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2012年11月19日 第18回社会保障審議会日本年金機構評価部会議事録

○日時

平成24年11月19日(月)10:00~12:04


○場所

厚生労働省19階 専用第23会議室


○出席者

本田部会長、大山部会長代理、石井委員、岩瀬委員、木間委員、斎藤委員、長沼委員、西沢委員

○議題

平成24年度における日本年金機構の取組状況について

○議事

○本田部会長
 おはようございます。定刻になりましたので、これから「社会保障審議会日本年金機構評価部会」を開催いたします。委員の皆様、本日も大変お忙しい中、御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 本日は全ての委員に御出席いただくということになっておりますが、石井委員が少しおくれてくるということでございますので、開会をいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、議題に入ります前に、前回の部会以降に厚生労働省の人事異動があったということでございますので、事務方から御紹介をお願いいたしたいと思います。

○事業企画課長
 前回の部会以降で異動いたしました厚生労働省及び日本年金機構の事務方を御紹介いたします。
 まず、年金管理審議官、高倉でございます。

○年金管理審議官
 高倉でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○事業企画課長
 年金局の事業管理課長、鹿沼でございます。

○事業管理課長
 鹿沼でございます。よろしくお願いいたします。

○事業企画課長
 監査室長の宮坂です。

○監査室長
 宮坂でございます。よろしくお願いいたします。

○事業企画課長
 私が事業企画課長の八神でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、日本年金機構記録問題対策部長の柳樂です。

○日本年金機構記録問題対策部長
 柳樂と申します。よろしくお願いします。

○事業企画課長
 以上、御紹介をさせていただきました。

○本田部会長
 それでは、議事次第に沿って進めてまいりたいと思います。
 本日の議題は平成24年度におきます日本年金機構の取組状況についてでございます。
 これにつきまして、御案内のように、昨年も23年度計画について行っていただきましたが、平成24年度計画の達成に向けました機構の取り組み状況につきまして、中間的に委員の皆さんで確認し合いながら、機構とともに進捗管理を行おうという趣旨でございます。よろしくお願いします。
 それでは、平成24年度におきます日本年金機構の取組状況につきまして、日本年金機構より御説明をお願いいたします。

○日本年金機構理事長
 24年度の上半期につきまして、機構の取り組み状況を御報告させていただく機会を賜りまして御礼を申し上げます。
 記録問題、厚年・国年の適用・徴収、相談、内部統制等、4点にわたりまして各担当の理事から御報告をさせていただきますが、その前に私のほうから概括の御報告をさせていただきたいと存じます。
 機構は3年目になりまして、いろいろ重要課題が減ってくると思っておりましたけれども、あに図らんやで、まだ取り組むべき課題が山積しているというような現状かと存じます。
 24年の年初に機構の組織目標を掲げました。基幹業務に一層注力してお客様から信頼をいただく、さらにサービスの向上に邁進する、そういう組織目標のもとに、具体的には基幹業務に力を入れ、事務処理誤りを削減しよう、組織風土改革を進めて人材を育成しよう、こういう3つの課題を掲げさせていただきました。
 まず最初に基幹業務の取り組みについてですが、この中には当然記録問題の早期解決という目標を含めております。記録問題につきましては、24年の後半と25年度いっぱいかけて主要な課題を終了させるという大きな目標でございまして、計画どおり着々と取り組みを進めているという状況でございます。
 次に、基幹業務の大きな柱でございます国年、厚年の適用・徴収でございます。これにつきましては社会保障と税の一体改革の論議の過程で新たな目標が課せられまして、これについてきちんと数値目標の達成に向けて取り組まなければいけないという状況でございます。特に今年度以降、その達成に向けていろいろな準備を進めているところでございます。
 あわせて、先般の国会で被用者年金の一元化法であるとか年金機能強化法等が成立をいたしました。27年度施行となる事項が多いわけでございますけれども、これにつきましてもいろいろな準備が必要でございまして、この準備にも取り組んでいるところでございます。
 いずれにせよ国年、厚年の適用・徴収業務の遂行でありますとか新制度の準備につきまして相当な人が必要でございますので、要員の確保をどういうふうにするか、これを今後年金局と相談をしながら進めていく必要があろうかと考えております。
 第3に相談の業務でございます。ここにつきましては特に窓口の応対の状況が前と比べるとよくなっているという評価をいただいておりますけれども、実際には窓口及びバックヤードの要員というのは正規職員よりも有期の職員に多く依存しているという状況でございます。来年度、再来年度あたりに有期の方々の雇用期間が満了しますので、それを見越して正規、有期の方の人数確保とレベルの向上を図っていかないと相談業務が大変なことになる。そういう意味で相談体制の強化というところに知恵を絞っていく必要があろうと考えております。
 適用・徴収とか相談を含めて基幹業務をきちんと運用するためには広く国民の皆様方から年金の制度に対する御理解をいただかなければいけないと思います。機構の職員とか厚生労働省だけでこの業務をきちんと回せるかというと、それだけでは限度があるだろう。やはり広く国民の皆様方に年金の制度の必要性を御理解いただくことが必要と考え、今年度から地域年金展開事業というのを実施いたしまして、自治体でありますとか年金委員の方々、さらに地元の学校と連携をしていろいろな形で理解・促進の手だてを講じてきております。
 11月に「ねんきん月間」というのを催しておりますけれども、その中でエッセイを募集しております。これまでは応募が非常に少なかったのですが、ことしは、岐阜の高等学校では1年生全員、百数十名がエッセイに応募いただくとか、その他いろいろな学校の生徒さんから応募をいただいているということで、そういう地道な努力の積み重ねによって少しずつ年金の地域展開事業が歩み始めているというような現状かとも思っております。
 最後に内部統制及び業務運営の問題でございます。業務運営の全般につきましては、記録と業務改善及びシステムの再構築、この3つの工程表に即しまして進捗管理を行っています。この詳細は後ほど御報告申し上げさせていただきます。
 同時に、ことしの組織目標の1つである事務処理誤りがなかなか数字的に減っておりません。今、大きな方針を立ててこれを少しでも削減しようという取り組みを進めておりますけれども、容易に減らないという状況であり、ここはあわせてシステムの改善も必須ということで、業務改善、いろいろな人の手にかかる部分とシステムの構築とあわせて事務処理誤りの数をどんどん削減していく取り組みを今後とも進めてまいりたいと存じます。
 いずれにいたしましても、機構は昨年いろいろな点でC評価をこの部会から賜りまして、そういうものを着実にBにして、あるいはAにしてということを積み重ねなければいけないと思っております。その他さまざまな課題がございますけれども、結局、行き着くところは職員の数が少ない、そこをどうやって確保するか。これは、当然ながら私どもの業務効率の改善をまず第一に進め、それとあわせて相当な要員の確保をという順序になろうかと思います。要員の確保と同時に、1人の人が幾つもの仕事をこなせるというような機構全体の仕組みにしていかなければいけない。
 それは、言いかえれば人の育成、研修体系をどのように充実していくか、ということになりますし、また、チーム力を上げていくということが非常に大事だと思っております。特定の人に負荷がかかるというような現状が依然続いておりまして、それがさまざまな問題を引き起こす原因にもなっておりますので、チームで仕事をするという雰囲気を本部も含めていろんな現場でつくっていく。そのためにも中間管理職の育成が必要でございますし、そういう課題の解消をひっくるめて組織の風土改革の取り組みを今後とも重ねてまいりたいと存じます。
 ごくあらあらですが、私のほうから全体の概況の御報告をさせていただきました。4つの問題をそれぞれ担当の理事から御報告をさせていただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

