認定再生医療等委員会について

特定認定再生医療等委員会及び認定再生医療等委員会について紹介しています

1.認定再生医療等委員会とは?

「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」(平成25年法律第85号。以下「再生医療等安全性確保法」という。)における「認定再生医療等委員会」とは、再生医療等や法律の専門家等の有識者からなる合議制の委員会で、一定の手続により厚生労働大臣の認定を受けたものをいい、「特定認定再生医療等委員会」は、認定再生医療等委員会のうち、特に高度な審査能力、第三者性を有するものをいいます。
再生医療等のうち、第一種及び第二種再生医療等については、特定認定再生医療等委員会による審査が必要です。

(注1)「認定再生医療等委員会」とは、再生医療等技術や法律の専門家等の有識者からなる合議制の委員会で、一定の手続により厚生労働大臣の認定を受けたものをいい、「特定認定再生医療等委員会」は、認定再生医療等委員会のうち、特に高度な審査能力、第三者性を有するもの。
(注2) 厚生労働大臣への提供計画の提出の手続を義務付ける。提供計画を提出せずに再生医療等を提供した場合は、再生医療等安全性確保法違反となる。

2.業務について

認定再生医療等委員会の業務は下記のとおりです。(法第26条第1項第1号~第4号)

再生医療等提供計画に関する意見

  • 再生医療等提供機関の管理者から再生医療等提供計画について意見を求められた場合において再生医療等提供基準に照らし審査を行い、その提供の適否及び提供に当たって留意すべき事項について意見を述べること。
     

疾病等報告に関する意見

  • 再生医療等提供機関の管理者から再生医療等の提供に起因するものと疑われる疾病、障害若しくは死亡又は感染症の発生に関する報告を受けた場合において、必要があると認められるときは、その原因の究明及び講ずべき措置について意見を述べること。

定期報告に関する意見

  • 再生医療等提供機関の管理者から再生医療等の提供の状況について報告を受けた場合において、必要があると認められるときは、提供に当たって留意すべき事項若しくは改善すべき事項について意見を述べ、又は提供を中止すべき旨の意見を述べること。

安全性その他適正な提供に関する意見

  • 再生医療等の安全性の確保等その他再生医療等の適正な提供のため必要があると認めるときは、は、再生医療等提供機関の管理者に対し、再生医療等提供計画に記載された事項に関して意見を述べること。

3.認定について

認定再生医療等委員会を設置できる団体

  1. 病院又は診療所の開設者 
  2. 医学医術に関する学術団体
  3. 一般社団法人又は一般財団法人
  4. 特定非営利活動促進法第2条第2項に規定する特定非営利活動法人
  5. 私立学校法第3条に規定する学校法人
    (医療機関を有するものに限る。)
  6. 独立行政法人通則法第2条第1項に規定する独立行政法人
    (医療の提供等を業務とするものに限る。)
  7. 総務省設置法第4条第1項第8号の規定の適用を受ける特殊法人
    (医療の提供等を業務とするものに限る。)
  8. 国立大学法人法第2条第1項に規定する国立大学法人
    (医療機関を有するものに限る。)
  9. 地方独立行政法人法第2条第1項に規定する地方独立行政法人
    (医療機関を有するものに限る。)
※2から4までに掲げる者のいずれかが設置する場合は以下の要件を満たす必要があります。
  • 定款その他これに準ずるものにおいて、再生医療等委員会を設置する旨の定めがあること
  • その役員のうちに、医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療関係者が含まれていること
  • その役員に占める次に掲げる者の割合が、それぞれ3分の1以下であること
  • その他の当該医療機関と密接な関係を有する者
  • その他の当該法人と密接な関係を有する者
  • 再生医療等委員会の設置及び運営に関する業務を適確に遂行するに足りる財産的基礎があること
  • 財産目録、貸借対照表等の書類を事務所に備え、一般に閲覧可能としていること
  • その他、再生医療等委員会の業務の公正かつ適正な遂行を損なうおそれがないこと

