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2011年4月19日 第1回社会保障審議会生活保護基準部会議事録

社会・援護局

○日時

平成23年 4月19日(火)15:00~17:00


○場所

厚生労働省専用第19会議室


○出席者

駒村 康平 (部会長)
岩田 正美 (部会長代理)
阿部 彩 (委員)
庄司 洋子 (委員)
栃本 一三郎 (委員)
林  徹 (委員)
道中 隆 (委員)
山田 篤裕 (委員)

○議題

・部会長選出及び部会長代理指名について
・生活保護制度の概要と過去の検証について
・その他

○議事

○三石保護課長 それでは、全員おそろいになりましたので、ただいまから第1回社会保障審議会生活保護基準部会を開催させていただきたいと思います。
 まず、委員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。部会長を選出していただくまでの間、社会・援護局保護課長の三石と申しますけれども、私の方で議事の進行を務めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 本日は、この後、岡本厚生労働大臣政務官、また、清水社会・援護局長も出席の予定でございますけれども、現在、国会に参っており、途中からこちらに参る予定となっております。御了承いただければと思います。
 それでは、まず、委員の方々の御紹介をさせていただきます。50音順に御紹介いたします。お手元の資料1の委員名簿の順で御紹介させていただきたいと思います。
 まず、国立社会保障・人口問題研究所社会保障応用分析研究部長、阿部彩様。
 日本女子大学人間社会学部教授、岩田正美様。
 慶應義塾大学経済学部教授、駒村康平様。
 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授、庄司洋子様。
 上智大学総合人間科学部教授、栃本一三郎様。
 長崎大学経済学部教授、林徹様。
 関西国際大学教育学部教授、道中隆様。
 慶應義塾大学経済学部准教授、山田篤裕様。
 なお、事務方の出席者につきましては、お手元の座席図のとおりとなっておりますので、これをもって紹介に代えさせていただきたいと思います。
 続きまして、お手元の資料の御確認をいただきたいと思います。資料1は、ただいま御紹介いたしました委員の名簿でございます。
 資料2が「社会保障審議会関係法令・規則」。
 資料3が「生活保護基準部会の設置について」。
 資料4が「生活保護制度の概要等について」ということでございますが、何か漏れ等ございますでしょうか。よろしゅうございますか。
 それから、委員の皆様方におかれましては、辞令をお手元の封筒に入れさせていただいておりますので、御確認のほどよろしくお願い申し上げます。
 それでは、これから議事に移らせていただきたいと思いますが、初めに、本部会の部会長の選出についてでございます。先ほどの資料2「社会保障審議会関係法令・規則」をごらんいただきたいと思いますけれども、この中に関係部分を抜粋しておりますが、3ページにございます社会保障審議会令の第6条第3項で、部会に部会長を置き、当該部会に属する委員の互選により選任するという規定がございます。これによりまして、この生活保護基準部会におきましても、社会保障審議会の委員が駒村委員及び庄司委員のお二方いらっしゃいます。部会長は、このお二方の委員の互選により選任することになりますけれども、あらかじめお二方に御相談いただき、駒村委員に部会長をお願いすることとなりました。これにより、駒村委員が部会長に選任されたこととさせていただきたいと思います。
 それでは、これからの議事運営につきましては、駒村部会長にお願いいたします。それでは、恐縮でございますが、部会長席に移動をお願いいたします。
(駒村委員、部会長席へ)
○駒村部会長 規約によって部会長をお引き受けすることになった駒村でございます。よろしくお願いいたします。
 最初に、簡単にあいさつさせていただきたいと思います。生活保護の被保護者数は200万人に近いという状態になっていると聞き及んでおります。高齢化や長期にわたる経済の不振あるいは雇用変化に伴うセーフティネットの揺るぎの中で、生活保護制度はますます重要になっていると思います。現行の生活保護の基準が、国民生活に対してどの程度なのかということを統計的に検証することは極めて重要な仕事と存じます。委員の皆様方にもよろしくお願い申し上げたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、まず、部会長代理を指名させていただきます。社会保障審議会令第6条第5項に、部会長に事故あるとき、当該部会に属する委員または臨時委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理すると規定されております。そこで、部会長代理に岩田先生をお願いしたいと考えておりますが、よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○駒村部会長 ありがとうございます。それでは、岩田先生、よろしくお願いいたします。部会長代理の席へお移りください。
(岩田委員、部会長代理席へ)
○駒村部会長 それでは、部会長代理に一言ごあいさつをお願いいたします。
○岩田部会長代理 部会長代理を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は、平成15~16年にかけて行われた生活保護制度の在り方に関する専門委員会のメンバーでしたけれども、そのときの提案の一つとして、基準を扱う常設の部会を社会保障審議会の中に是非開いてほしいということをみんなで議論したわけですが、それがようやくここに実現しまして大変嬉しく思っています。基準というのは単純な線ではなく、構造を持っているのでなかなか扱いにくいのですが、どういうふうに検証するかの方法も含めて、実質的な議論がここでできればいいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
○駒村部会長 カメラの方は特段いらっしゃらないでしょうか。これ以降の御撮影は御遠慮いただきたいと思います。
 それでは次に、本日は第1回の会合になりますので、本部会の設置の趣旨等につきまして、事務局からの御説明をお願いいたします。
○三石保護課長 それでは、お手元の資料3「生活保護基準部会の設置について」という1枚紙をごらんいただきたいと思います。この部会は、社会保障審議会のもとに置かれるということで、社会保障審議会の決定が必要なわけでございますけれども、本年2月10日の審議会総会におきまして、このペーパーをもってこの基準部会の設置が決められたものでございます。設置の趣旨につきましては、先ほど岩田先生からもお話がございましたように、生活保護基準について常設的な部会かつ専門的・客観的に検証ができる専門家の委員による部会が必要であるということで置かれたものでございます。
