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2012年11月2日 第88回労働政策審議会職業安定分科会議事録

職業安定局総務課

○日時

平成24年11月2日(金)10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 厚生労働省省議室9F


○議題

(1)高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律関係政省令及び告示について(諮問)
(2)その他

○議事

○大橋分科会長 定刻になりましたので、ただ今から「第88回労働政策審議会職業安定分科会」を開催します。議事に先立ち、当分科会に属する委員の交代がありましたので、御報告します。当分科会の労働者代表委員として、古市委員に代わり全国建設労働組合総連合書記長の勝野委員が就任されておられます。
○勝野委員 古市と交代しました全建総連の勝野です。よろしくお願いします。
○大橋分科会長 本日の委員の出欠状況は、公益代表の岩村委員、清家委員、樋口委員、宮本太郎委員。労働者代表の住野委員。使用者代表の上野委員、久保委員、坂倉委員、田沼委員が御欠席となっております。なお、久保委員の代理として、株式会社上組の深井様に御出席いただいております。また、宮本みち子委員は、交通機関の事情により遅れて出席するとの連絡が来ております。林委員も少し遅れるとの連絡があります。
 本日の議題は、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律関係政省令及び告示について」及び「その他」です。公益委員の定足数は3名ですので、宮本みち子委員が到着されるまで答申はできないということなので、少し議題を入れ替え、最初に説明からお願いすることにします。「その他」の報告事項より先に行います。資料の「出先機関改革に係るアクション・プラン(ハローワーク)の進捗状況」について、事務局から御説明をお願いします。
○公共職業安定所運営企画室長 「その他」の議題について、資料の説明をします。参考資料「出先機関改革に係るアクション・プラン(ハローワーク)の進捗状況」を御覧ください。1ページですが、これはいつもお出ししておりますアクション・プランに基づく一体的実施のポンチ絵です。これは説明は省略します。
 2ページですが、アクション・プランに基づく自治体からの提案募集の状況です。これも毎回、安定分科会でお出ししておりますが、最新の状況として平成24年11月1日現在です。2「提案の状況」の(1)を御覧ください。提案は、都道府県で30道府県、市区町村で58市区町とかなり増えてきております。事業を開始したものが四角の枠囲いをしているものですが、28道府県、42市区町となっています。残りの所も、実施に向けて協議中ということです。
 9月の安定分科会でこれと同じ資料をお配りしておりますが、その後、兵庫県、都道府県で1つ提案が出てきております。事業開始が5つ増えております。富山県と、市区町村でいうと川越市、綾瀬市、西宮市、江津市、合わせて5か所その間にスタートしたということで、実施箇所数も着々と増えている状況です。
 2の(1)のいちばん下に※で書いてありますが、ここの自治体名の横に★を付けている所、6県12市町につきましては、一体的実施に係る運営協議会に労使の御参加をいただいている、あるいは参加予定であるという所です。これ以外の所についても、現在調整中という所がございます。これが提案募集の状況です。
 3ページを御覧ください。ハローワーク特区の状況についてです。ハローワーク特区については平成24年10月スタートということで、前回までの安定分科会で御報告を申し上げておりました。こちらは、佐賀のハローワーク特区です。10月1日に予定どおり事業を開始しております。上の半分はハローワーク特区のスキームでして、佐賀県知事と大臣で協定を締結し、協定に基づく指示が出せるという仕組みです。真ん中に協定の主な内容が書いてありますが、これは8月30日に締結したものです。
 協定の中で、特区で推進する主な事業は、もともと3つ決まっておりました。そこにある若年者就労支援の強化、障害者就労支援の強化、ハローワーク佐賀管内の市と連携した福祉から就労への支援の強化ということで、この3本柱で行くことが協定の段階で決まっておりましたが、その後、事業計画を策定して具体的に10月1日からスタートしたということです。
 3ページのいちばん下に3つ箱を作っておりますが、これが事業計画に書き込まれた具体的な内容です。いちばん左側の「若年者就労支援」については、もともと県が運営するジョブカフェSAGA、国のヤングハローワークSAGAがございましたが、これを一体的に運営するための施設整備を行う。開庁日及び開庁時間で統一されてない部分がありましたので、それを統一することをしました。県部分、国部分に関わらず、受付から職業紹介まで切れ目のない支援を行う。さが若者サポートステーションも近接していますので、就職困難な若者について、そこの3機関でチーム支援を行う。このようなことを内容としております。
 真ん中の「障害者就労支援」です。こちらも国と県が今までより連携して事業を実施しようという内容です。1つが、ハローワークと県がチーム支援を行う。それによって、就労移行支援事業所にいらっしゃる障害者の方を、一般就労へより近づけていく支援を強化しましょうという内容です。もう1つは、ハローワークの求職者情報、あるいはハローワークが事業所訪問したときの情報などを、県と共有して効率的な事業を推進しましょうという内容です。
 いちばん右側です。「管内の市との連携」ということで、ここは内容としては、生活保護受給者への就労支援の強化です。佐賀においては特区より前に、佐賀市との間では通常の一体的実施で、生活保護受給者への就労支援をスタートしておりましたが、残りの3つの市、多久市、小城市、神埼市と連携した強化を特区の枠組みの中で行うこととしております。こちらについては、具体的には週1回定期的にこの3市の福祉事務所をハローワークのナビゲーターが巡回して、職業相談・職業紹介を行うという取組みを開始したところです。
 4ページを御覧ください。こちらが具体的な特区の事業計画になります。平成24年度は10月1日スタートですので半年分になりますが、その間に取り組む内容を書いています。ここについては、若年者、障害者、生活保護受給者について、具体的にどのようなことを行うかが、先ほど前の資料で申し上げたことを少し細かく書いています。
