)未規制の解体用車両系建設機械の具体的な安全対策
(2)報告書(案)
(3)その他

○議事

○釜石主任技術審査官 定刻になりましたので、只今から第3回「解体用車両系建設機械の新たな安全対策に係る検討会」を開催いたします。
 資料の確認をさせていただきます。
 まず、次第、資料と書いた表紙が1枚です。
 資料1として、「第2回検討会での指摘事項と対応方針(案)」です。
 資料2として、「解体用車両系建設機械の新たな安全対策に係る検討会報告書(案)」です。
 足りないものがあればお知らせいただければと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、以後の進行を建山座長にお願いしたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
○建山座長 前回の委員会の後、国交省で建設機械施工技術検定委員会が開催され、建設機械の操作技術に関する資格試験の内容が議論されました。その際、厚労省からも釜石さんに御出席いただいて、解体用機械についてもこういう新たな議論が進んでいるという御報告をいただきました。近い将来、建設機械の操作の試験や講習の中で、解体用機械についても含めていくということを示唆していただきました。
 その際、建設機械を使って実際の工事を行っている業界団体から、今までそういった規制がなかったこと自体が非常に驚きだという意見が出ました。
 これまで解体用機械というのは、基本的に油圧ショベルにブレーカを付けて破砕していたという経緯から、油圧ショベル等の重機操作の規制で済んでいたところがあるのかなと思っています。
 それが、今回のように新しい解体装置が出てきて、どんどん機械の方が進歩してきている中で、解体用機械の規制が追いついていなかった面もあるのかなと思っています。今回、こういう形で議論するようになりまして、これが解体用機械の安全に寄与することは間違いなく、早期の整備が業界の方からも強く求められていることを改めて認識しました。この検討会の重要性を確認したということで御報告をさせていただきました。それでは、本日の議論に入らせていただこうと思います。
 まず最初は「未規制の解体用車両系建設機械の具体的な安全対策」となっています。前回の第2回の委員会で、解体用車両系建設機械の構造関係の見直し、並びに定期自主検査の議論を行っていただきました。その際、委員の皆様から幾つかの御指摘をいただきました。それに対してどう対処するかということを資料1をまとめていただいています。これについて事務局から御説明をお願いします。
○釜石主任技術審査官 それでは、資料1を御覧ください。「第2回検討会での指摘事項と対応方針(案)」です。
 1番が解体用車両系建設機械関係のもので構造関係です。
 (1)が「長尺作業装置付き解体用機械の定義」ということで「機械の安定度の確保のため作業半径が規制された長尺の作業装置を装備した履帯式の解体用機械」という定義をお示ししたのですけれども、高さや長さ等がもっと明確にならないのかという御指摘がありました。対応方針(案)では「概ね高さ12メートル以上の建築物の解体が可能な長尺又は複数段のブーム又はアームを備えた履帯式の解体用機械で、機械の安定度の確保のため製造者が一定の最大作業半径を指定しているもの」ということを考えています。しかし、これはまだ部内の法規担当者と十分詰めていないところがありまして、今後さらに調整の上、法令又は解釈例規(通達)で定義をできればと考えています。
 この定義につきましては、報告書案の15ページに、そのように書いているところです。
 次に「(2)ミニショベルの定義」ということで「『運転室のない機械』のことをミニというのではないのではないか。メーカーでは6トン未満の機械をミニと言っている。」という御指摘がありました。対応方針案(案)では、ミニという名称は法令上使用しない。報告書でも使用せずに、運転室の有無で区別することとして、報告書(案)に整理して記載しています。
 「(3)運転室のない機械の飛来防護設備」について、「運転室のない解体用機械の飛来防護設備についてメーカーが対応できるかどうか、検討が必要ではないか。」という御指摘がありました。対応方針(案)としては、何らかの飛来物の防護設備は必要であり、その旨を整理して、報告書(案)に記載しています。
 「(4)ガード等の損傷への対応」について、「製品出荷時はガードが付いていても、使用途中で壊れてしまうこともあり、きちんと修理して使用することが大事ではないか。」という御指摘でした。それについては、事業者(ユーザー)は、構造規格を具備した機械でなければ使用してはならないということが規定されています。また、定期自主検査においても、ガードについては検査することにいたします。その旨、報告書(案)には指摘があったことを記載しています。
 「(5)転倒防止警報装置」についてです。欧州規格(EN規格)の過負荷警報装置は、バケットにフックを装備してつり荷を行う機械のみに装備するものということですが、日本の本体メーカーは、輸出仕様機械についてはそれに対応している。ただ、日本で転倒防止警報装置を義務付けるとなると、EN対応型よりも精度を上げるための研究が2~3年は必要とのことで、次期モデルチェンジの時期となると5~6年後となるが、それよりどれぐらい短くできるか、という御指摘もありました。
 これにつきましては、各メーカーには、転倒災害を防止するため、本体角度計及び転倒防止警報装置の開発研究を鋭意進め、数年後には実現されるよう努力することを期待する旨を報告書(案)の中に記載しています。
 (6)の「本体角度計」ですが「技術的には可能だが、現時点では未研究であるため、新規に開発するには研究が2~3年は必要とのことだが、装備は次期モデルチェンジの時期となる5、6年後よりどれくらい短くできるか。」とのことで、上と同様の御指摘ですが、対応は先ほどと同じようになります。
 次のページの(7)の「地盤耐力の調査」です。
 「安衛則第154条に『地盤耐力』の調査を規定すると全ての場合に調査が必要となり、実態にそぐわない場合が出てくるのではないか。作業箇所の状態をきちんと調査すること、それに応じて不同沈下の防止対策等適切な措置を講ずることが必要なことを示すことが必要ではないか。」という御指摘です。
 これにつきましては「解体工事現場での作業箇所の調査及び調査結果に基づく適切な措置について解釈例規等で示すこととしたい。」また、その旨を報告書(案)にも記載しています。
 (8)の「表示」についてです。「運転者の見やすい位置への表示について、運転室のない機械では表示するための貼付けスペースがない。必要書類の配備も含めて検討いただきたい。必ず表示すべき事項とそうではないのに分けて整理すべきではないか。」という御指摘です。
 対応方針(案)は、「運転者が常時見ることができる位置だけではなく、あらかじめ運転者が見ることができる位置、たとえば運転席の後ろの面や本体側面に貼ることで差し支えがないと考えられる。」ということを報告書に記載しています。
 (9)「操作レバーの統一」についてです。
 「標準機の操作装置の標準化は取り組まれてきたと認識しているが、解体用機械も操作装置の標準化に取り組むべきではないか。どういう操作方法が安全か分かれば厚生労働省、国土交通省から方針を示してもらえれば、またその方法を示してもらえればそれを尊重したい」という御指摘でした。
 これにつきましては、報告書には委員からこの旨指摘があったことを記載しました。また、厚生労働省と国土交通省の間で、操作装置の標準化について情報交換を行うことと、製造者関係団体等で引き続き検討することが必要な旨を報告書(案)に記載しました。
