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2011年4月13日 社会保障審議会年金数理部会(第46回)議事録

○出席者

山崎部会長、宮武部会長代理、牛丸委員、翁委員、駒村委員、
佐々木委員、田中委員、野上委員、林委員

○議題

(1)平成21年財政状況について-厚生年金保険・国民年金(基礎年金)-
(2)その他

○議事

○五十里年金数理官
 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第46回「社会保障審議会年金数理部会」を開催させていただきます。本日は首席年金数理官が欠席させていただいておりますので、代わりに私が司会を務めさせていただきます。
 まず審議に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。座席図、議事次第、そのほかに次のとおりでございます。
 資料1は「平成21年度財政状況-厚生年金保険-」でございます。
 資料2は「平成21年度財政状況-国民年金(基礎年金)-」でございます。
 配付資料は以上でございます。
 次に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。本日は全員が御出席でございます。
 なお、年金局長と審議官につきましては他の公務の関係で欠席をさせていただきます。
 それでは、以後の進行につきまして山崎部会長にお願いいたします。

○山崎部会長
 委員の皆様には御多忙の折、お集まりいただきまして大変ありがとうございます。
 本日の議題は、厚生年金保険及び国民年金の平成21年度財政状況についてでございます。
 社会保障審議会年金数理部会は、被用者年金制度の安定性及び公平性の確保に関し、毎年度財政状況の報告を受けることとなっております。
 本日は、厚生年金保険及び国民年金の平成21年度財政状況についての報告を聴取いたします。まず厚生年金保険の平成21年度財政状況についての報告をいただきます。よろしくお願いいたします。

