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2013年9月27日 第3回胆管がん問題を踏まえた化学物質管理のあり方に関する専門家検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

○日時

平成25年9月27日(金)10:00~12:00


○場所

三番町共用会議所会議室 大会議室
(東京都千代田区九段南2-1-5)


○議題

(1)検討会報告書(案)について
(2)その他

○議事

○増岡中央産業安全専門官 定刻となりましたので、ただ今から「第3回 胆管がん問題を踏まえた化学物質管理のあり方に関する専門家検討会」を開催いたします。芦辺委員におかれましては、本日少し遅れるとお聞きしております。

 早速ですが、配付資料の確認をさせていただきます。「次第」に続き、資料 1 として第 2 回検討会の概要、資料 2 として検討会報告書 ( ) を付けております。また、参考資料 1 として、海外のリスクアセスメント・ツールの例の綴りを付けております。不足等ございましたら、事務局までお申し付けください。よろしいでしょうか。

 それでは、以降の進行については座長よりお願いいたします。

○三柴座長 おはようございます。議事に入る前に、前回の概要について、事務局より説明をお願いいたします。また、前回、委員から質問があった事項についても、併せて説明をお願いいたします。

○増岡中央産業安全専門官 資料 1 を御覧ください。第 2 回検討会の概要 ( 各参集者の意見 ) ということで、議題ごとにとりまとめておりますので読み上げていきます。

 「 1. 特別規則の対象でない化学物質を含む化学物質管理の原則について」。事務局が論点の別紙として示した「講ずべき措置の考え方」について、リスクベースの考え方は非常に妥当であり、是非進めていかなければならない。

例えば保護具を使用させる時、必要性を説明しないと危険というのが分からずに、使い方を間違ったり、暑苦しかったら外すということもあると思う。保護具を適切に着用しなかった時の危険有害性を労働者に教育した上で保護具を使用させることが大事である。

 「 2. 危険有害性及びばく露の実態に応じた化学物質管理のあり方について」。 EU やアメリカ等でリスクアセスメントが ( 中小企業も含めて ) 義務化されていることからすると、欧米では何か簡単なツールがあるのではないか。

 こちらについては、参考資料 1 で、イギリスのガイドラインの日本語訳のものと、後ろにオーストラリアの英文のチェックリストを添付しております。基本的には、コントロール・バンディングをペーパー上で行うようなイメージのものとなっております。

 資料 1 に戻ります。 GHS 区分のいずれかに該当するものは、基本的に危険有害性があると考えることもできる。教育を含めて中小企業も履行できるような形でリスクアセスメントを義務化するものであればよいが、猶予とか支援とかがない形で義務化するのは問題である。

例えば SDS で発がんの危険を予想できるなら、予見可能性があると考えられる。そういう状況でリスクが実現してしまった場合、どういう責任が問われるか、広く周知していく活動もリスクアセスメントを事業者に浸透させる後押しになる。

 サプライヤー側が、 ( ユーザーに ) 危険有害性が高いのでこういうやり方をしてください、局所排気装置はありますかというのをチェックして、ないなら売れないといったアクションも大事ではないか。

コントロール・バンディングを初めて知ったが、便利なツールと感じた。事故事例もあるとよい。

 労働安全衛生法(安衛法)では事業者責任が原則だが、実行可能性を考える必要はあり、施策を新たに打つときには、特に周知や支援が重要になる。民事訴訟でも、相当因果関係が認められて、かつ帰責性とか有責性が認められないと、最終的に責任を問えない。 ( 義務化となると ) もっと厳格に判断されることとなる。

 検知管で簡便に測定できるなら、測定結果が許容濃度未満にできればよいのではないか。検知管で測定可能な物質がどれくらいあるのか調べてほしい。

こちらについては現在調査中のところもありますが、 640 物質のうち 300 弱ぐらいの物質については検知管による測定が可能であるようです。

 資料1に戻ります。コントロール・バンディングは、評価は簡単だが、出力される対策が簡単ではない。

リスク評価の結果を労働者に知らせるシステムを作るべき。リスクコミュニケーションをして対策をするというところまで書き込む必要がある。

 労働者が保護されるシステムが必要である。安衛法第 97 条で認められている労働者の申告というのが、日本では機能していない。都道府県労働局や監督署におかしいと言うことができる権利を労働者自身が知らない現状がある。

国による評価・認定には厚労省・経産省・環境省が所管する化審法の中でのリスク評価もある。省庁を越えた危険有害性の考え方の統一を図るべき。

 「 3. 表示・ SDS 交付等の危険有害性情報伝達の促進等について」。 ( ラベル表示の対象が )640 物質になったとき、製品によっては ( ラベルに成分を )10 物質、 20 物質と書かなければならないという問題が発生する。 ( ラベルの ) 化学物質の名称はどれだけ役に立つのか疑問がある。危険有害性情報とか注意文言の方が情報としては大事である。化学物質の名称を書くことにより標章等ほかの記載事項のスペースが小さくなることで、逆に気付かなくなるというような状況に陥らないように、ラベル制度の見直しが必要である。 SDS と一体で運用するのであれば、成分・含有量は SDS を見れば済む。

GHS に準拠しない成分ごとの GHS マークを付ける現行制度は、この際やめてもいいのではないか。

国際標準どおりの表示を付けて、周知徹底すべき。

基本的に混合物としてハザード表示するのが、国際的な約束なので、混合物の中で表示義務対象以外の物質は考えなくてもよいとすると、問題ではないか。

以上です。

○三柴座長 では、前回の議事について何か補足するものはありますか。

○宮川委員  1 ページの下の方で「検知管で簡単に測定できるなら、測定結果が許容濃度未満にできればよいのではないか」と記載されておりますが、きちんとした作業環境が本来求められるべきものについて、簡易測定で大丈夫だから「それでよい」とするのは必ずしも適当ではないので、表現を少し工夫していただきたいと思います。例えば測定結果が許容濃度を超えているかどうかを確認することが第 1 ステップであるとか、そのような記載にしていただければと思います。

○増岡中央産業安全専門官 分かりました。では、そのように修正をさせていただきます。

○三柴座長 ほかにいかがでしょうか。

○城内委員 前回、 2 ページ中の労働安全衛生法第 97 条の話もさせていただいたのですが、その前に、労働安全衛生法では予防原則が担保されておらず、労働者が危険有害性情報を共有できていないことが一番の問題ではないかという発言もしたと記憶しています。それが資料のどこにもないので意図的に削除されたのでしょうか。

○増岡中央産業安全専門官 特に意図的に削除したという趣旨はございません。資料に記載したものが全てというわけにはいきませんので、選択している中で落ちたものと思いますので、御指摘を踏まえて整理するようにいたします。

○三柴座長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、本日の議題である検討会報告書 ( ) の検討に移ります。前回までの検討を踏まえて、事務局において報告書 ( ) を作成しております。事務局より、報告書 ( ) について資料の説明をお願いいたします。

○増岡中央産業安全専門官 資料 2 を御覧ください。1ページ目が【目次】、 2 ページ目が【参集者名簿】と【検討会の開催状況】について、 3 ページ目以降は本文です。構成としては、「 1 はじめに」「 2 背景」「 3 化学物質管理のあり方」となっております。 3 ~4ページにかけての「 1 はじめに」については、胆管がん問題や災害の発生状況を鑑み、労働政策審議会安全衛生分科会における審議において化学物質管理のあり方について専門家による検討を行うこととされたことなど、本検討会を開催するに至った経緯などを記載しております。

