第128回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録

1.日時

令和8年3月4日(水) 10時00分~10時25分

2.場所

厚生労働省専用第22~24会議室(※一部オンライン)
(東京都千代田区霞ヶ関1-2-2 中央合同庁舎第5号館 18階)

3.出席委員

公益代表委員
  • 京都大学大学院人間・環境学研究科教授 小畑 史子
  • 明治大学法学部教授 小西 康之
  • 名古屋大学大学院法学研究科教授 中野 妙子
  • 大阪大学大学院高等司法研究科教授 水島 郁子
労働者代表委員
  • 日本基幹産業労働組合連合会中央執行委員 岩﨑 優弥
  • 日本化学エネルギー産業労働組合連合会副事務局長 金井 一久
  • 日本食品関連産業労働組合総連合会副会長 白山 友美子
  • 全日本海員組合政策局長 立川 博行
  • 日本労働組合総連合会副事務局長 冨髙 裕子
  • 全国建設労働組合総連合書記次長 松尾 慎一郎
使用者代表委員
  • 三菱マテリアル(株)イノベーションセンター長 足立 美紀
  • 東京海上ホールディングス株式会社人事部シニアマイスター 砂原 和仁
  • 日本通運(株)人財戦略部次長 武知 紘子
  • 日本製鉄株式会社人事労政部部長 福田 寛
  • 西松建設株式会社安全環境本部安全部担当部長 最川 隆由

4.議題

(1)労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案要綱について(諮問)
(2)労働保険審査官及び労働保険審査会法の一部改正、労働保険審査官及び労働保険審査会法施行令の一部改正及び労働保険審査官及び労働保険審査会法施行規則の一部改正について(報告)

