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2013年5月27日 薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会 議事録

○日時

平成25年5月27日(月)
15:00~


○場所

厚生労働省共用第8会議室


○出席者

出席委員(17名) 五十音順

○新 井 洋 由、 奥 田 真 弘、 川 崎 ナ ナ、 菊 池    嘉、
  清 田    浩、 佐 藤 俊 哉、 関 水 和 久、 田 島  優 子、
  田 村 友 秀、 豊 見 雅 文、 中 島 恵 美、 濱 口    功、
 半 田    誠、 福 山    哲、 前 崎 繁 文、 増 井    徹、
◎吉 田 茂 昭
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(4名)

庵 原 俊 昭、 大槻 マミ太郎、 鈴 木 邦 彦、 山 本 一 彦

行政機関出席者

平 山  佳 伸 (大臣官房審議官)
赤 川  治 郎 (審査管理課長)
俵 木 登美子 (安全対策課長)
矢 守  隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
森     和 彦 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
佐 藤  岳 幸 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
中 野     惠 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○審査管理課長 定刻になりましたので、「薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会」を開催いたします。本日はお忙しい中、御参集いただきありがとうございます。本日の委員の出席についてですが、庵原委員、大槻委員、鈴木委員、山本委員より御欠席の御連絡をいただいております。現在のところ、当部会委員数21名のうち17名の委員の御出席をいただいていますので、定足数に達しておりますことを報告いたします。それでは吉田部会長、以後の進行をお願いいたします。

○吉田部会長 本日の審議に入ります。まず事務局から配布資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについての報告をお願いします。

○事務局 それでは資料の確認をさせていただきます。本日、席上に「議事次第」、「座席表」、「当部会委員名簿」を配布しています。議事次第に記載されている資料1~14をあらかじめお送りしています。このほか、資料15「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料16「専門委員リスト」、資料17「競合品目・競合企業リスト」を配布しています。また、当日配布資料として、資料18「佐藤委員からの御質問」、資料19「アセリオ静注用1000mgに関する追加資料」を配布しております。

 続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リスト(資料17)について御報告します。各品目の競合品目選定理由については次のとおりです。

 資料17の1ページを御覧ください。アセリオ静注用1000mgですが、本品目は、「経口製剤及び坐剤の投与が困難な場合における疼痛及び発熱」を予定効能・効果としており、同様の効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 2ページを御覧ください。プレベナー13水性懸濁注ですが、本品目は「肺炎球菌(血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、1418C、19A、19F及び23)による侵襲性感染症の予防」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 3ページを御覧ください。細胞培養インフルエンザワクチンH5N1「バクスター」及び同「タケダ」5mLですが、本品目は「新型インフルエンザ(H5N1)の予防」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 4ページを御覧ください。アバスチン点滴静注用100mg/mL、同400mg/16mLですが、本品目は「悪性神経膠腫」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 5ページを御覧ください。プログラフカプセル0.5mg、プログラフカプセル1mgですが、本品目は「多発性筋炎・皮膚筋炎に合併する間質性肺炎」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。

 6ページを御覧ください。デノスマブ(遺伝子組換え)ですが、本品目は、「骨巨細胞腫」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。

 7ページを御覧ください。ONO-4538ですが、本品目は「悪性黒色腫」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。

○吉田部会長 ただ今の本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、御意見等はございますか。ないようですので、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきましては、皆様の御了解を得たものといたします。それでは委員からの申出状況についての報告をお願いします。

○事務局 各委員からの申出状況については次のとおりです。

 議題1「アセリオ静注用」は、退室委員及び議決には参加しない委員はなし。

 議題2「プレベナー13水性懸濁注」及び議題8「生物学的製剤基準の一部改正」の本品目に関する部分は、退室委員はなし。議決には参加しない委員は奥田委員、前崎委員です。

 議題3「細胞培養インフルエンザワクチンH5N1」及び議題8「生物学的製剤基準の一部改正」の本品目に関する部分は、退室委員はなし。議決には参加しない委員は清田委員です。

 議題4「アバスチン点滴静注用」は、退室委員はなし。議決には参加しない委員は奥田委員、田村委員、前崎委員です。

 議題5「プログラフカプセル」は、退室委員はなし。議決には参加しない委員は清田委員、前崎委員です。

 議題6「デノスマブ(遺伝子組換え)」は、退室委員はなし。議決には参加しない委員は清田委員、前崎委員です。

 議題7「ONO-4538」は、退室委員は関水委員です。議決には参加しない委員は奥田委員、清田委員、田村委員です。以上です。

○吉田部会長 本日は審議事項が8議題、報告事項が6議題となっております。それでは議題1に移ります。議題1について、機構から概要説明をお願いします。

○機構 審議事項議題1、資料1「医薬品アセリオ静注用1000mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」医薬品医療機器総合機構より説明いたします。

 本剤は、アセトアミノフェンを有効成分とする点滴静注用製剤です。本邦では、アセトアミノフェンを含有する製剤として、原薬末、錠剤、細粒剤、シロップ剤、ドライシロップ剤及び坐剤が市販されていますが、悪心・嘔吐や嚥下障害を有する患者等、様々な理由により経口投与又は直腸内投与が不可能な場合があることから、アセトアミノフェンの静注用製剤は「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において医療上の必要性の高い薬剤と評価され、厚生労働省から申請者に対して開発要請がなされたものです。

 海外において、アセトアミノフェンの静注用製剤は、2012年5月現在、米国及び欧州を含む70か国以上で承認されています。

 本申請の専門委員としては、資料16に記載されております5名の委員を指名いたしました。

 主な審査内容について簡単に説明いたします。審査報告書の12ページ「3)国内第I相試験」の項を御覧ください。本剤の国内臨床開発においては、本薬の血漿中濃度推移が既承認の経口製剤と同様であることを示すことにより、経口製剤の成績に基づき、本剤の有効性を説明可能との考えから、本剤と経口製剤の薬物動態を比較検討するための臨床試験が実施されています。本試験は、日本人健康成人男性を対象に、無作為化非盲検2剤2期クロスオーバー試験として実施され、用法・用量は、本剤1000mg15分かけて単回静脈内投与又は経口製剤1000mgを単回経口投与することと設定されております。結果については、図1及び表3のとおり、AUCの幾何平均の比の90%信頼区間は、後発医薬品のガイドラインを参考とした場合、生物学的同等性の基準を満たす0.801.25の範囲内であり、Cmaxを除き、両剤の血中濃度推移はおおむね同様であることが示されております。機構は、21ページの「()有効性について」の項に記載のとおり、本薬による鎮痛・解熱効果は血漿中本薬濃度に依存して発現すると考えられること、また海外臨床試験において本剤の有効性が示されていることも勘案した上で、本試験結果に基づき、本剤について既承認の経口製剤と同様の鎮痛及び解熱効果を示すとの評価は可能と判断いたしました。

22ページ以降、「()安全性について」の項を御覧ください。23ページ表10等に示す海外臨床試験成績及び海外市販後の安全性情報等から、経口製剤と本剤の安全性プロファイルに大きな相違は示唆されておらず、経口製剤と比較したCmaxの上昇が安全性に大きな影響を及ぼす可能性は低いと考えております。しかしながら、国内臨床試験での評価例数は非常に限られていることから、本剤の安全性については製造販売後調査において、引き続き検討する必要があると考えております。

 審査報告の30ページ「()効能・効果について」の項を御覧ください。本剤の申請効能・効果は、審査報告の4ページ10行目以降の記載のとおり、経口製剤の効能・効果と同様に設定されておりましたが、経口製剤と同様に広範な適応疾患を列挙することにより、本来静注用製剤の投与が必須ではない患者に対しても本剤が安易に使用されることが懸念されることから、静注用製剤の投与が臨床的に不可欠な場合のみに本剤の使用が限定されるよう、海外における効能・効果も踏まえ、「経口製剤及び坐剤の投与が困難な場合における疼痛及び発熱」と変更することが適切と判断いたしました。

 また24ページ以降、「()用法・用量について」の項を御覧ください。26ページ「3)乳児における用法・用量について」の項に記載のとおり、本剤の申請用法・用量には、経口製剤の用法・用量を基本に設定されており、乳児に対する用法・用量は含まれていませんでしたが、外国人乳児では、本薬のクリアランスが低く、乳児に高年齢小児と同用量が投与された場合には血漿中本薬濃度が上昇する可能性が示されていること、本剤は乳児に対して、より適用しやすい剤形であると考えられ、安全性確保の観点から、乳児に対する用法・用量を設定する必要性が高いと考えられること等を勘案し、欧州における用法・用量を参考に、乳児に対して31ページの記載のとおりの用法・用量を設定することが適切と判断いたしました。なお、乳幼児では、本薬のクリアランスが低くなることが示されていること、また、一般に生理機能が未熟であり、Cmaxの上昇や点滴速度の影響等により、有害事象が発現しやすい可能性も否定できないことから、乳幼児を対象とした特定使用成績調査を実施し、一定のデータが集積するまでの間は、乳幼児への本剤の使用は小児専門病院等に限定した上で乳幼児のデータを早期に収集し、安全性を慎重に検討する必要があると考えております。

