ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 障害保健福祉部が実施する検討会等> 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(平成27年度報酬改定)> 第3回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」 議事録(2014年7月25日)




2014年7月25日 第3回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」 議事録

○日時

平成26年7月25日(金)16:00~18:00


○場所

厚生労働省 共用第8会議室(19階)


○出席者

井出教授 沖倉教授
野沢論説委員 萩原部長
藤井障害保健福祉部長 川又企画課長
田中障害福祉課長 冨澤精神・障害保健課長
竹林障害児・発達障害者支援室長 吉田課長補佐
菅自立支援給付専門官 公益財団法人日本知的障害者福祉協会
全国手をつなぐ育成会連合会 公益社団法人日本精神科病院協会
特定非営利活動法人全国精神障害者地域生活支援協議会 障害のある人と援助者でつくる日本グループホーム学会
全国就労移行支援事業所連絡協議会 きょうされん
全国社会就労センター協議会

○議題

(1)関係団体ヒアリング2
(2)その他

○議事

○菅自立支援給付専門官 それでは定刻となりましたので、ただいまから障害福祉サービス等報酬改定検討チーム第 3 回を開催いたします。御出席いただきました団体、アドバイザーの皆様におかれましては、ご多用のところお集まりいただきまして誠にありがとうございます。

 議事に先立ちまして、本検討チームのアドバイザーの方を順に御紹介させていただきます。和光大学教授の井出健二郎さんです。大正大学教授の沖倉智美さんです。毎日新聞論説委員の野沢和弘さんです。川崎市健康福祉局障害保健福祉部長の萩原利昌さんです。もう一人、立教大学教授の平野方紹さんにおかれましては、本日所用により御欠席でございます。なお、高鳥政務官は本日は公務により欠席をさせていただきます。また、事務方の構成員の紹介は省略させていただきます。撮影のほうはここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 本日は関係団体ヒアリングを行うため、それぞれ団体の方々にお越しいただいておりますので、ヒアリングの順番に御紹介をさせていただきます。公益財団法人日本知的障害者福祉協会様です。全国手をつなぐ育成会連合会様です。公益社団法人日本精神科病院協会様です。特定非営利活動法人全国精神障害者地域生活支援協議会様。障害がある人と援助者でつくる日本グループホーム学会様です。全国就労移行支援事業所連絡協議会様です。きょうされん様です。全国社会就労センター協議会様です。

 続きまして本日の資料の確認をさせていただきます。本日の資料はヒアリング資料 1 からヒアリング資料 8 まで、各団体から事前に提出をいただきました 27 年度報酬改定に関する意見についての資料です。不足等ありましたらお申し出ください。

 また、本検討チームの議事は公開とし、本検討チームにおける審議内容は、皆様に内容を御確認いただいた上で、後日、厚生労働省のホームページに議事録として掲載される予定です。あらかじめ御了解いただきますよう、よろしくお願いいたします。

 本日のヒアリングの進め方ですが、まず前半は、 4 つの団体に順次意見を述べていただきます。そこで一度切りまして、アドバイザーの方々からの質疑応答を行いたいと思います。続いて、後半の 4 団体に順に意見を述べていただき、同様に質疑応答を行いたいと思います。最後にもう 1 回、全ての団体を対象に質疑応答を行う予定としております。

 それから、本日のマイクですが、スイッチがテープで伏せられております。音量調節はオペレーターのほうで一括して行いますので、マイクを持ってそのままご発言ください。よろしくお願いいたします。

 早速、順に御意見を賜りたいと思います。時間が限られておりますので、 1 団体 5 分程度でお願いをしたいと思います。お時間が経過した段階で、事務局のほうから合図をいたします。それではまず、知的障害者福祉協会様に御意見を頂きます。よろしくお願いたします。

○日本知的障害者協会福祉協会 本日はこの団体ヒアリングに私どもの協会も参加させてくださり、誠にありがとうございます。私どもの協会の会員は、全部で約 5,800 か所ぐらいあります。ほとんどが社会福祉法人です。私どもの会の最も大きな悩みとしては、職員募集で、求人をかけてもなかなか人が集まらないということでございます。それぞれの地元で各事業所は努力はされているのですけれども、非常に苦労されているということです。その理由としては、やはり知的障害のある人への理解が得られていないのかなと思います。私たちは日頃から啓発活動に努めているわけですけれども、まだまだなかなか進んでいないのです。学生たちに聞きますと、非常に重労働ではないかということで、敬遠すると。併せてほかの仕事に比べて賃金が安いのではないかというような思いがあるということから、なかなか職員が集まらない。

 そんなことから私たちとしては、概要版にも書いてありますが、障害福祉サービスに係る人材の確保・定着の推進ということから、ほかの産業における賃金の水準も踏まえ、適切な給与額が確保、担保できるように報酬を何とか確保していただきたいと思います。また、重点要望事項の 1 番目に書いてありますように、物価等の経済動向や消費税増税等による必要経費の増額等を勘案して、報酬水準を引き上げていただきたいと思っております。細かなことに関しましては、私どもの協会の政策委員長をしています河原が同行しておりますので、資料に基づきまして御説明申し上げたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○日本知的障害者福祉協会 橘会長から御紹介いただきました、知的障害者福祉協会政策委員長を担当しています河原と申します。会長の話を受けまして、私のほうから今回の報酬改定に関しての要望ということで、ヒアリングの概要版等を使いながら説明をさせていただきたいと思います。

 まず、会長のほうからお話がありましたとおり、人を確保することが急務でございます。それに向けて重点要望ということで、 4 点ほど項目立てをしています。

1 点目が現行水準の引上げということで、これも先ほど話がありましたが、景気動向、消費税増税も勘案した中での報酬水準の引上げ並びに現行の報酬単価における一部改善の要望等を挙げております。細かい内容につきましては 6 点ほどあります。

1 点目の計画相談に関しては平成 27 4 月以降、必ず全員にサービス利用計画を立てることを鑑みて、今、仮のサービス計画案等に報酬が乗っていない、若しくは訪問等に関して非常に時間がかかることに対しての報酬をお願いしています。

2 点目、障害児の基本相談は、なかなかサービスに結び付かない相談等を行っておりますので、その辺のところの内容の勘案をお願いします。

 次はグループホームの基本報酬の増額です。こちらにつきましては、居宅の生活を支援するに当たってのグループホームの重要性ということでは、できるだけグループホームでの支援の充実の基本単価の増額をお願いしています。

 次は重度訪問介護に関しての推進です。こちらは制度が動き出しましたが、まだ報酬等が低いですので、その辺の部分の内容の検討をお願いいたします。

 次は、自立訓練宿泊型における減額の見直しで、こちらは減算額が 40 %で、 3 年以降非常に高いので、このところの見直しをお願いしたいということで挙げております。

 続きましては障害児関係です。入所の事業所、通所の事業所における職員配置基準の見直しについてです。こちらを現行の 4.3 1 から、できるだけ 2.5 1 など、人員配置の報酬上の評価を成人に付いている加算のものに御配慮いただきたいということで挙げております。

2 点目が人材の確保・定着の推進です。給与水準を含めた職場定着に向けたインセンティブを報酬上の評価でお願いしたいということで挙げています。具体的な報酬に関しては、処遇改善加算の報酬の増額と、対象者の拡大ということで、事務職員、サービス管理責任者、看護師等々、生活支援以外の方で対象になっていない所も重要なセクションになっておりますので、対象者の拡大というのが 1 点です。 2 点目の福祉専門職員配置等加算は、現行では1と2がありますが、1のほうは福祉の専門職の資格、2のほうが常勤の比率と経験年数ということが考慮されています。これは今、併給は認められていません。両方とも違った性格なものの加算ですので、平均等を含めて、加算の見直しをお願いしたいと思います。

3 点目が加算に関しての拡充です。現行の加算は経過措置が設けられているものがあります。その部分のところの恒久的な御配慮並びに今後、良質なサービスを提供するに当たっての創設という 2 つの形に分けています。上から御案内させていただきます。食事提供体制加算です。平成 27 年の 3 31 日に経過措置が切れます。低所得者の方並びに食を確保するという点においては、この食事提供体制加算の意味は大きなものだと感じています。こちらは恒久的な加算というような形での位置付けを是非お願いしたいと思います。

2 点目の夜間職員配置の充実については、現行の施設入所支援の配置が 60 1 ですが、同性介護という点では、大体 2 人の職員を配置しているところで、そのところの御配慮もお願いしたいと思います。

3 点目の通院時支援加算は、今回、医師の配置に関しての減算等がありました。入所事業所等では通院のニーズが高まっていますので、加算の新設の配慮をお願いしたいと思います。

 次は小規模ユニットケア加算の創設です。現行の入所の事業所等の質を高める意味では、個室化とユニット化には非常に人手が掛かります。現行の障害児入所施設において、小規模グループケア加算というのが創設をされていますので、それに類似した加算の創設をお願いしたいと思います。

 次の送迎加算の見直しです。前回の報酬改定のときに見直しがあり、要件が非常にハードルが高いものになっています。できるだけ通所の場を確保するという意味では、対象者が 1 人であっても、この加算の対象にできるようにお願いしたいと思います。

 次が重度障害者支援体制加算です。平成 27 年の 3 31 日の経過措置で、 1 級年金対象者が 5 %という形で設けられておりますが、こちらを経過措置以降も恒久的な加算ということでの継続をお願いします。

 次は創設の加算です。就労者定着支援加算の創設です。こちらは就労後 3 年間の定着率が非常に高くなっているという部分では、就労の事業所等が職場定着に関わるフォローが十分に行われているということでの加算をお願いしたいと思います。

 続きまして、グループホームの重度障害者の加算の算定の見直しです。こちらにつきましては、現行生活支援の加算等々ありますので、その部分では現行の入居施設等の基準と同様に、対象者 1 人からの加算という形でお願いしたいと思います。

 その下は、障害児の入所等に関して、加算の見直しです。看護師、准看護師の配置加算、並びに被虐待児の体制への支援ということでの家庭支援加算、並びに行動障害への加算、通所における個別の加算、保育所等訪問に関して移動加算等、障害児の支援の充実の加算の要望をお願いします。

 最後になりますが、その他ということで、グループホームの夜間支援配置加算は、今年度創設されたものですが、これの検証を協会のほうでも行っていきたいということと、事務局員が非常に多岐にわたる業務を行っているという部分で、報酬上の配慮をお願いしたいということで挙げています。

 非常に幅広い事業所を抱えている関係で話のほうが若干長くなりましたが、以上で日本知的障害者福祉協会の報酬改定に関しての要望を終わりにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○菅自立支援給付専門官 どうもありがとうございました。次に全国手をつなぐ育成会連合会様、よろしくお願いいたします。

