ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(安全衛生分科会労働災害防止団体改革検討専門委員会)> 第5回労働政策審議会安全衛生分科会労働災害防止団体改革検討専門委員会議事録




2011年11月21日 第5回労働政策審議会安全衛生分科会労働災害防止団体改革検討専門委員会議事録

○日時

平成23年11月21日(月)10:30~12:00


○場所

厚生労働省専用第14会議室(12階)
(東京都千代田区霞ヶ関1-2-2)


○出席者

〈委員:五十音順、敬称略〉

相澤好治、五十嵐邦彦、市川佳子、高橋信雄、田極春美、谷口元、中村聡子、三柴丈典

事務局

宮野甚一 (安全衛生部長)
高崎真一 (計画課長)
田中正晴 (安全課長)
中山理 (石綿対策室長)
園部昌嗣 (計画課課長補佐)

○議題

報告書とりまとめ

○議事

○相澤座長 皆さんおはようございます。これから第5回「労働災害防止団体改革検討専門委員会」を開催します。
本日は、朝早くからお集まりいただきまして、ありがとうございます。前回のご議論を踏まえまして、最終的な報告書の(案)ということで、田極委員に取りまとめていただいています。報告書の取りまとめに向けて、具体的な記載の仕方についてご議論を頂戴したいと思います。できれば、本日を最後の委員会としたいと考えていますので、ご協力をお願いします。報告書(案)について事務局からご説明をお願いします。

