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2011年1月11日 第4回 足場からの墜落防止措置の効果検証・評価検討会議事録

労働基準局安全衛生部安全課建設安全対策室

○日時

平成23年1月11日(火) 13:00から15:00


○場所

厚生労働省 専用第22会議室


○出席者

検討会参集者

大幢勝利
小林謙二
田村幸雄

厚生労働省

平野良雄
田中正晴
田中敏章
吉田哲
丹羽啓達
船井雄一郎

○議題

足場からの墜落防止措置の効果についての検証及び評価について

○議事

○事務局(野上) 定刻になりましたので、ただ今から、第4回「足場からの墜落防止措置の効果検証・評価検討会」を開催いたします。本日、司会を務めさせていただきます厚生労働省建設安全対策室の野上と申します。よろしくお願いします。
 はじめに、注意点を何点かご説明いたします。本日お配りしました座席表の裏になりますが、傍聴者の皆様と記者の皆様に対する注意事項です。主要な点としましては、いまお座りになっている場所以外、前方に委員の先生の座席等がありますが、そちらに立ち入らないようにお願いします。また、アラーム付きの時計や携帯電話等、音が出る機械は議事進行の妨げになりますので、マナーモード等の音が出ない形にしてください。また、写真撮影・カメラ等につきましては、冒頭にマスコミの皆様方の写真撮影・カメラ撮りは可能ですが、以降の写真撮影等が必要な場合には事務局に相談の上、指示に従っていただきますようお願いします。それから、委員の皆様の発言に対しましては、賛否もしくは何らかの発言は控えていただくようお願いします。発言のみならず、拍手などの行為も控えていただくようお願いします。飲食等もご遠慮ください。議事進行の妨げにならないよう、なるべく静かな形での傍聴をお願いしたいと思います。ご不明の点がありましたら事務局まで、議事進行の妨げにならないようお問い合わせください。
 早速、議事に移ります。これからの進行を小林座長にお願いします。
 なお、本日は、臼井委員は所用のため欠席とのご連絡をいただいています。それでは、小林座長、よろしくお願いいたします。
○小林座長 新年のご挨拶は抜きにしまして、早速、始めさせていただきます。よろしくお願いします。
 まず、前回の議事録の確認です。これについて事務局からお願いします。
○船井技術審査官 議事要旨の確認に先立ちまして、今日配付させていただいている資料の確認をさせていただきます。
 いちばん上に座席表がありまして、次の頁に議事次第があります。その後に資料として、資料1から4まで、4種類の資料が付いています。もし、お手元に抜け落ちがありましたら事務局までお申し出ください。委員の皆様、よろしいでしょうか。
 では、まずはじめに、次第の2番目にあります、「第3回の議事要旨の確認等」です。資料1をお出しください。少し時間が空いてしまいましたが、第3回は昨年10月13日に開催しております。今日ご出席の3名の委員の皆様にご出席いただきました。この回は業界団体等ヒアリングで、資料1の1頁の真ん中より少し上の辺りですが、全国仮設安全事業協同組合と社団法人建設産業専門団体連合会。あとは、この連合会推薦で、専門工事関係の足場に関連した作業を行っている労働者の方々4名からヒアリングを行っています。そのヒアリングの際に、いろいろご指摘・コメントがありましたものを2頁以降にまとめています。こちらは、事前に委員の皆様にも情報提供させていただいていますし、だいぶ時間が空いてしまったこともあり、既にホームページにも公表しております。もし、こちらの記載で何か不十分なことがありましたら、事務局宛てに言っていただければ修正しますのでよろしくお願いします。
 資料2、これが今日メインでご議論いただきます報告書の案です。これはまた後ほどご説明させていただきます。
 資料3と4は、業界団体等からご提出があった資料として今日配付させていただいています。資料3は、全国仮設安全事業協同組合様からご提出がありました公開指摘・見解書です。こちらは、委員の皆様に事前にメール等でお送りしています。資料4は、今年に入ってからご提出があったもので、第2回の検討会においてヒアリングの対象としました日建連と全建、第3回で対象にしました、いちばん下に名前があります建専連、これに加えまして(社)日本土木工業協会と(社)建築業協会、この5団体の連名によりまして、建設業界としての効果検証・評価検討会に対する要望ということで、要望書が提出されています。資料の確認と議事要旨の確認は以上です。
○小林座長 どうもありがとうございます。よろしいでしょうか。議事録に関しては後でまたご意見をいただいても構わないと思いますけれども、何かご意見はありますか。あるいは、ご確認いただいた資料はよろしいでしょうか。
 それでは、次の議題、「報告書案について」の検討です。「足場からの墜落防止措置の効果検証・評価検討会」という委員会の名称になっていますが、これまで、昨年度の災害事例の分析とともに、その前に、全国の労働基準局で立入りした結果の、建設現場の足場の状況ですね、それらの分析を通じまして、これまでの足場からの転落・墜落の災害に対する措置に関する検証ということでご検討いただいてきたわけです。その中では、我々だけの話ではなく、業界団体、さらには実際に現場で働いている方々のご意見をいろいろとお伺いすることでやってまいりました。今日、その結果を報告書として事務局がまとめた中身についてご検討いただくという手順になっています。各委員の方々には事前に目を通していただいていますけれども、その中で多様なご意見が出てきていますので、ここでさらにその議論を深めていただきたいと思います。本日は時間もありませんので、早速、「足場からの墜落防止の措置の効果検証・評価検討会報告書」の案について検討していただきたいと思います。これについて、ご説明をお願いします。
○船井技術審査官 それでは事務局から、資料2に基づいてご説明いたします。非常に多数の頁にわたりますので、要所要所で区切って、説明の後に質疑応答、意見交換の時間を、短い時間ではありますが、取らせていただきます。最後に、全部の説明が終わった後に、少し長めの意見交換・質疑応答を取らせていただくという形でやらせていただきますので、よろしくお願いします。なお、今日、資料として出させていただいています資料2の報告書案につきましては、本日のご議論、いただいたご指摘を踏まえまして、事務局で早急に直しを作りまして、なるべく早期に対外的に公表するという形で、スケジュールを考えています。
 早速、説明に移ります。まず、表紙の次の頁、目次をご覧ください。ご覧になっておわかりになりますとおり、この報告書は全部で5部構成になっています。
 第1と第2では、報告書もしくはこの検討会の設置趣旨を「はじめに」に書いています。第2としましては、「足場からの墜落防止措置の実施状況及び労働災害発生状況について」です。これは先ほど座長からもお話がありましたように、昨年に取りまとめました、全国の建設現場における措置の状況や、労働災害発生状況につきまして、今回の分析の対象とした事案についての、個々の分析ではなくて、全体的にどういう傾向なのか、どういう業種で起きているのか、こういったものをまとめたものです。
 第3が「墜落防止措置の労働災害防止効果の検証・評価」です。この報告書のメインの部分になります。
 第4は、この検討会の第2回、第3回において業界団体もしくは労働者の皆様からヒアリングを実施していますので、その主な意見をピックアップさせていただいています。
 最後の第5は、これらを踏まえまして、「まとめ」として総括・評価、もしくはその総括・評価に基づく措置を講じていくために必要な留意点をまとめています。
 1頁、第1「はじめに」から始まっています。この「はじめに」には、この検討会の設置の趣旨や、検討会が目的とするところを書いています。第1のいちばん下のパラグラフにありますように、今回のこの検討会におきましては、今後の足場からの墜落防止対策の推進に資することを目的としまして、平成21年度に発生した足場からの「墜落・転落」災害を対象に、かつ、業界団体もしくは労働者の方からもヒアリングを行い、これらを踏まえて改正した労働安全衛生規則、ないしはこれと併せて発出しています安全衛生部長通達、これらに基づく墜落防止措置の効果について検証・評価を行う、こういう目的でやってきているものです。
 第2は、評価・検証に入る前に、全体的な、足場における墜落防止措置の状況もしくは災害発生状況をざっくりとまとめたものです。まず、1「足場からの墜落防止措置の実施状況」です。平成21年10月から平成22年2月まで、全国の労働局・労働基準監督署が現場に立ち入って調査を行った結果、全国で約5,000現場を対象にしまして、その現場に設置されていた「主たる足場」、そういった足場についてどういう墜落防止措置が実施されていたのかを調べたものです。この調査結果については、第1回検討会においてもご案内のとおりで、報告書にも別添として付けていますので中身は省略させていただきます。
 続きまして、2頁のいちばん下、2「足場からの墜落・転落による労働災害の発生状況」です。これが今回、検証・評価の対象となった平成21年度に発生した足場からの「墜落・転落」による災害です。これまで、死亡災害をメインに分析した経緯がありますが、今回は休業4日以上の「労働者死傷病報告」が出てきた災害で、死亡には至らなかったけれども、ある程度の重篤な怪我に至ったものも含めて分析を行っています。その結果、3頁(1)にあるものが、経年的に見た発生の件数です。ボリューム的には、平成21年度で見ますと、「墜落・転落」が約19,000件のうち「足場から」が約800件。こういうオーダーになっています。死傷災害ベースで見ますと全体の約6%、死亡災害で見ますと約1割という状況で、足場からの墜落・転落が起きている状況が分かります。
 3頁の(2)です。足場からの墜落・転落による災害はどういう業種で起きているのかを見ますと、「建設業」で8割以上が起きている。死亡災害についても9割以上が「建設業」で起きているという状況が分かりました。
 4頁は、一口に足場からの墜落・転落と言っても、足場のどういった高さの所から落ちているのかについても見ますと、労働安全衛生法で規制の対象となっている「2m以上」の箇所から落ちているものが全体の約6割を占めていました。裏を返しますと「2m未満」の箇所からも4割の方が落ちているわけです。これについては、死亡災害の部分を見ていただいても分かりますように、「2m以上」が29件中28件の死亡災害が含まれていますけれども、「2m未満」が1人で、災害の重篤度という部分でだいぶ差が出ているのではないかと。ちなみに、今回の分析結果には詳細を付けていませんけれども、「2m未満」については、やはり、足の踵にひびが入ったとか、手を突いて手首を骨折したなどがかなり多く占めていたという状況です。
 最後に、真ん中のウ「墜落時の作業の状況」です。それを分類しますと、これは2m以上のものですが、490件中120件が「組立・解体時」である。さらに、120件のうち90件が組立・解体の中でも最上層の、まさにいまそこを組み立てている状況での災害でした。こういった内訳になっています。