 全体の7ページのいちばん下に「事業目標」がございます。これは通常の一体的実施でも同じですが、国と自治体で話し合って事業目標を立てて、それの達成に向けて取り組むこととしております。具体的な数字は8ページになりますが、例えば若年者就労支援でいえば、利用者数6,700人、正社員就職者数500人などという目標を立ててスタートをしたところです。
 埼玉の特区ですが、9ページです。こちらも同様の資料のつくりになっております。いちばん上は特区の枠組みで、真ん中に「協定の主な内容」とあります。埼玉との協定も同じく8月30日に既に結んでおりましたが、内容としては、そこにあるハローワーク浦和の行う支援と埼玉県の行う支援を一体的に実施することなどによって、若者、女性、中高年及び障害者の就職支援並びに事業者向け支援の強化が1つ。生活・住宅総合相談窓口の設置などによる求職者に対する支援の強化が、もう1つ。これが協定で決まっていた取組みの内容です。
 その後事業計画を策定し、いちばん下の箱に内容が書いてあります。こちらは「ハローワーク浦和・就業支援サテライトの新設」がいちばん目玉の内容になっております。ハローワーク浦和の本所と別の所ですが、武蔵浦和駅前の埼玉県のお持ちの施設、ラムザタワービルですが、ここに新たな窓口を設けて、相談から職業紹介までワンストップで支援する施設を設けております。
 コーナーを5つ設けており、①ハローワークコーナー、②マザーズコーナー、ここは通常のハローワークと同様のものです。③中高年コーナーは県が実施している部分。④生活・住宅総合相談コーナーは、県とさいたま市も一部窓口を作って相談を受けるコーナーです。⑤は福祉人材就職コーナーということで、社会福祉協議会に委託して実施をしている所です。①~⑤の窓口が、互いに横の連携を図りながら支援するということでスタートしております。埼玉の特区は右肩に書いてありますが、10月29日スタートということで、ちょうど1週間経つという辺りですので、また実績をよく見ていきたいと思っております。
 埼玉の事業計画がその次のページからです。これも同様に平成24年度は下半期だけをカバーする計画ですが、事業の概要として、先ほどポンチ絵で申し上げた内容が書いてあります。
 11ページは、「事業目標」です。ハローワーク浦和・就業支援サテライトの利用者数、就職者数、就職率などを目標として立てて、ちょうどスタートをした状況です。参考資料の説明は以上です。
○大橋分科会長 本件について御質問、御意見がありましたら、御発言ください。
○中島委員 一体的実施における地域の労使の参画について、意見を申し上げたいと思います。2ページに自治体からの提案状況が記されておりますが、その中で労使の参画している自治体の数がまだまだ少ないように感じております。一体的実施の運営協議会に、実際に施設を利用する労使が参画することは、この取組みをより実効性あるものにしていくために重要であると考えております。それぞれの地域において、自治体と国に加え労使の代表者が参画するとともに、労使の意見が事業運営に反映されるよう、関係各所に対する更なる周知・指導を是非ともお願いしたいと考えています。
○新谷委員 今日の御報告にはなかった点です。前回の9月14日の分科会で質問しました、広島市と厚生労働省との協定化の動きについて、確認したいと思います。新聞報道なので真偽のほどは分かりませんが、10月17日付で全国紙である『日経産業新聞』で、広島市が提案していた協定締結提案に対して、10月10日に厚生労働省から大枠で合意するという回答を得たという報道がございました。この中で、労働局と市が情報連携を密にし、市長と厚生労働大臣が雇用対策協定を結ぶとされています。大臣と市長が結ぶ協定は、初めての試みという報道もございます。また、松井市長の発言として、「最終的には権限を移してもらおうとしている」という囲み付きの発言の内容が掲載されております。いずれにしても新聞の報道ですので真偽のほどは私も確認はしておりませんが、こういう報道があったということです。
 ここでお聞きしたいのは、前回の分科会の際には、広島市との協定の内容についてはまだ提案が出た段階であるということで、広島市と広島労働局の間で提案内容について具体的な確認作業をしているということでした。厚生労働省としては提案内容を踏まえて検討するという回答ではあったわけですが、真偽のほどは分かりませんが、10月10日には厚生労働省から回答があったという報道が出ておりますので、それが真実であればこの分科会で御報告いただいて然るべきではないかと考えているわけです。
 また、非常に懸念しておりますのは、先ほど御報告のあった2つの案件である一体的取組みとハローワーク特区との関係についてです。アクション・プランについては2010年12月の閣議決定に基づく対応であること、ハローワーク特区については、総理大臣主催の地域主権戦略会議で確認された内容であることは承知しております。それでは広島市の動きは、いったいこの2つのカテゴリーのどれに属するのかを確認したいと思っています。
 もちろん私どもとしては、基礎自治体の住民サービスを国の出先機関である労働局・ハローワークと一体となって取り組まれて、住民・労働者・求職者に対するサービスが向上するのは非常に望ましいと思っているわけですが、それがどのような根拠に基づいて取組みをされるのかが分からない。つまり、政令指定都市の市長との協定がどのような根拠に基づくのか分からない中で進められていくことに対して、非常に危惧というか懸念を持っております。
 お聞きしたいのは、広島市との協定は、どのような根拠に基づいて推進をされているのかが1点。もう1つは、新聞にも出ておりますが、市長と国務大臣で協定を結ぶという事例が、厚生労働省だけではなくて、そのほかの省庁にもこのような事例があるのかどうかです。出先機関が地元にあるわけですから、広島市だと広島労働局長との協定が普通思い浮かぶところですが、直接大臣と市長が結ぶ協定が、霞が関全体の中でも事例があるのかどうかをお聞かせいただきたいと思います。
○公共職業安定所運営企画室長 広島市の提案についてのお尋ねです。広島市は、9月5日に厚生労働大臣宛ての提案を行っております。内容は、市と国との共同による住民のための雇用対策推進のために、市長と大臣が広島市雇用対策協定を締結すること、生活困窮者の就労支援を全区で実現するという内容になっております。これはハローワークの地方移管を内容とする提案ではございません。その後、広島市と広島労働局の間で提案の具体的内容を確認していたところですが、10月に広島市の提案を基本として、実現に向けて具体的な調整に入るということで合意をしております。