5.議事

○小畑部会長 ただいまから「第128回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会」を開催いたします。本日の部会は、会場及びオンラインの両方で実施いたします。本日の委員の出欠状況ですが、武林委員、宮智委員、笠井委員が御欠席と伺っております。出席者は現在15名ですが、公益代表、労働者代表、使用者代表それぞれ3分の1以上の出席がありますので、定足数を満たしていることを御報告いたします。カメラ撮影等はここまでとしますので、御協力をお願いいたします。
それでは、議題に入ります。本日の1つ目の議題は、「労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案要綱について」です。前回の労災保険部会において報告書を取りまとめ、それをもって厚生労働大臣宛てに建議をいたしました。この建議を踏まえ、厚生労働大臣から諮問を受けているため、当部会において審議を行うことといたします。それでは、諮問の内容について、事務局から説明をお願いいたします。
○労災管理課長 それでは、資料1を御覧ください。1ページが、厚生労働大臣から労働政策審議会会長に対する諮問文、2ページ以降の別紙が、令和8年1月14日の建議を受け、法律改正で対応する事項をまとめた法律案要綱です。今回の改正は、労働者災害補償保険法、石綿による健康被害の救済に関する法律、労働基準法などを一緒に改正するため、法律案の名前は労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案としております。なお、本日は参考資料として、建議を行った労災保険制度の見直しについての当部会の報告をお配りしておりますので、必要に応じ参照してください。
まず2ページの法律案要綱の第1は労働者災害補償保険法の一部改正です。1が、遺族補償年金における支給要件等に関する事項です。(1)は、労災保険部会の報告における、遺族補償等年金における夫と妻の支給要件の差は解消することが適当、解消するに当たっては、夫にのみ課せられた支給要件を撤廃することが適当との取りまとめを受けての改正です。夫が六十歳以上であること又は厚生労働省令で定める障害の状態にあることという要件を削る改正となります。
(2)は、労災保険部会の報告における、高齢や障害のある妻のみ特別に給付水準に差を設ける合理性はないことから、特別加算を廃止し、遺族の数に応じた給付水準にするという考え方から、遺族一人の場合における給付基礎日額を、175日分とすることが適当との取りまとめを受けての改正です。遺族の人数が一人である場合の額を一律で給付基礎日額の175日分とする改正となります。
続いて2、特定の事業を、労働者を使用しないで行うことを常態とする者等を構成員とする団体、特別加入団体に関する事項です。(1)は、労災保険部会の報告における、特別加入団体は、労働保険事務の処理等の重要な役割を担っていることから、その適格性を確保するため、特別加入団体の保険関係の承認や消滅の要件を法令上に明記することが適当。具体的な承認要件の内容は、災害防止に関わる役割や実施すべき措置事項その他当該団体の業務の適切な運営に資する事項とすることが適当との取りまとめを受けての改正です。
団体が、労災保険の適用を受けることにつき政府が承認するための要件として、徴収法に規定する業務であって、労災保険に係る保険関係に係るもの、業務災害の防止に関する活動に係る業務その他の労災保険に係る保険関係に係る業務を適切に実施することができる団体として、厚生労働省で定める要件に適合するものであることを定める改正となります。
(2)は、労災保険部会の報告における、保険関係の消滅に当たっては、先立って改善を要求する等、段階的な手続を設けるとともに、消滅させる時期に配慮することが適当との取りまとめを受けての改正です。政府は、改善が必要であると認めるときは、承認団体に対し、その改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができるものとするとともに、承認団体がこの命令に違反したときは、当該承認団体についての保険関係を消滅させることができるものとする改正となります。
続いて3は、社会復帰促進等事業に関する事項です。労災保険部会の報告における、労働者等に対する給付的な社会復帰促進等事業に対する不服申立てについては、保険給付と同様に、労働保険審査官及び労働保険審査会法の対象とすることが適当との取りまとめを受けての改正です。労災保険法第29条第1項各号に掲げる事業のうち、政令で定めるものの実施に関する決定に不服のある者は、労働者災害補償保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服のある者は労働保険審査会に対して再審査請求をすることができるものとする改正となります。
4は、消滅時効に関する事項です。労災保険部会の報告における、労災保険給付請求権のうち、消滅時効期間が2年である給付について、発症後の迅速な保険給付請求が困難な場合があると考えられる疾病を原因として請求する場合には、消滅時効期間を5年に延長することとし、まずは脳・心臓疾患、精神疾患、石綿関連疾病等について対象とすることが適当との取りまとめを受けての改正です。療養補償給付等を受ける権利について、これらの保険給付を受けるべき労働者の、その保険給付の原因である事故に係る疾病が、その疾病の性質上、労災保険法第12条の8第2項に規定する災害補償の事由に該当するものかどうか等を容易に判断することができない疾病として政令で定めるものである場合には、当該保険給付を受ける権利の消滅時効の期間を、2年から5年に延長する改正となります。
次に第2、船員保険法の一部改正です。船員保険法は当部会の所掌ではないため、(略)と表記しておりますが、船員保険法の規定による遺族年金の支給要件等について、労災保険法の一部改正の1の改正に準じた改正等となります。
第3の、石綿による健康被害の救済に関する法律の一部改正は、労災保険部会の報告における、石綿健康被害救済法における特別遺族年金についても同様に、夫と妻の支給要件の差を解消し、夫にのみ課せられた支給要件を撤廃することが適当との取りまとめを受けた改正です。特別遺族年金を受けることができる遺族の要件について、労災保険法の一部改正の1の(1)に準じた改正となります。
