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石綿健康診断及び石綿健康管理手帳の対象者の見直しに関するQ&A

(平成21年4月1日施行)

【目次】

  • 1.    石綿健康診断や石綿健康管理手帳とはどのようなものですか。石綿健康管理手帳の申請方法等については、どこに問い合わせたらいいですか。
  • 2.    今回どのような見直しを行ったのですか。また、その理由は何ですか。
  • 3.    今回の見直しにより、新たに石綿健康診断及び石綿健康管理手帳の交付の対象者となるのはどのような人ですか。
  • 4.    「作業場」とは具体的にどの範囲をいうのですか。
  • 5.    直接業務に伴い石綿の粉じんを発散する作業場における業務は、すべて石綿健康診断及び石綿健康管理手帳の交付の対象業務ですか。
  • 6.    建築物等に吹き付けられた石綿等の劣化等により石綿の粉じんが発散するおそれのある作業場における業務は、石綿健康診断及び石綿健康管理手帳の交付の対象業務ですか。
  • 7.    ブレーキ、クラッチ等の石綿含有製品が使用されている機器等の作動に伴い石綿の粉じんが発散するおそれのある作業場における業務は、石綿健康診断及び石綿健康管理手帳の交付の対象業務ですか。
  • 8.    今回の見直しにより、新たに石綿健康診断の対象になる周辺業務の従事者をどのように選定すれば良いのですか。
  • 9.    周辺業務のみを行う事業者の労働者については、直接業務の事業者と周辺業務の事業者のうち、いずれの事業者が石綿健康診断を実施する必要がありますか。
  • 10.    周辺業務への一定の従事歴だけでは石綿健康管理手帳が交付されないのはなぜですか。
  • 11.    過去に周辺業務に従事した労働者についても作業の記録の作成は必要ですか。

1. 石綿健康診断や石綿健康管理手帳とはどのようなものですか。石綿健康管理手帳の申請方法等については、どこに問い合わせたらいいですか。

 事業者は、石綿等(石綿又はこれをその重量の0.1%を超えて含有する製剤その他の物をいう。以下同じ。)を製造し、又は取り扱う業務に常時従事する労働者又は常時従事していた労働者であって、現に使用しているものについては、事業者が6か月以内ごとに1回、定期に、石綿に係る健康診断(以下「石綿健康診断」という。)を実施する必要があります(労働安全衛生法第66条第2項)。
 また、過去に石綿等を製造し、又は取り扱う業務に従事し、健康診断で一定の所見(両肺野に石綿による不整形陰影があり、又は石綿による胸膜肥厚があること。)が認められる場合や当該業務に一定の従事期間がある場合は、離職の際に、事業場所在地(離職後にあっては、申請者の住所地)の都道府県労働局に石綿に係る健康管理手帳(以下「石綿健康管理手帳」という。)の交付の申請をすることにより、石綿健康管理手帳が交付されます(労働安全衛生法第67条)。石綿健康管理手帳が交付された場合には、その後、無料で6か月ごとに1回、定期に、健康診断を指定の医療機関で受けることができます。
 なお、石綿健康管理手帳は、所属していた事業場が倒産等により、今現在存在していなくても、申請することができます。
 申請方法などの詳細につきましては、お近くの都道府県労働局又は労働基準監督署にお問い合わせ下さい。

2. 今回どのような見直しを行ったのですか。また、その理由は何ですか。

 石綿健康診断や石綿健康管理手帳の交付の対象業務については、従来、石綿等の製造又は取扱いの業務(以下「直接業務」という。)に限られていましたが、専 門家の調査等により、当該業務の周辺で別の業務に従事していた労働者にも石綿のばく露に特徴的な所見である胸膜プラークや中皮腫その他の石綿関連疾患が認 められること等が指摘されました(「職業性間接ばく露に係る健康管理についての報告書」(平成20年3月中央労働災害防止協会))。今回の見直しでは、そ のような、いわゆる「職業性間接ばく露」を受けた労働者も石綿健康診断や石綿健康管理手帳の交付の対象となるよう見直しを行ったもので、平成21年4月1 日から施行されます。

3. 今回の見直しにより、新たに石綿健康診断及び石綿健康管理手帳の交付の対象者となるのはどのような人ですか。

 今回の見直しにより、従来の直接業務に加え、新たに直接業務に伴い石綿の粉じんを発散する作業場における直接業務以外の業務(以下「周辺業務」という。)も石綿健康診断の対象となり、周辺業務に常時従事し、又は従事していた労働者が新たに石綿健康診断の対象者となります。
また、石綿健康管理手帳については、周辺業務に従事していた者であって、離職した労働者のうち、「両肺野に石綿による不整形陰影があり、又は石綿による胸膜肥厚があること」を満たす方が、新たに交付の対象者となります。

4. 「作業場」とは具体的にどの範囲をいうのですか。

 作業場の範囲については、事業場毎に作業環境が異なるため一律に基準を明示することは困難ですが、石綿障害予防規則第15条の規定により、事業者が関係者以外の立入禁止の措置を講じた区域が目安となります。
 なお、屋内作業場については、壁、天井等で十分区画されていれば、その区域ともいえます。