5 ページ目の「 2 背景」については、今回の検討会で検討していただく論点に関わる部分として、 3 点ほど、背景となるものを記載しております。「 (1) 胆管がん問題の概要」では、今回の端緒となった胆管がん問題の概要と、これまでの対応について記載しております。「 (2) 労働災害の発生状況」では、胆管がん問題も含めて、特別規則の対象ではなかった化学物質に起因する災害の中にはリスクアセスメントが未実施もしくは不適切であったもの、または労働者に危険有害性情報が適切に伝わっていなかったことによって起こった災害も少なくないことを記載しております。

6 ページ目では「 (3) 海外の規制等との比較」ということで、 EU においては基本的にその危険有害な全ての化学物質を対象としてリスクアセスメントが義務づけられていること、米国ではインダストリアル・ハイジニストなどの専門家の承認を得た措置をとること、さらに、容器へのラベル表示や SDS による危険有害性情報の伝達が EU や米国では義務づけられていることが記載されております。

9 ページ目、「 3 化学物質管理のあり方」ということで、本検討会で結論としてとりまとめさせていただきたいと考えているところで、前回までに御検討いただいた内容をとりまとめております。こちらの 3 については少々長くなっておりますが、読み上げさせていただきます。

(1) 危険有害性及びばく露の実態に応じた化学物質管理のあり方について。「ア 危険有害性が明らかな化学物質の製造・取扱いにおけるリスクアセスメント」。これは先ほどの「 2 背景」の所で、災害の発生状況を記載したものですが、 2 (2) のとおり特別規則の対象でない化学物質の製造又は取扱いにおいて、リスクアセスメントが未実施又は不適切であることで、事業者がリスクを認識できず、適切な措置を取らずに労働災害が発生していることも踏まえ、事業者が自らリスクアセスメントを実施することにより、適切なリスク低減措置が講じられるようにすべきである。

 具体的には、一定の危険有害性が確認されている化学物質については、何らリスク低減措置が講じられない場合、労働者に危険又は健康障害を生ずる可能性が明らかであることから、リスクアセスメント及びその結果に基づく措置が確実に実施されるよう制度を見直す必要がある。

 なお、制度の見直しに当たっては、事業者がリスクアセスメントを実施するためには、化学物質の危険性や有害性に関する情報を入手することが必要不可欠であることから、安全データシート (SDS) やラベル表示など、情報伝達の仕組みと合わせて検討することが重要である。この考え方を踏まえれば、一定の危険有害性が確認されている物質としては、例えば国のリスク評価等を経て、特別規則の対象となっている化学物質や、日本産業衛生学会又は ACGIH が許容濃度等を勧告する化学物質等が考えられる。

 また、リスクアセスメントの結果及び講ずることとしたリスク低減措置については、これが適切に実施されるために労働者の理解が不可欠であることから、労働者に周知されるべきである。【参考】の部分は割愛いたします。

 「イ 中小企業におけるリスクアセスメントの実施」。制度の見直しに当たっては、リスクアセスメントが着実に実施されるよう、化学物質に関する専門的な知識を有していない中小企業においても、無理なく実施できる仕組みを整えることが必要である。この点に関しては、簡易なリスクアセスメント・ツールであるコントロール・バンディングの活用を促進することが必要である。

なお、コントロール・バンディングについては、化学物質に関する専門的な知識を有していない中小企業においても使いやすいものとなるよう入力方法等について改良するとともに、リスク低減措置として出力される対策が、最も優先的に検討すべき対策のみとなっているところを、中小企業でも実施可能な複数の対策が選択肢として示されるようにする等の改良も必要である。

また、例えばチェックリスト方式など、簡易なリスクアセスメント・ツールについて、今後開発をしていくことも必要である。

 そのほか、コントロール・バンディングの使い方等リスクアセスメントに関する事項についての相談受付を行う相談窓口 ( コールセンター ) の設置や、専門家を派遣してのリスクアセスメントの実施指導など、中小企業におけるリスクアセスメントの実施を支援する対策も求められる。

(2) 表示・ SDS 交付等の危険有害性情報伝達の促進等について。「ア ラベル表示による危険有害性情報伝達の促進」。リスクアセスメントのための危険有害性情報の把握は SDS の入手により行うことが一般的であるが、その情報は専門的かつ詳細にわたるため、危険性・有害性等が労働者に伝わりにくい。また、有害性情報や取扱い上の注意等が労働者に周知されていなかったために労働災害に至った事案があることは上記 2 に述べたとおりである。したがって、労働者が化学物質を取り扱うときに必要となる危険有害性や取扱上の注意事項に関する最小限の情報を、確実かつ分かりやすく伝達するためのツールとして、より適切と考えられる容器等へのラベル表示の対象を拡大していく必要がある。化学物質について知識のあまりない事業者にとっても、その危険有害性を最初に認識するためツールとして、ラベル表示は有効である。

また、国際的にも、ラベル表示は化学物質の危険有害性情報の基本的な伝達ツールとして安全データシート (SDS) と一体的に運用されている。

 これらを踏まえ、我が国においても、特別規則の対象となっている物質など、かなり対象が限定されているラベル表示を拡大し、より広く危険有害性情報が認識され、伝達されるようにするべきである。拡大の範囲としては、国際的に SDS とラベル表示による情報伝達が一体的に運用されていることを踏まえれば、例えば我が国もそれを参考にすることが考えられる。

 「イ GHS ラベルに関する教育」。ラベル表示による災害防止対策が効果的にあるためには、ラベルの意味や読み方について労働者が理解できるようにすることが不可欠であること、化学物質の分類・表示については GHS が事実上の国際標準であることも踏まえ、 GHS ラベルの普及・教育が推進されるべきである。

安衛法第 59 条の雇入れ時等の教育は、安衛則第 35 条第 1 号に「原材料等の危険性又は有害性」を教育しなければならない事項としているが、 GHS ラベルに関する事項も含まれるべきである。

 「ウ 混合物のラベル表示」。混合物については、混合物としての危険有害性を表示することが原則であり、これが困難な場合には、代替措置として、成分ごとの危険有害性を表示することも認めるというのが、 GHS 国連勧告 ( 及び対応する日本工業規格 ) の原則である。これは安衛法に基づくラベル表示及び SDS についても同様であり、混合物のラベル表示について、この原則が徹底されるべきである。

 なお、混合物のラベル中の成分表示については、危険有害性及び取扱上の注意事項を労働者に注意喚起するとのラベル表示の趣旨から、微量成分の表示までは不要ではないか、 SDS と一体的に運用されるのであれば、詳細な情報は SDS により確認可能ではないか等の意見があったことにも留意する必要がある。

(3) 特別規則の対象でない化学物質を含む化学物質管理の原則について。「ア 健康障害防止」。事業者は、化学物質を製造し又は取り扱う業務に労働者を従事させる場合には、化学物質による健康障害を防止するため、その有害性や作業態様に起因するリスクに応じて必要な措置を合理的に決定しなければならない。

 また、ばく露防止は、より根本的なレベルで、リスクを低減するものとすることがより望ましいことから、その講ずべき措置の考え方は、化学物質の性質や作業方法に基づくリスクの除去・低減を第一とし、さらに、残留リスクに対するリスク低減措置が講じられるものとすること、当該リスク低減措置においては、局所排気装置の設置等の工学的対策を優先することが適当である。具体的には、以下のようなものが考えられる。

