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2011年10月31日 第4回労働政策審議会安全衛生分科会労働災害防止団体改革検討専門委員会議事録
○日時
平成23年10月31日(月)10:00~12:00
○場所
経済産業省別館1028会議室(経済産業省別館10階)
○出席者
〈委員:五十音順、敬称略〉
相澤好治、五十嵐邦彦、市川佳子、田極春美、谷口元、中村聡子、三柴丈典 |
事務局
宮野甚一 (安全衛生部長) |
田中正晴 (安全課長) |
中山理 (石綿対策室長) |
園部昌嗣 (計画課課長補佐) |
○議題
報告書(案)の提示、議論
○議事
○相澤座長 皆さんおはようございます。第4回労働災害防止団体改革検討専門委員会を開かせていただきます。今日はお忙しいところ、また早くからお集まりいただきありがとうございます。審議に入る前に委員の交替がありましたのでご紹介します。労働者代表の市川佳子委員に代わり、杉山豊治委員がご就任されましたので杉山先生よろしくお願いします。
○杉山委員 連合の杉山です。よろしくお願いします。
○相澤座長 本日は、報告書案について検討する予定でしたが、起草委員の田極先生と相談し、これまで必ずしも十分な審議の時間が確保できなかったことがありますので、前回までの審議やヒアリングで明らかになった事項について本日もう一度議論して、皆さまにご確認いただいた上で、田極先生に報告案を起草していただき、次回その報告書案について検討することとしたいと思います。今回の資料について事務局から説明をお願いします。
○石綿対策室長 ご説明申し上げます。本日は資料1と資料2をご用意させていただいています。資料1の報告書案起草に当たっての論点についてご説明申し上げます。これまでの議論、ヒアリングで明らかになった事項について田極委員にポイントをおまとめいただいたものです。後ほど田極委員よりご説明がありますので、それをもとに本日はご議論いただければと思います。
資料2の参考資料は、資料1に関するデータを取りまとめたものです。基本的にはこれまでお配りした資料の抜粋です。ただし、表の1については、前回ご審議いただいた中で、労働災害防止効果について会員事業場と非会員事業場を比較しないとわかりにくいとのご意見を踏まえ作成したものです。この表については、(注)にありますように、業種別の労働災害防止団体ごとに対象業種の選定を行い、平成21年経済センサス、陸上貨物運送事業労働災害防止協会については自動車輸送統計調査の対象業種の事業所数を基に平成23年4月時点の各労働災害防止団体の会員事業場の割合を算出したものです。
次に、平成22年における労働者死傷病報告のデータから労働災害防止団体に対応する業種を抽出して比較しています。港湾貨物運送事業労働災害防止協会及び鉱業労働災害防止協会以外の対象業種は、完全無作為抽出方式により、500件を抽出しています。すなわち、死亡又は休業4日以上の労働災害対象業種のうち、会員の割合Aを死傷病報告数、その会員事業場割合Bが下回っていれば、当該労働災害防止団体会員としての効果が一定程度認められるものとして比較を行っています。なお、中災防については災防団体法第13条の規定のとおり、団体を会員としていることから除外しています。表2については、労働災害防止団体法の趣旨に見合った経営形態についてご審議いただくため、「独立行政法人」「公益法人」労働災害防止団体といった「特別の法律に基づく民間法人」のそれぞれの経営形態の特徴について整理した資料です。事務局からは以上です。
○相澤座長 ありがとうございました。田極委員からご説明をお願いします。
○田極委員 私からお手元の資料に基づきご説明します。まず、労働災害防止団体のこれまで果たしてきた功績、すなわち労働災害防止を目的とする事業主の団体による実質的な労働災害防止活動は、国の行政指導と車の両輪をなすものであり、国の法令、指導等の各事業主への浸透を図る上で重要な役割を果たしています。仮にこれをなくした場合、行政施策の普及、促進に相当な追加的コストが発生するものと考えられます。これらが一体となって労働災害防止対策に取り組んできた結果、業種別死傷災害発生状況の推移、産業別死傷千人率のとおり、労働災害発生件数の大幅な減少を図ってきています。また、今回新たに分析を行った会員事業場と非会員事業場の間での災害発生割合の比較においても、概ね会員事業場のほうが災害発生割合が低いという実態がわかりました。
もちろん、一口に「労働災害防止効果」と言っても、その背景には行政による規制や監督、指導の実施、災害防止団体による安全衛生に関する教育、指導、情報提供、産業界による独自の安全教育や産業機器の安全性能の向上等の取り組みが相乗的に効果を上げているものであり、個別の活動のみを切り取って効果を議論することは困難かと思います。
このことについては、第1回委員会で三柴先生からも「労働災害防止効果はそれぞれの活動を合算して考えるべきである。」そういったご指摘もありました。このようなことから、労働災害防止団体が災防団体法に基づいて行ってきた成果については、行政資源の節約の面も含め、一定の評価ができるのではないかと考えています。
そこで、当専門委員会の設置の経緯となっている「厚生労働省独立行政法人、公益法人等整理合理化委員会報告書」において昨年、平成22年12月27日において指摘されています「労働災害防止団体法の趣旨に見合う適切な経営形態へ移行すべきか否か」について検討致しました。
