ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 石綿による疾病の認定基準に関する検討会> 第4回石綿による疾病の認定基準に関する検討会議事録




2010年10月6日 第4回石綿による疾病の認定基準に関する検討会 議事録

労働基準局労災補償部補償課職業病認定対策室

○日時

平成22年10月6日(水)17:00~19:00


○場所

中央合同庁舎5号館 労働基準局会議室(16階)
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号)


○出席者

(参集者:五十音順、敬称略)

審良正則、岸本卓巳、神山宣彦、三浦溥太郎、宮本顕二、森永謙二

(厚生労働省:事務局)

河合智則、神保裕臣、渡辺輝生、幡野一成、笹川康成

(厚生労働省:安全衛生部)

田原裕之

(環境省)

寺谷俊康

○議事

○笹川中央職業病認定調査官 定刻となりましたので、第4回「石綿による疾病の認定基準に関する検討会」を開催させていただきます。本日は、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。本日は、委員の先生方全員に出席していただいておりますが、岸本卓巳先生におかれましては、所用のため18時に中座されるということですので、ご了承のほどお願いいたします。本日は、オブザーバーとして環境省の寺谷室長補佐が同席しております。また、安全衛生部から田原中央じん肺診査医も同席しております。また、本年8月5日付けで人事異動がありましたので、ご紹介させていただきます。補償課長の河合でございます。
○河合補償課長 河合です。これからもよろしくお願いいたします。
○笹川中央職業病認定調査官 写真撮影等は以上とさせていただきます。以降、写真撮影等はご遠慮願います。それでは、以降の議事進行は森永座長にお願いいたします。
○森永座長 まず、資料の確認をお願いいたします。
○笹川中央職業病認定調査官 本日配付している資料は、資料1「IIAC石綿関連疾患に関する報告書(抄)」、この資料は、前回第3回検討会で資料4として提出したものです。資料2は資料1の翻訳版です。資料3は「報告書(素案:一部)」です。資料4「びまん性胸膜肥厚の労災認定件数内訳」となっております。資料の不足等はございませんでしょうか。以上です。
○森永座長 資料3を除いて、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○幡野職業病認定対策室長補佐 資料1については、資料2で翻訳が出ております。これについては、翻訳版を用いてご説明いたします。この翻訳版については、独立行政法人労働安全衛生総合研究所が、平成18年度の委託研究として実施した「石綿による疾病に係る臨床・病理・疫学等に関する調査研究」報告書の参考資料として取りまとめられたものより抜粋したものです。この翻訳文自体にご意見、ご異論がないようでしたら、この翻訳文を用いてご説明申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○森永座長 これは、もう一度確認しましょう。もし間違いがあったら困りますから。
○幡野職業病認定対策室長補佐 それでは、ご覧になっていただいてということになりますか。
○森永座長 とりあえず本日はこれでやりますけれども、最終の報告書までにはもう一度チェックすることにしましょう。
○幡野職業病認定対策室長補佐 これについては、座長がおっしゃられております1996年の認定要件についての勧告という形での性格を持ったものとご理解ください。当時の認定要件については8頁以降の「附属文書1」という形で添付されております。その中でびまん性胸膜肥厚は10頁のD9で、その疾患又は障害の名称として、「影響部位のいずれかの箇所に認められる肥厚が5mm以上の厚さに達した片側性もしくは両側性のびまん性胸膜肥厚。この徴候は(コンピュータ断層撮影やその他の画像撮影形態ではなく)胸部の単純X線撮影によって測定されたもので、以下のような特性を持つものとする。」
