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2026年10月2日 第41回労働政策審議会労働政策基本部会議事録
政策統括官付政策統括室
日時
令和8年10月2日(金)14:00~16:00
場所
厚生労働省専用第21会議室
出席者
- 委員(五十音順)
- 相原委員、阿部部会長、浦委員、大橋委員、岡本委員、川﨑委員、坂本委員、佐々木かをり委員、佐々木勝委員、武田委員、橋本委員、山川委員
- 事務局
- 古館統計・政策立案総括審議官、宮下政策統括官付参事官、戸田労働経済調査官、石川政策統括官付政策統括室長補佐、佐藤労働基準局総務課長、菱谷職業安定局雇用政策課長、立石雇用環境・均等局総務課長、古長人材開発統括官付政策企画室長
議題
- (1)ヒアリング
- (2)その他
議事
○阿部部会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第41回「労働政策審議会労働政策基本部会」を開催いたします。
皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
議事に入ります前に、本日の基本部会について事務局から説明があります。お願いします。
○宮下政策統括官付参事官 事務局の政策統括官付参事官の宮下でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の資料はお手元のタブレットで御覧いただけます。操作方法に不明な点がある場合には、事務局にお申しつけください。
オンライン参加の委員の皆様におかれましては、原則としてカメラはオン、マイクはミュートとしてください。
御発言の際は、「参加者パネル」の御自身のお名前の横にあります「挙手ボタン」を押しまして、部会長から御指名があるまでお待ちください。指名後、マイクのミュートを解除して御発言ください。発言終了後は、マイクをミュートに戻し、再度「挙手ボタン」を押して挙手の状態を解除していただければと思います。
通信の状態などによりまして音声での発言が難しい場合には、チャットで発言内容をお送りください。また、会の最中に音声等のトラブルがございましたら、チャット機能でお知らせいただくか、事前に事務局からお送りしております電話番号まで御連絡いただければと思います。
本日は、所用によりまして、入山委員、冨山委員、山田委員は御欠席です。
大橋委員、橋本委員は途中での御退室と伺っております。
事務局からは以上でございます。
○阿部部会長 では、議事に入りたいと思います。
本日は、3社からヒアリングをするということになっております。本日御参加いただきました3社の皆様、ありがとうございます。
では、進め方について御説明したいと思います。まず初めに、株式会社みずほフィナンシャルグループプロセス企画部企画チーム次長の元島様よりプレゼンテーションを行っていただき、その後、プレゼンに関する質疑応答を行いたいと思います。続いて、東日本旅客鉄道株式会社戦略部デジタルデザインユニット長の安部様、人材戦略部人財育成ユニットマネジャーの奥村様から引き続きプレゼンをしていただいて、その後、株式会社橋本組CEOの橋本様からそれぞれプレゼンテーション及び質疑応答を行っていきたいと思います。
3社のプレゼンが終わりましたら、その後、自由討議の時間を設けております。御意見、御発言は自由討議の時間にお願いし、ヒアリングの際はヒアリングの内容に関する質問を中心にお願いしたいと思います。
それでは、株式会社みずほフィナンシャルグループの元島様から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○みずほFG元島氏 ただいま御指名いただきましたみずほフィナンシャルグループプロセス企画部企画チーム次長の元島でございます。本日は貴重な機会を頂戴しましてありがとうございます。
それでは、パワーポイントの資料に沿って御説明をさせていただければと思います。事前に御提示させていただいている資料と若干の修正がございます点、御了承いただければと思います。どうしても内部の数字を使っている関係上、そのまま外に出すということが若干難しい部分もございます。かつ皆様に意味のある、価値のある情報を提供したいと思ったらこの形しかなかったということで、御理解いただければと思います。よろしくお願いいたします。
右肩2ページ目をお願いいたします。
本日御説明させていただくのは、我々みずほフィナンシャルグループとして何を変えたのかということ、及び具体的事例。後に質疑応答という時間とさせていただければと思います。
右肩3ページ目でございます。
全体のまとめでございます。我々は組織を変えて、意識を変えて、行動を変えるということに着手しております。これのコンセプトがE2Eで、全社横断で巻き込んで進めましょうということでございます。
また、AI、DXという言葉が若干踊っている部分がありますが、我々がやっているのは、土台とデータとプロセス、これらを変革していきますということに着手しているということでございます。
また、「産み出した時間の使い方」をどうするかというものは、現在進行形のホットイシューとして我々も頭を悩ましているというところでございます。これらについて御説明をさせていただければと思います。
右肩4ページをお願いいたします。
何を変えたのかでございます。
続きまして、5ページでございます。
2026年2月の末、大々的に読売新聞さんのところから「みずほ事務職5000人減」というキャッチーな記事が出まして、これに続いて各社が報道したということは皆様、御記憶にあるかもしれないですが、こちらはかなりのミスリーディングがございまして、我々がやっている、これからやることというのは、事務業務そのものを5,000人分削減するというのが事実でございます。一部に導入するとか、そういう書き方をされていたのですけれども、我々はグループ横断で全社的にAIを活用します、AIファーストにしていきますという宣言でメディアの皆様にお伝えしていたつもりだったのですが、こういった記事になってしまったというところでございます。
右肩6ページをお願いいたします。
これらの反応について我々も若干危惧したところがあったのですけれども、こちらは1週間の反応のところでございますが、ニュートラルな意見がほぼ9割に達したというところでございます。もちろん、このコメント分析のところもAIを使ってやっているのですけれども、どちらかというとこれはもう逃げられない、避けられない流れだよねということを肯定的でも否定的でもなく、そういうものだよねという受け止め方をしたと我々組織としては受け止めております。実際に社内でもこれらについて反応を伺ったのですが、社内ではかなりAIを使っていくのだ、DXをやっていくのだというのを叫んでいる関係上、ほぼ反応はありませんでした。まあそうだよねというふうに意識が変わっていたと我々としては受け止めております。これも何を変えていったかというところの結論であるのかなと思っております。
右肩7ページをお願いいたします。
では、具体的に何を変えたのかというところでございます。我々は金融機関として絶対に止めてはいけない業務を多数抱えております。したがって、特に「安定」に割くリソースと「変えなければ」というリソースの割合がどうしても「安定」中心になっていたということは事実でございます。ただ、このまま行くといずれ成り立たなくなるということがもう分かっておりました。ただ、今まで着手できなかった。そこにAIという外来の大きな力、環境変化がやってきて、我々はもう逃げられないぞということで、変革をしていきましょうという、ある意味では逃げられない状態に追い詰められていったというのが事実でございます。ですから、我々は集約、見直し、デジタル化、この3つをキーワードとして、どうやって変えていくのかということを全社横断で議論はしておりますが、プロセスを変えていきましょうということをやっております。
右肩8ページでございます。
これの理由となるものでございます。これは弊社のグループの年齢構成です。どうしても50代、60代が相応の人数を抱えております。これが10年たつとどうなるかというのが上段右側でございますが、大幅に人がいなくなるということが確定しております。これに対して、では、人でカバーするのかということで、今の人材の環境上、それは不可能であろうということを我々は予測しております。事務の量というものは、どちらかといえばほぼ横ばい。年間トランザクション、ずっと横ばいでございます。にもかかわらず人が減るということが確定しているわけで、下の事務量の推移といったように、人員のギャップが将来的には年々拡大してしまう。だからこそここを技術で埋めなければいけないということをまずは可視化し、これに対応していきましょうということを全社で課題として取り上げるべきであろうと判断いたしました。
右肩9ページをお願いいたします。
したがって、事務というのはどうしても決められたことを決められたとおりにきっちりやる、どちらかというと安定のイメージが強かったものを変えていくのだ、プロセスをデザインするのだという、動的な変化をイメージする言葉に変え、意識ごと変えていきましょうというアクションを取りました。
右肩10ページをお願いいたします。
これを経営課題として大きく取り上げ、全社の経営会議にかけました。その上で、プロセス変革は全社課題であると。なので、当然にやるべきものであるということを大きく叫び続け、ベリートップからも言っていただくというアクションを取り、意識改革を行いました。ここまでが「なぜ変えたか」と、「何から始めたか」というところでございます。
次以降が具体的な事例となります。
右肩12ページをお願いします。
まず、環境整備とユースケースを整えました。環境整備というものは、まず生成AIを使える環境を用意しました。これはちょっと前のものですが、直近でいきますと、ChatGPTでいったら、5.4のminiまでが自由に使えるという形になっています。開発部隊に関しては、最新のものがリリース当日に全て使えるという状態になっております。
また、右側のように様々なユースケース、こうやったらいいよ、こうプロンプトを組んだらいいよというものを最初から提供しております。
右肩13ページをお願いいたします。
ただツールを渡しただけだとなかなか難しいので、制度とか教育に関しても着手しました。MPS、カイゼンの認定制度ということで、何かを変えるというやり方の制度です。こちらもみんなにやっていただけるように準備したり、ワークショップをやったり、知識を共有したり、実際にツールを使ってみる。1人でやっているとどうしても孤独になってしまうので、みんなでやりましょうというのを開催しておりました。
右肩14ページです。
それだけでは足りないかなと思いまして、これは昨年度のところですが、研修を10種類追加し、担当レイヤーだけではなくて、中間管理職レイヤー、ハイレイヤーのところまできっちりと意識が改革できるように、実際にやるように、ちゃんとやっているか確認できるような研修制度も整えました。
右肩15ページです。
こちらが先ほどMPSと言っていたみずほプロセスシステムです。これはトヨタ様のトヨタプロダクトシステムを応用してみずほ用に変えたものでございます。こういった目線で我々はプロセスを変えられるのではないのかと。むしろこういった目線はないのかというのを探すきっかけとしてこれをみんなにツールとして渡しましょう、この目線で各自の業務を見直してみましょうということをやっています。これは自分で見ていると分からないので、第三者に見てもらおうという活動も同時にやったりしております。
右肩16ページでございます。
また、孤独にやっているとなかなか聞けないというケースもございますので、我々は社内コミュニティ、SNSを持っておりまして、このDX回りのチームのメンバーが1万人を超えました。ここで積極的にノウハウとか質問のやり取りをしているというところでございます。我々は金融機関でございまして、SNSを一般的に使うのがほぼ禁止の状態になっておりますので、逆に社内のSNSが極めて活発でございます。これを提供いただいているのが某会社様ですが、その会社様が運用している中で見ているSNSの中で恐らく日本でもトップクラスに活発であるというふうにお言葉を頂戴しております。
右肩17ページです。
また、それだけでは足りないと思っておりますので、ツールを内部で開発するようにしました。例えば生成AIで情報管理を気にしなくていい。つまりは中のクローズド環境で使える生成AIを社内用にアレンジしたり、検索に生成AIを使うということを社内用にアレンジしたツールとか、音声を録音し、議事録を自動で作成するツールとか、その他、右側にもいろいろあるのですが、これらを自分たちで開発することに最近はこだわっております。どうしてもブラックボックスになってノウハウがたまっていかないので、中で開発していこうというところでございます。
右肩18ページでございます。
これは具体的な事例です。熟練者の暗黙知が消えてしまう。先ほど50代が多いと言っていたのですけれども、どうしても消えていってしまうノウハウをためたいということで、これらのツールを組み合わせるということをやりました。実際にインタビューをするインタビュー項目を生成AIに聞き、そういった熟練の技をお持ちの方はペーパーワークが非常に苦手なことが多いので、ひたすらしゃべっていただく。これを音声で取得し、構造化データに直す。構造化データに直したものを全てマニュアル及びパワーポイントのスライドに直すということ。これはもともと事務をやっていた方が立ち上げてくれたプロジェクトです。
これも1年間のうち2か月ぐらいで開発をし、実際に164テーマまで拡大しました。今年度は我々のグループだけではなくて、全社横断でこれをやっていきましょうということで提供しております。ノウハウとしては非常に面白く、かついろいろな会社様でもお困りでないのかなとか、引継ぎのときに全然引き継がれていないということの予防になるのではないのかなということで、これを展開できるのではないかと思っております。
右肩19ページでございます。
こちらは別の事例です。AI⁻OCR。AIでの自動読み取りを使って人間の代替をするという事例です。例えば法人・団体の属性の判定を人間が目視、目でやっていたのをAIで読み取り、さらに一次判定をAIに任せる。その中の異例のところだけ人間がやるというもので、年間でいったら3,500時間ぐらい、人月に直すと大体2人分ぐらいの業務がこれで削減できる。どうしてもこういった細かなものの積み上げになってくるというのが実際の実例でございます。
右肩20ページでございます。
こちらはバイブコーディング。いわゆるプログラミングの知識がなく、日本語でコーディングをしてアプリケーションをつくるという手法で、予算管理のワークフローで、これがいわゆるシステムに取り込まれているような大がかりなものではなく、各部署でやるようなものを、実際に事務でパンチング、事務処理をカタカタとやっていた人間がつくれました。この方だけが特異点ではなくて、複数の人間でもできたので、我々としてはリ・スキリングが十分可能だと思っておりますし、何よりも業務を詳しく知っている方が使いやすいようなアプリケーションがつくれるというのは、大きく時代が変わったと思っております。暗黙知の形式知化、可視化で残すというプログラムは、もともとは営業で入った人間ですけれども、営業が得意ではない人材でした。その人間がたまたまAIが好きで、独自でいろいろいじっていたら今やエース。いろいろなところから相談を受けるという立場になりました。
ですので、我々としては、これからの時代というものは、人の付加価値の出し方が変わってきたところから、どういう人が優秀かというものの再定義が必要な時代になっているのではないかなと考えております。ですので、我々も社内の人事制度そのものの見直しというものをかなり時代にアジャストしてはいるものの、まだまだ変えていく必要があるなとも考えております。
右肩21ページとなります。
また、根っこから変えなければいけないということで、事務手続と呼ばれるものは、どうしても法令対応とか制度が変わるということも含めて、1つ変えるのに数か月かかっていた。これを全てAIに食わせて、AIで自動的に変えられるようにしましょうというものに今、着手中でございます。直近だと、構造化が終わりまして、これをいかに自動で作成するかということに取り組んでいる状況でございます。これをやると、具体的に確認するとか直すというものは人間がやる必要がなくて、それをどうやって浸透させるかとか、価値をどうやって出すかということに集中できるということで、人が新たに生み出せるというふうにAIを捉えており、AIは敵というよりは味方ということで、一緒にやっていきたいなと考えております。
右肩22ページでございます。
まとめでございます。我々としては組織を変え、意識を変え、行動を変えるというアクションをスタートしました。E2E、最初から最後まで全社横断で皆さんを巻き込んで進めるということ。AIを使うというよりは、土台とデータとプロセスをしっかりと見直す。ツールとしてAIが役立つのであれば、AIを組み込むということを考えております。
「産み出した時間の使い方」が目下の課題ということでございます。これはディー・エヌ・エーの南場さんもある講演でおっしゃっておりましたが、やはり従業員は産み出した時間があると自分のやりたいことをやり始めると。これは我々の会社でも実際に起こっております。楽になったはずなのに、時間が生まれたはずなのに帰る時間は変わらないじゃないかと。ということで、いかに従業員の満足と会社としての向かう方向性を一致させるのかということにトライしている状況でございます。こちらはまだ結果が出ていないという状況でございますので、進捗がありましたら、また共有できればと思います。
私からの発表は以上でございます。ありがとうございました。
○阿部部会長 大変貴重な発表、ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明に関しまして、御質問のある方は挙手をお願いいたします。どうぞ。
○相原委員 委員の相原です。今日は大変貴重な御報告、ありがとうございました。
プロセスデザインということでいたく興味を引きました。2点お伺いします。人員構成がこの10年間で大きく変化していくという御報告がありました。従業員の皆さんとこれを推進するE2Eという説明もありましたが、導入の段階で従業員の皆さんとどういう対話があったのか、また対話の際に職種の変更、もしくは今後の話として採用の話など、従業員の皆さんの興味がある重要事項について、どのような角度からお話をされたのかという点が1つです。
もう一つは確認です。お仕事柄、大変セキュアな機微に触れる情報が目の前にあるわけですが、AIを使う環境をつくっていくとオープンな世界の話とクローズの世界の話と2つあったと思います。もう既に内製化しているというところまで御報告がありましたが、現状セキュアな状態からすると、AIという、みずほグループではクローズの世界を今日御説明いただいたということなのでしょうか。情報の取扱いは外のAIのところとの関係もあっての話なのか。そこの仕切り板のところについてお伺いします。ありがとうございます。
○阿部部会長 お願いします。
○みずほFG元島氏 ありがとうございます。
まず1点目、どのように伝えていったかということですが、弊社のベリートップ、グループCEOの木原から、毎年度環境が変わっていくことによってどういう方針で会社を運営していくのかということを大々的に伝えております。この中で木原がAIファーストの会社をつくっていくのだと大々的に宣言しました。その上で各役員がタウンホールミーティング、様々な組織に直接行って対話を繰り返すということを、どの役員も大体月に1回、2回ぐらいは必ずやっております。また、具体的に職場に行って面談をし、座談会をし、役員が思っている会社の方向性を伝えるということをずうっと続けました。1回、2回ではなく、タウンホールの合計で言ったら年間百数十回やっていると思います。そのミーティングをやるということでまずはやるというベクトルを示したということ。
職種の変更のところは、2019年、我々はそもそも職種を廃止しておりますので、あらゆる業務、あらゆる職種のところで何でもできますよというのをまずは整えてありました。その上でやりたい業務と処遇のところを極力リンクさせていくというアクションを複数年にわたってずっと続けておりますので、そこでギャップが発生するということはなかったというところでございます。
採用に関しては毎年のように見直しをかけておりますので、どういった人間を採用したいのかというものを近視眼的に、今、この場所で何人足りないというよりは、将来的な人口構造が変わっていく。我々としても、ビジネスの注力の度合い、リソースをどれほどかけるのかというのが変わっていくということを想定して、募集する職種の辺りですね。職種は、基本的に何でもやってくださいということなので、この辺りの業務のジャンルの人をそろえていきたいというような採用の仕方に変わっております。以上が1点目でございます。
2点目です。これはセキュアな面のところ、クローズドの話とオープンの話ですけれども、基本的にはクローズドな話と御理解いただければと思います。オープンのところも実際に使えるというのは制限つきでやっております。ただ、オープンのところはどうしても情報の流出を避けるというのは限界がありますので、これはきちんとリスク管理できる人間のみとしております。ただ、どうしてもクローズドだと限界があるということで、そもそもの生成AIとかこういったツールを実際に開発している会社様と直接提携を結んでしまい、最新のモデルがクローズドでもできるというような環境を整えております。
以上でございます。
○阿部部会長 ありがとうございました。
では、オンラインで川﨑委員が手を挙げていらっしゃいますので、お願いいたします。
○川﨑委員 川﨑です。御説明、どうもありがとうございました。私のほうから2点質問をさせていただければと思います。
1点目は、先ほど採用に関しての質問もありましたが、それと少し絡みます。8ページで年齢構成、どう変化するのかというところを御提示いただいておりましたが、32年の断面で40代の中頃の人たちの採用を増やしているなと。2023年以降の入社の人が増えていますので、これを見ると、若手の人たちよりはその年代層を増やしているというふうに見受けられまして、その辺で増やしていくというところ、具体的にどういう職種を考えてこういう形を狙っているかといったところを少し具体化した形で教えていただければと思うのが1点目の質問になります。
併せて2点目の質問もお願いしたいと思うのですが、御説明の中で、AIを活用することでどれだけ効果があったのかといったところを定量的にお示しいただきまして、ありがとうございました。また、AI利用に関してどのぐらいの利用の量があるのかといった御説明もありましたが、昨今AIを利用するトークンの価格も大分上がってきているということをちまたで聞くことが多くありまして、効果が出たところで削減したコスト効果と実際発生しているトークンの価格とのバランスを見たときに、今時点でどのようになっていて、将来的にこれがどうなっていくのかといった予測をされているものがあればお教えいただければと思います。2点、よろしくお願いいたします。
○みずほFG元島氏 御質問ありがとうございます。
まず、1点目のところでございます。具体的な年齢構成の中で、23年度以降入社となっているところ、40代以降のところが相応にあるというのは、実際には32年度末になりますので、実は10年ずれます。なので、現時点で見ると10歳ぐらい若いところ。つまりは、20代後半から30代、40代にかけてが実際の中途採用のメインのところでございます。これはあまり年が行き過ぎず、かつ新しい環境にもきちんと慣れられるであろうというところで、我々の組織としての採用のターゲットがその辺りになっているというところでございます。ただ、これは直近までのただの実績でございますので、これからは時代の流れに沿ってこれも変えていくのかなと思われます。1点目でございます。
2点目でございます。AIの実際のトークンの価格とか事例とのバランス感覚の考え方でございます。我々が実際にスモールでアクションをして実績を上げているところに生成AIの活用はほとんどコストがかかっておりません。理由は、最新のモデルを使わず、最低限の利用でやっております。何でもかんでも高い最新モデルを使う必要はなくて、古いのは安いです。むしろ古いモデルとか簡素なモデルはコストが下がり続けておりますので、そちらで十分なもの。つまりはクオリティーの見極めをPoCを通じてかなり的確にやった上で、具体的な導入に入っているということでございます。