○日本年金機構理事(事業企画部門担当)
 事業企画部門担当理事の矢崎でございます。
 それでは、順次説明させていただきます。
 1ページから記録問題でございますが、めくっていただきまして3ページをお開きいただきたいと思います。
 記録問題につきましては作業の工程表に基づいて作業をしてきてございます。
 上半期の状況でございます。記録問題の1つの大きなツールというのは特別便とか定期便、各種便への対応ということでございますが、目標として今年度設定しておりますのは、24年3月までにお受けしたものについては原則9月までに処理を終えるということでございまして、3ページ上にございますように、おおむね9月末までに終了してございます。
 中には共済関係とか調べなければいけないものがありまして、それを「処理困難分」と呼んでございますが、それについても「参考」にございますように12月末を目途に現在作業を進めているところでございます。件数も3桁ぐらいの数に大分絞られてきてございますので、これは達成できるのではないかと思っております。
 各種便につきましては3ページ下のほうでございますが、各ブロックに対して進捗管理をやっておりますし、なるべく作業量を多くしようということで、第2土曜日につきましてもウインドマシンの稼働時間を延長して対応に努めているところでございます。
 おめくりいただきまして、4ページでございます。2つ目の大きな事項は年金記録の紙台帳とコンピュータの突き合わせということでございます。作業プロセスは、業者に委託して不整合について見つける段階、最後に職員のほうでチェックし、御本人に通知をして記録を直していく、大きくこの2つのプロセスがございます。
 冒頭に書いてございますように、業者段階のものは、全体の60%ぐらいのものが9月末で終了したというような状況でございます。当然ながら上半期の実績を引き継いで今後とも鋭意やっていくというのが1つでございます。
 一方、職員工程でございます。通知発送件数は、週平均単位のものを4月から9月まで載せさせていただいております。
 4月の件数が低いのですが、供給量自体をふやさなければいけないということで、全国にあります事務センターでやるように工程プロセスを変えました。その関係で摩擦的に4月、5月というのは件数が低くなってございますが、その後、件数は増大してきているといった状況でございます。
 今後の課題ということでありますと、1つは紙とコンピュータの突合について、受給者を中心にやってきたわけでありますけれども、加入者の方の分はどうするのかという問題がございまして、これについては、厚生労働省の概算要求では加入者分もやりましょうということで予算要求をしておられます。時期が年末になるかどうかわかりませんが、最終的には政府予算の原案決定の段階で方針が決まり、それに従って来年度この作業も進めるということでございます。
 職員工程分につきましてはかなりの業務量でございますので、現場とよく話をしながら、御本人への通知も集中期間であります4年間、具体的に言えば26年3月末を1つのめどにしまして極力本人に御通知するようにしていきたいと考えているということでございます。
 (3)が厚生年金基金との突合の問題でございます。全体で申し上げますと約90%について1次審査が終了してございます。これは基金のほうから基金の記録と国の記録と合っていないというのをお申し出いただきまして、うちのほうにある書類で見るというものであります。その結果、国のほうが違うということであれば国の記録を直しますし、基金のほうが違うのではないかという場合には基金のほうにもう一回お送りして、企業でお持ちの情報をもとに第2次審査のお申し出をいただくというプロセスになってございます。これについては、ことしの10月までに極力基金のほうには1次申し出をしてくださいというふうにお願いしてございまして、まずその処理をやるということでございます。
 「今後」と書いてございますが、25年度中をめどに第2次審査についても作業を進めていきたいと考えているところでございます。
 (4)が「ねんきんネット」ということでございます。何度か御説明しておりますように、記録問題に限らず、各国の年金機関はこういったICTを使って事業の効率化、お客様へのサービス向上を目指しております。そういった中で、私どもは世界水準からすると大分おくれておりますけれども、「ねんきんネット」を使ってお客様サービスにより努めていきたいと考えてございまして、24年9月末段階でユーザーID発行件数は120万件というところには来ているということでございます。
 「ねんきんネット」につきましては、この後、他の資料でもう少し御説明申し上げたいと思います。
 5ページでございます。こういったいろんな取り組みでいわゆる宙に浮いた記録、未統合記録5,000万件がどうなっているかという御報告でございます。このデータの数字は24年9月時点でございます。
 まず、左の上の升「解明された記録」が約2,800万件ということでございます。このうち○1基礎年金に統合済み、要するに、御本人の手元に戻ったものが1,600万件強ということでございます。これは、1人の方が2つの記録件数に結びついたということがございますので、人数ベースでは1,300万人の方々に年金の記録が結びついたということです。これは日本人の人口から比べますと、9人に1人の方ぐらいの水準にはなっているというボリューム感であります。
 「解明作業中又はなお解明を要する記録」がまだ2,000万件強ございます。この中には例えば生年月日等のデータから見て100歳以上と思われる方の件数は140万件ございますが、日本人の100歳以上人口は4万人でありますので、中にはもう亡くなられた方がいる可能性は高うございます。いずれにしましても、ここの部分についても今後とも極力対応していく必要があると考えてございます。
 具体的には、10年未満の記録というのはなかなか年金権まで結びつかないだろうということでありましたけれども、先般の法律改正で受給資格期間も10年になるということもございまして、10年未満の記録につきましても黄色便、いわゆる姓名とか氏名や何かで蓋然性の高い方にお送りするという作業を24年上半期6月から開始しております。
 各種便を送付してもなかなか御本人に届いていないというものもできる限りお届けしようということで、住基情報と突合して24年度から再送付に努めているところでございます。いずれにしましても、解明中のもの2,000万件強への対応をどういうふうにしていくかというのが1つの課題でございます。
 おめくりいただきまして、6ページでございます。今後の対応ということでございます。
 中ほど四角のところに「気になる年金記録、再確認キャンペーン」というのがございます。今、申し上げましたように、私どもとしては各種便等できる限りの対策を打ってきてございますけれども、まだ残っている2,000万件強については改めて御本人に注意喚起をして、お申し出をしていただくというプロセスがやはり必要だろうと考えておりまして、今後もう一度御確認いただくようなキャンペーンをやっていこうというふうに考えてございます。
 23ページをお開きいただきたいと思います。「気になる年金記録、再確認キャンペーン」です。これは記録問題を御審議いただいています年金記録回復委員会に10月25日に御提出申し上げた資料でございます。
 おめくりいただきまして、25ページでございます。
 趣旨は、特別便等をお送りしてこれまでやってきたわけでございますが、まだ持ち主不明の記録が多数あるという中で、御本人から心当たりの記憶を申し出いただく、1人でも多くの方に統合を進めていくというのが趣旨でございます。
 「2 キャンペーン内容」でございます。1つは未統合記録を「ねんきんネット」によって検索できるような仕組みを入れる、これは後ほど御説明申し上げます。
 もう一つは「年金記録の『もれ』や『誤り』が気になる方への確認の呼びかけ」ということで、例えば転職の多い方とか、女性の方などで姓名が変わられた方、そういうふうに今まで記録問題で結びついたような多くのケースについても例示しましてもう一回お声がけをしていこうということであります。
 左下「生活でお困りの高齢者を対象とした年金記録の発見サポート」ということです。これは自治体のほうにお声がけをして市町村とも協力しまして、高齢者の方で、あるいは年金が見つかるということで老後生活がより豊かになるということもあり得ますので、市町村へのお願いもしていこうというものでございます。
 おめくりいただきまして、26ページ、27ページでございます。
 具体的にキャンペーンをどういうふうにやっていくかということでございます。1つは26ページ一番上「全個人への通知」ということでございます。受給者の方あるいは加入者の方、気になる方はお申し越しくださいということで、定期便等を使いましてダイレクトメールでもう一回お送りしましょうということであります。
 2番目が「市町村との連携」ということです。生活にお困りの方、生活保護等の相談窓口がございますので、そことも連携して年金に極力結びつけるようにしようということであります。
 3番目が「ネットを通じた広報」ということでありまして、これもホームページ等を使いまして情報提供をしていくということです。
 4番目でございます。年金局のほうにお願いしておりますが、政府広報を通じて極力呼びかけをしていただきたいと考えてございます。
 5番目でございます。関係機関にもいろんなお願い事をしていこうと考えております。 事業主さんについてもパンフレットを通じて会社の中でのPRをしていただこうということ、関係団体についてもホームページや会員向けの機関紙でのキャンペーンのPRをお願いしているところでございます。
 「4 スケジュール」でございます。現在、いろんな関係方面へ協力のお願いをしているところでございますけれども、具体的には1月末に「ねんきんネット」の新しい機能がリリースしますので、そこから重点的にまたPRをしていきたいと考えているところでございます。
 おめくりいただきまして、28ページでございます。
 今、こういった団体のところに年金局と私どものほうで手分けしてお願いに回っているところでございます。各団体とも非常に好意的な反応をいただいておりまして、今後1月に向けて具体的な展開を図っていきたいと考えているところでございます。
 29ページ以降が「ねんきんネット」の関係でございます。
 「これまでの取組」ということでございます。例えば第3次リリースと書いております24年度のところでございますが、4月には定期便等の内容がわかるような電子化をするといったことをやってきています。
 その下、保険料の後納制度、過去10年の間に未納があったら払えるという制度の申し込みがことしの8月から行われておりますけれども、その際「ねんきんネット」を使って額の試算、幾ら保険料を納めたら幾らぐらい年金額がふえるかといった機能もリリースしているところでございます。
 1月末の4次リリースでございます。先ほど申し上げましたような未統合記録の検索です。
 また4月末に年金受給者の見込み額試算を可能としますが、これまでは、加入者の方を中心にまず開発しましたので、既に在職老齢年金をもらっているような方については、あと何年勤めて、どのくらいの報酬だったらどのくらい年金がふえるのだろうというところまで手が回っていなかったのですが、非常に御要望が強いので、ちょっとおくれますけれども、そこも開発していきたいと考えております。
 「2.当面予定している新たな機能(1)未統合記録の検索」ということでございます。先ほど御説明したように、2,000万件余の統合記録がございますが、氏名とか生年月日とか性別を入れていただきますと、俗に言う宙に浮いた記録に該当するものがあるのかどうかがわかるようにしましょうということでございます。
 ただ、違う方のところへ記録をつけてはいけませんので、最終的には年金事務所のほうへ御相談に来ていただいて、いろいろお話を伺いながら確定をしていくというプロセスを考えております。
 おめくりいただきまして、30ページは今、申し上げたことをもう少し詳しく書いたものでございます。
 31ページのほうでございます。これとは別にホームページに未統合記録がある事業所、全部で140万社ぐらいになってしまうのですけれども、それのリストも載せようと思っています。140万でございますので、都道府県別あるいは50音別に表示するようにしまして、御本人が過去、例えば何県で何とかという事務所に勤めていたということであれば、見ていただければ、御本人のものかどうかというのはこの時点では確定しませんけれども、宙に浮いた記録が存在するといったことがわかるようにしようというものを考えておるところでございます。
 以上が記録問題の概要でございます。