資料2の表2をご覧ください。6頁です。独立行政法人は下線部にあるように、政策の実施部門のうち、一定の事務・事業を分離したもので、本来国が実施する事業の実施機関です。このことから国の関与については、人事、業務運営、財務について強い関与が行われています。また、最高意思決定機関は法人の長に集中しており、ディスクロージャーについては組織、財務、評価結果等について公開することとなっています。会計基準については、原則として独立行政法人通則法第37条では企業会計原則によることとされている一方で、公共的な性格を有し、利益の獲得を目的とせず、独立採算性を前提としないなどの独立行政法人の特性も考慮し、独立行政法人会計基準が定められているところです。
次に真ん中の公益法人についてです。公益法人は、行政部門や民間営利部門では満たすことのできない社会のニーズに対応する多様なサービスを提供し得る民間非営利部門です。国の関与については、公益法人改革により、平成20年12月以降は従来の公益法人は一般と公益に分かれるのですが、公益として認定されると一定の関与が残ります。最高意思決定機関については、社団法人であれば社員総会、公益財団法人であれば評議員会ということになります。ディスクロージャーについてはここに書かれている項目について、当該法人と所管官庁でも公開することとなっています。会計基準については、公益法人会計基準によるところとなっています。
最後に労働災害防止団体が該当するところの「特別の法律に基づく民間法人」についてです。民間の一定の事務・事業については公共上の見地からこれを確実に実施する法人を少なくとも1つ確保することを目的として特別の法律により、設立数を限定して設立され、国が役員を任命せず、かつ国又はこれに準ずる出資がない民間法人です。
国の関与については、指導監督基準によるほか、労働災害防止団体については、災防団体法により、これらの事項が関与しています。最高意思決定機関については、災防団体法により、総会、総代会となっています。ディスクロージャーについては、法人が公表する項目に加え、所管官庁がさらにこれらについても公開することとなっています。会計基準については、「企業会計の原則その他法人の特性に応じ、一般的かつ標準的な会計基準」となっています。
これらについて、いずれが労働災害防止団体法の趣旨に見合うのかについて考えると、まず災防活動を行う団体を少なくとも1つ確保するために、災防団体法という特別の法律が定められているわけですから、仮に法律をなくしてしまった場合、民間営利法人ということにはならないでしょうが、公益法人になったとしても、一定の規模の集団による継続的な労働災害防止活動が必ずしも実施されなくなってしまう恐れがあります。
また、事業主による自主的な活動ですから、本来は国が行う事業として独立行政法人に実施させることもできないものと考えられます。また、団体の活動を活性化させる上でも国の関与があまり強いと事業主の自主性による柔軟で機動的な活動ができなくなるという恐れがあります。
そもそも、法令という硬直的な手段のみでは、刻々と変化する産業に即応することが困難なため、現場たる事業主の労働災害防止活動を促進することで、労働災害を防止することが災防団体法の趣旨であることを考えると、独法のような国の強い関与下に置くべきではないと考えます。また、意思決定機関が一部に集中していることも、事業主の実質的活動を促進するという団体の性格にはなじみません。
このようなことから「特別の法律に基づく民間法人」が最もふさわしいのではないかと考えます。ディスクロージャーについても労働災害防止団体の公共的な性格からして、透明性を確保するため必要な情報を開示することとなっていると思います。以上です。
○相澤座長 ありがとうございました。ただいま田極委員からご説明いただきましたが、これについて何かご意見、質問等ありましたらお願いします。
○五十嵐委員 今のご説明で中身についてはよく理解できたのですが、一つ、組織の建て付けというか、法律の建て付けの関係で公益法人の場合に、ここに書かれているように、当然公益法人としての一般的な規制はあるわけですが、それとは別に個別の業法等で規制されている場合には当然その業法等にも従うということで、新しい公益法人になったからと言って、すべてが内閣府の公益認定等委員会のみの監督ではなく、プラスアルファで当然、元々の業種のほうの規制にもかかるという、二重規制が起きているわけですから、必ずしも「特別の法律に基づく民間法人」でないと、こういった所轄の官庁の権限が及ばなくなるということはないのかということを一つ確認したほうがいいと思います。法人格をどう持つかという、技法、技術的な持ち方と、それをどうやって運営するかというのはまた別の話だと思いますので、必ずしも衣として一般法の公益法人のもとになる一般社団・財団法に基づく法人格に変えたからと言って、即「特別の法律に基づく民間法人」でやっている今のものができなくなるということもないのかと思いますので、必ず「特別の法律に基づく民間法人」ではならないという根拠が少しその点薄いのかと思いますので、もう少しどうして公益法人一般法を受け皿にして法人にできないのかというのを確認したほうがいいかと思います。
○相澤座長 ありがとうございました。
○石綿対策室長 その点に関してですが、通常の公益法人にしてしまいますと、先ほども田極委員のほうからあったかと思うのですが、少なくても1つ、今のような災防活動に特化した団体を確保することが制度的には保障されなくなってしまう、ということがあると思います。実態上は、財政状況が厳しいところがあるのですが、ある程度は残っていくと思いますが、今の活動が少なくとも制度的には担保されなくなるという問題があると思います。先ほどの業法による規制もあるというご指摘については、確かに労働安全衛生法という一般的な労働安全衛生法令はあるのですが、災防団体法はそれをある意味業種別にカスタマイズするという類の制度になっていますので、具体的に言うと、今ある業法的な安衛法をさらに細分化して、個別業種別にやっていこうというものですので、そういう意味からすると確かに業法による規制はあり得ると思うのですが、それを上回る細かな個別の制度ということになっていきますと、やはり現行制度にはそれなりの存在義務があるのではないかと事務局としてはコメントさせていただければと思います。以上です。