 「i)片側びまん性胸膜肥厚の場合、被曝露肺の胸壁の50%以上に広がっている。もしくはii)両側びまん性胸膜肥厚の場合は両肺を合わせた胸膜の25%以上に広がっている。」このような形で定められております。職種は上記D8に同じということです。D8を見ますと、a)として、「石綿または石綿混合物の加工もしくは取扱い。」b)として、「石綿繊維または石綿を含有するその他の物品、または石綿でできているその他の物品の製造もしくは補修。」c)として、「前述の作業に用いられる機械類または設備、並びに石綿粉じんの捕集に用いられるチャンバーや付属設備、器具などの洗浄。」d)としては、「前述のいずれかの作業から生じる粉じんへの相当な曝露。」このような形で定められております。
 それに対して1頁、2頁に「指定疾病規則別表に関する見直し調査報告」があります。その中で、びまん性胸膜肥厚に関しては、2頁の5番で、「非標準的な胸部単純X線が多用されており、胸膜肥厚の程度の測定によって確定が行われるびまん性胸膜肥厚の診断が複雑化している。我々は、胸部単純X線における肋横角の関与に基づいてびまん性胸膜肥厚の診断を確定するように勧告する。」ちなみに6番で、我々は、石綿への職業曝露による胸膜プラークについて検討したが、同疾患の認定が妥当であることを示す証拠は得られていないことを確認した。
 3頁で、「委員会に寄せられた証拠」として、これはD9の胸膜肥厚についてのものを抜粋しているようですが、そこの部分の委員会に寄せられた証拠として、まず診断規準のほうで申し上げます。3頁の下のほうの70番のところで、「現行の認定要件は、診断規準の充足方法として、標準的なX線写真に基づき、胸膜肥厚を測定するよう定めている。しかしながら、現在では、較正手段の限られた非標準的な大きさのX線が使用されることが多く、診断のための具体的な測定値の活用において問題を生じている。専門家は、肋横角の関与を、石綿によるびまん性胸膜肥厚の診断指標として適用できる可能性があることを示唆している。実際、専門家の意見では、肋横角の関与が、石綿によるびまん性胸膜肥厚の診断における最も重要な臨床因子の一つであり、X線写真は同疾患に罹患していることを示す最も適切な指標であるということであった。」並びに「職業対象範囲」については、4頁の71番で、「胸膜肥厚に対する対象職業の範囲については変更を加えないことが望ましい。」
 「勧告」として、「委員会は以下のように勧告する。」a)として、D9ですが、「胸膜肥厚の認定を変更し、胸膜肥厚の認定要件を抹消するとともに、胸部単純X線撮影における肋横角の関与を要件として導入する。」b)として、「対象職業範囲に変更を加えない。」こととされています。
 「石綿関連疾患に関わるその他の問題」として5頁以降にあります。7頁の83番に、認定要件について触れております。「D9の認定要件については、胸膜肥厚の程度に関する具体的な測定値の照会という要件を抹消するよう、改正するのが望ましい。その代わりとして、胸部X線によるびまん性胸膜肥厚の診断要件に肋横角の関与を含めるよう、認定要件に明記すべきである。D9の職業分類には変更を加えないことが望ましい。」とされている。
 12頁以降に、この勧告による認定要件の附属文書があります。その14頁のD9のところで、「疾患または障害の名称」ということで、これについては冒頭でご説明申し上げました10頁のところと見比べていただければと思います。疾患または障害の名称としては、「肋横角の消失を伴う片側性もしくは両側性のびまん性胸膜肥厚」と定めております。職種については変更なしということで、a)からd)までのものが前回と同じ形で書かれています。
 これについては勧告が2005年ということで、森永座長からイギリスのIIACへ確認していただいた結果、2006年4月6日から実施されているということです。したがって、びまん性胸膜肥厚については、14頁のD9ということが要件となっております。
 続いて資料4「びまん性胸膜肥厚の労災認定件数の内訳」についてです。平成16年度から平成21年度の間に、業務上として認定いたしました件数は139件です。その中で私どもの調査といいますか、実施要領といいますか、その中で主治医の先生から参考的に肋横角の鈍化についてお書きいただく所もあります。これは、書いてあるものと書いていないものがあります。書いてあるものが76件ありました。76件の中身を見ますと、「肋横角の鈍化有り」と書かれているものが70件、「無し」と書かれているものが6件ということで、鈍化について記入がないものないしは「不明」が63件でした。