○全国手をつなぐ育成会連合会 全国手をつなぐ育成会連合会では昨日、設立発足会を行いまして、昨年度まで社会福祉法人としての事業を行ってきた事業については廃止をし、そして社会福祉法人格を返上するということで、これも昨日東京都のほうに認可を頂いております。全国の 56 の手をつなぐ育成会がありますが、本日より、その連合会の運動として活動していくということになりましたので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは要望をお伝えしてまいります。基本的な考え方としては、先般まで行われておりました児童の在り方検討会と、また、これから 2025 年問題ということで、高齢化を迎え、特に育成会の会員は平均年齢が 60 代を超えているので、その 2 つの視点を織り交ぜながら、計画相談はなかなか各自治体で手こずっている状況があると思いますが、その視点についても盛り込んでお伝えしたいと思います。

 まず児童のほうについてお話してまいります。児童については、児童期の支援の明確化ということで、今現在、放課後等デイサービスの在り方を含めて、様々な議論がありましたが、報酬単価を区分に応じて対応できるようにしていただきたい。また、児童発達支援に関しては、実践に即した職員配置基準と報酬を、特に指導員加算配置では基準を超える 2 1 の配置状況が実際にありますので、それを踏まえてお願いしたいと思います。また、保育所等訪問ということで、この度は保育所、幼稚園など、地域での暮らしをメインにして、それを後方支援するという形で位置付く発達支援センターになりましたので、保育所等訪問の支援が全国に広がっていくような単価設定をしていただきたいと思います。

 また、障害児の相談支援は、特に今は障害者の相談に全力が注がれていますので、置いてきぼりになりがちな状況があります。検討会でもサポートファイルを活用するなどが具体的に提案されましたので、教育分野との連携を視野に入れての連携加算などを作っていただきたいと思います。また、放課後等デイサービスになりますが、基本の単価設定が時間に見合ったものにはなっていませんので、休日の単価設定の引上げと併せて、前後の短縮授業の間の配分にも御配慮いただければと思います。

 次に相談事業の在り方です。相談・計画相談が今、具体的に見直しをされて進められております。機能が強化されるような報酬設定にしていただき、特に知的・発達障害の家族が作るセルフプラン、親である以上の能力がこれを作成することで高まることはありませんので、この加算が進むことによって、セルフプランが意味のないものだということにつながるような認識を、特に援護の実施者である市町村には持っていただけるような報酬設定をお願いしたいと思います。

 具体的には 5 つほど掲げております。特に、ナチュラルサポートという地域資源は、相互扶助の原資ともなる部分です。そこの調整に関しても評価をしていただいたり、特に事業の部分に関しては、教育との連携、先ほどサポートファイルの話をさせていただきましたが、そのような位置付けとなるように、検討会の場でも、放課後等デイサービスのガイドラインを作っていくことが謳われていますので、その対応に評価する基準を作っていただければと思います。

 次に、地域生活支援の在り方です。地域移行の対象拡大ということで、一人暮らしやグループホームに関する相談についても、評価として報酬を設定していただければと思っております。特に地域定着支援の中で、親御さんの状況が支援に認められていない自治体が多いので、擁護者の高齢化に合わせて、特に 2025 年に向けて、急激に加速化する状況が見込まれますので、家族のリスクなどを事前に把握する方法などを工夫して、地域定着支援の家族同居の対応が進むような工夫をしていただければと思います。その視点で家族支援加算や同日複数対応加算を盛り込んでいただければと思います。

 また、昨年度取りまとめられた状況で、地域生活支援拠点が各市町村の障害福祉計画の中で、努力目標ではありますが、市町村ごとに 1 つは設定していくというような状況になりましたが、まだその中身が十分理解されていないところもあるかと思います。その意味では、第 4 期の障害福祉計画で進めていく際に、単なる場の確保だけではなく、コーディネーターによる地域支援のネットワークの強化という視点で、報酬や加算を拡充していただきたいと思います。

 具体的には居宅介護の関わり、また、短期入所につきましては、併設型と単独型の並びが非常に悪い部分もありますので、それらも含めて見直しをしていただき、特に緊急時の受入加算に関しては、緊急であることの備えを報酬上評価していただきたいと思います。また、在宅医療のつなぎをしていただく訪問看護ステーションに関しても、併設型の設置促進が進むようにしていただきたいと思います。また、地域生活支援拠点のコーディネート機能の確保という視点で、まだまだこの部分が十分に見えていないところがありますので、拠点機能を強化していく際には、コーディネート機能についても、補助金としての位置付けが整うようにしていただければと思います。

 最後に住まいの在り方になりますが、グループホームの個別ヘルパーの利用の特例の存続、地域生活の検討会の中で状況が混乱しないように設定されている特例の期間を、平成 27 3 月で終了せずに、引き続き利用できるようにしていただきたいと思います。また、グループホーム一元化の報酬については、夜勤と宿直の考え方を整理し、十分にシミュレーションをした上で、支援体制に激変のないような報酬設定をしていただければと思います。

 最後に、文書にしておりませんが、地域生活移行個別支援特例加算の位置付けを、特に今年から地域移行に累犯者の方々への支援を取り込むということになりましたが、 3 年間では見通しが十分に立ち切りませんので、計画相談によって延長が可能になるように認めていただければと思います。以上になります。

○菅自立支援給付専門官 どうもありがとうございました。次に日本精神科病院協会様、よろしくお願いいたします

○日本精神科病院協会 日本精神科病院協会の江原です。本日はよろしくお願いいたします。重なるところがあるので、その部分を省いていきたいと思います。 1 番のグループホーム関連です。精神障害福祉サービスは、精神異常が基盤になってはじめて機能を発揮できるものであり、現在、日本精神科病院協会が関わっているグループホームを対象に調査を行いました。 3 ページに載っているのですが、上の図に共同生活援助、グループホーム職員としての基礎的資格ですが、これは現在も資格を持っている人が、それぞれ配置されています。看護師の資格を持っている人が 12.3 %、ヘルパーの人が 18.1 %、精神保健福祉士が 26.5 %、以下、多くの職種の方が既に配置されています。

 下の 8 は、施設の職員配置において、配置あるいは委託などの必要性があると考えられる、現在はまだしていないけれども希望です。医師が 17.4 %、看護師は 59 %、精神保健福祉士が 41.9 %、栄養士が 28.4 %となっています。

1 番のグループホームに戻ります。しかしながら報酬においてこれらの点が考慮されてはいません。専門職の配置加算を新設していただければ有り難いと考えております。

2 番目の相談支援関連についてです。サービス利用者全てに計画相談支援を提供するには、現在の診療報酬ではマンパワーが不足しています。特に、根拠となる実情ですが、報酬が低いため、十分な相談支援専門員が雇えず、 1 人の相談員にかかる負担がかなり多くなってきています。計画相談・サービス等利用計画作成のために多くの時間を使って作るのですが、サービスをいざ作ろうというときに、精神科の患者さんは「ちょっと待ってください」とか「やはりやめます」とか「保留にします」などと言われることが結構あります。そうなると、今まで時間を使ったものが全く無駄になってくるので、その辺りを考慮していただきたいと思います。

3 番は、多機能型地域支援センターです。これは新しいものです。 5 ページを御覧ください。「多機能型地域支援センター ( 仮称 ) 創設について」です。宿泊型自立訓練施設が現在ありますが、役割機能を充実させ、継続的な地域生活の支援と、緊急時の対応も含んでいますが、集中的な生活能力向上訓練を行う地域生活支援基幹型センター施設へと進化させることを提案しております。

8 ページです。精神障害者福祉の特徴と現在の体系の不備を示します。他の 2 障害とは異なり、精神医療サービスの基盤の上で、地域生活が成り立つという特性を持っていますし、基礎となる精神疾患の不安定さや脆弱性などによって、状態や能力程度が大きく変動するため、障害が常に固定されず、変化しています。このため、福祉的なサービスと医療的なサービスとが重層に切れ間なく、症状の軽減を問わない支援体制が本来は必要です。しかしながら、現在の総合支援法のサービス体系にはこれらの原因がほとんど配慮されておらず、精神障害者の特性に合致するものとはなっていません。そこで、精神障害者に必要な新たなサービス体系 ( 精神障害者向けの特有の施設や、現行の体系に付加するもの ) の構築が必要となってきます。

11 ページです。多機能型地域支援センターに望まれる新たな役割・機能ですが、社会生活訓練、これは今までもありますが、それに加えて、特に退院した人を対象としたものをやっていきたいと思います。地域生活を対象にしていきます。 12 ページで、それをステップアップしていくことを示しています。また、地域に障害者の啓発や調整活動も行っていきます。

13 ページは、ショートステイです。一部、家族の都合などで本来ならば入院しなければいけない方などをショートステイでやっていきたいと思っております。

14 ページは、危機介入、ドロップインセンターです。急に症状が悪くなったときに、入院ではなく、この多機能型地域支援センターを利用して、何とかそこを乗り切ろうというのが一番の希望です。レスパイトケアもやっていきます。また、 24 時間の電話相談ですが、医療、福祉について 24 時間の電話相談をしていきたいと思っております。

16 ページです。従業者の研修やスーパーバイズ、難事例などについてのスーパーバイズもやっていきたいと思っております。また、家族等の支援や心理教育も行っていきます。

17 ページです。就労支援も多機能型地域支援センターで行おうと考えております。

19 ページは「提案と要望」です。長期入院中の精神障害者が地域移行する場合に、病状悪化や再入院などの防止をしたり、状況に応じた適切なステップアップ訓練、また、日常的な相談支援と支援体制の常設、地域支援者の教育、スーパーバイズ、就労支援・相談・援助、地域住民との調整や偏見の除去、家族に対する支援といった多機能型の支援センターが地域にとって必要になってきます。

20 ページは「多機能型地域支援センターの骨格要旨」です。定額の運営予算で専門職の安定した配置が可能な体制を確保する形態としていただきたいと考えております。医療サービスと密接な連携を持ち、医療の提供が即時的に受けられる体制としてもらいたいと考えております。危機介入やアウトリーチのサービスが行える体制としたいと考えております。地域生活障害者の様々なニーズに対応できるワンストップなサービスの機能を持ちたいと考えております。以上です。ありがとうございました。

○菅自立支援給付専門官 どうもありがとうございました。次に全国精神障害者地域生活支援協議会様、よろしくお願いいたします。

○全国精神障害者地域生活支援協議会 全国精神障害者地域生活支援協議会事務局の宮坂と申します。本日はお呼びいただきありがとうございます。 5 分間ということなので、私のほうから概要について全体を説明させていただいた後に、うちの会の中で、この報酬改定等を担当している理事が石川県から来ていますので、その中の要点を 2 つか 3 つぐらい詳細を説明します。