 【講ずべき措置の考え方】、 1) 事業者は、化学物質の製造又は取扱いにおいて、次に掲げる措置により、労働者のばく露を防止し、又は可能な限り低減するとともに、健康障害の発生の可能性の度合の低減を図る。丸数字1 有害性が明らかな化学物質であって、有害性が極力低いものへの代替。丸数字2 化学反応のプロセス等の運転条件の変更、取り扱う化学物質等の形状の変更等による、ばく露の程度の低減。

2) 上記 1) の措置により、健康障害の発生の可能性を十分に低減できない場合には、次に掲げる優先順位で講ずべき措置を検討し、その検討の結果に基づき措置を決定する。丸数字3 隔離室における遠隔操作、発散源を密閉する設備、局所排気装置の設置等の工学的対策その他必要な措置による作業環境中の化学物質等の濃度の抑制。丸数字4 製造し、又は取り扱う化学物質等に対応する保護具の備付け、及び丸数字3の措置を講じても労働者に対する健康障害を生ずるおそれがある場合に、労働者に保護具を使用させること。

( ) の所ですが、 1) の措置として、丸数字1及び丸数字2のいずれか又は組合せとして事業場において可能なものを検討し、当該措置のように許容可能なリスク以下に管理できない場合には、 2) の措置を検討する。 2) の措置の検討に当たっては、丸数字3の工学的対策 ( として事業場において可能なもの ) を優先する。各段階では、検討の結果、当該事業場では可能な措置のない場合もあり得るが、検討の段階そのものを省略することはできない。なお、事業場において可能な措置の判断 ( どこまで検討すべきか ) については、作業態様等から事業者が決定する。

 「イ 危険防止」。化学物質に起因する爆発・火災等による危険を防止するためにも、その危険性や作業態様に起因するリスクに応じて必要な措置を合理的に決定しなければならないことは、健康障害防止の場合と同様である。

 【講ずべき措置の考え方】。 1) 事業者は、化学物質の製造又は取扱において、爆発等の発生を防止するとともに、次に掲げる措置により、危険性による負傷の発生の可能性の度合の低減を図る。丸数字1 危険性が明らかな化学物質であって、危険性が極力低いものへの代替。丸数字2 化学反応のプロセス等の運転条件の変更、取り扱う化学物質等の形状の変更等による、負傷が生ずる可能性の度合の低減。

2) 上記 1) の措置により、危険性による負傷の発生の可能性を十分に低減できない場合には、次に掲げる措置を検討し、その検討結果に基づき措置を決定する。丸数字3 隔離室における遠隔装置、機械設備等の防爆構造化、安全装置の二重化等による工学的対策その他必要な措置。

 「ウ 労働者教育」。事業者の講ずる措置が適切に講じられるためには、化学物質の危険有害性やリスク低減措置に対する労働者の理解が不可欠であることから、事業者が作業の開始や変更に際して講ずる措置を決定した場合には、その措置を講ずべき理由 (know why の観点 ) を含めて、労働者に教育がなされるべきである。

 本文は以上でして、以降は資料もいくつか添付しておりますが、こちらは参考となります。報告書 ( ) については以上です。

○三柴座長 それでは、報告書 ( ) について御検討いただきたいと思いますが、課題ごとに区切って検討をしたいと思います。報告書 ( ) 9 ページ、「 3 化学物質管理のあり方」とあり、この部分が検討会としての結論に該当するものになります。

○大谷委員 その前に、「 1 はじめに」と「 2 背景」で気になる所があります。「 1 はじめに」の 3 ページの下から 5 行目に、「リスクアセスメントが実施されていなかった」という記載があり、確かにこのことも問題だったと思いますが、もう 1 つの問題は、現在、国が一緒になって有害物質についてばく露評価をして、有害性が高ければ特別規則の対象にするという仕組みがありますが、今回の事例はそういうものから漏れてしまったということだと思うのです。ですから、国のいろいろな施策があるけれども、どうしても全部は規制できないので、リスクの確認漏れをなくすには、事業者自ら自分の取り扱っている物質について、リスクアセスメントをやっていかなければいけないというような基調にされたほうがいいのではないかと思います。

○増岡中央産業安全専門官 御指摘のあった国のリスク評価については、現状、発がん性に着目をして評価を行って、リスクが高いものについては特別規則の対象としております。

○森戸化学物質対策課長 今の御趣旨は、国もリスク評価を実施しているけれども、全ての物質について行うことは難しいので、事業者自らがリスクアセスメントをする必要があるという御趣旨ですね。

○大谷委員 そうです。その辺りを入れていただいたほうがいいのではないかと思います。

○森戸化学物質対策課長 分かりました。全ての物質について、国がリスク評価をすることは難しいという観点からもということですね。

○宮川委員 念のために申し上げますと、今の点ですが、「 1,2- ジクロロプロパン」は国がリスク評価をしなかったわけでもなく、評価対象に入っていて、指針も出ていたように記憶しておりますので、その辺りは確認をしていただきたいと思います。ただ、趣旨としては国が特別な規則を作っていないものについても、自主的にやることが重要ということはそのとおりだと思いますので、この物質の記載については丁寧に事実関係を見ていただいた上で記載していただきたいと思います。

○増岡中央産業安全専門官 確認の上、記載をしたいと思います。

○大谷委員  5 ページの「 2 背景」ですが、「リスク」と「有害性」という言葉が混同しているのではないかという気がします。 (2) 2 行目に、「 1,2- ジクロロプロパンは、特別規則の対象とはなっていなかったが、この事案では、事業者において有害性が認識されておらず」とあります。有害性は当然ながら、ばく露という観点も非常に必要なわけです。両方認識されていなかったのかもしれないし、事実関係は分かりませんが、今指摘した点で言うと、これは「有害性」という表示ではまずいのではないかと思います。これを「リスク」と書くのであれば、両方の概念が入っていると思います。

 この項には、他にも「有害性」という記載がありますが、文章を読んでいくと、「リスク」という言葉に置き換えたほうが正しい表現になるのではないかと思う部分もありますので、少し見直しをしていただきたいと思いました。

○増岡中央産業安全専門官 御指摘の点については、確認の上、修正を考えたいと思います。

○宮川委員 その点について、今の (2) 2 行目ですが、「事業者において有害性が認識されておらず」となっておりますが、本当に認識されていたのかどうかは、微妙な問題だと思うので、経緯をよく調べて、確認の上、表現を工夫していただきたいと思います。

○増岡中央産業安全専門官 御指摘を踏まえて確認をさせていただきます。

○三柴座長 よろしいでしょうか。

 それでは、報告書 ( ) 9 ページ、「 3 化学物質管理のあり方」、この部分が検討会としての結論に該当することになりますので、まずは 3 (1) 危険有害性及びばく露の実態に応じた化学物質管理のあり方について、御検討をお願いします。

○大谷委員  1 つ確認ですが、言葉の使い方で、「リスクアセスメント」と、それに応じて「低減措置」という言葉があります。ここで言われているリスクアセスメントは、リスクが許容可能かどうかという推定をするところまでを言っているということでよろしいですか。つまり、その後の低減対策については、リスクアセスメントの概念には入れていないということでよろしいですか。文章を読んでいくと、その辺りが評価のところまでのことを言っているのか、または、その後の低減対策も講じたところまでをリスクアセスメントと言っているのか、混同があるのが気になるので、確認をお願いします。

○三柴座長 低減措置まで含めると、「リスクマネジメント」になると思うのですが、いかがでしょうか。

○増岡中央産業安全専門官 基本的には、評価の部分までを「リスクアセスメント」という表現で書いております。ただ、記載の中で、「リスクアセスメント」という言葉を使う場合に、低減措置まで含めて使っているようなところがあれば、言葉が 2 つ混同してしまうので、そこは整理をしたいと思いますが、基本的には評価までということです。

