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2013年12月26日 第94回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

職業安定局

○日時

平成25年12月26日(木)17:30~19:00


○場所

中央合同庁舎第5号館厚生労働省省議室(9階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議題

(1)雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱及び雇用保険法施行規則第110条の3第1項第1号ヘの規定に基づき厚生労働大臣が定める者を定める告示案要綱について(諮問)
(2)その他

○議事

○阿部分科会長 それでは、定刻も過ぎましたので、ただいまから第94回「労働政策審議会職業安定分科会」を開催します。

 本日の委員の出欠状況ですが、労働者代表の澤田委員、住野委員、使用者代表の上野委員、坂倉委員、田沼委員、深澤委員が御欠席です。

 なお、高橋委員、宮本委員、河本委員は所用のため、遅れて参加いただく予定となっております。また、河本委員、深井委員は所用のため、途中退席の予定となっておりますので、あらかじめ御承知おきください。

 それでは、議事に入りたいと思います。

 最初の議題は「雇用保険部会報告書について」です。

 本件については、先ほど開催された雇用保険部会において、報告が取りまとめられておりますので、岩村雇用保険部会長より御報告をお願いします。よろしくお願いします。

○岩村委員 それでは、御報告申し上げます。

 雇用保険制度の見直しにつきましては、本年5月23日から雇用保険部会におきまして11回の検討を行い、本日先ほど開催されました雇用保険部会におきまして報告書を取りまとめたところでございます。

 この報告におきましては、平成25年度末までの失業等給付の暫定措置の延長、中長期的なキャリア形成を支援するための教育訓練給付の拡充、育児休業中の経済的支援を強化するための育児休業給付の引き上げなどを行うことが適当であるとしております。

 本報告は、公労使の各委員が真摯な議論を重ねた結果、本日取りまとめるということで了承をいただいたものであると認識しているところでございます。

 詳細の内容につきましては、事務局のほうから説明していただくことにしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 よろしくお願いします。

○雇用保険課長 雇用保険課長でございます。

 概要としまして岩村部会長より御報告いただきましたが、内容につきまして事務局から御説明させていただければと思います。

 資料1-1をご覧いただければと思います。雇用保険部会報告書がまとめられております。

 おめくりいただきまして、頭紙がついてございますが、別紙の「雇用保険部会報告」をごらんいただければと思います。

 第1が「雇用保険制度等の現状」について記載してございます。平成20年度以降の状況について記載しておりますが、リーマン・ショック以降、個別延長給付の創設でございますとか適用拡大などをやってきたということでございます。

 また、厳しい雇用・経済状況の中で、失業等給付の積立金から雇用調整助成金の支出のために必要な額の借入れの規定なども設けられたという状況でございます。

 また「求職者支援制度」の導入を行ったというものもございます。

 こうした状況でございますが、現在の雇用情勢を見ますと、一部に厳しさが残るものの、改善が進んでいる状況でございます。有効求人倍率、10月のものでは0.98倍まで来ているという状況でございます。

 雇用保険の財政状況につきましては、失業等給付につきましては比較的安定的に運営がされております。雇用保険事業に関しましては、雇調金の支出が大分落ちついてきておりますので、失業等給付の積立金からの借入れにつきましては返済を行い、一時の厳しい財政状況から回復しつつあるという状況を書いてございます。

 第2が「雇用保険制度等の見直しの背景」について記載してございます。

 1点目としては、1ページ目の一番下の○に記載してございますけれども、ここに掲げられております個別延長給付を初めといたします暫定措置が本年度末で切れてしまうという状況のもとで、来年度以降について取扱いを検討する必要があるというものが1点目でございます。

 おめくりいただきまして、2ページ目でございますが、日本再興戦略の中で、非正規雇用労働者である若者の方々などがキャリアアップ・キャリアチェンジを行えるような形で、人材育成の強化を支援を図る観点から雇用保険制度の見直しにつきまして御提案いただいている状況があるということでございます。

 2つ目の○でございますが、社会保障制度改革国民会議の報告書の中で、育児休業給付の見直しについて経済的支援の強化の観点から行うことを検討するという御指摘もいただいております。

 また、求職者支援制度につきましては、法律の施行後おおむね3年を迎えた状況の中で、3年後の見直しの時期を迎えているという状況でございます。

 こういった中で検討を進めてきたわけでございますが、今般、労働者代表委員からは、ILO88号条約等に照らしまして、職業安定政策の立案に当たりまして、公労使三者による主体的な検討が尊重されるべきであるという意見がございました。

 第3が「雇用保険制度等の見直しの方向」、具体的な見直しの内容について記載したものでございます。

 1つ目が基本手当についてでございます。

 まず暫定措置についてでございますけれども、3ページ目にございますが、幾つか暫定措置がある中で、雇止め等により離職した方についての給付日数の充実につきましては、雇止め等による離職者は減少傾向にはないという状況がございます。また、改正労働契約法がこの4月から施行されているという状況についても留意する必要があるだろうということでございます。

 また、個別延長給付につきましては、運用上の見直しなどは行っておりますが、現在なお7割程度の方が基本手当支給後の個別延長給付を受給している状況があるということでございます。

 こうした状況を踏まえまして、上記の暫定措置につきましては、引き続き延長すべきであるという形で報告書に記載させていただいてございます。ただ、個別延長給付の延長にあたりましては、重点的な再就職支援が真に必要な方に厳格化すべきではないかということで、運用上の見直しを行うべきであるという記載になってございます。

 使用者代表委員からは、こういった措置につきましては失業情勢を踏まえた暫定的なものであることに十分留意することと、運用状況について検討を行っていくべきという御意見をいただいてございます。

 (2)が基本手当の水準についてでございます。

 4ページ目になりますけれども、最近ですと平成12年及び15年に雇用保険制度の改正を行ってございまして、この中で給付テーブルの大幅な見直しを行ってございますが、これにつきまして、基本手当受給者の前後における就職状況について検証作業も行ってございます。

 その結果でございますけれども、労働者代表委員からは、基本手当や平均受給日数あるいは平均受給額などが低下しているのではないか。また、特定受給資格者以外の方であっても、必ずしも離職前からの再就職の準備ができているわけではないという観点から、今回いろいろな給付の拡充措置が盛り込まれておりますが、そういったものに先立って基本手当の改善を行うべきという意見が出されてございます。

 一方、使用者代表委員からは、基本手当受給者の再就職に12年改正及び15年改正は大きな影響を与えていないのではないか。また、こうした中で就職が厳しい方に対しては個別延長給付等の暫定措置でありますとか、あるいは求職者支援制度の導入などの手当てができるのではないかという御意見を記載させていただいてございます。

 こうした状況の中で、基本手当のあり方につきましては、引き続き今後のあり方について検討すべきであるという形で記載してございます。

 また、ちょっと戻っていただきまして、労働者代表委員の記載のところで、基本手当の支給決定における離職理由の認定に当たりまして、特定受給資格者の基準について定めておりますけれども、これが「自己都合」の方であっても、事実上自己都合ということは適当でない方がいるのではないかということで、この基準について見直しを行うべきという労働者代表委員からの意見がございました。

 これにつきまして、4ページの一番下の○にございますが、特定受給資格者として整理すべき離職理由があるのではないかということで、これについて基準の見直しを行うべきという形にしてございます。

 5ページでございます。「再就職手当について」でございます。

 再就職手当は、基本手当受給者ができる限り早く就職することを積極的に奨励するために設けられてございますが、基本手当の支給残日数に応じまして、支給残日数の50%または60%を一時金として支給するものでございます。ただ、基本手当の支給終了前の就職率が大体5割前後にとどまっているという状況がございます。

 再就職時の賃金が離職時よりも低下する傾向がある。こうした中で再就職を躊躇している状況にあるのではないかということでございます。

 そのため、3つ目の○にございますが、再就職賃金が離職時賃金より低下する方を対象といたしまして再就職手当をさらに強化することが適当ではないかという形で記載してございます。