 次に2番の「定期自主検査関係」です。
 (1)「構造規格改正への対応」で、「水準器や運転室のない機械の飛来防護設備が盛り込まれていない」ことについては、報告書(案)に記載しています。
 (2)の「安全装置等」についてです。「角度系や作業範囲制限装置はブームの項から分離すべきではないか。また、油圧装置、車体関係等と同じ場所に記載されている安全装置との整理も必要ではないか。」という御指摘でした。
 これにつきましては、角度計や作業範囲制限装置の項を、安全装置が記載される7.3.9に移しまして、整理したものを報告書(案)に記載しています。
 以上です。
○建山座長 ありがとうございました。
 前回御指摘いただきました点への対応方針ということで御説明をいただきました。何か御意見、あるいは御質問がございましたらお受けしたいと思います。いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、前回議論していただいた内容の基本的な対応方針は、これで良しということでお認めいただいたということで、次にそれに基づきまして報告書を作成していただきました。これについても事務局から御説明をお願いします。
○釜石主任技術審査官 それでは、資料2の報告書(案)を御覧ください。
 1枚めくっていただきますと目次があります。「はじめに」という記載の後、第1、第2、第3と大きく3つの構成にしています。第1が現行の車両系建設機械に対する労働安全衛生法令上の規制の状況と、解体用車両系建設機械がどのようになっているかという状況を紹介しています。
 第2で、新たな解体用車両系建設機械に係る労働災害の発生状況と問題点を指摘しています。
 第3で対策として、使用方法、就業制限等、構造、定期自主検査指針の4つについて対策の方向を示しています。
 「おわりに」で、まとめの文章を書いています。関係資料としては、資料1から5まで付けています。
 資料1がこの検討会の開催要綱と参集者の名簿、資料2が建設業における災害発生状況の推移、資料3が鉄骨切断機、コンクリート圧砕機、つかみ機という新たな解体用車両系建設機械の労働災害の発生状況の少し詳しい分析です。
 資料4として、技能講習の見直し関係の詳細説明です。資料5が特別教育の見直しの関係の表です。
 1ページの「はじめに」で、この検討会の開催の趣旨を書いているところでして、新しい未規制の解体用の車両系建設機械の解体工事現場への急速な導入、それから、災害も発生していることから、安全衛生部長が関係の皆様に集まっていただいてこの検討会を開催した旨を、また、下の方に、検討会の開催日と検討事項を書いています。
 次のページから第1ということで、現状の御紹介になっています。
 ここは労働安全衛生法令上どのように規制されているかを書いているものでして、今の規制では、四角で囲んだ表1の建設機械のうち、動力を用いて、かつ不特定の場所に自走できるものが車両系建設機械として各種規制がかかっているということを書いています。
 その規制の内容につきましては、3ページの表の2に整理していまして、上の方から整地・運搬・積込み用機械、掘削用機械、基礎工事用機械、締固め用機械、コンクリート打設用機械、解体用機械としてはブレーカのみということで、これらは規制がかかっているので○印が書いてあります。
 その下に今回検討対象の鉄骨切断機、コンクリート圧砕機、つかみ機ということで、これらについては規制がなされていないということで×印を書いています。
 それぞれの規制の内容につきましては、下の方に○の1から○の6ということで、具体的に書いています。
 次に4ページは、「技能講習」について、現状がどうなっているかということで、3トン以上の機体重量の、整地・運搬・積込み用及び掘削用、基礎工事用、解体用について技能講習規程の概要を表にまとめて書いています。
 5ページが「特別教育」です。機体重量3トン未満の小型の車両系建設機械について、整地・運搬・積込み用、及び掘削用、基礎工事用、解体用について表にまとめています。
 6ページが「解体用車両系建設機械の状況」ということで、まず(1)で「概況」を書いています。
 今まではブレーカが専ら使用されてきたが、近年、コンクリート圧砕機、鉄骨切断機、つかみ機が使用されるようになってきていること、コンクリート圧砕具の中には、大割と小割の2種類があることを書いて、下の方に図を付けています。
 7ページに、鉄骨切断機やコンクリート圧砕機は、機体質量が10トン以上のものが多いという特徴や、長尺又は複数段のブーム、アームを備えた履帯式の機械があるということを紹介しています。このような機械は、作業装置を水平状態まで寝かせても機体の安定度を失わない一般の機械とは異なって、機械の安定度の確保のため、製造者が一定の最大作業半径を指定しているということで、JIS8340-4附属書JCでもこういうものを「長尺作業装置付き油圧ショベル」と称して、規定が整備されていることを紹介しています。
 次に、ミニタイプのものもあるということで、写真を付けています。
 その下の(3)に「未規制の解体用車両系建設機械のアタッチメントの構造」について、各部の説明の後、8ページの上の図3に、アタッチメントの部位の名称を整理して記載しています。
 12月4日に建設荷役車両安全技術協会で解体用機械の検査関係の検討分科会が開催されまして、若干部位の名称について議論がありました。コンクリート小割圧砕具とつかみ具の圧砕アーム、あるいはつかみアームの先に付いている部分の爪のようなものをツースと言っていたのですが、それを特別にツースと呼ぶのをやめて、つかみポイント、あるいは圧砕ポイントと、名称を統一しようとなりましたので、前回の資料とはこの部分が若干異なっています。それに対応して、後ろの定期自主検査の検査項目も若干変更をしています。
 (4)の「解体用車両系建設機械の数」について、機械の数自体はアタッチメントの交換が頻繁になされるので正確には把握できないということですが、平成15年から23年までの9年間のアタッチメントの出荷台数を日本建設機械工業会からデータをいただきまして記載しています。
 ブレーカユニットは3万3,710台、コンクリート大割破砕具又は鉄骨切断具は区別が難しく、両方足した数ですが、約1万1,000台。コンクリートの小割圧砕具が約6,500台。つかみ具が約7,000台という状況で、日本国内では相当数の鉄骨切断機、コンクリート圧砕機及びつかみ機が稼働しているものと推定されるということです。
 次に9ページの(5)「解体用車両系建設機械でない『つかみ機』や『切断機』」について、第1回、第2回の検討会でも話題に出ましたが、林業で使用される林業グラップル、あるいは港湾荷役で使われる本船荷役用マテリアルハンドリング機、廃棄物処理業で使われる金属リサイクル用ハンドリング機、あるいは自動車解体用切断機については、それぞれの専用のものとしてあらかじめ設計・製造された機械であることから、新たな解体用車両系建設機械であるつかみ機及び鉄骨切断機には該当しないということを書いています。
 次に「第2 新たな解体用車両系建設機械に係る労働災害の発生状況と問題点」について、「労働災害の発生状況」から記載しています。
 建設業の労働災害は長期的には減少傾向ですが、今年に入ってからは死亡災害、死傷災害とも増えており、特に死亡災害が10月末現在で18.0パーセントの大幅な増加となっていることを書いています。