 まず、当協議会は、先ほど社会福祉法人が中心であったり、病院医療法人というところで、様々な色があるかと思うのですが、法人種別としては、多分、 NPO という形が一番多いのではないかと思います。その理由としては、結成した理由が、もともとあった作業所という日本独自のものを法定化していきたいという願い、また、その中で出てきた、生活を維持するためのグループホームという制度をきちんとしたものにしていきたいということで集まって出来上がった法人ですので、やはり、ここで最初に書いてある 3 点、地域の中で小規模で質の高いものを提供するということがポイントになって、現在も活動をしております。その中で、重点としてはこの 6 点を置いてあります。

1 点目は、やはり本体報酬というところに重点を置いていただきたい。そうしなければ、小規模で行っている所が、この後に事務の煩雑化ということが出てきますが、そういったところの絡みで、なかなかうまく運営が進んでいかない実態があります。

 もう 1 つは、出来高払いだけではない報酬体系の創設を是非ともお願いしたいと考えております。その中で、本来求められている職員は常勤者です。現状では、常勤換算という形での常勤者の雇用となっていますが、関わりを持つには、やはり常にそこにいる方が必要という視点から、常勤者を配置している事業所に対しての一定の評価をお願いしたいと考えています。

4 番目に挙げているのも同様の内容になります。直接支援を行うべき職員が事務を担っている例がとても多くあります。これは多分、小規模で行っている事業所が多く加盟していることも関わってくると思いますが、そういったところで、やはり事務の軽減という形においても、加算を増やしていくのではなく、本体報酬を上げていっていただくことが、やはり重要なポイントではないかと考えています。

 もう 1 つ、生活支援、居住支援に重きを置いた報酬体系ということで 5 番目に書いております。今、就労と、先ほど医療から福祉サービスへというお話がありましたが、ポイントは生活だと思っております。生活の中に医療があり、就労があり、ということになるのだと私たちは考えておりますので、やはり、そこの居住支援、生活支援に重きを置いた報酬体系に改革をしていただきたいと思っております。

 詳細についてはナカダさんからよろしくお願いします。

○全国精神障害者地域生活支援協議会 あみの理事をしております中田と申します。よろしくお願いいたします。私は 1997 年の全国精神障害者地域生活支援協議会の設立当時からの理事をしておりまして、地元は北陸石川県ですが、そちらで現場も抱えながら、ずっと、あみの理事をやっております。本日も午前中で現場を離れてこちらに参りました。

 私のところは、もともと家族会立の作業所でしたが、その後、法人格を取って 15 年になります。現在は、日中系を 7 事業、そのほかにはグループホームを 19 室、あとはヘルパー、相談事業所、日活等の事業を展開しております。

 本日の中で特に現場から言いたいのは、やはり 2 番目の出来高払いによる報酬制度の件です。うちもそうですが、設立からの経緯もあり、地域でも「お宅は精神に強い事業所だよね」ということで、精神の方の利用が約 9 割を超えています。そこで何が起こってくるかというと、非常に状態の不安定な、季節によっても、少しの人間関係によっても、中にいる人たちの仲間同士での人間関係によっても、かなり揺れ動きますので、平均の利用率が約 60 %です。どうしても 60 %以上には上がりません。「今日つらいので、 1 日休ませてくれ」と言う人に「無理をして出てこい」ということは、職員のほうもどうしても言えないので、利用率が上がってきません。うちのほうは雪国ですので、冬場など、かなり雪も降りますので、天気によってもかなり出席率が変わってきます。そういう中で事業を展開していこうとすると、どうしても、基本的にかかる光熱水費などの経費がありますので、非常に不安定な経営にならざるを得ません。できれば、基本的な報酬、ある程度の最低の運営にかかる報酬と、あとは、利用された方一人一人による今の支援費・報酬のような形で 2 段階にならないものかというのが、私からの切なる願いです。

 もう 1 つは、うちはかなりたくさんの事業をしておりますが、 1 法人、 1 日中系事業という所も多くあります。あみの会員さんの中でもたくさんあります。そういう中で、煩雑になる事務のための事務職員だけを雇用することはかなり難しいことになってきます。そうすると、うちもそうですが、本来は支援のための職員配置であるべき人に事務系の仕事を主にやってもらって、かつ、販売会などには出てもらうような形で、利用者さんの支援に入ってもらわざるを得ません。できれば、以前の補助金当時のように、事務職員が配置されていれば、それに見合う人件費の加算があるとか、支援の職員を必要よりもたくさん雇用していれば、そのための加算があるというようなことが考えられないものか。現実的には、今の体系ではとても事務だけの職員は雇えないというのが正直な意見です。そこを重点的によろしくお願いいたします。以上です。

○菅自立支援給付専門官 どうもありがとうございました。それでは、ここまでの 4 団体からの御意見に対して御質問等があればよろしくお願いいたします。

○野沢論説委員 ご苦労様です。多分、我々の共通認識としては、今、この福祉の現場では非常に人手が足りない。給与水準もほかの業種と比べると低い。何とか少しでも人手不足を解消しながら、資質のある、高い志のある職員さんを福祉の現場に定着させたいということは共通認識としてあると思うのです。

 ただ、本日、政府が概算要求の基準を発表して、その中で、社会保障の自然増を 8,300 億円まで認めると。裏返すと、 1,700 億円は削るという厳しい方針を出しています。ヒアリングは前回に続いて今回 2 回目なのですが、当然ですが、やはりどこも、もっと増やせ、増やせという意見なのです。やはりいろいろな戦略というか、作戦を考えていかないと、そのまま全部実現するのは、多分、不可能だと思うのです。

 そういうことを前提としてお尋ねしたいのですが、知的障害者福祉協会さんは社会福祉法人がほとんどですよね。昨今は社会福祉法人に対する非常に厳しい風が吹いていて、この前も、政府の規制改革会議で社会福祉法人の在り方を検討する経済界の人と話したのですが、とにかく今のままではいけないと言うのです。福祉協会さんの資料(意見書)を見ると、小規模ユニットケア加算や行動障害の加算をしてくれと書かれている。社会福祉法人改革を主張する人々からの主張からすると、そういうことをやるために社会福祉法人は非課税なのではないかと。もともとこれをやっていないのか、しかもこれを加算しろとは何なのだ、というような感じで、多分、言われるのです。

 福祉業界の中では、福祉協会さんの主張は「そうだな」と受け止められるのですが、一歩外に出ると、やはり批判的な意見は出てくると思うのです。これは私が言っているわけではないということは念のために申し上げますが。そのときに、どんなふうに世の中を説得していけるのかということも、もう少し考えてやっていかないと、結局は、言いっぱなしになって、「厚労省が何とかしろ」ということで終わってしまうと思うのです。それでは意味がないので、そこを、是非考えたいと思うのですが、そういう議論はされていないのでしょうか。

○日本知的障害者福祉協会 社会福祉法人の在り方が問われていますが、協会としてもこれは厳しく受け止めております。そういうことから、私たち協会としては特別委員会を設置しました。国民に対する御理解を頂くためということだけでなく、今後、知的障害を担う我々社会福祉法人としての在り方をどうすればいいのかを議論していくとともに、規制改革や政府税調等々の動向にも対応するためこれから検討していきたいと思います。

 また、規制改革会議等で言われている、財務諸表の公表や地域貢献は私は当然だと思っていまして、そういうことでやっている社会福祉法人はかなりあると私は見ているのですが、それがなかなか皆さん方にきちんと啓発されていないところも含めて、頑張ってその辺りを動いてみようと思っております。

○野沢論説委員 特養ホームは 1 施設当たり、内部留保が 3 億円を超えてあると。入所施設の場合はどうでしょうか。そういう調査はされていますか。

○日本知的障害者福祉協会 私どもの協会では調査はしていません。

○野沢論説委員 そうですか。

○日本知的障害者福祉協会 私の法人もそうですがぎりぎりでやっている施設もあります。ですから、法人によって何かすごく差があるなと。そんなふうに捉えております。

○野沢論説委員 議事録に残るので、否定するなら否定してほしいのですが、私がこのアドバイザーであるということが分かった上で、ある入所施設の経営者の方が、「この前の改定で入所施設の報酬はかなり良くなった。もうかってしようがない。むしろ下げてくれ」とあえて言ってきている人がいるのですが、その意見に対してはどうでしょうか。

○日本知的障害者福祉協会 何か非常に残念ですけれども、支援費制度以降、社会福祉法人としての使命を持ち、職員の処遇改善を含む利用者へのサービスの質の向上を図っている法人と、意識の低い法人とに二極化しているのではないでしょうか。

○野沢論説委員 分かりました。もう 1 ついいですか。日本精神科病院協会さんにお尋ねしたいのですが、 3 ページにグループホーム・ケアホーム一元化についてアンケートとあるのですが、答えてくれた人はどなたなのでしょうか。

○日本精神科病院協会 日本精神科病院協会の関連するグループホームに対してのアンケートを取りました。

○野沢論説委員 グループホームの責任者が答えているのですか。それとも、運営している病院の理事長などが答えているのですか。

○日本精神科病院協会 病院ではなく、責任者です。

○野沢論説委員 グループホームの責任者が答えているのですか。

○日本精神科病院協会 この 2 番も 8 番もそうです。

○野沢論説委員 この中で気になるのは、「配置あるいは嘱託などの必要性があると考えている職種」とあって、医師が 17 %、看護師が 59 %とあって、例えばこれは嘱託ならばまだしも、配置となると、医師を配置したら一体どのぐらい経費がかかるのだろうと普通は思うのです。

○日本精神科病院協会 私も医師の配置は無理だとは思いますが、結果はこうなのです。やはり、夜や休日などで、どうしても来られない、連れて行けない場合などがあります。特に診療所などが全部休みですから、病院に行っても当直医しかいませんし、向こうから来てくれないので、希望としてそういう人がいてくれたらいいなというものだと思います。医師が本当にそこに行くほど、病院ですら今はいない時代ですから、これは希望的なものがかなり出ていると思います。看護師については、やはり 1 人はいたほうがいいというのは、夜間は別ですが、あると思います。

○野沢論説委員 今回の精神・障害保健課の長期入院者の地域移行の検討会で、病床削減というものが初めて打ち出されて、それが青写真どおりにいくと、かなりの数の方がこれから病院から地域に出ていきます。それなりのマンパワーと財源は相当、地域で必要となってくるので、かなり現実的に考えていかなければいけないと思っています。

 検討会等でお話を聞いていると、病院を経営しているドクターと、地域で精神障害の方を支えている支援者と、障害者観というか、患者像が全く違うのです。まるで本当に別の世界で見ているような感じがして、多分、全国精神障害者地域生活支援協議会から見ると、グループホームにお医者さんを配置とか嘱託というよりも、もっとそれよりも、その財源を使って生活面の住居などを充実させていったほうがいいというお考えだろうと思いますが、この辺りについての御意見をお聞かせください。目の前にして言いにくいかもしれませんが、せっかくの機会なので。

