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2013年4月22日 第1回車両系林業機械の安全対策に係る検討会 議事録

労働基準局安全衛生部安全課建設安全対策室

○日時

平成25年4月22日(月)15:00~17:00


○場所

三番町共用会議所大会議室


○出席者

参集者

広部伸二(座長) 中村勝信
岩田茂樹 犬飼米男
内山研史 市原紅美雄
玉手聡

オブザーバー

永野徹 (林野庁林政部研究指導課研究企画官) 進藤博文 (林野庁林政部経営課林業労働対策室課長補佐)
大島真一 (林野庁林政部経営課林業労働対策室林業労働安全衛生指導官)

事務局

半田有通 (安全課長) 中屋敷勝也 (建設安全対策室長)
奥村伸人 (大臣官房付) 釜石英雄 (主任技術審査官)
川越俊治 (技術審査官)

○議題

(1)車両系林業機械の規制の必要性
(2)車両系林業機械の具体的な安全対策
(3)その他

○議事

○半田安全課長 本日はお忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。労働災害の現状ですが、御案内のとおり、長期的には減少してきております。平成24年は最終的にまだ確定はしておりませんが、直近の状況を申し上げますと、休業4日以上で10万7,285人の方が被災されており、残念ながらお亡くなりになられた方が1,058人となっております。また、御承知かと思いますが、実は平成21年に比べて、22年、23年、24年と3年連続で増加しております。もちろん、労災が多発しておりました昭和36、7年頃に比べれば大幅に減っているのですが、なお10万人近い方が被災され、1,000人を超える方が亡くなっております。しかも、その被災者が減っていくならまだしも、ここ2、3年で連続して増加してきているというところです。何とかこれを転換していきたいと考えているところです。
林業における労働災害の発生率は高く、また近年多種多様な車両系林業機械が急激に導入されています。林業機械の運転操作等の業務に必要な安全対策をどう対処していくかを検討していく必要があります。
 このため林業作業、林業機械について専門的な知見をお持ちの先生方並びに関係業界の代表の方にも御参集をいただき、この車両系林業機械の安全対策について検討を行うことといたしました。 検討すべき事項は、機械が多様なこともあり広範囲にわたっていますが、委員の皆様方におかれましては、それぞれの専門的見地から十分に御検討いただきたくようお願いします。
○高松指導係員 資料の確認をいたします。
まず本検討会の次第、
資料1-1「車両系林業機械の種類」、
資料1-2-1「車両系林業機械の保有台数の推移」、
資料1-2-2「車両系林業機械の年度別・機種別保有台数の推移」、
資料1-3-1「林業及び車両系林業機械による死傷災害発生状況」、
資料1-3-2「車両系林業機械の労働災害(休業4日以上)発生状況」、
資料1-4「車両系林業機械による労働災害の発生状況、問題点と対策の方向(案)」、
資料1-5「労働安全衛生法における特別教育の概要」、
資料1-6「林業において特別教育が必要な業務の範囲(案)」、
参考資料1-1「車両系林業機械の安全対策に係る検討会開催要綱」、
参考資料1-2「関係条文」です。
 次に、当検討会の座長についてですが、参考資料1の検討会開催要綱にありますように、座長は参集者がその互選により選任することとなっておりますが、いかがでしょうか。
○市原委員 林業機械に大変造詣がおありの広部委員が適任ではないかと存じております。
○一同 (異議なし)
○高松指導係員 では広部委員に本検討会の座長に就任していただきます。よろしくお願いいたします。
○広部座長 ただ今、座長を仰せ付かりました広部と申します。この検討会は、労働安全衛生法令で未だ規制がなされていない車両系の林業機械について、どのような安全対策を進めれば良いのか、そのあり方を検討するというものです。大変短い期間あるいは時間ですが、ある一定の結論を得たいと考えますので、皆様の御協力をよろしくお願いいたします。まず事務局から資料の説明をお願いいたします。
○川越技術審査官 資料1-1から説明をいたします。今回検討いただきます「車両系林業機械の種類」は3分類にしております。これは、厚生労働省の委託事業でこれまで検討いただき、大きく3種類にグループ分けするのが適当ではないかということで、結論を得ているものです。
 1ページは「車両系運材機械」です。これは森林において、原木等を積載し、この原木等の「等」には薪炭材も含むということですが、積載し、又はけん引して運搬する目的のための機械であって、動力を用い、かつ、不特定の場所に自走できる機械ということで整理しております。以下、動力を用い、かつ、不特定の場所に自走できるということは、「自走式」ということとさせていただきます。
 この分類については、4つの機械が林業現場で使われています。1つ目はスキッダです。これは、グラップル装置が付いてけん引して自走する機械です。フォワーダについては、同じようにグラップル装置が付いていますが、基本的に積載して運搬するものです。次は運材車です。これはグラップルを装着していない積載式の機械です。中には、ウインチや滑車などが付いているものもあります。運材用トラクターですが、これはグラップル装置を装備せずにウインチを使って丸太をけん引しながら運搬する機械です。
 自走式の機械と記載していますが、例えばタワーヤーダなどをトラクターでけん引して使うようなもので、常に使用するときは一体で使用されているようなものも林業現場で使われていると聞いており、これを車両系林業機械の適用があるものとして整理すべきではないかと考えておりますので、御意見を賜りたいと考えております。
 また、「車両系運材機械」という形でネーミングをしておりますが、これは事務局で考えた仮の名称で、委員の皆様から、この名称についてもより適切な名前があるということであれば、御意見を賜りたいと考えております。
 次に、「車両系伐木造材機械」です。これは、森林において伐木し、造材し、又は原木等を持ち上げ運搬する目的のための機械であって、自走式の機械ということで整理いたしました。ここで、「持ち上げ運搬する」と書いてありますが、これは基本的に掴んで集積する、これは「持ち上げ運搬する」と表現しております。「集積」という言葉も「持ち上げ運搬」という平易な言葉に置き換えています。
 この機械に分類されるものとして、こちらの5つの機械があります。1つ目はフェラーバンチャです。これは伐木と集積を行う機械です。ハーベスタは伐木、枝払い、玉切りの各作業と玉切りした材の集積を行う機械です。プロセッサは枝払い、玉切りの各作業と玉切りした材の集積を行う機械です。林業用グラップルは原木等を持ち上げ集積する機械です。グラップルソーは玉切り及び集積を行う自走式の機械です。特に林業用グラップルについては、伐木も造材も行わない機械ですが、この分類にしております。考え方としては、同様の危険があるということで、こういった機械のグループに入れるべきではないかと考えておりますが、名称にあたっては、林業用グラップルの目的である「集積」を分類の名称に入れるべきか否かについて。委員の皆様から御意見を賜りたいと思います。