5. 直接業務に伴い石綿の粉じんを発散する作業場における業務は、すべて石綿健康診断及び石綿健康管理手帳の交付の対象業務ですか。

 直接業務に伴い石綿の粉じんを発散する作業場における業務は、基本的に石綿健康診断及び健康管理手帳の交付の対象業務となりますが、石綿等の密閉等により 石綿の粉じんが発散しないよう措置された場所(石綿等を密閉した装置等で取り扱う場所等、作業環境管理状況等から、事業者が明らかに石綿の粉じんが発散し ないと客観的に証明できる場所をいいます。)における石綿の粉じんにばく露するおそれがない業務は、石綿による健康障害のおそれがないため、対象業務では ありません。

6. 建築物等に吹き付けられた石綿等の劣化等により石綿の粉じんが発散するおそれのある作業場における業務は、石綿健康診断及び石綿健康管理手帳の交付の対象業務ですか。

 建築物等に吹き付けられた石綿等の劣化等によりその粉じんが発散するおそれのある作業場における業務については、直接業務に伴い石綿の粉じんを発散する作業場における業務ではないため、石綿健康診断及び石綿健康管理手帳の交付の対象業務ではありません。
 なお、建築物等に吹き付けられた石綿等の劣化等によりその粉じんを発散させ、及び労働者がその粉じんにばく露するおそれがあるときは、事業者は、当該石綿等の除去、封じ込め、囲い込み等の措置を講じなければならないこととされています(石綿障害予防規則第10条)。

7. ブレーキ、クラッチ等の石綿含有製品が使用されている機器等の作動に伴い石綿の粉じんが発散するおそれのある作業場における業務は、石綿健康診断及び石綿健康管理手帳の交付の対象業務ですか。

 ブレーキ、クラッチ等の機器に石綿含有製品が使用されている場合において、当該機器の作動に伴い石綿の粉じんが発散するおそれのある作業場における業務については、直接業務に伴い石綿の粉じんを発散する作業場における業務ではないため、石綿健康診断及び健康管理手帳の交付の対象業務ではありません。ただし、当該機器等の整備、交換等については、直接業務に該当し、対象業務となる場合があります。

8. 今回の見直しにより、新たに石綿健康診断の対象になる周辺業務の従事者をどのように選定すれば良いのですか。

 石綿障害防止規則第15条の規定により関係者以外の立入禁止の措置を講ずるべき作業場において常時作業に従事し、又は従事していた労働者は石綿健康診断の対象となります。また、じん肺法施行規則別表第24号に掲げる作業(石綿に係る粉じん作業)は、直接業務又は周辺業務のいずれかに含まれるため、じん肺法第8条の規定に基づくじん肺健康診断の対象者は石綿健康診断の対象者となります。
 過去に周辺業務に従事していた労働者については、必要に応じ、当時の作業施設の見取り図(作業環境測定の記録等を含む。)、本人及び同僚等からの聞き取り、人事記録等を踏まえて判断してください。

9. 周辺業務のみを行う事業者の労働者については、直接業務の事業者と周辺業務の事業者のうち、いずれの事業者が石綿健康診断を実施する必要がありますか。

 事業者Aの労働者aが従事する直接業務に伴い石綿の粉じんが発散する作業場において、事業者Bの労働者bが周辺業務に従事していた場合、事業者Bの労働者bについては、事業者Bに石綿健康診断を実施する義務があります。

10. 周辺業務への一定の従事歴だけでは石綿健康管理手帳が交付されないのはなぜですか。

 直接業務については、石綿健康管理手帳の交付の要件の一つとして、直接業務の内容に応じた一定の従事歴が定められていますが、周辺業務については、直接業 務の内容、作業環境、石綿の粉じんの発生源からの距離等により、石綿の粉じんへのばく露量が大きく異なると考えられ、周辺業務にどの程度の期間従事するこ とにより、石綿関連疾患を発症するリスクが上昇するかに関して疫学的な知見がないため、周辺業務への一定の従事歴を石綿健康管理手帳の交付の要件とはせ ず、石綿にばく露したことを示す客観的な指標である「両肺野に石綿による不整形陰影があり、又は石綿による胸膜肥厚があること」を交付の要件としました。

11. 過去の周辺業務の従事者の作業の記録の作成は必要ですか。

 石綿障害予防規則では、事業者に、直接業務に従事する労働者について、作業の記録を義務付けていますが、今般の制度改正に伴い、平成21年4月1日から、周辺業務に従事する労働者についても、作業の記録が義務付けられます。しかし、平成21年3月31日以前に周辺業務に従事した労働者については、同日以前に係る作業の記録の作成義務はありません。ただし、そのような場合であっても、事業者は周辺業務に従事した労働者の健康管理のために可能な範囲で作業の記録を作成し、保存するよう努めてください。
 なお、周辺業務については、石綿の粉じんのばく露量と直接関係がないため、その概要を記載する必要はありませんが、当該周辺作業が行われている作業場において行われている直接業務の概要等を記載してください。(石綿障害予防規則第35条)

~お問い合わせ~

  健康診断に関すること:最寄りの労働基準監督署
  健康管理手帳に関すること:お住まいの都道府県の労働局

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