○三柴座長 あとはリスクアセスメントで言う、リスクの評価は推定でいいのか、確定まで、かなり確証度の高いところを要求するのか、どちらかというお尋ねがありましたでしょうか。

○大谷委員 そこまでは結構です。

○城内委員 この点は、この後の報告書にもかなり関わるので、確認と、できれば修正していただきたいと思います。アの「なお、制度の見直しに当たっては、事業者がリスクアセスメントを・・・」と書いています。私はリスクアセスメントの制度を強化していきましょうということには全く反対はしていませんが、その中にラベル表示のことが入ってくると困ったことになるだろうと思っています。欧米でもそうなっていると思いますが、リスクアセスメントをするときは、 SDS 等のデータを使おうということになっていて、ラベル表示の目的は、別のところにあるので、今後どう変えていくか分かりませんが、改善に当たってもきちんと分けて考えたほうがいいかと思います。

 具体的には、ここでリスクアセスメントを言うのであれば、ラベル表示は一緒に扱わない、抜いたほうがいいのではないかと思っています。

○大谷委員 私も城内先生に賛成です。ラベル表示というのは対策の 1 つなのです。リスク評価をして、リスクの高いものに対して低減対策をどうするか、できれば有害性のないようなものに、第一次的に変える。それができないのであれば、工学的な対策をする。それができないのであれば、保護方策及び表示という形になってくるのだと思います。ですから、評価と対策を同時にやるのはおかしくなるような気がするので、私としては城内先生の意見に賛成です。

○増岡中央産業安全専門官 御指摘を踏まえて、記載については整理をしたいと思います。

○平川委員 先ほどのアセスメントの実施とその後の低減措置については、アセスメントそのものとは違うという話があって、 2 段落目の「具体的には」の部分で、「リスクアセスメント及びその結果に基づく措置が確実に実施されるよう制度を見直す必要がある」とあります。論議の中では、マネジメント全体で考えるべきという話は余りしていなかったようなのですが、「制度を見直す」ということは、そういうものを作れということにこの検討会がしたということなのかと思ったのですが、「制度を見直す」というのはどういう趣旨なのか御説明をお願いします。

○増岡中央産業安全専門官 現行の労働安全衛生法の関係においては、リスクアセスメントについては措置まで含めて努力義務という規定があります。前回までの議論の中では、一定の有害性が確認されているようなものについては確実にリスクアセスメントをやっていくべきだろうという御意見を頂いておりますが、その部分について現行で努力義務であるところをどうしていくのかということの見直しが求められているという趣旨です。

○大谷委員 確認ですが、 28 条の 2 では、調査をして、なおかつ必要な措置を講ずると書いてあるわけですね。それが努力義務であるというのを、義務規定に変えていきたいという趣旨が入っているということでよろしいですか。

○増岡中央産業安全専門官 そうです。義務規定にすることも含めての見直し、検討が求められているという意味です。

○三柴座長 今の安全衛生法 28 条の 2 の規定ぶりでもそうですが、本来、リスクアセスメントをするというのは、何らかの対応策がセットで考えられるべきものなので、リスクアセスメントがリスクマネジメントを含めたニュアンスで使われることも多いのではないかと理解しているのですが、先生の御理解は違いますか。

○大谷委員 そこは今、混同しているのではないかと思います。例えば ISO の機械関係では、明らかにリスクアセスメントとその後の提言対策を分けてものを考える形で出ています。一方、日本の機械の包括的な安全基準では、必ずしもそこは明確ではなくて、リスク評価をして、なおかつその後の低減対策まで含めた形でリスクアセスメントのような言い回しをしていて、大分混乱があるのではないかと思うので、整理が必要なのではないかと思います。

○三柴座長 安衛法上の規定においてセットで書かれていることに加えて、民事責任論で考えても予見可能性の前提ができたら、その対策は当然セットになってくるし、更に言えば、 PDCA サイクルを回していくことを前提に考えると、アセスメントをすれば、次の施策に当然いかされるという回転になるから、それで混同というか、ある程度セットで考える方向性が出てきているのかなと理解していますが、ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、前回の御議論でリスクアセスメントについては義務化を含めて、いずれにしても現状よりも、より施策として確実性を高める方向でステップアップをしていくということは御同意をいただいていたと思いますので、その趣旨で御理解いただければと思いますが、よろしいでしょうか。

                                (異議なし)

○三柴座長 それでは、御同意をいただいたと理解させていただきます。

 この点に合わせて、前回、前々回にも議論がありましたように、リスクアセスメントの徹底を図る過程で中小企業への支援が必要になってくるという御指摘がありました。中小企業への支援策について、報告書 ( ) 3 (1) のイに書かれていることに関するコメント、あるいは付け加えるべき、より優れた方策等があれば御教示いただければと思います。

○宮川委員 まず、用語のお願いがあります。 9 ページのイの一番下からですが、「簡易なリスクアセスメント・ツールであるコントロール・バンディングの活用を促進」と書いてありますが、現行の化学物質のリスク評価の指針では、「コントロール・バンディング」という言い方ではなく、簡易な方法として「リスクが割り付けられた表を使用」といった表現になっていたと思います。現行の指針と矛盾が出ないなら、「コントロール・バンディング」という言葉を持ち込むのもいいのですが、現行の指針との対応が分かるような説明をどこかで入れていただきたい。例えば括弧を付けて片方を書くとか、工夫をお願いしたいと思います。

 もう 1 つ、現行の指針との関連で、現行の指針では確かにコントロール・バンディング的方法も使えということになっておりますが、ばく露の許容濃度等と実際のばく露を比較するほうが望ましいという、原則に沿った本格的なリスクアセスメントが望ましいという書き方になっております。中小企業のことなので、わざわざここに持ってくる必要はないとは思いますが、リスク評価の原則は許容濃度よりもばく露が高いかどうかが本質的には重要だと思いますので、中小企業に対してコントロール・バンディングをするようにとぱっと見た時に読めてしまうような書きぶりだと、若干配慮が欠けるような気がするので、「原則としては許容濃度との比較である」ということを、このセクションでなくてもいいのですが、どこかに書いていただきたい。

 ちなみに、前回、簡易な方法ということで、検知管等で簡単にばく露濃度が調べられるのであれば、 SDS に記載されている許容濃度などとの比較で、まず第一歩のリスクアセスメントができるのではないかと申し上げましたが、先ほどの事務局の説明で、 SDS 交付対象の 640 物質のうち 300 物質近くが検知管で測定できる、または、フィルムバッジ等のパッシブ・サンプラーを使って業者に送れば測定してもらえるというのであれば、中小企業でも、簡易な測定ではあっても、ある程度ばく露と比較することができると思うのです。そこが全く落ちてしまうと、コントロール・バンディングだけやればいいのだと思われてしまう可能性があるので、少し書いておいていただきたいと思います。

○増岡中央産業安全専門官 もちろん、指針などに示してある原則は変わらないので、そことの関係も分かるように、記載ぶりはこちらで検討したいと思いますが、御趣旨を踏まえて、原則が分かるような正確な記載ぶりにしたいと思います。

○大谷委員 今の点で、私も簡単な形で分かるのがいいと思うのです。例えば有機則では適用除外があって、群によって、この気積とこの物質の取扱量以下であれば、当然許容濃度以下になるという根拠で、適用除外が設定されていると思いますが、そのような形で簡易に自ら事業者で計算をできるような形ができるといいのかなと思います。検知管で測定する方法もいいとは思いますが、もっと前に自分が取り扱っている量とその気積から雰囲気濃度は分かるわけですから、それが 8 時間ばく露という形で許容濃度との対応を取れば、大体どのぐらい危ない物質を使うのかということは分かるような気もしますので、そのようなものも是非入れていただけたらと思います。

