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2012年7月11日 第8回雇用政策研究会(議事録)

職業安定局雇用政策課

○日時

平成24年7月11日(水)
10:30-12:30


○場所

厚生労働省省議室(9階)


○出席者

委員

阿部委員、加藤委員、玄田委員、小杉委員、駒村委員、佐藤委員、白木委員、
諏訪委員、清家委員、鶴委員、橋本委員、樋口委員、山川委員

事務局

太田厚生労働審議官、森山職業安定局長、黒羽職業安定局次長、大西職業安定局総務課長、藤澤雇用政策課長、久知良若年者雇用対策室長、宮本地域雇用対策室長、
弓雇用政策課企画官、藤井雇用政策課労働市場分析官、武田雇用政策課長補佐、岡労働政策担当参事官室補佐、松下職業能力開発局総務課補佐  他

○議事

○樋口座長 定刻より若干早いですが、予定の先生方皆さんお出でですので、第8回雇用政策研究会を開催いたします。お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。
 今回は、これまでの研究会の議論を踏まえまして、雇用政策研究会の報告書の構成案についてご議論いただきたいと考えております。
 それでは、これまでの研究会の開催経過と報告書構成案について、事務局から説明をお願いします。
○武田雇用政策課長補佐 資料4をご覧ください。前々回、小杉先生から青年海外協力隊の経験者の進路状況はどうなっているかというご質問がありましたので、用意した資料です。1頁の左側に平成22年度の帰国ボランティアの進路状況で、平成22年4月1日から3月31日までの海外からの帰国者1,239名の24年4月1日現在の進路状況を調べました。回答者数は1,064名で、200名ぐらいは回答は得られなかったということです。就職者は64%、681名、現職参加、企業や公務員として働いていらっしゃって協力隊に参加されて戻られた方というのが19.2%、204名いるということです。また、進学をしたり復学をされた方が109名、10.2%、家事手伝い、結婚、協力隊の方々は3分の2は女性で、70名ぐらいの方が結婚や家事手伝いということです。就職先の内訳としては、民間企業、公益法人、教員、JICA関係、地方公務員、自営、NPOということで、一定程度就職が図られています。
 次の頁は帰国後の進路支援で、進路相談カウンセラーが全国に25名配置されているそうですが、帰国する前からメールなどで相談を受けられることになっています。また、キャリアセミナー・勉強会ということで、帰ってこられて3、4日帰国者研修会があるようですが、そこで教員や公務員、民間企業など分野別に分かれてセミナーが受けられるようです。帰国後も定期的にそのようなセミナーが行われているようです。
 また、教育訓練手当やNGO活動支援ということで、8割勉強した場合に、上限20万円をJICAのほうから支給するという制度や、NGOでインターンシップをした場合に、旅費、活動経費をJICAが負担するという制度があります。それから、地方公務員や教員など特別採用枠を自治体で持つ。ホームページに元隊員がアクセスをすると、求人情報やニュースレターなどが見られること。ハローワークとも連携をしておりまして、JICA事務所に近いハローワークを重点ハローワークと設定して、そちらに行ってくださいというお願いをされています。また、大学、大学院の進学時の経験評価や単位認定、そういったものにも使われているということです。
 いちばん最後の頁は、帰国した隊員の活躍の様子ということで、トキタ種苗という埼玉県の種の輸出入や開発を行っている会社の事例を提供いただいています。136名の会社だということですが、20名ほど協力隊員の雇用をされているということで、現地法人の勤務ですとか、海外の取引先との交渉で、隊員の経験が活かされているということで、現在は中国、インド、イタリア等に現地法人を設立されていますが、海外部門のスタッフの半分以上が海外協力隊の経験者であるということで活用されているということです。以上が海外青年協力隊経験者の進路状況ということです。
 資料5「市町村別従業者数の増加率」で、明示的に宿題ということで承ったわけではありませんが、前回の地域雇用対策の議論がありましたが、その参考ということでご用意した資料です。平成21年の経済センサス、旧事業所・企業統計調査と、平成18年のものを比べたもので、上位から増加率が高いものを市町村別に並べたものです。1,000人以上増えているような所をピックアップして、その要因を聞かせていただきました。そうしたところ、いくつかの類型に分かれており、1つは大型商業施設を誘致して増えたところ。例えば6位の東京の日の出町、14位の愛媛県の松前町、34位の京都府の木津川市、4位の埼玉県の上里町、24位の滋賀県の草津市、こういったところは農業用地ですとか、大きな道路沿いの有休地に大型商業施設を誘致して成功したということで、1,000人以上の従業者数増が結果としてできたというお答えです。
 それから、工場の誘致に成功したという例ですが、18番の福岡県の宮若市、34位の京都府の木津川市は、工場を誘致したということで、大きな雇用増があったということです。さらに、9位の埼玉県の吉川市、15位の鹿児島県の姶良町、これはベットタウンであるとか、吉川市の場合は、武蔵野線の駅が開業したということで、店舗だけではなくて、いろいろな量販店ですとか、そういったものが立地するようになって、従業者数が増えたという報告を受けております。資料5は以上です。
 それから、本研究会の報告書の構成案についてご説明を申し上げます。資料2をご覧ください。これまでの経過で4月5日以降、検討を行ってまいりました。4月25日と5月24日は若年者の就職支援で、ヒアリング等を行いました。また、5月30日は需給推計の検討、6月8日と6月20日は、日本の成長を担う産業育成で、ヒアリング等をさせていただきました。前回は7月6日、地域雇用対策で議論を行いまして、今日、次回の7月23日で報告書の取りまとめをさせていただきたいと思います。
 資料3は本研究会のテーマで、3つのテーマプラス需給推計の議論を行ってきたということです。
 資料1に戻りますが、今回の研究会の報告書の構成案です。大きな構成としましては、序章で「はじめに」、第1章で現状認識で、「日本を取り巻く経済、社会と雇用の変化と課題」。第2章で大きな方向性で、「日本の成長を支える経済・雇用政策の基本的な課題と対応」です。第3章に具体的な対策の方向性、1で日本の成長を担う産業の育成と一体となった雇用政策の推進。
 次の頁の2で地域雇用対策、3で若者の就職、人材育成支援。
 4頁、第4章として「2030年・日本の姿」ということで、第3章までで述べてきた対策を講じた場合に、どういう日本の姿が考えられるかということを、労働力需給推計を踏まえて描いているということで、結論にしたいと思っております。
 1頁目に戻っていただきまして、序章ではこの研究会の問題意識である人材育成を通じて成長を可能にしていくということを書いてはいかがかと思っております。
 第1章、(1)として、日本の経済情勢の変化ということで、これまで20年以上に及ぶ日本経済の低迷の状況、デフレの進行の状況、円高の状況、さらにはリーマン・ショック後の雇用対策の効果ということで、雇用調整助成金ですとか、基金事業の取組み、その評価を書いています。雇用構造につきましても、産業構造が変化している。また、非正規が増えてきたといったことを書いてはいかがかと思います。
 (2)で、世界規模の経済の変化で、経済がグローバル化しているということ、また、アジアの新興国の企業が台頭したり、新興国市場が拡大していると。さらに日本企業が世界市場に進出をしている。また、アジアの労働者の質が向上しているといったことにも言及してはどうかと思っております。