 具体的には、再就職した後に6カ月間継続して雇用されたことを要件といたしまして、支給残日数の40%を乗じて得た額を上限として、6カ月間の給料の差額分について追加的に支給する仕組みを設けたらどうかという形で記載されております。

 なお、使用者代表委員からは、本措置により早期再就職の促進が適切に図られるよう、制度開始後、見直しを行うべきという御意見がついております。

 次が「中長期的なキャリア形成支援措置について」でございます。これは、具体的には教育訓練給付の拡充についてでございます。

 6ページ目になりますけれども、非正規雇用労働者を中心としたキャリアアップ・キャリアチェンジということが重要でございます。こういう中で教育訓練ということは重要でございますけれども、有効な教育訓練を行う場合につきましては期間が長くなる、あるいは費用が高額になるということが考えられますが、ただ、雇用の安定あるいは再就職の促進などに対する効果は大きいのではないかということでございます。

 現行の教育訓練給付制度は20%の給付率になってございますけれども、こうした中長期的キャリア形成支援に資する教育訓練につきましては、これを40%まで引き上げるべきであるという形に記載してございます。

 また、さらに訓練修了、資格取得の上で雇用保険被保険者として職についた場合につきましては、インセンティブとしてさらに20%、合わせて60%を支給するということを御提示してございます。

 また、給付期間につきましては、教育訓練期間が長期にわたるということで原則2年間、資格につながる場合につきましては3年間という形で、この期間について所要の教育訓練に必要な額について給付を行うという形でございます。

 また高額な教育訓練について給付がきちんとなされるということで、上限額につきましては年間80万円という形で設定する形でございます。したがいまして、80万円の60%、すなわち48万円が年間の上限額になるという形でございます。

 また、自発的に受講する教育訓練ではございますけれども、45歳未満の若年離職者、年長フリーター層までを念頭に置いた記載でございますけれども、こういう方々につきましては長期の教育訓練期間中の支援が必要であるということで、当面の5年間の措置でございますけれども、基本手当の水準の50%の金額を教育訓練期間中に支給すべきという記載になってございます。

 また、現行の教育訓練給付につきましては大体3年に1回受けられるという形になってございますけれども、支給要件期間を10年という形でセットするということでございます。初回につきましては2年ということでございます。ですから、2年間の雇用保険の期間があればこの給付を受けられるものでございます。

 7ページになりますけれども、労働者代表委員、使用者代表委員双方から、本措置につきましては雇用保険制度のみならず、一般会計によっても支援すべきではないかという御意見がございました。また、使用者代表委員からは、安易な複数回受講を防ぐ措置として、給付回数制限を行うべきではないかという御意見もいただいてございます。

 また、本措置につきましては給付の拡大を行うというもので、実績について定期的に確認して、所要の見直しを行うべきという意見を記載してございます。

 また、対象訓練につきましては、一定の基準のもとで厚生労働大臣が個別に指定するという方法をとるべきであるということでございます。

 また、指定すべき訓練につきましては、就職可能性が高い仕事において必要とされる教育訓練であるということ。その効果がキャリアによって長く生かされる能力の教育訓練であること。この骨格の中で具体的に検討するべきであるという記載になってございます。具体的なこの訓練の指定の基準につきましては、職業能力開発分科会のほうで並行して御議論いただいているという状況でございます。

 また、適正な訓練受講のための措置として、キャリア・コンサルティングを前置するということで、その中で適切な訓練を選定するという形になってございます。

 7ページの一番下のところで、企業の承認を得て申請を行う場合につきましては、キャリア・コンサルティングを必ずしも受けなくてもいいということで御議論いただいたという形での記載でございます。

 また、8ページの一番上の(4)でございますが、こうした個人に対する支援とあわせまして、事業主に対する支援でございます雇用保険二事業の助成金、キャリア形成促進助成金等につきまして拡充すべきではないかということで、キャリア形成促進助成金は現在、中小企業に限られておりますけれども、これを大企業などにも拡充することについて記載しているものでございます。

 4が「育児休業給付について」でございます。

 育児休業給付につきましては、累次の改正を行ってきてございます。その効果は育児休業の取得促進に寄与しているのではないかと考えてございます。

 ただ一方、経済的理由から育児休業を取得しない方もいらっしゃいますし、また、男性の育児休業取得率がかなり低いという状況がございます。男性が育児休業を取得しない場合につきましては、女性の就業率の向上にも支障があるのではないか。また、第2子以降の出生にも影響するのではないかということが記載してございます。

 そういう中で9ページ目になりますが、男女ともに育児休業を取得することをさらに促進するために、健康保険から出ております出産手当金の水準が3分の2でございますが、この水準に合わせまして67%の給付率で、ただし育児休業開始時から最初の6カ月間という形の給付率にすべきということを記載してございます。

 なお、この点につきましては労働者代表委員、使用者代表委員から、この育児休業給付の見直しは少子化対策という観点で行われるものでありますので、雇用保険財源によらず、本来は国の責任により一般会計で示すべきではないかということ。特に今回50%から67%に引き上げた部分については、全額一般会計により賄うべきではないかという御意見が提示されております。

 また、労働者代表委員からは、育児休業の取得のために、期間雇用者や中小企業の労働者が育児休業を取得しやすくするような制度改正でありますとか、あるいは育児休業給付につきましても取得要件緩和を含めた環境整備を行うべきという意見が出てきております。

 5番目が「求職者支援制度について」でございます。

 求職者支援制度につきましては、訓練実施日に全て受講することが原則でございます。やむを得ない理由で欠席があった場合でも8割以上出席することを要件として給付金を支給する形になってございますが、これにつきまして、例えば公共職業訓練を受講する場合の指定来所日、ハローワークに来所する場合でありますとか、あるいはハローワークが就職面接会に行くことを指示している場合について、欠席と取り扱うことについては見直しを行うべきではないかという形でございます。

 また、10ページ目になりますが、一部を欠席した場合、遅刻のようなケースになりますが、この場合、現行ですと全て欠席扱いになってございますが、残りの時間についてはできるだけ出席させることが必要だろうということで、一部について出席したものと取り扱うということが適当ではないかという形で記載してございます。

 また、給付金につきましては1カ月当たり10万円の支給になってございますけれども、これにつきましてはその水準につきまして引き続き検討するという記載でございます。

 また、求職者支援制度につきまして、その効果を見るために就職を目指すということで、それを要件としてございますが、その就職としては必ずしも雇用保険の被保険者になっていないケースもございますが、これにつきまして雇用保険が適用される就職であるかどうかを把握して、その就職を成果として捉えるような形で見直しを行うべきという記載でございます。

 また、求職者支援制度、特に就職経験が少ない方の中では、現行の求職者支援訓練であっても、訓練を継続して受講する自信が持てない方もいらっしゃいますので、そういった方に対応するような形の柔軟な枠組みも必要ではないかという形の記載がございます。

 次が財政運営でございますけれども、現行雇用保険制度は失業等給付に係る国庫負担につきまして、法律の本則で4分の1、暫定措置として55%ということで、13.75%が国庫負担になってございます。

 雇用保険の保険事故であります失業につきましては、政府もその責任を担うべきという考え方でございますが、現行の雇用保険法の附則第15条の中で「できるだけ速やかに、安定した財源を確保した上で国庫負担に関する暫定措置を廃止するものとする」という規定が既に設けられておりますが、これについて措置を講ずるべきであるという記載をしてございます。

 また、次に26年度、来年度の失業等給付に係る雇用保険料率についてでございますけれども、現在、法律上1000分の14と規定されておりまして、その中で弾力条項を用いまして、今年度は1000分の10ということになってございます。