 当面のスケジュールでございますが、基本的には月1回程度の開催を予定しております。しかしながら、具体的なデータ、例えば、総務省がやっております5年に1回の全国消費実態調査がございますけれども、この直近の調査が平成21年のものでございますが、私どもで生データが使えるようになるのが本年秋、具体的には11月ごろということでございますので、このデータを使って、その後さまざまなクロスをかけるなどの特別集計を行う、あるいは他のデータを活用するということになりますと、それなりの期間がかかろうかと考えております。そういった特別集計のデータなどを使って、現行の生活扶助基準あるいはその他の基準と一般低所得者世帯の消費実態との均衡が適切に図られているか否かなどの検証をお願いしたいと考えております。
 具体的には、来年の秋から年末にかけて何らかの結論をおまとめいただければと考えておりますが、必要に応じてはその途中段階で、論点の整理なり、中間的な考え方の整理をしていただければと考えております。
 また、生活保護基準部会という名称でございますので、中心は生活扶助の基準をどうするかということになろうかとは思いますが、それ以外にも住宅扶助の基準あるいは勤労控除のような仕組み、こういったものも含めまして、多方面のアプローチにより生活保護の有するさまざまな基準について御議論・検証をいただければと考えております。
○駒村部会長 それでは、ただいまの事務局の説明について、質問等がありましたらお願いいたします。よろしゅうございますか。
 では、事務局より続きの説明をお願いいたします。
○三石保護課長 それでは、第1回目でございますので、既に生活保護についてお詳しい先生方ばかりでございますけれども、今日は一般の傍聴者の方もいらっしゃっておりますので、ポイントに絞って生活保護制度の概要あるいは今の基準の概要などにつきまして御説明をさせていただきたいと思います。20~30分かかるかと思いますけれども、恐縮でございますが、お許しいただきたいと思います。
 それでは、まず最初に、資料4の2ページでございますが、生活保護制度の概要でございます。制度の目的といたしましては、御案内のように憲法第25条に基づく最低生活の保障ということ、もう一つ大きな目的として自立の助長というものがございます。具体的な仕組みにつきましては、下に書かれているような事柄ということになっております。
 続きまして、3ページでございます。生活保護基準の内容がどうなっているかということでございますが、生活保護法第8条第2項に具体的な基準の考え方がございます。要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別、その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであって、且つ、これをこえないものでなければならないというような規定がございます。現在、表にございますように、生活扶助を含め8つの扶助がございます。また、扶助という形ではございませんけれども、勤労控除という形で実際に勤労から収入を得ている生活保護受給者については、一定額を手元に残すというような仕組みを設けております。詳細は後ほど述べさせていただきます。
 続いて、4ページでございますけれども、具体的な現在の最低生活保障水準はどの程度であるかということで、ここでは簡単に3つの事例を取り上げております。1つは、標準3人世帯、33歳、29歳の両親に4歳のお子さんがいらっしゃるというケース。2番目が、68歳の方のいわゆる高齢者単身世帯。そして、3番目が30歳の一人親にお子さんが4歳、2歳のお二人がいらっしゃるというケースでございます。いずれも表の左側が1級地-1、この場合ですと東京都区部のようなケースでございます。そこから各級地ごとに分かれて、右にまいりますと一番最後に3級地-2、これは例えば、熊本県八代市の事例を取り上げておりますけれども、それぞれ基準額がどうなるかということを示したものでございます。なお、住宅扶助については実費相当でございますが、ここでは上限額を計上しております。
 ちなみに、標準3人世帯の1級地-1、東京都区部にお住まいの3人世帯の方であれば24万4,970円、高齢単身であれば13万4,520円、母子世帯であれば26万3,700円という金額となっております。
 (4)は保護の実施機関の費用負担ということで、具体的には都道府県、市、福祉事務所を設置する町村が生活保護を実施しております。費用負担は、国が4分の3、地方自治体が4分の1でございます。
 続きまして、5ページでございます。先ほど標準3人世帯の1級地-1、24万4,970円というものを取り上げさせていただきましたけれども、これは生活保護基準額でございまして、この方が仮に生活保護から脱却されて、会社などに就職されて自立した場合どのような総収入額になるかということで、基準額と一般勤労世帯の総収入との関係を概念的に整理したものでございます。
 左側の生活保護受給世帯につきましては、先ほどの4ページの数字と同じように、生活扶助と住宅扶助を併せまして24万4,970円の月額となっております。これがそのまま一般勤労世帯の生活保護基準相当支出にあてられると考えた場合に、一般勤労世帯の方であればそれ以外にも所得税、地方住民税、あるいは被用者として雇われる場合であれば社会保険料として健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料がかかってきます。更には、医療にかかることがあれば、その自己負担、更には4歳のお子さんの保育が必要であれば、保育料がかかるということでございますので、こういったのも加味しますと、一番右側に総収入とございますけれども、生活保護基準額が概念的には総収入に該当するような形で一般勤労世帯については転換されるというものでございます。概念的に御理解をいただければと思います。
 続いて6ページでございます。6ページ以降は、最近の被保護世帯あるいは人員等の動向でございますけれども、御案内のように平成7年を底といたしまして、生活保護の人員、保護率、世帯数いずれも増えてきておりますけれども、特に世界金融危機、いわゆるリーマン・ショックのありました平成20年度以降の伸びが急激になっております。保護人員につきましては直近で平成23年1月の速報値がございますが、先ほど部会長もおっしゃいましたように199万8,900人ということで、ほぼ200万人というような、いわゆる終戦直後と同程度の水準となっておりますし、保護率につきましても15.7‰、1,000人中15.7人の方が生活保護受給者であるという形になっております。
 これを月別に見ますと、7ページでございます。ここでは平成20年1月から直近の平成23年1月まで月別に、被保護人員、世帯数、更にはその世帯を分類別に分けてごらんいただきたいと思います。分類は、いわゆる高齢者の世帯、傷病・障害者の世帯、母子世帯、それらいずれにも属さないその他の世帯という形で区分をしております。ごらんいただくとおわかりのように、特に近年は稼働年齢層と考えられるその他の世帯が急増しているということがおわかりいただけるかと思います。
