2024年 結核登録者情報調査年報集計結果について
当該年報は、2024年1月1日から同年12月31日の間に、新たに登録された結核患者及び潜在性結核感染症(LTBI)の者と、2024年12月31日現在に登録されているすべての登録者に関する状況について、感染症サーベイランスシステム上の結核登録者情報システムに全国の保健所から入力されたものを、取りまとめたものである。
2024年 結核登録者情報調査年報集計結果[413KB]
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2024年 結核登録者情報調査年報集計結果について
~表ごとの解説~
諸外国と日本の結核罹患率について
2024年の結核罹患率(人口10万対)は、前年と変わらず8.1となっており、結核低まん延国の水準である10.0以下を2024年も継続している。
日本の結核罹患率は、米国等他の先進国の水準に近づき、近隣アジア諸国に比べても低い水準にある。
都道府県別の結核罹患率(人口10万対)は、大阪府、徳島県、大分県、岐阜県、和歌山県の順に高く、山形県、長野県、山梨県、新潟県、北海道の順に低くなっている。大阪府の結核罹患率は12.8であり、最も低い山形県の結核罹患率4.1の3.1倍となっている。
2024年の結核による死亡数は1,461人(概数)で、前年の1,587人に比べ126人減少している。死亡率(人口10万対)は1.2で前年から0.1減少している。
日本の結核罹患率は、米国等他の先進国の水準に近づき、近隣アジア諸国に比べても低い水準にある。
結核罹患率の都道府県別おもな順位について
結核の死亡数及び死亡率の年次推移について
新登録結核患者数及び罹患率の年次推移について
(1)2024年に、新たに結核患者として登録された者の数(新登録結核患者数)は10,051人で、前年より45人(0.4%)減少している。減少率を見ると、2023年の前年からの減少率は1.4%(10,235人→10,096人)の減少であり、2024年の減少幅は1.0ポイント小さくなっている。(表4-1)
(2)2024年の結核罹患率(人口10万対)は8.1となっており、結核低まん延の水準である罹患率10.0以下の状態は2021年以降継続している。2023年の前年からの結核罹患率の減少は0.1(8.2→8.1)であったが、2024年は減少なしの前年と同率となっている。(表4-1、図1)
(3)喀痰塗抹陽性肺結核の患者数は3,352人で、前年より172人(4.9%)減少している。(表4-2)
(4)喀痰塗抹陽性肺結核の罹患率(人口10万対)は2.7であり、前年の2.8より0.1減少している。喀痰塗抹陽性肺結核の患者が全体に占める割合は33.3%で、前年から1.6ポイントの減少となっている。(表4-2)
(2)2024年の結核罹患率(人口10万対)は8.1となっており、結核低まん延の水準である罹患率10.0以下の状態は2021年以降継続している。2023年の前年からの結核罹患率の減少は0.1(8.2→8.1)であったが、2024年は減少なしの前年と同率となっている。(表4-1、図1)
(3)喀痰塗抹陽性肺結核の患者数は3,352人で、前年より172人(4.9%)減少している。(表4-2)
(4)喀痰塗抹陽性肺結核の罹患率(人口10万対)は2.7であり、前年の2.8より0.1減少している。喀痰塗抹陽性肺結核の患者が全体に占める割合は33.3%で、前年から1.6ポイントの減少となっている。(表4-2)
年次別・年齢階級別 新登録結核患者数および潜在性結核感染症新登録者数について
(1)年齢階級別の新登録結核患者数は、15歳から39歳までの年齢層で増加がみられ、特に20~29歳では248人(23.8%)の増加となり、これは主に外国出生結核患者の増加によるものである。また、90歳以上で28人(2.0%)の増加となっている。0~14歳の小児結核は30人で前年から7人(18.9%)の減少となっている。40歳から89歳までの年齢層では減少となっており、減少数が最も大きかったのは70~79歳で190人(9.8%)の減少となっている。各年齢階級別で全体に占める割合は、80~89歳が28.4%と最も高くなっている。(表5-1)