 いま申し上げましたような災害の状況でしたが、これを分析した結果を踏まえて評価・検証をまとめたものが、4頁の第3以降に書いています。
 まず今回は、安衛則上規制がかかっています2m以上の箇所からの墜落・転落災害490件について、詳細に集計・分析を行ったものです。具体的には、墜落したときの労働者死傷病報告から読み取ったのですが、どういう措置がその墜落箇所に講じられていたのか、もしくは墜落時にどのような状況で作業を行っていたのか、そういったことについて調査を行いました。墜落防止措置の状況と墜落時の作業の状況に不安全行動などがなかったかどうかを分析しています。ここで言う「不安全行動」ですけれども、※に書いていますように、労働者死傷病報告の記載から分析していますので、不安全行動というのは非常に狭い意味で捉えますと、労働者個人だけの要因と言いますか、ルール無視だとか、そういったことによる通常では考えられないような行為ということです。そこが、労働者死傷病報告からは労働者個人だけに起因するものかどうかまでは読み取れませんでしたので、傷病報告上、「通常の作業では想定し難い行動である」というものが全部含まれています。この中には、その要因が労働者の判断だけで起きているもの、もしくは労働者の判断以外に、例えば、作業システムとか作業方法に内在するような問題から起きてしまったもの、こういったものも含まれています。こういった形で分析させていただきました。
 分析結果は大きく3つの区分に分けています。その1つ目の区分をご説明します。まず、5頁の上のほうに(1)とあります、組立・解体時における足場の最上層からの墜落・転落災害について分析しました。これをまた小さく2つに分けて、(1)安全帯の使用等安衛則に定める措置を講じていたかどうかという部分です。災害について措置の状況と作業時の状況を分析したものが、5頁の真ん中から下にある表にあります。全部で90件ありました。この90件のうち、安衛則に基づく措置を実施していなかったり不十分だったものは全体の約93%ありました。逆に、措置をしっかり実施していた、しっかりと言えるかどうかは別として実施していたもの、これは90件中6件で、6.7%ありました。こういう状況でした。
 次の6頁に掲げられています6件は、第1回以降に出しています資料にも書いてあるとおり、安衛則に基づく措置をやっていたにも関わらず落ちた災害が6件あると。その事案がこちらの6件となっています。これは第3回のときも、業界団体ヒアリングに関連しまして、「不安全行動」とか「床材緊結不備」と書いてありますけれど、中にはそういうものに分類されないものがあるのではないかというご指摘もありましたので、【分析に当たっての考え方】のところに、災害事例から何で不安全行動と判断したのか、こういったことを1件1件追記しています。これらについて評価・検証を行った結果は、6頁の下にありますように、まず、安衛則に基づく措置を実施したにも関わらず、被災した事案は90件中6件、6.7%しかありませんでした。さらに、このうち、不安全行動とか床材の緊結不備などの構造的な問題がなかったにも関わらず落ちたものは2件、全体の2.2%であったことが明らかになりました。この結果からも、安衛則に基づく労働災害の防止効果は高いのではないかと考えられるというものです。
 2つ目のポツは、まず、安衛則に基づく措置を全く実施していなかった事案について、不安全行動等の有無をみると、約7割が不安全行動がなくても落ちているという結果になっています。一方、安衛則に基づく措置を実施していた事案はどうかというと、この割合は33%になっていると。このことから、安衛則を実施していないと不安全行動がなくてもかなりの割合で落ちてしまう。逆に、安衛則を講じていればその割合は下がるということで、このことからも災害防止効果が高いのではないかと考えられます。
 以上によりまして、安衛則に基づく組立・解体時における墜落防止措置、これについては直ちに強化する必要まではないのではないか。しかしながら、引き続きこれらの措置の徹底を図ることが適当ではないかと考えられるということです。さらに、これを徹底する上で、災害の事案について見ますと、安衛則を守っていたにも関わらず、不安全行動とか床材の緊結不備が認められて実際の災害に至っているわけですので、措置の徹底に加えて、適切に作業計画を作成してこれに基づいて作業をするということや、中には、1件見られました「安全帯の破断」がありました。これについては、しっかり安全帯を使う前に不良品を取り除くとか、そういった点検を徹底することによって防ぐことができたのではないかと考えられますので、こうした措置の徹底も併せて必要ではないかと考えられると、こういう結果です。
 とりあえず、ここでひと区切りして、意見交換、ご質疑をいただきたいと思います。
○小林座長 ただいまのところは、7頁の(2)の前までということです。いままでの部分で、各委員の方々、ご意見、ご質問はいかがでしょうか。
○田村委員 特にないですが、割合で71%と33%を比較されているのですが、この率同士で比較すると、確かに倍以上違うから効果があるというように判断してもいいのかと思います。
○小林座長 6頁の下のほうで、いろいろ措置していたにも関わらず被災したというのが6.7%という記載がありますが、「6件しかなく」というのも、6.7%しかないかなという気がするのですが。我々が、例えば統計的に見る場合に、大体5%は無視というか、特別な要因が働いたからそういう値が出たのであろうと。だから、そのぐらい出ても仕様がない、それは無視しようと考える。けれども、実を言うと、大きいほう、小さいほうというのがあって、5%といっても片側で考えると2.5%というのが基準だったりするのですが。それと、こういうので考えると、この2.5%から比べて6.7%というのは、随分と多いのではないかという気がするのです。そういうことから考えると、極めて小さいから。ある種の見方からして、もちろん「災害防止効果が高いと考えられる」という辺りはいいのですが、どうもこの「しかない」というのが。
○船井技術審査官 確かに90件中6件の部分については記載を考えさせていただきます。ここで言いたいのは、これしかないということではなくて、災害の防止効果は高いという部分ですので、記載は修正させていただきます。
○田村委員 これは災害が起きたものだけをピックアップしているから、そういう比率になるのですよね。だから、起きていないものも含めて全体でいくともっと低い、すごく小さいということでしょうか。
○船井技術審査官 そうですね。割合としては。確かに数字を並べて、6.7%しかないというのは、これだけ見ると、座長がご指摘のような感じもしますので。この裏には、いま田村先生がおっしゃったように、起きていない現場というのがたくさんあるわけです。
○小林座長 もう1つ、4頁の下で、先ほどいろいろ補足していただいたのですが、不安全行動の部分は「通常の作業では想定し難い行動」を不安全行動というのですが、誤解のないように、もうちょっと詳しくこの辺を、そんなにいっぱいではなくてもよろしいかと思いますが、先ほどのご説明を簡単に、ここのところを補足していただくともっと誤解がなくていいかなと思うのですが。
○船井技術審査官 ここで書かせていただいたのは、不安全行動は純粋に狭い意味での不安全行動だけではなくて、要は作業システムとか、例えばで言いますと、昇降設備がひとつも設けられていなかったので、よじ登ってしまいましたというようなものは、死傷病報告上、記載を見ると明らかに不安全行動なのですが、よじ登らざるを得なかったのですというようなものも中にはあるかもしれません。そういったものも記載上からは、不安全行動に分類せざるを得なかったという趣旨ですので、もう少し補足して記載させていただきます。
○小林座長 往々にして、我々の範囲の建設業界でいろいろな話を聞きますと、不安全行動というのは、極めて個人的な、「あなたが悪かったから被災したんだよ」という、そんな意味で使われることが結構ありまして、そこら辺の誤解を招かないような補足をしていただきたいと思います。
○船井技術審査官 はい、わかりました。
○小林座長 そのほかよろしいでしょうか。
○船井技術審査官 また最後に少し長めの質疑応答の時間を取っていますので、後ほど思いつかれた部分についてはそちらでお願いいたします。
 続きまして、7頁の(2)からご説明させていただきます。(2)につきましては、「足場の組立て等作業主任者の選任状況等について」です。ここでいま分析しております、1「組立・解体時における足場の最上層からの墜落・転落」ということですので、労働安全衛生規則上、高さ5m以上の足場の組立・解体等の作業に当たっては、足場の組立等作業主任者を選任しなければいけません。この作業主任者を選任した上で、材料の点検や安全帯の点検、作業方法や労働者の配置の決定、字が間違っていて大変失礼いたしましたが、進行状況の監視などを点検・監視しなければならないということが、法令上義務づけられています。今回、分析対象とした労働者死傷病報告の記載からは、この作業主任者の選任の有無、職務の状況というところまで読み取ることができませんでした。しかしながら、業界団体ヒアリングなどにおいても、ここら辺の分析をすべきではないかというご意見もありました。
 平成21年度に発生した部分において、今回、死亡災害が29件ありましたので、こちらについては、労働局監督署のほうで詳細な調査を行っております。そういった資料を追加で取り寄せ、それを用いて追加で分析を行ったという状況のものです。死亡災害が29件ありましたが、このうち組立・解体時における最上層からの墜落・転落による死亡者が14名いらっしゃいました。このうち作業主任者を選任していなかったというものが3つありました。この3つを除いた11件については、作業主任者の職務を全く実施していなかった、一部怠っていたような事案だと疑われるものがすべてでした。
 下に、≪職務不備の具体例(複数カウント)≫ということで、ひとつの事例で2つ不適切事案があったというものもあるのですが、これを挙げさせていただきました。まず丸の1番目は、作業方法を定めてはいたのですが、作業主任者自らも手順に背反したような作業を行っていたというものが3件ありました。丸の2番目としては、安全帯の使用状況を監視しなさいということが法令上義務づけられているのですが、それを行っていなかった。丸の3番目については、安全帯の機能を点検して、不良品を取り除きなさいということが定められているのですが、それをやっておらずに、墜落した際に安全帯が破断してしまったというものが1件ありました。
 その結果、8頁の真ん中辺りに【評価】という部分にありますが、死亡災害14件のうち、未選任、職務不適切というのが3件ないし11件ありましたので、すべてについて適切な事案であったとは言えない。14件すべてについて作業主任者が未選任だったりとか、職務を適切に実施していなかったということがわかりました。さらに、その14件のうち、安衛則に基づく措置を実施していたものは1件だけありました。ただ、この1件についても、安全帯をかけていたのですが、そのロープが破断してしまったというものです。このロープ破断につきましては、作業主任者の職務(安全帯の機能点検)というものが入っておりますので、これを作業主任者がしっかりやっていれば防げた可能性が高いのではないかと考えます。