○安部数理課長
 年金局数理課長でございます。よろしくお願いいたします。

○山崎部会長
 それでは、御説明をお願いいたします。

○安部数理課長
 まず、お手元の資料に基づきまして、厚生年金の平成21年度財政状況の概要につきまして簡単に御説明を申し上げます。
 1ページ目で、直近5年間の収支状況をまとめてございます。5年分の中の一番右端が今回御報告いたします平成21年度の結果で、さらにその一番右に対前年度の比較、伸び率等をお示ししておりますので、それに基づきまして、主要な項目について平成21年度の変化を簡単に御説明いたします。
 まず収入の中の保険料の方は、伸び率で-2.0%ということで減少いたしております。要因といたしましては、保険料率自体は現在段階的に引上げをしておりまして、この平成20から21年度につきましても、伸び率にしますと2.3%ぐらい保険料率は増加をしているわけなんですが、一方被保険者数、また平均標準報酬、これは後で実績値も御説明いたしますけれども、こちらが両方とも減少いたしておりまして、その要因で4.4%ぐらいマイナスの要因がございます。そういったことの総計といたしまして、保険料総額の伸び率が-2.0%という結果が平成21年度でございます。
 その下に国庫負担というものがございます。こちらの方は約44%のプラスということで大幅に増加をいたしておりますが、これは御承知のように、平成21年度から基礎年金の国庫負担の割合が2分の1になったということがそのまま反映されての結果でございます。
 また運用収入で、特にここは時価ベースのところ、括弧書きで書いてございますけれども、これをご覧いただきますと、平成19年、平成20年と大きくマイナスでありましたが、平成21年度につきましては大きくプラスになりまして、一番下に時価ベースの運用利回りもお示ししております。約7.5%ということで、非常に高い運用利回りであったということを反映いたしまして、運用収入が時価ベースで見ますと約8兆6,000億円で、昨年から比べますと非常に大きく増加をしているということでございます。
 また一番下にございますその他が、時系列で見ていただきますと、この平成21年度、非常に大きく増加をいたしております。これは特記事項の下から2番目に書いてございます。「業務勘定より受入(特別保健福祉事業資金の清算に伴う)(13,480億円)」と書いてございますけれども、この実態といたしましては、過去国庫負担の繰延べが何回か行われているのですが、それのうちの一部、昭和61年度から平成元年度において繰り延べられた分が利子相当額も含めまして1兆3,480億円、平成21年度に返ってまいりました。それが平成21年度に加わっておりますので、特にこのその他の収入が大きく増加しております。ただ、そういう事情ですので、これはあくまでも平成21年度単年度の影響・効果でございます。
 収入の主要な項目は以上でございます。
 一方、支出は給付費と基礎年金拠出金の2つが大きなウェートを占めているわけですが、いずれも増加をいたしておりまして、給付費につきましては+5.1%となっています。これも後で受給者の実績をご覧いただきますけれども、年金総額自体は平成20から21年度におきましては2%ちょっとの増加なのですが、それよりも更に伸びて5.1%になっております。これは時効特例の措置が平成19年から始まっており、それが平成21年度、かなり効果が出ておりまして、過去の累積、5年以前の時効で、昔でしたらなくなっていたものが、それも累積で支払うことが行われておりますが、平成21年度辺りからその影響がかなり出ておりまして、それも相まって、給付費総額といたしましては約5%の増という結果になっております。
 また、基礎年金拠出金も高齢化に伴いまして基礎年金受給者等が増えているということ。そういったことを反映して、こちらの方も増加をしているという結果でございます。
 以上のような収入・支出の実績を見まして、そして収支残といたしましては、まずは簿価ベースで見ますと-7,700億円となっておりますけれども、先ほど申し上げました時価ベースでの運用収入というのは非常に大幅なプラスになったということから、時価ベースの収支残では7兆8,000億円のプラスになっております。
 以上のようなことで、収支残としましては時価ベースで7兆8,000億円のプラスになっておりますが、ただその要因として、さっき飛ばしてしまいましたが、収入の中の下から3つ目に「積立金より受入」ということで約3兆7,000億円強、項目が立っております。これは平成21年度の予算を計上する段階で、この見積りを行った時点で、これぐらい積立金を取り崩して大体プラスマイナス収支が均衡するだろうということで設定したものでございます。ですので、これは実際、積立金から取り崩して、受け入れるということになっておりますので、それを相殺いたしまして約4兆円ぐらい、年度末の積立金が平成20年度から平成21年度に増加しているという結果、特に時価ベースで見た場合ですけれども、4兆1,000億円ほどプラスになっているということはそういう結果でございます。
 以上が、平成21年度の財政状況の概要でございます。
 2ページ目は、今、御説明いたしましたお金のやりとりを図で示したものでございますので、これは後でご覧いただければと思います。
 3ページからが「2.給付状況」で、受給権者数、そして年金総額といったものの推移をまとめたものでございます。
 3ページ目が受給権者の人数と年金総額で、まず一番上の受給権者数の伸び率を見ていただきますと5.2%の増になっております。ただ、その下に年金総額がございますが、これの計の欄をご覧いただきますと2.2%で、受給権者数が増えているほど年金額は増えておりません。従いまして、後でご覧いただきますが、平均年金額は若干減少しております。
 これは幾つかの要因がございまして、1つは最近のデフレ傾向がございます。なかなか賃金などが上がらないということもございます。またもう一つ、厚生年金の場合、支給開始年齢の段階的引上げを現在行っております。現段階では、この厚生年金、定額部分と報酬比例部分とございますけれども、この定額部分を段階的に引上げを行っている状況でございます。これも後で詳しく、年齢別の状況などの資料で御説明いたしますけれども、そういった要素がございますので、受給者数が増えるほどには年金額は増えていないというのが平成20年度から21年度の変化でございます。
 4~5ページに、今度は平均年金額の時系列推移をまとめております。4ページの下半分が男女合計の平均年金額、そして5ページに男性、女性ごとに分けております。
 これもいろんな数字が並んでおりますけれども、1つは4ページの表を見ていただきますと、この男女計の欄の一番上にある年金額というものは基礎年金を含まない、厚生年金の年金額の平均値でございます。ただ、そうしますと、実際にもらっている年金額のイメージがなかなかつかみづらいということで、その3つほど下の欄に「上記の老齢年金平均年金月額に老齢基礎年金額の推計値を加算した平均年金月額」を作成いたしております。ですから、実際にもらっている年金額のイメージとしては、こちらの方が近いのではないかと考えておりますけれども、これをご覧いただきますと、やはり先ほど申しましたように、この平均年金額は少しずつ下がってきております。この要因としては、先ほど申し上げたとおりでございます。
 また、5ページ目には男性・女性ごとに分けた数字もお示ししておりますけれども、例えば5ページの男性の一番上の欄をご覧いただきますと、下がってきているわけですが、特に大きく下がっておりますのは、男性の場合はこの平成19年3月末から平成20年3月末にかけてであります。
 一方、女性の場合、この下半分のところですけれども、女性の欄の一番上の数字をご覧いただきますと、顕著に下がっておりますのは、平成18年3月から平成19年3月にかけてが1回、それから平成21年3月から平成22年3月にかけてがもう一回でございます。これらはいずれも支給開始年齢の段階的スケジュールがそのまま反映をしております。これは後で年齢別の統計表のところでご覧をいただきます。
 7~9ページが、年齢別の状況を分解してお示ししたものです。ここで支給開始年齢の段階的引上げの効果を見て取ることができます。
 7ページ目は男女計ですので少し見づらいかと思いますので、8~9ページをご覧いただきたいと思います。8ページが男性で、9ページが女性でございます。この表においては、平均年金額を全体の合計と、そして特に新法の部分につきまして、60~64歳の年齢別、そして65歳以降ということでそれぞれ集計したものでございます。
 男性の場合、62歳の欄を左から右にご覧いただきますと、平成18年3月末、そして平成19年3月末までは大体18万円台という水準で推移をしておりましたけれども、平成20年3月になった段階で急に10万円ちょっとというふうに大きく減少いたしております。実は、この平成19年3月末段階で62歳の方というのは昭和19年生まれの方になります。その右の平成20年3月末に同じく62歳になられる方は、1つ世代の若い昭和20年生まれの方になります。先ほど申しました支給開始年齢の段階的引上げは、昭和19年生まれまでの方は定額部分が62歳支給開始でございます。これが1年若い昭和20年生まれの方になりますと、定額部分の支給開始年齢が1歳上がって63歳になります。そのために、ここで62歳で見た段階では、この平成20年3月末の62歳の方というのは報酬比例部分だけをもらっている状態になりますので、ここで大きく平均年金額が下がることになります。
 それで、その人たちが1年経って1歳上に上がった場合どうなるかといいますと、その欄の右斜め下が1年後の、今度は63歳になったときの状態を示しておりますけれども、この18万232円というところがそうですが、ここが63歳になりましたので、今度定額部分が支給開始になるということで、大体18万円台の水準が回復するというような構造になっております。そのために、この平成19年3月末から平成20年3月末について、全体で平均年金額を計算いたしますと、ここで62歳の方の平均年金額が落ちるということが全体に反映しまして、少し年金額が下がるという効果が出てきているという構造でございます。
 9ページは女性ですけれども、基本的な構造は同じでございます。まず60歳の欄を左から見ていただきますと、平成18年3月に10万円ぐらいだったものが、平成19年3月末に4万3,000円と大きく落ちているというのが、ここで1つ、支給開始年齢が引き上がった効果でございます。
 更にもう一つ、その影響が出ておりますのは、今度は61歳の欄をご覧いただきますと、これをやはり左から右に見ていただきますと、平成21年3月末から平成22年3月末に大きく落ちている。ここでまた1歳、定額部分の支給開始年齢が引き上がった効果が出ているということで、直近5年で見ますと、女性の場合は2回、その効果、段差が出ているということで、先ほど全体でご覧いただきました平均年金額、2回ほど少し落ちているというのは、この影響でございます。
 以上が平均年金額の状況でございます。
 10ページは老齢相当の受給権者の年齢構成、そして、平均年金額をまとめたもので、特に大きく変わったことはございませんで、平均年齢で、男性で70.9歳、女性で72.3歳となっております。1年前を見ますと、それぞれ0.1歳ほど平均年齢が上がっております。去年は、男性が70.8歳、女性は72.2歳でございました。そういう意味で、少しずつ高齢化が進んでいるという状況でございます。
 11ページは、今度は「3.被保険者状況」でございます。
 上の表に被保険者数、平均年齢、標準報酬の平均を載せておりますが、こちらはそれぞれ年度末の数字でございます。特に年金財政に影響しますのは、どちらかというと年度平均の数字の方が見やすいということで、今度は下半分には年度平均とか年度累計の数字をお示ししておりますので、下半分の方の表をご覧いただきたいと思います。
 上から標準報酬月額総額、そして標準賞与総額、2つの欄がございまして、その合計として標準報酬の総額を示したものが上から3つ目の欄でございます。まずこの標準報酬総額をご覧いただきますと、平成17~20年度は少しずつ増加をしていたわけですけれども、平成21年度になりますとこれが-4.4%ということで、減少に転じております。
 その要因ということで、下に年度平均の被保険者数をお示ししております。これをご覧いただきますと、平成20年度までは増加をしていたわけですけれども、平成21年度にこの被保険者数がマイナスに転じております。これが一つの要因でございます。
 また、その下にあります標準報酬の平均値の方をご覧いただきますと、これは平成17年以降少しずつ減少していたのですが、減少傾向は変わりませんけれども、平成20から21年の減少幅が-3.1%で、直近の数年間に比べますと減少幅が大きくなっております。
 この2つの要因によりまして、その掛け算であります標準報酬総額が平成20から21年度に減少に転じたというのが直近の状況でございます。
 12~14ページは、今度は「(2)被保険者の分布」で、年齢構成、そして加入期間別の構成をまとめたものでございます。これは全般的には、やはり年齢構成を見ますと高齢化が少しずつ進んでいるということがございまして、例えば平均年齢、下の欄に書いてございますけれども、男女計ですと42.1歳ですが、昨年は42.0歳でございました。ですから、平均年齢は1歳増加をいたしております。
 また、年齢構成を見てみますと、55~60歳のところが10.0%となっておりますが、昨年は10.6%でございました。60~65歳が7.2%となっておりますが、昨年は6.7%で、これはいわゆるベビーブーム世代がちょうどこの時期、60歳を超えて、60~65歳の階級にシフトしつつあるという状況でございますので、そういったことが反映されているのだろうと思われます。
 男性・女性につきましても傾向としては同じで、やはり0.1歳から0.2歳ぐらい平均年齢は上昇いたしております。
 15ページは標準報酬の分布で、これは特に大きな変化はございません。
 16ページで年度末の積立金ということで、この時価ベースの資産構成の区分をそれぞれお示ししております。そして、直近の運用利回りといたしましては、承継資産の損益を含む場合の7.54%で、平成21年度につきましては非常に大きな、高い利回りが得られたという結果でございます。
 17ページからは、平成21年度の決算の結果を踏まえまして、この財政再計算におけます将来見通しとの比較を行っているものでございます。基本的には平成21年の財政検証と比較しておりますが、参考として一番下に平成16年の財政再計算の数字も併せて表示いたしております。
 17ページは収支状況の比較をしておりますけれども、これは一番上にありますものが実績値で、再計算とこの実績値とでは幾つかの点でベースが異なっておりますので、そのままでは直接比較することができません。そのために、この2番目の欄に実績推計という欄がございます。これは一番上の実績値をベースといたしまして、この平成21年の財政検証と比較できるようにベースをそろえる操作を行っております。
 具体的にどういう操作を行っているかといいますものは、この「特記事項」の1つ目の○に簡単に御説明をいたしております。
 どういうことをやっているかと申しますと、?から?までありますけれども、まず1つは基礎年金交付金というものがございますが、これは実際のお金の流れとしては、基礎年金の勘定から交付金が厚生年金の勘定に支出され、それがそのまま給付として出ていくものでございますので、財政検証ではそれは、収入・支出から両方とも引いて計算作業をしているということがございますので、実績値からこの基礎年金交付金に係る部分を収入と支出の両方から控除するという操作をまず1番目に行っております。そのときに、収入は基礎年金交付金という項目がありますので、それをそのまま削るということをやっておりますが、それでは支出は、控除するのはどの項目から減らすのかと申しますと、給付費の欄からこの基礎年金交付金の2兆円というものを控除しているという操作をまず1番目にやっております。
 また、2番目に行っておりますのは、この実績値には厚生年金基金が代行している部分は含まれておりませんが、財政検証では、厚生年金基金の代行部分につきまして厚生年金本体にあると仮定して将来推計をやっておりますので、それにそろえるということで、まず免除保険料部分を加えるとか、また給付費につきましても代行部分を加えるといった操作でございます。
 3番目に行っておりますのは、先ほど最初のところで御説明しました、予算のときに3.8兆円ぐらい積立金を受け入れるということで設定して、それはそのまま決算にも反映されておりますので、そういったお金の出入りについて若干補正をしているというのが3番目でございます。
 また、4番目につきましては、1つは先ほど言いました厚生年金基金の扱いに伴うものなのですが、積立金につきましても厚生年金基金が代行部分として持っている最低責任準備金というもので、これは実際の決算では含まれておりませんけれども、これも財政検証上では本体の方にあるという前提を置いておりますので、これを足し算するとか、また、国庫負担繰延額がまだ戻ってきていない部分も約3.5兆円と推計しておりますが、これも足し算をするというようなことを行っております。
 そして、運用収入につきまして、同じく厚生年金基金の最低責任準備金等に関する運用収入を加える。そういった操作を行って、この実績推計を作成いたしております。
 それと財政検証との比較を行っておりますが、項目ごとに見ていきますと、まず保険料収入につきましては、将来見通しでは23.8兆円と見込んでおりましたけれども、実績では23.0兆円ということで、約8,000億円ぐらい見込みよりも下がっております。やはりこれは先ほど申しました、特に賃金、標準報酬が大きく低下しているということがここに影響していると考えられます。
 また、運用収入につきましては、平成21年度は非常に高い利回りになりましたので、その差分だけ、今度は逆にこちらの方はプラスになっているということでございます。
 その他の欄ですけれども、この主たる部分は国庫負担になるわけですが、これも見込みよりも大きく増加しておりますけれども、これは今度は支出の方で御説明いたしますが、基礎年金拠出金が見込みよりもプラスになっているということを反映して、それがそのまま、その2分の1が国庫負担になりますので、その影響がその他の収入の方にプラスに出てきています。ただ一方、支出の方もプラスの影響があるということでございます。
 一方、支出の欄で、給付費につきましては22.6兆円と見込んでおりましたが、23.1兆円ということで、約5,000億円ほど見込みよりも高くなっております。この主たる要因は、先ほど申しました時効特例の措置が行われて、その影響が平成21年度から出てきているといったことが影響しているのではないかと考えられます。
 基礎年金拠出金につきましては、この拠出金を推計する際には、国民年金の納付率を財政検証上では80%と見込んでおりますが、実績値としては60%ぐらいということで差が出ております。そのことが基礎年金拠出金の按分の際に影響を与えますので、その効果で基礎年金拠出金が見込みよりもプラスになっております。この支出の項目では、この2つが影響としては出てきていると考えられます。
 そういうことを加味しまして、結局最終的な収支残につきましては、この運用収益が見込みよりも高かったということでプラスになっているわけですけれども、ただ、運用収入を除いた部分では全般的に保険料収入は見込みよりも低く、支出の方は高目に出ているということで、運用収入を除いて、この収支残への影響を見ますと、見込みよりもマイナス幅が大きくなるというようなものが平成21年度の実績値でございます。
 年度末積立金は運用収益が非常に高かったということで、見込みよりも4兆円ほど高くなっているということでございます。
 以上が収支状況の比較です。次に18ページは被保険者数及び受給者数の見込みと実績値との比較をしております。実績値は平成20年度末、平成21年度末の数字でございますが、財政検証で出しております数値は年度平均でございますので、ご覧いただく際には平成20年度末と平成21年度末の真ん中辺りの数字、平均した数字と、この将来見通しと比較してご覧いただければと思います。
 全般的に見ますと、被保険者数、受給者数ともに現段階、平成21年段階ではそんなに大きな差は出てきていないのではないかと考えられます。被保険者数につきましても、若干ですけれども、平成20年度と平成21年度の平均した数字を見ますと、心持ち、少し下ぶれしているかなというのがありますけれども、平成21年度段階ではそんなに大きな差は出ておりません。やはり平成21年度では、賃金の上昇率が大きくマイナスになっているということが財政には大きく影響していて、人数の方は現段階ではまだ大きな差は出ていないのではないかと考えております。
 19ページ以降は、最後にさまざまな財政指標につきまして、この実績値と財政検証の結果とを比較しております。
 19ページは年金扶養比率で、決算結果の実績を一番上の表にお示しして、その次の表で平成21年の財政検証の結果、一番下に参考として平成16年の財政再計算の結果をお示ししております。
 括弧の外と括弧の中の2つの数字がございますが、これは何が違うかといいますと、注1にも書いてございますけれども、括弧の中の方は、この年金扶養比率を計算するときの分母を、受給権者ではなくて受給者数で算出したものでございます。
 平成21年の財政検証の結果が下の表にございますけれども、こちらの方も受給者数で数字を出しておりますので、比較してご覧いただく際には、この実績値の方は括弧の中の数字で、これと平成21年の財政検証の結果とを比較してご覧いただければと思いますが、平成21年につきましては実績が2.66で、財政検証の結果が2.7ということで、平成21年段階ではほぼ見込みと大きな差はないというような結果になっております。
 20ページはこれを補完する指標ですので、これは後でご覧いただければと思います。
 21ページで、今度は総合費用率でございます。これも上の表が実績値で、下にありますのが平成21年財政検証の結果でございます。
 上の実績値につきましては、上下2つの数字が並んでおりますけれども、下に*を付けて並べている数字がございます。これが、注5にもございますように、厚生年金基金の代行部分を補正したものでございますので、こちらの方と下にあります財政検証の結果とを比較してご覧いただければと思います。
 そういたしますと、平成21年実績値といたしましては20.2%というのが出てきているわけですが、これに対応します財政検証、平成21年の数字は18.5%となっておりますので、この総合費用率につきましては見込み18.5%よりも1.7ポイントぐらい実績値の方が高くなってございます。
 要因としては幾つかございまして、1つはまず分母となります標準報酬総額で、これを上下比較してご覧いただきますとおり、見込みに比べますと実績値が低目に出ております。これは先ほど申しました賃金の伸び率がマイナスであったということがここに影響しているのであろうと考えております。一方、支出の側ではこの給付費、そして、基礎年金拠出金が先ほど申し上げました要因によりまして見込みよりも高くなっております。この分母と分子、両方の要因によりまして、この総合費用率が見込みに比べますと高目に出ているというのが平成21年度の結果でございます。
 23ページは、今度は独自給付費用率で、これにつきまして同じように比較をしておりますが、これもやはり傾向としては同じでございます。平成21年財政検証では、平成21年度で14.3%と見込んでおりましたけれども、実績としては15.1%となっております。要因としては、先ほど申し上げたとおりでございます。
 25ページが今回新しい指標としてお示しさせていただいておりますが、保険料比率でございます。これも比較していただく際には、この実績値の中の*の欄が付いております下半分の平成21年度の数字と、下の表の財政検証の平成21年の数字を対比してご覧いただければと思いますが、財政検証の見込みでは83.8%と見込んでおりましたが、この実績値としては76.4%。この保険料比率というのは低い方が財政状況が悪いという結果になりますので、83.3%と見込んでいたものに比べると、財政状況としては少し厳し目になっております。この指標は実質的には総合費用率の逆数を取って保険料率をかけたような指標ですので、要因としては先ほど申し上げたものと全く同じでございます。賃金上昇率がマイナスになったこと。そして、支出が見込みより増えている。この2つの要因が影響していると考えられます。
 27ページは収支比率でございます。こちらの方は実績値をご覧いただきますと98.7%で、下の財政検証結果では109.7%ということで、これは収支比率でございますので、いわゆる運用収入の影響が大きく出てまいりますので、こちらの方は運用収入が今回高かったということが大きく影響いたしております。
 29ページで、最後になります積立比率でございますけれども、こちらの方は上の表で実績値をご覧いただきますと4.9%で、見込みは5.1%でございましたので、若干見込みよりも低くなっております。ただ、この積立比率に使います分子の積立金が前年度末の積立金になっております。そのために1年前の積立金の状況が反映されるという指標でございますので、若干低くなっているという結果になってございます。
 簡単ではございますが、厚生年金につきましての平成21年度の財政状況の御説明は以上でございます。