 続きまして、8ページでございますが、特に構成割合の変化をごらんいただきます。その他の世帯が一番上でございますけれども、平成7年で全体60万世帯のうちのその他の世帯が4万、シェアにして6.9%でございますが、平成21年度では17万、シェアにして13.5%、約2倍になっております。一方、全体としては高齢者の世帯の割合が一番大きいということで、平成21年度も全体の44.3%が高齢者の世帯ということになっております。
 続いて9ページでございます。その他の世帯をもう少し細かくごらんいただきたいと思いますが、年齢階級別に見たものでございます。左右同じ円グラフでございますが、左側が世帯主について年齢階級別にその他世帯を分布させたもの。右側がその他の世帯に属する世帯員全員について年齢階級別の分布を見たものということでございます。これをごらんいただきますと、実はその他の世帯には世帯主あるいは世帯員の中には、いわゆる稼働年齢層と言われない65歳以上の方も含まれているわけでございますが、これは左下の注にございますように、65歳以上の方であっても配偶者が65歳未満の御夫婦の場合など、これは高齢者世帯には入らないということになります。高齢者世帯はあくまでも男女両方65歳以上であるということ等でございますので、一方が65歳未満、他法が65歳以上といった世帯がその他の世帯として分類されている関係から、65歳を超えるような方々もその他の世帯にカウントされているということでございます。
 しかしながら、グラフをごらんいただきますと、世帯主あるいは世帯員で見ても、いわゆる20~59歳までの方については、それぞれ全体の6割あるいは半数以上を占めるというような形で、多くのシェアを占めているということがおわかりかと思います。
 続いて、10ページでございます。こちらは世帯人員別の世帯数でございます。一番下の一番シェアが大きいところが単身世帯の割合でございまして、昭和45年からずっと一番大きな割合を占めておりますが、直近平成21年度では75.6%ということで、直近では約4分の3が単身世帯、いわゆるお一人の世帯ということになります。ちなみに、一般世帯の世帯人員の構成を見てみますと、単身世帯は24.9%でございますので、それに比べても生活保護受給者の中で単身世帯の割合が大変高いということがおわかりかと思います。
 続いて、11ページでございますが、先ほど高齢者世帯の割合が大変高いということを申し上げましたけれども、年齢構成で見ましても、最も多数を占める60歳代あるいは70歳以上の高齢者の方々の伸びが年を追いかけてみても顕著になっているということがおわかりかと思います。
 続いて、12ページでございますけれども、生活保護費負担金(事業費ベース)とございますが、先ほど生活保護費につきましては国が4分の3、地方が4分の1と申し上げましたが、それを合わせた事業費ベースで見た実績額でございます。直近では平成21年度で3兆72億円ということになっております。その内訳でございますが、一番多くを占めるのが48.3%、ほぼ半分が医療扶助でございまして、次が33.8%の生活扶助、次が住宅扶助14.7%という形となっております。なお、平成22年度、平成23年度もまだ実績値は出ておりませんが、予算上の数字を計上しておりますが、いずれも更に伸びているということでございます。
 ここまでは制度の概要でございますけれども、続いて基準の概要につきましても御説明させていただきたいと思います。
 14ページでございます。先ほど8種類の扶助があるということを申し上げましたが、もう少し細かく見てみますと、まず、中心となります生活扶助につきましては、在宅の方につきましては第1類費と第2類費に分かれておりまして、第1類費がいわゆる個人的経費、食費や被服費などに着目した経費が算定されまして、第2類費が世帯共通の経費ということで、光熱費、家具什器費などが算定されます。そこに更に、地区別に冬季加算、いわゆる光熱費など、冬場、北の方の国などでは多くかかるということで、地区別に加算が付けられるという形になっております。
 また、病院に入院される方につきましては、第1類費、第2類費の代わりに入院患者日用品費が支給されますし、介護施設に入所される方については、基本生活費が支給されることになります。
 また、特別の需要に応じて各種加算がされるということで、現在、妊産婦加算、障害者加算あるいは介護施設入所者加算、在宅患者加算、放射線障害者加算、これは例えば、原爆被爆者の方々などが対象になりますけれども、それから、児童養育加算、これはかつてであれば児童手当、今であれば子ども手当見合いの加算でございます。それから、介護保険料加算、介護保険については被保護者の方も保険料を払う形になるものですから、その分の加算です。それから、母子加算があります。名前は母子加算でございますが、いわゆる一人親の方に支給される加算でございます。このような加算が更に追加されるということでございます。
 また、臨時的なものといたしましては、期末一時扶助ということで、年末、年越しのための費用という形で12月のみに支給されるものがあります。それから、一時扶助という形で、例えば生活保護が開始される前に、家具什器がないということになりますので、そういった家具什器を購入するための一時扶助などがございます。
 それから、住宅扶助といたしましては、家賃・地代あるいは家屋補修費という形で実費が支給されます。
 更に、教育扶助ということで、一般基準の定額に更に学校給食費、通学交通費、教材費あるいは最近できた制度でございますけれども、参考図書やクラブ活動費という形で学習支援費といったものが支給されます。
 それから、介護保険あるいは医療保険に準じた現物給付としての介護扶助、医療扶助がございますし、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助、それから、先ほど申し上げました勤労控除がございます。
 生業扶助につきましては、例えば、自立支援プログラムに参加するための必要経費ですとか、一定の条件下における自動車免許の取得費ですとか、あるいは高校生であれば高校生の教育に使われる費用といったようなものが生業扶助という形で支給されるということでございます。
 具体的な算定方式でございますけれども、15ページをお開きいただきたいと思います。今申し上げましたように、まずは、生活扶助については第1類費と第2類費に分かれておりますので、先ほどの4ページで母子世帯の方のモデル基準額をお示ししておりましたが、その4ページの母子世帯の方を例に取り上げますと、30歳の一人親に4歳、2歳の子どもということでございますので、それぞれまずマル1の生活扶助基準のところで20~40歳の、例えば1級地-1に該当される方であれば4万270円、これが親の分でございますけれども、お子さんはそれぞれ0~2歳、3~5歳に該当されるということで2万900円、2万6,350円といったものを積み上げてまいります。
 更には、世帯共通ということで、先ほどの母子世帯の方であれば3人世帯ですから1級地-1であれば5万3,290円が加算されますし、注にございますけれども、そこに冬季加算が別途計上されるということになります。