 車両系建設機械による労働災害というのも、同様に、長期的には減少していますが、23年は死亡災害が36人、休業4日以上の死傷災害は1,590人であるということを書いています。
 新たな解体用車両系建設機械については、鉄骨切断機、コンクリート圧砕機、つかみ機で、毎年100人程度被災しているということで、10ページに表もまとめています。その中では、つかみ機が8割近くを占めるという状況を紹介しています。
 それ以外の解体作業に使用される機械の災害発生状況を表の6-2に書いており、ブレーカが22年と23年の合計で15人、その他が2人です。
 労働災害発生上の問題点を2にまとめていまして、具体的には平成23年のものですが、表7の「アタッチメントによる機械の種類別、作業等別の災害発生状況」に「アタッチメントに挟まれる」、「掴んだ物等が落下」以下「解体作業中飛来」に至るまで分類して記載しています。
 その災害の発生状況から見た問題点を11ページの(1)~(7)にまとめています。
 1番が、いわゆるクレーン作業をしていて災害が発生している。次に、掴んだ物が落ちたり、破砕して飛んできて災害が発生している。また、アタッチメントの交換作業の際にも発生しているなど、いろいろ問題点があります。
 そのような災害発生状況に対応する安衛法令上の規制がないということで、事業者が労働災害防止のために必要な措置を講ずることなく使用していること、必要な運転技能を有していない労働者が運転していることが、これらの災害発生の要因となっていると考えられるという指摘をしています。
 これに対して、第3で「対策の方向」を具体的に書いていますが、まず、鉄骨切断機、コンクリート圧砕機及びつかみ機という新たな解体用車両系建設機械については、安衛法令において、既存の解体用車両系建設機械と同等のものとして位置付けるとともに、上記第1及び第2の状況を踏まえて、新たな解体用車両系建設機械に係る労働災害発生上の問題点に対応して、使用方法、就業制限等、構造及び検査のそれぞれについて必要な対策を講じることが適当と考えられるとしています。
 1番が使用方法の対策ですが、(1)が「アタッチメントにワイヤロープ等をかけ、物を玉掛けして吊る作業の禁止」ということです。
 新たな解体用車両系建設機械のアタッチメントは、物を吊る作業を安全に行う機能を有していないため、そのような作業を、原則、行ってはならないことにすることが必要だと書いています。
 次に「(2)掴んだ物の下、物を掴んで旋回する範囲内、掴んだ物等が破砕して飛来する範囲内への立入禁止」については、まずは立入禁止措置をしっかりしなければいけないということを指摘しています。
 第2パラグラフの5行目の「これは」というところですが、掴んだ物が破砕して飛来して被災するという関係ですが、新しい車両系建設機械ではなく、ブレーカも破砕した物が飛んでくるということから、ブレーカにも同様に適用することが必要ということです。
 また、つかみ機で木造家屋等を解体する場合にも、解体中の木材家屋の破片が飛来して労働者に危険が及ぶおそれがあるため、これも同じく規制する必要があるという指摘をしています。
 なお書きでは、運転者がつかみ機のつかみ具で解体物等をつかむ際には、当該解体物等が滑り落ちず、かつ、当該解体物等を破砕することがないように掴むことに努めることが重要だという指摘もしています。
 次に(3)の「アタッチメントの倒壊等防止措置」です。
 アタッチメントの交換作業中にアタッチメントが倒壊したり、動いたためにはさまれる災害が発生しているので、アタッチメントの装着又は取り外しの作業を行う時は、アタッチメントの倒壊等による労働者の危険を防止するため、交換用架台の使用等のアタッチメントの倒壊防止措置を講じなければならないことにし、交換作業を指揮する者を定めて、交換用架台の使用状況を監視させるようにすることが必要だということです。
 なお、架台は専用のものだけでなく、アタッチメントを安定させることができるものであれば良いということも示しています。
 さらに、この措置については、新たな解体用車両系建設機械だけでなく、既存の車両系建設機械にもアタッチメントが不安定なものがあるということで、そちらにも適用することが必要だという指摘をしています。
 次に、2の「新たな解体用車両系建設機械の使用に係る就業制限等」ですが、災害の発生状況を見ると、必要な知識と技能を有していないために被災しているものがあるので、現行のブレーカに準じて、機体重量3トン以上の機械は技能講習を、3トン未満の機械は特別教育を受けなければならないということが適当と考えられ、車両系建設機械の解体用の運転技能講習規程等について見直しを行う必要があるという指摘をしています。
 技能講習については、機械の種類が増えるので、今のブレーカのみを対象とした時間よりも伸ばして、アの新たな解体用技能講習ということで学科は13時間、実技は25時間の計38時間とすることが適当である、既に整地・運搬・積込み用及び掘削用等を持っている人については特例として、イの(ア)に新たな特例は5時間の講習とすることを書いています。
 14ページに、現行のブレーカの技能講習修了者に対しても講習が必要で、合計3時間の講習とするということを書いています。
 ウの「経過措置」については、今は新たな解体用車両系建設機械の運転は誰でもできますが、その中で、運転経験を6カ月以上有する者には、実技講習を免除して、6カ月未満の人には実技講習を受けてもらうということで場合分けをいたしまして、(ア)から(エ)まで、第1種から第4種までの技能特例講習というのを設けてはどうかと書いています。
 次に「○の2 実技講習の実施方法」については、新たな解体用の技能講習はブレーカ、鉄骨切断機、コンクリート圧砕機、つかみ機の4機種全てを使うことが理想ですが、効率的な講習の実施等の理由から、似ているものは統合して対応することが適当であるということで、ここは議論がいろいろありましたが、新しい解体用車両系建設機械が掴むことを基本としているということで、それを統合して、実技講習で使用する機械については、使用頻度が高く、労働災害の発生件数も多いつかみ機を使用することが適当、したがって、新しい解体用技能講習の実技講習は、ブレーカとつかみ機の2種類を使用して実施することが適当と考えられると書いています。
 ○の3の「技能講習の内容」は、本検討会で御指摘がありまして、災害事例を盛り込むことが必要、また、解体工事特有の内容を盛り込むことが必要という指摘があり、技能講習テキストや技能講習にはこれらの内容をきちんと盛り込んでいくことが適当と考えられると書いています。
 15ページにまいりまして「技能講習の受講要件」についてです。
 これも検討会で御指摘がありましたが、6カ月の区分けの基準となる実務経験の確認方法は「事業者証明によることを基本」とすることが適当と考えられるとしています。
 次に(2)として「特別教育の見直し」です。
 これも機械の種類が増えるということで、学科、実技をそれぞれ1時間ずつ増やして、合計で14時間にしてはどうかということです。
 次に、構造関係の対応ということで3です。
 まず、(1)「ロング解体機関係の見直し」ということで、先ほどの資料1でも説明した長尺の作業装置付きの解体用車両系建設機械の定義を最初に書きまして、それについては転倒を防止するため、構造規格に下記の規定を追加することが必要と考えられるということで、○の1から○の3まで書いていますが、○の1が安定度の関係で、製造者が指定した最大作業半径における作業装置による前方の転倒モーメントが本体の安定モーメントの1.5分の1以下になるようにしなければならない、