 以上の結果、この作業主任者を選任することに既になっておりますので、この職務の内容をさらに拡充するなど、そういった部分については、直ちにその必要性までは認められないのではないか。引き続き、安衛則に基づく職務の徹底を図ることが必要ではないかという結論になっております。
 その他の留意事項としましては、作業主任者の未選任、監視不徹底などの職務不備につきまして、こういった事案を見ていただくとわかりますように、死亡災害をはじめ、組立・解体時の墜落・転落災害に直結する可能性があります。したがいまして、安衛則に基づいて、安全帯の使用など、墜落防止措置の徹底を図るとともに、こういった職務の徹底も必要です。それを適切に行うには、労働安全衛生法第19条の2に、作業主任者の皆さんの能力の向上を図るための教育というのが定められており、こういったものを受けていただくことによって、法令改正の内容や、いかに作業主任者の職務が必要であるのかなどを含めて、資質向上を図っていただくことが必要なのではないかと考えます。(2)については以上です。ここでまた質疑をお願いいたします。
○小林座長 それでは7~8頁の「足場の組立等作業主任者の選任状況等」というところですが、いかがでしょうか。
○田村委員 14件のうちの11件が選任していたのに、すべてきちんと職務を遂行していなかったということなのですか。
○船井技術審査官 そういうことでございます。職務の中に安全帯の使用状況を監視しなさいということと、手順を定めて労働者の配置を決めるというようなことがあるのですが、安全帯の使用状況を監視していないとか、自分も安全帯をしていなかったり、手順は定めてあったのですが、自分も一緒になって違うやり方をやっていたというようなものがあったと。
○田村委員 適切にやっていれば大丈夫ですということにはならないのですか。
○船井技術審査官 そうですね。適切にやると大丈夫ですよという。適切にやっているものは、災害としてここに出てきていないので。
○田中建設安全対策室長 ただ、安全帯を確実にしていれば、落ちはしないということは言えると思います。しっかり監視して、安全帯の使用を第三者が横で確認をすれば。
○船井技術審査官 1件、安衛則に基づく措置として、安全帯をかけていたのですが、ロープが切れてしまいましたという事案がありました。
○田村委員 やはり職務の中に入るわけですね、その管理も。
○船井技術審査官 安全帯の点検というのも。それもちゃんと不良品を取り除いていれば、墜落はしたのですが、安全帯で下まで落ちることは防げたという事案になっていた可能性は高いですと。
○大幢委員 これはすべて5m以上だったという理解でよろしいでしょうか。5m以上を選任ということになっております。
○船井技術審査官 5m以上でした。死亡災害については。
○大幢委員 5m以下の場合は選任しない場合があるというのがあるのですが、今回は。
○船井技術審査官 今回の事案については5m以上です。
○大幢委員 全部5m以上ということですね。
○小林座長 これは理解として、タイトルは選任状況等ということでまとめてありますが、災害の原因としては先ほど言われたように、落ちた直接の原因というのは何かということはともかくとして、作業主任者の職務に関することを拾ったということですね。
○船井技術審査官 そうですね。落ちた原因は何かという部分について見ますと、14件中13件については、安衛則に基づく措置が未実施だったり不十分であったものです。ただ、適切に実施していた1件については、これはもしかしたら安全帯の不備のチェックを作業主任者がやっていれば防ぎ得た可能性がありますので、その1件については、直接的に作業主任者の職務に跳ね返ってくる。
○小林座長 破断したということではですよね。そもそも落ちたということに関しての。
○船井技術審査官 落ちたという部分について、組立・解体時の最上層の墜落・転落災害ですので、法令上、労働安全衛生規則第564条ということですが、安全帯の使用などの措置を講じなさいと書いてありますので。
○田村委員 もしこれが、例えば死亡災害が起きた事故だけを取り上げているから、特殊な例なのですが、この割合でいくと、作業主任者を選任していても、ほとんどのケースがきちんと職務を実行していないということになりますよね。ほかの事例ではどうなのですか。
○船井技術審査官 災害事例について見るとということですね。
○田村委員 死亡災害だけではなく、ほかも考えた場合は、そんなにおかしなケースばかりではないと。
○田中建設安全対策室長 そこは微妙な話なのですが、作業主任者がしかるべく業務を満足にしていれば、極端に言えば事故になっていないと思います。
○田村委員 いや、それはいいのですが。それはこの数字から理解できると思うのですが。11件のケースで、作業主任者が選ばれていたのに、11件とも適切な職務を実行していないということですよね。そんな割合で、ただ単に選任しているだけで、本当の目的を達成するようなことになっていないような状態が、ほかの事例でもそうなのかということを疑問に思ったのです。要するに、非常に形骸化していて、選ぶだけ選んでおけばいいというような感じでしか取られていないのが実態なのだったら、すごく大きな問題だと思います。
 最初に言いましたように、非常に特殊な例で、死亡災害が起きた例だけを取り上げているから、非常に高い、100%の割合になってしまって、ほかのはそうではなくて、ほとんどきちんとやられていますよというのだったら、安心できるのですが。その数字はここからは見ることができないので、例えばほかの災害が起きた場合でどうだったか。調べるのが大変なのかもしれませんが、実態はどのような感じなのでしょうか。
○船井技術審査官 職務の中身に、安全帯などの使用状況を監視してくださいというのがあるのです。当然監視していれば、付けていなければ付けろという指示をしなければいけませんので、そうすると付けます、そうすると落ちませんということになると思います。だから、安全帯の履行というのと、作業主任者の職務の遂行についてというのは、比較的近い部分があるので、想像ではありますが、かなりの部分で職務を怠っていたとか、一時的には見ていたのですが、離れてしまって、その隙に取り外して作業していて落ちたというのはあるのではないかと思います。
○田村委員 これがその全体を代表するサンプルではないことは重々わかっているのですが、こんなに高いのなら、ほかのものはどんな状態なのか疑問に感じますよね。
○船井技術審査官 難しい。
○田中建設安全対策室長 死傷病報告からではちょっと出てこない。全く独立の別の調査の結果という。例えば監督の実施状況とか、そういうもので、すべての対象という調査結果になると思います。ただ、これで見ると、そんなには違反は多くないと思います。
○小林座長 例えば安全帯の使用状況を監視していなかったということで、死傷病報告の中では、たぶんそういう書き方では書いてありませんよね。
○船井技術審査官 労働者死傷病報告では、作業主任者の選任の有無も書いていない場合がほとんどですし、監視していたかどうかも書いていない場合がほとんどです。今回、たまたまこういう状況が見られたのは、亡くなった災害について、監督署が現場に行って、事細かに調査しますし、関係者から聴き取りなどもしますので、かなり分厚い報告書がありまして、それから読み取りました。
○小林座長 よろしいですか。また、出てきましたら後ほど聞いてください。
○船井技術審査官 続きまして、8頁の2の(1)についてご説明させていただきます。先ほど、1の組立・解体時の最上層からの墜落・転落についてご説明しましたが、2については、それ以外の「通常作業時等における墜落・転落災害」ということで分析しております。まず、(1)は安衛則第563条第1項第3号という部分で、墜落防止措置が平成21年3月に改正されて6月から施行されている部分です。この集計につきましては、高さ2m以上からの墜落・転落は全部で490件ありましたが、1でご説明した最上層の90件を除いた400件、その中から「一側足場」、構造上、足場の支柱が1本しかないような、よく住宅建築などで使われるような幅の狭い足場ですが、これについては狭いところに設置するもので、構造上、十分な墜落防止設備を付けることができない足場です。これについては563条第1項第3号の適用がなくなっています。こういった部分を400件から除いた314件について、詳細に分析しました。その結果、314件中、563条第1項第3号に基づく墜落防止措置を実施していなかったもの、不十分であったものが276件、全体の約88%を占めておりました。
 9頁のいちばん上のポツですが、逆に墜落防止措置を実施していたにも関わらず被災したものというのが18件、5.7%ありました。その概要については、9頁の下から11頁にわたって個別の事案が書いてあります。こちらについては、既に第1回以降の検討会で提出させていただいた資料ですが、それに括弧書きで【分析に当たっての考え方】ということで、なぜ不安全行動に分類したのか、なぜ床材緊結不備に分類したのかという考え方を1件1件追記しています。これが314件中18件、5.7%ありました。このうち16件については、労働者の不安全行動、床材の緊結不備などの構造上の問題が認められたというものです。18件中16件を除いた残りの2件については、不安全構造などが認められなかった事案です。その事案については、≪災害の概要≫として、丸の1番目は目撃者がいなくて、状況がわからなかった。もしかしたら不安全行動があったのかもしれないのですが、目撃者がいないので不明であるというものです。もう1件、丸の2番目については、移動式足場、ローリングタワーに設けられた梯子を下りる際に誤って落ちてしまったものなので、足場の作業床に設けられた墜落防止措置とは直接関係がないものです。
 その墜落防止措置の【評価】については、11頁のいちばん下に書いています。1点目として、先ほど説明は省略したのですが、報告書の1頁目にありますように、昨年の4月に厚生労働省が調査して取りまとめた結果、全国の5,000現場で監督署が立ち入った現場ということになるのですが、その現場における墜落防止措置の実施状況というのは、大体9割ぐらい措置が講じられていました。逆にいうと、措置不十分であったものは1割でした。しかしながら、今回分析した災害事例についてみると、措置不十分であったという割合が9割になっています。簡単に言いますと、措置が不十分な現場で災害というのが非常に多く起きているということがわかると思います。したがいまして、この安衛則に基づく墜落防止措置の効果は高いのではないか。措置を行っているところでは、災害はごく希にしか起きないということが言えると思います。
 12頁のいちばん上のポツですが、安衛則に基づく措置を実施していたにも関わらず被災した事案というのは、先ほど申し上げましたように、18件(5.7%)でした。こちらの「しかなく」という表現も、先ほどのものと同様に修正させていただきます。この18件のうち、不安全行動がなかったにも関わらず落ちた事案というのは、先ほど申し上げた2件(0.6%)しかありませんでした。このことからも、災害防止効果は高いと。