 今回の広島市の提案ですが、これは特区との関係でいえば、労働局長への指示を行うという提案ではありませんので、ハローワーク特区とは全く異なると考えております。広島市では、今年7月から2つの区で一体的実施を開始しておりますが、今回の提案にはそれを全ての区に拡大するという内容も含まれておりますので、今回の提案の一部は一体的実施とも重なっているものです。
 もともと国による全国ネットワークを維持した上で、自治体と連携を積極的に進めるべきだというのは、厚労省の考えでもありますし、労働政策審議会からも御意見をいただいていたところです。したがいまして、アクション・プランが始まる前から国と自治体で協定を締結している例はございます。例えば北九州市長と福岡労働局長、あるいは福岡市長と福岡労働局長などが協定を結んでいると。それは一体的実施とも異なるし、特区とも異なる連携のあり方として、今も行っているところです。
 今回の広島市のケースはこれに似たものですが、広島市長は指定都市市長会で、ハローワークについて審議している経済・雇用部会長というお立場でもあり、広島市長からの提案であること。国による全国ネットワークは維持した上で、国と自治体の連携の1つの方法としてこれはモデルとなり得るものだということで、これは小宮山大臣、三井大臣の御了解もいただいて実施することにしているところです。
 例ですが、国務大臣と市町村長が合意文書を締結している例としては、防衛庁長官と市長・村長が合意書という形で結んでいる例はございます。
 今後についてですが、平成25年度からの取組みが開始できるように、平成24年度中に協定の締結に向けた作業を行っていきたいと考えております。これは今後、節目節目で、職業安定分科会に対して状況の御報告あるいは御説明をしていきたいと考えております。
○新谷委員 分かりました。広島市のケースは一体的実施でもなければ、ハローワーク特区でもないということ、国の全国ネットワークは維持するということは、今御答弁でいただいたわけです。先ほど一体的実施でもなく、ハローワーク特区でもない例として、北九州市の例が挙げられたのですが、協定の当事者として、国側はいったいどなたが市長と協定されているのですか。
○公共職業安定所運営企画室長 北九州の例で言いますと、福岡労働局長になっております。
○新谷委員 分かりました。国務大臣と市町村長が協定を結んだ例としては、先ほど挙げられた防衛庁長官と沖縄の名護市長、宜野座村長ということですが、これは普天間の移設に関する国の基本政策に関する協定であると思います。私が非常に違和感を覚えているのは、国務大臣と市長が協定を結ぶということについて、10月初旬に回答を出したことが、なぜこの分科会で報告されなかったのかということです。前回もこの点を質問したところですし、そういった大きな動きが出ているのであれば、この分科会で内容を是非開示していただきたかった、というのが率直な所感です。
○公共職業安定所運営企画室長 広島市との関係については、これから具体的に実際の取組み内容を詰めていくことになりますので、こちらの分科会にはその都度状況を報告したいと思っております。
○大橋分科会長 では、今後よろしくお願いします。その他いかがですか。よろしいですか。次に「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律関係政省令及び告示について」です。本議題については、10月2日の雇用対策基本問題部会において、あらかじめ議論を行っていただいております。なお、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」については、10月2日付で、「高年齢者等職業安定対策基本方針(案)」及び「高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針(案)」については、本日付で厚生労働大臣から労働政策審議会長宛て、諮問を受けております。資料及び雇用対策基本問題部会での議論について、事務局から御説明をお願いします。
○高齢者雇用対策課長 高齢者雇用対策課長の中山です。9月14日に、本分科会が開催をされています。その際報告いたしましたとおり、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正し、来年4月1日から施行するに当たり、検討をお願いする政省令、告示の整備について、これからお手元の資料に基づいて説明をいたします。ただ今、分科会長からお話がありましたとおり、10月2日、雇用対策基本問題部会において議論をいただき、政省令案、告示案について妥当なものとして了承をいただいていることを申し添えさせていただきます。
 初めに、改正の内容について、資料?5-3を御覧いただきたいと思います。既に御案内のとおりですが、今回の改正の趣旨は2つほどあります。1つ目は、少子高齢化が進展する中、働くことができる人全てで社会を支えていく「全員参加型社会」の実現が求められている中で、高齢者の就労促進を進めていくことが必要であること。また、ここには明示的には書いていませんが、老齢厚生年金の支給開始年齢が、来年4月から61歳に引き上げられるということで、無収入・無年金の人が生じないように、雇用と年金の確実な接続を図ることが必要である、といった2つの趣旨がこの改正法の背景にあるわけです。
 具体的な中身を申し上げます。1点目は、「継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止」です。現行法の第9条第2項には、継続雇用制度の対象となる高年齢者について、事業主が労使協定により定める基準により限定できる仕組みがありますが、これを廃止するということです。
 2点目は、「継続雇用制度の対象者を雇用する企業の範囲の拡大」です。継続雇用制度の対象となる高年齢者を雇用する範囲を、グループ企業にまで拡大する仕組みを設けるということです。これが、後ほど説明いたします省令で規定する事項です。
 3点目は、「義務違反の企業に対する公表規定の導入」です。現在、高齢者雇用確保措置義務に関する助言、指導、勧告といった規定が設けられていますが、更に企業名を公表できるという規定を設けたものです。
 4点目は、「高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針の策定」です。現行法の第6条第3項、高年齢者等職業安定対策基本方針の中で、高年齢者雇用確保措置の指針となるべき事項が定められていますが、その根拠規定をこの高年齢者雇用確保措置の規定のあります第9条に移して、独立した指針を設けるという整備を行ったものです。この点については、衆議院の民自公3党による修正で加わったものです。この点は、後ほど大臣告示、指針のところで御説明いたします。