○山崎部会長
 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして御質問等はありますでしょうか。
 駒村委員、お願いします。

○駒村委員
 これは質問というよりはどう考えるかなのですが、資料の17ページで、支出のところの将来見通しと実績の差のところで、拠出金分が1.7兆円発生している。この理由は、要するに国民年金の納付率の80%前提と実績60%の差である。
 それで、この60%という状態が続く限り、このギャップはずっと発生してしまうわけですね。1.7兆円というのは総収入23兆円に比べても0.7%で、保険料換算すると恐らく1%ぐらいのギャップがもう初めからその推計の段階で発生してしまうというのは、今後、将来見通しを考えるときも、本当に80%という数字を、その旗は掲げる必要はあるものの、構造的に今のところ80%と60%のギャップがこのチェックのときに発生してしまうというのはいかがなものか。
 それと、この1.7兆円分がある意味、未納によって発生する分、更に20%ずれている部分の分というのでしょうか、誤差が出てきた。推計のギャップ分がここに出てきているという理解だと思うので、これは財政検証をする際に今後も本当に80%を掲げて、こういう毎年チェックのたびにこの膨大なギャップを出すような調整方法はいいのかどうなのかというのを少し疑問に思いました。
 以上です。

○山崎部会長
 どうぞ。

○安部数理課長
 今の御指摘でございますけれども、今後将来見通しを作成するに当たってどう設定するかということは、まさしく御指摘のとおり、1つ検討していく必要があろうかと思います。
 ただ、財政状況の影響につきましては、昨年11月26日のこの部会で資料をお示しして御説明を申し上げましたが、短期的にはこのように少し厚生年金の方に支出の増ということで影響が出てまいりますが、ただ長期的に見ますと、保険料を納付されない方がいらっしゃったら、将来的には支出の方が減っていく。そうしますと、基礎年金拠出金が今度は将来は逆にマイナスになるということになります。未納が多いことは、受給者の方にとってみれば年金額が低い方、受給できない方がそれだけ増えるということで、これはこれで非常によろしくない大問題でありますけれども、純粋に年金財政の面だけ考えますと、今は一時的にこうやって支出もプラスになるんですが、将来を考えますと今度はマイナスになると見込まれますので、100年間ぐらいの長期の財政状況を見た場合には、財政的にはそう大きな影響はないという要素はございます。
 ただ、こうやって検証していって、今年こうやって影響が出ましたというようなことを毎年やっていくのがいいのかどうかということは、まさしくおっしゃるとおりでございますので、今後、また見通しを作成する際に、ここをどういうふうに設定していくのかということは今後検討していく必要がある事項であろうと考えております。

○山崎部会長
 ほかにございますか。
 それでは、佐々木委員お願いします。

○佐々木委員
 そもそも、この平成21年度の財政についてはお伺いしたことはわかったんですが、平成16年度の推計を重ねていくところがよくわからなかったんです。
 前回、平成21年度の財政検証で、人口面の前提とか、それから経済面で、例えば人口ですと出生率が1.26とか、あと労働力率とか、経済では成長率が0.8%とか、いろいろ前提を置いて、一応、現状では所得代替率ベースで6割から5割ぐらいの水準までは大丈夫だろう。デフレですから経済面の前提がどうかということはあったのですが、そういった部分で、この平成16年度のベースに置き換えたらどうなのかはわからないのですが、少なくともそういった分で、置いた前提が予定どおり行っているのかどうか。例えば出生率とかそういった分が検証の中で予定どおり、この100年間の範囲で、多少ぶれているかもしれませんが、その範囲内に行っているのかどうかということが、細かい御説明はよくわかったんですけれども、その辺のところはどう考えたらいいのか。その辺りを教えていただきたいと思います。
 あと、平成21年財政検証のスタート時点というのは何年度をベースに考えたらいいのか。そこからどのようにずれているのか、その辺りのところを教えていただきたいと思います。

○安部数理課長
 まず後半の話で、平成21年財政検証のスタート時点ですけれども、実績は平成19年で、基礎数としては平成19年のデータを基にして推計をいたしております。
 ただ、例えば運用状況などは直近平成20年度の状況もある程度わかっておりましたので、リーマンショックの影響など、作業をしている時点で可能な限り織り込んだ上で、実際の被保険者数や受給者数の構造などにつきましては、平成19年度のデータを出発点にして将来を推計しております。推計としては一旦、平成20年度末の状況を想定して、平成21年度からは推計値として公表しているという作業に結果としてはなっております。
 それと、前半の話なのですが、すみません、平成16年の財政再計算との関係という御質問でしょうか。