認定再生医療等委員会の委員の構成要件・構成基準

認定再生医療等委員会の委員の構成要件については、審査の対象となる医療技術に用いるものによって異なります。

特定認定再生医療等委員会の委員の構成要件(施行規則第44条)
特定認定再生医療等委員会の委員 審査対象
細胞加工物 核酸等
右記以外 Ex vivo
遺伝子
治療
分子生物学、細胞生物学、遺伝学、臨床薬理学又は病理学の専門家
再生医療等について十分な科学的知見及び医療上の識見を有する者
臨床医(現に診療に従事している医師又は歯科医師をいう。)
審査等業務の対象となる再生医療等の提供において用いられる特定細胞加工物等の製造に関する識見を有する者 特定細胞加工物の製造
特定核酸等の製造
医学又は医療分野における人権の尊重に関して理解のある法律に関する専門家
生命倫理に関する識見を有する者
生物統計その他の臨床研究に関する識見を有する者
一般の立場の者
遺伝子治療が人に与える影響について十分な科学的知見及び識見を有する者
核酸等に係る遺伝子組換え生物の取扱いについて科学的知見及び識見を有する者
〇:必須、-:必須ではない
特定認定再生医療等委員会の構成基準(施行規則第46条)
  • 各委員の兼務は不可→委員数は最低8名以上必要となる(遺伝子治療の場合は最低10名以上が必要)
  • 男性及び女性がそれぞれ2名以上含まれていること
  • 設置者と利害関係を有しない者が2名以上含まれていること
  • 同一医療機関(当該医療機関と密接な関係を有するものを含む。)に所属している者が半数未満
第三種のみ審査する認定再生医療等委員会の委員の構成要件(施行規則第45条)
  1. 再生医療等について十分な科学的知見及び医療上の識見を有する者を含む2名以上の医学又は医療の専門家(ただし、所属機関が同一でない者が含まれ、かつ、少なくとも1名は医師又は歯科医師であること。)
  2. 医学又は医療分野における人権の尊重に関して理解のある法律に関する専門家又は生命倫理に関する識見を有する者
  3. 1.及び2.に掲げる者以外の一般の立場の者
第三種のみ審査する認定再生医療等委員会の構成基準(施行規則第47条)
  • 委員数は5名以上
  • 各委員の兼務は不可
  • 男性及び女性がそれぞれ1名以上含まれていること
  • 設置者と利害関係を有しない者が2名以上含まれていること
  • 同一医療機関(当該医療機関と密接な関係を有するものを含む。)に所属している者が半数未満

認定要件と欠格事由

認定の要件(法第26条第4項)
再生医療等委員会が次に掲げる要件に適合すると認める場合、厚生労働大臣が認定します。
  1. 第一種から第三種の再生医療等提供基準に照らして審査等業務を適切に実施する能力を有する者として医学又は法律学の専門家その他の厚生労働省令で定める者から構成されること 
  2. 委員の構成が、審査等業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないこと
  3. 審査等業務の実施の方法、審査等業務に関して知り得た情報の管理及び秘密の保持の方法等その他の審査業務を適切に実施するための体制が整備されていること
  4. 手数料の算定の基準が審査等業務に要する費用に照らし、合理的なものとして厚生労働省令で定める基準に適合するものであること
  5. その他審査等業務の適切な実施のために必要なものとして以下の基準に適合するものであること
    1. 再生医療等委員会に、委員長を置くこと
    2. 審査等業務が適正かつ公正に行えるよう、その活動の自由及び独立が保障されていること
    3. 審査等業務に関する規程が定められていること
    4. 審査等業務の透明性を確保するため、審査等業務に関する規程、委員名簿その他再生医療等委員会の認定に関する事項及び審査等業務の過程に関する記録に関する事項について、厚生労働省が整備するデータベースに記録することにより公表すること
      ただし、以下の申請書等又はその添付書類に記載された事項については、当該事項を公表したものとみなす
      • 認定申請書(様式第5)
      • 変更申請書(様式第7)
      • 軽微変更届書(様式第8)
      • 変更届書(様式第9)
      • 更新申請書(様式第12)
    5. 審査等業務を継続的に実施できる体制を有すること
    6. 苦情及び問合せを受け付けるための窓口を設置していること
欠格事由(法第26条第5項)
申請者が次のいずれかに該当するときは、厚生労働大臣は認定をしてはなりません。
  1. 拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者
  2. 再生医療等安全性確保法その他国民の保健医療に関する法律で政令で定めるものの規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者
  3. 認定を取り消され、その認定の取消しの日から起算して3年を経過しない者等
  4. 認定の取消しの処分に係る通知日から当該処分をする日又は処分をしないことを決定する日までの間に委員会の廃止の届出をした者で、当該届出の日から起算して3年を経過しないもの
  5. 認定の申請前3年以内に審査等業務に関し不正又は著しく不当な行為をした者(※)
  6. 法人であって、その役員のうちに1から5のいずれかに該当する者があるとき
  7. 法人でない団体であって、その代表者又は管理人のうちに1から5までのいずれかに該当する者があるとき
※どのような事実が「審査等業務に関し不正又は著しく不当な行為」に該当するかについては、個々の事案の悪質性や常習性等に照らし総合的に判断されるものですが、例えば、以下のような場合には該当する可能性があります。なお、これらはあくまで法に関して想定される例であることに留意する必要があります。
  • 委員に不正又は不当な審査等業務を行わせるために、金銭又は役務等の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をすること
  • 利益相反に係る申告が故意又は過失により適切に行われないなどして、利害関係等により本来参加してはならない複数の審査等業務に参加すること

