雇用・労働懲戒処分の基準等
1 社会保険労務士及び社会保険労務士法人に対する懲戒処分に関する運用基準[83KB]
(令和2年7月1日以後にした不正行為等に係る懲戒処分から適用)
2 懲戒処分の公表の基準
(1) 社会保険労務士法第25条の2及び第25条の3の規定による懲戒処分又は第25条の24の規定による違法行為等についての処分の公表事項は、次に掲げるとおりとする。
ア 対象社会保険労務士の氏名又は社会保険労務士法人の名称
イ 社会保険労務士登録番号又は社会保険労務士法人登載番号
ウ 事務所の名称及び所在地又は主たる事務所の所在地及び従たる事務所の所在地
エ 懲戒処分年月日
オ 懲戒処分の対象となった行為
カ 特に必要と認める事項
(2) 懲戒処分の公表の期間は、次に掲げるとおりとする。
ア 戒 告 処分の日から1年
イ 業務の停止 業務の停止の日から期間終了の翌日より2年
ウ 失格処分又は解散 処分の日から5年
(3) 公表等の方法
社会保険労務士法第25条の5又は第25条の24第2項の規定に基づき官報をもって公告するとともに、厚生労働省ホームページ等で公表する。
※平成31年4月1日以降の懲戒処分より適用
3 懲戒処分の事例
懲戒の対象となる行為 (社会保険労務士法の相当規定) |
懲戒内容 | 過去の懲戒処分事例 |
【社会保険労務士関係】(1) 故意に、真正の事実に反して申請書等 (第25条の2第1項) (2) 保険給付の不正受給、保険料の不正免 (第25条の2第1項) (3) 相当の注意を怠り、(1)又は(2)の行為を (第25条の2第2項) (4) 申請書等の作成の基礎となった事項に 他人の作成した申請書を審査し、適法 社会保険労務士法及びこれに基づく命 社会保険労務士たるにふさわしくない (第25条の3) 【社会保険労務士法人関係】(5) 社会保険労務士法若しくは社会保険労 運営が著しく不当と認められるとき (第25条の24) |
失格処分又は1年以内の業務の停止
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(事例1) 事業主と共謀して、虚偽の事実に基づく申請書を作成 → 失格処分((1)、(2)、(4)に該当) (事例2) 事業主から交付された保険料を国に納付せず、横領し、 → 失格処分((1)、(4)に該当)
事業主に対して労働保険料が安くなるという虚偽の説 → 1年の業務の停止((4)に該当) |
(参考)社会保険労務士法(抜粋)
(不正行為の指示等の禁止)
第十五条 社会保険労務士は、不正に労働社会保険諸法令に基づく保険給付を受けること、不正に労働社会保険諸法令に基づく保険料の賦課又は徴収を免れることその他労働社会保険諸法令に違反する行為について指示をし、相談に応じ、その他これらに類する行為をしてはならない。
(審査事項等を記載した書面の添付等)
第十七条 社会保険労務士又は社会保険労務士法人は、申請書等(厚生労働省令で定めるものに限る。)を作成した場合には、厚生労働省令で定めるところにより、当該申請書等の作成の基礎となつた事項を、書面に記載して当該書面を当該申請書等に添付し、又は当該申請書等に付記することができる。
2 社会保険労務士又は社会保険労務士法人は、申請書等(厚生労働省令で定めるものに限る。)で他人の作成したものにつき相談を受けてこれを審査した場合において、当該申請書等が労働社会保険諸法令に従つて作成されていると認めたときは、厚生労働省令で定めるところにより、その審査した事項及び当該申請書等が労働社会保険諸法令の規定に従つて作成されている旨を、書面に記載して当該書面を当該申請書等に添付し、又は当該申請書等に付記することができる。
3 社会保険労務士又は社会保険労務士法人が前二項の規定による添付又は付記をしたときは、当該添付又は付記に係る社会保険労務士は、当該添付書面又は当該付記の末尾に社会保険労務士である旨を付記した上、記名押印しなければならない。
(懲戒の種類)
第二十五条 社会保険労務士に対する懲戒処分は、次の三種とする。
一 戒告
二 一年以内の開業社会保険労務士若しくは開業社会保険労務士の使用人である社会保険労務士又は社会保険労務士法人の社員若しくは使用人である社会保険労務士の業務の停止
三 失格処分(社会保険労務士の資格を失わせる処分をいう。以下同じ。)
(不正行為の指示等を行つた場合の懲戒)
第二十五条の二 厚生労働大臣は、社会保険労務士が、故意に、真正の事実に反して申請書等の作成、事務代理若しくは紛争解決手続代理業務を行つたとき、又は第十五条の規定に違反する行為をしたときは、一年以内の開業社会保険労務士若しくは開業社会保険労務士の使用人である社会保険労務士若しくは社会保険労務士法人の社員若しくは使用人である社会保険労務士の業務の停止又は失格処分の処分をすることができる。
2 厚生労働大臣は、社会保険労務士が、相当の注意を怠り、前項に規定する行為をしたときは、戒告又は一年以内の開業社会保険労務士若しくは開業社会保険労務士の使用人である社会保険労務士若しくは社会保険労務士法人の社員若しくは使用人である社会保険労務士の業務の停止の処分をすることができる。
(一般の懲戒)
第二十五条の三 厚生労働大臣は、前条の規定に該当する場合を除くほか、社会保険労務士が、第十七条第一項若しくは第二項の規定により添付する書面若しくは同条第一項若しくは第二項の規定による付記に虚偽の記載をしたとき、この法律及びこれに基づく命令若しくは労働社会保険諸法令の規定に違反したとき、又は社会保険労務士たるにふさわしくない重大な非行があつたときは、第二十五条に規定する懲戒処分をすることができる。
(懲戒処分の通知及び公告)
第二十五条の五 厚生労働大臣は、第二十五条の二又は第二十五条の三の規定により懲戒処分をしたときは、遅滞なく、その旨を、その理由を付記した書面により当該社会保険労務士に通知するとともに、官報をもって公告しなければならない。
(違法行為等についての処分)
第二十五条の二十四 厚生労働大臣は、社会保険労務士法人がこの法律若しくはこの法律に基づく命令に違反し、又は運営が著しく不当と認められるときは、その社会保険労務士法人に対し、戒告し、若しくは一年以内の期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命じ、又は解散を命ずることができる。
2 第二十五条の三の二、第二十五条の四及び第二十五条の五の規定は、前項の処分について準用する。
3 第一項の規定による処分の手続に付された社会保険労務士法人は、清算が結了した後においても、この条の規定の適用については、当該手続が結了するまで、なお存続するものとみなす。
4 第一項の規定は、同項の規定により社会保険労務士法人を処分する場合において、当該社会保険労務士法人の社員又は使用人である社会保険労務士(以下この項において「社員等」という。)につき第二十五条の二又は第二十五条の三に該当する事実があるときは、その社員等である社会保険労務士に対し、懲戒処分を併せて行うことを妨げるものと解してはならない。