26年度の失業等給付に係る雇用保険料率につきましては、給付の見直しの内容でありますとか財政影響、あるいは今後5年間の失業等給付の積立金の推移の見直し、見通しを踏まえまして、引き続き1000分の10、弾力条項の最下限とするということでございます。

 (2)が雇用保険二事業の運営でございますが、冒頭申しましたとおり、雇調金の支給のために、失業等給付の積立金から370億円の借入れを雇用保険二事業で行ってございましたが、平成24年の雇用保険部会報告書におきまして、11ページの一番下のところになりますが、雇用保険二事業の財政の健全化及び借入金の速やかな返済を図るべきであるということが言われているところでございます。

12ページになりますけれども、PDCAサイクルに基づき不断の見直しを行った結果、平成24年度決算におきまして、積立金からの借入れにつきましては返済を完了してございます。

 こうした状況の中で、積立金から二事業への借入れに係る暫定措置につきましては役割を終了しているということで、延長の必要はないという整理でございます。

 次が、求職者支援制度の運営でございます。

 求職者支援制度につきましては、労使負担が2分の1、国庫負担が2分の1とされておりまして、暫定措置で本則の55%、結局27.5%が国庫負担になってございます。

 この費用の負担のあり方につきましては「制度の利用が、安定した就職を促進し、雇用状況の改善につながるものであることから、雇用保険制度の附帯事業として位置付けられている」ものでございます。厳しい財政状況等を踏まえると、当面この位置づけを継続することはやむを得ないということでございますが「政府は引き続き一般財源確保の努力を行っていくべきである」という記載でございます。

 最後が「その他」でございます。

 マルチジョブホルダーについてでございます。現在、いわゆる番号制度のシステム運用が2017年から始まる予定でございます。こうしたものを踏まえつつ、中長期的観点から議論していく必要があるだろうということでございます。

 最後、13ページになりますが、高年齢雇用継続給付あるいは65歳以上の方への雇用保険の適用の関係でございますが、今後の高齢者雇用の動向あるいは社会経済情勢等を勘案して「引き続き中長期的な観点から議論していくべきである」という形で記載しているものでございます。

 報告書の概要につきましては、以上でございます。

○阿部分科会長 それでは、本件について御質問・御意見がありましたら御発言ください。よろしいですか。

○阿部分科会長 特に御質問・御意見がないようですので、当報告は雇用保険部会の報告として了承してもよろしいでしょうか。

(異議なし)

○阿部分科会長 それでは、当分科会としては本件は了承したことといたします。

 事務局より今後の手続について説明をお願いします。

○雇用保険課長 ただいま御了承いただきました雇用保険部会報告書に基づきまして、今後、雇用保険法の改正につきましては要綱等の整備ということを進めていくところでございます。これにつきましては年明けに議論をお願いする予定でございますが、暫定措置の関係などがございまして、早急に作業を進める必要があるかと思っております。

 通常のスケジュールでありますれば、まず分科会を開催して、法律案要綱を諮問した上で雇用保険部会において御議論いただいて、その意見を踏まえて再度分科会を開催し、答申をお願いするという手はずになりますが、今回、時間的な関係もございますので、また分科会委員の皆様の御日程を考慮いたしまして、あらかじめ雇用保険部会において法律案要綱について御意見を頂戴した上で、その意見を踏まえまして、職業安定分科会において御議論いただくことをお願いできればと考えております。

 よろしくお願い申し上げます。

○阿部分科会長 それでは、次に移らせていただきます。次の議題は「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱及び雇用保険法施行規則第110条の3第1項第1号への規定に基づき厚生労働大臣が定める者を定める告示案要綱について」です。

 本件については、本日付で厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛て諮問を受けております。

 事務局から説明をお願いします。

○企画課長 派遣・有期労働対策部企画課長でございます。

 それでは、資料2-1から3までを一括している資料がございますので、これで御説明をさせていただきたいと思います。

 資料の一番最後のページをおめくりください。資料2-3というのがございます。

 本件につきましては、トライアル雇用奨励金の対象者の拡大等を行うものでございます。このトライアル雇用奨励金と申しますのは、もともと就職が困難な方々につきまして、常用雇用の前段階としまして、3カ月のトライアル雇用期間を経まして、その間、月額4万円でございますけれども、奨励金を支給しまして、常用雇用についていただくということを目的とした奨励金でございます。

 これについては現在の政府の方針といたしまして、若者や女性を含めた全員参加型の社会を目指すということとか、民間の事業者を活用するという方針に基づきまして、今回見直しを行うものでございます。

 具体的にはそのページの左側で、まず1点目が、この助成金につきましてはハローワークの紹介に限って支給しておりますものを、今回、一定の要件を満たしました民間の職業紹介事業者や大学等についても対象にするというものでございます。

 それから、2点目でございます。これまで対象者としましてニート、フリーター等を対象にしておりましたが、今回はこれに加えまして、学卒未就職者、育児等でキャリアブランクのある方を対象にするという改正でございます。

 具体的には、最初の資料2-1、1枚目に戻っていただきまして、1枚めくりますと諮問文があって、さらにもう一枚めくっていただきますと、省令案の要綱がございます。

 この省令案の本則の改正でございますけれども、第一の一のところで、まず民間事業者を対象に加えるという改正を行いまして、二のところで、対象者につきまして、学卒未就職者と出産等でキャリアブランクのある方を対象とするという改正でございます。

 今回、民間の事業者を対象とするという関係がございますので、今回の御答申をいただきましたら、平成26年3月1日から施行と考えております。その間に民間の職業紹介事業者の登録等を行いたいと考えております。

 これが省令の改正でございまして、その次の別紙2というのが次のページにございますけれども、これは何かと申しますと、これまでのトライアル雇用奨励金はハローワークでしか支給しておりませんでしたので、細かい支給内容は奨励金の支給要領に定めておりました。しかしながら、今回は民間の事業者を対象とすることから、内部の文書でございます支給要領では不適切だということで、今回告示を定めまして、これまで対象としてきましたトライアル雇用奨励金の対象者を告示ベースで列挙するというものでございます。

 具体的には第一のところで、一号から九号までございますけれども、これは従来の対象者を法令として列挙したものでございます。

 第二のところは施行期日でございますが、省令とあわせて平成26年3月1日から施行ということを考えております。

 以上が内容でございます。何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

○阿部分科会長 それでは、本件について御質問・御意見がございましたら御発言ください。

 新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 諮問案件でございますので、労働側として、この諮問内容についての見解を申し上げたいと思っております。

 ただいま御説明いただいたトライアル雇用奨励金については、今回、対象者や支給対象となるルートを拡大するということでございますので、もともとこの奨励金については、安定した職業につくことが比較的困難なニート、フリーターなどの若者であるとか、母子家庭の母・父子家庭の父などが、希望する仕事につくための入口の機会を確保するということ、また、就職の機会を広げるということにつながるということで、一定の政策効果がある施策であることは私ども認識しております。

 今回、対象者について学卒未就職者であるとか復職を希望する女性を加えるとともに、ハローワーク以外の職業紹介事業者等の紹介による場合も支給対象とすることについては、こうした就職困難者の早期の就職を実現するための後押しになると考えております。

 奨励金の対象範囲の拡大等、今回の改正内容について周知を十分に行っていただきたいということを申し上げまして、本諮問案件について、労働側としては了承申し上げたいと思っています。

 以上です。

○阿部分科会長 ありがとうございます。

 ほかに御質問・御意見ございますでしょうか。

 特にないようですので、当分科会は厚生労働省案を妥当と認め、その旨を私から労働政策審議会長に御報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

○阿部分科会長 ありがとうございます。

 それでは、報告文案の配付をお願いします。

(報告文案配付)

○阿部分科会長 お手元に配付していただきました報告文案により、労働政策審議会会長宛て報告することとしてよろしいでしょうか。

(異議なし)