 次に、「車両系架線集材機械」です。これは森林において原木等を架線又はウインチを用いて運搬する目的のための機械であって、自走式の機械です。この機械に分類されるものとして、3つあります。「タワーヤーダ」は人工支柱及び複胴のウインチを装備し、架線を用いて集材を行う自走式の機械です。「スイングヤーダ」は油圧ショベル等に複胴のウインチを装備し、アームを支柱として、架線を用いて集材を行う自走式の機械です。また、「集材ウインチ」は単胴のウインチをブームの下部や油圧ショベル等の機体前面に装着し、ワイヤー1本による地引き集材を行う自走式の機械と整理しております。写真がありますが、運転席の右側に単胴のウインチが装備されていて、これを用いて地引き集材を行うものです。
 次に、資料1-2-2を御覧ください。「車両系林業機械の年度別・機種別の保有台数の推移」です。林野庁業務資料を基に、このように加工したものです。平成13年度から23年度までの数字がありますが、この中で先ほど3つのグループに分けたものの平成23年度の数字を御覧ください。まず、「車両系運材機械」で、運材車が最も多く、1万3,000台ぐらいになっております。次に、運材用トラクターが1,800台程度となっております。その他に林野庁で、「高性能林業機械」として分類していますスキッダとフォワーダが、それぞれこちらに記載されているとおりの数が普及しています。
 「車両系伐木造材機械」については「高性能林業機械」に分類されているフェラーバンチャ、ハーベスタ、プロセッサ等がありますので、こういったものはそれぞれ普及台数が伸びてきています。また、高性能林業機械には分類されないのですが、木材を掴んで集積することができる林業用グラップル、グラップルソーがあり、特に林業用グラップルは4,292台ということでかなり普及しています。
 「車両系架線集材機械」については、タワーヤーダ、スイングヤーダがあります。スイングヤーダについては平成23年度には752台保有されており、かなりの数まで普及しつつあることが分かります。
 この中で、運材車と運材用トラクタについては、昔から林業で使われている機械で、機能としては木材を載せて運搬するだけ、ワイヤーを介して運搬するだけとなりますので、それ以外を多機能な機械ということで整理してみますと、資料1-2-1にありますグラフのとおりです。「車両系伐木造材機械」「車両系架線集材機械」、また、これにスキッダとフォワーダを合わせたもの、これらの多機能な機械は、平成13年度が4,760台であったものが、平成23年度は9,827台ということで、およそ倍になっています。その一方、運材車や運材用トラクターといった機械については、減少傾向にあると言えます。
 次に、資料1-3-1を御覧ください。これは過去10年間、平成14年から23年までの林業及び車両系林業機械による労働災害の状況について、労災保険給付データと労働災害が起きた場合に労働基準監督署へ届け出られる労働者死傷病報告をもとに分析したものです。林業における労働災害は平成14年から23年にかけて緩やかに減少傾向となっております。その中で、「車両系林業機械による労働災害の発生状況」は、2~3%の間で推移しております。機械の種類別には、車両系運材機械が10年間の合計で275人、車両系伐木造材機械が232人、車両系架線集材機械が81人となっており、合計で、588件の災害がありました。車両系運材機械が全体の46.8%と一番多くなっております。その中で、「運材車(ウインチ)」と書いてありますが、これも運材車に付いているウインチで事故に遭ったものをあえて分けているのですが、これと合わせると208件ということで、車両系運材機械の中で一番多くなっています。
 また、車両系伐木造材機械の中では、林業用グラップルが212件と非常に多くなっております。車両系架線集材機械では、スイングヤーダが35件あります。また、「木寄せウインチ」と書いてありますが、先ほどの機械の分類で、「集材ウインチ」と呼んでおりますので、お手元の資料を「集材ウインチ」に改めていただければと思います。このような発生状況ではありますが、資料1-2-2の「保有台数の構成比」を考慮しますと、車両系運材機械の普及率に対しての発生率は、車両系伐木造材機械よりは低くなっていることがいえると思います。一方、車両系伐木造材機械、又車両系架線集材機械も普及率に対しての災害という意味では、割合が若干大きくなっているといえるかと思います。
 次に、資料1-3-2を御覧ください。こちらは、それぞれの機械による災害を「災害の種類」ごとに分類したものです。例えば車両系運材機械では、「悪路、斜面等による転倒等」が一番多くなっており、次に、上から7番目の「架線又はウインチを用いた集材作業中の原木、吊り具等に激突、落下、激突」となっております。また、車両系伐木造材機械については、「旋回するアーム、持ち上げた原木等に激突され」が一番多くなっている特徴があります。車両系架線集材機械については、「架線又はウインチを用いた集材作業中の原木、吊り具等に激突、落下、激突」といったものが一番多くなっております。それぞれ、機械による特徴が出ている結果となっております。
 資料1-4は車両系林業機械による労働災害の発生状況のうち、代表的なものを抜粋して、一番左側の列に、「労働災害発生状況のあらまし」として整理しております。また、その労働災害発生状況の概要から分かる問題点を真ん中の列に記載しており、それを受けた「対策の方向(案)」を一番右側の列に記載しております。資料の見方ですが、(1)として、「車両系運材機械又は車両系伐木造材機械による積載、けん引等による運搬の業務」で起きた災害をまとめています。この中で、1「悪路、斜面等における転倒等」と出てきますが、これは先ほどの資料1-3-2の「災害の種類」の1番目に対応しております。同じように、資料1-4の2ページを御覧いただくと、2「悪路、斜面等における逸走」、6「原木等の積み卸し時に機械、原木等に激突され」と出てきますが、この頭の番号がそれぞれ資料1-3-2の災害の種類の前にある番号に対応しているという資料です。3ページの8「原木当が荷掛けワイヤー等から外れる等により」と書いてありますが、こちらの「原木当」になっていますので、「原木等」に修正いただきますようお願いいたします。
 5ページを御覧いただくと、(2)として「車両系伐木造材機械による伐木、造材の業務」による災害についてまとめたものがあります。7ページは、(3)として「車両系架線集材機械による運搬の業務」の災害をまとめたものです。この表については、後ほど各委員の皆様方からこの災害発生状況のあらましから分かる問題点がこれでよいか、また導き出される対策の方向について問題ないかどうか、御意見を賜りたいと考えております。
 資料1-5「労働安全衛生法における特別教育の概要」は、労働安全衛生法の第59条第3項の規定に基づく教育について整理したもので、特別教育の内容、規程の考え方を整理しています。まず、「特別教育の細目」が特別教育規程によって科目や範囲、時間が定められております。また、「科目の省略」については、当該業務に関して上級の資格を有する者や、特定の当該業務に関し職業訓練を受けた者などが省略できることになっています。「教育の実施主体」は、当然事業者ですが、外部の講師に委託しても差し支えないとされています。「講師の要件」については、通達により、教習科目について十分な知識、経験を有する者でなければならないとされております。また、事業主は特別教育の受講者、科目等の記録を作成し、3年間保存する義務があります。