○佐々木委員
 我々はこの前まで平成21年財政検証で、5年ごとの財政検証で一定の前提を置いて検証したわけですね。その前提が妥当かどうか。特に経済前提はデフレの分で若干甘目の懸念があるという評価をしたわけですけれども、例えば人口面ですと出生率が1.26ですね。それと、労働力率でも60歳代の労働力が90%以上にふくれ上がる。
 そういった前提で来ているわけですけれども、それぞれの置いた前提が各年度どういうふうに実績として、出ているのか、例えば、平成21年度はその置いた前提どおり行っているのかどうか。そういった検証をもう一度やっていただいた方がいいのではないか。一部出ている部分もあるのですが、その結果として財政側の100年間で推計したとおりに範囲から多少ずれているのか、あるいはミドルラインなのか。これはそういったことがなかなかわからないわけです。
 確かにいろいろな細かい動きがあったとか、賃金がマイナスになって分母・分子が下がって悪化するとか、そういった一面の要因はわかるのですが、そういった部分だけでは今後、数十年単位で見たときに、今の財政の是非はともかくとして、予定どおりの範囲内なのか。あるいは多少ずれているので、懸念要因がここはあるということがどうもなかなかわかりづらい部分がある。これは私だけかもしれませんが、この前はそれに併せてディスクローズという問題はあったのですが、なかなかこの部分を聞いていて、そういう部分がよくわからないということで御質問をしたわけです。
 ですから、平成21年度ですと、例えばここは出生率が出ていないわけですけれども、ただ直近の出生率はこうなっているので、ここはプラスのファクターで働く。直接的にはこのように働かないかもしれないですが、あるいは、労働力の比率も上昇しているのか、していないのか。そういった分が出ていないので、この財政検証と、この財政の今回の議論の分がどうもぴったりこない。自分のことを言って申し訳ないですが、その辺りの乖離があって、よくわからないという部分で御質問したわけです。

○安部数理課長
 すみません、御趣旨はよくわかりました。
 実際に、まず今回、平成21年の結果ですので、結局、財政検証を行って、ようやく1年分の実績が出てきた段階なので、そういう意味で実際、まだ単年の結果しか出ていないということで、どう評価するのかというのはなかなか難しい状況だろうとは思っております。
 出生率等の実績ですと、これは人口動態統計等がございますけれども、ただ、それが年金財政に影響を与えてくるのは結局のところ、一旦被保険者数の動向や受給者数の動向という形で表れて、それが年金財政に影響を与えるということになります。そういう意味で、これは基本的に例年、こういう形で出すようにとの御指示で資料を出させていただいておりますけれども、受給者数について見込みと実績がどれくらいずれていたか、被保険者数がどうであったかというようなこととか、また、これは経済前提等に密接に絡みますけれども、標準報酬などがどうずれていったかというようなことを網羅的にはまとめさせていただいたつもりではございます。そういう意味で見ますと、先ほど申しましたが、まだ単年度しかないということもございますけれども、いわゆる人口的な要因である被保険者数や受給者数は、ほぼ見込みとそんなに大きな差はないという状況です。
 ただ、やはり1点大きかったのは経済前提。この賃金上昇率が、基本的にいきなり2.5%と見込んでいたわけではないのですが、それでも今回大きくマイナスになっているということからすると、この単年度の結果だけではありますけれども、特に経済前提のところは見込みよりかなり大きくずれている。それが例えば総合費用率に対する影響とか、また収支比率とか保険料比率といったことへ影響して見込みよりもずれているというようなことが平成21年度の実績としては出てきております。
 ただ、これはまだ単年度ですので、それが今後、来年、再来年とどうなっていくのか、まだわかりませんので、最終的な評価というのはなかなか難しくて、実際、やはりそういうことで5年間見て、再度、5年後に見直していくというプロセスになるのだろうと思いますが、それでも平成21年の実績としては、特に経済要因については見込みよりずれているということは確かに言えるのではないかと思っております。

○佐々木委員
 それは、単年度は単年度で私はいいと思うのです。過去のデータを基に100年間プロジェクションしているわけですから、それが1年間、どう実現したのか。結局、出生率が労働力に反映するのはやはり15年後、20年後ですから、そういうこともよくわかるんですが、そういうことが、前提に置いた分がどう推移していっているのか。推計に置いた分が方向としてそんなにぶれていないのか。今後発生するファクターも含めて、この平成21年度の結果として見た方がいいのではないかという部分なんです。
 出生率がすぐ反映されないというのはよくわかります。それで今の被保険者の動向も、この労働力のパワーがどういうふうに反映されているかという部分の前提との関係があると思うんです。それで、賃金上昇率は前回申し上げたように、2.5%で、足元がマイナスですから、もともとは高いのではないかという指摘すら出るんですけれども、少なくとも、2.5%は別としても、少なくともゼロから2.5%にスタートしていくべきではないかということは申し上げたとおりです。そういう部分で、この平成21年度の、今、安部数理課長が言われたとおり、推計した結果で1年間しか実現していないというのはよくわかるんですが、ただ方向として、置いた前提がプラスなのか、マイナスなのか、あるいは中位的な動きなのか。そういうことは中で見ていった方がいいのではないかという意見です。

○山崎部会長
 全て年金数理部会の求めた指標について数字を出していただいているわけで、むしろそこまでお願いしなかった我々の責任かもしれませんから、今後考えさせていただきたいと思います。
 他にございますか。
 田中委員、お願いします。

○田中委員
 それでは、1点だけ申し上げます。
 佐々木委員と関連いたしますが、特に今回の利源分析ということで言いますと、大きいところが運用収益が非常に高かったということと、もう一つ総報酬がかなり減少した、この2点が主な要因だったと思うんです。
 その中でも被保険者数の減もあるんですが、それよりも平均標準報酬の減少が大きかった。その中でも特に標準賞与の減が大きかったということが見て取れるのですが、この標準報酬の減というのが今後、この平成21年、あるいは平成22年、翌年も多分続くのではないかというようなことも考えられますし、それからそもそも平均標準報酬は、ボーナスとはいえますが、どういう所得層の方が減っているのかというようなことですね。それから人口の移動、被保険者の移動もありますので、その辺りで、例えばサラリーマン層から自営業の方に移られた方などもいるかもしれませんし、あるいはひょっとしたらかなり非正規雇用の問題なども影響したのかもしれないのですが、その辺りは特に、この標準報酬の減の原因といいますか、構造変化については何か調べられたことがあるのかどうかを教えていただきたいと思います。

○安部数理課長
 このデータは基本的には業務統計を基に作成しております。業務統計だけを見ていますと、そういう背景にある構造は必ずしもはっきりわかりませんので、特に現段階で、すぐにお示しできるような結果はございませんが、ただ今後のことを考えていくに当たってもそういう分析というものを、また将来見通しをやる際には必要になりますので、いろいろと関係するデータを集めて分析をしてまいりたいと思っています。
 すみません、今の段階でお示しできるようなものは、今は手元にはございませんので、また検討させていただければと思います。

○山崎部会長
 それでは、牛丸委員が先でしたか。お願いします。

○牛丸委員
 1ページの収支状況の表に基づいてお聞きします。国庫負担に関してお伺いしたいんです。先ほど御説明がありましたように、平成21年度の国庫負担が上がったというのは、大きく基礎年金に対する国庫負担の引上げである。それはわかりましたが、この国庫負担には基礎年金の国庫負担以外に何かあるのか、ないのか。すべて基礎年金の国庫負担なのか。あるとすれば何なのかというのが1点です。
 それから、収入のその他に関して平成21年度だけ大きかった。それについても説明がありましたが、昭和61年から平成元年の国庫負担の繰延べというお話でした。それで今、平成21年度の国庫負担についてお伺いしましたが、この昭和61年から平成元年にかけて、この平成21年度に繰り延べされた国庫負担はどんなものであったのか。なぜ、その年々というか、そこで処理されないで平成21年度に上がってくるのかという、もしおわかりになれば教えていただきたい。これが2点です。
 3点目は、過去とか現在でそういうことがあったとすれば、今後も残っている国庫負担に関して繰延べとか、あるいは今後そういうことが起こり得るのかどうか、可能性があるのかどうか。といいますのは、年度、年度でやっていきますので、本来の収入ではないですね。本来の収入は、本当は上がっていなければいけないものが上がらないで後年度に上がってくるという、額が少額であればいいんですけれども、今年の場合には決して小さくはない。こういうことがありますので、財政収支を考えるときにどうかと思いますので、教えていただきたい。
 以上3点です。

○安部数理課長
 まず国庫負担ですけれども、太宗を占めておりますのは基礎年金の2分の1なのですが、それ以外に含まれておりますのは、昔の厚生年金の国庫負担は2割国庫負担というものがあって、基本的には昭和61年改正の段階で、当時は3分の1でしたけれども、それが基礎年金の国庫負担に集約をされましたが、昭和36年4月より以前の期間に係る厚生年金の給付につきましては2割国庫負担とかというものがまだ残っております。今、具体的な金額はわかりませんが、だんだん小さくはなってきていると思いますけれども、そういったものがこの中には含まれてございます。
 それと、国庫負担の繰延べについて、なぜ行われるかといいますと、私どもとしてはそのようなことは望ましくない。おっしゃるとおり毎年規定どおりに国庫負担というものは入ってきてしかるべきものというのが私ども制度を運営している者の立場なのですが、そうはいっても、その時点、その時点での国の財政状況がいろいろとあったのではないかと思います。そういったことで、今回、先ほど申しました昭和61年から平成元年分については戻ってまいりましたけれども、厚生年金につきましても、国民年金につきましても、まだ残っておりまして、こういったものは可及的速やかに戻していただくように私どもとしては考えておりますが、なかなか厳しい状況もあって、今のところ、まだ実現をしていないというところでございます。
 例えば今後のことですけれども、当然、私どもとしてはそのようなことはあってはならないという立場ではありますが、それ以上のことをなかなか申し上げにくいのですけれども、基本的には規定どおり、その年、その年に入ってくるべきものは入ってくるものだというのが私どもの考え方でございます。