 更にマル3に飛びまして、先ほどの母子世帯の方であれば母子加算が加えられますので、ここで言いますと児童2人の場合の2万5,100円が加算されますし、更には、中学修了前の子どもを養育する場合、児童養育加算ですけれども、1万3,000円に、掛ける2という形で加算されます。ここまでが生活扶助でございますけれども、それに住宅扶助という形で東京都の1級地にお住まいであれば6万9,800円以内で家賃相当分が加算されるということになります。
 もし、その御家庭に学校に通われるお子さんがいらっしゃれば、マル5にありますような教育扶助あるいは高等学校等就学費などが加算されるというような形で、最終的に最低生活費というものを算定するという仕組みとなっております。
 続いて、16ページでございます。生活保護基準における級地制度でございますけれども、先ほどから1級地-1でありますとか級地を申し上げておりましたけれども、もともと級地制度は地域における生活の様式、あるいは地域によって物価差がある、こういった生活水準の差を保護基準に反映させるということで、基本的には1級地、2級地、3級地と分けておりますが、昭和62年度からそれぞれの級地ごとにまた2区分分けまして、全部で6区分で指定をしております。そして、市町村合併があった場合には、級地の高い自治体に合わせるという形をとっております。現行では1級地-1、例えば、東京都23区、横浜市、大阪市などが該当しますけれども、ここの世帯数が49万世帯ということで、全体の約4割を占めます。また、1級地-2であれば15.7%、2級地-1であれば19.1%、このような構成割合となっております。
 続いて、17ページでございますが、生活扶助基準の改定方式の変遷でございます。ここにおいでの先生方は大変お詳しいと思いまして、ここでは非常に簡単にしか記述しておりませんけれども、いわゆる戦後すぐのときには標準生計費方式から始まりまして、昭和20~30年代にかけましては、具体的な最低生活費を個々の品目を積み上げるというマーケットバスケット方式を行っていましたし、また、昭和30年代後半ではエンゲル方式ということで、エンゲル係数の理論値を求めて、これを逆算する形で総生活費を算出するという方式でした。更には、昭和40~50年代にかけましては、一般国民の消費水準に着目しますけれども、更にそれにプラスアルファして、一般国民の消費水準の伸び率以上に基準を引き上げる方式でした。それによって、一般の消費水準と生活保護の水準の格差の縮小を図る、いわゆる格差縮小方式を行っておりました。これが昭和58年まで行われていたわけでございますけれども、昭和58年の中央社会福祉審議会の意見具申の中では、ほぼ両者のバランスがとれているということ、その他さまざまなアプローチを行った結果、昭和59年からは水準均衡方式ということで、当時の生活扶助基準が一般国民の消費実態との均衡上ほぼバランスがとれている、妥当であるという評価を踏まえまして、当該年度に想定される一般国民の消費動向を踏まえると同時に、前年度までの一般国民の消費実態との調整を図る方式に切り替わり現在に至っているということでございます。この点につきましては、また後ほど御紹介したいと思います。
 続いて、18ページでございますけれども、冒頭、5年に一遍、全国消費実態調査に基づいて定期的に検証する必要があると申し上げましたが、前回の検証が平成19年に生活扶助基準に関する検討会で行われております。検証の中身についてはこの後申し上げたいと思いますが、その結論でございますけれども、このときには平成16年の全国消費実態調査のデータを使って、平成19年に検証を行っております。その結果、マル1マル2とございますが、夫婦子1人世帯、いわゆる3人世帯のケース、それから、60歳以上の単身世帯のケースそれぞれについて、生活扶助の基準額と全国消費実態調査による生活扶助相当支出額を比べまして評価しております。結果としては、まず夫婦子1人世帯については、生活扶助基準額が第1・十分位の生活扶助相当支出額に比べてやや高い、単身世帯、60歳以上については同基準額が高めに出ているというような結果でございました。
 その結果、平成20年度以降、予算措置でどうしたかということでございますけれども、平成20年度の生活扶助基準につきましては、このころちょうど原油価格が高騰している、あるいは世界的な金融危機などもございまして、国民生活の安全・安心が優先されるというような状況等々を加味いたしまして、結果的には基準は据え置きをし、現在に至るまでは表にございますように、平成17年度以降は生活扶助基準についてはずっと改定は行われていないというような状況でございます。
 続いて19ページでございますけれども、この部会では生活保護の基準について専門家のお立場で御議論いただくわけでございますが、生活保護をめぐっては実際に現場で実施されています地方自治体からも、この制度の抜本的な見直しを求めるさまざまな提案がございます。その一つとしては、昨年10月に指定都市市長会、いわゆる政令市の市長会がまとめた提案が私どもに出されておりますけれども、その中では、就労支援や生活保護の適正化とかいろいろなことが盛り込まれておりますが、この生活保護基準につきましても提言がございまして、そこは赤字にしております。1つが、就労へのインセンティブの付与になるような基準というものを考えるべきではないか、特に、勤労控除などを取り上げまして、例えば、生活保護受給中の就労収入については一定期間プールしておいて、保護廃止後にそれを御本人に還付するというような仕組みが一つ考えられるのではないかというような御提言をいただいております。
 また、その他のところで年金や最低賃金と生活保護費とのバランスを考えるべきではないかというような御提言もございます。
 具体的に、年金と生活保護費については次のページで御説明したいと思いますが、今、政務官が参りましたので、恐縮でございますけれども、ごあいさつをよろしゅうございますか。
○岡本政務官 どうも本日は、生活保護基準部会の開催に当たりまして、委員各位の先生方にはお忙しいところお集まりをいただきましたこと、また、これからさまざまな議論に御参加いただきますことを冒頭御礼を申し上げたいと思います。
 参議院の厚生労働委員会がありました関係で遅くなりましたけれども、今日は私ども厚生労働省としても大変大きな課題だと考えております生活保護の基準部会の開催をすることとなりました。皆様御存じのとおり、生活保護というのは国民の最低限度の生活を保障し、自立を助長するということを目指す最後のセーフティネットとして存在してまいりました。こういった制度である一方で、いわゆる生活保護の基準をどう設定するのかといったことについては、これまでは全国消費実態調査等を基に5年に一度の頻度で定期的に検証は行ってまいりましたものの、やはり昨今、生活保護受給者数が200万人を超える勢いを見せる中、戦後直後と同程度の受給者数になっているという現状、また、いわゆる生活保護の元手となります税金を納めていただいている納税者の皆様方から見ても理解いただける制度にしていかなければならないという観点、こういった点を踏まえますと、幅広い国民の皆様の御理解を求めていかなければならないと考えています。今回そういった中で、この部会に当たりましては、是非これまでのデータの集計や評価手法についても御議論をいただきたいと思いますし、また、検証作業に十分な期間を要することなどを踏まえて、社会保障審議会のもとに恒常的な組織として今回設置した趣旨も踏まえていただいて、十分な御議論をいただき、そして、国民の皆様方に幅広く御理解をいただける制度として、そしてまた、今受給をしておられる皆様方が自立するという観点から支援できるような制度として、この生活保護制度について新しい光を入れていただければと考えております。