○相澤座長 今のご説明でよろしいですか。
○五十嵐委員 趣旨はよくわかりましたが、そうなると法律的にはどう位置付けるかというのは、今ご説明がありましたような法律の趣旨等で考えればいい話だと思いますのでよろしいのですが、そうなると一般法で色々な、今後これから検討されるガバナンスとか、あるいは会計をどうするかという話が一般法で、当然広い視野の中で検討されて、色々なものが先行的に決まっているわけですので、「特別の法律に基づく民間法人」であることは今後引き続き行うにしても、その中で一般法のガバナンスとか会計の規制とか、そういったものを自動的に取り込めるような形で制度的に変えていただければ、事実上一般法の規制がそのまま及ぶことにできるかと思いますので、その点はもちろんそれで結構だと思っています。
○相澤座長 ありがとうございました。他の委員からはいかがですか。
○三柴委員 この機会に、改めて日本の災防団体法が参照したドイツの類似の法制度の運用面についてデータを含めてお伝えさせていただきます。
先んじて申し上げなければならないのは、ドイツでも労災保険組合の労災予防活動のみを取りあげたコストパフォーマンスの具体的な指標化や数値化はなされていないようだということです。現地にメールを送って、何名かの専門家の方に返信をいただいたのですが、たしかに当該組合の予防活動の一般的なコストパフォーマンスを推定できるような資料はあるのですが、そのコストパフォーマンスを具体的に指し示すようなものは示されなかったのです。ドイツを参照する意味なのですが、先ず、日本の法制度が主に参照したのがドイツとフランスであるという著書の記述があります。そのうちドイツは労災防止の規程の発令をしているということで、より日本に近いと考えられますので、そういう意味でご紹介させていただきます。
まず、前提なのですが、ドイツの全人口はOECDの2010年のデータですと8,277万人というのが2008年の時点のデータであるとされています。
第二に、労働人口は約4,100万人であると。これは2011年の第2四半期ですから現時点での最新のデータということになりまして、ドイツの連邦統計局の試算によるものです。ただし、労働時間が週15時間未満のパートタイム労働者は除外されている可能性があります。日本と同様に第3次産業の割合がいちばん高く、7割を少し超えており、第1次産業は2%程度、第2次産業は25%程度ということです。
第三に、ドイツの法定労災保険組合は、労災職業病の予防と労災保険の運用を両方行う権限を持っています。先ほど申し上げたように、フランスの社会保障金庫も同じような機能役割を持っています。ただし、私が1995年頃に調査したところでは、フランスの社会保障金庫は、労災防止規程の発令権限は持っていませんでしたので、現在も同様だと考えられます。ドイツの労災保険は、日本と同様に強制加入で対象企業数は2010年で380万件余りということになっています。
第四に、労災保険組合による主な労災予防活動ですが、概ね五点にまとめられます。第一に、事業主との相談や彼らへの啓発。これは日本と同様かと思います。第二に、各事業主への労働保護監督です。これは、日本で言うと労働基準監督に当たりますので、日本では任にあらずということかと思います。第三に、各事業所内の個別部門や部署、特に安全衛生管理部門に特定的に情報提供をしたり、教育をしたりすること。第四に技術的な労働手段や安全保護具などの検査。第五に、職場の安全衛生上の危機や作業上の負荷などについて調査、分析、評価などを推進し、また自らも実施する、というような役割があり、特に職業病の予防の領域ですと、総合的・組織的な健康診断のほか、重大な疾病について、まだ確認がされていないところを積極的に調べて統計化する。また、労災保険組合指定病院連合協議会や大学の研究機関を通じて、職業病に関する専門的な研究や治療体制の確立を図る、といったところがドイツの災防団体が行っている主な役割ということになります。
次に、データのお話に移ります。七点ほど簡潔にご紹介致します。
第一に、申告義務のある労災発生件数は、日本と同様に概ね低下傾向にあると言えます。安全面での労災については、1990年に149万5,569件で、フルタイム労働者1,000人当たり51.07件だったのですが、2000年に138万289件、フルタイム労働者1,000人当たり38.60件。2010年になりますと95万4,459件ということで、フルタイム労働者1,000人当たり25.84件ということで、ほぼ低下傾向をたどってきたといえます。
第二に死亡労働災害です。1990年に1,208件、2000年に918件、2010年に519件ということですから、これも概ね減少傾向といえます。
第三に職業病の申告認定件数です。1990年は申告件数5万6,231件に対して前年以前の申告分に対するものも含めたその年の認定件数は7万6,870件。2000年は申告件数7万8,029件に対してその年の認定件数は7万5,060件。2010年は申告件数7万277件に対してその年の認定件数は6万9,186件。ドイツは、職業病については、職業病リストを作り、定期的に見直ししているため、リストに挙げられている数が変わりますので、当然増えていくことになりますので単純に数の比較ができないわけですが、職業病対策については概ね苦しんでいる様子が窺えます。