認定事項の変更、認定の更新、委員会の廃止について

認定事項の変更
認定事項の変更については、1. 変更認定の申請が必要となるもの、2.軽微な変更であって届出が必要となるもの、3.届出が必要となるもの、4.軽微な変更であって申請・届出が不要なものがあります。

1.変更の申請が必要となるもの(法第27条第1項)

以下の場合は、事前に認定事項変更申請書(様式第7)を用いた申請が必要となります。
  1. 再生医療等委員会の委員の氏名及び職業
  2. 審査等業務を行う体制に関する事項
  3. 審査等業務に関し手数料を徴収する場合にあっては、当該手数料の算定の基準

※ ただし、以下、2.の軽微変更届の要件に該当する場合は除きます。

2.軽微な変更であって届出が必要となるもの(施行規則第52条)

上記1.の1~3に該当する事項のうち、以下に該当する場合は、認定事項軽微変更届書(様式第8)を用いた届出を行う必要があります。(申請は不要です。)
  1. 当該委員会の委員の氏名の変更であって、委員の変更を伴わないもの

    例)委員の婚姻状態の変更に伴う氏名の変更

  2. 当該委員会の委員の職業の変更であって、委員の構成要件を満たさなくなるもの以外のもの
  3. 委員の減員に関する変更であって、委員の構成要件を満たさなくなるもの以外のもの
  4. 審査等業務を行う体制に関する事項の変更であって、審査等業務の適切な実施に支障を及ぼすおそれのないもの

    例)再生医療等委員会の開催頻度が多くなるよう変更

3.変更の届出が必要となるもの(法第27条第4項)

以下の場合については、認定事項変更届書(様式第9)を用いた届出を行う必要があります。
  1. 設置者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあってはその代表者の氏名
  2. 当該再生医療等委員会の名称
  3. 再生医療等委員会の所在地及び連絡先
  4. 以下の添付書類に記載した事項
    • 当該再生医療等委員会の委員の略歴を記載した書類
    • 当該再生医療等委員会の審査等業務に関する規程
    • 設置者に関する証明書類、財産的基礎を有していることを証明する書類等

4.軽微な変更であって申請・届出が不要なもの(施行規則第54条)

以下の場合については、変更の申請や届出は不要です。
  1. 住所の変更であって、地域の名称の変更又は地番の変更に伴うもの
  2. 当該再生医療等委員会の委員の略歴の追加に関するもの
  3. 認定再生医療等委員会を設置する旨の定めをした定款その他これに準ずるものの変更であって、次に掲げるもの
    1. 再生医療等安全性確保法その他の法令の制定又は改廃に伴い当然必要とされる規定の整理
    2. 上記1.及び3.の1.に掲げるもののほか、用語の整理、条、項若しくは号の繰上げ又は繰下げその他の形式的な変更
認定事項の更新(法第28条)
  • 認定の有効期間は認定日から3年間です。
  • 有効期間の満了後引き続き認定再生医療等委員会を設置しようとする設置者は、有効期間の更新を受けなければなりません。
  • その場合、有効期間の満了の日の90日前から60日前までの間に更新の申請が必要です。
認定再生医療等委員会の廃止(法第30条、施行規則第60条)
  • 認定再生医療等委員会の設置者は、認定再生医療等委員会を廃止しようとするときは、特定認定再生医療等委員会については地方厚生局長を経由して厚生労働大臣へ、認定再生医療等委員会については地方厚生局長に届出が必要です。
  • 認定再生医療等委員会の設置者は、廃止の届出を提出しようとするときは、あらかじめ、当該認定再生医療等委員会に再生医療等提供計画を提出していた再生医療等提供機関に、その旨を通知しなければなりません。
  • 廃止したときも、当該再生医療等提供機関に速やかに通知しなければなりません。また、当該再生医療等提供機関に対し、再生医療等の提供に影響を及ぼさないよう、他の認定再生医療等委員会を紹介することその他の適切な措置を講じなければなりません。