第4の労働基準法の一部改正は、労災保険部会の報告における、労働基準法の災害補償請求権についても、労災保険給付請求権と同様に、消滅時効期間を延長することが適当との取りまとめを受けた改正です。災害補償の請求権の消滅時効期間について、労災保険法の一部改正の4に準じた改正となります。
第5、失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律の一部改正です。労災保険部会の報告における、暫定任意適用事業は廃止し、労災保険法を順次強制することが適当との取りまとめを受けての改正です。政令で定める事業について、当分の間、労働者災害補償保険の適用事業としない暫定措置を廃止する改正となります。
第6は施行期日等です。まず、1の施行期日です。この法律は、令和9年4月1日から施行することとしておりますが、第5の暫定任意適用事業の廃止等については、労災保険部会の報告における、円滑な施行に必要な期間を設けることが適当であるとの取りまとめを受け、(2)に記載のとおり、公布の日から起算して5年を超えない範囲内において、政令で定める日としております。具体的な日付は、実際に改正法が成立した後に当部会で御議論いただきたいと考えております。
また、2の検討規定に記載のとおり、この法律の施行後5年を経過した場合における検討規定や、3に記載の必要な経過措置を定めるとともに、関係法律の整備を行うこととしております。事務局からの説明は以上です。
○小畑部会長 ありがとうございました。それでは、ただいま事務局から御説明がありました報告案につきまして御意見を伺いたいと思います。御意見等がございましたら会場の委員におかれては挙手を、オンラインで御参加の委員におかれましてはチャットのメッセージから発言希望と入力いただくか、挙手ボタンで御連絡をお願いいたします。いかがでしょうか。冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員 ありがとうございます。御説明をいただいた法案要綱は、建議の内容をおおむね適切に反映いただいたものであると受け止めておりますが、一点だけ確認をさせていただきます。具体的には消滅時効についてです。先ほど事務局の説明で触れていただきましたが、建議では、消滅時効を5年に延長する対象の給付について、具体的に「脳・心臓疾患、精神疾患、石綿関連疾病等について、対象とすることが適当」と記載されていましたが、法案要綱では、「労働者災害補償保険法第十二条の八第二項に規定する災害補償の事由に該当するものかどうか等を容易に判断することができない疾病」という記載で、具体的な内容は政令委任としています。この点について、建議と要綱案で、念頭に置く疾病に違いはないという理解をしているのですが、その理解であっているかを確認させていただきたいと思います。
○小畑部会長 ありがとうございます。それでは、事務局からお願いいたします。
○労災管理課長 お答えします。建議と法案要綱で相違はございません。
○小畑部会長 冨髙委員お願いいたします。
○冨髙委員 ありがとうございました。消滅時効の件は、了解いたしました。その上で、政令委任としている消滅時効以外にも、省令委任事項である特別加入団体の承認要件など、今後、結構詰めていかなくてはならない事項があると思います。これらについては、改正法成立後に本部会で議論するということになると思いますが、まずは法案要綱の内容を正確に条文化・法案化していただき、労災保険制度のセーフティネット機能を強化していただく法改正を確実に図っていただくことが非常に重要であると思っております。この点をお願いし、労働側として法案要綱については了承することとします。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他はいかがでしょうか。砂原委員、お願いいたします。
○砂原委員 御説明ありがとうございました。ただいまのやり取りも踏まえまして、法案要綱が建議を踏まえたものであることについてよく分かりましたので、諮問事項に特に異論はありません。今後、特別国会において、労災保険法の改正法が成立した暁には、当部会において消滅時効期間を始めとする政省令について、議論をしていければと考えておりますので、よろしくお願いいたします。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他にいかがでしょうか。水島委員、お願いいたします。
○水島委員 御説明いただきありがとうございました。冨髙委員から初めに御質問がありました消滅時効について、私も質問があります。部会報告の消滅時効に関する記述を見ますと、業務災害を念頭に置いていることが分かります。一方、今回の諮問では業務災害に加えて複数業務要因災害、通勤災害に関する給付を対象としているようであります。一定の疾病について消滅時効期間を延長することにつき、その趣旨、目的から、業務災害に加えて複数業務要因災害を追加することは理解しますが、通勤災害の給付も対象にすることについて、事務局の御見解をお聞きできればと思います。よろしくお願いします。
○小畑部会長 ありがとうございます。それでは、事務局からお願いいたします。
○労災管理課長 御指摘ありがとうございます。その点も含めまして、今後部会において議論していきたいと考えております。
○小畑部会長 水島委員、いかがでしょうか。
○水島委員 承知しました。ありがとうございます。
○小畑部会長 ありがとうございます。他にいかがでしょうか。御意見等はございませんか。それでは、御意見が出尽くしているようでございますので、諮問のありました件につきまして、当部会としては、おおむね妥当と認め、労働条件分科会長宛てに報告することとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
                                   (異議なし)
○小畑部会長 ありがとうございます。それでは、そのように進めたいと存じます。労働政策審議会令の規定等に基づき、本部会の議決をもって分科会ないし審議会の議決とすることができるとされております。それでは、事務局から答申案を読み上げていただくようにお願いいたします。
○労災管理課長 それでは、読み上げさせていただきます。お手元にお配りしました報告案の3枚目を御覧ください。労災保険部会から労働条件分科会への報告です。読み上げます。
