ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 高気圧作業安全衛生規則改正検討会> 第6回 高気圧作業安全衛生規則改正検討会議事録(2013年6月19日)




2013年6月19日 第6回 高気圧作業安全衛生規則改正検討会議事録

労働基準局安全衛生部労働衛生課

○日時

平成25年6月19日(水)18:00~20:30


○場所

中央合同庁舎5号館労働基準局第1、2会議室(16階)


○議題

1 検討会報告書案について
2 その他

○議事

○濱本主任中央労働衛生専門官 

ただいまから、第6回高気圧作業安全衛生規則改正検討会を開催いたします。本日は、大変お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 まず、資料の確認です。本日の資料ですが、議事次第があり、資料1「高気圧作業安全衛生規則改正検討会報告書()」を付けております。参考資料1「高圧則改正検討委員会の開催要綱」、参考資料2「参集者の名簿」を付けております。過不足等ありましたら、おっしゃっていただきたいと思います。

 次に、本日の出席者ですが、大豊建設の畔田委員と、東京医科歯科大学の柳下委員は、御都合により欠席と伺っております。また、川崎委員の随行者として、近藤課長にも御臨席いただいております。本日は、第1回でスケジュールを説明いたしましたが、この会議は5回で終わる予定でしたが、昨年の12月に開催した際に、「繰り返し潜水」についての結論が得られなかった部分があります。その後、これを含めて報告書案をいろいろと調整、精査をいたしましたので、大変時間が掛かりました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。なお、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。以後の進行を、眞野座長、よろしくお願いいたします。

○眞野座長 

こんにちは。夜遅い時間ですが、皆さん大変お忙しい中を、遠方からお越しいただきましてありがとうございます。本日は、スケジュールどおり、報告案の取りまとめの検討を御審議いただきたいと思います。それでは、早速事務局から資料の説明をお願いいたします。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

資料1を御覧ください。前回の宿題になりました繰り返し潜水の件について、先に簡単に説明いたします。前回の12月の際にはマトリックスを用いた簡便な案で、今はノモグラムというものを使って繰り返し潜水は別表3の計算尺のように求める形になっておりますが、マトリックスを用いる方法が可能かどうかについて検討するようにということでした。それについてはその後、眞野座長をはじめ、今日御出席いただいているオリエンタル白石の近藤様、日本潜水協会の橋本様をはじめ、何人かの委員の先生方で御検討いただきましたが、マトリックスを用いる方法は対象とした作業形態が幅広いものですから、マトリックスに収めることが非常に困難であることと、今回の減圧基準に関しては16組織それぞれについて評価をする方式を取っておりますが、マトリックスを用いる場合、その中の代表的な組織を選ばないといけない問題があり、整合性の問題等のこともありまして、今回はマトリックスという方法を取らずに、繰り返し体内の不活性ガスの分圧を計算することにより、繰り返し潜水における減圧時間も求めることが適当になったという報告を受けております。詳しいお話については、今日この検討に携わっていただきましたオリエンタル白石の近藤様にも御臨席いただいておりますので、後ほど御説明をいただければと存じます。

 当案ですと、現在高気圧則で存在している「業務間ガス圧減少時間」あるいは「業務終了後ガス圧減少時間」については、全て式によりまして体内の不活性ガスの分圧を計算するものですから、不要となると聞いております。また、これは報告書でも触れますが、業務と業務の間の間隔が14時間以上空く場合には業務終了後ということでリセットというか、1からまた計算することができるというお話を聞いておりますので、その辺についても後ほど近藤様から御説明いただければと思っております。前置きが長くなりましたが、そういう検討を含め、前回お示しした報告書から少し整理をしましたので、時間もたったこともありますので、ざっと全般的に説明をさせていただきたいと思います。

 資料12ページは、第1「検討会開催の趣旨等」を掲げています。これは要綱から引っ張ってきておりますので、これについては変更ありません。3ページは参集いただいた先生方、出席いただいたオブザーバーの方々の一覧を掲載しています。4ページからは検討の経緯ということで、検討会6回の経緯と参考までに単位換算表を載せております。その下の第2から本文に入ります。

 第2は、「高気圧作業の安全衛生基準の課題と改正の方向」です。1は「現行高気圧作業の安全衛生基準の課題と検討」ということで、潜水業務・高圧室内業務の共通の課題と検討を御覧のようにアからクまで挙げています。アは、旧高圧則の高気圧障害防止規則が制定されたのは昭和36年で、減圧基準、減圧表自体はそれ以来大きな変更はなされておりません。イは先生方からの今までの御意見をまとめました。今までの減圧症は、急性減圧症を中心で考えてきましたが、その後の研究によりまして急性減圧症を発症した後に治療せずに放置することによりまして、無菌性骨壊死という慢性減圧症が発生する可能性が高くなる報告があることを委員から御説明いただきました。これについては、その因果関係等について更なる知見の集積が必要かと感じますが、前提となる急性減圧症を予防することが重要であるということで、今回検討の課題でもある酸素減圧等によると、より体内の不活性ガスの排出が促進されるということで急性減圧症にもなりにくい作業が行われるということでしたが、そういった作業にも対応できるような減圧基準が求められていることが1つあります。

 ウは、近年の高圧作業においては、窒素混合ガスあるいはヘリウムを含めた混合ガスが技術的に使用することができるようになってきました。健康上のメリットもあるわけですので、こういったガスを有効に使えるような減圧表、減圧基準が必要ではないかということで、御意見をまとめました。

 エは、先ほど申し上げましたが繰り返し潜水の場合、今は別表3の計算尺の方式で減圧時間を出しますが、作図精度の問題でこれがずれることによりまして、実際の値に誤差が出てくるような部分がありますので、今回は違う方法を取るべきではないかという意見があったかと思います。

 オは、今後、酸素減圧にも対応するような基準を設けることになりましたが、酸素減圧を行うことが上で、酸素を一定以上吸入した場合には、蓄積による酸素毒性を及ぼすおそれがあることが知られておりまして、慢性肺酸素中毒予防のための規制値を設けるべきではないか。それから、慢性酸素中毒としては肺機能の低下が認められるということでしたので、現行高圧則の健康診断でも肺活量の検査を6か月に1回行うことになっておりますが、これを確実に行うとともに、可能であれば高圧作業の作業開始前後に肺活量測定をすることが、酸素減圧を使う場合は行うことが望ましいという御意見がありました。

 カは、急性減圧症の発生の場合に空気による再圧は禁止して、酸素による再圧をするよう、空気再圧を禁止することが適当ではないかという御意見をいただいておりましたが、これは再圧治療にかかるような医療の問題でもありますし、今回の労働衛生上の問題として、本検討会で検討を行うことは困難かということとされました。ただ、こういった御意見を頂いておるということで、報告書に残させていただいております。

 キも同様です。再圧を行うときには再圧室、装置を設けることになっております。1人用のものを現在使われるケースが多いですが、これを2人以上のものにすべきではないかという御意見もありました。これについても更なる状況等を調査することも必要ですし、治療とも重なってくる話ですので、本検討会で結論を出すことは困難であるとされておりますが、一応報告書の中ではこのように残させていただきます。

 クは、高気圧作業者についても高気圧作業記録、そういう現場を渡っていく方々については何か記録をするような手帳などがあったほうがいいのではないか。作業記録、従事歴を記載するようなものがあってはどうかという話がありました。もちろん、これは慢性の減圧症を知る上では必要なものかもしれませんが、今のところその因果関係についてはもう少し深く知見を収集する必要があることも含めて、すぐに義務化をしていく、あるいは制度化していくのはなかなか難しいのではないか。ただ、そういった作業歴をまとめていただくことを、例えば業界とかが中心にやっていただくことについては推奨できるのではないかということで書いています。

6ページは、潜水に特化した形での課題ということで出てきたものです。1つは、現行の別表2は水深90mまで許容していますが、実際に空気を呼吸ガスとして潜水業務を行う場合においては、現在の知見ではこの深度まで安全性を十分確保することが難しいとされています。ですから、もう少しここは見直すべきという御意見でした。イは、事例的には10m以浅においても減圧症の発症が一部報告されている旨の意見がありましたが、減圧管理を必要とする深度を10mより浅く設定するには、そういった知見がまだ不十分な面もありますので、当面は現行の水深10mからの減圧管理をさせていただいて、その後、また知見の集積に努めていきたいと考えています。

 高圧室内業務の課題と検討です。潜函作業で、ここで書いたのは0.4MPa以上の作業については、なるべく浅い深度からエレベータを用意することが望ましい。階段で上がると、それを契機に減圧症を発症することも懸念されるという御意見があったということです。

2は、「高気圧作業の安全衛生基準をめぐる国内実用面及び海外の動向」です。1つは昭和36年に規則、別表が出来上がりまして進めてきたわけですが、近年ゲージ圧が0.25MPaを超えるような場合は別表1をそのままではなくて、大体安全側に修正して使っている傾向になっています。海外の動向は御覧のとおりです。

7ページの3は、「高気圧作業の安全衛生基準の見直しの方向」で、今まで申し上げたこの検討会で出された課題を受けて、見直しの方向ということです。(1)は潜水業務・高圧室内業務共通の方向です。アは、先ほど潜水業務に書かれていましたが、現在別表290mまで許容しておりますが、空気を呼吸ガスとする高気圧作業は水深40m又はゲージ圧が0.4MPaまでとすることが適当ではないかということです。

 イの使用する減圧表については、適切な理論に基づいた半飽和組織ごとの体内不活性ガス分圧及びM値、M値というのは、次の減圧停止圧に移行できる最大不活性ガスの分圧値で、これが基準になってまいりますが、体内不活性ガスがこのM値の基準以下となるまで待機する時間を「減圧時間」として設定をして、この計算式の中で減圧時間を求めて減圧表を作って、これを使った作業を行うことが適用ではないかということです。今までは表を示しておりましたが、課題で申し上げているように今は空気だけではなくて、いろいろな配合の混合ガスなども使われておりますので、こういった手法で減圧時間を出すべきではないかということです。

 繰り返し作業についても、大気圧に戻った後も引き続き同様に計算を行って、適切な減圧時間を設定するということで、体内の実際のガス分圧計算をして、それを基に減圧時間を設けていくことが適当ではないかということです。繰り返し作業とは、次の高気圧作業との間が14時間未満の高気圧作業とする。言い換えれば、次の高気圧作業との間が14時間以上空けば、別の高気圧作業とする。要するに、もう一度、1から計算をすることが可能になるということです。この辺について、具体的には後ほど御説明をいただきたいと思います。

 ウは、水深40m又はゲージ圧0.4MPaを超える高気圧作業では、窒素ガス分圧が空気の分圧よりも低くなる混合ガスを呼吸用に使用しなければならないとするということで、混合ガス呼吸又は酸素減圧、若しくはその両方を用いた場合も、基準となる計算方法により浮上又は減圧時間を求め、これ以上の減圧停止期間を設けることにより作成するものとするとしております。つまり、先ほど空気呼吸は40mまでという御意見を頂いて、その方向性で進めるということでしたが、40mを超えた場合は適切な混合ガスを使用する、あるいは酸素減圧を使用することをうたっています。水深40mを超えない場合においても、こういった計算方法によって混合ガス使用や酸素減圧といったものが、当然利用できるようにしていきたいということです。