○増岡中央産業安全専門官 いずれにしろ、今後簡易なツールに関しては、考えられるところに関してはできる限りの提案をしていかなければいけないと思います。報告書の記載ぶりについては、どのように書けるのか分かりませんが、御指摘の部分が書けるかどうか検討したいと思います。

○大谷委員 書きぶりだけの話になるかもしれませんが、コントロール・バンディングの入力方法の工夫をされるということなので、是非お願いしたいのですが、今コントロール・バンディングをやるとなると、物質が分かって、あとは GHS の標準から自分でいちいち入れていかないと、ハザードのレベルが出ません。物質が決まってしまえばハザードも決まるので、 SDS 交付対象の 640 物質については、できれば、国でハザードを決めていただきたい。要するに、化学物質を入れればハザードレベルは幾らという形にしていただいたほうがいいのかなと思います。あと、ここに書くようなことではないかもしれませんが、必要なのは、事業者がばく露条件だけを入れればリスクが出てくるといったようなことも、入力方法の改善の中に入れておいていただきたいと思います。

○増岡中央産業安全専門官 御指摘の入力方法については検討していきたいと思います。

○山口委員 中小企業における施策としてはいろいろ書いていただいて、今後検討していただけるということで、十分に評価できるかと考えております。非常に難しいことを求めてもできない企業も当然多いわけですので、この書きぶりは非常に良いかと考えております。

○三柴座長 私自身も、この項目では中小企業で実行可能な方法としてどういう方法があるかを主旨としているので、今のところコントロール・バンディング以上のツールがなかなか思い浮かばないということで、こう書かれているのだろうと思います。ただ、本来どうあるべきか、どういう原則を遵守、実行するためにコントロール・バンディングが出てきているかについて、もし追記が可能であれば、事務局において御検討いただくという方向性でいかがかと思います。

○増岡中央産業安全専門官 そのように検討して、記載を整理したいと思います。

○三柴座長 それでは、次に報告書 ( )3 (2) 表示・ SDS 公布等の危険有害性情報伝達の促進等について、御検討をお願いします。

○城内委員 気になっているのは、 (2) のアの 1 段落目の最後から 3 行目に、「化学物質について知識のあまりない事業者にとっても・・・」と書いていますが、安衛法上は事業者が危険有害性を知らないで使ってもいいですよ、とはなっていないと思います。労働者が危険有害性を事業者から知らされなかったということはあり得て、それは今回の胆管がんの問題にも結び付いていると思っていますが、「事業者が知らないからラベルで危険有害性を知りなさい」というのを報告書に書いていいのかというのは非常に疑問です。そこが 1 点です。

 また、先ほどの話とつながるのですが、その下に書いてあることをこのまま読んでいくと、 SDS 交付対象の 640 物質について、ラベル表示も義務化したいというニュアンスで書かれていると思うのですが、これがそのまま適用されると、まず第一に、労働者保護の観点から言ってもまずいだろうと思っています。今の 107 物質のラベル表示義務もそうですが、諸外国から見ると、せっかく混合物として全ての危険有害性を記載することになっているのに、日本に輸出するときだけはそれは外すということが起きると思います。日本国内で言うと、 640 物質に義務をかけると、それ以外はやらなくてもいいという発想になるだろうと思います。せっかく労働安全衛生規則第 24 条に、危険有害な全物質についての努力義務の規定を加えたのに、それに逆行するだろうと思うので、それは労働者保護の観点から言ってもマイナスに働くだろうと思います。

 もう 1 つは、国際的な整合性から言うと、 SDS 交付対象の 640 物質に今の 107 物質と同じような義務をかけると、事業者は非常に困ったことになるだろうと思います。分科会でも、今まで同様の趣旨の発言をしているのですが、残念ながら、事業者側から困ったことになるでしょうという御発言はありませんでしたが、多分困ったことになると思います。それは、 GHS が安衛法第 57 1 項のラベルに適用された時点から、外国から日本の GHS は一体何だという話でかなりクレームが来ています。それが 640 物質になったところで状況は何も変わらないので、また同じように日本は何をやっているのだという話になると思います。

 それを避けるためには、先ほども言いましたが、ラベル表示だけはリスクアセスメントから外して別で考えないといけません。リスクアセスメントをしましょう、そこの強化のために SDS の義務化もしましょうということには全く反対はしていませんが、それを表示にまで広げると、国際的には本当に困ったことになると思います。輸出入業者全部が困ったことになると思いますので、是非そこは慎重に考えていただきたいと思います。業界がどうするかという問題ではありますが、是非検討していただきたいと思います。

○増岡中央産業安全専門官 いろいろと御指摘いただきありがとうございます。 1 点目の「化学物質について知識のない事業者にとって」という所ですが、これは事業者が管理をしなければいけないので、知らないままでいいという意味ではなくて、余りなじみのない方にとっては最初に気付くという意味でラベルが有効であろうという趣旨で記載しています。もちろん、事業者がリスク管理をしていくためには、ラベルで取扱い物質の危険有害性に気付いたら、更に SDS を見るといったことは必要になってくるだろうということも前提で、あくまでも最初の気付きという意味で書かせていただきました。誤解があるようであれば、記載ぶりについてはもう少し検討したいと思います。

 先ほど、リスクアセスメントのところでも御指摘いただきましたが、ラベルについては、私どももそれをもってリスクアセスメントをするということは考えておらず、あくまでも SDS などの情報を使って行うのだろうと考えております。ですから、リスクアセスメントとラベルとを直接結び付けるという考えではなく、ラベルは主に労働者に対して危険有害性や取扱上の注意をきちんと伝えるためのものということで整理をしているので、今の記載で誤解があるのであれば、そのような趣旨ではないので、誤解のない表現を考えたいと思います。

 混合物のラベルについては、現状でも 100 物質余りについては義務、それ以外は努力義務となっており、その義務の部分が広がるということです。そういうことからすると、現状と変わらないということはあります。御指摘の問題はありますが、基本的には現状においても、またはこれからもそうですが、混合物については混合物としてのハザードの記載が基本であるということは、すでに通達に解釈を示しておりますし、それは今後も変わらないと考えております。

○宮川委員 今の最後の部分について、混合物のラベルについては次のウのところでもう一度発言しますが、アの最後から 3 行目、「国際的に SDS とラベル表示による情報伝達が一体的に運用されている」という所まで読むと、基本的には物質を指定しないで、国際的に行われているのと同じように、何らかの有害性区分に該当するものであれば、きちんと表示してくださいという方向にいくことが考えられると読めますが、そうすると、後の具体的な措置と多少の齟齬があるように思えます。城内委員からも発言があったように、原則は全ての物質について、何らかの有害性があるのであればきちんと表示をしていただきたい、 SDS を付けていただきたいということがあると思いますので、あえてそう読めるような形でここの部分を残していただくか、あるいは解釈をもう少し分かるように書いていただくのがよろしいかと思います。その場合は、あくまでも個別具体的な措置としては「できる範囲でやるのだ」という、後段の 640 物質のラベル義務指定につながるような書きぶりを考えていただきたいと思います。

○増岡中央産業安全専門官 基本的には、全ての危険有害な物質について、ラベルなり SDS によって情報伝達されるのが理想というか、望ましい姿であることは、我々としても何ら異存はありません。それも踏まえて、規則の中では、全ての有害物質については努力義務と規定しております。その一方で、いきなり全てについて義務付けることが現実的には難しいところもあって、その中でできる限り義務の部分を広げていきたいということです。物質について御指摘のようなことは私どもも考え方として共有しております。