ですので、従業員の皆様に配っている自由に使っていいよというものは、ちょっと前まではなかなかいいモデルを自由に使っていいよと言っていたのですが、従業員の利用がかなり増えてしまい、実際にモデルを落としたというケースもあります。ですので、トークンの価格は正直無視できないところまで来ていると思っています。ですので、我々としては、将来的にはトークンの考え方と人件費の考え方を併せて考えるようになっていくのではないのかなと考えております。つまりはリソース、人件費をかけるべきところにトークンを使っていく。そうでないところはしっかりとコントロールしていく。こういった世界を想像しております。
以上です。
○川﨑委員 よく分かりました。御説明ありがとうございます。
○阿部部会長 ほかにございますか。坂本さん、どうぞ。
○坂本委員 坂本と申します。御説明いただきましてありがとうございます。
最初のページで新聞記事がついていますけれども、お話をお伺いしていて非常に気づかされるのは、メディアなどでは事務職5,000人減と。人が減る、あるいはジョブが減るという形で報道などされがちですが、いや、そうではなくて、事務業務、つまり、タスクが減っていくのだということで、そこが改めて気づかされたというところになりますけれども、元島さんからも、もともと自然減で、人手不足が進行していくということが予見されている中でタスクを減らしていくのだということ。タスクを減らした分どのような影響が出るかということについて、推察するに、生産性が上がるということになりますから、賃金の引上げということも考えられると思いますし、あるいは過度な長時間労働の是正といったことにも貢献するのかもしれないなと思ったのですが、波及してどのような効果があるのか、認識されているのか、あるいは期待されるのかというところをまず教えていただけたらと考えています。
それと、タスクが減るということですから、減ったタスクの分、その次にどうなるのかなと思ったのですけれども、ほかのタスクをやっていただくのか、あるいはここにあるような配置転換も可能性としてあるのか、そういったところも1つお伺いできたらと思っています。お願いいたします。
○みずほFG元島氏 ありがとうございます。
まず、1点目でございます。期待するというところは、リソースの最適な配置を通じて従業員の価値が最大化し、それに基づいて会社の業績も上がり、結果として従業員の賃金も上がる。この辺りは狙っているところではあります。
言い方が非常に難しいのが、過去の実績の積み上げで現在は付加価値が出せていない人間もやはりいます。そういった人間を付加価値が出せない状態で置いておくということは、お互いにあまり幸せではないのではないかなと思っています。だからこそ、先ほどおっしゃっていたような配置転換とか、ほかのタスクをアサインして、新たな可能性を見出すということを我々としては突き詰めていきたいですし、そういったことができるのではないのかということで研修も大量に投下し、今まで日の当たっていない人も日の光を当ててあげたい。こういうことを考えております。
以上でございます。
○坂本委員 ありがとうございます。
○阿部部会長 では、最後。時間があれなので、お願いします。
○佐々木(か)委員 佐々木かをりです。1つだけ短く。
今の人事に関するところですが、AIで、先ほど営業であまり成績がよくなかった人が今は光が当たってということがありましたけれども、人事評価がまだ途中だということだったのですが、今の時点でどういう途中にあるのかという現在地と、今、課題だなと思っている課題点があれば幾つか教えていただけたらと思います。
○みずほFG元島氏 ありがとうございます。
どれほど途中かと言いますと、恐らくまだ5合目にも行っていないぐらいだと思います。制度としては実際には整備はされているものの、実際の運用が追いついていないという状態にあるのではないのかなと思います。
なぜそう考えるかというところですが、課題として、どんな人間が付加価値を出せていて、これからも付加価値を出し続けられるかというところが、周りの変化が速過ぎて定義しにくい。毎年のように変えなければいけないという状態が現時点ですと。これがちょっと落ち着いてくると、ある程度固まった形で示せるのではないのかなと思いつつも、3か月前と3か月後の予測が変わってくる現状においては、この辺りの定義の置き方が難しいなということ。
我々としてはやっていますと偉そうに言っておりますけれども、意識改革も行動変容もまだ途上です。全員がこんなすばらしい人たちかと言ったら、そんなことはないです。まだアーリーアダプターだけでございますので、こういった人を増やしていくという意味では、まだまだですという理解から五分という表現をさせていただきました。
以上でございます。
○阿部部会長 ありがとうございました。
すみません。時間もありますので、みずほフィナンシャルグループからの御説明はこれで終わりとさせていただきたいと思います。
続きまして、東日本旅客鉄道株式会社の安部様、奥村様から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○JR東日本奥村氏 平素は大変お世話になっております。東日本旅客鉄道株式会社、JR東日本の人財戦略部で人財戦略を担当しております奥村と申します。本日はこのような貴重な機会をいただきまして大変ありがとうございます。
前半は人財戦略、そしてまとめの部分の人財戦略の影響のようなところは私のほうから御説明を差し上げ、弊社が現在進行形で進めているAI、ロボティクスの進展については安部のほうから御説明を差し上げたいと思います。
今日の、企画部会ではAIの進展による雇用への影響というテーマもございましたが、今日御紹介する内容はまさに現在進行形で進めており、雇用への明確な影響はまだ見えていない部分もございますので、御容赦いただきながら、そのような観点で御覧いただければと思います。
ページは右下に振ってございます。まず1ページ目でございます。
AIを導入しようとした人事的な背景から御説明したいと思います。時計回りで御説明を差し上げます。
まず、鉄道です。弊社の導入の背景でございますが、昨年弊社グループは中期のグループ計画構想に当たるグループ経営ビジョン「勇翔2034」を発表いたしました。その中で今後のJR東日本グループの成長戦略は、鉄道を中心とするモビリティと生活ソリューション、この二軸を成長戦略の基盤として据えていこうとしています。
一方で、まだまだモビリティ、鉄道を中心とした売上げが半数以上を占めておりますので、特に鉄道分野では鉄道を保守する作業員というのが今、クリティカルな課題になってございます。今後さらに人口減少が進み、少子高齢化が進展いたしますと、当社管内の鉄道作業員が2030年には2020年度比の約2割にまで減少するということで試算をしてございます。左側のグラフで出しておりますが、これは定年退職も含めて約10~20%減っていくだろうと見込んでございます。
また、右の青色の棒グラフ、青は従業員数になってございます。従業員数についても、この間、効率的な業務執行体制を構築してまいりまして、国鉄から引き継いだ1987年、会社発足当時約7万人の社員が鉄道に従事しておりましたが、2023年度には4万人まで減少しているところでございます。効率的な運営という意味では成果が出ているということではございますが、今後ますますスリムな筋肉質のある運営体制を目指していかなければいけないと思っています。
また、緑色の折れ線グラフは離職率でございます。弊社グループは比較的離職率が低い業界ではございますが、コロナ禍を経て、離職率は数%単位で上昇した経験がございました。離職率は従業員の要員事情にとっては非常に痛手のところでもございますので、こういった状況も注視していかなければいけないと思ってございます。
右側は採用の状況でございます。要員を構成するもう一つの大きな要素である採用の状況でございます。現在、学生の志向は、インフラ・鉄道業界全体で相対的に低下してございます。安定的な人材獲得が非常に難しい状況になっております。大手の採用のメディアのランキングを載せてございます。弊社の場合は比較的理系が強いところでございましたが、理系でも今、ランク外という状況でございます。鉄道全体、インフラ業界全体で人材難という非常に厳しい状況になっているというところでございます。
右下、トピックのものを1つ持ってまいりました。2014年度がJR東日本のエントリーが最も多かった年でございます。現在、その3割ぐらいまで減少しているということで、採用の母集団そもそもの人数が減っているという状況です。
また、弊社の弱点は3つございまして、地方、技術、女性というところでございます。こういったところに人口減少が相まった今、非常に厳しい採用状況になっております。
また、最近、新卒の学生のアンケートを聞きますと、右側のグラフになりますが、転勤への忌避感が非常に高くなっています。地元で働きたいという志向が非常に高まっております。JR東日本の場合はレールがエリア内をつながっておりますので、どうしても広い事業エリアにおいて人事異動等で効率的に運営していくということがメインになってまいりますので、こういった意味から逆風となっているというところでございます。
このことから、左下に戻りますが、今後要員需給を踏まえた生産性の向上が非常に急務になっております。鉄道事業はインフラの根幹でもありますので、安全・安定な鉄道運営をおこなっていくためには、しっかりと安定的な要員需給を支えていくということが必要になってまいります。
緑色のグラフが鉄道モビリティに従事する社員数でございます。当社の年齢構成から、2030年代初頭から鉄道事業に携わる社員が中期的に減少するという傾向になってまいります。これは国鉄末期に採用を止めた時期があり、今、その世代が50代になっております。その後JRになって採用を再開したのが今の40代になっております。これが2030年度以降大量に退職をしていくということから、鉄道に従事していく社員が相対的に減っていくということが目下の課題となっております。そこで、この後説明する内容も踏まえて、技術開発タスクフォースを社内に立ち上げて、鉄道事業の生産性を2035年までに20%向上していこうと思っています。
右側の折れ線グラフで実線がございます。今、既に計画をしているワンマン運転などの計画はこの実線の線になっております。このままこのタスクフォースが進展しなくなりますと、2033年ぐらいには需給が割れていくという状況になっております。今、そのタスクフォースで点線の部分にまで業務を効率的に下げようというものに取り組んでおりまして、これが功を奏せば安定的な運営ができるということでございます。こういった背景からAI、ロボティクスの取組を今、加速しているところでございます。
次のページ以降は安部のほうから御説明を差し上げます。
○JR東日本安部氏 DX、AIを担当しております安部と申します。
私からは具体的な取組の事例についてお話をさせていただければと思います。生産性を上げるにおいてAIが全てではないですが、今回に関しましては、AIを中心に具体的な事例ということでピックアップをさせていただいております。
最初に、AIを利活用するに当たって、グループとしてのポリシーを掲載しています。AIの持つリスクを把握するということと、適切に対応するガバナンス体制の下にAIがもたらす効果を最大限発揮していく。それをポリシーとして掲げてございます。
ポリシーの柱としては、ここに記載があります7つの柱を掲げております。7つの柱の中で「守り」の部分、「攻め」の部分、「基盤」ということで掲げています。最初に、「ヒト」中心と人権の尊重を最上位に置くことで、当社としてAI利活用における人権尊重の重要性を表現しております。
次に、鉄道事業者として「究極の安全」の追究というのは経営のトッププライオリティーでもありますので、そのため、AIのリスクを正しく認識して、人の判断を介在させる仕組みとか、もしくは予期せぬ動作に対する安全措置といったことを講じるなど、ルールや体制を含めて、AIを適切に人が制御するということのポリシーを基に、2つ目に「究極の安全」の追究と制御といったことを弊社として意識しながら、このようなポリシーを掲げているという状況でございます。
次のページから具体的な事例になるのですが、3ページ目を御覧ください。今回御提示させていただいた内容は、鉄道に特徴的な設備の事例を出させていただいています。最初は設備関係のメンテナンスにAIを含んだ取組の事例ということで、まず線路のメンテナンス用の分析プラットフォームというものを構築しています。線路の点検に関しましては、目視、経験で点検をおこなってきたというところが基本ベースとしてあります。そういったところの点検のレベルアップをしていくということで、ここに記載もありますが、営業列車の台車があるところの横にモニタリング装置というものを取り付けまして、実際営業列車が走行する中で線路の状態を把握する。それによってデータを取得出来ますので、そのデータによって日々の変化点とか変位なりを確認、分析して予兆をとらえるといったことをおこなってございます。
現時点ではデータ分析のダッシュボード化までできているのですが、これを基に、AIを使って分析し、設備の更新をしなければいけないとか、修繕しなければならないとか、工事計画の調整をおこなわなければならないとか、それらをおこなうに当たっては人も必要ですし、費用も必要なので、そういったところのシステム間の連携をしていく。全体の一連の流れをAI化していこうということで、今、まさに取り組んでいる最中でございます。
次のページを御覧ください。
これは、昨今災害の激甚化というところもありますが、大雨とか地震発生時には線路の状態がどういう状況かということで、現在は沿線を係員が巡回して確認しているというのが現状でございます。人が現地に行くということは二次被害のおそれもありますので、資料の中心にありますように、レールの上に台車を乗せて、その上にロボットを乗せて、これを遠隔で操作することで災害現場のほうに動かし、映像によって線路部分の支障物がないか検知する。この部分にAIを活用しております。これに関しては、まだ研究開発レベルで実施している状況でございます。
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鉄道の特徴的な設備の一つとして架線というものがあります。架線に関しましては、終電が終わった夜間に電力関係の社員が目視による点検をしているというのが現状でございます。これに関しましても、電気・軌道総合検測車が走行することで自動にデータ測定できる架線のモニタリング装置を導入しております。左下の写真のように、状態を判断して、画像解析によって早期の不具合等の予兆を発見する。このような仕組みを導入しております。
さらに、架線と接触する列車のパンタグラフがあります。パンタグラフ側の状態も自動的に判別するということで、物体検出AIとか損傷検知AIとか、まさに研究開発中であります。
次を御覧ください。
次は運行管理の関係で御提示をさせていただいてございます。信号通信指令業務というのは、事故事象が発生した際に、最終的には現場の状況を音声などでやり取りしながら状況を把握して、それに基づいてどう対処していくかという判断をおこなっていますが、情報連絡が密にならないと原因がはっきりしなく、なかなか早期復旧につながらないということもありますので、運転再開の早期復旧を求めて、フィールドで設備障害や災害対応をしている社員同士の通話、会話を自動的に分析しまして、作業経過を自動的に作成するとともに、その作業状況から過去の設備障害の事象などを参考に原因を推定して、指令側に提案する。その提案に基づいて指令員が判断して現場に指示する。このような仕組みを導入しています。
これによるメリットは復旧見込時間が一律で見えてくるというところで、サービス向上にも寄与しているという面もあります。
次を御覧ください。
次はサービスの関係になります。みどりの窓口の対応で、かなりのお客様、インバウンドの方も含めてと列ができているということもありまして、これを何とか解消したいということで、みどりの窓口の生成AIで自動的に会話をしながら切符が買えるような実証実験を7月におこないました。これに関しましても、決済とか発券の部分、一連の流れでAIの組み込みがまだできていませんので、現段階としては、お客様が心理的抵抗感があるか、駅の雑音の環境の中できちんと音声認識できるかとか、そのような部分の基礎実証を進めているという段階でございます。
次を御覧ください。
これもサービス関係ですけれども、列車の運行状況について、コールセンターに電話をかければ状況など分かるのですが、なかなかつながりづらいというところもありますので、特にデジタルに不慣れなお客様に対して、電話で運行情報をお知らせするというサービスを、AIを使った形で提供しております。
次を御覧ください。
社内オフィス関係の業務でAIをどのように利用しているかということを御紹介させていただければと思います。オフィス関係に関しましては、弊社内でクローズしたJRE業務サポートAIというのを展開しています。これに関しては、基本的には複数の汎用言語モデルが活用できるということと、社内の秘匿文書とかデータとかにアクセスできるということで、内製開発でツールをつくって全職場に展開している状況でございます。生成AIの利活用に関しましては、事例集を作成したり、ウェビナーを展開したり、研修も計画的におこなったりして、教育等によって利活用を推進しているという状況でございます。
次を御覧ください。
現時点ではAIとのつながりは少ないのですが、鉄道はリアルの環境が多いということもありますので、ロボット関係をうまく活用していかなければ、なかなか生産性が上がらないというところもありますので、ロボット関係の実証を含めていろいろ活用していることを、幾つか写真で挙げさせていただいています。
左側の上にありますのが、鉄道には、墜落、感電、触車という三大危険要素の作業があり、ここをロボットで賄えないかということで、現時点ではフィジカルAIではないですが、人の操作によって例えば沿線の枝の伐採とか、もしくは腕を替えることで、鋼管の柱のさび取りのようなケレン作業、そのようなことができる仕組みになっています。人が遠隔で操作することによってロボットが危険作業を代替えしていく。資料右側には、搬送・物流ロボットとか、ドローンの活用もあります。その他に左下にあります車両のメンテナンス作業ということで、新幹線の台車の下を検査するときにカバーがついていまして、これは一つずつボルトを外さないと検査に至らない。このボルトを外すことがかなりの手間がかかり、ロボットでボルト外しができるようにして実際の検査に集中するという仕組みなどの取組もおこなっている状況でございます。
○JR東日本奥村氏 ということで、今、御紹介をさせていただいたところは、まさに今、進んでいるところでございます。一方で、弊社は社員の挑戦のフィールドを広げようというものも新しいビジョンでやっておりますので、雇用への影響は非常に注視していかなければいけないと思っています。特に鉄道の場合は安全に関わる部分が多くございますので、引き続き弊社の事業の特徴を踏まえながら検討を深化していきたいと思ってございます。
以上でございます。
○阿部部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明に関しまして御質問があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。では、佐々木さん、武田さんの順番で。
○佐々木(勝)委員 どうもありがとうございます。
1点御質問させていただきます。2ページ目にあるように、AIを導入する前にこういうポリシーを策定するというのは非常に重要なのかなと思っております。ここに7つの要素が挙げられていますが、特に1番目の「ヒト」中心と人権の尊重というのは非常に重要なことで、1番目に来るのかなと思いますけれども、ただ、人権侵害につながるようなAIのリスクというのは、具体的にどういうことを想定しているのかなと疑問に思いました。その後に具体的な事例というのがありまして、例えばみどりの窓口のAI対応サービスや、社内業務の場合、業務サポートAIの活用とか、そういうところで発生することを想定しているのかというところを教えていただきたいと思います。
2つ目は感想ですけれども、先ほど始まる前にお話ししましたが、最後のページの左上のロボット、非常に格好いいですよね。ガンダムのような感じで、ただ、まだ操作する人があまりいないということで、これからアムロを育成するのかなと思いますが、これがAIで自律的に枝をカットしていくというのは、想像するだけでわくわくするような、鉄道マニアは非常に楽しみにしているのではないかなと思います。これは感想です。
以上です。
○JR東日本安部氏 御質問いただき、ありがとうございます。
人権侵害のところは汎用のLLMを活用するというところで、利用するに当たっても、考え方がどうなっているかなど、チェックするような仕組みをつくっています。特に生成AIに関しては、弊社は鉄道版生成AIということで、自分たちで言語モデルを開発しようというところもあったのですが、汎用技術の進歩が著しいというところもありまして、汎用の活用を進めています。具体的な影響があったということはないですが、例えば、採用でのAI活用で公平性というところ。社内利用においては、経験や実績などからの偏りがない回答などを意識して設計しております。
ロボットに関しては、弊社だけで実現できない部分もありますので、オープンイノベーションでいろいろな企業の方にも参画していただきながら検討しています。このロボットはJR西日本様の開発品を使用しており、もともと弊社の開発の意識というのは、自前主義のようなところがありましたが、技術進展が著しい中では、良いものは取り入れていこうという形に動いているという状況でございます。
○阿部部会長 では、武田委員、お願いします。
○武田委員 詳細な御説明をいただき、ありがとうございました。
私からは2点質問させていただきます。1点目は、ミスマッチについてです。全体として就職の希望者数が7割減という状況にあるということでしたが、AIが進化する中で、日本全体の課題としてエッセンシャルワーカーの人手不足があると思います。御社の中でも、事務職の方もいらっしゃれば、技術職や保守・メンテナンスなど、日々エッセンシャルワーカーとして業務に携わっている方もいらっしゃると思います。こうしたAIによるタスクの変化を踏まえると、全体としては人手不足である一方、タスクによっては過剰な部分と不足する部分にミスマッチが生じている可能性があるのではないかと推察しております。それを踏まえ、賃金体系の見直しや、ミスマッチを解消するためのシフトに向けた取組など、何かなさっていることがあれば御教示いただきたいです。
2点目は、フィジカルAIの活用についてです。ご説明いただいたロボットやAIの活用が進むと、恐らくフィジカルAIの活用というところまで行かれると思います。鉄道のメンテナンスに必要だったスキルも、今後はロボットの操作や保守などに変わっていくと思いますが、具体的な活用に当たっての課題について、技術的な進展以外にも何かお考えのことがあるでしょうか。今後、フィジカルAIが日本全体にどう広がっていくかという点も大きな課題ですので、その点についてのヒントが得られればと思いました。
以上です。
○JR東日本奥村氏 ありがとうございます。
1点目のエッセンシャルワーカー、技能工のようなところの人手不足というのは、弊社でも先ほど御説明しました4万人のうちの4分の1が企画部門でオフィス部門です。そうすると、4分の3がいわゆる第一線の職場の社員ということになってまいります。一方で、AIが効果的に発揮するのが企画業務というところにありますので、この中間工程がなくなることによって、フィジカルAIのほうが進展速度がAIに比べては遅いので、企画部門で活躍している社員を現場第一線で活躍してもらうというのは1つあるかと思います。
今、アドバンスド・エッセンシャルワーカーという言葉が出てきていますが、まさに今までオフィスで活躍してきた社員が持っている経験知と、現場第一線の業務を掛け合わせる事で、非常に効果が出るのではないかなと思っています。