 次のポツですが、措置が不十分であったものについて見ます。そのうち、不安全行動等の有無について見ると、措置が不十分であると、不安全行動がなくても、約72%落ちている。しかし、この割合が措置を実施していた事案について見ると11%になっている。ここも件数の多さ、少なさというのはあるのですが、先ほどの組立・解体時の最上層と同じように、もっと顕著に結果が表われているというものです。
 以上によりまして、安衛則563条第1項第3号に基づく墜落防止措置については、直ちに評価する必要まではないというように考えられますが、引き続き安衛則に基づく措置の徹底を図ることが適当ではないかと考えます。
 (その他留意点)としましては、安衛則に基づく措置を守っていたにも関わらず落ちている事案というのは18件あって、そのうち16件までが不安全行動や床材の緊結不備が認められています。このことから、安衛則に基づく措置を徹底することはもちろんなのですが、足場上での作業に当たっての手順の徹底、日常的な足場の点検による床材の緊結不備等の防止が必要である。さらには不安全行動は、冒頭ご説明しましたように、労働者だけの要因によって起きているものだけが不安全行動として、今回分類していないので、作業手順や作業システム、もしくは昇降設備の数にも内在している問題から起因しているものもあり得ますので、こういったことも踏まえて、不安全行動を生じさせないような足場の設置等も必要なのではないかと考えます。
 なお、「手すり等なし」など、違反があったものというのはたくさんありましたが、この中に、本来はちゃんとした手すりなどを設けていたにも関わらず、作業の必要上、臨時に外して、それがそのまま放置されていたという事案も中にはあることが考えられます。これは死傷病報告の記載からそこまでは読み取れなかったのですが、第3回目に実施したヒアリングにおいても、関係労働者の方も、この部分の意見をたくさん言っていました。ここをいかにちゃんとやるかというのが、非常に重要だということも言われておりました。そういう可能性もありますので、外した手すりはちゃんと戻しておきましょうというような規則を、改正した際の施行通達にも、その趣旨を示しているのですが、こういったことを再度徹底するということも必要なのではないかと考えています。
 ここでまた区切って、質問・質疑をお願いします。
○小林座長 通常の作業をした場合の墜・転落に関して、安衛則の563条関係の措置に関する項目ですが、これについてはいかがでしょうか。
 先ほどの不安全行動に関するご説明と関連するかもしれないのですが、例えば10頁のいちばん上の、交さ筋交いの上に身を乗り出して仕事をしていたというのを、不安全行動としてみたという。具体的な項目に関して、一つひとつお聞きするというわけではないのですが、これを不安全行動とみたという理由はどういうことなのでしょうか。
○船井技術審査官 除去するに当たりまして、ここの足場というのはわく組足場なのですが、交さ筋交いが設置されておりまして、その下に下さんというのも入っていた。それに加えて上さんという腰高の棒もあったと。それがある状況で、外側に付いたシートを出そうとしていたので、その隙間から身を乗り出して取ろうとしていたという事案でございます。乗り出していたということで、不安全行動にしたのですが、それをなくすためにどうすればいいのかというのが、もう1つ上の層に行って、乗り出さずにまさに端っこがあるところを、相番の作業員に外してもらうとか、そういったことでも対応できたのではないかと思います。
 ただ、これが1人でシートの取外し作業をやれとか、そういう作業手順に内在する問題から起きていたのかどうかまではわからないというものです。
○小林座長 手すりの上から身を乗り出して仕事をするということはよくあることで、それがないと足場上の作業というのは通常はできませんよね。先ほどの不安全行動の話も平たく言うと、普通はしないということが不安全行動と定義されているようですが、それに関して不安全行動というのは無理がある気がします。
○船井技術審査官 要は、足場でも、塗装をしたりとか、建物側ですね。そういう部分については、筋交いなどがあると作業ができませんので、外したり、手を伸ばしたりする作業はあると思うのですが、基本的に足場の外側については、飛散防止なども含めて、ガチガチにシートを張ったりするのが一般的でして、そこから乗り出すというのは想定できないというイメージで分類した経緯はあります。
○田中建設安全対策室長 補足します。いま言ったような状況でシートなども取り付けてありますので、作業場所さえ間違えなければ、乗り出さなくてもできると。上の段でやれば、自分の足元の紐で縛ってあるものをほどけばいい。それを下の段でやろうとするので、身を乗り出して上のほうをやらなければいけないという作業になります。その作業の方法をきちんとやれば、そんなには。
○小林座長 想像するに、例えば、さんの上に乗って、身を乗り出してということがないと、交さ筋交いの上から身を乗り出してそう簡単に落ちるのかな、あるいは通常は考えられないような気がしたものですから。
○船井技術審査官 どこまで乗り出していたかというのは、下さんに足を掛けていたとかまでは、死傷病報告からはわからないのですが、これは交さ筋交いプラス下さんというのは、安衛則に基づく最低限の措置ですが、それに加えて腰高の上さんも付いていた足場なのです。これはあとで出てくる部長通達に基づく、より安全な措置もやっていた足場なので、それから落ちるということは、相当乗り出していない限り、なかなか落ちないかなという。
○大幢委員 バッテン(交さ筋交い)があって、上さんがあって。
○船井技術審査官 その上から落ちたと。要は、バッテンの上の逆三角形のものと、上さんの位置関係までは死傷病からはわからないのです。
○大幢委員 とにかく上の部分ということですね。
○船井技術審査官 そうです。
○大幢委員 交さ筋交いがこうなっているところに上さんがあって、その上の。その三角形の部分なのか、そうでない部分かはわからないということですね。
○船井技術審査官 はい。
○大幢委員 要するに、落ちるほど乗り出していたというような解釈ということなのでしょうかね。
○船井技術審査官 逆説で。
○田中建設安全対策室長 極端に言えば、常設の手すりでも落ちかねないぐらいの作業だったという。
○大幢委員 反動でというのは何なのですか。
○船井技術審査官 おそらくですが、どこか1人で外す作業をしていて、メッシュシート、防音シートの鳩目は取ったのですが、防音シートなので重量はあると思うのですが、どこかに引っかけたと思うのです。それを乗り出してこうやろうとしていて、そのまま落ちてしまったと。シートを外側にやろうと、勢いよく手で押していたのだと思います。
○小林座長 よろしいでしょうか。先に進ませていただきます。
○船井技術審査官 続きまして、12頁の真ん中より下です。安全衛生部長通達に基づく「より安全な措置」ということです。これについては、先ほどご指摘いただいた事案もそうなのですが、9頁の下から10頁の頭にかけて、事案が3件ございます。この3件については、安衛則第563号第1項第3号に基づく措置はもとより、それに加えて安全衛生部長通達で示した、より安全な措置。先ほど言いましたわく組足場でいえば、交さ筋交い、下さんに加えて、上さんを設ける。そうではない、普通の2段手すりタイプの足場については、幅木を設ける。こういった措置をやっていたにも関わらず落ちた事案ということです。これについては、3件あったということです。3件のうち2件については、不安全行動があったということです。もう1件については、被災時の目撃者がおらずに、あったかどうかの詳細が不明という事案でした。
 今回の事案から判断しますと、もともと「より安全な措置」、安全衛生部長通達で示す措置というのは、安衛則第563条第1項第3号に基づく措置を実施した上、さらに実施することが望ましい、より安全な措置ということですので、安衛則第563条第1項第3号に基づく措置に加えてやるわけですから、必然的に同等以上の効果はあるということは言えます。しかしながら、より安全な措置を実施していなかった15件と、より安全な措置を実施していた3件について、その比較をしてみますと、明らかにより安全な措置を実施していたほうが優れているとまで言うことは難しい状況でした。明らかな差まではないのではないかと。
 そういたしますと、もともと安衛則第563条第1項第3号に基づく措置については災害防止効果が高いということでして、(1)でも申し上げましたように、現時点において対策の強化を図るまでの必要はないということですので、当然この「より安全な措置」についても、これを最低基準として格上げすることまでは必要ないのではないか。ただ、当然墜落防止をするスペースが減りますので、望ましい措置として、引き続き普及を図ることは適当ではないかと。
 (その他の留意点)です。わく組足場の場合には「上さん」を設ける、そうではない足場の場合には「幅木」を設ける。また、その幅木の機能を備えた、手すり先行型のわくを設けるというようなやり方が、安全衛生部長通達では例示されておりますが、それだけに限ったものではなくて、同等以上の墜落防止効果があるものであれば、十分な高さを有する「防音パネル」「ネットフレーム」、その建設現場の状況に応じて、そういったものを設置することでも、より安全な措置になるのだと。こういったことを例示も含めて、より一層の普及に努めるということが重要なのではないかと。ここら辺の通達の解釈、周知が十分各現場まで行き届いていない部分もあるのではないかということが、災害分析結果だけからではなく、日頃の業務、業界ヒアリングなどからも伺えたので、書かせていただきました。
 続きまして、(3)です。安全衛生部長通達に基づく「床材と建地の隙間」です。この床材と建地の隙間というのは、なるべく隙間がないように床材を複数使うなどによって、敷き詰めましょうというのが、安全衛生部長通達に書いてあります。今回分析対象とした事案について、このようなことが主因で起きた災害はなかったかどうかです。
 これを確認しましたところ、床材と建地、足場の支柱の隙間が空きすぎていたことが主因で起きたという前提としては、まず安衛則第563条第1項第1項に基づく措置をちゃんとやっていた上で、そこの隙間が空いていて落ちたということがあるかどうかという視点で、この報告書にも書いてあります18件について、隙間がどうだったのかを調べました。その結果、隙間が空いていて落ちたのではないかという事案はございませんでした。1件、参考として書かせていただきましたものとして、床材と建地の隙間と関係があるかもしれないというものがありました。しかし、災害の中身を見ますと、並べて設置されていた移動式足場から、別の移動式足場に乗り移ろうとしたときに、足場と足場の床材の間から落ちたということなので、建地と床材の隙間ではないのではないかというものが、1件ございました。
 こういう状況でしたので、これが主因で起きたのではないかと言えるような災害はございませんでしたので、現時点において最低基準にするまでの必要はないのではないか、引き続き望ましい措置としてその普及を図ることが適当なのではないかと。引き続き普及を図る趣旨としましては、床材と建地の隙間をなくすことによって、下さん、中さんなど、そういう床からいちばん近い部分にある墜落防止設備との距離が縮まるわけですので、当然災害防止上の効果は高まります。こういった法令で定める墜落防止措置の効果を高めるという意味でも、必要なのではないか。ただ単に隙間をなくしましょうというのではなくて、こういったように、下さんとか中さんなど、墜落防止の効果を高める上で、非常に重要なのだというものを併せて周知すると、非常に理解も深まって、普及しやすくなるのではないかということで、それを併せてやる必要があるのではないかという結論になっています。