 (3)として、日本国内の社会・雇用構造の変化ということで、少子高齢化に伴いまして、労働力が減少しますと、成長の抑制要因になる。また、消費者である労働者が減ることによって、国内市場の縮小要因になるという課題、さらには新卒者を取り巻く厳しい雇用環境、産業・職業間の賃金格差、すなわちサービス業を中心に賃金が平均よりも低い状況にある。地域の雇用情勢として、リーマン・ショックにおいて一時的に雇用の格差が縮小したかに見えましたが、雇用情勢の悪い地域はずっと悪いままで景気回復に伴い格差が拡大しているという状況が続いているというようなことを言及してはどうか。
 また、さらには東日本大震災で生じたことを書いてはいかがかと思います。
 その次に第2章で、これが今後の対策の大きな方向性を書かせていただいてはどうかということですが、以上、第1章をまとめまして、日本の経済・雇用政策の中期的課題ということで、大きく産業構造が変化しているという話と、人口減少社会であること。この2点について触れ、その対応として、今後の日本の雇用政策の4つの要として、書いてありませんが、1つ目はもともとの日本の強みを出した産業を育成する。2番目に成長するアジアの需要を取り込んでいく。3番目に高齢者の需要を取り込む産業を育成する。さらに4つ目は少子高齢化ということですので、全員参加、労働者の質を高める。この4つに取り組んではどうかということをここで言及してはと思っております。
 それぞれについて、やはり日本の成長の軸は製造業であるので、製造業を大切にしていこうということ、日本の強みである環境、省エネ分野を育成する、コンテンツ産業・観光など、日本人の感性を活かした産業を育成して、アジアの需要を取り込むというようなことです。さらには高齢者の需要、これは医療、介護というサービスそのものに加えてそれに関連するものづくり分野とか、高齢者の潜在的な需要を掘り起こす、そういったことも含めて言及してはどうかと思っています。こういった成長を支える産業政策と一体となった雇用政策を行っていくということを言及してはどうか。また、いま申し上げたような需要面に加えて、供給面の対策として、全員参加型社会の実現、特にこの研究会では若者の問題について取り上げましたので、これを総論的に書いてはどうか。また、需要、供給の問題として地域雇用対策について検討を行いましたので、地域雇用対策と、この3つの柱で方向性をここで書いてはどうかと思います。
 第3章が各論で、1が日本の成長を担う産業の育成と一体となった雇用政策の推進、キャッチフレーズといいますか、これまでの「まもる」雇用対策から成長分野の雇用を「つくる」「そだてる」「つなぐ」といったことに重点を置いてはどうかということで、また卵の殻を保護することから延びていく、飛び立つ支援ということで、翼の補強へと、ヨーロッパでよく言われている言葉だということですが、こういった考え方を持って対策を進めてはどうかということです。「つくる」「そだてる」「つなぐ」の「つくる」としては雇用創出の推進ということですが、ここでこれまで議論になりました「雇用をつくる人材」、起業家ですとか、企業内で新分野展開を担う人材でありますとか、またはグローバル人材。この場でもヒアリングを行ってまいりましたが、ある一定の共通項的なものがありますが、そういったものを示しつつ、そういった方々を育成し、活躍できる環境を整えるにはどうしたらいいかということを書いてはどうかと思っています。また、雇用創出企業の支援ということで、一部の企業が多くの雇用を生みだしているという事実に着目した支援を行ってはどうかということです。
 また、2)の雇用管理の改善の推進ということで、成長分野は中小企業が多いわけですが、なかなか働く場の質の確保が保たれないと、人が動いていかないということがありますので、働く場の質の向上を図っていくための対策というのが重要であうかと思っております。ワーク・ライフ・バランス、雇用管理改善が経営にも効果的であるというようなことや女性の活用が、そういった企業業績の改善につながっていると。それから、雇用管理の改善の前提として、サービス産業の高付加価値化を図っていく必要がある。また、中小企業の雇用管理の改善、特に介護分野等の雇用管理の改善を図っていく必要がある、こういったことをここでは書いてはどうかと思っています。
 人材育成支援の充実ということで、産業構造が変化しておりますし、職業構造も製造工程部門から川上、川下の研究開発ですとか、To beやソリューションと言われているようなところの付加価値貢献度が高まっておりますので、こういった分野の人材育成を充実する必要があるのではないか。そもそも、どういった人材が必要なのかという人材像が明確になっていない企業が多いということですので、人材像や人材育成方針の明確化を支援してはどうか。さらに、諏訪先生がおっしゃっていた言葉ですが、若い方の人材育成だけではなくて、中高年者を含めた、生涯にわたる人材形成というのが、職業生涯が長くなっていく中では重要ではないかというようなことです。
 さらに、日本的長期雇用慣行の再評価と中期的課題ということで、こういった新分野に企業が展開するに当たって、やはり内部労働市場を使って、企業毎そちらに移っていただくということが望ましいわけですが、一方で、クリエイティブ人材ですとか、企業の競争力を担っていく人材を内部で育てつつ、外部でも移動できる、そういった体制を整備してはどうか。また、人材マッチング機能の強化ということで、求人求職のミスマッチの状況であったりとか、ハローワークでのこれまでの取組み状況を述べた上で、ハローワークと民間が連携をしまして、成長分野のマッチング機能をさらに強化する必要があるのではないか。また、大企業から成長分野に人材移動ということでは、やはり賃金の低下というのが大きなネックになるわけですが、そういったことに対する対応も中長期的課題ではないかということを言及してはどうかと思います。
 さらに、グローバル人材、海外市場の取り込み支援ということで、企業の海外事業を拡大しているところが国内雇用も維持したり増加したりしているという事実が多いということが、これまでのヒアリングや調査でわかってきました。こういった国内の生産ですとか、雇用維持、こういったものを積極的に評価し、それを前提としての中小企業を含めたグローバル人材の育成や、海外事業展開の支援を行ってはどうかということです。
 それから、3頁、海外子会社が海外で利益を受けていると。これをいかに国内雇用に還元することができるか。これも中長期的な課題として提示してはどうかと思っています。
 次に、前回ご議論いただいた、新たな地域雇用創出の推進という部分です。1)では、現在の状況ということで、ずっと雇用情勢が悪い地域がある一方、景気循環でよくなったり悪くなったりする地域がある。そういう状況について、現状認識として言及してはどうかと思います。
 2)はこれまでの地域雇用創出の取組みということで、これまでの雇用創出基金事業やパッケージ事業、そういったことのレビューを行ってはどうか。
 3)、4)で、今後の地域雇用創出の課題、今後の地域雇用創出のあり方ということで、前回ご議論いただきましたが、まだ十分整理をし切れておりません。地域の特徴を把握をした上で、地域雇用創出を図るとか、また地域のキーパーソンになるような方を育成・確保していく。さらには景気の波に左右されにくい産業構造等を地域で作っていくにはどうしたらいいかということを、ここでは議論いただければと思います。
 最後に、3の若者のことです。基本的には若者雇用戦略に沿って書いてはどうかと思っておりますが、この研究会で出た議論も織り交ぜながらまとめてはいかがかと思っております。1)が若者の雇用環境の現状です。いまの現状について述べるとともに、この研究会でもかなり新卒一括採用のメリット、課題といったことについて言及がございましたので、そういったことを整理をして書いてはどうかと。
 2)で人材育成機能としての企業のあり方ということで、企業にもやはり若い方を雇用して育てていただく。そういったことが重要であるということをここでは言及してはどうかと思っています。