また、弊社は7月1日に事業運営体制を国鉄体制から見直して36の事業本部にし、それぞれの地域に密着するような事業運営体制に見直しをさせていただきました。これはまさに現場第一線にニーズやお困り事のヒントがあるというところからそうしておるのですが、そのフィールドに企画部門で経験があったオフィスの社員が第一線の業務に行くことによって、そこの課題解決やニーズの早期把握のようなところにもつながるかなと思っています。
後段の人事制度についても4月1日に抜本的に見直しをさせていただきました。1つ大きなポリシーは、多様な挑戦をするというところを今回の制度改正の大きな柱にしています。とかく鉄道の場合は担務と言って、みどりの窓口に入る社員は、今までみどりの窓口しか入っていなかったのですが、AIなどが代替するといろんな仕事に挑戦をできるということになってまいりますので、そういった多様な挑戦をした社員に報われるような人事制度を4月1日から実施しておりますので、そういった意味では、現段階での人事制度としては今の時代にマッチしているかなと思っています。多分この先また変えていかなければいけないときが来るかなと思っていますが、そういった状況でございます。
1番目は以上でございます。
○JR東日本安部氏 2つ目、メンテナンスとか検査のスキルというのは変わってくると思っています。AIが浸透してきますと、社員は、AIとかで分析した後のアウトプットだけが出てくるので、そのアウトプットをどう判断するかということが中心的な業務になってくると思っています。ただ、経験がない中で、アウトプットだけで本当に判断ができるのかというところに課題があり、そのような判断ができるような教育の在り方も考えていかなければいけないかなという課題感は持ってございます。
○阿部部会長 ありがとうございました。
それでは、オンラインで岡本委員が手を挙げていらっしゃいますので、お願いいたします。
○岡本委員 岡本です。
御報告ありがとうございました。
今週放送されたNHKの「クローズアップ現代」でも鉄道会社の人員不足や技術力の維持などの課題が取り上げられていました。自然災害時などの作業員の安全を確保していくためにもAIの活用というのは大変重要だと思っています。これらの取組は広く鉄道事業者が活用できる取組だと思っています。放送でも線路の点検のAI活用について、30以上の鉄道会社が共同で開発をしていると伝えていました。
特に地方や中小の鉄道会社の方たちは独自で取り組むことはできないと思いますので、鉄道会社をもっと広げてやっていただけたらいいのではないかなと思いました。
また、働く人たちの対応について、鉄道業界は高度な安全性や公共性が求められる分野だと思っています。そのための専門性も労働者には求められてきたと思います。機械化やAIの活用による現場の変化、またはOJTなどの訓練の在り方について、現時点で特徴的なことがあればお聞きしたいと思います。
先ほどフィジカルAIの話もありましたが、フィジカルAIなど自律的機器の運用に対応した安全基準の標準化や、共通の技術者育成プログラム、キャリアラダーなどを標準化するなど、労働者のスキルアップや雇用の安定、安全確保、支える仕組みづくり、そうしたことの構想があれば伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
○JR東日本奥村氏 御質問ありがとうございます。
AIやロボティクスの進展に伴う技術者、社員の育成の部分でございます。先ほど御説明でも少し触れさせていただきましたが、AIやロボティクスの進展で大きく3つのポイントがあると思っています。経験機会の縮小と求められる役割の高度化、社員が活躍するフィールドの変化だと思っています。特に経験労働で安全を支えてきている鉄道は、1番目の経験機会の縮小というのは非常に大きな課題だと思っています。OJTを中心で、試行錯誤でこれまでノウハウを得てきたものでございますから、ここについてどうしていくかというのを今検討しております。例えば意図的に経験機会をつくっていくとか、疑似トレーニングをするシミュレーターを作っていくとか、あるいは越境経験をしてタフアサインメントをさせるといったことが必要ではないかなと思っています。
また、スマイルカーブといって、AIが進展すると中間工程が減り、現場工程の価値が上がるというふうに言われていますけれども、意図的に経験をさせなければいけないので、どちらかというと現場工程に厚みを持たせたような育成プランを作る事は、JR東日本版の特徴的な育成のモデルかなと思ってございます。
また、今まさに検討中でございますが、進んでいる段階では、安全を第一にするためにはここまでは人間がやるというのを最初に決め防波堤をつくった上で、その外の領域でAIの進展をしっかりと見守っていこうということで、今まさに走りながらではございますが進めているところでございます。
以上でございます。
○阿部部会長 ありがとうございました。
お時間もありますので、質問はこの辺りにさせていただきます。ありがとうございました。
それでは、続きまして、株式会社橋本組の橋本CEOからお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○橋本組橋本氏 私どもは株式会社橋本組と申します。本日はお招きいただき、誠にありがとうございました。
それでは、早速内容のほうに入らせていただきたいと思います。
今回、AIがテーマということですが、昨今、DX、AIといったような形で、世の中、この2つの言葉があふれておりまして、ただ、昔からIT化とかそういった流れで、今、AI化といった形で進化していると思うのですが、私ども橋本組は静岡県にある小さな100年企業なのですが、実際に30年ほど前からこういったものに取り組み始めているということをDX技術導入年表といった形でまとめさせていただきました。
次に、建設のICT技術。これは耳慣れない言葉だと思うので、この辺りを説明させていただいた上で、生成AIの導入による事務作業量の軽減、さらにはBIM(Building Information Modeling)の導入による設計・施工作業量の軽減。最後に、フィジカルAIの台頭が巻き起こす建設業界のイノベーション。こういった流れで皆さんに御説明をさせていただきたいと思います。
まず、私どもは1989年に最初にオフコンといったものを導入させていただきました。オフコンと言っても、若い方は聞いたことがないのかなと思うこともあるのですが、実際に私ども建設業界は積算といったものがございまして、その積算の数字をぴたりと当てなければ公共調達の入札に絶対勝てないといったことがございまして、そこでまずオフコンが導入されてきました。
そして、1992年(平成4年)、初めてパソコンを導入させていただいたのですが、このときは私がアップルコンピュータの大ファンだったので、Macを導入させていただきました。
その後、1997年に光波測距儀。これは1台300万くらいする測量の機械だったのですが、これは今まで3人で1日かかっていた測量が半日ぐらいでできてしまうというような非常に優れた機械でございます。
そして、1998年に全現場監督に、今では絶滅してしまったと思うのですが、PHSを支給することによって現場の生産性を高めていきました。
さらに、1999年、全現場監督とバックオフィスで働いている社員を対象に、1人1台iMacを導入させていただきまして、オフィスの中が非常にカラフルになって明るくなったなというくらい、すごくいい試みだったと思うのですが、これを自分たちでトークンリングというMacの有線LANのほうでつながせていただいて、かなり生産性が向上したのかなと思ったのですが、2003年に電子納品に対応するため、国のほうの基準でMacでは動かないソフト、それを使わないと電子納品ができないということで、泣く泣く全てWindowsのPCにリニューアルをさせていただきました。
その後、みずほさんでも導入をなさっているという話ですが、2006年に社内のSNS、日報を中心としたSNSを立ち上げまして、社内SNSの運用を開始してちょうど20年になるのですが、これによって社内のコミュニケーションがかなり活性化したのではないのかなと思っております。
2009年には、社員全員に携帯電話を持ってもらっていたのですが、それを全てスマホに変更といったことをやらせていただいております。
2013年に、先ほど申し上げました建設ICTの一環でドローンの導入を開始しまして、2020年にはダンプトラックの運行システムのほうもAIで制御するものを導入させていただいております。
2022年、コマツさんとソニーさん、野村総研さんとNTTドコモさん、4社が出資して設立されましたEARTHBRAINという会社がございまして、そちらの会社とDXスマートコンストラクションパートナー協定を締結させていただきまして、私どもの会社を彼らが開発したシステムのモルモットとして使わせていただく。それをフィードバックしてさらにシステムをブラッシュアップしていく。そういった協定を結ばせていただきまして、現在ICT施工のほうを進めさせていただいております。
ここからが本題になってくるのですが、2023年に全社員を対象としました生成AIの研修をやらせていただいております。生成AIに対して社員がどうしても敬遠するといった意識が正直ございました。私どもの会社は全社員に1人1台パソコンといったことを30年以上前にやらせていただいたのですが、そのときもすごく抵抗感があって、その解消方法として就業時間中にパソコンでゲームをやってもいいよと。そういう形でアレルギーをなくす。そのためには、今回の生成AIに関しても、講習の中で、スマホの仕組みを理解して使っていることはありますかと。そんなことはありませんよねと。生成AIをスマホと考えてやってくださいと。そういうことを一番最初にインプットした上で、生成AIの講習を全社員を対象にやらせていただきました。
その中で、「これ、面白いよね」といった形で興味を持ってくれた社員に対して、生成AIのリーダー研修をやらせていただきまして、それは各部署から1名。生成AIリーダーを養成することによって、何か分からないことがあったら、各部署に必ず1人いる生成AIリーダーに問合せをしてくれと。そこで敬遠することなく日常業務に取り入れてほしいと。そういったことを実現するために生成AIリーダー研修を3日間合宿形式でやらせていただいて、この頃、まだエージェントとかが出る前だったので、実は今月末からまた3日間かけて、今度は生成AIのエージェント研修を生成AIリーダークラスの人間を集めてやるつもりでおります。
その後、同じ年に設計BIM、施工BIMの連動プロジェクトというものを開始いたしまして、今年、そちらのプロジェクトのほうは完結しまして、今、実用化の段階に入っています。
さらに、2025年にはハンディ型の3Dスキャナを導入いたしまして省略化を図ることができておりますし、今年からAIエージェントの導入を開始しました。あと、AI inside、スタートアップから上場した企業なのですが、その会社とDX・AI事業包括連携協定を締結させていただきました。これをさらに一歩進めたものを、自分はこの部屋に1時半ごろ入室させていただいたのですが、この審議会が始まるまでの30分の間にリモートで、最近はクラウドサイン等を使って契約とかできますので、ここにある端末で次の契約を締結したという形です。日常業務が今まではすごく時間がかかっていたものが短い時間で完結するようになって、人間はAIの導入、DX技術の進歩によってすごく楽になるはずが、倍忙しくなってしまったという形で、そこも考えなければいけないのかなと考えております。
次に、建設ICT技術の導入による人的作業量の軽減といったことにテーマを当ててお話をさせていただきます。まず、ノンプリズムのトータルステーション。今までは測量するときには必ずスチールテープ、それと光波測距儀を見る人間、さらにけがをしないように交通整理人をつけるという形で、作業人数が最低4人必要だったのです。それがノンプリズムのトータルステーションを導入することによって1人に軽減することが可能になりました。
ドローンとか点群等の解析ソフトを導入することによって、測量作業も劇的に軽減することになりました。作業人数が最低2人必要だったものが1人。実際に作業する時間16時間が2時間。8分の1になった。そのくらい減っております。
3Dスキャナ導入による計測作業の軽減ということで、これはいろんなものを測るときに脚立を使ったり、足場を組んだりして、そこでテープでいろんなものを測ったりしていたのですが、今はぴっと押すだけで瞬間的に全てのものを測ることが可能になりまして、作業人数が2人から1人。作業時間が4時間から0.5時間。これも8分の1まで減っております。
水中ドローン導入による潜水士作業の軽減といった形で、今までは作業人数3人。これは潜水士船に潜水士船を操縦する人。圧気、送気と言いまして、潜水士に空気を送る人が必ず1人いて、実際に作業する潜水士さんがいて、3人1組で潜水士作業を行っていたのですが、この水中ドローンを入れることによって、潜水士船1そうが0になるといった形で、こちらのほうも大幅な作業の削減が図られております。
さらに、マシンコントロール建機を導入することによって丁張り作業。今までは実際に機械を操縦するオペレーターがいるのですが、オペさんが目視で丁張りといったものを見て、それで自分で作業する。そういったことが建設業界では行われていたのですが、このマシンコントロール建機というのは、コンピュータのほうにあらかじめ座標データとか3Dスキャナ、ドローンとか、そういった点群のデータを放り込んでおきますと、丁張りをかけずにコンピュータのほうで勝手に掘削作業。しかも精度は、オペさんが見ながら掘っていくと、オペさんが下手くそですと何十センチというくらい誤差があったのですが、これですと、ミリ単位でしっかりと掘ることができるという形で、まず丁張りをかける作業人数4人かかっていたものが0。作業時間が24時間ぐらいかかっていたものが0時間という形で、こういった面で劇的に作業量が減っております。
BIM、建設業界におけるBuilding Information Modelingといったものですが、今まで私どもは図面を描いて、その図面どおりに物をつくるというのが建設業だったのですが、今は3次元の仮想空間の中に実際に物をつくる。ですから、皆さんのここの空間の中に例えば大きなビルが。今まで図面を300枚使っていたものが、ビルそのものを仮想空間につくってしまって、そこを輪切りにして、図面にして職人が手を動かす。今、そういうモデルに変わっております。ですから、図面を引くのではなくて、モデリングする。まさに言葉そのものですが、仮想空間に物をつくるイコール、そこに座標とか属性とか、そういったものを見せた巨大なデータベースで物づくりをするといった形で、建設業の今までの考え方そのものが抜本的に切り替わっているといった状態になっています。
ただ、それは図面だけの話ではなくて、私どものプロジェクトでは実際の施工段階、施工BIMとの協働といったプロジェクト。先ほど3年計画で完成したという話をさせていただいたのですが、物をつくるときには、当然のことながらボタン1個押したら自動的に物ができる。自動車とかはそういったところに既に行っているかもしれないのですが、建設業は基本的には全部一点物ですので、なかなかそれは難しい。そのためには、足場の仮設とか、鉄筋・鉄骨を組む順番とか、そういったものを全部施工計画を立てて、実際に施工する。そこにも連動させるような形で、設計BIMと施工BIMを連動させて実際に動かしていく。そういったものを今やっておりまして、ここでもかなりの省力化が図られております。
特に橋本組BIMモデルといったものをつくらせていただきまして、そこにおいては、私どもの組織、例えば一級建築士事務所、技術支援部という技術をサポートする部署、さらには実際に手を動かす工務部、メンテナンス等を実施するサポートセンター、さらにはお金をはじく積算部、この辺りを全てこのBIMで連動させることによって、各部署にあった垣根とか、一度図面を描いたものを紙に打ち出したり、メールで転送したりして、そこでまたゼロからスタートするといったものを、BIMを一発つくることによって全てが連動して、各部署がそれぞれやる必要がなくて、各部署はBIMで生成されたモデルをそのまま活用して自分の仕事に使ってよと。特にサポートセンターというのはメンテの専門なのですが、BIMによってモデリングされていますので、今までは雨漏りがしましたとか、電気がつかなくなってしまいましたとか、そういったものに関して原因とかを追及するのにすごく時間がかかっていたのです。ところが、モデリングすることによって、あ、ここのところの収まりが、台風とか強い風があった場合に下から風が吹き上げてきて、ここから水が侵入しているのではないかとか、そういったものをモデル上でシミュレーションすることが可能になって、メンテナンスの部分のところで省力化、原因追及に対するスピードアップ、こういったものが図られてくると期待しております。
ここからは事務作業量といったことで、生成AIに関することに変わっていくのですが、まず「工事のお知らせ」。これは技術屋にとってはすごく難易度が高いもので、物づくりをする人。理系・文系という考え方は外国にはなくて、日本だけという話があるのですが、理系の人間というのはこういった文書をつくるのが割と苦手で、物は物すごいスピードでつくるのに、「工事のお知らせ」1枚つくるのに3日かかってしまうとか、そういったことがあったのですが、生成AIで「工事のお知らせ」をつくってという形で投げますと、秒で出てくるという形で、こういった各種書類作成作業が非常に減った。
工程表といったものは、形式知というよりは完全に暗黙知になっていたものが、工程表の自動作成ソフトを使うことによって形式知化されて、誰でも工程表がつくれるようになりますと。工事写真を記録として残していくのですが、この写真、いつ撮ったっけかなとか、そういったことを考えながら一個一個照査していたものが、自動整理によって時系列でぴたっと関連づけられて出来上がってしまう。
あと、画像解析技術というのがすごくて、今まで我々は例えば鉄筋の記録写真。鉄筋コンクリートの構造物を造るときには、鉄筋を組んで、型枠を立てて、そこにコンクリートを流し込むといった形で、コンクリートを流し込むと鉄筋は見えなくなってしまうので、それは本当に鉄筋が入っているのかと。記録を残さなければいけないということで、その鉄筋の記録を見やすくするために、今までは鉄筋一個一個に磁石をつけて、そこにクロスロッド、1センチ単位で白黒になったものを当てて、ちゃんとこのピッチの中でこれだけ鉄筋が入っていますよというのを写真で撮っていたのです。それが今はデジカメでぱしっと1枚写真を撮ると、生成AIのほうで画像解析をして、鉄筋が幾つ入っていますといったものを書類でぽんと出す。そういう形でかなり省力化も図れております。
あと、営業とかそういったセクションの各種契約書類。今まではリーガルチェックをする際に顧問弁護士の人にお願いしたりしていたのですが、今はそれを生成AIにぽんと投げると、また秒で返ってくるという形で、リーガルチェック作業とかそういったものに関しても劇的な時間の短縮といったものが行われております。
1人当たりの平均年間時間外労働時間といった形で簡単にまとめさせていただいたのですが、2022年は1人当たり200時間弱ということで、毎月にしますと20時間は行っていないのですが、20時間弱くらい、1日1時間残業していたといった形になっております。
2023年にかなり劇的に改善しまして、そして2024年になると150時間を切ってくるといったところまで時間外労働時間が減ってきております。2025年はちょっと増えてしまったのですが、これは特殊事情がございまして、私どもが大阪万博のパビリオンを建設するといったときに、経営資源をどーんとつぎ込んで24時間体制で物をつくったりしたものですから、その影響があって増えてしまったのですが、今年2026年はまたかなり減るのではないのかなと思っております。
では、これはなぜ減ったかと言いますと、先ほど皆さんに映像でお見せしたのですが、全社員を対象とした生成AI研修、上級者を対象とした生成AIリーダー研修が2023年半ばに行われまして、そこから相関係数でいったら多分n=1になるくらいに、生成AIを会社として導入したことによってこれだけの時間外労働時間が減ったといったことを本当に言えるのではないかと思っております。
最後に、フィジカルAIが建設業界をどれだけ変えるかといったことを皆さんに御紹介させていただきたいと思います。これは先月の頭に上海に行ったときに撮影させていただいたフィジカルAIの画像を皆さんと共有させていただいております。これは大判タイルを貼り付けるといったことで、このくらいの大判タイルになりますと、当然1人で貼ることができないので、3人くらいが持って、接着剤を下につけて、あらかじめ墨を打ったところに置いて、そこで小づちでとんとんとんとんとたたいてタイルを貼っていく。タイルというのは、とにかく足場をしっかりしませんと正確に設置することができないので、そこですごく苦労しますし、大判タイルですと、2人、3人で「ちょい右」「ちょい左」とか言いながら設置していたものが、この生成AIロボットは、真空でこのタイルをぴたっと貼り付けてそのまま置くだけ。特に目地の間を0.5ミリから2センチの間まで自動調整することができるといった優れ物で、今までプロのタイル職人が何人もかかってやっていたものを一瞬のうちにやってしまうという形で、すごく性能が高いといったものになっております。
それよりさらにすごいのは、我々建設業界は今、左官屋さんが一番足りないです。左官屋さんが足りないことで工事を受注することができないといったことも実際に起きているくらい、非常に労働力が不足しているのですが、このフィジカルAIは一瞬で物すごい面積を塗れてしまうのです。しかも、何度も何度も重ね塗りして、そこで高さを出していくというものがあるのですが、これは薄塗りを重ねる作業が簡単にできてしまいますし、人間ですと、例えば1ミリくらいの幅でやろうとすると凸凹が生じてしまうのです。ですから、0.5ミリを2回に分けて塗ったりするのが、これは1ミリを一発でできてしまうということで、生産性が飛躍的に向上する。そういったフィジカルAIがもう既に実用化されているといったことが中国の現状です。
従来の施工は、今、フィジカルAIの左官ロボットを紹介させていただいたのですが、まず人間がこのような形で1層塗りますよと。背が届かないので足場を組んで、そこにまた人間が乗って塗ります。さらにもう一度足場を組んで一番上まで塗るといった形になります。塗り終わった後、足場を取って、最後に巾木をつけて壁が完成といった形になるのですが、フィジカルAIですと、これが一発でできてしまいます。
ただし、先ほど御覧いただいたフィジカルAIですと、壁の妻の部分はぴったり塗ることができなくて、一番上と一番下のところに隙間が空いていて、ここのところが問題となるのですが、日本の職人さん、ロボットメーカーですと、ここの隙間を埋めるために一生懸命開発するのです。中国は、別に隙間があったっていいじゃないという考え方で、とにかく全てを完璧にしてからやるのではなくて、できるところまでフィジカルAIでやらせて、あとは人間がやってしまえばいいと。そういう考え方で実際にやっています。
ただ、これからの近未来の施工というのは、先ほどBIMの話をさせていただいたのですが、先に建物があって、それをどう施工するといった形ではなくて、フィジカルAIによって、一番右側の図のように、まずフィジカルAIが目いっぱいできるところまで、つまり、上の天井とかが邪魔にならないところまで塗らせておいて、その後に天井を乗っけて、妻をこうやるといった形で、設計段階からフィジカルAIができるような設計をする。これからの建物というのはそういった形に変わっていくのかなと考えております。
これはUnitree、日本でもいろんな形でロボットが有名になっている企業なのですが、そこのショールームで、後ろに消防ロボット、四つ足歩行型のロボットがありますが、これは実際に上海の消防局とかに導入されているもので、そちらのプロモーションビデオを流しながら、目の前でロボットが踊っている。結構シュールなものですが、先ほどガンダム好きの佐々木委員、このロボット、値段は幾らだと思いますか。踊っている最初の二足歩行のものです。
○佐々木(勝)委員 5,000万ぐらい。
○橋本組橋本氏 武田委員、幾らぐらいですか。
○武田委員 見当がつきません。