 続いて、(4)足場の点検についてです。これについても、労働者死傷病報告の記載からでは、点検実施の有無、点検をどのような人がやっていたのかということについては、記載がないのでわかりませんでした。したがって、先ほどの作業主任者同様、死亡災害29件について、監督署の調査結果から分析を行ったというものです。
 このうち14頁を見ていただきますと、まず死亡災害29件のうち、通常作業時等における墜落・転落災害の区分に入るものとして、11件の死亡災害がありました。このうち足場の点検を実施していたことが確認できたものが2件です。1件については、不十分で、点検内容が少し形骸化していた部分が見られたというものでした。しかしながら、これが点検の不備が理由で災害につながったかというと、必ずしもそうではなくて、この11件については、いずれも足場の設置段階から墜落防止措置が実施されていなかった、もしくは不十分であったという足場でした。もともと点検というのは、先般平成21年3月に改正したときに、新たに義務づけた部分ですけれども、ちゃんと法令に定める墜落防止措置というものがしっかりとやられているかを確認するという意味なので、確認すべき対象がもともと不備であったということなので、直接点検の不備が理由というものではないのではないかと考えられます。
 点検実施について、確認できなかったものもございました。それについては、そこまで監督署が調べた報告書には書いていなかったのですが、それらについては、いずれも点検の実施以前に、とんでもない何の措置もない足場であったと。それ以前の労働災害防止上の重大な問題が認められた事案であったという状況でした。
 その結果、14頁の下のほうにございますが、今回分析した死亡災害については、「点検の実施の有無」「点検実施者の資格等」「点検項目」といったものと直接関係のあるような災害というものはなくて、もともと足場を設置した段階から、墜落防止措置が不十分な事案ばかりであったというものです。したがって、現時点においては、点検の実施者の資格について、法令に合わせて、通達で実施者としてはこのような人が望ましいということを定めていますが、こういった人を法令に義務づけるといったような強化を図るまでの必要はなく、引き続き安衛則第563条第1項に基づく墜落防止設備の設置と併せて、足場の点検を適切にやっていただくことが重要ではないかと考えております。
 (その他の留意点)としては、点検については2種類ありまして、足場を組み立てたり、変更したあとに行う点検があります。これは足場の構造上の問題にかかわる部分なので、広い項目をチェックすることになっています。したがって、床材の緊結不備等の構造上の問題も防ぐことのできる可能性があります。「日々の作業開始前」の点検については、作業の必要上、臨時に外した手すりなどが復旧されていない部分などを未然に発見して防ぐことができるということで、非常に重要であると。そういったことを適切にやるために、点検の実施者となる人の能力の向上、点検をする際に漏れなく重要な部分をチェックできるように、チェックリストも含めて、実際に効果があるような点検を普及させていくことが必要ではないかということで考えています。ここでまた区切りをお願いします。
○小林座長 12頁の(2)の安全衛生部長通達に基づく「より安全な措置」、次の頁の安全衛生部長通達に基づく「床材と建地の隙間」「足場の点検について」の3項目ですが、いかがでしょうか。
○船井技術審査官 時間もありませんので流して。また最後によろしくお願いいたします。
○小林座長 15頁ですか。
○船井技術審査官 はい。15頁の3からです。「手すり先行工法に関する検証・評価」ということです。手すり先行工法、メインのフィールドと言いますか、主たる手すり先行工法の目的というのは、組立・解体時における最上層からの墜落・転落災害ですので、(1)にその関係について書いています。
 今回、組立・解体時における最上層からの墜落・転落は全体で90件ありましたが、このうち手すり先行工法を採用していたにも関わらず、被災したという事案が4件ありました。この事案については、下のほうに書いてあります。当初ここが3件だったのですが、点検などの死亡災害について詳しく調べていく中で、死傷病報告には記載がなかったのですが、監督署で調べた結果、手すり先行工法であったというものが1件ありまして、これを1件追加しております。この4件のうち、不安全行動、床材の緊結不備などがなかった事案が2件ございました。それが丸の1番目丸の2番目に書いてある事案でした。そのほかの2件については、手順などに不備があったものでした。
 16頁の【評価】です。この1ポツ目で書いているのは、今回の災害90件のうち4件で、全体の4.4%が手すり先行工法を採用した現場の割合でございました。一概に比較することはできないのですが、報告書の2頁にありました、厚生労働省が昨年4月にまとめた結果で、手すり先行工法の実施率については約3割、わく組足場に限って見れば約4割という状況でした。一概に比較することはできないのですが、普及率3割ないし4割に対して、災害に占める手すり先行工法採用現場の割合が、4.4%ということで、3割がどの程度普及しているかという判断は別として、一定程度普及している中で、災害について見ると、4.4%に留まっているというものです。したがって、組立・解体時の最上層からの墜落防止に対して、手すり先行工法の効果というものは高いのではないか。その効果が、手すり先行工法を使わない場合と全く同じであったということであれば、この割合というのは4件ではなくて、もっと数が増えて、手すり先行工法の普及率に近いような数値になってもおかしくはないということから、逆説的に、効果は高いのではないかということが言えると思います。
 こうした状況から、手すり先行工法についても効果は高いのですが、組立・解体時の最上層からの墜落防止措置の評価結果については、6頁から7頁にかけて載っていますが、直ちにさらなる規則の強化までは必要ないのではないかという結論が出ています。その結果を踏まえますと、直ちに義務づけるまでの必要性はあるとは言えないのですが、効果が高いものですので、望ましい措置として普及を図る必要があると。
 ただ、普及を図るについても、作業手順を誤って、せっかく優れた工法を使っても落ちているケースも2件ありましたので、作業に必要な手順の徹底も含めて、これを併せて、引き続き普及を図ることは重要ではないかと考えております。そうした際の留意点としては、ガイドラインに基づく適切な手順に基づく措置の徹底を図る必要があります。
 あとは、手すり先行工法については、足場の外側一面だけに先行して手すりを付けるというのが一般的ですので、今回は件数も少なかったので見られないのですが、足場の建物側や、足場の妻面、両端部は先行手すりがないような状況も考えられます。そういった部分については、当然安全帯を併用しなければいけませんので、手すり先行工法を使ったからといって、手放しで安全帯は要らないのだということではなくて、高所作業でありますし、組立・解体時という非定常作業ですので、安全帯を併用しながらやることが望ましいのではないかと考えています。
 16頁の(2)です。通常作業時等における墜落・転落ということで、手すり先行工法を採用していたのですが、最上層からの墜落・転落ではなかったというものが3件ありました。手すり先行工法のメインの目的は、いちばん上で、まさに組み立てているときに先行して手すりがあることに非常に意味があるものですが、そうではなく、最上層以外でも手すり先行工法を使っていて、落ちてしまったというものが3件ございました。この3件について見ると、いずれも不安全行動、床材緊結不備ということが見られたという事案でした。
 手すり先行工法の「手すり据置き方式」や「手すり先行専用方式」という、手すりわくをそのまま組み立てていく際、残したままどんどん上に積み上げていくというような方式の工法については、そのわく自体が安衛則第563条第1項第3号に基づく措置をも兼ねてしまうということで、墜落防止効果が高いものであると考えられるわけです。上記の評価結果についてみますと、6頁から7頁にかけて組立・解体時の最上層の墜落防止措置については効果があるので、直ちに強化を図る必要はないのではないかということがありますので、直ちに義務づけるまでの必要性はないのではないか。ただ、望ましい措置として、引き続き作業手順の適切な徹底も含めて、周知を図る必要があるのではないか。このような結論になっています。17頁の下のポツについては、16頁と同じです。
 最後の18頁については、今回の事例から言えることとして、組立・解体時に最上層以外の所に人が立ち寄りまして、部材の受け渡しを手渡しでやっていて災害に至っている事案が見つかりました。具体的には、先行手すりの部材が邪魔になるので取り外して作業を行っていて、落ちてしまったというものです。もしくは取り外しはしないのですが、かなり身を乗り出して受け渡しをしていて、落ちてしまったというものでした。臨時に取り外す際には、安衛則上、墜落防止のため安全帯を使うことが義務づけられております。仮に取り外しはしないのですが、身を乗り出すような場合についても、取り外す場合に準じて、手すりわくはあるのだけれども、安全帯を付けることが必要ではないかということが書いてあります。
○小林座長 手すり先行に関する部分について、ご説明いただきました。組立・解体時における最上層からの通常作業時における災害についてです。いかがでしょうか。16頁の上の「災害防止効果と今後の対策」云々の部分ですが、建設現場の31%で手すり先行工法がある一方で、手すり先行工法で起こったものが4件ということですね。
○船井技術審査官 はい。
○小林座長 ここはちょっと文章を直していただければ、よりわかりやすくなると思います。
○船井技術審査官 はい。
○田村委員 直接、被害率の比較はできないのですね。母集団として、手すり先行工法をやったものとやっていないものを選び、その被害率は出てこないのですね。
○船井技術審査官 それは難しいです。
○田村委員 それは出てこないので、30%と4.4%を比較したということですね。
○船井技術審査官 そうです。一概には比較はできないのですが、ざっくり言いますと、全体の普及率と災害に占める手すり先行の割合ということで。
○田中建設安全対策室長 条件が同じであるということであれば、同じ率になるはずという。
○田村委員 あるいは逆に何の影響もないとしたら、同じ率になるはずだということですね。
○田中建設安全対策室長 はい。
○田村委員 その下の(その他の留意点)に、「作業方法を誤ったり、不安全行動等を行った場合」云々というのがありまして、これとか最後のほうの「今回の事例から」とあるのですが、手すり先行工法を用いた場合と用いなかった場合での、不安全行動などの出現頻度はわかるのですか。