○石綿対策室長 ご説明いたします。この報告書(案)につきましては、これまでの検討の経緯、災防団体の現状というのを踏まえて、第3で今後のあり方を記載しています。第1、第2については、これまでの議論で皆様に大体ご認識いただいているかと思いますので、本日は、第3の今後のあり方を中心にご説明したいと思います。
13頁をご覧ください。1.「経営形態」について記載しています。この経営形態については、検討の基になった「厚生労働省独立行政法人・公益法人等整理合理化委員会報告書」において、労働災害防止団体法の趣旨に見合う適切な経営形態について検討を行うということが求められています。この観点から、三つの法人形態について検討を行いました。一つは「独立行政法人」です。もう一つは「公益法人」と、最後に現在の災防団体がこれに該当しますが、「特別の法律に基づく民間法人」の三つです。これらの経営形態のいずれが根拠法の趣旨に見合うかについてですが、13頁の下から2番目のパラグラフに記載があります。
労働災害防止を行う団体を少なくとも一つ確保するために、根拠法という特別な法律が定められていて、仮にこの法律をなくしてしまった場合、おそらく公益法人に移行することになるかと思われますが、その場合、一定の規模の集団による継続的な労働災害防止活動が必ずしも実施されなくなってしまうという恐れがあります。
14頁の2番目のパラグラフですが、根拠法を廃止した場合には、現在行っている自主規制である労働災害防止規程を定め、これを順守するという取組が期待できなくなってしまいます。それによって、労働災害防止活動の実効性が低下するという恐れが考えられます。
さらに、労働災害防止団体の活動は、事業主による自主的な活動でありまして、本来、国の業務を行う独立行政法人としての業務には馴染まないことと、独立行政法人のような国の強い関与下に置くということも馴染まないと考えられます。また、独立行政法人は、意思決定が法人の長に集中していて、これは災防団体の性格には馴染まないと考えられます。
このようなことを踏まえると、特別な法律に基づく民間法人という現在の形態が、最もふさわしいと考えられます。
ただし、実際には様々な問題が生じておりまして、主には特別民間法人という制度に絡む問題というよりも、運用上の問題であると考えられるのですが、これについては以下で述べるように見直しをしていくということが必要と考えています。
2.「組織運営のあり方」ですが、(1)「理事数」については、各団体の規模等を勘案し、根拠法に想定される執行機関とすべく、迅速な意思決定を妨げない数、具体的には根拠法のほうでは理事数を「5人以上」としているので、中央労働災害防止協会及び建設業労働災害防止協会につきましては10人以内、その他の労働災害防止団体については5人に削減するといった取組が必要かと考えられます。
(2)「支部」についてですが、中央労働災害防止協会については、地方拠点として、地区安全衛生サービスセンターを全国に9カ所設置しています。一方、支部の業務としては、主に広報や問い合わせへの対応ということが中心になっています。したがって、現在、支部で行っているこれらの業務については、地区安全衛生サービスセンター及び本部で対応することが可能と考えられるので、支部を廃止して効率化を図るべきと考えられます。
続いて15頁です。他の鉱業労働災害防止協会以外の労働災害防止団体についてですが、これらについては、本部の支部運営費に関する把握状況や、支部に対する監査の実施体制等が必ずしも十分ではないので、団体設立のときの経緯等もありますが、支部に対する本部のガバナンスが様々な局面で効きにくい状態となっていることが分かりました。
これらを踏まえますと、業種別の労働災害防止団体の活動については、これまで関係業界の協力の下、労働災害防止に取り組んできた実績というのは大きなものがあるのですが、今後は、1つの法人として、本部が全ての支部に対して、監査等、本来あるべきガバナンスを徹底するか、あるいは支部という形ではなくて、地域別の事業主団体等に対して適正な形で業務を委託するか、いずれかで支部の運営形態について団体において自ら検討がなされるべきと考えています。
3.「継続的な事業活動を図るための財務のあり方」についてです。(1)「会費」ですが、鉱業労働災害防止協会以外の業種別労働災害防止団体については、自己収入のうち、会費収入の全部又は大部分を支部の運営費としています。一方、中央労働災害防止協会は、使途を特定できないとしています。これらの会費のあり方については、労働災害防止団体として必要な事業活動を継続的に行うための団体全体を支える財源であり、会費の使途について見直すべきと考えられます。その際には、会費がどのように使われたのかについて会員に対して公開することや、会員として労働災害防止抑制効果等のメリットを実感できる事業運営の仕組みを構築することも重要と考えられます。
(2)「経費節減」についてです。これまでも経費節減、特に人件費を中心に取り組んできたところですが、さらに諸情勢を踏まえますと、一層の削減に努めるべきだと考えられます。例えば、広告については効果測定を行い、費用対効果の認められないものについては廃止するとか、刊行物、啓発グッズについても、真に必要と認められるものに厳選し統廃合する、あるいはさまざまな物品、役務等の調達については、団体別ではなく、一括して調達することも検討していいものと考えられます。
4.「財務状況が極めて厳しい団体の取扱」です。鉱業労働災害防止協会については、これまでも職員の削減を始めとして、実行可能な財務改善策は取り組んでいただいているところですが、既に改善策はやり尽してしまったと考えられます。今後、健全な業務運営を維持しつつ、これ以上運営経費を大幅に削減することは、事実上難しいと考えられますので、近い将来、事業の継続が困難な事態に陥るということが予想されます。
次の16頁の一番上に記載しておりますが、今後、当団体の存立の検討と、当団体のこれまで培ってきた労働災害防止に関するノウハウや一定の財産について、適切な承継団体に引き継がれるよう、関係機関において速やかに調整することが必要と考えられます。
5.「業務運営」についてです。(1)「目標管理」ですが、労働災害防止団体は、労働災害の防止を目的として組織されています。これは根拠法の第8条に規定があります。この法律に沿った、より実効ある存在にするためには、団体毎に労働災害の削減数を必達目標として掲げ、どういった事業を行うべきか、事業計画において具体的な業務目標を設定する、といった取組を検討すべきと考えます。
また、事業計画の策定に関しては、産業構造等を分析し、これを作るということはもとより、参与の意見や利用者等の意見をきめ細かく把握する取組が必要かと思います。さらに、この計画の実施に際しては、労働災害の発生状況や利用者の評価、意見・要望といったことを常に把握して、それに基づく事業の改善を図るPDCAサイクルによる継続的な事業改善も必要と考えられます。
さらに、各災防団体が会員事業場に対して実施したアンケート結果を見ると、事業を活用した有用度について概ね高い評価があります。今後は、研修等の各種事業を単にホームページ等で宣伝するだけではなくて、それぞれの事業を利用することでどういった効果が見込めるのかといった点や、実際に利用した方の評価、感想などを効果的に伝えていくということが必要かと思います。それによって、利用者の拡大を図っていくことが重要と考えられます。
次に、(2)「労働災害防止規程」についてですが、これを努力義務として、会員の順守状況すら把握していない団体も見られました。かなり形骸化している状況があり、各業種を巡る環境変化を踏まえ、適宜規程を見直すということはもちろんのこと、会員の順守状況を定期的に把握し、その順守を担保する仕組みを根拠法第37条に基づいて構築するということをやるべきだと思います。また、規程の違反によって発生した労働災害に係る情報を他の会員に直ちに周知し、同種の災害を防止することや、再発防止のために講習や研修を受講させるなどの取組が、具体的な取組としては考えられるところです。
6.「業務運営を検証する仕組みの構築」です。この報告書を踏まえた改革を担保するためには、定期的に検証し、評価する必要があると思います。
17頁の最初のパラグラフの2行目ですが、当専門委員会の報告書を踏まえた改善状況等、業務全般について検証するために、厚生労働省に外部有識者から構成される第三者委員会を設置し、専門的・客観的・中立的な立場から、年に1回程度の間隔で検証するといった仕組みが必要かと思います。評価結果については、各団体に通知するとともに、必要があると認めるときは、当該団体に運営の改善を求めるという取組も必要かと思います。
7.「改革に当たっての留意事項」ですが、最初に(1)「中小企業に対する支援」といったものが重要と思います。具体的には収支の改善を求めるあまり、安全衛生活動が脆弱な中小企業に対する支援が不十分とならないように配慮すべきと思われます。
(2)「表彰等事業の継続」です。安全衛生水準の向上は、安全衛生担当者の日々の努力にかかっているのが実情です。こういった担当者の地位を向上させ、安全衛生に取り組む産業界のモチベーションを高めるためには、この表彰事業というものを今後も継続していくことが必要かと思います。
最後は、(3)「コスト削減の方策」です。これまでも厳しい財政状況を受け、経費の削減の努力が様々行われてきたところですが、主として人件費の削減が中心となっていたので、今後は職員の志気等にも配慮しつつ、経費のほうにもウエイトを置いた削減に取り組むべきと考えられるところです。
以上、事務局からポイントのみご説明申し上げました。