 エは、高気圧作業終了後の大気圧下になった後でも、一定時間純酸素を呼吸したほうが減圧症の予防のためには良いという意見もありましたので、触れさせていただいております。

 先ほど課題で申し上げた酸素減圧が今後かなり行われてくることになろうかと思いますが、それによりまして累積の酸素ばく露量による慢性中毒については、医学的知見に基づいて酸素の分圧が0.05MPaを超える場合について、計算式により評価をする必要があるということです。累積の酸素ばく露基準は、1日あたり600肺酸素毒性量単位(UPDT)以下とする御意見がありましたので、その旨を入れさせていただいております。1週間あたりの値としては2,500累積肺酸素毒性量単位(CPTD)以下とすることが適当という御意見を頂いておりますので、それを書かせていただきました。また、連日作業を行う場合は、1日あたりの酸素ばく露量を平均的にする(例えば、6日間連続作業する場合は、各日の酸素ばく露量400肺酸素毒性量単位(UPTD)以下とする)ことが望ましいということを書いています。

 カです。事業主は、労働者に高気圧作業を行わせるときは、上記のように、今回は計算式を用いて、それぞれ減圧時間あるいは酸素毒性に対する対応等の満足する作業計画を作成し、これは減圧表を含めたものですが、関係労働者に周知しなければならないでしょうと。また、高気圧作業を行った記録、こういった減圧表等を作成して作業を行ったという記録については、現在気候室の仕様について5か年間保存することになっておりますが、それと同様に高気圧作業者ごとに5年間程度は保存することが望ましいのではないかということで御意見を頂いているかと思います。

 キです。高圧則の場合、制定が古いものですから予防原則に触れておりませんが、この会議の中でもより安全な手法を取るべきことが望ましいのではないかということは何度も議論をされておりますが、それを含めて規則で定める内容は、罰則をもって強制する最低基準です。しかしながら、高気圧作業時の身体強度、個人の性質・体調、環境等によりまして、減圧症の罹患状況も変化しますので、規則の定めを最低基準としつつも、更に高い安全率を採用する等、なるべく身体に窒素を溶け込ませないような、なるべく早く排出するような、身体に負担の少ない方法を採用するように努めるべきということを書かせていただいております。

 クは、高圧則の現行第35条で純酸素の使用制限と書かれておりますが、今回は全てガスに関しては分圧による基準ということで統一をしていきたいと思っておりますので、酸素分圧による基準、規制を置き換えることが適当ではないかということで書かせていただきました。

 潜水業務の方向性ですが、1つは潜水業務における純酸素使用はこの場でも御議論になったかと思いますが、水中で純酸素を使用して急性酸素中毒になると、意識障害を起こしたりということがあるし、そのために酸素の供給を止めるような処置をするのも非常に難しいので、溺水のおそれが生じるということで慎重に考える必要があるでしょうということです。ただしダイビングベル、いわゆるタンクのような形で周りがドライな状態のものの中に入って減圧する場合において、溺水のおそれがない場合については酸素減圧についても使用可能とした方が、早く不活性ガスを抜く効果もあるので利点があるのではないかという御意見を頂いております。

 減圧管理を必要とする作業について課題でも書きましたが、10mでなく8mとすることが望ましいのではないかという御意見もありましたが、これも当面は10mでよいのではないかということです。もちろん10mより浅い深度においても、自主的な管理をしていただくことは差し支えありませんが、基準として10mとするべきではないかということでした。

 高圧室内業務の方向性ですが、ゲージ圧が0.3MPa以上では、ヘリウムの混合ガス呼吸とすることが望ましいのではないかという御意見を頂きました。それから無症候性気泡というマイクロバブルを体の中に残さないようにするためには、減圧を要する作業では酸素減圧を採用することが望ましい。減圧管理をコンピュータでやりやすい高圧室内作業については、減圧速度を0.015MPa/min以下とすることが望ましいということですが、これは最低基準として定める場合においては現行どおりでもよいのではないかという御意見でした。ゲージ圧が0.4MPa以上の潜函作業では、できるだけ浅い深度からエレベータを用いることが望ましいのではないかということです。

 今後の課題です。今回も酸素減圧や混合ガスという新たな技術等々の中で改正の検討をしていただきましたが、今後、高気圧作業に関する更に新たな知見の集積あるいは技術の進展について、こういったものを情報収集に努め、それらによりまして高圧等の見直しなどが必要と認められる場合には、高気圧作業の安全衛生の在り方等について再度検討していく必要があるということで、先生方の御意見の中で書かせていただいております。

 労働安全衛生法の第3条第3項の理念ですが、オブザーバーにいろいろな省庁の方、事業者、発注者又は業界団体の方も入っていただいておりますが、こういったところが連携をして、労働者の安全と健康を一層確保できる方法を検討することが望ましいのではないかということで書かせていただきました。

 第3のところ、今回の改正のメインのポイントは、「高気圧作業の減圧表の見直し」です。ここについては繰り返しになる部分もありますので簡単に説明をしていきますが、「基本方針」は3行目にあるとおり、新たな規制基準としては、先に申し上げたような計算方式により求めた減圧時間を基準とする。今までは別表を用いておりましたが、今後多様化された作業に対応するため、計算方法により求めた減圧時間をきちんとすることが大原則です。次の所は先ほど申し上げたとおり、空気の場合はゲージ圧40MPaに制限をする。ゲージ圧がそれまでのものについても、基準式を当てはめることによりまして酸素減圧や混合ガス利用が可能であるということです。参考として前回の資料で付けておりますが、典型的な減圧表例を作成はしています。これも当然のことですが、海外等で利用されている減圧表についても、これに適用すれば使えますし、適用しない部分があればそれを修正いただくという当たり前のことを書いています。

 現行の高圧則に存在している業務間ガス圧減少時間等については御説明しましたが、繰り返し潜水の場合についても待機時間も含めて体内の不活性ガス分圧を計算することにしましたので、それに置き換えることによって一定の時間は設けなくてもいいのではないかということです。

 現行の高圧則の作業時間の上限が、旧高圧則を制定した昭和36年から設けられておりますが、この当時は人体が長時間高圧環境下に置かれた場合の健康影響について十分な知見がなく、健康影響を及ぼす可能性が否定できなかった状態だったことから、減圧時間に加えて作業時間についても一定の基準を設けたものと推測されます。昭和36年ということですので、残っている資料を総合するとそういったことではないかということです。しかしながら、その後海上自衛隊あるいは海外において、例えば飽和潜水などが現実に実施をされていて、かなり高圧下の中で長期間いることにおいても、高圧環境下に置かれる場合においても人体の健康影響というのはその時間のものではなく、圧力の変化とそれに応じた減圧時間によるものであることが明らかになってまいりましたので、作業時間の規制は不要であると考えられるということで書かせていただきました。前回の規則から大きく変わるところです。

2は、ここから「体内不活性ガス分圧、M値及び累積酸素ばく露量の計算方法等」を示しています。(1)は先生方の知見に基づいて、それぞれのガスの分圧の上限値等について定めをしています。窒素の分圧は400kPa以下、酸素分圧は18以上220kPa以下。これは呼気ガスだけではなくて、減圧時も含めてです。二酸化炭素分圧に関しては、現行規則の中でも基準が置かれていて、変わりはありませんが5kPa以下です。さらに、これ以外のガスについてはヘリウムを使用することという形で、(1)は使用するガスのそれぞれの分圧の基準について書いています。

(2)から作成する減圧表についての計算式の前提を書いています。初期窒素分圧等を書かせていただいておりますが、(3)までが体内の不活性ガス分圧を計算する式を示しております。これで、実際の作業における体内の不活性ガス分圧を半飽和組織が11616組織を飽和する時間ごとにまとめて、それごとに計算をするということです。ですから、この(3)に与えられた式については16の組織で計算をしていくことになります。

(4)M値とありますが、これが先ほど本文中にも書いた基準となる数値です。これも16組織の基準ができます。この数値を先ほどの実際の作業に照らし合わせたそれぞれの体内の不活性ガス分圧と比較して、この数値を超えないように減圧時間を設定していく方法で別表を作っていきます。

(5)は、酸素ばく露量の計算式ということで、UPTDの計算式、酸素分圧が0.5ATAになっていますが、そのときに評価をするということでここで触れています。以下は、こういった計算をするための具体例を委員から挙げて作っていただきましたので、それを参考として載せております。

 二酸化炭素、CO2 の分圧ですが、高圧則の現行の第16条では0.5kPaで、報告書の10ページの2(1)5kPaと書きましたが、換算すると0.5kPa以下ということですので、報告書は記載ミスです。御修正いただければと思います。また、この計算式等の技術的なところの補足については、前回までもお話をしておりますが、近藤様から補足がありましたらお願いしたいと思います。報告書については以上です。よろしくお願いします。

○眞野座長 

大変長文で、いろいろな項目が中に入っておりますので御理解しづらい所があったかもしれませんが、今まで審議した内容の整理ですので、おおむねこれでよろしいとは思いますが、今ありましたように近藤さんから何か追加はありますか。

○川崎委員陪席者(近藤課長)

先ほどお話にありましたマトリックスについて検討して、その報告だけします。私と潜水協会の橋本氏と2人でいろいろ計算して検討しましたが、マトリックスの方法はUSNavyなどでも採用していますが、潜函で使う場合は繰り返し作業は1日に精々入っても2回ぐらいで済むので、ある程度形式化できますが、潜水の方を考えると12回、3回、若しくは4回入るときもあるのではないかと。業務間も10分取る場合、20分取る場合、60分取る場合といろいろな形が考えられる。そういうことを考えると、マトリックスでその形を作ってシステム的な構成を作るのがなかなか難しいのかなという点が1つ。

 もう1つは、マトリックスで評価する場合、16組織で計算するという話がありましたが、そのうちの1つの組織、USNavyですと大体120分半飽和時間組織を使っていますが、1つの組織で繰り返し作業の次の時間がどれだけ必要かを評価しますので、実際この規則で設けようとするのは16組織を全部使ってそれを評価しようとしているのに、マトリックスでは1つの組織だけを評価する。それが本当にこの規則で合わせていく中で、整合性が取れるのかなという疑問が残りまして、場合によっては整合性が取れない場合も出てくるということがありまして、マトリックスの方法は今回は採用しないほうがいいのではないかという結論に至りました。

○眞野座長 

ただいま専門官と近藤さんの両者の話を伺った上で何か御質問はありますか。よろしいですか。全体の流れとしては、きちんとした御説明で正しいと私なりには判断しましたが、これで終わりというわけにもいきませんので、幾つかの項目ごとに先生方から特に御意見がありましたら、頂きたいと思います。資料の4ページの「課題と改正の方向」についての御説明で「安全衛生基準の課題と検討」ということで(1)として8項目が挙げられておりますが、この点に関して御質問なり、追加の御発言はありますか。

