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2026年6月26日 第40回労働政策審議会労働政策基本部会議事録
政策統括官付政策統括室
日時
令和8年6月26日(金)10:00~12:00
場所
厚生労働省専用第21会議室
出席者
- 委員(五十音順)
- 相原委員、阿部部会長、浦委員、岡本委員、川﨑委員、坂本委員、佐々木かをり委員、佐々木勝委員、武田委員、山川委員、山田委員
- 事務局
- 山田厚生労働審議官、青山総括審議官、河野政策立案総括審議官、岡政策統括官付参事官、木村政策統括官付政策統括室長補佐、松下労働基準局総務課長、菱谷職業安定局雇用政策課長、篠崎雇用環境・均等局総務課長、澤口人材開発統括官付参事官(人材開発政策担当)
議題
- (1)部会の今後の進め方について
- (2)省庁ヒアリング
- (3)その他
議事
○阿部部会長 おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから第40回「労働政策審議会労働政策基本部会」を開催いたします。
皆様におかれましては、大変お忙しい中、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
それでは、カメラの頭撮りはここまでとします。
議事に入ります前に、本日の基本部会について事務局から説明があります。よろしくお願いします。
○岡政策統括官付参事官 事務局でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の資料はお手元のタブレットで御覧いただけます。操作方法に御不明な点がある場合は、事務局にお申しつけください。
オンライン参加の委員の皆様におかれましては、原則としてカメラはオン、マイクはミュートでお願いいたします。
御発言の際は、「参加者パネル」の御自身のお名前の横にある「挙手ボタン」を押して、部会長から御指名があるまでお待ちください。指名後、マイクのミュートを解除して御発言をお願いいたします。また、発言終了後は、マイクをミュートに戻して、再度「挙手ボタン」を押して挙手の状態を解除してください。
また、会の途中に音声等のトラブルがございましたら、チャット機能でお知らせいただくか、あるいは事前に事務局からお送りしております電話番号まで御連絡いただくようお願いいたします。
続きまして、6月25日付で委員の交代がございましたので、新たに就任された委員を御紹介いたします。
資料1の「労働政策審議会労働政策基本部会委員名簿」を御覧ください。
石原委員が退任されまして、新たに坂本委員が就任されました。
坂本委員、一言お願いいたします。
○坂本委員 紹介いただきましたリクルートワークス研究所の坂本と申します。
このたびは、大変貴重な場に委員としてお招きいただきまして、ありがとうございます。
委員の皆様は、武田さんですとか、山田さんですとか、日々いろいろお世話になっているような、皆様本当に活躍されている先生の中に入れていただきまして、大変ありがたく思っております。
私につきましては、リクルートワークス研究所という研究機関で、労働市場のマクロの動向の分析ですとか、あるいは個々の企業の実態、また、リクルートは人材サービスを行っております関係で、人材マッチングビジネスのマッチングの実態ですとか、そういったところに明るいものだと考えておりますので、そういった実態も踏まえてこの場では貢献できたらと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
○岡政策統括官付参事官 ありがとうございました。
本日、所用によりまして、入山委員、大橋委員、冨山委員、橋本委員は御欠席でございます。
また、山川委員は遅れての御出席と伺っております。
○阿部部会長 それでは、本日の議事に入りたいと思います。
最初の議題は「部会の今後の進め方について」です。
事務局から資料2の御説明をお願いいたします。
○岡政策統括官付参事官 それでは、資料2を御覧ください。
労働政策基本部会第5期の今後の検討テーマ及び進め方(案)でございます。
前回の会議で委員の皆様から多くの御意見をいただきました。それを踏まえまして修正を加えています。
まず、AI等の技術の進歩がものすごく速い中で、2040年でよいのかという御意見を多数の委員の皆様からいただきました。それを踏まえ、2040年頃までにというところを「今後」と修正を加えてございます。
また、新技術の中でも特にAIロボティクス、フィジカルAI、あるいは現場労働でのAIの活用といったことについての御発言、御意見が多かったことから、新技術の例示としてAIロボティクスを明記しています。
それから、3ページ目に行きまして、論点のところでございますけれども、新技術の活用により労働環境の改善につながるといった御意見、あるいは質の向上につながるという御意見がございましたので、新技術による労働の質・付加価値の向上についてという論点を加えています。
それから、AIなど技術が進むということで、リ・スキリングが重要ということですけれども、その中で単にAIを使う技術ではなくて、AIを活用して社会課題を解決する人材を育成すべきではないかという御意見や、いわゆるメタスキルといった非AI力、あるいは暗黙知や経験値を活用したスキルといったものも重要だという御意見をいただきましたので、そういった観点も加筆しています。
また、地方あるいは中小企業で就業継続できるようにという御意見もございましたので、その点も加えております。
それから、4ページ目に、今後ヒアリングを行っていきたいと思っておりますけれども、その際のヒアリングの観点ということで、ⅠからⅥまで記載しています。
簡単ではございますけれども、以上でございます。
○阿部部会長 ありがとうございました。
ただいま説明がございました件について御意見、御質問があれば、委員の皆様から御発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
よろしいですか。オンラインの皆様も大丈夫ですか。
それでは、このような内容で今期の基本部会では進めていきたいと思います。よろしくお願いします。
続いて、次の議題「省庁ヒアリング」に移りたいと思います。
まず、進め方についてですが、初めに厚生労働省職業安定局よりプレゼンテーションを行っていただきます。その後、皆様から発表内容について質問等がございましたら、御質問いただいて質疑応答を行いたいと思います。次に経済産業省、そして、総務省それぞれからプレゼンテーション及び質疑応答を行いたいと思います。
一通りプレゼンテーションと質疑応答が終わった後で自由討議の時間を設けておりますので、御意見あるいは御発言については自由討議の時間にお願いしまして、各ヒアリングの際には質問等について中心にお願いしたいと思います。
では、厚生労働省職業安定局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○菱谷雇用政策課長 職業安定局雇用政策課長の菱谷から資料3に基づいて御説明させていただきます。
本日は、厚生労働省がやっています労働力需給推計、それから、AIがどんな影響を及ぼしているかということについて、それぞれどんな論文等が出ているかということについて御説明させていただければと思います。
まず、2ページ目でございます。
我が国の人口の推移でございます。こちらは将来人口推計に基づくものですけれども、2020年の総人口が1億2615万人であるのに対しまして、2040年は1億1284万人ということで約1300万人が減るということでございます。
そうした中で、15歳から64歳の人口が2020年の段階では7509万人おるのですけれども、2040年は6213万人ということで、およそ1300万人、15歳から64歳の生産年齢人口と言われる人たちが減っていくということでございます。
3ページ目に移ります。
こうした中、JILPTにおきましては、労働力需給推計というものを労働力需給推計に関する研究会というのを設置して検討しておりまして、阿部先生に座長を務めていただいておりますけれども、計量モデルに基づいて推計をやっているところでございます。
4ページ目を御覧ください。
直近の労働力需給推計の段取りというのは、5年に1回、国勢調査があって、その次に国立社会保障・人口問題研究所の日本の将来推計人口というのが出てきます。それらを踏まえまして、その翌年ぐらいに毎回労働力需給推計というものを作っておるのですけれども、その際のシナリオというのは社人研が作っている将来推計人口と内閣府の中長期試算、大体10年後ぐらいまでのものを設定しているのですけれども、こういったものを推計の前提として利用しております。
シナリオを3つ作っておりまして、まず成長実現・労働参加進展シナリオ、それから、成長率ベースライン・労働参加漸進シナリオ、一人当たりゼロ成長・労働参加現状シナリオの3つのシナリオに基づいて推計をやっていく。
こちらは表のほうの中身になりますけれども、マクロ経済の前提に関しましては、一番最初の高成長モデルのところは中長期試算における成長実現ケース、それから、中位シナリオのところは中長期試算のベースラインケース、一人当たりゼロ成長・労働参加現状シナリオにおいては、一人当たり実質経済成長率がゼロという前提になっています。
労働参加の前提につきましては、高成長シナリオにおいては女性と高齢者等の労働市場への参加が進展する。それから、中位シナリオでは一定程度進展する。逆にゼロ成長シナリオにおいては、年齢階級別の男女の労働参加率が全く変わらない。そういったシナリオであると考えていただければと思います。
将来人口の前提については中位推計で一定でございます。これで設定しているというところでございます。
5ページ目に移ります。
成長実現・労働参加シナリオの成長率というのは、大体中長期試算なども参考にしていますけれども、2028年約1.9%まで上昇後、33年で約1.7%。その後、足元の成長率に人口減少の影響分を加味などといった形で見ていくということで、それから、労働参加漸進シナリオ、中位シナリオの場合は成長率が2033年約0.4%まで緩やかに低下、そういったシナリオになっています。
6ページ目に移ります。
例えば短時間雇用者比率については、こちらは成長実現・労働参加進展シナリオでいうと、毎勤のパート比率をトレンドで延長していく形になっています。中位シナリオはその半分だということになっている。そういったことで、保育所のところなどは新子育て応援プランの保育所整備みたいなのをちゃんと反映していく。こういったことに取り組んでいるということでございます。
この結果、7ページ目でございます。労働力人口と就業者数の見通しということでございますけれども、2020年に6904万人であった労働力人口につきましては、高成長シナリオについては6791万人ということでほぼ下がらないというシナリオになっています。一方で、一人当たりゼロ成長、労働参加が現状と全く同じという場合におきましては、現役世代の人口も減っていますから、6002万人まで約900万人も減少するということになります。なので、労働参加が図られれば、そういう前提においてはそんなに減らないということでございます。ただ、足元で見ますと、労働力人口は今7000万人を超えているような状況ですので、実は高位シナリオよりも実際の労働参加が進んでいるというところでございます。
8ページ目の説明は割愛させていただいて、9ページ目のグラフを見ていただきますと、どれぐらいグラフの形が変わるのかということですけれども、特に女性のほうを見ていただくと分かりやすいかもしれませんが、ゼロ成長シナリオの2040年の年齢階級別労働力率は分かりやすく言うと2022年と並んでいるということです。
一方で、高位シナリオで見た場合の女性の年齢階級別の就業率は確かに上がってはいるのですけれども、過去の伸び率に比べるとその半分ぐらいということなので、絶対に不可能というシナリオではないのではないかと考えております。
こういったことを踏まえて、10ページ目でございます。雇用政策研究会の報告書でございます。成長や労働参加が現状から進まないと仮定した場合の労働力人口というのは6002万人なのだけれども、ちゃんと成長と労働参加が実現した場合は6791万になる。こういった成長を伴った労働市場を実現するためには、多様な個人の労働参加の促進とそのための労働生産性の向上が重要だということで、多様な個人の労働参加、それから、新たなテクノロジー等を活用した労働生産性の向上、労働市場のインフラ整備、こういったことに取り組んでいく必要があると言っています。
そうした中で、11ページ目からはAIの話に移りますけれども、まずは12ページ目でございます。
AIが雇用・労働にどんな影響を与えるか、近年どんな議論があったかを簡単におさらいします。AI、自動化などの新たなテクノロジーの活用というものは、やはり雇用の代替とか雇用が奪われる懸念というのは昔からよく言われます。
2013年にマイケル・オズボーンが今後10~20年で米国の雇用はAI等によって代替される。雇用の47%が奪われるリスクが70%以上だと言って、世間に結構ショックを与えて、野村総研も日本でもみたいなことを言ったのですけれども、このとき言っていたのは、代替可能性が高いのは認識・操作性、創造的知性等と結びつきが弱い職業で、運輸・輸送・事務、生産工程等と言っていました。
これに対して、メラニー・アーンツという人は、いやいや、職業ではなくてタスクで見る必要もあるし、時間軸も考える必要があるのではないかということで、実際に70%を超える職業はアメリカでは9%ぐらいではないかと言っていました。このとき言っておられたことは、代替可能性が高い職業は教育水準や所得水準が低い定型業務ではないかと言っていました。
ところが、世の中はどんどん変わっていって、ロボティック・プロセス・オートメーションの高度化であるとか、あるいは生成AIの登場ということで非ルーティン的な事務処理全般の処理、そういったことも結構生成可能になってきましたよと。
最近、国際機関とかというのはどんなことを言っているかということなのですけれども、いろいろレポート別に、横串で読めるわけではないですけれども、代替性みたいな話とか補完性みたいな観点から議論されることが多いと思います。
ILOが出しているものは、世界の雇用の24%が影響を受ける。特に事務職系でAIの自動化リスクが高いし、ソフトウエア開発みたいなところも影響が大きいのではないか。だけれども、AIが完全に代替するということはなくて、人間の関与は不可欠だと言っています。
OECDは27%の職業が自動化のリスクと。でも、現状ではマイナスは出ていない。むしろ仕事の質が影響を受けていると言っている。
それから、IMFは世界の雇用の40%、先進国は60%がAIの影響を受けると言っています。
それらの中身はどんなことかということで、13ページ目を見ていただきますと、先ほど申しましたILOのレポートはどんなレポートかということですが、例えば各タスク、最近はタスクにより、業種というよりは職業を見ていくわけなのですけれども、職業を見ていったときに、AIによる自動化の可能性を0~1の範囲で評価して、1が完全に自動化可能という話なのですけれども、それでいろいろ分析しています。
その結果、生成AIの最も影響を受けるという職業1~4と影響少ないみたいな世界の2つを入れて6段階で評価したところ、最も大きな影響を受ける職業の例の典型がデータ入力、それから、会計・経理、一般事務、大きな影響を受けるのが翻訳者とかソフトウエア開発者、アプリケーションプログラマー、「ほとんど影響を受けない」の分類のほうのわずかな影響の人たちは大型トラック、バス運転手、影響ない人たちというのは料理人、医療補助者、建設作業者、こういったことになっているということです。要するに「影響ない」の職業というのは熟練技能者とか技師・専門職、対人性が高い職業が多いということでございます。
あと、OECDのレポート、OECDは各国比較をやっていますけれども、それを日本版でもやっています。10年先を見据えた場合、まず図1は職業におけるAI利用率の国際比較ということで見ますと、日本は製造業において導入の比率が低いです。
AIによる仕事の量への影響に対する将来予測ということで、雇用創出を期待している労働者と雇用喪失を心配している労働者の割合というのは、それぞれ2年以内とか10年以内とかというので聞いているのですけれども、AI利用者は、四角の雇用創出への期待が丸印の雇用喪失への懸念を必ず上回っている。10年先のほうがやや懸念が増えますけれども、基本的には創出への期待が上回っている。一方で、AI非導入者については喪失への懸念のほうがやや上回っているという結果になっています。
ただ、そうした中で、AI利用者でありAI非利用者であれ、今後もAIの進展が進むというところは図2では変わらないと言っていて、職種別に見た雇用創出と喪失への懸念で見ますと、管理職とか専門職については、創出から喪失を引いた数字(DI)で見ていくと、大体皆さんポジティブな見解を持っていて、一方で、設備・機械の運転・組立工、単純作業の従事者、こういったところは懸念のほうが高い。そういった分析になっています。
こういったことを踏まえまして、15ページ目でございます。今の政府ですけれども、AI基本計画というのがありまして、そうした中で言われていることは、AIの進展に伴う雇用への影響について、代替性と補完性の観点から調査・分析を行って、その結果も踏まえた包括的な対策を継続的に実施する。AIリ・スキリングの取組を支援する。あるいは社会の基盤を支えるアドバンスト・エッセンシャルワーカーの創出を目指して、リ・スキリング支援を実施する。こういったことが閣議決定されているところでございます。
厚生労働省の取組ということで、16ページ目でございます。厚労省としては、リ・スキリング支援策というところでいいますと、離職者向けのハロートレーニング、公共職業訓練等がございます。それから、在職者向けの教育訓練給付、企業向けの人材開発支援助成金、こういった中にそれぞれITなりAIの技術者育成に向けた取組を進めているというところでございます。
それから、17ページ目でございます。一方で、AIによって雇用が奪われにくいと言われているような分野への取組ということで申しますと、ハローワークによる医療・介護・保育分野の求人充足対策支援の取組強化ということで、もともと全国124か所の人材確保コーナーにおいてこういった職種について重点的な求人確保とか求人者支援もやりながら、丁寧な就労支援によって求人充足対策を実施しているところでございます。
さらに、令和8年度においては、医療・福祉ささえる求人充足プロジェクトということで、医療・介護・保育へのアウトリーチ支援による求人充足支援を全ハローワークの最重点事項として通年で実施していくこととしており、こういった分野での人材確保に取り組んでまいりたいと考えています。
私からの説明は以上でございます。
○阿部部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの職業安定局からの御説明に関しまして、御質問のある方は挙手をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
では、相原委員、お願いします。
○相原委員 委員の相原です。
御説明ありがとうございました。
2つほど教えていただきたいのですが、AIやリ・スキリングの関係のところで代替性や補完性の話も先ほど触れていただきました。それを前提としたときに、貴重な人材をどのように再配置していくか、もしくは最適化するかという点も重要だと思います。その点から考えたときに、労働者の自発的意思による労働移動が健全な形だと考えます、一方で、離職を防止するなど労働者が安心して就労できる付加価値の高い職場をどのような形でつくっていくのか、定着率を向上していくのかというこの両面のバランスが必要かと思うのですが、労働政策上どのような整理がなされているかという点をひとつお聞かせください。
もう一つは能力開発についてです。もちろん働きながら自己開発に取り組むというのは大変重要ですので、その環境を社会全体としてどう構築していくのかという観点も必要だと考えます。能力開発の促進に向けた環境整備について、今なお長時間労働が散見される事業場もありますし、中小企業も時間をかけて育成した大変貴重な人材を手放したくないという思いもあります。AI等によりもたらされる変化に直面する中で、企業によるリ・スキリングの環境整備に対して、何か新たな観点があるかどうか、この2つの点について御示唆をいただければありがたいと思います。
○阿部部会長 では、お願いします。
○菱谷雇用政策課長 AIの影響に伴った労働の再配置に向けてどういうふうな取組をしていくかというところで、まずは自発的な労働移動の促進という観点に関しましては、一つ重要なのは労働市場の見える化です。やはり、従前、内部労働市場型であった日本型雇用慣行にあって、労働市場の見える化を進めていくということがまず、転職市場の環境整備として求められる。そこに対するリ・スキリング支援策ということで申しますと、教育訓練給付制度のような在職者が使えるようなリ・スキリング支援策が中心になるのだろうと思います。
もう一つは、先ほどおっしゃっていただいた定着支援というところで企業はどう対応していくかというところについては、厚労省の施策でいうと人材開発支援助成金というような企業向けの教育訓練の施策がございます。そもそも教育訓練もあれば、省力化投資みたいなのもいろいろある世界で、経営者そのもののマインドなりリ・スキリングも要るのではないかと思いますけれども、そういった経営者がある程度企業をどうかじ取りしていくかということを見越した上で、そこに必要な投資もするし、人材育成もするし、人材育成に関しては厚生労働省として支援していく施策もあると考えています。
それから、長時間労働みたいなのがある中で、あるいは中小企業が手放したくないみたいな事情がある中でのリ・スキリング支援策ということでございます。これはなかなか両立するのが難しい世界ではあると思うのですけれども、一つは、労働市場が割と求職者から見ると緩んでいる。求人者から見ると大変きつい状況かと思いますけれども、そういう状況下において転職しやすい環境が整っていますから、あまり理屈のない、自分の成長につながらないと思う長時間労働というのは、若い人は絶対に逃げると思います。それは健全なことのような気もします。
だから、長時間労働なり、何のためにというところだと思うのですけれども、そこはなかなかその施策でということではないかもしれませんけれども、いずれにせよ、労働移動したいと思う求職者が労働移動できるような環境整備という観点での見える化政策と教育訓練給付というのは重要になるのかなと思います。
○相原委員 ありがとうございます。
○阿部部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
では、川﨑委員、お願いします。
○川﨑委員 川﨑です。
御説明どうもありがとうございました。
シンプルな質問なのですけれども、前段のところで労働力の需給の推計の御説明をいただきまして、どうもありがとうございました。複数シナリオでということだったのですけれども、ただ、現実は足元は高成長シナリオより労働参加が進んでいて、今、7000万人ほどの働いている人がいますという御説明だったかと思うのですが、どういうふうなものが背景となって労働参加が進んでいるのか、労働の供給が進んでいるのかといったところをお伺いできればと。もしそこの背景の中に何らかの新しい技術的なものが要素としてあるのであれば、そこもこの基本部会の検討の項目になるかもしれないと思って質問させていただいています。
○阿部部会長 では、お願いします。
○菱谷雇用政策課長 7000万人と申し上げたのは労働力人口ですので、失業者も入っている数にはなりますけれども、いずれにしても失業者も含めて働く意欲の方が7000万人を超えているというのはそのとおりでございます。実際にどういうところで労働力人口なり就業者数が増えているかと申しますと、データ的に見ますと、やはり高齢者と女性が中心になります。労働力人口がすごく増えているから日本は雇用が足りているのかというと、そこがまたジレンマというか、世の中の実感と合わないのは、一方では短時間勤務が進んでいるというところでもあるかと思っています。