 最後は、「その他」事項です。1点目で申し上げました、今般廃止となる労使協定により対象者を定める基準により継続雇用制度の対象者を限定するという仕組みに、12年間の経過措置が設けられるということです。以上が、改正の概要です。
 続いて、当分科会で御検討いただく事項について、個々に御説明いたします。資料?1を御覧ください。こちらは、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行令の一部を改正する政令案」です。資料?1-1に、内容が書かれています。これは、今回政令の附則第4項から第6項の削除、及びその他所用の整備を行うといった内容です。この附則第4項から第6項の削除については、平成16年の「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律」により定められていた経過措置期間が、平成22年度末で終了していまして、現在効力を有していませんので、その関係の政令の規定を削除すると。いわば形式の整備ということで、報告事項という形で整理をさせていただいているものです。
 続いて、資料?2です。「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案」です。これは綴じ方が反対からになっていますが、1枚めくっていただきますと要旨が出ています。内容を御覧いただきますと、(1)特殊関係事業主と書いてあります。これは、法律の第9条第2項に規定します、厚生労働省令で定めることとされている特殊関係事業主について規定するものです。(2)は、再就職援助措置の対象となる高年齢者の範囲等です。これは、継続雇用制度の対象者を限定する基準が廃止となることから見直しを行うもので、経過措置に基づいて省令の第6条において基準が残る部分についての手当てをするものです。(3)の高年齢者雇用状況報告書については、文言整理等、継続雇用制度の対象者を限定する仕組みが廃止されたことに伴う所用の整備を行うものです。
 なお、この省令については、先ほど分科会長からお話がありましたとおり、諮問事項ということで、資料?2-2に諮問文が付けられています。厚生労働大臣三井辨雄から労働政策審議会会長諏訪康雄殿宛てで、10月2日付、これは先ほどの基本問題部会が開催された日付けの諮問文が付いているものです。また、資料?2-4、同日の基本問題部会において、厚生労働省案は妥当と認めるという内容の部会報告をいただいていますので、それを添付させていただいています。
 省令案要綱の3ページについて御覧いただきたいと思います。第1の特殊関係事業主ですが、第1項の(1)に、「当該事業主の子法人等」と「当該事業主を子法人等とする親法人等」とありますが、子会社、親会社、親会社の子会社、関連会社、親会社の関連会社。従前から説明してきました、グループ企業まで継続雇用の範囲を拡大するという内容を法文化してまいりますと、このような形になります。それ以下については、親会社、子会社や関連会社等になる関係の議決権の割合等について書いています。これは、銀行法施行令や会社法などの規定を参考にして整備をしているものです。
 10、11ページですが、こちらは「高年齢者雇用状況報告書」の様式です。10ページが改正案、11ページは現行様式です。11ページの現行制度の⑩継続雇用制度、⑪継続雇用制度の導入・改定予定について、10ページの改正案において様式の整備がされているところです。
 続いて、資料?3を御覧ください。「高年齢者等職業安定対策基本方針(案)」です。資料?3-3の真ん中辺以降から新旧対照表が入っていますので、こちらを御覧ください。右側が現行の基本方針、左側が改正案です。下線を付けてある部分が変更点です。1ページ目の主要な改正点については、先ほど法改正の趣旨のところでも申し上げていますが、「全員参加型社会」が求められているといった点について、最初に1「方針のねらい」に書かせていただいています。更にその下には「生涯現役社会」といった考え方の整理もさせていただいています。更に、この基本方針の2ページの上に、この基本方針の対象期間が平成25年度から29年度までの5年間とするということも示させていただいています。そのあとは、「高年齢者の就業の動向に関する事項」ということで、新旧対照表を見ていただくとお分かりのように、統計データのリニューアル等が中心になっています。
 7ページの下辺りになりますが、高年齢者の雇用の機会の増大の目標に関する事項ということで、60歳から64歳までの就業率、65歳から69歳までの就業率について、目標が示されているところです。それから先は、高年齢者雇用確保措置の指針に関する事項ということで、今回は基本方針から新たに独立した指針に設けるほうに内容が移動しています。そのあとは、高年齢者の職業の安定を図るための施策の基本となるべき事項が書かれているところです。
 続いて、資料?4を御覧ください。「高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針(案)」です。これについては先ほど申し上げたように、従来、高年齢者等職業安定対策基本方針の中に規定されていたものを、独立した指針として定めるものです。資料?4-2を御覧ください。先ほど、基本方針のところでも、省略してしまいましたが、このような形で厚生労働大臣三井辨雄から、労働政策審議会会長諏訪康雄殿宛てに諮問文が載っています。
 資料?4-2が指針案で、資料?4-3が新旧対照表の形にした指針の案です。旧のほうは、「高年齢者等職業安定対策基本方針」の中の高齢者確保措置に関する指針部分です。第1は「趣旨」です。第2は「高年齢者雇用確保措置の実施及び運用」です。その中の2「継続雇用制度」を御覧ください。高年齢者雇用確保措置は、定年の引上げ、定年の廃止、継続雇用制度の導入の3つの中からいずれかを行っていただくことになります。その中の継続雇用制度についての指針となるべき事項が、ここに書かれています。
 最初に継続雇用制度を導入する場合には、希望者全員を対象とすると書かれています。これは、先ほど来説明しています第9条第2項の継続雇用の対象者を選別する基準が廃止されますので、このような表現ぶりになっています。そのあとに書かれていることは、この場合において法第9条第2項に規定する特殊関係事業主が雇用を確保しようとするときについて、当該関係事業主の間で契約を締結する必要があることに留意する旨が書かれています。