 さらには3)が雇用のミスマッチの解消の具体的な施策と方向性で、企業規模別のミスマッチの現状、中小企業はかなり労働需要が大きいということもありますし、教育段階、早い段階では就職について考えないというような状況も提示した上で、ここでも議論がありましたが、手間ひまをかけた就職支援が大学進学率が高まる中で重要ではないかというようなこと。それから、労働需要が大きい中小企業のマッチングをいかに効率的に進めていくか。また、新卒時に景気後退等でうまくいかなかった方々のために、既卒3年採用の標準化をいかに進めていくかといったことを書いてはどうかと思っています。また、さらにキャリア教育の充実ということで、職業意識の不足の状況や、キャリア教育の重要性、それから社会人の学び直しの支援、インターンシップ、ここでも教え手のメリットもあるというような議論も行われましたが、そういったことを書かせていただいてはどうかと思います。
 4頁で、若者のキャリア支援で、フリーターの正規雇用化の支援、さらには若年者の就労支援の実施機関とその効果ということで、いろいろな機関がございますが、役割を明確化した上で、それぞれ連携、役割分担を持って効果的に施策を推進していく必要性を言及させていただければと思います。
 最後に、第4章として日本の2030年の姿ということで、需給推計を踏まえた将来の日本というのを書かせていただければと思います。以上が構成案でございまして、ご議論いただければと思います。私からの説明は以上です。
○樋口座長 まず最初に、この構成案について不足しているところ、あるいは手直したほうがいいところをご議論いただきまして、そのあとで中身について議論していきたいと思いますが、いかがでしょうか。まず資料1の構成案について、小杉委員、何かありますか。
○小杉委員 内容のほうにはいろいろコメントはありますが、柱立てそのものはこれでいいのですが。
○樋口座長 では阿部委員から順番に、よろしければパスで、こちらから、柱立てについて。
○加藤委員 それでいいと思います。
○樋口座長 正規、非正規の問題というのは、この雇用構造の変化のところで問題は提起されるでしょうけれど、若年のほうで出てくるのですか。この問題は、どこかで何かやるのですか。
○武田雇用政策課長補佐 若年のフリーターのところで、特に取り上げます。ただ、現状認識というところの雇用構造の変化のところで、現状のほうは書かせていただきたいと思っております。ただ、非正規の問題そのもの全般は、非正規ビション懇談会のほうで、結論といいますか、議論が行われましたので、それを一部引用して紹介するという格好にさせていただければというのが、事務局の考えでございます。
○佐藤委員 細かいことで、3章の3の若年の2)の人材育成と企業の在り方というのがありますね。これは3章の1の3)で書いてしまえばいいのではないかと。つまり企業の人材育成、企業として在り方は別に若者だけというのではなくて、もう少し広めて書けば、3章の1の3)で書けてしまうので、若者に特化した話だけでもいいかなと思いました。何か若者だけ取り出すのは、ちょっとどうかなと。
○樋口座長 ご意見ということで、事務局で何かありますか。
○武田雇用政策課長補佐 一応、「はじめに」のほうで全体的に、若者に限らず、企業にとって人材育成が重要であるということは書かせていただきたいと思っております。ここは、再度若者という意味で、企業の在り方というのを確認的に書いてはいかがかというのが事務局の考え方です。
○樋口座長 では、それは検討いただくと。
○武田雇用政策課長補佐 はい。
○樋口座長 ほかにどうですか。
○玄田委員 3章と4章の関係がこれでいいのかというのが、若干気になります。3章で、2030年というのが出てくるわけですが、読み手の理解としては、2030年の労働市場はこういう状況になっていそうだというイメージを持っていただいた上で、例えば、その中で最悪のシナリオを避けるためにはこの施策をというふうに書かれたほうが、私は一般的には読みやすいのではないか。ただ、もちろんこの書き方にも意義がある可能性はある。3章のような施策をすることによって2030年の状況がこうなるという面を強調するのであれば、いまのような書き方いいかもしれません。また、場合によっては、いまの4章の部分を少し分解して、現状認識でいくとこういうことになりそうだということは多少早目に説明し、この3章のような施策を行った場合には2030年こうなると。ちょっと3章と4章は、4章の姿がいまひとつ、まだ明確ではないものですからコメントしづらいところがあるのですけれども、構成としては、若干その点は検討する余地があるのではないかと思います。
○樋口座長 4章担当というか、シミュレーションの話にも。いまおっしゃったのは、たぶんベストなシナリオの書き方かなと思うのだけど、それは可能かどうかというところなのです。阿部委員の印象で結構なのですか。
○阿部委員 この場でも議論をしたと思いますが、4章の問題というのは、3章で書かれるようなことをうまくモデルの中でできないというところが若干あって。私も、玄田委員のおっしゃるような、個々の問題を洗い出しながら、モデルで姿を出していって、こういうケース、こういうケースという形でその問題点を明らかにした上で、3章につなげるというのは良いと思うのですが、そこまでうまくまだ現状ではできてない、そう言っていいですか。
○藤井雇用政策課労働市場分析官 モデルについては以前も研究会のときにご議論させていただきました。この1、2、3章というのを政策の方向に議論していただいて、この方向でうまくいった場合に、経済全体の雇用全体が2030年としてこうして描けるということを中心に整理していくという考えです。そういう点では、先ほど玄田先生がおっしゃったような流れに沿うかというように考えています。
○清家委員 私は、この構成はこれでいいと思うのです。いままでのこの雇用政策研究会のやはり報告書の使われ方を見ると、実はいちばんよく引用されたりするのは、この4章のところですよね。あらゆる政策のところに前提として使われたりとか。そういう意味で、しかし、一方4章のところの話というのは、どちらかというとコンスタティブというか、量的な話で。やはり3章のところで、その質的な裏づけ。3章は、一方では確かに4章のシナリオが実現するためにこういう訓練プログラムが必要だとか、あるいはこういう雇用管理の改善が必要だとかという、4章のシナリオの前提のストーリーというのもあるのだけれども。一方では、その4章の量的な話だけでは見えてこない。実は、2030年の質的な仕事の姿というのが、この3章のところでちょっと見えてくるという関係で、いいのではないかな。そういうふうにすれば、順番的にはやはり4章の話が出てくる前提の話も、やはり3章のところにあるので、3章を書いて4章と。そういう順番かなと。確かに玄田委員が言うように、1対1のつながりがどうなっているのだというと、ちょっと厳しい部分もいくつかあると思うのですが。ざくっとした3章と4章のつながりは、そういうふうに理解しているのです。
○玄田委員 清家委員が言われるように、3章と4章の位置づけさえはっきりすれば、いいのではないかと思って。ただ、一般論として、3章がなぜ2030年を議論するときに、どういうイメージがというのがほしいだろうなと思ったわけですので、むしろ4章のメインは、その実態のイメージよりも、こういう施策をした場合にこうなってほしいということを、量的に予測するということが中心であれば、それを素案として書きうると思うので。位置づけさえ明確にすることができればいいのではないかと思いますが。
○小杉委員 3章をよく見たら、確かに「2030年」と書いてあったのですね。いま、そういう認識をしました。これまでの議論のこの部分について、2030年を意識した議論はどれだけしてきたのかというのが、すごい疑問に感じました。なので、何か取って付けた感じがする。
○駒村委員 1章、2章はどちらかというと現状の問題を把握されている。3章は2030年がここで急に出てくるわけです。2030年というのはどういう社会なのかというのが、どこでこれに触れるのかで、3章のところでちゃんとこの2030年がどういう社会になっているのかというのをおさえてなくてはいけなくて。1970年生まれ、バブル崩壊後に社会に出てきたグループの一番手が、ここで60に到達する頃でしょう。それから65歳以上人口がちょうど30%を超えてくる。75歳以上だと、これから先が20ぐらいになってくる。非常に難しい、当面の危機の時期だと思うので、まず2030年というのはどういう時期になってしまうのか。その上で、例えば1970年生まれの世代が65歳、あるいは70歳くらいまで働けることを今から考えなくてはいけない。そういう意味では、日本の雇用システムをどう考えなくてはいけないのかとか、はね返ってくる問題がいろいろあると思います。ここで、少し章を1項、3章の先頭にやはり2030年を深く書いたほうがいいのではないかと。
