自然毒のリスクプロファイル:魚類:シガテラ毒

概要版

 
バラフエダイ           イッテンフエダイ
 
  バラハタ               イシガキダイ
有毒種 日本で中毒原因となる有毒種は、主にフエダイ科フエダイ属のバラフエダイイッテンフエダイ、イトヒキフエダイ属のイトヒキフエダイ、ハタ科バラハタ属のバラハタ、マハタ属のアカマダラハタ、スジアラ属のオオアオノメアラ、アズキハタ属のアズキハタ、イシダイ科イシダイ属のイシガキダイ、アジ科ブリ属のヒラマサなどである。
有毒部位 筋肉、内臓
中毒発生状況 日本では沖縄県で他の地域と比較して多く発生している。沖縄県での1997年~2006年の発生件数は33件、患者総数は103名と報告されているが、この他にも多くの事例が潜在すると思われる。最近では、九州や本州でイシガキダイを原因とする事例が相次いで発生し、問題となっている。(直近のシガテラ毒による食中毒発生状況は詳細版を参照。)
中毒症状 主症状は神経症状であるドライアイスセンセーション(温度感覚の異常)、掻痒、四肢の痛みで、筋肉痛、関節痛、頭痛、めまい、脱力、排尿障害などもある。また、消化器系症状(下痢、嘔吐、腹痛、悪心等)や循環器系症状(不整脈、血圧低下、徐脈等)も呈することがある。神経症状は、軽症では1週間程度で治まるが、重症な場合では数ヶ月から1年以上継続することがある。死亡例は極めて稀である。
毒成分 シガトキシンおよび類縁化合物

リスクプロファイリング・魚類:シガテラ毒

フエダイ科フエダイ属バラフエダイ:シガテラ毒

標準和名 バラフエダイ
英名 Large red mumea、red mumea、red snapper
学名 Lutjanus bohar
地方名 アカドクタルミ、フタツボシドクギョ、バラタルミ、アカナー、ハーナシュビ(沖縄県)
形態的特徴 体色は赤褐色で、尾鰭両縁は黒く、先端部は白い。体長は1 mに達する。
分布 琉球列島、インド・中部太平洋のサンゴ礁域
有毒部位 筋肉、内臓
毒性 弱毒
毒成分 シガトキシンおよび類縁化合物

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フエダイ科フエダイ属イッテンフエダイ:シガテラ毒

標準和名 イッテンフエダイ
英名 Snapper、onespot snapper、red snapper
学名 Lutjanus monostigma
地方名 スビ、アカシュビ、スクスビ、トクシビ、イノースビ、ヒシヤマトビー(沖縄県)
形態的特徴 舌上には歯がなく、黒点は小さくて側線上にある。体長は60 cmに達する。
分布 琉球列島、インド太平洋、紅海のサンゴ礁域
有毒部位 筋肉、内臓
毒性 強毒
毒成分 シガトキシンおよび類縁化合物

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ハタ科バラハタ属バラハタ:シガテラ毒

標準和名 バラハタ
英名 Large grouper
学名 Variola louti
地方名 ナガジューミーバイ、ブナガニーバル、スワスン(沖縄県)
形態的特徴 体色は赤色または黒褐色で、尾鰭後縁は深く湾入し、上下両葉は延長する。体長は60~70 cmに達する。
分布 琉球列島、インド・太平洋
有毒部位 筋肉、内臓
毒性 強毒
毒成分 シガトキシンおよび類縁化合物

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イシダイ科イシダイ属イシガキダイ:シガテラ毒

標準和名 イシガキダイ
英名 Spotted knifejaw
学名 Oplegnathus punctatus
地方名 トウモリ(三重県)、コメカミ(徳島県)、コウロウ、モミジコウロウ(愛媛県)
形態的特徴 雄の老成魚は吻部が白化し、体側の斑点が消失する。体長は80~90 cmに達する。
分布 本州中部以南、南シナ海
有毒部位 筋肉(内臓は不明)
毒性 弱毒
毒成分 シガトキシンおよび類縁化合物

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ウツボ科ウツボ属ドクウツボ:シガテラ毒


「有毒魚介類携帯図鑑(緑書房)」より転載
標準和名 ドクウツボ
英名 Javanese moray eel、giant moray
学名 Gymnothorax javanicus
形態的特徴 体には3~4列のやや不規則に並ぶ黒褐色斑と多数の小黒褐色点があり、黒褐色斑は成長に伴い不明瞭となる。鰓孔は黒色。全長は1.8 m程度で大型種である。
分布 琉球列島、インド・太平洋
有毒部位 筋肉、内臓
毒性 猛毒
毒成分 シガトキシンおよび類縁化合物
備考 日本では古くに中毒事例の記録がある。太平洋域での中毒が多く、毒性が強いので集団食中毒を起こすことが多い。