○日本年金機構理事(事業管理部門担当)
 事業管理部門担当の松田でございます。
 続きまして、35ページ以降で国民年金、厚生年金保険の適用・徴収の状況について説明をしたいと思います。
 37ページ、国民年金の状況であります。ここに各項目を挙げておりますが、まず現年度納付率の状況は、8月末の数字が54.2%ということでありまして、対前年の同月と比べますとマイナス0.8ということで、少し悪い状況になっています。
 39ページをごらんいただきたいと思います。これは21年度から各年度の月ごとの推移を書いておりますけれども、今年度につきましては4月、5月末の数字はマイナス0.7ということで、前年に比べますと約0.6~0.8ぐらい劣後している状況にございます。特に5月、6月末の数字がマイナス1.1ということで、かなり悪くなっておりますけれども、5月の数字につきましては、6月末の納期限がちょうど土曜日に当たってしまい、月末のものが翌月になってしまった影響で、5月につきましては0.5%ぐらい影響が出ているということであります。
 したがいまして、前年に比べますと0.6~0.8劣後しておりますけれども、この要因につきましては、昨年11月から3号不整合について種別変更をした影響が引き続き0.3%前後あるのではないかということが1つ。
 もう一点は、免除処理が少しおくれているという状況があります。免除処理につきましては、まず市町村のほうで所得の確認の事務をお願いしておりますけれども、今年度、税制改正があり、少し市町村の事務のおくれが出ている。こんな影響があるということで、前年に比べますと少し劣後している状況になっているということであります。
 37ページに戻っていただきまして、4番目の項目、過年度の納付率の状況であります。今年度末で最終納付率が出るわけでありますけれども、37ページの下に全体目標が書いてありますが、今年度の年度計画におきまして、最終納付率につきましては22年度の現年度納付率に5.5ポイントプラスするというのが目標になっております。したがいまして、最終納付率につきましては64.8%が目標になりますけれども、現状8月末の数字が63.3%という状況になっております。
 37ページの表「8 最終催告状発送件数」「9 差押執行件数」は、いずれも今年度、現場のほうでかなり取り組みを強化しておりまして、最終催告状につきましては前年度に比べますと4,700件ふえている、差押執行件数につきましても737件ふえている状況になってございます。
 40ページ、市場化テストの状況であります。市場化テストにつきましては、21年、22年にスタートした契約に基づきまして、全国312事務所全てで市場化テスト事業を実施しております。現在の契約につきましてはこの10月に契約更改ということで、9月末で契約が終了した状況になっています。40ページの表は8月末の旧契約に基づく事業の実績を書いておるものでございます。
 41ページ「10月契約更改の状況」であります。2つ目の○に書いてあります。10月の契約更改に向けまして、今回、仕様につきましては今まで市場化テスト事業について実績が余りよろしくないということも踏まえまして、特に訪問強化するということで、訪問員の配置を少し厚目にするということで仕様の見直しをしております。この仕様をもちまして入札をしたわけでありますが、ここに結果が書いてあります。全国を23の入札地区に分けまして入札をした結果、10地区が落札、13地区が不落ということになっております。
 13地区が不落になったわけでありまして、この対応につきましては2に書いてあります。市場化テスト事業の入札につきましては、公告期間等かなり時間もかかりますので、10月で業者が決まらなかった地区につきましては、○1随契により業者選定をしまして、「納付案内・勧奨事業」という形で事業を4カ月間実施するということにしております。4カ月たった後に準備を進めまして再度市場化テスト事業の公告・入札をするということで、2月から本格的な市場化テスト事業を改めて展開をするという計画にしております。
 4カ月間の「納付案内・勧奨事業」がどういうものかということですけれども、公共サービス改革法に国民年金法の特例が規定されておりますが、不落になって随契で業者を選定したところにつきましては公共サービス改革法の適用外という形になってまいります。したがいまして、公共サービス改革法で定められております国民年金法の特例が適用されないということで、保険料の納付の請求、納付の受託の業務ができないということで、納付の案内、納付の勧奨にとどまる事業を4カ月間実施することにしております。
 こういうことで、13地区(196事務所)につきましては4カ月間十分な業務ができない形になりますので、年金事務所のほうでも十分カバーできるように取り組みを強化して実施をする予定にしているところでございます。
 43ページであります。今年度も既に下半期に突入しておるわけですけれども、下期に既に現場のほうに指示をしておりますが、市場化テスト事業の連携強化ということと、3にあります特別催告状の取組の強化ということを指示しております。今年度は一定の所得があって保険料を長期滞納している方につきまして、特別催告状を送付して納付督励をするということをかなり強化して実施しているところでございまして、この取り組みを下期につきましても強化をすることにしております。
 以上が収納の状況であります。
 44ページ、国民年金保険料の後納制度の実施状況であります。過去10年間に納め忘れた国民年金の保険料につきまして、ことしの10月から3年間、過去にさかのぼって納付することができる形になっております。8月から機構のほうから対象になる方1,700万人にお知らせを送付して事前準備をし、10月から承認通知等の作業を進めているところでございます。
 このページの1、全体で1,700万件発送ということになりますが、9月末までに約970万件を既に送付をしているという状況であります。
 当初相当問い合わせ等があるということで、専門の電話の対応ができるような体制、年金事務所のほうでも窓口の体制強化ということで準備を進めておりましたけれども、現在、特に混乱がなく受付、承認の作業が進んでいるところでございます。
 さらに、周知広報につきましては、政府広報、ポスター、その他チラシの作成等による周知広報を展開しているところでございます。
 続きまして、45ページ以降、厚生年金の状況について説明いたします。まず、適用対策の取り組みの状況であります。次の46ページをごらんいただきたいと思います。
 適用対策でございます。まず、重点的な加入指導は18年度の実績を回復するというのが今の目標になっております。19年度以降、記録問題があり適用対策が少し後手に回ったということでありまして、18年度の実績、水準に回復するというのを目標にしております。18年度の重点的加入指導の実施数は1万5,400事業所でありましたが、今年度は1万5,420事業所を目標数にして取り組みを進めております。達成率は9月の状況で約1.5倍になってございます。
 今年度におきましては、3番目の項目、加入指導の件数だけでなくて、加入指導の結果、実際に適用に結びついた事業所数を2割にしていくというのを行動計画上の目標にしております。年間目標値は、積み上げをしますと適用率22.6%という水準でありますが、9月までの状況で17.1%という適用率になっております。ちなみに、23年度末の適用率は12.4%でありますので、取り組みはかなり進んでいると考えております。
 もう一点、適用の関係で言いますと、5番目の事業所調査件数は、現在、全ての適用事業所について4年に1回調査を実施するという目標を掲げまして取り組みを進めているということであります。現状で達成率は117%という状況になっておりまして、適用につきましてはかなり取り組みが進んでいるのではないかと考えております。
 次に47ページ、下期の取組ということであります。今年度から特に適用につきましては、「2.新たな数値目標に対する対応」ということで、新しい数値目標を設けております。これは23年度末で把握した未適用事業所を3年間、26年度末までに半減をするという目標でございます。23年度末の未適用事業所数、約25万事業所を3年間かけて半分にしていくということであります。
 25万件の内訳は、5人以上の事業所が約5万件、5人未満の事業所が20万件ということで、小さいところはかなり未適用事業所が多い状況になっています。
 5人以上につきましては、重点的加入指導で目標に掲げて行動計画で取り組んでいるもの以外にもできるだけ加入指導するというのが1点であります。
 5人未満の事業所につきましては、まずは外部委託で訪問をやっていただく。外部委託の結果を使いながら年金事務所のほうで取り組みを進めていくということにしておりまして、下期での指示におきましては、外部委託で加入勧奨が終了した事業所から逐次できる限り加入指導をするという指示をしているところでございます。
 そのほか「(3)関係機関への協力依頼」であります。法務局、商工会等に対する周知依頼ということで、チラシをつくって配布等を進めているところでございます。
 収納の関係であります。また45ページに戻っていただきまして、8、厚生年金の収納率は95.8%という数字でありまして、前年に比べますと0.4%上回っている状況にあります。
 5の滞納事業所数は、前年に比べますと約6,500事業所減っている、6の差押事業所数につきましても2,500件差し押さえを上乗せして取り組みを進めることができているという状況でありまして、厚生年金の適用・徴収の業務につきましてはかなり実績を上げつつあるのではないかと考えているところでございます。
 次に50ページ、サービススタンダードの関係であります。
 給付につきましては、請求書をお客様から受け付けてから処理が完了し年金証書が届くまでの所要日数について目標を掲げて取り組みを進めているところでございます。具体的にはサービススタンダードという形で、各種給付について90%以上を目標にしておりますが、9月末の数字は95%とか、ほぼ90%を超えている状況にあります。ただし、一番右の欄、障害厚生年金の数字が50%台ということで、体制強化等をして取り組みを進めておりますが、こういった数字で、これからまだ取り組みを強化する必要があると考えているところでございます。
 私からの説明は以上でございます。

