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RSウイルス感染症Q&A(令和6年1月15日改訂)

 RSウイルスについて一般の方々に理解を深めていただけるよう、Q&Aを作成しました。なお、今後の知見の進展等に対応して、逐次、このQ&Aを更新していくこととしています。


  • Q1.

     RSウイルス感染症とはどのような病気ですか?

  • A1.

     RSウイルス感染症(respiratory syncytial virus infection)は、RSウイルスの感染による呼吸器の感染症です。RSウイルスは日本を含め世界中に分布しています。何度も感染と発病を繰り返しますが、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の児がRSウイルスに少なくとも1度は感染するとされています( RSウイルス感染症 (niid.go.jp)参照 )。
    症状としては、発熱、鼻汁などの軽い風邪様の症状から重い肺炎まで様々です。RSウイルスの初回感染時には、より重症化しやすいといわれています。特に生後6ヶ月以内にRSウイルスに感染した場合には、細気管支炎、肺炎など重症化する場合があります。

  • Q2.

     現在のRSウイルス感染症の発生状況はどのような状況なのでしょうか?

  • A2.

     RSウイルス感染症は、近年は夏から増加傾向となり秋にピークがみられていました。一方、2021年以降は春から初夏に継続した増加がみられ、夏にピークがみられています。今後の発生動向について、さらなる注意が必要です。
    現在の発生状況は国立感染症研究所RSウイルス感染症疫学情報をご覧下さい。(RSウイルス感染症 (niid.go.jp)

  • Q3.

     RSウイルスはどのように感染しますか。

  • A3.

     RSウイルスは主に接触感染と飛沫感染で感染が広がります。接触感染は、RSウイルスに感染している人との直接の接触や、感染者が触れたことによりウイルスがついた手指や物品(ドアノブ、手すり、スイッチ、机、椅子、おもちゃ、コップ等)を触ったり、なめたりすることで感染することを言います。また、飛沫感染は、RSウイルスに感染している人が咳やくしゃみ、あるいは会話などをした際に口から飛び散るしぶきを浴びて吸い込むことにより感染することを言います。
    RSウイルスは、麻疹ウイルスや水痘ウイルスの感染経路である空気感染はしないと考えられています。

  • Q4.

     RSウイルスに感染すると、どのような症状が出ますか?また、感染してからどのくらいの時間で発症しますか?

  • A4.

     通常RSウイルスに感染してから2〜8日、典型的には4〜6日間の潜伏期間を経て発熱、鼻汁などの症状が数日続きます。多くは軽症で自然軽快しますがが、重くなる場合には、その後咳がひどくなる、喘鳴が出る、呼吸困難となるなどの症状が出現し、場合によっては、細気管支炎、肺炎へと進展していきます。初感染乳幼児の約7割は、鼻汁などの上気道炎症状のみで数日のうちに軽快しますが、約3割では咳が悪化し、喘鳴、呼吸困難などが出現します。重篤な合併症として注意すべきものには、無呼吸発作、急性脳症等があります。生後1か月未満の児がRSウイルスに感染した場合は、非定型的な症状を呈するために診断が困難な場合があり、また突然死に繋がる無呼吸発作を起こすことがあります。
    RSウイルスは生涯にわたって感染を繰り返し、幼児期における再感染での発症はよくみられ、その多くは軽い症状です。
    成人では通常は感冒様症状のみですが、RSウイルスに感染した小児を看護する保護者や医療スタッフでは、一度に大量のウイルスに曝露して感染することによって、症状が重くなる場合があります。また、RSウイルスは特に慢性呼吸器疾患等の基礎疾患を有する高齢者において急性の重症肺炎を起こす原因となることが知られていて、特に長期療養施設内での集団発生が問題となる場合があります。

  • Q5.

     特に感染しないように注意すべき人はどのような人ですか?

  • A5.

     感染によって重症化するリスクの高い基礎疾患を有する小児(特に早産児や生後24か月以下で心臓や肺に基礎疾患がある小児、神経・筋疾患やあるいは免疫不全の基礎疾患を有する小児等)や、生後6か月以内の乳児への感染には特に注意が必要です。また、慢性呼吸器疾患などの基礎疾患を有する高齢者も感染に特に注意が必要です。

  • Q6.

     感染しないようにするために、どのようなことに注意すればよいですか。

  • A6.

      RSウイルス感染症の感染経路は接触感染と飛沫感染で、発症の中心は0歳児と1歳児です。
    一方、再感染では感冒様症状又は気管支炎症状のみである場合が多いことから、RSウイルス感染症であるとは気付かれていない年長児や成人が存在しており、症状がある場合、可能な限り乳幼児との接触を避けることが乳幼児の発症予防に繋がります。
    接触感染対策としては、子どもたちが日常的に触れるおもちゃ、手すりなどはこまめにアルコールや塩素系の消毒剤などで消毒し、流水・石鹸による手洗い、またはアルコール製剤による手指衛生が重要です。
    飛沫感染対策としては、鼻汁、咳などの呼吸器症状がある場合はマスクが着用できる年齢の子どもや大人はマスクを使用することが大切です。

  • Q7.

     受診の目安について

  • A7.

     機嫌がよく、辛そうでなければ、慌てずに様子をみたり、かかりつけ医にご相談ください。ただし、呼吸が苦しそう、食事や水分摂取ができない時は医療機関への受診をご検討ください。
    受診を迷った場合や夜間・休日の場合は、「こどもの救急(http://kodomo-qq.jp/)」などの関係Webサイトを参照したり、#8000(こども医療相談)にご相談ください。

  • Q8.

     治療方法はありますか。

  • A8.

      RSウイルス感染症には特効薬はありません。治療は基本的には対症療法(酸素投与、点滴、呼吸管理など症状を和らげる治療)を行います。

  • Q9.

     予防方法はありますか?

  • A9.

     60歳以上を対象としたワクチンがあります。
    また、以下の対象者については、遺伝子組換え技術を用いて作成されたモノクローナル抗体製剤であるパリビズマブ(Palivizumab)の投与があります。RSウイルス感染症の流行初期に投与し始めて、流行期も引き続き1か月毎に筋肉注射することにより、重篤な下気道炎症状の発症の抑制が期待できます。

    ・在胎期間28週以下の早産で、12カ月齢以下の新生児及び乳児
    ・在胎期間29〜35週の早産で、6カ月齢以下の新生児及び乳児
    ・過去6カ月以内に気管支肺異形成症の治療を受けた24カ月齢以下の新生児、乳児及び幼児
    ・24カ月齢以下の血行動態に異常のある先天性心疾患の新生児、乳児及び幼児
    ・24ヵ月齢以下の免疫不全を伴う新生児,乳児および幼児*
    ・24ヵ月齢以下のダウン症候群の新生児,乳児および幼児*

     *本剤の添付文書では、投与に際しては学会等から提唱されているガイドライン等を参考とし、個々の症例ごとに本剤の適用を考慮すること、とされています。
     なお、パリビズマブ製剤の投与は保険適用となっています。

<このQ&Aは、国立感染症研究所の先生方のご協力により作成しました>

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