 なかなか政務の関係、公務の関係がありまして、私も毎回出席するというわけにはまいらないと思いますが、大臣、副大臣も含め政務三役としても委員各位のこれからの御議論に大いに注目させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 ありがとうございました。
○駒村部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、課長、説明を続けてください。
○三石保護課長 それでは、先ほど指定都市市長会の提言の中で、年金、最低賃金と生活保護費との均衡を図るべきだという提言がございましたけれども、その年金について具体的な数字で御説明したいと思います。20ページでございます。基礎年金月額と生活扶助基準額を並べておりますが、基礎年金月額につきましては、単身で満額の場合でございますが、月額6万5,741円、夫婦で13万1,482円ということでございます。
 一方、生活扶助基準額でございますけれども、左が3級地-2、右が1級地-1ということでございますが、65歳の方のケースであれば6万2,640~8万820円ということでございますので、級地によっては生活扶助基準額が基礎年金額よりも高くなるというような形になります。
 一方、夫婦で見ますと、一番下の欄の夫婦合計額でございますが、同じように3級地-2から1級地-1を見ますと、9万4,500~12万1,940円ということで、基礎年金額の方が生活扶助基準額よりも高く出るという形になっています。ただ、これに更に住宅扶助を加味しますと、そこに東京都の例がございますが、住宅扶助プラス生活扶助基準の合計額の方が基礎年金額よりも高く出るということになりますので、これは一つは年金の最低所得保障機能をどう考えるかという問題であると同時に、生活扶助基準を考える際の一つの留意する点であろうかと思われます。
 続いて、22ページ以降でございますが、先ほども申し上げました前回の検証結果のポイントでございます。前回は、慶應大学の樋口美雄先生に座長になっていただきまして、本日おいでの駒村先生にもメンバーに入っていただいて、平成19年11月に検証をさせていただいたものでございます。
 背景、位置付けにつきましては省略させていただきますが、繰り返しになりますけれども、このときには平成16年の全国消費実態調査結果などを用いて分析評価をしたものでございます。
 それでは、23ページをおめくりいただきたいと思います。まず、水準につきましては、先ほどもごらんいただきましたように、いわゆる標準3人世帯のマル1夫婦子1人世帯で、そのうち有業者があるというケースで、生活扶助基準額と第1・十分位、収入で並べて10区分した場合の下から10%のところです。第1・十分位の方の生活扶助相当支出額をとりまして比較したものでございます。検証結果といたしましては、左側の3番目の「○」にございますように、夫婦子1人世帯では生活扶助基準額の方がやや高め、単身世帯では高めというような結果になっています。このとき同時に、生活扶助基準額はこれまで第1・十分位の消費水準と比較することが適当とされてきたが、今回平成19年の検証ですけれども、これを変更する特段の理由はないという整理がされていました。
 続いて、24ページでございます。今度は生活扶助基準の体系についてです。先ほど申し上げましたように、生活扶助基準は個人的経費の第1類費と、世帯共通経費の第2類費を合算して算出しているものでございます。ただ、実際には世帯人員に応じてスケールメリット、いわゆる世帯人員が増えると1人当たりの支出額が逓減するのではないかということが指摘されているわけでございますが、そういった点について検証したわけでございます。
 右側の図でございますけれども、横軸に世帯人員をとりまして、縦軸には世帯人員が1人の世帯の生活扶助基準額及び生活扶助相当支出をそれぞれ1としてどのくらいに当たるかを比率で示したものでございます。これをごらんいただきますと、赤い線が生活扶助基準額、青い線が生活扶助相当支出額ですが、ちょうど世帯人員4人以上で赤い線が青い線を上回っていることから、左の3番目の「○」ですが、第1類費のスケールメリットを反映していない現在の世帯人員別の生活扶助基準額は、4人以上の多人数世帯に有利になっているということになります。提言といたしましては、生活保護受給者の4分の3が単身世帯であることから、単身世帯に着目した基準体系とすることが考えられるというような整理になっております。
 続いて、25ページでございます。地域差です。これもまたグラフをごらんいただきたいと思いますけれども、横軸がそれぞれ級地でございまして、縦軸が全国平均を100とした場合に、それぞれ青い線の生活扶助相当支出額、赤い線の生活扶助基準額がどのように分布しているかということです。ちなみに、生活扶助相当支出額については、回帰分析を行いまして回帰直線で示しております。これをごらんいただきますと、生活扶助基準額の傾きに比べまして、生活扶助相当支出額の回帰直線の傾きがなだらかになっているということで、左側の3つ目の「○」、検証結果でございますけれども、現行の級地別の生活扶助基準額の地域差に比較して、地域間の生活扶助相当支出額の差は縮小しているということになります。現行の級地制度ができて、もう二十数年経つわけでございますが、二十数年前に比べると、実際の地域間の生活扶助相当支出額の差というのは縮小しているのではなかろうかというような結論でございました。
 続いて、26ページでございます。ここでは勤労控除を取り上げております。勤労控除は先ほど申し上げましたように、本来であればさまざまな収入は一旦、生活保護費を算定する際には全額収入認定をして、なお最低基準に足りない額を保護費として支給するわけでございますが、勤労控除という形で一定額を生活保護受給者の方の手元に残すという仕組みをとっております。その趣旨でございますけれども、2つございまして、1つは、勤労に伴う必要経費を補てんすることです。当然、勤労する際には洋服代ですとか、外食費とかさまざまな必要経費が必要ということで、それを補てんするということです。もう一つの目的が、就労意欲の増進及び自立の助長を図るということです。全額収入認定いたしますと結局、幾ら働いても最終的に受給者の手元に残る金額が変わらず就労のインセンティブに結びつかないということで、この勤労控除を設けているということでございます。