「労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案要綱」について。令和8年3月4日付け厚生労働省発基0304第3号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本部会は、下記のとおり報告する。記、厚生労働省案は、当部会所管関係については、おおむね妥当と認める。
続いて2枚目です。労働条件分科会から労働政策審議会への報告です。「労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案要綱」について。令和8年3月4日付け厚生労働省発基0304第3号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本分科会は、下記のとおり報告する。記、別紙「記」のとおり、となり、先ほどの3枚目の記のとおりとなります。
最後、1枚目でございますが、労働政策審議会から厚生労働大臣への答申になります。令和8年3月4日付け厚生労働省発基0304第3号をもって諮問のあった「労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案要綱」については、本審議会は、下記のとおり答申する。記、別紙「記」のとおり、となりまして、先ほどの3枚目の記のとおりになります。以上です。
○小畑部会長 ただいま読み上げられた内容で、部会長から分科会長宛て、分科会長から労働政策審議会長宛てに報告し、この報告のとおり、厚生労働大臣宛てに答申を行うことといたします。なお、オンラインで御参加の委員には、答申案を後ほど送付いたします。事務局から何かございますか。
○労災管理課長 御審議ありがとうございます。本日、御了承いただきました諮問案件につきましては、今後、早急に事務局として法案の作成の作業など、所要の手続を進めてまいりたいと思います。どうもありがとうございました。
○小畑部会長 それでは、次の議題は、「労働保険審査官及び労働保険審査会法の一部改正、労働保険審査官及び労働保険審査会法施行令の一部改正及び労働保険審査官及び労働保険審査会法施行規則の一部改正について」でございます。事務局から御説明をお願いいたします。
○労災管理課長 それでは資料2を御覧ください。労働保険審査官及び労働保険審査会に関する法律、政令及び施行規則の一部改正についての御報告です。労災保険法第38条の規定により、保険給付に関する決定に不服のある者は、労働者災害補償保険審査官、都道府県労働局におりますが、この審査官に対し、審査請求をし、その決定に不服のある者は、労働保険審査会に再審査請求をすることができます。その具体的な手続は、労働保険審査官及び労働保審査会法等に規定されております。
今回の一部改正は、1ページ目の1つ目の丸に記載しておりますが、労働保険審査官の審査請求に係る決定の送達に関するものです。この送達は、審査請求人に決定書の謄本を送付することによって行いますが、審査請求人の所在が知れないときなどには、一定期間掲示することで相手方に通知等が到達したものとみなす公示送達によって行うことができます。
具体的な公示送達の方法は、2つ目の丸に記載しておりますが、審査官が決定書の謄本を保管し、いつでも審査請求人に交付する旨を政令で定めます掲示場に掲示し、当該公示事項を官報その他の公報に、少なくとも1回掲載して行うものとされております。
この書面を掲示するという取扱いについて、アナログ規制の7項目の1つに該当するものとして、令和4年6月にデジタル臨時行政調査会において決定された「デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン」に基づき、見直しを行うこととされました。これを踏まえ、令和5年6月16日に公布された、いわゆるデジタル一括法により、インターネットによる閲覧等を可能とする改正が行われました。
具体的には、4つ目の丸に記載しておりますが、公示送達の方法は、公示事項を厚生労働省令で定める方法により、不特定多数の者が閲覧することができる状態に置くとともに、公示事項が記載された書面を政令で定める事務所の掲示場に掲示し、又は公示事項を当該事務所に設置したパソコンの画面に表示することにより行うものと改正されたところであります。
この改正に伴い、労働保険審査官及び労働保険審査会法施行令の一部を改正し、資料2ページに記載のとおり、政令で定める掲示場を政令で定める事務所の掲示場に、また、労働保険審査官及び労働保険審査会法施行規則の一部を改正し、資料3ページに記載のとおり、厚生労働省令で定める公示送達の方法として、インターネットを利用した方法を規定するものです。いずれも施行日は令和8年5月21日を予定しております。事務局からの説明は以上です。
○小畑部会長 ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問等をお伺いいたします。御意見いかがでしょうか。砂原委員お願いいたします。
○砂原委員 御報告のありました法令改正は、デジタル技術の進展を踏まえて、政府全体で取り組むアナログ規制の見直しに対応したものと理解しており、妥当な内容だと受け止めました。本件に関して一点要望いたします。今回の改正により、インターネットを利用した方法による公示送達が可能となりますが、その前段階でもある、労働保険審査官による決定書の謄本の送達についても見直しを図るべきではないのかと感じました。昨今のデジタル技術の進展を踏まえれば、経済社会全体の利便性の向上を目指す観点から、書面に限定する手続は可能な限り削減すべきだと考えます。労働保険審査官に対する審査請求は電子申請が可能なことを踏まえれば、出口に当たる決定書の謄本送達がデジタル化できれば、申請者の利便性は一層高まると思いますので、厚生労働省の皆様には、前向きな御検討をいただければ幸いです。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他に御意見はいかがでしょうか。よろしゅうございますか。事務局からもよろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、本日予定した議題は以上でございますので、部会は終了といたします。事務局から次回日程につきまして、お知らせをお願いいたします。
○労災管理課長 次回の日程につきましては、事務局から追って連絡をいたします。
○小畑部会長 本日は以上といたします。皆様、お忙しい中誠にありがとうございました。