 ○の2として、ロング解体機には、製造者が指定した最大作業半径を超えることがないように作動する警音器を備えなければならない、
 ○の3は、ロング解体機は、油圧ホースの破損等によるブームの急激な降下を防止するための装置を、本体に取りつけたブームシリンダーに備えなければならない、という規定の追加が必要であろうという指摘です。
 ただ、○の2に対応しまして、使用上の規定も必要であるということを15ページの下から6行目のなお書きところで書いていまして「ロング解体機については、製造者が指定した最大作業半径を超えて作業してはならない旨の規定を設けることも必要と考えられる」と指摘しています。
 次に、(2)「運転席関係の見直し」です。
 まず、○の1の「ヘッドガード」ですが、今はブレーカが対象になっていますが、鉄骨切断機、コンクリート圧砕機、つかみ機も重量物が落ちてくるおそれがあるということで、使用状況に応じて、堅固なヘッドガードを備えなければならないことが必要ということです。
 「○の2 機械の転倒時の運転席からの転落防止措置」ということで、路肩あるいは傾斜地等で作業を行う際に、転倒時保護構造を有する車両系建設機械を使用する場合は、その車両系建設機械にはシートベルトを備えなければならないことにすることが必要。この場合、事業者は、運転者にシートベルトを使用させなければならない。また、運転者はシートベルトを使用しなければならないことにすることが必要というものです。
 「○の3 運転室の前面ガラス」については、現在はブレーカの運転室の前面には強化ガラスの使用又は物体の飛来による危険を防止するための設備の設置を義務付けています。ブレーカは、ドラグ・ショベルのバケットをブレーカユニットに交換して使用するという実態があり、安全ガラスが使われているもこともあり、現行規定ではブレーカを除いて安全ガラスにしなければならないとなっているのですが、ブレーカも含めて安全ガラスを使用しなければならないことにすることが必要とのことです。
 ○の4が「運転室の前面の飛来物防護措置」について、鉄骨切断機とコンクリート圧砕機は、大きな解体物の破片が飛来するおそれがあるので、安全ガラスだけではなく、それに加えて運転室の前面に物体の飛来による危険を防止するための設備を備えているものでなければならないことにすることが必要ということです。
 ただ、運転室のない新たな解体用車両系建設機械についても、運転席の前に物体の飛来による危険を防止するための設備、ここではポリカーボネート製のものを例示していますが、それを備えなければならないことにする必要があるということを書いています。
 ただ、なお書きで書いていますが、この防護設備というのは新たな措置ですので、製造者関係業界で具体的な要件についてさらに検討することが必要、あるいは各製造者による本防護設備の開発状況を考慮してほしいという意見もあり、さらに、この防護設備の普及をどう進めていくかの検討も必要だという指摘もありました。
 これを整理しているのは表8ですが、製品出荷時は飛来物の防護設備を装備していても、使用途中で壊れてしまう場合があって、そのまま使うことなく、きちんと修理して使用することが重要だという指摘がなされたことを書いています。
 次に、「(3)解体用車両系建設機械への警報装置の備付けの検討」ということで、先ほどの資料1の1の(5)と(6)の関係で、転倒防止警報装置と本体角度計についての問題提起及びその議論を書いています。
 先ほど紹介したとおりのことを書いていますが、18ページに「各メーカーには、転倒災害を防止するため、本体角度計及び転倒防止警報装置の開発研究を鋭意進め、数年後には実現されるよう努力することを期待する」と書いています。
 それから、地盤耐力の関係を「また」以降に書いていまして、事前の地盤耐力調査が必要ではないかという指摘があり、検討会で議論を行って、その結果を書いています。
 「安衛則第154条(調査及び記録)に『地盤耐力』の調査を規定するとなると、すべての場合に調査が必要になり、実態にそぐわない面も生じることから、本調査を同条に追加することは適切ではない。しかし、解体工事現場の作業箇所の状態を調査すること、地盤を締め固める等、解体用車両系建設機械の転倒防止措置を適切に講じること、また、解体ロング機については、水平堅土上で使用すること」ということが明示されることが必要であると指摘しています。
 次に、(4)「安全装置の検査」ですが、安衛則第167条、第168条の定期自主検査の検査項目には安全装置の検査が明記されていないが、ロング機の作業範囲の制限装置等の安全装置についても検査することは必要であるということです。
 次に(5)「表示」についてです。
 多様なアタッチメントを装着できる車両系建設機械については、装着可能な最大のアタッチメントの容量、重量、積載重量等を運転者の見やすい位置に表示するとともに、アタッチメント自体にもアタッチメントの容量、重量、最大積載重量等の必要な事項を分かりやすい位置に表示することによって、アタッチメントと本体のバランスが崩れないようにすることが必要である。そういうことで、表9のとおり、アタッチメント及び運転者の見やすい位置に所定の事項を表示しなければならないということが必要とのことです。
 運転室のない機械では、表示のための貼付けスペースがないため、必要な種類の配備も含めて検討してもらいたいという指摘がありました。これにつきましては、運転者が常時見ることができる位置だけではなく、あらかじめ運転者が見える位置、例えば運転席の後ろの面ですとか、本体側面に貼ることで差し支えないと考えられるということで、スペースはあるのではないかと考えています。
 19ページにまいりまして「(6)操作レバーの統一」です。
 前回第2回の検討会の最後の方に御指摘があったところですが、ドラグ・ショベル等の操作装置の標準化というのは、各メーカーの協力などにより進められてきていますが、解体用機械についても、操作装置の標準化への取組が必要との指摘があったということです。本検討会では、その対策について結論を得ることはできませんでしたが、厚生労働省と国土交通省が操作装置の標準化について情報交換を行う、あるいは製造者関係団体等で引き続き検討することが必要であると考えられるということを書いています。
 次に4番目として「新たな解体用車両系建設機械の定期自主検査指針」についてです。 
 鉄骨切断機、コンクリート圧砕機及びつかみ機が追加されると、これらの機械に係る指針の策定が必要になってくるということですが、この場合、それぞれのアタッチメントの構造に応じて指針を定めることが適当と考えられます。その構造で見ますと、鉄骨切断機とコンクリート大割圧砕機というのが非常に似ているということで一緒にする。それから、コンクリート小割圧砕機を別に設ける。つかみ機についても、内部シリンダー作動型と、外部シリンダー作動型では構造が違いますので、それを分けて指針を作るのが適当であるという指摘がありまして、これらの機械についての検査項目、検査方法、判定基準を20ページ以降の表10から表13に示しています。
 前回お話しした資料から少し変わっているのが、先ほどの資料1の定期自主検査関係のところで説明したように、安全装置の関係で整理をし直しており、21ページの7.3.9 安全装置の(16)が「水準器」、(17)が「角度計」、(18)が「作業範囲制限装置」としています。(19)が「ブーム降下防止装置」ということで、構造関係の対応のところでも説明したブームシリンダーに取り付ける安全装置の検査を書いています。
 以下、22ページの表11が、コンクリートの小割圧砕機の検査項目、検査方法及び判定基準です。