 また、31ページの「()製造販売後の安全対策について」の項を御覧ください。製造販売後の安全対策として、アセトアミノフェンによる重要な副作用として知られている肝機能障害やCmaxの上昇に伴う有害事象の発現状況等を検討する使用成績調査及び前述の乳幼児を対象とした特定使用成績調査の実施を指示しております。また、アセトアミノフェンによる肝機能障害はOTCを含め、本薬を含有する製剤同士が偶発的に併用されることによる過量投与が主な発症原因の1つとされていることから、経口製剤等と同様に偶発的併用を避けるための十分な注意喚起を行う必要があると考えております。更に、海外において、特に体重当たりの用量が投与される小児への使用時に、mgmLの単位の取り違え等による過量投与の事例が報告されていることから、体重と投与量の対応表を情報提供するなど、投与過誤を防ぐための対策を徹底する必要があると考えております。

 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請にかかる再審査期間は6年、また、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。薬事分科会では報告を予定しております。

 本品目については、庵原委員より、事前に御意見をいただいております。「乳児の定義について、一般に小児科では、乳児は生後1か月~12か月未満を指します。審査報告書27ページを見ますと、乳児(生後1か月~2年)となっており、小児科の乳児の概念と1年異なっています。1歳代の子供へのアセリオ過剰投与を避けるために、用法・用量の<乳児における疼痛及び発熱>のところで、乳児の記載を書き入れた方がいいと思います。」との御意見を頂いております。

 御指摘を踏まえまして、過量投与を避けるとの観点から、年齢を記載し、対象が明確になるよう用法・用量を修正したいと考えております。具体的には、「幼児及び小児」となっている「幼児」の前に「2歳以上」を追記すること。また「乳児」となっているところには「乳児及び2歳未満の幼児における」という形で修正させていただきたいと考えております。本修正案については、事前に庵原委員に御了承を頂いております。

 なお、説明が最後になり、大変恐縮ですが、用法・用量について1点修正をさせていただきたいと考えております。配布資料19「アセリオ静注用1000mgに関する追加資料」を御覧ください。()のとおり、幼児及び小児の用法・用量については、「ただし、各適応における成人の用量を超えない」と記載しております。一方、本邦の経口製剤においては、()のとおり、用法・用量の項において、「ただし、成人の用量を超えない」と記載した上で、用法・用量に関連する使用上の注意において、小児科領域における解熱・鎮痛の効能・効果に対する1回当たりの最大用量は、アセトアミノフェンとして500mg、1日当たりの最大用量はアセトアミノフェンとして1500mgであると記載し、小児における最大用量は適応に関わらず、1回500mg、1日1500mgとしております。本剤の申請用法・用量は、経口製剤の用法・用量を基本に設定されており、本剤の鎮痛に関する最大用量も経口製剤と同様に適応に関わらず、1回500mg、1日1500mgとすべきであり、()のとおり、用法・用量の修正と用法・用量に関連する使用上の注意の追加が必要と判断いたしました。大変申し訳ございませんでした。よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

○吉田部会長 ありがとうございました。それでは委員の先生方からの御質問、御意見をお願いいたします。

○菊池委員 「15分間での静注」という表現がありますが、一般のほかの薬の中で、15分間で投与する薬は余り馴染みがないような感じですが、それについての注意は、特にはよろしいのでしょうか。

○機構 本剤は15分での投与で血中濃度が経口製剤とほぼ同じようになるというのが示されていますので、15分で投与することが適切と判断しております。注意喚起としては、添付文書の用法・用量に「15分かけて」と記載した上で、「関連する使用上の注意」に投与速度を厳守する旨を記載しております。

○菊池委員 ですから、これはもちろんそれでいいと思うのですが、実臨床の中で15分間でという薬が余りないと思うのです。例えば、1時間とか30分というのはありますが、そういう意味で、この15分ということについての注意喚起がもう少し要るかと思ったところです。特に、小児とか乳児のときは少ない量を、これは100mLですので、100mLの単位から取ってそれを落とすことにしないと事故を起こしやすいですね。1本つなげてしまって一気に入ってしまえば、100mLですから1g入ってしまいますね。そういうことを含めた投与の仕方の注意みたいなことも、いるのではないかと思ったのですが。

○機構 具体的な投与の方法というか、このようにやってくださいというところは、資材の方で細かく情報提供するように申請者に指示しておりますので、資材で十分対応できるように、再度、申請者には指示したいと思います。

○吉田部会長 これは飽くまでも静注で、点滴してはいけないということですか。

○機構 点滴の場合もあると思われますが、15分かけて静脈内投与する必要があります。

○吉田部会長 大きい人は点滴投与もあり得るが、小さい子はボリュームがもともと少ないから大変ですね。

○機構 小児では、基本的には、インフュージョンポンプを使うことを想定しています。

○前崎委員 インフルエンザのときに使うと思いますが、インフルエンザ脳症については、子供の場合、アセトアミノフェンは一応大丈夫だと言われているのですが、これを見るとかなり血中濃度も上がるし、AUCも大きくなります。それから、逆に髄液では消失に時間がかかるから有効性が担保できると書いてありますが、逆にそれがインフルエンザ脳症を助長する可能性が高くなることはないのかが1点です。あと、これは海外の第III相で、感染症の発熱患者の小児に使ってありますが、この中で、実際にインフルエンザの患者さんに使ったものがあるかどうか、その辺をお聞きしたいのですが。

○機構 臨床試験の中でインフルエンザに対して使用されたかというのは確認できていないのですが、海外の市販後の安全性情報について、インフルエンザ脳症が発現したという形での報告はないと確認しております。

○前崎委員 インフルエンザ脳症は、欧米と本邦では発生率が少し違い、日本ではインフルエンザ脳症がやや多いようだとも言われていますので、特に小児に使う場合、影響しないかどうか、きちんと見ておいた方がいいのではないかと思います。

 成人の場合は、非ステロイド系の消炎鎮痛剤になるので、キノロン系抗菌薬との相互作用が多分問題になると思います。一応、添付文書上は、この薬から見た相互作用なので、肝蔵の代謝の問題しか書いていないのですが、抗菌薬との相互作用について、血中濃度が高くなるので影響はないのかどうか確認したいのですが、いかがでしょうか。

○機構 小児に関しては、製造販売後調査の中でもきちんと確認するように指示をしたいと思います。キノロン系抗菌薬に関しては、申請者の説明では、相互作用の可能性は低いと説明され、NSAIDsとキノロン系抗菌薬の相互作用とはまた少し違うのではないかという説明を受けてはおりますが、再度、確認した上で対応させていただきたいと思います。

○吉田部会長 例えば、報告書に書いてありますが、製造販売後の安全対策等に関して、特に小児のことと、今のお話にあったようなインフルエンザ脳症の問題とか、抗菌剤との併用の問題点とか、具体的に指示を出しておいた方が、たとえ、市販後であって前向きにデータを取っていけると思うので、そういう形で指示をお願いできればと思います。

○機構 かしこまりました。

○事務局 一点事務局からよろしいでしょうか。小児薬物療法検討会議というのが、以前、厚生労働省に検討会議として設置されておりましたが、その際に、アセトアミノフェンの小児科領域における解熱及び鎮痛の報告書がまとめられております。そのときに、インフルエンザに対する使用の所で、平成121112日に、日本小児科学会理事会が、「インフルエンザ脳炎・脳症に対するジクロフェナク及びメフェナム酸の使用について」ということで声明を出しております。その中で、「一般的に頻用されているアセトアミノフェンによる本症の致命率の上昇はなく、インフルエンザに伴う発熱に対して使用するのであれば、アセトアミノフェンが良いと考える」。中略させていただいて、「一部の非ステロイド系消炎剤は、インフルエンザ脳炎・脳症の発症因子ではないが、その合併に何らかの関与をしている可能性があることから、インフルエンザの治療に関しては非ステロイド系消炎剤の使用は慎重にすべきである」との見解が出ております。

○前崎委員 経口薬等というのは、坐薬のことですね。

○機構 はい。

○前崎委員 静注薬に関して先ほど言ったように、AUCも増加し、血中濃度もかなり高くなるので、その辺の危険性はないでしょうかという御質問をしたのです。

○吉田部会長 ほかにございますか。アセトアミノフェンそのものは歴史の古い薬ですし、大人に関しては余り心配ないと思うのですが、やはり、静注で小児科でというところが、一番難しそうですので、是非、その辺の情報収集を重点的にお願いしたいと思います。ほかに御意見がなければ、よろしいでしょうか。

 御意見が特にないようですので、議決に入ります。お諮りします。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。

 御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは議題2に移ります。議題2について、議題8の本品目に関する部分と併せて、機構からの概要説明をお願いします。

○機構 審議事項議題2、資料2「医薬品プレベナー13水性懸濁注の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。