○阿部分科会長 それでは、そのように報告させていただきます。ありがとうございました。

 次に、移らせていただきます。次の議題は「職業安定分科会運営規程の改正について」です。

 事務局から説明をお願いします。

○高齢者雇用対策課長 高齢者雇用対策課長でございます。資料3をご覧いただきたいと思います。

 こちらは高年齢者有期雇用特別部会を設置するために、職業安定分科会運営規程の改正をしようとするものでございます。

 御案内のように、これは労働契約法に関係する話でございますけれども、昨年法改正がございまして、有期労働契約が5年を超えて反復更新した場合のいわゆる無期転換ルールが導入されて、この4月から施行されているところでございます。

 1枚めくっていただきますと、さきの臨時国会で成立いたしました国家戦略特別区域法、その附則第2条を示させていただいております。

 この中で第2行目以降にありますけれども、一定期間内に終了すると見込まれる事業の業務に従事する高度専門職で、比較的年収の高い方などを対象といたしまして、先ほど申し上げました現在5年となっております無期転換申込権発生までの期間のあり方、その際に労働契約が適切に行われるための必要な措置といったことを検討することとされたところでございます。

 さらに同条の第2項、第3項にありますように、この点については労働政策審議会において早急に検討を行うこと、そして、その結果を踏まえ、平成26年の通常国会に所要の法案を提出することとされたところでございます。

 ここで恐縮ですが、もう一度、表のほうに戻っていただきまして、今、申し上げた話が1つ目の○の半分ぐらいのところに書かれていることでございます。

 こうした状況下で、去る1217日に労働政策審議会の労働条件分科会が開催されまして、同分科会のもとに有期雇用特別部会を設置することが決定されまして、昨日、その第1回の特別部会の議論が開始されたところでございます。

 その際、労使からいろいろな意見が表明されたところでございますけれども、部会長の判断によりまして、高年齢者の取り扱いについても論点にすることとされたところでございます。さらに、この点については職業安定分科会とも連携して、慎重に検討を進めるべしといった方向性も確認されております。

 このような状況を踏まえまして、阿部分科会長とも御相談いたしまして、職業安定分科会としてこの議論に参画することが必要であるということから、職業安定分科会のもとにも臨時的に、先ほど申し上げました高年齢者有期雇用特別部会を設置いたしまして、この2つの分科会のもとの特別部会におきまして合同で御議論いただくという形を進めていきたいという趣旨でございます。

 次に、規程の具体的な改正内容を御説明いたします。3ページ目、4ページ目で線を付してあるところが改正部分でございます。

 基本的に、その附則の中で改正をさせていただこうと思っておりますが、第2項で「当分の間、高年齢者雇用に係る有期労働契約に関する必要な事項について調査審議させるため、高年齢者有期雇用特別部会を置く」ということで書かせていただいております。

 それから、第4項におきまして、この特別部会の議決をもって分科会の議決とするという専権の規程を置かせていただいております。

 非常にタイトなスケジュールの中で集中的な議論を行うということで、このような規程を置かせていただいているところでございます。

 事務方からの説明は以上でございます。

○阿部分科会長 ありがとうございます。

 それでは、本件について御質問・御意見がありましたら御発言ください。

 新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 ただいま経過を御報告いただきましたけれども、昨日、有期雇用特別部会が開催されまして、御報告の中にありましたように、労使それぞれ意見を述べ合う中で、私ども労働側としても、無期転換権発生直前での雇い止めの抑制をどうするかということを論点に入れていただきました。同時に使用者側から出された、高齢者の取り扱いについても論点とするということが昨日、部会長の采配によって確定いたしましたので、そうなった以上、この高齢者雇用施策を所管するこの職業安定分科会のもとに特別部会を設置することについては了承したいと思っております。

 ただ、もともと、この有期雇用特別部会の設置の背景にあったのは、国家戦略特別区域法が求めている範囲、すなわち一定年収以上の高度専門労働者の有期の特例扱いに限るということであったわけで、労働契約法の無期転換ルールの例外規定が今後、五月雨式に追加されることにもつながりかねないことに非常に強い懸念を持っております。そうした観点からすると、今回提起をされております高年齢者有期雇用特別部会の設置についても、当分の間ということになっておりますので、時限的であるべきだと考えております。

 昨日の有期雇用特別部会では、御紹介いただいたように、3つの論点について検討を行うということが確認されたと理解しております。その3つというのは、国家戦略特別区域法の附則に規定されている検討事項に加えて、使用者側から求められたこの高齢者の取り扱いでありますし、また、私どもから求めた無期転換の発生直前の雇い止めの抑制策、この3つであります。特にこの高齢者の取り扱いについては、昨日の特別部会の中でも、その提案の趣旨として使用者側から、多くの高齢者が定年後に1年の有期労働契約を締結し、契約が反復更新されて65歳まで雇用が継続されるが、有期契約の反復更新によって無期転換権が生じることが、かえって高齢者の雇用継続機会を奪っているという主張がなされていたかと思います。

 その御発言の中で、今回の提案の趣旨は、決して労働契約法第18条の無期転換ルールの趣旨を逸脱するのが目的ではないということの御発言がございましたし、また、高齢者の活用を今以上に行っていこうとする枠組みの中で出された課題認識であるという御説明も伺ったところであります。そうした発言を踏まえれば、この高齢者の有期契約がまずは無期転換権が生ずるまでの5年に至るまでは反復更新がされて、改正高齢法の趣旨に沿って希望者全員が65歳まで雇用される体制をつくるということは、議論の前提であり、労使の共通の認識であると私どもは理解しております。

 こうした観点からすると、労働側としましては、定年後に継続雇用される際の有期労働契約について、契約が更新される際の更新事由のあり方についても、希望者全員の65歳までの雇用継続を求めている高齢法の趣旨に照らして、課題がなくはないという認識を持っております。今後、まさしく高齢者雇用に関する論議を行うという特別部会が設置されるわけでありますので、今、申し上げた3つの論点に重なるところでありますけれども、この高齢者の取り扱いについて十分な論議をさせていただきたいと思っております。

 以上です。

○阿部分科会長 ありがとうございます。

 ほかに御意見・御質問ございますか。

 もしないようでしたら、この改正案について当分科会としては了承したいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

○阿部分科会長 では、よろしくお願いします。

 では、次に移らせていただきます。次の議題は「求人情報の提供等について」です。

 これについて、事務局から説明をお願いします。

○公共職業安定所運営企画室長 公共職業安定所運営企画室長でございます。資料4をご覧ください。ハローワークの求人情報のオンライン提供について御説明いたします。

 1枚おめくりいただきますと2ページ目でございますけれども、日本再興戦略の中で、ハローワークの保有する求人情報を、民間人材ビジネスや地方自治体に対して、来年度中のできるだけ早期に提供を開始するとされておるところでございます。この日本再興戦略を踏まえまして検討を進めた結果、このたびオンライン提供の内容を取りまとめましたので、御報告させていただきます。

 3ページをご覧ください。概要でございます。

 労働市場全体としてのマッチング機能を強化するために、求人事業主が希望する場合に限り、ハローワークが保有する求人情報を民間職業紹介事業者や地方自治体等にオンラインで提供することといたしております。

 提供方法は二通りから選ぶことができまして、1つはハローワークに設置されている求人情報提供端末のような端末を設置する方法でございます。もう一つは加工可能なデータをダウンロードしていただく方法を選択していただくことといたしております。

 実施方法のイメージのところをご覧ください。端末を置く方式では、ハローワークと同等の端末を自ら設置していただき、ハローワークのネットワークに接続するための回線ですとかLANを整備していただきます。これによりまして、ハローワークの端末と同等の操作性が可能になります。

 データを提供する方式では、各民間職業紹介事業者や地方自治体等が厚労省からインターネットでデータをダウンロードし、既存の機器等を活用していただきます。これにより、独自のデータ編集等が可能になるものでございます。