 24ページ、25ページが内部シリンダー作動型のつかみ機の検査項目、検査方法及び判定基準です。
 26ページが外部シリンダー作動型のつかみ機の検査項目、検査方法及び判定基準を一覧表にしています。
 27ページの「おわりに」では、「本検討会では『鉄骨切断機』、『コンクリート』及び『つかみ機』という新たな解体用車両系建設機械について、労働災害の発生状況等を踏まえ、安衛令別表第7に規定される建設機械に追加することの必要性について検討するとともに、使用方法、就業制限等、構造及び検査のそれぞれについて具体的な安全対策を検討し、一定の結論を得たところである。本検討結果を踏まえ、厚生労働省において、速やかに法令の整備等所要の対応を行うことが求められる。」とまとめています。
 なお、法令の整備の方法ですが、立法技術的な面から、部内の法規担当者とさらに具体的に詰めたいと考えておりまして、この報告書に書かれたものを省令で書くのか、構造規格で書くのか、通達で書くのかというのは、これから詳細に検討することになります。
 また、「速やかに」と書かれていますが、今後の大体のスケジュールを申しますと、省内の法令審査を受け、あるいはパブリックコメント等の手続を経て、3月の労働政策審議会、安全衛生分科会に諮りまして、4月に公布できればという目標を持っています。
 施行につきましては、まだ決まっていませんが、災害の発生状況も踏まえて、できるだけ早く施行できればと考えており、7月あるいは10月施行になろうと思いますが、早くできればと考えているところです。
 以上です。
○建山座長 ありがとうございました。
 先ほどの資料1の御指摘いただいた内容に対する対応方針を入れ込んだ形で、報告書をおまとめいただきました。
 御意見、御指摘いただくこと、あるいは御質問がございましたらお願いします。
 加藤委員、どうぞ。
○加藤委員 報告書(案)の20ページと21ページで、定期自主検査の検査項目が入っています。この話は、この委員会ではなくて、ワーキンググループの中で出た話で、いわゆる車両系建設機械の解体用機械については、つかみ具や、ここに書いてあります鉄骨切断具及びコンクリート圧砕具を組み換えて使う場合が非常に多い。したがって、取り付け、取り外しの回数が非常に多いということで、定期自主検査につきましては、通常はベースマシン即ち本体機械に三角マークないしは四角いステッカーを貼るのが普通なのですが、この解体用機械につきましては、ワーキンググループで鉄骨切断具及びコンクリート圧砕具とか、そのもの自体にも小さなステッカーを貼る方向でいきましょうということで合意したと思うのですが、その辺を報告書のところに盛り込んでいただけたらと思うのですが、いかがでしょうか。
○釜石主任技術審査官 それについては、昨日、建設荷役車両安全技術協会の委員会でステッカーの関係が、検討されたと聞いているのですが、いろいろ物理的に、課題が多いという指摘があって、さらに検討が必要であるとなっていると聞いています。片井委員は御存じでしょうか。
○片井委員 その辺は、昨日も私どもの協会の中の委員会の中で検討したのですが、委員の中から出てきている意見としては、アタッチメントに付けたとしても、使い方が非常にきついものですから、すぐにはがれたり、汚れて見えなくなってしまうだろうという意見が多数ありました。
 我々はステッカーを標章と呼んでいるのですが、これには適正な運用を図るために決まり事を定めておりまして、標章の1枚ずつにナンバーを採って、どこの事業主に頒布したのかとか、台帳管理といったことをしっかりやっていくようにしてこの標章を管理しています。そういう考え方があるものですから、アタッチメントに貼った標章は1年持たないとか、そういう話が出てまいりました。
 ただ、話を進めていく中で、要は、アタッチメントが特定自主検査、定期自主検査を済ませていることを証明するのは記録表ですが、それの証になるステッカーにそんなに標章のナンバー管理をする必要はなく、例えばはがれたらまた貼れば良いのではないかという考え方の中で、通常の標章とは異なった考え方でできるのではないか。その辺で今後検討を進めていこうという形になっていますので、全く否定しているわけではございませんが、考え方、運用をもう少し整理していきたいと考えています。
○加藤委員 現場でパトロールに行った時に、定期自主検査を実施しているかどうかは、そのステッカーだけが頼りなのです。したがって、ステッカーがあればもうやってあるんだという感じで、1つずつ機械に検査済証というのが付いているし、書類も保管されていると思うのです。ただ、それがいろいろなアタッチメントの種類がある中で、私たちがそれを見て理解できるか、現場にそれを要求するかというのはちょっと難しい面がありますので、なるべく簡単な方法でこれは検査してあるのだよと分かるような方法を、ステッカーでなくても、どんな方法でも構わないのですが、いわゆる使用者や、パトロールをしている私たちが行ってすぐ分かる工夫を何とか考えていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○建山座長 私は見たことがないので、どういうものか分からないのですが、標章は、車の車検証みたいなものと思えばよろしいのでしょうか。
○加藤委員 そうです。車検証も車検済みというステッカーを貼りますよね。
○片井委員 フロントガラスに貼ってあるシールと考えていただければよろしいかと思います。
○建山座長 それをアタッチメントにも貼ってもらうと、そのアタッチメントがきちんと検査されているということが分かるので、現場に行ったときに確認がしやすいということですね。
○加藤委員 通常の建設機械だったらあまりアタッチメントを換えないのですが、この解体機械に限っては頻繁に変わるから、本当にその機械が定期自主検査を実施してあるかどうかというのが、本体に貼ってあれば本体は検査済と分かるのだが、アタッチメントにステッカー等何も無ければアタッチメントが検査済だと保証されるかどうかというのは、ちょっと私たちでは分かりません。
○建山座長 片井委員、どうでしょうか。今、御指摘あったように、確かにステッカーがある方が現場で確認しやすいので望ましいと思いますが。
○片井委員 あくまでも特定自主検査をやっているという証は、私は記録票であると考えています。ただ、要はそれを見やすく分かりやすくするためのステッカーという意味合いです。ですから、今、申し上げたように、ちょっと発想を変えて今後考えていこうということです。
 そういう方向で行けるかなとかなりの確率では考えていますので、報告書に書いていただいて検討を進めるというのは少し受け難いのですが、今、その方向で進めているということだけははっきりここでお話しすることはできると思います。
○中屋敷建設安全対策室長 法令上は、特定自主検査を実施した時は、ステッカーを車両の見やすいところに貼り付けなければいけないということになっていまして、それは大体本体についているものです。加藤委員が言われたのも一理はあるのですが、法条項を変えると言う性質のものではないので、今、片井委員が言われたように、建設荷役車両安全技術協会で前向きに検討していただく方向でお願いするのはどうでしょうか。
○建山座長 加藤委員から御指摘いただいたとおり、確かに検査が行われていることを現場でアタッチメントごとに確認できた方が、もちろん検査がしやすいわけですし、それとともに使用している方も、仮に検査が抜けていたらそこで気が付くことができます。その意味でもある方が望ましいと思いますので、これについてはぜひ進めるということで御検討いただいて、報告書でもそういう方向で検討するのだということで記載を追加していただくということでいかがでしょうか。