 乳幼児に対する侵襲性肺炎球菌疾患に対するワクチンとして、本邦では、プレベナー水性懸濁皮下注が7種類の血清型の肺炎球菌による侵襲性感染症の予防を効能・効果として承認されています。本剤は、プレベナー水性懸濁皮下注に含まれる7種類に加えて、新たに6種類の血清型の肺炎球菌莢膜ポリサッカライドに、無毒性変異ジフテリア毒素を結合したものを有効成分としております。現在、本剤は、乳幼児を対象に109か国で承認を取得しており、今般、国内臨床試験成績を主要な試験成績として承認申請されました。

 本剤の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料16にお示しした8名の委員です。

 審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。

 有効性について、審査報告書30ページの表4-7を御覧ください。国内第III相臨床試験において、肺炎球菌による侵襲性感染症の予防効果との関係が示されているIgG抗体濃度0.35μg/mLを閾値としたIgG抗体保有率及びIgG GMCについて、プレベナー水性懸濁皮下注を対照薬群として非劣性検証試検が実施されました。その結果、プレベナー水性懸濁皮下注に含まれる7種類の血清型について、IgG抗体保有率及びIgG GMCともに事前に規定された基準における非劣性が示されました。また、新たに追加された6種類の血清型におけるIgG抗体保有率は、本剤3回接種後で98.3100%でした。以上から、本剤の有効性は期待できると判断しました。

 安全性については、審査報告書31ページの表4-9を御覧ください。対照薬群であるプレベナー水性懸濁皮下注を接種した場合と比較し、局所反応及び全身反応の発現割合に大きな違いはありませんでした。また、審査報告書38ページの表4-14に、発熱の重症度別の発現割合を示しておりますが、こちらもプレベナー水性懸濁皮下注接種後と大きな違いはありませんでした。国内臨床試験で認められた重篤な有害事象は、いずれも本剤との因果関係が否定されており、本剤の安全性は忍容可能と判断しました。

 製造販売後の検討については、審査報告書50ページからの「4.医薬品リスク管理計画」の項を御覧ください。審査報告書51ページの表3に使用成績調査計画の骨子()をお示ししております。本剤の接種時期である乳幼児期は、熱性痙攣の好発時期と重なるため、発熱、熱性痙攣及び痙攣を主な調査項目として、調査予定例数1000例の使用成績調査が実施される予定です。

 以上の機構における審査の結果、13種類の血清型の肺炎球菌による侵襲性感染症の予防を効能・効果として、本剤を承認して差し支えないと判断しました。本剤は生物由来製品に該当し、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、原薬及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しました。なお、薬事分科会に報告を予定しております。

 また、本剤の承認に伴い、生物学的製剤基準に、資料14にお示しした基準の追加を予定しております。併せて御審議くださいますようお願いいたします。

 続いて、部会委員から事前に頂いた御質問に回答いたします。佐藤委員から、資料18にあります御質問等を3点頂いております。

 1点目は、3回接種後の7共通血清型のIgG GMCが、本剤でやや低い結果となっている理由に関する御質問で、申請者からは、明確な原因は分からないが、抗原数の増加又はキャリアタンパク質量の増加に起因し、免疫抑制的な作用が働いている可能性がある旨の回答を受けております。また、IgG GMC比が0.8と低かったことに関連した御質問ですが、IgG GMCはELISA法で測定されており、ある程度の変動はあり得ること、WHOのワクチン臨床評価ガイドラインにおいても、抗体価の非劣性基準として、比が0.5又は0.67を超えることが例示されているという状況を踏まえると、免疫学的に問題とはならないと判断しております。

 2点目の、本剤承認後のプレベナー水性懸濁皮下注の取扱いについて、申請者からは本剤承認後に短期間で切替えを行い、両製剤の併売は行わない予定と聞いております。

 3点目の、承認申請資料等の品質管理の問題について、申請者から、インライタ錠での問題を踏まえ、「品質管理グループの代表者による確認を追記する」等、標準業務手順書を改訂したものの、本剤の臨床試験実施時には間に合わなかった旨、説明を受けております。プログラムやアルゴリズムの問題は、改訂された標準業務手順書に沿って確認作業を行うことで、今後、再発を防止できるとのことです。

 なお、本日御欠席の庵原委員から、本剤の接種スケジュールの添付文書記載ぶり等について問合せがあり、個別の対応にて御了解を頂いております。以上、御審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○吉田部会長 ありがとうございました。佐藤先生、今の回答はいかがでしたか。

○佐藤委員 既承認薬との関係ですけれども、申請者には速やかに切り替えるように、是非、指示をお願いしたいと思います。

 最後の品質管理の件ですが、多分、同じ時期にやっていたということなのでしょうけれども、3月に審査をしたゼルヤンツ錠のときにも、同じファイザーからの、照会事項回答が非常に遅れて、標準審査期間を超過したという記載が審査報告書にもありますので、是非、今後こういうことがないように、ファイザー社には引き続き注意をお願いしたいと思います。

○機構 ありがとうございます。

○事務局 事務局でございます。2番の質問についてですが、7価から13価への切り替えに関してですが、こちらは厚生科学審議会予防接種ワクチン分科会で議論する予定ということを結核感染症課より聞いております。

○吉田部会長 今の説明は、その審議が終わってから切り替わるということですか。

○事務局 はい、そのように聞いております。

○吉田部会長 ほかにございますか。

○濱口委員 1つ教えてください。同時接種についてなのですが、報告書の中にDPTとの同時接種についての有効性と安全性についての詳しいデータが載っていると思うのですが、ほかのワクチンとの同時接種ということも考えられると思うのです。それについては、どういったデータがあるのでしょうか。

○機構 国内で、本剤との同時接種が考えられるのは、DPTとヒブワクチンです。ヒブワクチンについては、被験者がヒブワクチンを接種したいという場合には接種できるという状況で治験が行われています。ただし、ヒブワクチンを同時接種したのは少数でしたので、免疫原性については不明ですが、安全性については特段の問題は認められていません。

○吉田部会長 よろしいですか。

○濱口委員 はい。

○吉田部会長 ほかにございますか。

○川崎委員 生物学的製剤基準についてコメントさせていただきます。5ページの「3.試験」、ポリサッカライドの定量に、定量NMRが設定されています。ここで、「各試料溶液につき、日本薬局方一般試験法の核磁気共鳴スペクトル測定法により試験を行うとき」の記載がありますが、日本薬局方一般試験法のNMRは、まだ定量NMRに対応していないと思います。日本薬局方で、定量的なNMRが採用されたのは、ヘパリン純度試験が最初ですが、一般試験法を利用できないため、日本薬局方部会委員の指導により、システム適合性と標準品を設定した経緯がありますので、この記載について検討いただいてはどうかと思います。

 また、申請書には定量に用いるシグナルのケミカルシフトの記載がありますが、生物学的製剤基準には記載がありませんので、可能であれば記載いただいた方がよろしいのではないかと思いました。

○吉田部会長 いかがでしょうか。

○事務局 御指摘のところを踏まえて、また、検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。

○吉田部会長 事実関係として違っているのではないかということではないのですか。

○川崎委員 資料の中に、プロトンNMRのデータがありませんので、試験法が妥当かどうかの判断はできませんが、システムが適切であれば定量NMRを試験に用いることは可能であろうと思いますので、その記載をしっかりしていただきたいと思います。

○吉田部会長 分かりました。よろしくお願いします。ほかにございますか。よろしいでしょうか。御意見もないようですので、議決に入ります。なお、奥田委員、前崎委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。

 お諮りします。本議題について承認を可とし、併せて生物学的製剤基準の一部を改正することとしてよろしいでしょうか。

 御異議がないようですので、承認を可とし、併せて生物学的製剤基準の一部を改正することとして、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは、議題3に移ります。議題3及び議題8の本品目に関する部分について、機構からの概要説明をお願いします。

○機構 審議事項議題3、資料3「医薬品細胞培養インフルエンザワクチンH5N1『バクスター』及び細胞培養インフルエンザワクチンH5N1『タケダ』5mLの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」医薬品医療機器総合機構より御説明します。

 審査報告書の3ページを御覧ください。A型インフルエンザウイルスは、ウイルス表面に存在する赤血球凝集素(HA)16種類及びノイラミニダーゼ(NA)9種類の亜型に分類されます。現在ヒトの間で流行している亜型はH1N1型及びH3N2型で、季節性インフルエンザと呼ばれていますが、抗原性が大きく変異することで、ヒトへの感染性を有する新たな亜型のウイルスとなり、近年、H5N1型などの亜型で、世界的な大流行、すなわちパンデミックを起こすインフルエンザの出現が懸念されています。

 新型インフルエンザH5N1に用いるワクチンとしては、これまで本邦で、発育鶏卵を用いて製造するワクチン4製剤が承認されています。

 本剤は、H5N1型インフルエンザのワクチン株を細胞培養で増殖させ、ホルムアルテヒド及び紫外線により完全に不活化したものを有効成分として含むワクチンです。本剤は、2012年に欧州で承認され、現在29か国で承認されています。本剤は、2010年5月の本部会において、希少疾病用医薬品の指定について御審議いただき、2010年6月に指定を受けています。