ですので、ただ、そもそも先ほど申しました15歳から64歳の、かつて、今でもそうですけれども、生産年齢人口と呼ばれている人口の人たちの規模というものは、この先どんどん1300万人規模で減っていくということを考えますと、昔のように、週5日、毎日8時間働いて残業もみたいな無限定な働き方ではなくて、多様な働き方を広げていく必要性があるのだろうと思いますし、育児なり介護なりと両立しながら働き続ける環境の整備というのはやはり求められているということだと思います。
○川﨑委員 分かりました。ありがとうございます。
○阿部部会長 それでは、オンラインで岡本委員が挙手をされておりますので、岡本委員、よろしくお願いします。
○岡本委員 御説明ありがとうございます。
質問が2点あります。1点目ですが、資料の10ページに地域の人手不足への対応として地域の担い手を確保することが必要とあります。これはそのとおりだと思うのですが、地域は過疎化によって構造的な人手不足であり、エッセンシャルサービス業などはAIやデジタルの活用だけでは十分に補うことは難しいと考えます。今考えられる具体的な処方箋というのでしょうか。それがあれば伺いたいと思います。
2点目です。今、働きながら資格を取得できる研修や講座などは数多くあると思いますし、ネットで調べると需要の高い資格ランキングなんてものも出てくるのですけれども、それを実際の業務で活用する機会やポストがなければ経験として身につかず、研修成果が風化しかねないと考えるのですが、厚労省による人材開発支援において具体的な実務経験に結びつけるために工夫されているようなことがあれば伺いたいと思います。
以上です。
○阿部部会長 お願いします。
○菱谷雇用政策課長 まず、前段の地方の担い手確保の処方箋ということについては、これは政府を挙げてみんな考えていることですけれども、一つのことでいうと、そもそも人口の話もあるし、地域の問題もあるし、地域をめぐるいろいろな文化、背景みたいなこととか、女性の働き方についてのいろいろな昔ながらの風土、雰囲気みたいなのもあるやにも聞いていますし、簡単ではないところもあると思いますけれども、ただ、何かですぐ解決するという問題でないことだけは確かなので、そのことに対するある程度コンパクトシティーみたいなことを目指す必要はあると思いますけれども、抜本的にみんなで複合的にしっかり対応していく必要があるのではないかということ以上のことで言えることはないかなと思います。
それから、リ・スキリングに当たっての話としての現場の実感みたいなことを意識した取組支援は結構やられているのではないかと思うのですけれども、澤口参事官、よろしいですか。
○澤口人材開発総括官付参事官(人材開発政策担当) 人材開発政策担当参事官の澤口と申します。
2点目のお話でありますけれども、我々もスキルと処遇を結びつけられるようにということで問題意識を持って取り組んでおります。いろいろな講座で勉強してスキルが身についたであるとか、資格を取得した場合もそうしたスキルや資格が実際の働く現場で処遇に結びつくようにしていくということが大事であると思っていまして、こういったスキルと処遇を結びつけるためのキャリアラダーの作成について、今、調査研究等を進めております。まだまだ我が国のこれまでの雇用慣行からすると、キャリアラダーといった、スキルを分析して、スキル等を処遇に結びつけるという慣行は今までなかった部分がありますので、業界団体とも連携して整理しながら、こうした取組が進められるように、ということで今取り組んでいるところでございます。
以上です。
○阿部部会長 岡本委員、ありがとうございました。
1番目の質問は地域の担い手確保の処方箋ということだったと思いますが、その問題はどちらかというと我々基本部会でこれから検討していくものではないかと思っておりますので、今後、御質問のところはできたら資料に関して御質問をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。最後に御意見はいただきたいと思います。
続いて、山田委員と武田委員も挙手されておりましたので、山田委員からお願いいたします。
○山田委員 前半の試算の前提で2つお聞きしたいということなのですけれども、一つは、先ほど御説明もあったように、労働時間の話が実はこれから重要になってくると思うのです。労働時間の前提をもうちょっと詳しく教えていただきたいという話です。
もう一つは、外国人労働者の前提です。過去のトレンドなのだと思うのですけれども、もしこの予測時点において労働者に占める外国人労働者の割合というのを数字でお持ちでしたら、それを教えていただきたいという2点です。
○阿部部会長 ありがとうございます。
お願いします。
○菱谷雇用政策課長 外国人労働者のほうから答えますと、こちらは社人研がやっている将来人口推計の試算というのがありまして、こちらの試算のやり方は決まっていまして、入国超過数のトレンドを見ていまして、それを延伸しているという感じなのです。たしか16.4万人みたいなもので延伸しているということになっています。それに一定の労働力率みたいなのを掛けて作っているのが外国人のところの推計になります。
もう一つの労働力需給推計は、従前、マンパワーベースで推計をやっていたのですけれども、一方で、結局、総労働供給時間みたいなマンアワーの話のほうが実際には重要だという議論もあって、次回の推計に向けてマンアワーみたいなのを少し考える必要があるのではないかということを内部的には検討を始めているところでございます。
○山田委員 ありがとうございます。
○阿部部会長 よろしいですか。
では、武田委員、お願いいたします。
○武田委員 御説明をありがとうございました。
2点お伺いいたします。まず、OECD等の海外の研究事例を御紹介いただきありがとうございました。研究成果を調査される中で、タスクに関する労働の量に関する分析について御紹介いただきましたが、今後は賃金面の分析も重要になるのではないかと思います。OECD等の研究成果を調査される中で、この点に関する言及や研究について本研究会の中でフォローされている内容がございましたら、ご共有いただきたいと思います。
2点目は、アドバンスト・エッセンシャルワーカーの創出を目指したリ・スキリングについてです。今後の政府の対応方針を資料で御紹介いただきましたが、次の「AI関連人材の主な取組」を拝見しますと、一般的なAIを含むデジタル人材育成については対応されているように見受けられます。一方で、アドバンスト・エッセンシャルワーカーの創出という観点で、取組や現在検討されている点などございましたら、ご共有いただきたいと思います。
○阿部部会長 ありがとうございます。
では、お願いします。
○菱谷雇用政策課長 まず、雇用への影響というよりは賃金への影響ということでございます。雇用の質への影響という表現は結構散見されます。最近よく言われている「炭鉱のカナリア」というワーキングペーパーがあって、その中でも賃金よりも量のほうに影響が及んでいるというのがよく書いてある。全体的に、質は上がっている、量は減るという論調が結構多いのではないかという気がします。ただ、それだけではないというところもきっとあると思うので、現時点では私の感覚でしかありませんが、今後ともよく分析してみたいと思います。
それから、2つ目のアドバンスト・エッセンシャルワーカーのリ・スキリングと言われてもということですけれども、まさしく私も同じ問題意識を持っていまして、労働市場改革分科会の中でもこういったことをよく分析する必要があるのではないか、あるいはその創出に向けた検討をしていく必要があるのではないかと言われることも踏まえまして、少し概念整理みたいなことで研究会を局長の下に立ち上げて、大きくはエッセンシャルワーカー分野というか、社会インフラ職種の生産性向上に向けた取組をハローワークなどでどういうふうに支援していくかみたいなことも含めてまず整理していこうと考えておりますけれども、その中でアドバンスト・エッセンシャルワーカーの概念整理みたいなことを少し研究会みたいなのを設置してやってみたいなと考えています。
○阿部部会長 ありがとうございます。
ほかによろしいでしょうか。
それでは、次の経済産業省からのヒアリングに移りたいと思います。よろしくお願いします。
○高木未来人材戦略室長 経済産業省産業人材課未来人材戦略室長の高木と申します。
本日はこの場にお招きいただきましてありがとうございます。
私からは、経済産業省として作成いたしました2040年の就業構造推計(改訂版)について御説明さしあげたいと思っております。
もともと今回の就業構造推計の改訂版でございますが、経済産業省の産業構造審議会で経済産業政策全体の中長期的な方向性を議論するために、2040年の産業構造の転換あるいは経済成長の姿をシミュレーションしたものとセットで作ったものでございます。
経済産業省の問題意識としましては、こちらの3ページ目でございますが、人口減少の中でどうしても労働の投入が減っていく中で、どうやったら経済を引き続き成長させていけるのか。そのためには一人当たりの生産性を伸ばすことが鍵であるが、現下の状況を見ても、国内投資がやはり少なく、国内投資を現状から大きく増やすことによって生産性を引き上げることで、人口減少下でも安定した経済成長、そして、賃金の上昇が可能になるのではないかといった問題意識から、GXの動向ですとか、あるいはデジタル化の影響、AIの影響、こういったものを見通しながら、具体的に2040年頃の産業構造がどう転換していくのかというところをまず前段としてシミュレーションしているということでございます。
その概略を示した図が4ページ目でございまして、要すれば製造業ですとかあるいは専門サービス業のところをこれから先も日本の競争力の源泉として伸ばしていかなくてはいけない。ここで外需も含めてきちんと需要を取っていく。さらに、国内向けのエッセンシャルサービスの分野、小売ですとか卸、あるいは建設ですとか社会福祉、こういった分野についてもAI、ロボティクスによる生産性の向上といったものを行うことによって生産性を高めていく。これが目指すべき産業構造の姿であろうという概略でございます。
その上で、就業構造推計を併せて行った問題意識でございますが、これまで日本経済の成長のボトルネックはどちらかといえば国内投資、企業の投資が少ないことが中心的な問題意識だったのですが、幸い足元の国内投資は順調に伸び始めている。そして、これはお金の話なので、成長力次第によっては幾らかコントローラビリティーがあるだろうと。しかしながら、国内投資が達成できても、人材がボトルネックになるのではないだろうかと。むしろこちらのほうをより心配すべきではないのかという問題意識がありました。
つまるところ、工場を建てるにしても、新しい競争力のある商品を開発する研究者や技術者、こういった者が少子高齢化、例えば今の理系人材の数で足りていくのだろうか。あるいは工場を建てても、それを操業する現場の人材は確保できるのだろうか。あるいはそもそも工場を建てる建設の人材が足りないのではないか。こういったところが既に足元でも企業の方々が工場を建てる際のボトルネックとして顕在化してございますので、こういったある種理想的な産業構造の姿を実現するためには、どのような産業でどのような職種が理想的には必要なのだろうか。そして、足元のトレンド、人口減少のトレンドですとか、あるいは足元の学歴、どこに進学してどこに就職していくのか。こういったトレンドを伸ばしていったときにギャップがどういったところにあるのかというところをリスクとして明確化して、それに向けて効果的な対処を行っていくべきではないか。これが今回の就業構造推計を出したときの基本的な問題意識でございます。したがって、理想的な就業構造の姿と、そして、足元のトレンドを伸ばした場合に自然とこうなりそうなもの、これらのギャップを推計という形で示してございます。
この概略が次のページでございまして、国内投資が十分に行われ、これはAI、ロボティクスを最大限導入することにより生産性の向上を見込むということでございますが、そうであれば、2040年までに何百万人単位で就業人口が減ったとしても、AIによる代替効果によってこれは相殺可能であろうと。したがって、大きな労働力不足は発生しないということが達成し得るだろうと。
しかしながら、先ほど申しましたように問題はその中身であって、職種ですとか学歴あるいは地域間に大きなミスマッチが生じるリスクがあるのではないかというのが今回の我々の結論でございます。
そのミスマッチを次の7ページ目の表で具体的に詳しく紹介させていただければと思いますが、表の上の部分で3つ行が並んでいる一番下、これが2022年、現時点の就業者数ということでございまして、その上のところ、左側が理想的な需要数、そして、右側がトレンドを伸ばした場合の供給数というところで、この差分が一番上の太字でミスマッチという形で数字を表してございます。
中身を見ていただきますと、技術者やAIやロボティクスを導入するような人材も含めた専門人材が181万というところで大きく不足する。専門人材の中にもAIの代替が進んで余剰のあるもの、足りないものといろいろありますが、やはり最大限足りないのはAIやロボットの利活用を進める人材、これはロボットを開発したり導入したりする人材ですとか、あるいはシステムコンサルタント、プログラマーとかも含めたDXを推進する、AXを進める中心となるような人材の総称でございます。他方で、事務職はどうしてもAIの代替効果が特に進みやすい部分ですので、こちらは440万人規模で余剰となる。他方、現場人材、これは生産工程従事者ですとかあるいは農業に従事する方、建設に従事する方、エッセンシャルサービスの現場で働く方々、こういったものの総称でございますが、これは260万人ということで大きく不足するといった傾向となってございます。
下のほうは産業別にそれを分解したものでございますが、大きなトレンドはどの産業も似通っているところがございまして、専門人材、そして、AI、ロボティクスをそれぞれの産業の場で利活用するような人材はどこの産業でも大きく不足する。そして、事務職はなべて余剰になる、さらに現場人材のところは現場人材の方々のAI、ロボティクスの代替の可能性で若干のむらがありながらも、不足傾向が強く見てとれるということでございます。
こちらをざっくりと学歴別のミスマッチという形で示したものが8ページの表でございます。これは現在例えば事務職の方がどういった学歴で入職しているのかというところを見まして、これを基に学歴別ではどういう需給になるのだろうかというところをざっくりと推計したものでございますが、事務職を中心に入職されることが多い普通科高校ですとか大学あるいは院卒の文系人材が大きく余剰になる一方で、専門人材となる可能性が高い理系の大卒・院卒が大きく不足する。さらに言えば、現場人材として輩出される可能性が高い例えば工業高校ですとか、あるいは高専といったところもかなり大きな不足になり、とりわけ製造業にとって大きなリスクになり得るというところが見てとれるかと思います。
次の9ページ目、これを地域ごとに見てみたらどうだろうかということでございます。冒頭、日本全体で見れば労働の供給と需給に大きな不足は生じないと申し上げましたが、これを地域ごとにばらしてみると、地域間ではやはりミスマッチが生じるのではないかというのがこちらのスライドの結論でございます。つまるところ、事務職の従事者は東京ですとか大都市圏、企業の本社機能が集中しているところに大きく偏在する傾向がございまして、東京圏を中心に事務職が200万人ほど余剰になる。東京に関しては全体として完全に余剰超過となる。その一方で、地方は現場人材、専門人材を中心に大きな不足が生じまして、地方ブロックで見ますと全体としても不足になり得るというところが幾つかの地域で見られるということでございます。
次のページが、先ほど申し上げましたように文系人材、理系人材でどれだけ足りないかというところを左側が文系、右側が理系というところで分けたものでございまして、右側にありますように、理系の人材を輩出することの多い理系の大卒・院卒、あるいは工業高校あるいは高専といった人材は東京も含めてどの地域でも押しなべて不足するという傾向が見てとれるかと思います。
なお、次の11ページでございますが、地域でどのぐらい人材が必要になるかというところを簡単にトレンドで推計に表してございましたが、これは1つ工場が建つだけでもその地域における需要というのは大きく変わり得るものですので、これは参考値というところで、その地域に例えば典型的にホテルが開発された場合、工場が建った場合に追加でどれだけの人材需要が必要になるかというところを参考値で紹介したスライドでございます。
最後に、本日のメインテーマでもあります生成AIの影響というところ、12ページでございます。冒頭、生成AI、ロボティクスによって200万人ほど代替効果が得られるので、全体として労働供給に過不足は生じないということを申し上げましたが、こちらの資料に書いていないことも含めて計算、検討の過程を少し紹介させていただきますと、今回この推計を行うに当たって、主要な職種ごとにどういったタスク、スキルが必要となっているのか、それぞれのタスク、スキルがその職種に求められる水準に照らしてAI、ロボットと比較した場合にどちらが優位になるだろうかと。そして、例えば事務系のこのスキル、このタスクについてはAIのほうがうまくやってのけるだろうということであれば、そのタスクは代替されるだろうというところを主要な職種ごとに分解して分析してございます。
これはRIETIの研究成果を参考に作ってございますが、そうすると、下の表でございますが、大きくグルーピングすると、事務系の職種なのか、現場系の職種なのか、あるいは対人業務型の職種なのかで大きな傾向の違いがあるかなと思ってございまして、事務系、デスクワークはやはりAIによる代替効果がかなり大きいというところで、調整ですとか要件分析といったものはAIのタスクに置き換わるであろうと。
他方で、事務系においても具体的に現場でどういったことを行っているかというのは様々でございますし、当然その中にはグループワークを行うですとか、対面で議論するですとか、人でないとなかなかやり得ないよねというところも含まれますので、そうすると、右側の棒グラフになりますけれども、おおむね事務系の職種に関していうと32%ほどのタスクが代替されるであろうというと。これが今回の推計に織り込んでいる数字でございます。
ただ、これは今の仕事のままで置き換わるとすればそのぐらいだよねというところであり、例えば人員の配置ですとか、企業の業務の組み立て方次第でより進み得るといった、変化の可能性は大いにあり得るところでございまして、これがさらにAIがより進展すると、追加で23%代替の余地がさらにあり得るだろうということを示してございます。
他方で、現場系の作業になりますと、AIというよりはロボティクスの世界になります。ロボティクスは、例えば屋内で定型的な作業を行うのはすぐに代替可能でありつつも、例えば屋内でもかなり高度な開発などができるのかだとか、あるいは屋外で安定的に稼働できるのだろうかというところを考えると、これは2040年断面で見てもかなり進みにくい部分があるだろうというところで、事務系よりは代替率が低いという結果になってございます。
さらに言えば、一番下の対人業務型ですが、これは人がやることによってむしろ価値が生じているのではないかという部分でもございますので、こういったものは規制ですとか、制度ですとか、世の中、社会の受け止めといった要素もかなりあるので、これは比較的代替が進みにくい分野なのかなと考えてございます。
2つおめくりいただきまして、14ページでございます。今回こちらの部会にお呼びいただきまして、推計とは別に議論の材料ということで新たに用意したスライドでございますが、こうした推計を踏まえて、今後、我々政府あるいは民間の方々も含めて考えるべき課題がこちらでございます。 第一に、経済を成長させるという意味においては、新たな付加価値を生む競争力のある商品・サービスを生み出す専門人材ですとか、それを支える現場人材がどうしても必要不可欠でございますので、こういったものが不足するということは、すなわちそれが経済成長のボトルネックになるという強い危機感を我々は持ってございまして、今回2040年という推計をしてございますが、当然足元から不足は始まっておりますし、足の速い分野でございますので、どうやってこのミスマッチを解消していくのかというところは足元から取り込むべき喫緊の課題だと考えてございます。
特に地域間の需給のミスマッチということを考えると、それぞれの地域を支える産業、地域のエッセンシャルサービスを支える人材が供給できるのかというところは、それぞれの地域ごとにかなり深刻な問題かなと思ってございます。これは地元の産業界ですとか教育界が連携しながら、どういった職種、産業で地元の需要があるのか。それを育てるために、例えば地元の教育システムはそれにマッチしたものになっているのだろうか。こういったところを地域ごとに議論していく必要があるのだろうと考えてございます。
3番目でございますが、今回は大きな傾向を示すというところで、職種別にシミュレーションをしてございます。しかしながら、当然具体的には事務系といっても現場系といってもどういったスキルを持っている、どういったタスクを行う人材が不足しているのかという需給は、本来はスキルのベースできちんと分析していき、それに対して正しく対応することが必要なのだろうなと思ってございます。
そうすると、結局、人材やスキルの需給のミスマッチを解消していく方向性というのは、広義の労働市場が効率的に機能する。それによって、スキルが不足しているところが例えば高い賃金を提供できるからリ・スキリングを行っても、そこに移動する。そういった需要の高い分野に対するリ・スキリングを政府あるいは企業も含めて後押しをしていく。こういったことによってミスマッチの解消を効率的に機動的に行うことができるという、言わばスキルベースの労働市場をどうやってつくっていくのかというところが課題かなと思ってございまして、これは当然経産省だけでなく厚生労働省さんや、あるいは政府全体で取り組むべき話だとは思っています。今回の成長戦略の議論の中でも、成長分野を伸ばすためにも人材の育成確保というのは不可欠であろうということが課題としては挙がっているところでございますし、関係省庁が併せてスキル情報の可視化やリ・スキリングの提供、そして、円滑な労働移動を促進するというところに取り組んでいく必要があるのだろうと考えています。
後ろのほうは参考資料でございますが、以上の問題意識を踏まえながら、例えば経済産業省と文部科学省では、19ページになりますが、地域人材育成構想会議というものをここ半年ほど地域ブロックごとに次々に開催してございまして、地元の産業界の方ですとか教育界の方、そして、官公庁の方も含めて、その地域でどういった人材の需給を考えていくのかというところを議論し、対策を考えるという機会を設けてございます。
また、21ページでございますが、こちらは厚生労働省さんとも連携しながら、スキルの需給の可視化、リ・スキリングの提供をどうするかというところにも取り組んでございまして、例えば25ページでございますが、厚生労働省さんが持っております職業情報ですとか、あるいは民間労働市場のデータなどをAIが解析しながら、具体的にどの職種はどういうスキルが必要なのかというところを可視化するという取組を行ってございまして、こういったところを通じて、具体的に足りない職種はどういうスキルが必要となっているのか、その需給動向はどうなっているのか、そういったスキルは誰が教えることができるのか、それは大学なのか産業界なのか、あるいは民間のスクールがあるのか。こういったところにきちんと支援の手が行き届いているのか。こういったところを関係省庁含めて具体化しながら対策を打っていきたいと考えているところでございます。