○牛丸委員
 そうしますと、この年々の財政収支状況以外のどこかに支払えなかった国庫負担が載っているのですね。要するに、こちらからすれば債権ですか。

○安部数理課長
 はい。そういうものは当然、私どもの方で過去に幾ら、どうだったということはきちんと記録をしておりまして、機会があるごとに戻してもらう必要があるということで主張してまいりますし、また、財政検証上ではそれはすべて戻ってきたという状態を想定して将来見通しをやっております。それは私どもとしては当然、戻ってきて然るべきものだということで見通しなども作成しているということでございます。

○牛丸委員
 それでは、今後もあり得るということですね。

○安部数理課長
 あってはならないと考えております。

○山崎部会長
 野上委員、お願いします。

○野上委員
 将来のお話ということですと、マクロ経済スライドの調整率が今年の平成21年度はどういう状況であったかということを御説明いただきたい。
 それと、細かい質問ですけれども、1ページの運用収入で、時価ベースではかなり、8兆6,000億円ということですが、キャッシュベースですと50億円ということで、去年と比べて非常に減っておりまして、この辺りは何か御説明をいただきたいと思います。
 それから、直近の話題で恐縮なのですが、年金の試算といいますと、例えば電力株、電力社債、あの辺りはかなり組み込んでおられるような気もするのですが、いかがでございましょうか。あえて、東京電力とは言いません。

○安部数理課長
 まず1つ目、マクロ経済スライドにつきまして、もともと、まだ平成21年は発動する予定にしておりませんものでしたから、実績値というものは特に出してはございません。
 運用ですけれども、この簿価ベースの数字と、その2つ下に「再掲 年金積立金管理運用独立行政法人納付金」というものがございますが、このいわゆる時価ベースではない数字の太宗を占めておりますのは、このGPIFからの納付金でございます。これはGPIFが運用して、一定のルールで、ある程度運用収益が上がったら、実際キャッシュベースでお金が入ってくるという仕組みがあるのですが、ただ、これは1年前の、年度末の状況を踏まえて、この年金財政の方に幾ら納付するかを決めるということになっていまして、結局1年前の状況ですと、まさしくリーマンショック直後で非常に悪い状況だったものですから、平成21年度については基本的にこの納付金がバーになっているところは納付金がなしになっている。それを反映して、この簿価ベースでの運用収入がほとんどゼロになっているというのは、そういう事情でございます。
 
○渡辺参事官
 資金運用担当参事官でございます。今、GPIFが持っております国内債権の中には勿論、国債以外のいわゆる社債とかも入っております。ただ、御指摘の個別銘柄についてはここではお答えできないのですが、広い意味での社債のようなものは含まれているということだけ申し上げておきたいと思います。

○山崎部会長
 佐々木委員、お願いします。

○佐々木委員
 是非、一度調べていただきたいと思うのですが、先ほどの賃金上昇率の、国内要因もあるわけですが、今、採用などもグローバルで、各国の賃金格差というフラット化で日本が高いのではないか、そういう点からデフレというものが結構働いていると思うのです。いろいろな調査があると思うのですが、そういった各国の賃金ベースの資料があれば、そういうことも見ていただきたいと思うのです。

○安部数理課長
 どういうデータが集められるかわかりませんが、どういうものが可能かどうか、見てみたいと思います。

○佐々木委員
 恐らく相当そういう部分が働いてきて、この2.5%という確保が難しい部分もあるのではないかと思いますので、少し見ていただければと思います。これはお願いです。

○山崎部会長
 それでは、翁委員お願いします。

○翁委員
 年金総額が2%に対して、給付費がプラス5%になっていて、それが平成21年度に時効特例が出ているという、その背景と、それが今後どういうふうに影響するのかということをもう一回教えていただけますでしょうか。

○安部数理課長
 年金時効の特例法というものが施行されたのは平成19年の夏頃だったと思うのですが、これは年金記録が訂正されて年金が増えた場合に、基本的にある程度さかのぼって支払われるのですが、従来は直近の5年間分だけ増額した分を支払いまして、5年より前のものは時効で支払いが出来なかったのですけれども、それが特例法に基づきまして、全期間遡ってお支払いするというように改正されました。
 ただ、平成20年ぐらいまではそんなに影響は出てこなかったようなのですが、平成21年ぐらいになりますと、それによって過去の分を一括してお支払いするというケースが増えてまいりまして、その金額が数千億円ぐらいのオーダーになっているというのがありましたので、恐らくそこが平成20年から平成21年度の伸び率に影響したのであろうと考えているということでございます。

○山崎部会長
 他にはよろしいでしょうか。
 それでは、以上で厚生年金保険の財政状況についての報告の聴取を終了いたします。
 引き続き、国民年金の平成21年度の財政状況についての報告を聴取いたします。
 それでは、説明をお願いいたします。