 次の6ページの「潜水業務の課題と検討」で、2項目が挙げられておりますが、これについてはよろしいですか。確かに水深90mまでエアというのはなかなか厳しいということで、今までも皆様方からいろいろな御意見を頂いて、おおむね今ある規則では60mぐらいまでは利用可で、それを超えた場合には、混合ガスの割合を考えましょうとか、酸素の利用あるいはイナートガスというか、ヘリウムの使用等々が論議されてきたところですが、アはよろしいですか。

○村山委員 

「潜水業務・高圧室内業務共通の課題と検討」のところですが、前回の報告の中では、高気圧作業に係る特殊健康診断について、医師が必要と認めた者について行う検査項目の中に、現行ではX線の直接撮影検査があるのですが、MRIによる検査を加えるのが良いという話が出たと思います。これが今回は削除されています。こういった減圧表を新たに利用式の計算式で示して、今後やっていこうという状況の中で、その検証となるものは、潜水士が被験者となって、そういう実績を積んでいき、それを検証するという1つの方法があると思います。そうした場合に、果たしてこういった減圧表を変えることによって、実際にどうだったのか。MRIでなければ、今、問われている厚生労働省の話は、本当のところは明らかにされないのではないか。ですから、MRIの検査というのは必要なのではないかと思うのですが、この辺りはどういう結論になったのですか。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

MRI に関しては、ここで言いますと、4ページの(1)のイに無菌性骨壊死という慢性減圧症ということで、これの発見のためにはMRIの撮影が必要であるという議論がありました。ただ、その部分を検討していく中で、慢性減圧症が発生する可能性が高くなるという御報告は、先生方から頂いたわけですが、これについて、その因果関係、例えば、ここで前提となる急性減圧症がどういう形で発生して、治療をせずにということですが、そういった条件というか状況によって、どういう形で発生していくかについて、もう少し知見の集積を図らなければ、その対象を決めていくのもなかなか難しいのではないかということです。

 それから、まずは今回、改正をすることについては、もちろん慢性減圧症を防ぐと言われております酸素減圧等の使用が促進されるような形での基準の設定にはなるかと思いますが、本来は現行の技術に即した形で急性減圧症というか、減圧症を的確に防いでいくために減圧基準を見直していくことが主眼でしたので、慢性減圧症を防ぐという意味合いでも、まず急性減圧症を的確に防いでいくことが必要ではないか。

 これも幾つかの会で申し上げたかもしれませんが、今、急性減圧症に関しても、休業を伴うようなものについては、発生件数としては少ない状況で、年間でも2桁へ行くかというところです。もちろん不休災害までは把握をしていない部分がありますが、そういう状況の中で、MRIとなりますと、できる所も非常に少ないわけですし、事業者に負担をかけるという意味合いでも、もう少しエビデンスを重ねることが必要ではないかと思います。

 いずれにしても、まず急性減圧症を防ぐ。それから酸素減圧や混合ガスを使いやすくすることによって、そういったものを防ぐことによって、慢性減圧症も防げるようになってくるのかなと。

 ただ、村山先生がおっしゃったように、慢性減圧症の評価ということになりますと、研究レベルの話等で進めていただくような、そういったところで知見を積み重ねていただいて、因果関係などについて、もう少し対象が絞れるような詳しい内容について御検討いただいた上で、また検討するのかと思っております。それを幾人かの先生方とお話をさせていただいて、イでまとめたものですから、前回、少し触れてはおりましたが、今回は削除させていただいた次第です。

○眞野座長 

これは村山委員の御指摘のように、今まで1度も減圧症にかかったことがないにもかかわらず、レントゲンで、何か引っ掛かりがあると。それが減圧症等によるものなのか、あるいは高気圧業務によるものなのか、全く別の個人的な疾患がベースになっているものか区別がつかない。区別のつかないときには、経験から圧気に入っていたということで、影響しているという判断が医師の側ではほとんどされると思います。そういうことを考えますと、今まで全く減圧症にかかったことがないにもかかわらず、このような変化が見付かるというのはままあることです。それを全部MRIを撮るかとなると、これもまた大変ではないかと私は思いますが、判断されたドクターの診た内容から、その担当の医師の判断でMRIを撮ったらいいではないかという助言をしていただいて、そういうケースについてはMRIを撮るべきだろうと思います。全てにかけるというのは、コスト的な問題とか、診る側も大変だろうと思いますが、鈴木先生、いかがですか。

○自衛隊(鈴木)

減圧症との因果関係は、非常に濃厚ということで報告されておりますので。今、全ての潜水士にスクリーニングとして、健康診断としてやるよりは減圧症にかかったダイバーについては、必ずMRIによる評価を行う。そういったことでエビデンスを積み重ねるといった施策が必要かと思います。

○眞野座長 

MRI を撮る場合には、どの方を撮ったらいいかというのは、ある程度選択しなければいけない点があって、その選択は診断した医師に任せるしかないのではないかと思います。

○自衛隊(鈴木)

それは示すべきであって。

○眞野座長 

村山委員、どうですか。

○村山委員 

対象が全てにわたるというのはどうかなということは、私は判断ができかねるのですが、そういうことは多少費用が掛かっても、慢性の減圧症を押さえ込む1つの歯止めにはなるのかなという見方があります。

 もう1つは、こうした実績を評価していくというか、そういった面が当然考えられるのではないかと思います。5年に1度以下ですか、その中で現行の減圧症の、安全性は当然ながら高まっていると思いますが、その辺りの評価が、ただ単に実際の実績に隠されたようなものが本当に分かっていないで、うまくいっているなという判断は決してできないのではないかと思います。

○眞野座長 

おっしゃることはよく分かります。どうですか。

○毛利委員 

基本的には急性減圧症と慢性減圧症というのは、私は因果関係は非常に強いと思います。私たちがやっていた動物実験では、急性の減圧症を発症したものに酸素再圧治療をしたものについては慢性の減圧症の発症は起きませんでした。

 急性の減圧症を発症させたあと、そのまま放置しますと慢性の減圧症を発症します。早いと48週間で発症しますので、そういうことからすると、基本的には急性減圧症と慢性減圧症との因果関係はすごく強く出てくる可能性があると思います。ただ、私たちがやったのはイヌですので、イヌというのは、骨には動静脈が真ん中から入っていきます。人間の場合には骨頭と下と両方から入ってきますので、そういう意味合いで、それぞれ虚血を原因として慢性減圧症の発症を起こすと考えております。ただ、人間と動物では動静脈が入ってくる部位が違うということで、その点には問題があるかもしれませんが、急性減圧症を起こした者を放置すると、慢性減圧症に移行する確率は相当数あるのではないかと思います。

 有明海でヘルメットダイバーが骨壊死を起こしているときに、再圧治療をしていなくて、その後に慢性減圧症の発症が多大に起きているというのは、そこに原因があるので、今回のは急性減圧症が起きた場合に、再圧治療をして、いかに予防するかということも、改正の1つの大きな要因だろうと思います。

MRIというのは、先ほど眞野先生も言われたように、どの関節を撮るか。私たちは飽和潜水のときに肩と両骨盤の関節の3か所だけしか撮っていません。それでも1人に費用が10万円もかかりますので、それを一般的な業者に依頼するのは非常に難しい。それも入る前に1回やって、出たあとに、それから3年間継続してMRIを撮っていましたので、そういう意味では莫大な費用がかかってくるので、現実的ではないかもしれません。ただ、慢性の減圧症を発見するには、単純写真では基本的には無理ですから、MRIを撮る以外にないと思います。

○眞野座長 

今までの私自身の経験例から言いますと、疑わしいと思う者は、減圧症にかかっていなくてもMRIのオーダーを出しています。頻度の数は非常に少ない。原則的に減圧症にかかっていて、それに伴う関連部位に何らかの異常なり自覚症状なりがある場合には間違いなくMRIを撮ります。ただ怪しいからといって、みんな撮りましょうと言うと、今、毛利先生もおっしゃったように、コストの問題ももちろんそうですが、日本で3,000人ぐらいはいますから、こういった方々を全部拾えるかというと、チェックするドクターも足りないのではないか、診切れないような気がするのです。おっしゃるようなことができれば望ましいことだと思います。望ましいのですが、現実的なことを考えると、無理があるのではないかと私は判断しますが、皆様はいかがですか。そんなことから言えば、専門官が御説明になったところで妥協するしかないかなというのが、私の今の見方ですが、鈴木先生、それでいいですか。

○自衛隊(鈴木)

日本において潜水障害を研究する施設がほとんどなくなっている現状を考えますと、そういったエビデンスが出てくるのかということが非常に問題だと思います。そうしますと、この新しい規則に従って潜水して、本当に骨壊死が出るのか出ないのかというところは、ある程度サンプリングする。こういったスタディをやるのだというところを、まず示していただかないと、研究する所がない現状から、それは出していかないと。

○眞野座長 

ほかの委員の方で御意見ございますか。今は主にドクターの御意見を伺ったのですが、圧気に関わっている皆様方で、私はこう思いますという御意見がありましたら教えていただたいのです。川崎委員、いかがですか。

○川崎委員 

この法律の根本のところは、最低限のところを示すというコンセプトで動いている話ですから、発展的な話、MRIを全部にやったらいいという話とは少し種類が違う議論ではないかと思います。将来的にやれる方向になればいいのでしょうが、最低限のところは、今の部分でクリアできているのではないかと思います。

○眞野座長 

望ましいのですが、コストの問題と、それをやれ得るマンパワーを考えた場合に、現実的には不可能に近いですね。ですから、ある程度一般の健康診断の結果を見た上で、それを診断するドクターがMRIを撮るべきだということに対して、もう少しより細かく診ていただくという配慮の辺りで止めておかないとパンクしてしまうのではないかという気がします。

○村山委員 

特殊健康診断ですね。健康診断ではないですね。

○眞野座長 

そうそう。御意見はありませんか。鉄委員いかがですか。

○鉄委員 

今のお話を聞いていると、事業者側の考え方と、使用者側の考え方、それから作業員の考えがあるのではないかと思います。私たちは元請と下請の関係、それと事業者と雇用者となりますが、最低限とか望ましいというのであれば、慢性骨壊死というのは、私も非常に気になっている一番大きな課題で、20年後、30年後に出てくるという、20年とか30年のスタンスというのは事業者としては責任の持てない範囲である。

 それから、減圧症に万が一なった場合は、村山委員から話があった事業者として減圧症になった場合は、慢性骨壊死の予防のためには、MRIを受けさせるというのはやむを得ないのではないかという感じは受けています。それが何でもないということであればいいのですが、何かあった場合はどうかなというのがもう1つあるのかなという感じです。やることによって不安を解消できるものと、より不安を持たせるという辺りはいかがなものかと思います。事業者側としては、より安全の確立ということであれば、減圧症に万が一かかった者に対しては、そういう処置は、規制されていませんが、当然やるべきかなと考えています。

○眞野座長 

私個人の意見では、お考えもよく分かるのですが、例えば何となくおかしいというのが、例えば右の肩にあったからといって、右の肩だけ診ればいいかというと、そうはいかないのです。チェックすると、少なくとも6か所ぐらいは全部チェックしなければいけないのです。それをやり得るだけのマンパワーがドクターにあるかなと。それからコスト的にそれが補填できるかなというのがちょっと心配です。ゆとりさえあれば、やるにこしたことはないのです。ただ、現実問題としては難しいだろうというのが私の個人的な見解です。毛利先生はどう思いますか。