○相澤座長 どうもありがとうございました。前回もご説明いただきましたので、今回はポイントだけをご説明していただきました。ただいまの報告書(案)について、ご意見がありましたらお願いします。三柴委員どうぞ。

○三柴委員 お手元に私の名義で、「労働災害防止団体改革検討専門委員会報告書案に対する意見」というものを配布させていただきました。
意見は2点で、1点目は改革に当たっての留意事項関係です。趣旨はそこに記載のとおりで、平成23年度より安全衛生調査研究事業に対する補助金が廃止されていますが、適切な調査研究機関とネットワーク形成を含めた調査研究活動への「自主的」な取組は重要です。単純な労災事例やデータの水平展開では、なかなか実効的な対策ないし当該情報自体が浸透しにくい場合もあると考えられますので、データのコミュニケーションを通じたモデルの構築を行うことで、労働災害防止に資する有益な情報の発信や労災防止規程の立案にも繋がっていくと考えられます。ということで、第3の7.「改革に当たっての留意事項」に(4)として、そこに記載されている内容を追加していただければというのが1点目です。
2点目は、4.「財務状況が極めて厳しい団体の取扱」関係、鉱災防さんに関する意見です。鉱業労働災害防止協会については、経営再建努力が限界に達したために事業継続が困難となったという経営上の問題が本質的な理由というよりも、対象業種の企業数や労働者数が減少しているという、産業そのものの原因が本質的な理由と考えられます。となると、その会員となり得る企業数や従業員数が大幅に減少する中で、会費や講習料などの収入が増える見込みは期待できる状況にはありません。ですので、「財務改善策はやり尽くした」というよりも、「対象業種の事業場数や労働者数が減少している中で」といった公知の事実を記載すべきではないかと考えます。
また、鉱災防が解散した場合、事業、人員、支部、財産の取扱は重要な問題となりますので、今後、承継範囲を関係者で検討する必要があるのではないか。
表題についても「財務状況が極めて厳しい団体の取扱」というよりも、「事業活動の継続が極めて厳しい団体の取扱」としていただいたほうが、本質的問題に照らして適当ではないかと考えます。そこで、お配りいただいている文書に記載された修正案を提案申し上げる次第です。以上です。