 実施時期につきましては、両方式とも平成26年9月1日とする予定でございます。

 もう一枚おめくりいただきまして、4ページでございます。両方式についてより詳しく御説明いたします。

 まず、オンライン提供の対象となる民間職業紹介事業者や地方自治体等でございますけれども、有料・無料の職業紹介事業者、無料職業紹介事業を行う地方自治体、無料職業紹介事業を行う大学・職業能力開発校等が対象となっております。

 開始時期につきましては、先ほど申し上げたとおり、両方式とも来年の9月1日を予定しております。

 費用負担でございますけれども、端末方式につきましては端末とか回線、LANの整備にかかる費用を申請された民間職業紹介事業者等に負担していただくこととしております。データ提供方式につきましては、既存の端末等を活用していただくことになれば、ほぼ無料で御利用可能となっております。

 必要な機器等につきましては、端末方式につきましては平成27年8月にシステム改修を行う予定となっておりますので、その前後で若干異なるのですが、基本的には端末用のPCと回線とLANが必要になるというところでございます。

 データ提供方式につきましては、既存の活用を含めて、汎用PCと回線、データ編集等のソフトウエアが必要になります。

 続いて、5ページでございます。オンライン提供する求人情報の内容でございますけれども、求人事業主が提供を希望する全国の求人、大卒求人、障害者対象求人でございます。

 求人情報の活用方法につきましては、今回は求人情報を提供して、労働市場全体としてのマッチングを高めるということが目的でございますので、あくまで職業紹介に用いるために利用するものとしております。このため、紹介に関係がない目的での利用や派遣や請負などへの転換、賃金などの労働条件の切り下げの働きかけ等に利用することは禁止しております。

 職業安定法につきましては、今回の措置でも適用することと整理しております。今回、ハローワークの求人情報をオンラインで提供するわけでございますけれども、そのデータを受け取ったことをもって求人受理ということではなくて、その求人情報を利用して職業紹介を行う際に、求人事業主に連絡していただいて、改めて求人受理するということにしております。職業安定法に規定された説明義務等は課される整理ということでございます。

 利用手続につきましては、利用規約に同意した上で労働局に申請をしていただくということとしております。

 6ページ目でございます。オンライン提供にあわせまして、地方自治体との連携強化の観点から、地方自治体等の公的性格に鑑みて、特に支援を行うこととしております。

 まず、職業紹介関連情報の提供でございますけれども、求人への応募状況、紹介した人数などは、自治体から問い合わせいただければお答えする予定としております。

 また、自治体側から研修の要望がございまして、それについては労働局等において対応する予定でございます。

 さらに、データ提供方式を選択した場合に、データを整理して表示するソフトウエアが必要になるわけでございますけれども、それを厚生労働省で開発して、無料で配布する予定でございます。

 7ページ目でございます。先ほど職業安定法の適用について御説明いたしましたけれども、職業安定法に基づいて事業停止命令ですとか改善命令を受けた場合には、オンライン提供の対象としない、またはオンライン提供を停止するという措置を講ずる予定でございます。

 また、申請に際しては利用規約に同意していただくこととしておりますけれども、その利用規約の中で職業紹介と関係のない目的での利用ですとか、派遣や請負などの形態への転換だとか、無期から有期への転換、賃金などの労働条件の切り下げの働きかけといったものを禁止しておりまして、これに違反した場合にもオンライン提供は停止する予定でございます。

 以下8ページから13ページでございますけれども、今、御説明してきた事項に加えまして、システムですとか運営体制などの管理面の事項を加えて利用規約としてまとめたものを添付させていただいております。

 ずっとおめくりいただいて14ページ、15ページでございます。また別のお話でございますけれども、地方分権の関係でございます。

15ページをご覧いただいて、政権交代後に地方分権の関係で総理をトップとする地方分権改革推進本部が設置されておりまして、地方分権改革担当大臣のもとに地方分権改革有識者会議というのが設置されて、議論が進められてきておりました。その議論を踏まえまして、今月20日に「事務・権限の移譲等に関する見直し方針について」というものが閣議決定されましたので、御報告いたします。

 破線の部分がハローワーク関連の中身でございますけれども、今、御説明したハローワークの求人情報のオンライン提供については、まず積極的に進めることというのが(1)でございます。

 (2)が、国と地方自治体が同一施設内で一体的に業務を実施する一体的実施事業というのがございますけれども、ハローワークと自治体との一層の連携強化の取り組みを通じて、地方自治体と一体となった雇用対策をこれまで以上に推進するということでございます。

 (3)が、このような取り組みの成果と課題を検証し、その結果等を踏まえ、ハローワークの事務・権限の移譲等について、引き続き検討・調整を進める。その際には、ILO条約との整合性、都道府県を超えた職業紹介の適切な実施、雇用対策の機動性の確保、雇用保険財政の根本にかかわる議論等に留意するということとされているところでございます。

 以上、御報告いたします。

○阿部分科会長 ありがとうございます。

 それでは、本件について御質問・御意見がありましたら御発言ください。

 どうぞ。

○中島委員 求人情報の提供についてでございます。

 ハローワークの求人情報を職業紹介事業者等にオンラインで提供することにつきましては、求人事業主が情報提供に同意することなどが前提であることを踏まえれば、方向性自体は理解できるところでございます。

 その上で、運用に当たりましては情報セキュリティの管理や情報の不正利用の防止を徹底していくことが重要であると考えております。特に求人情報には求人事業者の担当者などの個人情報も記載されており、情報管理の徹底が求められるということは言うまでもないところでございます。

 利用規約に違反した場合などについては、オンライン提供を停止するなどの規定が織り込まれておりますけれども、厚生労働省としても未然にトラブルを防止するための指導を徹底することが必要であると考えております。

 また、利用規約案におきましては、有料職業紹介事業者は手数料について十分に説明することとしておりますが、もともとは無料の職業紹介を受けることを希望した事業主がハローワークに提出した求人情報でありますので、求人事業者に対する丁寧な説明が求められるところでございます。

 この点、利用規約案におきましては、苦情の処理について、対象団体みずからの責任で処理するものとするとされております。一義的にはオンライン提供を受ける事業者の責任で対応するということは理解しておりますけれども、オンライン提供を実施する主体である厚生労働省には本制度を適切に運用していく責任があることに変わりはないと思っておりますので、実運用に向けた準備等を確実に行っていただきたいと考えます。

 また、少なくともハローワークという公的インフラを経由して求人情報を取得し、自社の有料紹介事業に利用するという仕組みである以上、有料の職業紹介事業者に対しては、このオンライン提供を受けるに当たって用意する必要のある端末等の費用はもちろんのこと、情報提供システム全体の開発費など、体制整備に係る厚生労働省のコストを含めまして、応分の費用負担を求めるのが筋ではないかと考えております。その点も含めまして御検討をお願いしたいと考えます。

 以上でございます。

○阿部分科会長 ただいまの中島委員の御発言について、何か事務局で御発言ありますか。

○公共職業安定所運営企画室長 費用の面でございますけれども、端末を置いていただくときの端末の費用、回線の費用は先ほど御説明したとおり、申請した事業者が費用負担していただくことにしております。

 システムの見直しの部分につきましては、今回のハローワークの求人情報のオンライン提供の実施につきましては、求職者に多様な選択肢の提供を可能とするとともに、地方自治体の雇用対策の実施ですとか、民間職業紹介事業者のノウハウを活用することを通じた労働市場全体としての求人・求職のマッチング機能を強化するということのために行おうとしているものでございまして、その観点から求人者や求職者に資するという行政目的を達成するように取り組んでいきたいと考えておりますので、御理解いただければと思っております。