 以下、「関係条文」が記載されております。特に「林業関係の特別教育規程」に関して、参考までに3ページからカリキュラムを添付しております。「機械集材装置の運転の業務」については、学科教育6時間、実技教育8時間、計14時間となっております。「胸高直径が70センチメートル以上の立木の伐木等の業務に係る特別教育」については、8時間プラス8時間の16時間となっております。実技教育の内容については誤植になっておりますが、正しくは、次のページのチェーンソーによる伐木の実技教育と同じです。ただ、「70センチメートル以上の立木」ということで、範囲については変わっています。ということで、計8時間の教育が70センチメートル以上の立木の伐木の特別教育の内容となっております。また、チェーンソーを用いて行う立木の伐木等の業務ということで、学科教育が7時間、実技教育が6時間の、計13時間となっております。
 次に、資料1-6を御覧ください。今回、安全対策を検討していただく林業の機械と現在ある特別教育の業務を、機械で分類し図を書いたものです。左側に表がありますが、こちらに第36条の7号、8号、8号の2に規定されている機械がそれぞれ書いてあります。今回規制を検討していただく機械を案-1から案-3と整理いたしました。このページの右側と下に、それぞれの業務内容ごとに整理したものがあります。まず、「立木の伐木」を御覧ください。今回、案-2の「車両系伐木造材機械」では伐木を行いますので、こういった業務があります。チェーンソー等については、8号、8号の2で既に特別教育の対象になっております。「造材」ですが、8号の2でチェーンソーによる造材が当然ありますが、今回の案-2、車両系伐木造材機械による造材が考えられます。
 次に、「原木等の運搬」です。既にあるものとして、真ん中に、「架線を用い空中において運搬」と書いておりますが、「機械集材装置による運搬」は、既に特別教育の対象になっております。(3)に「タワーヤーダ、スイングヤーダ」と書いてありますが、タワーヤーダで空中を運搬する場合が現在もありますが、こういった場合には機械集材装置による運搬の業務ということで、既に第36条の7号に基づく特別教育の対象になっております。こちらに、「スイングヤーダ」と書いておりますが、スイングヤーダについては、先ほど広部座長に確認したところ、現行では空中において運搬することは想定していないということですので、こちらの記述からは削除していただければと思います。
 それ以外の運搬の方法として、案-1として、「車両系運材機械による積載、けん引運搬」が考えられます。スキッダ、フォワーダ、運材車、運材用トラクターなのです。案-2として、「車両系伐木造材機械による持ち上げ運搬」と書いてありますが、集積作業を言い換えたものと理解いただければと思います。案-3の業務として、「車両系架線集材機械による運搬」、基本的には原木等が空中に吊り下げられず、常時けん引、地引きして行うものに限るということで分けさせていただきました。タワーヤーダについては、地引き、空中に吊り上げないで運搬するという業務があります。
 次に、「車両系林業機械の運転」、特に走行です。これは、自走という機械の特徴からあるものですが、これについては案-1から案-3の機械全てにあるということで、こういった業務が特別教育の必要な業務として整理できるかと思います。そのほかに、参考資料1-1として本日の開催要綱が付いております。参考資料1-2として、労働安全衛生法及び関係規則の抜粋を添付しております。私からの資料の説明は以上です。
○広部座長 資料の順に議論いただきたいと思います。資料の番号順に3つのパートに区切って議論を進めたいと考えます。まず1番目は、資料1-1、1-2-1、1-2-2の3つの資料についてご意見を頂きたいと思います。ここでは名称も含めて機械の定義があります。それから、保有台数の推移、死傷災害等の発生の件数の話です。これらについてご意見等ございましたらお願いします。
○犬飼委員 「車両系林業機械」の中の「車両系運材機械」があります。例えば1-2-2の表を見ますと、「車両系伐木造材機械」の「高性能林業機械」の中に、フェラーバンチャ、ハーベスタ、プロセッサがあって、「その他の高性能林業機械」が303台とあります。まず、その他の高性能林業機械の内訳を教えてほしいということが1点です。それから、「車両系林業機械」の中の「車両系運材機械」の中に、例えば北海道などで導入している、ドイツのコンビマシンのようなデカいもの、あれも当然けん引してくるのです。これは名称で分けられるつもりなのでしょうか。この規則を入れた場合には、上に定義してあるように、自走式の機械としてそういったものも包含して、それらも全て含まれるとして今回定義されるのか、「車両系建設機械」のように機械名称で定義されるものなのか、その辺りを教えてほしいと思います。
○川越技術審査官 まず、「その他の高性能林業機械」の内訳について、厚生労働省では内訳は持っておりません。林野庁業務資料を根拠にしておりまして、基本的には、複数の機能がある機械として整理されています。
 2つ目の御質問の、労働安全衛生規則になった場合にどのように規定されるのかということについてです。林業機械は発展が目覚しいものがあり、次から次へ新しい機械が出てまいります。そういったことで、労働安全衛生規則等で規制する場合には、資料1-1の頭に「車両系運材機械」、その下に「森林において、原木等を積載し、又は○○する機械」と記載されているように、目的から定義した上で、そういう目的に合致する機械であれば、その規制が適用されるという考え方で整理していくことになろうと思います。
○広部座長 よろしいですか。今の繰り返しになりますが、あくまで機能、作業の内容であり、機械そのものの名称ではないということです。それから、コンビについては、それぞれのコンビマシンがどのように用いられるかによって、複数にまたがった規制がかかると理解するということでよろしいですか。
○犬飼委員 はい。
○広部座長 それから、名称についてですが、「車両系運材機械」「車両系伐木造材機械」「車両系架線集材機械」の中で、特に、「車両系運材機械」というのは今回初めての提案ということです。これらの名称についてご意見はございますか。
○中村委員 2年前に特別教育の試行をしましたね。あの時も「車両系運材機械」という表現は使われていなかったでしょうか。3つのタイプに分けて試行されたと思いますが。
○川越技術審査官 平成23年度の厚生労働省の委託事業で試行を実施しています。その際、機械のグループの名称としましては、例えば「車両系運材機械」については、「車両集材機械」という名称で呼んで試行を実施しています。今回、「車両系運材機械」という名前で提案していますのは、他の労働安全衛生規則のこれまでの規定の例などを参考にして、自走する機械については、「車両系」という言葉を使っていること、また、「機械集材装置」という言葉があるのですが、「材を運搬する」という目的からすると、それに当てはまる言葉としては「運材」と略するべきではないかということで、このような名称にしています。それぞれ同様に、記載している目的の書き方を短く熟語にすると、このような形ではないかとして提案しています。ただ、林業の現場から、このような熟語にすると返って分かりにくいということがありましたら、是非御意見を賜りたいと思います。
○中村委員 先般行われた別の会議で、広部先生から、集材は面にある物を点に集める、運材は点から点の移動だというような話もあったと思いますが、その辺、広部先生はよろしいのでしょうかというのが私の質問です。
○広部座長 林学分野の定義で言えば今おっしゃったとおりですが、今回は法令上の名称として、定義をしなければなりません。幅広い意味で、このような名称を法令上付けることについてのご意見を伺いたいということです。確かに、林業現場あるいは従来テキスト等に記載されていた言葉としては、「集材」の方が適当であろうと思いますが、混乱が生じない限り、法令上このような表現を受け入れることができるかどうかご意見を頂きたいと思います。