○相澤座長 ありがとうございました。2点の修正案です。1つは、17頁の7.「改革に当たっての留意事項」に(4)を追加する。安全衛生調査研究活動を加えること。もう1つは、15頁の4.「財務状況が極めて厳しい団体の取扱」というのを「事業活動の継続が極めて厳しい団体の取扱」にするということで、内容も少し変更という案ということですね。いかがですか。これについては、田極委員に作っていただいたので、ご意見がありましたらお願いします。

○田極委員 三柴委員からご意見いただきました2点で、まず17頁の7.の(4)として安全衛生調査研究を追記ということですが、確かに委員ご指摘のとおり非常に重要な視点かと思いますので、こちらは私も追記したほうがいいかと思います。
2点目の15頁の4.「財務状況が極めて厳しい団体の取扱」のところですが、ご指摘のとおり、事業活動の継続が極めて厳しい団体の取扱、また内容についても若干修正するということで、こちらのほうが現実に則しているのではないかというご指摘ですので、そのように修正したほうがいいかと思います。私からは以上です。

○相澤座長 ありがとうございます。修正案に賛成ということですが、他の委員の方々はいかがですか。五十嵐委員どうぞ。

○五十嵐委員 私も賛成です。ただし、「ノウハウや一定の基本財産の必要な」とありますが、ここでわざわざ「基本財産」と限定する必要はないと思いますので、単に「ノウハウや財産の」として、「基本」という文字は削除したほうがよろしいのではないかと思います。

○相澤座長 大変ありがとうございます。「基本財産」の「基本」を取っていただくということでよろしいですか。ありがとうございます。他には、ご意見はありませんか。杉山委員どうぞ。

○杉山委員 2点ほど意見を述べます。1点目は、16頁、5.「業務運営」の(2)の項です。その下から2行目の関係で、文章を読んでいくとその趣旨は入っているのだと理解はできますが、「労働災害に係る情報を他の会員にも直ちに公表して」というところに、是非言葉として「再発防止策を含めて」とか、「再発防止策など」といったものを入れていただいたほうがわかりやすく、実効性が上がるのではないかと考えていますので、ご配慮をお願いしたいというのが1点です。
もう1点は、15頁と17頁に関わりますが、経費節減の関係の部分について意見を述べておきたいと思います。基本的には、一層の経費削減をしていくのだと、この必要性自体は十分理解はしていますが、ここに書かれている文言だけで見ると、コストカットの勢いが強いものですから、16頁にある業務運営での目標設定とか、どのような業務をやってきたかという評価との整合性というか、関連もあるものだと思いますし、経費節減のところに、できれば15頁、3.(2)のところに、まず労働安全衛生にも一定程度必要な経費はかかるのだという趣旨。もう1つは、節減に当たっても、必要な事業を行うために本当に必要なのかどうなのかを慎重に精査した上でというような文言を追記していただいたほうがよろしいのではないかなと考えています。以上2点、意見として述べさせていただきます。

○相澤座長 ありがとうございました。16頁の5.の(2)に、再発防止等の記述を入れることと、経費節減については安全衛生防止の事業活動に対して、必要な経費も十分考慮するという記述を入れるというご意見ですが、具体的な文章案はありますか。