○加藤委員 駒村委員のご意見と反対なのですが、この3章を見ますと、時間的な経緯からすると、今すぐの話と、それから長期的な話がいろいろ混在しているように思います。そういう意味でいうと、果たしてこの2030年というのを第3章に入れる必要があるのだろうかと考えました。4章では、2030年というのは1つの目安ということでいいと思うのですが。逆に言うと、いま駒村委員がおっしゃった2030年の姿を描くこと自体、相当大変な作業だろうなということを考えたときに、現在から長期まで見据えた中で、さまざまな時間軸があるので、あえて2030年と出さないほうがすっきりするような気もします。
○樋口座長 いろいろご意見がありそうだということ、よくわかりました。第3章のタイトルは、2030年で・打ってということなのですか。2030年に向かって今のうちから何をしなくてはいけないかということですよね。2030年でこの雇用政策ということではなく。
○藤澤雇用政策課長 事務局としまして、ここら辺の執筆の意図は、いままでも2030年の経済社会の姿の議論をここでしていただいたわけではございませんので。どちらかというと、座長がおっしゃいましたように、1章、2章の現在や日本の経済や社会、構造とか課題などを前提として、例えば成長戦略などとともに、10年、20年先にどういう経済構造を目指すべきかとか、産業構造を目指すべき、あるいは雇用構造を目指すべきということを考えた上で、いまからそういう新たな今後の日本の成長を担っていくような産業の育成に、いまから取り組んでいくべきではないかとう考え方で、事務局として案を書いて、委員の先生方に見ていただければどうかなということなのです。
 大前提として、非常に大きな2030年の姿を書いていただいた上でという、大胆なところまではあまり考えていないところです。
○樋口座長 どうしましょうか。シミュレーションのところとの関連で出せるかどうかというのも決まってくるし、まだここのところが完全に固まっていないから、その様子見で、皆さんとご相談して決めるということで、いいでしょうか。いろいろどちらもメリットがありそうなので、どうですか。
○小杉委員 やはりこの順番でいくことを前提にしたとき、2030年と3章に出てくるのはやはり変です。こういう議論をしていったあげくに、最後のほうで、後につなぐために2030年のという、そのくらいのロングスパンで考える必要があるから2030年なんだというのを、3章の最後にして。それで4章に落としていくというような感じなのではないか。でなければ、あまりにも今までの議論と離れすぎている。
○鶴委員 3章をどうするかという話もあるのだと思うのですが、そもそも1章とか2章に、2030年に向けてこの報告書というのは意識を持ってやっているのだということが、たぶんどこかで少しでも書いていれば、後のほうはそんなに異和感がないと思います。皆さんおっしゃるように、3章で急に、何か2030とタイトルがボンと出てきてしまうと、ではそこをもうちょっとそこで説明してくださいよと。でも、あまり説明すると、4章の話を相当出してこなくてはいけなくなるので、また悩ましいなと。そこに起因するので、たぶん1章、2章で、どれぐらい、ちょっといちばん最初のところで、この報告書はそもそもこういうところをにらみながらやっているのですよというのを書けば、それで終わるような話かなという感じがしました。
○清家委員 私も賛成ですね。さっき座長が言われたように、2030年時点のというよりは、2030年に向けての課題をここで集約するという、そういうので一応つけておいたほうがいいのではないですか。4章とのつなぎでいくと。
○樋口座長 そうですね。では、序章とか第1章のところで少し意識的にそれを書いてくる。
○清家委員 そうですね。
○樋口座長 まとまって良かったです。ほかにありますか。
○鶴委員 確認だけなのですが、この3章の1と2と3の関係ですが、ちょっと先ほど佐藤委員からもお話があったのですが、1というのがどちらかというと、総論的な話と考えられているのか。それとも1と2と3というのはそれぞれ3つ独立した、並列的な並びと考えてらっしゃるのか、どちらのイメージなのかということなのです。たぶん先ほどのお話だと、少し重なるところもあるので、その3つの関係どうなっているのかというところだけ、少しご確認させていただきたいのです。
○武田雇用政策課長補佐 おっしゃるとおり需要と供給という意味で、1は労働需要対策に近いようなところがございます、3は供給面の対策に近いところがあるということです。2はどちらかというと、どちらも重なっているようなところがあり、新産業を地域で生まなくてはいけないという部分もあります。高齢化で過疎化していく中で、この地域の問題をどう考えたらいいのかというような格好になっているのかなということです。
○樋口座長 ということです。
○佐藤委員 1が需要ですか。ただ、「つくる」「そだてる」「つなぐ」と言うのですから需要と供給とばっちり全部扱っているのではないかという気がするので、どうもやはり1は総論ではないかというような気がするのですが。
○武田雇用政策課長補佐 すみません、少し言葉足らずでした。需要といいますか、産業の育成と一体となった雇用対策ということで、需要面から必要な供給面の対策も論じているということですが、軸足がどちらかという意味で言うと、この産業部分に必要な雇用対策というのが1、3が全員参加という中での若者対策。2がどちらも重なる部分というイメージであるということです。
○樋口座長 中身の議論に入ってきていますので、柱立ては、いまご指摘いただいたようなところで修正した上で書くということで、中身を次にご議論いただきたいと思います。どうでしょうか。
○加藤委員 二言だけ先に申し上げたいのです。1つは、第3章の1の5)のところのグローバル化の話なのですが、このグローバル人材の育成というような話の中で、例えば以前日立の方が説明されたように、育成するだけではなく、これが新卒採用などで一般的な大卒の採用に影響するといった雇用システムそのものにもさまざまな影響を与えていくのだろうという、そういうことが言われていたような気もします。できれば、そういったところについても言及していただければというのが1点です。
 もう1つ、若年支援です。特に3章で、若年支援の話がいろいろ出ているのですが、私自身の理解では、例えばいままでやってきたジョブカフェとかトライアル雇用というのは、それなりの効果を与えていたのではないかなと理解はしております。その意味では、そういった過去の政策についても、それなりの評価をして、書き入れていただければというのが2点目です。
 あと最後にもう1点だけ、全然柱立てに関係ないのですが、資料3の検討テーマで、1、2、3という順番で、雇用政策の推進、若年就労支援、地域雇用創出の順番なのですが、第2章は、地域雇用が真ん中に入ってきたのは、何か意味があるのですか。すみません、以上です。
○樋口座長 3番目はご質問です。
○武田雇用政策課長補佐 まさに、先ほどの議論と重なりますが、1が先ほど申し上げましたとおり、産業面といいますか、どちらかというと需要の側に立脚したような話、それで若者は供給を意識したような立場。また、それで地域のほうは、それをどちらもということですので、順番としては真ん中に入れたほうがおさまりがいいのかなということで、真ん中にしたということです。
○樋口座長 大意はないということです。
○佐藤委員 3章の1の2)と3)のところなのですが、2)のところが雇用の質の向上ということなので、タイトルも雇用創出の推進が1)だったら、2)は雇用の質の改善と向上がいいかなという感じです。