○橋本組橋本氏 実は日本円で70万円です。本当に上海から買ってこようかなと思ったのですけれども、税関で捕まってしまったら嫌だと思ったので、今回は弾丸ツアーだったので買ってこなかったのですが、それだけの安いコストで本当に自分が子供の。子供ではないな。大分大人になりましたが、ソニーがaiboというものを出して、そのとき70万円だったので、ちょうど同じ値段だったのですが、今、aiboは100万円以上しますね。それは二足歩行が全然できなくて、こういったものが70万円の感覚でデパートで売っているのです。そういった時代になってきているといった現実がございまして、中国に自分が行くまでは、日本は多分周回遅れだろうなと。ちょうどロボット運動会のようなものをやっていて、その3日後だったものですからね。実際行ってみたら2周遅れていました。そういった意味で、このフィジカルAIは建設業を劇的に変えていくのではないのかなと予測しております。
繰り返しになりますが、今までは設計された建物に合わせて施工を行ってきました。近未来はフィジカルAIの効率施工が可能となるように設計すると。発想を180度変えたものがこれからは行われてくるのではないのかなと。これによって何が起きるかと言いますと、劇的なコスト削減につながりまして、ここからは陳情のようになってしまって本当に申し訳ないのですが、今、建設コストが上がり過ぎていろんなプロジェクトが中止になったり、延期になったりしています。首都圏においてはそれでも利回りが回るといった形で建設需要が衰えていなくて、至るところにタワークレーンが立っているのですが、地方ですと、これだけ建設のコストが上がってしまうと物ができないといった形で、今すごく仕事がなくなっています。ここ半年、全ての業種において一番倒産しているのが建設業です。それだけ仕事がないといった状況になっていて、ただ、フィジカルAIが建設コストを下げることによって、各種事業の中止とか停滞となっていたものがまた動き始めると。その期待が非常に大きいと思います。
このフィジカルAIの導入による建設コストの削減が仕事をつくり出す。その仕事によって地方の建設業の職人さんたちは物を食べていけるといった形になりますので、これは予測ではなくて事実だと思うのですが、フィジカルAIは仕事を奪うのではなくて、仕事をつくるといった状況になっていくのではないのかなと最後に提案させていただきまして、私からの発表を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。
○阿部部会長 ありがとうございました。
それでは、手短に質問があればお願いしたいと思います。かなり時間が押していますので、もし御質問があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。では、武田委員、お願いします。
○武田委員 大変興味深いお話をありがとうございました。特に、2006年から社内SNSを取り入れるなど様々なデジタル技術を早くから活用されていらっしゃるとのこと、大変勉強になりました。一点、質問になりますが、設計BIMと施工BIMを組み合わせた橋本組BIMは、既につくられたということでしょうか。
○橋本組橋本氏 モデルを一応確立したと。
○武田委員 モデルを確立されたということですが、これは付加価値創造の非常によい事例ではないかと思います。この橋本組BIMは、外販などもされていらっしゃるのでしょうか。本モデルが社会へ実装されれば、建設業全体の生産性向上にもつながるのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
○橋本組橋本氏 御質問ありがとうございます。
実はBIMという分野は日本が世界的に一番遅れている分野でして、イギリスとかですと、公共調達、公共事業のほうではもう既にBIMでなければ受け付けないといった形で、完全な標準化がなされています。ところが、日本は今年初めて。本当は3年前に実現していたはずなのですが、国土交通省さんのほうでBIMを実際に取り入れるのだぞというふうに旗を振っていたのですが、BIMでの建築確認申請の受付といったものがまだ0件で、静岡県でも私どもの会社を含めて3件の建築確認申請の準備をしているという事前情報があったのですが、3件中2件はガセネタで、私どもの会社しかまだBIMによる建築確認申請の対応ができていないといった状況になっているという悲しい現実でして、私どもが今、確立した施工BIMと一体化させたモデルを外販したとしても多分1つも売れないといったように、そこまで今、日本が遅れているなといった現実がございます。
ただ、生成AIがこれだけ普及してきますと、BIMの垣根といったものが急に低くなってくるのです。ですから、その垣根、ハードルが下がることによって一気に普及する可能性はあるのかなと思っていますので、そこは個人的にも期待をかけております。
○阿部部会長 ありがとうございます。
それでは、オンラインで浦委員、お願いいたします。
○浦委員 橋本組様、御説明ありがとうございます。3点伺わせてください。
1点目は安全についてです。フィジカルAIが人間と同じ空間で働くという現場においては、周辺で働く労働者も含めて安全確保が重要だと考えております。どのような安全管理体制とルールの周知などを行っておられるかというのをお伺いさせていただければと思います。
2点目は新しい技術への適用についてです。かなり早い段階でBIMなど、新しい技術を早期に入れる社風があると思うのですが、こういった新しい技術は、とりわけベテラン層の方々は戸惑いもあったのではないかと思います。前向きに取り組んでもらうためにはどのような工夫をされていたかをお伺いできればと思います。併せて、年齢・体力にかかわらず活躍できる場が広がったというような変化がありましたら、併せて教えていただければと思います。
3点目は成果の還元についてです。スライド8ページで労働時間が大きく減っており、産み出された時間、付加価値に関して、働く方々にどんな還元がされているか教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○橋本組橋本氏 御質問ありがとうございます。
安全に関しては、人間とフィジカルAIが同じ空間といったことはもちろんあるのですが、一番は、先ほどの消防ロボットもそうですし、ICT施工が典型的です。今までは例えばICT施工ですと、バックホーという土砂をかき上げたり、掘っていく機械があるのですが、そこのバケットのすぐそばに補助の土工さんがいて、補助の土工さんの指示に従ってバックホーのオペレーターが掘削する。それが当たり前のことだったのですが、これは実は物すごく危険なのです。バックホーの旋回範囲内に人が入ると、ちょっとした誤操作でバケットと作業員が当たって大きな労働災害につながってしまう。そういったことが現実に幾らでもあったのですが、このフィジカルAIとか先ほどのICT施工によって、人がそばにいなくても施工が可能になりましたので、安全といった面では現状よりはかなり高いレベルで安全が確保できるのではないのかなと考えております。
2つ目の新技術の導入に関してです。社風を褒めていただいて非常にうれしかったのですが、私どもの社風は挑戦して失敗しても笑い飛ばすという形で、とにかく挑戦していこうよという形でいろんなものにすぐ飛びつきます。よくファーストリテイリングの柳井さんは、自分はもう10%しか成功しないよ、10回やって1回しか成功しないといった形で挑戦のすばらしさをお話ししていただいているのですが、我々は100回やって1回成功するくらいで、ただ、99回失敗してもそれは笑い飛ばそうと。基本的には同じことをしたら失敗するというのが分かっているのだから、それは絶対やらないよねという気持ちでやらせていただいております。
ベテランの抵抗感の払拭といった面では、途中一度説明させていただいた部分のところで、パソコンの導入に対して消極的なベテラン層には、就業時間中にゴルフのシミュレーションゲームをやってもいいよとか、そういったことを会社として認めて堂々とやってもらいましたし、例えばエクセルのワークシートとかああいったものに関しても、昔、現場監督、自分が入ったばかりの頃は全員電卓をたたいて、それを野帳に手書きして、そこで高さの管理の数値を見える化していたのですが、自分が目の前でエクセルのワークシートでぴっとドラッグすると、みんなが1時間ぐらいかけて野帳1ページ分やっていたのが秒でできてしまう。これは便利だよねといった話で、自分たちにとってのメリットを可視化することによって抵抗感を下げる。そこはかなりプレゼン的な要素が必要になってくると思うのですが、そういったことを積み重ねることによって抵抗感を払拭する。何度も何度も繰り返すことによって、あ、あいつが何かやろうとしているけど、ちょっと面白そうだなと。敬遠する文化から面白そうと関心を持ってもらえる。そういった文化そのものを変えることによってベテランの抵抗感を減らしていく。そういったことを繰り返してきました。
成果の還元についてですが、一番は労働時間が減るということ。そこは家庭の時間が増えるといったことにつながっていくのですが、私どもの会社の給与体系がございまして、そこには会社の営業利益の25%を社員に還元する。すなわち、会社としての利益が上がれば上がるほど自分への還元が増えるということで、例えば1年間の営業利益が10億円としますと、2億5000万円を社員に還元します。2億5000万のうちの半分、12.5%、1億2500万円を決算ボーナスで、それと同じ金額を退職金として積み立てるという形で、会社がもうかれば自分ももうかるというのを仕組み化することによって社員に還元する。そうすると、社員も会社がもうかれば自分の給料も上がる。しかもそれが見える化されているものですから、それがかなりやる気、モチベーションの向上にもつながっているなといったことを実感しておりますので、この制度は全ての企業に導入していただけたらなと思っております。
よろしいでしょうか。
○阿部部会長 ありがとうございました。
ほかに御質問ございますか。佐々木委員、どうぞ。
○佐々木(か)委員 短く1つだけ。本当にすばらしくて、社風も多分橋本CEOのお人柄やそのパッションやビジョンなりなところなのだろうなと思って感動していたのですが、そういった会社が今、仕事がなくなっているのですと聞くと、そんな社会であってはならないというか、進んでいろいろなものを取り入れて、社員にも還元していくという会社に仕事が集まり、そこで働く人が喜ぶというような社会をつくらないとならないと思っていますし、一般的には建設業界は人手が足りない。なので、もう家を建てることもできない、工期が延びる、そんな話ばかりを耳にしていたので、今日の話は非常にありがたく聞いたのです。我が家の近くでも家を何軒か建設中ですが、1つのクレーンの周りに8人ぐらい労働者の人がヘルメットをかぶって立っているのですけれども、いつも何をしているのかなと思っているので、多分違うやり方が本当はあるのだろうと思いました。
質問は、静岡で今そうやって頑張っていらっしゃるわけですが、外国人の労働者の問題もあると思うのですけれども、これから仕事を増やす、労働者ももっとハッピーに、会社がもっともっと仕事を増やしていく、建設業界がよくなっていくために、東京からできることとか、政府がすることとか、ルールで変えることとかあるのでしょうか。
○橋本組橋本氏 ありがとうございます。
劇的に変えるといったことであれば、日本以外の国がやっております首都の移転とか分散化といったことが行われれば、地方にもそれに関連した仕事が増えると思います。ただ、そういった政策的な夢物語ではなくて、フィジカルAIとかそういったものを使っていったときに、実際にエッセンシャルワーカーはこれから仕事が増える。ブルーワーカーミリオネアといった話があるのですが、フィジカルAIの台頭によって、ホワイトカラーの人間よりはブルーカラーの人間のほうが多分仕事はなくなってしまうと思います。
ただ、ブルーワーカーに分類されていた人たちもAIをスマホと同じように使いこなす時代になると思いますので、そうすると全然違った分野で仕事ができますし、先ほどみずほさんもJRさんもおっしゃっていただいたのですが、今までできなかったことが、自分が持っている知識とAIを組み合わせることによって2倍、3倍の生産性向上が期待できると思うのです。そのときに、本当にすごいグラフをつくられたなと思ったのですけれども、労働人口と実際に供給できるギャップの分は何で埋めるかというと、今言ったようなことで埋めるということしかないのかなと思います。
そういった意味で、建設業界ですと国土強靱化とかやらせていただいていますし、さらには、高度経済成長時につくったインフラが完全にアウトだなと。崩壊するアメリカと同じような状況が日本にも今、まさに生じている。水道管とかばんばん外れていますし。今まで人も物も足りなかったところに集中投入することによって、我々が安心して暮らすことができる。三方一両得となるような、そういったきっかけがフィジカルAIの台頭なのではないのかなと思っておりますので、そういった形で中央が地方に対してできること。それは中央だけではなくて、日本全体で例えばフィジカルAIに対する補助金を増やせとは言いませんが、そういう形で政策的なことも十分可能ではないのかなと考えております。
○阿部部会長 ありがとうございました。
よろしいでしょうか。
○佐々木(か)委員 はい。
○阿部部会長 それでは、ここからは自由討議とさせていただきたいのですが、予定の時間まであと4分しかなくて、お一人20秒程度の御発言になってしまいます。これでは困りますので、どうしても退席しなければならない方は御退席いただいて、残りの時間は皆さんの御発言が全て終わるまで会議を続行させていただきたいと思っております。すみません。御用があれば御退席いただいて結構です。
それでは、自由討議に移りたいと思います。もし御意見のある方、いらっしゃれば挙手をお願いします。では、相原委員。
○相原委員 今日はありがとうございます。
私が大変興味があるのはAIエージェントの話です。AIエージェントが出てきたときに、法人としての責任の境界線をどこでセットするのかというのは大変大きなテーマだと思っています。3社それぞれでどのようなお考えがあるのかというのをお伺いしたいのですが、よろしいでしょうか。
○みずほFG元島氏 ありがとうございます。では、元島からお話をさせていただければと思います。
我々のほうでもAIエージェントを一個人がつくれるような環境に現時点でなっておりますが、実際の業務利用という意味ではまだこれからという状態になっております。そこの課題のところが、まさに御懸念されている責任分界点をどこに置くのかというところでございます。現時点ではエージェントはよく止まります。RPAも大分止まっていましたけれども、それ以上に簡単に止まるというのが現在の我々の評価です。
なので、使い方としては、当面の間はヒューマン・イン・ザ・ループを目指していくのかなというところでございます。責任が発生するところで人間が確認をするというプロセスにしていかざるを得ない。クオリティーが上がってきたところでヒューマン・オン・ザ・ループ、監視するという立場になっていく。最終的には、大分先になると思いますが、外に人間を置く。人間が見ていなくてもAIがやってくれるという世界になると。ただ、現状ではまだそこまで到達するには時間がかかるかなという評価でございます。したがって、まさに境界線のところは悩み中でございます。
以上です。
○JR東日本安部氏 今、みずほ様からお話があったこととほとんど変わらないですが、やはりエージェントを活用することで人が予期しないところからシステムアクセスとかデータアクセスするというところが一番の懸念点でありますので、システム的にログがどういう状況で、そのエージェントがどう動いてきたかというところの基盤をきちんと確立しないといけないというところが大前提であると思っています。
どうやって人との境界線をつくるかというのは、今、まさに議論している最中ですが、現時点では最後に人が判断すると。先ほどヒューマン・イン・ザ・ループの話がありましたが、そういった状況ではあります。全てが自動的にAIエージェントで制御までおこなっているかというと、まだそういう地点には立っていないという状況でございます。
○橋本組橋本氏 私どももエージェントの原点、召使いという形で、どこまで生成AIが便利になっていくのかなということをエンドユーザーの立場として考えていきますと、セキュリティーの部分に関しては制限をかけざるを得ないのかなと。特に一番重要なのが、私どもは大企業さんほど蓄積はないのですが、ラグの部分、各社独自が持っているデータベースの部分と、それ以外の外にアクセスすると。内部的なエージェントがどこにアクセスインかといった部分と、外にたくさん散らばっている様々なAIエージェントが自分たちのラグに侵入させない。そこの部分の境界といったものは絶対必須になってくるのかなと。
ただ、それ以上に大事なのが、各自がAIエージェントを使って勝手に業務改善しました。それを勝手にみんなが自分独自のフォーマットでいろんな外部資料を出したりしますと、それは一昔前の「フォーマットを共通化して出そうよ」というところ、原始時代に戻ってしまうような仕事のやり方になってしまうと思いますので、AIエージェントを使うときのルール化が本当に一番大事ではないのかなと考えております。
○相原委員 ありがとうございました。
○阿部部会長 それでは、オンラインで浦委員、お願いいたします。
○浦委員 私から3点発言させていただければと思います。
1点目、デジタル技術を使うことで年齢や体力にかかわらず活躍できる現場がこの先生まれていくと思っております。そうしたときに、社会全体の年齢構成を見たら、働き手はやはり中高年層が多いというのも実態としてある中で、人手不足への対応というものは、若い人材を採るということに限らず、今いる中高年層の力をどう活かすかであったり、ほかの分野から中高年層の方が新たな担い手として迎え入れられるという状況を踏まえた観点からも考えていくことが必要なのではないかと考えます。
2点目、みずほさんなどからタスクが減っていくというお話をいただきましたが、AIによって産業として大きく減っていくということを個社個社で見たときに、企業の中で配置転換などができて労働者を吸収できる余力がある会社、ない会社が生まれてくると思っております。そういったときに中小企業で働く人々、もしくは有期契約の方々がそういった場面で一番影響を受けやすいと想定した次第です。リ・スキリングや雇用として移動していくことを支援することを考えたときには、企業を通じて正社員や大手企業の労働者という仕掛けというよりも、雇用形態、企業規模にかかわらず届く仕組みが重要なのではないかと考えます。
3点目、AIによって業務がこの先どんどん進んでいくことを考えたときに、社会保険の財源を考えると、賃金を基盤としている以上、細っていくのではないかと考えた次第です。置き換えられたときに、例えばリ・スキリングをするなそ、移行していくことを支えるセーフティネットが社会保険であるとしたら、置き換えが進めばその財源も弱まるという構造になっていると考えました。そうしたときには、移行にかかる費用というのは、今ある形よりも、別の形、在り方を検討していく必要があると思った次第です。
連合もかねてより技術革新への対応や労働移行に伴う能力開発の原資は一般財源で確保すべきと求めておりますし、効率化の成果というものを社会全体で支えていく、還元されるという仕組みについては、労働政策の枠を超えた検討が重要なのではないかと考えました。
以上です。
○阿部部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。坂本委員、どうぞ。
○坂本委員 私も関連しまして人材育成についてお伺いできたらと思うのですけれども、各社、皆様はDX、AIを使ったビジネスの変革といったところに取り組まれていらっしゃることを理解いたしましたが、特にAI、デジタルを使いこなす人材をどう育てていくかということ。皆様の事例でも研修をすごいやっているのだというお話ですとか、あるいは実際に現場の仕事で覚えていくのだということで、OJT、OFF-JTなども含めていろいろやられているとお伺いしましたが、AI時代になっていく中で、これまで日本企業でずっと行われてきたような人材育成の取組が有効な部分もあるのかなとも思いましたし、あるいは違う育成方法が必要なのかなということも感じましたし、そこら辺、皆様がどのように考えられているかというところをお伺いできたらと思います。
○みずほFG元島氏 元島から回答させていただきます。
人材育成に関してでございます。今までのやり方でうまくいく部分といかない部分があるというのは、おっしゃるとおりだと思っております。その中で、他社様も大きく声を上げておっしゃっていましたが、挑戦するということをより評価するという仕組みになっていくのかなと思っております。我々の組織の中で挑戦して失敗した人のほうが挑戦しない人より評価が高いというものを明示し、それをどのように評価するかというのを評価者に対しても研修しております。ですので、ここで失敗してくださいということをひたすら促し、実際にやらない人、岩盤で動かない人もいるというのもまた事実です。残念ながら組織の構成上、促したらやる人、絶対やらない人に分かれるのですが、我々のターゲットは、「やろう」と言ったらやってくれる人が動けばいいかなと思っておりますので、今のような仕組みになっているのかなと思います。
以上です。
○JR東日本奥村氏 JR東日本の場合は少し違う観点で御回答申し上げたいと思っています。今、社員もAI、生成AIを使える環境にあるのですが、8割ぐらいがあまり使えていないというようなデータがあります。まずAI人材をつくるためには非使用者を極めてゼロにしていくということで、AIリテラシーの向上は必須かなと思っています。業務の断面の中にAIが必ず入ってくるというのが近い将来にありますので、まずは非使用者を極めてゼロにしていこうと。その中でランクをつけて、実動で使ったり、あるいはマネジメントを使ったりというところは、階層を設けながらやっていかなければいけないかなと思っているところです。
先ほど少し高齢者の話もありましたが、ベテランの社員が持っている暗黙知を形式知化にしていくというのは、時間的に余裕がありませんので、こういったところでベテランの社員に活躍、光を当てて、持っている勘どころのようなものをAIに覚え込ますということを集中的にやっていかなければいけないのではないかなと思っているところでございます。
○橋本組橋本氏 私からはまた視点が違うのですが、いつも自分がいろんなところでお話をさせていただくときに、日本の失われた10年、20年、30年はなぜ生じたかというと、そのときの統計データとして、日本の企業が社員に投下する研修時間が諸外国と比べて著しく低くて、さらに低下していると。基本的に競争力というのは人間力そのものですので、鍛えられてきた諸外国の人たちと鍛えられなかった日本人、けんかしたら勝てるわけがないのです。
何を言いたいかといいますと、AIだけでなくて、ほかの分野においても教育研修していかないと、AIだけしっかりやらなければいけないと肩肘を張っても駄目で、人間力を形成する様々な分野で教育研修に日本の国として、企業として投資していかないと、日本としての競争力はますます差が広がってしまうのかなと考えております。これに関してはAIもそのうちの一つのツールであるといった認識で進めていかなければいけないのかなと感じております。
○阿部部会長 よろしいですか。
それでは、時間も参りましたが、私、今日何も話していないので、最後に一言だけ感想をお話ししたいと思います。今日、私が一番心に残った言葉は、元島様が御発言いただいた人の付加価値の出し方。これが今後労働政策にとっても一番大事なのではないかなと思いました。AIが今まで人間が行っていたタスクを代替するようになって、タスクがAIと人間でどう分配されていくかというのはどんどん変わっていくと。そのときに人材育成の問題が大きくて、今まででしたら連続的に人材育成を行えてきたのが不連続になってしまう。どんな教育を受けたらいいのか、あるいはどういう教育をしたらいいのかというのが見えづらくなってきているのではないかなと思いました。そのときに、教育訓練をやればいいというのでなくて、その人の付加価値をどうやって出していくか。この点がすごく心に残った言葉で、確かに今の雇用政策とか労働市場政策で付加価値の出し方というのはあまり考えたことがないなと個人的に思った次第です。この辺り、今後この部会でももう少し議論をしていければなと思いました。