○杉山委員 一任します。

○相澤座長 ありがとうございました。他の委員の先生方はいかがですか。谷口委員どうぞ。

○谷口委員 16頁の目標管理のところについて、概ね私が申し上げた意見を反映いただいたことに感謝を申し上げます。若干細かい指摘になりますが、もし文章上の工夫をしていただけるのであればご検討をお願いしたいと思います。
「さらに」以降に、アンケート結果を有効に利用者拡大につなげるといった表現があります。2行目にも、事業を活用した有用度について高い評価を得ているので、そういったことも含めて、終わりのほうには効果的に利用者層に伝えるという記載があります。このとおりですが、事業を活用した方が現場に戻って、その効果が現場に出てくるまでには、災害防止の活動というのは少し時間がかかると思います。したがって、ある程度期間を置き、現場でいろいろやってみて、その経過が時間経過と同時にどうあったのかということが重要だと思っています。直後のアンケート結果だけではなしに、少し活用して時間がある程度経過した後に、受けた事業の効果がどうだったかという点を調査して、しっかり利用者拡大につなげるという観点が重要だと思っていて、その点について若干指摘が細かくなりますが、もし文章上の工夫ができるのであればご検討をお願いしたいと思います。以上です。

○相澤座長 ありがとうございます。アンケート調査以外に、事業実施の一定時間経過後に利用者に対する事業効果の調査を行う、と、そういうニュアンスが入ればいいですか。

○谷口委員 はい。

○相澤座長 文章はお任せいただくということでよろしいですか。

○谷口委員 はい、結構です。

○相澤座長 中村委員どうぞ。

○中村委員 細かいことになりますが、17頁の表彰事業等の継続というところですが、表彰事業というのはモチベーションを高める上で有用であることは確かで、継続することは意義があることだと考えます。ですから、これが地道な取組の結果としての表彰であって、表彰のための上辺の取組にならないように監視しつつ行っていく必要はあると思いますが、労働災害防止団体は労働災害の防止を目的として、そのために効果的な方法手段を考えて、優先順位をつけて予算内で実行していくことを基本としますので、表彰事業が優先順位の下位にくる場合も考えられると思います。この記述として「べきである」という表現よりも、むしろ「継続することが望ましい」という程度に変更したほうが落ち着くのではないかと思います。

○相澤座長 ありがとうございます。これは、高橋委員からのご意見だったかと思いますが、いかがですか。

○高橋委員 「望ましい」でもよろしいと思います。今までやってきたことを縮小することのないようにということです。

○相澤座長 それでは「べき」ではなくて「望ましい」にします。順番も(1)(2)(3)となっていますが、大体重要な順から行くようなことになると思いますが、場所はいいですか。