○船井技術審査官 これはちょっとわかりにくいです。単純に言うと、今回出ている事案からいうと、出現頻度は5/7ということになります。手すり先行工法を用いていたにも関わらず災害に至った事案は7件ありまして、そのうち不安全行動等があったというのは5件ありました。ほかのものでは、24頁で言いますと、下のほうの不安全行動等「有」は、20件と117件なので、137/404で34%ぐらいになります。
○田村委員 でも、これはそういう比較はできない。特殊事例だけを持ち出しているのですからね。
○船井技術審査官 でも、おそらくそれはある程度は言えると思いまして、安全な措置なので、不安全行動でもしない限り落ちていないということは言えると思います。
○田村委員 そうなのです。それはわかるのですが、逆に言うと不安全行動を起こしやすいという解釈もできないわけではないですよね。
○船井技術審査官 それはそうですね。
○田村委員 だから、そうするとトータルで見たときに、良いのか悪いのかわからなくなってしまうので、そこがわかるような。要するに、前者の側であってほしいわけですが、前者の側であるということがわかるような整理の仕方はないですか。
○船井技術審査官 それは安衛則に基づく措置自体が、全く同じことが言えまして、措置をやることによって不安全行動を起こしやすいと。そこは数値的なものはなかなか出せなくて、前回第3回で実施したヒアリングなどですと、労働者の皆さんが。
○田村委員 ただ、それに関しては実施しているケースと実施していないケースで、被害が大きいかどうかというのは直接比較できますよね。それができなかったら、もう何も比較できないことになってしまいますが。心配したのは、不安全行動を誘発してしまうということがあったら良くない側面でもあるので。
○小林座長 こういう調査というか、そもそも災害が起こったデータを使ってということですが、もちろんそれなりのバイアスがかかっているわけですから、私もやっていますが、現場で足場の上で仕事をしているという調査をやって、そういう中で不安全行動がどのくらいの頻度で出てくるのかという調査をやることは必要だと思います。
○田村委員 結果的に出たとしても、31%と4.4%の比較から、災害の率は減っているだろうという推測はできますけれどもね。トータルとしてはね。
○田中建設安全対策室長 トータルが増えれば災害も減るでしょうと。
○小林座長 ほかによろしいでしょうか。次に進みます。
○船井技術審査官 19頁です。あまりお時間もないので、第4の業界団体ヒアリングなどで指摘のあった事項につきまして、それぞれ項目ごとに分けてご意見をまとめさせていただきました。こちらについては全部ご説明しているお時間はないのですが、いずれにしてもここに書いてある事項というのは、事前に議事要旨なりの形で、皆様にお配りしたものをわかりやすくまとめたものです。
 例えば(1)の安衛則に基づく墜落防止措置についてですが、これについては、いろいろな業界団体、労働者、それぞれのお立場で、労働者の皆様の足場上で行う作業の種類によっても、だいぶご意見が異なっていまして、「効果がある」「効果がない」「邪魔になる」という、賛否両論にわたってご意見がございました。これは手すり先行工法についても同じで、「作業性が劣る」「墜落防止の最上層における効果は非常に高いのでやるべきだ」など、賛否両論ございました。
 20頁の(3)の点検については、点検の実施自体については皆様否定的な意見はなく、おそらく肯定的なご意見だったと思うのですが、点検の実施者については、「第三者がやるべきである」「足場を責任をもって組んで作業主任者がやるべきである」という部分で、賛否両論がございました。
 (4)の足場上での作業性については、労働者の皆様にお越しいただいてお話をお伺いしましたので、非常に多岐にわたる、職種ごとの足場における墜落防止設備、幅木1つを取ってみても、「小物が落ちないという意味では非常に効果がある」「非常に作業の邪魔になる」というご意見がありました。一方で、「墜落防止効果にはなるが、作業の邪魔になる」というジレンマがあるようでございました。
 これに関連して(5)で、墜落防止措置を臨時に取り外すと。どうしても作業の必要上邪魔になるので、取り外さざるを得ない。こういうときには、当然安全帯を付けて作業をするのですが、これを元に戻すことを徹底することが不十分で、災害に至る恐れがあるのではないかと。日頃から口を酸っぱくして言っているのですが、どうしても労働者の人数が多くなると、戻さない人が出てくることが懸念されるということでした。
 (6)については、足場にいろいろと墜落防止設備を付けると、非常に物が増えると。そういった際に、物の運搬、組立・解体をする際に手間になります。そういった足場を設置する際に付随した災害が起こることにも留意しなければいけない。こういったご意見もありました。
 最後の(7)については、労働者に対する教育、作業主任者に対するレベルアップの教育について、必要なのではないかという意見がある一方、「災害の発生原因は労働者の責任に帰着するのはよくないのではないか」というご意見もございました。22、23頁には、その他の意見としていろいろありましたので、ご紹介させていただいております。
 24、25頁です。いままで災害防止効果について検証・評価をしてきたわけですが、いままでのものは個別ごとの項目についてやってきました。第5のまとめとして、総括評価ということで書かせていただきました。ここで言っておりますのが、下の図にあるように、今回詳細な分析の対象とした事案というのが、全部で404件ございました。組立・解体時の最上層が90件、それ以外の一側足場を除いた通常作業時等における事案が314件、合わせて404件です。
 これらについて、まず安衛則に基づく措置の有無について見ますと、「無」の割合が94%で、これらが安衛則に基づく措置をやっていなかった、もしくはやっていることが確認できなかったというものです。一方で、安衛則をやっていたにも関わらず落ちたものが24件で、5.9%となっておりました。この24件について見ると、24件中20件については、不安全行動や床材の緊結不備などの問題が認められたものです。逆に言うと、安全衛生規則に基づく措置をやっていて、かつ不安全行動なども認められなかったものは4件しかありませんでした。しかも、この4件については、先ほど出てきた表の中に事案がございましたが、目撃者がいなかったので、やっていたかどうかわからないものが1件あったほか、安全帯を付けていたけれども、安全帯が切れてしまったものが1件、ローリングタワーから降りる際に、梯子を降りていてということなので、直接墜落防止設備とは関係のないものが1件ありました。実質、こういった3件については、規則に基づく措置をしていて、不安全行動もなかったというところに位置づけておくことが適切かどうかということはあるのですが、どうしても労働者死傷病報告の記載から分類するにはこれが限界でしたので、このような形になっているわけです。
 まとめますと、いちばん下にそれぞれパーセンテージとコメントが書いてあるのですが、404件のうち約99%については、安全衛生規則に基づく措置をしっかりとやっていただくとともに、不安全行動、床材緊結不備をなくすための教育、構造上の不備であれば点検といったことをしっかりやっていただくことによって、防ぎ得た可能性が高いのではないかという結論になっております。
 いちばん上に戻りまして、直ちに墜落防止措置の強化を図る必要はない、十分に効果は高いのではないかと考えられるというものです。したがって、安衛則に基づく措置の徹底を図るとともに、下に書いてありますような措置というものも併せて、対策の推進が必要なのではないか。それと併せて、労働災害防止効果につきましては、今回詳細な分析をしたとはいえ母数が少ないというのもありますし、いろいろと集計上の問題もありますので、引き続き効果については継続して検証を行うことが適当なのではないか。このような結論に至っております。
 真ん中の辺りに(1)(2)とありますが、それぞれ組立・解体時の最上層からの墜落・転落と、通常作業時のそれぞれについて、安衛則に基づく措置の徹底に加えて、このようなことをやることが必要なのではないかということを挙げさせていただきました。これは、今回検証評価の対象とした災害事案から学んだというか、これをやっていれば防ぎ得たのではないかということを、それぞれ4項目ほど挙げさせていただいております。例えば組立・解体時の最上層であれば、作業主任者の選任を適切にして、職務を徹底していただくということで、防ぎ得た可能性が高いのではないか。あとは不安全行動をなくすために、作業手順の徹底、教育、作業主任者による監視といったことも必要なのではないか。手すり先行工法について、適切な手順と併せて、さらなる普及を図る必要があるのではないか。あとは、足場を組み立てる際に、労働者のヒアリングなどからも、扱いにくい足場はやりにくいというご意見もありましたので、扱いやすい足場機材を開発して普及することが必要なのではないか。このようなことが必要なのではないかと考えております。
 通常作業時等につきましても、丸の1番目にあるように、安衛則に基づく措置を徹底することはもちろんなのですが、足場上で作業を行う際に、臨時に作業設備を取り外すことがありますが、こういった際に安全帯を使用することはもちろんなのですが、作業が終了した際には、確実にこれを復旧することを徹底することが重要ではないか。こういった状況について、点検をうまく使いながらしっかりと担保していくことも重要なのではないか。
 丸の4番目、丸の5番目については、(1)と同じようなものですが、特に丸の5番目については、これもヒアリングの際に、足場の部材というのは墜落防止設備に関わらず、構造用部材も作業の邪魔になるという意見が現場の労働者の方から非常に多く寄せられました。したがいまして、作業に支障をきたさないような使いやすい部材も、併せて開発・普及していくことが重要なのではないか。これが最終的なまとめ、総括評価になっております。
 右側の頁です。この総括評価に併せて、いま申し上げました(1)(2)の丸の1番目から丸の5番目を、対策推進していくことが足場からの墜落防止措置を徹底して災害減少を図っていく上で重要であると考えておりますが、それを推進するに当たっての留意点ということで、25頁に書かせていただきました。
 今回の検討会におきましては、平成21年度の災害事例を基に、併せて関係団体、労働者からヒアリングを行いまして、現場の実情を把握しながら、安衛則に定める墜落防止措置について、設備的措置、管理的措置について、管理的措置というのは点検や作業主任者の部分も含めてですが、検証・評価を行ってきました。しかしながら、業界ヒアリングの際にもご意見が出ていたのですが、リスクアセスメントをして、作業計画を作って、計画の段階で足場以外の方法がないかも含めて、足場を設置するかどうか。足場を設置するのであれば、本当にその方法でいいのか。こういったことも含めて、リスクアセスメントの視点で、本質的な安全対策を検討していくことが重要なのではないかと考えられるわけです。
 今回検討会で業界ヒアリングをした際にも、手すり先行工法まで義務化すべきかどうか、第563条第1項第3号に基づく措置で十分なのか不十分なのか、さらなる強化が必要かどうか、そのような部分について、主に議論がなされていたわけでして、先ほどご紹介した業界団体ヒアリングの結果においてもご説明したとおり、賛否両論の意見が出されていたところです。しかしながら、今後足場からの墜落防止措置の検討に当たりましては、単に「設備的措置」の強化の要否のみに議論を終始するのではなく、下の表に挙げるような視点を含めた総合的な視点からの本質の安全対策のような検討を行っていく必要があるのではないかと考えております。