○全国精神障害者地域生活支援協議会 うちも 15 室のグループホームがありますが、うちは今、 5 年間かけて地域に出ようという目標を立てています。実際もう 2 月にアパートに移られた方もいます。そのために 5 年かけて、例えば、電気炊飯器でご飯を研いで炊くというところから、一人一人について、一つずつスキルを上げていってもらうことに重きを置いて、自信を持ってもらうということを実際にしております。それはもう、生活の中で身に付けていくいろいろな力の問題だと思うのです。ですから、それは、医療が充実したから地域に出られるということではないと思います。明日のご飯の心配を自分できちんとできて、お金の管理ができる、お薬も自分で飲めるということについての、生活者としてのスキルを高めていくことに尽きると思います。それは、医療者でなくともできると思います。私は前職が保健師ですので、医療についても少しはかみましたが、全く別ものだと思います。

○日本精神科病院協会 この多機能支援センターの図にもあるのですが、今までの考えは、ここまでが医療、ここまでは福祉というのをはっきり切っているのです。入院したら入院したでいいけれども、外へ出ると、もう福祉で全部頼んでしまう。そこがやはり 1 つ問題で、先ほども言われましたが、精神障害というのは、かなり悪くなったり、良くなったり、脆弱性も激しいのです。そのときに、もう福祉に行ったから医療が診ないとか、医療にいるから福祉では面倒を見ないという考えは、やはり、まずやめていただいて、常に両方で見ていくことが大切なことだとは考えております。福祉側から言うと分かりませんが。

○全国精神障害者地域生活支援協議会 補足させていただきます。あみのほうからお出ししている資料の、概要版ではないほうの 3 ページのグループホームに関してだけお答えをさせていただきます。グループホームに関して上の 2 つの○があります。ここには、世話人という方々のスキルがすごく問われている。それは職種ではなく、そこにいて、実際に支援をする方が、どういった立志にあるかということを、私たちはとても重要視しています。

 グループホームの制度を御存じの方々は多分、分かると思いますが、協力医療機関や医療機関との連携がないなどということはあり得ないのです。私はもともと、前職はグループホームのスタッフをやっておりましたので、日常的に頻繁に医療機関への同行、お医者さんとの面談、カンファレンスをさんざんいろいろやってきていて、そこに境目を作ってしまうのは、支援者が支援できる量を超えた場合です。やはり、例えば書面を作らなければいけない、何々しなければいけないというキャパシティオーバーになった状態であれば、やはりなかなか外に出て行けなくなることもあって希薄になっていくことはあると思います。

 ○の 2 つ目に、生活支援ということで表現させていただいているのが、衣・食・住に加え、安全の確保、清掃、服装、買物等、手続等支援と、グループホームの職員はものすごく幅の広いことをやらなければなりません。ここに、例えば医療の側面でサポートに付いてくれる方々、就労の面でサポートに付いてくれる方々、例えばグループホームを出た後に、そこに、地域で暮らしていくために、維持をするためにサポートに付いてくれる方々をコーディネートするのもグループホームの 1 つの役割なのだと思っています。

 ですので、グループホームというのは、そこで生活をすることを維持するだけが目的ではなくて、その後の単身生活、その地域の中で生活をするためのネットワークを作ることも世話人には求められるスキルだと思っているのです。ですから、先ほど私が話をさせていただいた際に、生活の中に就労もあって、医療もあるのだという考え方をしていただけたらというお話をしたのです。今のがまとめになっているかどうかは分からないのですが、グループホームに限って言えば、やはりメインは生活のサポートであるということは明確にここでお伝えしておきたいと思っています。

○野沢論説委員 その一方で、長期入院している人が地域に出てきて、また再入院という人も結構いるのも事実ですよね。日精協さんが出してきている多機能型の支援センターは、これはなるほどなと思ったのですが、ただ、地域でのいろいろな支援センターというと、例えば基幹型相談支援センターや、就労・生活支援センターなど、いろいろな自治体がやっている相談センターや、今度は生活困窮者の支援センターまで出来ます。、実態を見ると、いろいろな窓口は出来て、機能は出来てきたのだけれども、とにかく人材が不足してきちんと機能できない状況なのです。そこに、また新しくこういうものを作ると、また同じようなことになってしまわないかと思うのです。むしろ、病院のスタッフ等で、そういうことに非常に詳しい方が、例えば基幹相談センターに 1 人入っていくだとか、そういうことは考えられないのでしょうか。

○日本精神科病院協会 これは今言われたように、本当に今いろいろな、就労だけにしたら就労だけ、相談支援になったら相談支援だけとなっているので、それを全て 1 つの所でやっていく、プラス、今、一番問題になっているのは、精神科のショートステイや、症状が悪くなったとき、今はもう入院以外にないのです。悪くなったら入院してしまって、良くなったらまた退院するということが繰り返し行われているので、そこを何とか 1 つまとめて、人数が少ないので、いろいろなことができたらというのが希望であります。

 確かに病院から出ていって、今のところ 1 つずつ回っていくのも 1 つの方法ではありますが、これは医院内に作るのではないのですが、そういうものを、まとめたものを作ったら、今後良くなるのではないかと考えて、これを提案させていただきました。

○野沢論説委員 ここで議論しているだけで終わってしまうので、取りあえず私はこれで結構です。

○菅自立支援給付専門官 ありがとうございました。ほかに御質問等あればお願いします。

○沖倉教授 時間も限られていますので、皆さんにという言い方もおかしいのですが、最初に福祉協会の会長さんが、人材を募集するのだけれどもなかなか集まってこなくてと。この検討チームで、人材育成の立場で関わっているのが、多分本日は私だけになってしまいました。もちろんここの会議のテーマは報酬をどうしていくかという話なのですが、先ほど幾つか、仕事の大変さや諸々の話がありました。その指摘に対して、我々実際に仕事をしている者たちや、育てる者たちが、どう応えていくかは、ここでお答えくださいというよりも、やはり皆で考えていかなくてはいけないことです。大変です、困難です、お給料安いです、ということだけではないだろうと思うのです。皆さんそれぞれ努力されているのだろうと思うのですが、やはりこの仕事をやって、夢や希望が持てるということをどう伝えていくかということだと思います。最初にその御発言があったので、一緒に考えていければと思いまして、これは感想です。

 これも多分、皆さんになのですが、今回の報酬改定は当事者として皆さんは事業所の立場で御発言をなさっていますが、例えば福祉協会や育成会もそうですが、育成会の場合は、親の会として活動されていますが、真の当事者とすれば知的障害の御本人たちがおられると思うのです。その方たちにはどういうふうに情報が伝わっていて、この報酬改定だけではなくて、サービスを利用するとか、総合支援法に関して、何か御意見などは聞いておられますか。

 というのは、本来ここにその方たちのお席を用意しなくてはいけなかったのに、それができなかったと私は思っているのです。代弁という機能も皆さんお持ちのはずなので、何かありましたら。育成会さんにお尋ねしていますが、他の団体もあったらと思いまして、これだけはお伝えしておきたいと思いました。

○全国手をつなぐ育成会連合会 育成会の立場で、今回、親という視点だけではなくて、御本人の視点も盛り込んでの要望をさせていただいていますが、あえて今のような質問であるとすると、やはり制度情報が非常に多岐にわたって難しくなっていますので、簡単な情報提供をしてほしいというのが制度に関しての一番の出発点になるだろうと思っています。

 そして、自分に関わることについての決めごとは、自分を抜きにしてほしくないというのは、特に相談事業においては丁寧な関わりが必要だと思っていますので、そこに向けての段取りについて、本人視点からも要望させていただいたということになります。その入り口がきちんと作られれば、少しずつ要望が実現していくという実感を持ってもらえるのではないかとも思っております。

○日本知的障害者福祉協会 先生のほうから、人材育成等の御意見をありがとうございました。まず 1 点目、人材育成に関しては、国家資格であるとか、今回の制度の中では相談支援専門員やサービス管理責任者、児童発達管理責任者等々、良い意味で階層的に専門職を置いていただいたのですが、そこに対して、この仕事に就くと、仕事のやり甲斐プラス報酬も、というところがなかなか見えにくいところが、まだまだ実態としてあるのではないか。しかし、そういった比較ができることによって、職に対してのモチベーションも、現場の側も働きかけていかなければいけないのではないかというところは、私も人材育成を神奈川県の中でいろいろやっている立場としては、非常に感じます。

 これは、今回、ヒアリングの中の資料には入っていません。確かに協会は施設の事業所団体ですが、常に家族の方、家族の会等々といろいろな話合いをもっております。私の事業所の話で申し訳ありませんが、私の事業所でも家族の方にいろいろな御説明をしているのですが、とにかく、制度がコロコロ変わる、内容についていけないところが、特に親御さんも高齢化を迎えてきていますので、年齢の高い親御さんはすごくそういった実感を持ちながらということで、制度の安定をという声を聞いております。

 逆に若いお母さんたちは、常に情報を取りながらいろいろなものを選択していくところがありますので、その辺りの部分の格差も親御さんの中ではあるのではないかというのが、関わっていて非常に実感することと、直接的に聞いている声ということでお届けできればと思います。以上です。

○井出教授 質問になるかもしれませんが、印象的なことも含めて幾つか申します。最初の知的障害者福祉協会さんについてはありがとうございました。重点要望の右側のほうの 3 番の所です。これは今でなくて結構なのですが、最後に駆け足でお話しいただいた緑の下のほうで、いわゆる障害児の入所施設におけるうんぬんの、その以下の最後に創設が 4 つぐらい続いている所が、もう少し勉強させてほしかったところなので、また後日でも結構ですので教えていただければ有り難いと思います。

2 番目の、手をつなぐ育成会連合会さんについては、私は 1 つの考え方として、いわゆる保育、教育にうんぬんというのは私の中で何となく興味があって、そこで、例えば前半の 1 枚目の、連携加算を用意して、具体的な動機付けうんぬんという所は、「具体的な動機付け」とはどういうことなのかというのが印象的に残りました。あとは 2 ページですが、同じように、教育等の連携加算について、まずはガイドラインを示して対応を評価するという「ガイドラインを示して対応を評価」とは具体的にどういうことか。これもまた、いずれ教えていただきたいと思います。

3 番目の精神科病院協会さんについては、私は若干、医療系のバックボーンがあるので、この支援センターについては、良いとか悪いとかは別にして、 1 つの考え方なのではないかという印象を持ちました。