 検証の結果では、就労に関連する経費、先ほど申し上げた洋服代や外食費といったものの実態を見ると、収入の大体1割程度であるということでございます。
 右側は、現行の勤労控除の概要を示しているものでございますけれども、横軸が就労収入額、縦軸が基礎控除額、いわゆる受給者の方の手元に残す額です。就労収入が8,000円までは就労収入全額を控除する、手元に残すということになりますが、8,000円を超えたところからややカーブが変わりまして、最終的に就労収入24万円の基礎控除額が3万3,190円、ここで頭打ちになります。結局、幾ら働いても最終的には手元には3万3,190円を上限に残すというような仕組みになっております。ただ、控除率自身は青い線で右側に伸びておりますけれども、最終的には就労関連経費10%を上回る控除率になっているということでございます。
 こういった検証をした結果、平成19年の検討会では勤労意欲に関する議論の整理として3点指摘されております。すなわち、収入増により保護費が減額されると勤労意欲を阻害するので、勤労収入の一定程度を手元に残すこと、特に保護からの脱却に資する仕組みを検討すべきこと、勤労意欲を高める仕組みについての実証的な検証を行うことというような提言がなされたところでございます。
 以上が、平成19年の検証結果のポイントでございます。また次回以降、本日御説明したものについて更に詳細な資料の御説明をさせていただきたいと思いますが、ポイントのみを述べさせていただいております。
 なお、資料といたしましては28ページ以降は、過去の重要な生活保護基準に関する意見具申あるいは先ほど岩田先生からも御紹介がございました平成15~16年に行われた専門委員会の中間とりまとめ及び最終報告書の基準に関する部分、更には、29ページにナショナルミニマム研究会中間報告でございます。これはちょうど昨年6月にナショナルミニマムとは何かという御議論をしていただいた際に、生活保護基準についての考え方も整理をしていただいております。一番下の「○」でございますが、「最低生活費の算定方法については、マーケットバスケット方式の改良や手法の複合化に関心が高まっており、生活扶助基準の検証・評価に当たっては、これまでの水準均衡方式を基本としつつ、ナショナルミニマムとして十分かという観点からも、マーケットバスケット方式を含めた新たな手法による多角的な検証が必要ではないかとの意見がある。ただし、マーケットバスケット方式には、恣意性が排除できない、算定に時間がかかる等の問題があることに留意する必要がある」という整理がなされております。
 また、これに関連いたしまして、岩田先生などが更にマーケットバスケット方式あるいはさまざまなアプローチについて研究を続けておられると伺っておりますので、また御機会があるときには御紹介をこの場でしていただければと考えております。
 説明は以上でございます。
○駒村部会長 ありがとうございます。
 それでは、事務局の説明について質問等があれば、お願いいたします。
 岩田先生、お願いします。
○岩田部会長代理 先ほど御紹介がありました28ページの平成15~16年の専門委員会の最初に、生活扶助基準の検証をする場合、一般の年間収入階級の第1・十分位の世帯の消費水準に着目することが適当と書いてあるんですが、こういうことにしたのは、元になった昭和58年の水準均衡になったときのやり方を踏襲しているんですね。このときは、検証方法についてのディスカッションが十分できませんで、そういうことにしたわけです。私はそのことについてはデータそれ自体も含めてですけれども、何となく引っかかりを感じています。しかも、更にそこから生活保護を取り巻く環境というのは非常に大きく変わっていますし、国民生活それ自体の変化も非常に早いわけですね。そうすると、こういうふうに今回もやっていいかどうかということが一つの論点になるかなと思うんですが、その前提として、私は昭和58年の意見具申について1枚程度のものしか見ておりませんが、もっと丁寧な、どうやって検証したかを書いたものというのはあるんでしょうか。つまり、割合あっさりしたものしか私は見ていないんですけれども、多分もっと複雑な手法でなさったんだと思うんですね。それを知りたいなと思っているので、もしも可能であれば一回この場に出していただけるとありがたいと思います。
○駒村部会長 当時の資料ですので、まだ審議会がオープンではなかった時代だと思いますけれども、どういう資料が残っているか可能な範囲で御用意いただければと思います。
 ほかにいかがでございましょうか。次回の部会に当たって、この際いろいろとこういう資料があった方がいいんじゃないかとか、あるいはこの部分についてはどういうことが具体的に考えられるのか、こういうことを少し今日残った時間で御意見いただければと思いますけれども、いかがでしょうか。
 栃本委員、お願いいたします。
○栃本委員 専門家の前で大変初歩的な質問で申し訳ないんですけれども、20ページに基礎年金月額と生活扶助基準額がありますが、基礎年金月額の算出というのはどういう算出でしたか。
○伊沢保護課長補佐 基礎年金の関係でございますけれども、年金額が0.4%引下げがございましたので、年額で申し上げますと78万8,900円という老齢基礎年金額を12で割ってございます。
○栃本委員 40年した場合の数字ということですね。それで生活扶助基準額というのは実際に出される額ですよね。
 それと、もう幾つか。これまた入門的なことで専門家の方々がいらっしゃるので、会議が終わってからお聞きすればいいんですけれども、最初の方の生活保護制度についての御説明部分で、7ページに世帯類型で高齢者とか母子、障害者、傷病者、その他の世帯については先ほど結構入念に御説明いただいたわけですが、精神の部分についてはどういうふうに紛れ込むかということと、これも極めて理解していないからですが。
 それから、12ページですが、もう一つの世帯類型別に生活保護費のいわゆる総額、冒頭の事務局の説明では、生活扶助を中心にしたということなんだけれども、実際上は生活扶助以外の医療扶助であるとか、そういうものが膨大なものになっているわけでして、お尋ねしたかったのは、既にそういうものはあるんでしょうけれども、高齢者世帯、母子世帯、障害者世帯、傷病者世帯、その他世帯ごとの12ページに相当するようなデータは、既に昔から検討されていたものなのかという質問です。
○駒村部会長 2つございまして、1つは、7ページの障害世帯のところで、身体、知的とあるんだけれども、精神はどういう扱いになっているのかということですね。
 もう一つは、12ページで、この構成比なり動向を世帯類型別に見せてもらいたいという御質問ですけれども、資料としてはいかがでしょうか。
○三石保護課長 先ほどの7ページの障害者世帯の説明には、「障害者加算を受けているか、身体障害、知的障害等の心身上の障害のため働けない者である障害者世帯」とございまして、精神障害の方もこれに当たる場合には入っております。
○栃本委員 では、精神疾患はあるんだけれども、精神障害者に類型されていない人はどうなるんですか。非常に初歩的な質問ですが。