○阿部分科会長 では、新谷委員。

○新谷委員 無料の職業紹介であれば、確かにその論理は一貫すると思うのですけれども、規約を見ると、有料の職業紹介も可能にしてあるわけです。そうすると国庫支出か、多分、雇用保険二事業の財源を使って整備をされるのでしょうけれども、国の費用を使って民間人材ビジネスが商売をする。その際に無料でインフラを提供するというのは、有料職業紹介がビジネスである以上、全部無料で提供するというのでは、やはり国民に対して説明がつかないのではないかと思います。ぜひそこは検討をお願いしたいと思います。

 以上です。

○阿部分科会長 事務局、何かありますか。

○総務課長 補足させていただきます。

 求人情報の提供を契機とし、最終的な目的と致しまして、ハローワークが、今後、官民通じてのインフラとしての役割を果たしていかなければならないということになるのだと思います。その上で、貴重な国費を使って求人を集めているというのはおっしゃるとおりですけれども、無料にすることで、有料職業紹介事業者も含めてこの情報を幅広く、有効に活用頂く。その際は、有料サービスの提供につながる場合もありますということをあくまでもお断りした上で、御理解いただいた事業主の求人情報を、有料サービスの提供を行う場合はきちんと説明責任を果たしてもらった上で御活用いただくということであります。

 これから我々としては、いろいろなチャンネルを活用して、労働市場全体としてのマッチング効率を高めていくことを目指していく必要がある。そういう中に有料の人材ビジネスも含めていくということになりますが、そこはきちんと皆さんに御理解いただけるように、民間人材ビジネスに対する評価等もきちんとやっていかないといけないと思っています。

 今後、職業紹介事業者あるいは労働者派遣事業者について、適切な事業者を認定する仕組みを導入することとしておりますので、こうした取組ともうまく連動させながら、より適切な形で全体の成果が上がるように取り組んでまいりたいと思っております。

○阿部分科会長 どうぞ。

○新谷委員 私が申し上げていることがどうもうまく理解いただけていないようなのですけれども、有料職業紹介を否定するわけではないのです。このシステムを使って、有料職業紹介の事業者も参入されて、よりいいマッチングができるというのであれば、それはそれでいいのです。

 これはコストの問題、コスト負担の問題なのです。ハローワークと同じように無料で職業紹介を行っている事業者であれば、これは地方自治体もそうなのですけれども、全部無料で行っておれば、これはまさしく公共財として使って、無料の職業紹介を行って、労働者のマッチングができるのであれば、それでいいのです。ところが、有料職業紹介にも開放するということですので、民間人材ビジネスのビジネスチャンスが膨らんでいったときに、国のインフラを使って無料でビジネスができるというのは、それはおかしいのではないかということなのです。

 もし、有料で職業紹介を行うのであれば、このオンライン提供には国費を投入するわけですから、そこで新しいビジネスが生まれるのだったら、有料の職業紹介についてはコストを負担していただくのが国民に対する説明ではないかということを申し上げているのです。

○阿部分科会長 ただ、例えば道路とか港湾とか空港とか、これも民間は活用していますが、実際にそこが費用を負担する部分というのは特にないわけですね。社会資本がきっちり整備されることによって経済が活性化されるということもあると思うのです。事務局は、この求人情報を公共財として提供することで、マッチングがより高度になって、失業が減ったりとか望ましい方向になるのであれば、そこは道路とか同じようなことを想定してもいいのではないかということなのではないかと思うのです。

 確かに、民間職業紹介事業者は無料の情報を使って有料の職業紹介をするのはけしからんという思いも理解できないことではないですが、ただ、やはり公共財としての定義づけをどうするかということかなと議論をお聞きして思ったのですが、いかがですか。

○新谷委員 決して有料職業紹介を否定しているつもりは全然なくて、もし国の公共財をお使いになるのであれば、そこに国費が投入されているわけですので、それでビジネスチャンスが広がるのであれば、それ相応の負担をしていただくべきではないかということを申し上げたのです。

 また、さきほど分科会長がおっしゃった、道路や空港については、利用する方がインフラを整備した際のコストを使用料としてそれぞれ負担されているわけですから、これによって利益を得る業者が出るのであれば、そこはそれ相応の負担をしていただくのが国民に対する説明ではないかということを申し上げました。有料職業紹介がだめだとは一切言っておりません。

○阿部分科会長 どうぞ。

○勝野委員 私も新谷委員と同じ意見で、先ほど、例えば道路ですとか、そうした公共財の利用の問題がありましたけれども、今回の場合で言いますと、それとは少し違うのではないかと私は思います。

 空港や道路、またはそうしたものの公共財については、つまりは基盤として誰でもが使える、利用できるというのが基本的にあると思うのです。ただ、特別に施設を使った場合については、先ほど新谷委員が言ったとおり、利用するときの利用料負担をするという形になっていると思うのです。

 今回のこの場合で言いますと、誰でもが利用できるデータを利用するということではないわけですね。ある意味、特別なデータを利用できるということになるわけですから、その分についての負担は当然発生をしてくると考えます。

○阿部分科会長 どうぞ。

○派遣・有期労働対策部長 こういう説明がどうかとは思いますけれども、もともと、これは地方自治体なり無料職業紹介事業者に対しては無料で提供する形での開発は済んでいるという意味で、あとはそれをどうやって有料職業紹介事業者に利用していただくか、という際の費用負担の問題ということかと思います。

 いずれにいたしましても、今回、この無料職業紹介事業者あるいは地方自治体等に向けてシステムを構築しなければならないところです。あとは、それを活用していただくという点の関係から、どのような形で費用負担があり得るのかということについては考えるべきところもあるかもしれませんが、初期のコストといった意味では、求人情報の提供を前提とした形としての開発は既に完了していることになるわけでございますので、あとはそれを利用する方々の、それについての費用を負担するのかどうかという議論ではなかろうかと思っております。

 いずれにいたしましても、この求人情報提供の仕組みを使った上で、ルールに則った形で、有料職業紹介事業者にも利用していただくことによって、先ほど総務課長が申し上げたような形での職業紹介がより積極的、広汎に広がることによって、マッチングがうまく進めばいいのではなかろうかと考えているところでございます。

○阿部分科会長 どうぞ。

○太田委員 ちょっと確認したい点は、こういったデータ提供のために経常的にかかる費用がどの程度あって、それは非常に小さいものであればそれほど大きな問題はないような気もするのですけれども、例えばデータ提供方式なんかはダウンロードしてもらうという形でやるということなのですが、これはもう既にシステムとしては完全にでき上がってしまって、あとは勝手にダウンロードできる感じで、ほとんど費用が発生しないという理解でよろしいでしょうか。

○公共職業安定所運営企画室長 システムの見直しにつきましては、セキュリティの面で今の職業紹介システムとはまた別のサーバをつくって、セキュリティを高めようと思っておりまして、その費用というのは今、13億円と見積もっております。

○阿部分科会長 どうぞ。

○高橋委員 国費を投じてこういうことをやること自体、方向性は否定するわけではないですが、大事なことは、これによって利用が高まるというよりは、むしろどれだけ求人・求職のマッチングが高まるのか。その効果をしっかりと検証・評価をしていくということが一番大切なのではないでしょうか。

 そういう意味においては、この分科会か、あるいはどこか別のところかもしれませんけれども、ある程度の追求すべき目標等をお立てになられて、それを定期的に把握しながら、よりよいマッチングにつながるような施策をさらに講じていくという方向で取り組んでいただきたいと思います。

 以上です。

○阿部分科会長 高橋委員の意見もありますし、また、費用の問題等もいろいろとあると思います。

 それで、もしよければ、まだ始まっていないことですから、これから始まって、実際にどのようなマッチング向上の成果があったのか。それから、費用負担の問題等、ちょっと検討させていただきたいと思いますので、この場は私のほうで引き取らせていただきまして、この求人情報の提供等について、まずは一応、オンライン提供の実施については了承していただきたいと思うのです。

