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2012年2月23日 第83回労働政策審議会職業安定分科会議事録

職業安定局総務課

○日時

平成24年2月23日(木)15:00~17:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 厚生労働省省議室(9階)


○議題

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案要綱について

○議事

第83回労働政策審議会職業安定分科会

○大橋分科会長 これから第83回労働政策審議会職業安定分科会を開催いたします。
 本日の委員の出欠状況は、公益代表の岩村委員、清家委員、樋口委員、宮本太郎委員、労働者代表の澤田委員、住野委員、林委員、古市委員、使用者代表の河本委員、久保委員、高橋委員、田沼委員が欠席となっています。また、久保委員の代理として株式会社上組の深井様、高橋委員の代理として日本経済団体連合会の遠藤様、田沼委員の代理として日本商工会議所の松本様が代理出席いたします。
 カメラ撮りの方はここまででご退室願います。
 それでは、議事に入ります。本日の議題は、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案要綱について」です。本要綱につきましては、2月16日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会長宛に諮問を受けており、16日の雇用対策基本問題部会において予め議論を行っていただいています。
 資料及び雇用対策基本問題部会について、事務局よりご説明をお願いします。
○高齢者雇用対策課長 まず、資料1-1です。これは厚生労働大臣から労働政策審議会会長への諮問文、頭紙です。「法律案要綱について貴会の意見を求める」というものです。要綱については読み上げを以て紹介させていただきます。
 1頁です。「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案要綱」。第1「高年齢者等職業安定対策基本方針」。高年齢者等職業安定対策基本方針に定めるべき高年齢者の雇用の機会の増大の目標に関する事項について、当該高年齢者を65歳未満に限定していることを削除すること。
 第2「高年齢者雇用確保措置」。1 事業主は、事業所に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準を定め、当該基準に基づく制度を導入したときは、継続雇用制度を導入したものとみなすものとしている規定を削除すること。2 継続雇用制度には、事業主が、特殊関係事業主(当該事業主の経営を実質的に支配することが可能となる関係にある事業主その他の当該事業主と特殊の関係のある事業主として厚生労働省令で定める事業主)との間で、当該事業主の雇用する高年齢者であってその定年後に雇用されることを希望するものをその定年後に当該特殊関係事業主が引き続いて雇用することを約する契約を締結する場合が含まれるものとすること。
 第3「公表等」。厚生労働大臣は、事業主に対し高年齢者雇用確保措置に関する勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができるものとすること。
 第4「その他」。その他所要の規定の整備を行うものとすること。
 第5「施行期日等」。1 施行期日。この法律は、平成25年4月1日から施行するものとすること。2 経過措置。この法律の施行に関し必要となる経過措置を定めること。以上です。
 次に、資料1-2をご覧ください。これは先ほどご紹介がありましたように、当分科会の雇用対策基本問題部会でご議論いただいたその報告になっています。読ませていただきます。
 「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案要綱」について。平成24年2月16日付け厚生労働省発職高0216第1号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本部会は、下記のとおり報告する。記。厚生労働省案は、おおむね妥当と認める。なお、使用者側委員からは、対象者基準を廃止する場合は、現行の継続雇用制度の定義について、現に雇用している高年齢者が希望するときは、定年後も引き続いて雇用することを原則とするよう改め、例外を認める制度であることを法律上明確化すべきとの意見があった。
 次に、資料1-3です。これは、先ほど読み上げました要綱を簡潔に記したものですので割愛させていただきます。
 次に、資料1-4「関係資料」です。簡単にご紹介します。1頁は、厚生年金の支給開始年齢の引上げです。公的年金(厚生年金)の支給開始年齢の引上げにより、平成25年度には60歳定年以降、継続雇用を希望したとしても雇用が継続されず、また年金を支給されないことにより、無収入となる者が生じる可能性があることを図示しているものです。
 2頁は、高年齢者雇用安定法における例外措置の廃止です。継続雇用制度、高年齢者雇用確保措置につきましては、既に平成16年の改正で導入されています。下に書いてありますように、1 定年の引上げ 2 継続雇用制度の導入 3 定年の定めの廃止、いずれかの措置を導入するように義務づけられていますが、?に赤字で書いてありますように、労使協定により基準を定めた場合は、希望者全員を対象としない制度も可能となっています。下の赤の囲みにありますように、希望者全員の65歳までの継続雇用の確保のためには基準制度の廃止が必要ということで、今回の法案改正要綱の形になっています。