○岩田委員 非常に言葉は難しいのですが、「運材」というのは、今までの林業の感覚から言えば、例えば貨物列車に積んで遠くへ運ぶのも「運材」になるので、ここでこの機械グループを「運材」と定義付けるのは新しい定義になるのではないかと思います。適当かどうかはちょっと判断つきかねるところがあります。「集材」の方は、後ろの「車両系架線集材機械」で「集材」という言葉が使われています。あえて違う言葉にするという意図での案なのでしょうか。その辺のネーミングについてのお考えがあれば教えていただきたいと思います。
○川越技術審査官 先ほど中村委員からも御指摘がありましたが、点から点へ運搬するのが「運材」で、1点に集めるのが「集材」という観点を伺っていましたので、そういう意味で、「車両系運材機械」については、ある程度の距離を線で点から点へ運搬することなのではないか。こういった場合には「運材」という言葉が当てはまるのではないかと考えました。ただ、林内を土場まで長く点から点へ運搬する場合であっても、「集材」という言葉が林業では一般的なのだということであれば、それは改めて検討できると考えています。
○広部座長 他の委員の皆さんはいかがでしょうか。
○内山委員 この「車両系運材機械」の所に4つ例示があります。「面から点」と「点と点」ということはありますが、この4つはいずれも、面から点に持って行く使い方がまずあります。面から点に持って行くのはスキッダと運材用トラクターで、これはもう面から点に持って行く使い方しかないだろう。一番上と下は点と点はない。フォワーダと運材車については、「面から点へ」と「点と点を結ぶ」、2つの使い方がある。そういう点と、それから、先ほど岩田委員がおっしゃったように、こちらを「架線系集材」と言うとすれば、対語で言えば、こちらを「車両系集材機械」と言ってもおかしくはない。今申し上げたように、機械の使われ方からすれば、「集材」の方がいいのではないかという感じがいたします。
○広部座長 林業的には「集材」と「運材」の使い分けをしている現状のあることを事務局にもご理解いただき、名前の付け方については事務局で再度検討するとして、取りあえずご意見をお受けすることとさせていただきたいと思います。
 もう1つ、2ページの「伐木造材機械」の所に、伐木も造材もしないのに、集積だけを行う機械の「林業用グラップル」を入れることについてです。これもネーミングですが、「伐木造材機械」として今までは入れてきたのですが、それについては特に問題ないということでご理解いただけますでしょうか。要は、グラップルをこの中に入れてしまっていいかということです。
○中村委員 グラップルを入れないと、どこで特別教育をするのだという話が出てきますね。ただ、現場では結構グラップルを使っているのです。グラップルは災害もあるし、何らかの特別教育は必要だと思いますので、どこかに入れる必要があるのではないかとは思います。入れる場所として、3つのタイプの中ではやはりここになるのではないかという気がします。
○広部座長 中村委員からご意見を頂きました。私も事故の型や要因、事故が起こったときの状況も含めて、やはりこのグループに入るであろうと思います。明示的に、「集積」という名前は出ていませんが、「伐木造材機械」のグループに入れるべきであることについては、皆さん、ご同意いただけると思います。ネーミングがこれでいいかについては、再度事務局で確定することとさせていただきたいと思います。
 ほかに資料1-1から資料1-2-2で特にご意見等はありますでしょうか。1点だけ確認ですが、資料1-1の1~3ページの上の定義の所で、自走式の機械とは「動力を用い、かつ、不特定の場所に自走できる」機械ということです。けん引タイプの機械についても、先ほど事務局から説明がありましたが、いわゆる被けん引式の機械あるいはトレーラータイプの台車に載せられている機械も含めるべきであると思います。引っ張られる車両自身には動力がなくても、けん引車、トラクターと一体で用いるものについてはこの法令が適用されると理解することでよろしいでしょうか。
 特段、ご異論もないので、いわゆるトレーラー形式の台車に架装される機械も大きな意味で、「車両系の林業機械」に含めることにさせていただきたいと思います。
○内山委員 ちょっと確認ですが、今おっしゃっているのはサルキーとか、北海道などで使うショベルで引っ張るそりのようなものなどをイメージすればいいということでしょうか。
○広部座長 被けん引のトレーラータイプということですから、車輪の有無の話ではありません。ただ、単に板を引っ張るだけではなくて、ある機械装置を引っ張るということです。それは引っ張る側のトラクターも含めて、トラクター・トレーラーという一体のものとしてこの特別教育の適用を受ける、単体ではなくて、あくまで一体として用いる場合においてということです。
○内山委員 そうしますと、例えばショベルでそりを引っ張って運材をするようなことになりますと、絵面としては車両系運材機械の中には出てこないことになりますが、その場合はショベルを運転するのだけど、引っ張って歩くときには、車両系運材機械としての特別教育を受けておいてくださいと、そういうことですね。
○広部座長 はい。それはスキッダと基本的に同じような絵面になると思います。この材の下のそりが付いているような形だという理解でよろしいと思います。いずれにしても、あくまで一体として用いられる場合です。その作業自体が運材でしたら、当然ながら車両系の集材機械の適用を受ける。トレーラー式のタワーヤーダでしたら、それは架線系の集材機械ということでそれぞれ適用を受ける。大きな意味ではもちろん車両系集材機械なのですけれども。
○内山委員 けん引式のタワーヤーダを引っ張る場合、引っ張って行く作業も車両系架線集材機械の教育を受けておかなければいけないということですか。
○広部座長 そうです。
○内山委員 作業はしないけれども。
○広部座長 移動も含めて、ということになるので。
○内山委員 移動も含めて。
○広部座長 トラクターだけということではなくてですね。
○内山委員 トラックで引っ張る場合はどうなのですか。トラックで引っ張って行く場合はありますね。
○広部座長 あります。
○内山委員 その場合、けん引免許などが必要な場合も出てくるし、そうでない場合もありますけれども。
○広部座長 どこを走るかです。林内だけでしたら、道交法適用外です。ただ、一般公道をけん引して運べば、当然ながら、けん引の免許ということになると思います。今回言っているのは、あくまで林業用の機械ですから。
○内山委員 林内ですね。
○広部座長 道交法が適用にならない林内において、被けん引式のものを引っ張って運ぶ時にはどうかという議論です。現実にタワーヤーダでもトラクターで引っ張る機種がありますので、車両系架線集材機械の適用を受けるという理解でよろしいかということです。皆さん、その辺り、他にご意見はよろしいですか。
○川越技術審査官 今のお話の中で、1点、確認させてください。タワーヤーダの装置が付いているものをトラクターでけん引して設置場所まで持って行きます。その場合にそれを切り離してタワーヤーダ単体として残して、トラクターは使わずに違う所に行くような場合は、単に持って来るだけなので、「車両系林業機械」とは言いにくいと思います。タワーヤーダ自体に動力が付いていて単独で使えるということだと思います。
 ただ、一体として持って来て、使うときも設置場所にトラクターがあって一緒に使う。動力をあくまでトラクターから取る場合もあると思いますし、トラクターがなければ傾いて使えないような装置があるとすれば、そういったものはトラクターと一体として使用されているということで、今回で言うところの「車両系架線集材機械」に該当するという整理ができると思います。そういう理解でよろしいでしょうか。