○高橋委員 その点も含めていくつか申し上げたいと思います。いまの表彰も含めて、この3点が7.に入っていますが、これはそれぞれ本文中のどこかの該当部分に組み入れるように考えていただければと思います。というのは、1つは、(3)のコスト削減の方向ですが、15頁にも経費削減という部分が出てきますので、そこに含めてうまく表現していただければと思います。
それから、今話題になっていた表彰等事業の継続も、活動のこれからの運用について述べている部分に、入れていただければ、あえて外に出さなくてもよろしいと思います。
(1)の中小企業に対する支援も、前段に関連部分が出てきますので、そちらに入れていただき、あえてここに出す必要はないかなと感じます。
これ以外にあと4点あります。3頁の(2)です。ここまでは現状分析と視点についての整理だと思いますが、国からの補助金ですが、管理費に対する補助金が廃止され一層の縮減が図られたとか、4頁の中段あたりに「補助金を交付していたが、今年度より安全衛生調査研究事業等を限定した」という記載があります。国からの補助金といいますが、実はすべて労災勘定から出されていると思います。すなわちこれは経営側が負担しているものです。安全衛生活動というのは事業展開に必須のことであることを考えると、国の全体の経費削減とか合理化ということはわかりますが、必ずしもそれとリンクしなくてもいいのではないでしょうか。例えば中小企業に対して、業界としてどういうてこ入れをするかとか、あるいは地域の事業者団体について、どのようなサービスを充足させているかというときにお金が必要になりますので、そのために使う枠を残しておいていただきたいと思います。
13頁に1.「経営形態」があります。経営形態としては、位置づけは法的な裏づけをもってということはわかりますが、将来の課題として事業内容からして、公益法人化も視野に入れて、今後の成り行きを見ていったほうがいいのではないかと思います。下から8行目に、「公益法人に移行するとなると、一定の規模の集団による継続的な労働災害防止活動が必ずしも実施されなくなってしまう恐れがある」という記載がありますが、そういうことがないような対応を考えていただきたいと思います。
17頁の6.「業務運営を検証する仕組みの構築」ということで記載がありまして、第三者委員会を厚生労働省に作るということです。外部から見るということですが、こういうことの位置づけではなくて、これに対するサゼスションとして、第三者委員会を当該団体の中に作ることもご検討いただけたらよいと思います。こういう席では言いにくいのですが、厚労省の第三者委員会ということになりますと、また行政からのいろいろな評価も入るわけですね。結果的に、本省依存の体質から抜けきれない運用が図られるのではないかという懸念があります。いまも中災防には参与という制度があったと思います。そういうことをもう少し機能的に活発にやれるようにするという視点です。
最後に全般的な問題ですが、私は出席しませんでしたが、今年の第100回のILO総会がジュネーブで開催されました。そこでは「労働行政」とか「労働監督」という言葉が一般的な討議として挙げられていて、民間も補完的に災害防止活動には役割をきちんと果たすべきだという論旨の議論が展開されたと聞いています。そこで、いま日本の産業界も海外進出ということが多く図られていますし、そのための戦略も大事なことですので、そういう国際的な動向も踏まえた上で災防団体のあり方を考えていくことも必要だろうと思います。では、今の段階でどういう形でということになりますと、具体的にはないのですが、そういう視点も忘れてはいけないということを前文か後文か、どこかで触れていただけるとありがたいと思いました。以上です。

○相澤座長 かなり大きな問題を提示していただきました。まず、17頁の7.「改革に当たっての留意事項」を本文のほうに入れるということですが、よろしいですか。それでは、中に入れることにします。2番目は、3頁の国からの補助金ですが、中小企業に対することをさらに4頁の最後に、「安全衛生調査研究事業及び安全衛生啓発事業に対する補助を廃止し、補助金の交付対象が中小事業場を主に対象とする事業に限定した」とありますが、これ以外に考慮をすべきであると。これは現状ですからよろしいですか。

○高橋委員 現状は既にそうなっていますね。どこで言及していただいたらよいか特定できなくて申し訳ないのですが、予算縮小のみにこだわらず、必要な事業については今の財源の中から出してもらってよろしいのではないかと思います。国として、いろいろな団体あるいは補助金について縮小していくというのはわかりますが、必要な部分にはきちんと手当していただいたほうが、活動が進みやすいと思います。

○安全衛生部長 第3の方のご指摘ですが、先ほど、杉山委員からいただいたご指摘も同じ趣旨だろうと思いますので、削るところは削るけれども、きちんと必要なところはやりますという観点で、そこは修文をいただければと思います。

○相澤座長 第1番目のところは修文をしていくことにします。次が13頁の第3の経営形態のところですが、下から8行目あたりの公益法人に移行することも視野に入れていきたいということですが、いかがですか。

○安全衛生部長 現時点での状況を見ると、いま通常の公益法人に移行というのは労働災害の防止という観点からすると、難しいということだろうと思います。一方で、いま?橋委員からご指摘がありましたように、将来的な課題としては、まさしく事業主の自主的な純粋な取組として行っていただけるというのはいちばん理想の形だと思いますので、そういう姿も当然ながら視野に入れてということだろうと思います。そのあたりは現時点の問題と将来的な課題というか、視野に入れてというのと併せて、修文いただければと思います。