 肋横角の鈍化であるとか、消失であるとかいろいろな表現が使われておりますけれども、一応ご紹介させていただきますと、Involvement of the costophrenic angle、以下同じでObliteration of the costophrenic angle、Blunting of the costophrenic angleということで記載されております。以上ご報告申し上げます。
○森永座長 資料2と4についてご質問、ご意見がありましたらお願いいたします。この英語の訳が難しいですね。資料2のほうでは「Involvement」を「関与」と訳しています。関与という訳がいいかどうかは1つ問題があります。英語でいちばんよく使われているのは「Obliteration」ですよね。「Blunting」というのも使われていることは使われているけれども、いちばんポピュラーなのは「Obliteration」です。この「Obliteration」はどういう訳がいちばんいいのですか、いままでのところどういう訳になっているのですか。
○審良委員 どちらでもいいのではないですか。「消失」でも「鈍化」でも同じことを言っているのです。
○森永座長 そうでしょうか?英語をより直訳的に言えば、「Blunting」は「鈍化」で、「Obliteration」のほうは「消失」ではないのですか。
○審良委員 私は、鈍化のほうをよく使っていて、日本では「Obliteration」の消失よりも鈍化のほうをよく使っています。ただ、訳としては消失のほうが確かにいいと思います。日本と外国での使い方があまり厳密になっていないのです。
○宮本委員 鈍化というと、肋横角がわずかに軽くなまっているといいましょうか、私たちが胸部写真を読むときには「dull(鈍化)」という言い方を教わりました。それはわずかな癒着とか胸水が少し溜まっている所見です。ここでいう胸膜肥厚の場合は、完全に肋横角が消失している高度なものを言っているように私は個人的には理解しています。鈍化と言ってしまうと、肋横角のところがすこしでもシャープさがないものも含まれてしまうような感じがします。
○審良委員 鈍化の程度をレントゲン的に分けている所もあるので、軽度とか、その分け方をするとちょっとしたものは軽度になるので、必ずしもびまん性胸膜肥厚がかなりきつい鈍化とは言えず、やはりこのびまん性胸膜肥厚の程度に関係してくると思うのです。
○森永座長 この訳も含めて、IIACはいちばん最後の、英語版の資料1の29頁のD9のところは「obliteration」と言っています。前のほうは「involvement」になっています。何か意味があって使い分けているのかどうかがわからないのです。例えば22頁の83は「involvement of the costophrenic angle」という言い方をしています。資料4で「肋横角の鈍化なし」と言っているのも、主治医の意見ですからわからないです。そのように理解していいですよね。
○岸本委員 いいのではないですか。本当に肋横角の鈍化はない例もあるのですけれども、非常に珍しいことだけは間違いないと思います。
○森永座長 どっちでもいいというわけにもいかないので、どちらかに統一しなければいけないと思うのです。英語の文献は「obliteration」がいちばん多いというのは共通認識としてよろしいですよね。それを「鈍化」でいくか「消失」でいくかは、レビューをいっぱい重ねていって結論するしかしようがないです。そういう扱いでよろしいですか。
 続きまして、いままで取りまとめた資料3で議論をしていきたいと思います。資料3の頭のところは、とにかく胸膜肥厚というと、胸膜プラークとびまん性胸膜肥厚と両方含んでしまうわけです。それから、画像で胸膜肥厚というと、脂肪の所見も含んでしまうということで、いままでに使われてきた画像での定義を(1)のところで紹介していただいています。これを、審良先生のほうから簡単に報告していただけますか。
○審良委員 びまん性胸膜肥厚のレントゲン的な定義というのは、決まった1つのものはないみたいなので、いろいろな定義を使って研究者が行っています。それが胸部写真ですとさらに真のびまん性胸膜肥厚でない、なにせ影を見ているので、濃度が上がっていれば、どんなものでも拾ってくる可能性があります。それを、いろいろな形で厚みを厚く取ればかなり正常者がオミットできるということですけれども、逆にその中には本当のびまん性胸膜肥厚を見落とされる可能性があります。それで、胸部写真では厚みを言っている人が多かったです。