○日本年金機構理事(事業企画部門担当)
 それでは、引き続きまして53ページから「年金相談の状況及びお客様の声の状況」について御報告を申し上げたいと思います。
 おめくりいただきまして、55ページ「年金事務所の窓口相談状況(待ち時間)」でございます。下のほうの*ですが、中期目標では通常期で30分、混雑期においても1時間を超えないようにというのが目標でございます。
 上半期の状況でございますが、月平均の待ち時間が1時間以上の事務所はございません。30分以上1時間未満の事務所の数は、4月は来客が多いということがございますが、各月平均7ヶ所といった状況になってございます。
 めくっていただきまして、56ページであります。23年度との比較を見ていただくのがいいかと思います。同じようなつくりで23年度、24年度、一般ブースについて比較がございます。23年度に比べますと、ここまでのところは待ち時間は改善してきているという状況だろうと思います。
 57ページ以降は「コールセンターの対応状況」でございます。一般の年金相談は、6月が50.6%。これは毎年1回年金の額をお知らせするのですが、ことしはマイナススライドということで、当然お問い合わせが多いわけでありますが、何とか応答率50.6%という状況になっているということでございます。
 中期目標は徐々に上げていって、25年度において一般相談の応答率70%ということでございます。
 おめくりいただきまして、58ページのほうに23年度と24年度の比較がございます。例えば6月のところを見ていただきますと端的なのですが、応答率が23年度は25.7%しかとれなかったものが、24年度6月は50.6%となっているということでございます。これまでも御説明しましたが、年金機構のコールセンターの特質は、いろんな通知の類いが集中的に出ると電話が集中する、電話が集中すると話し中なのでまたかける、そうすると、またつながらないからまたかけるというコールの乗数効果みたいなプロセスというのがあります。
 私どもは非常勤理事でプロの専門家の方に入っていただいておりますが、御助言いただきまして、まず極力通知を分散する、もちろん一定の期間でデータを抽出してお支払い日までに送らなければいけませんが、いっときに電話が特定のコールセンターに集中しないように地域割も含めて通知を極力分散化するというのが1点。
 もう一つは、混雑ガイダンスを極力きめ細かくしまして、混雑状況を見て、週の後半のほうがすいているので、お急ぎでない方はそちらのころに電話してくださいとか、非常にきめ細かくやることでなるべくコールが集中しないようにするといった対応をしています。
 後処理時間というのも非常に大きな要素でございまして、事跡管理についてもなるべくシステムを使って後処理時間を短くする、1本でも多くコールがとれるようにする、こんなことをやってきています。
 これ以外にも、通知のタイミングによっては臨時ブースをきめ細かく設置するとか、本質的にはインターネットを活用するように誘導する、あるいは発送する文書も極力わかりやすくする、こんなことをやってきているということでございます。
 59ページ、私どもに寄せられました御意見・御要望でございます。分類上、私どもの運営に起因するようなものを「サービス関係」「事務処理関係」「お叱り」とか、そういうので分けておりますが、「小計c」のところが私どもの運営について意見・要望をいただいている事項でございまして、大体700件、800件を中心に推移しているということでございます。
 この件数自体がどうのこうのというよりは、いただいた声をどういうふうに改善に結びつけていくのかというのが民間企業でも大事だということでありますので、そういう姿勢で臨んでいこうと思っております。
 具体的にどういう内容かということが60ページでございまして、上半期多かったものの例であります。
 例えばサービス関係では電話がございます。コールセンターの応答率は上がってきているのですが、年金事務所の電話がなかなかつながらないという苦情があります。これは以前もちょっと御報告しましたけれども、いろんなCS調査でもそういった点が出ております。
 また、一般相談の電話以外に専門電話で社会保険料の控除とか電子申請に関するコールも別にコールセンターを持っているのですが、応答率のデータを見るとここが低いといった状況がございます。
 これにつきましても、年金事務所の場合、IVR転送をしてコールセンターで受けるというのをテスト的にやっておりますが、いずれにしましても、コールセンター自体のキャパシティーを上げていかないと全面展開はできません。コールセンター全体の基盤強化をどう図るか、今、申し上げました専門電話の関係も含めましてそれをどう構築するかというのが課題だろうと認識しています。
 ホームページ、「ねんきんネット」でございますが、フリーメールアドレスがなかなか使えないという御要望がございます。これも8月から一旦ID登録をしていただきましたあとはフリーメールアドレスを使えるようにしたのですけれども、最初からフリーメールアドレスを使えるようにしてほしいという御要望です。システム部とも相談していますが、セキュリティーの関係上、ここはなかなか難しいだろうというのが現時点であります。
 ホームページも改革していかなければいけないということで、全面リニューアルを4月にしたのですが、ちょっと不具合がございまして、それについてのお声、苦情が4月には来たということがございます。
 年金給付関係ですが先ほどサービススタンダードの状況を御説明しましたが、障害年金は昔に比べますと短くはなってきてございますが、ここが遅いという御要望が多うございます。
 厚生年金関係、電子申請に関する問い合わせということで、フロッピーディスクがなくなりますのでCDに切りかえたいとか、そういう対応をやってきていますが、4月は企業も初めて使われるところが多かったようでございまして、これについてわかりにくいというようなお声をいただいて、逐次改善はしてきているということでございます。
 一番下ですが、私どものほうで当然ながら運営以外の年金政策、制度そのものについても御要望をいただいておりまして、これは逐次年金局のほうにお渡ししていますが、物価スライドのたまりの分を解消してマイナススライドにするというような報道がありますと、それに対する御意見というものが来る、そんなことが上半期の特徴としてございました。
 おめくりいただきまして、62ページ以降でございます。それぞれ相談なりサービスについてどんな取り組みをしているかという御紹介をしたいと思います。62ページ以降が「相談に関する改善への主な取り組み」ということでございます。
 「人材の確保養成」ということです。冒頭の理事長説明にもございましたが、相談窓口体制を確立しようということで、以前も御説明しましたが、基本的に窓口ブースの4割相当を正職員で対応できるような体制を26年度当初までにつくっていこうということでございます。とりわけ先の国会で年金制度の改正が幾つか行われましたし、一元化もされていくということで、率直に申し上げて制度はより複雑になってまいりますので、それをしっかり受けとめられる体制をつくるというのは非常に大事だろうと思っています。
 63ページ「相談業務の効率化○4相談待ち時間の表示の改善」ということですが、これは、東京を初め、南関東でまず導入したのですが、これがなかなか評判がよろしいので逐次拡大をしていきたいと考えています。もちろん予算に限りがありますので、非常に混雑している都市部を中心に逐次25年度までに展開を図っていきたいと思っています。
 「○5受付進捗管理システムの構築」ということですが、お問い合わせの中で、今、自分の申請書がどこまで行っているのですかというようなお問い合わせもございます。進行管理のためにバーコードをつくってすぐお問い合わせに応えられるような仕組みを10月から稼働したところでございます。
 おめくりいただきまして、64ページでございます。「3 コールセンターの充実等」ということで、臨時ブースの機動的設置、通知の分散発送、65ページ○3後処理の短縮、ガイダンスの機動的対応、こういったことに努めてきているということでございます。
 おめくりいただきまして、66ページでございます。「その他」ということで、年金事務所以外に51の相談センターがございますけれども、これは社労士会さんのほうにお願いしております。社労士会さんとの連携もして研修への協力ということも引き続き行ってきているということでございます。
 飛んでいただきまして、70ページでございます。サービス部門の主な取り組みということで、「1 お客様サービスの向上○4CSの推進」というのがございます。私どもは民間企業にお伺いしていろんな知恵をいただくということをやっていまして、今年度も民営化された銀行とか民営化された交通機関に行ってお話を伺ってきています。その中で、CS(お客様満足度)というのは恒常的な取り組みをやらなければいけないということでありまして、1つは、我々もマナースタンダードという形でつくっているのですけれども、いきなりおじぎの角度、仕方から入っていくようものでして、いや、そういうものではない、そもそも企業体にとってお客様満足度というのは何で必要なのだというところから説きおこしていく必要がある、1人1冊その冊子を持っていつでも見られるようにしているのだということを伺いまして、遅ればせながらそういったCSの理念も入れました「サービス推進の手引き」といった冊子を作成して職員みんなが持つようにしたいと考えているところでございます。
 71ページ「わかりやすい文書づくり」ということですが、これはもちろんいろんな通知を出している中でも非常に重要な課題だと思っていますが、○3文書づくりの職員研修というのも始めました。これまで一般のモニターの方からいろんな文書についていただいている御意見、専門の文書デザイナーの方からもいろんな御助言をいただいておりまして、それを集大成したわかりやすい文書づくりの手引きをつくりまして職員研修をしているということでございます。
 おめくりいただきまして、72ページ「お客様の声の集約」ということで、引き続きCS調査なり覆面調査をやっております。
 ○3「お客様対応管理システム」というのは、民間企業はどこも入れておりますけれども、現場でいただいた声を迅速に分析したり、あるいは進行管理、このお客様の声についてはいまだ十分な対応がなされていないとか、そんなものが管理できるシステムを今、開発中でございまして、これも来年には稼働できるようにしていきたいということでございます。
 一番下「○2成果指標」でありますが、待ち時間とかいろんなお客様からの声というのを極力数値化して、事務所ごとにパフォーマンスを見られるようにしよう、そういったことを始めたということでございます。
 73ページです。これは理事長のお話にございましたが、地域に赴いて年金について御理解をしていただくというような取り組みをやってございます。
 その下の箱ですが、教育サイドへも働きかけをしておりまして、先般も文部科学省の全国の指導主事会議でこういった年金の取り組みの話について御紹介をいただいたということでございます。
 私どもは機構になりまして人員も大幅に削減しているということもありまして十分な取組みができかねるのですが、それぞれ各事務所で、大学、高校、1つぐらいアプローチしましょうということです。もちろん受け入れてくれないところもあるのですけれども、とにかくアプローチしていきましょうということをやっております。本部みずからも幾つかの大学で実際にモデル的な講演をして、それをDVDにして全国に配布するといったことをやっております。
 おめくりいただきまして、74ページでございます。もう一つ地域とのかかわりでは、年金委員の活動ということも非常に大事なツールだと思っています。
 1つ御紹介しますと、2つ目の枠の「研修」でございます。各ブロックから年金委員の代表の方に来てもらいまして全国研修といったものも今年度実施したということでございます。
 ○3のエッセイ募集でございます。これも理事長からお話がございましたが、最初始めた22年度はたったの5件でありまして、新聞にも「たった5件」と書かれたわけでありますが、昨年は50件、ことしはいろんな教育現場へのアプローチもありまして500件ぐらいいただきまして、その中には非常に感動するものもありますけれども、そういったものを選定しましてホームページ等に載せるということをやっています。
 ○4ですが、お客様、現場の声を聞くということで、ブロックごとに事務所を選定しましてお客様の意見を直接聞くというモニター会議も実施しておりまして、私ども理事も手分けして行くようにしておるということでございます。
 もう少し地域の事業についてお話ししたいと思います。78ページ、79ページでございます。社会保険庁時代、いろんな取り組みで地域へのネットワークをつくってきたつもりでございますが、日本年金機構になりまして非常に脆弱化しましたが、これを少しでも戻せないかということで24年度から始めています。体制の強化も図りまして、こういった取り組みが長い目で見れば国民年金の保険料納付にも結びついていくだろうという観点でやっているところでございます。
 「主な取組み○地域展開事業」と書いてありますが、この前お配りもしましたが、「知っておきたい年金のはなし」といったリーフレットを作成してまいております。これは現場からは非常に好評です。実際講演してみた職員から、ここは使い勝手が悪いとか、ここはもう少しわかりやすくとか、もうちょっとこういうデータがないかというのをいただいておりますので、それを踏まえましてまた来年改訂をしたいと思っています。
 79ページ、地域年金事業運営調整会議でございます。自治体とか有識者、できればマスコミの方も入って頂いて地域ごとに年金の問題について考え対応していく会議をつくりましょうということです。これは全国一律実施というのはなかなか難しいのですが、例えば四国については全県で第1回目の会議を実施しました。
 その他、各現場の団体も通じましていろんな年金に対する周知広報事業あるいは相談サービスというものをやっていこうということでございます。
 以上が相談、サービス分野でございます。

○日本年金機構副理事長
 それでは、最後になりますけれども、内部統制、その他業務運営の基盤になる事項につきまして、私のほうから説明をさせていただきます。
 おめくりいただきまして、83ページでございます。
 先ほど理事長から申し上げましたように、機構の業務につきましては、記録問題、業務改善、システム再構築、この3つの工程表をつくりまして、これに基づいて進捗管理をしながら進めておるところでございます。
 おめくりいただきまして、84ページ「業務改善工程表について」でございます。22年4月当初つくりまして、その後、年2回程度見直しをしながら今日まで来ております。
 事項につきましては、「工程表の内容」のところにございますように、大きな事項として11、個別の項目として72項目を今、挙げてございます。一番下の●にございますように、そのうちの14項目は重点事項ということで対応いたしているところでございます。
 具体的な工程表は85ページからついてございます。それぞれ細かいわけでございますけれども、主なものだけ幾つか申し上げます。
 88ページの真ん中あたりに「8)受付進捗管理システムの導入」とございます。これは栃木で昨年トライアルを始めましたけれども、この10月から全国実施をしております。その後、使い勝手等も見ながらまた整理をしていこうと考えております。
 89ページ「事務処理誤りの防止」ということでございます。事務処理誤りの分析をして再発防止につなげていくということで、これは後ほどちょっと触れたいと思います。
 続きまして、92ページをごらんいただきたいと思います。機構業務を進めていく上で、もちろんマンパワーにも限りがございます。できるだけ事務処理誤りを防ぐという意味でもICTの活用というのは非常に重要でございますけれども、そういう意味で、電子申請あるいは電子媒体申請というものを進めてまいりたいと考えております。
 92ページの3)事業所から出していただく届け出でございます。これは電子媒体申請、先ほどもDVDでという話を申し上げましたが、その対象の届けを広げていくということで、国年の3号の届け、被扶養者の異動届につきまして来年の10月実施予定で開発を進めていくということでございます。
 5)市町村からの報告につきましても電子媒体によりお願いするということで、これは市町村のほうでのシステム開発も伴いますので、市町村に働きかけをしてこういう取り組みを進めていくということでございます。
 以上が業務改善工程表でございます。
 104ページに「システム再構築工程表」と書かせていただいております。こちらのほうも機構として取り組むべきシステム開発等につきまして取り組み方針なりスケジュール等を整理したものでございまして、最初22年11月につくってございます。その後、年1回見直しをしてございます。現在のものはことしの3月の見直し後のものでございます。
 「工程表の内容」と書いてございます。ITガバナンスの関係、システム開発等の信頼性・生産性・継続性の確保、オンラインシステムの着実な開発・運用という観点に立ちまして全部で10項目を挙げてございます。
 重点取組事項につきましてはシステム開発重点事項一覧表にまとめまして進捗管理を行っているところでございます。
 具体的には105ページ以降に工程表そのものをつけてございます。
 続きまして、113ページに飛んでいただきたいと思います。機構の仕事を進める上で職員の意識改革あるいは組織風土の改革というのは非常に重要でございます。そのために22年9月から理事長直属の「組織風土改革実践プロジェクトチーム」をつくりまして、1年ごとにメンバーを入れかえながら活動を進めてございます。提言にとどまらずに具体的な実践に重点を置いた活動を展開しているところでございます。
 去年の11月から第2期PTが活動しまして、先般9月に活動実績報告を取りまとめて理事長に報告をしたところでございますが、113ページから114ページにかけまして具体的な取り組みについて書かせていただいております。
 114ページの一番下「今後の取組方針」でございます。これは一過性のものではなくて、継続的に取り組む必要がございますので、先般メンバーを入れかえて第3期のPTということで今、活動を始めたところでございます。
 115ページでございます。先ほど工程表のところでも触れましたけれども、事務処理誤りの再発防止は機構にとりまして非常に大きなことでございます。そういう意味で、意見募集を行いまして、平成22年7月、2年前に取りまとめました「総合再発防止策」を踏まえまして、さらに新たにどのような取り組みが必要なのかということを今年中に整理をしたいということで今、進めているところでございます。
 117ページからは職員の関係等でございます。117ページの一番下をごらんいただきますとわかりますけれども、記録問題もございますので、現在の定員は2万6,000強ということでございますが、現在員はほぼそれと同じということになってございます。それぞれのところで若干入り繰りはございますが、トータルとしてはそういう状況でございます。
 人事関係の取り組みにつきまして、118ページからごらんいただきたいと思います。
 1つは定期の人事異動でございます。これは3月末に定年退職がありますので、4月もある程度の規模がありますけれども、基本的には10月を定期異動の時期と位置づけてございます。ことし10月の定期人事異動につきましては、正規職員全体の約2割、2,400名ぐらいが異動対象になったということでございます。
 若手とか民間出身職員の年金事務所長への登用ということで、この10月現在では民間出身者45名、若手職員からの登用14名となってございます。
 職員の採用等についてでございます。ことしの4月には247名を新卒採用いたしてございます。
 IT等への取り組みということで、民間企業のシステム経験者あるいは監査の関係で専門職の中途採用を14人行ってございます。
 優秀な有期雇用職員を機構の業務に生かしていくということで、24年度は280人の正規職員の登用を有期職員の中から行ってございます。この人数につきましては欠員の状況等によるので変わってまいりますけれども、25年度以降も正規職員登用制度は続けてまいりたいと考えてございます。
 119ページ、年金相談専任職員の登用ということです。窓口体制の強化ということで、そういうスキルのある職員を相談専任職員としてこの10月に91名登用したところでございます。
 現在動いている話がその次でございます。これまでは準備ができなかったのでできておりませんでしたけれども、年金事務所長あるいは管理職についての登用試験制度を開始したところでございます。
 その次のウエルカムバック制度でございます。これは次世代育成支援ということで、例えば子育て等で1回機構を退職されても希望される方については戻ってこられる制度をつくるということで、これも民間企業に倣ってつくったところでございます。
 ○3人事評価は、逐次改善をしながら進めているところでございます。
 120ページからは研修関係について整理をさせていただいてございます。
 123ページに研修の全体像をつけさせていただいておりますけれども、120ページはそのうちの集合研修について、121ページは通信研修(eラーニング)についてでございます。そこには基礎課程ということで、その受講状況等を書かせていただいてございますが、応用課程につきましても先般開始をしたところでございます。
 122ページは職場内研修について挙げさせていただいてございます。
 研修はやりっ放しではよくないということで、効果測定をして見直すべきところは見直していくという指摘がこの部会でもございましたけれども、124ページから125ページにかけまして効果測定の取り組み状況あるいは改善について挙げさせていただいております。
 説明は以上でございます。