 もう1つ、2の中ですが、2030年を目指してというと、この中で書かれることでとても大事なのは、議論されたかどうかわからないのですけれども、さっきちょっとワーク・ライフ・バランスのお話ありましたが、実は大事なのは、仕事と介護の両立なのです。2025年で団塊の世代がたぶん75歳以上になる。つまり団塊ジュニアが親の世代の介護の問題、団塊ジュニアの世代にとって50歳代、50から65までは、親の介護と両立の15年間になるのですね。ですから、このことをやはりきちっと書いておくことがとても大事かなと。ですから企業の取組みも、いままではワーク・ライフ・バランスで、子育てだけではないのですが、かなり強かったのですが、やはり仕事と介護の両立ということを可能にする働き方、あるいはそのための情報提供をどうするというのはとても大事かなと思って、ちょっと2で書いたほうがいいかなというのが1つです。
 あと3の人材育成で、諏訪委員が言われるように、これから職業生涯にわたって能力開発を続ける、あるいは企業と人材育成続ける、大事だと思います。そのことで、「人材育成」と書いてあるので、たぶん企業が育成するという感じが強いのだと思うのですね。ですから企業が若いうちだけではなくて、継続的に教育訓練すると。これ、もちろん大事です。同時に、働く人たち自身が継続的に学習するというか、自己投資するということがとても大事だと思うのです。やはり両方が大事だと思うので、その両方を書く必要があるかなと思っています。
 そのときに、育成なり、能力開発のときに、産業構造、職業要素の変化に合わせて、企業が社員の能力を高めたり、働く人たちの仕事の変化に合わせて能力開発をしていくということだと思うのですが、そのとき仕事がどんどん変わっていったときに、その仕事をやるための必要なスキルが明確になっている能力開発とか、学習の話と、もう1つは、何が起こるかわからないことに準備して、事前にしておくということはとても大事だと思うのです。そうすると後者のほうは、学習能力、学習意欲みたいな話とか、変化に対応力のあるスキルとか、たぶん両方議論しなければ。そのとき何となく変化した仕事についていけるスキルを身につけるみたいな感じが強いのですが、実はベースになるような変化への対応ができる能力とか、新しいことを学んでいく学習能力みたいなことがとても大事になってきて。それが大事だということわかると、企業が社員に対して、いまの仕事に必要なことを学習しろ、勉強しろということだけではなくて、何が起こるかわからないですから、常にいろいろなことを勉強したり、関心を持っていくというような社員を支援することが、企業にとっても大事になることがわかってもらえるのではないかなと思うのです。
 つまり、もう50だから新しい仕事についていけませんという社員ばかりではなくて、50でも60でも新しいことにチャレンジするという社員がたくさんいたほうが、企業としてはその環境変化に適応しやすいわけですね。だから、そういうことを書くと、企業として何でいますぐ役に立たない勉強の機会なんかを社員に提供するのだということも、企業に説明できるかなと思いますが、ちょっとそういうふうに書いたほうがいいかなと思います。
 あと細かいことですが、この人材育成と人材形成の使い分けで、わかってもらえるかどうか。たぶん言わんとしていることは人材形成で、生涯学習とかリカレントだと思うのです。ただ、生涯学習は文科省の用語だということはあるかもわからない。生涯にわたって育成するとか、生涯にわたって学習するというような言葉はいいと思うのですが、人材形成でわかってもらえるかな。言葉だけです、内容はとても大事だと思います。
○小杉委員 私、別途コメントのペーパーで出しているのですが、いまそれを持ってこなかったので、記憶の範囲で話させていただきます。いま、まさに佐藤委員が指摘されたところなのですが、人材育成から人材形成へと、これまさに生涯学習論で、1970年代から議論されていることそのものなのですね。それをどう表現でするかということで、生涯職業能力開発とか、そんな言い方も厚労省ではしてきたと思うのですが、その辺の議論はもう1回ちょっと踏まえておかなければいけないのではないか。突然ここで言う話ではなくて、これまでずっと言われてきたことだとです。
 それが必要な人材の質の変化の中で、外部市場を通じた能力形成みたいなところも非常に重要になってきた。時代状況の中で改めてリカレント教育とか、生涯学習社会というようなことが重要になってきたことが、これまでの議論があるところに、現在の状況の中でさらに必要性が高まっているというような位置づけが必要なのではないかと思います。
 その話とちょっと近いのですが、グローバル人材の育成のところです。今日、海外青年協力隊の資料、大変いい資料をいただきまして、ありがとうございます。その事例で示してもらいましたとおり、いま企業が言っているグローバル人材にぴったり当てはまる人材だということがよくわかる資料だったと思います。つまり、企業の中で人材育成としてグローバル人材育成しやすくするような支援というのが1つあります。もう1つは、外部を通じてグローバル人材は、実は育っていて、それをどうあっせんしていくかというか、そこの関係をどうよくしていくかということがテーマになるのではないか。企業内ということと、企業外ということをどうつないでいくか。
 いま海外青年協力隊だけの話が出ましたが、実は海外のNGOとかNPOとかそういうところで活躍している日本の青年は少からずいるわけです。そういう人材をどう日本に還元するかということも含めて、外でやられた海外のいろいろな非常にシビアな経験をしてきた人たちをどうやって高い能力のある人として評価させられるか。その辺の仕組み、いま海外青年協力隊についてのみ、いろいろ仕組みができたのだなと思ったのですが、そういうところにほかの形で海外で能力を形成した若者たちを、その同じ枠組みに乗せるとか、積極的にそういうグローバル人材、実は育っているグローバル人材をきちんとあっせんしていく仕組ということも含めて、ここでは企業内で育てる話と、企業外で育った人たちをうまく還元させていくという話と、両方必要なのではないか。
 つまり、3章のところでは企業の内に軸足がありますが、企業内だけではなくて、企業外の市場を通じての育成とマッチング、その話まで広げて書く必要があるのではないかという視点でまとめられます。
 後半のほうで、若年のほうなのですが、そこの中でいま非常に違和感を感じたのは、「キャリア教育」という言葉の使い方。キャリア教育の定義、いただいた本文には書いてあったのですが、何というか、これまでの議論を無視した書き方をされているところが非常に気になりました。それも使っていた資料、大変古い資料で、「キャリア教育」という言葉がいま大学の中では設置基準の中に、教育の内外を通じて、社会的職業的自立に必要な能力態度を育てるような環境を整備すべきだということが、設置基準に盛り込まれるような状態になって。大学教育をあげてやるべきことというような認識、もう大学の中でかなり広まっている状況なのですが、そういう状況みたいなものを全く無視した書き方になっているのが、非常に気になりました。これまでやられてきた議論をきちんと踏まえた上で、キャリア教育を論じるべきだと思います。
 その上で、若者雇用戦略に則った形に組み立て直すほうがいいと思うのです。学校教育の中でキャリア教育しろという話ではなくて、若者戦略の中ではコンソーシアム、地域コンソーシアムの話がかなり前面に出ていたので、むしろそちらのほうに軸足を置いて書くべきだと思うのです。学校そのものではなくて、学校の周りに社会、つまり産業界とか労働界とか労働行政とか、そうしたものがどうやって学校在学中からその卒業後の人材となるまでのプロセス全体を通じて、どう関与していくかというのが、コンソーシアムの議論だったと思います。そこのところにむしろ力点を置いて、そういう日本経済を支える若年者をどう育てていくか。育てていくというところにも、産業界も労働行政もきちんと関与していく仕組みを作っていくべきだというのが、これがこの中では論じるキャリア教育に関する議論ではないかと。そういう軸足で書いたほうがいいのではないかと思います。