○毛利委員 

国の機関でやっていたものですから、お金があったからやったみたいなものです。基本的に望ましいことは急性減圧症の発症を起こした患者で再圧治療をしていない人にはするべきだろうと思います。それは当然有明海のヘルメットダイバーでも証明されていることです。

 現実に急性減圧症をちゃんと酸素減圧をして、治療を完了していれば起きる率は非常に少なくなると思います。現実にJAMSTECで、ダイバーが全部MRIを実験終了後3年間全部撮りましたが、1例の発症例もありませんでした。それでもJAMSTECのダイバーも急性減圧症の発症を飽和潜水で起こしていますので、そういう意味で全部撮りました。現実に起きたのはありませんでしたが、私の手を離れて、ほかの所で骨壊死を起こしたという例は、眞野先生から報告を受けていますが、それが現実に飽和潜水で起きたのか、その後の潜水作業で起きたのかは判断が付きませんでした。

 眞野先生が6か所と言われましたが、私の所は金銭的な面で3か所ですから、6か所ありますと、約20万円かかりますので、そんなに予算もないものですから、3か所で勘弁してもらいましたが、1例も起きていません。報告書に書いてあるように、急性減圧症の治療をいかに早く行うかというほうが、まず第一義的だろうと私は思います。

○眞野座長 

私も同意見です。怪しいなと思っても、急性期の減圧症の治療をできるだけ急いでやってくれないような所があっては困るのです。行政的には最初にそこに手を着けて、ともかく何か異常があったら、救急再圧の高圧酸素治療をちんとやっていただくことが、慢性の骨壊死の予防には一番役に立つのではないか。これも論理的に実証されているわけではないのですが、やったほうが望ましいだろうということで、極力そういう形で我々は対応をとっているのですが、それ以上にまで手を広げるとなると、今度は我々だけの判断では付かなくなってしまいますので、御理解いただけると有り難いのです。

○村山委員 

慢性の減圧症に罹患するリスクを下げるためには、今までのお話をまとめると、急性減圧症を起こした既往歴のある方は、必ずMRIを受けなさいとか、そういう条件的なものとか。当然医師による判断で決めるとか、そういったことが必要なのかなと思いました。全くないというのはいかがなものかなと思います。

○眞野座長 

その辺りは可能だろうと思います。あとは行政的にどうですか。それでも難しいですか。減圧症にかかったから、必ず骨壊死になるわけではなくて、減圧症にかかった方のうち、何パーセントぐらいが骨壊死になるかというと、そんなに高くないのです。せいぜい23%ぐらいですか。ですから、その人のために、かかった人の全部に骨壊死のチェクを入れるというのも、またコスト的なことを考えますと、厳しいのかなという気はいたします。

○毛利委員 

特殊健康診断は、医師のあれによって関節面の単純写真を撮りなさいという項目がありましたよね。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

単純写真はあります。

○村山委員 

そうですね。

○毛利委員 

あれを削ってしまって、MRIで撮影しなさいというようにしたら、そのほうがずっと現実的になるのではないですか。改正ですから、それはまた別のことになるかもしれませんが、基本的には関節面の単純写真では骨壊死の発見は難しいものですから、そういうもので疑いがあるということであれば、そこにMRIの撮影をしてくださいと書いたほうがより現実的に近くなると思います。村山委員の意見に近くなるのではありませんか。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

医師の判断でということですが、どういった条件の方に対してMRIを撮るかというのが、その辺のエビデンスで、今、可能性の話で、ここにも書きましたが、先生から頂いたのは急性減圧症を発症した後、治療せずに放置した場合はなりやすいという話がありました。ちゃんとした治療をすれば、まずそういった発症は余り認められなかったという話もありますので、MRIを撮ると医師が判断する上においても、どういう人に対してMRIを撮るかというある程度のエビデンスなり、そういう情報を提供してあげないと判断される医師も。眞野先生がおっしゃったように、皆さんが専門家かどうかということもありますが、そういう中で、きちんとした振分けがうまくできるのか。本来そういったところまで含めて、もう少しエビデンスというか研究を進めることによって、対象をうまく選び出して検査ができるようになれば検査をしていくということになればいいのかなと思います。今のお話の中では、かなりそういう可能性はあるのですが、その辺を引っ張り出していくのが難しいのかなという感じがします。

 それと、まず第一は、急性減圧症を防ぐことと、急性減圧症になった方について治療を徹底することという話がありましたので、そこは我々も進めていかなければいけないということで、今回の減圧症の改定もそういった急性減圧症をできるだけ少なくすることが主眼ですが、まずそこに力を入れるべきかと思っています。

 そういった研究と言いましょうか、そういった中で実際に無菌性骨壊死になっていく条件というか、そういったものがうまく判断できるようになってくれば、医師の判断によりというところが明確になってくるのかと思います。今、それをもしかけてしまうと、念のため、念のためという形で、どちらかというと、そちらにかかっていくような感じになるのかなと思います。私が言うべきことではないのかもしれませんが、そういう感じがいたします。

○毛利委員 

1 つは、急性減圧症というのは、かかった潜水士なり圧気作業者の申告なのです。外から「あなたは減圧症にかかっています」と言えないものですから、基本的に本人が申告しやすい現場とか場所がないと、なかなか「私は減圧症にかかりました」と言う者が出てこないのです。そうすると、急性減圧症の発症があって、それの治療をしなければいけないというまで、現実には届かないのです。ですから、一般の高気圧の高圧下で作業している所は会社ですから申告しますが。潜水漁業者とか、いろいろな霊細漁業者は「私は減圧症にかかっています」と言うと仕事に差し障るし、一人親方みたいな人がたくさんいますから、そういう面でなかなか申告できないところもあると思います。そういう申告しやすい場所、作業現場を作っていかないと、急性減圧症が起きましたから、再圧治療へというステップがなかなかとれないのが多いと思います。そういう意味で、有明海のヘルメットダイバーは、現実に作業をしていても、金銭的な面でそのまま放って、最終的には骨壊死になってしまったのが現状だろうと思います。こういう時代ですから、減圧症に罹患した人が申告しやすい現場とか作業現場を作れば、即再圧治療につながっていくのだろうと思います。

○眞野座長 

なかなか難しいですね。今までの議論を通して何か御意見ございませんか。今、村山委員のおっしゃることはもっともなことですが、現実的にはそれを実現するには、かなり難しい点がありますので、この点に関してペンディングとさせていただてよろしいでしょうか。現行の、今、専門官が御説明になったような形で進めていって、具体的に対応した案件が出てくるようでしたら、それを放置するわけにはいきませんから考えなければなりませんが、現段階で、今おっしゃられたような形で進めようとなりますと、コストの問題ももちろんそうですし、我々チェックする医師の側も大変になってしまいます。ほかの仕事ができなくなるぐらい数が多くなりますので、現実的ではないような気もするのですが、鈴木先生、いかがですか。

○自衛隊(鈴木)

潜水士の健康診断については、それぞれ指定されて、労災病院あるいは大学病院なりでされていると思います。エビデンスとして集めやすい所にサンプリングとして健康診断について、いわゆるプロジェクトなり研究なりとして、厚労省からそういった所で検査の補助を出すという形で健康診断を委託している所に集中してエビデンスが集まりやすいような状況を作っていただきたいと思います。

○眞野座長 

大変で、これも難しいですが、専門官、よろしくお願いいたします。では、これだけお話しているわけにいきませんので、これ以外の点で皆様方から御意見なり御質問あるいは追加発言がありましたら、お願いいたします。

 それでは、「課題と検討」の(1)について、今、御回答があましたが、お認めいただくとして、6ページの(2)の「潜水業務の課題と検討」で、90mというのは容認できないというのは、皆さんの一致しているところだと思いますし、10m以浅で条件を設定するのは知見が不十分だと書いてありますが、これはなかなか難しいなと。やはり10m未満の業務で、実際に事例が幾つも出ているのです。ここの取扱いをどのようにしたらいいかということですが、御意見はありませんか。今までどおり、水深10mというラインを切っていいですかね。鈴木先生、忌憚のない御意見をお願いします。

○自衛隊(鈴木)

逆に8mとして、何か不具合があるのかというところをお聞きしたいと思います。時間を過ぎますと、8mあるいは7mでも気泡が出てきます。そういった基礎データもありますので、そういったことから考えますと、安全を見た推奨される深度として、8mは妥当かなと考えていたわけです。そういった意味で8mにして、うまくいかないという状況があれば、そこで検討ということになると思います。10mとなりますと、かなり古い基準ということになります。

○眞野座長 

確かに3mぐらいしか圧を掛けてなくても動物実験で気泡ができるのです。ですから、どこで切るかというのは非常に難しいですね。気泡はできるから全部問題かというと、そうも言えないし、あとは減圧症の発症並びに慢性減圧症の発症とどのような結び付きがあるか。ともかく行政としてやるべきことは急性期の減圧症を出さないことと、それに基づく慢性の減圧症もできるだけ押さえ込む。ゼロにするのはなかなか難しいですよね。ですから、現行の判断で、ある程度納得するというわけではないのですが、了承するしかないのかなと私は思いますがね。

○毛利委員 

どれを取っても根拠がないのだと。

○眞野座長 

ないのですよね。

○毛利委員 

先ほど言いましたように、気泡というか、圧力差が3m少しあると、確かに気泡は出てきます。ですから、気泡イコール減圧症ではないものですから、そこが問題だろうと思います。ただ、基本的に臨床というか、減圧症の発症例は3.5mぐらいでもありますので、そういう意味合いでそこまで下げてしまうと、非常に希な例ですが、あります。10mでも8mでも決めたら、そこしかないのだろうと思います。現実にはどこの減圧管理もみんな何メートルでもしているはずです。ですから、どの深度から減圧管理しなければいけないということではなくて、基本的にはどの深度であっても減圧管理はきちんとしていると思います。テーブルそのものは減圧管理をしているテーブルを作っているはずです。

○眞野座長 

ともかく発症をゼロにするようなテーブルはできないのですよね。だから、どの辺で厚労省が妥協するか、あるいは皆さんが妥協するかということでしかないと思います。私はやむを得ないのかなという気がするのです。10mで切ってしまうのもいかがなものか。もう少し下げていいのではないかなと思います。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

10 mとさせていただきましたのは、1つは今回、体内の不活性ガスの分圧を計算していくということで、近藤様に10m、8mというのを計算していただきました。その際にほとんど減圧時間が出てこないのです。そういったことと、今回は飽くまでもこれは最低基準であるということと、8ページに必ずしも最低基準を守っていればいいかというと、確かにこういった場合、個人の体調とか環境ということで、どうしても防げない部分が出てくるのであれば、それはより安全な方向でそれに努めていただくということを報告書にも書きましたので、ベースとして最低基準に置くところを10mとしたのは、先ほどの計算をした結果です。実際には減圧時間が出てこないという現状の中で、そういうことも1つ判断をさせていただきました。毛利先生がおっしゃったように、では、どこにエビデンスがあるのかという説明をするときに、8mが本当にいいのか、10mがいいのかについては、難しいところだと思います。