 本申請の資料内容は、先月4月の本部会において御審議いただいた「細胞培養インフルエンザワクチン(プロトタイプ)」という品目と同一のものです。プロトタイプワクチンについては、インフルエンザの亜型を限定せずに、あらゆる亜型のパンデミックに備える模擬ワクチンとしての承認について御審議いただいたものです。

 一方、本剤は、既に鳥からヒトへの感染例が多数報告されているH5N1型に亜型を特定した製品について、実際の承認を取得するための申請となっています。

 本剤は、国内臨床試験成績等に基づいて、バクスター株式会社及び武田薬品工業株式会社より2012年9月に承認申請されました。

 本剤の専門協議に御参加いただいた専門委員は資料16にお示しした7名の委員です。

 審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。

 有効性については、審査報告書19ページの表4-2を御覧ください。国内第II/III相試験において、本剤の抗原量7.5μgを2回接種した後には、筋肉内接種、皮下接種のいずれの群においても、接種後の血中抗体価が、本邦のガイドラインに定められた免疫原性評価基準を満たしていたことから、有効性が期待できるものと判断いたしました。

 安全性については、審査報告書20ページを御覧ください。国内臨床試験において臨床上問題となるような副反応は認められず、接種用量又は接種経路の違いによる安全性の影響はないことから、本剤の安全性は忍容可能と判断いたしました。なお、審査報告書2830ページにお示ししているとおり、海外臨床試験及び海外製造販売後の安全性情報においても、臨床上問題となる副反応は認められておりません。

 製造販売後の対応については審査報告書3536ページを御覧ください。本剤そのものは、平時においては製造販売されるものではありませんが、パンデミックが発生した有事の際に、本剤の製造販売後調査について、機構は、国の動向を注視して必要な対応策を講じた上で、情報収集を行う必要があると判断いたしました。

 以上の審査の結果、機構は、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。また、本剤は生物由来製品に該当し、希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年、原薬及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断いたしました。なお、薬事分科会には報告を予定しております。

 また、本剤の承認に伴い、生物学的製剤基準に、資料14にお示しした基準の追加を予定しております。併せて御審議くださいますようお願いいたします。なお、本日御欠席の庵原委員から、事前に3点、お問合せを頂きましたが、個別に御回答する対応にて御了承いただいております。以上でございます。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。

○吉田部会長 ありがとうございました。お気付きの先生方がおられるかと思いますが、前回は、模擬ワクチンとしての承認で、その中で今回は、H5N1ということで承認を得ようという話のようです。となると、結局、新しい亜型でワクチンを作るたびに承認していくという方向性になるのでしょうか。

○機構 御質問ありがとうございます。今、吉田部会長から御指摘いただいたように、基本的には亜型ごとに承認を与える形になります。前回のプロトタイプというのは、その亜型ごとの承認を簡単に取得するための模擬ワクチンとしての承認です。本品目は、先ほど御説明したように、H5N1に対するワクチンとして承認を与えようというものです。

○吉田部会長 そういうことだそうです。委員の先生方からの御質問、御意見をお願いいたします。

○濱口委員 1点教えていただきたいのですが、前回、希少疾病用医薬品の承認のときに、私が質問させていただいたことと関連します。今回、武田とバクスターという2つの会社から同じ製剤をということなのですが、例えば、製造の工程や製造場所などといった情報として、バクスターの情報は後ろの方に記載されています。海外で作って、海外でボトリングということだと思うのですが、武田は、同じように製造するということなのですが、実際にどこでやるのかとか、どういう工程できちんとできるのかということが、この報告書の中ではよく見えなかったところがあります。

 ある意味、これは安全保障上も非常に重要なワクチンなので、できるだけ国内できちんと準備できるような方向も考えていただきたいということを、前回、指摘させていただいたと思います。それについて、今後のことなのかもしれませんが、もし武田でこれを製造する場合には、どういったスキームで作ることになっているのか、もし分かっているようだったら教えていただきたいのです。

○機構 機構よりお答えします。今回の申請については、委員より御指摘いただいたとおり、バクスター社が製造したものをバクスター及び武田薬品工業の2社で販売するための承認です。武田薬品工業で製造するものについては、武田薬品工業から3月末にプレスリリースが出ていますが、国の事業に対応するための、国内製造のための申請として、今回の申請とは別途、武田薬品工業で製造するための承認申請が出されています。そちらの方は、現在、事務的に承認審査を進めているところです。

○吉田部会長 ということは、自前の国産のワクチンができるというか、武田の方で独自に作っていく計画になっていて、近々にそれが実現するのではないかという理解でよろしいですか。

○機構 はい、そのとおりです。

○吉田部会長 ほかにございますか。

○菊池委員 競合品のときに言えばよかったのかもしれないのですが、今、4社4品目があって、そのうちの先行の3つだけが選ばれていることになっていますが、それを外したのは、何かあるのでしょうか。

○機構 競合品目リストについては、先行して開発された品目から3品目を掲載するという事務手続になっておりますので、そのうち3つを選んで書かせていただいているものです。特に4つのうち、何かが違うというものではないと考えております。

○菊池委員 分かりました。もしパンデミックになったときには、ほかの4剤に対しても、同じような使用成績などのことを課すようなシステムは付いているのですか。

○機構 基本的には同じような形になるものと考えております。実際、この品目については、先ほど御説明の中でも触れたとおり、平時に各企業が販売するものではなく、国の指示によって使われるものと理解しておりますので、その辺りの指示も、各社同様に指示が出されるものと考えております。

○菊池委員 亜型が申請されて、という考え方と同じで、ほかの製剤に対しても同じようなことが課せられるという理解でよろしいわけですね。

○機構 はい、基本的にはそのとおりです。先月御審議いただいたプロトタイプワクチンについては、ガイドラインが厚生労働省から出されておりまして、製造販売後の調査についても基本的な考え方は示されていますので、亜型ごとの承認が与えられたときの製造販売後調査は、それに従って行われるものと考えます。

○吉田部会長 前のインフルエンザのときの話で、詳細は忘れてしまったのですが、あれはたしか、国が買い上げて、国産をできるだけ優先的に使いましょうという話があったのだけれども、確か、このワクチンがどこへいくかという決定は国がやったのでしたね。要するに、企業が売ったわけではなくて、国が、この薬はどこの県とか、このワクチンは何人分こっちの県とかという仕分けをしたような気がするのですが、そうですね。そうすると、国としては、どこへどういうワクチンが行っているかは分かっているわけなので、強制的に、市販後なり何なりに調べさせることも、それほど難しい話ではないことだと思うのですが。ほかにございますか。

○川崎委員 品質の「原薬の管理」の所でコメントをさせていただきます。力価試験ですが、通常はSRD法を用い、抗血清が利用できない場合はHPLC法を用いると記載されています。この場合、標準物質が必要になりますが、標準物質の規格は、タンパク質含量を分析して規格化するとなっており、まだ規格が示されていません。前回のインフルエンザワクチンにおいても、標準物質の規格がありませんでしたので、なるべく早く設定していただきたいと思いました。

 また、確認ですが、バクスター社も武田薬品も同じ規格で試験をするということでよろしいでしょうか。

○機構 機構よりお答えします。バクスター社及び武田薬品の規格及び試験項目は完全に同一です。また、HPLCの標準物質に関しては、御指摘のとおり、標準物質が満たすべき要件は承認申請書に記載するよう指示いたします。

○吉田部会長 よろしいですか。ほかにございますか。御意見もないようですので議決に入ります。なお、清田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。

 本議題について、承認を可とし、併せて、生物学的製剤基準の一部を改正することとしてよろしいでしょうか。

 御異議がないようですので承認を可とし、併せて、生物学的製剤基準の一部を改正することとして、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは、議題4に移ります。議題4について機構からの概要説明をお願いします。

○機構 審議事項議題4、資料4「医薬品アバスチン点滴静注用100mg/mL及び同点滴静注用400mg/16mLの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」医薬品医療機器総合機構より説明いたします。

 本剤の有効成分であるベバシズマブ(遺伝子組換え)は、血管内皮増殖因子と結合し、血管内皮増殖因子の受容体への結合を阻害することにより、血管新生を抑制し、腫瘍の増殖を抑制すると考えられております。

今般、本剤は膠芽腫に対して効果を示す薬剤として承認申請されました。

 なお、本剤は平成25年4月に開催されました当医薬品第二部会での審議結果を踏まえ、希少疾病用医薬品に指定されております。

 本剤は、審査報告書の4ページに記載しておりますように、平成25年3月時点において、悪性神経膠腫に関する適応にて、66の国又は地域で承認されております。

 本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料16にありますとおり、4名の委員です。

 以下、悪性神経膠腫に対する本剤の承認審査の概要を説明いたします。

 今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、本邦を含む国際共同治験として実施された第III相試験であるBO21990試験が提出されました。

 有効性については、審査報告書14ページの上から3行目以降、及び33ページの上から17行目以降に示しますように、BO21990試験において得られた改変Macdonald基準に基づく無増悪生存期間(以下、「PFS」)の延長が検証され、臨床上意義があるPFSの延長効果が認められたこと等から、初発膠芽腫に対する本剤の有効性は期待できると判断いたしました。なお、全生存期間に有意な延長が認められなかった理由について、申請者は、病勢進行後に後治療として本剤が投与された患者がプラセボ群に多いこと等が原因であると考察しております。