 あみさんにはないわけではないのですが、一応、私の印象というか、いずれまた教えていただきたいことも含めて、本日はありがとうございました。

○萩原部長 まず、日本知的障害者福祉協会さんに教えていただきたいのですが、概要版の右側の 3 番の、枠でくくった上から 3 つ目の通院時の支援加算の必要性について御説明を頂きました。この通院時の支援の必要性は、特定の、例えば入所や通所などを想定されているのか、また、ある分野を想定されているのであれば、年間どれぐらいを前提としてお考えなのかを伺いたいと思いました。

 続けてで恐縮ですが、全国手をつなぐ育成会連合会さんの本日提出いただいた資料の、 2 ページの 1 番のインフォーマル支援調整加算は、相互扶助を支援するナチュラルサポート地域支援の利用調整を行った場合の加算を、ということで御説明いただきましたが、全国規模でお考えになられて、この具体的なサポートの体制は、どのようなものが全国規模で必要とされていて提供できるとお考えなのか。これも教えていただきたいと思いました。

3 つ目が日本精神科病院協会さんで、最初に、多職種でのグループホームについて御説明いただきましたが、ここで 3 職種を挙げていらっしゃるのですが、この 3 職種については順位付けのようなものをお考えなのか、また、その順位付けをお考えであるのであれば、後ろのほうに希望調査ということでお示しいただいていますが、ほかにも何か根拠をお持ちなのかどうかを教えていただきたいと思いました。

 最後に全国精神障害者地域生活支援協議会さんですが、確か 1 枚目の資料の 2 番の所の御説明で、平均の利用率が 60 %ぐらいなのだというお話を頂いたかと思うのですが、これは全国的に見てこれくらいだとお考えなのか、あるいは、ある特定の地域の中ではこういうこともありますということなのかを教えていただきたいと思いました。

○菅自立支援給付専門官 では、順にお願いいたします。

○日本知的障害者福祉協会 初めに、通院時の加算の部分について御説明します。概要版に添付している細かい資料の 4 ページに、通院時支援加算の内容がありますが、想定している事業としては入所の事業所を想定しております。特に重度・高齢化が進んでいる部分では、今、通院のニーズが非常に高くなっていまして、データは協会のほうで取っているデータがあります。本日は資料としてはありませんが、また後日、御提出できると思います。ほぼ毎日に近いぐらい、看護師並びに支援員が、現場を離れて通院のほうに行っていて、件数としてはかなり多い状況ですので、今回、こういう加算という形で創設をお願いいたしました。

○全国手をつなぐ育成会連合会 ナチュラルサポートに関しては、ナチュラルサポートという位置付けで地域で活動しているボランティアグループなどを、現在は計画相談で取り込んでいくということに関しては評価としてはされていないということです。具体的なサービスをイメージすると、例えば、移動支援など、昨年、全国調査をさせていただいたのですが、かなり市町村ごとの多岐にわたっている状況があります。その中で、車での送迎やガイドヘルプ的な対応などを、中高年、特に退職した後の方たちが積極的にそういった活動をし始めている動きもありますので、これからの高齢社会の中で、動ける方たちへの対応を求めていくような働きかけに対して評価をしてはいかがかという視点で書かせていただきました。

○日本精神科病院協会 グループホームの、どういう人が勤めたらいいかの順位ですが、順位はありません。ただ、先ほど野沢委員も言われましたが、私は医師は必要ないと実際には思っております。この中には必要ないし、薬剤師も必要ないと思っておりますが、やはり精神保健福祉士と介護士は、できたら優先的に行かせたいとは考えております。

○全国精神障害者地域生活支援協議会 先ほど雪が多い日は人が来ないという話もしましたが、利用率が 60 %台なのが全国的なことか地域性があるのかについては、国保連のほうの給付費のデータの集計などでも分かるのですが、実際に 50 %台です。うちも昨年度は 57 %でした。特にうちが低いということではないと思っております。これは障害特性の問題に尽きると思っております。

○萩原部長 ありがとうございました。

○菅自立支援給付専門官 ありがとうございました。それでは後半の 4 団体から御意見を頂きたいと思います。まず、日本グループホーム学会様、よろしくお願いいたします。

○日本グループホーム学会 障害のある人と援助者で作る日本グループホーム学会の代表の光増と申します。よろしくお願いします。要約版と本文と資料版の資料を付けていますが、限られた時間ですので要約版を中心に説明していきます。グループホームの制度ができて自立支援法になって、大規模化とか集約化などの問題が起きていますが、飽くまでもこの間の総合福祉部会や検討会等で、小規模のグループホームでも運営できる体制ができないだろうかということを視点に述べます。

1 番目は、現在のグループホームの基本報酬は世話人の配置基準の 4 1 5 1 6 1 、経過措置で 10 1 がありますが、より小規模な住居で運営しているグループホームに新しく世話人配置基準を 3 1 とか 2 1 の配置をすることによって、より小規模で障害の重い人を見ている所の報酬の見直しが必要ではないかと思っております。

2 番目は、現在グループホームはサービス管理責任者の配置基準は入居者 30 人ですが、地域に点在しているグループホームや小規模のグループホームの質を高めるためには、配置基準を 15 人に 1 人に見直すべきではないかと思っております。

4 月から報酬、グループホームの一元化に応じて幾つかの加算も見直されました。日中支援加算 (1 ) に関しては、新しく創設して日中活動に通えない場合、初日から算定するようになりましたが、 65 歳以上で障害支援区分 4 以上の基準があります。これは、 65 歳未満の方と障害支援区分 3 以下の方でも、精神障害の方や難病の方や身体障害の方が必ずしも日中活動に通えない人もいますので、計画相談でそういう方に必要があれば対象範囲を広げる検討も必要だと思います。

(2 ) に関しては従前の日中加算ですが、 3 日目からの算定では、例えば病気で通所施設を休んだり、通ったけれども帰されたりという場合は当然その時点から支援をするわけなので、初日からの算定をできるように見直していただきたいということと、土日の日中活動に通えない場合の算定も検討していただきたいということと、その算定の範囲が障害福祉サービス、地域活動センター、就労に限られているので、例えば介護保険のデイサービスや精神科デイケアも検討してはいかがかと思っております。

 夜間支援体制は、 4 月から夜勤と宿直の概念規定と 1 人の支援員が何人を見るかによって変わりました。ただ、障害の重い方、支援区分 5 6 の人たちが 5 人以上住むグループホームに関しては従前の報酬より下がっていますので、より障害の重い人が小規模で暮らすときに 1 人の夜間支援員が 3 人や 2 人とか、あるいは 1 人にスペシャルの人を見るだとか、強度行動障害の 1 人に対して 2 人の夜間支援が付いているという実態も当学会の実態調査でありましたので、手厚くする加算の見直しが必要かと思っております。サテライト型もスタートしたばかりですが、是非、利用範囲が広がるように更なる検討が必要かと思います。

6 番目は、重度障害者支援加算で幾つかの団体からも出ていますが、重度包括対象者 2 人以上というところを 1 人からでも認めて、より障害の重い方を支援する配慮が必要かと思います。 7 番目も、経過措置について現在の介護サービス包括型の個人単位での居宅介護利用を恒久化できないか、あるいは区分 4 以下の方でも時間数は少なくても個別のホームヘルプが使えないかどうかも、是非検討していただきたいと思っております。外部サービス利用型での受託居宅介護ですが、まだ実際にどの程度使っているかはデータ的には出ていませんが、国の標準時間数の基準では障害の重い人が利用する時間数が少ないので、これも是非、検討していただきたいと思います。

 自立支援法が始まって、グループホームでの通院等介助が月 2 回という利用制限で何回かの報酬改定でも論議がありましたが、見直されていません。病弱な方とか難病の方もグループホームを利用する方がこれから増えることも含めて、計画相談で必要であれば利用制限を撤廃してはいかがかと思います。 10 番、グループホームでも併設型、単独型の単期入所も使えるようになっていますが、障害の重い方がより利用できるように加算等の配慮が必要かと思います。体験入居に関しては、地域移行の大きな資源になっていますが、宿泊する前に前段階的に日中泊まらないでグループホームを体験することも必要だという声もありますので、配慮していただきたいと思います。

 先ほどから職員の福祉の専門職のことも出ていましたが、グループホームの専門職配置加算は日中活動事業所よりちょっと低く抑えられています。これも是非、専門職を確保する上で加算の見直しをしていただきたいと思います。長期入院時支援特別加算は、入院時の支援の見直しも含めて、特に身寄りがない人や親がいない人の支援はグループホームでするわけですので、見直していただきたいと思っています。

14 15 は消防法の施行令に関して書いてありますが、抜けた所がありました。 14 番目の 3 行目の「また、全ての住居」の「全て」の前に「六項のロ」と入れていただきたいと思います。抜けておりましたので、失礼しました。本文も同じことです。消防法施行令が改正になってスプリンクラーの義務付けの経過措置はまだありますが、消防設備の点検等に費用がかさむ、あるいはこれから補助金でスプリンクラーを設置するとき補助率が低いとか、是非、補助単価の見直しも必要かと思います。

 それから、地域生活移行個別支援特別加算も、現在基準の中に社会福祉士と精神保健福祉士という 2 つの国家資格に限定しておりますが、福祉専門職配置加算と同様に介護福祉士でも認めるように配慮していただきたいのと、現実的に刑務所から移行する方を多くの施設やグループホームで見ていますが、専門職がいなくとも見ている現実があります。そこら辺と、宿泊を伴う事業だけではなく、日中の場面にも専門性を要する職員が必要なので、加算の在り方を是非、見直していただきたいと思います。

17 番目は、地域移行支援の対象が拡大になりましたが、地域生活定着支援センターの特別調整の対象者でないと地域移行の支援ができないことになっていますので、一般調整等も含めて対象を広げていただきたいと思っています。

18 番、大規模化、集約化を防ぐためにということは、先ほど冒頭で申しましたように自立支援法が始まってグループホームの規模が大きくなっている傾向があります。第 4 期障害福祉計画で多機能拠点の例示も大規模化を誘導する例示なので、その後、厚生労働省から出ている指定基準に沿って、より小規模であるような図式に変えていただきたいのと、面的整備でも福祉計画の策定で必要なのだということを是非、検討してはいかがかと思います。これは資料編に載せてあります。

 短期入所の日中利用は、日中一時支援事業が地域生活支援事業の義務的事業ではないので、レスパイト的に支援する必要性があるのに市町村が事業をやっていなくて、地域で格差が生まれています。是非、短期入所に日中利用を復活させてはいかがかと思います。