 その次のパラグラフですが、心身の故障のため業務に堪えられないと認められること、勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ないこと等、就業規則に定める解雇事由又は退職事由(年齢に係るものを除く。以下同じ)に該当する場合には、継続雇用しないことができる旨を示しています。これは、1月6日の審議会でまとめていただいた建議の中で示された点について、ここに記述をしています。
 次のパラグラフは、就業規則に定める解雇事由又は退職事由と同一の事由を、継続雇用しないことができる事由として、解雇や退職の規定とは別に就業規則に定めることもできる。また、当該同一の事由について、継続雇用制度の円滑な実施のため、労使が協定を締結することができる。なお、解雇事由又は退職事由とは異なる運営基準を設けることは、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律の趣旨を没却する恐れがあることに留意するという内容になっています。
 最後のパラグラフは、ただし継続雇用しないことについては、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが求められると考えられることに留意するとなっています。これも、1月6日の建議でまとめていただいたものを書かせていただいています。
 3番目の「経過措置」ですが、先ほど改正法の概要の説明の中で紹介をさせていただきました。この改正法の施行の際、既に労使協定により継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準を定めている事業主は、改正法附則第3項の規定に基づき、当該基準の対象者の年齢を平成37年3月31日まで段階的に引き上げながら、当該基準を定めてこれを用いることができるという内容です。
 4点目の「賃金・人事処遇制度の見直し」については、留意事項ということで列挙をしています。高年齢者になる前から関係してくるような事項も含めて、基本的に従前のものを引用しています。新旧対照表の指針の3ページと4ページの間辺りに線が付してありますが、これは「契約期間が終了する契約とする場合には云々」のところについては、表現を分かりやすくする観点から文の前後を入れていますが、内容については変わっていません。資料の説明は、以上です。
 なお、資料?5-4として、10月18日に公表しました平成24年高年齢者の雇用状況の集計結果が出ていますので、添付させていただきました。
○大橋分科会長 それでは、御意見がありましたらお願いします。
○林委員 最後に御案内いただきました資料?5-4の集計結果のデータについて、確認をさせていただきたいと思います。9ページに「この雇用状況を報告した従業員31人以上の企業約14万社の状況をまとめたものです」とありますが、この14万社というのは31人以上の企業全体をさすものなのか、又は回答した企業が14万社だったのか。回答率も含めまして、このデータの内容について確認させていただきたいと思います。
○高齢者雇用事業室長 私たちの把握している限りでは、平成21年度の経済センサスがいちばん正確な数字だと把握しています。全国の30人以上の規模の企業の全体数は、15万1,850社となっています。今回集計したのは、その中の31人以上の規模の企業14万367社となっていまして、カバー率ということで92.4%以上をカバーしていると考えています。31人と30人で規模が1人前後しますので、きちんとした形では出せません。今の数字がいちばん合っているだろうと考えています。
○林委員 分かりました。ありがとうございました。
○吉岡委員 今のお話を受けますと、基本的にはこの取ったデータというのは、31人以上の企業の状況ですよね。
○高齢者雇用事業室長 そうです。
○吉岡委員 そうであれば、今お話があったように、総務省統計局が行った平成21年の経済センサスでは、29人以下の企業が国内の企業全体の9割を占め、全従業員の3割を占めるということも書かれています。今回の高齢法に基づく雇用確保措置は、全ての従業員を対象にしていること、また高齢法は行政指導法であり、行政が企業の実態を詳しく調査・分析したうえで、全ての企業に法令遵守を徹底させることが求められていると私どもは認識をしています。そうした点を考え合わせれば、従業員30人以下の企業も、調査の対象にして、実態を把握すべきではなかろうかと私は思うのですが、その点についてはいかがお考えでしょうか。
○高齢者雇用事業室長 お話いただいたことについては、全てそのとおりです。結果として、もともと当初は51人ということでいろいろ数字を弾いて集計をしてきました。それを、31人という形にやっているのですが、おっしゃったように、従業員の数を見ていけば、いまの31人以上の企業でも約8割近くまでは占めているのですが、企業の割合として見ると91.6%が30人未満規模企業になっています。そこについては、毎年これを取っているものですから、どこまでできるかや予算の制約などもあると思っています。
○吉岡委員 是非、今後は全ての企業についての実態の把握やきめ細かいフォローをお願いしたいと思っています。
○大橋分科会長 ほかにはいかがでしょうか。
○新谷委員 今、林委員、吉岡委員が確認されたことに関連して、資料?2-3に「高齢者雇用状況報告書」を付けていただいています。この報告義務というのは、先ほどの31人以上の調査とも絡んでくるかと思うのですが、これは全事業所を対象として報告義務を課しているのか、また回収できているのかという現状の運用も併せて、現状をお聞かせください。
○高齢者雇用事業室長 今の御質問は、基本的に31人以上の企業の回収率の話と関係するのではなくて、基本的に何社に送ってということですか。
○新谷委員 吉岡委員が申し上げたように、今度の高齢法は国内の全ての事業所、事業者に対する義務として課したわけです。調査としては、31人以上しか分からないということですが、行政としては当然30人以下も対象とするわけですので、この雇用状況報告書も当然ながら30人以下の事業主からも報告義務を課しているのではないかなと推測したわけです。それが正しいのかどうか、それと回収率がどれぐらいだったのかを教えていただきたいと思います。
○高齢者雇用事業室長 おっしゃるとおりです。全部の事業所に報告する義務があるのですが。