 最近の論文として、次の頁のAmeilleですが、びまん性胸膜肥厚の厚みが5mm以上で、胸壁の4分の1以上にわたって拡がる連続した胸膜肥厚と肋横角の鈍化を比べた場合に、鈍化のほうがよりびまん性胸膜肥厚の診断に信頼性が高かったという論文が2004年に出ています。
○森永座長 この人たちも、肋横角の鈍化というか、消失というのを入れたほうがいいという意味ですね。信頼性が上がるというのは、そういう意味ですね。
○審良委員 dimensionのほうが信頼性が低いということです。
○森永座長 CTが必要なのではないですか。
○審良委員 いまいけないのは、胸部写真を信頼しようとするからこのように定義がいろいろ変わってくると思うのです。
○森永座長 画像はいま紹介したような話があるという理解でよろしいでしょうか。疫学のほうは私から説明させてもらいます。疫学というのは、1990年まではILOの分類を用いて調査をしているのが現実です。ILOの国際分類については、後ほど三浦委員から紹介してもらいます。1971年にILOの国際分類が出て、1980年に改訂されて、さらに、2003年に改訂されたという流れがあります。
 2頁の最初の論文は、タバコを吸っている人のほうがびまん性胸膜肥厚の有所見が多いというペーパーです。次のHillerdalの論文は、肋横角消失というのが大事だと書いてあります。潜伏期間がプラークよりは少し長かったということが書いてあります。Finkelsteinのペーパーは、ばく露が高いほどびまん性胸膜肥厚のリスクも高くなる。ただ、それは不整形陰影ほどではなかったというペーパーです。3頁のいちばん下の論文は、胸膜肥厚といっても、肥満による胸膜肥厚もあれば、胸膜プラークが融合したものもあって、いろいろなものが混ざってきますということが書いてある論文です。
 4頁の上のNemethの論文は、sensitivityとspecificityを計算している報告です。線維化の所見は、肥厚の所見のほうがsensitivityが高かった。びまん性胸膜肥厚と肺の線維症と両方があればsensitivityは低くなるけれども、specificityが高くなる。つまり、石綿によるものだという可能性が高くなるというペーパーです。
 Bohligの論文ですが、これは例の有名な図を描いたドイツのレディオロジストです。1980年版のILOの分類も、あまりプラークとびまん性胸膜肥厚との鑑別がうまくできないので、それはもっと改正すべきだという論文です。
 いちばん下の論文は、Wittenoomのばく露の対象者の話です。数がきちんと書いていないのでもうひとつよくわからないです。5mm未満の胸膜肥厚の所見の取り方では、読影者に非常にばらつきがあるということが書いてあります。5頁目の別の論文でも、同じように厚みの測定、特に5mm未満については非常にばらつきがあるということを言っています。
 その次の人の論文では、ある程度のばく露のあるところで、このいろいろな有所見率が出てくるのですが、時間がなくてまだ書いていません。軽濃度のばく露の集団では、線維化の所見もないし、びまん性胸膜肥厚の所見もなくて、プラークの所見のある人だけが出てくるというような調査の報告もあります。いちばん最後の報告は、ある程度ばく露のある集団での有病率はこの程度あるという報告です。
 私のほうの疫学も、びまん性胸膜肥厚として書いてあるペーパーがあまり多くないといいますか、胸膜肥厚をプラークとびまん性胸膜肥厚と一緒にしている論文も多いので、そこのところの読み分けがちょっと大変だという印象です。疫学のことはまだ途中なのですが、何か意見はありますか。そんな状況でまだ作業を進めているということですが、ないようでしたら呼吸機能障害のほうへ行きます。呼吸機能障害については、宮本委員からお願いいたします。
○宮本委員 6頁目から私が担当しました、呼吸機能障害についての概要です。これも最初にお断りしますけれども、頭の中で整理できないところがありまして、まだ引用などは入れていません。途中経過ということでご理解ください。
 基本的には、既に主たる病変は拘束性換気性障害であるということは一次答申で明記して、閉塞性換気障害については今後の検討を要するということでまとめさせていただきました。そういうことなので、二次答申では閉塞性換気障害の合併の有無に的に絞って文献的考察を行いました。