私からは以上でございます。
○阿部部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの経済産業省からの説明に関して、御質問のある方は挙手をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
では、佐々木勝委員からお願いします。
○佐々木(勝)委員 大阪大学の佐々木です。
どうも情報提供をしていただき、ありがとうございました。
12ページの参考の分析の仕方のところで確認したいのですけれども、これは職種ごとに複数のタスクがあって、そのタスク一つ一つに対してAI対人間としてどちらのほうが生産性が高いかというところを見ており、それがAIだったらAIと判定し、次に人間、AIと続き、それらのパーセンテージがここに出ていると思います。そこでの前提として、各タスクは独立しているのでしょうか。本当はマルチタスクというのはそれぞれタスクが関連していると思いますけれども、タスク一つ一つは独立したような形で算出していると考えてよろしいかということでございます。
○高木未来人材戦略室長 おおむねその御理解でございます。職種ごとに例えばこのスキルだったらどういうレベルが必要になるのだろうか、そのレベルを2040年断面でのAI、ロボットが超えているかどうかというところをタスクごとに見ながら重みづけを考えてやったということでございます。
○佐々木(勝)委員 AI対人間と比較するときに判断基準はどういうふうにするのですか。
○高木未来人材戦略室長 それぞれの職種について2040年断面でAI、ロボットが例えば傾聴という分野ではレベル6なのか7なのかというところは、様々な専門家や企業の方々の見解を踏まえて、それを今、足元ではその職業で例えば傾聴は求められているのはレベル5ですねと。であれば、2040年段階ではAI、ロボットのほうが比較優位かなということをRIETIの深尾先生の研究に基づき分析したということでございます。
○佐々木(勝)委員 ありがとうございます。
○阿部部会長 ありがとうございます。
では、武田委員、お願いします。
○武田委員 大変分かりやすい分析結果の御紹介をありがとうございました。
佐々木先生と同様に12ページの分析に関してですが、特にロボティクスは、AIやロボティクス対人というよりも、実際は現場型等の業務はAIが搭載されたロボティクスと人が協働しながらタスクを行うようになると考えます。代替率よりも補完率が高い可能性が考えられますが、こうした点は今回の分析では織り込まれていないという理解で良いでしょうか。
○高木未来人材戦略室長 今回の推計は補完と代替を分けて分析したものではありませんので、典型的な各職種で、例えば運搬という職種であれば、どのようなものだったらAI、ロボットにその分のタスクが置き換わるかというところを職種ごとに算定するというのがまず前提としてございます。
先生のおっしゃるとおり、基本的には補完関係が強く効くところでもありますので、今の40%、50%足らずではなくて、理想的な環境下でいうと8割ですとか9割に届くと前提として考えてございます。
しかしながら、これが世の中に普及していくかどうかというところで、これは別途パラメータを設けてございまして、例えば100人規模の工場であれば、人と工場の最適分配ができるので早く進むかもしれないが、例えば10人以下の中小企業の現場で置き換わるだろうかというところは経済的にペイしないですとか、設備、環境が許さないといったところが起き得るので、例えば企業の規模別に導入の年数は違うだろうなというところでシミュレーションを行ってございまして、結果、全体の仕上がりとしてはこの程度にとどまっているということでございます。
○阿部部会長 よろしいですか。ありがとうございます。
それでは、オンラインで浦委員の手が挙がっているということですので、浦委員、お願いいたします。
○浦委員 一部、前段の皆様の発言が聞こえなくて重複しているところがあるかもしれませんが、御容赦ください。
4点質問させてください。
1つ目としては、4ページ目のスライドの将来の産業設計などについて記載がある「アドバンスト・エッセンシャルサービス業」の必要性に関してお伺いします。デジタル技術を活用して現場人材の処遇を改善するという方向性については理解します。ただ、既にデジタルを活用できている人材に支援が集中し、本来の現場の多数を占める一般のエッセンシャルワーカーの底上げにつながらないというリスクがあると思っております。そもそもデジタルツールをなぜ導入するかと言えば、作業、タスクのハードルを下げて現場全体の水準を向上させることが本来の目的だとするならば、アドバンストという新たなカテゴリーをつくる必要性や、アドバンストという層をつくったときに一般の層と分断を生まないように、逆に支援の裾野をどう広げていくかといった点についてお考えをお伺いしたいのが1点目です。
2点目は、スライド16、17等にありました育成に関してお伺いしたいと思います。産業界と教育界の連携で人材育成を図ることの重要性は理解しております。一方で、技術の進展が加速する中で大学や職業訓練で学んだ内容がその後数十年の職業人生を支えうるかという点には疑問があります。学校等による教育以上に企業内で継続的に行われる教育や育成が重要であり、OJTや社内教育開発と公的な訓練の連携がとても重要になると考えていまして、入職後の継続的な学びの仕組みについて経産省としてどのようにお考えかをお教えいただきたいと思います。
3点目については、スキルベースの労働市場の構築に関しまして、スキル標準化して中心情報のデータ連携といった仕組みについて記載がありますが、実際に訓練の後に実務経験を積む場の確保というところが特に触れられていないと思っています。現在においても転職市場では資格の取得だけではなく、そのスキルを活用した実務経験が問われることも少なくない状況です。そういったときに、リ・スキリングによって、新たなスキルを獲得した人たちが、そのスキルを生かして実務経験を積む場というのがとても重要ではないかと考えておりますが、そういった機会をどのように確保していくのかに関して現時点で何かお考えがあればお伺いさせていただきたいと思います。
4点目、スライド16、17あたり、産業人材育成のためのプラン等に書かれているところ、中小企業がリ・スキリング、能力開発を行った場合に新たなスキルを得た労働者がより処遇の良い大手企業などに移動してしまうのではないかという懸念を抱いている企業も少なくないと思っております。日本の多数企業を占める中小企業におけるAI、デジタルに関するリ・スキリングについて、経産省としてどのように進めるのかに関して、お考えをうかがいたいと思います。その際に、企業に負担を求めるというだけではやはりスキルのフリーライドリスクも想定されるため、企業として投資を躊躇するといった構造的な課題があると思っております。公的関与の拡大も含めて、費用負担の考え方などあればお示しいただければと思います。
以上です。
○阿部部会長 ありがとうございます。
では、お願いします。
○高木未来人材戦略室長 ありがとうございます。
まず最初に、アドバンスト・エッセンシャルサービス、アドバンスト・エッセンシャルワーカーという点でございますが、こちらは厳密な定義がこの瞬間あるわけではありませんが、要は現場でAI、ロボットを使いこなす様々なレベルの人材を総称して考えてございます。それは当然大規模LMMを作りますみたいな人もごく一部いるかもしれませんが、大宗は既にあるサービスを自分の今の作業にどうやって生かしていこうかという利活用の部分がかなりボリュームがあるかなと思っておりまして、例えばチャットベースでAIを使いながら仕事をする事務職員がいて、それで生産性が上がるのであれば、それは立派なAI利活用人材の一部だということでもあると思います。
したがって、どこか特定の職種がAI、デジタルスキルを学べばいいということではなく、企業の中の様々な立場の方々がそれぞれの作業を楽にし、生産性を上げるために多様な多層的なレベルの者を支援する。特に現場の方々が例えば新しいツールを使いこなすだけであれば、そんなにリ・スキリングの負担もかからないというところもありますので、まさにおっしゃるとおり現場の一人一人の方々を取り残さない形でAI、ロボットを使いこなすスキルをどうやって展開していくのかということが重要になると考えてございます。
次に、地方のOJTですとか実務実践の話でございます。おっしゃるとおり、学ぶだけでは駄目で、実際に実務経験があるのか、あるいはそれで実際に手を動かしたことがあるのかですとか、こういったところが実践の現場で即戦力として働けるかどうかというところに対して効いてくるところはあるかと思ってございます。今、世の中でも様々な民間の講座がありますが、なかなか実務を現場で教える、OJTを教える機関というのは民間ではかなり不足しているところがございます。こういったところはまさに厚生労働省様の職業訓練施設をどう使うのかですとか、あるいは企業が1社だけでやるのか、例えば産業界がまとめて複数の企業で訓練センターをつくるといった動きもあるところでございます。まさに今後必要となるスキルを可視化していく中で、それをどう教えるのか。それが仮にOJTですとか現場が必要だということであれば、例えば企業を超えた仕組みとしてどうやってそれを産業界に促進していくのか。これは一企業だけではなくて産業界全体、サプライチェーン全体として企業も危機意識を持っているところでございますので、厚生労働省様が持っております公的な施策と併せて、産業界にどうやって現場の人材を、ここまでだったらリ・スキリングしてもらってからとか、ここからは企業内の訓練でもいけるだろうですとか、こういったシームレスな動きをどうやって進めるのかというところもよく考えていきたいなと考えてございます。
特に最後にありました中小企業をどうするのかというところはかなり頭の痛い問題でもございまして、先ほど厚生労働省様への質問にもありましたように、なかなか人手がない中でリ・スキリングの機会をつくれないですとか、リ・スキリングの時間を捻出できないですとか、あるいはお金が足りない、あるいは育ってもすぐ辞めてしまうというところが一般的にあるのは事実でございます。したがって、経済産業省としても、こういった中小企業にそもそもどうやって人を引きつけるような人事施策を行うのかというところは、中小企業庁とも連携しながら、そもそも人は労働移動する理由は様々ですので、働きやすい職場環境をつくるですとか、やりがいのある機会を設けるですとか、あるいはリ・スキリングによって生産性を上げた人に対して重点的に処遇を高めるですとか、中小企業の規模に応じて、どういった戦略的な人事のやり方があり得るのかというところを関係の支援機関も含めてサポートしていくということにも取り組んでいきたいと思ってございますし、この点、例えば厚生労働省さんの人材開発支援助成金ですとか、様々な制度とどう連携するかというところも含めて取り組んでいければと思ってございます。
何か欠けているところがあればまた御質問いただければと思います。
○浦委員 1点目のアドバンスト・エッセンシャルワーカーに関して、私も勉強不足ですみません。きちんとした定義がということで言うならば、おっしゃっていただいたとおり、AIや何かを開発するということではなくて、それをユーザーとして使っていくということが前提だとしたときに、エッセンシャルワーカーというものとアドバンスト・エッセンシャルワーカーというものをあえて分けている発想なのか、それともそれは同義だと思っていいのかというと、どちらなのですか。
○高木未来人材戦略室長 基本的には分けて考えているというわけではありません。全てのエッセンシャルワーカーの方々が、AIに限らずですが、適切なリ・スキリングですとか新しいツール、道具を使いこなすことによって生産性を引き上げていくことを目指していこうというところでありまして、何か職種として2つに分かれているといった理解をしているわけではございません。
○浦委員 何か別カテゴリーであるということではないという理解でよろしいですか。
○高木未来人材戦略室長 さようでございます。
○浦委員 承知しました。ありがとうございます。
○阿部部会長 では、坂本委員、お願いいたします。
○坂本委員 御説明いただきましてありがとうございました。
私からも質問をさせていただけたらと思いますけれども、まず全体のシミュレーションのところで、現場人材ですとか専門人材が足りなくなって、事務職などでは少し余ってくるという推計結果がございましたけれども、そうなってまいりますと、これは高木様からの御指摘でもありましたように、労働市場のマッチングを介しまして調整されていくということが起こるかと思います。その過程におきまして、賃金水準、これは試算などを確認すれば、例えば現場人材ですとか専門職の人材の賃金が上がっていく。あるいは事務職のようなところは少し抑制されてしてしまうかもしれないといった、賃金についてこれはどうお考えになられているのか。また、モデルの中でどういうふうに扱っているのかということを教えていただけたらと思っています。
あと、武田委員から御発言もありましたけれども、需要創出のところ、補完性といったところでありますけれども、そういったところに関しましては、これは付加価値の上昇といったところもAIですとかロボットの進展に伴って起こり得ると思うのですが、こういう経済成長に関するところへの影響というのは何か出しておられますでしょうか。
最後に3点目として、JILPTですとかほかの需給推計なども行われているところで、技術の活用を加味してシミュレーションを行っていただいているというところで非常に示唆に富むものだと思いますけれども、ほかの既存のこれまでの過去の推計と比較して、例えば民間の推計などでも人手不足が相当深刻化していくといったものがいろいろ出ていますけれども、こちらの推計を見ると、そういったところも一部技術によって解決することができるというものだと思いますが、このようなところ、過去のシミュレーションと比較してどのように評価されているのかというところも最後にお伺いできたらと思います。
○阿部部会長 では、お願いします。
○高木未来人材戦略室長 まず、最初の賃金水準でございますが、こちらはシミュレーションの前提として、生産性が高まり、付加価値が大きく上がった産業に関していうと、これはこの産業の賃金が上がっていくだろうということを織り込む。そうすると、賃金が上がったところに需要が高まっていく、あるいは人が流入するということでこのシミュレーション上は扱ってございます。その上で、当然これは需要があるところの職種、現場人材は賃金が上がりやすい一方、事務職というよりは生産性が低い産業あるいはその職種のところの賃金が上がりにくいということだと思っておりますし、それは当然リ・スキリングによって全体の賃金や一人一人の賃金はどうやって上がっていくかというところをサポートしていくのがまさに政府の役割ではありつつも、ある程度需要に応じて賃金の差が出ていくというところは、ある意味市場の効率的な在り方としては正しいのではないかなと思ってございます。
その上で、AIの補完性をどういうふうに織り込んでいくかというところでございますが、当然AIによって生産性が大きく高まる部分については、その分労働の質の向上によって付加価値とかが大きく上がっていくというところを織り込んでございますので、AIによって経済成長がより加速していくというところを全体として前提に置いているということでございます。
その上で、ほかの就業構造推計、ほかの各種シミュレーションとの違いということでございますが、結局のところ、産業構造の転換次第、どこまで付加価値、生産性が上がるのか、もっと言えば競争力が上がるのかによって、トータルの人材の需要は大きく変わります。例えば経済が好調、例えば製造業ですとか農業が好調であるからこそどんどん伸びる一方で人が足りないということになりますし、あるいは全体で経済が衰退すれば、そもそも5000万台でも足りるじゃないかということにもリスクシナリオとしては起こり得るので、そういった意味では、やはり産業構造も踏まえたマクロのシミュレーションとあわせて、就業構造の分析を行うとかなり分かるところがあるなというのがほかのシミュレーションとの特徴の違いでございます。
大きくマクロの労働投入はJILPT様のものをそのまま使っておりますので、そういった意味では前提というものは大体同じくしておりまして、むしろ中身のミスマッチがどういうリスクがあるのかなというところをやや大胆に前提を置きながら踏み込んだものということだと御理解いただければと思います。
○阿部部会長 よろしいですか。
では、最後に佐々木かをり委員からお願いします。
○佐々木(か)委員 ありがとうございます。
非常に細かく分析していただいてよく分かりました。ありがとうございます。
1つ出てこなかったことと、人材のミスマッチで重要だなと思うのが、やはり女性の問題かなと思っているのです。地方の問題とか学歴の問題が出ていましたけれども、今回、女性の活用についてというか、その関係や影響については書かれていなかったので、どのように分析に影響したか。あるいはどうしてもこういった分析というのは続けてしまうと、今の構造のままなので忘れがちになってしまうのですけれども、強く意識されたかどうかも聞きたいと思いました。
国際データをいろいろ私も見ているのですけれども、全く同じ実力で全く同じ実績を上げても、女性の場合は将来性がないと上司に言われてしまって管理職に上がれないというケースもありますし、それから、例えば研修が同じように提供されると国が言っても、雇い主が何となく将来性があると思う男性に研修に行かせて、女性は行かせないなんていうようなことがあるので、このようなことを議論するときというのはまあまあ強くして女性にというようなことをしていかなくてはいけないのではないかと思っていて、OJTもしかりで、その現場に行かせてもらえなければ、何年かたてば技術の差が出てしまいます。この辺りをどのように分析に入れられたか教えてください。
○高木未来人材戦略室長 ありがとうございます。
まさに女性の活躍、女性のポテンシャルをどのように引き出すかというところは、この就業構造推計をやった結果としても非常に重要な課題だという認識でございます。
大部になるので、今回の資料には追加しておりませんでしたが、経済産業省の産業構造審議会新機軸部会のページで公開しているフルバージョンでは現在職種ごとに男女比率がどうなっているのか。それと需給推計のミスマッチを掛け合わせるとどうなるのかというのを示したスライドも掲載しています。端的に申しますと、余剰の職種ほど女性の比率が多く、不足の職種ほど女性比率が少ないという傾向が見てとれます。事務職であれば、現在、女性の就業率が6割を超えてございますし、AI、ロボット利活用人材では2割を切っておりますし、現場人材も女性が少ないという傾向が見てとれます。
したがって、中長期でミスマッチを解消していこうという中では、特に女性のポテンシャルをより需要が高い職種でどうやって発揮していただくのか。そのために文科省さんを中心に理工系の女子学生をどうやって増やしていこうか、育てていこうかという話も進んでおりますが、多分企業内でもリ・スキリングというところで、事務職だけでなく、どういったところの専門性を身につけ、その機会を設けていくのか。それによって需要が高い職種、需要が高いタスクをどう任せていくのか。さらに現場であったとすれば、仮に職場環境の問題もあるということであれば、どうやって職場環境を改善していくのか。場合によってはロボットの代替性、補完性というところで、力を要するような作業をロボットができれば、女性がロボットと組み合わせることによって現場人材をより安全、快適にこなすことができるかもしれない。
こういった視点も持ちながら、需給のミスマッチの解消、女性のリ・スキリングですとか人材育成、そして、登用・任用、育成ということをよく考えていく必要があるのだろうと思ってございます。
○阿部部会長 よろしいでしょうか。
今、予定より大体15分程度延びているところでございまして、私、質問したいなと思ってはいるのですが、ちょっと許されないので、後でまた質問させていただきたいと思います。
それでは、大変申し訳ございません。続いて総務省から御説明をお願いしたいと思います。
○植田行政課長 御紹介いただきました、総務省で行政課長をしております植田と申します。よろしくお願いいたします。
本日はこの場にお呼びいただきまして、どうもありがとうございます。
私のほうからは自治体関係、持続可能な地方行政の在り方をめぐる議論ということで2つの話をさせていただこうと思っています。
1ページ目にこの基本部会での3月のときの資料が出ておりますけれども、こちらは32次の地方制度調査会という審議会の答申の概要でございます。こちらは令和2年6月に出されたものであります。当時、2040年に向けて高齢者の人口がピークになるので、それに向けて20年後の世界を考えながらどうしていくかということを特にデジタル化、それから、公共私の連携、また、広域連携というキーワードの下に議論しておりました。
その後、コロナ禍も経まして、研究会とその後に34次の地方制度調査会の審議を行っておりまして、今日はそちらでの議論の状況を御紹介したいと思っております。
まず研究会ですけれども、2ページに持続可能な地方行財政のあり方に関する検討会の報告書のポイントがございます。昨年6月にまとめたものですけれども、自治体における人材不足を基本的な課題意識として持っておりました。2ポツの右の真ん中あたりに研究会で課題分析のために取り上げた行政分野10分野がございます。介護保険から消費生活相談まで、個別の行政分野においてどういった課題が特に中小規模の市町村で生じているかということを現場の意見を綿密にお聞きし、そこから得られた情報を最終的には抽象化することによって、人材不足という課題に対してどうやって対応していくことが考えられるのかという議論をしていただいたものであります。
今後の進め方が一番下の3ポツにも書いてございますけれども、こちらは地域ごとに都道府県単位で議論していただくということもあれば、さらに制度上対応ということで国のレベルで議論することもあるという議論をしたものでございます。
3ページにございますように、団塊ジュニア世代が自治体の職員のボリュームゾーンとなっておりまして、この方々が今後退職されると、そのときに入ってくるのは、右のグラフの黄色い枠囲みにございますけれども、3分の1近くになってしまう可能性がある。
そういう状況の中で、4ページにございますように、既に土木技師、保健師、建築技師、ICT人材等、非常に体制確保に課題感を感じている。下にございますように、技術職員の採用についても約半数の市町村で「応募がほとんどない」という回答となっている。
5ページを御覧いただきますと、実は2000年分権以降、市町村に優先的に事務を配分していくという考え方の下でやってまいりましたので、左にあるような人口減少そのものに対処するための事務も増えてまいりました。さらには、社会情勢の変化により行政需要が多様化・複雑化してまいりました。福祉分野を中心にということでありますけれども、環境分野等もございます。また、計画などもいろいろな地域でつくらなくてはいけないものが増えていったということでございます。
簡単に10分野のうち2つだけ紹介いたします。介護保険と上下水道の分野です。
6ページにございますようにA市、B村という人口5万人、1,500人の団体の介護保険の担当がどういう体制でやっているかと業務の詳細が下にございます。A市のほうは常勤8名、非常勤6名ということでございますけれども、その中で実は年間の介護認定の調査の数、下の○にございますけれども、1,300人ということでかなり多くの事務をやっており、相当処理に追われている。
B村のほうは、介護保険担当は1名なのですけれども、年間の調査数は20名程度ということで、地域によっては介護ニーズについては少しピークアウトしつつある状況ということでございます。
そういった中でどういった課題が生じているか。7ページにございますように、例えば介護認定の段階では認定調査員の応募が少ない。そういった専門職の確保というのは難しくなっている。デジタルツールなどは一部の導入に限られているという状況でございます。