(2)年齢階級別の喀痰塗抹陽性肺結核新登録患者数では、20~29歳で49人(20.4%)の増加となっている。0~14歳の小児喀痰塗抹陽性肺結核発生は2人となって前年から1人増加となっている。減少数が最も大きかった年齢階級は70~79歳で75人(10.8%)の減少となっている。各年齢階級別で全体に占める割合は、80~89歳が32.9%と最も高くなっている。(表5-2)
(3)小児結核患者(14歳以下)のうち、重症結核例である粟粒結核の発生は1人、結核性髄膜炎の発生はなしとなっている。粟粒結核は1歳の日本出生患者となっている。(表5-3)
(4)2024年に新たに登録された潜在性結核感染症の者の数は5,967人で、前年より934人(18.6%)の増加となっている。全ての年齢階級で増加しているが、最も増加数が大きかったのは70~79歳で203人(20.7%)の増加となっている。0~4歳は313人で、全体の5.2%となっている。(表5-4)
(5)新登録結核患者数に対する潜在性結核感染症新登録者数の比は、全体では0.6と潜在性結核感染症新登録者数の方が少なくなっているが、14歳以下の年齢階級では4.1以上となっており、潜在性結核感染症新登録患者数の方が多くなっている。特に0~4歳は16.5となっている。また、40~49歳と50~59歳では、それぞれ1.2と1.1で、潜在性結核感染症新登録患者数の方が多くなっている。(表5-5)
(6)2024年の職業別にみた潜在性結核感染症新登録者数では、医療職(看護師・保健師、医師、その他の医療職)は1,044人で、割合は17.5%となっており、前年の16.8%から0.7ポイントの増加となっている。また、医療職、接客業、教員・保育士以外の常用勤労者では214人(24.3%)の増加となっている。最も登録患者数の増加が大きかったのは無職・その他で312人(15.3%)の増加となっている。乳幼児、保育園、幼稚園児・小中学生、高校生以上の生徒学生の登録者数は714人で、割合は12.0%となり、前年の12.9%から0.9ポイントの減少となっている。(表5-6)
(7)外国生まれ新登録結核患者数は1,980人で、前年から361人(22.3%)増加している。新登録結核患者における外国生まれの者の割合も19.7%と前年の16.0%から3.7ポイントの増加となっている。特に、20~29歳では外国生まれ新登録結核患者数は前年に比べて277人(31.3%)増加して1,161人となっており、同年齢階級での割合は90.0%と前年から5.2ポイントの増加となっている。30~39歳においても外国生まれ新登録結核患者数は73人(21.9%)増加して407人となり、割合は前年の61.6%から7.3ポイント増加して68.9%となっている。(表5-7)
(8)外国生まれ新登録結核患者のうち、入国5年以内の者は、前年の888人から278人(31.3%)増加し1,166人となっている。外国生まれ新登録結核患者のうちで占める割合も58.9%と半数以上は5年以内の入国の者となっている。最も患者数が多い20~29歳の年齢階級では、前年から240人(38.8%)増加して859人となっている。(表5-8)
(9)日本生まれ新登録結核患者数は、前年の8,206人から295人(3.6%)減少して7,911人となっている。年齢階級別では80~89歳の患者数が最も多く2,780人で日本生まれ新登録結核患者の35.1%となっている。15歳以上の年齢階級では、90歳以上で58人(4.3%)の増加となった以外では患者数は減少となっている。減少数が最も大きかったのは70~79歳で161人(8.7%)の減少となっている。(表5-9)
(2)年齢階級別の喀痰塗抹陽性肺結核新登録患者数では、20~29歳で49人(20.4%)の増加となっている。0~14歳の小児喀痰塗抹陽性肺結核発生は2人となって前年から1人増加となっている。減少数が最も大きかった年齢階級は70~79歳で75人(10.8%)の減少となっている。各年齢階級別で全体に占める割合は、80~89歳が32.9%と最も高くなっている。(表5-2)
(3)小児結核患者(14歳以下)のうち、重症結核例である粟粒結核の発生は1人、結核性髄膜炎の発生はなしとなっている。粟粒結核は1歳の日本出生患者となっている。(表5-3)