 また、検討に当たりましては、これも業界ヒアリングでも出ましたし、先ほど委員の皆様からもご発言もありましたが、墜落防止措置を適切にやらない背景として、作業性の低下はもとより、何か背景要因があるのではないかということも踏まえまして、対策が確実に履行確保されることを見据えて、また、実際に足場上で作業を行う労働者の作業実態、作業性も十分に踏まえ、作業性の低下、不安全行動を誘発するような新たなリスク、それが誘発されるようなことがないように、そういった対策をすることにも留意する必要があります。こういう結論にさせていただいております。
 下にあります表の左側については、リスクアセスメントの考え方なのですが、ヨーロッパや諸外国では、こういった順序で対策を考えていくということが決まっています。「優先順位」と書いてありますが、優先順位というと語弊があるのかもしれませんが、安全対策を検討するに当たっての基本理念というか、そういったものだと捉えていただければありがたいと思います。
 まず、例えば足場からの「墜落・転落」ということを考えたときに、落ちないように安全帯をしましょうとやってしまうのは、ちょっといかがなものかという視点です。まず、そもそも足場というのは、墜落・転落災害のある高所作業になりますので、そもそもそのような作業が本当に必要なのか、そういう作業をやらずに建設工事はできないのか。そういうことを計画段階から考えると。できるだけ高所作業をなくしていきましょうというのが、【優先順位丸の1番目】のものです。まず第一に、これを考える必要があるのではないか。それを考えた上でも、やはり高所作業として足場が必要だといったときには、ちゃんと設備的な墜落防止措置を講じましょうと。それがどうしても付けられない、作業に馴染まない部分があるので、そういった場合については、立入禁止措置、教育、マニュアルといった管理対策でしっかりとやっていくとともに、安全帯、個人用保護具を併せて使用して、トータルで災害をなくしていく。このような基本理念で、災害防止対策は考えていくべきではないか。
 こういった観点から、表の右側にありますように、足場からの「墜落・転落」について考えた場合に、この基本理念に沿った具体的対策ということで、いくつか例を挙げさせていただいております。以上です。
○小林座長 後ろのほうは全部まとめてご説明をいただきました。第4のヒアリング等から得られた知見の辺りについてはいかがでしょうか。これはかなり細かく書いていただいていますので、いろいろなご意見を網羅していると思いますが、網羅しているだけにまとめは難しいと思います。いちばん重要なところと言っていいかもしれませんが、第5のまとめについてはいかがでしょうか。
○田村委員 最後の表が気になるので、少しお話させていただきます。優先順位ではなく基本理念だとおっしゃって、トータルでというのは大賛成なのですが、この書き方だと、【優先順位丸の2番目】で(優先順位丸の1番目の措置で対応できなかった場合に実施)となっています。丸の3番目も丸の2番目までで対応できなかったらとなっています。この(対応できなかった)というのは、丸の1番目と丸の2番目の間はある程度明確なのかもしれないけれども、丸の2番目以降で(対応できなかった場合)というと、事故が起きなかった場合、起きた場合という意味に取れるのです。要するに、事故が起きるまでは事故は起きないわけだから、対応できているかどうかはわからないです。その意味でいくと、これは全部トータルで必要だという感じがするのですが、わざわざこれが駄目であればこれ、これが駄目であればこれとしなくてはいけないのでしょうか。
○船井技術審査官 対応できなかったというのを事故とのリンクと考えてしまうと、確かに先生のおっしゃるとおりですので、そこはちょっと言葉を注意しなければいけないと思います。
○田村委員 はい。
○船井技術審査官 これはリスクアセスメントということで、こういう災害が起きますが、これを防止するためにどうしましょうかと。言ってしまえば、安全帯を付けておけば落ちません、これで万万歳ですとやってしまうのは、よくないと。
○田村委員 それはよくないというのはわかっていますから、それは丸の1番目も丸の2番目もやるということですよね。ですが、災害というのはいろいろな要因が重なって、不幸の連鎖で行き着くケースがほとんどなので、考えられるいろいろなことを潰していかないと、1つの大きな災害を防げないと思います。これだと優先順位があって、これをやっておけば基本的には大丈夫だと言っていて、何か駄目なことができたら次の対応をしなさいという書き方になっているので、これはどう考えても、災害が起きなければ、丸の1番目のままでいい、丸の2番目のままでいいと言っているとしか読み取れないのですが。
○田中建設安全対策室長 対応できなかったという考え方が、リスクに対する対策を取った上で、リスクと重篤度の結果が対応できなかったという意味で、事故という意味ではないのです。
○田村委員 その判断のしようがありますか。
○田中建設安全対策室長 一応、それをやるのでいま苦労しているというのはありますが。
○田村委員 言葉で書くのはすごく簡単ですが、これを実際にやることを考えたときに、どこで対応できたか、対応できなかったかをジャッジするのかがすごく難しいです。例えば丸の3番目と丸の4番目は、丸の3番目はマニュアルを整備することですが、それで対応できていなかったという判断は、事故が起きるまでできません。
○田中建設安全対策室長 簡単に言えば、丸の3番目と丸の4番目の辺りは、丸の1番目、丸の2番目で大きな芽は潰した上で、軽度ではあるが危険性がある程度残っていると。そういったことをさらに潰すためには、丸の3番目、丸の4番目という措置が出てくるという形でですね。丸の1番目だけですべて終わるというものもあると思うのです。極端に言えば、高所作業がバッサリなくなったということがあれば、それで終わると。
○田村委員 足場を組まなくて済むわけだから、それはそうです。それは議論の外でしょう。
○田中建設安全対策室長 ただ、それが減らせたとしても、一部高所作業が残っていたり、その中でどうしても丸の3番目、丸の4番目が生き残ってくるということがあると。
○田村委員 丸の1番目から丸の3番目までで対応できなかった場合に、今度は丸の4番目をやるというのですが、丸の3番目はマニュアルの整備ですよね。マニュアルの整備は実施に至らせないと意味がないのですが。それでは丸の3番目と丸の4番目の境目はどのようにジャッジするのですか、措置できたかできなかったかは。
○大幢委員 左側は機械安全の基本原則ですから、それと足場とは全く1対1では整合しないのではないかと思うのです。さらに、足場は非定常作業が入っていますから、優先順位丸の1番目、丸の2番目、丸の3番目、丸の4番目というのは定常作業の話ですから、機械装置でもインターロックを外さなければ点検できないとか、また別の流れが出てくると思うのです。私は、丸の3番目のマニュアルの整備は違和感がありました。例えば、丸の1番目をやるにしてもマニュアルが必要になってきますよね。
 ちょっと厄介なのですが、流れとしては、まずハザードをなくすというのが一番であって、ハザードがある場合には、設備的な防護をしましょうと。人の面というのは管理でも間違えたりしますので、人の面のプライオリティをどんどん下げていくというような考え方ですよね。
○田中建設安全対策室長 基本はそうですね。
○大幢委員 丸の3番目と丸の4番目は、人が入ってくると間違える。足場だと、例えばまず計画立てるときに高所作業を減らすことを優先的に計画しましょうと。2番目に、高所作業が残った場合は手すり等適切な防護をしましょうと。ただ、できない箇所に関してはマニュアルとかではなくて、例えばイギリスの足場連盟とかの考え方でいくと、次に考えることは安全ネットとかして、墜落距離を短くしましょうと。要するに、集団的に護ることを最初にやって、最後に、個人とくるのです。個人に関しては、すべての段階で検討しましょうというような感じになっているのですね。
○田村委員 ただ、24頁の左下のほうに、いろいろな不安全行動とかありますね。そのパーセンテージってそんなに決して低くないのです。それを、こんな丸の3番目、丸の4番目が低順位にあるというので、何となくおろそかにされる風潮をもたらしませんか。いずれにせよ、ここに順位をつけなくてはいけない理由がよくわからない。
○大幢委員 ですから機械設備だと、例えばインターロックとか物理的に防護すると。
○田村委員 手順が決まっていて、その手順を追うという話と、これはちょっと違いますよね。少なくとも、この(対応できなかった場合)というのだけは、何か実際の用語として、そのシナリオをイメージするときに、一体それはどういうことを言っているのかが理解できないから、「これ駄目だったな」というのをどこでジャッジするかがほとんど明確ではないでしょう。すると、あまり意味がないですよね、それを書くこと自体が。
○船井技術審査官 この丸の1番目とか丸の2番目を、検討もせずに丸の4番目とか丸の3番目で。
○田村委員 そんなことを助長しようとしているわけではない、言っているわけではないのですけれど。
○船井技術審査官 それが言いたいのですね、その丸の1番目とか丸の2番目を検討せずに、丸の3番目、丸の4番目で解決しようというのはそれはちょっと違うのではないですかと。
○田村委員 だとすると、これは是非やりなさいということですね。
○船井技術審査官 全体的にはこういう理念なので、ちゃんと上から本質的なところから潰していきましょうと。こういう言い方なのですね。例えば、その手すりをつけるとか、安全帯でいいとかいうのは丸の2番目と丸の4番目なのです。この丸の2番目と丸の4番目ではどちらがいいんだみたいな話ではなくて、という趣旨です。
○田村委員 もう少しこう・・・。
○大幢委員 ちょっとうまい書き方があればよいですね。
○田村委員 わからないわけではないが、真面目に考えると、どうするのだろうと思ってしまう。
○船井技術審査官 この(対応できなかった場合)というのは、確かにちょっと用語としてはね。
○田村委員 それがよくないですね。
○船井技術審査官 まずは、いきなり丸の3番目から入るのではなくて、上をちゃんと考えたのですというのを言いたいだけなのです。
○大幢委員 考えた、というのが言いたいのですね。
○田村委員 わかります。
○船井技術審査官 これ、(対応できなかった場合)とかいうのは外して。
○小林座長 (対応できなかった場合)というのは、たぶんそれでもリスクが残ったということ。
○田中建設安全対策室長 もう括弧書きを取ってしまうと。
○田村委員 とったほうがいい。
○田中建設安全対策室長 取って、その優先順位と書いていますから、いちばん上から考えていくと。
○田村委員 そうそう、重要度みたいなものですね。
○田中建設安全対策室長 重要度です。
○船井技術審査官 より上に行くほど本質的というのでしょうか、根本からリスクを根こそぎ取れるという趣旨なので、そういうところをちゃんとやってくださいねと。決して、丸の2番目をやったから、もう丸の3番目、丸の4番目は全くいいですということはなくて。