 石綿関連肺疾患とCOPD、閉塞性換気障害の代表疾患である肺気腫の合併に関する報告を少し調べてみました。多くの論文は、喫煙の影響も含んだものです。それをまとめると、ほとんどの論文が閉塞性換気障害の合併例があることを示しています。面白いのは7頁目の真ん中にある、Fridrikssonらは、胸膜病変はあるのだけれども、胸部X線写真では何も異常は認めない石綿ばく露者を集めて呼吸機能を調べると、やはり何らかの気流制限、つまり閉塞性換気障害があると報告しています。もちろん軽度の閉塞性換気障害です。
 呼吸機能障害では、石綿吸入ばく露歴のある方はほとんど喫煙者です。そういうことで、喫煙の影響に関する論文がありました。多くは石綿肺と喫煙との関係の論文で、胸膜疾患と喫煙に関する論文はなかなかありませんでした。その中でKilburnという方のChestの1990年の論文は胸部X線写真で胸膜プラークのみの症例を集めています。
 結論として非喫煙者においても8頁の1行目ですが、「その中で、非喫煙者において、胸膜病変に伴う拘束性換気障害だけでなく、気流制限(1秒量の低下と1秒率の低下)も伴い、かつ、これらの障害は喫煙者でより強い」と明記しています。
 Kilburnも、1991年の論文で、やはり喫煙者と非喫煙者と分けています。非喫煙者で胸膜病変のみ、これはびまん性胸膜肥厚とプラークと両方を合わせた検討です。拘束性換気障害はほとんどないにもかかわらず、1秒率の軽度の低下があることを報告しています。
 1行おいて、「一方、石綿肺における」のところは、石綿肺と喫煙の論文についてのまとめです。これを見ても、本来の病態は線維化が主体ですから、閉塞性換気障害はほとんど起こらないはずなのですけれども、やはり閉塞性換気障害が非喫煙者にも認めます。ただし、当然のことながら閉塞性換気障害は喫煙者のほうが非喫煙者よりも3.5倍多いと書いてあります。
 そのようにまとめると、まだ中間報告の段階なのですけれども、アスベストによるびまん性胸膜肥厚に伴う呼吸機能障害は、拘束性換気障害が主であるのは皆さんが認めるところであります。閉塞性換気障害については合併例が報告されていますが、程度は軽いと言えます。ただし、具体的論文の中のデータを読むと、つまり、標準偏差を見ると、数は少ないが高度の閉塞性換気障害の者が存在しているのは事実です。そういう人たちが非喫煙者ということは、喫煙以外の原因によってCOPDが起こっているかもしれないし、石綿そのものによるのかもしれないのですけれども、実際にそういう方がいるのは事実です。そういう方に対して補償という考えからどうするか、そういう考え方に基づいて判断するべきかもしれないし、医学的にこれは考えられないという意見が出るかもわかりません。とりあえず事実としてまとめさせていただきました。
○森永座長 ご意見がありましたらお願いいたします。
○三浦委員 最後のところですが、著しい閉塞性換気障害があるとしても、それが石綿によるものかどうかはわからないのです。逆に、そういうのはかなり特殊例だと思いますので、個別に検討する必要があると思います。
○宮本委員 あくまでもこれは呼吸機能なので、実際は職歴とCT所見を組み合わせることによってかなり鑑別ができると思います。これは、あくまで呼吸機能から見た意見ということで述べさせていただきました。
○審良委員 それがスモールエアーウェイディジーズ(small airway disease)にも関係している可能性があるのではないですか。細気管支病変は画像的には出ないし、ほとんど胸部写真ではわからないので、あれがどのぐらい影響しているか。肺の場合は気道、末梢気道病変にどれだけの影響を与えているかというのはわからないです。
○宮本委員 ただ末梢気道病変単独ですと、1秒率にはそんなに反映されないはずなのです。論文の実際のデータを見ると、高度の1秒率が低下の人の説明は末梢気道病変だけではちょっと説明がつかないかなという気もいたしました。
○岸本委員 いま、私も環境省のほうでびまん性胸膜肥厚の症例を集めています。パーセント肺活量60%以下というクライテリアがあります。60%を切る人はそんなに多くないのですけれども、画像上いまの認定基準で、なおかつタバコを吸っている人が多いので、パーセント1秒量が50%を切る人は結構います。それを、即認定するかどうか。そういう方の呼吸機能は、自覚的にはそんなに悪くないということもあり、今後の検討かと思っております。