 続いて、安全性については、審査報告書17ページの上から5行目以降、及び34ページの本文、上から2行目以降に示しますように、既承認の癌腫である結腸・直腸癌、非小細胞肺癌及び乳癌と悪性神経膠腫において、本剤の安全性プロファイルに大きな差異はなく、本剤の使用において注意すべき有害事象としては、初回承認審査時に、本剤投与に伴う特徴的な有害事象と判断した事象である、消化管穿孔、創傷治癒遅延、高血圧、タンパク尿、動脈・静脈血栓塞栓症、出血、心毒性、infusion reaction、可逆性後白質脳症症候群、及び間質性肺疾患であると判断いたしました。これらの有害事象については、放射線療法又はがん化学療法に十分な知識と経験を有する医師によって、有害事象の観察や管理等の適切な対応がなされるのであれば、本剤は忍容可能であると判断いたしました。

 ただし、本適応での日本人における検討症例は限られており、審査報告書26ページの上から21行目以降、及び37ページの下から6行目以降に示しますように、製造販売後には、本剤を使用した症例を対象として、目標症例数240例、観察期間18か月間の調査の実施が必要であると判断し、申請者に指示しております。

 以上のような審査の結果、機構は、審査報告書22ページの上から2行目以降、及び36ページの上から12行目以降に示しますように、「悪性神経膠腫」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。

 本剤は、希少疾病用医薬品に指定された新効能医薬品及び新用量医薬品であることから、再審査期間を10年とすることが適当であると判断いたしました。

 本剤の製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について、御審議の程よろしくお願いいたします。

 なお、事前に佐藤委員から御指摘をいただいており、その内容は次のような趣旨でございます。

審査報告書15ページに、日本人患者における有効性の表がありますが、脚注の1に、層別因子(RPA class及び地域)、脚注の2に(RPA class及び地域により層別)と書かれています。しかし、CTD2.538ページには、層別因子として地域(西欧、東欧、アジア、米国、その他)となっており、日本人だけの解析では地域は使用していないのではないか、との御指摘になります。御指摘いただきました内容につきまして、日本人の部分集団に対して使用した解析プログラムは、全体集団に対するものと同様のプログラムであり、申請者は層別因子として「地域」を指定して解析しております。御指摘いただきましたとおり、日本人の部分集団解析において、「地域」を指定する必要はありませんが、解析プログラム上、地域が指定されておりましたので、審査報告書では層別因子に地域を含めた記載といたしました。なお、実際に行われた日本人部分集団の解析について、解析が適切に行われたことを確認しております。説明は以上です。

○吉田部会長 佐藤先生、今の回答でいかがですか。

○佐藤委員 地域で調整していないわけですね。

○機構 結果的には、調整してもしなくても同じ結果となりますが、形式的にアジアという地域を指定して、日本人に限って解析をしたということです。

○吉田部会長 ほかにありますか。田村先生、確か、非小細胞性肺癌の脳転移例にこの薬を使ったら危ないのではないかという話が以前あったように思うのですが。

○田村委員 海外の第I相試験で、脳転移がある患者さんに腫瘍出血を認めたため、以後しばらく臨床開発で脳転移例が除外されてきました。非小細胞肺癌について、米国では制限ありませんが、日欧で脳転移例には禁忌とされました。しかし、最近になって、日欧どちらも解除されています。

○吉田部会長 原因や出血のメカニズムは明らかにされたのですか。

○田村委員 腫瘍出血のしやすさは、もともと、この薬が持っている腫瘍内血管への作用によると思います。

○吉田部会長 そうなのですが、要するに脳に腫瘍がある場合、この薬を使うことで脳出血が起こりやすくなるということで、何か考えられるようなことはあるのですか。

○田村委員 脳や脳内腫瘍の血管密度や脆さなどが関わるかどうかはよく分かりません。

○吉田部会長 それは、もうほかのリスクと同じぐらいで、特に脳だからといって特別に考えておく必要はありませんか。

○田村委員 はい。出血リスクの高い患者さんにはつかっていないデータだと思います。

○吉田部会長 そうですね。手術後の患者は使わないとかいろいろやっていたようですから、その辺りの合併症で脳出血しやすい状況がどういうものなのかは私もよく分かりませんが、例えば血圧が高いとかいろいろなバックグラウンドで、慎重投与のようなものを後で追加することが必要になるかもしれないということでいかがですか。今は余り考えられませんか。

○田村委員 やはり、これから慎重に見ていく必要があると思います。

○吉田部会長 そうですね。脳出血の危険については、やはり慎重投与を考えられた方がいいと思います。もちろん書いてはありますが、もう少しわかりやすく整備していただきたいと思います。ほかにありますか。

○田村委員 PFSで評価されて、臨床的に意義のあるPFSだとおっしゃったと思います。生存には差がないが、プラセボ群に二次治療として入らなければ差があった可能性があることもおっしゃったと思います。臨床的に意義のあるPFSというのは、どのようにお考えでしょうか。この薬は、PFSは延ばすが生存は延ばさないのではないかと、かなり言われている薬なのですが、その辺りの見解を是非、お聞きしたいのですが。

○機構 機構よりお答えさせていただきます。確かに、今回の結果からOSを延長するという結果は得られておりません。一方で、PFSを4か月延長するという結果が得られており、これらの結果を併せて総合的に判断した結果、本剤には臨床的意義があると判断いたしました。

○田村委員 4か月に意味があるということですか。

○機構 本適応の疾患の重篤性等を加味して総合的に評価した結果、臨床的意義があると判断しました。

○奥田委員 今のことに関連しての質問なのですが、報告書の中にはPFS延長による症状の抑制による患者負担の緩和、あるいはステロイドの減量が可能になる可能性があるというようなことが、どこかに書かれていたと思います。そのデータは、CTDに一部書かれているように思いますが、報告書の中にはそういうデータが全然出てきていないかと思いました。その辺りの理由を明確に書くことで、承認した根拠が分かるようになるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○機構 今回、ピボタル試験とした初発の膠芽腫を対象としたBO21990試験においては、主要評価項目がPFS及びOSと設定されており、主に主要評価項目の結果に基づき、機構は有効性があるだろうと判断しております。

○奥田委員 恐らく、先ほどの質問は、PFSが延びることでどういうメリットがあるのだという臨床的な根拠を示すべきではないかという御質問だと思います。それに対して、患者負担の緩和が得られるとか、ステロイドの減量ができるということを根拠として示せば、臨床的な根拠が示せるのではないか、という意味での質問なのですが。

○機構 今回のピボタル試験については、改変Macdonald基準に基づいたPFSで、ステロイド等の影響も考慮された指標となっています。4か月のPFSの延長については、PFSの延長が何か月であれば臨床的に意義があるという明確な線引きは難しいのですが、疾患の重篤性や治療環境等を加味して総合的に判断した結果、本剤は臨床的に意義があると判断しております。なお、改変Macdonald基準に基づくPFSの判断基準については、報告書14ページの()の中の「2)有効性の評価項目及び有効性評価結果について」に、病勢進行の判断基準として、(神経症状の悪化及びステロイド剤の投与量の変化を含む)と記載しておりますので、御指摘の点についても評価をしていると判断をしております。

○吉田部会長 この病気自体が3生例が出るか出ないか分からないぐらい予後不良な病気だとすると、50%生存期間の4か月延長は貴重な生きている時間ということの評価はできるのかもしれませんね。それから、田村先生が言われたように、最近、本剤は確かに大腸でもそうですが、OSで評価できていません。恐らく、有効神話のようなものがあって、クロスオーバーせざるを得ないのが最大の原因だろうとは思うのですが、やはりその辺りは注意して、意味のある差なのかどうかを我々の側も少し情報をいただきたいと思います。要するに、臨床試験を行う上で、「この薬を使わないことが倫理的に問題だ」というような話になってくると、真実が隠されてしまうような可能性もありますので、その辺りのデータを解析できるような環境づくりを、また考えていただければと思います。

○機構 少なくとも、今得られている情報については、資材等を用いて、適切に医療現場に情報提供することとしたいと思います。

○吉田部会長 ほかにありますか。

○半田委員 基本的なことについて教えていただきたいのですが、例えば転移性の脳腫瘍にしても、原発性のこういう場合にしても、抗体もそうなのですが、BBBを通るか通らないかが常に問題になります。機構の評価でも、データ的には余りはっきりしたものはないと。もちろん、臨床的には今おっしゃったような効果が出ているのですが、このような静注薬で頭蓋内病変に対するものは、私は血液疾患しか知らないのですが、この辺りの考え方は有効性も含めて、今どのようになっているのかをお聞きしたいのですが。基本的なことで申し訳ありません。