○職業安定局長 法律に基づいて、事業所に報告を求めるわけですが、だいぶ前かと思いますが、どの範囲にするかはここで御議論いただいて、要するに守っていただくのは全事業所でそうなのですが、報告を提出される事業主の負担の問題、それから行政的にも全部来て逆に行政ができるかという問題を議論していただいて、31人以上と決めて今やっています。
 私どもとしては、個々の企業の状況を把握するのは31人以上でやらせていただきますが、当然のことながら義務は全部かかっていますので、事業主団体の皆様方にも御協力いただきながら、法律の周知は全部させていただきます。問題がある企業の労働者の方から問題提起があれば、当然個別の企業にも指導に入ると。ただ、このような形でいろいろな問題があるのですが、1人雇っているところも全部取ることになると、これは膨大な行政経費もかかりますし、事業主の負担もありますので、そこはそのバランスの中で御議論いただくことではないかと思っています。
○新谷委員 確かに国家公務員の定員削減が厳しくなってきて、行政リソースが限られている中で、どのように行政運営をされるのかという課題があるのは重々承知しております。私どもの懸念としては、やはり30人以下の労働者の数が3割近くいることですし、事業所の数からいっても9割以上ありますので、行政指導のあり方として、今おっしゃっていただいたような、業界団体を通じての集団的な指導になると思いますが、漏れなくやっていただきたい。この法律を改正する際に行政指導法でやるのか、3つの雇用確保措置をやっていないところに対しては民事効を与えるかどうかを議論して、行政指導法でやると決まったわけですので、その枠組みに従って、徹底をしていただきたいというのが私どもの趣旨です。
 その上で2つ質問をさせていただきます。1点目は、今、御説明いただいた資料?4の指針の中身です。通しページ6ページのいちばん下の(4)で、60歳を超えたあとの65歳までの雇用契約の周知が記載されております。「65歳までは契約更新ができる旨を周知すること」と今回指針で書かれてあるのですが、周知というのはどのようなことをすれば周知に当たるのかを教えていただきたい。法律における周知でいうと、労働契約法の中に就業規則を周知させるという文言が出てきますが、ここでいう周知はどのようなことを指すのかを教えていただきたいのが1点です。
 もう1点は、資料?5の通し番号7ページのいちばん下(5)です。建議には、高齢期の生活の安定のため、雇用に係る給付など多様な施策の展開を考える、環境整備を図る、つまりセーフティネットを充実するということが書かれているわけです。この分科会の下にある雇用保険部会の検討テーマだと思いますが、今回の法改正に伴い、基本的には希望者全員の雇用が確保されるわけでありますが、非常に残念ながら先ほどの解雇事由なり退職事由に該当される方も含めて、継続雇用されない方々が出てくると思います。そのような事情は年金の支給開始年齢は考慮されませんので、全員一律で年金の支給開始年齢は1歳ずつ上がっていくわけですので、ここに雇用と年金の空白が生じる。その懸念があって、雇用対策基本問題部会でも論議をしてきたわけです。
 この課題に対しては、雇用対策基本問題部会ではなく、雇用保険で対処するということですので、来年4月1日から施行されるに当たって、「雇用に係る給付の多様な施策の展開」というところが、一体、今どのように検討されているのかをお聞かせいただきたいと思います。以上、2点質問させていただきます。
○高齢者雇用対策課長 まず第1点目の周知の件です。一般的にこのやり方については任意であると考えております。ですから、就業規則でやる方法がいちばん分かりやすいのはそのとおりですが、必ずそれをやらなければいけないといった性格のものではこの指針はない、と御理解いただきたいと思います。
 2点目です。セーフティネットの拡充の関係です。具体的なケースに即して申し上げますと、本人が継続雇用を希望しているにも関わらず、解雇事由に該当するとして継続雇用されないようなケースがあろうかと思います。そのようなケースは、雇用保険上、倒産・解雇等による離職者として取り扱うことにして、給付日数は最大90日間延長されるということが1つあります。継続雇用されなかった人で再就職を希望する人に対しては、ハローワークにおいてきめ細かな職業相談など、再就職援助の促進を行っていくものもあります。更に来年からの話ですが、全国の主要なハローワークに高年齢者総合相談窓口を開設して、職業生活の再設計にかかる支援や就労援助といったものを総合的に実施いたします。また、就職支援ナビゲーターを配置し、担当者制による就労支援を行う、そういった内容での概算要求を行っています。
○新谷委員 ありがとうございました。1点目は私が質問した趣旨と答弁が違っていて、就業規則による周知をやっていただければいちばんいいのですが、私はそれをお聞きしたわけではなくて、どういうことをすれば周知に当たるのか、ということをお聞きしたかったのです。具体的な法律の中の周知の規定として、労働契約法に就業規則の要件として、就業規則を周知することが入っているわけです。ですから、誰でも目につく所に就業規則を掲示・備え付けておくことなどが周知の内容だったと思いますので、ここでの「65歳までは契約更新ができる旨を周知する」というのは、どういうことをすれば周知に当たるのか、ということをお聞かせいただきたいと思います。
○高齢者雇用対策課長 先ほど申し上げたように任意でありますが、例えば契約を更新する際に、そういった旨を口頭で説明することも周知の1つであろうと考えます。
○新谷委員 もう少し検討いただいて正確に答弁いただきたいのですが、本人に伝えるのは周知ではない。周知というのは、周りのみんなが認識する状態におくということだと思いますので、相手に対して契約の内容を伝えることだけではない。それでは要件を満たさないのではないかと私は考えております。法律的な意味も含めて、ここに書いてある周知はどういうことをすれば満たされるのかということについて、取締りされるときの行政指導の基準になってくると思いますので、もう少し詳細な検討をお願いしたいと思います。
○大橋分科会長 その他、いかがでしょうか。
○高橋委員 資料?4の通しページで言うと11ページです。新旧対照表の中で、真ん中よりやや下に(7)があります。「継続雇用制度を導入する場合において、継続雇用の希望者の割合が低い場合には、労働者のニーズや意識を分析し、制度の見直しを検討すること」。これは現行と「て、に、を、は」が変わっておりますが、内容には変更はない。しかしながら、私が今回の改正法の趣旨を踏まえてこれを見ますと、やや違和感があります。といいますのは、恐らく現行の規定でこの趣旨が入っているのは、制度の見直しといった場合に、対象者基準があることが前提になっている中で、制度の見直しといったことは非常に理解され得るのですが、今般の法改正で希望者全員の制度というふうに継続雇用制度そのものがなってきますので、そうした制度において、制度の見直しといった場合に何を意味するのかが極めて曖昧ではないかと思っています。