国としてやれることとしては、厚生労働省が主導してやっておられることですけれども、介護情報基盤という、今までの介護サービスの利用者とか自治体、事業者、民間、医療機関との間の紙のやり取り等をやめて、プラットフォーム上でデータのやり取りをするという取組があります。これまで自治体システムの標準化を進めてまいりましたけれども、そのおかげで、全国的にデータを通じたやり取りができるようになってきたということでございます。
それから、介護認定審査会では医師等の専門の委員の方の確保が困難という理由で、この分野については、以前より、1,000団体以上の団体が介護認定審査会の事務を共同処理している。ただ、他の分野では共同処理がなかなか進んでないというのが実情でございます。
10ページですが、事業者に対する事務には、いろいろございますが、これは介護関係の事業者に対する運営指導等です。小規模な団体だとほとんど実際に運営指導自体ができておらず、ノウハウも蓄積されにくい状況にあり、やはり小規模な団体に権限を下ろし過ぎるとそういった懸念もございます。
11ページは、地域に密着した業務の例ですが、介護予防の事務については、地域の団体等と一緒に場所も確保しながら、例えば認知症予防のサロンとか体操教室などをやる必要があります。こういうものをまとめて実施するのはなかなか難しいということです。したがって、そういう事務は市町村で基本的にやっていただく必要があると思われます。
幾つかの事務の課題とそういうものへの対応の状況というのを今申し上げましたけれども、例えばもう少しまとめた形でやっている例を申し上げますと、福岡県の33の市町村による広域連合では介護保険の事務のほぼ全てを共同処理しています。
上下水道についても同様の話がございまして、詳細は割愛いたしますけれども、やはり市町村が基本的には末端の給水や、下水についても家庭から受け取るという形でやっています。事業統合はなかなか簡単ではありませんが、15ページにありますように、市町村同士の統合や、都道府県と市町村との統合ということで、一部こうした形で都道府県も絡むような場合もございます。水道用水の供給事業を都道府県もやっている場合がありますので、そうした場合に都道府県が広域化に寄与することがございます。
デジタル化というよりも広域連携の点を中心に申し上げましたが、各行政分野において、16ページにありますように広域で取り組んだり、もしくは都道府県が関与したりというような形で事務処理の仕方を変えていく必要があるのではという議論をしているということです。
個別分野の話をいたしましたけれども、それを少し抽象化したものが17ページと18ページにございます。どういう事務についてどういう対応方策が考えられるかということを議論いただいてまとめたものです。いずれも事務の内容とか事務処理に必要なリソースというものを考えた上で対応策を考えるべきとしています。例えば、事務の性質が企画立案的なものなのか、定型業務なのか。定型業務に近ければ近いほどそれをまとめて処理するということはやりやすいだろうということになります。
また、国・都道府県・市町村間の事務内容が共通していればしているほど、例えば道路の維持などがそうだと思いますけれども、市町村のみならず都道府県や国も似たような事務を処理しているため、共通した事務処理の仕方というのを考えられるのではないかということです。
リソースのところも、必要な人材が専門的であればあるほど、より小規模な団体は確保が難しいということもございますので、希少性とか偏在度が高い人材を要する事務については市町村以外の受皿というのを考えなければいけない部分があるのではないか。このように、個別の分野から抽象化した上で議論をしていただいた。
その上で、デジタル技術の活用というのが右にございますけれども、こちらは事務の性格に関する前提自体を変え得るものとして扱っていただきました。事務量自体を減らしたり、標準化・共通化を進めることで定型性も高めていったり、といった議論がされました。また、AIによって専門人材を一定代替したり、情報の不足を補ったり、といったことが今後は考えられるかもしれないということも議論いたしました。
次に、地方制度調査会について説明します。大きく分けまして諮問事項にございます国・都道府県・市町村間の役割分担、大都市制度を今議論しています。国・都道府県・市町村間の役割分担については、そもそも広域連携とかデジタル化とかを議論する前に、どの主体にどういった事務をしていただくかということを考えたときに、2000年分権の時代から25年経って、前提条件も相当変わってきたのではないかという議論をしております。その中で、人手不足がある中でどうすればより効率的な形で事務処理を行えるか、その手法について議論いただいているというものでございます。
20ページにございますけれども、2000年以降の地方分権の流れがございました。最近は提案募集方式の中で、権限移譲よりも規制緩和、市町村とか都道府県が事務をやりやすくするような、また、業務の負担を軽減するような改革の要望が増えてきています。
また、行政改革とか実施主体の多様化とありますけれども、特に平成10年代に集中改革プランということでかなり行革を進めてまいりましたけれども、その後、指定管理者であったり、地方独法であったり、様々な外部化の手法を開発してきました。さらに、デジタル化については、地方公共団体情報システム機構とか地方税共同機構といった自治体の事務をまとめて処理するような団体が設立され、例えばマイナンバーカードをまともて作成して、それを市町村から交付してもらうとか、一定の事務をまとめて処理する仕組みが出てきたということがございます。
役割分担の在り方に関する検討の方向性としましては、外部化や実施主体の最適配分、国による標準的な事務処理の在り方の基準の作成、都道府県単位への広域化、地方共同法人の活用といった取組をすることにより、企画立案から管理執行まで全てを一つの主体がやらなければいけないということではなくて、一連のプロセスとして捉えて、そのプロセスの中での実施主体を調整していくというような考え方が取れないかという議論をしております。また、柔軟な連携や、国・地方間で共同で政策立案していくことが必要ということも議論しております。 地方制度調査会はこの1月から再来年の1月まで2年間の任期で審議いただいておりますので、まだ4分の1弱ぐらいの状況でございますけれども、今後の議論を進めていく際に、これまでやってきた様々な制度改正も参考にしています。例えば都道府県の役割を少し変えていくようなことがあります。例えば後期高齢者医療については都道府県単位で広域連合の設置を義務化したり、国民健康保険の団体連合会が都道府県単位で作られていますが、そちらに業務の委託というものを増やしていったり、国民健康保険の財政単位を都道府県にしていくといったことがありました。そういった形での都道府県の関与を増やしています。
24ページですが、消防とか上水道の分野では都道府県の役割の明確化ということで、市町村の消防や上水道の広域化について、都道府県が主導する仕組みがございます。
25ページは、先ほど少し触れましたけれども、地方税共同機構とか地方公共団体情報システム機構といった法人において、eLTAXや、マイナンバーカードのほかにもコンビニ交付といったものをまとめて処理しやすくする仕組みをつくってきました。
人材のプールに関しては、例えば、日本下水道事業団において、高度な専門技術を持つ職員を全国的にプールし、自治体に代わって下水道の設計、特に高度なもの、難しいものについて支援するということをやっています。
地方独立行政法人についても業務の範囲を少し拡大してきておりまして、窓口業務についても一部地独法でやれるという仕組みができています。
また、「群マネ」と国交省がおっしゃられていますが、複数自治体、また、複数分野のインフラを群として捉えて、それをマネジメントしていくという考え方を取って、これを広げていこうとされております。
29ページは生成AIを含めたAI等の活用についてでございます。自治体においても使い方は本格的なものにはなっていませんが、実証実験とか導入が進んできているというものでございます。ただ、生成物の正確性への懸念とか人材不足等の課題がございまして、それに対して総務省としてもガイドブックを作ったり、また、今後この分野の検討会をやっていこうと考えているところです。AIの中でも今後は生成AIに続いてAIエージェントなども企業のほうでは利用されているわけですが、こうしたものを自治体の現場でも利用可能なのかということについて、関係各省とか自治体の協力も得ながら議論をしていこうと考えている状況でございます。
私からの説明は以上とさせていただきます。
○阿部部会長 ありがとうございました。
それでは、御質問があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
では、佐々木勝委員、どうぞ。 ○佐々木(勝)委員 どうもありがとうございます。
1点だけ質問させていただきたいのですけれども、ここに例でありました福岡県介護保険広域連合というところで、30市町村で構成されているということなのですが、こういうことはスケールメリットがあって非常にいい取組だと思うのですけれども、こういう広域連合というのは福岡県のこの連合以外にあと全国でどれぐらいあるのかということと、形成の仕組みとしては、これは自然にみんなでやろうかと言ったのか、それとも中央のほうからこうやれということがあったのでしょうか。なかなかこういうふうに自然的に発生しないと思うのですけれども、どういう仕組みによってこういうふうな広域連合が形成されていったのかということを教えていただきたいと思います。
○植田行政課長 ありがとうございます。
福岡県の広域連合については、介護保険の分野の中で、かなり例外的な存在だと認識しています。一般的には、介護認定審査会という医師の方とかが入っていただくようなものについては、先ほど申し上げたように1,000以上の団体で、共同処理しています。
ただ、介護保険のほとんどの分野において広域連携しているというのは福岡の例ぐらいです。というのも、介護保険をスタートしたときには、市町村の事務としてある意味分権の象徴的なもので、各市町村でどれだけそれぞれの地域の高齢者なり要介護の方々の状況を踏まえた形でやっていくかということが目指されたということだと認識しています。したがって、あまり最初から広域でやるという動きがそれほど大きく出なかったということがあるのではないかと思います。
国からの働きかけみたいなものはないのかというお尋ねですが、連携できることについてはやったほうがいいという状況もあるかと思います。後期高齢者については、法律の中で既にそれぞれの都道府県単位で市町村が広域連合をつくらなくてはならないという義務づけをされている形になっています。そういった方法が取れる分野と取れない分野、いろいろあろうかと思いますけれども、分野に応じて、国や都道府県の様々な関わりがあって、広域連携を進めていくことが今後必要になってくるのだろうと考えています。
○佐々木(勝)委員 ありがとうございます。
○阿部部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
私から質問をさせていただきたいのですが、今、人手不足が問題なのかどうかは分からないのですが、業務効率化のために広域連合化ですとか、もう一つは機械化という2つの方策があるよというお話だったと思うのですけれども、先日、私、病院に通院していて領収書を見たら、今、診療報酬制度で電子化すると加算があるのではないかと思うのですよね。なので、病院がどんどん電子化されていくためになのか、インセンティブを与えるためなのか分からないですけれども、加算分があって診療報酬から払われるとなっていると思うのです。私の認識が間違っていれば後で修正していただければと思うのですが、例えばもっともっと効率化を図って人手不足に対応していこうという自治体を促進していこうということであれば、例えば交付金で加算するとかそういうことも、法律でつくることと言うだけではなくて、そういった交付金を調整して加算してインセンティブを与えるというやり方もあると思うのですが、そういった考え方は今までもあったのかどうかお聞かせください。
○植田行政課長 ありがとうございます。
広域連携に関しては、様々な形で促進策をやってきたというのが事実です。平成20年代の初めぐらいまでは平成の合併という時代がございまして、市町村合併を進めるために、財政的な措置支援策を講じた時期がございました。その後は、定住自立圏や連携中枢都市圏といった形で、圏域行政を進めていくために、一定以上の規模の中心市とその周りの団体が連携をする際に、かかり増しの経費に対して、交付税で措置をしていくという仕組みが作られました。したがって、財政支援も一つの手法としてあろうかと思います。
ただ、そういうインセンティブで緩やかにやっていくという手法だけでは、先ほど御紹介したような介護保険や上下水道等の分野で広域化を進めていくには不十分な部分もあるのではないかと思われます。そもそも議論をするのにかなりハードルが高いということがそれぞれの自治体の中ではありまして、議論をしやすい仕組みも国として考えていかなくてはいけないと思っております。
また、都道府県ごとに、どういった市町村間の連携が必要か、また、都道府県による補完が必要かということもあります。そうした都道府県としてどういったことができるかという議論の促進も図っている。さらには、国の法律に関して、連携ではなくて、最初から一定の事務に関して、これは市町村の事務ではなくて都道府県の事務にふさわしいのではないか、もしくはこれはまとめて市町村の一定の単位でやる必要があるのではないかという議論が今後出てくる可能性があるのではないかと考えています。
○阿部部会長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、これでヒアリングを終えたいと思いますが、ここまでのヒアリングあるいは質疑応答を踏まえまして、委員のほうから何か御意見があれば承りたいと思いますが、いかがでしょうか。まだ大丈夫です。
相原委員、どうぞ。
○相原委員 それぞれありがとうございました。
経産省と厚労省の間のテーマということになるかもしれません。私の受け止めですけれども、日本は人手不足といった背景もありAIの補完性が高いということに対する安心感が少し強いのではないかと考えます。労働の関係で国際論議に参加しますと、圧倒的に先を見据えた論議が行われています。日本はこの安心感が強いというのはよいことだとも思える反面、対応に向けた時間的アドバンスの観点からはどうなのか。AIが導入される時代において、その検討なり検証する、もしくは社会的な合意を形成するなど丁寧な議論ができるという位置づけにすべきで、「少し人手不足だから、AIが導入されるほうがいいよね」という感じに捉えられ過ぎている観念の感想があるのではないか。それが一点。
もう一つはスキルの観点ですけれども、これは私の見方が古いかもしれませんが、日本の場合は個々の企業のカスタマイズ力が強いので、企業理念に基づいた、その企業でしか活用できないスキルが重用されてきたと思うのです。今後、AIが普及したときには技能なりスキルは企業を超えて横串が刺さっていくなどコモディティー化されますから、本当にその人のスキル・能力をどう生かすのかについて企業側がよく考えないと、あっという間に人材が流出していくという可能性もあるという緊張感があります。
その一方で、幸いと言ってはなんですが、企業側も協調領域と競争領域を明快に区分して、協調できるところは積極的に協調しようという動きが進んでいます。外部環境的にもスキル横断的に横串を通していくための環境が相当整ってきたと思います。そこにAIが来ていますから、各企業のオリジナリティーのスキルと、国民経済全体を底上げていく共通的なスキルをどのように整備し、社会的・経済的な合意につなげていくかが重要になっているのではないかなと思います。
あと、最後に1点だけ。私は生産現場の出身ですけれども、アドバンストの関係は相当やってきているという印象があります。異常処置対応でスキルをアップするということを繰り返して日本の製造業は強まってきたとも思うので、その延長線上にあるのは間違いないと思うのですけれども、事務部門については全く手つかず感があるので、そこを放り出したままではなかなかうまくいかないのではないかという印象を持ったことだけお伝えしておきます。
○阿部部会長 貴重な御意見ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。御意見があれば。
では、佐々木勝委員からお願いします。
○佐々木(勝)委員 経産省さんからの御報告で学歴間のミスマッチとありまして、理系人材が2040年まで120万人が不足し、そして、文系人材が80万人の余剰ということで、私も文系の部局で教えている者としては自分の部局が縮小するのではないかと心配しております(笑)。2040年なのでまだまだ先の話ですが、このような学歴間のミスマッチでいうと、アメリカでもミスマッチというのは拡大しているようで、今、アメリカでは新卒の就職難というのが非常に話題になっております。新卒のエントリーレベルの仕事がAIによって代替され、そして、失業の状態になっていくのが話題となっております。
『Bloomberg Businessweek』というビジネス雑誌によると、2004年から2024年の20年間で新卒一人当たりの求人数が35の分野のうち22分野で下がったということから、明らかに求人数の割に求職者数が多いというミスマッチが起こっているということが分かります。特にどの分野で求人が下がっているのかというと、実はコンピューター&インフォメーション・サイエンスの分野で、ほんのこの前までこの分野は約束された」分野だというところでみんなが一斉に勉強し始めたところ、生成AIが開発されて、「もう生成AIで十分ではないか」ということになって、コンピューター&インフォメーション・サイエンスの仕事がなくなったのでしょう。これは非常に恐ろしい話だなと思って、約束された分野がほんの1~2年、3年で変わってしまう。今から2040年のことを考えなければいけませんが、正直、想像はなかなかできません。そういう意味では、技術の進歩が早いということなので、先ほどの厚労省の話で人材ニーズの調査、分析を行うという話があったと思いますが、これはサンプルサイズを小さくしてでも頻繁に実施したほうがいいのかなと思いました。
あと、コンピューター&インフォメーション・サイエンスの求人数が減少したと申し上げましたが、実は反対に、そもそも求人数は少ないのですけれども、ソーシャル・サイエンスやイングリッシュ・ランゲージやリテラチャーの求人は増えております。ここからは私の推測なのですけれども、生成AIのような新しい技術というのは意外と人文知のような文系的の知識や論理思考力とかと非常にマッチしているというか、親和性があり、補完的な関係にあるのかなと思います。したがって、これからは理系人材の育成が必要だといってある程度は振り切るのもいいのですけれども、振り切り過ぎるのはよくないのではないかなと思います。それと同時に人文知ということが必要で、そういう意味ではリベラルアーツ的な学問を進めていくことが重要なのかなとは思いました。
以上です。
○阿部部会長 御意見ありがとうございました。
では、武田委員、お願いします。
○武田委員 本日は大変有意義な御発表をありがとうございました。
皆様からの御発表を伺い、AIやロボティクスの社会実装を進めていくためには、リ・スキリングが強調されがちですが、より重要なのはその前提となる仕組み自体をしっかり考えていくことではないかと感じました。
具体的に3点申し上げます。1点目は人事制度と雇用慣行についてです。冒頭で賃金に関する分析について質問させていただいたのは、アメリカでは既にプラマーの賃金が大きく上昇しており、ソフトウエアエンジニアの雇用が抑制される一方で、アドバンスト・エッセンシャルワーカーの賃金が変化し始めていることが実際に起きているためです。日本では雇用慣行が根強く賃金制度もやや硬直的なため、スキルや将来の需給に見合った賃金にすぐには反映されにくいため、結果的にシフトが遅れる面もあるのではないかと懸念しており、「制度の柔軟性」がひとつの鍵になると考えます。
2点目は、横串での取り組みについてです。中小企業一社一社にリ・スキリングの補助を行うことは非効率ではないかと思います。例えば地域の商工会議所や地銀が非金融力を発揮し、ノウハウやネットワークを活用し、OJTを横展開していくような仕組みがなければ、技術のスピードに追いつかないのではないかと思います。個社ベースでの取り組みも必要ですが、いかに横展開できる環境で導入するかという点がポイントと思います。金融庁でも地域金融力に関する議論が行われていますので、そうした視点も必要と考えます。
3点目は、地域という観点では、連携化、広域化、共通化です。こうした基盤が整って初めてDXが進展することは、本日の総務省様のご発表からの御示唆ではなかったかと思います。 以上です、ありがとうございました。 ○阿部部会長 ありがとうございました。
それでは、オンラインで浦委員、お願いします。
○浦委員 スキルベースの話がすごく出ていたかと思います。スキルベースによる労働移動の促進に関しては重要だと理解していますが、その延長線上として、そうしたスキルをもとに就労するギグワーカーが増加し、雇用の安定などのリスクが拡大するのではないかと懸念しています。スキル単位での雇用というものを突き詰めていくと、必要なときだけ労働者を所望するみたいなことが発生し得るのではないかと思うと、雇用の継続性に対してのリスクが大きいのではないかと考えます。
国際的にもギグエコノミーに関しては、労働者保護の観点でかなり重要だと認識されていますので、とりわけ雇用の安定性やウェルビーイングという観点からも検討していくべき内容かと思います。
○阿部部会長 ありがとうございました。
ほかにいかがですか。大丈夫ですか。もし後ほど御意見があれば、事務局のほうにメール等でお送りいただければと思います。
私のほうから最後に。私、思ったことが1点だけあるのですが、先ほども浦委員からスキルベース労働市場の話が出たと思うのですが、これまでも何となく15年とか10年単位で繰り返しこの議論はされると思うのですよね。何で今までうまくいかなかったのかというのを振り返っておいて、日本の労働市場の特徴なのかどうなのか、その辺りも含めて考えてみるということも必要ではないかと思いました。私もイギリスだとかアメリカに出張して、イギリスの資格制度の研究とか、アメリカの資格制度の研究とかを昔やったこともありますし、資格の話だとかスキルの話はいつも出てくると思うので、もう一度その辺りを整理した上で議論するというのも必要かと思いました。
では、佐々木かをり委員、どうぞ。
○佐々木(か)委員 繰り返しになるので黙っていようと思ったのですけれども、一言だけ。先ほど武田委員からもありましたけれども、全体的に雇用慣行、日本の場合の新卒一括採用、そして、年功序列、様々な昇進・昇格のプロセスみたいなものを変えずして、ミスマッチだとかAI化に対応して世界と競争するのは不可能だと思っておりまして、どうしてもそういった問題というのは何か別の議論になって、こちらのテーマのときにはその話題が出ないみたいになってしまうのですけれども、先ほど勝委員からも出ましたけれども、長い間の研究というよりも、本当に頻繁に小さな研究を積み重ねて発表し合って、そこに常にこの労働、日本の特に慣習とかそういったものがどのように影響しているのかというのは常にデータの中に入れていくぐらいな意識で改革をしていく必要があるのかなと思いました。
やはり海外の場合はその辺の流動性がよいも悪いも非常に激しいので、自由に伸びていったり、リーダーシップを取る企業が出てきたり、事例になったりすると思うので、ぜひ日本もそんなふうにスピードアップしていけたらいいなと思いました。
以上です。
○阿部部会長 ありがとうございました。
ほかになければ、よろしいですか。