いずれにしましても、長時間にわたりまして3社の皆様には御参加いただき、本当に貴重なお話をお聞かせいただきまして、ありがとうございました。御礼申し上げます。
それでは、ほかに御意見、御質問がなければ、本日はこの辺りで議事を終了させていただきたいと思います。
最後に、事務局のほうから連絡があればお願いいたします。
○宮下政策統括官付参事官 次回の日程につきましては、調整の上、追って御連絡いたします。
以上でございます。
○阿部部会長 それでは、本日は長くなりまして失礼いたしました。労働政策基本部会はこれで終了とさせていただきます。ありがとうございました。
皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
議事に入ります前に、本日の基本部会について事務局から説明があります。お願いします。
○宮下政策統括官付参事官 事務局の政策統括官付参事官の宮下でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の資料はお手元のタブレットで御覧いただけます。操作方法に不明な点がある場合には、事務局にお申しつけください。
オンライン参加の委員の皆様におかれましては、原則としてカメラはオン、マイクはミュートとしてください。
御発言の際は、「参加者パネル」の御自身のお名前の横にあります「挙手ボタン」を押しまして、部会長から御指名があるまでお待ちください。指名後、マイクのミュートを解除して御発言ください。発言終了後は、マイクをミュートに戻し、再度「挙手ボタン」を押して挙手の状態を解除していただければと思います。
通信の状態などによりまして音声での発言が難しい場合には、チャットで発言内容をお送りください。また、会の最中に音声等のトラブルがございましたら、チャット機能でお知らせいただくか、事前に事務局からお送りしております電話番号まで御連絡いただければと思います。
本日は、所用によりまして、入山委員、冨山委員、山田委員は御欠席です。
大橋委員、橋本委員は途中での御退室と伺っております。
事務局からは以上でございます。
○阿部部会長 では、議事に入りたいと思います。
本日は、3社からヒアリングをするということになっております。本日御参加いただきました3社の皆様、ありがとうございます。
では、進め方について御説明したいと思います。まず初めに、株式会社みずほフィナンシャルグループプロセス企画部企画チーム次長の元島様よりプレゼンテーションを行っていただき、その後、プレゼンに関する質疑応答を行いたいと思います。続いて、東日本旅客鉄道株式会社戦略部デジタルデザインユニット長の安部様、人材戦略部人財育成ユニットマネジャーの奥村様から引き続きプレゼンをしていただいて、その後、株式会社橋本組CEOの橋本様からそれぞれプレゼンテーション及び質疑応答を行っていきたいと思います。
3社のプレゼンが終わりましたら、その後、自由討議の時間を設けております。御意見、御発言は自由討議の時間にお願いし、ヒアリングの際はヒアリングの内容に関する質問を中心にお願いしたいと思います。
それでは、株式会社みずほフィナンシャルグループの元島様から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○みずほFG元島氏 ただいま御指名いただきましたみずほフィナンシャルグループプロセス企画部企画チーム次長の元島でございます。本日は貴重な機会を頂戴しましてありがとうございます。
それでは、パワーポイントの資料に沿って御説明をさせていただければと思います。事前に御提示させていただいている資料と若干の修正がございます点、御了承いただければと思います。どうしても内部の数字を使っている関係上、そのまま外に出すということが若干難しい部分もございます。かつ皆様に意味のある、価値のある情報を提供したいと思ったらこの形しかなかったということで、御理解いただければと思います。よろしくお願いいたします。
右肩2ページ目をお願いいたします。
本日御説明させていただくのは、我々みずほフィナンシャルグループとして何を変えたのかということ、及び具体的事例。後に質疑応答という時間とさせていただければと思います。
右肩3ページ目でございます。
全体のまとめでございます。我々は組織を変えて、意識を変えて、行動を変えるということに着手しております。これのコンセプトがE2Eで、全社横断で巻き込んで進めましょうということでございます。
また、AI、DXという言葉が若干踊っている部分がありますが、我々がやっているのは、土台とデータとプロセス、これらを変革していきますということに着手しているということでございます。
また、「産み出した時間の使い方」をどうするかというものは、現在進行形のホットイシューとして我々も頭を悩ましているというところでございます。これらについて御説明をさせていただければと思います。
右肩4ページをお願いいたします。
何を変えたのかでございます。
続きまして、5ページでございます。
2026年2月の末、大々的に読売新聞さんのところから「みずほ事務職5000人減」というキャッチーな記事が出まして、これに続いて各社が報道したということは皆様、御記憶にあるかもしれないですが、こちらはかなりのミスリーディングがございまして、我々がやっている、これからやることというのは、事務業務そのものを5,000人分削減するというのが事実でございます。一部に導入するとか、そういう書き方をされていたのですけれども、我々はグループ横断で全社的にAIを活用します、AIファーストにしていきますという宣言でメディアの皆様にお伝えしていたつもりだったのですが、こういった記事になってしまったというところでございます。
右肩6ページをお願いいたします。
これらの反応について我々も若干危惧したところがあったのですけれども、こちらは1週間の反応のところでございますが、ニュートラルな意見がほぼ9割に達したというところでございます。もちろん、このコメント分析のところもAIを使ってやっているのですけれども、どちらかというとこれはもう逃げられない、避けられない流れだよねということを肯定的でも否定的でもなく、そういうものだよねという受け止め方をしたと我々組織としては受け止めております。実際に社内でもこれらについて反応を伺ったのですが、社内ではかなりAIを使っていくのだ、DXをやっていくのだというのを叫んでいる関係上、ほぼ反応はありませんでした。まあそうだよねというふうに意識が変わっていたと我々としては受け止めております。これも何を変えていったかというところの結論であるのかなと思っております。
右肩7ページをお願いいたします。
では、具体的に何を変えたのかというところでございます。我々は金融機関として絶対に止めてはいけない業務を多数抱えております。したがって、特に「安定」に割くリソースと「変えなければ」というリソースの割合がどうしても「安定」中心になっていたということは事実でございます。ただ、このまま行くといずれ成り立たなくなるということがもう分かっておりました。ただ、今まで着手できなかった。そこにAIという外来の大きな力、環境変化がやってきて、我々はもう逃げられないぞということで、変革をしていきましょうという、ある意味では逃げられない状態に追い詰められていったというのが事実でございます。ですから、我々は集約、見直し、デジタル化、この3つをキーワードとして、どうやって変えていくのかということを全社横断で議論はしておりますが、プロセスを変えていきましょうということをやっております。
右肩8ページでございます。
これの理由となるものでございます。これは弊社のグループの年齢構成です。どうしても50代、60代が相応の人数を抱えております。これが10年たつとどうなるかというのが上段右側でございますが、大幅に人がいなくなるということが確定しております。これに対して、では、人でカバーするのかということで、今の人材の環境上、それは不可能であろうということを我々は予測しております。事務の量というものは、どちらかといえばほぼ横ばい。年間トランザクション、ずっと横ばいでございます。にもかかわらず人が減るということが確定しているわけで、下の事務量の推移といったように、人員のギャップが将来的には年々拡大してしまう。だからこそここを技術で埋めなければいけないということをまずは可視化し、これに対応していきましょうということを全社で課題として取り上げるべきであろうと判断いたしました。
右肩9ページをお願いいたします。
したがって、事務というのはどうしても決められたことを決められたとおりにきっちりやる、どちらかというと安定のイメージが強かったものを変えていくのだ、プロセスをデザインするのだという、動的な変化をイメージする言葉に変え、意識ごと変えていきましょうというアクションを取りました。
右肩10ページをお願いいたします。
これを経営課題として大きく取り上げ、全社の経営会議にかけました。その上で、プロセス変革は全社課題であると。なので、当然にやるべきものであるということを大きく叫び続け、ベリートップからも言っていただくというアクションを取り、意識改革を行いました。ここまでが「なぜ変えたか」と、「何から始めたか」というところでございます。
次以降が具体的な事例となります。
右肩12ページをお願いします。
まず、環境整備とユースケースを整えました。環境整備というものは、まず生成AIを使える環境を用意しました。これはちょっと前のものですが、直近でいきますと、ChatGPTでいったら、5.4のminiまでが自由に使えるという形になっています。開発部隊に関しては、最新のものがリリース当日に全て使えるという状態になっております。
また、右側のように様々なユースケース、こうやったらいいよ、こうプロンプトを組んだらいいよというものを最初から提供しております。
右肩13ページをお願いいたします。
ただツールを渡しただけだとなかなか難しいので、制度とか教育に関しても着手しました。MPS、カイゼンの認定制度ということで、何かを変えるというやり方の制度です。こちらもみんなにやっていただけるように準備したり、ワークショップをやったり、知識を共有したり、実際にツールを使ってみる。1人でやっているとどうしても孤独になってしまうので、みんなでやりましょうというのを開催しておりました。
右肩14ページです。
それだけでは足りないかなと思いまして、これは昨年度のところですが、研修を10種類追加し、担当レイヤーだけではなくて、中間管理職レイヤー、ハイレイヤーのところまできっちりと意識が改革できるように、実際にやるように、ちゃんとやっているか確認できるような研修制度も整えました。
右肩15ページです。
こちらが先ほどMPSと言っていたみずほプロセスシステムです。これはトヨタ様のトヨタプロダクトシステムを応用してみずほ用に変えたものでございます。こういった目線で我々はプロセスを変えられるのではないのかと。むしろこういった目線はないのかというのを探すきっかけとしてこれをみんなにツールとして渡しましょう、この目線で各自の業務を見直してみましょうということをやっています。これは自分で見ていると分からないので、第三者に見てもらおうという活動も同時にやったりしております。
右肩16ページでございます。
また、孤独にやっているとなかなか聞けないというケースもございますので、我々は社内コミュニティ、SNSを持っておりまして、このDX回りのチームのメンバーが1万人を超えました。ここで積極的にノウハウとか質問のやり取りをしているというところでございます。我々は金融機関でございまして、SNSを一般的に使うのがほぼ禁止の状態になっておりますので、逆に社内のSNSが極めて活発でございます。これを提供いただいているのが某会社様ですが、その会社様が運用している中で見ているSNSの中で恐らく日本でもトップクラスに活発であるというふうにお言葉を頂戴しております。
右肩17ページです。
また、それだけでは足りないと思っておりますので、ツールを内部で開発するようにしました。例えば生成AIで情報管理を気にしなくていい。つまりは中のクローズド環境で使える生成AIを社内用にアレンジしたり、検索に生成AIを使うということを社内用にアレンジしたツールとか、音声を録音し、議事録を自動で作成するツールとか、その他、右側にもいろいろあるのですが、これらを自分たちで開発することに最近はこだわっております。どうしてもブラックボックスになってノウハウがたまっていかないので、中で開発していこうというところでございます。
右肩18ページでございます。
これは具体的な事例です。熟練者の暗黙知が消えてしまう。先ほど50代が多いと言っていたのですけれども、どうしても消えていってしまうノウハウをためたいということで、これらのツールを組み合わせるということをやりました。実際にインタビューをするインタビュー項目を生成AIに聞き、そういった熟練の技をお持ちの方はペーパーワークが非常に苦手なことが多いので、ひたすらしゃべっていただく。これを音声で取得し、構造化データに直す。構造化データに直したものを全てマニュアル及びパワーポイントのスライドに直すということ。これはもともと事務をやっていた方が立ち上げてくれたプロジェクトです。
これも1年間のうち2か月ぐらいで開発をし、実際に164テーマまで拡大しました。今年度は我々のグループだけではなくて、全社横断でこれをやっていきましょうということで提供しております。ノウハウとしては非常に面白く、かついろいろな会社様でもお困りでないのかなとか、引継ぎのときに全然引き継がれていないということの予防になるのではないのかなということで、これを展開できるのではないかと思っております。
右肩19ページでございます。
こちらは別の事例です。AI⁻OCR。AIでの自動読み取りを使って人間の代替をするという事例です。例えば法人・団体の属性の判定を人間が目視、目でやっていたのをAIで読み取り、さらに一次判定をAIに任せる。その中の異例のところだけ人間がやるというもので、年間でいったら3,500時間ぐらい、人月に直すと大体2人分ぐらいの業務がこれで削減できる。どうしてもこういった細かなものの積み上げになってくるというのが実際の実例でございます。
右肩20ページでございます。
こちらはバイブコーディング。いわゆるプログラミングの知識がなく、日本語でコーディングをしてアプリケーションをつくるという手法で、予算管理のワークフローで、これがいわゆるシステムに取り込まれているような大がかりなものではなく、各部署でやるようなものを、実際に事務でパンチング、事務処理をカタカタとやっていた人間がつくれました。この方だけが特異点ではなくて、複数の人間でもできたので、我々としてはリ・スキリングが十分可能だと思っておりますし、何よりも業務を詳しく知っている方が使いやすいようなアプリケーションがつくれるというのは、大きく時代が変わったと思っております。暗黙知の形式知化、可視化で残すというプログラムは、もともとは営業で入った人間ですけれども、営業が得意ではない人材でした。その人間がたまたまAIが好きで、独自でいろいろいじっていたら今やエース。いろいろなところから相談を受けるという立場になりました。
ですので、我々としては、これからの時代というものは、人の付加価値の出し方が変わってきたところから、どういう人が優秀かというものの再定義が必要な時代になっているのではないかなと考えております。ですので、我々も社内の人事制度そのものの見直しというものをかなり時代にアジャストしてはいるものの、まだまだ変えていく必要があるなとも考えております。
右肩21ページとなります。
また、根っこから変えなければいけないということで、事務手続と呼ばれるものは、どうしても法令対応とか制度が変わるということも含めて、1つ変えるのに数か月かかっていた。これを全てAIに食わせて、AIで自動的に変えられるようにしましょうというものに今、着手中でございます。直近だと、構造化が終わりまして、これをいかに自動で作成するかということに取り組んでいる状況でございます。これをやると、具体的に確認するとか直すというものは人間がやる必要がなくて、それをどうやって浸透させるかとか、価値をどうやって出すかということに集中できるということで、人が新たに生み出せるというふうにAIを捉えており、AIは敵というよりは味方ということで、一緒にやっていきたいなと考えております。
右肩22ページでございます。
まとめでございます。我々としては組織を変え、意識を変え、行動を変えるというアクションをスタートしました。E2E、最初から最後まで全社横断で皆さんを巻き込んで進めるということ。AIを使うというよりは、土台とデータとプロセスをしっかりと見直す。ツールとしてAIが役立つのであれば、AIを組み込むということを考えております。
「産み出した時間の使い方」が目下の課題ということでございます。これはディー・エヌ・エーの南場さんもある講演でおっしゃっておりましたが、やはり従業員は産み出した時間があると自分のやりたいことをやり始めると。これは我々の会社でも実際に起こっております。楽になったはずなのに、時間が生まれたはずなのに帰る時間は変わらないじゃないかと。ということで、いかに従業員の満足と会社としての向かう方向性を一致させるのかということにトライしている状況でございます。こちらはまだ結果が出ていないという状況でございますので、進捗がありましたら、また共有できればと思います。
私からの発表は以上でございます。ありがとうございました。
○阿部部会長 大変貴重な発表、ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明に関しまして、御質問のある方は挙手をお願いいたします。どうぞ。
○相原委員 委員の相原です。今日は大変貴重な御報告、ありがとうございました。
プロセスデザインということでいたく興味を引きました。2点お伺いします。人員構成がこの10年間で大きく変化していくという御報告がありました。従業員の皆さんとこれを推進するE2Eという説明もありましたが、導入の段階で従業員の皆さんとどういう対話があったのか、また対話の際に職種の変更、もしくは今後の話として採用の話など、従業員の皆さんの興味がある重要事項について、どのような角度からお話をされたのかという点が1つです。
もう一つは確認です。お仕事柄、大変セキュアな機微に触れる情報が目の前にあるわけですが、AIを使う環境をつくっていくとオープンな世界の話とクローズの世界の話と2つあったと思います。もう既に内製化しているというところまで御報告がありましたが、現状セキュアな状態からすると、AIという、みずほグループではクローズの世界を今日御説明いただいたということなのでしょうか。情報の取扱いは外のAIのところとの関係もあっての話なのか。そこの仕切り板のところについてお伺いします。ありがとうございます。
○阿部部会長 お願いします。
○みずほFG元島氏 ありがとうございます。
まず1点目、どのように伝えていったかということですが、弊社のベリートップ、グループCEOの木原から、毎年度環境が変わっていくことによってどういう方針で会社を運営していくのかということを大々的に伝えております。この中で木原がAIファーストの会社をつくっていくのだと大々的に宣言しました。その上で各役員がタウンホールミーティング、様々な組織に直接行って対話を繰り返すということを、どの役員も大体月に1回、2回ぐらいは必ずやっております。また、具体的に職場に行って面談をし、座談会をし、役員が思っている会社の方向性を伝えるということをずうっと続けました。1回、2回ではなく、タウンホールの合計で言ったら年間百数十回やっていると思います。そのミーティングをやるということでまずはやるというベクトルを示したということ。
職種の変更のところは、2019年、我々はそもそも職種を廃止しておりますので、あらゆる業務、あらゆる職種のところで何でもできますよというのをまずは整えてありました。その上でやりたい業務と処遇のところを極力リンクさせていくというアクションを複数年にわたってずっと続けておりますので、そこでギャップが発生するということはなかったというところでございます。
採用に関しては毎年のように見直しをかけておりますので、どういった人間を採用したいのかというものを近視眼的に、今、この場所で何人足りないというよりは、将来的な人口構造が変わっていく。我々としても、ビジネスの注力の度合い、リソースをどれほどかけるのかというのが変わっていくということを想定して、募集する職種の辺りですね。職種は、基本的に何でもやってくださいということなので、この辺りの業務のジャンルの人をそろえていきたいというような採用の仕方に変わっております。以上が1点目でございます。
2点目です。これはセキュアな面のところ、クローズドの話とオープンの話ですけれども、基本的にはクローズドな話と御理解いただければと思います。オープンのところも実際に使えるというのは制限つきでやっております。ただ、オープンのところはどうしても情報の流出を避けるというのは限界がありますので、これはきちんとリスク管理できる人間のみとしております。ただ、どうしてもクローズドだと限界があるということで、そもそもの生成AIとかこういったツールを実際に開発している会社様と直接提携を結んでしまい、最新のモデルがクローズドでもできるというような環境を整えております。
以上でございます。
○阿部部会長 ありがとうございました。
では、オンラインで川﨑委員が手を挙げていらっしゃいますので、お願いいたします。
○川﨑委員 川﨑です。御説明、どうもありがとうございました。私のほうから2点質問をさせていただければと思います。
1点目は、先ほど採用に関しての質問もありましたが、それと少し絡みます。8ページで年齢構成、どう変化するのかというところを御提示いただいておりましたが、32年の断面で40代の中頃の人たちの採用を増やしているなと。2023年以降の入社の人が増えていますので、これを見ると、若手の人たちよりはその年代層を増やしているというふうに見受けられまして、その辺で増やしていくというところ、具体的にどういう職種を考えてこういう形を狙っているかといったところを少し具体化した形で教えていただければと思うのが1点目の質問になります。
併せて2点目の質問もお願いしたいと思うのですが、御説明の中で、AIを活用することでどれだけ効果があったのかといったところを定量的にお示しいただきまして、ありがとうございました。また、AI利用に関してどのぐらいの利用の量があるのかといった御説明もありましたが、昨今AIを利用するトークンの価格も大分上がってきているということをちまたで聞くことが多くありまして、効果が出たところで削減したコスト効果と実際発生しているトークンの価格とのバランスを見たときに、今時点でどのようになっていて、将来的にこれがどうなっていくのかといった予測をされているものがあればお教えいただければと思います。2点、よろしくお願いいたします。
○みずほFG元島氏 御質問ありがとうございます。
まず、1点目のところでございます。具体的な年齢構成の中で、23年度以降入社となっているところ、40代以降のところが相応にあるというのは、実際には32年度末になりますので、実は10年ずれます。なので、現時点で見ると10歳ぐらい若いところ。つまりは、20代後半から30代、40代にかけてが実際の中途採用のメインのところでございます。これはあまり年が行き過ぎず、かつ新しい環境にもきちんと慣れられるであろうというところで、我々の組織としての採用のターゲットがその辺りになっているというところでございます。ただ、これは直近までのただの実績でございますので、これからは時代の流れに沿ってこれも変えていくのかなと思われます。1点目でございます。
2点目でございます。AIの実際のトークンの価格とか事例とのバランス感覚の考え方でございます。我々が実際にスモールでアクションをして実績を上げているところに生成AIの活用はほとんどコストがかかっておりません。理由は、最新のモデルを使わず、最低限の利用でやっております。何でもかんでも高い最新モデルを使う必要はなくて、古いのは安いです。むしろ古いモデルとか簡素なモデルはコストが下がり続けておりますので、そちらで十分なもの。つまりはクオリティーの見極めをPoCを通じてかなり的確にやった上で、具体的な導入に入っているということでございます。