 あとは当然のことながら、最低基準は10mでも、それよりも以浅の管理、これは実際にはやっている所があるかと思いますし、そういうことについては進めていただけるようにお願いするところも設けさせていただきました。

○眞野座長 

確かに10mできちんと管理していただければ、おおむね出ないのです。でも、やはり何パーセントかは出てくるです。だから、そこをどのようにするかです。どうですか。

○自衛隊(鈴木)

9 ページに作業時間についても基準をということが出てきておりまして、作業時間が長くなれば飽和状態からの減圧ということもあり得るわけです。海上自衛隊では6m、7m、8mで飽和状態からの気泡が顕著しているわけです。6mではまず問題がない。7mでは結構気泡が出て、予防的に酸素治療をしたという経緯があって、8mは取りやめているという現実的なデータがあります。

 そこから考えますと、作業時間を今後長期的に設ける場合があるという条件の場合には、10mにした場合はリスクがかなり出てきますので、その辺を盛り込んでいただくと、通常の今までの作業時間であれば、10mでも可能かもしれませんが、作業時間が長くなった場合についての縛りとして減圧管理を8mあるいは7mに持っていくことが一番現実的かと思います。

○眞野座長 

そうですね。

○鉄委員 

今の先生方が測ってきた気泡の分では、ガス圧係数というのはどのぐらいになるのですか。

○自衛隊(鈴木)

ですから、飽和状態ですので。

○眞野座長 

2.0 ぐらいに。

○鉄委員 

2.0 ぐらいになるのですか。

○毛利委員 

基本的にこういう作業の中で、飽和状態にする作業というのはほとんど考えていないのではないですか。

○自衛隊(鈴木)

ですから、作業時間をどこまで設けるかというところで、そういった縛りが必要になってくるということです。

○眞野座長 

ただ、シールドの場合は8時間ぐらい入っていることがあるのです。そうすると、ほぼ飽和に近いと見ざるを得ないケースがままあると思います。2時間とか3時間なら、余り心配することはないのですが、滞在時間が、1日の作業時間が、例えば8時間で、減圧時間が要らないのだと言ったならば、11回作業で8時間入れてしまう現場は結構あるのです。そうすると、そこは厳しいかなと思いますよね。それを6時間にすればいいかというと、その保証もないですし、難しいですよ。

○毛利委員 

でも、サチュレーションということだと、高気圧作業でサチュレーションの作業時間がどのぐらいになったら、飽和潜水のあれに入るかという時間設定をするというのは、なかなか難しいと思います。例えば10時間入っいるからサチュレーションだと言ったら、今度はテーブルを全然別にしなければいけないのです。基本的に短時間潜水と飽和潜水というのは、減圧理論が全然違いますので、そういう意味で、これに適応できるかと言ったら、なかなか適応できなくなってしまいます。非常に長時間作業という概念がどのぐらいの深度で長時間作業かというのが、全てサチュレーションだと言われてしまうと、問題で、動物実験は基本的にはみんなサチュレーションになってしまうのです。人が入った場合に、そのほかにこれは作業時間を載せていますが、労働基準法での作業時間というのは、多分上位の法律の条文ですから、全部残ってくると思います。そうすると、そこでの縛りというのはみんな残ってくるのではないかと思いますので、そういう意味でサチュレーションまで行くことはなかなかできないのだろう。

 もう私も30年昔に、昔の労働省といろいろサチュレーションの作業時間で大変苦労しましたが、現実に一般労働者としての労災の適用を受けていないサチュレーションがあります。受けられないのです。それをいかに受けることができるかということで労働省といろいろ交渉しましたが、どんな方法をとってもできない。できる方法は船員になるか、防衛庁の職員になるか、2つに1つです。うちは船を持っていましたから、船員になるほうを考えたのですが、基本的には船員に11回取り替えなければいけないのです。それは非常に煩雑で、そういうことをやっても無理だったものです。やはり作業時間というのは、上位の労働基準法に左右されてきますので、そういう面ではサチュレーションの時間までは到達できないだろうと思います。

 そういう意味で鈴木先生が言われたみたいに5m、6m、7m、8mと言うのですが、現実には10mであっても、サチュレーションになるのは少ないのではないかと思います。

○眞野座長 

10 mにしておくと、一応国際的なスタンダートですから、余り批判されない。例えば7mにしたら、なぜ日本は7mなのだということになりますよね。その説明がきちんとすることはできないと思うのです。難しいですね。いかがしましょうか。

○毛利委員 

これも検討事項で、将来的にまた改定されるようなときに、もう一度主体をどこに置いて検討するかということで、先ほどの村山委員のMRIと一緒でやる。

○眞野座長 

それでいいですか。みんな先延ばにしてしまって「お前逃げているのではないか」と言われるのではないかと思うのですが、やむを得ないですね。

○毛利委員 

次世代の人に頑張っていただく以外ないだろうと思います。

○眞野座長 

イの項目は、一応これでよろしいですか。これでは反対だ、もっと低いところにしたほうがいいとおっしゃる御意見はありますか。

 ないようですので、(2)の「課題と検討」のアとイについては、御了承いただいたということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、(3)の「高気圧内業務の課題と検討」ですが、ここで問題になるのは、0.4MPa以上では、エレベータを用意しなさいと。今まではこういう条項は一切なかったので、かなりの前進だろうと思いますが、果たして0.4MPaでいいのか。もっと低くから取るべきではないかという意見が、必ず出てくると思うのです。今まではこういう考えは全然なくて、エレベータの設置というのはあまりなされていなかったのが現状ですから、それから考えますと、かなりの前進であろうとは思いますが、このような考え方で、ともかくエレベータの設置義務というものがあるのだということを認識していただく上では、私は大変いいと思うのですが、何か御意見はありますか。

○国土交通省 

今の場所ではないのですが、確認をしておいたほうがいいと思うのですが、3(1)のイのところなのですが、14時間空けるという所の定義なのですが、海の潜水の場合をイメージすると、潜って下で作業して、減圧しながら上がってくる。その後に今度は酸素減圧というシステムが入ってくると、上に上がってきて酸素減圧されている間というのは、作業時間の中に入るのか入らないのかというのを、少し明確にしたほうがいいと思うのです。つまり、どこから14時間空けないといけないのかというところの定義なのですが。

○眞野座長 

私の判断では、酸素減圧をやって全部終了してから14時間というように思っていたのですが、どうなのですか。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

これについては近藤課長に計算していただきましたので。

○川崎委員陪席者(近藤課長)

これから説明すればよかったのかもしれませんが、これも第5回のときの検討課題として挙がっていましたので、私と橋本さんで検討しました。何を検討したかと申しますと、全てのケースはちょっと網羅できなかったのですが、40mまでの作業を何ケースか一番厳しい条件のケースを挙げまして、作業が終わった後、酸素減圧している場合には、減圧終了時、それから体内のガス分圧をずっとそのまま計算し続けまして、翌朝までにどのぐらいの値になるのかというのをいろいろ調べましたら、ほぼ14時間経ちますと、昔で言うガス圧係数が1.3以下に、全部の16組織が収まっていくと。1.3以下ぐらいでしたら、翌日に影響するものはほとんどないだろうということで、繰り返し作業というのをいろいろ検討していく中で、どこで次の日の作業としてリセットすればよいのかというのを考えるところで、14時間という数字がそこから出てきました。

 ですから、今お話ありました減圧が終わった後に酸素を呼吸するということをすれば、当然計算上、理論上も分圧が下がっていると思いますから、かなりそれは有利な方向にはなると思うのですが、今こちらで申しました14時間というのは、そこまでは含めて検討はしておりません。飽くまでも減圧が終わった時点から14時間ということで。

○国土交通省 

わかりました。言葉尻を捉えるわけではないのですが、その場合、エの所に「大気圧化になった後でも、一定時間純酸素で呼吸した方が減圧症の予防のためによいという意見もある」とあるのですが、この場合の一定時間純酸素で呼吸するという、この行為というのは、いわゆる減圧とはならないのですか。

○毛利委員 

なりません。要は圧気工事などの場合には、下で減圧終了して、その間エレベーターで上がらないで、螺旋階段で上がってくる例もあるものですから、そういう例では運動させることになる。そういうことで、減圧症の発症が予期されることもあるものですから、上がってきた後にタンクの中で30分間純酸素を吸わせて、不活性ガスの洗い流しをしましょうという意味で、そのときは全て減圧終了時間が終わっていますので、それは減圧には入りません。

○眞野座長 

よろしいですか。ほかにはございますか。

○日本埋立浚渫協会(斉藤)

すみません。7ページにいっているのですか。

○眞野座長 

今の御質問は3-1のイになっているのです。先に飛んでしまったのですが。前ページ、6ページの(3)2の所で御意見いただきたいと思いますが。ともかく、(3)の課題と検討の所に書いてある、いわゆる0.4MPa以上の作業では、なるべく浅い深度からエレベータを用意するという点に関してはよろしいですね。

 そうしましたらば、2番の「国内実用面及び海外の動向」という所でア~エまでありますが、この4項目について御意見ございますか。特にアの所で、昭和45年以降は、ゲージ圧力が0.25MPaを超えると、別表第1に従って出てきては、そのままでは少しリスクがあるので、安全サイドに修正をすると。現実的にはこういうことをやっていると思うのですが、これでよろしいですか。川崎委員、いいですか。

○川崎委員 

はい。

○眞野座長 

大丈夫ですね。それでは、2番の海外の動向で、フランス、イギリス、シンガポール等々に関連したところでは、何か御質問、あるいは追加発言はございますか。これは向こうで言っていることだから仕方がないですが、よろしいですね。

 では、3番の7ページに入りまして、「高気圧作業の安全衛生基準の見直しの方向」です。ここが先ほどからお話が出ているところですが、(1)の高圧室内業務の共通の方向性ということで、アからクまでありますが、さっきもお話が出ましたが、ア、イ、ウ辺りのところで何か御意見や御質問はございますでしょぅか。

○日本埋立浚渫協会(斉藤)

ア~ウまで書いてあるのですが、この中でアの最後の言葉尻の話なのですが、「すること」と。これは40mとか、0.4MPaで決めますよということだと思うのですが、エのほうにいくと先ほどもありましたが、「という意見もある」ということは、上に上がってからの酸素吸入をしたほうがよいという意見もあるというのは、どのように法律改正に反映されるのかなというのが1点あります。

 それと、イの所ですが、前回から問題になっておりました、繰り返し潜水に関してですが、先ほど近藤さんのほうからもマトリックスでは非常にいろいろな場合があって、一律に決めづらいということがあり、海上工事で潜水作業をやるときには、非常に海象条件、あるいは船舶の状況によって潜水時間が長かったり短かったり、上に上がってきたり、また潜らなくてはならなくなったりというので、結構現場で修正しながらやらなければいけないという状況があります。そのときにまた上に上がってきたら16組織によって、再度計算をしなければいけないということでしょうかと、この2つでございます。

○眞野座長 

これは大変ですね。

○日本埋立浚渫協会(斉藤)

今までやっていた方式に比べると、非常に困難な方式になるのではないかなと。何かいろいろこれから知恵を絞らなければいけないのかなと思いますので、そこら辺をお教えいただきたいと思います。