それでは、先ほど消灯もありましたので、この辺りで今回の議論は終了させていただきたいと思います。皆様から本当に貴重な御意見、御質問もいただきましてありがとうございました。
最後に、事務局から次回日程についてお願いいたします。
○岡政策統括官付参事官 本日もありがとうございました。
次回の日程につきましては、調整の上、また追って御連絡をいたします。
○阿部部会長 それでは、以上で本日の労働政策基本部会は終了とさせていただきます。御多忙の中、御出席いただきましてありがとうございました。
皆様におかれましては、大変お忙しい中、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
それでは、カメラの頭撮りはここまでとします。
議事に入ります前に、本日の基本部会について事務局から説明があります。よろしくお願いします。
○岡政策統括官付参事官 事務局でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の資料はお手元のタブレットで御覧いただけます。操作方法に御不明な点がある場合は、事務局にお申しつけください。
オンライン参加の委員の皆様におかれましては、原則としてカメラはオン、マイクはミュートでお願いいたします。
御発言の際は、「参加者パネル」の御自身のお名前の横にある「挙手ボタン」を押して、部会長から御指名があるまでお待ちください。指名後、マイクのミュートを解除して御発言をお願いいたします。また、発言終了後は、マイクをミュートに戻して、再度「挙手ボタン」を押して挙手の状態を解除してください。
また、会の途中に音声等のトラブルがございましたら、チャット機能でお知らせいただくか、あるいは事前に事務局からお送りしております電話番号まで御連絡いただくようお願いいたします。
続きまして、6月25日付で委員の交代がございましたので、新たに就任された委員を御紹介いたします。
資料1の「労働政策審議会労働政策基本部会委員名簿」を御覧ください。
石原委員が退任されまして、新たに坂本委員が就任されました。
坂本委員、一言お願いいたします。
○坂本委員 紹介いただきましたリクルートワークス研究所の坂本と申します。
このたびは、大変貴重な場に委員としてお招きいただきまして、ありがとうございます。
委員の皆様は、武田さんですとか、山田さんですとか、日々いろいろお世話になっているような、皆様本当に活躍されている先生の中に入れていただきまして、大変ありがたく思っております。
私につきましては、リクルートワークス研究所という研究機関で、労働市場のマクロの動向の分析ですとか、あるいは個々の企業の実態、また、リクルートは人材サービスを行っております関係で、人材マッチングビジネスのマッチングの実態ですとか、そういったところに明るいものだと考えておりますので、そういった実態も踏まえてこの場では貢献できたらと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
○岡政策統括官付参事官 ありがとうございました。
本日、所用によりまして、入山委員、大橋委員、冨山委員、橋本委員は御欠席でございます。
また、山川委員は遅れての御出席と伺っております。
○阿部部会長 それでは、本日の議事に入りたいと思います。
最初の議題は「部会の今後の進め方について」です。
事務局から資料2の御説明をお願いいたします。
○岡政策統括官付参事官 それでは、資料2を御覧ください。
労働政策基本部会第5期の今後の検討テーマ及び進め方(案)でございます。
前回の会議で委員の皆様から多くの御意見をいただきました。それを踏まえまして修正を加えています。
まず、AI等の技術の進歩がものすごく速い中で、2040年でよいのかという御意見を多数の委員の皆様からいただきました。それを踏まえ、2040年頃までにというところを「今後」と修正を加えてございます。
また、新技術の中でも特にAIロボティクス、フィジカルAI、あるいは現場労働でのAIの活用といったことについての御発言、御意見が多かったことから、新技術の例示としてAIロボティクスを明記しています。
それから、3ページ目に行きまして、論点のところでございますけれども、新技術の活用により労働環境の改善につながるといった御意見、あるいは質の向上につながるという御意見がございましたので、新技術による労働の質・付加価値の向上についてという論点を加えています。
それから、AIなど技術が進むということで、リ・スキリングが重要ということですけれども、その中で単にAIを使う技術ではなくて、AIを活用して社会課題を解決する人材を育成すべきではないかという御意見や、いわゆるメタスキルといった非AI力、あるいは暗黙知や経験値を活用したスキルといったものも重要だという御意見をいただきましたので、そういった観点も加筆しています。
また、地方あるいは中小企業で就業継続できるようにという御意見もございましたので、その点も加えております。
それから、4ページ目に、今後ヒアリングを行っていきたいと思っておりますけれども、その際のヒアリングの観点ということで、ⅠからⅥまで記載しています。
簡単ではございますけれども、以上でございます。
○阿部部会長 ありがとうございました。
ただいま説明がございました件について御意見、御質問があれば、委員の皆様から御発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
よろしいですか。オンラインの皆様も大丈夫ですか。
それでは、このような内容で今期の基本部会では進めていきたいと思います。よろしくお願いします。
続いて、次の議題「省庁ヒアリング」に移りたいと思います。
まず、進め方についてですが、初めに厚生労働省職業安定局よりプレゼンテーションを行っていただきます。その後、皆様から発表内容について質問等がございましたら、御質問いただいて質疑応答を行いたいと思います。次に経済産業省、そして、総務省それぞれからプレゼンテーション及び質疑応答を行いたいと思います。
一通りプレゼンテーションと質疑応答が終わった後で自由討議の時間を設けておりますので、御意見あるいは御発言については自由討議の時間にお願いしまして、各ヒアリングの際には質問等について中心にお願いしたいと思います。
では、厚生労働省職業安定局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○菱谷雇用政策課長 職業安定局雇用政策課長の菱谷から資料3に基づいて御説明させていただきます。
本日は、厚生労働省がやっています労働力需給推計、それから、AIがどんな影響を及ぼしているかということについて、それぞれどんな論文等が出ているかということについて御説明させていただければと思います。
まず、2ページ目でございます。
我が国の人口の推移でございます。こちらは将来人口推計に基づくものですけれども、2020年の総人口が1億2615万人であるのに対しまして、2040年は1億1284万人ということで約1300万人が減るということでございます。
そうした中で、15歳から64歳の人口が2020年の段階では7509万人おるのですけれども、2040年は6213万人ということで、およそ1300万人、15歳から64歳の生産年齢人口と言われる人たちが減っていくということでございます。
3ページ目に移ります。
こうした中、JILPTにおきましては、労働力需給推計というものを労働力需給推計に関する研究会というのを設置して検討しておりまして、阿部先生に座長を務めていただいておりますけれども、計量モデルに基づいて推計をやっているところでございます。
4ページ目を御覧ください。
直近の労働力需給推計の段取りというのは、5年に1回、国勢調査があって、その次に国立社会保障・人口問題研究所の日本の将来推計人口というのが出てきます。それらを踏まえまして、その翌年ぐらいに毎回労働力需給推計というものを作っておるのですけれども、その際のシナリオというのは社人研が作っている将来推計人口と内閣府の中長期試算、大体10年後ぐらいまでのものを設定しているのですけれども、こういったものを推計の前提として利用しております。
シナリオを3つ作っておりまして、まず成長実現・労働参加進展シナリオ、それから、成長率ベースライン・労働参加漸進シナリオ、一人当たりゼロ成長・労働参加現状シナリオの3つのシナリオに基づいて推計をやっていく。
こちらは表のほうの中身になりますけれども、マクロ経済の前提に関しましては、一番最初の高成長モデルのところは中長期試算における成長実現ケース、それから、中位シナリオのところは中長期試算のベースラインケース、一人当たりゼロ成長・労働参加現状シナリオにおいては、一人当たり実質経済成長率がゼロという前提になっています。
労働参加の前提につきましては、高成長シナリオにおいては女性と高齢者等の労働市場への参加が進展する。それから、中位シナリオでは一定程度進展する。逆にゼロ成長シナリオにおいては、年齢階級別の男女の労働参加率が全く変わらない。そういったシナリオであると考えていただければと思います。
将来人口の前提については中位推計で一定でございます。これで設定しているというところでございます。
5ページ目に移ります。
成長実現・労働参加シナリオの成長率というのは、大体中長期試算なども参考にしていますけれども、2028年約1.9%まで上昇後、33年で約1.7%。その後、足元の成長率に人口減少の影響分を加味などといった形で見ていくということで、それから、労働参加漸進シナリオ、中位シナリオの場合は成長率が2033年約0.4%まで緩やかに低下、そういったシナリオになっています。
6ページ目に移ります。
例えば短時間雇用者比率については、こちらは成長実現・労働参加進展シナリオでいうと、毎勤のパート比率をトレンドで延長していく形になっています。中位シナリオはその半分だということになっている。そういったことで、保育所のところなどは新子育て応援プランの保育所整備みたいなのをちゃんと反映していく。こういったことに取り組んでいるということでございます。
この結果、7ページ目でございます。労働力人口と就業者数の見通しということでございますけれども、2020年に6904万人であった労働力人口につきましては、高成長シナリオについては6791万人ということでほぼ下がらないというシナリオになっています。一方で、一人当たりゼロ成長、労働参加が現状と全く同じという場合におきましては、現役世代の人口も減っていますから、6002万人まで約900万人も減少するということになります。なので、労働参加が図られれば、そういう前提においてはそんなに減らないということでございます。ただ、足元で見ますと、労働力人口は今7000万人を超えているような状況ですので、実は高位シナリオよりも実際の労働参加が進んでいるというところでございます。
8ページ目の説明は割愛させていただいて、9ページ目のグラフを見ていただきますと、どれぐらいグラフの形が変わるのかということですけれども、特に女性のほうを見ていただくと分かりやすいかもしれませんが、ゼロ成長シナリオの2040年の年齢階級別労働力率は分かりやすく言うと2022年と並んでいるということです。
一方で、高位シナリオで見た場合の女性の年齢階級別の就業率は確かに上がってはいるのですけれども、過去の伸び率に比べるとその半分ぐらいということなので、絶対に不可能というシナリオではないのではないかと考えております。
こういったことを踏まえて、10ページ目でございます。雇用政策研究会の報告書でございます。成長や労働参加が現状から進まないと仮定した場合の労働力人口というのは6002万人なのだけれども、ちゃんと成長と労働参加が実現した場合は6791万になる。こういった成長を伴った労働市場を実現するためには、多様な個人の労働参加の促進とそのための労働生産性の向上が重要だということで、多様な個人の労働参加、それから、新たなテクノロジー等を活用した労働生産性の向上、労働市場のインフラ整備、こういったことに取り組んでいく必要があると言っています。
そうした中で、11ページ目からはAIの話に移りますけれども、まずは12ページ目でございます。
AIが雇用・労働にどんな影響を与えるか、近年どんな議論があったかを簡単におさらいします。AI、自動化などの新たなテクノロジーの活用というものは、やはり雇用の代替とか雇用が奪われる懸念というのは昔からよく言われます。
2013年にマイケル・オズボーンが今後10~20年で米国の雇用はAI等によって代替される。雇用の47%が奪われるリスクが70%以上だと言って、世間に結構ショックを与えて、野村総研も日本でもみたいなことを言ったのですけれども、このとき言っていたのは、代替可能性が高いのは認識・操作性、創造的知性等と結びつきが弱い職業で、運輸・輸送・事務、生産工程等と言っていました。
これに対して、メラニー・アーンツという人は、いやいや、職業ではなくてタスクで見る必要もあるし、時間軸も考える必要があるのではないかということで、実際に70%を超える職業はアメリカでは9%ぐらいではないかと言っていました。このとき言っておられたことは、代替可能性が高い職業は教育水準や所得水準が低い定型業務ではないかと言っていました。
ところが、世の中はどんどん変わっていって、ロボティック・プロセス・オートメーションの高度化であるとか、あるいは生成AIの登場ということで非ルーティン的な事務処理全般の処理、そういったことも結構生成可能になってきましたよと。
最近、国際機関とかというのはどんなことを言っているかということなのですけれども、いろいろレポート別に、横串で読めるわけではないですけれども、代替性みたいな話とか補完性みたいな観点から議論されることが多いと思います。
ILOが出しているものは、世界の雇用の24%が影響を受ける。特に事務職系でAIの自動化リスクが高いし、ソフトウエア開発みたいなところも影響が大きいのではないか。だけれども、AIが完全に代替するということはなくて、人間の関与は不可欠だと言っています。
OECDは27%の職業が自動化のリスクと。でも、現状ではマイナスは出ていない。むしろ仕事の質が影響を受けていると言っている。
それから、IMFは世界の雇用の40%、先進国は60%がAIの影響を受けると言っています。
それらの中身はどんなことかということで、13ページ目を見ていただきますと、先ほど申しましたILOのレポートはどんなレポートかということですが、例えば各タスク、最近はタスクにより、業種というよりは職業を見ていくわけなのですけれども、職業を見ていったときに、AIによる自動化の可能性を0~1の範囲で評価して、1が完全に自動化可能という話なのですけれども、それでいろいろ分析しています。
その結果、生成AIの最も影響を受けるという職業1~4と影響少ないみたいな世界の2つを入れて6段階で評価したところ、最も大きな影響を受ける職業の例の典型がデータ入力、それから、会計・経理、一般事務、大きな影響を受けるのが翻訳者とかソフトウエア開発者、アプリケーションプログラマー、「ほとんど影響を受けない」の分類のほうのわずかな影響の人たちは大型トラック、バス運転手、影響ない人たちというのは料理人、医療補助者、建設作業者、こういったことになっているということです。要するに「影響ない」の職業というのは熟練技能者とか技師・専門職、対人性が高い職業が多いということでございます。
あと、OECDのレポート、OECDは各国比較をやっていますけれども、それを日本版でもやっています。10年先を見据えた場合、まず図1は職業におけるAI利用率の国際比較ということで見ますと、日本は製造業において導入の比率が低いです。
AIによる仕事の量への影響に対する将来予測ということで、雇用創出を期待している労働者と雇用喪失を心配している労働者の割合というのは、それぞれ2年以内とか10年以内とかというので聞いているのですけれども、AI利用者は、四角の雇用創出への期待が丸印の雇用喪失への懸念を必ず上回っている。10年先のほうがやや懸念が増えますけれども、基本的には創出への期待が上回っている。一方で、AI非導入者については喪失への懸念のほうがやや上回っているという結果になっています。
ただ、そうした中で、AI利用者でありAI非利用者であれ、今後もAIの進展が進むというところは図2では変わらないと言っていて、職種別に見た雇用創出と喪失への懸念で見ますと、管理職とか専門職については、創出から喪失を引いた数字(DI)で見ていくと、大体皆さんポジティブな見解を持っていて、一方で、設備・機械の運転・組立工、単純作業の従事者、こういったところは懸念のほうが高い。そういった分析になっています。
こういったことを踏まえまして、15ページ目でございます。今の政府ですけれども、AI基本計画というのがありまして、そうした中で言われていることは、AIの進展に伴う雇用への影響について、代替性と補完性の観点から調査・分析を行って、その結果も踏まえた包括的な対策を継続的に実施する。AIリ・スキリングの取組を支援する。あるいは社会の基盤を支えるアドバンスト・エッセンシャルワーカーの創出を目指して、リ・スキリング支援を実施する。こういったことが閣議決定されているところでございます。
厚生労働省の取組ということで、16ページ目でございます。厚労省としては、リ・スキリング支援策というところでいいますと、離職者向けのハロートレーニング、公共職業訓練等がございます。それから、在職者向けの教育訓練給付、企業向けの人材開発支援助成金、こういった中にそれぞれITなりAIの技術者育成に向けた取組を進めているというところでございます。
それから、17ページ目でございます。一方で、AIによって雇用が奪われにくいと言われているような分野への取組ということで申しますと、ハローワークによる医療・介護・保育分野の求人充足対策支援の取組強化ということで、もともと全国124か所の人材確保コーナーにおいてこういった職種について重点的な求人確保とか求人者支援もやりながら、丁寧な就労支援によって求人充足対策を実施しているところでございます。
さらに、令和8年度においては、医療・福祉ささえる求人充足プロジェクトということで、医療・介護・保育へのアウトリーチ支援による求人充足支援を全ハローワークの最重点事項として通年で実施していくこととしており、こういった分野での人材確保に取り組んでまいりたいと考えています。
私からの説明は以上でございます。
○阿部部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの職業安定局からの御説明に関しまして、御質問のある方は挙手をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
では、相原委員、お願いします。
○相原委員 委員の相原です。
御説明ありがとうございました。
2つほど教えていただきたいのですが、AIやリ・スキリングの関係のところで代替性や補完性の話も先ほど触れていただきました。それを前提としたときに、貴重な人材をどのように再配置していくか、もしくは最適化するかという点も重要だと思います。その点から考えたときに、労働者の自発的意思による労働移動が健全な形だと考えます、一方で、離職を防止するなど労働者が安心して就労できる付加価値の高い職場をどのような形でつくっていくのか、定着率を向上していくのかというこの両面のバランスが必要かと思うのですが、労働政策上どのような整理がなされているかという点をひとつお聞かせください。
もう一つは能力開発についてです。もちろん働きながら自己開発に取り組むというのは大変重要ですので、その環境を社会全体としてどう構築していくのかという観点も必要だと考えます。能力開発の促進に向けた環境整備について、今なお長時間労働が散見される事業場もありますし、中小企業も時間をかけて育成した大変貴重な人材を手放したくないという思いもあります。AI等によりもたらされる変化に直面する中で、企業によるリ・スキリングの環境整備に対して、何か新たな観点があるかどうか、この2つの点について御示唆をいただければありがたいと思います。
○阿部部会長 では、お願いします。
○菱谷雇用政策課長 AIの影響に伴った労働の再配置に向けてどういうふうな取組をしていくかというところで、まずは自発的な労働移動の促進という観点に関しましては、一つ重要なのは労働市場の見える化です。やはり、従前、内部労働市場型であった日本型雇用慣行にあって、労働市場の見える化を進めていくということがまず、転職市場の環境整備として求められる。そこに対するリ・スキリング支援策ということで申しますと、教育訓練給付制度のような在職者が使えるようなリ・スキリング支援策が中心になるのだろうと思います。
もう一つは、先ほどおっしゃっていただいた定着支援というところで企業はどう対応していくかというところについては、厚労省の施策でいうと人材開発支援助成金というような企業向けの教育訓練の施策がございます。そもそも教育訓練もあれば、省力化投資みたいなのもいろいろある世界で、経営者そのもののマインドなりリ・スキリングも要るのではないかと思いますけれども、そういった経営者がある程度企業をどうかじ取りしていくかということを見越した上で、そこに必要な投資もするし、人材育成もするし、人材育成に関しては厚生労働省として支援していく施策もあると考えています。
それから、長時間労働みたいなのがある中で、あるいは中小企業が手放したくないみたいな事情がある中でのリ・スキリング支援策ということでございます。これはなかなか両立するのが難しい世界ではあると思うのですけれども、一つは、労働市場が割と求職者から見ると緩んでいる。求人者から見ると大変きつい状況かと思いますけれども、そういう状況下において転職しやすい環境が整っていますから、あまり理屈のない、自分の成長につながらないと思う長時間労働というのは、若い人は絶対に逃げると思います。それは健全なことのような気もします。
だから、長時間労働なり、何のためにというところだと思うのですけれども、そこはなかなかその施策でということではないかもしれませんけれども、いずれにせよ、労働移動したいと思う求職者が労働移動できるような環境整備という観点での見える化政策と教育訓練給付というのは重要になるのかなと思います。
○相原委員 ありがとうございます。
○阿部部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
では、川﨑委員、お願いします。
○川﨑委員 川﨑です。
御説明どうもありがとうございました。
シンプルな質問なのですけれども、前段のところで労働力の需給の推計の御説明をいただきまして、どうもありがとうございました。複数シナリオでということだったのですけれども、ただ、現実は足元は高成長シナリオより労働参加が進んでいて、今、7000万人ほどの働いている人がいますという御説明だったかと思うのですが、どういうふうなものが背景となって労働参加が進んでいるのか、労働の供給が進んでいるのかといったところをお伺いできればと。もしそこの背景の中に何らかの新しい技術的なものが要素としてあるのであれば、そこもこの基本部会の検討の項目になるかもしれないと思って質問させていただいています。
○阿部部会長 では、お願いします。
○菱谷雇用政策課長 7000万人と申し上げたのは労働力人口ですので、失業者も入っている数にはなりますけれども、いずれにしても失業者も含めて働く意欲の方が7000万人を超えているというのはそのとおりでございます。実際にどういうところで労働力人口なり就業者数が増えているかと申しますと、データ的に見ますと、やはり高齢者と女性が中心になります。労働力人口がすごく増えているから日本は雇用が足りているのかというと、そこがまたジレンマというか、世の中の実感と合わないのは、一方では短時間勤務が進んでいるというところでもあるかと思っています。
ですので、ただ、そもそも先ほど申しました15歳から64歳の、かつて、今でもそうですけれども、生産年齢人口と呼ばれている人口の人たちの規模というものは、この先どんどん1300万人規模で減っていくということを考えますと、昔のように、週5日、毎日8時間働いて残業もみたいな無限定な働き方ではなくて、多様な働き方を広げていく必要性があるのだろうと思いますし、育児なり介護なりと両立しながら働き続ける環境の整備というのはやはり求められているということだと思います。