 そうすると、マッチングのところのミスマッチの話だけではなくて、その中に教育段階を端緒とするミスマッチという話がありますが、能力形成の段階からのミスマッチという話なので、その能力形成の段階からのミスマッチというのにも関与していける。つまり、在学中のカリキュラムレベルでの産業界との連携というものをどう進めていくか、それを議論できると思います。
 その中で、教育行政の中で能力観として、かなり狭い意味の職業能力に近いものと、佐藤委員がおっしゃったまさに学ぶ意欲、学習能力みたいな話ですね。そういう話を大きく2本立ての大学教育が形成すべき能力観というような形で議論されているのですね。そういう2つの学び続ける能力という話と、それから具体的な職業に直結する能力と、この2つの話がその中で出せると思うのです。いま企業側が必要とされる能力、変化に対応する能力という話と、それから現場での能力と、その2つの軸と学校教育の中で育てるべきものと非常にマッチした形で話ができるので、少し幅広くキャリア教育というのをいまの議論に従った書き方にすると、そういう話もできるのです。マッチングだけの話ではなくて、在学中の能力形成にまで関与するという議論にしていったほうが、いま教育界でされている議論ともマッチするのでいいのではないかと思います。
○樋口座長 いろいろご指摘いただいたので、そこについては修正をしたほうがいいと思います。
○白木委員 いまの人材育成という議論なのですが、これは、日本企業が海外に派遣する場合とも一脈通じるところがあると思うのです。人材育成というのは大きく分けると2種類あると思うのです。1つはディマンドブリズンというか、技術がどんどん変わっていけば当然人材育成しないと間に合わないわけですから、これは企業の中ではやると思います。やらないと企業は追い付かないわけですから。もう1つは、ディベロップメントという側面があると思うのです。人材を将来的に育成していく。これもまた細かく分けると2つに分かれると思うのです。投資のためにお金をかけて、いま必要ではない能力を高めていくというのが1つです。もう1つは、マインドセットに関係するものだと思うのです。これは要するに考え方ですから、お金がかからないのです。ですから、この辺をうまく使うことによって、論理的には3つぐらいに分かれているのですが、その辺をきちんとクリアに分けるとわかりやすいかなと思いました。
 それに敷衍して、もう1つ、先ほどの海外青年協力隊経験者の進路についてです。私はちょっと休んでいたのでわからないのですが、行く前の状況がどうであったのかがわからないと、このデータも、どのように読んでいいかわかりにくいところがあると思うのです。もう1つ、海外青年協力隊が民間企業にもかなり入っているというのはわかりますが、もともとがどうだったかわからないものですから、1つ大きな課題は、マインドセットに関係するところなのです。企業が欲しいというのは、やはりビジネスマインドを持った、グローバルな経験を持った人なのです。全然違う発想の人を企業が取り込むというのは、なかなか難しいのです。ですから、グローバルな視点を持った人が欲しいというところにマッチングさせるためには、厚労省が入るかどこが入るかわかりませんが、マインドセットについても若干の導入部門をつくらないといけない。そこをしてやらないと、意外とマッチングしていない人もたくさんいるということを我々も経験していますから、そこが重要かなと思います。
○諏訪委員 先ほど佐藤委員が、人材形成というのは非常にわかりづらいというお話をされました。私も、確かに熟していない言い方だと思うのです。キャリア形成というのは、よく使われると思います。これによりますと個人のほうに寄りすぎてしまうので、企業の側がちょっと腰が引けるでしょう。普通に考えると、育成というと30歳ぐらいで大体終わる感覚で、しかも、上にいる人が下にいる人を引き上げて自分のようにさせるというイメージがあるかと思います。ですが、上の人が下を引っ張るということが必ずしもできない時代になってきてしまったわけです。上のほうができない。上のほうがわからなくて、下のほうしか知らないこともある。こういう時代になってくると、育成という言い方そのものが何となくそぐわなくなってくる。
 「人材形成」という言葉を使ったほうがいいのではないかと私が思うのは、1つは、人材育成という言葉がすでに定着しているから、それを少し変えるのがよいかと思うからです。発送を変えて、まず年齢はずっと職業生涯にわたってだということで、ずっと人材をつくり続けていくというイメージかなと思っています。もう1つは、客体といいますか、形成していく中身にもっと変化を織り込んでいく。キャリアのチェンジとか、中断がたくさん起きやすくなっていく中で、先ほど佐藤委員もおっしゃられたように、変化対応力ですとか、もっと基礎的な、基盤的な能力というのが以前より重要になってきている。そういうものを含めていったらどうだろうかと思います。それから、いちばん重要なのは主体の側で、個人だけにすべて任せて済ますのは無理でしょう。企業もかかわっていく、さらに言うならば国や社会もと、こういう三者がかかわっていく。もう少し言葉を変えれば、いままでだと人材育成というときは教育という観点でした。教育訓練が典型的な言い方です。でも、それに対して、「形成」と言うときはもっと学習という要素が出てくる。教育と学習の両方というような感じの新しいイメージを広げていったらいいのではないかと思っています。何度も申し上げていますが、もう間もなく、我々が見ていく就業人口の半分が45歳を過ぎるようになるわけです。「あなたは70まで働くのだから、50のときに人材育成ですよ」というのは、言っていけないとは思いませんが、2つの意味で変だと思うのです。教育だけの問題なのだろうか。本人の学習、マインドセットから含めまして、こういうことがあるのではないかと思っております。
○山川委員 先ほどの構成の点ともかかわりがあるのですが、この資料の4頁の第4章に「政策評価制度の効果的な在り方」というのが出てきます。それが第4章の中でどう位置づけられるのかという点が若干気になります。むしろ、先ほどの議論にありましたが、最後に「終わりに」のようなものを付けて、全体のエグゼクティブサマリーのようなことで、第1章以降検討してきたことをまとめたらどうかと。2030年の需給推計を示すとともに、それまでの政策でいろいろなものが考えられる中で、政策評価を随時行って検証ないし改善をしていくということで政策評価は使われるのではなかろうかと思いますので、「終わりに」のようなものの中で、こういう方向に向けて政策評価を効果的に進めていくべきであるという流れのほうが、位置づけとしてはクリアかなと思います。
 もしそのような形で最終的なまとめを最後に付けるとしたら、内容として盛り込むべきことは、要約になるのですが、およそ労働者、働く人たちはどういう生活をして、どういう働き方をするのかとか、企業としてはどういうあり方になるのか、あるいは、順序が逆かもしれませんが、日本の産業としてはどういう方向に進んでいくのか。端的に、産業、企業、労働者というような形でビジョンを示す。2030年のことを具体的に書くというのは難しいかもしれませんが、それまでの方向も含めて、わかりやすい形でビジョンないし方向性を要約する。そのようなまとめの資料はたぶん作られると思いますので、それをまとめたほうが、3章と4章の関係も含めて、全体がわかりやすいのではないかと思います。
 そのこととの関係で言えば、先ほど来皆様方がおっしゃられていることも、求められる働き方というのはどのようなものなのか、という点にかなり関連しているような感じがします。先週、国際労使関係研究協会の会議に出てまいりましたが、そこでは、T.KochanというMITの先生が、ナレッジ・ベースト・エコノミーに応じた働き方、知識社会と知識経済に応じた働き方が求められるというようなことをおっしゃっていました。いままでのお話は、たぶんそういう形の新しい働き方が現に求められているということだろうと思いますので、そういう点もふまえて最終的にまとめていただいたらどうかと思います。