○本田部会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。西沢委員、どうぞ。

○西沢委員
 どうもありがとうございました。
 幾つか教えていただきたいことと確認があります。
 1つは、冒頭理事長がおっしゃっていた相談窓口の職員は有期雇用の方が多いということで、今の労働法制だと有期雇用の方は有期契約のまま回転していくことが難しいということです。ただ、相談業務は、多分経験を重ねれば重ねるほどスピードも早くなるでしょうし、蓄積が物を言う職業なので、今の労働法制が邪魔をしてしまって正規に登用できないとなるとむしろ損失も大きいと思います。例えば機構のそうした現状を広く理解できるように解説されると、せっかくの蓄積を失わないで済むかなと思うのです。お金がつくかどうかわからないですが。私のこうした理解が正しいのか確認したいのが1つ。
 2つ目は、国民年金の自動引き落としの率が3割ぐらいで、前回よりも落ちているということは、新しく加入者になる人の自動引き落とし率が下がっていて、被保険者でなくなる方が高かったということだと思います。多分年齢が高い方は高くて、若い方は低いと思うのですけれども、これを上げないと未納はなかなか減っていかないと思うので、ここら辺の現状分析がどうなっているかということを教えていただきたいのが2つ目です。
 3点目は教育の話です。年金教育をするのは非常にいいことだと思いますが、大学生へのアプローチの仕方に限って言いますと、率直に申し上げて、多分大学の社会保障論の先生、特に経済学系の先生が教えている年金の制度の知識と皆様が御提供される知識にはかなりギャップがあると思うのです。
 では、どうすればいいかというと、日本年金機構の皆さんは年金制度の一般論を教えるよりも、例えば若い職員の方が日々どんなオペレーションをされているかといったことを学生に話したほうが年金の理解につながるのではないかなと思います。例えば国民年金の未納問題はなかなか厳しいという現状とか、現年度納付率が仮に6割を切っていても最終的には6割を超えていくということを私もここに来るまでは知らなかったですし、そういったものをむしろ若い職員の方が学生に語ったほうがいいかなと思いますので、アプローチの仕方を工夫されて、その上で積極的に大学生の方に教育していったほうがいいのかなと思います。
 以上です。

○本田部会長
 ありがとうございました。
 では、事務局、どうぞ。

○日本年金機構副理事長
 まず1点目、私のほうから答えさせていただきます。相談窓口の体制、特にスキルを持った有期雇用職員をいかに活用していくかというのは非常に大事だと思っております。今、有期雇用法制が制約ではないかと西沢委員がおっしゃいましたけれども、私ども、そちらというよりは、機構の場合、基本計画で定員が決まっています。正規職員は1万880。有期雇用は、今、記録問題でちょっとふえていますけれども、基本計画ベースでは約7,000という形でございまして、そういう中で有期雇用職員の定員枠があるし、正規職員の定員枠も最初にあって、これは基本計画の数字だけでなくて、それを踏まえて予算もつくられておりますので、その中でどういうことができるかということでございます。
 私どもが今、進めておりますのは、そういう中で優秀な有期雇用職員、相談だけでなくてほかの方もいますけれども、そういう人を機構の恒常的な戦力として生かしていきたいということで、正規職員登用制度というのを始めているということで、先ほど御説明したのが1つです。
 また、これはことしからの取組みですけれども、相談専任職員の内部登用を始めました。これはいわゆるベテランの相談職員、実際には53歳以上ということにしたのですが、53歳以上の人を60歳の定年まで雇ったとしても7年間ですから、これは准職員の雇用期間7年と同じなので、定員管理としては有期雇用職員の定員枠で管理できるだろうという前提で相談専任職員の登用制度を始めまして、約90名登用したところでございます。
 もっとロングタームで考えますと、有期雇用法制、つまり、5年を超えてずっと雇うときは、処遇はともかくとして、いわゆる常勤的な働き方になるという法律が先般通っております。具体的な施行はこれからでございますけれども、そういう状況等も見ながら機構としての対応を考えていくということになろうかと思っております。

○日本年金機構理事(事業管理部門担当)
 それでは、2点目の国民年金保険料の口座振替の実施の状況ということでありますけれども、37ページをごらんいただければと思います。
 御指摘のように口座振替の実施率は前年に比べましてマイナスになっているという状況であります。定性的な評価ではありますが、まず1点は、保険料納付の方法として口座振替という方法と、7にありますようにコンビニ等での納付というのがあります。全体的にはコンビニ納付件数が前年に比べるとふえているという状況もありまして、率にするとそれほど高いものではありませんけれども、口座振替が減る一方で、コンビニ納付のほうはふえているという状況にあります。まずこれが1点です。
 口座振替の実施率が減っている理由は、まさに西沢先生が御指摘のとおり、新規に被保険者として入ってくる層の口座振替の実施率がやや低い状況にあって、今まで口座振替をしていた層が抜けていくということで、全体的に下がってきているのではないかというふうに分析をしているところであります。
 口座振替を獲得していくということは大変重要だと我々も認識しておりまして、市場化テスト事業の業者にはこの10月から仕様を変えていますけれども、従来は口座振替の獲得は1件当たり1,500円の手数料を業者に付与するという形でのインセンティブをつけておりましたが、1件当たりの獲得のインセンティブを1,500円から2,000円に引き上げるという形で、できるだけ業者のほうでも口座振替を獲得していただくように仕様の見直しもしているところであります。
 以上であります。

○日本年金機構理事(事業企画部門担当)
 3点目の年金の説明をどうしているかということでありますが、おっしゃいましたように、現実に即した説明というのは非常に大事だと思っています。その一方で、実際モニターの方とか若い人に聞きますと、要するに、損得論とか、国年未納による国年破綻論とか、そういうものにちゃんと正面から応えてほしい、説明してほしいというのがあります。
 私も高校の説明会に同席したのですが、生徒からの質問の中で、「積立方式にするとすべてうまくいくという話を聞きますが本当でしょうか」といったような質問も出るので、そういうものにどう応えていくかというのは非常に大事だと思います。
 ただ、これは難しくて、例えば積立方式と賦課方式というのも、サミュエルソンだったか、アローだったか忘れましたけれども、人口成長率と賃金上昇率の和と名目利子率の大小で決まるなどというのを言っても、多分それはわからないのだろうと思います。そこをどういうふうにうまく説明していくかというのは非常に難しいことだと思います。
 そういう意味では、例えばことしの厚生労働白書にはそこら辺を随分書きこんでいますので、そういったものも参考にして冊子の改訂をしようと思っていますが、どうやってわかりやすく言うのかというのが課題だろうとは思います。
 いずれにしましても、私どもも大学に幾つか行っていますけれども、大学によって関心度も違いますし、いわんや、大学と高校では同じしゃべり方でできません。なかなか冊子も難しいところがあるので、それぞれ工夫してパワーポイントみたいなものを使ってどうやってわかりやすく説明していくのかというのが課題だろうと思っています。そういう意味で、冊子をもとにしたパワーポイントもつくって、いろんな現場の工夫なども入れて、極端に言うと聞かれる方ごとに説明内容を変えていくといった工夫は必要だろうと思います。
○本田部会長
 よろしいですか。
 それでは、木間委員、どうぞ。

○木間委員
 今の件に関してですが、西沢委員がおっしゃいましたように、教育現場へのアプローチはかなり難しい点があると思います。大学の先生は、御自身の研究に口を出されることは受け入れないと思いますので、私は大学での試みも大切ですが、むしろ中学生・高校生を対象とした教育現場へのアプローチが重要ではないかと思っています。目の前の損得論も必要ですが、社会保障としての教育が必要なのだと思います。
 そこでお尋ねしたいのですが、教育委員会の要請とか教育現場へのアプローチもなさったようで、先ほど大会でも取り上げられたということでしたが、どんな様子だったのでしょうか。