(4)2024年に新たに登録された潜在性結核感染症の者の数は5,967人で、前年より934人(18.6%)の増加となっている。全ての年齢階級で増加しているが、最も増加数が大きかったのは70~79歳で203人(20.7%)の増加となっている。0~4歳は313人で、全体の5.2%となっている。(表5-4)
(5)新登録結核患者数に対する潜在性結核感染症新登録者数の比は、全体では0.6と潜在性結核感染症新登録者数の方が少なくなっているが、14歳以下の年齢階級では4.1以上となっており、潜在性結核感染症新登録患者数の方が多くなっている。特に0~4歳は16.5となっている。また、40~49歳と50~59歳では、それぞれ1.2と1.1で、潜在性結核感染症新登録患者数の方が多くなっている。(表5-5)
(6)2024年の職業別にみた潜在性結核感染症新登録者数では、医療職(看護師・保健師、医師、その他の医療職)は1,044人で、割合は17.5%となっており、前年の16.8%から0.7ポイントの増加となっている。また、医療職、接客業、教員・保育士以外の常用勤労者では214人(24.3%)の増加となっている。最も登録患者数の増加が大きかったのは無職・その他で312人(15.3%)の増加となっている。乳幼児、保育園、幼稚園児・小中学生、高校生以上の生徒学生の登録者数は714人で、割合は12.0%となり、前年の12.9%から0.9ポイントの減少となっている。(表5-6)
(7)外国生まれ新登録結核患者数は1,980人で、前年から361人(22.3%)増加している。新登録結核患者における外国生まれの者の割合も19.7%と前年の16.0%から3.7ポイントの増加となっている。特に、20~29歳では外国生まれ新登録結核患者数は前年に比べて277人(31.3%)増加して1,161人となっており、同年齢階級での割合は90.0%と前年から5.2ポイントの増加となっている。30~39歳においても外国生まれ新登録結核患者数は73人(21.9%)増加して407人となり、割合は前年の61.6%から7.3ポイント増加して68.9%となっている。(表5-7)
(8)外国生まれ新登録結核患者のうち、入国5年以内の者は、前年の888人から278人(31.3%)増加し1,166人となっている。外国生まれ新登録結核患者のうちで占める割合も58.9%と半数以上は5年以内の入国の者となっている。最も患者数が多い20~29歳の年齢階級では、前年から240人(38.8%)増加して859人となっている。(表5-8)
(9)日本生まれ新登録結核患者数は、前年の8,206人から295人(3.6%)減少して7,911人となっている。年齢階級別では80~89歳の患者数が最も多く2,780人で日本生まれ新登録結核患者の35.1%となっている。15歳以上の年齢階級では、90歳以上で58人(4.3%)の増加となった以外では患者数は減少となっている。減少数が最も大きかったのは70~79歳で161人(8.7%)の減少となっている。(表5-9)
年次別・年齢階級別 結核罹患率について
(1)年齢階級別の結核罹患率は、70歳以上の高齢層で高くなっている。60~69歳の罹患率は5.3で全年齢の罹患率より低いが、70~79歳で10.9、80~89歳で28.3、90歳以上では51.1となっている。全体としては、外国生まれ患者の影響がある若年層を除いて、年齢階級別罹患率の年次推移は減少傾向となっている。(表6-1)
(2) 菌喀痰塗抹陽性肺結核の罹患率も、同様に、高齢層ほど高くなっている。79歳以下の年齢階級は3.9以下だが、80~89歳で11.0、90歳以上では19.5となっている。(表6-2)
(3)新登録結核患者のうち、日本生まれの患者の結核罹患率は、前年から0.2減少の6.6となっている。外国生まれ結核患者の影響が除かれた20~29歳の罹患率は1.1、30~39歳で1.4となっており、全体の罹患率からは低くなっている。(表6-3)
(1)2024年の都道府県別の新登録結核患者数は、47都道府県のうち25で前年から増加している。新登録結核患者数が最も多いのは東京都の1,187人で、次いで大阪府の1,118人となっている。(表7-1)
(2)2024年の都道府県別の結核罹患率は、47都道府県のうち25で前年から増加している。結核低まん延の水準である罹患率が10.0以下の都道府県の数は、41に達している。最も低い山形県の罹患率は4.1となっている。罹患率が最も高い大阪府は12.8で山形県の3.1倍となっている。(表7-2)