○広部座長 今のご説明については、動力をトラクター側からもらう機械でしたら、正にそのとおりです。最初におっしゃった方の、動力を別に持っていて、単に林道・作業道上を移動するだけの場合に、そのけん引車両、トラクターを何と呼ぶのかという話では、それは一般的に林業用トラクターということになると思いますが、その機械についても3区分のどこかに入れなければいけないと思います。実際にタワーヤーダが動かないときには使わないにしても、運ぶときに必要となる機械です。少なくとも自走できないタワーヤーダをけん引して走行すること自体、やはりどこかの区分に入れない限り、けん引する機械としてのトラクターという機械そのものが宙に浮いてしまうことになる。どこの3区分にも入らないことになりかねない。その点についてはいかがでしょうか。
○市原委員 エリアで絞ったらいかがでしょうか。例えば林内に限って、移動のために運搬してスイッチするまで、林内であれば対象とするとか。
○広部座長 もちろん車両系林業機械の対象になるということなのですが、けん引走行について3区分のどこに入れるのかということです。
○市原委員 タワーヤーダが前提ですので、架線系のこの所とか。
○広部座長 その話なのです。トレーラーを引っ張って林内での移動を行う場合に、引っ張られるもの、被けん引物の種類によって区分する必要が出てくるのではないか。材を積んだトレーラーの場合、これは間違なく車両系の集材機械、運材車になるのでしょうけれども、タワーヤーダをけん引した場合に、そのけん引車であるトラクターをどこに区分するのかということが議論になってくると思います。
○岩田委員 機能から言えば、タワーヤーダを引っ張ろうと、材を積んだトレーラーを引っ張ろうとほとんど同じで、走行の部分ですね。準ずるとすれば、運材の方が機能的には共通部分が多いのではないかと思います。
○広部座長 岩田委員からのご意見は、けん引走行について言えば、被けん引物が何であれ同じであり、運転操作の困難さなり、習熟しなければならない技術の意味でも同じであろうということですね。
 少し話は違いますが、前の打合せ会の議論で、運材車、当時は「林業用集材車両」と言っていましたが、集材機械に材以外のものを積むことができるのかという話をしたときに、集材のために使う機材を積む分については可とするという話がありました。いわゆる機械装置を山の現場まで持って行くことについては、運ぶもの自体が運材車両という解釈もできるのではないかという気がします。その点はいかがでしょうか。あくまで機械装置を運ぶのであると。運ばれる機械装置は架線集材機械だけれども、けん引して運ぶということは。
○岩田委員 木材でも一緒だと。
○広部座長 木材でも同じだということですね。注意すべき部分、習熟しなければいけない部分は同じであろうということで、あくまでトラクターの運転操作については、「車両系集材機械」又は「車両系運材機械」に入れるとするご意見ですね。
○岩田委員 そういう整理がいいのではないでしょうか。
○広部座長 それでよろしいですか。
○奥村官房付 今の整理の仕方について、原木若しくは薪炭材で原木等ということですが、この他に林業に必要な部材、機械等を運ぶというのも、もし入れられるのであれば、そこに入れてしまうということで何らかの対策を考えたいと思います。
○広部座長 ということで、被けん引式、トレーラータイプのものについて、あくまでその走行、けん引走行という運転業務については車両系の集材機械。この資料中では、「運材機械」と書かれていますが、この中に区分すべきであろうというのが皆さんの御意見であると理解させていただきます。
 その他、資料1-2-1、1-2-2について御意見等はよろしいでしょうか。それでは次の資料に移ります。
 次は、資料1-3-1から資料1-4についてです。資料1-3は死傷災害発生事例が列記されております。資料1-4は「労働災害の発生状況、問題点と対策の方向(案)」とありますが、特に対策の方向について、これでよろしいかどうかご議論いただきたいと思います。事例が多いので1つ1つ見ていくと時間がかかりますが、問題点としては、安全確認や機能的な制限を守る、あとは点検の話が書かれています。対策の方向としては、法令遵守、許容荷重の遵守、ものによっては安全衛生教育が書かれています。これらについてお気付きの点等がありましたらご意見を頂きたいと思います。
○玉手委員 資料1-3-1の「死傷災害発生状況」の構成比について電卓をはじいてみました。資料1-2-2の「車両の保有台数の推移」でも同じような、機械自体の数が出ていましたが、平成23年度の機械の保有台数は、足し算すると、全体で2万5,473台です。これを運材車だとか運材用トラクターなど、各車両の割合を構成比として出して分母に取って割り算をして、死傷災害発生状況の構成比を出してみました。
 そうしますと、1が全体の林業災害の平均的な発生割合で、その数字が最も大きくなったのがグラップルでした。この割り算した数字は危険度のような指標になると思いますが、グラップルは2.15、スイングヤーダが2.0、タワーヤーダが2.0で、この辺が非常に高くなっていました。タワーヤーダ自体の数は少ないのですが、1を超えているもの、また、件数としても多いものについては対策を考える必要があるのではないかと思われます。
○広部座長 この点については、私も事前に保有台数の構成比を計算してみましたが、玉手委員がおっしゃったとおりです。伐木造材機械の中のグラップルを見ると、資料1-3-1で、発生状況の構成比が36.1になっていますが、保有台数の構成比は16.8で、割り算をすると、2倍を超える数字になっています。同様に、一番下のスイングヤーダは保有台数の構成比が3.0、災害発生率が6.0ですから、2倍になっています。タワーヤーダは保有台数の構成比が0.6、災害発生率が1.2ですから、これも2倍です。特にグラップルは保有台数比率に対して災害発生比率が高いというのが実態であるというのはそのとおりだと思います。それらの発生件数も多く発生比率としても高いものについては、特に教育を徹底させる必要があることは言えるのではないかと思います。それ以外に何かお気付き又はご意見等ありましたらお願いします。
○市原委員 グラップルの危険度が2倍ということですが、これを裏付けるものとして紹介します。林災防で労働災害の事例を集めているのですが、グラップルの場合は集積作業ということで、その周りで検地をしたりなど、第三者的な人が混在して作業する場面があります。ここを、例えば危険区域のようなものを具体的にする必要があるのではないかと考えています。それから、材をつかんで旋回するときに、周りの人に気付かずに当たってしまったりなどです。
○広部座長 市原委員のご発言は作業の実態の紹介です。グラップルの作業ではいわゆる土場での作業が多く、業界内の基準として設けられている立入禁止の範囲が徹底されていないということです。これは試行用のテキストにも記載はしておきましたが、伐木作業、造材作業、プラス集積作業、グラップル作業について、それぞれ立入禁止区域を明記する、明示的に記載することが必要ではないかと考えています。内山委員、業界のグラップルの規制についてお話がありましたらお願いします。