第四に、職業病の疑いの申請に対する承認件数というデータがドイツではあります。これは何を意味するかというと、いま申し上げたように、ドイツでは、連邦レベルで職業病リストを作って定期的に見直しをしているのですが、申すまでもなく、職業病には、今はまだリストに挙がっていないけれども、新たに職業病として認定して然るものがあるわけですので、ドイツの社会法典に従って、合理的な疑いが認められれば申告ができるとされているわけです。こうしたものは、労災保険組合、災防団体独自の判断で職業病として認定し、承認したものについては個別的に保険支給を行うという制度になっています。このデータについて2年分のみをお伝えすると、1990年の承認件数は7万6,870件。2010年の承認件数は3万1,219件ということになっています。
第五に、労災防止規程について申し述べます。ドイツでは、社会法典の第7編の第15条と第16条に基づき、災防団体が連邦労働社会省、日本で言う厚生労働省の承認を受け、自治的な法規としての労災防止規程を発令しています。これがドイツの災防団体における労災防止活動の基軸をなしていると言っていいと思います。
法に定められた規程内容は以下のとおりです。第一に、事業主が労災、職業病、作業に関連する健康上の危険を防止するために講じなければならない設備、指図及び措置並びにこれらの業務を他者に委託する方法、方式。第二に労災、職業病及び作業に関連する健康上の危険の防止のために被保険者すなわち労働者がとるべき行動。第三に、被保険者又は第三者に作業に関連する生命、健康上の危険をもたらすような作業の実施前、実施中及び実施後に事業主により、実施されるべき健康診断、その他の産業医学的な措置。第四に、医師による診査が国法の規制を受けていない場合、今述べた第3号に基づく健康診断、もしくは措置を委託された医師が履行すべき要件。第五に、事業主による有効な応急手当の確保。第六に、事業主が産業医や安全技術者等の選任についての法律によって義務付けられた要件を履行するために、つまりこの法律で定められたことを業種、現場に応じて細かく規制する定めを設けると。もう1つありますが省略します。こうした内容を定める災防規程がドイツでは国法に基づいて整備されているわけですが、100編以上の充実度を誇っていまして、日本でいう安衛法便覧ぐらいのボリュームになっています。個々の産業ごとの特性を踏まえ、非常に詳細な規程になっていまして、一般にこの規程を守っていれば国の法律、法令の要件を概ね充足されるというふうな仕組みになっています。
第六に、技術監督官、日本で言う安全・衛生管理士の活動状況についてデータを取ってみましたら、2010年の訪問企業件数でみると、27万7千件でした。また、申告に基づく査察で、違反が発見された件数は87万件ということでした。これは、災防規程違反という趣旨かと思いますが、国の法令違反も含むか否かについては、調査が及びませんでした。労災保険組合の技術監督官は、日本で言う労働基準監督官に当たる営業監督官と同じように、予告なしに臨時検査をする権限を持っています。それを含めて、労災防止を目的とした査察を行う権限を持っており、事業主への勧告や相談のほかに、労災防止規程違反については、秩序罰という、日本でいえば交通法規違反に際して発行される青切符に相当する制裁を課す権限を持っています。
第七に、実施された教育研修セミナーへの参加人数について述べます。これは、日本と比較し易いと思います。2010年に実施された労働安全衛生に関する初期教育研修、継続教育研修の各プログラムの参加人数は延べ37万人以上です。学生用労災保険の被保険者を除いての数値です。2010年時点で、49万7千人の安全衛生管理者、約10万人の高い専門性を持つ専任の安全衛生スタッフ、約120万人の基本的な指導が可能なレベルの安全衛生スタッフが、各企業やその他の団体に所属しているということでして、これらは、災防団体が果たしてきた役割に大きく後押しされていると解されています。
というような内容の調査結果をご報告させていただきました。ご参考になれば幸いです。以上です。ありがとうございました。
○相澤座長 ありがとうございました。ドイツの災防団体の活動について、詳しくご説明いただきました。この点について、何かご質問ありますか。よろしいですか。監督署などどうなのですか。監督署の機能も果たしているような感じでしたね。
○三柴委員 おっしゃる通りです。まさに、監督署の機能と、民間団体の機能と両方を持っているということですが、もちろん別に監督署はあります。ただ、災防活動については、この団体が専門的な機能役割を果たしているということでございます。
○相澤座長 ありがとうございました。それでは、田極委員から引き続きご説明をお願いいたします。
○田極委員 それでは、資料の2頁をご覧ください。これまでの審議やヒアリングにおきまして、各労働災害防止団体には大きく分けて三つの問題点があるかと考えております。
まず一点目ですが、団体の「組織規律」の問題です。
具体的には、資料にございますように、各団体とも、多数の理事が選任されておりまして、理事会が根拠法の予定する会長を補佐し、会務を掌理するという執行機関としての本来の機能を果たしていないのではないかという問題と、本部の支部に対するガバナンスが効いていないのではないかという問題がございます。
二点目ですが、3頁目にございます「財務規律」の問題です。
会員事業場からの会費収入の全部、または大部分を固定的に支部の運営費としていたり、使途を十分把握できていないなどの問題が指摘されました。また、人件費に重点を置いた経費節減の方策でよいのかといった問題がございます。さらに、国からの補助金の減少や関係産業の衰退により、会費収入の増額が見込めず、実行可能な財務改善策はやり尽し、早晩、事業の継続が困難となる恐れが高い団体の取扱いの問題がございます。
三点目は、「業務運営」の問題です。
具体的には、労働災害防止団体の目的は、本来労働災害の防止にございますが、その手段である研修の開催回数や、受講者数を目標に設定している問題がございます。また、利用者や潜在的利用者などの顧客層に対するニーズや、評価の調査が不十分であるといった問題が指摘されました。また、業種別の労働災害防止団体では、労働災害防止規程を定めておりますが、災防団体法では、会員に遵守義務を課しているにもかかわらず、この遵守がきちんと担保されているかどうか、そのような仕組みになっているかどうかといった問題がございました。