ですので、従業員の皆様に配っている自由に使っていいよというものは、ちょっと前まではなかなかいいモデルを自由に使っていいよと言っていたのですが、従業員の利用がかなり増えてしまい、実際にモデルを落としたというケースもあります。ですので、トークンの価格は正直無視できないところまで来ていると思っています。ですので、我々としては、将来的にはトークンの考え方と人件費の考え方を併せて考えるようになっていくのではないのかなと考えております。つまりはリソース、人件費をかけるべきところにトークンを使っていく。そうでないところはしっかりとコントロールしていく。こういった世界を想像しております。
以上です。
○川﨑委員 よく分かりました。御説明ありがとうございます。
○阿部部会長 ほかにございますか。坂本さん、どうぞ。
○坂本委員 坂本と申します。御説明いただきましてありがとうございます。
最初のページで新聞記事がついていますけれども、お話をお伺いしていて非常に気づかされるのは、メディアなどでは事務職5,000人減と。人が減る、あるいはジョブが減るという形で報道などされがちですが、いや、そうではなくて、事務業務、つまり、タスクが減っていくのだということで、そこが改めて気づかされたというところになりますけれども、元島さんからも、もともと自然減で、人手不足が進行していくということが予見されている中でタスクを減らしていくのだということ。タスクを減らした分どのような影響が出るかということについて、推察するに、生産性が上がるということになりますから、賃金の引上げということも考えられると思いますし、あるいは過度な長時間労働の是正といったことにも貢献するのかもしれないなと思ったのですが、波及してどのような効果があるのか、認識されているのか、あるいは期待されるのかというところをまず教えていただけたらと考えています。
それと、タスクが減るということですから、減ったタスクの分、その次にどうなるのかなと思ったのですけれども、ほかのタスクをやっていただくのか、あるいはここにあるような配置転換も可能性としてあるのか、そういったところも1つお伺いできたらと思っています。お願いいたします。
○みずほFG元島氏 ありがとうございます。
まず、1点目でございます。期待するというところは、リソースの最適な配置を通じて従業員の価値が最大化し、それに基づいて会社の業績も上がり、結果として従業員の賃金も上がる。この辺りは狙っているところではあります。
言い方が非常に難しいのが、過去の実績の積み上げで現在は付加価値が出せていない人間もやはりいます。そういった人間を付加価値が出せない状態で置いておくということは、お互いにあまり幸せではないのではないかなと思っています。だからこそ、先ほどおっしゃっていたような配置転換とか、ほかのタスクをアサインして、新たな可能性を見出すということを我々としては突き詰めていきたいですし、そういったことができるのではないのかということで研修も大量に投下し、今まで日の当たっていない人も日の光を当ててあげたい。こういうことを考えております。
以上でございます。
○坂本委員 ありがとうございます。
○阿部部会長 では、最後。時間があれなので、お願いします。
○佐々木(か)委員 佐々木かをりです。1つだけ短く。
今の人事に関するところですが、AIで、先ほど営業であまり成績がよくなかった人が今は光が当たってということがありましたけれども、人事評価がまだ途中だということだったのですが、今の時点でどういう途中にあるのかという現在地と、今、課題だなと思っている課題点があれば幾つか教えていただけたらと思います。
○みずほFG元島氏 ありがとうございます。
どれほど途中かと言いますと、恐らくまだ5合目にも行っていないぐらいだと思います。制度としては実際には整備はされているものの、実際の運用が追いついていないという状態にあるのではないのかなと思います。
なぜそう考えるかというところですが、課題として、どんな人間が付加価値を出せていて、これからも付加価値を出し続けられるかというところが、周りの変化が速過ぎて定義しにくい。毎年のように変えなければいけないという状態が現時点ですと。これがちょっと落ち着いてくると、ある程度固まった形で示せるのではないのかなと思いつつも、3か月前と3か月後の予測が変わってくる現状においては、この辺りの定義の置き方が難しいなということ。
我々としてはやっていますと偉そうに言っておりますけれども、意識改革も行動変容もまだ途上です。全員がこんなすばらしい人たちかと言ったら、そんなことはないです。まだアーリーアダプターだけでございますので、こういった人を増やしていくという意味では、まだまだですという理解から五分という表現をさせていただきました。
以上でございます。
○阿部部会長 ありがとうございました。
すみません。時間もありますので、みずほフィナンシャルグループからの御説明はこれで終わりとさせていただきたいと思います。
続きまして、東日本旅客鉄道株式会社の安部様、奥村様から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○JR東日本奥村氏 平素は大変お世話になっております。東日本旅客鉄道株式会社、JR東日本の人財戦略部で人財戦略を担当しております奥村と申します。本日はこのような貴重な機会をいただきまして大変ありがとうございます。
前半は人財戦略、そしてまとめの部分の人財戦略の影響のようなところは私のほうから御説明を差し上げ、弊社が現在進行形で進めているAI、ロボティクスの進展については安部のほうから御説明を差し上げたいと思います。
今日の、企画部会ではAIの進展による雇用への影響というテーマもございましたが、今日御紹介する内容はまさに現在進行形で進めており、雇用への明確な影響はまだ見えていない部分もございますので、御容赦いただきながら、そのような観点で御覧いただければと思います。
ページは右下に振ってございます。まず1ページ目でございます。
AIを導入しようとした人事的な背景から御説明したいと思います。時計回りで御説明を差し上げます。
まず、鉄道です。弊社の導入の背景でございますが、昨年弊社グループは中期のグループ計画構想に当たるグループ経営ビジョン「勇翔2034」を発表いたしました。その中で今後のJR東日本グループの成長戦略は、鉄道を中心とするモビリティと生活ソリューション、この二軸を成長戦略の基盤として据えていこうとしています。
一方で、まだまだモビリティ、鉄道を中心とした売上げが半数以上を占めておりますので、特に鉄道分野では鉄道を保守する作業員というのが今、クリティカルな課題になってございます。今後さらに人口減少が進み、少子高齢化が進展いたしますと、当社管内の鉄道作業員が2030年には2020年度比の約2割にまで減少するということで試算をしてございます。左側のグラフで出しておりますが、これは定年退職も含めて約10~20%減っていくだろうと見込んでございます。
また、右の青色の棒グラフ、青は従業員数になってございます。従業員数についても、この間、効率的な業務執行体制を構築してまいりまして、国鉄から引き継いだ1987年、会社発足当時約7万人の社員が鉄道に従事しておりましたが、2023年度には4万人まで減少しているところでございます。効率的な運営という意味では成果が出ているということではございますが、今後ますますスリムな筋肉質のある運営体制を目指していかなければいけないと思っています。
また、緑色の折れ線グラフは離職率でございます。弊社グループは比較的離職率が低い業界ではございますが、コロナ禍を経て、離職率は数%単位で上昇した経験がございました。離職率は従業員の要員事情にとっては非常に痛手のところでもございますので、こういった状況も注視していかなければいけないと思ってございます。
右側は採用の状況でございます。要員を構成するもう一つの大きな要素である採用の状況でございます。現在、学生の志向は、インフラ・鉄道業界全体で相対的に低下してございます。安定的な人材獲得が非常に難しい状況になっております。大手の採用のメディアのランキングを載せてございます。弊社の場合は比較的理系が強いところでございましたが、理系でも今、ランク外という状況でございます。鉄道全体、インフラ業界全体で人材難という非常に厳しい状況になっているというところでございます。
右下、トピックのものを1つ持ってまいりました。2014年度がJR東日本のエントリーが最も多かった年でございます。現在、その3割ぐらいまで減少しているということで、採用の母集団そもそもの人数が減っているという状況です。
また、弊社の弱点は3つございまして、地方、技術、女性というところでございます。こういったところに人口減少が相まった今、非常に厳しい採用状況になっております。
また、最近、新卒の学生のアンケートを聞きますと、右側のグラフになりますが、転勤への忌避感が非常に高くなっています。地元で働きたいという志向が非常に高まっております。JR東日本の場合はレールがエリア内をつながっておりますので、どうしても広い事業エリアにおいて人事異動等で効率的に運営していくということがメインになってまいりますので、こういった意味から逆風となっているというところでございます。
このことから、左下に戻りますが、今後要員需給を踏まえた生産性の向上が非常に急務になっております。鉄道事業はインフラの根幹でもありますので、安全・安定な鉄道運営をおこなっていくためには、しっかりと安定的な要員需給を支えていくということが必要になってまいります。
緑色のグラフが鉄道モビリティに従事する社員数でございます。当社の年齢構成から、2030年代初頭から鉄道事業に携わる社員が中期的に減少するという傾向になってまいります。これは国鉄末期に採用を止めた時期があり、今、その世代が50代になっております。その後JRになって採用を再開したのが今の40代になっております。これが2030年度以降大量に退職をしていくということから、鉄道に従事していく社員が相対的に減っていくということが目下の課題となっております。そこで、この後説明する内容も踏まえて、技術開発タスクフォースを社内に立ち上げて、鉄道事業の生産性を2035年までに20%向上していこうと思っています。
右側の折れ線グラフで実線がございます。今、既に計画をしているワンマン運転などの計画はこの実線の線になっております。このままこのタスクフォースが進展しなくなりますと、2033年ぐらいには需給が割れていくという状況になっております。今、そのタスクフォースで点線の部分にまで業務を効率的に下げようというものに取り組んでおりまして、これが功を奏せば安定的な運営ができるということでございます。こういった背景からAI、ロボティクスの取組を今、加速しているところでございます。
次のページ以降は安部のほうから御説明を差し上げます。
○JR東日本安部氏 DX、AIを担当しております安部と申します。
私からは具体的な取組の事例についてお話をさせていただければと思います。生産性を上げるにおいてAIが全てではないですが、今回に関しましては、AIを中心に具体的な事例ということでピックアップをさせていただいております。
最初に、AIを利活用するに当たって、グループとしてのポリシーを掲載しています。AIの持つリスクを把握するということと、適切に対応するガバナンス体制の下にAIがもたらす効果を最大限発揮していく。それをポリシーとして掲げてございます。
ポリシーの柱としては、ここに記載があります7つの柱を掲げております。7つの柱の中で「守り」の部分、「攻め」の部分、「基盤」ということで掲げています。最初に、「ヒト」中心と人権の尊重を最上位に置くことで、当社としてAI利活用における人権尊重の重要性を表現しております。
次に、鉄道事業者として「究極の安全」の追究というのは経営のトッププライオリティーでもありますので、そのため、AIのリスクを正しく認識して、人の判断を介在させる仕組みとか、もしくは予期せぬ動作に対する安全措置といったことを講じるなど、ルールや体制を含めて、AIを適切に人が制御するということのポリシーを基に、2つ目に「究極の安全」の追究と制御といったことを弊社として意識しながら、このようなポリシーを掲げているという状況でございます。
次のページから具体的な事例になるのですが、3ページ目を御覧ください。今回御提示させていただいた内容は、鉄道に特徴的な設備の事例を出させていただいています。最初は設備関係のメンテナンスにAIを含んだ取組の事例ということで、まず線路のメンテナンス用の分析プラットフォームというものを構築しています。線路の点検に関しましては、目視、経験で点検をおこなってきたというところが基本ベースとしてあります。そういったところの点検のレベルアップをしていくということで、ここに記載もありますが、営業列車の台車があるところの横にモニタリング装置というものを取り付けまして、実際営業列車が走行する中で線路の状態を把握する。それによってデータを取得出来ますので、そのデータによって日々の変化点とか変位なりを確認、分析して予兆をとらえるといったことをおこなってございます。
現時点ではデータ分析のダッシュボード化までできているのですが、これを基に、AIを使って分析し、設備の更新をしなければいけないとか、修繕しなければならないとか、工事計画の調整をおこなわなければならないとか、それらをおこなうに当たっては人も必要ですし、費用も必要なので、そういったところのシステム間の連携をしていく。全体の一連の流れをAI化していこうということで、今、まさに取り組んでいる最中でございます。
次のページを御覧ください。
これは、昨今災害の激甚化というところもありますが、大雨とか地震発生時には線路の状態がどういう状況かということで、現在は沿線を係員が巡回して確認しているというのが現状でございます。人が現地に行くということは二次被害のおそれもありますので、資料の中心にありますように、レールの上に台車を乗せて、その上にロボットを乗せて、これを遠隔で操作することで災害現場のほうに動かし、映像によって線路部分の支障物がないか検知する。この部分にAIを活用しております。これに関しては、まだ研究開発レベルで実施している状況でございます。
次のページを御覧ください。
鉄道の特徴的な設備の一つとして架線というものがあります。架線に関しましては、終電が終わった夜間に電力関係の社員が目視による点検をしているというのが現状でございます。これに関しましても、電気・軌道総合検測車が走行することで自動にデータ測定できる架線のモニタリング装置を導入しております。左下の写真のように、状態を判断して、画像解析によって早期の不具合等の予兆を発見する。このような仕組みを導入しております。
さらに、架線と接触する列車のパンタグラフがあります。パンタグラフ側の状態も自動的に判別するということで、物体検出AIとか損傷検知AIとか、まさに研究開発中であります。
次を御覧ください。
次は運行管理の関係で御提示をさせていただいてございます。信号通信指令業務というのは、事故事象が発生した際に、最終的には現場の状況を音声などでやり取りしながら状況を把握して、それに基づいてどう対処していくかという判断をおこなっていますが、情報連絡が密にならないと原因がはっきりしなく、なかなか早期復旧につながらないということもありますので、運転再開の早期復旧を求めて、フィールドで設備障害や災害対応をしている社員同士の通話、会話を自動的に分析しまして、作業経過を自動的に作成するとともに、その作業状況から過去の設備障害の事象などを参考に原因を推定して、指令側に提案する。その提案に基づいて指令員が判断して現場に指示する。このような仕組みを導入しています。
これによるメリットは復旧見込時間が一律で見えてくるというところで、サービス向上にも寄与しているという面もあります。
次を御覧ください。
次はサービスの関係になります。みどりの窓口の対応で、かなりのお客様、インバウンドの方も含めてと列ができているということもありまして、これを何とか解消したいということで、みどりの窓口の生成AIで自動的に会話をしながら切符が買えるような実証実験を7月におこないました。これに関しましても、決済とか発券の部分、一連の流れでAIの組み込みがまだできていませんので、現段階としては、お客様が心理的抵抗感があるか、駅の雑音の環境の中できちんと音声認識できるかとか、そのような部分の基礎実証を進めているという段階でございます。
次を御覧ください。
これもサービス関係ですけれども、列車の運行状況について、コールセンターに電話をかければ状況など分かるのですが、なかなかつながりづらいというところもありますので、特にデジタルに不慣れなお客様に対して、電話で運行情報をお知らせするというサービスを、AIを使った形で提供しております。
次を御覧ください。
社内オフィス関係の業務でAIをどのように利用しているかということを御紹介させていただければと思います。オフィス関係に関しましては、弊社内でクローズしたJRE業務サポートAIというのを展開しています。これに関しては、基本的には複数の汎用言語モデルが活用できるということと、社内の秘匿文書とかデータとかにアクセスできるということで、内製開発でツールをつくって全職場に展開している状況でございます。生成AIの利活用に関しましては、事例集を作成したり、ウェビナーを展開したり、研修も計画的におこなったりして、教育等によって利活用を推進しているという状況でございます。
次を御覧ください。
現時点ではAIとのつながりは少ないのですが、鉄道はリアルの環境が多いということもありますので、ロボット関係をうまく活用していかなければ、なかなか生産性が上がらないというところもありますので、ロボット関係の実証を含めていろいろ活用していることを、幾つか写真で挙げさせていただいています。
左側の上にありますのが、鉄道には、墜落、感電、触車という三大危険要素の作業があり、ここをロボットで賄えないかということで、現時点ではフィジカルAIではないですが、人の操作によって例えば沿線の枝の伐採とか、もしくは腕を替えることで、鋼管の柱のさび取りのようなケレン作業、そのようなことができる仕組みになっています。人が遠隔で操作することによってロボットが危険作業を代替えしていく。資料右側には、搬送・物流ロボットとか、ドローンの活用もあります。その他に左下にあります車両のメンテナンス作業ということで、新幹線の台車の下を検査するときにカバーがついていまして、これは一つずつボルトを外さないと検査に至らない。このボルトを外すことがかなりの手間がかかり、ロボットでボルト外しができるようにして実際の検査に集中するという仕組みなどの取組もおこなっている状況でございます。
○JR東日本奥村氏 ということで、今、御紹介をさせていただいたところは、まさに今、進んでいるところでございます。一方で、弊社は社員の挑戦のフィールドを広げようというものも新しいビジョンでやっておりますので、雇用への影響は非常に注視していかなければいけないと思っています。特に鉄道の場合は安全に関わる部分が多くございますので、引き続き弊社の事業の特徴を踏まえながら検討を深化していきたいと思ってございます。
以上でございます。
○阿部部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明に関しまして御質問があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。では、佐々木さん、武田さんの順番で。
○佐々木(勝)委員 どうもありがとうございます。
1点御質問させていただきます。2ページ目にあるように、AIを導入する前にこういうポリシーを策定するというのは非常に重要なのかなと思っております。ここに7つの要素が挙げられていますが、特に1番目の「ヒト」中心と人権の尊重というのは非常に重要なことで、1番目に来るのかなと思いますけれども、ただ、人権侵害につながるようなAIのリスクというのは、具体的にどういうことを想定しているのかなと疑問に思いました。その後に具体的な事例というのがありまして、例えばみどりの窓口のAI対応サービスや、社内業務の場合、業務サポートAIの活用とか、そういうところで発生することを想定しているのかというところを教えていただきたいと思います。
2つ目は感想ですけれども、先ほど始まる前にお話ししましたが、最後のページの左上のロボット、非常に格好いいですよね。ガンダムのような感じで、ただ、まだ操作する人があまりいないということで、これからアムロを育成するのかなと思いますが、これがAIで自律的に枝をカットしていくというのは、想像するだけでわくわくするような、鉄道マニアは非常に楽しみにしているのではないかなと思います。これは感想です。
以上です。
○JR東日本安部氏 御質問いただき、ありがとうございます。
人権侵害のところは汎用のLLMを活用するというところで、利用するに当たっても、考え方がどうなっているかなど、チェックするような仕組みをつくっています。特に生成AIに関しては、弊社は鉄道版生成AIということで、自分たちで言語モデルを開発しようというところもあったのですが、汎用技術の進歩が著しいというところもありまして、汎用の活用を進めています。具体的な影響があったということはないですが、例えば、採用でのAI活用で公平性というところ。社内利用においては、経験や実績などからの偏りがない回答などを意識して設計しております。
ロボットに関しては、弊社だけで実現できない部分もありますので、オープンイノベーションでいろいろな企業の方にも参画していただきながら検討しています。このロボットはJR西日本様の開発品を使用しており、もともと弊社の開発の意識というのは、自前主義のようなところがありましたが、技術進展が著しい中では、良いものは取り入れていこうという形に動いているという状況でございます。
○阿部部会長 では、武田委員、お願いします。
○武田委員 詳細な御説明をいただき、ありがとうございました。
私からは2点質問させていただきます。1点目は、ミスマッチについてです。全体として就職の希望者数が7割減という状況にあるということでしたが、AIが進化する中で、日本全体の課題としてエッセンシャルワーカーの人手不足があると思います。御社の中でも、事務職の方もいらっしゃれば、技術職や保守・メンテナンスなど、日々エッセンシャルワーカーとして業務に携わっている方もいらっしゃると思います。こうしたAIによるタスクの変化を踏まえると、全体としては人手不足である一方、タスクによっては過剰な部分と不足する部分にミスマッチが生じている可能性があるのではないかと推察しております。それを踏まえ、賃金体系の見直しや、ミスマッチを解消するためのシフトに向けた取組など、何かなさっていることがあれば御教示いただきたいです。
2点目は、フィジカルAIの活用についてです。ご説明いただいたロボットやAIの活用が進むと、恐らくフィジカルAIの活用というところまで行かれると思います。鉄道のメンテナンスに必要だったスキルも、今後はロボットの操作や保守などに変わっていくと思いますが、具体的な活用に当たっての課題について、技術的な進展以外にも何かお考えのことがあるでしょうか。今後、フィジカルAIが日本全体にどう広がっていくかという点も大きな課題ですので、その点についてのヒントが得られればと思いました。
以上です。
○JR東日本奥村氏 ありがとうございます。
1点目のエッセンシャルワーカー、技能工のようなところの人手不足というのは、弊社でも先ほど御説明しました4万人のうちの4分の1が企画部門でオフィス部門です。そうすると、4分の3がいわゆる第一線の職場の社員ということになってまいります。一方で、AIが効果的に発揮するのが企画業務というところにありますので、この中間工程がなくなることによって、フィジカルAIのほうが進展速度がAIに比べては遅いので、企画部門で活躍している社員を現場第一線で活躍してもらうというのは1つあるかと思います。
今、アドバンスド・エッセンシャルワーカーという言葉が出てきていますが、まさに今までオフィスで活躍してきた社員が持っている経験知と、現場第一線の業務を掛け合わせる事で、非常に効果が出るのではないかなと思っています。
また、弊社は7月1日に事業運営体制を国鉄体制から見直して36の事業本部にし、それぞれの地域に密着するような事業運営体制に見直しをさせていただきました。これはまさに現場第一線にニーズやお困り事のヒントがあるというところからそうしておるのですが、そのフィールドに企画部門で経験があったオフィスの社員が第一線の業務に行くことによって、そこの課題解決やニーズの早期把握のようなところにもつながるかなと思っています。