諸手続について

認定再生医療等委員会に関する各種申請等については、以下のウェブサイトより手続が可能です。
 
e-再生医療:再生医療等の各種申請等のオンライン手続サイト
  • 再生医療等委員会の認定申請(様式第5)
  • 認定事項変更申請(様式第7)
  • 認定事項軽微変更届(様式第8)
  • 認定事項変更届(様式第9)
  • 認定事項更新申請(様式第12)
  • 廃止届(様式第13)


※ 認定証書換え交付申請(様式第10)、再交付申請(様式第11)については、所在の地域を管轄する地方厚生局に直接お問合せください。
 

4.審査等業務について

委員会の成立要件

認定再生医療等委員会の会議の成立要件は、特定認定再生医療等委員会と第三種のみ審査する認定再生医療等委員会で異なります。

特定認定再生医療等委員会の成立要件(施行規則第63条)
  1. 5名以上の委員が出席していること
  2. 男性及び女性の委員がそれぞれ2名以上出席していること
  3. 次に掲げる者がそれぞれ1名以上出席していること
    • 再生医療等について、十分な科学的知見及び医療上の識見を有する者
    • 審査等業務の対象となる再生医療等の提供において用いられる特定細胞加工物等の製造に関する識見を有する者
    • 医学又は医療分野における人権の尊重に関して理解のある法律に関する専門家又は生命倫理に関する識見を有する者
    • 一般の立場の者
    • 遺伝子治療が人に与える影響について十分な科学的知見及び識見を有する者及び核酸等に係る遺伝子組換え生物の取扱いについて科学的知見及び識見を有する者(遺伝子治療(ex vivo遺伝子治療、in vivo遺伝子治療及び遺伝子治療の関連技術)に係る計画の審査等業務を行う場合に限る。)
  4. 出席した委員の中に、審査等業務の対象となる再生医療等提供計画を提出した医療機関(当該医療機関と密接な関係を有するものを含む。)と利害関係を有しない委員が過半数含まれていること
  5. 認定委員会設置者と利害関係を有しない委員が2名以上含まれていること
第三種のみ審査する認定再生医療等委員会の成立要件(施行規則第64条)
  1. 5名以上の委員が出席していること。
  2. 男性及び女性の委員がそれぞれ1名以上出席していること
  3. 次に掲げる者がそれぞれ1名以上出席していること
    ただし以下の「再生医療等について十分な科学的知見及び医療上の識見を有する者」が医師又は歯科医師である場合にあっては、以下の「医師又は歯科医師」の要件を兼務可
    • 再生医療等について十分な科学的知見及び医療上の識見を有する者
    • 医師又は歯科医師
    • 医学又は医療分野における人権の尊重に関して理解のある法律に関する専門家又は生命倫理に関する識見を有する者
    • 一般の立場の者
  4. 出席した委員の中に、審査等業務の対象となる再生医療等提供計画を提出した医療機関(当該医療機関と密接な関係を有するものを含む。)と利害関係を有しない委員が過半数含まれていること
  5. 認定委員会設置者と利害関係を有しない委員が2名以上含まれていること