最後に「総括」として、労働災害防止対策を推進する上では、国の行う監督指導に併せて、労働者の安全衛生について直接責任を有する事業主の自主的な労働災害活動を促進する今日的意義は失われていないと考えられます。
特に、経営基盤が脆弱な中小企業では、安全衛生管理活動を行う資金的余力に乏しく、また安全衛生分野のノウハウ・人材が必ずしも十分でないことなどから、大企業に比べ、労働災害の発生率が高い傾向にあり、労働災害防止団体の支援の下で集団的に防止活動に取り組む意義は、依然として大きいと考えられます。
第1回目で、また本日も三柴先生からご説明がございましたように、我が国の根拠法制定の際に参考とされた、独仏の同様の制度については、労働災害防止に大きな役割を果たしてきているということです。
それにもかかわらず、我が国の労働災害防止団体制度に、問題があるとすれば、それは制度自体に問題があるというよりも、制度が十分有効に活用されていないこと、すなわち運用面に問題があるものと考えられます。この度、労働災害防止団体の経営形態等をはじめ、様々な項目について検証してきたわけですが、今後、当専門委員会の報告書を踏まえた改善がきちんとなされているか、検証する仕組みが必要なのではないかということも考えております。私からの説明は以上でございます。
○相澤座長 ありがとうございました。それでは、「組織規律」、「財政規律」、「業務運営」、「総括」という問題を逐次審議していきたいと思います。
まず、「組織規律」ですが、資料では理事数についての改善策について、「法に定めている理事数である5人以上を大きく乖離しない程度にスリム化」とありますけれども、これについてはご意見ございましたらお願いいたします。
○中村委員 「5人以上を大きく乖離しない程度のスリム化」とありますが、せっかく報告書にまとめていただいても、実行されないと意味がありませんので、報告書で指摘する事項について実現性を高めるために、抽象的な表現は避けて、できるだけ具体的に、例えば、理事の数だったら何人にするとか、支部についてはどうするのかということを報告書に記載すべきではないかと思います。
○相澤座長 具体的に記載したほうがいいというご意見でございますが、他にいかがでしょうか。
○杉山委員 この「組織規律」の関係ですけれども、確かに団体法の5人以上というところから見ると、非常に数が多いというのが、これは正直な見方になります。ただ、数が多いから、それがダイレクトに駄目かというと、そうではないと思っています。では、実際にこの大きな数がどのような機能を果たしているのか、具体的に何をなされていて、何を産んでいるのかというところを、しっかり把握する必要があるのだろうなと思っています。そういった意味では、報告書を作っていく中では、この点についても、是非踏み込んだ書き方をしたほうがいいのではないかと思います。
○相澤座長 ありがとうございます。どういう機能を果たしているかということも含めた上で、報告書に書いたほうがいいというご意見ですけれども、他にいかがでしょうか。これについては、災防団体には労働者を守るための有効な活動をしていただくために、報告書の内容をきちんと反映していただきたいところですけれども、委員の指摘にございましたように、できるだけ具体的に記載するということでいきたいと思います。その際に機能もきちんと記載した上ですけれども、いかがでしょうか。
理事の数について、田極委員、何か具体的なお考えございますでしょうか。
○田極委員 団体の課題に対応しまして、理事会が機動的に開催され、執行機関としての機能を十分に発揮できていないことが、各団体の運営、ガバナンス上の問題を生起させる要因の一つともなっていると考えられます。
前回、ヒアリングの際にもいろいろお聞きしたところですが、理事を集めるのに非常に苦労されて、震災後開けなかったとか、そういったこともありましたので、理事数については各団体の規模等を勘案しまして、執行機関としての機動的な開催及び迅速な意思決定を妨げないような数として、例えば中央労働災害防止協会と建設業労働災害防止協会については、例えば10人以内、その他の災防団体は、それぞれ5人とすべきということが、私としては考えられるのではないかと思いますが、他の先生方のご意見もあるかと思いますので、この点ご議論いただきたいと思います。
また、各団体が多数の理事を必要とする理由としては、会員の意見を事業運営に反映させる、支部に理事を置き、協会の円滑な業務運営を図る等、そういったことが団体のヒアリングでも出ておりましたが、これらは総会等別の手段によっても可能なものだと考えますので、執行機関としての理事会の本来の役割・機能を犠牲にしても理事会に担わせるべきものではないと考えられますが、この点も含めてご議論いただければと思います。
○相澤座長 ありがとうございました。具体的な数が出てまいりましたけれどもいかがでしょうか。中村委員、具体的なことというと。
○中村委員 確かに100人を一度に集まって、いろいろなことを決定していくというのには無理があるだろうと思いますので、やはりいまご指摘があった程度の数が適切なのではないかと考えます。
○相澤座長 地方支部の意見を入れるという意味では、理事でなくても、評議員とか、いろんな形でできるかと思います。他にございますか。
○五十嵐委員 趣旨としては全く私も賛成で、要はその全国組織としての理事をやるわけですけど、どうしても数を多くして、それぞれの支部からとなりますと、その支部の利害調整みたいな話にどうしてもなってしまうと思いますので、そことはっきり分けるというのは、私も賛成です。その理事の数と、仕事どうするかという話の中で、地域という話ではなくて、仕事のやるべき中身の中で担当を決めるような形で、理事の職務分担等も行えれば、地域の代表ではなくて、全国の代表なのだということで、理事の方に仕事をしていただけるような形になるのではないかと思います。