 3頁は、高年齢者に係る雇用制度の状況です。1が高年齢者雇用確保措置の実施状況で、先ほど申し上げました1・2・3のいずれかの措置を既に実施済みの企業は全体の95.7%になっています。2は雇用確保措置の内容です。先ほど1・2・3の方法があると申し上げましたが、82.6%が継続雇用制度の形で導入しています。3が定年到達者の動向です。昨年は定年到達者は約43万5千人ということですが、継続雇用を希望しなかった者が24.6%、定年後に継続雇用された者が73.6%、基準非該当となった者が1.8%、7,623人という数字です。
 4頁は、継続雇用制度の雇用先の特例です。本要綱の中にもありましたけれども、今回雇用確保先をグループ企業まで広げようということで、ここに書いてありますように、親会社から子会社、子会社間、あるいは関連企業ということで、雇用確保先の拡大を法令で整備しようというものです。
 5頁は、経過措置のイメージです。要綱の中では経過措置を設けるとしか書いてありませんが、具体的には次のような形で規定されると考えています。継続雇用制度の対象を限定する基準を設けている事業主は、老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給開始年齢に到達した以降の者を対象に、その基準を引き続き利用できる12年間の経過措置を設けるとしています。このグラフ、表に書いてありますように、赤で書いてあります支給開始年齢の引上げで今回の対象者基準を利用できるとして、12年間の経過措置という形になっています。
 6頁は、高年齢者雇用制度の見直しに関する助成金の充実です。これは法案要綱そのものではありませんけれども、予算措置として講じる助成金の充実のイメージです。A社からB社へ定年退職予定者の失業なき労働移動、こういったものを財政的に支援するため、例えばB会社に定年退職予定者が移動した場合について、B会社に対して受入助成として1人当たり支給額70万円を支給する。あるいは、労働移動支援助成金としてA会社が有料職業紹介事業者等にあっせんを依頼した場合、その利用料の3分の2を補助する。こういった措置も併せて講じるとしています。
 最後に、高年齢者雇用に係る助成金です。高齢者雇用を促進するためのさまざまな助成措置を一覧で掲げています。以上、簡単にご説明いたしました。
○大橋分科会長 それでは、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案要綱」につきまして、ご質問、ご意見がありましたらご発言ください。
○高橋委員代理 ただいま事務局からのご説明にもありましたとおり、部会報告の中には使用者側意見を付記させていただきました。ここで改めて、その意図するところについてご説明申し上げたいと存じます。高齢者雇用の見直し議論の当初から使用者側といたしましては、組織の活力、組織の秩序を維持するために、一定の基準、一定のルールが必要であり、そのためには高齢者にかかる対象者基準を維持すべきであるとの主張をし、今日までその考え方には変更がありません。いま一度、まず申し上げておきたいと存じます。
 働き続けたいとの希望があっても、定年後の状況を考えれば現実にはいくつもの制約があり、就業が困難な場合も多々あります。健康面、体力面を見ても、高齢期になるととりわけ個人差が大きくなりますので、その制約の度合いはやはり顕著になってきます。企業の現場では、例えば健康面で支障があって働き方に制約を伴うと産業医が判断するような場合にあっては、当然のことながら健康配慮を行うわけですが、さらに安全配慮義務も課されてくるわけですので、そうなりますと雇用することは難しいという状況もあるわけです。建議の中では、例外として就業規則における解雇事由及び退職事由に該当する場合を対象外とすることを容認しています。さまざまな場面を考えれば、法律で明確化されていない中で就業規則による一律的な対応を行うことは困難を伴いますし、むしろ一律的な対応をすることによるさまざまなトラブルなども懸念されます。
 法律で定められている現行の雇用確保措置の趣旨は十分に理解しています。対象者基準の廃止については、いまなお納得しておりませんが、第9条2項の対象者基準を廃止するのであれば、少なくとも現行の第9条1項で規定されている継続雇用制度の定義それ自体を変更していただきたいという趣旨です。希望者全員の雇用ということではなく、職務遂行が不可能な場合など一部の例外については法律上対象外とすることを容認する制度であるという、その旨をきちんと書き込むべきだと考えています。
 なお、意欲と能力のある高齢者雇用の促進に向け、個別の企業や個々の業界ということではなく、私どもは関係会合の中で広く議論を重ねてまいりました。同時に、各使用者団体の間でも問題意識を十分共有しながら検討を続けてまいったわけです。そうした経緯の中で、多くの企業の声を踏まえての使用者側意見であることを是非ともご理解賜りたいと存ずるところです。私からは以上であります。
○新谷委員 いま、使用者側委員から総括見解的な意見の表明がありました。私どもとしての意見の表明は後ほど述べさせていただくとして、中身の問題で1点、確認させていただきたい点がありますのでお聞きします。この法律案要綱の第5の2に「経過措置を定めること」と書いてあって、資料1-4の5頁にその経過措置の中身のイメージが書かれています。ここで、老齢厚生年金の報酬比例部分の受給開始年齢を軸に経過措置を改正法施行後12年間にわたって設けていくという内容の記載があります。高齢期の生活を支えるのに重要な収入源になる年金ですけれども、残念ながら年金については満額支給ではなくて、報酬比例部分の支給開始年齢が3年ごとに1歳ずつ繰り下がって支給されるということです。お聞きしたいのは、現在定額部分がもう支給停止になっていますので、経過措置で接続される報酬比例部分の年金額は一体いくらぐらいあるのかを教えていただきたいと思っています。
○高齢者雇用対策課長 年金局で出している資料によりますと、報酬比例部分のみ、受給者1人当たりで、平成22年の平均値で約8万円ほどということです。
○大橋分科会長 よろしいですか。