認定再生医療等委員会の審査等業務

審査等業務における結論(施行規則第65条第2項)
  • 認定再生医療等委員会における審査等業務に係る結論を得るに当たっては、出席委員全員から意見を聴いた上で、原則として、出席委員の全員一致をもって行うよう努めなければなりません。
  • ただし、認定再生医療等委員会において議論を尽くしても、出席委員全員の意見が一致しないときは、出席委員の過半数の同意を得た意見を当該認定再生医療等委員会の結論とすることができます。
技術専門員からの評価書・意見聴取(施行規則第64条の2)
  • 認定再生医療等委員会は、再生医療等提供計画が再生医療等提供基準に適合しているかどうかについて意見を述べる場合(計画の変更に関する事項を除く。)は、技術専門員(審査等業務の対象となる疾患領域の専門家及び生物統計の専門家その他の再生医療等の特色に応じた専門家)からの評価書を確認しなければなりません。
  • 認定再生医療等委員会は、上記以外の審査等業務を行うに当たっては、必要に応じ、技術専門員の意見を聴かなければなりません。
  • 認定再生医療等委員会は、審査等業務の対象となるものが、再生医療等の提供に重要な影響を与えないものである場合であって、当該認定再生医療等委員会の指示に従って対応するものである場合には、審査等業務の成立要件・技術専門員からの意見聴取の規定にかかわらず、当該認定再生医療等委員会が定める審査等業務に関する規程に定める方法により、これを行うことができます。
緊急開催(施行規則第64条の2第4項)
  • 認定再生医療等委員会は、疾病等報告に対する意見・定期報告に対する意見を述べる場合であって、再生医療等を受ける者の保護の観点から緊急に当該再生医療等の提供の中止その他の措置を講ずる必要がある場合には、審査意見業務の成立要件・技術専門員からの意見聴取の規定等にかかわらず、審査等業務に関する規程に定める方法により、当該認定再生医療等委員会の委員長及び委員長が指名する委員による審査等業務を行い、結論を得ることができます。
  • この場合において、後日、委員出席による委員会において結論を得なければなりません。
災害時等における書面開催(施行規則第64条の2第5項)
  •  認定再生医療等委員会は、再生医療等提供計画が再生医療等提供基準に適合しているかどうかについて意見を述べる場合であって、災害その他やむを得ない事由があり、かつ、保健衛生上の危害の発生若しくは拡大の防止又は再生医療等を受ける者の保護の観点から、緊急に再生医療等提供計画を提出し、又は変更する必要がある場合には、審査意見業務の成立要件・技術専門員からの意見聴取の規定の規定にかかわらず、書面(電磁的記録を含む。)により審査等業務を行い、結論を得ることができます。
  • この場合、後日、当該再生医療等の提供にあたって留意すべき事項又は改善すべき事項について、委員出席による委員会において結論を得なければなりません。

認定再生医療等委員会における妥当性の審査

  • 認定再生医療等委員会は、審査等業務を行うにあたっては、「認定再生医療等委員会の適切な審査等業務実施のためのガイダンス(手引き)[2.9MB]」を参照することが必要です。
  • 施行規則第10条第1項に規定される「科学的文献その他の関連する情報」の妥当性については、上記ガイダンス附属資料5の科学的文献チェックリストを参考に判断してください。
  • 認定再生医療等委員会は、研究以外の再生医療等提供計画を審査する場合は、施行規則第10条第1項に規定される「妥当性」について、再生医療等を受ける者の利益として、当該再生医療等の有効性が安全性におけるリスクを上回ることが十分予測されることを含むものであることを確認し、意見を述べることが必要です。
  • 認定委員会設置者は、再生医療等の科学的妥当性の評価、安全性の確保及び生命倫理への配慮の観点から、再生医療等提供基準に照らして適切な審査ができるようにするために、委員、技術専門員及び運営に関する事務を行う者に対し教育又は研修の機会を設け、受講歴を管理することが必要です。

厚生労働大臣への報告

認定委員会設置者は、当該認定再生医療等委員会が次に掲げる意見を述べたときは、遅滞なく、厚生労働大臣にその旨を報告しなければなりません。(施行規則第66条)
  • 再生医療等提供計画に記載された再生医療等の提供を継続することが適当でない旨の意見を述べたとき
  • 重大な不適合について意見を求められた場合に意見を述べたとき