 139例の労災補償を受けている方がいるということなので、私としてはそういう症例を検討させていただければありがたいと思います。過去に労災認定された方を追跡するのは難しいかもしれませんけれども、今後労災認定される方を詳細に検討してみたらどうかと思います。今回検討した論文は、ほとんどが1990年以前のものです。すなわち20年以上前の論文ばかりです。2000年以降でまとまったびまん性胸膜肥厚に関する論文はほとんどないと言っていいぐらいです。もちろん、レントゲン正面像だけで診断をするのも難しいけれども、いまの日本の現状だとCTは簡単に撮影できます。肺機能も含めて日本版のデータを集めていくこともしていかなければいけないのではないかと思っております。CTを見れば、気腫化がどれぐらいあるかというのは大体わかりますし、それと肺機能と合わせてみることもでき得ると思います。
 もう1つは、宮本委員が言われた喫煙がなくて、石綿ばく露者で閉塞性換気障害というのは、たぶん女性例でタバコを吸わない人が、かつて日本にもあったわけです。びまん性胸膜肥厚の症例で実際に私が診ている症例も喫煙者ばかりなので、非喫煙者でびまん性胸膜肥厚の方はほとんど見当たらない状況なのです。いまおっしゃられたのは、三浦委員が言われたように個別で検討する。胸水が残存する例がどのぐらいあるのか、胸水はもう引いてしまって肥厚だけが残っている例はどうなのだということも問題です。水が残っている例と、残っていない例で呼吸機能はどうなのかは、プロスペクティブにも検討していったほうがいいのではないか。これは認定と並行してやっていってはどうかと思います。
○宮本委員 私もそのとおりと思います。調べていて、今から20~30年前の論文がほとんどです。またイギリスではCTはそう簡単に撮れないと聞いていますので、CT所見と呼吸機能を組み合わせた論文は皆無です。したがって昔のデータをそのまま現状に当てはめるのはちょっと難しいという気がいたしました。
○森永座長 検討会の本題とは外れる話がでてきていますが、そのことは別にすることにいたします。いちばん最初に審良委員からありました、スモールエアーウェイディジーズの話は画像ではわからないからどうしようもないですね。
○審良委員 方法としては、吸呼気CTというのをすればわかるのですけれども、そういうのは特殊なのです。
○岸本委員 スモールエアーウェイディジーズで、レントゲンに映らない症例は少ないので個別事案になると思います。過去の大阪泉南であったような、高濃度ばく露者は非常に少ないので、このような症例の頻度も極めて少ないと思います。
○森永座長 いままでの総合評価は、アメリカの例の胸部学会のレポートでは、プラークよりはばく露量が多いけれども、石綿肺を起こすほどのばく露がなくても起こるという、いまのはそういう考え方でしょう。それは、もう少しきちんと詰めてみないといけないのですけれども。だから、石綿肺はどんどん減ってくるでしょうけれども、石綿肺を起こさないほどのばく露量でも起こすということであれば、これはまだ可能性があります。
 前回取りまとめた呼吸機能障害の基準のままで、いま見直した範囲ではいまのところはそれでいいかなというのが宮本先生の意見ですか。もうちょっと調べなければいけませんけれども。
○宮本委員 ただ、これはCT所見を合わせて総合的に判断するということを是非入れないといけないと思います。呼吸機能だけで論じるのは限界を強く感じます。
○森永座長 だから、認定基準と同時に、こういうものは総合判断すべきだとか何かあれば、もっと別の相談をしろという話があってもおかしくはないという意味ですか。
○宮本委員 はい。
○森永座長 そういう理解でいいですよね。
○宮本委員 このまとめにそういう文言が抜けています。申し訳ございません。
○森永座長 これは、全部の論文をきっちり調べているわけではないので、いまパッと見た範囲ではこういう話だという理解ですね。
○宮本委員 はい。
○森永座長 気流制限というのは、8頁の上に書いてある1秒量の低下と1秒率の低下が気流制限だと言い切っていいのですか。