○新谷委員 約8万円は平均的な額だと思いますけれども、もちろんそれは報酬比例部分ですので、在籍中の報酬によって年金の額の多寡がかなりあって、分布にかなりのバラつきがあるのではないかと思います。その一方で、生活を支えるということで言えば、日々の食費や水道、光熱費、医療、保険等々の基礎的な消費支出の金額は一体いくらかを調べますと、単身世帯で大体7万円前後になりますし、高齢者の夫婦ですと10万円から11万円という金額になるわけです。ですから、先ほどの平均的な報酬比例部分の支給額、8万円前後ということですと、まさしく生活を支えるのにギリギリの金額であるという認識が必要ではないかと思っています。ですから、今回、経過措置ということでこの法律案要綱にも盛り込まれていますし、資料1-4の5頁にありますように、本当にギリギリの中で生活を支えていくのだということを認識として我々は持つ必要がある。ここで言っている年金は決して満額支給ではないのだという前提の中で、この経過措置が入れられていること、これについて今の段階になってどうこう言うつもりはありませんけれども、そういう認識の中でこの経過措置が設けられていることを是非我々は認識するべきだと思っています。これは意見として申し上げたいと思います。
○大橋分科会長 よろしいですか。
○新谷委員 その上で、先ほど使用者側委員から総括的な見解がありましたので、私どもとしても、大臣への答申に当たりましてこの法律案要綱に対する感想と要望を申し上げたいと思っています。先ほどありましたように、部会で「おおむね妥当と認める」旨の報告がありました。これにつきましては労働側としましては、部会でも意見・要望を申し上げたとおりでありまして、「おおむね妥当と認める」という内容につきまして了承したいと思っています。
 これは部会の中でも随分論議させていただきましたが、わが国は世界に先駆けてものすごいスピードで超高齢社会をいま迎えつつあるわけでして、先ほど申し上げたような年金額も満額ではないように、雇用と年金の接続の確保ということから言えば、希望者全員が65歳まで働き続けられるということが、この超高齢社会を乗り切るに当たっては大前提であり、原則であると我々は考えています。現在の企業社会における定年制を考えたときに、ほとんどの企業が60歳定年で、そこで一度退職してしまうという現実の中で、希望者全員の65歳までの雇用が接続できないということになりますと、まさしく無年金、無収入の方が急増してしまうのでありまして、こういった事態に至らないようにするのが、我々高齢者雇用の政策を考える者として重要な視点ではないかと思っております。これが2013年から始まるのでありますから、今回報告されました答申内容については待ったなしで、早くこれを法律案として国会に出して、1日も早くこれを成立させることが社会的な要請ではないかと思っています。
 先ほど、使用者側委員から意見の内容についての考え方が述べられましたけれども、私どもとしては第9条2項の削除という形で、労使の意見としてすっきりした形で、是非答申として上げたかったというのが偽らざる感想です。非常に残念であるということです。
 厚生労働省におかれては、この部会での報告内容を速やかに忠実に法案化していただきまして、閣議決定の上、速やかに国会に提出していただきたいと思っています。その後、立法府の中で論議されるわけですが、先ほどの2013年問題も待ったなしで迫っていますので、1日も早くこの法律が成立して、準備期間を十分に取れるように是非していただきたいということを申し上げまして、この内容について了承したいと思います。以上です。
○大橋分科会長 その他ご意見ございませんでしょうか。特にないようでしたら、当分科会は厚生労働省案を雇用対策基本問題部会からの報告のとおり、おおむね妥当と認め、その旨、私から労働政策審議会長にご報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○大橋分科会長 報告文案の配布をお願いします。
                (報告文案配布)
○大橋分科会長 お手元に配布していただきました報告文案により、労働政策審議会長宛報告することとしてよろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○大橋分科会長 それでは、そのように報告させていただきます。ほかに、ご質問、ご意見はございませんでしょうか。それでは、森山職業安定局長よりご挨拶があります。
○森山職業安定局長 一言、ご挨拶させていただきます。委員の皆様方には、1月の建議の取りまとめに引き続きまして、本日この法律案要綱のご審議を賜り、また、答申をいただきましたこと、誠にありがとうございます。ただいまもいろいろなご意見を賜りました。それも踏まえまして今後しっかり対応してまいりたいと考えております。今後は今日お諮りいたしました要綱に基づきまして、改正法案を作成いたしまして、国会に提出させていただきたいと思っています。また、先の話でございますけれども、法案が成立いたしましたならば、この法案の中にも書いてあります高年齢者等職業安定基本方針、この見直し等もしていかなければなりません。その際にはまたお諮りさせていただきたいと思っています。引き続きよろしくお願い申し上げます。本日は本当にありがとうございました。
○大橋分科会長 本日の分科会はこれで終了いたします。本日の会議に関する議事録につきましては、労働政策審議会運営規定第6条により会長のほか2名の委員に署名をいただくことになっています。つきましては、労働者代俵の黒木委員、使用者代表の上野委員にお願いいたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

職業安定局総務課

職員厚生係: 03(5253)1111

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