 もう1つ、それとの関係では、製造業というのはやはり重要だと思うのですが、単にこれまでの延長線上で多少高性能になったということでは、もうどうしようもないのではないかという気がしています。メーカー名を挙げるわけにはいかないと思うのですが、iPhoneとかiPadとかiPodは、技術が多少高まったというのではなくて、コンセプトを新たにつくり出したということで発展したと思います。そういうことが企業に求められる感じがします。それが一人ひとりの知識、働き方との関係にも出てくるかと思いますので、そのようなビジョンを、すでに中にも書かれているのですが、まとめられたらいかがかなと思います。
○鶴委員 いま山川委員が言われた政策評価にかかわる話です。前回、地域の雇用創出事業のお話があったと思うのですが、事業をどう評価するのかというのはなかなか難しい。例えばリーマン・ショックとか震災のあとは、緊急の関係のいろいろな企業は非常に効果が出た。一方、ふるさとのような継続雇用を想定したものというのは、そういうものをどう評価するかというのは非常に難しいと思うのです。逆に、地域雇用創出事業というのはそういう評価が難しいからこそ、きちんとチェックをするというPDCAサイクルというものを毎回この研究会報告書で強調しているのだと思うのですが、特にこの地域の雇用のところは、その点を非常に強調するということが重要なのかなと思います。
 もう1点、雇用のミスマッチの解消のところに「手間ひまをかけた就職支援の推進」とあります。手間ひまかけるのがいいというのは、どんなことでもそうだと思うのです。それはコストがかかると。コストがかかっただけきちんとそのリターンがあるのか、成果があるのか、というところが問われるのだと思うのです。ここは、求職者ということを考えた場合に、新卒と、これまで働いた経験がある人が失業して、また仕事を見付けるときとは本質的に違うのだと。ここでのご説明もあったと思うのですが、学生が、そもそも自分は何に持ち味があるのかとか、自分は本当に何がやりたいのかということが、カウンセラーの人といろいろ話してだんだん見えてきたというお話もあったわけです。そういう状況だと、時間がかかるのだと思うのです。だからこそ新卒というのは丁寧にやらなければいけないのだとか、そういうことがにじみ出るような文章を考えていただければ、報告書としては非常にわかりやすいものになるのではないかと思います。
○樋口座長 この報告書のストーリーをどのように描くかということを事務局と相談したときに、2030年を目指してということなのですが、やはりいつも気になるのは足下の話で、往々にして、いままでの研究会報告も、足下で何が起こっているかで、徐々に中期的、長期的というような流れだったと思うのです。足下で起こっている最大の気になることというのは、日本経済が20年以上にわたって低迷している問題、どうも景気だけの問題ではなさそうだという構造的要因を抱えての低迷です。しかも、その中でデフレが起こっている。デフレが進行しているというのが、労働市場と独立して起こっているわけではなくて、要は、金融の問題だけではなさそうだと。そういうところで、デフレスパイラルの問題という形で、例えば人員の削減とか人件費の抑制といったものを考えると、やはりデフレの影響というのは相当強いなと。しかも、景気が低迷していてデフレが起こっているだけではなくて、ずっと資本主義の社会が変わってくる中において、グローバル化が起こってくる中においてそういったものが起こってきている。そこにおいては、やはりいまの人件費の削減というのが、結果として可能性は2つあって、1つは企業収益を上げることなのですが、コストが削減されるのだから、その分だけ収益を上げるわけですが、そちらにつながっていない。むしろ、さらに料金を引き下げるとか価格を引き下げるというようなスパイラルになっているわけです。デフレがまたデフレに戻ってきますというような。ここから脱却するのにどうしたらいいのかというのは、雇用政策としても非常に重要な問題になっていて、これを雇用政策研究会としては議論していきたい。それが私のお話したところなのです。
 その中で、労働市場全般に影響は出てくるだろうと思いますし、いままでのものに比べれば、長寿化あるいは少子化という中において、生涯にわたってのキャリアを形成すると。こうすることが、ある意味ではデフレ、あるいは経済の低迷から自己防衛的に自分の仕事を守っていくというようなディフェンシブな意味でも必要だろうし、逆に、このことがデフレの解消につながっていくのではないかと。能力開発ということによって付荷価値を高めるというようなことを通じてのデフレの解消ということで、スパイラルを断ち切るまでいくかどうかわからないのですが、そういったものに貢献できるのだと。ですから、財市場があって、そこにぶら下がっている労働市場だけではなくて、労働市場からのフィードバックというようなことというのも考えていかなければいけないというようなことを入れたいなと思いました。
 その上で、なぜ若者と地域という問題を特に扱ったのかというところですが、これについては、労働市場全般に痛みは現れてくるのだろうと思いますが、特に痛みが強く現れてくるところはどこだろうと考えると、それは若者というところに1つは現れてきている。もう1つはやはり中高年の賃金の問題、処遇の問題というのもあると思いますが、とりあえずは若者と、それから地方にこの痛みが強く現れているということから、この2つを取り上げて議論していったらどうだろうかと思って、事務局と話をしていったのです。そういった視点から、単純なものはいろいろ議論しなければいけないことはあると思うのですが、そのストーリーだけは何とか築けないかなと思っているのです。お願いばかりで恐縮なのですが、そういうことが見えるような、そして人口の高齢化の中で2030年に向けてという足下の問題、中期的な問題というような住分けといいますか、それが書けていけるといいのかなと思います。
 たぶん、雇用をつくらなければいけないという議論は、いままで雇用政策の中でどこまで議論してきたのかというと、自分の意識があまり明白ではなかったこともあるのだろうと思いますが、あまり十分な、産業政策として言ってきたところがあったというところで、やはりデフレ解消のための策としては、基本的に産業あるいは企業というものがいかにというところがある。それは、皆さんがおっしゃったような新しい時代のあり方という形で展開していく必要があるのではないかと思いました。
○玄田委員 いまの座長のお話と若干関係するかもしれませんが、やや失礼なもの言いになったら恐縮ですが、雇用政策研究会報告と言うわりには政策の具体像が見えないという印象を、正直持ちます。特に3章の1の「日本の成長を担う産業の育成と一体となった」というところ、この「一体となった」というところが、踏み込んだ表現にすれば一体何をもって一体となっていくのだろうというのが見えないという印象を正直持ちますし、逆に、何か省庁の壁を越えて一体となった施策を推進し、それに厚生労働省が雇用政策を担うとすれば、デフレ脱却に活かせそうな展望が見えてくるように思いました。
 それでは一体となる政策というのはどういうことが可能性としてあり得るのかということを考えてみると、確かに昔はそれほど産業と一体となった意識はなかったとしても、間接的にはそこでやってきていると。例えば失業なき労働移動が問われた時代には、成長産業への移動を促進しなければいけないということで、教育訓練給付金制度というものを、いろいろ考えた上で導入してきたわけです。最近で言えば、不況後の雇用基金事業の中で、雇用創出事業のところで介護医療分野を重点的に、雇用をつくるのだということで、かなり産業政策に踏み込んだ議論をしてきた。それに加えて、2030年と残すかどうかはわかりませんが、今度は改めて産業一体で何にさらに一歩踏み込むかというところが、一般論に終始しすぎていないか、やや慎重でありすぎているのではないか、もっと大胆に言うと、経産省とか財務省に遠慮しているのではないかという感じすらしてしまう。