○相澤座長 では、将来像を少し記述しましょう。最後も同じですかね。民間の労働災害防止の活動も、ここに少し入ればということでしょうね。
17頁の第三者評価委員会については、原文では厚生労働省に作るということですが。

○計画課長 その点も、少し前に「各労働災害防止団体においては外部有識者による業務実績の評価が実施されており、これについては重要な取組として引き続き実施するべきである」と書かれておりますので、ここをもう少し強調する形で、基本的にはそれぞれの団体で自立的にやっていただくことが大前提ということは言うまでもありませんので、それをやっていただきつつ、それをサポート・チェックするという意味で厚労省のものもあって邪魔にはならないかと思いますので、原案では「厚生労働省でやる」ということが前に出すぎている面があるかと思いますので、そこはそういう形で修正をいただければと思います。

○相澤座長 いまは中災防も厚生労働省からは来ていないですね。参与会には来られていないので、監督官庁としては何らかの形の責任もあるということで、何らかの形でいきたいということ。高橋委員、それはよろしいですか。

○高橋委員 はい。

○相澤座長 最後のILOの件は、先ほどのところに入れていただくということで、高橋委員よろしいですか。

○高橋委員 はい。

○相澤座長 ありがとうございます。他にはいかがですか。大変よく読んでいただいて、内容も良くなったのではないかと思いますが、よろしいですか。大変議論いただきまして、ありがとうございました。この書きぶりについては谷口委員、杉山委員からもご意見がありました。また高橋委員のご説明、そして三柴委員、五十嵐委員からもご意見がありましたので、田極委員と相談して、座長にお任せいただくということでよろしいですか。

(異議なし)

○相澤座長 ありがとうございます。それでは、報告書については労働政策審議会安全衛生分科会に報告したいと存じます。ここで、安全衛生部長からご発言がありますので、よろしくお願いします。

○安全衛生部長 委員会の開催としては今日で最終回となっていますので、一言御礼を申し上げたいと思います。
本日も含めて、5回にわたって大変熱心なご議論をいただきまして、今日のご意見も含めて報告書として取りまとめていただくことになりました。私どもとしては、本日いただいたご意見も含め、取りまとめていただいた報告書の内容に則して、これから各団体の見直しについて対応してまいりたいと思っています。いずれにしても、行政あるいは独立行政法人とか、災防団体を含めた行政と関連のある諸団体に対して取り巻く状況については、今週末にも政府全体の事業仕分けもありましたし、厚生労働省内の事業仕分けのフォローアップも始まっています。そういう中で今日のご意見をいただいたとおり、引き続き必要な事業そのものはこれからも維持をし、あるいは拡充をしていかなければならない一方で、私ども行政そのものの事業、あるいは各種団体にお願いするような事業について、その効率化というのも引き続き高い見地からのご意見をいただきつつ、十分な検討をしていかなければならないと思っています。
そういう意味で、この専門委員会自体は本日の審議をもちまして最終ということになりますが、また委員の皆様方には引き続きいろいろな場面でご指導、ご協力をいただきたいと考えていますので、よろしくお願いいたします。以上で、私の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

○相澤座長 ありがとうございました。私からも一言、ご挨拶を申し上げたいと思います。
この委員会は本年7月29日から5回の会議が開催されました。毎回活発なご意見をいただきまして、本当にありがとうございます。特に多忙にもかかわらず、報告書の起草委員となっていただいた田極委員に厚く御礼申し上げます。本専門委員会は、報告書の取りまとめをもちまして役割が終了します。これで解散することになりますが、各委員を代表して申し上げたいのは、報告書の内容が今後の労働災害防止団体の運営に最大限反映されることに努めていただくよう、お願い申し上げたいと思います。
以上をもちまして、「労働災害防止団体改革検討専門委員会」を終了します。どうもありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(安全衛生分科会労働災害防止団体改革検討専門委員会)> 第5回労働政策審議会安全衛生分科会労働災害防止団体改革検討専門委員会議事録

ページの先頭へ戻る