○内山委員 グラップルは既に業界としては独自の安全対策があります。グラップルの事故の内容は、様々な使い方をして様々な形で事故を起こしている。何に気を付ければ絶対に安全になるというところがないのが事故の特色なのです。そういう中で、どうしていこうかと考えると、物を持ってつかみ上げるという作業が入りますから、引っくり返らないように作業してもらおうということです。一番不利な姿勢、クローラーに対して直角方向に腕を出して、一番伸ばした状態で何キロまでつかめるかを、グラップルメーカーが販売するときに機械に合わせて打刻をして、それを運転席に貼ってくださいということをする。それから、ヒヤリハットの事例や、こういうことに注意してくださいという注意書きを書いた冊子を必ず機械に付けて売る。このようなことで安全に対する取組を始めたところです。それでどのぐらい減っているかは、まだ全部の機械に備わっているわけでもありませんので、統計的にははっきりしませんが、そういうことをしています。
 そういうことを始めたのも、グラップルについては非常に事故が多い、その事故の中身が多様なのです。フォワーダなどですと、過積載で坂を転がり落ちるというのが主要ですから、その辺だけ注意してもらえばかなり安全度は高まってくると思いますが、これをやめると事故がほとんどなくなりますということにならないのが、グラップル事故の特徴だと思います。私ども業界としてはそのように取り組んでいます。
○広部座長 資料1-4の5、6ページ辺りには、「グラップル」という言葉がかなり多く出てきていて、やはり災害事例が多いのが実態であろうと想像できます。内山委員がおっしゃったように、なかなか収斂できない部分がありますので、網羅的に安全対策を列記するしかないであろうと考えます。そういったことが安全教育の中で徹底されるような仕組みにするべきであろうと考えます。他にご意見ありましたら、どうぞ。
○玉手委員 後ろの災害事例を読みますと、話題になっているグラップルの災害が起きている状況として、つかんでいる物が抜けて落ちたという状況が何事例か報告されています。想像してみると、材料の特性のようなものもあるのではないか。例えば長い物であれば滑り落ちるような、横方向の力がかかって抜けてしまう。また、材も塑性変形と言いますか、潰れると反発力がなくなるので、つかんでいる力が少し弱まるような形になって引き抜けるのではないか。変位制御的につかむということもあるのではないかと思いますが、実際に作業上はどうなのでしょうか。
○広部座長 いかがでしょうか。
○市原委員 1つの災害事例としまして、つかんで、2本つかんだうちの1本がすぐそばで検地していた者の上に激突したという災害等もあります。例えばこんな感じですけれども。
○玉手委員 つかんでいるうちに段々緩んでくるというイメージなのでしょうか。
○市原委員 そうですね、外れてしまって。2本つかんで、1本が、こう落ちたという感じです。
○岩田委員 太い方に力がかかって、細い方には力がかかってなかったということですか。
○市原委員 そうですね。ですから、すり抜けてしまう。
○玉手委員 もう1つ、よろしいですか。グラップルではないのですが、ウインチの事故の事例の中に、ウインチで巻いていたらワイヤーが切れて跳ねたという事例があったように思います。通常、クレーンなどを考えると、過負荷防止装置のようなものがあって、ワイヤーが切れる前にウインチが止まるなど、機械側で止まるようにされているのが普通ではないかと思いますが、こういう林業機械のウインチの過負荷防止のようなものの考え方はあるのでしょうか。
○岩田委員 引く力の限界までは引くようになっています。
○玉手委員 ワイヤよりも機械の巻取りの方が強いものもあるということですか。
○広部座長 多分、ウインチの設計の段階、すなわち新品の状態でワイヤロープの破断荷重を超えるようなウインチの巻き取り力を設定することはあり得ないと思うのです。けれども、ワイヤロープは当然傷みます。また、止めてある先端部の処理等も傷んでくることはありますので、そういった場合にウインチのけん引力の方が勝ってしまうことは結果的にあるということは十分考えられると思います。
○玉手委員 その辺は、教育で確認するとか。
○広部座長 そうですね。あとは、始業点検等で確認を行うことが必要であろうというのは間違いなくいえると思います。
○玉手委員 分かりました。
○広部座長 今の話の関連で、ブロックが飛んだというような事例もここに記載されていますが、やはり始業点検、特にワイヤロープやその付属器具の点検の必要性はかなり重要であろうと考えます。また、安全教育の中で、点検整備についても十分行うべきであるということは記載されて当然であろうと思います。それから、ワイヤロープの扱い方ですね。ワイヤロープを傷めない取扱い方法。特にワイヤロープは、キンクをする又は擦ることで極端に強度が落ちることは皆さん御案内のとおりですので、そういった使い方をしないことも含め、取扱いの重要性を安全教育の中で十分に記載することが当然ながら必要であろうと思います。それに関して何かほかにご意見ありますか。
○岩田委員 既にある機械集材装置による運搬でも、既に安全教育の部分でワイヤについてはかなり確立されているので、その主要部分をこちらの車両系架線の集材の方にも入れるべきだと思います。
○広部座長 岩田委員からお話がありましたとおり、試行の段階で、ワイヤロープの取扱いを機械集材装置の実技に合わせて架線集材機械の実技科目に含めてはどうかと考えていましたが、車両系集材機械のフォワーダなりトラクターのウインチについても同様にワイヤロープの取扱いについて注意点を十分教えるべきであろうと思います。架線集材ではないので、4、5時間というような実技時間が要るかどうかは別の話ですが、少なくとも基本的な部分については車両系林業機械の3区分の全てにおいてテキスト等に必ず記載し、また、講習・実技の中でそれに触れることが必要でしょう。特に架線系の集材機械については、機械集材装置の運転業務に関わる特別教育と同等の実技時間配分ではどうかという案になっており、そこで十分に教育が行われるであろうと思いますが、それ以外のほかの2区分についても基本的な部分は押さえておくべきであるということは言えると思います。
○玉手委員 事例などを見ますと、切り株に材が引っかかって、力がかかって切れたとか、吊り上げる状況と地面上を引くのでは力のかかり方も不確定要因が大きいようなので、そういったことに注意するとか。また、ハード的に可能であれば、ウインチの方にもリミッターを付けるとか、そういう工夫があればよりよいのではないかと感じました。
○広部座長 けん引リミッターについては、メーカーさんで構造基準がどこまで定められるかですが、何らかの担保は必要であろうし、メーカーさんの設計において、自主的にご注意いただくことも必要ではないかと思います。それは取扱説明書も含めて明記していただく。また特別教育の中でも、取扱説明書の読み方も含めた教育も必要ではないかと思います。
○市原委員 先ほどのウインチ付きでの集材する場合で、もう1つ気になるのは、例えばスイングヤーダの場合、下げ荷集材のときにガイドブロックを設けて間接的に、ダイレクトにやらないように。そういう基本的なことは入れておいた方がよろしいのではないかと思います。
○広部座長 正にそのとおりだと思います。ウインチを使うのは別に架線集材系だけではなく、付属装置としてフォワーダ、スキッダ、トラクター等にも付いていますし、コンビマシンの場合、伐木造材機械でも小型のウインチを付ける場合もあります。市原委員からご意見がありましたとおり、特に下げ荷で引っ張って材が飛んでくるような場合も十分想定されますので、そういった注意点についても、当然ながら教育の中で触れていくべきだろうと考えます。