○安部数理課長
 引き続きまして、国民年金の平成21年度財政状況の資料に基づきまして簡単に御説明を申し上げます。
 まず、1ページ目にありますのは、この基礎年金の収支状況をまとめた表でございます。
 基礎年金の勘定は、基本的には拠出金を集めて、そして、その拠出金から、1つは基礎年金給付費として直接受給者の方にお支払いするというものと、それから、厚生年金、共済や、国民年金そのものなどの各制度において、基礎年金に相当するものとしてそれぞれの制度が払う給付がまだ一部残っております。そのための費用ということで、基礎年金交付金を各制度に支払う。そのような機能を持っておりますのが基礎年金勘定になるわけでございます。
 実は基礎年金といいますのは、お金の出し入れのときに概算と精算とを繰り返していくという仕組みになっておりますので、なかなか伸び率を見るときにぱっと、この今年度の状況を分析するというのがなかなか難しいものでございまして、そういう意味もありまして、1ページ目は基本的にお金の出入りということで収支状況をまとめておりますが、2ページ目に平成21年度の基礎年金としての確定値がどうであったかをお示ししておりますので、まず1ページ目で簡単に概要だけ御説明いたします。
 この伸び率で、一番右側に前年度の比較ということでお示しをしておりますけれども、1つここで特徴的なのは、特別国庫負担相当額という欄が基礎年金等収入の中の内訳にございます。これが従来5,000億円程度あったのですが、これが大きく減少しているというのが平成21年度の特徴でございます。それで、この特別国庫負担というものは何かと申しますと、1つは過去、免除期間があった方に対する給付に対して、国庫負担で賄う部分というのは大きいわけですけれども、そこの免除期間に係る給付の国庫負担が特別国庫負担としてございます。
 もう一つ、二十歳前障害基礎年金の給付に要する費用の一部を特別国庫負担として支払うわけなのですが、この平成21年度に通常の基礎年金拠出金の割合が2分の1に引き上げられたことの反映で、この二十歳前障害基礎年金に対する特別国庫負担の割合が下がっております。従来は37%でしたけれども、これが20%に低下しています。それは要するに本来の国庫負担の割合が上がったものですから、それとの兼ね合いで特別国庫負担の方が下がった。そういうことがありますものですから、ここで平成21年度特別国庫負担が大きく減少している。主たる要因はそこでございます。
 その一方で、その上にあります基礎年金拠出金が+8%ということで大きく伸びております。この中には2分の1国庫負担も含まれておりますが、今申し上げた要因もありまして、この基礎年金拠出金が増加をしているということでございます。
 支出の方につきましては、基礎年金給付費は本来分と交付金と2つございまして、この交付金というものは、先ほど申しましたように、基礎年金という名前で出るわけではないのですが、各制度、厚生年金や共済年金が支払う給付の中に基礎年金としてみなせる部分がございます。それを支払うための費用は拠出金として一度全部集めた上で、この基礎年金勘定から各制度に交付金としてお支払いする。そういうものが、この基礎年金交付金でございます。
 ただ、これは昭和61年4月より以前に裁定された方についての経過措置で、少しずつ減少していくものでございますので、時系列でご覧いただいても減っているというのはそういうことでございます。ですから最終的には、この本来分の基礎年金給付費の方が割合としては大きくなっていくというものでございます。
 1ページ目がお金の出入りの概況で、この基礎年金の構造として、平成21年度確定値としてどういう結果になったかをまとめておりますものが2ページ目でございます。
 まず、給付状況が上の表にございますけれども、この一番右側にあるのは総額として19兆7,400億円というものがございますが、これが平成21年度の確定値として基礎年金に相当するものも含む金額になります。要するに基礎年金という名前で出ていくものに加えて、各制度が支払っているのですが、基礎年金相当額とみなすことができる部分を合計した金額が19兆7,400億円。こういうものが平成21年度の結果でございます。
 その内訳として、本来のこの基礎年金という名前で出ていきますものが約16兆円。そして、各制度が支給するものが約3兆3,000億円ということでございます。そして、それぞれの制度の内訳がどうなっているかということで、やはり規模的には国民年金と厚生年金が金額としては大きくなって出てきております。
 これが給付する側で、その一方でその費用を拠出金等で集めてくることになります。その負担状況がその下の表でございます。当然、総額としては19兆7,400億円を集める必要があるわけですけれども、その内訳といたしまして、まず特別国庫負担というもの。これは先ほど御説明した内容で、これが3,400億円という結果でございます。先ほどご覧いただいた数字と違うのは、概算、精算を繰り返しておりますので、1ページ目の数字と2ページ目の数字がずれてまいります。ですので、平成21年度の確定値としてはこの数字でございます。
 それで、この特別国庫負担、3,400億円というものはまず確定して、これは別枠にして、残りの差し引きました一番左の欄にあります約19兆4,000億円ですが、これを各制度が基礎年金拠出金として納付していく。そして、その割り振るときに何をもって割り振るかというのが、この下にあります拠出金算定対象者数で、それぞれの被保険者数、そして、厚生年金等では2号と3号を足した数字を按分比率といたしまして、基礎年金拠出金として集める金額を分解いたしまして、それぞれの制度の基礎年金拠出金が算定される。そのような構造になってございます。
 全般的に、やはり傾向としては増加をいたしておりまして、例えば総額19兆7,400億円と申しましたが、昨年は大体18兆9,000億円でございましたので、伸び率としては4.5%の増となっております。その内訳として、基礎年金拠出金は約19兆4,000億円でございますが、こちらが大体伸び率5.4%増となっております。これは特別国庫負担の方が割合減少いたしますものですから、若干、基礎年金拠出金の方の伸び率が高目になっているという結果でございます。
 以上が、基礎年金につきましての平成21年度の確定値としての構造でございます。
 3ページは、今度は国民年金勘定、要するに保険としての国民年金ですけれども、これの収支状況をまとめたものが3ページでございます。直近5年間の時系列を同じようにお示しして、一番右側に前年度との比較ということで伸び率をお示ししております。
 主要な項目について御説明いたしますと、まず保険料が-3%ということで減少いたしております。こちらの方も保険料単価そのものは伸びておりまして、1万4,410円から1万4,660円に増加しておりまして、伸び率にいたしますと約1.7%保険料単価が上昇しているわけですけれども、1つは、これも後でデータでご覧いただきますけれども、被保険者数がやや減少しているということ。また、その中で、免除者数は逆に増えております。ですから、実質的に保険料を納付される方というのは被保険者数以上に減少しているということ。そして、更に納付率といいますものが、平成20年度は、現年度分ですけれども、62.1%でしたが、平成21年度は60%に低下しているという、この2つの要因がありまして、結果的には保険料総額としては3%の減少という結果になっております。
 国庫負担につきましては、厚生年金の方でも申し上げました2分の1国庫負担になったということで増加をしております。ただ一方で、特別国庫負担の方は減少いたしておりますので、厚生年金に比べて少し増加率が低くなっております。
 また、運用収入につきましては、時価ベースの数字は括弧書きの中にございますように、厚生年金と同じですけれども、平成19年度、平成20年度はマイナスでありましたけれども、平成21年度につきましては時価ベースで大きくプラスの運用収益が上がってきているという結果でございます。
 一方、支出の方ですけれども、こちらの方は給付費と基礎年金拠出金が大部分を占めるということは国民年金も同じでございますが、こちらの方は給付費の大部分が、先ほど申しました、いわゆるみなし基礎年金でございまして、これは昭和61年3月時点で受給者だった方でございますので、こちらの方は時系列的に減少してきてまいります。
 基礎年金拠出金の方ですが、今回は減少しております。この減少しておりますのはなぜかと申しますと、この基礎年金拠出金の中に先ほど申しました特別国庫負担金も金額として入っております。その特別国庫負担金が減少したことなどが影響しておりまして、収支上の基礎年金拠出金としては減少しているという結果でございます。
 以上のような収入・支出がございまして、この収支差、収支残でご覧いただきますと、簿価ベースではマイナスですけれども、時価ベースでご覧いただきますと、この運用収益が非常に多かったということから、約3,000億円のプラスになっております。これが平成21年度の国民年金勘定の収支状況でございます。
 4ページは、今、申し上げましたお金の出入りについて図でお示ししたものでございますので、こちらの方は後でご覧いただければと思います。
 5ページ以降は、受給権者の人数や年金総額をまとめたものです。いろいろと数字がございますので、詳細は後でご覧いただければと思いますが、全体で見ますと、この受給権者数、この表の一番上の数字ですけれども、平成20年度から平成21年度にかけて、受給権者数は約3.1%の増。また、年金総額につきましては3.9%の増というのが直近、平成21年度の状況でございます。
 また、6ページから7ページにかけて、今度は平均年金額の数字をお示ししております。この辺りもいろいろと数字がございますので、また詳細はご覧いただければと思います。
 1つ特徴的なのは、これは平成21年度ということではございませんけれども、7ページに新規裁定の年金額をお示ししておりますが、特に最近大きく変化しておりますのは、平成18年度から平成19年度にかけて新規裁定の年金額が大きく下がってきております。これは、この平成19年度から一部繰上げという制度、これは実は厚生年金の定額部分の支給開始年齢が段階的引上げになっていることと少し絡んでいるんですけれども、そこで一部繰上げ制度というものが制度としてできておりまして、その関係がありまして、詳細はかなり細かい話になるので省略いたしますけれども、かなり基礎年金として金額が低い人たちというのが新規裁定されるようになってきたということが影響いたしまして、この新規裁定の平均年金額がここで大きく減少しております。それ以降の平成19~21年度につきましては、それほど大きな変化はございません。
 8ページで「(2)老齢年金受給権者の年齢構成」で、年齢分布、そして、平均年齢をお示ししておりますが、こちらの方は少しずつ高齢化しているという結果で、例えば平均年齢で、男子が73.3歳となっております。昨年は73.0歳でございましたので、0.3歳ほど上昇。女性が75.0歳で、昨年は74.7歳ですが、これも同じく0.3歳上昇しているということで、こちらの方は少しずつ平均年齢が上昇しているという結果になっております。
 9ページは、被保険者数の推移。また、その中で免除の状況がどうなっているかをまとめた表でございます。一番右に前年度の比較ということで伸び率をお示ししておりますが、この1号被保険者数をご覧いただきますと減少しておりまして、平成20年度から平成21年度にかけて伸び率としては-0.8%でございます。また、3号につきましてもマイナスでございまして、-2.2%となっております。
 その中で、下の免除等の状況という欄をご覧いただきますと、一番上にあります法定免除者、そして、その下にあります申請全額免除者をご覧いただきますと、平成20年度から平成21年度にかけて、いずれも5%台に増加となっております。そういうことがありまして、そもそも1号被保険者数が若干減っているということに加えて、この法定免除者数、申請全額免除者数が大きく増加している。これらが影響しまして、最初にご覧いただきました保険料総額そのものがマイナスになっている大きな要因でございます。
 10ページからは、1号被保険者または3号被保険者につきましての年齢階級別、また、加入期間別の分布をまとめたものでございます。
 1号被保険者の場合、少し特徴的なのは、これは昨年もそうでしたが、この平均年齢の数字をご覧いただきますと、例えば10ページの男女計の平均年齢が39.6歳でございましたが、昨年は39.7歳ですので、0.1歳低くなっております。これは男性も同じでして、38.8歳になっていますが、昨年は38.9歳。女性は40.4歳になっていますが、昨年は40.6歳ということで、少しずつ平均年齢が下がっております。
 これはなぜかと申しますと、年齢階級の分布、一番右側に縦に並んでおりますけれども、これは先ほど厚生年金のときにも申し上げましたが、ちょうど今、ベビーブーム世代が55~60歳の階級から、今度は60歳を超えて、60~65歳の階級にシフトしているところです。ところで、厚生年金の場合には60~65歳の被保険者数もかなりいらっしゃいましたので、そちらの方で平均年齢が逆に上がっていたのですが、国民年金の場合はほとんど60歳未満でございますので、55~60歳の人が減るという要素だけが影響を与えることになります。
 その結果といたしまして、この20~60歳の集団の中の平均年齢は少し若返っているという結果になっております。日本全体としては当然、高齢化しているんですけれども、20~59歳という年齢階級に区切ってみると、少し平均年齢が若返っているという効果がここで出てきているという影響でございますが、高齢化が進んでいるのになぜ平均年齢が下がるのか疑問に思われるかもしれませんけれども、そのような構造になっているということでございます。
 3号につきましても、基本的には平均年齢は大体横ばいか、若干低下ということで、基本的には同じ傾向を示しておりますが、事情は同じでございます。
 16ページは、積立金の運用状況で、これは厚生年金も同じでございますけれども、平成21年度につきましては運用環境が良かったということでプラスの運用利回りになっているという結果でございます。
 17ページは、「5.財政検証における将来見通しとの比較」で、まず収支状況の比較をしているものでございます。
 厚生年金と同じように、決算そのものでは一部、将来見通しと比較するためにベースが揃っていない部分が若干ございます。それの補正をいたしておりますものが実績推計で、どういうことをやっているかというのは、同じように下の特記事項の欄の1つ目の○に書いております。
 国民年金の場合は、それほどあれこれと操作はしておりませんで、基本的には2つのことをしているだけなのですが、1つ目が基礎年金交付金。これを収入と支出の両面から控除しているということで、同じように収入につきましてはまさしく基礎年金交付金の欄がございますが、これをゼロにしているということ。そして、支出の欄は給付費。これを実績では1.5兆円となっておりますけれども、このほとんどは基礎年金交付金で賄われるみなし基礎年金でございますので、その1.4兆円を減らして、実質的な国民年金の独自の給付としては0.1兆円である。そういうことで補正をいたしております。
 また、もう一つ補正といたしましては?にございますけれども、この年度末の積立金のところで、先ほども少し話が出ました過去の国庫負担の繰延べの累積額で、国民年金は2.2兆円ほどと推計しておりますが、これを年度末の積立金に加えていく。この2つの操作をして、将来見通しと比較できるようにしたものが実績推計でございます。
 これと、下の欄にあります将来見通しと比較してご覧いただきたいのですが、まず1つは、やはりこの保険料収入で、将来見通しでは2.2兆円となっておりましたけれども、これが実績で1.7兆円でございますが、これは先ほど申しました納付率が80%と見込んで設定いたしておりましたけれども、実績としては60.0%。これが主たる要因でございます。
 平成21年度の運用収入につきましては、見込みよりも大幅に高い利回りになっておりましたので、こちらの方はプラス要因になってございます。
 その他につきましても大部分は国庫負担ですけれども、こちらの方は納付率が下がるということで、いわゆる基礎年金の拠出金の按分をするときの按分ウエイトが国民年金では見込みよりも低くなるということで、基礎年金拠出金が見込みよりも低くなり、それに連動して基礎年金に係る国庫負担も減少することになる。そういう要因で、その他が見込みよりも低くなってございます。
 支出の方ですけれども、給付費につきましてはほぼ0.1兆円ということで、見込みと大体同程度でございますが、先ほど申しました事情によりまして、基礎年金拠出金につきましては4.5兆円と見込んでおりましたが、実績値としては3.7兆円となっているという結果でございます。
 そういう意味で収支残をご覧いただきますと、+0.1兆円と見込んでおりましたが、時価ベースで見ますと実績が+0.3兆円となっております。ただ、単年度収支が見込みよりもプラス幅は大きいのですが、年度末積立金で見ますと、10兆円と見込んでおりましたが、実績が9.7兆円ということで逆に少なくなっております。これは平成20年度末、リーマンショックなども加味して、可能な限り実績に近いものを見込みましたけれども、実際はそれよりもやはり出発点、平成20年度末の積立金が見込みよりも更に少なかったということの影響がまだ平成21年度末についても少し残っており、その結果、少し見込みよりも年度末積立金がマイナスになってございます。
 18ページは被保険者数、そして、受給者数についての実績値と将来見通しとの比較でございます。表記方法は先ほどの厚生年金と同じで、実績値につきましては年度末の数字でございます。将来見通しは年度平均ですので、上の2つ、平成20年度末と平成21年度末の真ん中辺りの数字と将来見通しとを比較してご覧いただければと思いますけれども、全般的に見ますと、そんなに大きな差は出ておりません。
 ただ、差の主な要因のところにも書いてございますように、障害年金と遺族年金につきましては全額支給停止者の扱いが実績値と将来見通しとで少し異なっておりますので、ここだけ大きく差が出てきているというのはそういった事情でございます。ただ、老齢年金がほとんどでございますので、そういった意味では全体として、見込みと実績値とでそれほど大きな乖離は、現段階ではないのではないかと考えております。
 19ページからは、厚生年金と類似でございますけれども、各種の財政指標につきまして同じように決算結果と平成21年財政検証の比較をしております。
 まず、年金扶養比率で、これもご覧いただきたいのは、実績値では括弧の中の方の数字で、平成21年度は2.47%になりますけれども、財政検証では2.5%というふうに見込んでおりましたので、これにつきましては現時点ではほぼ見込みと大きな乖離はないと考えられます。
 21ページに、今度は保険料比率ということで決算結果と財政検証結果の比較をしておりますけれども、こちらの方は財政検証では約104%と見込んでおりましたが、保険料比率、実績値の方では約94%ということで低目に出てきております。これは、納付率の影響がありまして、保険料の見込みが少し低くなっていったこと。その一方で、特に独自給付分がほぼ見込みどおりでございますので、それとの兼ね合いで少し保険料比率が財政検証の見込みよりも低くなっているという結果になっております。
 23ページは収支比率で、これは時価ベースでの運用収入のプラスがそのまま影響してまいりますので、見込みでは90.4%というものが実績の時価ベースで81.3%ということで、こちらの方は見込みよりも低くなっている。財政的にはプラスになっているという結果でございます。
 最後に積立比率ですが、こちらにつきましては財政検証結果を4.6%と見込んでおりましたが、実績値が5.2%ということで、財政検証の見込みに比べて高目に出てきているという結果でございます。
 簡単ではございますが、以上でございます。