○宮本委員 一般的に気流制限という言い方は、別に気道閉塞とか気流制限という言い方をします。呼吸機能で評価できるのは1秒率と1秒量です。昔はV50 やV25とかも検討されましたが、今はそういうのはあまり使っていません。実際の臨床現場にこれを戻して判定する場合には、通常出るデータとしてフローボリュームカーブの1秒量、1秒率、肺活量、努力肺活量ぐらいしか数値は出ませんので、それ以外について細かいことを言うのはどうかと思います。
 結論として、気流制限は肺活量1秒率、1秒量で判断していいと思います。
○森永座長 この素案全体でご意見なり、もっとここは調べなければいけないとか意見はありませんか。実はこのレビューはいろいろ書いていますけれども、主にA,Rev Respir Disとか、Br J Ind Med、それからThorax、Chestも入っていますか、そういうのが中心で、画像はまた別にRadiologyとかいろいろな雑誌がありますけれども、そういうのを中心に一応調べています。よりコンプリヘンシブルなサーベイをする必要があって、まだそこまで至っていないのが実情です。
 近々環境省のほうで、びまん性胸膜肥厚の文献レビューをするということを聞いていますので、そちらで文献がまた新たに見つかることもありますので、そういう文献も我々のほうで入手して、それも反映させていくと。よりきちんと見ていくと、岸本委員がいろいろおっしゃられましたけれども、また新しいのが出てきているかもわかりません。そういう報告書も加味して検討したいと思います。びまん性胸膜肥厚の検討は本日で一旦中断して、環境省のほうの文献の収集ができますので、それを踏まえてもう一度レビューを行った上でもう一遍やるという形にしたいと思います。一旦中断して、環境省の文献レビューで文献が集められますから、それも入手してこれに反映させるという方向でいきたいと思います。そういうことでよろしいですか。まだ、文献を全部集められていないのが実情です。宮本先生、それでよろしいですか。
○宮本委員 はい。
○森永座長 ILOの分類のことを三浦先生から紹介してください。
○三浦委員 ILOの分類ですが、1971年版において初めて、胸膜肥厚が石綿肺のところで記載されるようになりました。そして1980年版から、胸膜肥厚は、限局性胸膜肥厚とびまん性胸膜肥厚に分けて記録されるようになっています。
 しかも、そのときに1980年版では、厚さが5mm、5~10mm、および10mmを超えるもの、a、b、cの3段階になりました。それから幅は、全長が側胸壁の上から下までの4分の1、4分の1から半分、半分を超えるものという1、2、3に分けられました。
 2000年版ではちょっと変わりまして、厚さは3~5mm、3mm以上というのが先ほどの審良委員のお話にもありましたように、厚みとしては3mmという基準が1つ加わりました。いままでは、5mmとか10mmという数値で言われていたのが、およそ3mm、およそ5mm、およそ10mmということですから、厚みはそれほど厳密に測ってもしようがない、測れないのだというのが本音のところだと思いますので、その辺で「約」という数字が2000年の基準に入りました。実際に出版されたのは2002年ですので、そこから変わっています。
 それに関してですけれども、1980年版の5mm以上、幅の広がりが4分の1、2分の1という基準が出たときに、実際に2人の専門の読影委員が、まず1週間おいて2回読影しています。1週間置いて2回読影したときに、厚さにはそんなに大きな変化はないのですけれども、2人の委員間でかなり違いがありました。もう1つ広がりの範囲についてはてんでんばらばらで、1人の読影委員が1週間おいて測ると12~45%、もう1人は31~65%と、1週間おいて測定するとかなりばらつきがあるということです。読影者間の一致率も15~44%だということで、当時から1980年のフィルムの基準で読影してもかなりばらつきがあって、比較はかなり困難だろうという予測が立っていたということが今回のこれでわかりました。以上です。
○森永座長 厚さについてはイントラ・オブザーバー・バリエーションはあまりないのだけれども、インター・オブザーバー・バリエーションはある。
○三浦委員 そうです。
○森永座長 非常に難しい表現をしてしまって申し訳ありません。
○三浦委員 ウイズィン・インターです。
○森永座長 この間も議論しましたけれども、「およそ」という意味合いでいいのだというのが2000年の分類です。概ねということでいいのであって、いままでは5mmと書いてあったら5mmを測らなければいけないわけですけれども、概ね5mmであればいいという、そういう意味ですよね。