○眞野座長 

専門官、いかがですか。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

まずエの所ですが、「意見もある」ということですが、これ自体は先ほど御説明がありましたように、減圧には直接、減圧外の話で、酸素呼吸をしたほうが減圧予防のためにはよいという御意見がありましたので、これは望ましいことと判断するのかなということで、こういう書き方をさせていただきました。ですから、義務付けるというよりは、望ましいという範疇なのかなと思っています。

○日本埋立浚渫協会(斉藤)

最低基準というように考えて。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

最低基準というのは、飽くまで減圧をきちんとするというところで、さらに条件によっては酸素を吸うことによって、より予防効果があるのではないかという御意見があったということですが、こういうことを行うことが望ましいよというような形になるのかなと思います。

 それから、今回、減圧に関しまして、特に混合ガス使用、あるいは酸素減圧を用いるということで、なかなか別表を直接設けるのが難しいということ、……が難しいということで計算を出させていただきます。複数回につきましても、ある程度そういった作業を想定した中で、作業計画を立てて計算を頂くということになろうかと思います。もちろんこの計算というのは、非常に数が16組織ということで多いわけですが、計算自体はログが出てきますが、煩雑な点はあるかと思いますが、特に難しい計算ではなくて、その辺は可能であればコンビューターのようなものでプログラムを組んで出るような形ができればいいのかなと思っております。計算を行って検証していただいた中で、もちろん作業計画を立てて、それに従っていただくということになるのでしょうが、そういう事案が生じたときには、当然、安全側でそのときは措置をしていただければ満足するはずですので、今回そういった表記もさせていただいていますので、そういう場合、作業計画よりも安全側に倒して減圧時間を設けるとか、そういうことで対応していただくということは可能かとは思います。

○眞野座長 

よろしいですか。あと、飽和時間タイムを14時間でいいのか、あるいは8時間ぐらいにしたほうがいいのか、24時間にしなければならないのか、どうですか、この点に関しては。14時間経っていれば、ほぼ脱飽和されているとは思いますが、100%の脱飽和ではないのですよね。誤差範囲の枠の中で考えると、この程度間が空いていれば、ほぼ体から過剰な窒素が抜けているはずだという形で判断していますが、よろしいですか。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

これも先ほど近藤課長から16組織全部計算をいただきましたが、全ての組織においていわゆるガス圧係数が1.3を下回るということですから、今まで御議論いただいた中では、ほぼ通常の状態に戻ったというように御判断させていただいた次第です。

○眞野座長 

では委員の皆様方、これで御了解いただいたというように判断させていただいてよろしいですね。

( 異議なし)

 

○眞野座長 

分かりました。

 エは入っていますからいいですが、オからクにかけてですが、何か問題はございますでしょうか。

○国土交通省 

すみません。クのところで、ちょっとイメージを教えてもらいたいと思うのですが、高圧則のところは、35条で純酸素を吸入させてはならないと明確に書かれているのですが、改正の案として、「酸素分圧による規制に置き換える」と書かれているのですが、具体的なイメージはどんな感じになるのかというのがあれば教えていただきたいのですが。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

これにつきましては、酸素に関しましては、まずは前提として、10ページにそれぞれのガスごとの分圧の規制基準を今回書かせていただきました。これは実際にその圧力下におきまして、分圧によって、体内に溶け込む、純酸素であっても深度によって溶け込む量が変わってくる、分圧が上がってくるということで、分圧による基準を書かせていただいたところです。

 それから、潜水に関しての純酸素制限に関しては、(2)のアの所にありますとおり、ここについては従来の純酸素制限ということで述べましたとおり、ウェットな状態では純酸素といいますか、分圧基準を超える酸素を吸うことにより、急性酸素中毒を起こすおそれがありますので、それについては引き続き慎重に考えるということですが、認めにくいのかなと思っています。ただ、全て駄目だというわけではなくて、そういったドライな環境におけるような、溺水のおそれがないような場合については使用可能とするということにしております。いずれにしても純酸素という表記ですが、実際に人体に溶け込む場合、分圧でほかのガスを見ておりますので、今回、分圧に統一する方向にしてはどうかという提案をさせていただいたのですが、いかがでしょうか。

○眞野座長 

よろしいですか。

○国土交通省 

ちょっとイメージが今一わかなかったのですが、御説明の中では、10ページに酸素分圧は18以上220kPa以下と表現されていますが、分圧というとこんな表現になるのですか、10ページのような。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

220 が上限。

○国土交通省 

220 以下とするとかという表現になるということですね。

○眞野座長 

要するに、18以上220kPa以下ということをおっしゃっているのですね。

○国土交通省 

こんな形になるのでしょうか。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

要するに、この範囲であれば、急性酸素中毒について、ある程度発生は認めにくいのではないかということでこの範囲を定めておりますので、この範疇で、呼気ガスないし減圧を行うということになります。

○国土交通証 

正直に言うと、私も素人なので。どちらかというと、今言った話を実際やられる方に考えてもらって、こういう規制なら別に大丈夫だというのが分かれば。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

もう1点は、潜水作業の場合、例えば220ATAといいますか、この基準といいますと、12mの段階で、純酸素を吸った状態で、この220という数字でして、当然純酸素を吸うというか、一方で潜水作業での純酸素使用を禁じておりますので、そこは先生方、どのように取扱えばよろしいのでしょうか。

○毛利委員 

高気圧下の作業というのは、基本的に全て分圧制御するのです。ですから、混合ガスを使うようなときにも、例えば40mの潜水をするときには、パーセントの酸素を吸うのではなくて、酸素分圧が幾つの潜水呼吸ガスを吸うという形になるので、基本的には高圧下での作業は全て分圧制御をするという。ですから、純酸素を吸うということで100%の酸素を吸いますと言っているのはなくなりますので、そのときそのときによって、これ多分、潜水呼吸ガスも高圧化の呼吸ガスも全て酸素の分圧が制御されてきますので、そういう意味合いで使われているのだろうと思うのです。

○眞野座長 

基本的にはパーセント表示はしないのですよね。

○毛利委員 

しないということでお考えいただいたほうがいいのかもしれません。

○日本埋立浚渫協会(斉藤)

高圧則35条の純酸素という言葉はなくなるのですか。

○眞野座長 

あってもいいのではないですか。我々が例えば純酸素を吸っていて、あまり臨床的に異常が起きてこないレベルというのは1.6ATA以下であるならば、おおむね酸素毒性は起きてこないと。これは、長時間、いわゆるそこで飽和に近い状態まで長いこと入っている場合の事例を言っているのであって、一般の作業ではそういうことはあまりないですよね。飽和でやる場合には、きちんと酸素の分圧が少なくとも0.3から0.6気圧の間でもってコントロールしますから、ショートダイビングとかそういうような場合には、数値が高くなることはあると思うのですよね。これもそれに該当していて、こういう数値が出てきているのだろうなと、私は判断しておりますが。

○日本埋立浚渫協会(斉藤)

クは何を言おうとしているのか、私もよく分からないのですが。

○国土交通省 

私は、要するにこの35条の条項がコロッと置き換わるのだと理解したので。

○日本埋立浚渫協会(斉藤)

そういうふうに読めますよね。

○国土交通省 

じゃあ、どういうような書き方になるのということを聞いただけなのです。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

先生方に確認をさせていただきたいのですが、今、酸素分圧の基準の中では、220までとしておりますけれども。

○眞野座長 

いや、違うのですよ。220までではなくて、通常の業務で減圧してきて酸素を吸う場合には、大体水深12mぐらいのひと所から純酸素を吸いますよと。条件によってはもっと高い所から吸う場合もあって、我々が治療で使っている場合には18mで酸素を使うというのは、皆さんやっていることですから、それを超えてはいけないですけれども、条件が非常に深くて時間がかかる場合が、減圧の管理というのはまた別に考えなければいけないと思うのです。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

そこで御確認なのですが、この場合に今までの議論は分圧でというお話だったと思うのですが、潜水作業に置き替えた場合、今、先生がおっしゃったように、12mから純酸素使用がその分圧では可能になるのですが、ウェットな状態で純酸素使用というのを220ATAを下回る状況であれば行うということは可能だというように考えていますか。

○眞野座長 

おおむね可能だろうと私は思いますが、大丈夫ですよね。おおむね可能でしょう。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

ただ、1つ。

○眞野座長 

激しい運動をしているとか、何とかという場合変わってきますよ。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

1 つ御議論があったところでの確認なのですが、ただし、12mの所で酸素に切り替えるわけですので、御議論が今まであったのをまとめますと、その際に水中で純酸素に切り替えるということは適当ではないのではないか。

○眞野座長 

水中で切り替えるのですけれども、ドライチェンバーを入れて、その中に入ったドライバーなんですよ。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

ドライチェンバーの中であるとか、ここではダイビングベルと書きましたけれども、そういった溺水のおそれがない場所で、純酸素に切り替えるということについては問題がないと。

○眞野座長 

もちろんそうです。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

ですから、ここの純酸素使用という所は、いわゆる溺水の問題を示していますから、ウェットな状態、例えば供給するガスを呼気から酸素に変えるような状況はやはり望ましくないというふうに。

○眞野座長 

ありえない、望ましくない。やってはいけないですね。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

そうしますと、どのような表記にするかはまたちょっと考えさせていただきたいと思いますが、1つは、急性酸素中毒の予防に関しましては、やはり今回のような分圧でやはり制御すべきであるという御意見を今までいただいておりますので、酸素の条件は220ATA。ただし、潜水作業においては、純酸素禁止というよりは、純酸素に切り替える際に、ウェットな状態ではやはり引き続き禁止すべきである。

○眞野座長 

もちろんそうです。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

しかしながら、ダイビングベルであるとか、あるいはステージであるとか、そういった溺水のおそれがない措置をとった場合については、酸素減圧を行うことが可能である。そのように考えてよろしいですか。

○眞野座長 

そういう解釈でよろしいと思います。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

そうしましたら、それに合うような形の表記に修正をさせていただきたいと思います。

○眞野座長 

よろしいですか。

○自衛隊(鈴木)

今回の検討会では、新技術を用いた、危機に対して対応できるような検討ということですので、今、全閉式の潜水器の場合には、純酸素を使って潜水するわけでありますので、そういった新しい機器に対して対応できるような盛り込み方をしていただきたいと思います。そうしますと、やはり分圧で水中で使うときには1.3ATAとか、そういった具体的な条件で、数値を盛り込んでいただくというところが適当かと思います。

○眞野座長 

分かりましたか。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

今、新しい装置ということなんですが。

○自衛隊(鈴木)

リブリーザーです。

○眞野座長 

よろしいですか。

○国土交通省 

ちょっとしつこいですが、そうすると、その次の(2)のアとちょっと混ざったような形で書かれるということなのですが、そのときに結局、今回のものは、40mで、普通の空気減圧という方法はなくなってしまいますよね。それで、新しく酸素減圧とか混合ガス呼吸が利用できることとすると書かれているのですが、要するに、今の2つが規制されることで、分圧、ウェットな状態での酸素減圧は駄目だという、その2つが規制されることによって、40m以上潜れないとかという話はないんですよね、どうなのでしょうか。