○杉山委員 方向感そのものについては全く私も同感しますが、数の問題のところは中身がやはり先にありきかなとは思っていまして、理事が107名ここには出ていますけれども、先ほども申し上げたとおり、その107名が理事という看板を背負ってどういうことをされているのか、理事という看板がなくなったときに、何か弊害があるのか、そこを少し挙げた上で、例えば数の問題で言えば、10名ないし5名というのもありましたが、直感的にはそういう数というのは適正かなと思われますけれども、先ほど申したように、業務の中身との関連性の中で、少し詰めたらよろしいのではないかと考えます。
○相澤座長 ヒアリングで杉山委員が先週出席されておられなかったので、そういった議論があったのですが、どうしてそんなに何人もいるのかと聞きましたら、業務を執行するというよりも、むしろ意見を取り入れるという意味が強かったような感じでした。ですから、機能分担という意味でも、100人はちょっと多過ぎると思いますので、10人か5人ぐらいというようなことで、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、「支部」について、田極委員は具体的にどのようにお考えでしょうか。
○田極委員 支部につきましては、中央労働災害防止協会については、支部を廃止して、地区安全衛生サービスセンターに一元化すべきではないかと考えております。本部直轄の地方拠点として、地区安全衛生サービスセンターを有しております一方で、都道府県の労働基準協会が運営主体となっております支部の主たる業務が広報や問い合わせへの対応に止まっております。これらの業務については、地区安全衛生サービスセンター及び本部で対応することとして、一元化して効率化を図るほうがよいのではないかと考えております。
○相澤座長 出先機関が、直轄のサービスセンターと、運営主体が都道府県の労働基準協会である支部と二重になっているということがありまして、そのサービスセンターに一元化するべきであるというお考えでございますけれども、これについていかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。
○五十嵐委員 この問題は、私がヒアリング等でお聞きした件も含めて考えますと、本日の資料の資料2、9頁のところにあります、各支部の運営主体ということで、掲記されているわけですけれども、要は協会ではない外の団体と協会の一部である支部とがきちんと区別されていないというのが、多分一番の問題なのだろうなと思います。いまの話でいけば、中央労働災害防止協会であれば、支部を廃止して、それぞれのもので統一するということですけれども、そうかといって、この47団体と無関係になるわけではないわけで、そこに外部に対する仕事をどこに出すかという中でもガバナンス、契約上の問題をいろいろきちんとしていくという形で整理をされるのだろうと思いますので、その他の協会も同じように支部と外部である都道府県の労働基準協会等をきちんと区別して、外部の人に対して仕事をきちんとやってもらうかという話と、内部のガバナンスをどうするかという話を、混同しないで、その境目をきちんと作ると。その中で、あえて境目を付けてまでやる必要がないのであれば、支部を廃止して、その団体に仕事をきちんと出して、それに対してきちんとチェックをするというようなやり方に変えるというようなことで、よろしいかなと思います。
○相澤座長 ありがとうございました。いかがでしょうか。他に、ご意見よろしいですか。
それでは、団体設立の経緯もございますし、支部に対する本部のガバナンスが様々な重要な局面で効きにくい状態ということになっているのではないかと思います。今後、一つの法人として、本部が全部の支部に対して監督等、本来あるべきガバナンスを徹底していくこととするか、あるいは支部の運営主体を別の法人として明確に区分した上で、その法人の責任の下に適切な業務運営、あるいは会計処理等を求めていくこととするかのいずれかを選択するかについては、団体に対して検討を求めていくということでいかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。
それでは、「財務規律」について、田極委員からご説明をお願いいたします。
○田極委員 それでは、資料3頁になります。「財務規律」に関する問題点としては、二点あるかと考えております。
一点目が会費についてです。鉱災防は、大部分を本部の運営費としておりますが、他の業種別災防団体については、自己収入のうち、会費収入の全部、または大部分を支部の運営費としておりまして、支部の集めた会費は支部のものといった印象を受けました。中央労働災害防止協会については、使途を特定できないとしております。必要な事業活動を継続的に行うための団体全体を支える貴重な財源となるよう、これらの会費や会費の使途のあり方を見直すよう求めたいと考えております。その際に、会費がどのように使われたのかについて、会員に対して公開することや、会員として労働災害防止抑制効果等のメリットを実感できる事業運営の仕組みを構築することが重要であると考えております。また、当然のことながら、人件費以外にも業務及び管理経費の一層の削減に向けた取組みを図るべきではないかと考えております。
二点目ですが、鉱業労働災害防止協会については、職員の削減をはじめ、これまでに実行可能な財務改善策はかなりやっていただいておりまして、やり尽した感といったものもございました。健全な業務運営を維持しつつ、さらに人件費等の運営経費を大幅に削減することはこれ以上困難と思われ、近い将来事業の継続が困難な事態に陥ることが予想されます。