 最後に、グループホームの入居者は国保連請求で、 2 月段階で 8,700 人を置いています。推進会議や総合福祉部会や政策委員会では、知的障害のある人たちへの情報提供は資料が作成されてきましたが、この間の地域生活の推進する検討会等では、なかなか当事者向けの情報発信はなされていませんでした。報酬改定や報酬改定に伴う関連情報は、当事者向けに極力分かりやすく提供されることを今後望みたいと思います。特に制度が大きく変わる内容や利用者負担に関わる検討事項がある場合は、必ず当事者から意見を聴取する機会と時間を設けていただきたいと思います。

 私どもの学会は、グループホームに住む入居者の委員会もあって、先日私のヒアリングの概要版をルビふりで分かりやすく説明したときに、多くの方たちが介護保険との関わりや高齢化に伴う問題や、入院が長期になると住み慣れたグループホームに戻れないのではないかという不安を抱えて生活する人も大勢います。ここら辺を是非、検討していただきたいと思います。以上です。

○菅自立支援給付専門官 どうもありがとうございました。次に全国就労移行支援事業所連絡協議会様よろしくお願いいたします。

○全国就労移行支援事業所連絡協議会 私、全国就労移行支援事業所連絡協議会の副会長をしております酒井でございます。よろしくお願いいたします。今日はこのような機会を頂きまして、ありがとうございます。私どもの協議会は自立支援法の中で、福祉サービスで就労支援が提供できるようにということで作られた就労移行支援事業について、世の中にもっともっと必要性を訴えていこうではないかということで、一般就労を推進する事業所の集まりといいますか、そういう事業所で結成しました。そういう性格上、今回は就労移行支援事業に関する中身といいますか、御要望に特化しておりますが、御了承いただきたいと思います。

 資料ですが、概要版の 1 枚の資料と本体資料をパワーポイントで作ってあります。今日は 5 分間という時間ですが、さっと本体資料で説明をいたします。本体資料を 1 枚めくっていただきまして、まず、 1 つ目の要望が定着支援に関する内容です。定着支援については、就労移行支援事業所としては実績が上がっている事業所ほど定着支援が課題になっています。現行の制度では、就職後の半年間はミスマッチがないか就労移行支援事業所がしっかりサポートをするということになっておりますが、実態は半年後も就労移行支援事業所自身がサポートしている例が非常に多いです。 2 年ほど前に厚生労働省の総合福祉推進事業で定着支援に関するアンケートを実施しました。

 そういったところで見てみますと、半年後においても出身元の就労移行支援事業所で定着支援を提供しているほうが、その後の定着率も高いということが示されております。今回、報酬改定に当たり加盟事業所に対して行った調査においても、我々の団体としては就労実績が上がっている事業所ということで、加盟いただいているわけですが、就労後 1 年間、独自で支援を行っている所が 7 割を超えている状況にありまして、毎年、就労者は増えておりますので、ここの辺が課題で、ここの部分について何らかの報酬上の措置を講じていただけないかという趣旨です。

 次のページですが、職場定着支援の内容ということで、実際、定着支援というけれどもどういう支援が必要なのかも調査をしてみました。大きく職場での支援とそのほかの生活の支援とに区分ができるであろうと考えておりますが、飽くまでもこれは、提供支援の手段でありまして、その中身までは正直、定着支援は多岐にわたりますので、調査することが今回は不可能でした。

 次のページで、これからも就労移行支援を提供する中で、就労者はどんどん増加していくわけですが、就労実現者の増加に伴いより一層、例えばナカポツセンターやジョブコーチ制度の積極的な活用ということが求められるであろうと我々、連絡協議会としては考えております。ですがその上において、就労移行支援事業所としても就労定着のための何らかの対応が今後も必要になってくると考えております。その場合の支援の中身については完全に住み分けをすることはできないかもしれませんが、生活部分に重きを置いた支援が就労定着には我々、出身事業所として求められるのではないかと考えております。

 その中で、定着支援の充実に当たってどういう形が良いのか、幾つかいろいろ議論しながら考えてみました。ケース 1 が個別給付で支援を実施する場合。ケース 2 が、就職後の半年間は就労移行支援事業所が定着支援を図ることになっておりますが、その期間を延長してはどうかという声も上がっております。その中で、定着支援については企業で雇用されている立場の障害のある人を支援するわけですから、そこへの介入というのは最小限の介入であるべきだと考えておりますし、そもそも丁寧なマッチングによって就職後の定着支援も軽減できるのではないかという声も上がっておりまして、ケース 3 の定着支援員に関する体制確保の加算が一番良いのではないかと我々は考えております。この場合も、その次のページ、更にその次のページにケース 3 とありますが、現行の就労移行支援体制と連動させて体制確保、定着支援をするための加配加算を整備いただけないかと考えております。こちらが定着支援についての要望です。

2 番目が次のページですが、就労実績の上がらない事業所への対応ということでも、我々事業所団体としても考えていかないといけないのではないかと考えております。こちらは、厚生労働省の調査で毎年実施されているものです。就労移行支援事業は誕生して 8 年たちますが、いまだに就労実績が 1 年間でゼロ、あるいは 10 %未満も就労実績があるとはほぼいえませんので、そういう事業所が 4 割を超えているという実態があります。これについては、世の中に就労移行支援事業の必要性を訴えていく我々としては、非常に残念な思いでいます。

 就労実績が上がらない事業所の問題は幾つか考えられると思うのですが、 1 つはノウハウの不足ということで、就労支援員の研修加算を設けていただいておりますが、その研修の中身について再度検討をする必要があるのではないかと考えております。そのほか、地方自治体による指導の強化や、前回の報酬改定では減算ルールも新たに設けられたわけですが、そこについても再度検証することも必要であると、我々協議会としては考えております。

3 つ目ですが、就労実現の定義の再検討です。現在、例えば短時間のアルバイトの就労実現や週に 2 回、 3 回のアルバイトの就労実現であっても就労実績とみなされる状況にあります。障害の特徴に合わせて多様な就労形態が障害のある人に用意されることは、非常に良いことだと思うわけです。この辺りの就労移行支援がやるべき一般就労への移行は、 3 年間の検討の中でもう一度ミッションを検討する必要があると我々は考えているのですが、報酬改定のタイミングで就労継続支援の A 型については、現在、就職をした場合に法人内の A 型でなければ就労体制加算の対象となっております。これは、先ほどの定着支援の充実とも併せての話ですが、 A 型事業所は就職をする前に福祉サービスを利用していることが大前提ですから、体制加算の対象にすべきではないということが我々の主張ですので、併せて御検討いただきたいと考えております。

 また、加えて最近は A 型事業所の利用者が大変増えております。前回の報酬改定のときは、 B 型の利用者、それに次いで就労移行支援の利用者だったわけですが、最近は B 型利用者の次に就労系サービスでは A 型が増えています。障害のある人にとって地域で働ける場が用意されることは非常に歓迎すべきことではあるのですが、反面、安易な A 型への移行といいますか、そういうことも就労移行支援事業所連絡協議会としては危惧しています。

4 番目ですが、就労移行支援加算の再検討並びに成果報酬ということで、表現は余り良くないかもしれませんが、就労移行支援を運営していく上で、就職を年度途中でさせるけれども、なかなか年度途中で新たな利用者が入りにくいということで、非常に経営が難しいという声が上がっております。そういう中で、就職をさせることについてのインセンティブを、これまでも充実いただいているのですが、更に充実していただきたいという声が上がっております。これは、都市部で運営している就労移行支援事業所と地方で運営している就労移行支援事業所で、地域の特性もあったり賛否が分かれているところもあるのですが、一方、地方ではそういう声も上がっておりますので、併せて記載をしております。以上です。

○菅自立支援給付専門官 どうもありがとうございました。次にきょうされん様、よろしくお願いいたします。

○きょうされん きょうされんの赤松と申します。本日はこういった機会を頂きまして、本当にありがとうございます。私どもの資料は 3 部構成になっております。 1 枚目が今回の意見書本体です。 2 つ目の資料 1 は、先ほどの 1 点目の意見に関する資料で、これは後ほどかい摘んで説明をいたします。資料 2 は、今日は直接触れませんが、居住支援並びにサービス利用計画の策定に関して私どもの考え方をまとめておりますので、参考にしていただければということで資料として提出しております。

 意見書を御覧いただきたいのですが、まず 1 点目に入る前に、前回のヒアリングでも幾つかの団体の方がおっしゃいましたが、私どもも今回の報酬改定の前提として、平成 23 年の障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言、これを実現する方向性をもって御検討いただきたいと考えておりますので、そのことを冒頭に申し上げておきます。

1 点目ですが、私どもが取り上げたいのは日中活動、働く場のなかでも地域活動支援センターの問題です。地域活動支援センターは現在、市町村事業として位置づけられているわけですが、従前の無認可の小規模作業所の多くが自立支援法以降こちらに移行しています。資料 1 が、私どもで独自に行った地域活動支援センターの実態調査の要約です。

1 枚めくっていただいて、このグラフは地域活動支援センターの公費と、それ以外の就労系の事業の公費の比較です。全国の地域活動支援センターを私どもが調査したところ、平均しておよそ 1,000 万円強を運営費として受け取っているという結果になりました。これを就労移行支援事業や就労継続 B 、生活介護と比較しましたら、格差が歴然と出てくるわけですね。地域活動支援センター以前の小規模作業所時代との比較ではどうなのかということで、次のページの冒頭から私どもが 2005 年に行った小規模作業所の補助金調査の結果の概要を書いてありますが、平均で、身体・知的の小規模作業所では運営費が 752 万円、精神で 645 万円という数字がわかってきました。

 こう見ると若干、地域活動支援センターの平均運営費は当時の小規模作業所に比べたら上がっていますが、就労系のほかの事業との格差というのは、十分に解消されたとはいえないと言っていいと思います。私どもとしては、障害のある人たちにとっての働く場という観点でいうと、地域活動支援センターも就労系のほかの事業も一緒ですので、この格差を埋める必要があると考えております。そして、この地域活動支援センターを市町村事業ではなく、自立支援給付の事業に位置付ける、そして個別給付とすることが必要なのではないかというのが 1 点目の前半です。

 併せまして、地域活動支援センターは地域でいろいろな状況で展開をしているわけなので、今現在、標準的には 10 名以上利用者がいたら事業開設 OK ということになっておりますが、地方では 10 名集まらないという所も実態としてはあるわけなので、最低定員 5 名に引き下げることも必要ではないかということが 1 点目後半部分です。

2 点目が、日中支援事業の報酬の支払い方式です。現在は日額払いとなっているのですが、このことが運営上、非常に支障を来しているというのはほかの団体の皆さんもおっしゃっておられるように、私どもも同じ認識です。ですので、原則月払い方式にする必要があるのではないかと考えております。併せまして、常勤換算方式が導入されて以降、支援事業所での職員の非常勤化が随分進んでおります。専門性の蓄積そして、継続的な支援の質を高めるという観点から、常勤職員の配置を中心にしていく仕組みが必要という観点から、常勤換算方式は不適切と考えております。