○三柴座長 ほかにいかがでしょうか。

 これまでの検討会での議論も踏まえて、また本日頂いた御意見も踏まえると、ラベル表示義務の対象範囲を SDS の交付義務の対象範囲と同じレベルまで拡大すること自体は妥当ということで、御同意をいただいたと思いますが、その点はよろしいでしょうか。

○城内委員 繰り返しになり、これは次のウにも関わるのですが、現状のままでラベル表示義務の範囲を拡大したら、本当に困ったことになると思うのです。リスクアセスメントを強化しましょうという化学物質の管理の考え方の変化があって、さらに 640 物質について SDS とラベルで整合性を取りましょうということは、労働安全衛生法で見ると一見きれいですが、それが実際に世の中に与えるインパクトを考えないと大変なことにならないかと思います。国際的な動きとして GHS に準拠していこうという流れの中で考えると、日本が本当に特殊になるので、それは是非考えていただきたいと思っています。

 その辺りについては、一番関係するのは中小企業や日化協の会員の企業だと思いますが、工業会からは余り意見が出ないので、お前が勝手に思っているのだろうと思われるかもしれませんが、少なくとも国際的な動きを見ている中ではかなり特殊なので、決めるのだったらかなりの覚悟が要るかと思います。

○山口委員 工業会としては、中小企業を中心としたところにはなりますが、全ての製品類になるべく表示を付けていこうという努力をしていることは事実で、義務化されている 107 物質だけ GHS マークを付けることしかやらないとか、またはそれ以外のものはわざわざ外すといったことをしていこうとしている企業は、工業会の中には余りないのではないかと考えております。

 実際、国際的な商品が多い中で、海外に出すものに関してはその国に合わせた GHS の対応をしなければならないということで、それと日本とで整合がつかない部分は当然あるわけですが、極力、同じようなラベル、または SDS を作ろうという方向には進んでいるかと思いますので、努力義務の範疇でやっていっているという事実もあるので、それほど海外と大きく違って、今後問題になるとは考えておりません。

○城内委員 私の発言が誤解されているかもしれませんので補足しますが、私はラベル表示を全て義務化しなさいと言っているのではありません。つまり、 SDS 交付対象の 640 物質についてラベルを義務化するのであれば、今の 107 物質のままにしておいたほうがいいと思っています。安衛則の第 24 条の 14 で全ての物質についてラベル表示の努力義務をかけたので、そこをベースにラベル表示を、 GHS に基づいて、つまり JIS に基づいてやってくださいと言ったほうがいいと思うのです。全部義務化すると逆に無理が生じるし、 640 物質だけ義務化することでも無理が生じるので、せっかくできた規則を大事に、それを上段に持ってきて、きちんとラベル表示をしましょうと言ってほしいと思っているのです。だから、全部義務化してくださいと言っているのではないのです。そのほうが、おそらく諸外国から見ても無理がないし、国内企業もやりやすいのではないかということです。

○増岡中央産業安全専門官 趣旨として本質的に何か違うということではないと思います。実際、義務と努力義務に分かれていることに関して懸念はあろうかと思いますが、基本的に努力義務の部分も含めて、本来的にはラベル表示が混合物も含めて全ての物質についてされていくべきであるということは変わりません。懸念されるような、義務化を広げることによって努力義務の部分がないがしろにされるといったことがないように指導するとともに、業界の方にも御協力いただきながら進めていければと考えております。

○三柴座長 私から一言コメントさせて頂きます。この検討会でもたびたび議論のあった努力義務をどう読むかということにも関わると思いますが、努力義務規定は、あるべき方向性は示しながら、国内事情等々あって、いきなり義務化は難しい。ただ、そういう宣言が法律条文内でされていると、例えば事例によってはこれはきちんと対策すべきだったのに、していなかったとなれば、民事で責任を課せられることもあるなど、様々な波及効果を生むので、ある意味、国内外の事情を調整する 1 つの作用として意味があると理解しております。城内先生のおっしゃっている趣旨について、我々のほうで理解不十分な点がありましたらおっしゃって頂ければ幸いです。

○城内委員 外国から、日本の GHS はどうなっていますかと聞かれることがあります。現状では、 SDS B to B がかなり普及しているし、内容も決まっているので、そんなに問題はないのですが、ラベルについては日本だけラベルがないのです。危険有害性を伝えるラベルはほとんど存在していませんでした。当然、外国の企業も日本の労働安全衛生法を守るにはどうすればいいかと質問してくるのですが、そのときに、 GHS がそのまま入っていないことを彼らは知っているので、極端に言うと、罰則規定がどこにあるかしか聞いてこないわけです。そういう意味で、ラベルの義務が 640 物質になったら確かに広がるのですが、そうではなくて、日本も規則の改正をして、「全部対象になりました」と説明したほうが、誤解が少ないのではないかというのが 1 点です。

 先ほど、山口委員から、日本ではそういうことはないと思うというお話がありましたが、私は義務化されていないところの表示に関する問題が、ずっと今後も続いていくだろうと思っています。例えば 640 物質に義務をかけると、確かにその物質についての情報提供はされるでしょうけれども、 10 万もある化学物質について、危険有害性が分かっていても法令上の義務がないので書かなくていいということが起こり得るだろうと危惧しています。つまり、今度の胆管がんの問題もそうでしたが、労働安全衛生法を守らない事業者がいたら、労働者は守られようがないのです。事故が起きたら民事でフィードバックがかかるというお話も前回ありましたが、それでは病気になった人が出た後なので、絶対駄目だと思っています。危険有害性をちゃんと労働者に伝えて、労働者が自分でこういう危険性があるのだということを労働安全衛生法のリスクマネジメントとは別のところで、きちんと担保していないと、労働者の健康を守ることにはならないと思うのです。

 そのためには、とにかく危険有害性情報が適切にラベルに付けられることを全面に出していかなければ、リスクアセスメントについても労働安全衛生法の中の今までの規定路線の強化をするだけに終わってしまうと思っていて、そこが私の一番の危機感の元なので、そこをまず担保してほしいというのが私の一番主張したいところなのです。そのためには、まず危険有害性情報の共有、それは何度も言いますが、欧米では担保されていて、日本だけが担保されていないのです。そこをきちんとしてほしいと、そこだけです。

○増岡中央産業安全専門官 今回いろいろ提案した危険有害性情報伝達については、それを踏まえて事業者が対策を講じるにしろ、または労働者に直接ラベルなどによって知らせるにしろ、いずれも予防の観点ということはおっしゃるとおりです。担保ということでは、努力義務に関してはどういう担保なのかということは考え方としてあろうかと思いますが、義務の範囲を広げるからと言って努力義務の部分を弱めるとか、運用上そこは要らないことにするということとは違うので、努力義務の部分であっても努めなければならないわけですから、そういった方向で進めていくと思いますし、業界においても、そういった方向性を持って進めていくということかと理解しております。

○三柴座長 城内先生がおっしゃったのは、安衛法第 57 条がある中で、今回ラベルの貼付けの対象を広げるのはかえって誤ったメッセージを発信してしまわないかという御趣旨ですか。