○機構 機構よりお答えさせていただきます。本薬の脳腫瘍組織への移行性については、審査報告書の8、9ページに記載しております。実際、本薬を用いた検討結果は動物試験も含めて得られておりません。公表論文では、脳腫瘍患者ではBBBのバリア機能が低下しているため、抗体医薬品のように比較的高分子の薬物でもBBBを通過する可能性が示唆されたとの報告があります。本薬と同じ抗体医薬品であるTrastuzumabの報告ですが、HER2陽性の乳癌患者にTrastuzumabを投与した結果、IgG抗体であるTrastuzumabが正常脳細胞には集積しなかったのですが、脳転移した脳腫瘍組織には集積したというような報告もされております。そういった報告を踏まえますと、抗体医薬品についてもBBBを通過する可能性は考えられると考えております。ただし、現時点では、本剤について、確定的な情報は得られておりませんので、申請者には引き続き情報を収集するように指示しており、申請者からは、情報収集する旨の回答をいただいております。

○半田委員 イントラテカールのルートはなかなか難しいのですが、そういうルートもあるので、その辺りも含めてこういう薬があるのであれば考えていかれるといいかとは思います。

○機構 御助言ありがとうございます。

○吉田部会長 国内第II相試験のデータの中に奏効率が出ていないと思うのですが、どこかに出ていますか。腫瘍縮小効果は見られたのですね。

○機構 審査報告書の24ページの上から2行目に、今回実施された国内第II相試験、JO22506試験で実施された患者のうち、膠芽腫以外の患者のデータがあります。奏効率を直接記載しているわけではありませんが、病理診断において膠芽腫以外の悪性神経膠腫と診断された1例の最良総合効果は部分奏効であったという結果を記載しております。

○吉田部会長 そうですか。この試験とは関係ないのですが、以前、アバスチンが脳腫瘍に効くという話の中で、腫瘍も縮小するので、要するに直接効果があると。そうすると、こんな大きな分子がどうやってBlood Brain Barrierを超えるのだろうということをディスカッションした覚えがあるのですが、BBBが壊れているという話もあります。ということで、確かに説明は難しいと思うのですが、実際に薬が届いて縮小しているというようなエビデンスというか、その重さは別にして、事実はあるようですね。

○新井部会長代理 抗体が脳に到達するかどうかは分からないのですが、むしろVEGFがどこで作られているか、VEGFがバリアを通過するかどうかも結構重要な問題で、アミロイドβなどでも、試験で結果的にはアミロイドβが血中にでてきて血中に抗体さえあれば、脳中の濃度も下がったと。ですから、VEGF自体のバリアがどこで作られているかと、それが通過するのかと。通過さえすれば、実は血中にあるだけでも最終的には脳内の濃度も低下できるという話に、アミロイドβの場合はなっているようですので、そういうことのメカニズムかもしれませんし、バリアが壊れている可能性はあるかもしれません。この場合はVEGFがターゲットなので、むしろそちらのトランスポートの方が問題かと。バリアを通過できるのかできないのか、あるいはどこで作られているのか。

○吉田部会長 そうですね。腫瘍で作られているとすると、作ったVEGFが本当にBBBを通って大循環に入り、また、こちらへ戻ってきているのかなど、いろいろな疑問が湧いてくるのですが、申請者の方でその辺りの説明はできませんか。そこまでのデータは持っていませんか。

○機構 現時点では、そのようなデータは得られていないと、申請者は説明しております。

○吉田部会長 そこまで解明できればいいのでしょうが、我々としては得られた臨床試験の成績、あるいは生存曲線で判断せざるを得ないと思いますが。ほかにありますか。

○機構 先ほどの国内第II相試験で得られた奏効率の話なのですが、添付文書の6ページに今回の国内第II相試験での奏効率を記載しております。この内容も含めて、今回得られた結果について、情報提供したいと思います。

○吉田部会長 その辺りの細かい精緻な理論についてはよく分からない部分もありますが、事実として直接効果もありますし、PFSも延びているというようなことで、若干、隔靴掻痒の感はありますが、事実として我々としては受け入れざるを得ないだろうと思います。ほかにありますか。よろしいでしょうか。それでは、議決に入ります。なお、奥田委員、田村委員、前崎委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。

 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。

 御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告いたします。それでは、議題5に移ります。機構からの説明をお願いします。

○機構 審議事項議題5、資料5「医薬品プログラフカプセル0.5mg及び同カプセル1mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」医薬品医療機器総合機構より説明いたします。

 本剤の有効成分であるタクロリムス水和物は、脱リン酸化酵素のカルシニューリンを阻害することによりT細胞の活性化を特異的に阻害する免疫抑制剤であり、本邦では「移植時の拒絶反応の抑制」、「重症筋無力症」、「関節リウマチ」、「ループス腎炎」及び「潰瘍性大腸炎」に係る適応で承認されています。本申請は、多発性筋炎(以下、PM)及び皮膚筋炎(以下、DM)に合併する間質性肺炎に係る効能・効果を新たに追加するものです。審査報告書の7ページの中段16行目以降に記載しておりますように、PM・DMは膠原病の一種であり、四肢近位の骨格筋の炎症に伴う筋力低下を主訴とする原因不明の慢性炎症性疾患です。膠原病の合併症として間質性肺炎を合併する場合がありますが、特にPM・DMに合併する間質性肺炎は発症頻度が高く、予後も不良であることが知られています。本疾患に対する治療として、副腎皮質ステロイド(以下、ステロイド剤)が使用されていますが、患者の約半数はステロイド剤に抵抗性を示し、このような症例では不可逆性肺障害の進行や感染症合併等の副作用により、短期死亡率が高く、更に予後不良であることが報告されています。PM・DMに合併する間質性肺炎において、罹患病変の肺胞・間質に多数浸潤している活性化Tリンパ球が強く関与していることが示唆されていること等を踏まえ、ステロイド剤等に対して抵抗性を示す患者を中心に、T細胞の活性化を抑制する免疫抑制剤である本剤やシクロスポリンとステロイド剤との併用による治療が国内外で試みられており、呼吸機能の改善、救命効果等が示唆されたことが報告されています。これらの文献報告を踏まえ、PM・DMに合併する間質性肺炎に対する本剤の有効性及び安全性を検討するために、厚生労働科学研究費補助金 治験推進研究事業により、医師主導治験が実施され、今般、当該試験の結果に基づき効能追加の申請がなされました。なお、本邦におけるPM・DMに合併する間質性肺炎の患者数が極めて少ないこと等を踏まえ、2012年9月に希少疾病用医薬品に指定されています。

 海外においては2013年4月現在、本疾患に関わる本剤の開発は行われておりません。

 本申請の専門委員としては、資料16に記載しています6名の委員を指名いたしました。

 主な審査内容について簡単に説明いたします。審査報告書の8ページ「()医師主導治験」の項を御覧ください。医師主導治験の試験デザインは、PM・DMに合併する間質性肺炎患者を対象に、本剤の有効性及び安全性を検討するため、非盲検非対照下で本剤とステロイド剤併用時の有効性及び安全性を検討(以下、パートA)し、外部対照としてステロイド剤単剤で初期治療が行われたデータを後ろ向きに収集した、Historical control(以下、パートB)を設定し、マッチングを行った上でパートAと比較する計画とされていました。しかしながら、パートB及び選択・除外基準を一部変更したパートB'の症例収集が、目標症例数を大きく下回ったことから、パートA及びパートB/'とのマッチンングを行った上での比較は困難と判断され、実施されませんでした。

 パートAにおける有効性の結果については、9ページの3行目に記載しておりますように、主要評価項目とされた投与52週後の生存率は88.0%でした。また、表1に示しますように、本剤投与前と比べ、投与後では呼吸機能の改善、ステロイド剤の投与量の減量等が認められました。

 機構は、希少疾病用医薬品の承認申請においても無作為化二重盲検並行群間比較試験を実施し、被験薬の有効性及び安全性を検討することが原則であると考えておりますが、本申請においては、17ページ中段の18行目以降の記載のとおり、本剤の適用対象となるPM・DMに合併する間質性肺炎は予後不良で、不可逆的に進行する難治性疾患であること、多くの患者が既存治療のステロイド剤単剤治療に抵抗性を示すこと、さらに医師主導治験の計画時には、公表文献を踏まえ、本剤とステロイド剤の併用が広く適応外使用されており、適切な対照を設定した臨床試験の実施が困難な状況であったことを勘案し、医師主導治験を非盲検非対照試験として実施したことはやむを得なかったと判断しております。また、本剤とステロイド剤の併用が広く適応外使用されていることを踏まえれば、Historical control群のデータを収集することが困難であったことも、やむを得なかったと判断しております。以上より、機構は、提出された医師主導治験成績から、本剤の有効性を厳密に評価することは困難であるものの、本疾患は予後不良で不可逆的に進行する難治性疾患であるにもかかわらず、パートAにおいて高い生存率が示され、更に投与開始前後で呼吸機能の改善、ステロイド剤の投与量の減量等も示され、既存の文献報告と一致する結果が得られたことを踏まえると、PM・DMに合併する間質性肺炎に対する本剤の一定の有効性は期待できると評価することは可能と判断いたしました。ただし、製造販売後調査において、個々の症例の詳細な臨床経過データを収集し、より長期的な予後評価等を踏まえ、本剤の有効性をさらに確認する必要があると考えております。