後段の人事制度についても4月1日に抜本的に見直しをさせていただきました。1つ大きなポリシーは、多様な挑戦をするというところを今回の制度改正の大きな柱にしています。とかく鉄道の場合は担務と言って、みどりの窓口に入る社員は、今までみどりの窓口しか入っていなかったのですが、AIなどが代替するといろんな仕事に挑戦をできるということになってまいりますので、そういった多様な挑戦をした社員に報われるような人事制度を4月1日から実施しておりますので、そういった意味では、現段階での人事制度としては今の時代にマッチしているかなと思っています。多分この先また変えていかなければいけないときが来るかなと思っていますが、そういった状況でございます。
1番目は以上でございます。
○JR東日本安部氏 2つ目、メンテナンスとか検査のスキルというのは変わってくると思っています。AIが浸透してきますと、社員は、AIとかで分析した後のアウトプットだけが出てくるので、そのアウトプットをどう判断するかということが中心的な業務になってくると思っています。ただ、経験がない中で、アウトプットだけで本当に判断ができるのかというところに課題があり、そのような判断ができるような教育の在り方も考えていかなければいけないかなという課題感は持ってございます。
○阿部部会長 ありがとうございました。
それでは、オンラインで岡本委員が手を挙げていらっしゃいますので、お願いいたします。
○岡本委員 岡本です。
御報告ありがとうございました。
今週放送されたNHKの「クローズアップ現代」でも鉄道会社の人員不足や技術力の維持などの課題が取り上げられていました。自然災害時などの作業員の安全を確保していくためにもAIの活用というのは大変重要だと思っています。これらの取組は広く鉄道事業者が活用できる取組だと思っています。放送でも線路の点検のAI活用について、30以上の鉄道会社が共同で開発をしていると伝えていました。
特に地方や中小の鉄道会社の方たちは独自で取り組むことはできないと思いますので、鉄道会社をもっと広げてやっていただけたらいいのではないかなと思いました。
また、働く人たちの対応について、鉄道業界は高度な安全性や公共性が求められる分野だと思っています。そのための専門性も労働者には求められてきたと思います。機械化やAIの活用による現場の変化、またはOJTなどの訓練の在り方について、現時点で特徴的なことがあればお聞きしたいと思います。
先ほどフィジカルAIの話もありましたが、フィジカルAIなど自律的機器の運用に対応した安全基準の標準化や、共通の技術者育成プログラム、キャリアラダーなどを標準化するなど、労働者のスキルアップや雇用の安定、安全確保、支える仕組みづくり、そうしたことの構想があれば伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
○JR東日本奥村氏 御質問ありがとうございます。
AIやロボティクスの進展に伴う技術者、社員の育成の部分でございます。先ほど御説明でも少し触れさせていただきましたが、AIやロボティクスの進展で大きく3つのポイントがあると思っています。経験機会の縮小と求められる役割の高度化、社員が活躍するフィールドの変化だと思っています。特に経験労働で安全を支えてきている鉄道は、1番目の経験機会の縮小というのは非常に大きな課題だと思っています。OJTを中心で、試行錯誤でこれまでノウハウを得てきたものでございますから、ここについてどうしていくかというのを今検討しております。例えば意図的に経験機会をつくっていくとか、疑似トレーニングをするシミュレーターを作っていくとか、あるいは越境経験をしてタフアサインメントをさせるといったことが必要ではないかなと思っています。
また、スマイルカーブといって、AIが進展すると中間工程が減り、現場工程の価値が上がるというふうに言われていますけれども、意図的に経験をさせなければいけないので、どちらかというと現場工程に厚みを持たせたような育成プランを作る事は、JR東日本版の特徴的な育成のモデルかなと思ってございます。
また、今まさに検討中でございますが、進んでいる段階では、安全を第一にするためにはここまでは人間がやるというのを最初に決め防波堤をつくった上で、その外の領域でAIの進展をしっかりと見守っていこうということで、今まさに走りながらではございますが進めているところでございます。
以上でございます。
○阿部部会長 ありがとうございました。
お時間もありますので、質問はこの辺りにさせていただきます。ありがとうございました。
それでは、続きまして、株式会社橋本組の橋本CEOからお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○橋本組橋本氏 私どもは株式会社橋本組と申します。本日はお招きいただき、誠にありがとうございました。
それでは、早速内容のほうに入らせていただきたいと思います。
今回、AIがテーマということですが、昨今、DX、AIといったような形で、世の中、この2つの言葉があふれておりまして、ただ、昔からIT化とかそういった流れで、今、AI化といった形で進化していると思うのですが、私ども橋本組は静岡県にある小さな100年企業なのですが、実際に30年ほど前からこういったものに取り組み始めているということをDX技術導入年表といった形でまとめさせていただきました。
次に、建設のICT技術。これは耳慣れない言葉だと思うので、この辺りを説明させていただいた上で、生成AIの導入による事務作業量の軽減、さらにはBIM(Building Information Modeling)の導入による設計・施工作業量の軽減。最後に、フィジカルAIの台頭が巻き起こす建設業界のイノベーション。こういった流れで皆さんに御説明をさせていただきたいと思います。
まず、私どもは1989年に最初にオフコンといったものを導入させていただきました。オフコンと言っても、若い方は聞いたことがないのかなと思うこともあるのですが、実際に私ども建設業界は積算といったものがございまして、その積算の数字をぴたりと当てなければ公共調達の入札に絶対勝てないといったことがございまして、そこでまずオフコンが導入されてきました。
そして、1992年(平成4年)、初めてパソコンを導入させていただいたのですが、このときは私がアップルコンピュータの大ファンだったので、Macを導入させていただきました。
その後、1997年に光波測距儀。これは1台300万くらいする測量の機械だったのですが、これは今まで3人で1日かかっていた測量が半日ぐらいでできてしまうというような非常に優れた機械でございます。
そして、1998年に全現場監督に、今では絶滅してしまったと思うのですが、PHSを支給することによって現場の生産性を高めていきました。
さらに、1999年、全現場監督とバックオフィスで働いている社員を対象に、1人1台iMacを導入させていただきまして、オフィスの中が非常にカラフルになって明るくなったなというくらい、すごくいい試みだったと思うのですが、これを自分たちでトークンリングというMacの有線LANのほうでつながせていただいて、かなり生産性が向上したのかなと思ったのですが、2003年に電子納品に対応するため、国のほうの基準でMacでは動かないソフト、それを使わないと電子納品ができないということで、泣く泣く全てWindowsのPCにリニューアルをさせていただきました。
その後、みずほさんでも導入をなさっているという話ですが、2006年に社内のSNS、日報を中心としたSNSを立ち上げまして、社内SNSの運用を開始してちょうど20年になるのですが、これによって社内のコミュニケーションがかなり活性化したのではないのかなと思っております。
2009年には、社員全員に携帯電話を持ってもらっていたのですが、それを全てスマホに変更といったことをやらせていただいております。
2013年に、先ほど申し上げました建設ICTの一環でドローンの導入を開始しまして、2020年にはダンプトラックの運行システムのほうもAIで制御するものを導入させていただいております。
2022年、コマツさんとソニーさん、野村総研さんとNTTドコモさん、4社が出資して設立されましたEARTHBRAINという会社がございまして、そちらの会社とDXスマートコンストラクションパートナー協定を締結させていただきまして、私どもの会社を彼らが開発したシステムのモルモットとして使わせていただく。それをフィードバックしてさらにシステムをブラッシュアップしていく。そういった協定を結ばせていただきまして、現在ICT施工のほうを進めさせていただいております。
ここからが本題になってくるのですが、2023年に全社員を対象としました生成AIの研修をやらせていただいております。生成AIに対して社員がどうしても敬遠するといった意識が正直ございました。私どもの会社は全社員に1人1台パソコンといったことを30年以上前にやらせていただいたのですが、そのときもすごく抵抗感があって、その解消方法として就業時間中にパソコンでゲームをやってもいいよと。そういう形でアレルギーをなくす。そのためには、今回の生成AIに関しても、講習の中で、スマホの仕組みを理解して使っていることはありますかと。そんなことはありませんよねと。生成AIをスマホと考えてやってくださいと。そういうことを一番最初にインプットした上で、生成AIの講習を全社員を対象にやらせていただきました。
その中で、「これ、面白いよね」といった形で興味を持ってくれた社員に対して、生成AIのリーダー研修をやらせていただきまして、それは各部署から1名。生成AIリーダーを養成することによって、何か分からないことがあったら、各部署に必ず1人いる生成AIリーダーに問合せをしてくれと。そこで敬遠することなく日常業務に取り入れてほしいと。そういったことを実現するために生成AIリーダー研修を3日間合宿形式でやらせていただいて、この頃、まだエージェントとかが出る前だったので、実は今月末からまた3日間かけて、今度は生成AIのエージェント研修を生成AIリーダークラスの人間を集めてやるつもりでおります。
その後、同じ年に設計BIM、施工BIMの連動プロジェクトというものを開始いたしまして、今年、そちらのプロジェクトのほうは完結しまして、今、実用化の段階に入っています。
さらに、2025年にはハンディ型の3Dスキャナを導入いたしまして省略化を図ることができておりますし、今年からAIエージェントの導入を開始しました。あと、AI inside、スタートアップから上場した企業なのですが、その会社とDX・AI事業包括連携協定を締結させていただきました。これをさらに一歩進めたものを、自分はこの部屋に1時半ごろ入室させていただいたのですが、この審議会が始まるまでの30分の間にリモートで、最近はクラウドサイン等を使って契約とかできますので、ここにある端末で次の契約を締結したという形です。日常業務が今まではすごく時間がかかっていたものが短い時間で完結するようになって、人間はAIの導入、DX技術の進歩によってすごく楽になるはずが、倍忙しくなってしまったという形で、そこも考えなければいけないのかなと考えております。
次に、建設ICT技術の導入による人的作業量の軽減といったことにテーマを当ててお話をさせていただきます。まず、ノンプリズムのトータルステーション。今までは測量するときには必ずスチールテープ、それと光波測距儀を見る人間、さらにけがをしないように交通整理人をつけるという形で、作業人数が最低4人必要だったのです。それがノンプリズムのトータルステーションを導入することによって1人に軽減することが可能になりました。
ドローンとか点群等の解析ソフトを導入することによって、測量作業も劇的に軽減することになりました。作業人数が最低2人必要だったものが1人。実際に作業する時間16時間が2時間。8分の1になった。そのくらい減っております。
3Dスキャナ導入による計測作業の軽減ということで、これはいろんなものを測るときに脚立を使ったり、足場を組んだりして、そこでテープでいろんなものを測ったりしていたのですが、今はぴっと押すだけで瞬間的に全てのものを測ることが可能になりまして、作業人数が2人から1人。作業時間が4時間から0.5時間。これも8分の1まで減っております。
水中ドローン導入による潜水士作業の軽減といった形で、今までは作業人数3人。これは潜水士船に潜水士船を操縦する人。圧気、送気と言いまして、潜水士に空気を送る人が必ず1人いて、実際に作業する潜水士さんがいて、3人1組で潜水士作業を行っていたのですが、この水中ドローンを入れることによって、潜水士船1そうが0になるといった形で、こちらのほうも大幅な作業の削減が図られております。
さらに、マシンコントロール建機を導入することによって丁張り作業。今までは実際に機械を操縦するオペレーターがいるのですが、オペさんが目視で丁張りといったものを見て、それで自分で作業する。そういったことが建設業界では行われていたのですが、このマシンコントロール建機というのは、コンピュータのほうにあらかじめ座標データとか3Dスキャナ、ドローンとか、そういった点群のデータを放り込んでおきますと、丁張りをかけずにコンピュータのほうで勝手に掘削作業。しかも精度は、オペさんが見ながら掘っていくと、オペさんが下手くそですと何十センチというくらい誤差があったのですが、これですと、ミリ単位でしっかりと掘ることができるという形で、まず丁張りをかける作業人数4人かかっていたものが0。作業時間が24時間ぐらいかかっていたものが0時間という形で、こういった面で劇的に作業量が減っております。
BIM、建設業界におけるBuilding Information Modelingといったものですが、今まで私どもは図面を描いて、その図面どおりに物をつくるというのが建設業だったのですが、今は3次元の仮想空間の中に実際に物をつくる。ですから、皆さんのここの空間の中に例えば大きなビルが。今まで図面を300枚使っていたものが、ビルそのものを仮想空間につくってしまって、そこを輪切りにして、図面にして職人が手を動かす。今、そういうモデルに変わっております。ですから、図面を引くのではなくて、モデリングする。まさに言葉そのものですが、仮想空間に物をつくるイコール、そこに座標とか属性とか、そういったものを見せた巨大なデータベースで物づくりをするといった形で、建設業の今までの考え方そのものが抜本的に切り替わっているといった状態になっています。
ただ、それは図面だけの話ではなくて、私どものプロジェクトでは実際の施工段階、施工BIMとの協働といったプロジェクト。先ほど3年計画で完成したという話をさせていただいたのですが、物をつくるときには、当然のことながらボタン1個押したら自動的に物ができる。自動車とかはそういったところに既に行っているかもしれないのですが、建設業は基本的には全部一点物ですので、なかなかそれは難しい。そのためには、足場の仮設とか、鉄筋・鉄骨を組む順番とか、そういったものを全部施工計画を立てて、実際に施工する。そこにも連動させるような形で、設計BIMと施工BIMを連動させて実際に動かしていく。そういったものを今やっておりまして、ここでもかなりの省力化が図られております。
特に橋本組BIMモデルといったものをつくらせていただきまして、そこにおいては、私どもの組織、例えば一級建築士事務所、技術支援部という技術をサポートする部署、さらには実際に手を動かす工務部、メンテナンス等を実施するサポートセンター、さらにはお金をはじく積算部、この辺りを全てこのBIMで連動させることによって、各部署にあった垣根とか、一度図面を描いたものを紙に打ち出したり、メールで転送したりして、そこでまたゼロからスタートするといったものを、BIMを一発つくることによって全てが連動して、各部署がそれぞれやる必要がなくて、各部署はBIMで生成されたモデルをそのまま活用して自分の仕事に使ってよと。特にサポートセンターというのはメンテの専門なのですが、BIMによってモデリングされていますので、今までは雨漏りがしましたとか、電気がつかなくなってしまいましたとか、そういったものに関して原因とかを追及するのにすごく時間がかかっていたのです。ところが、モデリングすることによって、あ、ここのところの収まりが、台風とか強い風があった場合に下から風が吹き上げてきて、ここから水が侵入しているのではないかとか、そういったものをモデル上でシミュレーションすることが可能になって、メンテナンスの部分のところで省力化、原因追及に対するスピードアップ、こういったものが図られてくると期待しております。
ここからは事務作業量といったことで、生成AIに関することに変わっていくのですが、まず「工事のお知らせ」。これは技術屋にとってはすごく難易度が高いもので、物づくりをする人。理系・文系という考え方は外国にはなくて、日本だけという話があるのですが、理系の人間というのはこういった文書をつくるのが割と苦手で、物は物すごいスピードでつくるのに、「工事のお知らせ」1枚つくるのに3日かかってしまうとか、そういったことがあったのですが、生成AIで「工事のお知らせ」をつくってという形で投げますと、秒で出てくるという形で、こういった各種書類作成作業が非常に減った。
工程表といったものは、形式知というよりは完全に暗黙知になっていたものが、工程表の自動作成ソフトを使うことによって形式知化されて、誰でも工程表がつくれるようになりますと。工事写真を記録として残していくのですが、この写真、いつ撮ったっけかなとか、そういったことを考えながら一個一個照査していたものが、自動整理によって時系列でぴたっと関連づけられて出来上がってしまう。
あと、画像解析技術というのがすごくて、今まで我々は例えば鉄筋の記録写真。鉄筋コンクリートの構造物を造るときには、鉄筋を組んで、型枠を立てて、そこにコンクリートを流し込むといった形で、コンクリートを流し込むと鉄筋は見えなくなってしまうので、それは本当に鉄筋が入っているのかと。記録を残さなければいけないということで、その鉄筋の記録を見やすくするために、今までは鉄筋一個一個に磁石をつけて、そこにクロスロッド、1センチ単位で白黒になったものを当てて、ちゃんとこのピッチの中でこれだけ鉄筋が入っていますよというのを写真で撮っていたのです。それが今はデジカメでぱしっと1枚写真を撮ると、生成AIのほうで画像解析をして、鉄筋が幾つ入っていますといったものを書類でぽんと出す。そういう形でかなり省力化も図れております。
あと、営業とかそういったセクションの各種契約書類。今まではリーガルチェックをする際に顧問弁護士の人にお願いしたりしていたのですが、今はそれを生成AIにぽんと投げると、また秒で返ってくるという形で、リーガルチェック作業とかそういったものに関しても劇的な時間の短縮といったものが行われております。
1人当たりの平均年間時間外労働時間といった形で簡単にまとめさせていただいたのですが、2022年は1人当たり200時間弱ということで、毎月にしますと20時間は行っていないのですが、20時間弱くらい、1日1時間残業していたといった形になっております。
2023年にかなり劇的に改善しまして、そして2024年になると150時間を切ってくるといったところまで時間外労働時間が減ってきております。2025年はちょっと増えてしまったのですが、これは特殊事情がございまして、私どもが大阪万博のパビリオンを建設するといったときに、経営資源をどーんとつぎ込んで24時間体制で物をつくったりしたものですから、その影響があって増えてしまったのですが、今年2026年はまたかなり減るのではないのかなと思っております。
では、これはなぜ減ったかと言いますと、先ほど皆さんに映像でお見せしたのですが、全社員を対象とした生成AI研修、上級者を対象とした生成AIリーダー研修が2023年半ばに行われまして、そこから相関係数でいったら多分n=1になるくらいに、生成AIを会社として導入したことによってこれだけの時間外労働時間が減ったといったことを本当に言えるのではないかと思っております。
最後に、フィジカルAIが建設業界をどれだけ変えるかといったことを皆さんに御紹介させていただきたいと思います。これは先月の頭に上海に行ったときに撮影させていただいたフィジカルAIの画像を皆さんと共有させていただいております。これは大判タイルを貼り付けるといったことで、このくらいの大判タイルになりますと、当然1人で貼ることができないので、3人くらいが持って、接着剤を下につけて、あらかじめ墨を打ったところに置いて、そこで小づちでとんとんとんとんとたたいてタイルを貼っていく。タイルというのは、とにかく足場をしっかりしませんと正確に設置することができないので、そこですごく苦労しますし、大判タイルですと、2人、3人で「ちょい右」「ちょい左」とか言いながら設置していたものが、この生成AIロボットは、真空でこのタイルをぴたっと貼り付けてそのまま置くだけ。特に目地の間を0.5ミリから2センチの間まで自動調整することができるといった優れ物で、今までプロのタイル職人が何人もかかってやっていたものを一瞬のうちにやってしまうという形で、すごく性能が高いといったものになっております。
それよりさらにすごいのは、我々建設業界は今、左官屋さんが一番足りないです。左官屋さんが足りないことで工事を受注することができないといったことも実際に起きているくらい、非常に労働力が不足しているのですが、このフィジカルAIは一瞬で物すごい面積を塗れてしまうのです。しかも、何度も何度も重ね塗りして、そこで高さを出していくというものがあるのですが、これは薄塗りを重ねる作業が簡単にできてしまいますし、人間ですと、例えば1ミリくらいの幅でやろうとすると凸凹が生じてしまうのです。ですから、0.5ミリを2回に分けて塗ったりするのが、これは1ミリを一発でできてしまうということで、生産性が飛躍的に向上する。そういったフィジカルAIがもう既に実用化されているといったことが中国の現状です。
従来の施工は、今、フィジカルAIの左官ロボットを紹介させていただいたのですが、まず人間がこのような形で1層塗りますよと。背が届かないので足場を組んで、そこにまた人間が乗って塗ります。さらにもう一度足場を組んで一番上まで塗るといった形になります。塗り終わった後、足場を取って、最後に巾木をつけて壁が完成といった形になるのですが、フィジカルAIですと、これが一発でできてしまいます。
ただし、先ほど御覧いただいたフィジカルAIですと、壁の妻の部分はぴったり塗ることができなくて、一番上と一番下のところに隙間が空いていて、ここのところが問題となるのですが、日本の職人さん、ロボットメーカーですと、ここの隙間を埋めるために一生懸命開発するのです。中国は、別に隙間があったっていいじゃないという考え方で、とにかく全てを完璧にしてからやるのではなくて、できるところまでフィジカルAIでやらせて、あとは人間がやってしまえばいいと。そういう考え方で実際にやっています。
ただ、これからの近未来の施工というのは、先ほどBIMの話をさせていただいたのですが、先に建物があって、それをどう施工するといった形ではなくて、フィジカルAIによって、一番右側の図のように、まずフィジカルAIが目いっぱいできるところまで、つまり、上の天井とかが邪魔にならないところまで塗らせておいて、その後に天井を乗っけて、妻をこうやるといった形で、設計段階からフィジカルAIができるような設計をする。これからの建物というのはそういった形に変わっていくのかなと考えております。
これはUnitree、日本でもいろんな形でロボットが有名になっている企業なのですが、そこのショールームで、後ろに消防ロボット、四つ足歩行型のロボットがありますが、これは実際に上海の消防局とかに導入されているもので、そちらのプロモーションビデオを流しながら、目の前でロボットが踊っている。結構シュールなものですが、先ほどガンダム好きの佐々木委員、このロボット、値段は幾らだと思いますか。踊っている最初の二足歩行のものです。
○佐々木(勝)委員 5,000万ぐらい。
○橋本組橋本氏 武田委員、幾らぐらいですか。
○武田委員 見当がつきません。
○橋本組橋本氏 実は日本円で70万円です。本当に上海から買ってこようかなと思ったのですけれども、税関で捕まってしまったら嫌だと思ったので、今回は弾丸ツアーだったので買ってこなかったのですが、それだけの安いコストで本当に自分が子供の。子供ではないな。大分大人になりましたが、ソニーがaiboというものを出して、そのとき70万円だったので、ちょうど同じ値段だったのですが、今、aiboは100万円以上しますね。それは二足歩行が全然できなくて、こういったものが70万円の感覚でデパートで売っているのです。そういった時代になってきているといった現実がございまして、中国に自分が行くまでは、日本は多分周回遅れだろうなと。ちょうどロボット運動会のようなものをやっていて、その3日後だったものですからね。実際行ってみたら2周遅れていました。そういった意味で、このフィジカルAIは建設業を劇的に変えていくのではないのかなと予測しております。