5.利益相反管理について

審査等業務への参加制限

審査等業務への参加制限(施行規則第65条第1項)
次に掲げる委員又は技術専門員は審査等業務に参加してはなりません。
※ただし、委員会の求めに応じて説明することは可能です。
  1. 審査等業務の対象となる再生医療等提供機関の管理者、再生医療等を行う医師、歯科医師及び実施責任者
  2. 1.に該当する者と
    • 同一の医療機関の診療科に属する者
    • 過去1年以内に多施設で実施される共同研究(特定臨床研究・医師主導治験のみ)を実施していた者
  3. 審査等業務の対象となる再生医療等提供計画に関する役務の提供を行った者又は当該者と密接な関係にある者
  4. その他、再生医療等提供機関の管理者、再生医療等を行う医師又は歯科医師、実施責任者と密接な関係を有している者又は特定細胞加工物等製造事業者若しくは医薬品等製造販売業者若しくはその特殊関係者と密接な関係を有している者であって、当該審査等業務に参加することが適切ではない者
再生医療等提供計画に関する役務の提供を行った者又は当該者と密接な関係にある者
上記1. 又は2. に掲げる者との契約に基づき再生医療等提供計画に記載する内容の検討、記載内容に係る関係者との調整業務を担う等により審査対象となる再生医療等提供計画の作成に関与した者(法人等の団体を含む。)や当該者と金銭の授受を行った者、雇用関係のある者等が含まれます。
本規定により、例えば、以下の者は、審査等業務に参加してはなりません。
  • 再生医療等提供計画の作成支援を行う企業
  • 再生医療等提供計画の届出等をはじめとする法に基づく手続の履行を担う企業の運営者や当該企業と雇用・委嘱関係にある者
認定再生医療等委員会の運営に関する事務を行う者の審査等業務への参加禁止(施行規則第69条 )
  • 認定委員会設置者は、認定再生医療等委員会の運営に関する事務を行う者を選任しなければなりませんが、選任された事務を行う者は、当該認定再生医療等委員会の審査等業務に参加してはなりません。

審査等業務の記録の保存

審査等業務の記録の保存(施行規則第71条第3項)
認定委員会設置者は、申請書の写し、申請書の添付書類、審査等業務に関する規程、委員名簿及び委員会の設置又は運営に関与する者が提供した審査等業務に係る役務その他の関与に関する記録を、当該認定再生医療等委員会の廃止後10年間保存しなければなりません。
委員会の設置又は運営に関与する者が提供した審査等業務に係る役務その他の関与
  • 「委員会の設置又は運営に関与する者が提供した審査等業務に係る役務」とは、例えば委員会の事務局業務の代行などが挙げられます。
  • 「その他の関与」とは、例えば委員会構成等に関与することや審査対象となる計画を紹介すること等が挙げられます。
  • 「委員会の設置又は運営に関与する者が提供した審査等業務に係る役務その他の関与に関する記録」については、当該者が提供した審査等業務に係る役務その他の関与の内容に変更があった場合は、当該審査等業務毎に具体的な関与の内容についての記録を残すことが求められます。

6.記録の保存と公開

認定再生医療等委員会の一覧

認定再生医療等委員会については、以下のリンクより一覧を確認できます。

記録の保存

審査等業務の透明性を確保するため、以下の事項について厚生労働省が整備するデータベースであるe-再生医療に記録することにより公表することが必要です。
  • 審査等業務に関する規程
  • 委員名簿
  • その他再生医療等委員会の認定に関する事項
  • 審査等業務の過程に関する記録に関する事項
ただし、以下の申請書等又はその添付書類に記載された事項については、当該事項を公表したものとみなされます。
  • 認定申請書(様式第5)
  • 変更申請書(様式第7)
  • 軽微変更届書(様式第8)
  • 変更届書(様式第9)
  • 更新申請書(様式第12)