○眞野座長 

それはないのじゃないでしょうかね。大丈夫だと思いますよ。

○国土交通省 

それが出てしまったらえらいことになりますよ。

○眞野座長 

どうですか。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

潜れないというよりも、今までの先生方の御議論で、潜水協会さんからも要望があった話で、40mと押さえるべきだという話だったので、そのような話は先生方の中でも一致をしたわけです。ですから、当然空気減圧、空気呼吸に関しましては40までが適当ではないかというのは、先生方の御議論の結果だと思いますが、それを越えるとできないというわけではなくて、当然越える場合はそれなりの措置を取っていただくということで、当然混合ガスの使用あるいは酸素減圧等、そういった措置をとりながら、潜っていただくということになるというように先生方の議論では理解をさせていただいてここに書いた次第でございますが、よろしいですか。

○日本潜水協会 

今のお話で、この(2)のアは要するに純酸素ではなくて、分圧で規制されるという、こういう理解でいいですか。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

今、先生方に確認した話では、アは分圧の規制というのは全体にかかってきますので、220というのは全体にかかるわけですけれども、アの所は、その切り替え、方法、実際の酸素減圧の方法として、例えば12mで今まで呼気で減圧していたのが、酸素減圧に切り替えると。酸素減圧に切り替えるときに、純酸素を供給するわけですが、今まで呼気ガスだったのを純酸素に切り替えるときに、ウェットな状態、いわゆる水の中でそういう方法があるのかどうかあれなのですが、切り替えるということであると、その際に溺水のおそれがあるので、引き続きそれは止めたほうがいいのではないかというのが先生方の御意見だったと思います。ですから、そこは何がしか残さないといけないと思います。しかしながら全部禁止するわけではなくて、もちろんドライなといいますか、こういったダイビングベルなりステージなりを設けてそこで吸うような形であれば、切り替えるような形であれば問題ないのではないかということかと思いますが。ですから、そのような書きぶりに修正をさせていただきたいと思います。

○日本潜水協会 

確認したいのが、純酸素でなければいいのか。切り替えるのが。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

いや、切り替えるのが。いかがなのでしょう、そこは。

○日本潜水協会 

そこもちょっと、純酸素でなければいいのかなというふうに、文章だけ読むと。

○眞野座長 

分圧の問題ですよ

○日本潜水協会 

分圧なのですよね、というのはその質問なのですが。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

どうなんでしょう、先生方、切り替えるというのが問題なのですか。それは。

○眞野座長 

いいんじゃないですか。別に私は問題ないと思いますよ。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

純酸素でなければ。

○日本潜水協会 

それから、あとステージというお話のステージでもいいというふうに解釈してよろしいですか。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

いろいろな構造のものがあると思うのですが、端的に言いますと、溺水のおそれがないというところで読み取っていただきたいと思います。ですから、何といいますか、事実上ドライな環境下で切り替えるというお話だったと思います。先生方の今までの御議論の中では。

○日本潜水協会 

潜水作業というのは、溺水のおそれがない作業というのは全くないので、そこは非常に厳しいのですが。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

ちょっと書きようがまたあれかと思いますが。

○日本潜水協会 

分かりました。ありがとうございました。

○眞野座長 

何か電気が切れてもうやめろということもありと思うのですけれども、できるだけ早目に始末をしてしまいたいと思います。今までのところでは問題はありませんか。

○日本埋立浚渫協会(斉藤)

すみません。8ページの一番上のカの所なのですが、潜水作業を行った、高気圧作業を行った記録の保存のことは5年間という形で書いてあるのですが、これも語尾が「望ましい」という形になっていますので、多分、規則には直接盛り込まれないのかなとも思うのですが、現状だと、10m以浅になると、潜水作業計画を作って、しっかり記録が残るのですが、それ以浅のものは、簡単な日報みたいなもので済ませてしまっているのですが、どの程度のものを考えられているのでしょうか。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

ここの表記については、まだ具体的なところ、これは、1つは今回、減圧症に関しましてはこの式で減圧計画を立てて求めていただきますので、そういう意味では、そういったものを周知していただかなければいけないと考えております。また、この記録ですが、当然そのときに使った減圧テーブルなりは残していただくことになるとは思うのですが、具体的に何を残すか、それはまた必要なものとして検討しなければいけないと思いますが、必要最低限のものを保管をしていただくという形になると思います。それと、5年間というところですが、「望ましい」という表記はさせていただきましたが、実は、気候室は義務で5年間保存というのが規則の中にありまして、そことの整合性も見た上で、必ずしも努力義務になるのか、義務になるのか、今後に検討させていただいた中で、規則に置き替えるときの検討の中で、また整理をさせていただきたいと思います。

○日本埋立浚渫協会(斉藤)

検討いただきたいのは、やはり浅い所、10mまでの記録というのが余りありませんので。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

先ほど申し上げましたとおり、一応減圧管理をしないといけないという線は、今の現行規則と変えないということですから、10mという線はこれをお認めいただければ10mというところで、今、最低基準は置こうというようにしておりますので、そこは今の基準ではよろしいのかなと思っています。

○日本埋立浚渫協会(斉藤)

分かりました。ありがとうございます。

○眞野座長 

いかがですか。先ほどの8ページの(3)のヘリウムの混合ガスの問題とか、酸素減圧に関して、何か修正あるいは御意見ございますか。エレベータの使用もよろしいですね。

 それでは、9ページの(4)の今後の課題という所で、何か御意見ございますか。「新たな知見」というのは酸素減圧とか混合ガスに関連する知見という意味ですよね。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

ここのところは、高圧作業全般に関しまして、これは毛利先生から御意見があったかと思いますが、新しい技術であるとか、工法であるとかも含めて、出てまいりますとそういった情報収集をきっちりして、必要があれば、一番最初にも書きましたが、高圧則は36年から減圧表を改定していないというところもありまして、その後、実際問題としては、新たな技術というのができているわけです。ですから、そういったところに我々も着目をして、情報収集をした上で、必要があれば検討していく。そういったことを明記してほしいというような毛利先生の御意見がありましたので、それに従って、書かせていただいたところです。

○毛利委員 

基本的に昭和36年に作った規則が延々と残っている、全然改定しないで残っているということはないと思うのです。一般的に減圧のテーブルにしても、やはり日進月歩改定しなければいけない。そこでの情報収集があって、だんだん変えていかなければいけない、そういうことを盛り込んでいただきたいという意見で述べさせていただきました。

○眞野座長 

よろしいですか。ありがとうございました。

 それでは、9ページの第3の「高気圧作業の減圧表の見直し」、1番の「基本方針」というところは、10ページの上の3行目までかかっておりますが、ここのところで何か先生方から御意見ございますでしょうか。

○村山委員 

基本方針の※の所に、「海外で利用されている減圧表については、高圧則で定められた式による規制に合うものは利用可能」と書かれています。「減圧時間が不足するような場合は、減圧待機時間の延長等減圧表の修正を行わなければならない」と。これから読み取れるのは、今回御提示される計算式ですね。計算式に基づいて出したものよりも、安全サイドであればそれは使えると。そういう解釈でよろしいわけですね。

○眞野座長 

そのとおりですね。

○村山委員 

今回の則で決められている、この計算式に基づく値はあくまで最低基準だと。

○眞野座長 

ええ。

○村山委員 

例えば、先ほど近藤さんのほうから、マトリックスは余りなじまないのではないかというお話がありましたが、ある意味簡便な、使いやすいマトリックスのものが作成できるのであれば、それはオーケーだという解釈をしてよろしいですね。

○眞野座長 

はい。おっしゃるとおりです。ほかにございますか。よろしいですか。それでは、10ページの2の所、「体内不活性ガス分圧、M値及び累積酸素ばく露量の計算方法等」で、(1)(2)までで、何か御質問はございませんか。これも計算式ですから、しょうがないですね。

○村山委員 

この飽和水蒸気圧を考慮に入れる必要があるのかどうか、私はよく分からないのですが、こういうことをやることによって安全サイドに触れるのですか。実際、大気圧というのは、低気圧、高気圧が多少、1割近く触れるのではないかと思いますが、そちらのほうが影響が大きいのではないかと思います。

○眞野座長 

そうですね。

○村山委員 

実際、こういうことを入れるということが、果たして現実的にどうなのかが素朴な疑問で、恐縮です。

○眞野座長 

本当は抜いたほうがより安全サイドに傾くと思いますけど。でも、一般的には、呼吸によって呼気ガスは常に100%で、水蒸気圧は飽和されておりますから、それを含めてというようにせざるを得ないのかと思いますが、どうですか。

○川崎委員陪席者(近藤課長)

私のほうでいろいろ文献を調べて、理論の体系とか、どういう経緯でできたのかもいろいろ見たのですが、基本的にゲルマ理論というのは、体内で影響がないだろうというものは引いて考えるのが原則でした。その中で、この計算式を追っていただくと、M値の所で、水蒸気圧をどうするのかという計算がありますが、そこの部分は引くような形を取っています。体内のガス分圧を計算するときには、圧力がかかるというところも、圧力を絶対圧で考えていますから、水蒸気圧という考え方は関係ないのかと思いまして、それは安全側になるような形で、そこの部分は考慮しない計算のほうがいいのではないかということで、そこでは計算上引かないで、そのままに計算しておりまして、安全側の計算結果が出力されております。一応そういうところは考慮して、こちらのほうに報告書は組み立てております。

○眞野座長 

あと、この換算M値というのは、α分のM値という形、αを1.0以上としていて、これは約束ですよね。

○川崎委員陪席者(近藤課長)

我々は第2回の検討会のとき、圧気土木の施工実績をこの理論で比較してみたらどういう形になるかを示しました。我々が今使っている、我々の発症率が大体0.1%少しぐらいなのですが、そのぐらいまで発症率を下げようと思うと、安全率をこのぐらいまで上げたほうがいいということで、第2回の検討会のときにお示ししました。それを考えていって、実際の運用ではこういうことも考えていくべきではないのかということで、報告書に記載させていただいたのですが、先ほどから話で、みんなに共通する最低限の規則だということで、1.0以上が望ましいという形で最終的にまとまったと考えております。

○眞野座長 

よろしいですか。それでは、11ページの(3)の不活性ガス分圧に関連する記載ですが、いかがですか。これも決められた式に基づいているわけですから、いいでしょうか。

 次の12ページで、半飽和組識を16組織と仮定していますが、これもよろしいですね。それと、12ページの下の表1で、組織の半飽和時間を5分からとっていますが、これについてもよろしいですか。これは77分が最大になっていますね。

○芝山委員 

次のページに行ってください。

○眞野座長 

すみません。失礼しました。

 そうすると、今まで630分ぐらい使っていた、たぶん飽和しているであろうという概念からいくと、それに該当しますのでよろしいと思いますが、いかがですか。いいですか。

 次の、ヘリウムについての、窒素の半飽和時間の、1/2.65という計算ですが、いかがですか。ただし、酸素分圧が0.5気圧以上の場合は、下にあるような制約を受けるというように記載されていて、我々がばく露される最大値は1日当たり600UPTDで、1週間では2,500CPTDと。Cというのはcumulative、累積したという値ですので、1週間分足すとこのくらいになりますと。これ以下にしましょうと。これは今まで言われていることですので、よろしいですね。