 だけど、論文で疫学調査をするときには、ILOの1971年分類、1980年分類を用いてやるという、ほとんどの論文の疫学調査はそうなのです。疫学調査のためにILO分類を作ったとなっていますから、それを用いて疫学調査をする。しかし、1971年版を使えば、プラークとびまん性胸膜肥厚との鑑別はつかないわけです。一部では鑑別をしている論文もあるわけですが、そのときの鑑別の材料にcostophrenic obliterationというのを入れている論文もあるということで、疫学調査の論文を読むときは、どんな分類を用いて調査をしたかをはっきり確認をしてレビューしないといけないことになります。
 呼吸機能の場合も、非喫煙者と喫煙者の分類が、過去喫煙者はどっちに分類しているのかをちゃんと読まないと、ときどきややっこしい話になります。もう少しコンプリヘンシブな文献のレビューをしますので、その文献を環境省からいただいて、最後のびまん性胸膜肥厚のよりサイエンティフィックなものに反映させるということ。皆さん仕事を抱えながらレビューしているので大変だと思います。レビューは、集中しないとなかなかできないですよね。もう少し時間をいただきたいというのは、私だけではなくて、皆さんもそうですね。事務局のほうには、そういうことで一旦中座させていただいてと。環境省のほうはそういうことで文献を我々のほうにもいただけるという形で、もうちょっと時間をいただきたいということでご理解いただきたいと思います。次回の日程は、進捗状況を見て決めさせていただきたいと思います。
 急がなければいけない理由はわかりますけれども、宮本委員のほうで、この間決めた基準はいまのところあれでいいかなというニュアンスもありますので。それは言いすぎですか。
○宮本委員 それはちょっと別で。ただ、閉塞性換気障害の高度の人が存在するのは事実なので、それを補償の対象としてどうするかという捉え方と、医学的にこれはタバコ以外に大気汚染の何かを吸入して起こったというのは否定できないわけです。今回は喫煙だけに注目してみました。
 COPDはほとんど喫煙が原因ですが、喫煙以外の大気汚染でも起こることがわかっています。ですから、こういう中で本当に高度の閉塞性換気障害の人は非喫煙者がいるのは事実で、それは石綿ではない可能性も否定できないわけです。ただ、それを調べるとなると現実にはなかなか難しいことがあって、それを補償という概念で私が言える立場ではないのでわからないです。
○森永座長 イギリスは、厚さと広がりの要件を一応取った格好になっているけれども、それは概ねという言葉であったほうが、極度の閉塞性換気障害があって、拘束性はない。それでびまん性胸膜肥厚だという所見も、2mmか3mmであるかないかわからないというのは、少なくともびまん性胸膜肥厚によって起こったとは考えにくいでしょう。
○宮本委員 はい。
○森永座長 だから、厚さと広がりというのは参考としてあったほうがいいということになりませんか。
○宮本委員 それはそのとおりです。
○森永座長 そこで、タバコだけのものは除外されるから、それは多目というのは入れておくほうがいいのではないか。入れておけば、そういうのはタバコだけによる閉塞性換気障害というのは当然省かれるわけだから、それで大丈夫ではないのですかと思うのです。
○森永座長 本日はこれで検討会を終わりにしたいと思います。
○笹川中央職業病認定調査官 いま座長からもお話がありましたが、今後の進捗状況を見ながら次回の検討会を開催することとさせていただきます。改めて日程調整をお願いしたいと思いますので、次回以降もよろしくお願いいたします。
○森永座長 これで本日の検討会を終わらせていただきます。お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございました。


(了)
<照会先>

労働基準局労災補償部
補償課職業病認定対策室

電話: 03(5253)1111(内線5571)

携帯ホームページ

携帯版ホームページ では、緊急情報や厚生労働省のご案内などを掲載しています。

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 石綿による疾病の認定基準に関する検討会> 第4回石綿による疾病の認定基準に関する検討会議事録

ページの先頭へ戻る