○城内委員  1 点はそうです。もう 1 点は国際的な整合性ということで言うと、次のウですが、ここに書いてあることが間違っているのです。つまり、混合物としてのラベルはそれぞれの成分のラベルを貼ればいいと書いていますが、 GHS でも JIS でもそのようにはなっていなくて、混合物として評価しましょうということになっているはずなのです。安衛法第 57 条をそのままにして、ラベルの義務の範囲を 640 物質に広げた場合には、ウのような方法で表示できるでしょうというのが事務局側の主張だと思うのですが、それは当たっていないと思うのです。そうすると、表示という面から見ても国際整合性が取れないことになるので、両方から困ったことが起きないかというのが私の発言の趣旨です。

○宮川委員 確認ですが、ウの 2 3 行目は確実に間違いだと思います。国際的には個別の成分ごとではなく、あくまでも混合物としての評価をした上で、それについて書いてくださいとなっているので、そこは書き直しが必要だと思います。

 その前の話ですが、 107 物質だろうが 640 物質だろうが、物質を指定することによって、例えば外国から聞かれたときに、それ以外は書かなくてもいいと思われるのが困るというところが一番のポイントだと思います。現状の努力義務、または今ある法律の範囲の中で日本の規則がどうなっているかというときには、全ての化学物質について危険有害性がある場合には書くのが原則です、書いてくださいと言えるかどうかにかかってくると思います。

○増岡中央産業安全専門官 まず、対象範囲を広げることによって努力義務の部分の取扱いがどうなるかですが、原則としては危険有害なもの全てについて表示してもらうのだということは言ってよろしいかと思います。現行でもそのような考え方でおります。

 「混合物のラベル表示」のところで間違いがあるのではないかということですが、ここに書いてあるのは、もしこれでも誤解があれば御指摘いただきたいのですが、基本的に混合物としての有害性を評価・表示するのが原則ということはそのとおりです。ただ、評価ができない場合、分からない場合については、代替的なことも認められているという形ではなかったかと思います。

○宮川委員 そうではなくて、認められているのは日本の国内法である安衛法だけであって、 GHS ではそういう記載はないということです。

○増岡中央産業安全専門官 それは JIS ではどうなっていますか。

○城内委員  JIS も基本的には GHS と同じにしています。

○宮川委員  JIS は非常に微妙な書き方になっていて、普通の人が読んだらどういうことか分からないところもあると思います。規則としては、 JIS の書き方では、安衛法指定物質についてはラベルまたは SDS の記載が必要だとなっていますが、その記載の中身については、調べたときに有害性がなければ書かなくていい、それぞれの製品についての有害性の判断しだいだという微妙な書き方です。原則としては GHS JIS が合わせているはずなのですが、細かいところを覗いていくと、言い方が悪いかもしれませんが、安衛法に合わせた抜け道のようなものが用意してあるように読める形になっていたと思います。

○増岡中央産業安全専門官 分かりました。それでは、記載については確認をして、正確な表現にします。

○城内委員 逆に私が理解できないのは、 640 物質を表示についても義務にしなければいけないのだと、事務局が思われた理由なのです。ペーパーとして出されてきたときに、最初からそうなっていたのですが、それはきちんと説明されていないかもしれないと思うのです。 640 物質について、ラベルも SDS と同じ網を掛けなければいけないという根拠は何なのでしょうか。逆にそこが知りたいと思います。

○増岡中央産業安全専門官 理想的なところから言えば、ラベルにしろ SDS にしろ、全てが義務になっていることが可能であれば望ましいのでしょうけれども、それが全て義務化ということは難しいということになって、どこまで義務化するのかというときに、 1 つ、 SDS の範囲などを参考としてやっていくという考え方があります。基本的には危険有害性のある物はラベルも SDS も付けるということになろうかと思いますので、そういった意味では SDS と一体的という書き方もしております。 1 つのやり方として SDS の範囲まで広げるということがあるのではないかという趣旨です。

○三柴座長 基本的には、こういう施策を進めるときは、どうしてもステップ・バイ・ステップが必要だという前提があるのと、そうは言いながら、化学物質に対する対策では新しい知見が適切に捕捉されないといけないこともあるので、ここで言う 640 物質は、今はその数になっているけれども、産衛学会や ACGIH 等が知見として新しく捕捉すれば、また拡大することもあるので、流動性がゼロではなくて、国際的にも国内的にも、いろいろな分野でコンセンサスが得られやすい部門に焦点を当てて、そこから強制性の強い対策を取って、ほかの所も網は掛けているけれども、更にそちらにいく可能性があるという形にしておくのが、いろいろな分野から見たときに、またいろいろなステークホルダー、関係者から見たときに受け入れられやすいのではないかということだと思います。

○城内委員 今の産衛学会の話は、リスクアセスメントにつながっていく話だと思うのですが、情報の共有、情報の伝達ということは、何度も言いますが、欧米ではそのようには考えていないのです。日本だけがなぜそのように考えるのかが私は分からないのです。そこに 640 物質という SDS の数字があったから、それもラベルにしましょうというのは、安衛法上はつじつまが合っているようですが、世界的な流れ、または労働者の保護ということから考えると、必ずしも整合性が取れていないし、無理やり 640 物質にすると、先ほどから言っているように不都合のほうが大きくなるのに、何でそうしなければいけないかが私は分からないのです。安衛法上は分かります。私も行政官だったらそうしたいかもしれません。しかし、実質的なことを考えると、どう考えてもデメリットのほうが大きいような気がするのです。

○三柴座長 それでは、 2 3 分の小休憩を取ります。

                                 (休憩)

○三柴座長 再開します。冒頭で申し上げますに、今回の報告書が打ち出した方向性で、ラベルの貼り付けの対象物質についても 640 物質というところにラインを合わせるということで、ラベルのお話と、リスクアセスメントの話などを同じ土俵で、またはつなげて関連づけて考えるという、誤解ではないのですが、そういうラインを彷彿とさせる形になっているようですが、実際はそうではなくて、趣旨としては、大前提はやはり危険有害情報の伝達である、これは国際動向も踏まえて、当然そういう前提を採るべきである、国際動向以前に当然の事理として、そういうことになるのだと。だから、そこはたまたま今、施策のステップ・バイ・ステップの過程で、施策を進める上での 1 段階として、 640 物質というところに焦点を合わせているが、大前提として重要なことは情報の提供なのだということを報告書の中で、修正文言あるいは加筆という形で盛り込んでいただいて、今回、報告書で打ち出す方向は、とりあえず SDS の交付対象と合わせる、そこまでは明確に義務化を打ち出すということで御同意いただけないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○宮川委員 しつこいようですが、「この部分を義務化」ということを強調するのではなく、外国から聞かれたときには、「危険有害性がある物については、日本では全部お願いすることになっていますという原則」を読めるような報告書にしていただきたい。あとは、「現状での必要性から、特定の物質について何か書いてある」というような形になるのが望ましいような気がします。

○三柴座長 ありがとうございます。現状でもそういう解釈はできるわけですが、要は報告書の書きぶりとして、そういう前提をどこまで打ち出すかという問題だと思いますので、そこは事務局において表現を御検討いただくという方向でよろしいでしょうか。

○増岡中央産業安全専門官 先ほど宮川委員から御指摘がありました情報データと原則というところが明確になるように、記載のほうは改めたいと思います。

○三柴座長 それでは、大きな方向性として報告書に書かれた方向で御同意いただければと思いますが、改めてよろしいでしょうか。

                       ( 異議なし )