 では、14ページへいきます。それの具体的な事例として、1415から、10以下ずうっと。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

1 点だけ確認させていただきます。10ページの一番下の所です。下の3行目ですが、「酸素減圧は溺水のおそれがない場合に限り使用可能で、25分の酸素減圧には、酸素中毒防止のため、5分のエアブレイクを挿入する(30)」という形で行うことと、「酸素毒性計算では、O2 100%で計算するが、N2:O2 20:80で計算する」という表記がありますが、こういう前提で計算をしたわけですね。これはよろしいですか。

○眞野座長 

通常のHBOで行う場合には20分:5分のインターバルですが、一般的には、こういった25分:5分というのは採用されておりますから、よろしいのではないかと思います。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

こういう形で計算をしていると。

○眞野座長 

はい。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

それから、14ページ以下は具体例ですので、ここについてはまた御覧いただいて、報告書そのものというよりは、今までの所が報告書の基準になる部分です。14ページ以下は、報告した数値を用いた具体的な計算例ですので、ここについては、先生方でお気づきの所があれば、後でおっしゃっていただければ直すことは可能です。

○眞野座長 

25 ページまでの、いろいろな実例が出ておりますけども。今御説明がありましたように、いいか悪いか、恐れ入りますが、皆様、御検討いただいて、問題点があったら私か事務局のほうへ御連絡ください。

 急いでしまっていて、申し訳ないのですが、以上が検討科目です。27ページの所に取りまとめが、参考資料1としてまとめてありますが、前に私が読んだ限りでは、まあこんなところかなと思いました。皆さん、何か御指摘の点はありますか。事務局から、何かこれに対する御意見はありますか。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

取りまとめといいますか、26ページまでかと思います。申し訳ございません。

○眞野座長 

参考資料だからいいですか。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

参考資料につきましては、前回お付けしてあるので、今回は省略しております。それで、いかがでございますか。御検討の中で、座長のほうで、この報告書で御了承いただけるかどうか、御確認ください。

○眞野座長 

事務局のほうでは苦労されて、きちっとよくまとめられたという印象を持っています。先生方、何か追加の御意見はありますか。

○鉄委員 

1 つよろしいですか。事業者のほうは、純酸素とか酸素とか、使用という形で考えてよろしいのですか。今、純酸素とか酸素とかと書いてあって、減圧を含めて、酸素を使用できるという形で考えてよろしいのですか。一番最初のときに、酸素の使い方で、ここの部分と医療の部分とでは違うという、そのようなお話をされたかと思います。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

薬事法の話かもしれませんが。

○鉄委員 

そうです。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

それについては、私どもでは責任を持ってお答えすることはできませんが、実際に、当然、これは酸素を使用、高圧則の中では、今後、酸素減圧を行うことができることにも適用するような減圧基準を求める、という観点で作っています。もちろん、今までの規則の中にも純酸素の使用等の表記はあります。ただ、これはあくまでも労働安全衛生法の中で使われる場合、こうだというふうな表記ですので、他の薬事法であるとか、そういったところの取扱いについては、今のところは私どもで責任を負ったお答えはできません。

○眞野座長 

ほかにございますか。

○日本埋立浚渫協会(斉藤)

中身の話ではないですが、法改正等を含めて、スケジュール的にはこれからどんな流れになるのか、教えていただける範囲でお伺いしたい。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

報告書がまとまりましたら、それを基に、これは高圧則ですから、規則ですが、規則、あるいはそれに付随する通達等についての改正の作業を行います。あと、スケジュールですが、所要の作業を行った後、公布して、施行するわけです。今日、業界の方も来ておられますが、実際に今回、新たに減圧表を作っていただいたりすることが必要になったりしますので、その辺、施行準備に関しての御意見等が何かあれば、この場で承ります。また、後ほどでも結構です。

○日本埋立浚渫協会(斉藤)

今の点ですが、準備の関係があるので、年度代わりを意識して、そこのところでお願いできると非常に有難いと思います。直ちにということは非常に厳しいとか、現地の対応が厳しいので、よろしくお願いします。

○眞野座長 

本来は、来年4月に施行ぐらいになっていたほうが一番いいと私も思いますが、ヘリウムに関する問題とか、取りこぼしがあるのですね。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

ヘリウムで何かありますか。

○眞野座長 

ヘリウムの分圧をどういうふうに。ヘリウムと酸素と窒素の混合ガスの分圧をある程度、圧力によって変えなければいけないという点が出てくるではないですか。そういう点の細かい配慮がまだされていないように思います。そんなことで入れると、今年度中にはまとまらないのだなと。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

座長、申し訳ございません。ヘリウムを含めた形で、混合ガス使用について、今回の式の中で、可能な式ということで出していただいていると理解しているのですが、今までの御議論の中では、ヘリウムは新たな検討が必要だという話は出てこなかったかと思います。

○眞野座長 

新たな検討ということではなくて、審議が十分されていないように私は思います。私なりの判断ですけどね。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

審議といいますか、混合ガスを使用する際に。これは近藤さんを中心に相談をさせていただいていますが。混合ガスは、ヘリウム、窒素、酸素ということで、その3つの要素について、使用する際に、この理論式を用いて減圧時間を求めることについては、そういう方向の中で、少なくとも3つのガスといいますか、混合ガスの中での取扱いについては、大体これで固まっているのかと理解しているのです。ですから、ヘリウム、いずれに関しましても、M値を求める際の、A値、B値等の式も論文の中から出していただいて、整備をしたつもりです。

○眞野座長 

それでよろしいですか。十分に審議を尽くしたので、あとは厚労省側に投げ返すという形で、まとめていただくと。

○川崎委員 

ヘリウムの混合割合については、数式の中でいろいろ細工ができますよね。比率を変えて、減圧表は作り直すことはできますので、それで代表しているとは思います。

○眞野座長 

サンプルとしてはいくつか出ていますけど。でも、具体的に、これで全部がカバーできるかなと、疑問に思ったのですが、大丈夫ですか。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

それは近藤課長のほうに伺ってください。

○眞野座長 

大丈夫だと言うのだから。大丈夫ですね。冗談はさておき。

 これをもちまして、この検討会が全体的なまとめをしていただいたと考えていただいて。そうすると、あとは厚労省内で整理をしていただいて、先ほど御質問になったような、実際に規則として出てくるのは来年4月以降、来年度ぐらいには上がってくるだろうということですか。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

そこはまた、こちらのほうで所要の準備が必要ですので、検討したいと思います。御意見は賜ります。

○眞野座長 

分かりました。何か追加して、厚労省の方々にお伺いしたいとか、これを入れてほしいとかいうような御意見はありませんか。

○自衛隊(鈴木)

緊急浮上した場合に、再圧室を用いて、実際、再圧をされるわけですが。USNavyのダイビングマニュアルには、テーブル5あるいはテーブル6を使って緊急再圧をすることになりますので、そうすると、酸素分圧は2.8ATAになるわけですね。ですから、そういった緊急再圧のときの、酸素を使用した対処というところで、2.8の酸素を使う可能性があることも入れていただきたいのと、あと、現在、酸素を使って再圧治療が行われていないと。実際、殆ど対応されていないという現実がありますので、そういった現場での再圧治療について、できる方向で、次回といいますか、この検討会の後、そういった検討会を立ち上げて対応していただきたいと思います。現実に対応できていないのは現状でどうするかについては、それは緊急避難行為として認めざるを得ないかと考えております。そうしますと、学会でそういったところの指針を出すといったところに一番対応できるかと考えています。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

まずは、緊急浮上時の再圧ですが、これは再圧治療といいますか。

○自衛隊(鈴木)

治療といいますか、対処ですよね。まだ発症していないわけですから。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

そこについては、治療であれば、それは医師の判断で、2.8でも、そこは処方していただければ可能だと思います。ですから、ここで書いているのはあくまでも、通常、呼吸ガス、あるいは、減圧に用いる酸素ということで酸素分圧の上限を決めておりますので、それは御理解をいただきたいと思います。緊急時の治療等に当たっては、それは医師の判断等によって行われることはあろうかと思います。それと、先生のおっしゃっていた、いわゆる再圧治療といいますか、空気が用いられているという話、報告書のほうにも御意見は残させていただきました。おっしゃるように、先ほどの話もそれに近いのですが、治療というところだと我々の範疇を超えた部分もありますし、あと、今回の委員会ではそこまでの守備範囲ではないので、結論を出すわけにはいきませんが、御意見は賜っておりますので、一応報告書にも書かせていただいております。必要があれば関係府省にこういった御意見があったことをお伝えしたいと思います。

○眞野座長 

ほかに、どなたか御意見はございますか。では、ないようですので、これをもちましてこの委員会を終了していいですね。あとは厚労省側に結果を投げたいと思います。

○濱本主任中央労働衛生専門官 

今、御意見をいくつかいただいておりまして、内容についても御意見をいただいている分もありますので、こちらのほうで多少の修正をして、場合によっては文言の整理等をさせていただきたいと思います。あとは、できましたら、最終的な確認については座長に御一任いただくということでよろしいですか。

○眞野座長 

よろしいですか。ありがとうございます。30分ほど遅れましたが、予定どおり審議内容を終了したものと思いますので、この委員会を終了したいと思います。あとは安全衛生部長のほうからお話があるかと思います。

○宮野安全衛生部長 

それでは、最後ということで、一言御挨拶をさせていただきます。今日も予定の時間を超過して、大変熱心な御議論をいただき、また、本来は5回の予定が1回増えてしまったため、事務局の不手際もいろいろありまして、かつ、前回答の間も大分間隔が空いたりとか、お詫びを申し上げます。一方で、先々への宿題もいただきましたが、今日で一定の取りまとめをさせていただきました。改めてお礼を申し上げます。

 いずれにしても、今もお話がありましたとおり、この取りまとめの結果を受けて、高圧則の改正という形で、私どものほうで作業を進めたいと思います。いつ頃なのかという御質問もありましたが、こちらも諸々の作業がありますので、早くても来年度から、むしろ今後の作業を考えますと、この報告書にあるような数式をどうやって法令の条文にするかを考えても、いろいろそういった事務的な作業でもかなり時間がかかると思います。それから、法令の改正がありますので、審議会に諮問、答申をいただいたり、あるいは、こうした規制になりますので、パブリックコメントという形で広く皆さんの御意見を、省令改正の概要という形でもいただいたり、さらに、やはりこういう内容ですので、今、御意見もいただいたとおり、公布をしてから施行までの準備期間も一定の期間を見なければならないと。そういったような作業はまだ大分残っていると思います。いずれにしても、この検討会そのものは最終回ということですが、そういったプロセスの中で、恐らく委員の皆様方の御協力をいただかなければならない場面が相当数あると思いますので、引き続きよろしくお願いしますと申し上げて、私の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

○眞野座長 

ありがとうございました。これをもって終了します。どうも御苦労さまでした。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 高気圧作業安全衛生規則改正検討会> 第6回 高気圧作業安全衛生規則改正検討会議事録(2013年6月19日)

ページの先頭へ戻る