3 点目は、基本報酬によって事業所の運営についてです。先ほど来、事業所の人材確保の困難さは、ほかの団体の皆さんもおっしゃっておられるとおりです。私どもとしては、いろいろな加算がありますが、基本的には基本報酬で評価をするという仕組みにする必要があると思っております。併せまして、介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法も立法化されておりますので、より実効性のあるものになるように、是非、実態調査をする必要があるのではないかという提案をします。

4 点目は、例えばグループホームのような暮らしの場も日割り計算、日額払いという報酬になっておりますが、暮らしの場を日額払いというのは実態とは懸け離れた報酬の支払い方式ではないかと思いますので、原則月払いにということ。

5 点目として、これは骨格提言にもありますが、サービス等利用計画、支給決定プロセスの基本設計の変更も含めた抜本的な見直しが必要ではないかと考えております。

 以上 5 点につきまして、私どもからの意見を表明いたします。時間が少し超過しましたが、失礼いたします。

○菅自立支援給付専門官 どうもありがとうございました。最後になりますが、全国社会就労センター協議会様、お願いいたします。

○全国社会就労センター協議会 本日はありがとうございます。全国社会就労センター協議会会長の阿由葉と申します。私どもの基本的な考え方は、働き方や働く場所は様々であっても、より長く働き続けることができるということが重要であり、そのためには地域の中で安定した生活を送ることができることとそのための支援が大切であると考えております。本日はそれらの点も含めまして私どもの要望について、叶制度・政策・予算対策委員長から説明をいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○全国社会就労センター協議会  叶です。よろしくお願いします。セルプ協は障害のある人たちの働く・暮らすを支援するという立場で、幾つかのことを提案・要望したいと思います。まず、報酬改定に関するセルプ協の基本的な考え方ということで 2 点挙げています。

1 つは、いろいろな障害のある、生活する地域や取り巻く環境も異なる、という中で、働くことを希望する全ての障害者のニーズや状態に応えられる制度設計としていくことが大切であるということです。もう 1 つは、働くことを希望する全ての障害者が地域で自立した生活を送ることができるよう、福祉人材の確保や育成を含めて、それを支える関連制度の拡充を図るということです。

 続いて提案・要望にあたっての基本的な前提についてです。障害者就労支援においては、一般就労の促進がもちろん大事だと我々セルプ協も思っております。ただ、どうしても一般就労が難しい人たち、 1 度企業に就職しても退職を余儀なくされる方もおられ、一般就労が困難な人たちが誇りを持って働ける場、就労継続支援A型、B型、生活介護と様々な事業がありますが、これら福祉的就労の充実も併せて図っていく必要があるということです。

 そういう意味で、一部の施策に偏ることなく、一般就労、福祉的就労、住まいの場のトータルな支援の実現をはかっていくべきということを、大前提として挙げています。その前提に立って、大きく 3 つの柱について提案・要望を挙げていますが、これまでの各団体より出された意見と重複している所もありますので、少し省略しながら説明していきたいと思います。

1 つ目の柱が、「福祉的就労の場における支援の拡充」です。この柱の中で具体的には 3 点挙げています。 1 点目が、目標工賃達成指導員配置加算の要件です。この加算は現在就労継続支援 B 型事業所にのみ適用されています。就労継続支援 A 型事業所には適用されませんが、 A 型事業所にとっても営業活動に専念できる職員は大切ですので、B型事業所と同様に同加算を適用していただきたいと考えます。あわせて、より多くのB型事業所が適用できるようにもしていただきたいということも挙げています。今、目標工賃達成指導員配置加算を取得している事業所の割合は、国保連データによればは 47.7 %と、 50 %以下なのです。一方でセルプ協の会員施設・事業所に実態調査をしたところ、 60 %以上が目標工賃達成指導員配置加算を適用しています。今のセルプ協会員の平均工賃が 1 7,755 円と一般の平均よりも 3,000 円ぐらい高くなっていますが、これは目標工賃達成指導員配置加算の適用率の差にもよると考えられますので、同加算を適用するかしないかというのは影響がとても大きいと思っております。会員施設からの意見の中には、規模の小さな事業所ではこの加算を適用してもなかなか人を雇えるだけの収入にならない状況があるとのことですので、その点も含めて是非充実していただきたいと思います。

2 つ目が、 B 型事業所で、より高い工賃の支払いを実現している事業所を評価する仕組みとして、目標工賃達成加算がありますが、より高い工賃をというインセンティブをもたせるために、この加算の充実をしていただきたいということです。我々セルプ協として目指しているのが、年金と工賃といろいろな手当を含めて地域生活が可能となる水準の収入を確保していくということです。そういう意味で、工賃向上はとても大切な課題になりますので、例えば、同加算では最低賃金の 3 分の 1 以上を 1 つの要件としていますが、それを 2 分の 1 以上や 3 分の 2 以上という要件も設け、更に工賃アップするインセンティブをもたせるような仕組みにすることが必要だと考えています。

3 つ目ですが、障害の重い方の利用が増えていることからも、その支援をしている事業所を評価する仕組みである重度者支援体制加算を、支援の現状を反映したものにしていただきたいということです。工賃を上げることのみならず、障害が重くても働きたい人を受け入れて支えていくということでは、福祉的就労の場では重要であり、この重度者支援体制加算はとても大事な仕組みだと思います。しかし今の要件は障害基礎年金 1 級受給者の割合に限られています。これは障害の重度の方の支援の度合いを表す指標としては不十分ですので、例えば、障害支援区分の重度区分者を指標に入れる、それぞれの手帳の重度の等級の方を入れるといったことでどうかと、セルプ協では提案しております。

 次に 2 番目の柱である「一般就労の場における支援の拡充」です。すでに別の団体から同様の意見が出ていましたが、就職後の定着支援は大変重要であるということです。1点だけ申しあげますと、セルプ協の会員施設・事業所に定着支援に係る調査をしたところ、就労移行支援事業を実施する 8 割以上の会員施設・事業所が、基準となっている6か月を超える期間の支援をしているという結果が出ています。加えて、就職すればするほど空いた定員分の充足が難しく、事業所運営が厳しくなるという現状がありますので、高い実績を上げている事業所が継続的に運営できるような体制についても、是非検討いただきたいと思います。

 3番目の柱に移ります。「住まいの場における支援の拡充」です。 1 つ目の提案は、これもすでに別の団体から同様に意見が出ていましたが、住まいの場における支援の拡充につなげる仕組みの一つである、送迎加算について、現行では利用者の半数以上や週 3 回以上といったいろいろな条件が付けられており、市町村によっては送迎先として認める判断の違いもあります。せっかく家から最寄りの駅まで出て来ていただき、そこから送迎をしても市町村によっては送迎加算が付かないということがあります。是非そういった点の条件を緩和していくこと、送迎先として認める範囲は広くとっていただくという点をお願いします。

 続いて 2 つ目です。グループホーム利用の際の家賃助成です。今 1 万円を上限として家賃補助がありますが、先ほども申し上げたとおり、年金と工賃といろいろな手当を含めて地域生活が可能な水準の収入を確保するという考えに立つと、少なくとも生活保護制度の住宅扶助の水準まで、是非引き上げていただきたいということ、あわせて地域生活を支えるグループホームの拡充のためにも報酬も是非引き上げていただきたいということです。

 最後に、先ほどから、なかなか人が集まらないという状況、人材確保・育成を進めていく上でも厳しい状況という話が各団体からもありましたが、是非全体的な底上げを検討していただければと思います。以上です。

○菅自立支援給付専門官 どうもありがとうございました。各団体のから非常に丁寧に御説明いただきまして、お時間が少し来ておりますので、ここで後半の 4 団体の御意見に対して御質問等がありましたら、簡潔にお願いをいたしたいと思います。

○野沢論説委員 グループホームはやはり最重要な課題だと思うのです。平成 17 年というから、自立支援法が始まる前ですか、そのときは、グループホームの入居者が 3.4 万人で、それが今 8.7 万人になっている。入所施設の利用者は若干ですが減っていて、それなのにグループがこのように増えているのは何かというと、やはりこれまで家で家族が見ていた人を家族が見られなくなってきているということだと思うのです。それは高齢化だとか、家族の単位そのものが小さくなってきて、住み方が違ってきている。これは、これからもっともっと加速していくはずなので、そうするとやはりグループホームは、もっとこれまで以上に力を入れて作っていかなければいけないだろうと思っております。そのための財政的な措置というのは、私は最重要で手厚くしていくべきだろうと思います。

 その上で 1 つ、「障害の重い人の場合」とひとくくりにされていますが、行動障害というのは、今の単体のグループホームで本当にできますか。私はやっている所も知っています。すごく頑張ってやっている所も知っていますが、多くの所で家族が見ています。グループホームに入れてもらえない、入ったところで暴れるからと追い返されてきたと、この前も聞きました。国の福祉行政に長らく関わってこられた人ですが、障害のあるお子さんがグループホームに入って一安心と思っていたら追い返されてきた。一体今まで何のために一生懸命やってきたのだろうと嘆いていました。これは現状を象徴しているように思います。

 グループホーム学会の意見書にありますが、これは検討会でも議論になったところですが、本当に報酬さえ上げれば、今のグループホーム単体で行動障害の人を見られますか。私はちょっとそれはどうかと実は思っていて、この前も検討会で議論したところです。やはり報酬を上げて専門性の高い人を雇用して職員にするというだけではなくて、ハード面を変えることは、行動障害を起こす人にとってとても大事だと思います。あるいは、職員の側のバックアップ体制、同居している障害者との相性、職員との相性だとか、ある程度経営のスケールメリットがないと、なかなか彼らの支援は難しいのではないかと思います。

 では入所しかないのでしょうか。皆さん入所と言っていますが、私はもちろん入所よりも、もっと小規模なグループホームがいいと思っています。それではどうすれば行動障害のある人をグループホームで支援できるのかを是非提示していただきたい。単に報酬を上げれば、行動障害を見られるというだけでは、なかなか納得しきれないと思います。それで、苦肉の策で、小規模というか、もうちょっと規模の大きいものを議論したわけです。

 だから、その辺をもうちょっと何か研究していただきたい。このように 20 30 人ではなくても、今は単体のグループホームで見られるから任せろと。そのためにこのようなことを用意するので、こういう加算をしてくれというような提案を是非していただきたいと思うのです。そういう議論はないのでしょうか。

○日本グループホーム学会 グループホーム学会が厚生労働省の助成で事例研究、重症心身障害や行動障害の事例検討をしたときに、やはり小人数を一住居で見て、手厚く支援している所が結構あるのです。そこは本当に事業体の持ち出しが多くて、夜間支援も専門の職員を付けなくてはならない、世話人も付けなくてはならないというような状況がありました。