○日本年金機構理事(事業企画部門担当)
 社会保険庁時代は予算などがありましたので、学校の先生・OBなどにもお願いして、最盛期は3割ぐらいの中学等に説明にお邪魔していたのですが、そういうのができなくなりました。
 そういった人的、予算的制約がある中では、正直言って中学校まではなかなか手が回らないのではないかと思っています。実際私も高校での説明に同行しましたけれども、高校から大学へ行かれる方、就職される方に、今後あなた方が一生つき合っていく年金制度というのがありますというのは非常に効果的なのではないかと思いました。おっしゃるように、限られた資源の中で1つは高校、もう一つは大学、20歳になったら国民年金ですから、それを地道にやっていく。要するに、限られた資源の中で集中的にやるのであれば高校・大学かなという気はしております。
 文科省も非常に協力的でありまして、例えばエッセイの募集の話を申し上げましたけれども、文科省が各教育委員会にこういうのをやりますので行ったらよろしくというものを出してくれまして、我々がお願いに行くと、文科省から何か出ているのとそうでないのとでは大分反応は違いますし、なかなか一気にはいきませんけれども、地道にやっていくことかと思っています。
 もう一つは、むしろ年金局の答弁のほうがいいかもしれませんが、学校教育の中で社会保障教育を正面から受けてやっていこうということで、カリキュラムなども変わってきていますし、それに基づいて医療とか年金とか、分野ごとに補助教材を今、文科省と厚生労働省でつくろうとしているという動きがありますので、そういうのとうまく連携してやっていけたらなと思っています。
 ただ、非常に問題なのは、現場の教育サイドからお声がけをしていただくのはいいのですけれども、それにちゃんと応えられるだけの人員の量と質をそろえなればいけない。せっかくお声がけをしていただいたのに、いや、忙しく行けませんということだとそういう御熱心な熱意を無駄にしてしまいますので、行って年金の話ができる職員の量と質をどれだけ確保していくのかというのは今後問題になってくるのではないかなと思っています。

○本田部会長
 長沼委員、どうぞ。

○長沼委員
 長沼です。
 大きく1点目は記録問題の関係です。私も日本年金機構が発足してから、新たな記録問題を発生させないことが大切だと認識しております。今回、年金記録回復委員会から御提言を受けたと伺っているのですが、資格取得届を出したときに、基礎年金番号を記入していない被保険者に対しては健康保険の被保険者証を交付しないという取り扱いをされていると聞いている。そういう形でやることによって、基礎年金番号を重複付番しないということと理解している。現時点でその効果について、なかなか軽々には判断できない段階にあると思うが、窓口ではそんなにトラブルがなく進んでいると理解してよろしいか、お伺いします。
 あわせて、以前も伺ったことがあるのですが、運用3号を発生させない観点からの質問です。資格取得届を出すときは、被扶養者がいれば被扶養者届も提出します。それは3枚複写になっていて、3枚目の用紙は第3号被保険者の該当届出にもなっている。
 ところが、資格喪失届を出すときは、赤い用紙1枚のみです。被保険者本人が資格を失うのだから、それに付随している被扶養者も、当然資格を喪失することになるという考えから、第3号被保険者の非該当届出を提出することは求めていない。それが、第3号被保険者の資格喪失情報が的確に伝わっていない結果につながっているのではないかと認識しているが、運用3号を発生させないために、第3号被保険者を有する被保険者の資格喪失届について、今後見直しのための検討があるのか。届出手続きの見直しを行わなくても、第3号被保険者の資格喪失、非該当情報はしっかりと把握できるのかについてお伺いします。
 関連して、「ねんきんネット」等の関係です。これもよりわかりやすくするために改善が重ねられているということですが、例えば61年3月までは、専業主婦の方についてはカラ期間です。きょう、私、たまたま自分の「ねんきん定期便」を持ってきました。「ねんきん定期便」の[月別納付状況欄の見方]の表示を見ると、「納付済」とか、「未納」、「/」(スラッシュ)、「3号」という表示が記されている。しかしながら、いわゆるカラ期間になる部分についての表示は、どういう形になっているのか。
 例えば、学生についても平成3年3月までは任意加入であったので、カラ期間であり、受給資格をみたすうえで、使えるわけです。ところが、「ねんきんネット」上の表示では、ここの部分については未加入になるのか。あるいは、カラ期間という表示にしてもらうためには、在学証明書等を年金事務所に持っていけば、「ねんきんネット」上の表示では、「カラ期間」と表示してもらえるようになっているのか。新たな記録問題を生じさせないという観点からお伺いします。
 次に、納付率の関係についてです。先ほどの市場化テストの説明で、不落だったということですが、差し支えなければ、23地区のうち13地区、半分以上が予定価格超過で不落だったということですが、一番大きいところでは予定価格と札が入った価格で、どの程度の金額のすき間があったのか、ご教示願いたい。
 あわせて、それによって10月から1月までの4カ月間は、保険料の納付請求業務とか納付受託業務は実施できないということですが、これが納付率に与える影響はどの程度と見込まれるのか。残りの2月、3月、4月でがんばるということかもしれないが、この点をお伺いします。
 あわせて、こういうふうに市場化テストをやったけれども不落、落札しない地区が半数以上あるということだと、考えようによっては、市町村の同意が得られれば、市町村がやってもいいということであれば、市町村に手を挙げてもらうということも検討してもいいのではないかと考えている。
 先ほどの西沢委員に対する答弁で、市場化テストでは、従来は、口座振替を1件獲得すると、1,500円だったものを、インセンティブを高めるために、平成24年10月からは、2,000円に引き上げたということです。市町村が年金相談を実施しても、協力・連携費で、国から交付されるのは、1件当たり165円です。2,000円もいただけるのであれば、口座振替の関係で、市町村が取り組むことのできる可能性はある。さすがに、志木市が他市の自治体まで行くわけにはいきませんが、委託料が適正な金額であれば、これは志木市の行政区域の中だけで、モデル事業なり何なりでやれる可能性はある。ただ、どこの自治体でもやれるのかというと、なかなかそれは難しいと思う。市場化テストがうまくいかないのと相まって、保険料の収納の関係で、もう一度市町村との新しい関係を築くことについてお伺いします。
 あわせて、市町村から機構への所得情報の提供が遅れると、いわゆる全額免除の手続きなどが遅れ、納付率の向上につながらない点があるというお話でした。例えば、システム改修を予定しているということですが、これは子ども手当にしても児童手当にしてもそうなのですが、制度が変わるたびに市町村はシステム改修をやる。法律が変われば当然対応するのですが、児童手当とか子ども手当の場合は、全額国負担です。日本年金機構のほうから市町村に対して所得情報を新しくもらう場合に、システムの改修に要する費用を全額対応していただけるのですか。対応していただけないと、市町村はなかなか腰を上げにくいと思いますが、その点をお伺いします。
 大きい3点目は、評価するときのデータの捉え方です。先ほども国民年金の差押件数を説明されました。ずいぶんがんばっているということで、それは高く評価していきたい。あわせて、差し押さえによって、現金化できたものがどの程度あるのかと、いうことも、今後は評価のところで数字を入れていったほうがいいと考えています。
 先日、事前にレクチャーをいただいたときに伺いました。例えば、平成24年4月の事例ですと、424件差し押さえをし、換価・受入件数は224件で、換価・受け入れた金額は、およそ6,300万円とのことでした。もちろん、差し押さえをした事案が、すべて全部換価できているわけではないですが、換価できたものを見ると、平均で1件当たり30万円ぐらい換価できているデータです。こういう取り組みを数字で示すことによって、評価部会の適正な評価につながっていくと、認識している。
 事業所についても、4年に1回事業所調査を実施するということです。事前にいただいた資料では、約37万6千事業所を調査し、これにより、適用された被保険者の数は、約1万2,500人とのことです。事業所調査によって、今まで適用が漏れていた被保険者が、これだけ適用されるようになりましたという数字も、この評価部会の中でお示しいただいたほうが、いいと思います。今回のデータだけでは確実なことはまだ言えませんが、総合調査、全体の事業所調査をやると、漏れていた被保険者が、調査した事業所の数のおおむね3%程度、適用されるようになるというような評価が、場合によっては出せるかもしれないと考えるので、データの示し方もあわせてお伺いします。
 最後に大きく4点目、市町村などの地域との連携です。1つは地域年金の展開事業ということで、例えば埼玉県ではこういう形で進んでいるとか、具体的な事例についてお聞かせいただければと思います。
 ことしの8月、奈良県で都市部の自治体が集まった年金の会合、全国都市国民年金協議会がありました。そこの場で、市町村の職員が日本年金機構では年金相談のマニュアルをくれないというのを発言されておりました。今回ここで示されている工程表を見ますと、平成25年4月には出していただけるということですが、当然物価スライドの関係で、平成25年4月に額が改定になる可能性があります。今であれば老齢基礎年金の満額が78万6,500円ですが、では、平成25年度はいくらになるのかという金額も、速やかに提供していただきたい。金額の記入された相談マニュアルが、平成25年6月ぐらいに届けられても、それではちょっと遅いという印象なのです。ですから、せっかく市町村に年金相談マニュアルについてお示しをいただけるということであれば、金額の部分は多少空白になったとしても速やかに交付していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
 あわせて、日本年金機構宛に、市町村からも疑義照会がきます。それに対してなるべく早く回答すべきだと思います。8月に奈良であった全国都市国民年金協議会において、こういう場面がありました。事前に、市町村から質問項目がきていたにもかかわらず、回答せず、会場で、日本年金機構のホームページにアップロードされている回答内容は、誤りでしたと答えていました。市町村は、現場で、待ったなしの回答を求められています。疑義照会については、もっと速やかに対応していただきたいと思います。
 以上です。