よって、当団体が無くなった場合、事業主及び事業主団体を対象として行っている技術的な事項について、指導及び援助等の業務については根拠法に基づき、中央労働災害防止協会が取扱うこととなっております。今後、当団体は、これらの業務が円滑に承継されるために、当団体がこれまで培ってきた災害防止に関するノウハウや、一定の基本財産について、中央労働災害防止協会に引き継がれるようにする必要があるかと考えております。そのためには、中央労働災害防止協会との調整を速やかに実施する必要があるかと思います。業務の実施に必要な一定の資金も併せて引き継がないと、中央労働災害防止協会も承継事業の運営に支障が出てしまうといった問題が起こります。以上でございます。
○相澤座長 ありがとうございました。会費についてと、鉱災防については、中災防のほうに引き継ぐというご提案でございます。そうしますと、鉱災防については、いつ頃中災防に事業を承継するというお考えでございますか。
○田極委員 平成25年度中にはと考えております。理由ですが、こちらは試算ですが、平成22年度の基本金が約1億4,800万円となっておりますが、手元流動性のある資産から負債を差し引いた残額は、約1億350万円となっております。これに、投資有価証券の約2,500万円を加えると、約1億3,000万円となりますので、それを手元流動性のある資産として計算しました。今年度以降の収支ですが、国庫補助金が約3,000万円減少しておりますので、年間、2,500万円から3,000万円の赤字が続くことが予想されます。中災防に事業を引き継ぐ際の、いわゆる持参金に当たりますが、年間の教育等の事業費として、約5,000万円としますと、約8,000円の財産は、平成23年度、本年度以降3年程度しか持たないのではないかと危惧しております。こういった観点から、平成25年度中にはということを申し上げました。以上でございます。
○相澤座長 鉱災防については、あまり時間がないということがよくわかりました。これまでも様々な努力はされてきていたのだと思いますけれども、このような状況ではある程度やむを得ないかと思います。会費や経費節減については、全体的なことですけれども、いかがでしょうか。
○中村委員 経費削減については、一層の経費削減に努める記載がありますけれども、具体的な方法についてもある程度報告書に明記して、検討を促したほうがよろしいのではないかと考えます。これまでのヒアリングでは、経費削減の重点は人件費に置かれていたと思いますけれども、それ以外に、例えば、広告については、広告の効果の測定を行って、費用対効果が認められないものは廃止するとか、あるいは、刊行物とか啓発グッズについては、本当に必要なものだけに厳選して統廃合するとか、あるいは印刷物、OA機器とか消耗品など、各団体で共通するもの、それら調達については一括して調達する、あるいは現在の事務所の面積が本当に必要最低限なものか見直すことと、東京の一等地に事務所を構える必要があるのか、移転なども視野に入れて検討する必要があるのか、ということも記載しておくべきではないかと思います。
○相澤座長 ありがとうございます。具体的なところまで報告書に書くということですね。
○谷口委員 一層の経費の削減は必要だと思いますが、一方で、労災防止という目的に沿ってやらなければいけない事情があるというのも事実で、それまで削ってしまって、団体の存続のためにだけに経費を削減するというのは、あまり意味がないと思いますので、そこら辺の選別をしっかり行った上での経費削減を進めるという趣旨を是非盛り込んでいただければと思います。
○相澤座長 経費というより、冗費節減ということになりますね。
○谷口委員 はい。
○相澤座長 ありがとうございます。他にご意見ございますでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。
それでは「業務運営」について、田極委員からご説明をお願いいたします。
○田極委員 それでは、資料3頁、4番の「業務運営」です。関連資料として、5頁、資料2の表1、5頁になるかと思います。こちらを基にご説明したいと思います。
この表1、労働災害防止効果については、会員となる事業場は活発な事業活動が行われており、災害発生のリスクもそれなりに高いと考えられますが、その点を加味していない点と、また経済センサスの事業所の中には、常用の雇用者がいない事業者も含まれている点に注意が必要ですが、会員と非会員との間で、労働災害発生率に大きな差が見られないなど、労働災害防止効果が必ずしも明確でない団体が見られるという結果となっております。
資料3頁に戻りますが、そういったこともございまして、本来の目的である労働災害の防止を実効あるものにするためには、団体ごとに労働災害の削減数を必達目標として掲げていただく必要があるのではないかと考えております。これを達成するために、何に取組まなければならないのか、何を重点とするのか、何を対象に、どういった事業を行うべきか等について、事業計画において具体的な業務目標を設定する等の取組みを検討すべきであると考えております。
また、事業計画の作成に際しては、産業及び就業構造・産業現場の変化、労働災害の発生状況、労働者の健康を巡る状況の変化等を総合的に勘案することはもとより、参与の意見、利用者や潜在的な利用者層の要望等の情報をきめ細かく把握することが大切だと思います。
さらに、事業の実施に当たっては、労働災害の発生状況、アンケートによる利用者の評価や意見・要望など、常に事業の成果や課題を把握し、それに基づいて事業の改善を図るなどPDCAサイクルによる継続的な事業改善を行うことが必要であると思います。また、各労働災害防止団体が会員事業場に対して行ったアンケート結果を見ますと、事業を活用した有用度については概ね高い評価を得ておりますので、今後は研修等の各種事業を単にホームページ等で宣伝するだけではなく、それぞれの事業の価値、すなわち利用することで、具体的にどのような効果が見込めるのか、実際に利用した方の評価や感想などを効果的に利用者層に伝えていくことにより、利用者の拡大を図っていくことが重要であると考えております。