○釜石主任技術審査官 わかりました。文章を整理したいと思います。
○建山座長 加藤委員、それでよろしいでしょうか。
○加藤委員 はい。
○建山座長 ありがとうございます。
 他にいかがでしょうか。どのようなことでも結構です。
 高橋委員、どうぞ。
○高橋委員 まず1つ目は、17ページの真ん中のところなのですが、飛来物防護設備を装備して出荷しても使用途中で壊れてしまうことがなお書きのところに記載してあります。きちんと修理して使用することが重要であるとの指摘があったということなのですが、では「きちんと修理」というのは一体どういう時にどういうふうにするのだという、具体性がないのではないかと思います。
 例えば、ブレーキとかクラッチですと、安衛則第170条によって作業開始前の点検を行って、その結果、不具合があれば補修してくださいという流れになっていますので、別にこれは法令化する必要まではないと思うのですが、もしこれを本当にきちんと修理するということをもし実現させるのであれば、通達でも良いのですが、作業開始前の点検をした時に、ついでにこれもやってもらえればきちんとできるのではないかと思ったのですが、いかがでしょうか。
○建山座長 きちんと修理してということが分かりにくいので、作業前の点検のときにその機能がついていることを確認するということですね。使用するときには常に確認するということを入れていこうということですね。事務局、それでよろしいでしょうか。
○釜石主任技術審査官 これも文章を工夫したいと思います。
○建山座長 ありがとうございます。
 他はいかがでしょうか。出野委員、どうぞ。
○出野委員 かなり議論が進んだ段階で恐縮なのですが、非常に細かいところで申し訳ございません。3点ほど質問を兼ねて発言させていただきたいと思います。
 まず、報告書の9ページの真ん中の第2のところで、「1 労働災害の発生状況」というのがあります。出だしが「建設業での」で始まっていますが、下から4行目の「休業4日以上の労働災害は全産業で毎年100人程度」と、ここで全産業にかかっています。解体用の車両系建設機械というのは、建設業以外でも使われていることも含めて100人程度と理解すればよろしいのでしょうか、という質問がまず1点です。
 2点目が、12ページの上から4行目の「1 新たな解体用車両建設機械の使用方法」というところです。(1)の下から2行目に「圧砕具にワイヤロープ等をかけて物を吊る作業を、原則、行ってはならないことにすることが必要がある」という表現になっていますが、この「原則」というのが出てくると例外があるのかなと当然考えるわけですが、どういう例外を想定されているのか。解体業者というのはアタッチメントをわざわざクレーンを持ってきてまで吊ることは余り考えられないので、そこ辺りの話かなとは想像できますが、具体的に何かお考えでしたら、ちょっと御教示いただきたいと思います。
 3点目が14ページの下から5行目の後ろに「また、学科講習の運転一般の土木施工の中に解体工事の方法や解体工事特有の内容を盛り込む」とありますが、この「土木施工の中に」というものにちょっと違和感があります。解体工事というのは、土木施工の一種とか範疇という御認識があるのかもしれませんが、確かに建設業辺りではとび土工という許可で営業していますので、そういうこともあるのかと思いますが、我々の認識としては、解体工事というとほとんどが建築物の解体工事という認識がありますので、ちょっとこの辺りの表現を何か別の表現に変えられないのかなという感じがいたしました。
 ちょっと細かくて申し訳ないのですが、以上、3点です。
○建山座長 事務局、いかがでしょうか。
○釜石主任技術審査官 まず9ページの災害の発生状況ですが、機械に着目して今、規制のなされていない鉄骨切断機、コンクリート圧砕機、つかみ機による災害がトータルで100人程度発生しているということを書いたものでして、第1回の検討会のときに紹介させていただいていますが、例えばつかみ機による被災者が平成23年は100人いたのですが、そのうち建設業では64人、産業廃棄物処理業では15人、林業では12人という状況でして、建設業に限って言いますと、この100人を超えるという数からは若干減ってくるということになります。
 12ページの1の(1)の「原則、行ってはならないことにする」というものですが、これは現行の労働安全衛生規則の第164条に、原則、主たる用途以外に使ってはならないという規定が第1項にありまして、例外として第2項に書いているのですが、作業の性質上やむを得ないとき、安全な作業の遂行上必要なときというのが書いてありまして、あとはきちんと外れ止めのついたフックなど、きちんとした吊り上げ用器具を使うとか、ワイヤロープもきちんとしたもの、強度のあるものを使うとか、そういうふうなことが具体的に書いてあります。そういうことが例外になってくるということです。
 ですから、今はないと思いますが、このようなつかみ具とか鉄骨切断具にきちんと省令の要件を備えたフックが付いていて、要件を満たしていればできることになってきます。
 14ページの○の3は、4ページに技能講習規程の学科講習の具体的な事項が書いていますが、ここもきちんと解体工事のことを教えることが大事だと思っていますので、書きぶりは十分考慮した形で、技能講習規程の見直しの中で整理したいと思います。
○建山座長 まず1つ目の、事故に遭われた方が100人という記載です。確かにその上のところで解体用の車両用の建設機械として一般の廃棄物処理であったり、林業であったり、そういうところは含めないと言った上で、下のここではそういったものを含めると100名ということで、ちょっと分かりにくいところはありますので、建設に限ったものだけの64名だけにするか、あるいは建設に限ったものは64名、一般も含めると100名超えるという形で、少し上との対応がはっきりしている形にした方が良いかもしれません。記載を御検討ください。
 原則につきましては、私も同じような疑問を持ちました。原則、行ってはならないということなのですが、原則が外れ、行っても良い場合はどういう場合があるのかということを、少し報告書の中でも分かるように書いておいていただいたほうがいいのではないでしょうか。
 解体工事が土木施工に含まれるのか、建築の方が多いのではないかという御指摘ですが、確かにそうかもしれません。我々はこういう曖昧なときに、よく建設施工という言い方を使うのですが、建設施工の中でという言い方ではだめでしょうか。
○中屋敷建設安全対策室長 4ページの上から3つ目の運転一般の解体で、一番右のブレーカの時の土木施工の方法という中で解体工事の施工関係も含まれるように読めたらなと思ったのですが、委員の意見を踏まえ、法律を担当している者と表現を調整させてください。そのため、建山座長が言われました建設施工で良いと言うかどうかはお約束できないので、その辺りはこちらで検討させていただくことでよろしいでしょうか。
○建山座長 わかりました。
 もともとブレーカは土木の現場で、例えば発破で出てきた大きな岩を小割する等の使い方もされていたものですから、どちらかと言うと、ブレーカの段階では土木の工事で使われる機械というイメージが強かったと思うのですが、つかみ機であるとか、コンクリート圧砕機などが入ってくると、建築で使われるケースが多いので、それも想定した書き方にしていただくということで報告書を修正していただくようによろしくお願いします。