○川﨑委員 分かりました。ありがとうございます。
○阿部部会長 それでは、オンラインで岡本委員が挙手をされておりますので、岡本委員、よろしくお願いします。
○岡本委員 御説明ありがとうございます。
質問が2点あります。1点目ですが、資料の10ページに地域の人手不足への対応として地域の担い手を確保することが必要とあります。これはそのとおりだと思うのですが、地域は過疎化によって構造的な人手不足であり、エッセンシャルサービス業などはAIやデジタルの活用だけでは十分に補うことは難しいと考えます。今考えられる具体的な処方箋というのでしょうか。それがあれば伺いたいと思います。
2点目です。今、働きながら資格を取得できる研修や講座などは数多くあると思いますし、ネットで調べると需要の高い資格ランキングなんてものも出てくるのですけれども、それを実際の業務で活用する機会やポストがなければ経験として身につかず、研修成果が風化しかねないと考えるのですが、厚労省による人材開発支援において具体的な実務経験に結びつけるために工夫されているようなことがあれば伺いたいと思います。
以上です。
○阿部部会長 お願いします。
○菱谷雇用政策課長 まず、前段の地方の担い手確保の処方箋ということについては、これは政府を挙げてみんな考えていることですけれども、一つのことでいうと、そもそも人口の話もあるし、地域の問題もあるし、地域をめぐるいろいろな文化、背景みたいなこととか、女性の働き方についてのいろいろな昔ながらの風土、雰囲気みたいなのもあるやにも聞いていますし、簡単ではないところもあると思いますけれども、ただ、何かですぐ解決するという問題でないことだけは確かなので、そのことに対するある程度コンパクトシティーみたいなことを目指す必要はあると思いますけれども、抜本的にみんなで複合的にしっかり対応していく必要があるのではないかということ以上のことで言えることはないかなと思います。
それから、リ・スキリングに当たっての話としての現場の実感みたいなことを意識した取組支援は結構やられているのではないかと思うのですけれども、澤口参事官、よろしいですか。
○澤口人材開発総括官付参事官(人材開発政策担当) 人材開発政策担当参事官の澤口と申します。
2点目のお話でありますけれども、我々もスキルと処遇を結びつけられるようにということで問題意識を持って取り組んでおります。いろいろな講座で勉強してスキルが身についたであるとか、資格を取得した場合もそうしたスキルや資格が実際の働く現場で処遇に結びつくようにしていくということが大事であると思っていまして、こういったスキルと処遇を結びつけるためのキャリアラダーの作成について、今、調査研究等を進めております。まだまだ我が国のこれまでの雇用慣行からすると、キャリアラダーといった、スキルを分析して、スキル等を処遇に結びつけるという慣行は今までなかった部分がありますので、業界団体とも連携して整理しながら、こうした取組が進められるように、ということで今取り組んでいるところでございます。
以上です。
○阿部部会長 岡本委員、ありがとうございました。
1番目の質問は地域の担い手確保の処方箋ということだったと思いますが、その問題はどちらかというと我々基本部会でこれから検討していくものではないかと思っておりますので、今後、御質問のところはできたら資料に関して御質問をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。最後に御意見はいただきたいと思います。
続いて、山田委員と武田委員も挙手されておりましたので、山田委員からお願いいたします。
○山田委員 前半の試算の前提で2つお聞きしたいということなのですけれども、一つは、先ほど御説明もあったように、労働時間の話が実はこれから重要になってくると思うのです。労働時間の前提をもうちょっと詳しく教えていただきたいという話です。
もう一つは、外国人労働者の前提です。過去のトレンドなのだと思うのですけれども、もしこの予測時点において労働者に占める外国人労働者の割合というのを数字でお持ちでしたら、それを教えていただきたいという2点です。
○阿部部会長 ありがとうございます。
お願いします。
○菱谷雇用政策課長 外国人労働者のほうから答えますと、こちらは社人研がやっている将来人口推計の試算というのがありまして、こちらの試算のやり方は決まっていまして、入国超過数のトレンドを見ていまして、それを延伸しているという感じなのです。たしか16.4万人みたいなもので延伸しているということになっています。それに一定の労働力率みたいなのを掛けて作っているのが外国人のところの推計になります。
もう一つの労働力需給推計は、従前、マンパワーベースで推計をやっていたのですけれども、一方で、結局、総労働供給時間みたいなマンアワーの話のほうが実際には重要だという議論もあって、次回の推計に向けてマンアワーみたいなのを少し考える必要があるのではないかということを内部的には検討を始めているところでございます。
○山田委員 ありがとうございます。
○阿部部会長 よろしいですか。
では、武田委員、お願いいたします。
○武田委員 御説明をありがとうございました。
2点お伺いいたします。まず、OECD等の海外の研究事例を御紹介いただきありがとうございました。研究成果を調査される中で、タスクに関する労働の量に関する分析について御紹介いただきましたが、今後は賃金面の分析も重要になるのではないかと思います。OECD等の研究成果を調査される中で、この点に関する言及や研究について本研究会の中でフォローされている内容がございましたら、ご共有いただきたいと思います。
2点目は、アドバンスト・エッセンシャルワーカーの創出を目指したリ・スキリングについてです。今後の政府の対応方針を資料で御紹介いただきましたが、次の「AI関連人材の主な取組」を拝見しますと、一般的なAIを含むデジタル人材育成については対応されているように見受けられます。一方で、アドバンスト・エッセンシャルワーカーの創出という観点で、取組や現在検討されている点などございましたら、ご共有いただきたいと思います。
○阿部部会長 ありがとうございます。
では、お願いします。
○菱谷雇用政策課長 まず、雇用への影響というよりは賃金への影響ということでございます。雇用の質への影響という表現は結構散見されます。最近よく言われている「炭鉱のカナリア」というワーキングペーパーがあって、その中でも賃金よりも量のほうに影響が及んでいるというのがよく書いてある。全体的に、質は上がっている、量は減るという論調が結構多いのではないかという気がします。ただ、それだけではないというところもきっとあると思うので、現時点では私の感覚でしかありませんが、今後ともよく分析してみたいと思います。
それから、2つ目のアドバンスト・エッセンシャルワーカーのリ・スキリングと言われてもということですけれども、まさしく私も同じ問題意識を持っていまして、労働市場改革分科会の中でもこういったことをよく分析する必要があるのではないか、あるいはその創出に向けた検討をしていく必要があるのではないかと言われることも踏まえまして、少し概念整理みたいなことで研究会を局長の下に立ち上げて、大きくはエッセンシャルワーカー分野というか、社会インフラ職種の生産性向上に向けた取組をハローワークなどでどういうふうに支援していくかみたいなことも含めてまず整理していこうと考えておりますけれども、その中でアドバンスト・エッセンシャルワーカーの概念整理みたいなことを少し研究会みたいなのを設置してやってみたいなと考えています。
○阿部部会長 ありがとうございます。
ほかによろしいでしょうか。
それでは、次の経済産業省からのヒアリングに移りたいと思います。よろしくお願いします。
○高木未来人材戦略室長 経済産業省産業人材課未来人材戦略室長の高木と申します。
本日はこの場にお招きいただきましてありがとうございます。
私からは、経済産業省として作成いたしました2040年の就業構造推計(改訂版)について御説明さしあげたいと思っております。
もともと今回の就業構造推計の改訂版でございますが、経済産業省の産業構造審議会で経済産業政策全体の中長期的な方向性を議論するために、2040年の産業構造の転換あるいは経済成長の姿をシミュレーションしたものとセットで作ったものでございます。
経済産業省の問題意識としましては、こちらの3ページ目でございますが、人口減少の中でどうしても労働の投入が減っていく中で、どうやったら経済を引き続き成長させていけるのか。そのためには一人当たりの生産性を伸ばすことが鍵であるが、現下の状況を見ても、国内投資がやはり少なく、国内投資を現状から大きく増やすことによって生産性を引き上げることで、人口減少下でも安定した経済成長、そして、賃金の上昇が可能になるのではないかといった問題意識から、GXの動向ですとか、あるいはデジタル化の影響、AIの影響、こういったものを見通しながら、具体的に2040年頃の産業構造がどう転換していくのかというところをまず前段としてシミュレーションしているということでございます。
その概略を示した図が4ページ目でございまして、要すれば製造業ですとかあるいは専門サービス業のところをこれから先も日本の競争力の源泉として伸ばしていかなくてはいけない。ここで外需も含めてきちんと需要を取っていく。さらに、国内向けのエッセンシャルサービスの分野、小売ですとか卸、あるいは建設ですとか社会福祉、こういった分野についてもAI、ロボティクスによる生産性の向上といったものを行うことによって生産性を高めていく。これが目指すべき産業構造の姿であろうという概略でございます。
その上で、就業構造推計を併せて行った問題意識でございますが、これまで日本経済の成長のボトルネックはどちらかといえば国内投資、企業の投資が少ないことが中心的な問題意識だったのですが、幸い足元の国内投資は順調に伸び始めている。そして、これはお金の話なので、成長力次第によっては幾らかコントローラビリティーがあるだろうと。しかしながら、国内投資が達成できても、人材がボトルネックになるのではないだろうかと。むしろこちらのほうをより心配すべきではないのかという問題意識がありました。
つまるところ、工場を建てるにしても、新しい競争力のある商品を開発する研究者や技術者、こういった者が少子高齢化、例えば今の理系人材の数で足りていくのだろうか。あるいは工場を建てても、それを操業する現場の人材は確保できるのだろうか。あるいはそもそも工場を建てる建設の人材が足りないのではないか。こういったところが既に足元でも企業の方々が工場を建てる際のボトルネックとして顕在化してございますので、こういったある種理想的な産業構造の姿を実現するためには、どのような産業でどのような職種が理想的には必要なのだろうか。そして、足元のトレンド、人口減少のトレンドですとか、あるいは足元の学歴、どこに進学してどこに就職していくのか。こういったトレンドを伸ばしていったときにギャップがどういったところにあるのかというところをリスクとして明確化して、それに向けて効果的な対処を行っていくべきではないか。これが今回の就業構造推計を出したときの基本的な問題意識でございます。したがって、理想的な就業構造の姿と、そして、足元のトレンドを伸ばした場合に自然とこうなりそうなもの、これらのギャップを推計という形で示してございます。
この概略が次のページでございまして、国内投資が十分に行われ、これはAI、ロボティクスを最大限導入することにより生産性の向上を見込むということでございますが、そうであれば、2040年までに何百万人単位で就業人口が減ったとしても、AIによる代替効果によってこれは相殺可能であろうと。したがって、大きな労働力不足は発生しないということが達成し得るだろうと。
しかしながら、先ほど申しましたように問題はその中身であって、職種ですとか学歴あるいは地域間に大きなミスマッチが生じるリスクがあるのではないかというのが今回の我々の結論でございます。
そのミスマッチを次の7ページ目の表で具体的に詳しく紹介させていただければと思いますが、表の上の部分で3つ行が並んでいる一番下、これが2022年、現時点の就業者数ということでございまして、その上のところ、左側が理想的な需要数、そして、右側がトレンドを伸ばした場合の供給数というところで、この差分が一番上の太字でミスマッチという形で数字を表してございます。
中身を見ていただきますと、技術者やAIやロボティクスを導入するような人材も含めた専門人材が181万というところで大きく不足する。専門人材の中にもAIの代替が進んで余剰のあるもの、足りないものといろいろありますが、やはり最大限足りないのはAIやロボットの利活用を進める人材、これはロボットを開発したり導入したりする人材ですとか、あるいはシステムコンサルタント、プログラマーとかも含めたDXを推進する、AXを進める中心となるような人材の総称でございます。他方で、事務職はどうしてもAIの代替効果が特に進みやすい部分ですので、こちらは440万人規模で余剰となる。他方、現場人材、これは生産工程従事者ですとかあるいは農業に従事する方、建設に従事する方、エッセンシャルサービスの現場で働く方々、こういったものの総称でございますが、これは260万人ということで大きく不足するといった傾向となってございます。
下のほうは産業別にそれを分解したものでございますが、大きなトレンドはどの産業も似通っているところがございまして、専門人材、そして、AI、ロボティクスをそれぞれの産業の場で利活用するような人材はどこの産業でも大きく不足する。そして、事務職はなべて余剰になる、さらに現場人材のところは現場人材の方々のAI、ロボティクスの代替の可能性で若干のむらがありながらも、不足傾向が強く見てとれるということでございます。
こちらをざっくりと学歴別のミスマッチという形で示したものが8ページの表でございます。これは現在例えば事務職の方がどういった学歴で入職しているのかというところを見まして、これを基に学歴別ではどういう需給になるのだろうかというところをざっくりと推計したものでございますが、事務職を中心に入職されることが多い普通科高校ですとか大学あるいは院卒の文系人材が大きく余剰になる一方で、専門人材となる可能性が高い理系の大卒・院卒が大きく不足する。さらに言えば、現場人材として輩出される可能性が高い例えば工業高校ですとか、あるいは高専といったところもかなり大きな不足になり、とりわけ製造業にとって大きなリスクになり得るというところが見てとれるかと思います。
次の9ページ目、これを地域ごとに見てみたらどうだろうかということでございます。冒頭、日本全体で見れば労働の供給と需給に大きな不足は生じないと申し上げましたが、これを地域ごとにばらしてみると、地域間ではやはりミスマッチが生じるのではないかというのがこちらのスライドの結論でございます。つまるところ、事務職の従事者は東京ですとか大都市圏、企業の本社機能が集中しているところに大きく偏在する傾向がございまして、東京圏を中心に事務職が200万人ほど余剰になる。東京に関しては全体として完全に余剰超過となる。その一方で、地方は現場人材、専門人材を中心に大きな不足が生じまして、地方ブロックで見ますと全体としても不足になり得るというところが幾つかの地域で見られるということでございます。
次のページが、先ほど申し上げましたように文系人材、理系人材でどれだけ足りないかというところを左側が文系、右側が理系というところで分けたものでございまして、右側にありますように、理系の人材を輩出することの多い理系の大卒・院卒、あるいは工業高校あるいは高専といった人材は東京も含めてどの地域でも押しなべて不足するという傾向が見てとれるかと思います。
なお、次の11ページでございますが、地域でどのぐらい人材が必要になるかというところを簡単にトレンドで推計に表してございましたが、これは1つ工場が建つだけでもその地域における需要というのは大きく変わり得るものですので、これは参考値というところで、その地域に例えば典型的にホテルが開発された場合、工場が建った場合に追加でどれだけの人材需要が必要になるかというところを参考値で紹介したスライドでございます。
最後に、本日のメインテーマでもあります生成AIの影響というところ、12ページでございます。冒頭、生成AI、ロボティクスによって200万人ほど代替効果が得られるので、全体として労働供給に過不足は生じないということを申し上げましたが、こちらの資料に書いていないことも含めて計算、検討の過程を少し紹介させていただきますと、今回この推計を行うに当たって、主要な職種ごとにどういったタスク、スキルが必要となっているのか、それぞれのタスク、スキルがその職種に求められる水準に照らしてAI、ロボットと比較した場合にどちらが優位になるだろうかと。そして、例えば事務系のこのスキル、このタスクについてはAIのほうがうまくやってのけるだろうということであれば、そのタスクは代替されるだろうというところを主要な職種ごとに分解して分析してございます。
これはRIETIの研究成果を参考に作ってございますが、そうすると、下の表でございますが、大きくグルーピングすると、事務系の職種なのか、現場系の職種なのか、あるいは対人業務型の職種なのかで大きな傾向の違いがあるかなと思ってございまして、事務系、デスクワークはやはりAIによる代替効果がかなり大きいというところで、調整ですとか要件分析といったものはAIのタスクに置き換わるであろうと。
他方で、事務系においても具体的に現場でどういったことを行っているかというのは様々でございますし、当然その中にはグループワークを行うですとか、対面で議論するですとか、人でないとなかなかやり得ないよねというところも含まれますので、そうすると、右側の棒グラフになりますけれども、おおむね事務系の職種に関していうと32%ほどのタスクが代替されるであろうというと。これが今回の推計に織り込んでいる数字でございます。
ただ、これは今の仕事のままで置き換わるとすればそのぐらいだよねというところであり、例えば人員の配置ですとか、企業の業務の組み立て方次第でより進み得るといった、変化の可能性は大いにあり得るところでございまして、これがさらにAIがより進展すると、追加で23%代替の余地がさらにあり得るだろうということを示してございます。
他方で、現場系の作業になりますと、AIというよりはロボティクスの世界になります。ロボティクスは、例えば屋内で定型的な作業を行うのはすぐに代替可能でありつつも、例えば屋内でもかなり高度な開発などができるのかだとか、あるいは屋外で安定的に稼働できるのだろうかというところを考えると、これは2040年断面で見てもかなり進みにくい部分があるだろうというところで、事務系よりは代替率が低いという結果になってございます。
さらに言えば、一番下の対人業務型ですが、これは人がやることによってむしろ価値が生じているのではないかという部分でもございますので、こういったものは規制ですとか、制度ですとか、世の中、社会の受け止めといった要素もかなりあるので、これは比較的代替が進みにくい分野なのかなと考えてございます。
2つおめくりいただきまして、14ページでございます。今回こちらの部会にお呼びいただきまして、推計とは別に議論の材料ということで新たに用意したスライドでございますが、こうした推計を踏まえて、今後、我々政府あるいは民間の方々も含めて考えるべき課題がこちらでございます。 第一に、経済を成長させるという意味においては、新たな付加価値を生む競争力のある商品・サービスを生み出す専門人材ですとか、それを支える現場人材がどうしても必要不可欠でございますので、こういったものが不足するということは、すなわちそれが経済成長のボトルネックになるという強い危機感を我々は持ってございまして、今回2040年という推計をしてございますが、当然足元から不足は始まっておりますし、足の速い分野でございますので、どうやってこのミスマッチを解消していくのかというところは足元から取り込むべき喫緊の課題だと考えてございます。
特に地域間の需給のミスマッチということを考えると、それぞれの地域を支える産業、地域のエッセンシャルサービスを支える人材が供給できるのかというところは、それぞれの地域ごとにかなり深刻な問題かなと思ってございます。これは地元の産業界ですとか教育界が連携しながら、どういった職種、産業で地元の需要があるのか。それを育てるために、例えば地元の教育システムはそれにマッチしたものになっているのだろうか。こういったところを地域ごとに議論していく必要があるのだろうと考えてございます。
3番目でございますが、今回は大きな傾向を示すというところで、職種別にシミュレーションをしてございます。しかしながら、当然具体的には事務系といっても現場系といってもどういったスキルを持っている、どういったタスクを行う人材が不足しているのかという需給は、本来はスキルのベースできちんと分析していき、それに対して正しく対応することが必要なのだろうなと思ってございます。
そうすると、結局、人材やスキルの需給のミスマッチを解消していく方向性というのは、広義の労働市場が効率的に機能する。それによって、スキルが不足しているところが例えば高い賃金を提供できるからリ・スキリングを行っても、そこに移動する。そういった需要の高い分野に対するリ・スキリングを政府あるいは企業も含めて後押しをしていく。こういったことによってミスマッチの解消を効率的に機動的に行うことができるという、言わばスキルベースの労働市場をどうやってつくっていくのかというところが課題かなと思ってございまして、これは当然経産省だけでなく厚生労働省さんや、あるいは政府全体で取り組むべき話だとは思っています。今回の成長戦略の議論の中でも、成長分野を伸ばすためにも人材の育成確保というのは不可欠であろうということが課題としては挙がっているところでございますし、関係省庁が併せてスキル情報の可視化やリ・スキリングの提供、そして、円滑な労働移動を促進するというところに取り組んでいく必要があるのだろうと考えています。
後ろのほうは参考資料でございますが、以上の問題意識を踏まえながら、例えば経済産業省と文部科学省では、19ページになりますが、地域人材育成構想会議というものをここ半年ほど地域ブロックごとに次々に開催してございまして、地元の産業界の方ですとか教育界の方、そして、官公庁の方も含めて、その地域でどういった人材の需給を考えていくのかというところを議論し、対策を考えるという機会を設けてございます。
また、21ページでございますが、こちらは厚生労働省さんとも連携しながら、スキルの需給の可視化、リ・スキリングの提供をどうするかというところにも取り組んでございまして、例えば25ページでございますが、厚生労働省さんが持っております職業情報ですとか、あるいは民間労働市場のデータなどをAIが解析しながら、具体的にどの職種はどういうスキルが必要なのかというところを可視化するという取組を行ってございまして、こういったところを通じて、具体的に足りない職種はどういうスキルが必要となっているのか、その需給動向はどうなっているのか、そういったスキルは誰が教えることができるのか、それは大学なのか産業界なのか、あるいは民間のスクールがあるのか。こういったところにきちんと支援の手が行き届いているのか。こういったところを関係省庁含めて具体化しながら対策を打っていきたいと考えているところでございます。
私からは以上でございます。
○阿部部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの経済産業省からの説明に関して、御質問のある方は挙手をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
では、佐々木勝委員からお願いします。
○佐々木(勝)委員 大阪大学の佐々木です。
どうも情報提供をしていただき、ありがとうございました。