 資料1-3-1、1-3-2、1-4の3つの資料についてほかにご意見ございますでしょうか。特になければ、最後の資料1-5、1-6についてご意見をいただきたいと思います。特に資料1-5は、現行の特別教育についての説明です。安衛則第36条の現状の説明です。資料1-6は案ですが、「立木の伐木」「造材」「原木等の運搬」「車両系林業機械の運転(走行)」という作業種別に案が示されています。これについてご意見ありましたらお願いします。
○中村委員 資料1-6について、業務の範囲(案)ですが。左上の方に第36条7号、8号、8号の2、案-1、案-2、案-3となっていますが、一応、条文が改正されるときは、単に案-1が9号になったりというのではなくて、全体を見直して番号は入れ替わるということになるのでしょうか。
○川越技術審査官 条文の構成としては、ほかの条文の号は替えられないので、考えられることとしては8号の2まであるので、林業の機械がそのまま追加になるとすると、8号の3、8号の4、8号の5というようなことは十分考えられると思います。順番はどこに入るかということで、大体枝番が付いていくというのが通常の考え方です。また、類似の機械の運転業務の次に入ってくるということになりますので、ここはどちらかというと、技術的な部分で事務方で考えておりますので、この3つの業務を分けて規定すべきかどうかというところを是非、御議論いただきたいと思います。
○広部座長 他にご意見はいかがですか。
○内山委員 資料1-6の真ん中の上の「立木の伐木」の所に、案-2の右から上に、「胸高直径70センチメートル以上」という表示があります。この意味を私は聞き漏らしたかもしれないのですが、どういう意味なのでしょうか。教えていただきたいのです。
○川越技術審査官 これは8号と8号の2の考え方で、「胸高直径70センチメートル以上」という所がありましたのでこのような書き方をしております。案-2につきましては、これは実態を確認しなければいけないかもしれませんが、伐木造材機械で伐木をする能力が70センチメートル以上の立木についてもできる機能があるのか否か、そういう機械が一部でもあるのであれば、この書き方で問題ないと考えております。
○中村委員 この条文が出来たもともとの歴史というのは、もともとは、70センチメートル以上は相当高度な技術を要するので、70センチメートル以上を切る場合はきちんと教育しなさいとなっていたのですが、その後に、70センチメートル以下でもチェーンソーを使う場合はやはり安全教育は必要ですねということで、あとになって、8号の2にチェーンソーが追加されたという歴史的経緯があるのではないかと思うのですが、違いましたか。
○川越技術審査官 多分おっしゃるとおりだと思います。8号の2が後で出来ました。特に振動障害の防止の観点から、8号の中も大分拡充されておりますし、8号は当然ながらチェーンソーを使って行うもので、カリキュラムにもチェーンソーによる実技に必要な知識も含まれております。そういう意味で、8号の2はチェーンソーを使う場所全てに係る、特に70センチメートル以上についてはより技術が要るということで、カリキュラムも長くなって8号で規定されているということです。
 ただ、今回、御議論いただく案-2につきましては、直接人の体でチェーンソーを使うわけではありませんので、そういった部分は教育の必要がないかもしれませんが、「木の直径」という意味では特に制限がなく、伐木を行う機械の運転の業務ということで整理できるのではないかと考えております。
○広部座長 今の8号、8号の2の歴史的な話の意味はご説明があったとおりだと思います。案-2の「伐木造材機械を用いた伐木」の件について言えば、胸高直径に制限を設けない、何センチ以上の場合は特別教育とするとか、または、何センチ以上、以下のみとするというような区分は設けないで、伐木造材機械を用いた立木の伐木は全て含むという解釈にしていきたいという案だということで、皆さん、ご理解いただけますでしょうか。
 次に、「造材」のほうはいかがですか。同じく案-2、車両系伐木造材機械による造材、(2)プロセッサ、ハーベスタと例記してあります。多分、グラップルソーも同様に入るかと思います。これについても、特段、ご意見がないということでよろしいですか。
 では、その下の「原木等の運搬」です。案-1が「車両系運材機械による積載、けん引運搬」ということで、スキッダ、フォワーダ、運材車、運材用トラクターがあります。
 それから、その下の案-2に、「車両系伐木造材機械による持ち上げ運搬」とあります。先ほどの事務局からのご説明のとおり、これは走行ではなくて集積であるということです。材を持ち上げて運ぶという意味は、正に材を旋回なりして移動させる行為であるということです。これは、全ての伐木造材機械に共通の作業であるということでの提案です。
 真ん中の現行の規定については、これも説明がありましたように、7号は機械集材装置による運搬です。これは材を吊り上げて運搬する機械ですので、タワーヤーダの一部が該当しますが、スイングヤーダは該当しません。タワーヤーダの一部の機種で、吊り上げて集材、運搬する場合があるということです。
 案-3は、架線集材機械について原木等が空中に吊り下げられずというか、吊り上げられずというか、常時けん引されるものに限るということです。これはタワーヤーダの一部、いわゆる吊り上げない方式のタワーヤーダ及びスイングヤーダの全て、集材ウインチの全てということでの区分けであるということです。この分け方等について御意見がありましたらお願いします。
○犬飼委員 タワーヤーダなのですが、7号でもちろん教育は受けなければならないのですが、空中に吊り下げられずという。何か、単木にしてタワーヤーダでもし単材に刻んで運んだ場合には、当然、地引きではなくて空中というときも起こるから、多分タワーヤーダが左に入っているのですが、教育を受ける場合にタワーヤーダが。例えば教育訓練を7号で受けている人がいた場合に、走行の部分はあれですが、現地に設置された場合に引きずられるのか、上がるのかということで、もう1回教育を受けるのかみたいなイメージ、ダブッて。何か、ちょっとそんなイメージがこの図からはするのですが、その点はどうなのでしょうか。
○川越技術審査官 既に試行の際に考え方をある程度整理しているところがあります。機械集材装置については空中を運搬するということで、特にワイヤーの取扱いにつきましては架線集材機械についても同様の部分があるということで、カリキュラムを考える中で、乗り入れが可能なように教えなければいけないということも整理しております。そういった意味で特別教育化される場合には、機械集材装置の特別教育を受けている方につきましては、十分な知識、経験があるものということでの省略を、架線集材機械のワイヤーロープ等の規定、カリキュラムについては省略できるということになろうかと思います。そのように整理していきたいと考えております。
○広部座長 今の説明でよろしいでしょうか。走行の部分は別にして、いわゆる集材という作業そのもの及びワイヤーロープの取扱いについては機械集材装置の特別教育のほうが上位の教育であるという理解です。機械集材装置の特別教育を受けている方が、架線集材機械の特別教育を新たに受講する場合に科目の省略があるのは適当だと思います。事務局、この点についてはそういうことで整理するということでよろしいでしょうか。
○川越技術審査官 はい、そのように整理したいと考えております。
○中村委員 この条文で7号も残るのですね。そうすると、案-3も別の第何号でということも残るのですね。第36条7号も残る、それから、案-3も、何号になるか分からないけれども新たに追加されるということで、2つ出てくるということで理解してよろしいですね。