○山崎部会長
 ありがとうございました。ただ今の説明につきまして、御質問等はありますでしょうか。
 林委員、お願いします。

○林委員
 毎年よく見ていなかったのですが、3ページ目「(3)国民年金勘定の収支状況」の平成21年度の収入で「積立金より受入」というものが、これは例年、予算時点の概算で見られるというようにお聞きしているのですが、平成21年度はゼロだったというのは何かあったのですか。

○安部数理課長
 これは見通しを作成する段階で、とりあえず積立金から受け入れなくてもバランスがとれるだろうということで見込まれたということです。

○林委員
 そうですね。何か制度的なものではなくて、そのときの判断でやられたということですね。

○安部数理課長
 見込んだとき、やはり国庫負担2分の1になったということが多分大きかったのではないかと思います。

○林委員
 わかりました。
 もう一つは、先ほど国民年金の被保険者が若返っているという問題がありましたね。それで、御説明がありました団塊の世代といいますか、ベビーブームの人は被保険者から抜ける。それもあると思うのですが、今、若年の失業率が高いので、2号被保険者になれなかった方が1号にとどまっているのではないかという、全く雲をつかむような想像をしているのですが、いかがでしょうか。

○安部数理課長
 確かにその要因も、実際のところはこの業務統計だけでは何ともわからないところはありますが、可能性としてはあるのかもしれません。
 ただ、人口の年齢構成で見ると、ここで20~59歳に限定して若返るのはおかしくはないという確認はしておりますので、人口学的要因で若返っているというのは確実に言えると思います。おっしゃるような要素も可能性としてはあろうかと思いますが、今、手元にそれを検証する材料はございません。申し訳ありません。

○林委員
 わかりました。ありがとうございます。

○山崎部会長
 牛丸委員、お願いします。

○牛丸委員
 以前、説明をいただいたかもしれませんが、改めてお聞きします。1ページと2ページで概算値と精算値、先ほど概算と精算の繰り返しだというお話がありまして、それで2ページが平成21年度の確定値ということで(注)に書いてありますように、この金額は、平成21年度に係る概算値と平成19年度に係る精算額を合計したものである。そういうことで、改めて概算値と精算値の違いということ。それから、先ほど厚生年金の説明の1ページの表の中に基礎年金拠出金という数字がありまして、それはこれらとどう関係しているのか。その辺りの説明をお願いいたします。

○安部数理課長
 2ページ目が、御指摘ありました(注)でございますが、1ページの収支表に出てくる数字は概算と精算で、2ページ目の方は確定値になるわけですが、具体的にどのようになるかと申しますと、例えば平成21年度のこちらの収支表に出てくる数字は、平成21年度分として多分これぐらいになるだろうということで予算のときに推計する概算の数字が一つあります。これはあくまで見込みの数字です。
 もう一つは、2年前の平成19年度に、やはり同じようにして概算で拠出金をまず計算して集めたわけですけれども、2年経ちますと、平成19年度の確定値は出てまいりますので、その概算と確定値の差が出てまいります。その差を精算分として、今度はやはり平成21年度に精算するという操作を行います。
 この平成21年度の、例えば1ページ目に出てきている数字というのは、その2つを合計した数字になります。そのために、本当に平成21年度だけの状況を反映しているかというと、実はそうではなくて、平成19年度の見込みと実績の違いも全部一緒になって出てくる数字なものですから、そういう意味で、この伸び率もお示ししていますが、これを見るときに平成21年度の要素だけでないものが混ざってきてしまうので、少し見づらい表になっております。
 そういったこともあって、2ページ目にお示ししておりますのはそういうことではなくて、本当に平成21年度の実態に基づいた確定値をここで2ページ目にお示ししておりますので、いろいろと実際の構造を見るときにはこちらでご覧いただく方がいいだろうと考えておりますが、実際のお金のやりとりは1ページに基づいて行われております。

○牛丸委員
 そうしますと、先ほどの厚生年金の1ページの方は混ざっているのですね。平成21年度と2年前との差額といいますか、それを混ぜた平成21年度に出ていくお金と。

○安部数理課長
 実際のお金の動きが厚生年金の収支表にも出ているということです。

○牛丸委員
 わかりました。ありがとうございます。

○山崎部会長
 宮武部会長代理、お願いします。

○宮武部会長代理
 1ページで、拠出金単価と保険料相当額というものが一番下の欄にございまして、平成21年度は保険料相当額が1万4,606円で、非常に低くなったのは当然、国庫負担が2分の1充てられたわけですが、そうすると、この年の本来の保険料を実際に取ったのは1万4,640円ですか。

○安部数理課長
 1万4,660円です。

○宮武部会長代理
 そうすると、1万4,660円でありますから、わずかですが、財政的にはプラスαが出たわけですね。独自給付がどこまであるかは知りませんけれども、そういう意味ですね。

○安部数理課長
 拠出金だけを見れば、出された数字としては若干、独自給付もありますから。

○宮武部会長代理
 これはあくまでも、納付率が60%ということでの設定の保険料相当額と考えていいですか。

○安部数理課長
 これはあくまでも実績に基づく数字です。

○宮武部会長代理
 そうすると、仮に80%という目標を達成できれば、ここはどれぐらいの金額になるかという計算はされましたか。

○安部数理課長
 他の条件が少しずれているかもしれませんけれども、財政検証時の見通しでは、ここは1万3,659円という見込みにはなっております。

○宮武部会長代理
 わかりました。ありがとうございます。

○山崎部会長
 佐々木委員、お願いします。

○佐々木委員
 3ページ目の保険料のところをお教えいただきたいのですが、これは平成17年度から一貫して保険料額は下がっているわけですね。それで、平成17年度と平成21年度対比では13%ぐらい毎年下がっているということで、単価が上がっているのに下がっているという非常に大きな問題だと思うのですが、この平成17年度の納付率というのはどれぐらいだったのかという部分。
 それから、平成19年度と平成20年度を対比しますと、非常に下がり幅が大きい。これは何かあったのかどうか。その辺りがわかれば、平成19年度と平成20年度の対比では、これは計算すると-6%ぐらいなのですが、何かファクターとしてあったのか。財政上はどうかという問題はあるのですけれども、構造上、制度上、非常に大きな問題をはらんでいるのではないのかと思うのですが、その辺りの2つの数字をお教えいただければと思います。