 例えば経産省の産構審の資料がありますが、そこでは明確に重点分野が4つ挙げられていて、ヘルスケア、エネルギー、クリエイティビティ、イノベーションのHICIという重点分野でいくのだと書いてある。それに対して雇用政策はどう踏み込んでいくのか。もうちょっと踏み込まないと、「一体感」という言葉はやや看板倒れではないか。例えば先ほど申し上げた雇用重点分野に関しては、ヘルス、医療、介護に関してはやるのだということを言ってきて、それなりの雇用分野を生み出しているわけですから、先ほどのクリエイティビティとかイノベーションという、さっき山川委員がおっしゃったナレッジと密接にかかわっている分野に対して、同じように、場合によっては基金事業ということがないにせよ、重点分野を決めて、基金事業的なものをより発展させる形でやるということを、もっと考えてもいいのではないか。もっと言えば、それはもしかしたら経産省との調整もあるかもしれませんし、雇用促進税制は、いま、5人以上プラス10%の雇用層に関しては税政控除ということがあるわけですが、先ほど言ったような4分野に関して言えば、5人以上10%ではなくても、若干要件は緩和しても、その分野で雇用をつくった企業に対しては税制上の考慮をするということをもっとやっていこうということを、財務省に対して積極的に働きかけるぐらいのことがないと、産業と一体になって雇用政策推進というのは、失礼なもの言いはしていると思うのですが、看板倒れではないかと思ったので、座長の発言に勇気を得て、申し上げてみました。
○樋口座長 どこまで書き込むかは、先生方の意見を聞いて、これを取り上げるべきだというものについて考えていくということでよろしいですか。
○阿部委員 玄田委員も言ったので、私も言います。雇用創出、政府がどういう新産業分野を重点化するかということを、この場で決めるとか、国のレベルで決めるというよりも、大事なのは地方レベルでどのようにやっていくかで、それを集計したらそうなっているというのが、自然に考えられることなのではないかと思うのです。そういう意味で、地域雇用創出の推進のあり方といったところで、私は前回出られなかったので残念なのですが、国と地方自治体との分担の仕方、あるいは協業の仕方という辺りがどのように書かれているのかというのは、すごく興味があるのです。前回いなかったのでわかりませんが、我々はその辺りをあまり議論しなかったのではないか。県などでは、国とどのように協調してやっていけるのだろうかということを質問される方が、結構いらっしゃるのです。その辺を国も踏み込んで考えているのかどうか、よくわからないのですが、その辺りはまだまだ問題がある。特に、地方にある出先機関と県あるいは市町村とがどう役割分担していくのか、これが大事なのではないかという気はするのです。前回例示されている静岡県などでやられたベストプラクティスのようなものをもっと普及させていくとか、そういうところは国としての役割があると思うのです。そこから先をどのように役割分担するのかというのは、もう少し考えなければいけないのではないかと思います。
○樋口座長 実は、前回の地域雇用のところで、地域雇用における国の役割というのは何だろうかということを少し皆さんでご議論いただいて、結論が出たかどうかは別として、いろいろご意見は出たので、それは織り込めるだろうと思います。
○阿部委員 もう1つ、全然別な観点なのですが、佐藤委員が雇用管理改善の推進の場で、介護をする労働者の話をされていました。高齢化社会になって、我々は、この年齢層ですと、長期療養型のがんなどにかかる可能性もある。そういう人たちが働き続けられるということも大事だと思うので、その辺りもこの中に盛り込めたらいいのではないかと思います。
○山川委員 ちょっと早めに退室するので、1点だけ、細かいことなのですが、具体的な施策ということでは、税制との関係で、先ほど玄田委員から雇用促進税制のお話がありましたが、教育訓練についても、すでに税制上控除などの措置があったと思います。それが具体的にはどういう現状であるのか、よくわからないのですが、人材育成支援ということでは、税制的な仕組みの拡充なども考えられるのかなと思います。
○樋口座長 あれは、そのあとだいぶカットされたところがあったようですが、調べていただいて書き込むと。どこまで個別政策についての評価をこの中でしていくかというのは、いろいろ見方があると思いますので。
○清家委員 いま阿部委員が言われたことの関連ですが、いま厚生労働省で健康寿命を延ばす政策を進めようとされていますよね。健康寿命を延ばすということと高齢者雇用というのは、まさに健康寿命を延ばすというのは人的資本投資の非常に重要な部分ですが、何か関連づけた記述はあり得るのでしょうか。それはちょっと別なのでしょうか。
○森山職業安定局長 書こうと思えば書けると思います。
○樋口座長 よろしいでしょうか。いろいろご意見いただきましたので、このあと事務局ともまた相談して、いよいよ本文を書いていくことになるかと思います。
○白木委員 周辺的な議論になるかもしれませんが、2点ほど確認させていただきたいと思います。この報告書の1頁の第2章に「今後の成長を担う産業の育成」ということで4つあります。1番は成長の軸で、これは、最も重要な軸だということで製造業を取り上げています。あとは、環境、省エネ産業の育成、コンテンツ産業等の育成、高齢者需要に取り組む産業の育成ということで、1番がもう根幹であるということで、確定しているものは製造業なのです。その場合に、先ほど山川委員が言われて、私もそうだと思っているのですが、現在の製造業に必要なものは、もちろん物づくりの人材育成、製造業ですので技術的なもの、スキルの面というのは非常に重要だと思うのですが、ただし、それにプラスアルファして、他のソフト的なものと組み合わせるとか、マーケティング機能を持ったところとどう組んでいくかとか、そういう人材をどうやって製造業とくみ合わせていくかというところが、非常に重要だと思うのです。先ほど山川委員はちょっと抑えられましたが、あるメーカーの社長さんが「技術なら俺のところは負けないんだ」とおっしゃっていましたよね。厳しい状況に置かれている大企業がありますよね。そういうことで、いまは技術力だけではうまくいかない。サムスンに勝てないという状況があるというのは、この辺は軸なのですから、ちょっと踏み込んでいただければというのが1つ目の期待です。
 もう1つは、グローバル人材については3章の1の5)で書かれているわけですね。どういう形で育成するかというのは非常に重要ですが、同時に、いまは留学生に対して企業がそれを採用しようという強い意欲がありますね。いま、年間1万数千人が日本の企業に就職しているわけです。これも増えていくかもしれませんし、企業はものすごい勢いで採用しようとしています。この辺に、イノベーションでダイバーシティとかいろいろな観点から期待をかけているわけです。周辺的で書けないのかもしれませんが、その辺もコアだと思うのです。この間、ローソンの社長さんに聞きましたら、全国で、お正月のお節料理の売上げのナンバーワンは留学生だったそうです。それぐらい面白い人が入ってきて、売上げにもものすごく貢献しているわけです。その辺のところを書き込めるかどうか、ご検討いただきたいと思います。
○佐藤委員 日本人の感性というところで、日本で生まれたおもてなしとか漫画はいいのですが、これを「日本人の」と言ってしまっていいのかどうか。つまり、それがわかる人なら誰でもいいのです。そこをご検討ください。
○樋口座長 まだいろいろご意見があると思いますので、早めに事務局にお寄せいただきたいと思います。次回は、本日の議論をもとに報告書案を検討していきたいと考えていますので、よろしくお願いします。それでは、次回以降の日程について、お願いします。
○武田雇用政策課長補佐 次回の日程ですが、第9回雇用政策研究会を7月23日(月)の11時より予定しております。研究会報告書の取りまとめを予定していますので、よろしくお願いします。
○樋口座長 ご意見をたくさんいただくのは非常にうれしいので、早めにお願いします。それでは、本日の研究会は以上で終了します。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

職業安定局雇用政策課
(TEL)03(5253)1111(内線 5732)

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