○川越技術審査官 はい、そのとおりです。先ほど似たような機械のあとに追加をするということも申し上げましたが、現在考えられることとしては、案-1、2、3を入れるとすると、機械集材装置に似ていることから、7の2、7の3、7の4という形で追加する可能性が高いと考えております。当然ながら、7号の機械集材装置はそのまま残ると考えられます。
○中村委員 分かりました。
○広部座長 今の説明は、この表の案-1の代わりに7号の2とか、案-2の代わりに7号の3というような形になるということで、架線系の機械についての条文が2つ、号として併記されることになるということですね。片方は荷を吊り上げる場合の機械である、片方は荷をけん引する、吊り上げずに地引きでけん引・集材する機械であるということでの区分けになっているというような理解でよろしいかと思います。それ以外にご意見はありますでしょうか。
 あと、右下の(走行)ですが、これは先般の打合せのときに、3つの区分で重複部分があるため、実技のときに使用する機械を選択してはどうかという議論がありました。具体的に言えば、複数の走行機械を使うことで全て上位である3時間、これは車両系集材機の場合ですが、その3時間で全てをカバーできるような形にしてはどうかという意味です。実技でわざわざその機械区分ごと、3区分ごとに別の走行操作を行うことに不合理な部分があり、重複する部分が余りにも多過ぎるということで、なるべくその重複を避けるために、一番時間数の多い車両系集材機械の3時間実技走行という部分で習得できるということにしてしまえば、ほかの伐木造材機械の走行、架線系集材機械の走行もそれでカバーできるのであろうというような意見でした。これについては、皆さん、それ以外のご意見等がありましたら、ここでお願いしたいのです。よろしいですか。
 そうしましたら、運転の走行についてもなるべくその重複を避けるということで、なるべく実技の実施時間の省略を図るように検討していくということでご意見がまとまったと理解します。資料としては全て出揃ったのですが、全般を通してご意見等、ほかに何か言い残したことがありましたらお願いしたいのですが。
○市原委員 先ほどの「胸高直径の枠を設けない」ということを、これ、是非そうお願いしたいということです。というのは、参考資料の1-2の6ページを御覧ください、ここに安衛則、第四百七十七条の三に、「伐倒しようとする立木の胸高直径が四十センチメートル以上であるときは、伐根直径の四分の一以上の深さの受け口をつくること」となっているわけですが、実は伐倒作業が労働災害の死亡災害の大体60%を占めているわけです。そうした中で、最近、間伐が多いのですが、当然、四十センチ以下の受け口、追い口をつくってきちんとやるべきと。ところが、たまに規則の第四百七十七条で四十センチ以上になっているではないかと変なところに固執した者がいまして、それがひいては労働災害に結び付きかねないということで、座長がおっしゃったように、やはり胸高直径の枠を設けないほうがよろしいのではないかと考えております。
○広部座長 6ページの第四百七十七条は、人力チェーンソー伐倒の話で、受け口をつくるかどうかという意味で、油圧式伐倒機を使用するときは、第一号及び第三号の規定は適用しないということで適用外になると思います。それはさておき、今の市原委員のご発言は、伐木造材機械の特別教育においては、全ての胸高直径について教育を受けることが必要であるという意味のご意見だと理解します。
○犬飼委員 教えていただきたいことを含めて。資料1-4の2ページ目の一番上ですが、「勾配30度の場所で後進したところ」という記述があるのです。少し前になるかもしれませんが、フォワーダのような機種の場合、勾配何度まで使用していいという、そういうメーカー指定が恐らくなかったような気がするのです、もちろん積載はあるのですが。何か原文を見ますと、「勾配30度」というのはかなり急なのですが、そういう規定がないために、結構、いけるところまでいってしまうみたいなところがあって。「対策の方向(案)」に「安定度」と書いてあるのですが、メーカーに頼んだらいいかよく分からないのですが、滑るという危険も含めて、機械の能力まで登っていいというような話ではなくて、そういうことを規定していただけるような方向でも是非取り組んでほしいと思います。
○内山委員 メーカーサイドでは15度までということです。これもグラップルと同じように冊子を付けまして、そういうことを書いて、フォワーダの場合には一応そこにステッカーを貼って、「15度まで」と書いてあったかどうか、今、記憶がないですが、それから、傾斜計も付けるようにしています。それで今、自分が何度の所を走っているとかが走りながらも確認ができる、というような安全対策をいつから始めたかはあれですが、かなり前からそういうことで、過積載の防止とか、下り坂のときは速度の切替スイッチを低速のほうにしてもらうとか、それから、「15度までですよ」というようなこと、そして、幾つかの条件を、「シートベルトを締めてください」というような、4種類ぐらいのステッカーを運転席に貼り、かつ、傾斜計を付けて安全にやってくださいというようなことはもうやっております。
○玉手委員 私もコメントというか、印象なのですが。先ほどの資料1-3-2の「労働災害の発生状況」ですが、今も御指摘のあったように、走行中とか、悪路による転倒とか、斜面の転倒というのがかなりの数を占めているので、そういう意味からも、走行に関する特別教育は非常に大切ではないかと思いました。
 特に災害の発生状況の事例を読ませていただくと、路肩が崩れて転倒したとか、運転手が注意するだけでは防ぎ切れないような、つまり、林業の仮設の道路といえどもしっかりつくっておかないと、堅さとか柔らかさは運転手が上から見てしまっては分かりませんので、切り盛りのどこが切り土で、どこが盛り土になっているかというのは道路になってしまうと分からないので、そういった作業道もあらかじめ準備をしていただくことも併せて必要ではないかと思いました。
○広部座長 今のご意見は非常に大切だと思います。ただ、この特別教育はあくまで機械の運転業務ということですので、作業道の作設というところまでなかなか踏み込めない部分があります。ただ、ご意見の趣旨は十分理解できますし、作業道の大切さというのは林業作業本体と比して何ら劣るものではなく、同等以上に大切なものであり、正にその基盤整備、インフラの整備という意味では大変重要であるということはいえるかと思います。
 全体を通して、ほかにご意見はありますでしょうか。もし事務局から補足の部分がありましたらお願いしたいと思います。
○川越技術審査官 それでは、本日の議論がほぼ収束したということですので、次回の検討会の予定について申し上げたいと思います。
 5月13日(月)の13時から経済産業省別館1階108共用会議室で実施することを予定しております。追って正式な通知を送付させていただきます。また、次回の内容ですが、本日の御議論を踏まえまして、事務局で報告書案を作成し、提示したいと考えております。その上でその報告書案の内容について御議論いただきたいと考えておりますので、次回もよろしくお願い申し上げます。
○広部座長 では、ほかに御意見等がないようでしたら、今日のこの第1回の検討会はここで終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。


(了)
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電話番号: 03-5253-1111(内線5486)

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