繰り返しになりますが、今までは設計された建物に合わせて施工を行ってきました。近未来はフィジカルAIの効率施工が可能となるように設計すると。発想を180度変えたものがこれからは行われてくるのではないのかなと。これによって何が起きるかと言いますと、劇的なコスト削減につながりまして、ここからは陳情のようになってしまって本当に申し訳ないのですが、今、建設コストが上がり過ぎていろんなプロジェクトが中止になったり、延期になったりしています。首都圏においてはそれでも利回りが回るといった形で建設需要が衰えていなくて、至るところにタワークレーンが立っているのですが、地方ですと、これだけ建設のコストが上がってしまうと物ができないといった形で、今すごく仕事がなくなっています。ここ半年、全ての業種において一番倒産しているのが建設業です。それだけ仕事がないといった状況になっていて、ただ、フィジカルAIが建設コストを下げることによって、各種事業の中止とか停滞となっていたものがまた動き始めると。その期待が非常に大きいと思います。
このフィジカルAIの導入による建設コストの削減が仕事をつくり出す。その仕事によって地方の建設業の職人さんたちは物を食べていけるといった形になりますので、これは予測ではなくて事実だと思うのですが、フィジカルAIは仕事を奪うのではなくて、仕事をつくるといった状況になっていくのではないのかなと最後に提案させていただきまして、私からの発表を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。
○阿部部会長 ありがとうございました。
それでは、手短に質問があればお願いしたいと思います。かなり時間が押していますので、もし御質問があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。では、武田委員、お願いします。
○武田委員 大変興味深いお話をありがとうございました。特に、2006年から社内SNSを取り入れるなど様々なデジタル技術を早くから活用されていらっしゃるとのこと、大変勉強になりました。一点、質問になりますが、設計BIMと施工BIMを組み合わせた橋本組BIMは、既につくられたということでしょうか。
○橋本組橋本氏 モデルを一応確立したと。
○武田委員 モデルを確立されたということですが、これは付加価値創造の非常によい事例ではないかと思います。この橋本組BIMは、外販などもされていらっしゃるのでしょうか。本モデルが社会へ実装されれば、建設業全体の生産性向上にもつながるのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
○橋本組橋本氏 御質問ありがとうございます。
実はBIMという分野は日本が世界的に一番遅れている分野でして、イギリスとかですと、公共調達、公共事業のほうではもう既にBIMでなければ受け付けないといった形で、完全な標準化がなされています。ところが、日本は今年初めて。本当は3年前に実現していたはずなのですが、国土交通省さんのほうでBIMを実際に取り入れるのだぞというふうに旗を振っていたのですが、BIMでの建築確認申請の受付といったものがまだ0件で、静岡県でも私どもの会社を含めて3件の建築確認申請の準備をしているという事前情報があったのですが、3件中2件はガセネタで、私どもの会社しかまだBIMによる建築確認申請の対応ができていないといった状況になっているという悲しい現実でして、私どもが今、確立した施工BIMと一体化させたモデルを外販したとしても多分1つも売れないといったように、そこまで今、日本が遅れているなといった現実がございます。
ただ、生成AIがこれだけ普及してきますと、BIMの垣根といったものが急に低くなってくるのです。ですから、その垣根、ハードルが下がることによって一気に普及する可能性はあるのかなと思っていますので、そこは個人的にも期待をかけております。
○阿部部会長 ありがとうございます。
それでは、オンラインで浦委員、お願いいたします。
○浦委員 橋本組様、御説明ありがとうございます。3点伺わせてください。
1点目は安全についてです。フィジカルAIが人間と同じ空間で働くという現場においては、周辺で働く労働者も含めて安全確保が重要だと考えております。どのような安全管理体制とルールの周知などを行っておられるかというのをお伺いさせていただければと思います。
2点目は新しい技術への適用についてです。かなり早い段階でBIMなど、新しい技術を早期に入れる社風があると思うのですが、こういった新しい技術は、とりわけベテラン層の方々は戸惑いもあったのではないかと思います。前向きに取り組んでもらうためにはどのような工夫をされていたかをお伺いできればと思います。併せて、年齢・体力にかかわらず活躍できる場が広がったというような変化がありましたら、併せて教えていただければと思います。
3点目は成果の還元についてです。スライド8ページで労働時間が大きく減っており、産み出された時間、付加価値に関して、働く方々にどんな還元がされているか教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○橋本組橋本氏 御質問ありがとうございます。
安全に関しては、人間とフィジカルAIが同じ空間といったことはもちろんあるのですが、一番は、先ほどの消防ロボットもそうですし、ICT施工が典型的です。今までは例えばICT施工ですと、バックホーという土砂をかき上げたり、掘っていく機械があるのですが、そこのバケットのすぐそばに補助の土工さんがいて、補助の土工さんの指示に従ってバックホーのオペレーターが掘削する。それが当たり前のことだったのですが、これは実は物すごく危険なのです。バックホーの旋回範囲内に人が入ると、ちょっとした誤操作でバケットと作業員が当たって大きな労働災害につながってしまう。そういったことが現実に幾らでもあったのですが、このフィジカルAIとか先ほどのICT施工によって、人がそばにいなくても施工が可能になりましたので、安全といった面では現状よりはかなり高いレベルで安全が確保できるのではないのかなと考えております。
2つ目の新技術の導入に関してです。社風を褒めていただいて非常にうれしかったのですが、私どもの社風は挑戦して失敗しても笑い飛ばすという形で、とにかく挑戦していこうよという形でいろんなものにすぐ飛びつきます。よくファーストリテイリングの柳井さんは、自分はもう10%しか成功しないよ、10回やって1回しか成功しないといった形で挑戦のすばらしさをお話ししていただいているのですが、我々は100回やって1回成功するくらいで、ただ、99回失敗してもそれは笑い飛ばそうと。基本的には同じことをしたら失敗するというのが分かっているのだから、それは絶対やらないよねという気持ちでやらせていただいております。
ベテランの抵抗感の払拭といった面では、途中一度説明させていただいた部分のところで、パソコンの導入に対して消極的なベテラン層には、就業時間中にゴルフのシミュレーションゲームをやってもいいよとか、そういったことを会社として認めて堂々とやってもらいましたし、例えばエクセルのワークシートとかああいったものに関しても、昔、現場監督、自分が入ったばかりの頃は全員電卓をたたいて、それを野帳に手書きして、そこで高さの管理の数値を見える化していたのですが、自分が目の前でエクセルのワークシートでぴっとドラッグすると、みんなが1時間ぐらいかけて野帳1ページ分やっていたのが秒でできてしまう。これは便利だよねといった話で、自分たちにとってのメリットを可視化することによって抵抗感を下げる。そこはかなりプレゼン的な要素が必要になってくると思うのですが、そういったことを積み重ねることによって抵抗感を払拭する。何度も何度も繰り返すことによって、あ、あいつが何かやろうとしているけど、ちょっと面白そうだなと。敬遠する文化から面白そうと関心を持ってもらえる。そういった文化そのものを変えることによってベテランの抵抗感を減らしていく。そういったことを繰り返してきました。
成果の還元についてですが、一番は労働時間が減るということ。そこは家庭の時間が増えるといったことにつながっていくのですが、私どもの会社の給与体系がございまして、そこには会社の営業利益の25%を社員に還元する。すなわち、会社としての利益が上がれば上がるほど自分への還元が増えるということで、例えば1年間の営業利益が10億円としますと、2億5000万円を社員に還元します。2億5000万のうちの半分、12.5%、1億2500万円を決算ボーナスで、それと同じ金額を退職金として積み立てるという形で、会社がもうかれば自分ももうかるというのを仕組み化することによって社員に還元する。そうすると、社員も会社がもうかれば自分の給料も上がる。しかもそれが見える化されているものですから、それがかなりやる気、モチベーションの向上にもつながっているなといったことを実感しておりますので、この制度は全ての企業に導入していただけたらなと思っております。
よろしいでしょうか。
○阿部部会長 ありがとうございました。
ほかに御質問ございますか。佐々木委員、どうぞ。
○佐々木(か)委員 短く1つだけ。本当にすばらしくて、社風も多分橋本CEOのお人柄やそのパッションやビジョンなりなところなのだろうなと思って感動していたのですが、そういった会社が今、仕事がなくなっているのですと聞くと、そんな社会であってはならないというか、進んでいろいろなものを取り入れて、社員にも還元していくという会社に仕事が集まり、そこで働く人が喜ぶというような社会をつくらないとならないと思っていますし、一般的には建設業界は人手が足りない。なので、もう家を建てることもできない、工期が延びる、そんな話ばかりを耳にしていたので、今日の話は非常にありがたく聞いたのです。我が家の近くでも家を何軒か建設中ですが、1つのクレーンの周りに8人ぐらい労働者の人がヘルメットをかぶって立っているのですけれども、いつも何をしているのかなと思っているので、多分違うやり方が本当はあるのだろうと思いました。
質問は、静岡で今そうやって頑張っていらっしゃるわけですが、外国人の労働者の問題もあると思うのですけれども、これから仕事を増やす、労働者ももっとハッピーに、会社がもっともっと仕事を増やしていく、建設業界がよくなっていくために、東京からできることとか、政府がすることとか、ルールで変えることとかあるのでしょうか。
○橋本組橋本氏 ありがとうございます。
劇的に変えるといったことであれば、日本以外の国がやっております首都の移転とか分散化といったことが行われれば、地方にもそれに関連した仕事が増えると思います。ただ、そういった政策的な夢物語ではなくて、フィジカルAIとかそういったものを使っていったときに、実際にエッセンシャルワーカーはこれから仕事が増える。ブルーワーカーミリオネアといった話があるのですが、フィジカルAIの台頭によって、ホワイトカラーの人間よりはブルーカラーの人間のほうが多分仕事はなくなってしまうと思います。
ただ、ブルーワーカーに分類されていた人たちもAIをスマホと同じように使いこなす時代になると思いますので、そうすると全然違った分野で仕事ができますし、先ほどみずほさんもJRさんもおっしゃっていただいたのですが、今までできなかったことが、自分が持っている知識とAIを組み合わせることによって2倍、3倍の生産性向上が期待できると思うのです。そのときに、本当にすごいグラフをつくられたなと思ったのですけれども、労働人口と実際に供給できるギャップの分は何で埋めるかというと、今言ったようなことで埋めるということしかないのかなと思います。
そういった意味で、建設業界ですと国土強靱化とかやらせていただいていますし、さらには、高度経済成長時につくったインフラが完全にアウトだなと。崩壊するアメリカと同じような状況が日本にも今、まさに生じている。水道管とかばんばん外れていますし。今まで人も物も足りなかったところに集中投入することによって、我々が安心して暮らすことができる。三方一両得となるような、そういったきっかけがフィジカルAIの台頭なのではないのかなと思っておりますので、そういった形で中央が地方に対してできること。それは中央だけではなくて、日本全体で例えばフィジカルAIに対する補助金を増やせとは言いませんが、そういう形で政策的なことも十分可能ではないのかなと考えております。
○阿部部会長 ありがとうございました。
よろしいでしょうか。
○佐々木(か)委員 はい。
○阿部部会長 それでは、ここからは自由討議とさせていただきたいのですが、予定の時間まであと4分しかなくて、お一人20秒程度の御発言になってしまいます。これでは困りますので、どうしても退席しなければならない方は御退席いただいて、残りの時間は皆さんの御発言が全て終わるまで会議を続行させていただきたいと思っております。すみません。御用があれば御退席いただいて結構です。
それでは、自由討議に移りたいと思います。もし御意見のある方、いらっしゃれば挙手をお願いします。では、相原委員。
○相原委員 今日はありがとうございます。
私が大変興味があるのはAIエージェントの話です。AIエージェントが出てきたときに、法人としての責任の境界線をどこでセットするのかというのは大変大きなテーマだと思っています。3社それぞれでどのようなお考えがあるのかというのをお伺いしたいのですが、よろしいでしょうか。
○みずほFG元島氏 ありがとうございます。では、元島からお話をさせていただければと思います。
我々のほうでもAIエージェントを一個人がつくれるような環境に現時点でなっておりますが、実際の業務利用という意味ではまだこれからという状態になっております。そこの課題のところが、まさに御懸念されている責任分界点をどこに置くのかというところでございます。現時点ではエージェントはよく止まります。RPAも大分止まっていましたけれども、それ以上に簡単に止まるというのが現在の我々の評価です。
なので、使い方としては、当面の間はヒューマン・イン・ザ・ループを目指していくのかなというところでございます。責任が発生するところで人間が確認をするというプロセスにしていかざるを得ない。クオリティーが上がってきたところでヒューマン・オン・ザ・ループ、監視するという立場になっていく。最終的には、大分先になると思いますが、外に人間を置く。人間が見ていなくてもAIがやってくれるという世界になると。ただ、現状ではまだそこまで到達するには時間がかかるかなという評価でございます。したがって、まさに境界線のところは悩み中でございます。
以上です。
○JR東日本安部氏 今、みずほ様からお話があったこととほとんど変わらないですが、やはりエージェントを活用することで人が予期しないところからシステムアクセスとかデータアクセスするというところが一番の懸念点でありますので、システム的にログがどういう状況で、そのエージェントがどう動いてきたかというところの基盤をきちんと確立しないといけないというところが大前提であると思っています。
どうやって人との境界線をつくるかというのは、今、まさに議論している最中ですが、現時点では最後に人が判断すると。先ほどヒューマン・イン・ザ・ループの話がありましたが、そういった状況ではあります。全てが自動的にAIエージェントで制御までおこなっているかというと、まだそういう地点には立っていないという状況でございます。
○橋本組橋本氏 私どももエージェントの原点、召使いという形で、どこまで生成AIが便利になっていくのかなということをエンドユーザーの立場として考えていきますと、セキュリティーの部分に関しては制限をかけざるを得ないのかなと。特に一番重要なのが、私どもは大企業さんほど蓄積はないのですが、ラグの部分、各社独自が持っているデータベースの部分と、それ以外の外にアクセスすると。内部的なエージェントがどこにアクセスインかといった部分と、外にたくさん散らばっている様々なAIエージェントが自分たちのラグに侵入させない。そこの部分の境界といったものは絶対必須になってくるのかなと。
ただ、それ以上に大事なのが、各自がAIエージェントを使って勝手に業務改善しました。それを勝手にみんなが自分独自のフォーマットでいろんな外部資料を出したりしますと、それは一昔前の「フォーマットを共通化して出そうよ」というところ、原始時代に戻ってしまうような仕事のやり方になってしまうと思いますので、AIエージェントを使うときのルール化が本当に一番大事ではないのかなと考えております。
○相原委員 ありがとうございました。
○阿部部会長 それでは、オンラインで浦委員、お願いいたします。
○浦委員 私から3点発言させていただければと思います。
1点目、デジタル技術を使うことで年齢や体力にかかわらず活躍できる現場がこの先生まれていくと思っております。そうしたときに、社会全体の年齢構成を見たら、働き手はやはり中高年層が多いというのも実態としてある中で、人手不足への対応というものは、若い人材を採るということに限らず、今いる中高年層の力をどう活かすかであったり、ほかの分野から中高年層の方が新たな担い手として迎え入れられるという状況を踏まえた観点からも考えていくことが必要なのではないかと考えます。
2点目、みずほさんなどからタスクが減っていくというお話をいただきましたが、AIによって産業として大きく減っていくということを個社個社で見たときに、企業の中で配置転換などができて労働者を吸収できる余力がある会社、ない会社が生まれてくると思っております。そういったときに中小企業で働く人々、もしくは有期契約の方々がそういった場面で一番影響を受けやすいと想定した次第です。リ・スキリングや雇用として移動していくことを支援することを考えたときには、企業を通じて正社員や大手企業の労働者という仕掛けというよりも、雇用形態、企業規模にかかわらず届く仕組みが重要なのではないかと考えます。
3点目、AIによって業務がこの先どんどん進んでいくことを考えたときに、社会保険の財源を考えると、賃金を基盤としている以上、細っていくのではないかと考えた次第です。置き換えられたときに、例えばリ・スキリングをするなそ、移行していくことを支えるセーフティネットが社会保険であるとしたら、置き換えが進めばその財源も弱まるという構造になっていると考えました。そうしたときには、移行にかかる費用というのは、今ある形よりも、別の形、在り方を検討していく必要があると思った次第です。
連合もかねてより技術革新への対応や労働移行に伴う能力開発の原資は一般財源で確保すべきと求めておりますし、効率化の成果というものを社会全体で支えていく、還元されるという仕組みについては、労働政策の枠を超えた検討が重要なのではないかと考えました。
以上です。
○阿部部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。坂本委員、どうぞ。
○坂本委員 私も関連しまして人材育成についてお伺いできたらと思うのですけれども、各社、皆様はDX、AIを使ったビジネスの変革といったところに取り組まれていらっしゃることを理解いたしましたが、特にAI、デジタルを使いこなす人材をどう育てていくかということ。皆様の事例でも研修をすごいやっているのだというお話ですとか、あるいは実際に現場の仕事で覚えていくのだということで、OJT、OFF-JTなども含めていろいろやられているとお伺いしましたが、AI時代になっていく中で、これまで日本企業でずっと行われてきたような人材育成の取組が有効な部分もあるのかなとも思いましたし、あるいは違う育成方法が必要なのかなということも感じましたし、そこら辺、皆様がどのように考えられているかというところをお伺いできたらと思います。
○みずほFG元島氏 元島から回答させていただきます。
人材育成に関してでございます。今までのやり方でうまくいく部分といかない部分があるというのは、おっしゃるとおりだと思っております。その中で、他社様も大きく声を上げておっしゃっていましたが、挑戦するということをより評価するという仕組みになっていくのかなと思っております。我々の組織の中で挑戦して失敗した人のほうが挑戦しない人より評価が高いというものを明示し、それをどのように評価するかというのを評価者に対しても研修しております。ですので、ここで失敗してくださいということをひたすら促し、実際にやらない人、岩盤で動かない人もいるというのもまた事実です。残念ながら組織の構成上、促したらやる人、絶対やらない人に分かれるのですが、我々のターゲットは、「やろう」と言ったらやってくれる人が動けばいいかなと思っておりますので、今のような仕組みになっているのかなと思います。
以上です。
○JR東日本奥村氏 JR東日本の場合は少し違う観点で御回答申し上げたいと思っています。今、社員もAI、生成AIを使える環境にあるのですが、8割ぐらいがあまり使えていないというようなデータがあります。まずAI人材をつくるためには非使用者を極めてゼロにしていくということで、AIリテラシーの向上は必須かなと思っています。業務の断面の中にAIが必ず入ってくるというのが近い将来にありますので、まずは非使用者を極めてゼロにしていこうと。その中でランクをつけて、実動で使ったり、あるいはマネジメントを使ったりというところは、階層を設けながらやっていかなければいけないかなと思っているところです。
先ほど少し高齢者の話もありましたが、ベテランの社員が持っている暗黙知を形式知化にしていくというのは、時間的に余裕がありませんので、こういったところでベテランの社員に活躍、光を当てて、持っている勘どころのようなものをAIに覚え込ますということを集中的にやっていかなければいけないのではないかなと思っているところでございます。
○橋本組橋本氏 私からはまた視点が違うのですが、いつも自分がいろんなところでお話をさせていただくときに、日本の失われた10年、20年、30年はなぜ生じたかというと、そのときの統計データとして、日本の企業が社員に投下する研修時間が諸外国と比べて著しく低くて、さらに低下していると。基本的に競争力というのは人間力そのものですので、鍛えられてきた諸外国の人たちと鍛えられなかった日本人、けんかしたら勝てるわけがないのです。
何を言いたいかといいますと、AIだけでなくて、ほかの分野においても教育研修していかないと、AIだけしっかりやらなければいけないと肩肘を張っても駄目で、人間力を形成する様々な分野で教育研修に日本の国として、企業として投資していかないと、日本としての競争力はますます差が広がってしまうのかなと考えております。これに関してはAIもそのうちの一つのツールであるといった認識で進めていかなければいけないのかなと感じております。
○阿部部会長 よろしいですか。
それでは、時間も参りましたが、私、今日何も話していないので、最後に一言だけ感想をお話ししたいと思います。今日、私が一番心に残った言葉は、元島様が御発言いただいた人の付加価値の出し方。これが今後労働政策にとっても一番大事なのではないかなと思いました。AIが今まで人間が行っていたタスクを代替するようになって、タスクがAIと人間でどう分配されていくかというのはどんどん変わっていくと。そのときに人材育成の問題が大きくて、今まででしたら連続的に人材育成を行えてきたのが不連続になってしまう。どんな教育を受けたらいいのか、あるいはどういう教育をしたらいいのかというのが見えづらくなってきているのではないかなと思いました。そのときに、教育訓練をやればいいというのでなくて、その人の付加価値をどうやって出していくか。この点がすごく心に残った言葉で、確かに今の雇用政策とか労働市場政策で付加価値の出し方というのはあまり考えたことがないなと個人的に思った次第です。この辺り、今後この部会でももう少し議論をしていければなと思いました。
いずれにしましても、長時間にわたりまして3社の皆様には御参加いただき、本当に貴重なお話をお聞かせいただきまして、ありがとうございました。御礼申し上げます。
それでは、ほかに御意見、御質問がなければ、本日はこの辺りで議事を終了させていただきたいと思います。
最後に、事務局のほうから連絡があればお願いいたします。
○宮下政策統括官付参事官 次回の日程につきましては、調整の上、追って御連絡いたします。
以上でございます。
○阿部部会長 それでは、本日は長くなりまして失礼いたしました。労働政策基本部会はこれで終了とさせていただきます。ありがとうございました。