○鎌田委員 済みません、まとめに入っているところで。

○阿部分科会長 どうぞ。

○鎌田委員 検討課題ということで、今の費用とは違う、全く別のことなので、1つだけ私がちょっとよくわからないことがあるのです。

 求人情報にかかわって官民で協働していこう。そしてマッチングして、より求職者に就業機会を拡大していこうということだと思うのです。その趣旨は非常によくわかるのですが、現在、「しごと情報ネット」という、官民で求人情報を共有化するシステムはあるのです。現在、165万件の情報がプールされて、ハローワークも入っていますし、民間企業で約1万社が参加して、情報提供している仕組みなのです。いいものであればどんどん拡張して使っていくというのは私もいいと思うのですけれども、ただ、このシステムとの比較で何が違うのかなとちょっと考えてみると、この「しごと情報ネット」は双方から情報をプールしているのです。民間からもハローワークからも求人情報を出しています。

 これはハローワークの情報を民間に提供するということで、求人情報というのは黙っていれば集まるというものでもなくて、やはり開拓ということで、ある程度のコストもかかっているのではないかと思うのです。なので、とりあえず第1段階ということでさまざまな動きの中に、今後はまさに官民で同じような仕組み、双方向的な仕組みを少し工夫しながらやっていただければと思います。

 ただ、民間において、その求人情報というのは大変な財産と思いますので、それを簡単に外に出しなさいという非常識なことは言いませんので、そこは工夫をしながら進めていければと思いますので、「しごと情報ネット」の存在も視野に入れながら総合的に考えていただければという、これは意見です。

 済みません。

○阿部分科会長 今の鎌田委員からの意見もありましたので、試行的に求人情報の提供をしていただいて、この結果がどういうものであったのかというのは、また検証して今後につなげていただければと思うのです。

 それで、この求人情報のオンライン提供の実施方法については、今回、当分科会としてはとりあえず了承したいと思いますが、いかがでしょうか。

(異議なし)

○阿部分科会長 では、そのようにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

 それでは、次の議題、最後の議題になりますが、移らせていただきます。「求職情報の提供について」です。

 事務局から説明をお願いします。

○首席職業指導官 首席職業指導官でございます。資料5を見ていただければと思います。

 ハローワークの求職者情報の提供につきましては、日本再興戦略におきまして、求職者や民間人材ビジネスに対するニーズ調査を直ちに実施をして、本年末をめどに結論を得るとされているところでございます。これを受けまして、ことしの10月から11月にかけまして、求職者、民間職業紹介事業者に対して調査を実施しておりまして、その結果の概要をまず御報告させていただきたいと思います。

 資料にございますように、求職者向け調査につきましては、大体、月間有効求職者の1%程度、合計2万4,000人につきまして、ハローワークの窓口で各労働局の求職者数を勘案しながら配布いたしました。

 民間人材ビジネスにつきましては、有料職業紹介事業者等の1割程度の約2,000社について、業界団体の御協力も得ながらアンケートを配布して、回答いただいたところでございます。

 1枚おめくりいただきますと、まず求職者アンケートの結果ということで、回収率は78.2%、1万9,000人から回答をいただいております。性別、年齢も割と均等に分布をしております。

 円グラフが、御自身の求職者情報を提供することについてどう考えるかということに回答いただいたものでございまして、25%の方は個人情報も含めて全て提供してよいと答えておられまして、40%は提供の範囲によっては提供してもよいという回答をいただいておりまして、合わせて65%は何らか提供可能ということでございます。

 右の四角の一番上が提供可能とする理由ということで、最も多いのは民間職業紹介事業者を利用してみたいという方が8割方あるということでございますが、ただ、矢印にございますように、提供するにしても、こういうところに注意してほしいということについては、やはり有料の営業をかけないでほしいとか、2次利用をやめてほしいとか、長期に情報を保有しないでほしいということを挙げておられる方は過半数になっているという状況でございます。

 それから、一番下の表が、提供可能という方について、改めまして個別の情報項目それぞれについて提供可能かどうかということでお答えをいただいております。これを見ますと、現住所を提供可能という方は提供可能な方のうちの37.1%でございまして、回答者全体で見ると24%程度。それから、電話・メール等の連絡先については46.4%の方が提供可能ということで、回答全体から見れば3割程度は提供可能ということでございますけれども、必ずしも高くはないという状況でございます。

 次のページが民間職業紹介事業者のアンケートでございまして、回収率40.9%で「求職情報の提供を希望しますか」ということの円グラフで、65%の方は「希望する」と回答しておられます。

 その下の表でございますけれども、求職者と同じ事項について、この情報が含まれていないと求職情報をもらっても意味がないので、提供を希望しないという項目はどれですかとお聞きしております。現住所については、提供を希望するという事業者の61.6%が、これがないと求職情報をもらっても意味がないから提供を希望しないと答えておられます。連絡先については、72.9%となっております。こういうふうに現住所、連絡先等の提供については、求職者と民間職業紹介事業者でかなりギャップが見られるということでございます。

 これらを踏まえまして、次のページでございますけれども、求職情報を「提供可」とする求職者、「提供希望」とする民間職業紹介事業者いずれも全体の3分の2程度あり、ニーズは一定程度あるということでございますが、ただ、現住所とか連絡先の提供については、求職者と民間職業紹介事業者に大きな乖離があるという状況でございます。

 それから「提供可」とする求職者についても、提供した先での情報のきっちりした管理とか、そういうことは強く要望しておられるということでございますので、今回のニーズ調査の結果を踏まえまして、実施に向けて具体的な検討を開始するということとさせていただきたいと考えております。

 検討に際しましては、求職者と職業紹介事業者のニーズに乖離がある部分とか、厳正な情報管理の担保等につきまして、どのような方法なら解決可能かということを併せて慎重に検討していく必要があると考えております。

 今後、節目節目でまた御相談させていただきながら、当面26年夏ごろまでには一定の結果の取りまとめをさせていただいて、必要があれば27年度概算要求に反映する等といった措置を考えております。

 求職者情報については以上でございますけれども、あわせて参考資料1ということで、同じく日本再興戦略で、ハローワークの求職者が民間人材ビジネスの活用を希望する場合の円滑な誘導支援を速やかに開始するということが示されておりまして、この情報提供を希望する民間事業者の公募を開始しますというプレスリリースの資料でございます。

 具体的な仕組みにつきましては、7ページに絵がございますけれども、民間人材ビジネスに自社を紹介したリーフレットを作っていただきまして、それを各会社単位で情報提供を希望する地域の労働局に応募していただくという形をとります。労働局で内容をチェックして、オーケーが出たものはハローワークに送付して、ハローワークで求職者から御希望があれば、リーフレットを配布することによって情報を提供するということでございます。

 現在、公募は既に終わっておりまして、9ページが実施状況でございます。会同じ会社でも別の労働局には別々に申請していただくということになっておりますので、あくまで延べ数ではございますけれども、受理した件数は全体で4,461社ということで、職業紹介事業者と労働者派遣事業者は半々という状況になっておりまして、1128日以降、順次、各労働局で情報提供を開始しているところでございます。

 以上でございます。

○阿部分科会長 今度のは求職者情報ですが、本件について御質問・御意見がありましたら御発言ください。

 どうぞ。

○中村委員 まず、求職者情報ということで、慎重な対応が必要であると思っております。

 御説明いただいたように、求職者、民間職業紹介事業者それぞれに提供してもいいですかと聞いたアンケート結果は出ているのですが、中身を見てみると、やはり認識が会社、求職者でかなり違っています。求職者の半分以上の人は、自分のプライベートな個人情報、現住所とか連絡先の情報提供はしてほしくない、禁止すべきだと答えているし、また、そのことによって有料サービスの勧誘電話を受けるのも迷惑だと考えている。