 出野委員、それでよろしいでしょうか。
○出野委員 はい。
○建山座長 ありがとうございます。
 他はいかがでしょうか。生田委員、お願いします。
○生田委員 13ページ目の上から6行目が、さらに新たな解体用の車両建設機械だけではなくて、既存の車両系建設機械にも適用するという表現になっているのですが、例えばアタッチメントを取り付けると転倒するので、転倒防止用架台を考えたとき、実は今、メーカーではそれを標準装備としてアタッチメントを売る時に販売していないわけです。したがって、それを作ってくれとユーザーから要望があってメーカーが対応するか、又は、それに代わるような台を現場でうまく応用して付けるわけです。そういうことをやっているため、ここの書きぶりでいきますと、前に売った車両系建設機械に適用するというと、メーカーとしては例えば売った機械にそういうものが必要だったら付けなければいけなくなってしまうというニュアンスで取られるものですから、そこの書きぶりを工夫していただくと助かるのですが。
○建山座長 事務局、いかがでしょうか。確かに新しい機械には全部架台を付けなければいけないとも受け取られかねません。この点はいかがでしょうか。
○釜石主任技術審査官 これは事業者の措置、ユーザーの措置としてきちんとそういうものを設けなければならないということでして、直ちにメーカーにそれを用意しなさいということではないのです。
○生田委員 ちょっとここの書きぶりが誤解を招くかなということです。
○釜石主任技術審査官 ちょっと言葉足らずのところがあるかもしれません。既に規制がかかっている車両系建設機械という意味でありまして、既に販売された車両系建設機械という意味ではありません。
○建山座長 この点については、誤解がないような書き方に修正をお願いします。
 他はいかがでしょうか。豊澤委員、お願いします。
○豊澤委員 細かなことなのですが、18ページの真ん中の(4)「安全装置の検査」の上に「水平堅土上で使用する」とあるのですが、これは多分、「水平堅固な面上で使用する」という文の書き間違いではないかと思います。
 もう一点は、このページの上の方の「本体角度計についても技術的には可能だが、現時点では未研究であるため、同様の期間が必要である」部分ですが、事実的には可能だけれども、未研究であるためという表現が矛盾というか言葉足らずというか、技術的に可能だったらできるのではないかと思われるので、現状に対応するような表現の仕方に変えたほうが良いと思います。
○建山座長 そう言われますと確かに違和感はありますよね。事務局どうですか。少し書きぶりを調整していただくということでできると思いますので、御検討ください。
○釜石主任技術審査官 考えたいと思います。
○建山座長 ありがとうございます。
 他はいかがでしょうか。大体こういうところでよろしいでしょうか。
 そういたしましたら確認をさせていただきます。
 まず最初に、定期自主検査のステッカーの件がありました。アタッチメントにも何らかの検査済みであることを証明、あるいはそれを確認することができるようなステッカー、またはそれに代わる表示を付けられないかということです。
 アタッチメントは現場の中でいろいろな過酷な作業で使うものですから、どうしても普通のステッカーではすぐにはがれてしまいます。そういった作業の中でもはがれずに、長期間残る形のものとなると、現在のところはまだこれという案はないということですが、できるだけそれが実現できるように工夫していただくということを報告書に記載していただくことにしたいと思います。
 17ページの防護装置につきましては、例えば使用中破損してなくなってしまったときに、しかるべく修理する必要があるというご指摘をいただきましたが、使用前の点検のときにそれが付いていること、あるいは所定の機能が保たれていることを確認することにしたいと思います。
 9ページの災害が100人という事例が、他の産業の機械の場合も含んでいるという点です。その前のところでは、建設機械に特化して議論しますよと言った後で、他の産業の機械も含めた災害件数が出てきているものですから、少しちぐはぐな感じがするということで、ここにつきましては、建設業に関しては100人のうち64名であり、他の産業の機械も含めると100名に上るということで、少し記載を改めていただくということかと思います。
 12ページの吊り上げのところの、原則のところです。
 本報告書には、原則以外の許される時はどういうときなのかというのが、何らかの形で分かるように、あるいはどこを見たらそれが書いてあるのかということを記載していただくことが必要ということかと思います。
 技能講習のところで、解体工事が土木施工に含まれるのかという点につきましては、これまでの経緯からブレーカの段階では当初、土木施工で使われることが多かったのですが、今回のように解体用のアタッチメントになりますと、建築で使われる場合も多々あるということで、それも考慮して全体の文章を再度見直して、ここの書き方については御検討いただくことにしていただけたらと思います。
 アタッチメントの架台の話がありました。アタッチメントを取り替えるときに安定させるための架台に関して、13ページの記載ですと、新たな機械では例えば機械メーカーがアタッチメントの架台もつけて売らないといけないという意味に取られかねないというご指摘でした。実際にはそうではなくて、使用する側は何らかの形で準備する形になってくると思いますので、誤解がないように修正いただくということかと思います。
 18ページの水平堅土の表現が分かりにくいという点に関しては、水平堅固な地盤上に修正ということかと思います。
 警報装置に関しては、技術的には可能であるが、未研究という記載がありました。確かに御指摘のように、未研究であれば技術的には不可能と考えるべきですので、ここのところは文章を修正していただくということでお願いしたいと思います。
 こういった形で報告書の修正をしていただこうと思いますが、他に何か御指摘いただくことございますでしょうか。
 片井委員、どうぞ。
○片井委員 先ほどのステッカーの件でちょっと補足したいのですが、先ほど申し上げたように、特定自主検査、自主検査の証はあくまでも記録です。これは3年間保存しなさいということになっておりまして、検査をやってあることの証のステッカーということです。
 アタッチメントに貼るステッカーは、要は1年間持たせることは技術的に難しいだろうということが実際に携わっている方々の意見です。したがいまして、1年間の期間があるわけですから、例えば現場に持ち込んで貼って、その現場が終わったらはがれ落ちてしまっているよといった場合は、また新たに貼り直すというようなものを考えていくのが一番現実的かなと考えていまして、その方向で今、考えています。
○建山座長 分かりました。
 やはり現実的な方法を採用しないと現場で使われませんので、今、御指摘いただきましたとおり、もちろんできるだけはがれにくいステッカーを作っていただくことは大事かと思いますが、始業点検の時にはがれているのを見つけたらすぐに貼り直すことを追記するというご提案です。
○片井委員 そんな方向です。
○建山座長 はがれたら貼るということで、ステッカーはアタッチメントにも貼っていただけるように御検討いただくことにさせていただきたいと思います。
 半田安全課長、どうぞ。
○半田安全課長 素人からの質問で申し訳ないのですが、アタッチメントと本体というのは普通セットになっていないのでしょうか。つまり一般的にアタッチメントは、いろいろな本体機械に使い回しをするものなのですか。