○田村委員 ではないですね。
○船井技術審査官 例えば、丸の2番目でも足場の外側を一切隙間がないように防音パネルで全部覆ってしまえば人が落ちる隙間はないですが、普通に手すりをつけたとしたら、やはりそこから乗り出してどうのこうのというのがありますので、そこはマニュアルを整備してどうだと。乗り出す場合に安全帯を付けろと。そういうことも当然管理的対策として必要になってきます。報告書の個々の事項でも、そういうことにも留意すべきではないかというのを言及させていただいておりますので。
○小林座長 そうしますと、いまのようなご意見を踏まえて、この図といいますか、表といいますか、これに関する説明を、いまのだけですとこの部分が唐突に出てきてしまう可能性がありますから、これを十分に理解できるような補足の文章を。
 それと、これの基があるとは思いますが、そういう基を、例えば足場に適用してみたとか、リスクアセスメントの考え方からこういうものを持ってきたとか、そこら辺の補足の説明を入れていただけますか。
○田村委員 先ほど説明されたときに、最後はトータルでやはり安全性とおっしゃった、そういうことを書いたほうがいいような気がするのですが。
○大幢委員 そもそも、例えば現場ごとに何がいいかというのは。
○田村委員 また現場によってもそうですね。
○大幢委員 そうです。
○田村委員 違うのです、その辺の状況がね。ただ、これは1つの例ですね。全部を網羅しているわけでもないということも言っておいたほうがいいかもしれません。
○大幢委員 そうですね。この右の例がこれだけではなくて、もっと良い方法があれば、それはそれで採用していこうというのがリスクアセスメントの趣旨ですので。
○船井技術審査官 やはりこういった各現場に応じて設計計画の段階から、こういう理念に基づいてしっかり安全対策を考えていただいて、それを決めたものをトータルでうまく回してくださいというのが言いたいのです。その旨をわかりやすく書きます。
○大幢委員 いきなり現場で変更しろと言われても、足場のやり方が決まっていたら、それは変更のしようがないので、最初に、予め計画のときからいろいろリスクを低減することを考えていきましょうと。優先順位はやめて、例えば検討順位とか、何か違う言葉のほうがいいと思います。
 丸の2番目の場合、(対応できなかった)というのではなく、こういうことを全部検討していった中で最適なものを現場の状況とか、あるいは手すり先行工法をやったことのない人に、いきなりやれと言うと、またその手順が間違ったりするので、親綱に慣れている会社の人は親綱を張って工事するとか、それぞれの会社の能力によっても変わってくると思います。自分たちでいちばん最適なものを、自主的な安全管理ですね、自主的な安全管理のもとでやっていくというようなことです。
○田村委員 この報告書がどう使われるのか、ちょっとわからないものだから。
○大幢委員 いままで検討したのは24頁のことだったので、25頁がいきなりきたので、ちょっと突発ですので。
○田村委員 そうですね、これはちょっと・・・。
○船井技術審査官 ただ25頁というのがヒアリングもあるのですね。
○大幢委員 そうですか、業界団体のヒアリングとかそういう話があったのですね。
○船井技術審査官 あと、まとめの総括評価の、例えば(1)の丸の1番目から丸の5番目も、優先順位でいう丸の3番目とかそういうのもごちゃ混ぜに入ってしまっていて、こういうのを一緒くたで、しっかりやっていきましょうと言っても、何をどういう順番でやればいいのかがわかりにくいとまずいかなと思って、こういうのを委員のご指摘も踏まえて入れた経緯もございます。
○大幢委員 とにかくこの表でも、まず基本理念を大きく書いて。25頁の表の左の部分は基本理念が書いてありますが、まず、基本理念を書いて、高所作業をなくしたり減らしたりすることを考えましょうということがあって。そういうことを書いて、例としてこういうものがありますというような書き方のほうがいいのかなという気がするのですが。
 本質、安全化という話もヒアリングで出ていたはずです。
○船井技術審査官 ええ、聞いております。
○小林座長 できることなら、その図を基本理念として、24頁の(1)(2)のマルをそこにうまく位置づけることができれば、より具体的な話として理解できるとは思うのです。時間もなさそうですが、事務局でいまのご意見に則って少し検討していただけたらと思います。
○船井技術審査官 わかりました。そうしますと、1頁以降ですね。あまり初めのほうはご指摘なかったのですが。例えば4頁の辺り、その不安全行動をどう捉えたのかというのを細かく記載する、補足するということですとか、6頁辺りで言いますと、「6.7%しかない」というのは表現としていかがかということとか、類似の修正箇所がいくつかあります。そういったところも併せて、文章については直させていただきます。あと大幅な修正は25頁の関係です。その辺をまた事務局で修正させていただきます。
○田村委員 もう1ついいですか、用語です。安衛則とかその辺の定義はきちんと出されたので、わかりやすくなったと思うのです。しかし、この1つの報告書の中で同じことを表すのに、別の用語がたくさん使われている。例えば、作業員とか作業者とか労働者とか。たぶん同じことを言っているのだと思うのですが、これは1つの言葉に直したほうがいいと思うのです。あと作業主任者とかいうのはたぶん用語として法令上の何か意味を持つようなものだから、そういうものも含めて用語をきれいに見直して、統一したほうがいいと思います。
 ヒアリングのときに、各自が確かにおっしゃった言葉をそのまま忠実にやろうとするとそういうことになって、例えば、ブレースとかブレスとか、あるいは交さ筋交いとか、同じ意味を別の言葉でいってしまっている。ですが、1つの報告書の中では、やはり統一したほうがいいかと思いました。
○小林座長 全体として、そういうお話はいいですか。
○田村委員 もう1つ気になるのですが、12頁の下のは確かにそうなのでしょうが、「明らかに優れているとまでは言えない」という言い方は、少し工夫されたほうがいいと思います。より安全な措置だとは思っているわけですよね。
○船井技術審査官 そうです。
○田村委員 例が少ないから証明になっていないというだけの話ですから、ここはあまり無理してこう言う必要があるのかなと。無理ですよね、このように事例の少ない中で、「していれば防ぐことができたかどうか」というのは。
○小林座長 そのほかに、先ほども申し上げたのですが、いろいろ検討した項目の中にもずっと続いて、【検証】とその後に【評価】という手順になっているのです。検証というところで、検証の段階ではない記述になっていますので、その検証を何というのでしょう。
○船井技術審査官 いま小林先生がおっしゃったのは、例えば5頁目の上から6行目ぐらいに1の(1)の下に【検証】とあります。これが、ちょっと検証と言える内容ではないのではないかと。例えばここを、災害発生状況の分析とかに、ここで書いてあるのは災害の結果、何が何件で何パーセントだったかを淡々と書いておりますので、「災害発生状況の分析」とかという書き方にする。
 6頁目の下から9行目辺りの【評価】を外して、評価とか検証はいちばん最後のまとめでやるという整理にして、ここは純粋に普通の括弧の(災害防止効果と今後の対策)というのだけを残して、記載の中身からいって、すっきりいくのかなと。そこも含めて、また事務局で考えさせていただきます。
○小林座長 そのほかによろしいでしょうか。では時間もだいぶ過ぎていますので。
○船井技術審査官 いま意見交換・質疑の中で出たご指摘については早急に事務局で報告書の案を修正いたしまして、どういたしましょう。座長一任でよろしいでしょうか。では座長と相談させていただいて、速かに公表させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○小林座長 そういうことで、本日ご検討いただいた部分はこれにて、最終的には私と事務局で、あまり時間がなさそうですが、まとめさせていただきたいと思います。さらに、これだけはというようなことがありましたら、またメールでもいただきたいと思います。
 次は、その他についてです。
○船井技術審査官 その他は、特にございません。
○小林座長 5番目は安全衛生部長からのご挨拶です。どうぞよろしくお願いします。
○平野安全衛生部長 今日は遅れて参りまして、申し訳ございません。委員の皆様におかれましては、これまで4回にわたりまして一昨年改正しました労働安全衛生規則、あるいは関係通達に基づく足場からの墜落防止措置の効果についてご議論いただきまして、本日、その結果を基本的に取りまとめていただいたということで、感謝申し上げる次第でございます。また、取りまとめに当たりまして、年末年始にも関わらず、大変ご尽力をいただきました。このことにつきまして重ねて感謝申し上げる次第でございます。
 さて、今回検討いただいた「足場」につきましては、一般の方々にはあまり馴染みのない分野でもあるわけですけれども、労働の現場、特に建設の現場では必ず目にするというものでありまして、労働災害防止の観点からも特に重点を置いて対策を講じなければならない対象であると考えております。
 厚生労働省といたしましてはそういう観点から一昨年、平成21年3月に、労働安全衛生規則の一部を改正いたしまして、足場からの墜落防止措置の強化を図るとともに、その4月には改正安衛則に基づく措置の確実な履行と併せて実施することが望ましい「より安全な措置」を、いわゆる通達によって示しまして、その年の6月からの改正安衛則の施行以降、足場からの墜落防止の充実に努めてきたところでございます。
 今回、こうした分野につきまして労働災害の発生状況だけではなくて、関係団体や現場で実際に作業しておられる労働者の皆様の意見を聞きながら、安衛則あるいは関係通達で定める墜落防止措置の効果について検証・評価をいただいたということは、大変有意義であったと考えております。この報告書で取りまとめられました検証・評価結果につきましては、死亡災害のみならず休業災害も含めたデータについて、各分野の専門家の皆様によりまして客観的に検証・評価を行っていただいたものでございます。私ども行政が今後の足場からの墜落・転落災害の検討を行う上で、大変貴重な基礎的な資料になると考えております。本日取りまとめいただきました報告書はもとより、検討会を通じて委員の皆様、あるいは関係業界団体の皆様からご指摘のあった点も踏まえまして、足場からの墜落・転落災害防止対策のさらなる充実について、検討していきたいと考えております。以上、誠に簡単でございますが、検討会の最後に当たりまして、ご挨拶させていただきます。どうもありがとうございました。
○小林座長 全部で4回という短い時間でありましたが、この報告これからの労働安全衛生の施策に生かしていただければ、そういうものができればと願っております。どうもいろいろありがとうございました。ご苦労さまでした。


(了)
<照会先>

労働基準局安全衛生部安全課

建設安全対策室: 03(5253)1111(内線5489)

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