 確かにスケールメリットで、大きくすれば安全で見られるという論議もありますが、そうすると行動障害の人たちがお互いに刺激し合って、不安定になる傾向が強いのです。より小規模の住居、小人数で見たほうが安定をするというような実践例は全国であると思うのです。

 そのためには、ではどうしたらいいか。今の基本報酬の考え方は事業所の入居者全体に対する世話人配置基準なので、小規模でスペシャルな人を見ているような所は、住居にもう少し手厚くするような人員配置や世話人の配置をすることによって、ある程度は改善できると思うのです。必ずしも鉄筋コンクリートでハードな建物を作らなくとも、ある程度の修繕は必要かも分かりませんが、一般住居で落ち着いた環境を作れば、必ずしも選択肢が入所施設でなくてもいい。グループホームのほうが、より小人数で見られるというところを、今実際にやっている所の事例を元にすれば、ある程度の方向付けは出るのではないかと思うのです。

 ただ、今までは夜間支援体制、宿直体制で、単独のグループホームだけでは難しい所が通所施設の宿直の応援をもらっていましたが、今回の夜間支援体制加算では、夜勤の人が区分に関係なく、 1 人で何人見るかの報酬体系になった。やはり、基本報酬と夜間支援を手厚くすることで、行動障害の人も見られるのではないか。見られると思っております。

○野沢論説委員 ハード面の大規模化というのではなくて、経営を大きくして見ていくというようなことを私は思っています。ここの辺は本当に大事なところです。やはり、ユーザーが納得して、軸足を入所あるいは家庭からグループホームにきちんと移せるようなものを、是非研究してやっていただければと思っています。

○日本グループホーム学会 繰り返しになりますが、全国で重い強度行動障害がある人たちの受入れをやっているような所で、 2 人定員でやっているとか、 3 人の住居でやっている所があります。 1 人ずつの個別的な環境設定のしやすさで言えば、もう 4 人や 5 人でもない。もっと規模の小さいほうがやりやすいというのが、やっている所からは出ています。やはり、そこで今、 4 人からになっているのを 2 人、 3 人で評価される仕組みが必要だと思います。

 それと、今実際にやっている所というのは、幾つかのグループホームを持っていて、行動障害がある人のホームを全体が支える。だから、全体のお金から少しお金を持ってきて、行動障害の人を支えているような仕組みになっています。ほかのグループホームの入居者にとっては、ある意味ではマイナスになってしまうという仕組みになっています。そのため、数が増やせない。そこで、今の障害支援区分をもう一区分超えるくらいの仕組みを考えないと、難しいかとは感じています。

○野沢論説委員 はい、ありがとうございます。

○日本グループホーム学会 今のは事務局長の室津が補足です。

○野沢論説委員 それと全国就労移行支援事業所連絡協議会さん、この事業が始まってから、 1 人も就労者を出していない所が 35 %になっています。これは本当に恥ずかしいと思います。民間企業だったら、倒産あるいは詐欺と言われてもおかしくはない。実際にそのようなことを言われて、私も大変つらい思いをして聞くこともあります。

 こういう所は、職員を研修するのに加算、あるいは減額などというのではなくて、もう単価の高い就労移行支援事業を返上してもらったほうがいいのではないかと思うのです。厳しいですか。

○全国就労移行支援事業所連絡協議会 私が今日御提示させていただいているのは、厚生労働省から頂いているデータです。平成 24 年時点のデータですので、この 2 年間でどうなっているか。この 0 %がもう少し割合としては少なくなってもらいたいという思いではいるのです。

 多分、実績の上がらない所については、理由としては本当にノウハウがなくて、これからやろうという、まだ誕生して間もない所ではあると思います。そこにはノウハウの提供に関する何らかの手立てが必要ではないかと考えております。現行の就労支援の研修ですと、 2 日間です。 2 日間でもやり方次第なのかもしれませんが、いろいろな知識を得られるような研修の機会が必要なのではないかと思います。

 それから、ノウハウ以外のところは、例えば旧法から自立支援法に移行するときに、新たな移行先、あるいは職員数のバランスで就労移行を選んだ事業所であるとか、今は直接、 B 型事業所へ特別支援学校からは行けませんので、そういうアセスメントを一定期間取るため、そして B 型に流れるための事業所も存在していると噂では聞いています。そういった所はこの事業の趣旨からいうと本末転倒です。就労移行支援事業の指定をするのは、市町村の指定係なのですが、実地指導等ではやはりそこまでの指導は徹底されていないのではないかと思います。返上するというのは最終的に事業所の方に判断いただきたいと思うのですが、もう少し指導の徹底を明確にやっていただきたいと、私たちは思っております。

○野沢論説委員 ごめんなさい。返上というのは、就労移行ではなくて、 B 型に替わってくれとか、そういう意味で言っています。やはりこの就労移行は、過渡期にきているのではないかという気がしています。今の障害者を雇用している企業を見ても、余り当てにせずに直接、特別支援学校に行って、高等部の 2 年あたり、実習生で青田買いをしているような状況です。

 日本の一般の就労を見ていると、欧米とはちょっと違って、特殊なメンバーシップ制と言われています。学校での教育あるいは公的な職業訓練などはほとんど当てにしなくて、とにかく雇うと。自分の所で、企業で育てるからいいのだというような慣行です。かつ、福祉はジョブ型雇用です。どんどん転職もしていくし、何かその辺りものすごくミスマッチが生じているのではないかと思っています。

 むしろ、新規の人の就労移行というときには、余り当てにされていないような感じがします。そうではなくて、何度も失敗する人や、あるいは福祉の中にずうっといた人が就労していくときの一番威力を発揮するのは、就労移行支援事業所だと思う。後は知的・精神の方の就労はすごく伸びています。これまで、企業が想定しているような障害者ではないタイプ、余り企業に馴染まないタイプの人たちを定着させないといけないというときに、やはり福祉の側がコラボレーションして、乗り込んでいって、いろいろときめ細かく支援していくみたいな、何かそちらのほうに重心を移していく時期ではないかと思っています。そういう御提案はないのですか。

○全国就労移行支援事業所連絡協議会 正にその就労移行支援については、本当に 8 年たちまして、過渡期にきていると考えています。例えば、知的障害を中心にやっている移行支援事業所は、今日ははっきりとしたデータは持ってきておりませんが、感覚的には、都市部では定員割れをしている事業所が多くあると認識しております。それは特別支援学校からダイレクトに就職される方たちが多くなっている現状があるからではないか。

 ただ、一方で地方に行きますと、 1 年、 2 年、知的障害のある方も訓練を経て、丁寧なマッチングのもと、特例子会社ではなく一般の小規模の民間企業へ就職していく。そのためにこの機能が必要だという形で、運営されている方たちもたくさんいるというのが現状です。

 都市部では、知的障害者の方を中心にやっている所は定員割れしている所が多くなっている反面、例えば発達障害あるいは精神障害の方の就労移行支援のニーズは年々増えてきています。その方々の準備訓練、プログラムがこれから確立していくことが課題だと感じています。

○野沢論説委員 ありがとうございます。

○菅自立支援給付専門官 ほかに御質問等、よろしいですか。

○沖倉教授 時間は限られていますが、 1 点だけお願いします。恐らく就労移行支援事業所連絡協議会の方とセルプ協の方からも出たと思います。一般就労後の定着支援に関してなど、移行した先で定着する支援について、現状としての実績は理解できましたが、お伺いしたい点は、定着支援のゴールは何かということです。

 それで、特に連絡協議会のほうでおっしゃっていたのは、生活を重視して支援する。そのようにおっしゃっていたのですが、生活というのはずうっと続きます。そうしたときに、生活支援を定着支援の軸足に置いておくとすると、それはいつ定着するのだろうということになります。実績は評価したいし、 6 か月、 1 年とされているのは理解できましたが、これを報酬、加算、予算などとしていく場合に、どう考えたらいいのかを聞きたいのです。

○全国就労移行支援事業所連絡協議会 おっしゃるとおりです。まず、その定着支援に関しては、御説明の中でも申し上げましたが、やはり一般就労後の支援ですから、そもそも企業で雇用されている方々です。まず、 1 つの支援のサポートの責任としては、使用者の責任があるべきだと考えております。それから、その中で障害のある方が就業生活をしていく上で、更にサポートとしては、雇用施策でより充実を図るべきだと考えております。

 そういう中で生活面では、借金をしたり、日常生活で家族とのトラブルがあったりなど、そういうサポートが知的障害あるいは精神障害のある方にとって多々、 6 か月以降も必要な場合があります。そういったことについてサポートはしていますが、生活面の問題から、例えばジョブコーチ制度が活用できなかったりなど、そういった問題があります。

 ただ、就職して以後どこまでも就労移行支援事業所で絶えず個別給付でサポートしていくべきだとなると、当然それもマンパワーの不足にもなります。やはり一定の期間を決めて、その生活支援に重きを置いてサポートする形が必要ではないかということで、ケース 3 の案を御要望したいということです。

○全国社会就労センター協議会 セルプ協が就労移行支援事業を実施する会員施設・事業所に対し実施した調査によれば、 8 割の方事業所が 6 か月を超えても支援をしています。そのことによって、 60 %くらいの人が 4 年以上定着しているという数字も出てきています。そういう意味では、ナカポツセンターだけではなくて、就労移行支援事業所が、定着支援のために動いていくのはとても大事だと思っています。

 ただ、その支援を何年するのかというところでいくと、多分 4 5 6 年目になっても、頻繁ではないにしても、トラブルが起こったときに支援のために就職先等に行ったりすることはあるのだろうと思います。支援の頻度が異なるということがあるため、セルプ協としては、 6 か月を越える期間の支援に関しては、 1 回の支援当たり何単位という形を提案しているところです。是非検討していただければと思っています。以上です。

○菅自立支援給付専門官 ほかに御質問等はございますか。それでは、少しお時間が超過してしまいましたが、以上をもちまして、本日のヒアリングを終了とさせていただきます。次回の検討チームは 8 6 日水曜日、 16 時から 18 時まで、厚生労働省 9 階の省議室におきまして、ヒアリングの 3 回目を予定しております。本日はお忙しい中を長時間にわたりまして、どうもありがとうございました。これをもちまして、第 3 回の報酬改定検討チームを閉会といたします。


(了)

(注1)
「高鳥厚生労働大臣政務官」の「高」の本来の表記は「はしごだか」ですが、システムの制約上表記することができないので、「高」で表記しております。

<照会先>

障害保健福祉部障害福祉課

評価・基準係: 03-5253-1111(内線3036)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 障害保健福祉部が実施する検討会等> 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(平成27年度報酬改定)> 第3回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」 議事録(2014年7月25日)

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