○三石保護課長 精神障害については、あくまでも障害者加算を受けている者等ということになりますが、障害者加算の対象にどういう方が入るかということを一回整理させていただきます。
○栃本委員 今の答えで結構です。
○駒村部会長 属性が2つ重なるケースもあると思いますので、前にもお話を一回聞いたんですけれども、母子で障害というケースは、説明にも書いてありましたが、どちらの属性が優先して分類されているかというのは一度、見やすい一覧表をつくっていただいて、そういう定義・分類については細かい一覧表があれば皆さん混乱しないかと思いますので、よろしくお願いします。
○三石保護課長 それは次回、こちらで提示させていただきたいと思います。
 それから、もう一つの先ほどの世帯類型ごとに各扶助別の構成比が出るかどうかということですが、今あるデータではそれは出ないそうでございます。
○栃本委員 わかりました。
○駒村部会長 これは欲しい、やはり見ておいた方がいいのではないかと。
○栃本委員 私も少しだけ覚えているんですけれども、先ほど部会長から昭和58年のことと、岩田先生が入られた、28ページの平成15~16年の検討ということで、今回従前の見方を前提とするのかどうかについての御発言が部会長代理からありましたので、そういうことから言うと、実際にかかっている一般生活者の水準、それには医療費が勿論かかっているということで、それもつぶさに見てみたいというのがありまして、それで過去はどうだったのかなということをお聞きしただけですので。
○駒村部会長 少しゆっくりと議論するタイムスケジュールもありますので、ただ、さかのぼってやると、なかなか厄介な部分もあると思いますので、システムの中で組み合わせによって抽出ができれば、次回というのはまた難しいかもしれませんが、事務局と御相談させていただきたいと思います。そういう切り口も非常に重要だということは承りましたので。
 ほかにいかがでしょうか。道中委員、お願いします。
○道中委員 資料の26ページでございますが、勤労控除の関連で、現行制度の中で就労インセンティブを高めるということで非常に効果的な手法ということなのでございますが、実態論の話でまいりますと、実はフレームワークとして特別控除という枠がたしかあります。その特別控除と一般の基礎控除との関連性がどういう関連になるかということで、またそういった資料がございますれば、次回にでも提示をいただけたらと思うんですが、ここで例えば、保護の廃止後にそういった枠組みでストックするということで、より自立への意欲を喚起できるということがあります。ただ、制度内だけにとどめますと、今度は基礎控除プラス必要経費プラス特別控除、諸々加えますと、現行の制度の枠からはちょっと出にくいというような、つまり廃止ということで非常にハードルが高くなってしまう部分もありまして、その辺の位置付けを今後教えていただくということになりますが、そのためにそういった資料がございますれば、提示していただければと考えます。
○駒村部会長 今のところは、勤労控除の議論が一つのテーマになっているわけですけれども、そういう特別控除、勤労控除という方法以外に、制度の枠外からもインセンティブを高めるという考え方があるかということですね。事務局どうでしょうか。
○三石保護課長 先ほどお話のございました特別控除などについては、やや各論に入るものですから、本日は御紹介をいたしませんでしたけれども、本日のところは一番基礎となる、あるいは額的に大きい基礎控除について御説明させていただきましたが、これ以外にもいわゆるボーナスに相当する特別控除、あるいは新規就労した場合の新規就労控除とかさまざまな控除がございます。本日はあくまでも概要だけを御説明しましたので、この辺はまとめて、次回以降、各論について御説明する際に更に詳細な資料をお出しし、御審議に資したいと思います。
○駒村部会長 ほかにいかがでしょうか。
 岩田委員、お願いします。
○岩田部会長代理 今日拝見しただけでも生活保護の構造というのは非常に複雑なので、一体何をもって保護基準の検証と言うかということ自体が非常に難しいと思うんです。年金との比較とか最賃との比較というのがあると思いますけれども、もう一つは、課税最低限の考え方があると思います。その場合にどういうモデルで考えていくかということが、今回いわゆる標準3人世帯に母子3人と60代の高齢者単身というのが例として出ていますけれども、どういうモデルを立ててやるかによって非常に違ってきてしまう。そのときに、少しごちゃごちゃしますけれども、もう一つ後で結構ですが出していただきたいと思うのは、住宅扶助のような特別扶助、あるいは冬季加算などの問題ですけれども、地域別にあるところとないところ、例えば、住宅扶助の場合、特別扶助でないと1万3,000円になるわけですが、東京都の一番高いのが常に例示として出されてしまうわけですが、ないところもあるわけですよね。その辺りのあるところとないところがどのような分布になっているのか。
 そういうことが少しわかった上で、例えば、年金というのは基本的に住宅ストックが形成された上でフローに対して基礎年金という考えが導入されて、夫婦で10万円という形で展開したと私は記憶していますが、そうすると、住宅扶助をそこに乗せるというのはなかなか難しい議論になって、年金の場合はフローだけで議論しようとか、もうちょっと若い人の場合だとストックを入れて議論しようとか、さっきの勤労控除の場合は課税最低限を入れて、さっきモデルが出ていましたけれども、真ん中に低所得層に対する制度はどういうものがあればこんなことをやらなくても済むとか、そういう条件をつけないと検証というのはなかなかしにくいので、生活扶助を中心に置かざるを得ないし、プラス住宅扶助と出てくると思いますけれども、特に高齢者の扱いをその場合どうするかとか、少し枠をつくって、モデルによってどこに照準を置いて比較していくかということを工夫してやらざるを得ないのではないかと思います。
 それから、現実には基準表が出来てしまえば年齢と世帯人数で組み立てていくんですけれども、改定を考えるときはモデル3人を基準に考えていますから、このモデル自体がいいのかということが前回、その前と繰り返し指摘されていますので、そこの議論も早めに片付けておいた方がいいかなと思います。
○駒村部会長 今後の検証のアプローチ、住宅というストック形成については若年と老齢世代では少しアプローチが違うだろうと。私もこの住宅の問題については、かなり経済状況が変わっている中で、住宅の保有を前提にするような所得保障でよかったのかどうかというのは、持ち家を想定できる社会ではなくなっているかもしれませんので、その辺はストックあるいは住宅をどう考えるのか、その際に基礎年金等々の比較と、その辺を哲学的にも整理しておくのかということかと思います。ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 では、場つなぎというか、余り私が意見を言うのもあれだと思いますけれども、幾つか資料を、すぐには申し上げませんのでお願いできればと思います。