○三柴座長 次に報告書 ( ) 11 ページ、 3 (3) 特別規制の対象でない化学物質を含む化学物質管理の原則について、御検討いただきたいと思います。

○山口委員 すみません。 (3) にいく前に、イとかウというのはまだ確認はやっていないですね。今、アの話の中からちょっとずれてウが入ったと思うのですが。

○三柴座長 分かりました。では、イとウについて御意見をいただきましょうか。「イ GHS ラベルに関する教育」と「ウ 混合物のラベル表示」ですね。

○山口委員 ウのところの混合物が今話題になっていたところなのですが、今の原則論とか、表示するところは問題ありません。そうではなくて、「ウ 混合物のラベル表示」のなお書き以下の文章に書かれているのですが、私が前回説明したときに、混合物に関して例として出して、表示の仕方を考えたほうがいいのではないかという話を最初にしましたが、その後に、法的に求めている混合物ではなくて単体の化学物質でも、全てそういう義務というところは外したほうが、よりいいのではないかと話したと思うのですが、その部分は混合物にあえて限定をされたと考えたほうがよろしいのですか。

○増岡中央産業安全専門官 ここで、「混合物」と書かせていただいたのは、誤解があれば御指摘いただきたいのですが、単品の場合にはおそらく製品名、要するに成分といってもそれしかないわけですから、イコール製品名ということになるのではないかと思いますが、そういうことではないのでしょうか。

○山口委員 すみません。製品名と化学物質の特定名というのは別なので、今言っているところは、例えば法令上でいうところもそうだと思うのですが、安衛法第 57 条でイが名称で、ロが成分と書かれているかと思うのですが、名称というのは製品名を指していると思います。ロというのが成分名なので、その成分というのは「化学物質の名前を書きなさい」というように今、原則はなっていると思うのです。

○増岡中央産業安全専門官 ここは確認しないといけませんが、おそらくその名称ということでいくと、化学物質の名称を記載するのですが、誤解などがなければ、その製品名とかでもいいというような形でなかったかと思います。御指摘としては、例えば単品であっても、製品名が付いていれば、その化学物質そのものの名称は不要というそういう御指摘でしょうか。

○山口委員 そうです。例えば GHS の中でも、製品特定名の中でいろいろなやり方がありますよという説明があるのですが、例えば「製品特定名」という言葉と、「物質の名称」みたいなものを分けたときに、物質そのものの化学物質の名前ですが、それが物質又は混合物が作業上での使用のためだけに供給される場合は、所轄官庁は物質の化学物質特定名を、ラベルではなく SDS に記載する裁量を供給者に与えることができるという文章が例えばあり、ラベルの中に化学物質の名前を入れることが、有害性を伝えることには多分ならないと感じているということを、前回に言わせていただいていて、有害性そのもの、マークとか GHS マークとか、危険有害性情報とか、そういうものは全て今まで通り記載していけばいいのですが、化学物質の特定する名前、例えば分かりにくければ、今日の資料 4 「リスクアセスメント等を実施していれば災害を防止してきた事例」の中に、例えば「原因化学物質」ということが書いてあると思うのですが、ラベルに製品名ではなく、こういう化学物質名称をわざわざ書く。この製品名は殺虫剤ですから多分違うと思うのですが、そういうところが不要なのではないかということを、前回言わせていただいていたと思うのです。

○増岡中央産業安全専門官 分かりました。「成分」と言った場合に、成分と名称が違うというのは混合物の場合に違ってきて、単品の場合には一致するということを想定していたものですから、こういう書き方になりましたが、御趣旨を踏まえて、「混合物に限らず」ということでの御指摘ということで、記載等整理をしたいと思います。

○宮川委員 今のところに関してですが、先ほどもちょっと申し上げましたが、日本の JIS の特殊性です。安衛法の規定で混合物について何パーセント以上含まれているときには何々をしなくてはいけないという、そのカットオフの値と、一般的な JIS のカットオフ・濃度限界の値が必ずしも一致していないために、混合物について表示しようとすると、その濃度であれば有害性ありとしなくてもいいかというところが、安衛法上では引っかかってきたりするということがあります。 JIS の中では非常に分かりにくいただし書きで、法律の規定が担保できるような書き方になっているというものがありますので、成分のところについては少し技術的な観点から見ていく必要もあるのではないかと思います。技術的というのは科学的な面だけでなく立法上難しいものが出てくるかもしれませんので、ちょっと御検討いただければと思います。

○増岡中央産業安全専門官 そうしましたら、今後の検討課題としたいと思います。

○三柴座長 ほかにはいかがでしょうか。

                                 ( 異議なし )

○三柴座長 それでは、 3 (2) については大枠、報告書の方向で御同意をいただいた一方で、趣旨を明確にして、今後の課題、残された場合について事務局において御検討いただくということでよろしいでしょうか。

○増岡中央産業安全専門官 はい。

○三柴座長 それでは、 11 ページの報告書 ( ) 3 (3) 特別規制の対象でない化学物質を含む化学物質管理の原則について、こちらに進めて御検討いただきたいと思います。こちらは既に、幾度も御同意いただいてきたところで、現行の安衛則の衛生基準の規定で定められた対策の原則について、優先順位を明確にして、かつ何をすべきかという内容を、改めて整理具体化したということです。とりわけ、リスクベースのアプローチを明確にするという趣旨も含んでおり、先生方から大筋御同意をいただいてきた内容かと思います。

○宮川委員  1) 12 ページの一番上、表記だけの問題です。「丸数字1 有害性が明らかな化学物質であって、有害性が極力低いものへの代替」について、言わんとしているところは分かるのですが、「有害性が明らかな化学物質であって」という表現を、「有害性の有無や程度が判明している物質の中から、有害性の極力低いもので代替する」というような表記を考えていただきたいと思います。

○増岡中央産業安全専門官 御指摘の部分については記載の修正を考えます。

○三柴座長 ほかにはいかがでしょうか。この点については今回、改めていただくということでよろしいでしょうか。

                                 ( 異議なし )

○三柴座長 そうしましたら、既に義務とされている内容を、改めて整理し直して明示するという方向で、御同意いただいたものとさせていただきます。以上をもちまして、今回の検討事項は終了となります。これまで 3 回にわたって、多岐にわたる御議論をいただいてありがとうございました。もし、先生方に御異存がなければ、本日いただいた議論も反映して、報告書をとりまとめたいと思いますが、先ほどラベルに関して出た議論も含めて、改めて先ほど申し上げた方向で検討することを前提として、詳細については座長一任という形で今後の進行を図らせていただければと思います。その際、必要に応じて委員の先生方に、改めて本日いただいた御意見の趣旨等々を確認することを前提に、そうした方向で話をとりまとめられればと思いますが、いかがでしょうか。そうした方向で御同意いただけますでしょうか。

                                 ( 異議なし )

○三柴座長 ありがとうございます。事務局から何か補足いただく点はございますか。

○森戸化学物質対策課長 今、座長一任ということですが、多分、この検討会は最後ということですので、一言御挨拶を申し上げたいと思います。

 各参集者の皆様には本当に熱心に御議論いただきましてありがとうございました。本会議については、労働政策審議会の安全衛生分科会から、化学物質の考え方について、専門家の方々に検討いただくようにということで、設置したものですので、この報告書については安全衛生分科会に報告して、さらに今度は労使の代表の方々も含めて、どのような施策にしていくのかというところについて議論をしていくということで進めたいと思っているところです。本当に各参集者の先生方におかれましてはありがとうございました。

○三柴座長 ありがとうございました。拙い座長役で誠に恐縮でしたが、本当に先生方の闊達な御議論を得まして、検討会の議論を終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。

 以上をもちまして、「胆管がん問題を踏まえた化学物質管理のあり方に関する専門家検討会」を閉会します。重ねて御礼申し上げます。ありがとうございました。

 


(了)

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