もう一点は「労働災害防止規程」についてです。これを努力義務として、会員の遵守状況すら把握していない団体があるなど、形骸化している状況も見受けられました。
よって、各業種別団体においては、各業種を巡る環境の変化等を踏まえ、適宜当該規程の見直しを行うことは当然のこととして、会員の遵守状況を定期的に把握するとともに、その遵守を担保する仕組みを制裁措置の導入も含め、労働災害防止団体法第37条に基づいて構築することで、労働災害防止規程の実効性を高めるべきであると考えております。先ほど、制裁措置という言葉を申し上げましたが、制裁措置という言葉はちょっときつい表現ですが、三柴先生がおっしゃっていた秩序罰のような言葉のほうが適切なのかもしれませんが、規程違反によって発生した労働災害情報を他の会員にもただちに公表して、同種の災害を防止するとか、講習や研習を受講させるなどといった、そういった取組みも必要かと考えております。以上でございます。
○相澤座長 ありがとうございます。一つ目は、目標管理のあり方について、二つ目は、労働災害防止規程を守らせるための仕組み作りということでした。このような取組みを求めていくということです。それから、これまでは研修を何回やるとか、そういった目標や、あるいは労働災害防止規程を作ったものの、会員が守っているかどうかをチェックしていなかったということがありました。本来の目的を達成するためには、この程度の取組みは求めていきたいと考えております。そういったご提案でございました。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、「総括」に入りますが、総括については、先ほど田極委員からご説明がありました、当専門委員会の報告書を踏まえた改善状況と、業務全般について検証する仕組みについてですが、田極委員はどのようにお考えでしょうか。
○田極委員 それでは最後、「総括」のところですが、労働災害防止団体の業務の公共性や報告書を踏まえた改革を確保する観点から、定期的に検証し、評価する必要があると考えております。
そのために、団体の内部で評価することとした場合、お手盛りといった批判が出ることも予想されます。よって、厚生労働省において、外部有識者から構成される第三者委員会を設置し、専門的・客観的・中立的な立場からチェックを行うことにより、評価の適正性を確保すべきであると考えております。
評価の時期は、年1回として、第三者委員会の評価結果については、厚生労働省に報告し、厚生労働省は評価内容を団体に通知するとともに、必要があると認めるときは、当該団体に運営の改善を求めることができるというものです。以上でございます。
○相澤座長 ありがとうございます。外部に第三者委員会を開いておいて、チェックをして、改善の必要がある場合には行政からの改善を求めるという内容ですが、いかがでしょうか。
○谷口委員 第三者委員会を設置することについては賛成であります。ただ一方で、内部で自分たちがチェックする機能というのがまず当然あるべきで、いまもあるのですが、それが機能してないとすれば、その機能強化を求めた上で、第三者委員会を設置するというのは筋ではないかと思いますので、そういった指摘についてもご検討いただければと思います。
○相澤座長 大変大事なご指摘でございますので、これも是非報告書に入れたいと思います。
それでは、このような評価の仕組みについて報告書に盛り込みたいと思いますけれども、報告書にこれまで審議の中で委員の方々からご指摘のあった、三点についても触れておきたいと思っています。
一点目は、「中小企業に対する支援」です。安定した自己収入の確保を図ることは、継続的な事業推進の上で重要な取組みでありますが、コストパフォーマンスを追及するあまり、あまり安全衛生活動が脆弱な中小企業に対する支援が不十分にならないように配慮すべきであると考えています。
二点目は、?橋委員からお話があったと思いますが、「表彰等事業の継続」です。安全衛生水準の向上は事業場における日々の地道な取組みによって図られるものであると思います。それらの取組みを日々支える人たちの功績を称えることは、産業界のモチベーションを高めるために有用であるので、今後とも継続していただきたいと思います。
三点目は、先ほどもありましたが、「コスト削減の方策」です。各労働災害防止団体においては、これまでも経費の削減に熱心に取り組んでいただいておりまして、また人件費の削減等もやむを得ない部分があるかと思いますけれども、今後は職員の士気等に配慮しつつ、また先ほど谷口委員からもありましたけれども、本来の仕事ができなくなってしまうのでは意味がありませんので、そういったことも考慮しつつ、経費削減に取り組むべきであると思います。他に、何か追加はありますか。
それでは、田極委員においては、本日の審議内容を報告書に取りまとめていただいて、次回の委員会において成案としたいと考えております。よろしいでしょうか。
それでは、事務局から連絡事項をお願いいたします。
○石綿対策室長 次回の専門家委員会については、改めて詳細をご連絡いたしますが、11月21日月曜日、10時半から予定させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。以上です。
○相澤座長 それでは、大変熱心なご討議いただきまして、どうもありがとうございました。次回が最後になると思いますので、よろしくお願いします。
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