 もし制度の見直しについて、具体的な内容があれば教えていただきたいと思います。もし特段ないのであれば、私は今般の改正に添って、(7)の規定は削除することが適当ではないかと考えます。以上です。
○高齢者雇用対策課長 今、御指摘の点です。希望者の割合は、継続雇用の際に事業主から労働条件が提示されまして、それを労働者が条件が合わないということで継続雇用を拒否した場合、こういったケースは希望されなかったということになるわけです。したがって、例えばのケースですが、継続雇用の際の条件の提示があまりに苛烈なものであって、就労の意欲を著しく削ぐようなケース。そういった中で希望者が全く出てこないことがあれば、それは条件の設定等いろいろ問題があるのではないかと推測されることから、この規定が残っていると理解しております。
○高橋委員 今、御説明していただいた内容の、職務の提示の中身は制度なのですか。
○職業安定局長 前からある話だと思います。今までは労使協定で基準を定めれば、その人はもともと希望もできない。その部分を意識して入った規定ではなくて、労使協定がなくて希望者全員の企業もあれば、労使協定があって、限定されていて、限定されていない基準に当たって希望できる人を対象にして書いたのが4です。ここは、最終的には労使で制度を決めていただくわけですが、その際の考慮事項として①から⑥までが具体的にこういうことを考えてくださいというのがあって、それを総括して(7)で、そこを決めて運用している中で希望割合が少ない場合には、こういうことも考えてくださいという意味で書いてありますので、制度が変わったから変わる話ではないだろうというふうに理解しております。今までと構造としては同じということで、私どもの提案としては同じ形で提案させていただいた。
○高橋委員 ちょっと分かりにくい規定なのかなという感じもします。4番の(1)から(6)までは、基本的に全部「努めること」という形で語尾が締め括られているのに対して、(7)だけはそういうことがない。いわば義務的に読めるようなところもあります。希望者全員の制度として衣替えをして運用していく場合に、制度の見直しがなかなか分かりにくい部分もありますので、もしどうしてもこの表現ぶりが必要であるということであるなら、例えば「制度の見直しを検討するよう努めること」といったような形で、少し文言修正を検討していただくことはいかがですか。
○高齢者雇用対策課長 4「賃金・人事処遇制度の見直し」全体については、冒頭の柱書きにありますように、次の(1)から(7)までの事項に留意するということで、留意事項ということで全体が整理されているという性格のものです。例えば(6)の後半部分についても「整備を行うこと」という表現になっておりますので、全体が今申し上げましたように留意事項であると御理解いただければよろしいかと思っています。
○高橋委員 しかしながら、(1)から全部「努めること」であって、(6)の「この場合において」は、努めることにおいて「この場合において」なのです。何で(7)だけ「努めること」を挿入することを嫌がるのか意味が分からないのですけれども。
○高齢・障害者雇用対策部長 そういう意味では、(4)は「周知すること」と書いてあります。ですから、そういう意味ではそこまで拘わることはないのではないかと。
○大橋分科会長 直しても別に大きな問題はないと思いますが、いかがですか。
○職業安定局長 私どもとしては、そういう意味で従来から変わっていない部分だろうと思って、変えないで御提案したわけです。高橋さんの御意見もありますが、全体の御意見の中で、というふうに思います。提案した側としては、同じではないかと思っているということです。
○大橋分科会長 おっしゃっている意味は「検討するように努めること」としないと、揃いが悪いという意味ですか。
○高橋委員 繰り返しになりますが、やはり従前の対象者基準を容認していた継続雇用制度での世界での制度の見直しという意味と、希望者全員の制度となったときの制度の見直しは、見直しの意味合い、範囲とか、そういうのが変わってくると思うのです。制度の見直しという同じ言葉は、何の変わりはないかもしれません。思いは同じなどと言われても、これを遵守するのは事業主側ですし、その内容がより明確である必要があると私は思っております。局長のお話を聞いて、そのままというのも私自身違和感があると聞かせていただいて、違う制度になるのに内容が同じだと言われても、直ちに理解が難しかったということを申し上げられると思います。
○職業安定局長 繰り返しになりますが、⑦で言っていた、高橋委員は制度が違うとおっしゃいますが、労使協定を結んでいる企業もあれば、結んでいない企業もあって、結んでいる企業で労使協定で弾かれる人が多いか少ないかを見直してくれと言っている部分ではなくて、もともと労使協定で弾かれている人は置いておいて、希望できる人、あるいは全員を対象としている企業において、①から⑥までを留意しつつ制度を作った際にやっている中で、こういうことがあれば、そういうことも検討してくださいということなので、そういう意味合いにおいては私は同じではないかなと思います。労使協定の部分を見直してくれと一切言っていなくて、労使協定はもともと認められていた制度でありますから、労使協定の基準が厳しすぎるから見直してくれということは一切入っていないというふうに理解しています。ですから、コンテクストの中で考えれば、私は同じではないかと思っているのですが、あとは全体の御議論で決めていただければと思います。
○大橋分科会長 いかがですか。あまり大きな差がないだけに私自身が判断に苦しむようなところですけれども、いかがですか。皆さん、いかがですか。
○河本委員 基本的な質問です。この制度の見直しの「制度」が大きな4の「賃金・人事処遇制度の見直し」を指しているのか、それともそもそもの継続雇用制度を指しているのかは、どちらかというのをはっきりしたほうが議論が前に進むのではないかなと思います。もし人事処遇制度を意味しているのであれば、今、高橋委員がおっしゃったように「努めること」だと思います。継続雇用制度そのものを指しているのであれば、高橋委員がおっしゃるように、継続雇用制度そのものが変わっている中で、また意味合いが違ってくるのではないかと感じました。