 次に18ページ以降「()安全性について」を御覧ください。本剤の安全性について、医師主導治験のパートA及び既承認適応である他の自己免疫性疾患における有害事象の発現状況については表7のとおり、また、本剤による重要な副作用として知られている事象の発現状況については表8のとおりであり、PM・DMに合併する間質性肺炎患者において、新規の有害事象は認められていないものの、他の自己免疫疾患と比較して、各有害事象の発現率が全般的に高い傾向が認められました。この原因として、原疾患の重篤性、本疾患では他の自己免疫性疾患と比べ、本剤の用量が高く、ステロイド剤の併用量も高いことが一因であると考察されております。

 以上より、本疾患では本剤による有害事象が発現しやすい傾向があることを周知し、十分なモニタリングが実施されるよう注意喚起する必要があると考えております。また、24ページの「()製造販売後調査について」に記載しております製造販売後調査を実施し、使用実態下における本剤の安全性について、引き続き慎重に検討する必要があると考えております。

 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請に係る再審査期間は10年と判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。

○吉田部会長 それでは委員の先生方の御質問、御意見をお願いします。今回の申請では皮膚筋炎、多発性筋炎に合併する間質性肺炎をターゲットとしているけれども、多発性筋炎、皮膚筋炎そのものに対しての効果はないのですか。なぜ間質性肺炎なのですか。

○機構 基本的に多発性筋炎と皮膚筋炎に対しては、ステロイド剤が第一選択として使用されており、一定の効果が得られることが知られておりますので、本剤の使用経験はあまりないようです。

○吉田部会長 しかし、皮膚筋炎や多発性筋炎に関してのタクロリムスのデータというものは、世界中に全く存在しないのでしょうか。なぜ重症の間質性肺炎だけをターゲットにしたのですか。

○機構 多発性筋炎、皮膚筋炎に対してタクロリムスの効果が示された明確なエビデンスはございません。海外では国内よりも皮膚筋炎、多発性筋炎の患者が少ないこともあり、国内、海外ともに情報が限られているところもございます。

○吉田部会長 分かりました。基本的に患者がいないので、世界的にもまだ試みられていないし、とにかく重症度の高い間質性肺炎をターゲットにして適応を取りたいということなのですね。

○機構 はい。

○吉田部会長 もし本体の方で適応が通ってしまえば、間質性肺炎などとややこしいことをしないで、もう少し症例を稼げるのではないかと思って質問させて頂きました。ほかにございますか。

○佐藤委員 何遍読んでいてもよく理解できなかったのです。これは一応、医師主導ですけれども、治験としてパートAとパートB/'を行ったわけですね。結局、パートB/'は患者の数は少なかったとはいえ、16例と4例集まっていて、軽症な患者が多かったということが考察されていますけれども、結果的にはパートB/'の患者は結構よかったのですね。そうすると、本当にパートAの結果だけでタクロリムスを併用したものが有効なのかという保証はどこにあるのか、どうやって保証されているのでしょうか。

○機構 パートB/'に関しては、審査報告書の1314ページに関して記載しております。御指摘のとおり、パートB/'の症例は、CT所見であったり、呼吸機能であったり、本疾患において予後が不良とされているCK値が低い患者等が少なかったり、パートAよりも軽症の患者が組入れられたことで、結果的にパートB/'はいい成績を得られたと考察されております。15ページ以降に、過去に報告された文献等も示しておりますが、この中ではPMやDMにおいて、ステロイド単剤を投与した際は、DMでは生存率が50%との報告もありました。これらと比較すれば、タクロリムスを併用した場合の生存率はより高い結果となっており、呼吸機能等では、前後差ではありますが改善する傾向が認められていますので、本剤の有効性について一定の示唆はされているのではないかと考えております。

○佐藤委員 もともと信頼できるHistorical dataがあれば、何もHistorical controlを取るという計画にはならなかったと思うので、これは明らかに治験失敗ですね。要するに、失敗した治験のデータのタクロリムスを使った結果だけを評価して、それで本当に有効だと言えるのかどうかというのが、どうしても引っかかるのですけれども。

○機構 今回のデータ自体に不十分な部分があるというのは承知しておりますので、製造販売後調査の中で3年をめどとして、100例程度の症例数を集めて、その中で有効性についてもできる限り評価できるように、詳細なデータを取るように指示しています。その辺も含めて、今後も検討できればと考えております。

○佐藤委員 もともと多発性筋炎、皮膚筋炎自体が、特定疾患で難病指定されていますから、更に間質性肺炎を合併するとなると、数が少なくなると思いますので、是非その辺を市販後にきちんと評価してもらうようにしていただきたいと思います。

○吉田部会長 もう既にオーファンに指定されているのですね。

○機構 はい、そうです。

○吉田部会長 ですから使えなくはないのです。そういうことなので、なかなか医師主導治験がやりにくいということにつながったと思います。難病であるということと、有効な薬がないというような困難な状況下で、Historical controlではあるけれども、そういうことで言えば、信頼性は低いけれども、それなりのデータはあるということなのだろうと思います。ほかに御意見はございますか。何かすっきりしない感じは否めませんけれども、よろしいですか。

 それでは議決に入ります。なお、清田委員、前崎委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。

 本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。

 御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。 それでは議題6に移ります。議題6について、事務局からの概要説明をお願いします。

○事務局 審議事項議題6、資料6「デノスマブ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について」機構からの評価報告書に従って事務局より御説明いたします。

 申請者は第一三共株式会社、予定される効能・効果は「骨巨細胞腫」です。

 対象患者数は、日本整形外科学会骨・軟部腫瘍委員会及び国立がん研究センターが実施した全国疫学調査によりますと、1972年~2008年における国内の新規発症者数の合計は2541人と報告されていることから、患者数が5万人未満という希少疾病用医薬品の指定基準を満たしているものと考えております。

 続いて「医療上の必要性」についてです。現在、本邦において、骨巨細胞腫患者に対する基本的な治療は外科切除であり、骨巨細胞腫を適応症として承認されている医薬品はございません。また、既存治療のみでは再発又は悪性転化する可能性があり、腫瘍の存在部位によっては広範切除により重度の後遺症を残す可能性もあるため、新たな治療選択肢が求められており、医療上の必要性は高いと考えられます。

 「開発の可能性」についてですが、本剤の本効能・効果については、米国□□□□において既に承認申請されており、国内においても第II相試験を実施中であることから、開発の可能性は高いと考えております。

 以上のことから、本薬は希少疾病用医薬品の指定要件を満たすものと判断しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○吉田部会長 委員の先生方の御質問、御意見をお願いします。対象患者数も極めて少ないですし、悪性の腫瘍性病変に転化することもあるし、開発の可能性としては第II相試験も行われているということですので、特段問題はないと思われますが、よろしいですか。

 それでは議決に入ります。なお、清田委員、前崎委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくものといたします。

 本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。

 御異議がないようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは議題7に移ります。関水委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議題の審議の間、別室で御待機いただくことといたします。

── 関水委員退室 ──

○吉田部会長 それでは議題7について、事務局から概要説明をお願いします。

○事務局 審議事項議題7、資料7「ONO-4538を希少疾病用医薬品として指定することの可否について」機構からの評価報告書に沿って事務局より御説明いたします。

 申請者は小野薬品工業株式会社、予定される効能・効果は「悪性黒色腫」です。

 対象患者数は、日本皮膚悪性腫瘍学会が実施したアンケート調査によると、新たに悪性黒色腫を発症した患者数は、2006年度及び2007年度合わせて1053人です。また、厚生労働省による平成23年度の患者調査では、悪性黒色腫の総患者数は約4000人と報告されていることから、患者数が5万人未満という希少疾病用医薬品の指定基準を満たしているものと考えております。

 続いて「医療上の必要性」です。悪性黒色腫は皮膚癌による死亡の約80%を占め、極めて予後不良な疾患です。悪性黒色腫に対する治療は、根治切除可能な場合には、外科的切除及び必要に応じてリンパ節郭清が行われますが、根治切除不能な場合には、化学療法が行われます。本邦では化学療法としてダカルバジン単剤投与が主に用いられますが、現時点で予後を有意に改善する薬剤は存在しないため、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。

 続いて「開発の可能性」です。国内における第II相試験でダカルバジン単剤の奏効率を上回っており、海外においては第III相試験が2試験実施されていることから、本剤の開発の可能性は高いと考えられます。

 以上のことから、本薬は希少疾病用医薬品の指定要件を満たすものと判断しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○吉田部会長 それでは委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。悪性黒色腫はきわめて予後不良ですし、頻度も5万人未満ですし、開発の可能性としては国内第II相の他に、海外第III相試験も計画されているということですので、これも指定に関しても問題はないかと思われますがよろしいですね。

 御意見がないようですので、議決に入ります。なお、奥田委員、清田委員、田村委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。

 本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。

 御異議がないようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。別室で待機されている関水委員をお呼びください。