○本田部会長
 4点ありましたけれども、まず記録問題のほうからお願いします。

○日本年金機構理事(事業管理部門担当)
 それでは、何点か指摘いただきましたけれども、まず記録問題関係で、資格取得届についてきちんと本人確認をして、それが完了するまでは保険証の発行も控えるというようなことで今、実務を進めておりますが、これは、偽名で被保険者証を発行したような事例を背景に、きちんと本人の確認ができてから初めて保険証を出すという取り組みを進めております。これは当然ながら事業主さんのほうにも十分周知した上で今、事務を進めておりますので、現時点で特に窓口あるいは事業主サイドからクレームがあったというふうには認識をしていません。今のところ特にトラブルはないのではないかと思っております。
 資格喪失届の際の用紙の関係の御質問がありましたけれども、まず不整合3号の関係について言いますと、主婦年金追納法は国会でもまだ通っていない状況にありますが、いずれにしましても資格喪失時点あるいは扶養から外れた時点できちんと確認して、そごのない形で種別を適正に位置づけていくということが必要だろうと思っております。
 先ほど長沼委員が指摘された喪失届の関係について、私自身も何か改善する必要があるのかどうかよく確認をしてみたいと思っています。
 納付率の関係、特に市場化テスト事業の関係で何点か御質問をいただきました。今回、予定価格オーバーということで13地区が不落になったわけであります。今まではどちらかといえば安値入札ということで、落札率もかなり低く入っていた現状があります。我々もどちらかというと質を重視するという方向で仕様を見直してきた経緯もあり、今回初めて全国312年金事務所全ての地区で入札をしたという背景もある中で、予定価格超過で13地区が不落になってしまったということであります。
 落札率の件ですき間がどのぐらいかということをおっしゃいましたけれども、具体的な数字はあれですが、高いところで言いますと15%ぐらいオーバーしていたということです。低いところで落札したところも従来に比べますと少し高目にはなっているのですが、8割から1.2倍というレンジで、地域によって一様に評価しにくい状況にあるということです。
 今回、特にこういった事態になってしまったというのは、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、訪問強化ということで、従来、滞納者2.5万人に1人訪問員を配置する仕様にしていたのですけれども、今回これを1.5万人に1人という仕様を示しました。業者から出てきた企画提案書を見ますと、業者のほうもできるだけ訪問を強化しようということで、1.5万人に1人と示した仕様の4割アップぐらいの訪問員の配置の提案になっておりまして、そういった要素もあって経費がかかってしまい、予定価格をオーバーしてしまったということではないかと分析をしております。
 ですから、今度2月に再度公告・入札をしますけれども、訪問員について、訪問員配置が厚ければそれなりに評価が高くなるような形になっていたのですけれども、そこは少し見直しをして再度公告・入札をする予定にしております。
 もう一点、市町村のほうで民間業者と同じように納付督励の業務ができないかという御指摘だと思いますけれども、少なくとも私どもの理解とすれば、今の公共サービス改革法の中には官民競争入札と民間競争入札という2つの入札の方式が定められています。官民競争入札であれば行政体も入札に参加可能だと思っていますけれども、国民年金の保険料収納事業について言いますと、民間競争入札という仕組みでの業者選定という形になっておりまして、そういう意味で、市町村の参加というのは今の枠組みではちょっと難しいかなと私どもは認識をしているところであります。
 もう一点、やや十全な機能で実施できない4カ月間の「納付案内・勧奨事業」について、納付率への影響がどのぐらいあるのかという御指摘がありました。具体的にどのぐらいあるかは、定量的に数字を出しているわけでありませんで、先ほどもちょっと触れましたけれども、できるだけ影響がないように年金事務所のほうの取り組みを強化し、マイナス材料はできるだけなくしていくということで今、取り組みを進めているところです。結果として24年度の実績が最終的に出たときに分析としてその辺がどうなったのかということを機会があれば御報告する形になるのではないかと考えています。
 国年の免除、所得の審査の関係で今回市町村のほうで税制改正もあり、恐らくシステム改修もあり、全体的に作業がおくれたということがあります。システム改修費用について交付金できちんと面倒を見ていただけるのかという御指摘だったと思います。これは、もし間違っていたら局から御指摘いただければと思いますが、基本的には必要な経費を賄っていただけるような対応ができるのではないかと考えているところであります。
 評価するデータについて、例としまして国年の差し押さえについての換価代金の話、厚生年金の事業所調査について、実際に指摘をした結果、事業所数のみならず、被保険者がどれだけ適用になったのかというデータについてもできるだけ示したほうがいいのではないかという御指摘がありました。これについては、データがとれるのかもよく確認した上で、対応できるものは対応していきたいと考えています。
 それから、市町村向けのテキストということであります。相談マニュアルをできるだけ市町村のほうにも提示してくれという話が1点だと思います。内容を確認してみますけれども、機構が事務処理を行う上でつくっておりますマニュアルについて、可能なものについては市町村にもお示しする方向で今、検討を進めているということであります。市町村向けのマニュアルについても別途作成をしたいと考えて今、作業を進めているところであります。
 もう一点は疑義照会について。奈良市の全国都市国民年金協議会の会議に私も出ましたけれども、確かにあの場で疑義照会について市町村から御指摘を受けて訂正をするというのは対応として大変まずかったと思っております。日ごろの疑義照会の問い合わせもできるだけ早く回答したいと思いますし、今回のような事態は今後ないように十分対応したいと考えているところであります。

○日本年金機構理事(事業企画部門担当)
 カラ期間でございますけれども、「ねんきんネット」上は「未加入」という形で出てきます。というのも、私どもは、過去の段階でその方が学生だったか、海外におられたのか、あるいは結婚しておられたのか、扶養状態がどうだったのかというデータは当然わかりませんので、あくまで制度に入っているか、入っていないかという状況でしかお知らせができないということであります。実際の現場ですと裁定のときにいろいろお話を聞いて、カラ期間ならカラ期間ですねという対応をしていくということになります。
 ただ、先ほどちょっと御説明しました「気になる年金記録、再確認キャンペーン」の中では、そういった期間について「未加入」と出てきますけれども、あるいは学生時代に任意加入しておられたかもしれない、あるいは国民年金に奥さんとして任意加入していたかもしれないという方については、漏れや誤りの可能性もありますので年金事務所のほうに言ってきてくださいということで、先ほど申し上げたパンフレットの中に任意加入の点についても記載するようにはしております。

○事業管理課長
 システムの関係のお話でございます。先生から今、児童手当の話がありましたけれども、私は前職が児童手当の管理室長でございましたので、そのときもシステムのことにつきましては非常に苦労した覚えがございます。
 と申しますのが、私どもは、システムについては普通、予算を一定の額で確保するわけですが、市町村のシステムの状況というのはさまざまでございます。もう御承知だと思いますが、割とどこにでも使える汎用的なソフトでやっていらっしゃる市町村もあれば、大きなところはオーダーメイドでつくっていらっしゃるシステムもあります。場合によっては税とかほかのシステムの改修と同時期につくって安く上がったり、いろんな状況によってかかる経費はさまざまでございます。そのお金は基本的には国のほうで面倒を見るということだと思っておりますが、それによって私どもで予定している予算の額をオーバーする可能性が全くゼロではないという苦労を抱えながらシステム改修をやってきた覚えがございます。
 この年金のシステム改修につきましても基本的に国のほうで面倒を見るという話だと思っておりますし、今までは全部の市町村が同時にスタートするわけではないので、少しタイム差がある中で予算をカバーできたり、要するに、全体の中で何とかさばけてきたところです。基本的には私どものほうで面倒を見ていくという形での予算要求をしていますし、そういう考え方に沿ってやっていこうと思っております。

○本田部会長
 どうぞ。

○長沼委員
 2点だけ再質問をさせていただきます。
 カラ期間の表示の関係です。裁定請求をするときに、はっきりさせたり、あるいは年金事務所や市役所で見込み額を打ち出すときは、一応受給資格があるような形でデータを入力して年金見込額を打ち出します。しかしながら、「ねんきんネット」で見たときに、「未加入」と表示されます。例えばこれから年金の支給開始年齢が61歳、あるいは62歳からとなったときに、40年も前の学生のときは任意加入だった、ということをどう証明していくのか。これから受給資格が10年になるということで、大方の方は、カラ期間を使わなくても受給資格を満たしていけると思います。
一方で、「ねんきんネット」上で「未加入」と表示され、○○年○月から△△年△月からまではどこどこ大学に在学していたと記入したり、そのときは専業主婦をしていましたと、【私の履歴整理表】が作成できるようになっているのです。
 ところが、「ねんきんネット」上では、「学生」や「専業主婦」の任意加入期間中の「未加入」は、「未加入」としか表示されない。【私の履歴整理表】で、学校などの履歴情報を記載できるようにしているにもかかわらずです。任意加入期間中の「学生」や「専業主婦」は、カラ期間で、受給資格にカウントすることができます。「ねんきんネット」でいつでも居ながらにして加入記録を確認できるということであれば、どこかの段階で、その期間は専業主婦をやっていました、この期間は学生をやっていましたというふうに、年金事務所なり市町村経由で【私の履歴整理表】を提出したときに、それがネット上でも表示できるような形のものにならないのか。ネット上ではいつまでたっても「未加入」となる。改善ができるのか。ただし、そのためのシステムの改修で、膨大な経費がかかるというのでは、やはりいかがなものかと思います。今後ぜひ、一度検討していただければと思います。
 最後に1点。先ほどお答えがなかったのですが、「地域年金展開事業への取り組み」です。例えば、埼玉県なら埼玉県ではこういう形で展開をしているとか、首都圏でこれに取り組んで、例えば1ポイントとか2ポイント国民年金の納付率の向上につなげていくとか、そういうお話があればお聞かせいただければと思います。
 以上です。

○日本年金機構理事(事業企画部門担当)
 先ほどの地域の関係は各地でいろんな工夫をやっています。ただ、それで国民年金の納付率が何%上がったかという因果関係の証明はなかなかできない話だと思います。いずれにしてもベースとしてはそういう底上げをやっていくというのは必ず必要なことだと思いますので、これは努力してやりたいと考えています。例えば国民年金の納付率低下の要因として、納付率が高い高齢層が加入から外れて、納付率の低い若年層が入ってくる、その人口差ですというような説明をよくされるのですけれども、そうであればこそ若い層の納付率の底上げをいろんなツールを使ってやっていくということに尽きるのではないかと思います。

○本田部会長
 岩瀬委員、どうぞ。

○岩瀬委員
 年金キャンペーンに関して確認というか、お聞きしたいのです。漏れや誤りや気になる方への確認の呼びかけというのは、漏れが見つかりやすいパターンを整理してパンフレットにし、個別に各種便で届けるという理解でいいのか。あるいはそういうパターンにはまる人には各種便の中で、パターンにはまる可能性があるのでもう少しチェックしてほしい、そこまで踏み込むのかどうかというのを1つ確認したい。
 もう一つは先ほどの不落の話です。これは随契で補ったということですけれども、どういう人たちとどういう随契をしたのか、その中身についてもうちょっと教えてもらいたい。
 もう一点、年金委員への研修の中身をもう少し具体的に教えていただけないか。この3つです。

○日本年金機構理事(事業企画部門担当)
 「気になる年金記録、再確認キャンペーン」について、年金記録回復委員会でお出しした資料に沿って御説明します。まず、受給者の方にダイレクトメールを出しますので、その中で代表的事例、若いころに勤めていた記録が見つかったパターンとか、結婚前の旧姓の記録、あるいは名前の読み方が誤っている方、そういうものが幾らから幾らまでふえましたという具体例を入れてやるというのが1つです。
 また、チェックリストも作成しますが、これは大きくなりますので、ダイレクトメールとは別にパンフレットをつくっていろんな団体にお願いしてお配りするようにしようと考えていますが、その中には先ほどちょっと御紹介したような任意加入の話もありますし、例えば働いておられたような場合でも、今、言ったようなパターン以外にも、同じ会社の中で転勤や出向が多かった方とか、会社が合併とか社名変更をした方とか、あるいは保険の外交員をやっておられた方や期間工の方、こういった記録判明の多いパターンについても幅広くそのパンフレットの中に記述することにしています。

○岩瀬委員
 ということは、あなたはそのパターンにはまるということですか。

○日本年金機構理事(事業企画部門担当)
 それはわかりませんから。

○岩瀬委員
 わからないのですか。

○日本年金機構理事(事業企画部門担当)
 年金記録回復委員会の御議論に従ってよくある記録判明のパターンについてダイレクトメールやパンフレットに御提示して、思い起こしていただいて、気になる方は年金事務所へ言ってきてくださいということです。機構はあらゆる人のあらゆる人生を知っているわけではありませんので、そこは御本人に確認していただくことが必要です。