○安部数理課長
 まず平成17年度の納付率ですが、いわゆる納付率と言っておりましたのは現年度分の納付率ですが、これが平成17年度は67.1%でした。

○佐々木委員
 これが60.0%になったということですね。

○安部数理課長
 はい。平成21年度は60.0%になっております。

○佐々木委員
 だから、ずっと1.何ポイントずつ下がってきたということですね。

○安部数理課長
 それと、平成20年度に大きく減少しておりますのは、基本的には納付率の低下や被保険者数の減少、そして免除者数の増加があるのと、もう一つは、保険料で計上しておりますのは、現年度分の保険料に加えて過年度分、2年間分までは遡って払いますので、それが実際に過年度分に徴収したものも全部含めているのですが、うろ覚えではありますが、以前平成20年度の数字を見たときは、平成20年度の減少幅がやや大きかったように記憶しております。
 今、手元に資料がないので申し訳ないのですが、これは恐らく、構造的な要因というよりはたまたまだろうと思うのですが、そういった要素が少し入ってきて、平成20年度は少し減少幅が大きかったように記憶しております。

○佐々木委員
 そこはいずれにしろ、減少幅が7ポイントですから、毎年2ポイントずつぐらい低下してきているということですね。

○安部数理課長
 はい。

○佐々木委員
 わかりました。

○山崎部会長
 田中委員、お願いします。

○田中委員
 9ページですが、第3号被保険者数の推移について少しお伺いしたいんですけれども、まず被保険者数で、計で2.2%下がっておりまして、内訳を見ると男性が6.3%上昇で、女性が-2.3%になっております。
 まず、女性で、これは傾向的に平成18年から毎年、女性の第3号被保険者数が減っていますが、これはそもそも被保険者数の減少が背景にあるということが1つなのですが、他に離婚の問題等も考えられるのですが、毎年ずっと継続的に減っているという、その背景を教えていただきたいということです。
 それに関連して、男性が増えているというのは恐らくリストラとかそういったことで、女性を主たる世帯主ということで、男性が3号被保険者になるというような傾向がずっと続いているのかどうかです。しかも、その伸びが結構大きくなっているので、その背景についても教えていただきたいということです。

○安部数理課長
 まず、女性の方ですけれども、今、おっしゃったような離婚といった人口学的要因も恐らくある程度の影響はあるのかもしれません。それと、考えられるとしたら、やはり女性が実際に2号被保険者として働かれる方が増えてきているというようなことも影響しているのではないかと思っております。
 男性につきましては、まだ非常に数が少ない中での傾向なので伸び率が少し高目に出ていますけれども、傾向として増加しているというのは、今おっしゃられた男性の方が家にいてというようなケースが少しずつ増えてきているという可能性は考えられるかと思います。ただ、今、何か裏付けるデータが手元にあるわけではありませんが、可能性としてはあり得ると思います。

○山崎部会長
 駒村委員、お願いします。

○駒村委員
 7ページの受給額の動向ですが、先ほども話がありましたように、これは平成19年でしたか、減額率の見直しがされたので、減額受給者が増えた結果、それ以降の平均年金額全体の足を引っ張っているというお話だったと思います。それはそれでかなりインパクトがあるのはわかりますが、この減額された方を除いても落ちているようにも見えて、男性は確かに加入年数が短くなっているところなのですが、女性は長くなっても下がっている部分で、これの理由は何なのか。
 それから、財政検証上、減額受給者の見込みというのはどのように考えられているのか。減額率がニュートラルに設定されていれば、それは関係ないというふうに見ているのか。その2点を教えてもらえますか。

○安部数理課長
 1つ目でございますけれども、おっしゃるように減額支給された人の数字は大きく落ちておりますが、そうでない方も少し減ったりしているというところはございます。
 正直なところ、必ずしもどういう要因かはっきりしたことは分かりませんけれども、1つ考えられる可能性は、平成19年に始まった基礎年金を減額してもらうことが出来るようになったときに、減額を選択される人の属性が少し変わった可能性はあるかなと。それから、もともと比較的金額の多い方だと、多少減額されてもそれなりの金額になるから早くもらうというようなことで、他の方々というのは少し年金額が低くなるというような可能性ももしかしたらあり得るかなとは思っております。申し訳ありません、それを裏付けるデータはないのですが、可能性としてはあり得るかとは考えております。
 それから、財政検証上の設定は、この足元値、直近の実績値を固定でやっております。

○山崎部会長
 それでは、お願いします。

○宮武部会長代理
 9ページでございますけれども、下に免除等の状況があって、法定免除者以下が書いてございますが、法定免除の方は生活保護の被保護者が増えてくるのと、この法定免除はどのぐらいパラレルに関係があるかなどをお調べになったことはありますでしょうか。

○安部数理課長
 これは生活保護の受給者の方も最近の傾向を見ますと増加をしておりまして、そういう意味で法定免除の増加が、完全に100%とは申しませんけれども、かなり大きな影響を与えているということは言えるかと思います。

○宮武部会長代理
 この時点で言いますと、170~180万ぐらいの被保護者になっていた時代だと思います。勿論、二十歳以降、それから60歳以降を除きますけれども、そうすると、例えば被保護者の年齢から見て、勿論、当たり前ですけれども、ほぼ100%と見ていいんですか。

○安部数理課長
 割合としてどうかはわかりませんが、かなり高い割合を占めているだろうということは言えるかと思います。

○宮武部会長代理
 あとは感想ですけれども、4分の3とか4分の1はなかなか理解してもらえないですね。多段階保険料というような形で打ち出したんですが、やはりなかなか理解してもらえないと思っております。
 ありがとうございました。

○山崎部会長
 他にありますでしょうか。
 それでは、私の方から1つ、7ページなのでございますけれども、男性の新規裁定の老齢年金平均加入期間が413月とあります。34年5か月ということですが、これは基礎年金の算定基礎となった期間でしょうか。つまり、保険料納付済み及び免除期間の総計でしょうか。
 逆に言うと、480月に対して5~6年です。その期間がどういう期間なのかということでもあります。

○安部数理課長
 未納期間がここに入っていないのは確かにそうです。

○山崎部会長
 未納期間は入らないけれども、2分の1免除期間は2分の1の期間としてカウントされているのではないかと思うのです。

○安部数理課長
 そこにつきましては、2分の1免除でも加入期間としては一月です。

○山崎部会長
 そうですか。それでは、480か月に不足する部分は純粋な宙に浮いている部分ですね。つまり、二十歳になって被保険者資格を取得しますが、この世代の人は二十歳で職権で手帳が交付されていなかった世代なのですね。

○安部数理課長
 確かに、二十歳になって職権で適用になったのは比較的最近、そんな何十年も前ではなかったと思います。それで今、受給されている人というのはそうではないという意味で、未加入だった状況というのも想定はされます。

○山崎部会長
 あるいは退職して加入届を出さなかったとか、そうすると5~6年というのは、この世代はあるのかなというふうには思うのです。

○安部数理課長
 まず、今のこの実績統計のつくり方としては、この加入期間に入っていないものとしては未納と、カラ期間と、もう一つ、旧厚生年金の加入期間が入っていない期間としてあります。

○山崎部会長
 旧法のというと、昭和61年4月前の厚生年金の期間が入っていない。とすると、この期間、この34年5か月というのはすごく長い、いい数字ですね。ですが、新法の基礎年金の期間には入るのでしょう。

○安部数理課長
 実はここが新規裁定統計の一つの限界なのですが、厚生年金にかなり長く入っておられる方というのは、今は少し段階的に支給開始年齢を引き上げていますけれども、65歳以前に定額部分が支給開始になって、65歳段階で定額部分がなくなって老齢基礎年金になるわけですけれども、そういう人は老齢基礎年金の新規裁定という扱いになっていないのです。ですから、ここの新規裁定統計にはそのデータが入ってこないという制約があります。ですから事実上、ここで老齢年金の新規裁定というものは最初から老齢基礎年金を受給する方だけのデータになっております。

○山崎部会長
 そうすると、これは人数があると読みやすいですね。どういう方なのかが少し気になるところです。

○安部数理課長
 かなり人数としては少ない集団になっています。

○山崎部会長
 純粋に自営業者に近い方ですね。

○安部数理課長
 純粋自営業者とか、そういった人たちです。

○山崎部会長
 これは第1号のグループを、あるいは基礎年金の実態を代表しないですね。

○安部数理課長
 そういう意味で件数なり人数なりを表示した方がよろしいですね。確かにおっしゃるとおりです。

○山崎部会長
 いいところだけお見せいただいても基礎年金の実態がよくわからないということになりますので、これから少し気をつけて下さい。よろしくお願いします。
 他にございますか。
 それでは、ないようでございますので、以上で国民年金の財政状況についての報告の聴取を終了します。報告者の方々にはお忙しい中をどうもありがとうございました。
 それでは、本日予定しました厚生年金保険及び国民年金の報告の聴取を終了します。
 今後の予定について、事務局から説明をお願いいたします。

○五十里年金数理官
 次回は、4月19日13時からホテルフロラシオン青山で、国共済、地共済、私学共済から報告を受けることになっておりますので、よろしくお願いいたします。


(了)
<照会先>

厚生労働省年金局総務課首席年金数理官室
(代)03-5253-1111(内線3382)

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