審査等業務の記録等

認定再生医療等委員会の審査等業務の記録等(施行規則第71条)
認定再生医療等委員会の設置者は、審査等業務の過程に関する記録を作成し、個人情報、研究の独創性及び知的財産権の保護に支障を生じるおそれのある事項を除き、e-再生医療に記録することにより、公表しなければなりません。
  1. 認定再生医療等委員会の設置者は、次に掲げる資料等を再生医療等の提供が終了した日から少なくとも10年間保存しなければなりません。
    • 審査等業務に係る再生医療等提供計画その他の審査等業務を行うために提供機関管理者から提出された書類
    • 審査等業務の過程に関する記録(技術専門員からの評価書を含む)
    • 委員又は技術専門員が施行規則第65条第1項各号に掲げる者でないことを確認した記録
    • 認定再生医療等委員会の結論を提供機関管理者に通知した文書の写し
  2. 認定再生医療等委員会の設置者は、次に掲げる資料等を当該委員会の廃止後10年間保存しなければなりません。
    • 施行規則第43条第1項に規定する申請書の写し
    • 法第26条第3項に規定する申請書の添付書類
    • 審査等業務に関する規程及び委員名簿
    • 委員会の設置又は運営に関する者が提供した審査等業務に関する役務その他の関与に関する記録
帳簿の備付け等(施行規則第67条)
  • 認定再生医療等委員会の設置者は、審査等業務に関する事項を記録するための帳簿を備えなければなりません。
  • 帳簿は最終記載日から10年間保存が必要です。

審査等業務の過程に関する記録・概要

審査等業務の過程に関する記録
  • 「審査等業務の過程に関する記録」は、「質疑応答などのやりとりがわかる内容」も含めた、結論に至る議論の過程の全ての詳細が分かるものをいいます。
  • 本記録については、法に基づく報告命令や立入検査において提出を求めることがあるため、逐語録や音声データ等の客観的記録を残すことが求められます。
  • 継続審査となった場合には、継続審査となった論点とその理由なども記載することが必要です。
※ 具体的な記載方法については、「認定再生医療等委員会の適切な審査等業務実施のためのガイダンス(手引き)[2.9MB]」を参照してください。
審査等業務の過程に関する概要
  • 「審査等業務の過程に関する記録」から個人情報、研究の独創性及び知的財産権の保護に支障を生じるおそれのある事項を除いたものをいいます。
  • 「審査等業務の過程に関する記録」と同程度に結論に至る議論の過程がわかる必要があります。
  • 審査における委員の意見と結果のみを記載することは十分ではありません。
  • 認定委員会設置者は、認定再生医療等委員会の開催ごとの審査等業務の過程に関する概要を、開催後速やかにe-再生医療に記録することにより公表することが必要です。

7.委員等の教育・研修について

委員の教育又は研修

  • 認定委員会設置者は、年1回以上、委員等(認定再生医療等委員会の委員、技術専門員及び運営に関する事務を行う者をいう。)に対し、教育又は研修の機会を確保しなければなりません。ただし、委員等が既に当該認定委員会設置者が実施する教育又は研修と同等の教育又は研修を受けていることが確認できる場合は、この限りでありません。(施行規則第70条)

8.立入検査等

報告徴収・立入検査

  • 厚生労働大臣は、認定再生医療等委員会の審査等業務の適切な実施を確保するため必要があると認めるときは、認定委員会設置者に対し、必要な報告をさせ(報告徴収)、又は当該職員に、認定委員会設置者の事務所に立ち入り、その帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させること(立入検査)ができます。(法第31条)

9.行政処分

適合命令(法第32条第1項)
厚生労働大臣は、認定再生医療等委員会が法第26条第4項各号に掲げる要件のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、認定委員会設置者に対し、これらの要件に適合するために必要な措置をとるべきことを命ずることができます。

※ 当該認定再生医療等委員会が第三種再生医療等提供計画のみに係る審査等業務を行う場合にあっては、法第26条第4項第1号(第三種再生医療等提供計画に係る部分を除く。)に掲げる要件を除く。

改善命令(法第32条第2項)
厚生労働大臣は、以下の場合において、当該認定委員会設置者に対し、当該審査等業務を行う体制の改善、当該審査等業務に関する規程の変更その他必要な措置をとるべきことを命ずることができます。
  • 認定再生医療等委員会が法第26条第4項各号に掲げる要件のいずれかに適合しなくなったとき認定委員会設置者が法第3章の規定に違反していると認めるとき
  • 法第3章の規定に基づく命令若しくは処分に違反していると認めるとき
  • その他当該認定再生医療等委員会の審査等業務の適切な実施を確保するため必要があると認めるとき

10.罰則等

  • 認定再生医療等委員会の委員若しくは認定再生医療等委員会の審査等業務に従事する者又はこれらの者であった者は、正当な理由がなく、当該審査等業務に関して知り得た秘密を漏らしてはなりません。(法第29条)
  • 本規定に違反して秘密を漏らした者は、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処されます。(法第60条第2項)