WHOとその関係協力機関が実施している臨床試験の中間結果(レムデシビル)について

WHOとその関係協力機関が実施している臨床試験の中間結果(レムデシビル)について

5月に特例承認を行ったレムデシビルについて、WHOとその関係協力機関が実施している臨床試験で、入院患者の死亡率の改善などには「ほとんど効果が認められないか、全く効果が認められなかったようだ」とする中間結果が発表されました(※1)。

WHOによれば、この中間結果については、論文の掲載のための専門家による査読(評価・検証)を受ける前のプレプリントの段階にあるとのことであり、厚生労働省としては、この臨床試験の結果に対する詳細な評価・検証を待つ必要があると考えており、今後も情報収集に努めてまいります。

なお、レムデシビルについては、5月2日に米国で緊急使用許可がなされ、我が国においては、複数の臨床試験の結果から一定の有効性(※2)が確認できたことから、5月7日に特例承認を行っています。また、欧州においても、7月3日に条件付き承認がなされており、米国でも10月22日に正式に承認がなされております(※3)。

  • (※1)プレプリントの論文には、30カ国、405の病院で、入院中の患者を対象に実施した非盲検の比較臨床試験において、標準治療群と比較したレムデシビル群の死亡リスク比は0.95(95%信頼区間0.81-1.11)であったと記載されている。
  • (※2)国際共同のプラセボ対照二重盲検比較試験(中等症~重症対象)の結果、患者の回復までの期間が15日→10日に有意に短縮等の結果が得られている。なお、死亡率については、15.2%→11.4% ハザード比0.73(95%信頼区間0.52-1.03)と改善傾向を示していたものの、統計的有意差までは認められていない。(The New England Journal of Medicineに、最終結果の論文を掲載(10/8))
  • (※3)米国FDAは、承認の際にレムデシビルに関するQAを公表しており、その中でWHOの臨床試験に対する見解を示している。
    https://www.fda.gov/media/137574/download
  • 見解のポイント
     WHOの臨床試験(SOLIDARITY試験)は非盲検の比較試験であるのに対し、FDAの承認にあたり主に評価を行った試験(ACTT-1試験)は、プラセボ対照の二重盲検比較試験である。両試験は、試験設計及び評価項目が異なっており、非盲検のSOLIDARITY試験と比較して、二重盲検のACTT-1試験の方が、回復までの期間を厳密に評価することに適している。そのため、ACTT-1試験で示された患者への利益は、SOLIDARITY試験の結果により、否定されるものではない。

以上