 また一方で、民間職業紹介事業者は連絡先の情報がきちんとないものをもらっても意味がないと答えています。もちろん、了解がとれて、有料の職業紹介のよりいいサービスが、本人の同意の上で提供されるということであれば、結果的には両者のニーズがつながるということになるのでしょうけれども、一方で、有象無象の膨大な個人情報が提供されて、切り捨てられる可能性があるという、かなり特殊な問題だろうと思っています。

 当然、求職者の立場で考えますと、ハローワーク以外に個人情報が伝わる、しかもかなり詳細な中身が伝わるということについては、さまざまなリスクがあることを不安視するのは当然だと思います。また、その情報をきちんと、より適切なマッチングだけのために使っていただけるのかということについての担保がなかなか見えません。仮に、事業者に一定程度の責任を負わせる、先ほどの求人情報の提供の仕組のようなものをつくったとしても、民間事業ということであれば倒産などさまざまなリスクがありますし、情報管理のリスクは物すごくある中で、実際、情報が流出した場合に、きちんとした対応体制がとれるのかどうか。

 それから、ハローワークが求職情報を仮に提供するということになったときに、個人情報保護法では目的外利用の範囲や情報共有の範囲について特定をした上で覚書を交わすというのが通常だと思います。当然、ハローワークの求職情報をどの民間事業者に提供するのかについて事前に特定することは到底不可能だと思いますので、事前に一括して同意をとってしまうということになるのかもしれませんけれども、このような情報管理のあり方については相当きちんと検討していく必要があると考えています。

 本日の御提案では、今後、検討を行っていくということの御提案でございますけれども、これを実際に実施するという前提で進めるのではなくて、この問題点、仮に実施するのであればクリアしなければいけない課題を明確にして、国民等にもきちんと説明責任を果たすということを前提とした上で、慎重に検討していただきたいと思います。その上で、進捗状況についても、この分科会も含めて、議論すべきところは議論させていただきたいと思っております。これが基本的な考え方でございます。

 もう一つは、先ほどの求人情報の話もあるのですけれども、産業競争力会議を含めて方向は出されているのですが、求人者・求職者のニーズに合ったマッチングを進めるという方向だと理解しているのですけれども、具体的にこういう施策をとるとなれば、検証可能性も重要なことです。これは先ほど、前の議題で高橋委員からも御指摘があったところだと思うのですけれども、政策として評価ができたのかどうか。逆に言うと、成果が出なかったときに、政策決定した責任の所在ということも含めて明らかにしながら進めていく必要があるのだろうと思っております。そういう検証体制もぜひ確認をしながら進めていくのが重要ではないかと思っています。

 検証については、単に求人・求職の質が上がったかどうかではなくて、情報を提供することで別のファクターがいろいろ出てきます。例えば、先ほどの求人情報の提供であれば、それによって適切なマッチングができるということもありますけれども、逆に言うと、どの企業がどういった人をどれぐらい求めているかというデータ自体が、別の価値としてなり得るという、単にマッチングができたということではなくて、さまざまな評価がありますし、目的外利用と一語で切り捨てられる性格のものではないと思います。とりわけ求職者は、ハローワークを信頼して求職情報を出しているわけでして、その入り口の部分できちんと仕分けられるかどうかということも含めて、慎重な検討をお願いしたいと思っています。

 以上です。

○阿部分科会長 ありがとうございます。

 まず、求職情報の提供に関して御意見がありましたが、お聞きしている限り、先ほどの御説明の最後のところで、実施に向けた具体的な検討を開始するに当たって、いろいろと慎重な検討をしていくということでしたので、ぜひ慎重な検討をお願いしたいと思います。

 それから、後段の検証の部分ですけれども、先ほどの求人情報の提供とあわせて、やはりしっかりやっていくべきだろうと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 そのほか、御意見・御質問ございますか。

 どうぞ。

○太田委員 先ほどコストの問題点が出ていたので、最後に一言だけ申し上げておきたいと思うのです。

 やはり、どんどんマッチングが進むということが社会全体にとっていいということで、コストは確かに発生する。誰かが負担しなければいけないわけなのですけれども、それを上回るぐらいにマッチングが進む状況をうまくつくっていく必要があって、その際にはひょっとすると企業にどんどん入ってきてもらって、それによって規模の経済性を高めていくことも可能性としてはあるかもしれないということもありますので、このあたりは非常に考えなければいけないポイントではあるとは思うのですけれども、1つ論点かなと思います。

○阿部分科会長 ありがとうございました。

 今のはぜひ今後の検証の部分で、そういったことがあるのかどうかも含めて、先ほどの論点とあわせて評価をしていって、ぜひPDCAサイクルを回すということをしていただきたいと思います。

 ほかに御意見・御質問ございますか。

 どうぞ。

○林委員 ハローワークでの情報提供を希望する民間人材ビジネス事業者を公募するという、この資料についての質問です。

 裏面にある対象者の条件として、次のいずれにも該当する事業者ということで、(1)に「有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業並びに」という文面がありまして、(2)に「業務停止命令等の行政処分を受けていないこと」があります。(2)は当然であろうと思うのですが、このいずれにも該当する場合は順次希望者に配布するという流れになっています。

 今まではハローワークから情報が流れるわけではなくて、求人者が責任を持ってその有料なり無料の民間の職業紹介事業者に足を運んで、自分で申し込みをするわけですので、ある意味、個人責任ということもあるかと思うのです。

 今後ハローワークから情報を流すに当たって、この(1)の審査、つまり届出を出していること以上の審査は今時点ではお考えではないのですか。それとも、細かい文字がたくさんあったので全部はなかなか読み切れなかったのですが、もっと細かい審査をした上でここの限定をするのかというところをお聞かせいただきたいのです。

○首席職業指導官 これは既に実施をしておりまして、基本的にはこの2つで対象を絞って、あと、具体的にリーフレットの中身については、こういうことを書きなさいというのを示しておりまして、それで提出いただいて、そのリーフレットの内容自体は審査をかけている。あとは、もちろん提供したところでいろいろ問題が生じれば、その会社はもう提供から外すということで措置をしております。

○林委員 そうすると、結果として後追いというか、何かトラブルがあってからの対応ということになると思うのです。確かに現時点で、(1)以上の審査はなかなか難しいとは思うのですが、やはり先ほど言いました国費から13億円を使って、インフラを整備し、情報を流す中で、この辺の制度といいますか、対象とする条件はもう少し何かハードルを上げていただいたほうがいいのではないかと思います。ただ、どういう条件を入れるべきかというのが思い浮かばないのですが、もう少し厳しくしていただきたいというのが私の意見です。

○首席職業指導官 特に求職情報の提供などにつきましては、対象範囲の基準をいかに設定するかというのは非常に重要な問題だと思いますので、併せて検討させていただきたいと思います。

○林委員 お願いいたします。

○阿部分科会長 ほかに御質問・御意見ございますか。

 特にないようですので、この求職情報の提供については、厚生労働省より説明のあった方向で、ぜひ丁寧に検討を進めていただきたく思いますが、それでよろしいでしょうか。

(異議なし)

○阿部分科会長 ありがとうございました。

 それでは、厚生労働省は、求職情報の提供について、今後も適宜、当分科会に御報告いただきますようお願いいたします。

 これで予定していた議題全てが終わったわけですが、特に御発言がございますでしょうか。

 特にないようでしたら、本日の分科会はこれで終了いたします。

 本日の会議に関する議事録につきましては、労働政策審議会運営規程第6条により、分科会長のほか2人の委員に署名をいただくことになっています。

 つきましては、労働者代表の中島委員、使用者代表の高橋委員にお願いいたします。

 それでは、年末のお忙しい時期に御出席を賜りまして、どうもありがとうございました。仕事納めはまだですけれども、どうぞ皆様、よいお年をお迎えください。

 ありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省職業安定局総務課
(電話):03-5253-1111(内線5711)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(職業安定分科会)> 第94回労働政策審議会職業安定分科会 議事録(2013年12月26日)

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