○片井委員 現状、対象機械の中で、解体用のアタッチメント、ブレーカも含めてなのですが、特に今回加わる圧砕機とか、小割機、切断機は、往々にしてベースマシンは1台で、2つのアタッチメントを持ち込んで使うことがありますので、かなりの頻度で外したり、付けたりという使い方は行います。
○半田安全課長 私がお尋ねしたかったのは、そのアタッチメントをいろいろな機械で使い回しするのだったら難しいのですが、本体は1つで、この1つがいろいろなアタッチメントを使うのではあれば、アタッチメントのシールを本体に貼ったらいいのではないかなと思ったものですから、そういうことはできないのかなと思った次第です。
○木引委員 今、一番流通している形が、レンタル屋さん経由でエンドユーザーさんに使ってもらっている形なのです。そのときに、ベースマシンも借りますけれども、アタッチメントも借りていくのです。ベースマシンだけを借りて自分が持っているアタッチメントを使うこともあります。そういうことで、一対一関係というのは余りないと思います。
○半田安全課長 ありがとうございました。
○建山座長 油圧が発達してきて、油圧ホースさえつなげばどんな機械でも使えるようになってきましたので、いろいろな組み合わせで使われるケースがあるということかと思います。
 他はいかがでしょうか。
 そういたしましたら、先ほど御確認いただきました内容で、報告書の内容を修正していただこうと思います。事務局、よろしいでしょうか。
○釜石主任技術審査官 はい。
○建山座長 修正していただきました内容は、もう一回委員会を開いて確認することでもないのかなと思いますので、私が確認させていただいて、報告書とさせていただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○建山座長 そういたしましたら、第3回の委員会で、まだ修正は残っていますが、これでおまとめいただけたということにさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
 その他ということで、事務局から何かございますでしょうか。
○釜石主任技術審査官 一応、12月12日を予備日としておりましたが、今のお話のとおり、開催を要しないということでよろしいでしょうか。
○建山座長 よろしいですね。先ほどお願いしましたとおりにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、安全課長、お願いします。
○半田安全課長 安全課長でございます。
 この度、わずか1カ月半の間に3回委員会を実施していただくという非常にタイトなスケジュールの中でお願いをいたしまして、おおむねこのようにおまとめいただきましたこと本当にありがとうございます。また、それに先立ちまして、関係団体等々でいろいろな準備の検討をやっていただいたこともあり、検討が円滑に進んだということでございまして、その面からも心からお礼を申し上げます。
 この解体用建設機械の問題に関しましては、メーカー、ユーザーの方、安全衛生関係団体等いろいろな関係者がおられまして、いろいろお立場があって意見を集約するのは非常に難しいところだったのかなと想像しておりましたけれども、建山座長のリードのもとに、各委員に御協力いただきまして、円滑に議論が進みましたことに対しまして改めてお礼を申し上げます。
 今回、おまとめいただきました報告をもとにしまして、先ほど釜石主任から申し上げましたように、法令の円滑な改正に努めてまいりたいと思っています。
 今回の検討の中では、法令改正等々につなげていく部分もありますが、若干幾つか宿題が残ったというか、課題として御提示いただいたところもありますので、その部分に関しましては、今後私ども、あるいは関係省庁、関係団体等とも連携、協力しながら、その改善解決に向けて引き続き努力していきたいと思っています。
 さて、今回このように、解体用建設機械につきましては一つの成果をいただいていますが、そもそも機械の問題として、やはりもう少し包括的な機械の規制と言いますか、そういったことも考えていかねばならないのかなと改めて思ったところです。ここの検討会でお願いすることではないので、これで進めてまいりますが、私どもとしましては、今回、いろいろ御指摘いただきましたことも含めまして、包括的に機械全般的な安全をどう考えていくのか、これは建設だけの話ではございませんので、そういったことにも少し検討を進めていきたいと考えているところでございます。
 いずれにしましても、年の押し迫ったところに御無理を申し上げまして、いろいろ御検討いただきましたことに改めてお礼を申し上げまして、私の御挨拶とさせていただきます。
 ありがとうございました。
○建山座長 ありがとうございました。
 それでは、これで「解体用車両系建設機械の新たな安全対策に係る検討会」を終わらせていただくことになります。座長を仰せつかりまして3回、こういう形で議論をしていただきましたので、最後に少し感想を述べさせていただきたいと思います。
 今週は我々建設にかかわる人間には非常にショッキングな出来事が起こりました。中央自動車道の笹子トンネルの天井版の崩落事故です。日本のインフラというのは戦後すごい勢いで作ってきたわけです。それが日本の発展を支えてきたのは間違いないことかと思うのですが、一方で一時に集中して作ったことで、同時期にどんどん劣化が進んでいくのは避けられない事実かと思っています。ああいった形で劣化した構造物はこれからどんどん増えていくものと思います。
 当然、補修・補強していくことになりますが、それでは所定の機能が保てないものは作り替えていかなければならないわけで、古いものを解体せざるを得ない事例はこれからどんどん増えてくるかと思います。そういった中で当然事故も増えてくるわけです。今回、御議論いただきました内容で、そういった事故を全てなくすというのは、いろいろなケースがありますから不可能だと思います。ただ、かなりの部分を今回議論いただいた内容でカバーできるのではないかと思っています。既存構造物の解体作業の安全性の向上に今回の議論が間違いなく寄与するものと信じているところです。
 先ほど、安全課長からお話がありましたとおり、10月29日から1カ月余りの間にこれだけの議論をしていただいたということは、本当に委員の皆様並びに関係の皆様に敬意を表しますとともに、委員長として御礼を申し上げます。
 ただ、厚労省の方にぜひお願いしておきたいことがあります。先ほどお話がありましたが、今回の報告書をできるだけ早く法令化して現場に広げていただきたいということは言うまでもないことかと思います。一方で、解体用の機械であったり技術というのはこれからどんどん進歩していくと思います。社会の情勢もどんどん変わってくると思います。そうするとここで想定していないような事故や、あるいはトラブルといったものがこれから出てくることが予想されます。その意味では、法令自身も劣化してくる可能性もあるということですので、ぜひ必要に応じて見直しも検討していただきますようにお願いいたしまして、私の最後の御挨拶とさせていただきたいと思います。
 本当にどうもありがとうございました。
○釜石主任技術審査官 ありがとうございました。
 それでは、これで「解体用車両系建設機械の新たな安全対策に係る検討会」を終了いたします。
 皆様、大変ありがとうございました。


(了)
<照会先>

労働基準局安全衛生部安全課

建設安全対策室: 03(5253)1111(内線5489)

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