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カマス科カマス属オニカマス:シガテラ毒


「有毒魚介類携帯図鑑(緑書房)」より転載
標準和名 オニカマス
別名 ドクカマス
英名 Barracuda、dingo-fish、giant (great) barracuda
学名 Sphyraena barracuda
地方名 チチルカマサー、ジキランカマサー(沖縄県)
形態的特徴 成魚では尾鰭の形が特有で、体側に黒色斑があることが多い。カマス類のなかでは最大種で体長は1.5 mに達する。
分布 南日本、東部太平洋を除く太平洋、インド洋、大西洋の熱帯海域(幼魚はマングローブ域や内湾でみられる)
有毒部位 筋肉、内臓
毒性 猛毒
毒成分 シガトキシンおよび類縁化合物
備考 日本では古くに集団食中毒事例の記録がある。太平洋域での中毒も比較的多い。

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ハタ科マハタ属マダラハタ:シガテラ毒


「藤本佳道・谷山茂人:CD-R輸入魚類の資料Ver. IV 特別限定版(非売品)」より転載
標準和名 マダラハタ
別名 イワハタ
英名 Black rockcod
学名 Epinephelus polyphekadion
地方名 ユダヤーミーバイ、イシミーバイ(沖縄県)
形態的特徴 上顎の後端は眼の後縁より後方に達する。鰓蓋上縁は強く湾曲し、体と鰭には暗褐色斑点が密布する。体の背側には約5個の濃褐色の斑紋があり、幽門垂は11本である。アカマダラハタによく似ているが、胸鰭条数、鰓耙数、側線孔鰭数などが少ない点が異なっている。体長は50~60 cm。
分布 南日本~インド洋
有毒部位 筋肉、内臓
毒性 強毒
毒成分 シガトキシンおよび類縁化合物
備考 太平洋域での中毒が比較的多い。

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ハタ科マハタ属アカマダラハタ:シガテラ毒


「藤本佳道・谷山茂人:CD-R輸入魚類の資料Ver. IV 特別限定版(非売品)」より転載
標準和名 アカマダラハタ
英名 Black rock(-)cod、blotchy rockcod、carpet cod
学名 Epinephelus fuscoguttatus
地方名 ユダヤーミーバイ、アカアーラ、アカバニー(沖縄県)
形態的特徴 体色は赤みを帯びた褐色で、幽門垂は約30本ある。マダラハタによく似ているが、胸鰭条数、鰓耙数、側線孔鰭数などが多い点が異なっている。体長は70~80 cm。
分布 琉球列島~インド洋
有毒部位 筋肉、内臓
毒性 弱毒
毒成分 シガトキシンおよび類縁化合物
備考 太平洋域での中毒が比較的多い。

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ハタ科ユカタハタ属アオノメハタ:シガテラ毒


「藤本佳道・谷山茂人:CD-R輸入魚類の資料Ver. IV 特別限定版(非売品)」より転載
標準和名 アオノメハタ
別名 オハグロハタ
英名 Black rock-cod、blue-spotted argus、blue-spotted grouper
学名 Cephalopholis argus
地方名 ヤワラーミーバイ、イサゴヤワラ(沖縄県)
形態的特徴 体色は暗褐色で青色点が密布している。上顎の後端は眼の後縁を超え、胸鰭長は頭部眼後長より短い。体長は40 cmに達する。
分布 琉球列島~インド洋
有毒部位 筋肉、内臓
毒性 弱毒
毒成分 シガトキシンおよび類縁化合物
備考 太平洋域での中毒が比較的多いが、軽症の場合が多い。

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フエフキダイ科フエフキダイ属キツネフエフキ:シガテラ毒


「藤本佳道・谷山茂人:CD-R輸入魚類の資料Ver. IV 特別限定版(非売品)」より転載
標準和名 キツネフエフキ
英名 Emperor bream、long-nosed emperor、longnose emperor
学名 Lethrinus olivaceus
地方名 オモナガー、ヤキー(沖縄県)
形態的特徴 通常、眼から2~3本の不明瞭な暗色線が放射状にでる。上唇を除く吻端から前鼻孔までの距離は眼窩から前鰓蓋骨の角までの距離より長い。胸鰭内側基部には鱗がない。両顎側部の歯は先がとがる。全長は1 m近くになる。
分布 鹿児島県以南、ポリネシア~紅海、アフリカ東海岸
毒性 弱毒(稀に猛毒・強毒)
毒成分 シガトキシンおよび類縁化合物
備考 死亡事例があるといわれている。

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厚生労働省健康・生活衛生局食品監視安全課

水産安全係

電話 03-5253-1111(内線4244)