2024年末現在の結核登録者数は21,621人と、前年の22,426人より805人減少している。そのうち、活動性全結核の患者数は6,712人と、前年より82人減少している。また、2024年末の結核有病率は、前年の5.5から0.1減少し、5.4となっている。(表8)
(2) 菌喀痰塗抹陽性肺結核の罹患率も、同様に、高齢層ほど高くなっている。79歳以下の年齢階級は3.9以下だが、80~89歳で11.0、90歳以上では19.5となっている。(表6-2)
(3)新登録結核患者のうち、日本生まれの患者の結核罹患率は、前年から0.2減少の6.6となっている。外国生まれ結核患者の影響が除かれた20~29歳の罹患率は1.1、30~39歳で1.4となっており、全体の罹患率からは低くなっている。(表6-3)
新登録結核患者数及び結核罹患率 都道府県別・年次推移について
(2)2024年の都道府県別の結核罹患率は、47都道府県のうち25で前年から増加している。結核低まん延の水準である罹患率が10.0以下の都道府県の数は、41に達している。最も低い山形県の罹患率は4.1となっている。罹患率が最も高い大阪府は12.8で山形県の3.1倍となっている。(表7-2)
年末時結核登録者数及び有病率の年次推移について
新登録結核患者の疫学的特徴について
<再治療者>
<発見の遅れ>
(イ)診断が遅れた(受診から結核の診断までの期間が1か月以上)患者の割合は、前年から0.1ポイント減少して22.4%となっている。このうち30~59歳の有症状菌喀痰塗抹陽性肺結核患者に限定すると、診断が遅れた患者の割合は17.2%で、前年から2.2ポイントの増加となっている。(表10-2)
(ウ)発見が遅れた(症状発現から結核の診断までの期間が3か月以上)患者の割合は、0.5ポイント増加して21.8%となっている。このうち30~59歳の有症状菌喀痰塗抹陽性肺結核患者に限定すると、発見が遅れた患者の割合は31.8%で、前年から8.6ポイントの減少となっている。(表10-3)
<薬剤耐性>
*: 2023年までは、新登録肺結核患者のうち結核菌培養検査での結果陽性患者。2024年は、新登録肺結核患者のうち治療歴なし、または治療歴不明では、結核菌培養検査またはその他の結核菌検査での結果陽性患者。治療歴ありでは、結核菌培養検査での結果陽性患者。
<糖尿病、HIV合併>
<医療従事者>
(イ)2024年の新登録結核患者のうち、医師の登録患者は20人で、前年より4人減少となっている。新登録結核患者中の割合は0.2%となっている。20歳から79歳の各年齢階級別新登録結核患者中割合は0.0~0.5%となっている。(表13-2)
(ウ)2024年の新登録結核患者のうち、理学療法士、作業療法士、検査技師、放射線技師など、看護師・保健師・医師以外の者で医療機関に勤務する者の登録患者数は265人で、前年の204人から61人の増加となり、新登録結核患者のうちの割合は2.6%となっている。年齢階級別では、20~29歳が最も多く115人で、前年の65人から50人の増加となっており、同年齢階級新登録結核患者の8.9%となっている。(表13-3)
<無職臨時日雇など>
また、男性の患者に占める無職臨時日雇等の者の年齢階級別割合は55~59歳が最も高く28.0%となっており、前年からは4.7ポイントの増加となっている。(表14-1、14-2)
<治療成績>
2023年の新登録再治療結核患者の2024年末での治療成績は、治療成功が71.5%、死亡18.9%、失敗0.0%、脱落・中断2.6%、転出2.8%、治療中4.2%、不明0.0%となっている。(表15-2)
2023年の潜在性結核感染症新登録者のうち治療を開始した者の2024年末での治療完了率は86.3%となっている。脱落・中断は7.0%となっているが、30歳以上で高くなる傾向がみられており、90歳以上では11.5%となっている。(表15-3)
2022年の新登録結核患者で多剤耐性結核患者の2024年末での治療成績は、対象37人のうち治療成功59.5%、死亡16.2%、失敗0.0%、脱落・中断2.7%、転出21.6%、治療中0.0%、不明0.0%となっている。(表15-4)