○高齢・障害者雇用対策部長 ですから、(7)の制度の見直しの「制度」は、要するに4のタイトルの「賃金、処遇制度の見直し」という大きなものにかかっているものですから、この制度は基本的に継続雇用制度というよりは、むしろ「賃金・人事処遇制度の見直し」と解釈するべきだと思います。そういう意味では、今回の法改正によって変わったところとは関係ない部分だろうと考えています。
○大橋分科会長 そういう解釈ではいかがですか。
○高橋委員 私も今、初めて説明を聞いて、この制度が人事処遇制度だというのを初めて気がつきました。てっきり、私は継続雇用制度という意味に読んでいましたので。そういうことでありましたら、そのことをきちんと書いていただいたほうがよろしいと思います。まして、その場合、人事処遇制度でしたら、先ほど河本委員が御指摘いただいたように、正に努める話です。必ずやる話ではなかろうと思いますから、ますます人事処遇制度であるほど、努めること規定を明記していただきたいと思います。
○大橋分科会長 「検討する」で何というのですか、「検討するよう努めること」というのもニュアンスとしてどうかなという気がするのです。つまり、検討するということは検討すればいいということですから、それだけではないですか。
○高橋委員 検討するかどうかも含めて、企業の現場に委ねられるべきものであろうと、特に人事処遇制度については。必ず見直しをするということかどうかすら、企業の判断だと思います。
○大橋分科会長 希望者が少ない場合に検討するというのは、不思議ではないと思うのですけれども。すごく大きな負荷を企業者に課しているとは思えないのですけれども。
○橋本(浩)委員 かなり議論が堂々巡りしました。今まで「賃金・人事処遇制度」に限定すれば、考え方は何ら変わっていない。そのところをはっきりさせていただいて、先ほど御答弁ありましたように、7項の制度の見直しを検討する「制度」というのは、あくまでも「賃金・人事処遇制度」の見直しだということを現場にも徹底していただいて、そういうことでやっていただけるのであればやむを得ないかなと、そのように考えます。
○大橋分科会長 ということで。
○高齢・障害者雇用対策部長 そういうふうに、現場に徹底させていただきます。
○橋本(浩)委員 議事録にも残していただいて。
○大橋分科会長 そうですね。ここに制度と書かれて、継続雇用制度も含めて考えてしまいますよね。そういうことでよろしくお願いいたします。その他、いかがですか。
○新谷委員 労働側として、今日諮問いただいた内容について見解を申し上げたいと思っております。今回、諮問された内容については、法改正が来年4月からの年金支給開始年齢の引上げの対応ということで、本当にぎりぎりの段階で成立して非常によかったと評価しております。行政指導法として組み立てられておりますので、法の具体的な運用に当たって根拠となりますのは、今回示されております政省令、指針、これから出るであろう行政通達、それ等を補う形でのQ&Aといったものが一体となって、現場での運用を形づくっていくと思っております。
 特に行政通達等々は、内部の運用の統一をすることだけではなくて、現場の労使の行為規範にもなりますので、1日も早く行政通達を発出いただきたい。来年の4月1日までの期間が5か月を切った段階ですので、特に50代後半の方は生活設計が法改正によってどうなるのだろうと、非常に気をもんでおられると思います。現場の労使もこれを待って、本格的な制度の改定なり、確認を行っていくと思いますので、急いで出していただきたいと思います。その際、先ほど申し上げた周知の内容についても、きちんとした見解を付けていただきたく改めてお願い申し上げます。
 今後、次の法改正をいつやるのか分かりませんが、今回の改正の中で私どもが主張した点で、いくつか実現しなかった点があるわけです。その1つは、現在非常に増えてきている非正規労働者の年金と雇用の接続をどう考えるか。現在でも3人に1人が非正規のまま60歳を迎えるわけです。今回の法改正では、定年制を敷いている労働者しか高齢法は適用されませんので、非正規労働者の雇用と年金の接続の問題をどう考えるのか。また、正社員でも先ほど申し上げたように、この年代になりますと、家族介護や御本人の健康状態によって、継続雇用を申し出るのがためらわれるというか、できない方もおられるわけです。こういった方々のセーフティネットをどう張っていくのかということも、今後の大きな課題ではないかと思っております。
 もちろん、私どもが主張しておりました3つの雇用確保措置が未実施時の対策として、どのように民事効を与えていくのか。行政指導も、今日もありましたように行政のリソースに限界がある中では対応が難しい部分がありますので、私法的な対応が必要ではないかと私どもは今でも思っております。残された課題の検討も是非厚生労働省として引き続きお願いしたいということを申し上げまして、労働側としては、今回諮問いただいた内容については了承したいと思っています。以上です。
○大橋分科会長 その他、いかがですか。先ほど事務局から説明がありましたように、政令案要綱については内容が形式整備であることから、諮問ではなく報告事項とさせていただきます。「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」「高年齢者等職業案定対策基本方針案」「高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針案」については、当分科会では厚生労働省案を「妥当」と認め、その旨を私から労働政策審議会長に御報告申し上げたいと思います。よろしいですか。
(異議なし)
○大橋分科会長 ありがとうございました。それでは報告文案の配付をお願いいたします。
(報告文案配付)
○大橋分科会長 お手元に配付していただきました報告文案により、労働政策審議会長宛てに報告することとしてよろしいですか。
(異議なし)
○大橋分科会長 それでは、そのように報告させていただきます。以上で本日の分科会を終了いたします。本日の会議に関する議事録については、労働政策審議会運営規程第6条により、会長のほか2名の委員に御署名をいただくことになっています。つきましては労働者代表の澤田委員、使用者代表の河本委員にお願いいたします。よろしくお願いします。どうもありがとうございました。


(了)
<職業安定局総務課>

職員厚生係

03(5253)1111:

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