 9ページのその他の世帯についても、もう少し年齢別の構成比がどう動いてきているのか、あるいは世帯構成もどうなっているのか、あるいは受給期間などもどういう状況になってきているのか。その他の世帯が今、一番増加率が多いというところで、その他の世帯も少し細かいメッシュで見てみたいなと思います。
 それから、指定都市市長会の提案というのは、また次回辺りフルのものが御提示いただければいいと思います。この辺の資料もお願いできればと思います。
 あとは、やはり26ページの勤労控除にかかわる議論で、山田さんも私も経済学ですから、この減額率が果たしてどれだけインセンティブと整合性があるのか、こういう減額率が働く意欲にどういう効果があるのか、これはたしか前回も私が入っている委員会の中でも実証的な研究をやる必要があるというお話をして、どうやってやるかは現時点ではなかなか難しいところもあるかもしれませんけれども、なるべく勤労控除の実態、今どういう状態になっていて、勤労控除を実際に受けている方たちがどういう構成になっているのか、どこかで急に押さえられてしまっている可能性もあるのかどうかということや、諸外国ではこれについては福祉から労働へという流れの中も含めて、いろいろな工夫が行われているかもしれませんので、諸外国では勤労控除にかかわるインセンティブを高めるようなことが行われているどうか。
 それから、29ページの給付水準の設計の在り方についてのマーケットバスケットをもう一度検証していきましょうということが、私が入っているナショナルミニマム研究会で、ここにも何人か委員が入っていらっしゃいますけれども、前回もそういう議論があったわけですが、当然、諸外国の最低生活に対する哲学というのでしょうか、どういう法設計をしているのか、その辺も資料を用意していただきたいと思います。これも急ぎませんので可能な範囲ということだと思いますけれども。
 ほかに御意見ございませんか。政務官、いかがですか。
○岡本政務官 基本的には、先生方の自由な御議論に委ねたいところはありますが、さまざまな論点があるとは思います。ただ、これまでになかった切り口での見方をお願いしていくことも、一つ常設している意味でもありますので、そういった観点で少し御議論いただければと思いますし、今ないという資料についても、出せるものであれば出させるようにしますので、作業の時間はかかると思いますけれども、極力先生方の議論に資するようなものを出していきたいと思っております。
 今、社会保障と税の一体改革の中でも、貧困対策をどうするかというのは本当に大きな議論でして、先ほども冒頭にお話しさせていただきましたが、やはり納税者の皆さん方が一定程度納得する話にしていかないと、これから増税の議論が出てくるときに耐えられない制度であってはいけないだろうという観点は是非、私としても委員の皆様にお持ちいただきたいとは考えていますので、その観点から、つまり、納税者の皆さんに一定程度御理解していただけるような仕組みにしていただきたいということは、重ねてお願いしておきたいと思います。
○駒村部会長 ありがとうございます。
 阿部委員、お願いします。
○阿部委員 資料というか質問という点で、今後御用意いただければと思います。先ほど栃本委員からも御質問がありましたが、12ページですが、負担金の実績額の推移の中で、生活扶助のところに議論が集中しがちですけれども、そのほかのデータは余り学術的にも出回っていないようですし、そろえていただければとなと思います。特に医療扶助費の内訳、あと、住宅扶助費が一番パーセントの伸び率が多いようですけれども、何で住宅扶助費の方が生活扶助費より早いペースで伸びていくのかというようなところですとか、何か根拠となるようなデータがあれば提示していただければと思いました。よろしくお願いいたします。
○駒村部会長 この辺の構成は、またいろいろと資料もいただかなければいけないと思いますし、総額の変動についても構成の変化もあれば、市町村の合併みたいな影響もあるでしょうし、いろいろなものが入っていると思いますので、なるべく細かくメッシュが入ればいいと思いますが、ただ、この辺はシステムの問題もあるかもしれませんので、できた順からお見せいただくということでお願いできればと思います。
 栃本委員、どうぞ。
○栃本委員 今の阿部先生の話ですが、医療扶助の場合、平均的なアベレージにかかっているものと、突出してなっているものが考えられるでしょう。繰り返しだけれども、素人の質問なんだけれども、そういうものが事例的には結構あると思うんです。つまり、医療扶助の場合突出したものがあって全体的に上げているのか、全体的にこうなっているのかというようなことも、ほかの先生は御存じかもしれないけれども、私だけでも結構ですので教えていただければと思います。
○駒村部会長 医療費の分布はよく上位の2割、3割で、ほとんど8割、9割使っているという話がありますから、少なくともそれと比較して医療扶助が非常に特殊な分布をしているかどうか、これは私も余り見たことがないですし、先生方もなかなか見たことがないと思いますので、もし、何か新しい情報システムをつくられていて、かなり一般の医療保険と異なる分布をしているのかどうかというのも非常に重要な情報かと思いますので、よろしくお願いいたします。
 ほかにいかがでしょうか。もしなければ、今日の御議論は最初ということでございましたので、これまでの検証というものがタイムスケジュールには乗っている一方で、恒常的な部会になったので、いろいろなアプローチでいろいろな視点からも、余り焦らずに議論していくべきではないかという御意見もあったと思いますので、この辺はまた今後の進め方に反映できればと思っております。
 では、ちょっと早いですけれども、ほかに御意見がなければ、本日の審議はこれで終了いたします。
 次回の開催について事務局から御連絡をお願いいたします。
○三石保護課長 次回につきましては、5月24日火曜日の15時からを予定しております。同じ17階ですけれども、専用第21会議室でございまして、またメールなどで詳細を御連絡させていただきたいと思います。
 今後の進め方ですが、部会長あるいは代理とも御相談させていただきたいと思いますが、先ほどもさまざまなデータ、資料の宿題をいただいております。私どもといたしましても、かなり細かくお出ししたいと思うんですが、そういう意味でも本日は概要的なものしか御説明しておりませんので、例えば、ある程度テーマを分けて各論について、先ほど御指摘いただいた宿題あるいはデータも含めて次回以降、各論の御議論をしていただければと思っております。
 また、ある程度機会が来ましたら、それぞれ御専門の先生方でもいらっしゃいますので、各先生方のこれまでの研究成果あるいはまさに今、進行中の研究成果でこの部会に役立つようなデータ、資料、御知見をお持ちだと思いますので、そういったものもどこかの機会で発表していただければと思っております。
○駒村部会長 それでは、本日の議論は以上とさせていただきます。御多忙の中、大変ありがとうございました。


(了)

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