12ページの参考の分析の仕方のところで確認したいのですけれども、これは職種ごとに複数のタスクがあって、そのタスク一つ一つに対してAI対人間としてどちらのほうが生産性が高いかというところを見ており、それがAIだったらAIと判定し、次に人間、AIと続き、それらのパーセンテージがここに出ていると思います。そこでの前提として、各タスクは独立しているのでしょうか。本当はマルチタスクというのはそれぞれタスクが関連していると思いますけれども、タスク一つ一つは独立したような形で算出していると考えてよろしいかということでございます。
○高木未来人材戦略室長 おおむねその御理解でございます。職種ごとに例えばこのスキルだったらどういうレベルが必要になるのだろうか、そのレベルを2040年断面でのAI、ロボットが超えているかどうかというところをタスクごとに見ながら重みづけを考えてやったということでございます。
○佐々木(勝)委員 AI対人間と比較するときに判断基準はどういうふうにするのですか。
○高木未来人材戦略室長 それぞれの職種について2040年断面でAI、ロボットが例えば傾聴という分野ではレベル6なのか7なのかというところは、様々な専門家や企業の方々の見解を踏まえて、それを今、足元ではその職業で例えば傾聴は求められているのはレベル5ですねと。であれば、2040年段階ではAI、ロボットのほうが比較優位かなということをRIETIの深尾先生の研究に基づき分析したということでございます。
○佐々木(勝)委員 ありがとうございます。
○阿部部会長 ありがとうございます。
では、武田委員、お願いします。
○武田委員 大変分かりやすい分析結果の御紹介をありがとうございました。
佐々木先生と同様に12ページの分析に関してですが、特にロボティクスは、AIやロボティクス対人というよりも、実際は現場型等の業務はAIが搭載されたロボティクスと人が協働しながらタスクを行うようになると考えます。代替率よりも補完率が高い可能性が考えられますが、こうした点は今回の分析では織り込まれていないという理解で良いでしょうか。
○高木未来人材戦略室長 今回の推計は補完と代替を分けて分析したものではありませんので、典型的な各職種で、例えば運搬という職種であれば、どのようなものだったらAI、ロボットにその分のタスクが置き換わるかというところを職種ごとに算定するというのがまず前提としてございます。
先生のおっしゃるとおり、基本的には補完関係が強く効くところでもありますので、今の40%、50%足らずではなくて、理想的な環境下でいうと8割ですとか9割に届くと前提として考えてございます。
しかしながら、これが世の中に普及していくかどうかというところで、これは別途パラメータを設けてございまして、例えば100人規模の工場であれば、人と工場の最適分配ができるので早く進むかもしれないが、例えば10人以下の中小企業の現場で置き換わるだろうかというところは経済的にペイしないですとか、設備、環境が許さないといったところが起き得るので、例えば企業の規模別に導入の年数は違うだろうなというところでシミュレーションを行ってございまして、結果、全体の仕上がりとしてはこの程度にとどまっているということでございます。
○阿部部会長 よろしいですか。ありがとうございます。
それでは、オンラインで浦委員の手が挙がっているということですので、浦委員、お願いいたします。
○浦委員 一部、前段の皆様の発言が聞こえなくて重複しているところがあるかもしれませんが、御容赦ください。
4点質問させてください。
1つ目としては、4ページ目のスライドの将来の産業設計などについて記載がある「アドバンスト・エッセンシャルサービス業」の必要性に関してお伺いします。デジタル技術を活用して現場人材の処遇を改善するという方向性については理解します。ただ、既にデジタルを活用できている人材に支援が集中し、本来の現場の多数を占める一般のエッセンシャルワーカーの底上げにつながらないというリスクがあると思っております。そもそもデジタルツールをなぜ導入するかと言えば、作業、タスクのハードルを下げて現場全体の水準を向上させることが本来の目的だとするならば、アドバンストという新たなカテゴリーをつくる必要性や、アドバンストという層をつくったときに一般の層と分断を生まないように、逆に支援の裾野をどう広げていくかといった点についてお考えをお伺いしたいのが1点目です。
2点目は、スライド16、17等にありました育成に関してお伺いしたいと思います。産業界と教育界の連携で人材育成を図ることの重要性は理解しております。一方で、技術の進展が加速する中で大学や職業訓練で学んだ内容がその後数十年の職業人生を支えうるかという点には疑問があります。学校等による教育以上に企業内で継続的に行われる教育や育成が重要であり、OJTや社内教育開発と公的な訓練の連携がとても重要になると考えていまして、入職後の継続的な学びの仕組みについて経産省としてどのようにお考えかをお教えいただきたいと思います。
3点目については、スキルベースの労働市場の構築に関しまして、スキル標準化して中心情報のデータ連携といった仕組みについて記載がありますが、実際に訓練の後に実務経験を積む場の確保というところが特に触れられていないと思っています。現在においても転職市場では資格の取得だけではなく、そのスキルを活用した実務経験が問われることも少なくない状況です。そういったときに、リ・スキリングによって、新たなスキルを獲得した人たちが、そのスキルを生かして実務経験を積む場というのがとても重要ではないかと考えておりますが、そういった機会をどのように確保していくのかに関して現時点で何かお考えがあればお伺いさせていただきたいと思います。
4点目、スライド16、17あたり、産業人材育成のためのプラン等に書かれているところ、中小企業がリ・スキリング、能力開発を行った場合に新たなスキルを得た労働者がより処遇の良い大手企業などに移動してしまうのではないかという懸念を抱いている企業も少なくないと思っております。日本の多数企業を占める中小企業におけるAI、デジタルに関するリ・スキリングについて、経産省としてどのように進めるのかに関して、お考えをうかがいたいと思います。その際に、企業に負担を求めるというだけではやはりスキルのフリーライドリスクも想定されるため、企業として投資を躊躇するといった構造的な課題があると思っております。公的関与の拡大も含めて、費用負担の考え方などあればお示しいただければと思います。
以上です。
○阿部部会長 ありがとうございます。
では、お願いします。
○高木未来人材戦略室長 ありがとうございます。
まず最初に、アドバンスト・エッセンシャルサービス、アドバンスト・エッセンシャルワーカーという点でございますが、こちらは厳密な定義がこの瞬間あるわけではありませんが、要は現場でAI、ロボットを使いこなす様々なレベルの人材を総称して考えてございます。それは当然大規模LMMを作りますみたいな人もごく一部いるかもしれませんが、大宗は既にあるサービスを自分の今の作業にどうやって生かしていこうかという利活用の部分がかなりボリュームがあるかなと思っておりまして、例えばチャットベースでAIを使いながら仕事をする事務職員がいて、それで生産性が上がるのであれば、それは立派なAI利活用人材の一部だということでもあると思います。
したがって、どこか特定の職種がAI、デジタルスキルを学べばいいということではなく、企業の中の様々な立場の方々がそれぞれの作業を楽にし、生産性を上げるために多様な多層的なレベルの者を支援する。特に現場の方々が例えば新しいツールを使いこなすだけであれば、そんなにリ・スキリングの負担もかからないというところもありますので、まさにおっしゃるとおり現場の一人一人の方々を取り残さない形でAI、ロボットを使いこなすスキルをどうやって展開していくのかということが重要になると考えてございます。
次に、地方のOJTですとか実務実践の話でございます。おっしゃるとおり、学ぶだけでは駄目で、実際に実務経験があるのか、あるいはそれで実際に手を動かしたことがあるのかですとか、こういったところが実践の現場で即戦力として働けるかどうかというところに対して効いてくるところはあるかと思ってございます。今、世の中でも様々な民間の講座がありますが、なかなか実務を現場で教える、OJTを教える機関というのは民間ではかなり不足しているところがございます。こういったところはまさに厚生労働省様の職業訓練施設をどう使うのかですとか、あるいは企業が1社だけでやるのか、例えば産業界がまとめて複数の企業で訓練センターをつくるといった動きもあるところでございます。まさに今後必要となるスキルを可視化していく中で、それをどう教えるのか。それが仮にOJTですとか現場が必要だということであれば、例えば企業を超えた仕組みとしてどうやってそれを産業界に促進していくのか。これは一企業だけではなくて産業界全体、サプライチェーン全体として企業も危機意識を持っているところでございますので、厚生労働省様が持っております公的な施策と併せて、産業界にどうやって現場の人材を、ここまでだったらリ・スキリングしてもらってからとか、ここからは企業内の訓練でもいけるだろうですとか、こういったシームレスな動きをどうやって進めるのかというところもよく考えていきたいなと考えてございます。
特に最後にありました中小企業をどうするのかというところはかなり頭の痛い問題でもございまして、先ほど厚生労働省様への質問にもありましたように、なかなか人手がない中でリ・スキリングの機会をつくれないですとか、リ・スキリングの時間を捻出できないですとか、あるいはお金が足りない、あるいは育ってもすぐ辞めてしまうというところが一般的にあるのは事実でございます。したがって、経済産業省としても、こういった中小企業にそもそもどうやって人を引きつけるような人事施策を行うのかというところは、中小企業庁とも連携しながら、そもそも人は労働移動する理由は様々ですので、働きやすい職場環境をつくるですとか、やりがいのある機会を設けるですとか、あるいはリ・スキリングによって生産性を上げた人に対して重点的に処遇を高めるですとか、中小企業の規模に応じて、どういった戦略的な人事のやり方があり得るのかというところを関係の支援機関も含めてサポートしていくということにも取り組んでいきたいと思ってございますし、この点、例えば厚生労働省さんの人材開発支援助成金ですとか、様々な制度とどう連携するかというところも含めて取り組んでいければと思ってございます。
何か欠けているところがあればまた御質問いただければと思います。
○浦委員 1点目のアドバンスト・エッセンシャルワーカーに関して、私も勉強不足ですみません。きちんとした定義がということで言うならば、おっしゃっていただいたとおり、AIや何かを開発するということではなくて、それをユーザーとして使っていくということが前提だとしたときに、エッセンシャルワーカーというものとアドバンスト・エッセンシャルワーカーというものをあえて分けている発想なのか、それともそれは同義だと思っていいのかというと、どちらなのですか。
○高木未来人材戦略室長 基本的には分けて考えているというわけではありません。全てのエッセンシャルワーカーの方々が、AIに限らずですが、適切なリ・スキリングですとか新しいツール、道具を使いこなすことによって生産性を引き上げていくことを目指していこうというところでありまして、何か職種として2つに分かれているといった理解をしているわけではございません。
○浦委員 何か別カテゴリーであるということではないという理解でよろしいですか。
○高木未来人材戦略室長 さようでございます。
○浦委員 承知しました。ありがとうございます。
○阿部部会長 では、坂本委員、お願いいたします。
○坂本委員 御説明いただきましてありがとうございました。
私からも質問をさせていただけたらと思いますけれども、まず全体のシミュレーションのところで、現場人材ですとか専門人材が足りなくなって、事務職などでは少し余ってくるという推計結果がございましたけれども、そうなってまいりますと、これは高木様からの御指摘でもありましたように、労働市場のマッチングを介しまして調整されていくということが起こるかと思います。その過程におきまして、賃金水準、これは試算などを確認すれば、例えば現場人材ですとか専門職の人材の賃金が上がっていく。あるいは事務職のようなところは少し抑制されてしてしまうかもしれないといった、賃金についてこれはどうお考えになられているのか。また、モデルの中でどういうふうに扱っているのかということを教えていただけたらと思っています。
あと、武田委員から御発言もありましたけれども、需要創出のところ、補完性といったところでありますけれども、そういったところに関しましては、これは付加価値の上昇といったところもAIですとかロボットの進展に伴って起こり得ると思うのですが、こういう経済成長に関するところへの影響というのは何か出しておられますでしょうか。
最後に3点目として、JILPTですとかほかの需給推計なども行われているところで、技術の活用を加味してシミュレーションを行っていただいているというところで非常に示唆に富むものだと思いますけれども、ほかの既存のこれまでの過去の推計と比較して、例えば民間の推計などでも人手不足が相当深刻化していくといったものがいろいろ出ていますけれども、こちらの推計を見ると、そういったところも一部技術によって解決することができるというものだと思いますが、このようなところ、過去のシミュレーションと比較してどのように評価されているのかというところも最後にお伺いできたらと思います。
○阿部部会長 では、お願いします。
○高木未来人材戦略室長 まず、最初の賃金水準でございますが、こちらはシミュレーションの前提として、生産性が高まり、付加価値が大きく上がった産業に関していうと、これはこの産業の賃金が上がっていくだろうということを織り込む。そうすると、賃金が上がったところに需要が高まっていく、あるいは人が流入するということでこのシミュレーション上は扱ってございます。その上で、当然これは需要があるところの職種、現場人材は賃金が上がりやすい一方、事務職というよりは生産性が低い産業あるいはその職種のところの賃金が上がりにくいということだと思っておりますし、それは当然リ・スキリングによって全体の賃金や一人一人の賃金はどうやって上がっていくかというところをサポートしていくのがまさに政府の役割ではありつつも、ある程度需要に応じて賃金の差が出ていくというところは、ある意味市場の効率的な在り方としては正しいのではないかなと思ってございます。
その上で、AIの補完性をどういうふうに織り込んでいくかというところでございますが、当然AIによって生産性が大きく高まる部分については、その分労働の質の向上によって付加価値とかが大きく上がっていくというところを織り込んでございますので、AIによって経済成長がより加速していくというところを全体として前提に置いているということでございます。
その上で、ほかの就業構造推計、ほかの各種シミュレーションとの違いということでございますが、結局のところ、産業構造の転換次第、どこまで付加価値、生産性が上がるのか、もっと言えば競争力が上がるのかによって、トータルの人材の需要は大きく変わります。例えば経済が好調、例えば製造業ですとか農業が好調であるからこそどんどん伸びる一方で人が足りないということになりますし、あるいは全体で経済が衰退すれば、そもそも5000万台でも足りるじゃないかということにもリスクシナリオとしては起こり得るので、そういった意味では、やはり産業構造も踏まえたマクロのシミュレーションとあわせて、就業構造の分析を行うとかなり分かるところがあるなというのがほかのシミュレーションとの特徴の違いでございます。
大きくマクロの労働投入はJILPT様のものをそのまま使っておりますので、そういった意味では前提というものは大体同じくしておりまして、むしろ中身のミスマッチがどういうリスクがあるのかなというところをやや大胆に前提を置きながら踏み込んだものということだと御理解いただければと思います。
○阿部部会長 よろしいですか。
では、最後に佐々木かをり委員からお願いします。
○佐々木(か)委員 ありがとうございます。
非常に細かく分析していただいてよく分かりました。ありがとうございます。
1つ出てこなかったことと、人材のミスマッチで重要だなと思うのが、やはり女性の問題かなと思っているのです。地方の問題とか学歴の問題が出ていましたけれども、今回、女性の活用についてというか、その関係や影響については書かれていなかったので、どのように分析に影響したか。あるいはどうしてもこういった分析というのは続けてしまうと、今の構造のままなので忘れがちになってしまうのですけれども、強く意識されたかどうかも聞きたいと思いました。
国際データをいろいろ私も見ているのですけれども、全く同じ実力で全く同じ実績を上げても、女性の場合は将来性がないと上司に言われてしまって管理職に上がれないというケースもありますし、それから、例えば研修が同じように提供されると国が言っても、雇い主が何となく将来性があると思う男性に研修に行かせて、女性は行かせないなんていうようなことがあるので、このようなことを議論するときというのはまあまあ強くして女性にというようなことをしていかなくてはいけないのではないかと思っていて、OJTもしかりで、その現場に行かせてもらえなければ、何年かたてば技術の差が出てしまいます。この辺りをどのように分析に入れられたか教えてください。
○高木未来人材戦略室長 ありがとうございます。
まさに女性の活躍、女性のポテンシャルをどのように引き出すかというところは、この就業構造推計をやった結果としても非常に重要な課題だという認識でございます。
大部になるので、今回の資料には追加しておりませんでしたが、経済産業省の産業構造審議会新機軸部会のページで公開しているフルバージョンでは現在職種ごとに男女比率がどうなっているのか。それと需給推計のミスマッチを掛け合わせるとどうなるのかというのを示したスライドも掲載しています。端的に申しますと、余剰の職種ほど女性の比率が多く、不足の職種ほど女性比率が少ないという傾向が見てとれます。事務職であれば、現在、女性の就業率が6割を超えてございますし、AI、ロボット利活用人材では2割を切っておりますし、現場人材も女性が少ないという傾向が見てとれます。
したがって、中長期でミスマッチを解消していこうという中では、特に女性のポテンシャルをより需要が高い職種でどうやって発揮していただくのか。そのために文科省さんを中心に理工系の女子学生をどうやって増やしていこうか、育てていこうかという話も進んでおりますが、多分企業内でもリ・スキリングというところで、事務職だけでなく、どういったところの専門性を身につけ、その機会を設けていくのか。それによって需要が高い職種、需要が高いタスクをどう任せていくのか。さらに現場であったとすれば、仮に職場環境の問題もあるということであれば、どうやって職場環境を改善していくのか。場合によってはロボットの代替性、補完性というところで、力を要するような作業をロボットができれば、女性がロボットと組み合わせることによって現場人材をより安全、快適にこなすことができるかもしれない。
こういった視点も持ちながら、需給のミスマッチの解消、女性のリ・スキリングですとか人材育成、そして、登用・任用、育成ということをよく考えていく必要があるのだろうと思ってございます。
○阿部部会長 よろしいでしょうか。
今、予定より大体15分程度延びているところでございまして、私、質問したいなと思ってはいるのですが、ちょっと許されないので、後でまた質問させていただきたいと思います。
それでは、大変申し訳ございません。続いて総務省から御説明をお願いしたいと思います。
○植田行政課長 御紹介いただきました、総務省で行政課長をしております植田と申します。よろしくお願いいたします。
本日はこの場にお呼びいただきまして、どうもありがとうございます。
私のほうからは自治体関係、持続可能な地方行政の在り方をめぐる議論ということで2つの話をさせていただこうと思っています。
1ページ目にこの基本部会での3月のときの資料が出ておりますけれども、こちらは32次の地方制度調査会という審議会の答申の概要でございます。こちらは令和2年6月に出されたものであります。当時、2040年に向けて高齢者の人口がピークになるので、それに向けて20年後の世界を考えながらどうしていくかということを特にデジタル化、それから、公共私の連携、また、広域連携というキーワードの下に議論しておりました。
その後、コロナ禍も経まして、研究会とその後に34次の地方制度調査会の審議を行っておりまして、今日はそちらでの議論の状況を御紹介したいと思っております。
まず研究会ですけれども、2ページに持続可能な地方行財政のあり方に関する検討会の報告書のポイントがございます。昨年6月にまとめたものですけれども、自治体における人材不足を基本的な課題意識として持っておりました。2ポツの右の真ん中あたりに研究会で課題分析のために取り上げた行政分野10分野がございます。介護保険から消費生活相談まで、個別の行政分野においてどういった課題が特に中小規模の市町村で生じているかということを現場の意見を綿密にお聞きし、そこから得られた情報を最終的には抽象化することによって、人材不足という課題に対してどうやって対応していくことが考えられるのかという議論をしていただいたものであります。
今後の進め方が一番下の3ポツにも書いてございますけれども、こちらは地域ごとに都道府県単位で議論していただくということもあれば、さらに制度上対応ということで国のレベルで議論することもあるという議論をしたものでございます。
3ページにございますように、団塊ジュニア世代が自治体の職員のボリュームゾーンとなっておりまして、この方々が今後退職されると、そのときに入ってくるのは、右のグラフの黄色い枠囲みにございますけれども、3分の1近くになってしまう可能性がある。
そういう状況の中で、4ページにございますように、既に土木技師、保健師、建築技師、ICT人材等、非常に体制確保に課題感を感じている。下にございますように、技術職員の採用についても約半数の市町村で「応募がほとんどない」という回答となっている。
5ページを御覧いただきますと、実は2000年分権以降、市町村に優先的に事務を配分していくという考え方の下でやってまいりましたので、左にあるような人口減少そのものに対処するための事務も増えてまいりました。さらには、社会情勢の変化により行政需要が多様化・複雑化してまいりました。福祉分野を中心にということでありますけれども、環境分野等もございます。また、計画などもいろいろな地域でつくらなくてはいけないものが増えていったということでございます。
簡単に10分野のうち2つだけ紹介いたします。介護保険と上下水道の分野です。
6ページにございますようにA市、B村という人口5万人、1,500人の団体の介護保険の担当がどういう体制でやっているかと業務の詳細が下にございます。A市のほうは常勤8名、非常勤6名ということでございますけれども、その中で実は年間の介護認定の調査の数、下の○にございますけれども、1,300人ということでかなり多くの事務をやっており、相当処理に追われている。
B村のほうは、介護保険担当は1名なのですけれども、年間の調査数は20名程度ということで、地域によっては介護ニーズについては少しピークアウトしつつある状況ということでございます。
そういった中でどういった課題が生じているか。7ページにございますように、例えば介護認定の段階では認定調査員の応募が少ない。そういった専門職の確保というのは難しくなっている。デジタルツールなどは一部の導入に限られているという状況でございます。
国としてやれることとしては、厚生労働省が主導してやっておられることですけれども、介護情報基盤という、今までの介護サービスの利用者とか自治体、事業者、民間、医療機関との間の紙のやり取り等をやめて、プラットフォーム上でデータのやり取りをするという取組があります。これまで自治体システムの標準化を進めてまいりましたけれども、そのおかげで、全国的にデータを通じたやり取りができるようになってきたということでございます。