── 関水委員入室 ──

○吉田部会長 それでは報告事項に移ります。

○事務局 報告事項議題1、資料8「医薬品タルセバ錠25mg、同錠100mg及び同錠150mgの製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたします。

 タルセバ錠25mg、同錠100mg、同錠150mgは、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤であり、非小細胞肺癌に対して、現在は「切除不能な再発・進行性で、がん化学療法施行後に増悪した非小細胞肺癌」の効能・効果で承認されております。

 今般、中外製薬株式会社から「EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な再発・進行性で、がん化学療法未治療の非小細胞肺癌」の効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。

 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。

 続いて報告事項議題2、資料9「医薬品ハーセプチン注射用60及び同注射用150の製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたします。

 本剤は、ヒト上皮細胞増殖因子受容体2型(以下、HER2)に対するヒト化モノクローナル抗体であり、HER2に特異的に結合し、抗体依存性細胞傷害作用を惹起すること等により、腫瘍の増殖を抑制すると考えられている抗悪性腫瘍剤です。現在は、「HER2過剰発現が確認された乳癌」、「HER2過剰発現が確認された治癒・切除不能な進行・再発の胃癌」を効能・効果として承認されております。

 本剤については、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成25131日に開催された本部会における事前評価を踏まえて、今般、中外製薬株式会社から「HER2の過剰発現が確認された乳癌に対する、術後補助化学療法としてのA法(1週間間隔投与)」の用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。

 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。

 続いて報告事項議題3、資料10「医薬品ハイカムチン注射用1.1mgの製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたします。

 本剤は、DNA合成阻害作用を有する抗悪性腫瘍剤であり、現在は、「小細胞肺癌、がん化学療法後に増悪した卵巣癌」を効能・効果として承認されております。

 本剤については、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成25年1月31日に開催された本部会における事前評価を踏まえて、今般、日本化薬株式会社から、「小児悪性固型腫瘍」の効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。

 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。

 続いて報告事項議題4、資料11「医薬品リツキサン注10mg/mlの製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたします。

 本剤はマウス-ヒトキメラ型抗CD20モノクローナル抗体であり、現在は、「CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫」並びに「インジウム(111IN)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)注射液及びイットリウム(90Y)イブリツモマブチウキセタン(遺伝子組換え)注射液投与の前投与」を効能・効果として承認されております。

 本剤については医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請の該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成25年1月31日に開催された医薬品第二部会における事前評価を踏まえて、今般、全薬工業株式会社から「免疫抑制状態下のCD20陽性のB細胞性リンパ増殖性疾患」及び「ヴェゲナ肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎」の効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。

 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。

 続いて報告事項議題5、資料12「優先審査指定品目の審査結果について(シメプレビル)」御報告いたします。優先審査の取扱いについては、資料の表紙の裏に概要をお示ししています。この制度は、薬事法第14条第7項の規定に基づき、希少疾病用医薬品やその他医療上特に必要性が高いと認められる品目を指定し、他の品目に優先して審査を行うものです。その指定に当たっては、適応疾病の重篤性、医療上の有用性を総合的に評価して判断されます。

 資料の1ページにお戻りください。今回の対象品目は、販売名「ソブリアードカプセル100mg」、一般名「シメプレビル」、申請者は「ヤンセンファーマ株式会社」です。

 本剤については、記載のような「C型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善」に係る効能・効果で承認申請がなされています。

 事前に取りまとめられた医薬品医療機器総合機構の報告書に基づき、本剤の優先審査の該当性について御説明いたします。資料9ページの下段、<総合判断>の項を御覧ください。

 「適応疾患の重篤性」については、今回の申請において対象としているC型慢性肝炎は治療を行わない場合、最終的には肝不全や肝細胞癌に至る疾患であり、「生命に重大な影響がある疾患」に該当すると判断されました。

 「医療上の有用性」については、これまでに実施された国内臨床試験の結果を踏まえると、C型慢性肝炎において、ペグインターフェロン及びリバビリンの2剤併用療法と比較して優れた有効性が示されております。また、テラプレビルより優れた安全性及び臨床的有用性を示す可能性があると考えられると判断しています。

 以上を踏まえ、本剤は優先審査品目に該当すると判断いたしました。

 本剤の承認の可否については、今後、機構での審査を経た後に、改めてこの部会で御審議いただく予定です。

○事務局 報告事項議題6、資料13-1、資料13-2「医療用医薬品の承認条件の解除について(ドキシル注20mg)(オレンシア点滴静注用250mg)」事務局より御説明いたします。

 資料13-1の2ページを御覧ください。ドキソルビシン塩酸塩を有効成分とする医薬品ドキシル注20mgは、平成21年4月22日に承認され、中ほどにお示しした全例調査に関する承認条件が付されております。この度、承認取得者であるヤンセンファーマ株式会社から、調査に係る報告書が提出され、機構において審査されましたので、御報告いたします。

 3ページを御覧ください。報告された調査は、本剤を使用した全症例を対象に目標症例数は500例、観察期間は投与1日、その後4週間を1コースとして最大10コース又は1年間とされており、平成22年3月31日までに登録された2215例の情報を基に、調査結果がまとめられております。

 安全性については、3ページ下部の「2.安全性」に記載されております。安全性解析対象2187例のうち、副作用が72.8%、重篤な副作用が24.5%に認められました。また、4ページの表にお示ししておりますように、本薬に特徴的と考えられる副作用として、手足症候群等の皮膚障害、心毒性、注入に伴う反応の発現状況が重点調査項目とされておりますが、これらの発現率が臨床試験と比較して顕著に高い傾向は認められず、添付文書上で更なる注意喚起を要するような問題となる状況は認められませんでした。

 有効性については6ページの「3.有効性」として記載しております。本調査で有効性解析対象とされた1471例について、奏効率は8.5%であり、臨床試験と比較して低い結果となっております。その理由としては、本調査では抗腫瘍効果の最終判定結果を集計対象としているのに対し、臨床試験では「固型癌の治療効果判定のための新ガイドライン」に準じて評価した最良総合結果を用いており、評価時期や方法が異なっていたことなどが影響している可能性があると説明されております。

 これらの結果に基づき、6ページ下部に掲げておりますように、添付文書上の使用上の注意を自主改訂し、投与時における薬液の血管外漏出に関する注意喚起を行ったほか、資材や学会等における情報提供により、適正使用に関する措置が講じられております。

 以上を踏まえ、本剤の安全性及び有効性に関する情報が収集されていること、収集された情報に基づいて、本剤の適正使用に必要な措置が講じられていることから、本剤の全例調査に関する承認条件の内容については、確認できたものと判断しております。

○事務局 続いて資料13-2に基づき、「医薬品オレンシアに係る医療用医薬品の承認条件の解除について」御報告します。資料1ページの「I.品目」です。対象品目は、「オレンシア点滴静注用250mg」、一般名は「アバタセプト(遺伝子組換え)」です。その下の「1.製造販売後調査の実施の経緯」ですが、本剤は、平成22年7月に「関節リウマチ」に係る効能・効果で承認されており、その際、1ページ中程の記載のような全例調査等の承認条件が付されております。今般、この承認条件のうち全例調査に関して、ブリストル・マイヤーズ株式会社より使用成績調査の報告書が提出され、機構における審査が終わりましたので御報告します。

 2ページを御覧ください。「2.提出された資料の概要、1)調査方法及び登録症例数」です。観察期間は24週間とされ、調査票が収集された4030例から重複症例を除外した3985例の成績に基づき、集計・解析が行われ、調査結果がまとめられています。

 安全性については、5ページの「3)安全性、1.副作用全般」を御覧ください。安全性解析対象3985例における副作用発現率は15.4%であり、承認時までの国内第IIIII相臨床試験で認められた副作用発現率と比較して、高くなる傾向は認められないことなど、特段の問題は認められませんでした。

 続いて有効性について、13ページの「4)有効性」を御覧ください。有効性解析対象3016例において、有効性評価項目とされたDAS/28CRP()スコア、DAS28/ESR()スコア、SDAI及びCDAIの経時推移は表のとおりであり、有効性について特段の問題は認められませんでした。

 以上を踏まえて20ページの「III.総合評価」に記載しておりますとおり、本剤の安全性及び有効性について現時点で大きな問題はないと判断され、本承認条件の内容については確認できたものと判断されています。報告事項は以上です。

○吉田部会長 抗悪性腫瘍薬の一部変更承認が4件、優先審査報告が1件、承認条件の解除が2件でした。委員の先生方から、御質問等がありましたらお願いします。よろしいですか。田村先生、タルセバの非初回治療例は、現在、EGFRの変異があってもなくても使えるけれども、今後、初回治療例はEGFRの変異があるものでないと使えなくなってしまうということになりますが、何か不都合はありますか。

○田村委員 初回治療例で使えないということは、全く問題はございません。

○吉田部会長 分かりました。ほかにございますか。よろしいでしょうか。御意見がないようですので、報告事項については御確認いただいたものといたします。本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告はございますか。

○事務局 次回の部会は7月26()午後3時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。

○吉田部会長 それでは、本日はこれにて終了とさせていただきます。お疲れ様でした。


(了)

備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 益山(内線2746)

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