○岩瀬委員
 わかりました。

○日本年金機構理事(事業管理部門担当)
 それでは、国民年金の市場化テスト事業について、10月から4カ月間の随契でやった事業の関係、どういう形での選び方をしたのかということであります。
 市場化テスト事業について言いますと、これは価格だけでなくて、技術面の評価をした上で最終的に価格の競争という形になっています。
 不落になった13地区について言いますと、本年10月の入札に参加した業者を対象にしました。ですから、一旦評価はクリアしているところだと考えていただければといいと思います。入札に参加した業者を対象にしまして、そちらから見積書を徴取し、その中で予定価格の範囲内で一番低い価格を提示した業者を選んで随契をしたという形になっています。

○日本年金機構理事(事業企画部門担当)
 年金委員の研修の話ですが、1つは有識者の方から年金制度の説明や年金局に来ていただきまして、大きな制度改正の内容を知っていただきました。また、年金委員さんにお願いしているようないろんな地域の事業やねんきんネット等の説明も行いました。あと、それぞれの地域でどんなことをやっておられるか、情報交換をしたいという声もありましたので、幾つかの小グループに分けて、うちはこんな取り組みをしているとか、逆に機構なり年金局にこういったことを考えてくれないかといったような意見交換もやったというのが内容であります。

○岩瀬委員
 こういうことをしてほしいとか、パンフレットを渡して広めてほしいというのでなくて、むしろ情報交換が中心だったという感じですか。

○日本年金機構理事(事業企画部門担当)
 こういうことをしてほしいという話は、毎年度、年度当初に年金局のほうから各年度の年金委員の活動方針が示されますので、それは別途事務所を通じて各年金委員さんのほうにお知らせをします。
 もちろん、研修は、年金委員さんが全員来るわけではありませんので、各ブロック毎に、地域型の方と職域型の方と何人か来ていただき、情報交換なり、今後の年金委員の運営についていろんな御意見を逆に私どもが聞いたりというような感じでやりました。

○岩瀬委員
 それは継続的にやっていくということですか。

○日本年金機構理事(事業企画部門担当)
 ことし初めてだったのですけれども、ほかの県でどんな取り組みをしているのだとか、年金制度改正は新聞や何かでよく見るのだけれどもどうなっているのだとか、そんな話を聞く機会が欲しいという現場の年金委員さんからの声もありましたので、今年度初めてやってみたということです。
 今年度の状況も踏まえて、基本的には来年度以降も継続してやろうと思っていますけれども、内容については、今年やったことの評価も踏まえて改善すべきところは改善していこうと思っています。

○本田部会長
 斎藤委員、どうぞ。

○斎藤委員
 2つ教えてください。
 46ページのところで重点的加入指導を150%達成なさったというすばらしい数字が出ているのですが、それにもかかわらず適用率が23%というのはよくわからないのです。私の会社は小さなオフィスですが、指導が入ると一大事!とすぐに反応します。それが普通だと思うのですけれども、2割ぐらいの人しか慌てて反応しないというのは何か事情があるのか。そこら辺のことをちょっと教えていただけたらと思います。
 もう一つは年金記録です。100歳以上の方が140万人いることになっているというのはどう考えてもおかしいわけで、ある程度その方たちに向けて何らかの形で告知をして、もう記録を消去しますとか、何か割り切る方法というのも必要ではないかと思います。そういう方向で、お考えになっているのかということを教えてください。

○日本年金機構理事(事業管理部門担当)
 まず、厚生年金の適用の関係であります。斎藤委員から御指摘がありましたように、重点的加入指導をやって実際に適用に結びついたのが17%、2割を切っている状況ということです。確かに法律上は、一定の要件に該当すれば当然ながら適用事業所になっていただくというのが本来の姿ですけれども、これが指導してすぐに、はい、わかりましたというふうになれば、この業務は大変やりやすいのですが、なかなかそうはならないのが実情であります。従来は適用に結びつけるということ自体が目標になっていなかったのです。先ほども申し上げましたけれども、12%ぐらいの実績でしかなくて、とりあえず回数、加入指導の件数で目標を立てていたのです。加入指導をして適用に結びつけていくのが大変重要なところで、そこを目標にしていますが、これは加入指導を1回やっているだけではなくて、基本的に2回とか3回やってもなかなか理解をいただけないところが多いわけです。
 今、50人以上、特に従業員規模が大きいところについては特定管理事業所、資料にちょっと触れていますけれども、そういった形で実際に指定をして本部もブロック本部も絡んで指導しようというようなことも取り組んでいます。そうはいってもなかなか加入していただけないのが実情です。
 ですから、もう告発をしたらどうかという御意見もあって、特定管理事業所でやってもだめなところは告発ということも手段として考えたいという方向で今、整理をしているところです。ここは相手の事業主さん、事業所さんのほうがなかなか理解をいただけなくて、適用されれば保険料負担を伴うものでして、払いたくないから入らないとか、いろいろ御事情はあるのだと思いますけれども、現状はこういった状況で、そこをできるだけ適用に結びつけていくということを強化するしかないと考えているところであります。

○日本年金機構理事(事業企画部門担当)
 記録の関係ですが、これは7月24日、年金記録回復委員会に出したデータの際にも御説明したのですが、宙に浮いたものでも生年月日が入っているのがありますので、そこから見ると、今の時点で100歳以上になっているのは138万ケースぐらいありますが、まさに記録はあるのですけれども誰か特定できないので宙に浮いているわけでありまして、その人が生きているか、死んでいるかというのは、少なくとも我々のデータではわからないという状況であります。
 もちろん、今、言った100歳以上のところは極端なので、ほとんどの方が亡くなっているのだろうとは言えるのですが、それ以外の宙に浮いた記録二千何百万人の方がいまして、年代の高い方が多いのですけれども、その方が本当に亡くなっているかどうかということについてお一人お一人の確証はなかなか持てない。そういう意味で、冒頭申し上げましたように二千何百万件の宙に浮いたものはまだ残っている状況です。
 我々としては、先ほど御説明したキャンペーンをやることによってお一人でも多く気づいていただいて年金に結びつけていくというのが大事だろうと思っています。したがって、このキャンペーン自体も、いろんな団体に広報していただくのは無期限というわけにいきませんので、1年間ぐらい集中的にやっていただこうと思いますが、もちろん実際事務所に来ていただければ、探して統合する作業というのはいわば半永久的にやっていきます。節目年齢での定期便が行きますので、若いころ働いていたのが入っていないということであれば、むしろ積極的に言ってきていただく、そういう趣旨のキャンペーンであります。

○本田部会長
 斎藤さんがおっしゃっていたのはちょっと違うでしょう。

○日本年金機構理事(事業企画部門担当)
 記録を一方的に消すことはできません。

○斎藤委員
 消せないというのは、現状ではわかりますが、それを法的に正当な形で、何かできるのではないかというのが私の意見です。

○日本年金機構理事(事業企画部門担当)
 銀行の休眠預金の取扱いみたいな感じですか。

○斎藤委員
 はい。

○日本年金機構理事(事業企画部門担当)
 それは立法措置が要るのではないでしょうか。

○斎藤委員
 ですので、それを御検討いただいているかどうかということです。

○日本年金機構理事(事業企画部門担当)
 そういう話ですと、機構というより、年金局の話になります。

○斎藤委員
 年金というのはそもそも不公平にできているものですから、ある程度割り切ってしまってもいいと思うのです。そういう方向にぜひ動いていただきたいというのが本音でございますけれども、今、どういう状況かを伺いたいと思います。

○事業企画課長
 それでは、私のほうから申し上げます。基本的に記録問題は全力を挙げて取り組んでおるところでございます。現時点においては残った記録問題をまずは全力を挙げて取り組むというところが最優先でございます。本日各委員からいろいろいただきました御意見も踏まえて私どもの中でも議論してまいりますけれども、この年金記録に関しては、現時点においては、まずは未統合記録を1件でも減らしていく努力をしていくことが最優先というのが現状でございます。

○日本年金機構理事(事業企画部門担当)
 なお、日本の最高齢以上の年齢になると想定されるものは5,000万件のデータの分析上は死亡とみなしています。120歳ぐらいです。

○本田部会長
 まだいろいろと御意見もあろうかと思いますが、一応質問はここまでにさせていただきます。
 冒頭、理事長のほうから今年度上期の実行状況のお話がありました。率直に申し上げて順調に進んでいるように伺いました。きょう、いろいろと委員の皆さんから御意見等もありましたので、これからも24年度の計画の達成に向けてぜひ機構のほうは頑張っていただきたいと思います。
 それでよろしいですね。

○大山部会長代理
 済みません、議事録に残しておきたいので30秒だけくれませんか。
 意見だけ申し上げます。年金局さんも日本年金機構さんも言えないと思うので、こちらからこういう意見を申し上げるということで、聞いてください。
 1つは、斎藤委員が言われたとおりで、収束させる方法を考えなければだめでしょうということです。それも立法措置を伴ってやるぐらいのことは、皆さんから言いづらいだろうから、そうすべきだろうというのを申し上げたいと思います。
 もう一つはシステムの件です。システムで見ていると、単純に手続等が簡素化されて利用者にとっては便利になるような例が幾つかあって、これは非常に高く評価できるのですが、システムで見ると、従来のやり方と新しい方法と二重系、三重系でつくっていくようなやり方になっています。今のシステムは、御案内のとおり、ずっと昔からのものを引きずっていまして、ここで改善すると一見よくなるだろうと思うけれども、実はそうでなくて、より複雑にしている。このまま10年、100年もつわけがないので、その辺をどうお考えか。これも皆さんのほうから言いづらいと思いますが、前のルールを変えるぐらいのことをやらない限り、最後の最後、お手上げになってから言ってもしようがないと思うのです。その辺のところについてはぜひ前向きに案をおつくりいただいた上で、ほかから言わなければいけないのだろうと思いますけれども、お考えいただきたいなと思います。
 以上です。

○本田部会長
 それでは、次回の日程等につきまして事務局からお願いいたします。

○事業企画課長
 次回は、例年のスケジュールで申しますと、来年の4月に翌年度の計画、具体的に25年度計画の報告と24年度の評価基準(案)の御議論をお願いするということになります。
 ただ、来年度は26年度以降の次期中期目標の議論をお願いしなければいけません。また諮問事項ではございませんが、中期目標と裏腹の中期計画も視野に入れて御議論をお願いしなければならないことになります。したがいまして、まずは現在の中期目標、中期計画の実績のレビューというのも御議論をお願いしたいと思っております。
 本日は24年度の上半期の実績を機構から御報告いただきましたけれども、年度全体の実績報告は、例年ですと来年の6月になる予定です。こうした24年度の実績の評価のスケジュールをにらみながら、いつごろからレビューをするかということをまた部会長とも御相談をさせていただいて進めてまいりたいと思います。
 したがいまして、次回の日程は、年明け以降、改めて皆様の予定を確認させていただいた上で正式な御案内を差し上げたいと存じます。
 以上です。よろしくお願いいたします。

○本田部会長
 それでは、本日の会議はこれで終了させていただきます。長時間どうもありがとうございました。


(了)

(連絡先)
厚生労働省年金局事業企画課
03-5253-1111(内線3574)

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