それから、介護認定審査会では医師等の専門の委員の方の確保が困難という理由で、この分野については、以前より、1,000団体以上の団体が介護認定審査会の事務を共同処理している。ただ、他の分野では共同処理がなかなか進んでないというのが実情でございます。
10ページですが、事業者に対する事務には、いろいろございますが、これは介護関係の事業者に対する運営指導等です。小規模な団体だとほとんど実際に運営指導自体ができておらず、ノウハウも蓄積されにくい状況にあり、やはり小規模な団体に権限を下ろし過ぎるとそういった懸念もございます。
11ページは、地域に密着した業務の例ですが、介護予防の事務については、地域の団体等と一緒に場所も確保しながら、例えば認知症予防のサロンとか体操教室などをやる必要があります。こういうものをまとめて実施するのはなかなか難しいということです。したがって、そういう事務は市町村で基本的にやっていただく必要があると思われます。
幾つかの事務の課題とそういうものへの対応の状況というのを今申し上げましたけれども、例えばもう少しまとめた形でやっている例を申し上げますと、福岡県の33の市町村による広域連合では介護保険の事務のほぼ全てを共同処理しています。
上下水道についても同様の話がございまして、詳細は割愛いたしますけれども、やはり市町村が基本的には末端の給水や、下水についても家庭から受け取るという形でやっています。事業統合はなかなか簡単ではありませんが、15ページにありますように、市町村同士の統合や、都道府県と市町村との統合ということで、一部こうした形で都道府県も絡むような場合もございます。水道用水の供給事業を都道府県もやっている場合がありますので、そうした場合に都道府県が広域化に寄与することがございます。
デジタル化というよりも広域連携の点を中心に申し上げましたが、各行政分野において、16ページにありますように広域で取り組んだり、もしくは都道府県が関与したりというような形で事務処理の仕方を変えていく必要があるのではという議論をしているということです。
個別分野の話をいたしましたけれども、それを少し抽象化したものが17ページと18ページにございます。どういう事務についてどういう対応方策が考えられるかということを議論いただいてまとめたものです。いずれも事務の内容とか事務処理に必要なリソースというものを考えた上で対応策を考えるべきとしています。例えば、事務の性質が企画立案的なものなのか、定型業務なのか。定型業務に近ければ近いほどそれをまとめて処理するということはやりやすいだろうということになります。
また、国・都道府県・市町村間の事務内容が共通していればしているほど、例えば道路の維持などがそうだと思いますけれども、市町村のみならず都道府県や国も似たような事務を処理しているため、共通した事務処理の仕方というのを考えられるのではないかということです。
リソースのところも、必要な人材が専門的であればあるほど、より小規模な団体は確保が難しいということもございますので、希少性とか偏在度が高い人材を要する事務については市町村以外の受皿というのを考えなければいけない部分があるのではないか。このように、個別の分野から抽象化した上で議論をしていただいた。
その上で、デジタル技術の活用というのが右にございますけれども、こちらは事務の性格に関する前提自体を変え得るものとして扱っていただきました。事務量自体を減らしたり、標準化・共通化を進めることで定型性も高めていったり、といった議論がされました。また、AIによって専門人材を一定代替したり、情報の不足を補ったり、といったことが今後は考えられるかもしれないということも議論いたしました。
次に、地方制度調査会について説明します。大きく分けまして諮問事項にございます国・都道府県・市町村間の役割分担、大都市制度を今議論しています。国・都道府県・市町村間の役割分担については、そもそも広域連携とかデジタル化とかを議論する前に、どの主体にどういった事務をしていただくかということを考えたときに、2000年分権の時代から25年経って、前提条件も相当変わってきたのではないかという議論をしております。その中で、人手不足がある中でどうすればより効率的な形で事務処理を行えるか、その手法について議論いただいているというものでございます。
20ページにございますけれども、2000年以降の地方分権の流れがございました。最近は提案募集方式の中で、権限移譲よりも規制緩和、市町村とか都道府県が事務をやりやすくするような、また、業務の負担を軽減するような改革の要望が増えてきています。
また、行政改革とか実施主体の多様化とありますけれども、特に平成10年代に集中改革プランということでかなり行革を進めてまいりましたけれども、その後、指定管理者であったり、地方独法であったり、様々な外部化の手法を開発してきました。さらに、デジタル化については、地方公共団体情報システム機構とか地方税共同機構といった自治体の事務をまとめて処理するような団体が設立され、例えばマイナンバーカードをまともて作成して、それを市町村から交付してもらうとか、一定の事務をまとめて処理する仕組みが出てきたということがございます。
役割分担の在り方に関する検討の方向性としましては、外部化や実施主体の最適配分、国による標準的な事務処理の在り方の基準の作成、都道府県単位への広域化、地方共同法人の活用といった取組をすることにより、企画立案から管理執行まで全てを一つの主体がやらなければいけないということではなくて、一連のプロセスとして捉えて、そのプロセスの中での実施主体を調整していくというような考え方が取れないかという議論をしております。また、柔軟な連携や、国・地方間で共同で政策立案していくことが必要ということも議論しております。 地方制度調査会はこの1月から再来年の1月まで2年間の任期で審議いただいておりますので、まだ4分の1弱ぐらいの状況でございますけれども、今後の議論を進めていく際に、これまでやってきた様々な制度改正も参考にしています。例えば都道府県の役割を少し変えていくようなことがあります。例えば後期高齢者医療については都道府県単位で広域連合の設置を義務化したり、国民健康保険の団体連合会が都道府県単位で作られていますが、そちらに業務の委託というものを増やしていったり、国民健康保険の財政単位を都道府県にしていくといったことがありました。そういった形での都道府県の関与を増やしています。
24ページですが、消防とか上水道の分野では都道府県の役割の明確化ということで、市町村の消防や上水道の広域化について、都道府県が主導する仕組みがございます。
25ページは、先ほど少し触れましたけれども、地方税共同機構とか地方公共団体情報システム機構といった法人において、eLTAXや、マイナンバーカードのほかにもコンビニ交付といったものをまとめて処理しやすくする仕組みをつくってきました。
人材のプールに関しては、例えば、日本下水道事業団において、高度な専門技術を持つ職員を全国的にプールし、自治体に代わって下水道の設計、特に高度なもの、難しいものについて支援するということをやっています。
地方独立行政法人についても業務の範囲を少し拡大してきておりまして、窓口業務についても一部地独法でやれるという仕組みができています。
また、「群マネ」と国交省がおっしゃられていますが、複数自治体、また、複数分野のインフラを群として捉えて、それをマネジメントしていくという考え方を取って、これを広げていこうとされております。
29ページは生成AIを含めたAI等の活用についてでございます。自治体においても使い方は本格的なものにはなっていませんが、実証実験とか導入が進んできているというものでございます。ただ、生成物の正確性への懸念とか人材不足等の課題がございまして、それに対して総務省としてもガイドブックを作ったり、また、今後この分野の検討会をやっていこうと考えているところです。AIの中でも今後は生成AIに続いてAIエージェントなども企業のほうでは利用されているわけですが、こうしたものを自治体の現場でも利用可能なのかということについて、関係各省とか自治体の協力も得ながら議論をしていこうと考えている状況でございます。
私からの説明は以上とさせていただきます。
○阿部部会長 ありがとうございました。
それでは、御質問があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
では、佐々木勝委員、どうぞ。 ○佐々木(勝)委員 どうもありがとうございます。
1点だけ質問させていただきたいのですけれども、ここに例でありました福岡県介護保険広域連合というところで、30市町村で構成されているということなのですが、こういうことはスケールメリットがあって非常にいい取組だと思うのですけれども、こういう広域連合というのは福岡県のこの連合以外にあと全国でどれぐらいあるのかということと、形成の仕組みとしては、これは自然にみんなでやろうかと言ったのか、それとも中央のほうからこうやれということがあったのでしょうか。なかなかこういうふうに自然的に発生しないと思うのですけれども、どういう仕組みによってこういうふうな広域連合が形成されていったのかということを教えていただきたいと思います。
○植田行政課長 ありがとうございます。
福岡県の広域連合については、介護保険の分野の中で、かなり例外的な存在だと認識しています。一般的には、介護認定審査会という医師の方とかが入っていただくようなものについては、先ほど申し上げたように1,000以上の団体で、共同処理しています。
ただ、介護保険のほとんどの分野において広域連携しているというのは福岡の例ぐらいです。というのも、介護保険をスタートしたときには、市町村の事務としてある意味分権の象徴的なもので、各市町村でどれだけそれぞれの地域の高齢者なり要介護の方々の状況を踏まえた形でやっていくかということが目指されたということだと認識しています。したがって、あまり最初から広域でやるという動きがそれほど大きく出なかったということがあるのではないかと思います。
国からの働きかけみたいなものはないのかというお尋ねですが、連携できることについてはやったほうがいいという状況もあるかと思います。後期高齢者については、法律の中で既にそれぞれの都道府県単位で市町村が広域連合をつくらなくてはならないという義務づけをされている形になっています。そういった方法が取れる分野と取れない分野、いろいろあろうかと思いますけれども、分野に応じて、国や都道府県の様々な関わりがあって、広域連携を進めていくことが今後必要になってくるのだろうと考えています。
○佐々木(勝)委員 ありがとうございます。
○阿部部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
私から質問をさせていただきたいのですが、今、人手不足が問題なのかどうかは分からないのですが、業務効率化のために広域連合化ですとか、もう一つは機械化という2つの方策があるよというお話だったと思うのですけれども、先日、私、病院に通院していて領収書を見たら、今、診療報酬制度で電子化すると加算があるのではないかと思うのですよね。なので、病院がどんどん電子化されていくためになのか、インセンティブを与えるためなのか分からないですけれども、加算分があって診療報酬から払われるとなっていると思うのです。私の認識が間違っていれば後で修正していただければと思うのですが、例えばもっともっと効率化を図って人手不足に対応していこうという自治体を促進していこうということであれば、例えば交付金で加算するとかそういうことも、法律でつくることと言うだけではなくて、そういった交付金を調整して加算してインセンティブを与えるというやり方もあると思うのですが、そういった考え方は今までもあったのかどうかお聞かせください。
○植田行政課長 ありがとうございます。
広域連携に関しては、様々な形で促進策をやってきたというのが事実です。平成20年代の初めぐらいまでは平成の合併という時代がございまして、市町村合併を進めるために、財政的な措置支援策を講じた時期がございました。その後は、定住自立圏や連携中枢都市圏といった形で、圏域行政を進めていくために、一定以上の規模の中心市とその周りの団体が連携をする際に、かかり増しの経費に対して、交付税で措置をしていくという仕組みが作られました。したがって、財政支援も一つの手法としてあろうかと思います。
ただ、そういうインセンティブで緩やかにやっていくという手法だけでは、先ほど御紹介したような介護保険や上下水道等の分野で広域化を進めていくには不十分な部分もあるのではないかと思われます。そもそも議論をするのにかなりハードルが高いということがそれぞれの自治体の中ではありまして、議論をしやすい仕組みも国として考えていかなくてはいけないと思っております。
また、都道府県ごとに、どういった市町村間の連携が必要か、また、都道府県による補完が必要かということもあります。そうした都道府県としてどういったことができるかという議論の促進も図っている。さらには、国の法律に関して、連携ではなくて、最初から一定の事務に関して、これは市町村の事務ではなくて都道府県の事務にふさわしいのではないか、もしくはこれはまとめて市町村の一定の単位でやる必要があるのではないかという議論が今後出てくる可能性があるのではないかと考えています。
○阿部部会長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、これでヒアリングを終えたいと思いますが、ここまでのヒアリングあるいは質疑応答を踏まえまして、委員のほうから何か御意見があれば承りたいと思いますが、いかがでしょうか。まだ大丈夫です。
相原委員、どうぞ。
○相原委員 それぞれありがとうございました。
経産省と厚労省の間のテーマということになるかもしれません。私の受け止めですけれども、日本は人手不足といった背景もありAIの補完性が高いということに対する安心感が少し強いのではないかと考えます。労働の関係で国際論議に参加しますと、圧倒的に先を見据えた論議が行われています。日本はこの安心感が強いというのはよいことだとも思える反面、対応に向けた時間的アドバンスの観点からはどうなのか。AIが導入される時代において、その検討なり検証する、もしくは社会的な合意を形成するなど丁寧な議論ができるという位置づけにすべきで、「少し人手不足だから、AIが導入されるほうがいいよね」という感じに捉えられ過ぎている観念の感想があるのではないか。それが一点。
もう一つはスキルの観点ですけれども、これは私の見方が古いかもしれませんが、日本の場合は個々の企業のカスタマイズ力が強いので、企業理念に基づいた、その企業でしか活用できないスキルが重用されてきたと思うのです。今後、AIが普及したときには技能なりスキルは企業を超えて横串が刺さっていくなどコモディティー化されますから、本当にその人のスキル・能力をどう生かすのかについて企業側がよく考えないと、あっという間に人材が流出していくという可能性もあるという緊張感があります。
その一方で、幸いと言ってはなんですが、企業側も協調領域と競争領域を明快に区分して、協調できるところは積極的に協調しようという動きが進んでいます。外部環境的にもスキル横断的に横串を通していくための環境が相当整ってきたと思います。そこにAIが来ていますから、各企業のオリジナリティーのスキルと、国民経済全体を底上げていく共通的なスキルをどのように整備し、社会的・経済的な合意につなげていくかが重要になっているのではないかなと思います。
あと、最後に1点だけ。私は生産現場の出身ですけれども、アドバンストの関係は相当やってきているという印象があります。異常処置対応でスキルをアップするということを繰り返して日本の製造業は強まってきたとも思うので、その延長線上にあるのは間違いないと思うのですけれども、事務部門については全く手つかず感があるので、そこを放り出したままではなかなかうまくいかないのではないかという印象を持ったことだけお伝えしておきます。
○阿部部会長 貴重な御意見ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。御意見があれば。
では、佐々木勝委員からお願いします。
○佐々木(勝)委員 経産省さんからの御報告で学歴間のミスマッチとありまして、理系人材が2040年まで120万人が不足し、そして、文系人材が80万人の余剰ということで、私も文系の部局で教えている者としては自分の部局が縮小するのではないかと心配しております(笑)。2040年なのでまだまだ先の話ですが、このような学歴間のミスマッチでいうと、アメリカでもミスマッチというのは拡大しているようで、今、アメリカでは新卒の就職難というのが非常に話題になっております。新卒のエントリーレベルの仕事がAIによって代替され、そして、失業の状態になっていくのが話題となっております。
『Bloomberg Businessweek』というビジネス雑誌によると、2004年から2024年の20年間で新卒一人当たりの求人数が35の分野のうち22分野で下がったということから、明らかに求人数の割に求職者数が多いというミスマッチが起こっているということが分かります。特にどの分野で求人が下がっているのかというと、実はコンピューター&インフォメーション・サイエンスの分野で、ほんのこの前までこの分野は約束された」分野だというところでみんなが一斉に勉強し始めたところ、生成AIが開発されて、「もう生成AIで十分ではないか」ということになって、コンピューター&インフォメーション・サイエンスの仕事がなくなったのでしょう。これは非常に恐ろしい話だなと思って、約束された分野がほんの1~2年、3年で変わってしまう。今から2040年のことを考えなければいけませんが、正直、想像はなかなかできません。そういう意味では、技術の進歩が早いということなので、先ほどの厚労省の話で人材ニーズの調査、分析を行うという話があったと思いますが、これはサンプルサイズを小さくしてでも頻繁に実施したほうがいいのかなと思いました。
あと、コンピューター&インフォメーション・サイエンスの求人数が減少したと申し上げましたが、実は反対に、そもそも求人数は少ないのですけれども、ソーシャル・サイエンスやイングリッシュ・ランゲージやリテラチャーの求人は増えております。ここからは私の推測なのですけれども、生成AIのような新しい技術というのは意外と人文知のような文系的の知識や論理思考力とかと非常にマッチしているというか、親和性があり、補完的な関係にあるのかなと思います。したがって、これからは理系人材の育成が必要だといってある程度は振り切るのもいいのですけれども、振り切り過ぎるのはよくないのではないかなと思います。それと同時に人文知ということが必要で、そういう意味ではリベラルアーツ的な学問を進めていくことが重要なのかなとは思いました。
以上です。
○阿部部会長 御意見ありがとうございました。
では、武田委員、お願いします。
○武田委員 本日は大変有意義な御発表をありがとうございました。
皆様からの御発表を伺い、AIやロボティクスの社会実装を進めていくためには、リ・スキリングが強調されがちですが、より重要なのはその前提となる仕組み自体をしっかり考えていくことではないかと感じました。
具体的に3点申し上げます。1点目は人事制度と雇用慣行についてです。冒頭で賃金に関する分析について質問させていただいたのは、アメリカでは既にプラマーの賃金が大きく上昇しており、ソフトウエアエンジニアの雇用が抑制される一方で、アドバンスト・エッセンシャルワーカーの賃金が変化し始めていることが実際に起きているためです。日本では雇用慣行が根強く賃金制度もやや硬直的なため、スキルや将来の需給に見合った賃金にすぐには反映されにくいため、結果的にシフトが遅れる面もあるのではないかと懸念しており、「制度の柔軟性」がひとつの鍵になると考えます。
2点目は、横串での取り組みについてです。中小企業一社一社にリ・スキリングの補助を行うことは非効率ではないかと思います。例えば地域の商工会議所や地銀が非金融力を発揮し、ノウハウやネットワークを活用し、OJTを横展開していくような仕組みがなければ、技術のスピードに追いつかないのではないかと思います。個社ベースでの取り組みも必要ですが、いかに横展開できる環境で導入するかという点がポイントと思います。金融庁でも地域金融力に関する議論が行われていますので、そうした視点も必要と考えます。
3点目は、地域という観点では、連携化、広域化、共通化です。こうした基盤が整って初めてDXが進展することは、本日の総務省様のご発表からの御示唆ではなかったかと思います。 以上です、ありがとうございました。 ○阿部部会長 ありがとうございました。
それでは、オンラインで浦委員、お願いします。
○浦委員 スキルベースの話がすごく出ていたかと思います。スキルベースによる労働移動の促進に関しては重要だと理解していますが、その延長線上として、そうしたスキルをもとに就労するギグワーカーが増加し、雇用の安定などのリスクが拡大するのではないかと懸念しています。スキル単位での雇用というものを突き詰めていくと、必要なときだけ労働者を所望するみたいなことが発生し得るのではないかと思うと、雇用の継続性に対してのリスクが大きいのではないかと考えます。
国際的にもギグエコノミーに関しては、労働者保護の観点でかなり重要だと認識されていますので、とりわけ雇用の安定性やウェルビーイングという観点からも検討していくべき内容かと思います。
○阿部部会長 ありがとうございました。
ほかにいかがですか。大丈夫ですか。もし後ほど御意見があれば、事務局のほうにメール等でお送りいただければと思います。
私のほうから最後に。私、思ったことが1点だけあるのですが、先ほども浦委員からスキルベース労働市場の話が出たと思うのですが、これまでも何となく15年とか10年単位で繰り返しこの議論はされると思うのですよね。何で今までうまくいかなかったのかというのを振り返っておいて、日本の労働市場の特徴なのかどうなのか、その辺りも含めて考えてみるということも必要ではないかと思いました。私もイギリスだとかアメリカに出張して、イギリスの資格制度の研究とか、アメリカの資格制度の研究とかを昔やったこともありますし、資格の話だとかスキルの話はいつも出てくると思うので、もう一度その辺りを整理した上で議論するというのも必要かと思いました。
では、佐々木かをり委員、どうぞ。
○佐々木(か)委員 繰り返しになるので黙っていようと思ったのですけれども、一言だけ。先ほど武田委員からもありましたけれども、全体的に雇用慣行、日本の場合の新卒一括採用、そして、年功序列、様々な昇進・昇格のプロセスみたいなものを変えずして、ミスマッチだとかAI化に対応して世界と競争するのは不可能だと思っておりまして、どうしてもそういった問題というのは何か別の議論になって、こちらのテーマのときにはその話題が出ないみたいになってしまうのですけれども、先ほど勝委員からも出ましたけれども、長い間の研究というよりも、本当に頻繁に小さな研究を積み重ねて発表し合って、そこに常にこの労働、日本の特に慣習とかそういったものがどのように影響しているのかというのは常にデータの中に入れていくぐらいな意識で改革をしていく必要があるのかなと思いました。
やはり海外の場合はその辺の流動性がよいも悪いも非常に激しいので、自由に伸びていったり、リーダーシップを取る企業が出てきたり、事例になったりすると思うので、ぜひ日本もそんなふうにスピードアップしていけたらいいなと思いました。
以上です。
○阿部部会長 ありがとうございました。
ほかになければ、よろしいですか。
それでは、先ほど消灯もありましたので、この辺りで今回の議論は終了させていただきたいと思います。皆様から本当に貴重な御意見、御質問もいただきましてありがとうございました。
最後に、事務局から次回日程についてお願いいたします。
○岡政策統括官付参事官 本日もありがとうございました。
次回の日程につきましては、調整の上、また追って御連絡をいたします。
○阿部部会長 それでは、以上で本日の労働政策基本部会は終了とさせていただきます。御多忙の中、御出席いただきましてありがとうございました。

